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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G06Q
管理番号 1355543
審判番号 無効2018-800082  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-07-04 
確定日 2019-09-24 
事件の表示 上記当事者間の特許第6174725号発明「肌状態測定分析情報管理システムおよび肌状態測定分析情報管理方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 理 由
第1 手続の経緯
本件の特許第6174725号についての手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

出願(特願2016-3499号) 平成28年1月12日
(原出願(特願2013-558762号) 平成25年2月15日)
(優先日(特願2012-30020号) 平成24年2月15日)
(優先日(特願2012-265857号) 平成24年12月4日)
設定登録 平成29年7月14日
本件無効審判請求 平成30年7月5日受付
審判事件答弁書提出 平成30年10月25日
審理事項通知 平成31年2月12日付け
口頭審理陳述要領書提出(被請求人) 平成31年3月29日受付
口頭審理陳述要領書提出(請求人) 平成31年4月3日受付
口頭審理 平成31年4月16日


第2 本件発明
特許第6174725号の請求項1乃至14に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、その他の請求項に係る発明も同様に称する。)は、特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。(なお、請求項1の(A)、(B)等の分説記号は、審判請求書において用いられているものを合議体が便宜上付与したものである。)

<本件発明>
「【請求項1】
(A)ユーザーにより使用される肌状態測定装置およびスキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されるとともに、ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアントと、
(B)前記ユーザークライアントに対して前記ネットワークを介してデータの送受信が可能にされ、前記ユーザーに関連する情報を前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客IDに関連付けて記憶するデータ管理サーバと、
(C)前記肌状態測定装置により測定された測定データを分析することにより得られる肌状態の分析結果データが入力され、当該分析結果データを前記ユーザークライアントで表示可能に出力する分析結果出力手段と、
を備え、
前記データ管理サーバは、
(b1)複数の各ユーザークライアントから受信した前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報と前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報を含み、前記顧客IDに関連付けられたユーザーデータが登録されるユーザーデータ用データベースと、
(b2)前記ユーザークライアントから受信した前記肌状態測定装置により測定された前記測定データあるいは前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて登録されるとともに、前記測定データあるいは分析結果データが、当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータとして登録される測定データ用データベースと、
(b3)前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき、前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースに登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信手段と、
(b4)前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データに基づいて前記スキンケア装置の制御方法を決定するスキンケア装置制御方法決定手段と、を備え、
前記ユーザークライアントは、
(a1)前記ユーザーにより入力されるとともに前記個人情報と前記付帯情報を含むユーザーデータを前記データ管理サーバに送信するユーザーデータ送信手段と、
(a2)前記肌状態測定装置により測定された前記ユーザーの前記測定データが当該肌状態測定装置から入力された場合に、入力された前記測定データを前記データ管理サーバに送信する測定データ送信手段と、
(a3)前記測定データに対する前記分析結果データが前記分析結果出力手段から入力された場合に前記分析結果データを表示する分析結果表示手段と、
(a4)前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段と、
(a5)前記データ閲覧要求手段により要求したデータを前記データ管理サーバから受信した場合に、送信されたデータを表示するデータ表示手段とを備え、
(D)前記スキンケア装置は、前記スキンケア装置制御方法決定手段により決定された制御方法に基づいて制御される
(E)ことを特徴とする肌状態測定分析情報管理システム。

【請求項2】
前記データ管理サーバは、
前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果デー夕に基づいて前記スキンケア装置の推奨される使用スケジュールを決定するスキンケア装置使用スケジュール決定手段を備え、
前記ユーザークライアントは、
前記スキンケア装置使用スケジュール決定手段により決定された前記スキンケア装置の推奨される使用スケジュールを前記表示手段に表示するスキンケア装置使用スケジュール表示手段を儲えていることを特徴とする請求項1に記載の肌状態測定分析情報管理システム。

【請求項3】
前記肌状態測定装置が、カメラと肌を接写するコンバージョンレンズとを備え、
前記送受信手段を有する前記ユーザークライアントに前記カメラを内蔵させた携帯端末を有し、
前記カメラが前記携帯端末内部で前記送受信手段とデータの送受信が行えるように接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の肌状態測定分析情報管理システム。

【請求項4】
前記測定データ用データベースには、前記分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて、当該分析結果データの前記取得時期に基づいた前記時系列に応じたデータとして登録されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の肌状態測定分析情報管理システム。

