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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1355148
審判番号 不服2018-16822  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-18 
確定日 2019-10-01 
事件の表示 特願2014-154009「内視鏡ファイリング装置、内視鏡システム、及び画像処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 7日出願公開、特開2016- 30084、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年7月29日の出願であって、平成30年1月18日付けで拒絶理由が通知され、同年3月23日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、さらに、同年6月21日付けで拒絶理由が通知され、同年8月27日に意見書が提出され、同年9月7日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年12月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
具体的には、請求項1に係る発明について、平成30年6月21日付けの拒絶理由通知で、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2?4に記載された周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとし、原査定時において、さらに周知技術を示す文献として引用文献5?8を追加したものであり、請求項7に係る発明については、請求項1に係る発明と同様であると指摘したものである。
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2004-24772号公報
引用文献2:特開2007-319342号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2006-158647号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:国際公開第2012/008299号(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2007-296079号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6:特開2009-39431号公報(周知技術を示す文献)
引用文献7:国際公開第2012/043095号(周知技術を示す文献)
引用文献8:特開2011-24946号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、平成30年12月18日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される発明であり、独立項に係る発明である本願発明1及び本願発明7は、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
内視鏡スコープの種別を表すスコープ情報と、内視鏡プロセッサの設定を表すプロセッサ情報と、前記内視鏡スコープが撮影したスコープ画像及び手技に関する情報を示す情報画像を含んで成るプロセッサ画像とを受信する受信部と、
前記プロセッサ画像における前記スコープ画像の位置及び範囲を示すトリミング領域と、前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報とを関連づけて記憶する記憶部と、
前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報を用いて前記記憶部から前記トリミング領域を読み出し、前記トリミング領域を用いて前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出す処理部とを備え、
前記処理部が、前記内視鏡プロセッサから画像キャプチャ命令を受信したときに前記受信部が受信しているプロセッサ画像を静止画像として前記記憶部に記憶させ、
前記処理部が、前記トリミング領域を用いて、前記記憶部に記憶された前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出す内視鏡ファイリング装置。」
「【請求項7】
内視鏡スコープが撮影したスコープ画像と被験者の情報を示す情報画像とを含んで成るプロセッサ画像における前記スコープ画像の位置及び範囲を示すトリミング領域と、前記内視鏡スコープの種別を表すスコープ情報及び前記内視鏡プロセッサの設定を表すプロセッサ情報とを関連づけて記憶する記憶部を備える内視鏡ファイリング装置が実行する画像処理方法であって、
内視鏡スコープの種別を表すスコープ情報と、内視鏡プロセッサの設定を表すプロセッサ情報と、前記内視鏡スコープが撮影したスコープ画像と被験者の情報を示す情報画像とを含んで成るプロセッサ画像とを受信するステップと、
前記内視鏡プロセッサから画像キャプチャ命令を受信したときに前記受信部が受信しているプロセッサ画像を静止画像として前記記憶部に記憶させるステップと、
前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報を用いて前記記憶部から前記トリミング領域を読み出すステップと、
前記トリミング領域を用いて、前記記憶部に記憶された前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出すステップとを備える画像処理方法。」

本願発明2?6は、本願発明1を直接的又は間接的に引用して、本願発明1をさらに限定した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)記載事項について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2004-24772号公報)には、次の事項が記載されている。なお、下線については、当審において付与した。
(1ア)【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は読影依頼端末に係り、特に遠隔地の読影医にネットワークを介して医用画像を送信する遠隔画像診断支援ネットワークシステムに適用される読影依頼端末に関する。

