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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B64D
管理番号 1354970
異議申立番号 異議2019-700434  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-27 
確定日 2019-09-21 
異議申立件数
事件の表示 特許第6431395号発明「空中散布装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6431395号の請求項1?4に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯

特許第6431395号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成27年2月7日に出願され、平成30年11月9日にその特許権の設定登録がされ、平成30年11月28日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和1年5月27日に特許異議申立人岡本茂男(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。



第2.本件発明

特許第6431395号の請求項1?4に係る特許(以下「本件発明1?4」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
飛行しながら圃場に散布対象物を散布する空中散布装置であって、
散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部と、
散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部と、
自機の位置を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、
前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部と、
を備え、
前記散布部は、
前記散布部における単位時間当たりの散布量を調整する調量アクチュエータと、
前記散布対象物の供給の有無を切り換える開閉アクチュエータと、
を備え、
前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御することを特徴とする空中散布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空中散布装置であって、
自機の飛行速度を取得する速度情報取得部を備え、
前記散布量制御部は、前記速度情報取得部で得られた飛行速度が増加すれば前記散布部における単位時間当たりの散布量を増加させ、前記飛行速度が減少すれば前記散布部における単位時間当たりの散布量を減少させるように制御することを特徴とする空中散布装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空中散布装置であって、
前記散布量制御部は、前記必要散布量と、前記速度情報取得部で得られた飛行速度と、の何れにも実質的に比例するように、前記散布部における単位時間当たりの散布量を制御することを特徴とする空中散布装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の空中散布装置であって、
前記散布量制御部は、前記空中散布装置の少なくとも飛行速度、方位及び高度に基づいて、前記散布対象物が、前記散布対象の圃場を細分化した単位の何れに着地するかを予測することを特徴とする空中散布装置。」



第3.申立理由の概要

1.申立人の主張の概要

申立人は、証拠として、次の甲第1?8号証を提出し、以下の申立理由により、本件発明1?4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

甲第1号証:米国特許出願公開第2014/0303814号明細書
甲第2号証:実公平7-18251号公報
甲第3号証:特開平10-113589号公報
甲第4号証:特開2003-81192号公報
甲第5号証:特開2014-113864号公報
甲第6号証:特開2013-91341号公報
甲第7号証:特表2014-521560号公報
甲第8号証:特開平8-324499号公報

[申立理由(特許法第29条第2項)]
申立人は、取消理由1において、主たる証拠として甲第1号証を示し、以下の旨主張する。
本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第4号証に記載された発明(事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明2?3は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第5号証に記載された発明(事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件発明4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証?甲第4号証、甲第6号証?甲第8号証に記載された発明(事項)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。



第4.甲各号証の記載事項等

1.甲第1号証の記載事項、認定事項及び甲第1号証に記載された発明

(1)甲第1号証には図面とともに以下の事項が記載されている。なお、申立人が提出した甲第1号証の訳文を参考にした訳文を()内に示す。また、下線は当審で付した。以下同様。

「[ABSTRACT]
Modern farming is currently being done by powerful ground equipment or aircraft that weigh several tons and treat uniformly tens of hectares per hour. Automated farming can use small, agile, lightweight, energy-efficient automated robotic equipment that flies to do the same job, even able to farm on a plant-by-plant basis, allowing for new ways of farming. Automated farming uses unmanned aerial vehicles (UAVs) that are equipped with detachable implements and reservoirs and that we call "aerial farm robots." Automated farming uses high-precision GPS and other precision positioning and vision technology to autonomously and precisely perform crop dusting, planting, fertilizing and other field related farming or husbandry tasks. The subsystems for the control, refill, recharge and communication subsystems of the aerial farm robots are part of the overall automated farming system, and can autonomously handle most of the husbandry tasks on a farm.」
([要約]
現代の農業は、現在、数トンの重さがあり、1時間に数十ヘクタールを均一に処理する強力な地上設備や航空機により行われています。自動農法は、それと同じ作業を、飛行する小型で敏捷、軽量、エネルギー効率の高い自動ロボット装置で個々の植物ごとに行うことで、農業の新しい方法を可能にします。自動農法は、「空中農場ロボット」と呼ばれる、取外し可能な装置と貯水槽を備えた無人航空機(UAVs)を使用します。自動農法では、高精度GPS及び他の精密な位置決めおよび視覚技術は、農薬の散布、植え付け、施肥、その他の圃場関連の農耕や農作業を自律的に精密にします。空中農場ロボットの制御、補充、再充電及び通信サブシステムのためのサブシステムは、自動農法システム全体の一部であり、農場でのほとんどの農作業を自律的に処理できます。)

「[0034] Service Order--Complete description of farming task to be performed on a specific field or sub-field. It should include date, time and desirable duration of operation, location of field or sub-field, type of the operation and specific parameters, such as type of pesticide and its volume application rate. It may also include acceptable weather conditions.」
([0034] サービス指示-特定の圃場またはサブフィールドで実行される農業作業の詳細な説明。それには、日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはサブフィールドの位置、作業の種類、および農薬の種類やその散布量率などの特定のパラメーターが含まれます。許容気象条件も含まれる場合があります。)

「[0039] Block--Part of a field which is uniformly maintained (such as an area where the same crop is planted at the same time). One field can consist of several blocks with the same or different crops.」
([0039] ブロック-一様に維持されている圃場の一部(同じ作物が同時に植えられている地域など)。1つの圃場は、同じまたは異なる作物を含むいくつかのブロックから構成されます。)

「[0046] In this specification, we give examples of automated farming using aerial farm robots. We give just examples, and the examples given should not be considered to define the scope of our invention. The scope of our invention is instead defined in the claims. In this example, shown in FIGS.1 and 2, an automated farming system includes the following:」
([0046] 本明細書では、空中農場ロボットを用いた自動農法の例を示します。 我々は単に例を挙げているだけであり、与えられた例は我々の発明の範囲を定義するために考慮されるべきではありません。本発明の範囲は特許請求の範囲に定義されている。この例では、図1および図2に示すように、自動農法システムは以下を含みます。)

「[0047] 1. Aerial Farm Robot」
([0047] 1.空中農場ロボット)

「[0048] An aerial farm robot is a semi-autonomous multi- or single-rotor unmanned aerial vehicle (UAV) that can fly and execute at least some tasks autonomously using its built-in central processing unit (CPU) in conjunction with a series of sensors such as a gyroscope, accelerometer, magnetometer (compass), barometer, sonar, optical flow, energy consumption and voltage meter, and GPS module. These sensors provide motor inputs, height, pitch, roll, heading, position, attitude, high-precision absolute and relative location, obstacle detection, distance detection, and speed control. Instructions for the tasks to be executed are sent via a wireless communication network to one or more aerial farm robots from a control system that provides an interactive interface to an operator that can input the tasks to be executed using a simple interface.」
([0048] 空中農場ロボットは、内蔵の中央演算処理装置(CPU)をジャイロスコープ、加速度計、磁力計(コンパス)、気圧計、ソナー、オプティカルフロー、エネルギー消費および電圧計、GPSモジュール等の一連のセンサーと組み合わせて使用して、少なくとも飛行し一部のタスクを自律的に実行できる半自律型のマルチローターまたはシングルローターの無人航空機(UAV)です。これらのセンサーは、モーター入力、高さ、ピッチ、ロール、進行方向、位置、姿勢、高精度の絶対位置および相対位置、障害物検出、距離検出、および速度の制御を提供します。実行されるべきタスクのための指示は、簡単なインターフェイスを用いて実行されるべきタスクを入力できるインタラクティブ型インターフェイスをオペレーターに提供する制御システムから1つ以上の空中農場ロボットに無線通信ネットワークを介して送られます。)

「[0052] 2. Base Station」
([0052] 2.基地局)

「[0053] A base station can simply be a mobile platform that is mounted on one or more vehicles. In more complex arrangements fixed based stations can also be used. A base station--an example of which is in FIG.15--can include the components shown in Table 2 below.」
([0053] 基地局は、単に1つまたは複数の機体に搭載されているモバイルプラットフォームとすることができます。より複雑な構成では、固定基地局もまた使用され得ます。基地局-その一例は図15に示される-には下記の表2に示す構成を含み得ます。)

「[0059] An aerial farm robot can carry a toolset to spray liquids, using a vacuum pump attached underneath of the reservoir as shown in FIG.5. Depending on desired coverage we can deploy either one or two spray heads, as shown in FIG.5. A sample spray head is shown in FIG.6.」
([0059] 図5に示すように、空中農場ロボットは、貯水槽の下に取り付けられた真空ポンプを使用して液体を噴霧するための工具セットを運ぶことができます。所望の範囲に応じて、図5に示すように、1つか2つの噴霧ヘッドを配置することができます。見本の噴霧ヘッドは図6に示されています。)

「[0060] It is important to provide uniform coverage of a field with fertilizer. The volume of fertilizer per hectare can vary. If we know the volume, sprayer coverage band (for example, 30 centimeters), and aerial farm robot speed, we can easily calculate the intensity of fertilizer application (for example, 5 grams per second). The intensity is controlled by changing the pressure of the mini-pump attached to the reservoir and creating nozzle pressure.」
([0060] 肥料で畑をまんべんなく覆うことが重要です。1ヘクタールあたりの肥料の量は可変です。容量、噴霧器の適用帯範囲(たとえば30センチメートル)、および空中農場ロボットの速度がわかれば、施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度を簡単に計算できます。強度は、貯水槽に取り付けられたミニポンプの圧力を変えてノズル圧力を作り出すことによって制御されます。)

「[0068] An aerial farm robot can also apply fertilizer to crops by broadcasting it through the air. In that case, the aerial farm robot is fitted with an exchangeable broadcast fertilizer toolset and its reservoir filled. The aerial farm robot then flies to the appropriate location, where it starts turning the auger that runs through the middle of the reservoir to dispense the fertilizer. The natural vibration of the aerial farm robot together with the downward angle and the grooves of the distribution plate cause the fertilizer to be distributed in an even manner. In addition to controlling the amount of fertilizer distributed with the auger by regulating the speed of the electric motor, the distribution ring can be exchanged or adjusted to regulate the quantity of fertilizer distributed.」
([0068] 空中農場ロボットは、空中で散布することで、作物に化学肥料を施すこともできます。その場合、空中農場ロボットには、交換可能な散布用肥料工具セットと充填された貯水槽が備え付けられます。その後、空中農場ロボットは適切な場所に飛んでいき、そこで肥料を分配するために貯水槽の中央を通るオーガーを回し始めます。空中農場ロボットの自然振動は、分配板の下向きの角度と溝と相まって肥料が均等に散布されるように作用します。電気モーターの速度を調節することによって、オーガーによって散布される肥料の量を制御することに加えて、分配リングも散布される肥料の分量を調整するために交換または調節することができます。)

「[0071] In order to accomplish autonomous missions, in this example each aerial farm robot carries the following on-board electronics, as shown in FIG.10:」
([0071] 自律的な任務を達成するために、この例では、図10に示すように、各空中農場ロボットは以下の搭載電子機器を携帯します:)

「[0072] A power unit 250 is responsible for supplying power to motors 290, toolset 300 and all on-board electronics 200. A power distribution board 255 is connected to one or more batteries, depending on requirements, as part of the rechargeable power supply 295. In this example we use 12V LiPo batteries as our power supply. Power voltage requirements for different boards may vary. Currently we use a 3.3V power adapter 260 to power the GPS board 225 and Wi-Fi board 240, a 5.5V BEC adapter 265 to power the autopilot unit 205 and toolset control unit 275, and 12V for powering the motors 290 and toolset 300.」
([0072] 電源ユニット250は、モータ290、工具セット300および全ての搭載電子機器200に電力を供給する責任を負います。配電盤255は、充電式電源295の一部として、要件に応じて1つまたは複数の電池に接続されます。この例では、12VのLiPo電池を電源として使用しています。ボードごとに必要な電源電圧は異なるかもしれません。現在、我々は、GPSボード225およびWi-Fiボード240に電力を供給するために3.3Vの電力アダプタ260を、オートパイロットユニット205および工具セット制御装置275に電力を供給するために5.5VのBECアダプタ265を、およびモータ290と工具セット300とに電力を供給するために12Vとを使用します。)

