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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 F25B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F25B
管理番号 1355462
審判番号 不服2018-14748  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-06 
確定日 2019-10-08 
事件の表示 特願2016-239706号「空気調和装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年6月21日出願公開、特開2018-96583号、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年12月9日の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。
平成30年 1月10日付け:拒絶理由通知書
平成30年 3月 7日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 7月30日付け:拒絶査定
平成30年11月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成30年7月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1に係る発明は以下の引用文献1ないし6に記載された発明に基いて、本願請求項2ないし4に係る発明は以下の引用文献1ないし8に記載された発明に基いて、本願請求項5に係る発明は以下の引用文献1ないし9に記載された発明に基いて、それぞれその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2016-80317号公報(以下「引用文献1」という。)
2.特開昭60-126535号公報(以下「引用文献2」という。)
3.特開2015-68582号公報(以下「引用文献3」という。)
4.特開2015-68590号公報(以下「引用文献4」という。)
5.特開2014-238179号公報(以下「引用文献5」という。)
6.特開平2-57875号公報(以下「引用文献6」という。)
7.特開2014-169803号公報(以下「引用文献7」という。)
8.特開2014-178110号公報(以下「引用文献8」という。)
9.特開2013-234825号公報(以下「引用文献9」という。)

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(平成30年11月6日提出の手続補正書による補正)は、当該補正前の請求項1及び請求項1を引用する2ないし5に記載された発明を特定するために必要な事項である「室内ユニット」について「暖房運転時に凝縮器ないし放熱器となる室内熱交換器(41)を有した」という限定を付加するものであって、当該補正前の請求項1ないし5に記載された発明と、当該補正後の請求項1ないし5に記載される発明とは産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、当該補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0057】等の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。
そこで、補正後の請求項1ないし5に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものであるか)について、以下検討する。

1 本願発明
本願発明1ないし本願発明5は、平成30年11月6日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。

「 【請求項1】
室外ユニット(20)と、暖房運転時に凝縮器ないし放熱器となる室内熱交換器(41)を有した室内ユニット(40)とが配管で接続されて構成された冷媒回路(11)と、該冷媒回路(11)の動作を制御するコントローラ(80)とを備えた空気調和装置において、
上記室内ユニット(40)は、室内に吹き出す空気(SA)の風量が可変であり、
上記コントローラ(80)は、暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報であって、上記風量が大きいほどより大きな上記下限値が対応づけられたものを室内ユニット(40)の機種に対応づけて取得又は保持し、
上記コントローラ(80)は、上記情報に基づいて上記凝縮温度(Tc)を制御し、
上記室内ユニット(40)は、複数台が設けられており、
上記コントローラ(80)は、接続されたそれぞれの室内ユニット(40)に関する上記情報に含まれる全ての下限値のうちの最大値を凝縮温度(Tc)の下限値として上記冷媒回路(11)を制御することを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記コントローラ(80)は、上記凝縮温度(Tc)が第1閾値(Th1)以下となるように上記冷媒回路(11)を制御することを特徴とする空気調和装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記コントローラ(80)は、上記凝縮温度(Tc)が第2閾値(Th2)以上となるように上記冷媒回路(11)を制御することを特徴とする空気調和装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、
上記コントローラ(80)は、上記情報及び上記凝縮温度(Tc)に基づいて、上記風量を調整することを特徴とする空気調和装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちの何れかにおいて、
上記室内ユニット(40)は、人又は動物の存否を検知するセンサ(43)を備え、
上記コントローラ(80)は、上記センサ(43)の検出の結果が不存在を示す場合には、
上記凝縮温度(Tc)が第3閾値(Th3)以下となるように、上記情報に基づいて上記風量を選択するとともに、選択した風量に対応する凝縮温度(Tc)を下限値として上記冷媒回路(11)を制御するモードを優先することを特徴とする空気調和装置。」

2 引用文献の記載、引用発明等
(1)引用文献1
ア 原査定の理由に引用された引用文献1には、「空気調和装置」に関して、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付したものである。以下同様。)
「【0001】
本発明は、空気調和装置に関するものである。」