(1イ)「【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、読影依頼の操作の簡略化及び読影依頼ミスの削減防止を図ることができ、また、運用センターでの患者情報入力の作業を不要にすることができ、更にDICOM 機種、非DICOM 機種への適用が可能な読影依頼端末を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、医用画像診断機器から出力される患者単位ごとの医用画像と、該医用画像の読影を読影医に依頼するための患者単位ごとの依頼票のイメージ情報とを、それぞれ患者単位ごとに関連付けてネットワークを介して読影医の端末に送信するための読影依頼端末であって、医用画像診断機器から医用画像を取り込むための医用画像取込手段と、スキャナーから前記依頼票をイメージ情報として取り込む依頼票取込手段と、前記医用画像取込手段により取り込んだ1乃至複数の患者の医用画像のうちの一人の患者の医用画像から患者名等の患者情報を抽出し、該患者情報を操作画面上に表示させる第1の表示制御手段と、前記依頼票取込手段により取り込んだ1乃至複数の患者の依頼票のうちの一人の患者の依頼票を操作画面上に表示させる第2の表示制御手段と、前記操作画面上に一人の患者の患者情報及び依頼票が表示されている状態で患者確定の指示が入力されると、前記操作画面上に患者情報が表示されている医用画像と、前記操作画面上に依頼票が表示されている該依頼票のイメージ情報との関係を確定させる確定手段と、前記確定された医用画像と依頼票のイメージ情報とをネットワークを介して送信する通信手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
即ち、X線CT装置やMRI装置など医用画像診断機器から取り込んだ患者単位ごとの医用画像のうちの一人の患者の医用画像から抽出した患者名等の患者情報と、スキャナーによって読み取った手書き等の患者単位ごとの依頼票(イメージ情報)のうちの一人の患者の依頼票とを操作画面上に表示させる。尚、依頼票には、患者名等が記入されているため、上記操作画面上で、医用画像から抽出した患者情報と依頼票に記入されている患者情報とを照合することができ、医用画像と依頼票とが同一患者のものであるか否かを視認することができる。また、医用画像からの患者情報の抽出は、医用画像としてDICOM の医用画像診断機器からDICOM 規格の画像ファイルを取り込んでいる場合には、患者情報等が記録されている画像ファイルのヘッダー情報を抽出し、非DICOM の医用画像診断機器から医用画像を取り込んでいる場合には、該医用画像のうちの患者情報等の文字が記録されている所定の領域のイメージ情報を抽出する。
【0012】
そして、患者確定の指示を入力すると、操作画面上に患者情報が表示されている医用画像と、操作画面上に依頼票が表示されている該依頼票のイメージ情報とが関連付けられる。このようにして関連付けられた医用画像と依頼票のイメージ情報は、ネットワークを介して送信される。即ち、読影依頼端末から運用管理サーバ等にアップロードされ、担当読影医の端末などにダウンロードされる。」

(1ウ)「【0025】
尚、読影依頼端末10は、汎用のパーソナルコンピュータに、本発明に係る読影依頼端末ソフトウェアがインストールされ、非DICOM 対応のモダリティ機器52からのビデオ信号(静止画)をデジタル信号として取り込むためのキャプチャボードが取り付けられ、また、キャプチャされた医用画像から患者名、患者IDなどの文字を認識して文字コード情報に変換するOCR(Optical Character Reader)ボードが取り付けられて構成されているが、DICOM 対応のモダリティ機器50と接続される読影依頼端末10には、上記キャプチャボードやOCRボードは不要である。
【0026】
読影依頼端末10は、DICOM 対応のモダリティ機器50からはDICOM 規格の画像ファイルを取り込むことができ、また、非DICOM 対応のモダリティ機器52からはキャプチャボードによりNTSC方式のビデオ信号(医用画像)をデジタル信号として取り込み、更に取り込んだ医用画像からOCRボードにより患者名、患者IDなどの文字を認識し、この文字認識した属性情報をヘッダー情報としてDICOM 規格の画像ファイルを作成する機能を有している。
【0027】
モダリティ機器から取り込んだ医用画像と、スキャナー54によって読み取った依頼票のイメージ情報は、端末内に一時保管され、その後、同一患者の医用画像と依頼票とが1つの画像フォルダに格納され、その画像フォルダがDICOM プロトコル又はFTP(File Transfer Protocol)によりネットワーク40を介して管理センター側に送信される。」