「[0077] A high-precision positioning unit is responsible for getting the precise coordinates of a mobile unit. It includes a high-precision GPS/GLONASS board with a GPS/GLONASS antenna. Currently there are commercial GPS boards available which provide up to 5 cm precision in an X, Y coordinate plane. While GPS produces vertical coordinates as well, it is usually less precise then for horizontal coordinates. The landscape is not always flat, which can pose problems for precise vertical positioning. That is why sonar is usually the preferred mean to control vertical positioning of aerial farm robot. The height of application affects the width of the application band and the concentration of fertilizer, and should be tightly controlled.」
([0077] 高精度位置決めユニットは、モバイルユニットの正確な座標を取得する責任を負います。GPS/GLONASSアンテナ付きの高精度GPS/GLONASS ボードが含まれています。現在、X、Y座標面で最大5cmの精度を提供する商業用のGPSボードがあります。GPSは垂直座標も生成しますが、通常は水平座標よりも精度が劣ります。地形は常に平らではないため、正確な垂直方向の位置調整に問題を引き起こす可能性があります。通常、ソナーが空中農場ロボットの垂直位置を制御するための好ましい手段であるのはそのためです。利用する高さは、適用帯の幅および肥料の集中に影響を及ぼし、厳密に管理されるべきです。)

「[0095] For example, the intensity parameter is translated to pumping pressure for a sprayer and to auger speed for a broadcast fertilizer. For spraying, the main control unit will send predefined commands to the toolset control unit: for example "set (intensity, 0.8)" will set intensity of fertilizer application to 80%.」
([0095] 例えば、強度パラメーターは、噴霧器についてはポンプ圧に、肥料散布機についてはオーガー速度に変換されます。散布の場合、主制御装置は工具セット制御装置に事前に定義されたコマンドを送ります。例えば、“セット(強度、0.8)”は施肥量を80%に設定します。)

「[0159] The control system is the computer software system specifically developed to control operation of the base station and the fleet of aerial farm robots. The main task of the control system is to optimize and control execution of service orders in the most reliable, safe and efficient manner. In order to achieve this task the control system supports the functionality described below:.」
([0159] 制御システムは、基地局および空中農場ロボット群の動作を制御するために特に開発されたコンピュータソフトウェアシステムです。制御システムの主なタスクは、最も信頼性が高く、安全で効率的な方法でサービス指示の実行を最適化し制御することです。このタスクを達成するために、制御システムは下記の機能をサポートします:)

「[0160] Farm Mapping--The operator takes a Google (or similar) map and overlays it with more current and precise aerial photos taken by an aerial farm robot equipped with a camera. Then the operator can define fields and blocks (sub-fields) on the map by using a simple shape editor. It can also define the current location of the base station, the flight corridors and the hovering areas.」
([0160] 農場マッピング-オペレーターはグーグル(または類似の)地図を取得し、それにカメラを装備した空中農場ロボットによって撮られた、より最新かつ正確な空中写真を重ね合わせます。その後、オペレーターは単純なシェイプエディターを使用して地図上に圃場とブロック(サブフィールド)を設定できます。それはまた、基地局の現在位置、フライト専用路およびホバリングエリアを設定することもできます。)

「[0162] Service Order Definition--Using the control system the operator inputs each of the parameters for a service order. If the base station has an optional weather station, weather related restrictions can also be specified as part of the service order. Once a service order is defined it can be executed.」
([0162] サービス指示定義-制御システムを使用して、オペレーターはサービス指示の各パラメーターを入力します。基地局がオプションで気象ステーションを有する場合、気象関連の制限もサービス指示の一部として指定することができます。サービス指示が設定されたら、それを処理することができます。)

「[0163] Service Order Execution&--When the operator executes a service order, the control system loads the service order instructions over the communication network. Based upon these instructions the aerial farm robot takes off from its parking rack and flies to the hovering area. It then changes batteries, if required, at the battery recharge station and then fills its reservoir with solid or liquid inputs at the refill station, and subsequently flies to the field where it will execute its allocated task. At the end of the task, either because the inputs in its reservoir are used up or the aerial farm robot reaches the end of its allocated band section, the aerial farm robot flies back to the base station hovering area to load a new task or to land in its parking rack.」
([0163] サービス指示処理-オペレーターがサービス指示を実行すると、制御システムは通信ネットワークを介してサービス指示をロードします。これらの指示に基づいて、空中農場ロボットはそのパーキングラックから離陸し、ホバリングエリアに飛びます。その後、必要に応じて、バッテリー再充電ステーションでバッテリーを交換してから、補充ステーションで固体または液体の散布物で貯水槽を満たし、その後、割り当てられたタスクを実行する圃場に飛びます。その貯水槽内の散布物が使い果たされたか、または空中農場ロボットがその割り当てられた帯域部分の終点に達したために、タスクが終了したときは、空中農場ロボットは新しいタスクをロードするために基地局のホバリング領域に飛び、又はそのパーキングラックに着陸します。)

「[0169] As shown in FIG.26, the backend includes the following semi-independent modules:」
([0169] 図26に示すように、最終段階では以下の半ば独立状態のモジュールを含みます。)

「[0170] Operator control module--this is the module where operators conduct their daily tasks, such as placing service orders, controlling aerial farm robots, and performing various administrative tasks.」
([0170] オペレーター制御モジュール-これは、オペレーターが、サービスの指示を出す、空中農場ロボットの制御する、および様々な管理タスクを実行するなど、日常のタスクを処理するモジュールです。)

「[0171] Statistics module--various statistics get collected regarding what tasks were performed when, how fast they were performed, which aerial farm robots were used, how much liquid was used, how many times batteries were recharged, what distance aerial farm robots flew, etc.」
([0171] 統計モジュール-どのタスクがいつ実行されたか、どのくらいの速度で実行されたか、どの空中農場ロボットが用いられたか、どの位の液体が使用されたか、バッテリーの充電回数、空中農場ロボットはどの位の距離を飛行したかなどに関して様々な統計情報が収集されます。)

「[0172] Scheduling module--responsible for splitting fields into segments and scheduling coverage of each segment by aerial farm robots.」
([0172] スケジューリングモジュール-圃場を区分に分割し、空中農場ロボットによる各区分の適用範囲を予定することに責任を負います。)

「[0173] Device control module--responsible for communication with aerial farm robots, and collecting and storing telemetry data」
([0173] 機器制御モジュール-空中農場ロボットとの通信、遠隔測定データの収集と保存に責任を負います。)

「[0174] Mapping module--responsible for defining fields, patches, locations of obstacles and infrastructure elements. We can also allow for enriching cartographical information using aerial farm robots equipped with video or photo cameras and additional sensors. It will be possible to add new layers to the farm map: infrared view, insect distribution, humidity, etc.」
([0174] マッピングモジュール-圃場、小区画の土地、障害物および基本的設備の要素の位置をはっきりさせる責任を負います。ビデオカメラや写真カメラ、その他のセンサーを装備した空中農場ロボットを使用して絵入りの地図作成情報を質の高いものにすることもできます。農場地図に赤外線ビュー、昆虫の分布、湿度などの新しい層を追加することが可能になります。)

「[0175] A service order is a complete description of a task to be performed on a farm. See an example below:」
([0175] サービスの指示は、ファームで実行されるタスクの完全な説明です。下記の例をご覧ください。)

「[0176] The operator front-end allows an operator to create and to control service orders. The operator can create or edit a service order, and send it for execution. As can be seen in the sample service order in FIG.27, the operator can schedule an order to start at a certain time, or can explicitly start its execution, pause it or cancel it.」
([0176] オペレーターフロントエンドにより、オペレーターはサービス指示を作成および管理することができます。オペレーターはサービス指示を作成または編集し、実行のために送信することができます。図27のサービス指示の例に見られるように、オペレーターは特定の時間に開始する指示を予約することができ、あるいは明示的にその実行を開始すること、それを一時停止すること、またはそれをキャンセルすることができます。)

「[0177] As can be seen in the web page shown in FIG.28, the operator can see a list of all orders, search for other orders, or review current, past or pending orders.」
([0177] 図28に示されるウェブページに見られるように、オペレーターは全指示の一覧を見ること、他の指示を検索すること、または現在、過去或いは係属中の他の指示を検討することができます。)

「[0178] Operators should also be able to interactively choose service orders to be executed, or to stop/pause/resume a service order at any moment.」
([0178] オペレーターはまた、サービス指示が実行されるべきかをインタラクティブに選択すること、またはいつでもサービス指示を停止/一時停止/再開することができなければなりません。)

「[0179] Operators can see up-to-date information on the fleet of aerial farm robots, including each of their location, status, and the like, as shown in the sample web page of FIG.29.」
([0179] オペレーターは、図29のウェブページの例に示すように、空中農場ロボット群それぞれの位置、状態などの最新の情報を見ることができます。)

「[0180] As shown on FIG.30, an operator can conveniently see the current situation of each service order on the farm's map.」
([0180] 図30に示すように、オペレーターは農場の地図上で各サービス指示の現在の状況を適宜見ることができます。)

「[0181] As shown on FIG.31, an operator can drill down to any particular field or block.」
([0181] 図31に示すように、オペレーターはいずれか特定の圃場またはブロックに掘り下げることができます。)

「[0184] The control system uses a farm map with delineated fields, roads, buildings, etc. Each field corresponds to a physical continuous plot of arable land. Each field can be divided into physical or virtual blocks: for example, blocks (areas) within a field planted with different crops, blocks (areas) that are defined as border areas within the field, or blocks (areas) that need an extra one-time application. Fields and blocks are used as application units. The system operator can interactively edit the map to define field borders, blocks, buildings, or any other obstacles on the map. As the base of this component we use the Google Maps engine, but any other advanced GIS system can also be used.」
([0184] 制御システムは、圃場、道路、建物などが描出された農場地図を使用します。各圃場は耕地の自然の連続区画に対応しています。各圃場は自然的または仮想的なブロックに分けることができます。たとえば、異なる作物が植えられた圃場内のブロック(領域)、圃場内の境界領域として設定されたブロック(領域)、余分なアプリケーションが必要なブロック(領域)。圃場とブロックはアプリケーション単位として使用されます。システムオペレーターは、インタラクティブに地図を編集して、圃場境界、ブロック、建物、またはマップ上のその他の障害物を設定できます。この構成のベースとしてグーグルマップエンジンを使用していますが、他の高度なGISシステムも使用できます。)

「[0186] When the control system starts executing a service order, it has to split a field or block into bands in the case of spraying and fertilizing, or into crop rows in the case of planting, and allocate aerial farm robots to those bands or rows. Since allocation algorithms are the same regardless of what type of operation is executed, we will describe the algorithms in terms of bands.」
([0186] 制御システムがサービス指示の実行を開始すると、圃場またはブロックを、散布および施肥の場合は帯域に、または植え付けの場合は農作物の列に分割し、空中農場ロボットをそれらの帯域または列に割り当てる必要があります。割り振りアルゴリズムはどのタイプの操作が実行されるかにかかわらず同じであるため、アルゴリズムを帯域の場合で説明します。)

「[0187] Also, there is no difference between field and block in regards to service order scheduling. We will use the term "block" to avoid ambiguity.」
([0187] また、サービス指示スケジューリングに関して圃場とブロックの間に違いはありません。あいまいさを避けるために、「ブロック」という用語を使用します。)

「[0191] The scheduling module of the control system deals with splitting fields into aerial farm robot missions and assigning the missions to appropriate aerial farm robots. It also deals with optimizing the missions so that total service order execution time is as short as possible, keeping in mind safety concerns. We consider two allocation strategies.」
([0191] 制御システムのスケジューリングモジュールは、圃場を空中農場ロボットごとの任務に分割し、任務を適切な空中農場ロボットに割り当てることを扱います。また、安全上の懸念を念頭に置いて、サービス指示の合計実行時間ができるだけ短くなるように最適化することも扱います。我々は、2つの割り当て方策を検討します。)

