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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A45D
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A45D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A45D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A45D
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A45D
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A45D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A45D
管理番号 1355194
審判番号 不服2017-14382  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-28 
確定日 2019-09-11 
事件の表示 特願2015-552154「髪切り機器のためのカッターヘッド」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月17日国際公開、WO2014/108783、平成28年 2月18日国内公表、特表2016-504931〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2013年12月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:2013年1月10日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年7月31日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成29年8月8日)、これに対し、平成29年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審により平成30年8月3日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成30年8月7日)、これに対し、平成30年10月15日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成30年12月11日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成30年12月18日)、これに対し、平成31年3月8日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.平成31年3月8日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年3月8日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由I]
(1)補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。
「【請求項1】
髪切り機器のためのカッターヘッドであって、
レーザー発生器と、
前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付ける、ように構成されている光学系と、を含み、
前記レーザー発生器と光学系は、前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザー発生器におけるレンズの開口数が、調節可能であるように構成されており、既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた毛髪が、光吸収によって切断され、
前記焦点の前記寸法は、水平方向の寸法として水平方向の焦点スポットサイズ、および、垂直方向の寸法として垂直方向の焦点スポットサイズ、を含む、
カッターヘッド。
【請求項2】
前記光学系は、
前記開口数が0.8に等しいかそれ以下であるように、構成されている、
請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項3】
前記光学系は、
前記焦点の垂直方向の焦点スポットサイズが0.2mmに等しいかそれ以下であるように、構成されている、
請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項4】
前記光学系は、
前記焦点における前記レーザービームの前記パワー密度が、1000W/cm^(2)に等しいかそれ以上であるように、構成されている、
請求項1乃至3いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項5】
前記レーザー発生器は、
連続的な出力ビームを生成するように、構成されている、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項6】
前記レーザー発生器は、
パルス運転出力ビームを生成するように、構成されている、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項7】
前記レーザー発生器は、
パルスデュレーションが、0.1μsより大きいか等しいように、構成されている、
請求項6に記載のカッターヘッド。
【請求項8】
前記光学系は、
使用の最中に、前記カッターヘッドの中で定められる前記レーザービームの前記光学軸の位置を維持するように、構成されている、
請求項1乃至7いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項9】
前記カッターヘッドは、さらに、
カッティングサーフェスを含み、使用の最中に、ユーザの肌が配置され、かつ、
前記光学軸が、前記カッティングサーフェスに対して実質的に平行に延びる、
請求項1乃至8いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載のカッターヘッドを含む、
髪切り機器。
【請求項11】
髪切り機器のためのカッターヘッドをコントロールするための方法であって、
レーザー発生器と、
前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付ける、ように構成されている光学系と、を含み、
前記レーザー発生器と光学系は、前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザー発生器におけるレンズの開口数、が調節可能であるように構成されており、
前記方法は、
既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた毛髪を光吸収によって切断する、ステップ、
を含み、
前記焦点の前記寸法は、水平方向の寸法として水平方向の焦点スポットサイズ、および、垂直方向の寸法として垂直方向の焦点スポットサイズ、を含む、
方法。」