「【0006】
上記の課題を解決するため、第1の発明は、
設定に応じて室内に吹き出す空気(SA)の風量が可変する室内ユニット(12)と、
圧縮機(21)を有し、冷媒が充填された冷媒回路(20)と、
暖房運転時に上記冷媒の凝縮温度(Tc)を所定の下限値(Tcs)以上に維持しつつ、上記圧縮機(21)の回転速度を制御する制御部(32)と、を備え、
上記制御部(32)は、暖房運転時において、上記設定に対応する風量がより小さいほど、より小さな値の上記下限値(Tcs)に基づいて上記圧縮機(21)の回転速度を制御する制御モードを有していることを特徴とする。
【0007】
この構成では、風量がより小さいほど、より小さな値の下限値(Tcs)に基づいて圧縮機(21)の回転速度を制御する制御モードを有している。そのため、風量が小さいほど、より大きな省エネルギー効果を期待できる。また、風量に応じて、凝縮温度(Tc)の下限値(Tcs)を選択するので、コールドドラフトの低減にも繋がる。」

「【0018】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る空気調和装置(10)の配管系統図である。図1に示すように、空気調和装置(10)は、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、室内制御部(31)、室外制御部(32)、及びリモートコントローラ(40)を備えている。
【0019】
空気調和装置(10)では、室外ユニット(11)と室内ユニット(12)が、液側連絡配管(13)、及びガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されており、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)、及びガス側連絡配管(14)によって、冷媒回路(20)が形成されている。」

「【0025】
-室内ユニット(12)-
図2は、室内ユニット(12)の斜視図である。また、図3は、室内ユニット(12)の縦断面図である。室内ユニット(12)は、空気調和を行う室内、より詳しくは、天井に取り付けられている。図2、及び図3に示すように、室内ユニット(12)は、ケーシング(12a)を備えている。ケーシング(12a)には、室内熱交換器(25)、及び室内ファン(16)が収容されている。」

「【0031】
一般的に空気調和装置は、起動時に多くの電力を必要とする。そのため、空気調和装置(10)でも、例えば暖房運転時に圧縮機(21)の発停回数を抑えて、圧縮機(21)を負荷に見合った低能力(低い回転速度)で継続的に運転させれば、効果的に省エネルギーを図ることができる。しかしながら、暖房運転時に圧縮機(21)の回転速度が下がると、冷媒の凝縮温度(Tc)も下がって、室内ユニット(12)が吹き出す空気(SA)の温度も下がることになる。そのため、省エネルギーのために、圧縮機(21)の回転速度を単に下げるのでは、いわゆるコールドドラフト(冷風感)をユーザに与えてしまう恐れがある。
【0032】
そこで、室外制御部(32)は、暖房運転時には、冷媒の凝縮温度(Tc)を所定の下限値(Tcs)以上に維持することによって、ユーザの快適性を確保しつつ、圧縮機(21)の回転速度の制御を行う。凝縮温度(Tc)の下限値(Tcs)は、一般的な空気調和装置では、固定値(例えば42℃)であるが、本実施形態では、後に詳述するように、室内に吹き出す空気(SA)の風量に応じて下限値(Tcs)を可変している。」









イ 上記アの記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献1に記載された技術は、空気調和装置に関するものである(段落【0001】を参照。)。
b 空気調和装置(10)は、室外ユニット(11)、室内熱交換器(25)が収容される室内ユニット(12)及び室外制御部(32)を備える。(段落【0018】を参照。)。
c 室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)及びガス側連絡配管(14)によって冷媒回路(20)が形成される(段落【0019】を参照。)
d 室内ユニット(12)は、設定に応じて室内に吹き出す空気(SA)の風量が可変する(段落【0006】を参照。)。
e 室外制御部(32)は、暖房運転時において、風量がより小さいほど、より小さな値の冷媒の凝縮温度の下限値に基づいて圧縮機(21)の回転速度を制御し、凝縮温度を当該下限値以上に維持する(段落【0006】及び【0032】を参照。)。