「[0210] In summary, our invention might include methods of farming where one or more autonomous flying robots are used to carry out farming tasks. That might include the operations of assigning one or more aerial farm robots to carry out farming tasks such as crop dusting, planting, fertilizing and the like on or for one or more plants, using the robots to deliver materials such as pesticides, seeds, fertilizer, and the like to the field or plants being farmed, directing the robots to plants or positions within a field, using the robots to perform the farming tasks, providing power to the robots, and having the robots return to a home base for more assignments, more materials and more power as needed.」
([0210] 要約すると、本発明は、1つまたは複数の自律飛行ロボットが農作業を実行するために使用される農業方法を含み得ます。これには、1つまたは複数の植物に対するクロップ・ダスティング、植え付け、肥料散布などの農作業への1つまたは複数の空中農業ロボットの割り当て、圃場や農作物へ農薬、種子、肥料などの資材を配達するためのロボットの使用、ロボットに対する圃場の特定の場所又は植物へ向かわせる指示、ロボットを使用した農作業の実施、ロボットへの電力の供給、ロボットへの必要に応じたさらなるタスクの割り当て、材料と動力の補充のための基地への帰還指示等、が含まれます。)

明細書3?4頁には、以下の図及び表が示されている。





上記TABLE 2について申立人が提出した甲第1号証の訳文を参考にしたTABLE 2訳文を以下に示す。


(2)上記摘記及び図面から、次の事項が認定できる。

ア.上記(1)の[0068]には、「空中農場ロボットは、空中で散布することで、作物に化学肥料を施す」こと、「適切な場所に飛んでいき、そこで肥料を分配するために貯水槽の中央を通るオーガーを回」すことが示されており、[0184]には「作物」が「圃場」に「植えられ」ることが示されているところ、以下のことが認定できる。

「空中農場ロボットは、適切な場所に飛んでいき、空中で散布することで、圃場に植えられた作物に化学肥料を施すこと」

イ.
(ア)上記(1)の[0068]には、「空中農場ロボットには、交換可能な散布用肥料工具セットと充填された貯水槽が備え付けられ」、「空中農場ロボットは肥料を分配するために貯水槽の中央を通るオーガーを回し」、「電気モーターの速度を調節することによって、オーガーによって散布される肥料の量を制御すること」が示されるところ、「散布用肥料工具セットと充填された貯水槽」は、「肥料」を「散布」し、「電気モーターの速度を調節することによって、オーガーによって散布される肥料の量を制御する」ものであるといえる。

(イ)上記(1)の[0095]には「強度パラメーターは、肥料散布機についてはオーガー速度に変換されます」、「散布の場合、主制御装置は工具セット制御装置に事前に定義されたコマンドを送ります」、「例えば、“セット(強度、0.8)”は施肥量を80%に設定します」との事項が示され、上記(1)の[0060]には、「施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度」との事項が示されるところ、上記(ア)を踏まえると、以下の事項が認定できる。

「空中農場ロボットには、交換可能な散布用肥料工具セットと充填された貯水槽が備え付けられ、空中農場ロボットは肥料を分配するために貯水槽の中央を通るオーガーを回し、散布用肥料工具セットと充填された貯水槽は、肥料を散布し、主制御装置が施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度を含むコマンドを工具セット制御装置に送り、施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度はオーガー速度に変換され、電気モーターの速度を調節することによって、オーガーによって散布される肥料の量を制御すること。」

ウ.上記(1)の[0048]から、次のことが認定できる。
「空中農場ロボットは、内蔵の中央演算処理装置(CPU)をジャイロスコープ、加速度計、磁力計(コンパス)、気圧計、ソナー、オプティカルフロー、エネルギー消費および電圧計、GPSモジュール等の一連のセンサーと組み合わせて使用して」、「これらのセンサーは、モーター入力、高さ、ピッチ、ロール、進行方向、位置、姿勢、高精度の絶対位置および相対位置、障害物検出、距離検出、および速度の制御を提供すること。」

エ.上記(1)の[0046]に「自動農法システムは以下を含みます」との事項が示され、[0047]に「空中農場ロボット」が、[0052]に「基地局」がそれぞれ示され、[0053]には、「基地局」「には下記の表2に示す構成を含み得ます」との事項が示され、表2には、Control System(制御システム)が示されるところ、「空中農場ロボット」について以下の事項が認定できる。

「空中農場ロボットは、制御システムを含む基地局を含むものである自動農法システムに含まれること。」

オ.上記(1)の[0048]には「実行されるべきタスクのための指示は、簡単なインターフェイスを用いて実行されるべきタスクを入力できるインタラクティブ型インターフェイスをオペレーターに提供する制御システムから1つ以上の空中農場ロボットに無線通信ネットワークを介して送られる」ことが示されている。

カ.上記「オ.」の「制御システム」について、上記(1)の[0159]には「制御システムの主なタスク」は、「サービス指示の実行を最適化し制御すること」なる事項が示され、上記(1)の[0159]と[0160]から、「制御システム」は「オペレーターは単純なシェイプエディターを使用して地図上に圃場とブロック(サブフィールド)を設定でき」るとの「機能をサポート」することが示されているといえる。

キ.上記「カ.」の「圃場とブロック」について、上記(1)の[0039]には、「ブロック」が「一様に維持されている圃場の一部」であることが示され、上記(1)の[0184]には、「圃場とブロックはアプリケーション単位として使用され」ることが示され、上記(1)の[0187]には、「サービス指示スケジューリングに関して圃場とブロックの間に違いは」ないことが示されている。

ク.上記(1)の[0162]には「制御システムを使用して、オペレーターはサービス指示の各パラメーターを入力」することが示され、上記(1)の[0163]には「オペレーターがサービス指示を実行すると、制御システムは通信ネットワークを介してサービス指示をロードし」、「これらの指示に基づいて」、「空中農場ロボット」は「割り当てられたタスクを実行する圃場に飛び」、との事項が示されている。

ケ.上記(1)の[0034]には「サービス指示」は、「特定の圃場またはサブフィールドで実行される農業作業の詳細な説明」であって、「日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはサブフィールドの位置、作業の種類、および農薬の種類やその大量散布量などの特定のパラメーターが含まれ」ることが示されている。

コ.上記(1)の[0186]には、「制御システムがサービス指示の実行を開始すると、圃場またはブロックを、散布および施肥の場合は帯域に」「分割し、空中農場ロボットをそれらの帯域」「に割り当てる」ことが示され、上記(1)の[0191]には、「制御システムのスケジューリングモジュールは、圃場を空中農場ロボットごとの任務に分割し、任務を適切な空中農場ロボットに割り当てることを扱」うことが示されている。


(3)上記(1)及び(2)から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。


「空中農場ロボットは、適切な場所に飛んでいき、空中で散布することで、圃場に植えられた作物に化学肥料を施すものであって、

空中農場ロボットには、交換可能な散布用肥料工具セットと充填された貯水槽が備え付けられ、空中農場ロボットは肥料を分配するために貯水槽の中央を通るオーガーを回し、散布用肥料工具セットと充填された貯水槽は、肥料を散布し、主制御装置が施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度を含むコマンドを工具セット制御装置に送り、施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度はオーガー速度に変換され、電気モーターの速度を調節することによって、オーガーによって散布される肥料の量を制御するものであり、

空中農場ロボットは、内蔵の中央演算処理装置(CPU)をジャイロスコープ、加速度計、磁力計(コンパス)、気圧計、ソナー、オプティカルフロー、エネルギー消費および電圧計、GPSモジュール等の一連のセンサーと組み合わせて使用して、これらのセンサーは、モーター入力、高さ、ピッチ、ロール、進行方向、位置、姿勢、高精度の絶対位置および相対位置、障害物検出、距離検出、および速度の制御を提供し、

空中農場ロボットは、
制御システムを含む基地局を含むものである自動農法システムに含まれ、
実行されるべきタスクのための指示を制御システムから無線通信ネットワークを介して送られるものであり、

制御システムは、オペレーターが地図上に圃場とブロック(サブフィールド)を設定できるとの機能をサポートし、ブロック(サブフィールド)は一様に維持されている圃場の一部であり、圃場とブロック(サブフィールド)はアプリケーション単位として使用され、

制御システムを使用して、オペレーターはサービス指示の各パラメーターを入力し、オペレーターがサービス指示を実行すると、制御システムは通信ネットワークを介してサービス指示をロードし、これらの指示に基づいて、空中農場ロボットは割り当てられたタスクを実行する圃場に飛ぶものであり、

サービス指示は、特定の圃場またはブロック(サブフィールド)で実行される農業作業の詳細な説明であって、日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはブロック(サブフィールド)の位置、作業の種類、および農薬の種類やその散布量率などの特定のパラメーターが含まれるものであり、

制御システムがサービス指示の実行を開始すると、圃場またはブロック(サブフィールド)を、散布および施肥の場合は帯域に分割し、空中農場ロボットをそれらの帯域に割り当て、
制御システムのスケジューリングモジュールは、圃場を空中農場ロボットごとの任務に分割し、任務を適切な空中農場ロボットに割り当てることを扱い、
サービス指示スケジューリングに関して圃場とブロック(サブフィールド)の間に違いはないものである、

空中農場ロボット。」


2.甲第2号証の記載事項等

(1)甲第2号証には図面とともに以下の事項が記載されている。

(実用新案登録請求の範囲)
「【請求項1】ヘリコプターに搭載されて粒材などの空中散布に使用される散布装置であって、散布すべき粒材などを収用するホッパー・タンクと、外部制御信号に従い当該ホッパー・タンクからの吐出量を調節する吐出量調節手段と、当該吐出量調節手段からの粒材などを複数の回転羽根により横方向に幅広く飛ばす拡散手段と、外部制御信号に従い当該複数の回転羽根を回転駆動するモータとからなり、当該複数の回転羽根の回転数が調節自在であり、これにより散布範囲が調節自在であることを特徴とする散布装置。」

(3欄5?7行)
「そこで本考案は、散布目的地域の地形や散布しようとする農薬などの粒剤の形状などに応じた適切な散布を行える散布装置を提示することを目的とする。」

(3欄30?36行)
「第1A図において、10は散布しようとする粒剤を詰め込むホッパー・タンクであり、その底面には、吐出口の面積を制御することにより時間当たりの吐出量を制御する絞り装置12と、吐出口の開放・閉成を制御するシャッタ装置14を設けてある。13は絞り装置12の絞り開口面積を調節する調節レバー、15はシャッタ装置14を駆動するシャッタ・モータである。」

(3欄46?50行)
「第2図は第1A図に示した散布容器をヘリコプターの側面に固定した状態の側面図を示す、第3図はその正面図を示す。28,29が、第1A図に図示した散布容器である。
第1B図は、第2図に示す2つの散布容器28,29を制御する電気系を示している。」

(4欄12?23行)
「60はインペラ・モータ40,42の始動及び停止を制御する始動スイッチ、61は散布スタート・ストップ・スイッチ、62は散布スタート・ストップ・スイッチ61により始動し、シャッタ・モータ44,46によりシャッタ装置(第1A図の装置14)の開閉を制御するシャッタ制御回路である。また、64は単位時間当たりの吐出量を設定する。吐出量設定ダイヤルであり、シャッタ制御回路62は当該吐出量設定ダイヤル64の出力に応じてシャッタ装置14の開口面積を制御する。
なお、吐出量の制御のためには、絞り装置12の開口面積や開口位置などを制御してもよいし、また、シャッタ装置14の制御と併用してもよい。」

(4欄28?30行)
「第4図は散布幅及びヘクタール当たりの散布量をパラメータとした、飛行速度に対する吐出量の特性曲線を示す。」

(5欄14?23行)
「ここで決定及び調節される散布量は基本量であり、例えば、1ヘクタール当たり30kgを散布する場合、第4図に示すように、散布幅が27m、飛行速度が時速40マイルのとき、86.4kg/分となる。
これに対し、1ヘクタール当たりの散布量を同じに保ちつつ、散布幅を変更したい場合(但し、単位時間当たりの吐出量は一定)には、第4図から目的の散布幅に対する飛行速度を知り、操縦士は、その飛行速度でヘリコプターを飛行させると共に、散布幅調節ダイヤル52を目的の散布幅に設定する。」