(1エ)「【0047】
次に、非DICOM 機種のモダリティ機器52から取り込んだ医用画像から患者情報を抽出する方法、及びその医用画像のDICOM 化について説明する。
【0048】
非DICOM 機種のモダリティ機器52から出力される医用画像には、患者ID、患者名、性別、及び検査日がイメージ情報として、それぞれ医用画像中の所定の領域に記録されている。従って、予め患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域の切取り範囲を設定しておくことにより、医用画像から患者ID、患者名、性別、及び検査日のイメージ情報を切り出すことができる。尚、1つのモダリティ機器52から出力される医用画像における患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録される領域は固定されているため、一度、各領域の切取り範囲を設定すると、その後、切取り範囲を変更する必要はない。
【0049】
上記のようにして切り出された患者ID、患者名、性別、及び検査日のイメージ情報は、それぞれ患者情報入力確定フレーム4の表示部71A?74Aに表示される。
【0050】
また、患者ID、患者名、性別、及び検査日のイメージ情報は、読影依頼端末10内のOCRボードによって文字認識され、文字コード情報に変換される。これらの文字コード情報(患者情報)は、非DICOM 機種対応の医用画像に対してDICOM 規格に必要なヘッダー情報として自動的に付与される。これにより、非DICOM 機種のモダリティ機器52から取り込んだ医用画像からDICOM 規格の画像ファイルを作成することができる(図4のステップS20、S22)。」

(2)引用発明について
ア 記載事項の整理
「医用画像診断機器」と「モダリティ機器」は同じものであるから、以下の引用発明において、両者を「医用画像診断機器」と記載する。

イ 引用発明
引用文献1には、上記(1)で摘記した事項(特に下線部参照)より、以下の発明が記載されていると認められる。なお、図面番号については略してある。
「医用画像診断機器から出力される患者単位ごとの医用画像と、該医用画像の読影を読影医に依頼するための患者単位ごとの依頼票のイメージ情報とを、それぞれ患者単位ごとに関連付けてネットワークを介して読影医の端末に送信するための読影依頼端末であって、
医用画像診断機器から医用画像を取り込むための医用画像取込手段と、スキャナーから前記依頼票をイメージ情報として取り込む依頼票取込手段と、前記医用画像取込手段により取り込んだ1乃至複数の患者の医用画像のうちの一人の患者の医用画像から患者名等の患者情報を抽出し、該患者情報を操作画面上に表示させる第1の表示制御手段と、前記依頼票取込手段により取り込んだ1乃至複数の患者の依頼票のうちの一人の患者の依頼票を操作画面上に表示させる第2の表示制御手段と、前記操作画面上に一人の患者の患者情報及び依頼票が表示されている状態で患者確定の指示が入力されると、前記操作画面上に患者情報が表示されている医用画像と、前記操作画面上に依頼票が表示されている該依頼票のイメージ情報との関係を確定させる確定手段と、前記確定された医用画像と依頼票のイメージ情報とをネットワークを介して送信する通信手段と、を備えた読影依頼端末において、
非DICOM の医用画像診断機器からのビデオ信号(静止画)をデジタル信号として取り込むためのキャプチャボードが取り付けられ、医用画像診断機器から取り込んだ医用画像と、スキャナーによって読み取った依頼票のイメージ情報は、読影依頼端末内に一時保管され、その後、同一患者の医用画像と依頼票とが1つの画像フォルダに格納され、その画像フォルダがネットワークを介して送信されるもので、
上記医用画像からの患者情報の抽出が、非DICOM の医用画像診断機器から医用画像を取り込んでいる場合には、該医用画像のうちの患者情報等の文字が記録されている所定の領域のイメージ情報を抽出するものであって、予め患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域の切取り範囲を設定しておくことにより、医用画像から患者ID、患者名、性別、及び検査日のイメージ情報を切り出すことができる、
読影依頼端末。」(以下「引用発明」という。)