ウ 上記ア及びイから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「室外ユニット(11)、室内熱交換器(25)が収容される室内ユニット(12)及び室外制御部(32)を備える空気調和装置(10)であって、
室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)及びガス側連絡配管(14)によって冷媒回路(20)が形成され、
室内ユニット(12)は、設定に応じて室内に吹き出す空気(SA)の風量が可変するものであり、
室外制御部(32)は、暖房運転時において、風量がより小さいほど、より小さな値の冷媒の凝縮温度の下限値に基づいて圧縮機(21)の回転速度を制御し、凝縮温度を当該下限値以上に維持する、空気調和装置(10)。」

(2)引用文献2
原査定の理由に引用された引用文献2には、「空気調和機の制御装置」に関して、図面とともに次の記載がある。
「この発明は上記した点を鑑みてなされたものであり,ファン駆動用モータの回転数をモータ制御手段によりデューティ制御または位相角制御し,あらかじめ複数の機種に対応してそれぞれ複数種の風量段が記憶されている記憶部及び所望の風量段に対する信号が入力されるとこの記憶部から入力された信号に基づく風量に対する信号を選定し,その選定された信号に基づく制御信号を発生する制御信号発生部を有する制御信号発生手段を設け,この制御信号発生手段からの制御信号によりモータ制御手段を制御するようにして,空気調和機の能力が異なったものに対しても同じファン駆動用モータが使用でき,ファン駆動用モータの標準化,原低が図れる空気調和機の制御装置を提案するものである。」(第2ページ右上欄第4ないし18行)

(3)引用文献3
原査定の理由に引用された引用文献3には、「空気調和機」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【0013】
請求項1記載の発明は、運転モードにより凝縮器又は蒸発器として作用する室内熱交換器と、同様の室外熱交換器と、運転モードを切換える四方弁と、冷媒の圧縮機と、絞り膨張用の電子膨張弁と、電子膨張弁の開度を制御する室外機制御部とを備えた空気調和機において、前記室外熱交換器に設けられた室外熱交温度センサと、前記室内熱交換器に設けられた室内熱交温度センサと、前記圧縮機に設けられた吐出温度センサとを具備し、前記室外機制御部は、前記蒸発器で検出された蒸発温度Teと前記凝縮器で検出された凝縮温度Tcとからモリエル線図上で冷凍サイクルが最適となるように、実験により求められた過熱度SHを記憶する記憶手段と、前記蒸発温度Teと、前記凝縮温度Tcと、前記過熱度SHとを用いて理論サイクルの吐出温度Trdを算出する算出手段と、前記吐出温度Trdに、圧縮機効率、熱損失の誤差要因を、前記凝縮温度Tcと前記圧縮機の運転しているときの回転数Nにより算出した補正値Thdを加算して目標吐出温度Tmdを算出する算出手段と、さらに、前記目標吐出温度Tmdに、室内機形態による補正値Thtを加算して前記圧縮機の最終目標吐出温度Tmd2を算出する算出手段とからなり、前記圧縮機の吐出温度Tdが前記最終目標吐出温度Tmd2に近づくように、前記電子膨張弁の開度を調節するように制御したので、室外機と室内機を1対1で接続するシングル接続において、接続される室内機の種類が複数あり、これらの室内機の種類によって熱交容量、風量、形態等の仕様が異なる場合、一方の室内機を接続した場合の暖房時に、最適な吐出温度に制御しつつ、もう一方の熱交容量、風量、形態等の異なる室内機を接続した場合、凝縮圧を機種に応じて適正な制御ができる。したがって、従来のような吐出温度が高めの設定となったり、電子膨張弁の絞りすぎになったり、過負荷保護で断続運転となってしまったり、凝縮器出口が過冷却領域になってしまうような不都合を防止し、複数の室内熱交換器毎の適正な制御ができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、室内機形態による補正値Thtは、少なくとも室内機熱交容量Yに基づいて算出したので、室内機熱交容量Yの異なる機種を接続する場合、圧縮機の回転数を変動させる等の容量制御を行うことなく接続することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、室内機形態による補正値Thtは、室内機熱交容量Yと室内機風量Hに基づいて算出したので、室内機熱交容量Yと室内機風量Hの異なる機種を接続する場合、これら熱交容量Yと風量Hを機種毎に変動することなく接続することができる。」