(5欄34行?6欄4行)
「他方、同じ飛行速度のままで散布幅を変更したい場合には、散布幅調節ダイヤル52によりインペラ18の回転数を調節する。但し、第4図から分かるように、ヘクタール当たりの散布量及び飛行速度を同じにして、散布幅を変更する場合には、時間当たりの吐出量も変更しなければならない。例あば、飛行速度が時速40マイル、ヘクタール当たり30kgの散布量で、散布幅が27mの場合には、吐出量は86.4kg/分であるが、同じ飛行速度で散布幅を20mに狭める場合には、第4図から、吐出量65kg/分に少なくする必要がある。従ってこの場合には、吐出量設定ダイヤル64をこの吐出量に設定する。シャッタ制御回路62は吐出量設定ダイヤル64で設定された吐出量になるように、シャッタ装置14の開口面積を変更する。」

(6欄5?10行)
「上記実施例では、第4図を参照して飛行速度、散布幅、吐出量などを決定しているが、第4図の関係は数学的に求めることができるので、マイクロコンピュータやパーソナル・コンピュータなどの演算回路を使って、目的の数値を入力するだけで相応する制御量を得られるようにすることもできる。」

(6欄20?23行)
「例えば、粒剤としての種籾を用いる場合には、非常に広い面積の田圃に直播きをすることになり、米作作業の負担軽減につながり、農業規模の拡大、農作業コストの低減に大きく寄与できる。」

以下の図が示されている。



(2)上記(1)の記載から、以下の事項が認定できる。

ア.上記(1)の実用新案登録請求の範囲の「ヘリコプターに搭載されて粒材などの空中散布に使用される散布装置」に関し、
3欄30?36行の「第1A図において、10は散布しようとする粒剤を詰め込むホッパー・タンクであり、その底面には、吐出口の面積を制御することにより時間当たりの吐出量を制御する絞り装置12と、吐出口の開放・閉成を制御するシャッタ装置14を設けてある。13は絞り装置12の絞り開口面積を調節する調節レバー、15はシャッタ装置14を駆動するシャッタ・モータである。」との記載、
3欄46?50行の「第2図は第1A図に示した散布容器をヘリコプターの側面に固定した状態の側面図を示す、・・・28,29が、第1A図に図示した散布容器である。第1B図は、第2図に示す2つの散布容器28,29を制御する電気系を示している。」との記載、及び、
4欄12?23行の「・・・62は散布スタート・ストップ・スイッチ61により始動し、シャッタ・モータ44,46によりシャッタ装置(第1A図の装置14)の開閉を制御するシャッタ制御回路である。また、64は単位時間当たりの吐出量を設定する。吐出量設定ダイヤルであり、シャッタ制御回路62は当該吐出量設定ダイヤル64の出力に応じてシャッタ装置14の開口面積を制御する。なお、吐出量の制御のためには、絞り装置12の開口面積や開口位置などを制御してもよいし、また、シャッタ装置14の制御と併用してもよい。」との記載から、次の事項が認定できる。

「散布装置は、ヘリコプターの側面に固定され、散布容器と散布容器を制御する電気系を含むものであって、
散布容器はホッパー・タンク10を含み、
ホッパー・タンク10の底面には吐出口の面積を制御することにより時間当たりの吐出量を制御する絞り装置12と、吐出口の開放・閉成を制御するシャッタ装置14を設けてあり、
散布容器はさらに、絞り装置の絞り開口面積を調節する調節レバー13とシャッタ装置14を駆動するシャッタ・モータ15を有し、
散布容器を制御する電気系は、散布スタート・ストップ・スイッチ61により始動し、シャッタ・モータ44,46によりシャッタ装置14の開閉を制御するシャッタ制御回路62を含み、シャッタ制御回路62は吐出量設定ダイヤル64の出力に応じてシャッタ装置14の開口面積を制御し、
吐出量の制御のために、絞り装置12の開口面積や開口位置などを制御し、シャッタ装置14の制御を併用すること。」

イ.上記(1)の6欄20?23行における「粒剤としての種籾を用いる場合には、非常に広い面積の田圃に直播きをすることになり」との記載から、上記(1)の実用新案登録請求の範囲の「粒材」は「田圃」へと空中散布されることが認定できる。

ウ.上記(1)の第4図には、「吐出量」、「散布幅」、「散布量」及び「速度」の関係が示されており、明細書6欄5?10行の「マイクロコンピュータやパーソナル・コンピュータなどの演算回路を使って、目的の数値を入力するだけで相応する制御量を得られるようにする」との記載から、以下の事項が認定できる。

「演算回路を使って、吐出量、散布幅、散布量及び速度のうち目的の数値を入力するだけで相応する制御量を得られるようにすること。」

(3)上記(1)及び(2)から、甲第2号証には、以下の事項(以下「甲2事項」という。)が記載されていると認められる。

「ヘリコプターに搭載されて田圃への粒材などの空中散布に使用される散布装置は、ヘリコプターの側面に固定され、散布容器と散布容器を制御する電気系を含むものであって、
散布容器はホッパー・タンク10を含み、
ホッパー・タンク10の底面には吐出口の面積を制御することにより時間当たりの吐出量を制御する絞り装置12と、吐出口の開放・閉成を制御するシャッタ装置14を設けてあり、
散布容器はさらに、絞り装置の絞り開口面積を調節する調節レバー13とシャッタ装置14を駆動するシャッタ・モータ15を有し、
散布容器を制御する電気系は、散布スタート・ストップ・スイッチ61により始動し、シャッタ・モータ44,46によりシャッタ装置14の開閉を制御するシャッタ制御回路62を含み、シャッタ制御回路62は吐出量設定ダイヤル64の出力に応じてシャッタ装置14の開口面積を制御し、
吐出量の制御のために、絞り装置12の開口面積や開口位置などを制御し、シャッタ装置14の制御を併用し、
演算回路を使って、吐出量、散布幅、散布量及び速度のうち目的の数値を入力するだけで相応する制御量を得られるようにすること。」


3.甲第3号証の記載事項等

甲第3号証には図面とともに以下の事項が記載されている。

「【請求項1】 無人ヘリコプタに搭載される空中散布装置であって、
上記無人ヘリコプタの速度を検出する速度センサと、
散布剤を吐出するポンプと、
そのポンプから吐出される散布剤の流量を検出する流量センサと、
上記ポンプを駆動制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は動作ONとされると、上記速度センサより得られる速度が所定値以上か否かを判断し、その速度が所定値以上の場合に、上記ポンプを駆動し、かつ上記流量センサより得られる流量がその速度に比例した量となるように制御することを特徴とする空中散布装置。」

「【0005】この発明の目的はこれら従来の問題点に鑑み、ヘリコプタ操縦者一人でも安全に散布作業を行うことができ、かつ操縦者の腕によって散布品質が左右されず、散布ムラが生じにくい空中散布装置を提供することにある。
・・・
【0010】CPU22はこれら速度信号及び流量信号に基づいて、ポンプ12を駆動するモータ15の回転を制御すべく、制御信号をモータ15に送出する。モータ15の回転数は回転センサ24によって検出され、CPU22にフィードバックされている。CPU22には例えばマイクロコンピュータが用いられる。CPU22によるモータ15の回転制御は下記のようにして行われる。即ち、CPU22はスイッチ16により動作ONとされると、速度信号の速度が所定値以上か否かを判断し、その速度が所定値以上の場合にはバルブ13を開とし、かつモータ15を回転させてポンプ12を駆動し、流量信号の流量が速度に比例した量となるようにモータ15を制御する。CPU22によるモータ15及びバルブ13の制御状態をまとめると次のようになる。
(1)スイッチ16がOFFの時
・無条件で、モータ15:停止、バルブ13:閉。
(2)スイッチ16がONで、速度が所定値に満たない時
・モータ15:停止、バルブ13:閉。
【0011】・これはホバリング地点の散布量が多くなってしまうため、ヘリコプタがホバリング時には散布しないようにする処置である。
(3)タンク11がカラの場合
・モータ15:停止、バルブ13:閉。
・モータ15を回転させ、回転センサ24から正常な回転数がフィードバックされているにもかかわらず、流量信号の流量がゼロの場合、タンク11がカラと判断する。
(4)スイッチ16がONで、速度が所定値以上の場合
・モータ15:回転、バルブ13:開。」

以上の記載によれば、次の事項(以下「甲3事項」という。)が記載されていると認められる。
「無人ヘリコプタに搭載される空中散布装置であって、ポンプを駆動制御する制御手段は動作ONとされると、無人ヘリコプタの速度を検出する速度センサより得られる速度が所定値以上か否かを判断し、その速度が所定値以上の場合に、散布剤を吐出するポンプを駆動し、かつポンプから吐出される散布剤の流量を検出する流量センサより得られる流量がその速度に比例した量となるように制御するものであり、
CPUは、ポンプを駆動するモータの回転を制御すべく、制御信号をモータに送出するものであって、CPUは、その速度が所定値以上の場合にはバルブを開とし、かつモータを回転させてポンプを駆動し、流量信号の流量が速度に比例した量となるようにモータを制御すること。」


4.甲第4号証の記載事項等

甲第4号証には図面とともに以下の事項が記載されている。

「【請求項2】 ヘリコプタに搭載されて散布液を散布する薬剤散布装置において、
上記ヘリコプタの速度を検出する速度センサと、
散布液を収容する薬剤タンクと、
該薬剤タンクからの散布液を吐出するポンプと、
該ポンプから吐出される散布液の圧力を調整する圧力調整手段と、
散布液を散布する第1及び第2のノズルと、
上記圧力調整手段で圧力調整された散布液を上記第1のノズル及び開閉バルブを介して第2のノズルに分配する分配手段と、
上記ポンプ及び開閉バルブを制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記速度センサにより検出される速度が第1設定値以上か否か及び該第1設定値より大きな速度である第2設定値以上か否かを判断し、該速度が上記第1設定値未満である場合に上記ポンプを停止すると共に上記開閉バルブを閉じ、上記速度が第1設定値以上でかつ第2設定値未満の場合に上記ポンプを駆動しかつ上記開閉バルブを閉じ、上記速度が第2設定値以上の場合上記ポンプを駆動すると共に上記バルブを開くことを特徴とする薬剤散布装置。」

「【0017】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、簡単な構成で重量及び製造コストが抑制され、かつ均一な散布が効率的に行える薬剤散布装置を提供することにある
・・・
【0022】請求項2の発明によると、薬剤タンクからの散布液を単一のポンプによって吐出して圧力調整手段によって圧力調整し、かつヘリコプタの速度に応じてポンプ及び開閉バルブを制御してポンプの停止、第1のノズルからのみの散布、第1及び第2のノズルから散布に切り換えるように構成することから、構造が簡単で重量及び製造コストが抑制され、かつ各ノズルへの供給圧力が常に確保されて十分な散布液の霧化ができる。
・・・
【0044】
【発明の効果】以上説明した本発明の薬剤散布装置によると、薬剤タンクからの散布液を単一のポンプによって圧送して圧力調整手段によって圧力調整し、分配手段によって第1のノズル及び開閉バルブを介して第2のノズルに分配すると共に、ヘリコプタの速度が設定値以上の場合に開閉バルブを開くように構成することから、構成の簡素化が得られ、重量及び製造コストが抑制され、かつ各ノズルへの供給圧力が常に確保されて十分な散布液の霧化が確保できる。また、設定値以上の散布速度においては第1及び第2ノズルからの散布が行える一方、目標散布速度への加速中及び目標散布速度からホバリング等への減速中には、開閉バルブが閉じられて第1のノズルからの散布のみとなり、散布量が略半量に制限されて当該エリアに対する散布量が過多となることが防止され、均一な散布が得られる。」

以上の記載によれば、甲第4号証には、次の事項(以下「甲4事項」という。)が記載されていると認められる。

「ヘリコプタに搭載されて散布液を散布する薬剤散布装置において、散布液を収容する薬剤タンクからの散布液を吐出するポンプ及び開閉バルブを制御する制御手段は、上記ヘリコプタの速度を検出する速度センサにより検出される速度が第1設定値以上か否か及び該第1設定値より大きな速度である第2設定値以上か否かを判断し、該速度が上記第1設定値未満である場合に上記ポンプを停止すると共に上記開閉バルブを閉じ、上記速度が第1設定値以上でかつ第2設定値未満の場合に上記ポンプを駆動しかつ上記開閉バルブを閉じ、上記速度が第2設定値以上の場合上記ポンプを駆動すると共に上記バルブを開くものであって、
薬剤タンクからの散布液を単一のポンプによって圧送して圧力調整手段によって圧力調整し、分配手段によって第1のノズル及び開閉バルブを介して第2のノズルに分配し、
設定値以上の散布速度においては第1及び第2ノズルからの散布が行える一方、目標散布速度への加速中及び目標散布速度からホバリング等への減速中には、開閉バルブが閉じられて第1のノズルからの散布のみとなり、散布量が略半量に制限されて当該エリアに対する散布量が過多となることが防止され、均一な散布が得られること。」