本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
髪切り機器のためのカッターヘッドであって、
レーザー発生器と、
前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付ける、ように構成されている光学系と、を含み、
前記レーザー発生器と光学系は、既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた毛髪が、光吸収によって切断されるように、前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザービームの開口数が、調節されており、
前記焦点の前記寸法は、水平方向の寸法として水平方向の焦点スポットサイズ、および、垂直方向の寸法として垂直方向の焦点スポットサイズ、を含む、
カッターヘッド。
【請求項2】
前記光学系は、
前記開口数が0.8に等しいかそれ以下であるように、構成されている、
請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項3】
前記光学系は、
前記焦点の垂直方向の焦点スポットサイズが0.2mmに等しいかそれ以下であるように、構成されている、
請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項4】
前記光学系は、
前記焦点における前記レーザービームの前記パワー密度が、1000W/cm^(2)に等しいかそれ以上であるように、構成されている、
請求項1乃至3いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項5】
前記レーザー発生器は、
連続的な出力ビームを生成するように、構成されている、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項6】
前記レーザー発生器は、
パルス運転出力ビームを生成するように、構成されている、
請求項1乃至4いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項7】
前記レーザー発生器は、
パルスデュレーションが、0.1μsより大きいか等しいように、構成されている、
請求項6に記載のカッターヘッド。
【請求項8】
前記光学系は、
使用の最中に、前記カッターヘッドの中で定められる前記レーザービームの前記光学軸の位置を維持するように、構成されている、
請求項1乃至7いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項9】
前記カッターヘッドは、さらに、
カッティングサーフェスを含み、使用の最中に、ユーザの肌が配置され、かつ、
前記光学軸が、前記カッティングサーフェスに対して実質的に平行に延びる、
請求項1乃至8いずれか一項に記載のカッターヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載のカッターヘッドを含む、
髪切り機器。
【請求項11】
髪切り機器のためのカッターヘッドをコントロールするための方法であって、
レーザー発生器と、
前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付ける、ように構成されている光学系と、を含み、
前記レーザー発生器と光学系は、前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザービームの開口数、が調節され、
前記方法は、
既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた毛髪を光吸収によって切断する、ステップ、
を含み、
前記焦点の前記寸法は、水平方向の寸法として水平方向の焦点スポットサイズ、および、垂直方向の寸法として垂直方向の焦点スポットサイズ、を含む、
方法。」


(2)目的要件
本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。また、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。
本件補正前後で請求項数は11で同じであり、又、本件補正前後で請求項1-9はカッターヘッドに係るもの、本件補正前後で請求項10は髪切り機器に係るもの、本件補正前後で請求項11は方法に係るものであり、又、本件補正前後で先行する請求項の引用関係は同じであるから、本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項1に対応するものとして検討する。

(2-1)本件補正前の請求項1は、開口数はレンズの開口数であったものが、本件補正後の請求項1は、開口数はレーザービームの開口数である。
そうすると、本件補正前の請求項1の、レーザービームの焦点における、焦点の寸法、レーザービームのパワー密度、および、レーザー発生器におけるレンズの開口数の構成をどの様に限定しても、本件補正後の請求項1の、レーザービームの開口数とはならないから、本件補正は、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものには該当しない。請求項11も同様である。

(2-2)本件補正前の請求項1には、「前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザー発生器におけるレンズの開口数が、調節可能であるように構成されており」とあり、本件補正前の請求項1に係るカッターヘッドは、レーザービームの焦点において、焦点の寸法、レーザービームのパワー密度、および、レーザー発生器におけるレンズの開口数が、調節可能であったのに対し、本件補正後の請求項1には、「前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザービームの開口数が、調節されており」とあり、本件補正後の請求項1に係るカッターヘッドは、レーザービームの焦点において、焦点の寸法、レーザービームのパワー密度、および、レーザービームの開口数が、既に調節済みであって、固定されたものをも包含するものとなっている。
そうすると、本件補正前の請求項1の、レーザービームの焦点における、焦点の寸法、レーザービームのパワー密度、および、レーザー発生器におけるレンズの開口数が、調節可能である構成をどの様に限定しても、本件補正後の請求項1の、レーザービームの焦点における、焦点の寸法、レーザービームのパワー密度、および、レーザービームの開口数が、既に調節されている構成とはならないから、本件補正は、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものには該当しない。請求項11も同様である。

したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また、本件補正が、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。


(3)したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


[理由II]
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の請求項に記載されたものが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)特許法第36条第4項、第6項について
請求項1に「前記レーザービームの開口数が、調節されており」とあるが、通常開口数はレンズの分解能を求めるための指標であり、レーザービームの開口数とはどの様なものか明細書を参照しても構成を特定できず不明である。
明細書【0056】にレーザービームの開口数の定義式が記載されており、それによると当該開口数は光の真空波長に比例し焦点のビームの直径に反比例することとなる。明細書【0057】の記載によれば、レーザービームの開口数は小さい方が効率上好ましいから、光の波長が短いもの、焦点の径が大きいものが良いこととなるが、通常のカッターであれば光の波長は決まっているから、レーザービームの開口数を小さくするためには焦点の径を大きくすることとなるが、焦点の径を大きくすれば、焦点の寸法を小さくする(【0052】参照)ことと背反するから、何故レーザービームの開口数を小さくすることが好ましいのか不明である。また、可視光の波長は400-800nmであり、焦点の径を0.2mm(請求項3参照)としても、レーザービームの開口数は0.8の様な値にはならず、具体的にどの様な数値を用いるとレーザービームの開口数が0.8や0.6となるのか不明である。
なお、請求項1を引用する請求項2-10及び請求項11も同様である。

したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-11の記載は、明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(2)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、上記した平成30年10月15日付手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。


(1)最後の拒絶の理由
当審の平成30年12月11日付の最後の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「平成30年10月15日付でした手続補正は、下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下、翻訳文等という)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。


(1)請求項1には、「前記レーザー発生器におけるレンズの開口数」とあるから、開口数はレンズに関するものとなる。
そこで、当該補正が、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
開口数に関し、翻訳文等には、
a「【請求項1】髪切り機器のためのカッターヘッドであって、
レーザー発生器と、
前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付ける、ように構成されている光学系と、を含み、
前記レーザー発生器と光学系は、前記レーザービームの焦点において、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザービームの開口数が、
毛髪が前記カッティングゾーンの中に受け入れられた場合に、前記レーザー発生器のパワー出力が最小化され、一方で、既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた前記毛髪が、光吸収によって切断される、
ように構成されている、
カッターヘッド。
【請求項2】
前記光学系は、
前記開口数が0.8に等しいかそれ以下であるように、望ましくは、0.6に等しいかそれ以下であるように、さらに望ましくは、0.4に等しいかそれ以下であるように、構成されている、
請求項1に記載のカッターヘッド。」
b「【請求項15】
髪切り機器のためのカッターヘッドをコントロールするための方法であって、
レーザー発生器と、
前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付ける、ように構成されている光学系と、を含み、
前記方法は、
前記レーザービームの焦点において、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザービームの開口数を、
毛髪が前記カッティングゾーンの中に受け入れられた場合に、前記レーザー発生器のパワー出力が最小化され、一方で、既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた前記毛髪が、光吸収によって切断される、
ように設定するステップ、
を含む、方法。」
c「本発明に従って、髪切り機器のためのカッターヘッドが提供される。髪切り機器のためのカッターヘッドは、レーザー発生器と、前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付けるように構成されている光学系と、を含み、前記レーザー発生器と光学系は、前記レーザービームの焦点において、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度および前記レーザービームの開口数が、毛髪が前記カッティングゾーンの中に受け入れられた場合に、前記レーザー発生器のパワー出力が最小化され、一方で、既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた前記毛髪が、光吸収によって切断されるように構成されている。
前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度および前記レーザービームの開口数のうち一つまたはそれ以上を構成することによって、髪切りプロセスを妨げる数多くの寄生的な物理的および化学的な現象を最小化または除去することができる。既定のパラメータを選定することによって、カッティングゾーンの中に受け入れられた毛髪が最大効率で切断されることを確保することができる。