(4)引用文献4
原査定の理由に引用された引用文献4には、「空調システム及びその制御方法」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【請求項1】
同一室内空間に設置され、それぞれに利用側熱交換器(42,52,62)を含み、個別に設定温度を設定可能な複数の室内機(40,50,60)と、
複数の前記利用側熱交換器に循環する冷媒の熱交換を行なう熱源側熱交換器(23)を含む室外機(20)と、
前記同一室内空間の温度制御を前記設定温度に応じて予め設定されているサーモオン条件を使って前記室内機毎に行なわせ、複数の前記室内機にサーモオンしているものとサーモオフしているものが混在しかつ所定条件を満たしたときにサーモオフしている前記室内機のサーモオン条件を緩めるように構成されている制御装置(37,47,57,67,80)と、を備える、空調システム。
【請求項2】
前記制御装置は、サーモオフ条件を変更しないでサーモオン条件を緩める、
請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記制御装置は、複数の前記室内機からの空調能力の増加要求のうち最も高い増加要求を満たすように前記室外機の運転条件を決定する、
請求項1又は請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記利用側熱交換器の要求蒸発温度又は要求凝縮温度を前記室内機毎に演算する要求温度演算部と、前記要求温度演算部において演算された複数の前記室内機の前記要求蒸発温度のうちの最小値に基づいて目標蒸発温度を決定し、又は前記要求温度演算部において演算された複数の前記室内機の前記要求凝縮温度のうちの最大値に基づいて目標凝縮温度を決定する目標値決定部とを有する、請求項3に記載の空調システム。」

(5)引用文献5
原査定の理由に引用された引用文献5には、「空気調和機の制御装置」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【請求項1】
圧縮機を有する室外機と、前記室外機に冷媒回路を介して接続され室内熱交換器を有する複数台の室内機とを備えた空気調和機の制御装置であって、
前記複数台の室内機毎に、前記室内機の設定温度及び吸込空気温度に基づいて、暖房運転の場合は、前記室内熱交換器における冷媒の目標凝縮温度を、冷房運転の場合は、前記室内熱交換器における冷媒の目標蒸発温度を、演算し、
暖房運転の場合は、前記演算手段により演算された前記複数台の室内機の前記目標凝縮温度の最大値を、冷房運転の場合は、前記演算手段により演算された前記複数台の室内機の前記目標蒸発温度の最小値を、前記圧縮機を制御するための制御目標値として設定し、
暖房運転の場合は、前記室内熱交換器における冷媒の凝縮温度が前記制御目標値となるように、前記圧縮機の周波数を制御し、冷房運転の場合は、前記室内熱交換器における冷媒の蒸発温度が前記制御目標値となるように、前記圧縮機の周波数を制御する、空気調和機の制御装置。」

(6)引用文献6
原査定の理由に引用された引用文献6には、「空気調和装置の運転制御装置」に関して、図面とともに次の記載がある。
「2. 特許請求の範囲
(1) 容量可変形圧縮機(1)、サイクル切換機構(2)、熱源側熱交換器(3)および該熱源側熱交換器(3)用の第1減圧機構(4)を有する室外ユニット(X)に対して、利用側熱交換器(7)および該利用側熱交換器(7)用の第2減圧機構(6)を有する複数組の室内ユニット(A)?(C)を並列に接続してなる空気調和装置において、各室内ユニット(A)?(C)ごとに、上記各利用側熱交換器(7)における冷媒の気液差温を検出する気液差温検出手段(50)と、各室内の要求能力を検出する要求能力検出手段(Th1)と、該要求能力検出手段(Th1)の出力を受け、上記気液差温検出手段(50)で検出される気液差温が要求能力に相当する値に収束するように、上記第2減圧機構(6)の開度を制御する開度制御手段(51)と、上記要求能力検出手段(Th1)の出力を受け、要求能力に相当する要求物理状態量を演算する演算手段(52)とを備えるとともに、室外ユニット(X)に、冷媒の物理状態量を検出する物理状態量検出手段(Pe又はPc)と、上記各室内ユニット(A)?(C)の演算手段(52)?(52)で演算された要求物理状態量のうち最大要求能力に相当する最適物理状態量を選択する選択手段(53)と、上記選択手段(53)で選択された最適物理状態量に基づき圧縮機(1)の運転容量を制御する容量制御手段(54)とを備えたことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。」