5.甲第5号証の記載事項

甲第5号証には以下の事項が記載されている。
「【0001】
この発明は、無人ヘリコプターにて農薬などの散布物を散布する際に用いる散布支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無人ヘリコプターを用いた農薬散布等が行われている。無人ヘリコプターによる散布は、斜面やいびつな形の圃場など、散布対象地の地形による影響を受けずに散布を行うことができるという利点がある。たとえば、特許文献1にあるよう散布機構の付いた無人ヘリコプターを遠隔操縦して、圃場に農薬を散布する。」

「【0018】
「散布領域入力手段」は、実施形態においては、ステップS4がこれに対応する。
【0019】
「区分領域入力手段」は、実施形態においては、ステップS3がこれに対応する。
【0020】
「飛行計画決定手段」は、実施形態においては、ステップS6がこれに対応する。
【0021】
「指令生成手段」は、実施形態においては、ステップS15がこれに対応する。
【0022】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施形態による支援装置の機能ブロック図である。
【図2】支援装置のハードウエア構成である。
【図3】支援プログラム34のフローチャートである。
【図4】支援プログラム34のフローチャートである。
【図5】表示された地図の例である。
【図6】散布領域40を指定した例である。
【図7】区分領域42を指定した例である。
【図8】目標飛行経路44の入力状況を示す図である。
【図9】入力された目標飛行経路を示す図である。
【図10】無人ヘリコプター100の高さhと散布領域102との関係を示す図である。
【図11】表示された飛行計画を示す図である。
【図12】飛行計画の他の表示例である。
【図13】飛行計画の他の表示例である。
【図14】他の実施形態による制御装置74の機能ブロック図である。
【図15】制御装置74のハードウエア構成である。
【図16】制御プログラム96のフローチャートである。
【図17】ナビゲーション画面の例である。
【図18】散布状況を示す画面の例である。
【図19】他の実施形態による表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.第一の実施形態
1.1機能ブロック図
図1に、この発明の一実施形態による散布支援装置の機能ブロック図を示す。地図表示手段2は、表示部4に地図を表示する。散布領域入力手段6は、表示部4を参照した操作者からの操作を受けて、散布領域を入力する。区分領域入力手段8は、表示部を参照した操作者からの操作を受けて、散布領域内の目標散布濃度が異なる2以上の区分領域を入力する。目標飛行経路取得手段10は、操作者の操作を受けて、無人ヘリコプターの目標飛行経路を入力する。飛行計画決定手段12は、目標飛行経路および区分領域における目標散布濃度を参照し、無人ヘリコプターの目標飛行経路における目標散布濃度に基づいて、当該区分領域における前記無人ヘリコプターの高度または速度を含む目標飛行特性を決定する。
【0025】
1.2ハードウエア構成
図2に、散布支援装置のハードウエア構成を示す。CPU20には、メモリ22、ディスプレイ24、ハードディスク26、DVD-ROMドライブ28、マウス/キーボード30が接続されている。ハードディスク26には、WINDOWS(商標)などのオペレーティングシステム(OS)32、支援プログラム34、地図データ38が記録されている。支援プログラム34は、オペレーティングシステム32と協働して、その機能を発揮するものである。オペレーティングシステム32、支援プログラム34ともに、DVD-ROM36に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ28を介して、ハードディスク26にインストールしたものである。
【0026】
1.3散布支援プログラム
図3、図4に、ハードディスク26に記録された支援プログラム34のフローチャートを示す。まず、CPU20は、ハードディスク26に記録された地図データのうち、操作者の指定する地図をディスプレイ24に表示する(ステップS1)。たとえば、図5に示すように、圃場の地図が表示される。
【0027】
操作者は、この地図を参照しながら、マウス/キーボード30を操作して、農薬を散布したい領域(散布領域)を入力する。これを受けて、CPU20は、散布領域の位置をメモリ22記録し、ディスプレイ24に表示する。たとえば、図6に示すように、台形状の領域40を散布領域として指定したものとする。
【0028】
次に、操作者は、害虫が発生している箇所、雑草が多く生えている場所など、農薬を多く散布したい区分領域(あるいは農薬を少なく散布したい領域)を、マウス/キーボード30を操作して入力する。たとえば、図7に示すように、区分領域42が入力されると、CPU20は、濃度設定ダイアログボックスを表示する。操作者は、スライダ46を操作して、所望の濃度を選択する。CPU20は、濃度指定および区分領域の入力を受けると、これをメモリ22に記録し、ディスプレイに表示する(ステップS3)。
【0029】
次に、操作者は、マウス/キーボード30を操作して、マウスカーソルの軌跡により目標飛行経路を入力する。この時、CPU20は、図8に示すように、無人ヘリコプターを基準となる高度で飛行させた場合の農薬の散布範囲を示す幅Wをもって、マウスカーソル46の軌跡を表示する。したがって、目標飛行経路44を設定する際に、散布漏れの領域が無いように確認することができる。CPU20は、入力された目標飛行経路44を、メモリ22に記録し、ディスプレイ24に表示する(ステップS4)。図9に、設定された目標飛行経路44を示す。
【0030】
次に、CPU20は、目標飛行経路44のうち、区分領域42を通過する部分の無人ヘリコプターの高度を算出する(ステップS5)。図10に、無人ヘリコプター100からの、農薬の散布状況を模式的に示す。無人ヘリコプター100の高さをh、散布角度をα、散布範囲102の半径をrとする。散布幅は、半径rの2倍(つまり2r)となる。したがって、高さhが2倍になると、散布幅も2倍となる。
【0031】
散布範囲102の面積はπr2で示される。なお、半径rは、h・tanαとして決定されるので、高さhが2倍になると、散布面積は4倍となり、散布濃度は1/4となる。
【0032】
たとえば、区分領域42の散布濃度を2.25倍にしたいのであれば、無人ヘリコプター100の高度hは、1/1.5倍にすることになる。CPU20は、以上のようにして、区分領域42における高度を算出する。
【0033】
CPU20は、入力された目標飛行経路、算出した高度、表示高度に基づいて、飛行計画を決定する(ステップS6)。続いて、CPU20は、決定した飛行計画をディスプレイ24に表示する(ステップS7)。」

「【0041】
(4)上記実施形態では、高度を調整することによって、散布濃度を変更するようにしている。実際に無人ヘリコプター100を飛ばす場合には、高度の調整は比較的簡単であり、シミュレーションのとおりに操作しやすいという利点がある。しかし、高度を変化させると上記のように散布範囲も変化することとなり、甚だしい場合には、目標飛行経路の修正
が必要となる。そこで、他の実施形態としては、高度は一定に保ち、速度を調整して散布濃度を変更するようにして飛行計画を作成するようにしてもよい。つまり、散布濃度の高い区画では遅く、散布濃度の低い区画では早く飛行させる。」

「【0044】
2.第二の実施形態等
2.1機能ブロック図
図14に、第二の実施形態による散布システムの機能ブロック図を示す。この散布システムは、制御装置74と無人ヘリコプター100を備えている。記録部60には、飛行計画62が記録されている。位置取得部66は、飛行している無人ヘリコプター100の現在位置(緯度経度および高度を含む)を取得する。指令生成手段64は、飛行計画62に示されている目標飛行経路・目標高度と、現在位置・高度とを比較し、現在位置・高度が目標飛行経路・目標高度に合致するように、無人ヘリコプター100の操縦指令を生成する。送信部68は、この指令を無人ヘリコプター100に送信する。
【0045】
無人ヘリコプター100には、回転面を傾けることの可能な回転翼72が備えられている。無人ヘリコプター100の飛行制御部70は、受信した指令に基づいて回転翼の回転角・回転数を制御する。このようにして、制御装置74に記録された飛行計画62にしたがって、無人ヘリコプター100を飛行させることができる。
【0046】
2.2ハードウエア構成
図15に、制御装置74のハードウエア構成を示す。CPU80には、メモリ82、ディスプレイ84、ハードディスク86、DVD-ROMドライブ88、マウス/キーボード90、通信部92が接続されている。ハードディスク86には、WINDOWS(商標)などのオペレーティングシステム(OS)94、制御プログラム96、飛行計画120が記録されている。制御プログラム96は、オペレーティングシステム94と協働して、その機能を発揮するものである。オペレーティングシステム94、制御プログラム96ともに、DVD-ROM98に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ88を介して、ハードディスク86にインストールしたものである。
【0047】
通信部92は、無人ヘリコプター100に対して操縦指令を送信するためのものである。無人ヘリコプター100としては、たとえば、特開2009-269493等に記載のものを用いることができる。なお、この実施形態では、無人ヘリコプター100には、GPS受信機が搭載されており、位置情報が送信されてくるようになっている。通信部92は、このGPS受信機からの位置情報を受信する役割も持っている。なお、この制御装置74は、無人ヘリコプター100を手動にて操作するためのリモコン装置内に設けてもよい。」

以上の記載によれば、甲第5号証には、次の事項が記載されていると認められる。

<甲5事項1>
「無人ヘリコプターにて農薬などの散布物を散布する際に用いる散布支援装置であって、
CPU20は、ハードディスク26に記録された地図データのうち、操作者の指定する地図をディスプレイ24に表示し、
操作者は、この地図を参照しながら、マウス/キーボード30を操作して、農薬を散布したい領域(散布領域)を入力し、
CPU20は、散布領域の位置をメモリ22に記録し、ディスプレイ24に表示し、
操作者は、害虫が発生している箇所、雑草が多く生えている場所など、農薬を多く散布したい区分領域(あるいは農薬を少なく散布したい領域)を、マウス/キーボード30を操作して入力し、
区分領域42が入力されると、CPU20は、濃度設定ダイアログボックスを表示し、
操作者は、スライダ46を操作して、所望の濃度を選択し、
CPU20は、濃度指定および区分領域の入力を受けると、これをメモリ22に記録し、ディスプレイに表示し、
操作者は、マウス/キーボード30を操作して、マウスカーソルの軌跡により目標飛行経路を入力し、
CPU20は、入力された目標飛行経路44を、メモリ22に記録し、ディスプレイ24に表示し、
CPU20は、目標飛行経路44のうち、区分領域42を通過する部分の無人ヘリコプターの高度を算出し、
CPU20は、高さhが2倍になると、散布濃度は1/4となり、区分領域42の散布濃度を2.25倍にしたいのであれば、無人ヘリコプター100の高度hは、1/1.5倍にするようにして、区分領域42における高度を算出するものであって、
CPU20は、入力された目標飛行経路、算出した高度、表示高度に基づいて、飛行計画を決定すること。」

<甲5事項2>
「高度は一定に保ち、速度を調整して散布濃度を変更するようにして飛行計画を作成し、散布濃度の高い区画では遅く、散布濃度の低い区画では早く飛行させること。」

<甲5事項3>
「散布システムは、制御装置74と無人ヘリコプター100を備え、制御装置74に記録された飛行計画62にしたがって、無人ヘリコプター100を飛行させることができること。」


6.甲第6号証の記載事項等
甲第6号証には図面とともに以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
航空機から地表の目標地点に散布物を散布する際に、当該散布物の投下を行うパイロットに対し支援情報を提供することによって、その散布を効率的に行うための散布支援装置であって、
少なくとも、前記航空機の機体速度、機体高度、及び風速の各情報が入力される入力部、
前記入力部に入力された各情報に基づいて、前記散布物を前記航空機から投下したときの、地表の到達位置と、地表における前記散布物の密度分布とに関する演算を行う演算部、及び、
前記演算部によって演算された前記到達位置及び前記密度分布に係る前記支援情報を表示部に表示させる表示制御部、を備えている航空機の散布支援装置。」