【請求項5】
前記ユーザーデータ用データベースには、前記ユーザークライアントから入力されるとともに前記肌状態測定装置の前記ユーザーが使用している化粧品を特定可能な化粧品データが当該化粧品の使用時期と前記ユーザークライアントから入力された前記顧客IDとに関連付けて前記付帯情報として登録され、
前記ユーザークライアントは、前記測定データ用データベースおよび前記ユーザーデータ用データベースから前記ユーザークライアントから入力された前記顧客IDに関連付けられた前記分析結果データおよび前記化粧品データを、前記分析結果データの前記取得時期と、前記化粧品の前記使用時期とに対応して検索可能とされ、
かつ、検索された前記取得時期に関連付けられている前記分析結果データと、前記取得時期と同じ時期となる前記使用時期に関連付けられている前記化粧品データとを並列に表示可能とされることを特徴とする請求項4に記載の肌状態測定分析情報管理システム。

【請求項6】
前記分析結果データと、前記取得時期と同じ時期となる前記使用時期に関連付けられている前記化粧品データとを並列に表示可能とされ、
前記ユーザーに選択される期間内に含まれる前記取得時期の前記分析結果データを前記取得時期の前記時系列に並べて表示する際に、当該分析結果データの前記時系列に沿った変化の経緯を認識可能な時系列表示と、前記ユーザーに選択される複数の前記取得時期の前記分析結果データを同時に表示することにより、前記取得時期による前記分析結果データの違いを比較可能な比較表示とのうちの少なくとも一方の表示が可能になっていることを特徴とする請求項5に記載の肌状態測定分析情報管理システム。

【請求項7】
前記分析結果出力手段は、前記測定データを分析することにより前記分析結果データを求めて当該分析結果出力手段に入力された状態とする分析手段を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の肌状態測定分析情報管理システム。

【請求項8】
ユーザーにより使用される肌状態測定装置およびスキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されるとともに、ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアントと、
前記ユーザークライアントに対して前記ネットワークを介してデータの送受信が可能にされ、前記ユーザーに関連する情報を前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客IDに関連付けて記憶するデータ管理サーバと、
前記肌状態測定装置により測定された測定データを分析することにより得られる肌状態の分析結果データが入力され、当該分析結果データを前記ユーザークライアントで表示可能に出力する分析結果出力手段と、
を備える肌状態測定分析情報管理システムで行われる肌状態測定分析情報管理方法であって、
前記データ管理サーバは、
複数の各ユーザークライアントから受信した前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報と前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報を含み、前記顧客IDに関連付けられたユーザーデータが登録されるユーザーデータ用データベースと、
前記ユーザークライアントから受信した前記肌状態測定装置により測定された前記測定データあるいは前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて登録されるとともに、前記測定データあるいは分析結果データが、当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータとして登録される測定データ用データベースと、
を備えるとともに、
前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき、前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースに登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信ステップと、
前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データに基づいて前記スキンケア装置の制御方法を決定するスキンケア装置制御方法決定ステップと、
を実行し、
前記ユーザークライアントは、
前記ユーザーにより入力されるとともに前記個人情報と前記付帯情報を含むユーザーデータを前記データ管理サーバに送信するユーザーデータ送信ステップと、
前記肌状態測定装置により測定された前記ユーザーの前記測定データが当該肌状態測定装置から入力された場合に、入力された前記測定データを前記データ管理サーバに送信する測定データ送信ステップと、
前記測定データに対する前記分析結果データが前記分析結果出力手段から入力された場合に前記分析結果データを表示する分析結果表示ステップと、
前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段と、
前記データ閲覧要求手段により要求したデータを前記データ管理サーバから受信した場合に、送信されたデータを表示するデータ表示ステップとを実行し、
前記スキンケア装置は、前記スキンケア装置制御方法決定ステップにより決定された制御方法に基づいて制御されることを特徴とする肌状態測定分析情報管理方法。

【請求項9】
前記データ管理サーバは、
前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果デー夕に基づいて前記スキンケア装置の推奨される使用スケジュールを決定するスキンケア装置使用スケジュール決定ステップを実行し、
前記ユーザークライアントは、
前記スキンケア装置使用スケジュール決定ステップにより決定された前記スキンケア装置の推奨される使用スケジュールを前記表示手段に表示するスキンケア装置使用スケジュール表示ステップを実行することを特徴とする請求項8に記載の肌状態測定分析情報管理方法。

【請求項10】
前記肌状態測定装置が、カメラと肌を接写するコンバージョンレンズとを備え、
前記送受信手段を有する前記ユーザークライアントに前記カメラを内蔵させた携帯端末を有し、
前記カメラが前記携帯端末内部で前記送受信手段とデータの送受信が行えるように接続されていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の肌状態測定分析情報管理方法。

【請求項11】
前記測定データ用データベースには、前記分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて、当該分析結果データの前記取得時期に基づいた前記時系列に応じたデータとして登録されていることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の肌状態測定分析情報管理方法。