(7)引用文献7
原査定の理由に引用された引用文献7には、「冷凍サイクル装置の熱源ユニット、及び、その制御方法」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【0055】
実施の形態1では、冷媒循環回路4の運転中において、回転数検出センサー41で検出される回転数Nに基づいて、シャッター開度Sが制御される。実施の形態2では、冷媒循環回路4の運転中において、凝縮温度又は蒸発温度に基づいて、シャッター開度Sが制御される。
<空気調和装置の動作>
以下に、実施の形態2に係る空気調和装置の動作について説明する。
(冷媒循環回路の運転中の制御装置の動作)
図10は、本発明の実施の形態2に係る空気調和装置の、冷媒循環回路の運転中の制御装置の動作フローを示す図である。なお、図10では、冷媒循環回路4が冷房運転を行っている場合を示しているが、暖房運転を行っている場合であっても同様である。
【0056】
図10に示されるように、冷媒循環回路4の冷房運転中に、制御装置51は、S301において、配管温度センサー32で検出される熱源側熱交換器13の配管温度を受信して、凝縮温度Tcを取得し、S302に進む。制御装置51は、配管温度センサー32で検出される配管温度を常時受信してもよく、凝縮温度Tcのモニタリングの指令があった時のみ受信してもよい。
【0057】
制御装置51は、S302において、凝縮温度Tcが基準となる下限凝縮温度Tc_(Lo)と比べて小さいか否かを判定する。小さければ、S304に進み、そうでなければS303に進む。制御装置51は、S303において、凝縮温度Tcが基準となる上限凝縮温度Tc_(Hi)と比べて大きいか否かを判定する。大きければ、S307に進み、そうでなければS306に進む。基準となる下限凝縮温度Tc_(Lo)及び基準となる上限凝縮温度Tc_(Hi)は、冷媒循環回路4の運転状態に応じて設定される。凝縮温度Tcが、複数回取得され、その平均値が用いられてもよい。」

(8)引用文献8
原査定の理由に引用された引用文献8には、「冷凍空調装置」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【0026】
ステップS6では冷凍サイクル2の圧力検出器23aもしくは23cで検出した圧力から換算した凝縮温度が熱源機1の運転範囲内にあるか否か判断する。そして、ステップS6にて凝縮温度が熱源機1の運転範囲内にあると判断されれば、処理をステップS10に移す。また、ステップS6にて凝縮温度が熱源機1の運転範囲内にないと判断されれば、次に凝縮温度は上限値を超えたか否かをみて(ステップS7)、凝縮温度が上限値を超えたと判断されれば、該当する冷凍サイクル2の圧縮機3の運転容量を減じ、それ以外の冷凍サイクル2の圧縮機3の運転容量を増加させてから(ステップS8)、処理をステップS10に移す。
【0027】
ステップS7にて凝縮温度は上限値を超えていないと判断されれば、凝縮温度は下限値以下であると断定して該当する冷凍サイクル2の圧縮機3の運転容量を増加させ、それ以外の冷凍サイクル2の圧縮機3の運転容量を減少させてから(ステップS9)、処理をステップS10に移す。」