前記光学系は、前記開口数が0.8に等しいかそれ以下であるように、望ましくは、0.6に等しいかそれ以下であるように、さらに望ましくは、0.4に等しいかそれ以下であるように構成されてよい。」(【0009】-【0011】)
d「本発明の別の実施例に従って、カッターヘッドを含む髪切り機器が提供される。本カッターヘッドは、レーザー発生器と、前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付けるように構成されている光学系と、を含み、前記レーザー発生器と光学系は、前記レーザービームの焦点において、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度および前記レーザービームの開口数が、毛髪が前記カッティングゾーンの中に受け入れられた場合に、前記レーザー発生器のパワー出力が最小化され、一方で、既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた前記毛髪が、光吸収によって切断されるように構成されている。」(【0031】)
e「本発明の別の態様に従って、髪切り機器のためのカッターヘッドをコントロールするための方法が提供される、本方法は、レーザー発生器と、前記レーザー発生器によって生成されたレーザービームをフォーカスし、かつ、前記カッターヘッドの中のカッティングゾーンを横切って光学軸に沿って前記レーザービームを方向付けるように構成されている光学系と、を含む。前記方法は、前記レーザービームの焦点において、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザービームの開口数を、毛髪が前記カッティングゾーンの中に受け入れられた場合に、前記レーザー発生器のパワー出力が最小化され、一方で、既定の照射時間について、前記カッティングゾーンの中に受け入れられた前記毛髪が、光吸収によって切断される、ように設定するステップ、を含む。」(【0033】)
f「実験は、既定の閾値以下のカッティングゾーン8におけるレーザービーム4の開口数(numerical aperture)を提供することが、最大効率を伴って髪を切るように動作することを示してきた。ガウス型レーザービームの開口数は、以下により、焦点におけるスポットサイズに関連する。
【数4】 NA=λ0/πw0
ここで、λ0は、光の真空波長であり、
w0は、焦点におけるビームの直径である。
0.8に等しいかそれ以下の開口数を提供することが最も効率的であることが見い出されてきた。しかしながら、望ましくは、開口数は、0.6に等しいかそれ以下であり、さらに望ましくは、0.4に等しいかそれ以下である。所与の特性の開口数を提供することによって、毛髪の中央部に焦点が合っている一方で、レーザーの焦点から外れている毛髪の部分を制限することが可能である。大き過ぎる開口数を選択することによって引き起こされるだろうからである。
焦点15のサイズは、その開口数と共に、上述のように、ビーム4の効率を最大化するように選択される。切断されるべき毛髪のより小さい領域にレーザービームを集中すること、および、光吸収率を増加することによって髪を切るためでる。」(【0056】-【0058】)
g「レーザー発生器2および光学系のためのパラメータの一つの実施例が、以降に提供される。一つの装置において、レーザー発生器2は、3ワット、445nmのレーザーダイオードである。レーザーダイオードは、10msのパルス長でパルスモードにおいて運転される。発せられる楕円形のレーザービーム4は、光学系3によってフォーカスされる。光学系3は、30mmの平凸レンズ(planar convex lens)を含んでいる。そうした装置を用いて、レーザービームは、4mm開口径から効率的なカッティング焦点へとフォーカスされる。水平方向の焦点スポットサイズ値は、約0.2mmであり、かつ、垂直方向の焦点スポットサイズ値は、約0.02mmである。この装置の開口数は0.1より小さい。この装置におけるカッティングゾーン8の幅は12.5mmであり、全ての範囲において有効なレーザービームを伴うものである。この装置において、上記のパラメータは、焦点において約1063W/cm2のパワー密度を提供する。」(【0064】)とあるように、開口数がレーザービームの開口数であることはeに式4の定義式を用いてまで説明がなされているが、開口数がレンズの開口数であることは翻訳文等に記載も示唆もない。
したがって、「前記レーザー発生器におけるレンズの開口数」は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。
請求項11も同様である。