「【0009】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、航空機から地表の目標地点に散布物を散布する際に、その散布を効率的かつ安全に行うことができるように、パイロットを支援することにある。
・・・
【0014】
前記の構成によると、散布支援装置の入力部には、航空機の機体速度、機体高度、及び風速の各情報が少なくとも入力される。ここで風速は、機体の進行方向に相当する機軸成分と、機体の進行方向に直交する方向に相当する横風成分とを含むようにすればよい。これらの情報は、散布物を航空機から投下したときに、その散布物の地表の到達位置と、地表における散布物の密度分布とに関連する投下条件に相当する。」


以上の記載によれば、甲第6号証には、次の事項(以下「甲6事項」という。)が記載されていると認められる。

「航空機から地表の目標地点に散布物を散布する際に、その散布を効率的かつ安全に行うことができるように、パイロットを支援することを目的とした、航空機から地表の目標地点に散布物を散布する際に、当該散布物の投下を行うパイロットに対し支援情報を提供することによって、その散布を効率的に行うための散布支援装置であって、少なくとも、前記航空機の機体速度、機体高度、及び風速の各情報が入力される入力部、前記入力部に入力された各情報に基づいて、前記散布物を前記航空機から投下したときの、地表の到達位置と、地表における前記散布物の密度分布とに関する演算を行う演算部、及び、前記演算部によって演算された前記到達位置及び前記密度分布に係る前記支援情報を表示部に表示させる表示制御部、を備えている航空機の散布支援装置であって、風速は、機体の進行方向に相当する機軸成分と、機体の進行方向に直交する方向に相当する横風成分とを含むこと。」


7.甲第7号証の記載事項等

甲第7号証には図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0006】
本発明の一つの特徴は有効成分を含む流体又は粒状物の殻で覆われた物を空中で標的に送出する方法を提供する。その方法は、任務パラメータ及び前記標的を含む現場の自然データに基づき、必要な有効成分を含む前記殻で覆われた物の種類及びサイズを選択する段階と、前記任務パラメータ及び前記自然データに基づき、前記殻で覆われた物を送出地点に搬送する段階と、前記殻で覆われた物を前記標的に向けて弾道送出する段階と、を含み、前記殻で覆われた物は、前記殻のない同様の物の弾道率より高い弾道率を前記物に与える殻によって覆われた流体又は粒状物を備えている。前記任務パラメータは、必要な種類の有効成分、海水面上の標的の高さ、地上面(AGL)上の標的上方の必要な高さ、空中輸送手段の必要な速度、標的の足跡及び分布、送出地点における空中輸送手段の周りの風速及び風向及び又は標的の周りの風速及び風向等の気象の影響のいずれかを含んでいる。」


以上の記載によれば、甲第7号証には、次の事項(以下「甲7事項」という。)が記載されていると認められる。

「有効成分を含む流体又は粒状物の殻で覆われた物を空中で標的に送出する方法は、任務パラメータ及び前記標的を含む現場の自然データに基づき、必要な有効成分を含む前記殻で覆われた物の種類及びサイズを選択する段階と、前記任務パラメータ及び前記自然データに基づき、前記殻で覆われた物を送出地点に搬送する段階と、前記殻で覆われた物を前記標的に向けて弾道送出する段階と、を含み、前記殻で覆われた物は、前記殻のない同様の物の弾道率より高い弾道率を前記物に与える殻によって覆われた流体又は粒状物を備えており、前記任務パラメータは、必要な種類の有効成分、海水面上の標的の高さ、地上面(AGL)上の標的上方の必要な高さ、空中輸送手段の必要な速度、標的の足跡及び分布、送出地点における空中輸送手段の周りの風速及び風向及び又は標的の周りの風速及び風向等の気象の影響のいずれかを含んでいること。」


8.甲第8号証の記載事項等

甲第8号証には図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0017】また、信号処理器3には、航空機8から得られる飛行速度Vが入力される。この信号処理器3では、入力されるデータ(対地高度Hと飛行速度V)から消火剤の自然落下到達点位置を算出するとともに、赤外線カメラ1の出力を合わせて消火剤の投下指令を作出する。
・・・
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、航空機の飛行速度と対地高度とから消火剤の自然落下到達点位置を算出し、赤外線カメラから得られる火災による赤外線放射位置と算出した落下到達点位置とが一致した場合に、消火剤を投下するように制御しているので、航空機から消火剤を正確に火災発生地点に到達させることができるという効果がある。」

以上の記載によれば、甲第8号証には、次の事項(以下「甲8事項」という。)が記載されていると認められる。

「航空機の飛行速度と対地高度とから消火剤の自然落下到達点位置を算出し、赤外線カメラから得られる火災による赤外線放射位置と算出した落下到達点位置とが一致した場合に、消火剤を投下するように制御しているので、航空機から消火剤を正確に火災発生地点に到達させることができること。」



第5.当審の判断
1.本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。

ア.甲1発明の「肥料」または「化学肥料」は本件発明1の「散布対象物」に相当し、「適切な場所に飛んでいき、空中で散布することで、圃場に植えられた作物に化学肥料を施す」ことは、「飛行しながら圃場に散布対象物を散布する」ことに相当する。

そうすると、甲1発明の「空中農場ロボット」は、「適切な場所に飛んでいき、空中で散布することで、圃場に植えられた作物に化学肥料を施すもの」であるから、本件発明1の「飛行しながら圃場に散布対象物を散布する空中散布装置」に相当する。

イ.
(ア)甲1発明の「施肥量(例えば毎秒5グラム)」または「オーガーによって散布される肥料の量」は本件発明1の「単位時間当たりの散布量」に相当する。

また、甲1発明において「肥料を分配するために貯水槽の中央を通」り「回す」ものである「オーガーによって散布される肥料の量」は、「主制御装置が施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度を含むコマンドを工具セット制御装置に送り、施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度はオーガー速度に変換され、電気モーターの速度を調節することによって」「制御するものであ」るから、「オーガーによって散布される肥料の量」を変更可能といえる。

そして、甲1発明の「交換可能な散布用肥料工具セットと充填された貯水槽」は「肥料を散布」するものであり、「主制御装置が施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度を含むコマンドを工具セット制御装置に送り、施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度はオーガー速度に変換され、電気モーターの速度を調節することによって、オーガーによって散布される肥料の量を制御する」ものである。

そうすると、甲1発明の「交換可能な散布用肥料工具セットと充填された貯水槽」、「肥料を分配するために貯水槽の中央を通るオーガー」、「主制御装置」、「工具セット制御装置」及び「電気モーター」は、「肥料を散布」するとともに、「オーガーによって散布される肥料の量」を変更可能なものといえるから、本件発明1の「散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部」に相当する。

(イ)甲1発明の「オーガーによって散布される肥料の量を制御する」ことは、本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を調整する」ことに相当し、甲1発明の「電気モーター」は、「速度を調節することによって、オーガーによって散布される肥料の量を制御する」ものであるから、本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を調整する調量アクチュエータ」に相当する。

(ウ)上記「イ.(イ)」を踏まえると、甲1発明の「電気モータの速度を調節する」ことは、本件発明1の「前記調量アクチュエータを制御すること」に相当する。

そして、甲1発明の「主制御装置」及び「工具セット制御装置」が、「主制御装置が施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度を含むコマンドを工具セット制御装置に送り、施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度はオーガー速度に変換され、電気モーターの速度を調節する」ものであることと、本件発明1の「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御すること」(本件発明1の「前記散布量制御部」は、「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する」ものである)とは、「制御部」が、「前記調量アクチュエータを制御する」ことの限度で共通する。

ウ.甲1発明の「位置」または「高精度の絶対位置および相対位置」は、本件発明1の「自機の位置」に相当し、甲1発明の「位置」及び「高精度の絶対位置および相対位置」を含む「モーター入力、高さ、ピッチ、ロール、進行方向、位置、姿勢、高精度の絶対位置および相対位置、障害物検出、距離検出、および速度の制御」を提供する「ジャイロスコープ、加速度計、磁力計(コンパス)、気圧計、ソナー、オプティカルフロー、エネルギー消費および電圧計、GPSモジュール等の一連のセンサー」は、本件発明1の「自機の位置を取得する位置情報取得部」に相当する。

エ.
(ア)甲1発明の「ブロック(サブフィールド)」は、「一様に維持されている圃場の一部であり、圃場とブロック(サブフィールド)はアプリケーション単位として使用され」るものであるから、本件発明1の「散布対象の圃場を細分化した単位」に相当する。

(イ)甲1発明の「農薬の種類やその大量散布量などの特定のパラメーター」は、作業に係るパラメーターであることは技術的に明らかであるところ、甲1発明の「特定の圃場またはブロック(サブフィールド)で実行される農業作業の詳細な説明であって、日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはブロック(サブフィールド)の位置、作業の種類、および農薬の種類やその大量散布量などの特定のパラメーターが含まれるものであ」ることと、本件発明1の「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた」こととは、「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに作業に係るパラメーターを定めた」限度で共通する。

(ウ)甲1発明の「サービス指示」は、「特定の圃場またはブロック(サブフィールド)で実行される農業作業の詳細な説明であって、日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはブロック(サブフィールド)の位置、作業の種類、および農薬の種類やその大量散布量などの特定のパラメーターが含まれるものである」から、甲1発明の「サービス指示」と、本件発明1の「必要散布量分布情報」とは、「作業に係る情報」である点で共通する。

そして、上記(ア)及び(イ)を踏まえると、甲1発明の「特定の圃場またはブロック(サブフィールド)で実行される農業作業の詳細な説明であって、日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはブロック(サブフィールド)の位置、作業の種類、および農薬の種類やその大量散布量などの特定のパラメーターが含まれるものである」「サービス指示」と、本件発明1の「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報」とは、「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに作業に係るパラメーターを定めた作業に係る情報」の限度で共通する。

(エ)甲1発明の「空中農場ロボット」は、「制御システムを含む基地局を含むものである自動農法システムに含まれ、実行されるべきタスクのための指示を制御システムから無線通信ネットワークを介して送られるものであり」、「制御システムを使用して、オペレーターはサービス指示の各パラメーターを入力し、オペレーターがサービス指示を実行すると、制御システムは通信ネットワークを介してサービス指示をロードし、これらの指示に基づいて」、「割り当てられたタスクを実行する圃場に飛ぶものであ」るから、「割り当てられたタスクを実行する」際に基づくものである「サービス指示」を入力可能な入力部を備えることは技術的に明らかである。


したがって、本件発明1と甲1発明とは、

「飛行しながら圃場に散布対象物を散布する空中散布装置であって、
散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部と、
散布対象の圃場を細分化した単位ごとに作業に係るパラメーターを定めた作業に係る情報を入力可能な入力部と、
自機の位置を取得する位置情報取得部と、
を備え、
前記散布部は、
前記散布部における単位時間当たりの散布量を調整する調量アクチュエータ、
を備え、
制御部は、前記調量アクチュエータを制御する空中散布装置。」

の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本件発明1は、
散布対象の圃場を細分化した単位ごとに作業に係るパラメーターを定めた作業に係る情報を入力可能な入力部が「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部」であり、制御部が「散布量制御部」であって、
「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部と、を備え」、
「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」のに対して、
甲1発明は、
散布対象の圃場を細分化した単位ごとに作業に係るパラメーターを定めた作業に係る情報を入力可能な入力部が、「特定の圃場またはサブフィールドで実行される農業作業の詳細な説明であって、日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはサブフィールドの位置、作業の種類、および農薬の種類やその散布量率などの特定のパラメーターが含まれるものである」「サービス指示」を入力可能な入力部であり、
「空中農場ロボットは、制御システムを含む基地局を含むものである自動農法システムに含まれ、実行されるべきタスクのための指示を制御システムから無線通信ネットワークを介して送られるものであり、
制御システムを使用して、オペレーターはサービス指示の各パラメーターを入力し、オペレーターがサービス指示を実行すると、制御システムは通信ネットワークを介してサービス指示をロードし、これらの指示に基づいて、空中農場ロボットは割り当てられたタスクを実行する圃場に飛ぶものであり、
制御システムがサービス指示の実行を開始すると、圃場またはブロックを、散布および施肥の場合は帯域に分割し、空中農場ロボットをそれらの帯域に割り当て、
制御システムのスケジューリングモジュールは、圃場を空中農場ロボットごとの任務に分割し、任務を適切な空中農場ロボットに割り当てることを扱い、
サービス指示スケジューリングに関して圃場とブロックの間に違いはないものであり」、
「主制御装置」及び「工具セット制御装置」が、「主制御装置が施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度を含むコマンドを工具セット制御装置に送り、施肥量(例えば毎秒5グラム)の強度はオーガー速度に変換され、電気モーターの速度を調節する」ものである点。