(9)引用文献9
原査定の理由に引用された引用文献9には、「空気調和機」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【0046】
次に、この実施の形態1によるさらに別の例を説明する。図6はこの発明の実施の形態1による別の例を示す空気調和機の全体構成図である。図7はこの発明の実施の形態1による別の例の空気調和機の暖房運転の動作を説明するフローチャートである。上記の例と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。この例では上記の例に対し、図6に示すように室内機2に空調を行なう部屋の床等の温度を検出したり、人の存在を検出可能な人検知手段の一例である赤外線センサ17を備えている。赤外線センサ17による人検知の仕組や構成については製品化されている例も多く詳細に説明しないが、人の温度と部屋の温度との温度差を赤外線センサ17で検出して、人が部屋に居るか不在かを検出するようにしている。
【0047】
そして、上記の実施の形態の例では第一の暖房運転モードである暖房通常運転モードと、第二の暖房運転モードである暖房連続運転優先モードとの切替えを使用者が操作部5で選択するものを示したが、この例では図7のフローチャートで示すように、ステップ101bで赤外線センサ17により人の存在の有無を検出し、人が居る場合にはステップ102へと移行して通常の暖房運転を行い、人が居ない場合にはステップ104で暖房連続運転優先が可能か判断するように移行する。なお、図7のフローチャートでは図3のフローチャートとはステップ101b部分のみが異なりステップ100及びステップ102?107は図3のフローチャートと同じであり、同じステップについては詳細な説明は省略する。
【0048】
上記の実施の形態で説明したように、暖房連続運転優先モードは暖房通常運転モードより暖房能力を低く抑制して運転することにより室外熱交換器8への着霜を抑制してし暖房を連続して行えるとともに、特に、圧縮機6の運転に必要な消費電力も少なくなるので、運転効率のよい空気調和機が得られるようになる。つまり、人が不在の場合には省エネ運転をすることができるものが得られるという効果もある。
【0049】
また、上記実施の形態では暖房通常運転モードと暖房連続運転優先モードの切替を選択手段(操作部)5又は人検知手段(赤外線センサ)17で行なうものを示したが、選択手段(操作部)5と人検知手段(赤外線センサ)17を組み合わせて、人が居る場合には選択手段5で選択した暖房連続運転優先モード又は暖房通常運転モードで運転し、人がいない場合には暖房連続運転優先モードで運転するようにして、さらに省エネな運転ができるようにしてもよい。」

3 本願発明と引用発明との対比・判断
(1)本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「室外ユニット(11)」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明1における「室外ユニット(20)」に相当し、以下同様に、「室内ユニット(12)」は「室内ユニット(40)」に、「室外制御部(32)」は「コントローラ(80)」に、「液側連絡配管(13)及びガス側連絡配管(14)」は「配管」に、「空気調和装置(10)」は「空気調和装置」に、それぞれ相当する。

イ 引用発明における「室内熱交換器(25)」は、「室内ユニット(12)」に「収容される」ものであり、暖房運転時に凝縮器ないし放熱器となることは明らかであるから、本願発明1における「暖房運転時に凝縮器ないし放熱器となる室内熱交換器(41)」に相当する。

ウ 引用発明における「冷媒回路(20)」は、「室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)及びガス側連絡配管(14)によって」「形成され」るものであるから、本願発明1における「室外ユニット(20)と、暖房運転時に凝縮器ないし放熱器となる室内熱交換器(41)を有した室内ユニット(40)とが配管で接続されて構成された」「冷媒回路(11)」に相当する。

エ 引用発明における「室内ユニット(12)」が「設定に応じて室内に吹き出す空気(SA)の風量が可変する」態様は、本願発明1における「室内ユニット(40)」が「室内に吹き出す空気(SA)の風量が可変であ」る態様に相当する。

オ 引用発明における「室外制御部(32)は、暖房運転時において、風量がより小さいほど、より小さな値の冷媒の凝縮温度の下限値に基づいて圧縮機(21)の回転速度を制御し、凝縮温度を当該下限値以上に維持する」態様は、本願発明1における「コントローラ(80)は、暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報であって、上記風量が大きいほどより大きな上記下限値が対応づけられたものを室内ユニット(40)の機種に対応づけて取得又は保持し、上記コントローラ(80)は、上記情報に基づいて上記凝縮温度(Tc)を制御」する態様と、「上記コントローラ(80)は、暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報であって、上記風量が大きいほどより大きな上記下限値が対応づけられたものを取得又は保持し、上記コントローラ(80)は、上記情報に基づいて上記凝縮温度(Tc)を制御」するという限りにおいて一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「室外ユニット(20)と、暖房運転時に凝縮器ないし放熱器となる室内熱交換器(41)を有した室内ユニット(40)とが配管で接続されて構成された冷媒回路(11)と、該冷媒回路(11)の動作を制御するコントローラ(80)とを備えた空気調和装置において、
上記室内ユニット(40)は、室内に吹き出す空気(SA)の風量が可変であり、
上記コントローラ(80)は、暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報であって、上記風量が大きいほどより大きな上記下限値が対応づけられたものを取得又は保持し、
上記コントローラ(80)は、上記情報に基づいて上記凝縮温度(Tc)を制御する、空気調和装置。」