(2)請求項1には、「前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザー発生器におけるレンズの開口数が、調節可能であるように構成されており」とあるから、レーザービームの焦点において、焦点の寸法、レーザービームのパワー密度、および、レーザー発生器におけるレンズの開口数が、誰でも(カッターヘッドの製造者、販売者、使用者等の誰でも)調節可能であることとなる。
そこで、当該補正が、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
翻訳文等には、a?gに加え、
h「上記のパラメータは、毛髪の中央に焦点が合っている一方で、レーザーの焦点が外れている毛髪の部分が切断されるのを防いでいる。」(【0012】)
i「カッティングサーフェスを提供することで、ユーザの肌がカッティングゾーンに入ることを防いでいる。従って、レーザーがユーザの肌に向かう方向に方向付けされている場合のために、設定されたパラメータの中に特性を維持することは必要でない。このことは、最大の効率で毛髪を切断するようにレーザービームのパラメータを設定することができることを意味する。」(【0024】)
j「レーザー吸収によって成功裡に髪を切るためには、レーザーが既定のパラメータの中で動作することが必要であることが理解されよう。レーザー吸収を伴って、毛髪の一部は、カッティングゾーンの中のレーザービームに曝される。レーザービームに曝された毛髪の部分は、蒸気化され、及び/又は、切断される。」(【0045】)
k「光吸収によって駆動される熱レーザーシェービングにおいては、毛髪の一片を蒸気化させることによって髪を切る。毛髪切断プロセスを妨げる数多くの寄生的な物理的および化学的現象が生じることが理解されよう。こうした物理的および化学的現象は、既定のパラメータを選定することで最小化され得ることが、実験によって、見い出されてきた。そうしたパラメータは、カッティングゾーンの中に受け入れられた毛髪が、最大の効率をもって切断されることを確保する。」(【0047】)
l「実験は、レーザー発生器2をパルス運転(pulsed opration)モードで構成することが、髪切りのオペレーション効率を最大化するように動作することを示してきた。レーザー発生器2を、0.1マイクロ秒(μs)より大きいか等しいパルスデュレーション(duration)、望ましくは、1マイクロ秒(μs)より大きいか等しいパルスデュレーション、より望ましくは、100マイクロ秒(μs)より大きいか等しいパルスデュレーションで動作するように構成することで、寄生的なプラズマ生成を最小化する一方で、光吸収によって髪切りすることが可能であることが見い出されてきた。」(【0061】)
m「上記のパラメータの組み合わせを提供することによって、カッティングゾーン8の中に受け入れられた髪を切る効率を最大化するようにシナジー効果(synergestic effect)が生じることが見い出されてきた。実験は、上記のパラメータのいくつか又は全ての組み合わせを提供することによって、プラズマ生成のあまりに高い頻度での発生を防ぐことができることを示してきた。このことは、プラズマが、吸収中心を形成して、髪切りプロセスに貢献し得る発光の断片を低減することを妨げる。従って、髪切りプロセスの効率が最大化される。これによって、機器の所要電力を最小化することができる。このことは、ポータブル電源が使用されるハンドヘルドシェーバーにおいて、特に重要である。」(【0063】)
n「上記の説明により、閾値の範囲は、レーザー発生器のパワー出力が最小化されることを確保しながら、カッティングゾーンにおいて光吸収による切断を成功裡に達成するために提供されることに留意する。つまり、光吸収による髪切りを妨げるように発生し得る寄生的な物理的および化学的な現象を最小化することによるものである。しかしながら、所与の閾値に対して、光吸収による所望の切断効果を達成するために、レーザー発生器2および光学系3に係る他のパラメータを定めることが可能であることが理解されよう。」(【0065】)
o「上記の装置それぞれによって、パラメータ(つまり、図1に関して上記に説明されたもの)を適用して、レーザー発生器のパワー出力が最小化されることを確保しながら、カッティングゾーン8の中に受け入れられた毛髪が光吸収によって切断されることを確保することが可能であることが理解されよう。」(【0069】)
p「上記に説明された実施例においては、レーザー発生器がパルス運転モードで動作するように構成されているが、代替的な実施例においては、レーザー発生器が、連続波形CWモードで動作するように構成されることが理解されよう。レーザー発生器を連続波形モードで動作させることによって、髪切り機器の動作に係る簡潔な手段が提供される。」(【0073】)
とあるように、レーザーが既定のパラメータの組み合わせを変えれば効率化が図れること、及び、使用時のモードがパルス運転モード又は連続波形モードであることは記載はあるが、レーザービームの焦点において、焦点の寸法、レーザービームのパワー密度、および、レーザー発生器におけるレンズの開口数が、誰でも調節可能であることは翻訳文等に記載も示唆もない。
したがって、「前記レーザービームの焦点における、前記焦点の寸法、前記レーザービームのパワー密度、および、前記レーザー発生器におけるレンズの開口数が、調節可能であるように構成されており」は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。
請求項11も同様である。」

(2)当審の最後の拒絶の理由についての判断
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項は、平成31年3月8日付意見書を参照しても、「3.(1)」に示したとおり、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではない。請求項11も同様である。
したがって、平成30年10月15日付でした手続補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


(3)むすび
したがって、平成30年10月15日付でした手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-03-28 
結審通知日 2019-04-09 
審決日 2019-04-26 
出願番号 特願2015-552154(P2015-552154)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (A45D)
P 1 8・ 537- WZ (A45D)
P 1 8・ 536- WZ (A45D)
P 1 8・ 572- WZ (A45D)
P 1 8・ 537- WZ (A45D)
P 1 8・ 536- WZ (A45D)
P 1 8・ 55- WZ (A45D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 茂  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 堀川 一郎
柿崎 拓
発明の名称 髪切り機器のためのカッターヘッド  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠重  
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