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2007-319342号公報)には、次の事項が記載されている。
(2ア)「【請求項1】
患者情報を示す文字画像を含む医用画像から前記文字画像が位置する患者情報領域を抽出し、前記患者情報領域の画像のみにマスク処理を施すマスク処理手段と、
前記患者情報領域の画像にマスク処理が施された医用画像を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像処理装置。」
(2イ)「【背景技術】
【0002】
患者を撮影して医用画像を生成するCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、内視鏡装置等の画像生成装置(以下、モダリティという。)においては、撮影した医用画像の取り違えを防止するために、医用画像に患者ID、患者名等の患者情報を示す文字画像を付加して出力している。」
(2ウ)「【0005】
本発明の課題は、医用画像に文字画像として含まれる患者情報の漏洩を防止することである。また、医用画像の出力先において患者情報を伏せて医用画像のみを閲覧させることを可能とすることである。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2006-158647号公報)には、次の事項が記載されている。
(3ア)「【請求項1】
受信した医用画像情報及び患者文字情報を所定のデータ形式に変換して転送する医用画像変換装置と、前記転送された所定のデータ形式の医用画像情報及び患者文字情報を記録紙上に画像形成する医用画像形成装置とを具備する医用画像出力システムにおいて、
前記医用画像変換装置は、
前記患者文字情報を画像データに変換する変換手段と、
前記受信された医用画像情報と、前記変換手段によりデータ変換された患者文字情報とを合成して、一の画像データであるテンプレート画像を作成する合成手段と、
前記合成手段により作成されたテンプレート画像を前記所定のデータ形成に変換して前記医用画像形成装置へ転送する転送手段と、を備え、
前記医用画像形成装置は、
前記転送手段により転送されたテンプレート画像を前記記録紙上に画像形成する画像形成手段を備えることを特徴とする医用画像出力システム。」
(3イ)「【0031】
テンプレートデータは、ユーザにより設定された配置方法に従って医用画像と患者情報とを予を埋め込んでフォーマットした一つの画像データ、即ちテンプレート画像であり、DICOM規格に準拠したデータ形成で生成される。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(国際公開第2012/008299号)には、次の事項が記載されている。
(4ア)「発明の開示
課題を解決するための手段
[0006]本発明は、複数の画像信号出力手段から入力される複数の画像の合成画像を出力する画像合成システムであって、
前記複数の画像の画像関連情報を取得する画像関連情報取得手段と、
前記入力される複数の画像の中から第1の画像を表示するように指示する第1画像指示手段と、
前記入力される複数の画像の中から第2の画像を表示するように指示する第2画像指示手段と、
前記第1画像指示手段で指示された前記第1の画像を前記第2の画像よりも優先してその表示形態を指示する第1画像表示形態指示手段と、
前記画像関連情報取得手段により取得した前記第2の画像の画像関連情報と、前記第1画像表示形態指示手段により指示された前記第1の画像の表示形態とに基づき、前記第2の画像の表示形態を決定する第2画像表示形態決定手段と、
前記第1画像表示形態指示手段による指示に対応した前記第1の画像を処理する第1画像処理手段と、
前記第2画像表示形態決定手段による決定に対応した前記第2の画像を処理する第2画像処理手段と、
前記第1画像表示形態指示手段による指示と、前記第2画像表示形態決定手段による決定に基づき、前記第1画像処理手段により処理された前記第1の画像と、前記第2画像処理手段により処理された前記第2の画像と、を合成する画像合成手段と、
を備えることを特徴とする。」
(4イ)「[0008]以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように本発明の第1の実施形態の画像合成システム1は、第1の医用機器としての外部機器2と、体腔内に挿入され、内視鏡検査に使用される第2の医用機器としての内視鏡3と、外部機器2及び内視鏡3とが着脱自在に接続され、合成画像を生成する画像処理を行うプロセッサ4と、内視鏡3に照明光を供給する光源装置5と、プロセッサ4と接続され、複数の画像の合成画像としての親子画像を表示する表示装置としてのモニタ6と、外部入力機器としての例えばキーボード7を有する。」