【請求項12】
前記ユーザーデータ用データベースには、前記ユーザークライアントから入力されるとともに前記肌状態測定装置の前記ユーザーが使用している化粧品を特定可能な化粧品データが当該化粧品の使用時期と前記ユーザークライアントから入力された前記顧客IDとに関連付けて前記付帯情報として登録され、
前記ユーザークライアントは、前記測定データ用データベースおよび前記ユーザーデータ用データベースから前記ユーザークライアントから入力された前記顧客IDに関連付けられた前記分析結果データおよび前記化粧品データを、前記分析結果データの前記取得時期と、前記化粧品の前記使用時期とに対応して検索可能とされ、
かつ、検索された前記取得時期に関連付けられている前記分析結果データと、前記取得時期と同じ時期となる前記使用時期に関連付けられている前記化粧品データとを並列に表示可能とされることを特徴とする請求項11に記載の肌状態測定分析情報管理方法。

【請求項13】
前記分析結果データと、前記取得時期と同じ時期となる前記使用時期に関連付けられている前記化粧品データとを並列に表示可能とされ、
前記ユーザーに選択される期間内に含まれる前記取得時期の前記分析結果データを前記取得時期の前記時系列に並べて表示する際に、当該分析結果データの前記時系列に沿った変化の経緯を認識可能な時系列表示と、前記ユーザーに選択される複数の前記取得時期の前記分析結果データを同時に表示することにより、前記取得時期による前記分析結果データの違いを比較可能な比較表示とのうちの少なくとも一方の表示が可能になっていることを特徴とする請求項12に記載の肌状態測定分析情報管理方法。

【請求項14】
前記分析結果出力手段は、前記測定データを分析することにより前記分析結果データを求めて当該分析結果出力手段に入力された状態とする分析ステップを実行することを特徴とする請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の肌状態測定分析情報管理方法。」


第3 無効理由
請求人が主張する無効理由は、以下のとおりである。

無効理由1 特許法第29条第2項(特許法第123条第1項第2号)
(甲1号証を主引例とする進歩性欠如)

無効理由2 特許法第29条第2項(特許法第123条第1項第2号)
(甲2号証を主引例とする進歩性欠如)


第4 請求人の証拠方法と主張

1 証拠方法
請求人は、証拠方法として、審判請求書とともに以下の甲第1乃至8号証を、また、口頭審理陳述要領書とともに以下の甲第9乃至11号証を提出した。
甲第1号証 :特開2009-153544号公報
甲第2号証 :特開2005-56165号公報
甲第3号証 :特開2006-202069号公報
甲第4号証 :特開2007-310652号公報
甲第5号証 :特開2009-112338号公報
甲第6号証 :特開2009-125365号公報
甲第7号証 :特開2005-192944号公報
甲第8号証 :特開2003-91583号公報
甲第9号証 :特開2002-132794号公報
甲第10号証:特開2002-207827号公報
甲第11号証:特開2001-338187号公報

2 請求の趣旨及び主張の概要

(1)請求の趣旨
請求人の請求の趣旨は、「特許第6174725号発明の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項14に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」というものである。

(2)主張の概要

(2-1)無効理由1(甲第1号証を主引例とする進歩性欠如)

ア 本件発明1について

<甲第1号証に記載された発明との一致点>
甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)における『携帯電話HP』又は『表示装置』は、本件発明1における「ユーザークライアント」に相当する。(審判請求書第29頁、請求人の口頭審理陳述要領書第3頁、第1回口頭審理調書)
甲1発明における『センターサーバ101』または『ネットアダプタ54』は、本件発明1における「データ管理サーバ」に相当し、甲1発明における『肌状態検出装置A』は、本件発明1における「分析結果出力手段」に相当する。(審判請求書第29頁)
甲1発明における『肌状態改善部B』は、本件発明1における「スキンケア装置」に相当する。(審判請求書第29頁、請求人の口頭審理陳述要領書第3頁)
甲1発明における『水分量』、『弾力性』等は、本件発明1における「測定データ」に相当し、甲1発明における『皮脂量』または『測定データと標準値とを比較するグラフ等』は、本件発明1における「分析結果データ」に相当する。(審判請求書第29頁)

<甲1発明との相違点>
「甲1発明においては、個人情報と付帯情報とを一意の顧客IDを用いてデータベースで管理し、肌測定データを時系列に記憶する点を行っているか否かが明らかでない。」(審判請求書第29頁)