[相違点2]
本件発明1は、前記散布対象物の供給の有無を切り換える開閉アクチュエータを備えるのに対して、甲1発明は、そのような開閉アクチュエータを備えていない点。


(2)判断

[相違点1について]

ア.相違点1に係る本件発明1の技術的意義について
上記相違点1に係る本件発明1の技術的意義について、本件特許の願書に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の段落【0011】には「圃場の上空を高速で飛行しながら、予め入力された必要散布量分布情報に基づいて、作物の生育等のバラツキに対応して散布量を局所的にかつ正確に変化させながら散布対象物を散布することができる」ことが示されている。当該技術的意義も踏まえて、以下相違点1について検討する。


イ.散布対象の圃場を細分化した単位ごとに作業に係るパラメーターを定めた作業に係る情報を入力可能な入力部を「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部」とすること(以下「相違点1に係る本件発明1の構成1」ということもある。)について

甲1発明は、散布対象の圃場を細分化した単位ごとに作業に係るパラメーターを定めた作業に係る情報を入力可能な入力部が、「特定の圃場またはブロック(サブフィールド)で実行される農業作業の詳細な説明であって、日付、時間および望ましい作業期間、圃場またはブロック(サブフィールド)の位置、作業の種類、および農薬の種類やその散布量率などの特定のパラメーターが含まれるものである」「サービス指示」を入力可能な入力部であり、本件明細書の段落【0028】の「・・・本実施形態において施肥量マップ5で定められる散布量は、図2に示すように単位面積当たりの散布量としている・・・」との記載から見て、甲1発明の「散布量率」は、本件発明1の「散布すべき量」と評価することもできるが、「ブロック(サブフィールド)」ごとに「化学肥料」の「散布量率」について、「特定のパラメーター」に含め「サービス指示」を入力可能とすることは、甲第1号証に記載がない。

一方、甲1発明の「特定のパラメーター」は「ブロック(サブフィールド)の位置、作業の種類、および農薬の種類やその散布量率など」と特定されるところ、作業の種類が「空中で散布することで、圃場に植えられた作物に化学肥料を施す」ことであることを勘案して、「ブロック(サブフィールド)の位置」ごとの「化学肥料」の「散布量率」を「特定のパラメーター」に含めたとしても、甲1発明の「ブロック(サブフィールド)の位置」ごとの「化学肥料」の「散布量率」が「特定のパラメーターが含まれるものである」「サービス指示」を入力可能な入力部は、上記相違点1に係る本件発明1における構成1(散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部)に相当する構成を備えるに留まる。


ウ.制御部を「散布量制御部」とし、「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部と、を備え」させること(以下「相違点1に係る本件発明1の構成2」ということもある。)について

(ア)甲1発明は、
「空中農場ロボットは、制御システムを含む基地局を含むものである自動農法システムに含まれ、実行されるべきタスクのための指示を制御システムから無線通信ネットワークを介して送られるものであり、
制御システムを使用して、オペレーターはサービス指示の各パラメーターを入力し、オペレーターがサービス指示を実行すると、制御システムは通信ネットワークを介してサービス指示をロードし、これらの指示に基づいて、空中農場ロボットは割り当てられたタスクを実行する圃場に飛ぶものであり、
制御システムがサービス指示の実行を開始すると、圃場またはブロックを、散布および施肥の場合は帯域に分割し、空中農場ロボットをそれらの帯域に割り当て、
制御システムのスケジューリングモジュールは、圃場を空中農場ロボットごとの任務に分割し、任務を適切な空中農場ロボットに割り当てることを扱い、
サービス指示スケジューリングに関して圃場とブロックの間に違いはないものである」ところ、甲1発明の「空中農場ロボット」の「実行されるべきタスク」は「制御システム」が「サービス指示をロードし、これらの指示に基づいて」、「割り当てられ」るものであり、「空中農場ロボットごとの任務」は、「制御システムがサービス指示の実行を開始すると」、「制御システムのスケジューリングモジュール」が割り当てるものであるといえる。

ここで、甲1発明の「空中農場ロボット」の「実行されるべきタスク」及び「空中農場ロボットごとの任務」はそれぞれ、「サービス指示」に基づいて「特定のパラメーター」を含めて取得部により取得されたものであることが技術的に明らかであることを踏まえ、上記「ア.」に示したように甲1発明の「空中農場ロボット」における「取得部」を、「化学肥料」の「散布量率」を「サービス指示」に基づいて取得するよう構成したとしても、上記相違点1に係る本件発明1の構成2のうち「散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部」に対応する構成を備えるに留まるものといえる。

(イ)甲第2?4号証について
a.甲第2号証について
(a)上記「第4.2.(3)」に示す甲2事項の「粒材」は本件発明1の「散布対象物」に相当し、甲2事項の「田圃」は本件発明1の「圃場」に相当し、甲2事項の「散布装置」及び「ヘリコプター」は「田圃への粒材などの空中散布に使用される」ものであるから本件発明1の「飛行しながら圃場に散布対象物を散布する空中散布装置」に相当する。

(b)甲2事項の「時間当たりの吐出量を制御する」ことは、本件発明1の「単位時間当たりの散布量を変更可能な」ことに相当し、甲2事項の「散布装置」は、「粒材」の「空中散布に使用される」ともに、「時間当たりの吐出量を制御する絞り装置12」を底面に設けた「ホッパー・タンク10」を含む「散布容器」を含むものであるから、本件発明1の「散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部」に相当する。

(c)甲2事項の「絞り装置12」は、「散布容器」において「時間当たりの吐出量を制御する」ものであるから、本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を調整する調量アクチュエータ」に相当する。

(d)甲2事項の「散布量」と本件発明1の「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量」とは、「散布対象物の必要散布量」の限度で共通する。

また、甲2事項の「散布装置」は「演算回路を使って、吐出量、散布幅、散布量及び速度のうち目的の数値を入力するだけで相応する制御量を得られるようにする」ものであって、「散布容器を制御する電気系は、散布スタート・ストップ・スイッチ61により始動し、シャッタ・モータ44,46によりシャッタ装置14の開閉を制御するシャッタ制御回路62を含み、シャッタ制御回路62は吐出量設定ダイヤル64の出力に応じてシャッタ装置14の開口面積を制御し、吐出量の制御のために、絞り装置12の開口面積や開口位置などを制御し、シャッタ装置14の制御と併用」するものであるところ、「吐出量の制御」のために「吐出量」を「制御量」とすることは技術的に明らかであり、そうすると「目的の数値を入力する」対象として「散布量」が含まれるものといえる。

そうすると、甲2事項の「散布容器を制御する電気系は、散布スタート・ストップ・スイッチ61により始動し、シャッタ・モータ44,46によりシャッタ装置14の開閉を制御するシャッタ制御回路62を含み、シャッタ制御回路62は吐出量設定ダイヤル64の出力に応じてシャッタ装置14の開口面積を制御し、吐出量の制御のために、絞り装置12の開口面積や開口位置などを制御し、シャッタ装置14の制御と併用し、演算回路を使って、吐出量、散布幅、散布量及び速度のうち目的の数値を入力するだけで相応する制御量を得られるようにすること」と、本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する」(本件発明1の「前記必要散布量」は、「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量」である)こととは、「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、必要散布量に基づいて制御する」ことの限度で共通する。

そして、上記(c)も踏まえると、甲2事項の当該「散布容器を制御する電気系」と、本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」もの(本件発明1の「前記必要散布量」は、「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量」である)とは、「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」ものである点で共通する。

(e)以上を踏まえると、甲2事項は本件発明1の「飛行しながら圃場に散布対象物を散布する空中散布装置であって、散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部を備え」との構成を備え、さらに、上記相違点1に係る本件発明1における「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」ことに相当する構成を備えたものに留まるといえる。


b.甲第3号証について
(a)上記「第4.3.」に示す甲3事項の「散布剤」は本件発明1の「散布対象物」に、「散布剤を吐出する」ことは「散布対象物を散布する」ことに相当し、甲3事項の「空中散布装置」及び「無人ヘリコプタ」は、「散布剤を吐出するポンプを駆動」するものであり「無人ヘリコプタ」が飛行することは技術的に明らかであるから、本件発明1の「飛行しながら散布対象物を散布する空中散布装置」に相当する。

(b)甲3事項の「ポンプから吐出される散布剤の流量」は本件発明1の「単位時間当たりの散布量」に相当し、「無人ヘリコプタの速度を検出する速度センサより得られる速度が所定値以上か否かを判断し、その速度が所定値以上の場合に、散布剤を吐出するポンプを駆動し、かつポンプから吐出される散布剤の流量を検出する流量センサより得られる流量がその速度に比例した量となる」ことは、「単位時間当たりの散布量」を無人ヘリコプタの速度に比例した量に変更可能といえる。

そうすると、甲3事項の「ポンプ」は本件発明1の「散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部」に相当する。

また、甲3発明の「その速度に比例した量」(「その速度」は「無人ヘリコプタの速度」である)は本件発明1の「必要散布量」に相当し、甲3発明の「空中散布装置」は「無人ヘリコプタの速度を検出する速度センサより得られる速度が所定値以上か否かを判断し、その速度が所定値以上の場合に、散布剤を吐出するポンプを駆動し、かつポンプから吐出される散布剤の流量を検出する流量センサより得られる流量がその速度に比例した量となるように制御する」ものであり、「CPUは、ポンプを駆動するモータの回転を制御するすべく、制御信号をモータに送出するものであって、CPUは、その速度が所定値以上の場合にはバルブを開とし、かつモータを回転させてポンプを駆動し、流量信号の流量が速度に比例した量となるようにモータを制御する」ものであるところ、甲3発明の「モータ」は本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を調整する調量アクチュエータ」に相当し、甲3発明の「CPU」と、本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」もの(本件発明1の「前記必要散布量」は、「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量」である)とは、「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」ものである点で共通する。

(c)以上を踏まえると、甲3事項は本件発明1の「飛行しながら散布対象物を散布する空中散布装置であって、散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部を備え」との構成を備え、さらに、上記相違点1に係る本件発明1における「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」ことに相当する構成を備えたものに留まるといえる。


c.甲第4号証について
(a)上記「第4.4.」に示す甲4事項の「散布液」は本件発明1の「散布対象物」に、「散布液を吐出する」ことは「散布対象物を散布する」ことに相当し、甲4事項の「薬剤散布装置」及び「ヘリコプタ」は、「散布液を収容する薬剤タンクからの散布液を吐出するポンプ」を有するものであり「ヘリコプタ」が飛行することは技術的に明らかであるから、本件発明1の「飛行しながら散布対象物を散布する空中散布装置」に相当する。

(b)甲4事項の「ポンプから吐出される散布液」の単位時間あたりの流量は本件発明1の「単位時間当たりの散布量」に相当し、甲4事項において、「上記ヘリコプタの速度を検出する速度センサにより検出される速度が第1設定値以上か否か及び該第1設定値より大きな速度である第2設定値以上か否かを判断し、該速度が上記第1設定値未満である場合に上記ポンプを停止すると共に上記開閉バルブを閉じ、上記速度が第1設定値以上でかつ第2設定値未満の場合に上記ポンプを駆動しかつ上記開閉バルブを閉じ、上記速度が第2設定値以上の場合上記ポンプを駆動すると共に上記バルブを開くものであって、薬剤タンクからの散布液を単一のポンプによって圧送して圧力調整手段によって圧力調整し、分配手段によって第1のノズル及び開閉バルブを介して第2のノズルに分配し、設定値以上の散布速度においては第1及び第2ノズルからの散布が行える一方、目標散布速度への加速中及び目標散布速度からホバリング等への減速中には、開閉バルブが閉じられて第1のノズルからの散布のみとなり、散布量が略半量に制限されて当該エリアに対する散布量が過多となることが防止され、均一な散布が得られる」ことは、「ポンプから吐出される散布液」の単位時間あたりの流量を上記ヘリコプタの速度に応じて変更可能といえる。