5 引用文献5について
原査定時に周知技術を示す文献として提示された引用文献5(特開2007-296079号公報)には、次の事項が記載されている。
(5ア)「【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、動画の医用画像データからユーザ操作なしに静止画像を抽出することができる医用画像処理装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、医用画像処理装置において、
付帯情報を含む動画の医用画像データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された医用画像データを複数の静止画データに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された複数の静止画データから前記付帯情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された付帯情報を個々に判別して、前記変換手段により変換された複数の静止画データの中から当該付帯情報の相異なる静止画データを抽出する抽出手段と、
を備えることを特徴としている。」

6 引用文献6について
原査定時に周知技術を示す文献として提示された引用文献6(特開2009-39431号公報)には、次の事項が記載されている。
(6ア)「【0015】
そこで、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、検査機器の識別結果に基づいて、予め記憶された設定情報から検査機器による検査処理に適用される設定を選択して設定することで、最適なDICOM規格対応の画像データを出力することのできる医療装置及びこの医療装置を有する医療システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の医療装置は、医療用検査機器の種別を識別する識別手段と、前記医療用検査機器の種別に応じて実行される処理に関する情報を記憶する記憶手段と、前記識別手段により得られた前記医療用検査機器の種別に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記情報から前記種別に対応する情報を読み出して設定すると共に、前記種別に対応する情報がない場合には前記記憶手段に記憶されている前記情報から所定の情報を読み出して設定するように切り換える制御手段と、を具備している。」

7 引用文献7について
原査定時に周知技術を示す文献として提示された引用文献7(国際公開第2012/043095号)には、次の事項が記載されている。
(7ア)「発明が解決しようとする課題
[0005]ところが、上述のDICOM規格では、1回の検査中におけるモダリティ側の検査中断や検査再開が想定されておらず、当該中断が発生する毎に、別検査として扱われるため、モダリティ側から医用サーバ側に収拾した医用画像の管理が不便となる技術的課題があった。」
(7イ)「課題を解決するための手段
[0009]本発明の第1の観点は、医用画像撮影装置と前記医用画像撮影装置から送信される医用画像を記録するサーバとからなる医療システムであって、
前記医用画像撮影装置における検査中または検査終了の検査状態を、前記医用画像撮影装置および前記サーバの各々で記憶する第1検査状態記憶手段および第2検査状態記憶手段と、
前記医用画像撮影装置における前記検査状態を前記サーバに通知する機能、および前記サーバからの検査終了実行指示に応じて前記医用画像撮影装置を前記検査終了に移行させる機能を具備した第1制御手段と、
前記医用画像撮影装置から受信した前記検査状態の情報と前記サーバの状態とに基づいて、前記サーバから前記医用画像撮影装置の前記検査状態を変更する前記検査終了実行指示を生成する第2制御手段と、
を具備する医療システムを提供する。」