[相違点1]
「暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報であって、上記風量が大きいほどより大きな上記下限値が対応づけられたもの」について、本願発明1においては、「室内ユニット(40)の機種に対応づけて」取得又は保持するのに対して、引用発明においては、そのような構成が特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1においては、「上記室内ユニット(40)は、複数台が設けられており」、「上記コントローラ(80)は、接続されたそれぞれの室内ユニット(40)に関する上記情報に含まれる全ての下限値のうちの最大値を凝縮温度(Tc)の下限値として上記冷媒回路(11)を制御する」のに対して、引用発明においては、そのような構成が特定されていない点。

上記相違点1及び2は互いに関連するものであるので、以下、これらの相違点についてまとめて検討する。
引用文献2及び3には、上記2(2)及び(3)に記載したとおり、風量を示す情報を機種に対応づけて取得又は保持することが記載されているが、「暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報」を機種に対応づけて取得又は保持することは記載されていない。
したがって、引用発明において引用文献2及び3に記載された事項を適用しても、風量を示す情報が機種に対応づけて取得又は保持されるにとどまり、「暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報」が機種に対応づけて取得又は保持されることを導くことはできない。
また、引用文献4ないし6には、上記2(4)ないし(6)に記載したとおり、複数の室内機において各々要求される凝縮温度の最大値を制御目標の凝縮温度とすることが記載されているが、「全ての下限値のうちの最大値を凝縮温度(Tc)の下限値として上記冷媒回路(11)を制御する」ことについては記載されていない。
したがって、引用発明において引用文献4ないし6に記載された事項を適用しても、複数の室内機において各々要求される凝縮温度の最大値を制御目標の凝縮温度とするにとどまり、「全ての下限値のうちの最大値を凝縮温度(Tc)の下限値として上記冷媒回路(11)を制御する」ことを導くことはできない。
本願発明1は、「暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報」を機種に対応づけることを前提として、さらに、複数の室内ユニットについて取得又は保持される「全ての下限値のうちの最大値を凝縮温度(Tc)の下限値として上記冷媒回路(11)を制御する」ものであり、そのような構成は、引用発明に引用文献2及び3に記載した事項及び引用文献4ないし6に記載した事項を適用したとしても、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

なお、引用文献7ないし9は、原査定において本願発明1に対して引用されたものではないが、引用文献7ないし9に記載された事項を考慮しても、本願発明1が容易に想到し得たものとはいえない。

以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明及び引用文献2ないし9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本願発明2ないし5について
請求項2ないし5は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載したものであるから、本願発明2ないし5は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし5は、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2ないし9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし5は、引用発明及び引用文献2ないし9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本願発明1ないし5が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする他の理由も見当たらない。
したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 原査定について
本願発明1ないし5は「上記コントローラ(80)は、暖房運転時における冷媒の凝縮温度(Tc)の下限値と上記風量との対応関係を示す情報であって、上記風量が大きいほどより大きな上記下限値が対応づけられたものを室内ユニット(40)の機種に対応づけて取得又は保持し、上記コントローラ(80)は、上記情報に基づいて上記凝縮温度(Tc)を制御し、上記室内ユニット(40)は、複数台が設けられており、上記コントローラ(80)は、接続されたそれぞれの室内ユニット(40)に関する上記情報に含まれる全ての下限値のうちの最大値を凝縮温度(Tc)の下限値として上記冷媒回路(11)を制御する」との事項を有するものであり、上記第3の3において検討したとおり、原査定において引用された引用文献1ないし9に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-25 
出願番号 特願2016-239706(P2016-239706)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F25B)
P 1 8・ 575- WY (F25B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲高▼藤 啓  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 大屋 静男
山崎 勝司
発明の名称 空気調和装置  
代理人 特許業務法人前田特許事務所  
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