そうすると、甲4事項の「ポンプ」は本件発明1の「散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部」に相当する。

また、甲4発明の「当該エリアに対する散布量」は本件発明1の「必要散布量」に相当し、甲4発明の「開閉バルブ」は本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を調整する調量アクチュエータ」に相当し、甲3発明の「ポンプ及び開閉バルブを制御する制御手段」と、本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」もの(本件発明1の「前記必要散布量」は、「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量」である)とは、「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」ものである点で共通する。

(c)以上を踏まえると、甲4事項は本件発明1の「飛行しながら散布対象物を散布する空中散布装置であって、散布対象物を散布するとともに、単位時間当たりの散布量を変更可能な散布部を備え」との構成を備え、さらに、上記相違点1に係る本件発明1における「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」であって、「散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」ことに相当する構成を備えたものに留まるといえる。


エ.上記「ア.」に示すとおり、上記相違点1に係る本件発明1の技術的意義は、「圃場の上空を高速で飛行しながら、予め入力された必要散布量分布情報に基づいて、作物の生育等のバラツキに対応して散布量を局所的にかつ正確に変化させながら散布対象物を散布することができる」ことである。

一方、上記「イ.」?「ウ.(ア)」に示すとおり、甲1発明の「空中農場ロボット」における当該「取得部」が、「モーター入力、高さ、ピッチ、ロール、進行方向、位置、姿勢、高精度の絶対位置および相対位置、障害物検出、距離検出、および速度の制御」を提供する「ジャイロスコープ、加速度計、磁力計(コンパス)、気圧計、ソナー、オプティカルフロー、エネルギー消費および電圧計、GPSモジュール等の一連のセンサー」が取得した「位置」及び「高精度の絶対位置および相対位置」における「化学肥料」の「散布量率」を「サービス指示」に基づいて取得するよう構成するとともに、「オーガーによって散布される肥料の量」を、当該「位置」及び「高精度の絶対位置および相対位置」における「化学肥料」の「散布量率」に基づいて制御するよう「主制御装置」及び「工具セット制御装置」を構成することで、相違点1に係る本件発明1の「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部とを備え、前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」よう構成すること(以下「相違点1に係る本件発明1の構成3」ということもある。)については、甲第1号証に記載されておらず、甲第1号証においてそのように構成する動機付けも存在しない。

また、上記「ウ.(イ)」に示すとおり、甲2?4事項は上記相違点1に係る本件発明1の構成3を有しないものであるから、仮に、仮に甲1発明に甲第2?4号証に記載された発明(甲2?4事項)を適用したとしても、上記相違点1に係る本件発明1の構成3に至るものではない。


オ.申立人の異議申立書における主張について

[上記相違点1に係る本件発明1の構成に関して申立人の主張する甲第1?4号証に記載されている事項について]

申立人は、上記相違点1に係る本件発明1の「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部」(上記「ア.」に示した「相違点1に係る本件発明1の構成1」、以下単に「構成1」という。)と、「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部」(以下「構成3A」という。)、について、申立人は、異議申立書において、甲第1号証に記載されている旨を主張する(異議申立書7頁2?15頁、以下「主張1」という。)。

また、上記相違点1に係る本件発明1の「前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部」を備える構成(以下「構成3B」という。)について、申立人は、異議申立書において、甲第1号証に記載されていること(異議申立書7頁2?15頁)、甲第2号証に記載されていること(異議申立書7頁16行?8頁27行)、を主張する(以下「主張2」という。)。

さらに、上記相違点1に係る本件発明1の「前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」構成(以下「構成3C」という。)については、申立人は、異議申立書において、甲第2号証及び甲2発明として記載されること(異議申立書7頁16行?8頁27行、13頁5行?14頁3行)、甲第3号証及び甲3発明として記載されること(異議申立書8頁28行?9頁20行、14頁24行?15頁20行)、甲第4号証及び甲4発明として記載される旨(異議申立書9頁21行?10頁5行、15頁下から3行?16頁18行)、を主張する(以下「主張3」という。)。

そして、申立人は、異議申立書において、本件発明1と甲第1号証に記載の発明(甲1発明)が、本件発明1の分説(A)?(F),(J)において一致し、本件発明1が本件発明1の分説(G)?(I)を有しているの対して、甲1発明はそのような構成を有していない点で相違すると述べ(異議申立書12頁15行?13頁2行)、これらの相違点は甲2?4発明として記載されていると述べるとともに、本件発明1は甲1発明に対して甲2発明、甲3発明又は甲4発明を適用することによって当業者が容易に想到し得るものである旨を主張する(異議申立書12頁15行?16頁下から6行、以下「主張4」という。)。


しかしながら、上記(2)「イ.」で述べたように、甲1発明を相違点1に係る本件発明1の「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部とを備え、前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」構成(上記「エ.」に示す「相違点1に係る本件発明1の構成3」)を備えるよう、すなわち、上記本件発明1の構成3A?3Cを備えるよう構成することについては、甲第1号証に記載されておらず、甲第1号証においてそのように構成する動機付けも存在しない。

また、上記(2)「イ.」に記載したように、当該本件発明1の構成3A?3Cを、甲2?4事項は有しておらず、甲第2?4号証において甲1発明をそのように構成する動機付けも存在しないから、仮に甲1発明に甲第2?4に記載された発明(甲2?8事項)を適用したとしても、当該本件発明1の構成3A?3Cに至るものでもない。

したがって、請求人の上記主張1?主張4は採用できない。


カ.小括
以上のとおり、当業者といえども、甲1発明及び甲第2?4号証に記載の発明(甲2?4事項)から、相違点1に係る本件発明1の事項を容易に想到することはできないものであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1?4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


2.本件発明2?3について

本件発明2?3は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、少なくとも本件発明1の構成を更に限定して発明を特定するものであるから、本件発明2?3と甲1発明とは、少なくとも上記「1.」に示す相違点1及び2において相違する。

相違点1について検討する。甲第1?4号証の検討については「1.」に示したとおりである。

[甲第5号証について]

甲第5号証は、異議申立書において申立人が示す、本件発明4と甲1発明との相違点2及び3としての「前記速度情報取得部で得られた飛行速度が増加すれば前記散布部における単位時間当たりの散布量を増加させ、前記飛行速度が減少すれば前記散布部における単位時間当たりの散布量を減少させるように制御する散布量制御部」、及び、「前記散布量制御部は、前記必要散布量と、前記速度情報取得部で得られた飛行速度と、の何れにも実質的に比例するように、前記散布部における単位時間当たりの散布量を制御する散布量制御部」に係る構成が記載されること、及び、当該構成を甲1発明に対して適用することによって本件発明2及び3が容易に想到し得るものであることを示すために提出された証拠である。

上記「第4.5.」に示した甲第5号証に記載された事項(甲5事項1?3)について検討する。

甲5事項1の「農薬などの散布物」は本件発明1の「散布対象物」に相当し、甲5事項1の「農薬を散布したい領域」または「散布領域」と本件発明1の「圃場」とは「散布対象物の散布領域」である点で共通するから、甲5事項1の「無人ヘリコプター」及び「無人ヘリコプターにて農薬などの散布物を散布する際に用いる散布支援装置」と、本件発明1の「飛行しながら圃場に散布対象物を散布する空中散布装置」とは、「飛行しながら散布対象物の散布領域に散布対象物を散布する空中散布装置」である点で共通する。

また、甲5事項1の「害虫が発生している箇所、雑草が多く生えている場所など、農薬を多く散布したい区分領域(あるいは農薬を少なく散布したい領域)」または「区分領域42」と本件発明1の「散布対象の圃場を細分化した単位」とは、「散布対象の散布領域を細分化した単位」である点で共通し、甲5事項1において「操作者は、害虫が発生している箇所、雑草が多く生えている場所など、農薬を多く散布したい区分領域(あるいは農薬を少なく散布したい領域)を、マウス/キーボード30を操作して入力し、区分領域42が入力されると、CPU20は、濃度設定ダイアログボックスを表示し、操作者は、スライダ46を操作して、所望の濃度を選択し、CPU20は、濃度指定および区分領域の入力を受けるとこれをメモリ22に記録」するものであるから、甲5事項1の「メモリ22」と、本件発明1の「散布対象の圃場を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部」とは、「散布対象の散布対象物の散布領域を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部」である点で共通する。

そうすると、甲5事項1は、本件発明1の「飛行しながら散布対象物の散布領域に散布対象物を散布する空中散布装置」との構成を備え、さらに、上記相違点1に係る本件発明1の「散布対象の散布対象物の散布領域を細分化した単位ごとに前記散布対象物を散布すべき量を定めた必要散布量分布情報を入力可能な必要散布量分布情報入力部を備える」ものといえる。

しかしながら、上記相違点1に係る本件発明1の「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部とを備え、前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」との構成を、甲5事項1は有しないものであって、当該構成を、甲5事項2及び3も有していないから、仮に甲1発明に甲第5号証に記載された発明(甲5事項1?3)を適用したとしても、上記相違点1に係る本件発明1の「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部とを備え、前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」との構成に至るものではない。

そうすると、甲1発明及び甲第2?4号証に記載の発明(甲2?4事項)に加えて、本件発明2?3について引用された甲第5号証に記載の発明(甲5事項1?3)を勘案しても、相違点1に係る本件発明2?3の事項を容易に想到することはできない。

以上のとおり、当業者といえども、甲1発明及び甲第2?5号証に記載の発明(甲2?4事項及び甲5事項1?3)から、相違点1に係る本件発明2?3の事項を容易に想到することはできないものであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明2?3は、甲第1?5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


3.本件発明4について

本件発明4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、少なくとも本件発明1の構成を更に限定して発明を特定するものであるから、本件発明4と甲1発明とは、少なくとも上記「1.」に示す相違点1及び2において相違する。

相違点1について検討する。甲第1?4号証の検討については「1.」に示したとおりである。

[甲第6?8号証について]

甲第6?8号証は、異議申立書において申立人が示す、本件発明4と甲1発明との相違点4としての「前記空中散布装置の少なくとも飛行速度、方位及び高度に基づいて、前記散布対象物が、前記散布対象の圃場を細分化した単位の何れに着地するかを予測する散布量制御部」に係る構成が記載されること、及び、当該構成を甲1発明に対して適用することによって本件発明4が容易に想到し得るものであることを示すために提出された証拠であり、上記「第4.6.」?「第4.8.」示した甲第6?8号証に記載された事項(甲6?8事項)をみてみても、甲6?8事項には、上記相違点1に係る本件発明1の「前記位置情報取得部で取得した自機の位置における散布対象物の必要散布量を前記必要散布量分布情報に基づいて取得する必要散布量取得部と、前記散布部における単位時間当たりの散布量を、前記必要散布量に基づいて制御する散布量制御部とを備え、前記散布量制御部は、前記調量アクチュエータを制御する」ことに相当する構成は開示されていないから、甲第6?8号証に記載された発明(甲6?8事項)を甲1発明に適用したとしても、本件発明1に至らない。

そうすると、甲1発明及び甲第2?4号証に記載の発明(甲2?4事項)に加えて、本件発明2ないし4について引用された甲第6?8号証に記載の発明(甲6?8事項)を勘案しても、相違点1に係る本件発明4の事項を容易に想到することはできないものである。

以上のとおり、当業者といえども、甲1発明及び甲第2?4、6?8号証に記載の発明(甲2?4、6?8事項)から、相違点1に係る本件発明4の事項を容易に想到することはできないものであるから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明4は、甲第1?4、6?8号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


第6.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとはいえないことから、特許法第113条第2号の規定に該当するものとして取り消すことはできない。

また、他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-09-12 
出願番号 特願2015-22757(P2015-22757)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B64D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 志水 裕司  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
岡▲さき▼ 潤
登録日 2018-11-09 
登録番号 特許第6431395号(P6431395)
権利者 ヤンマー株式会社
発明の名称 空中散布装置  
代理人 桂川 直己  
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