8 引用文献8について
原査定時に周知技術を示す文献として提示された引用文献8(特開2011-24946号公報)には、次の事項が記載されている。
(8ア)「【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電子内視鏡等により取得された医療用の画像データを、容易に登録および更新管理することが可能な医療用画像管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明により、ネットワークを介して通信可能な電子内視鏡装置、画像管理サーバ、および患者情報サーバからなる医療用画像管理システムであって、電子内視鏡装置は、患者の体内の画像を撮影して画像信号を生成する電子内視鏡と、画像信号を圧縮して画像データを生成する第1の圧縮手段と、画像データを画像管理サーバに送信する送信手段と、を備え、画像管理サーバは、患者情報サーバに患者情報を要求する患者情報要求手段と、患者情報サーバから、患者情報を受信する受信手段と、電子内視鏡装置から送信される画像データと、患者情報とを関連付けて記憶するデータベースと、データベースに記憶される患者情報および画像データを、所定のタイミングで圧縮する第2の圧縮手段と、を備えることを特徴とする医療用画像管理システムが提供される。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 受信部について
(ア)引用発明の「医用画像診断機器」と本願発明1の「内視鏡スコープ」とは、上位概念としての「医用画像診断機器」という点で共通するものであるから、下記の(イ)で述べる引用発明の「医用画像のうちの」「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」の「イメージ情報」の部分を除く「医用画像診断機器から取り込んだ」「画像」の部分と本願発明1の「内視鏡スコープが撮影したスコープ画像」とは、「医用画像診断機器から取り込んだ画像」の点で共通する。

(イ)本願発明1の「手技に関する情報を示す情報画像」とは、本願明細書に「手技に関する情報を示す情報画像・・・情報画像は、患者の氏名、年齢、及び性別、手技を行った日時、コメント、並びに手技を行った医師の氏名等を表示する。」(【0027】)と記載されていることから、引用発明の「医用画像のうちの」「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」の「イメージ情報」は、本願発明1の「手技に関する情報を示す情報画像」に相当する。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」の「イメージ情報」を含む「医用画像診断機器から取り込んだ医用画像」と、本願発明1の「前記内視鏡スコープが撮影したスコープ画像及び手技に関する情報を示す情報画像を含んで成るプロセッサ画像」とは、「医用画像診断機器から取り込んだ画像及び手技に関する情報を示す情報画像を含んで成るプロセッサ画像」の点で共通する。
そして、引用発明の「医用画像診断機器から医用画像を取り込むための医用画像取込手段」は、本願発明1の「プロセッサ画像とを受信する受信部」に相当する。

イ 記憶部について
引用発明の「医用画像から患者ID、患者名、性別、及び検査日のイメージ情報を切り出す」ために「予め」「設定しておく」「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域の切取り範囲」と、本願発明1の「前記プロセッサ画像における前記スコープ画像の位置及び範囲を示すトリミング領域」とは、「プロセッサ画像におけるトリミング領域」という限りにおいて共通する。
そして、引用発明の「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」の「イメージ情報」を含む「医用画像診断機器から取り込んだ医用画像」を「読影依頼端末内に一時保管」する場所は、本願発明1の「記憶部」に相当する。

ウ 処理部について
(ア)引用発明の「予め患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域の切取り範囲を設定しておくことにより、医用画像から患者ID、患者名、性別、及び検査日のイメージ情報を切り出す」処理手段と、本願発明1の「前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報を用いて前記記憶部から前記トリミング領域を読み出し、前記トリミング領域を用いて前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出す」及び「前記トリミング領域を用いて、前記記憶部に記憶された前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出す」「処理部」とは、「記憶部からトリミング領域を読み出し、前記トリミング領域を用いて画像を切り出す」及び「前記トリミング領域を用いて、前記記憶部に記憶された前記プロセッサ画像から前記画像を切り出す」「処理部」という限りにおいて共通する。

(イ)引用発明の「医用画像診断機器からのビデオ信号(静止画)をデジタル信号として取り込むためのキャプチャボードが取り付けられ、医用画像診断機器から取り込んだ医用画像」を「読影依頼端末内に一時保管」する処理手段と、本願発明1の「前記内視鏡プロセッサから画像キャプチャ命令を受信したときに前記受信部が受信しているプロセッサ画像を静止画像として前記記憶部に記憶させ」る「処理手段」とは、「医用画像診断機器から画像キャプチャ命令を受信したときに前記受信部が受信しているプロセッサ画像を静止画像として前記記憶部に記憶させ」る「処理手段」の点で共通する。

エ 内視鏡ファイリング装置について
上記ア(ア)で述べたとおり、引用発明の「医用画像診断機器」と本願発明1の「内視鏡」とは、「医用画像診断機器」で共通するものであり、引用発明の「医用画像と依頼票とが1つの画像フォルダに格納」することはファイリングともいえることから、引用発明の「医用画像診断機器から出力される患者単位ごとの医用画像と」「依頼票とが1つの画像フォルダに格納」する「読影依頼端末」と本願発明1の「内視鏡ファイリング装置」とは、「医用画像診断機器フファイリング装置」の点で共通する。

オ 一致点及び相違点について
上記ア?エを踏まえると、本願発明1と引用発明とは、
(一致点)
「医用画像診断機器から取り込んだ画像及び手技に関する情報を示す情報画像を含んで成るプロセッサ画像とを受信する受信部と、
前記プロセッサ画像におけるトリミング領域記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記トリミング領域を読み出し、前記トリミング領域を用いて前記プロセッサ画像から画像を切り出す処理部とを備え、
前記処理部が、前記医用画像診断機器から画像キャプチャ命令を受信したときに前記受信部が受信しているプロセッサ画像を静止画像として前記記憶部に記憶させ、
前記処理部が、前記トリミング領域を用いて、前記記憶部に記憶された前記プロセッサ画像から前記画像を切り出す医用画像診断機器ファイリング装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
医用画像診断機器が、本願発明1では「内視鏡(内視鏡スコープ)」であるのに対し、引用発明では、内視鏡とは特定されていない点。

(相違点2)
トリミング領域が、本願発明では、「プロセッサ画像における内視鏡スコープが撮影したスコープ画像の位置及び範囲を示す」領域であるのに対し、引用発明では「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」である点。

(相違点3)
受信部、記憶部及び処理部について、本願発明では、受信部が「内視鏡スコープの種別を表すスコープ情報と、内視鏡プロセッサの設定を表すプロセッサ情報と」「を受信」し、記憶部が「トリミング領域と、前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報とを関連づけて記憶」し、処理部が「前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報を用いて前記記憶部から前記トリミング領域を読み出し、前記トリミング領域を用いて前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出す」ものであるのに対し、引用発明では、受信部、記憶部及び処理部に相当するものが上記事項を行っていない点。

(2)判断
ア 相違点について
(ア)事案に鑑み、相違点2及び3について検討する。
a 引用発明の「トリミング領域」は「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」であり、本願発明1のような「プロセッサ画像における内視鏡スコープ(医用画像診断機器)が撮影したスコープ画像の位置及び範囲を示す」領域ではなく、それは「依頼票が表示されている該依頼票のイメージ情報との関係を確定させる」ためのもの、すなわち、上記第4の引用文献1の摘記(1イ)【0011】に記載されているように「依頼票に記入されている患者情報とを照合することができ」「依頼票とが同一患者のものであるか否かを視認する」ためのものであるから、引用発明において「トリミング領域」を、「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」に替えて、プロセッサ画像における医用画像診断機器(内視鏡スコープ)が撮影した画像の位置及び範囲を示す領域とする動機はない。
そして、引用文献1の摘記(1ウ)【0025】に記載されているように「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」は「文字を認識して文字コード情報」となる領域にすぎないことから、「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」と医用画像診断機器(内視鏡スコープ)の種別を表す情報及び医用画像診断機器(内視鏡)プロセッサの設定を表すプロセッサ情報とを関連づけて記憶する必要もなく、「患者ID、患者名、性別、及び検査日が記録されている各領域」「を切り出す」際に、医用画像診断機器(内視鏡スコープ)の種別を表す情報及び医用画像診断機器(内視鏡)プロセッサの設定を表すプロセッサ情報を用いて読み出す必要もないものであるから、医用画像診断機器(内視鏡スコープ)の種別を表す情報と医用画像診断機器(内視鏡)プロセッサの設定を表すプロセッサ情報を受信する必要もない。

b 一方、上記第4で摘記したように、引用文献2?8のいずれにも、プロセッサ画像における内視鏡スコープが撮影したスコープ画像の位置及び範囲を示すトリミング領域と、スコープ情報及びプロセッサ情報とを関連づけて予め記憶しておき、スコープ情報及びプロセッサ情報を用いて予め記憶しておいたトリミング領域を読み出し、そのトリミング領域を用いてプロセッサ画像からスコープ画像を切り出す技術は開示されていない。

c してみれば、上記aで述べたとおり、引用発明において、トリミング領域を「プロセッサ画像における内視鏡スコープが撮影したスコープ画像の位置及び範囲を示す」領域とすること、そして、受信部が「内視鏡スコープの種別を表すスコープ情報と、内視鏡プロセッサの設定を表すプロセッサ情報と」「を受信」し、記憶部が「トリミング領域と、前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報とを関連づけて記憶」し、処理部が「前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報を用いて前記記憶部から前記トリミング領域を読み出し、前記トリミング領域を用いて前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出す」ものとする動機はなく、そして、引用文献2?8の記載に鑑みても、上記bで述べたとおり、上記技術的事項が記載されていないのであるから、トリミング領域を「プロセッサ画像における内視鏡スコープが撮影したスコープ画像の位置及び範囲を示す」領域とし、受信部が「内視鏡スコープの種別を表すスコープ情報と、内視鏡プロセッサの設定を表すプロセッサ情報と」「を受信」し、記憶部が「トリミング領域と、前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報とを関連づけて記憶」し、処理部が「前記スコープ情報及び前記プロセッサ情報を用いて前記記憶部から前記トリミング領域を読み出し、前記トリミング領域を用いて前記プロセッサ画像から前記スコープ画像を切り出す」ものとすることが、当業者が容易になし得たこととはいえない。

(イ)相違点の判断のまとめ
よって、相違点1について検討するまでもなく、相違点2及び3について当業者が容易になし得たことといえない。


イ 効果について
本願発明1は、例えば、以下の図13及び図14のように、
【図13】

【図14】

トリミング領域が内視鏡スコープの種別を表すスコープ情報と内視鏡プロセッサの設定を表すプロセッサ情報とから決まることから、「情報を含む画像から情報を表示する領域をユーザが削除するのは手間がかかる。」(【0004】)という課題が解決でき、「内視鏡スコープが撮影した画像のみを容易に得ることが可能」(【0005】)となるものである。そして、「スコープ画像をレポートに用いられる画像として、プロセッサ画像とは別にハードディスク114に記憶しておく必要がないため、記憶容量を節約できる。」(【0070】)、「ファイリング装置110がスコープ情報及びプロセッサ情報を記憶しているため、予めトリミング領域を設定しておけば、内視鏡スコープ131の種類及び内視鏡プロセッサ132の設定が変更されても、ユーザがファイリング装置110においてトリミング領域を変更する必要がない。」(【0071】)という効果があるものである。

ウ 小括
よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2?6について
本願発明2?6は、上記第2で述べたように、本願発明1を直接的又は間接的に引用して、本願発明1をさらに限定した発明であるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2?8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明7について
本願発明7は、上記第3で記載したように「内視鏡ファイリング装置が実行する画像処理方法」の発明であり、引用発明と対比すると、本願発明と同様に、上記1(1)オで述べた相違点1?3と同等の技術的内容の相違点を有する発明であるから、上記1(2)で説示したとおり、引用発明及び引用文献2?8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?7は、当業者が引用発明及び引用文献2?8に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-12 
出願番号 特願2014-154009(P2014-154009)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 秀樹荒井 隆一  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 三崎 仁
信田 昌男
発明の名称 内視鏡ファイリング装置、内視鏡システム、及び画像処理方法  
代理人 小倉 洋樹  
代理人 松浦 孝  
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