<容易想到性>
「甲第2号証には、個人情報と付帯情報とを一意の会員ID(顧客IDに相当)を用いてデータベースで管理し、肌測定データを時系列に記憶することが記載されている。
甲1発明および甲2発明は、ともに、ユーザ端末側において肌状態を測定し、測定した情報をサーバに送信し、サーバにて情報の管理を行い、必要に応じてユーザ端末側に情報を提供することによって、肌状態を管理するためのものであるから、本件特許発明1と同一の技術分野に属する。また、本件特許発明1と甲1発明とは、測定された肌状態に応じてスキンケア装置を制御するという課題が共通する。
ここで、測定したユーザーの肌状態についての情報や肌状態に対応するアドバイス情報を、ユーザーに関する他の情報とともに記憶・管理すべく、データベースを設けることは、甲第3号証においても示されているように、周知技術ないし単なる設計事項である。
従って、甲1発明に甲2発明等の周知技術を適宜組み合わせることは当業者が容易に想到できる。また、このような組み合わせを行うことで何ら格別な効果が生じるわけでもない。
従って、本件特許発明1は、甲第1号証および甲第2号証等の周知技術に基づいて容易になし得たものである。」(審判請求書第30頁)

甲2発明は周知技術である。具体的には、肌の状態など、健康ないし美容に関するユーザーの身体の状態を測定する装置と、当該装置から測定結果を収集して管理するサーバやデータベースとをネットワークを介して接続し、ユーザーからの要求に応じて測定結果に基づいて得られた情報ないしアドバイスを当該サーバからユーザー端末に提供することは、甲第2号証以外にも、例えば、甲第3号証の要約書、甲第4号証の要約書および明細書段落0008、甲第8号証の要約書、甲第11号証の要約書等に開示されているにように、周知技術である。(請求人の口頭審理陳述要領書第2頁)

イ 本件発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1に加えて、以下の点を有する。
・前記データ管理サーバは、前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果デー夕に基づいて前記スキンケア装置の推奨される使用スケジュールを決定するスキンケア装置使用スケジュール決定手段を備える点
・前記ユーザークライアントは、前記スキンケア装置使用スケジュール決定手段により決定された前記スキンケア装置の推奨される使用スケジュールを前記表示手段に表示するスキンケア装置使用スケジュール表示手段を設けている点

甲第4号証(特開2007-310652号公報)には、サーバーと顧客側端末装置(美顔器)とをネットワークで接続し、肌状態の測定結果に基づく美顔器の推奨する制御内容や設定情報をサーバーにて生成し、美顔器において、この制御内容に基づいた制御プログラムに従って自動制御を行うとともに当該設定情報を表示することが記載されている。そして、制御プログラムによって規定される動作内容には作動時間に関る情報が含まれることが記載されている。
ここで、本件特許発明2における「使用スケジュール」とは、スキンケア装置の作動時間(作動タイミング)を規定したものに他ならないから、スキンケア装置の制御内容として、作動時間を規定することと使用スケジュールを規定することとは、技術的な意味において実質的に同一である。仮に、「スケジュール」が所定の期間における複数の作動時間帯を規定した情報であるというような解釈をとったとしても、そのような情報はスキンケア装置を作動させる時間を規定しているものであることには変わりはなく、どのようなタイミングで作動させるかを規定することは設計事項の範疇である。
そして、甲4発明の技術分野は、甲1発明や甲2発明の技術分野と同一である。
よって、甲第4号証の記載事項を甲1発明ないし甲2発明に適用して本件特許発明2とすることは、容易に想到し得るものである。また、このような組み合わせの適用によって、何ら格別な効果が生じるわけでもない。(審判請求書第31?32頁、請求人の口頭審理陳述要領書第8頁)

ウ 本件発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1または本件特許発明2に加えて、以下の点を有する。
・肌状態測定装置が、カメラと肌を接写するコンバージョンレンズとを備える点
・送受信手段を有するユーザークライアントに前記カメラを内蔵させた携帯端末を有し、前記カメラが前記携帯端末内部で前記送受信手段とデータの送受信が行えるように接続されている点

甲第7号証(特開2005-192944号公報)には、カメラを有する携帯端末を用いて肌状態を測定する装置において、肌を接写するためのレンズを用いることが記載されている(段落【0089】および【図7】)。また、甲1発明または甲2発明において、撮影対象が肌である場合に応じて、甲第7号証に記載のように、携帯端末およびレンズ等のアダプタを用いることは、撮影の対象や目的に応じて適宜なし得ることにすぎない。また、そのようにすることで得られる特段の効果も存在しない。
よって、本件特許発明3は、甲7発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。(審判請求書第32頁、請求人の口頭審理陳述要領書第8頁)

エ 本件発明4について
「本件特許発明4は、本件特許発明1?3において、さらに以下の特徴を有する。
・前記測定データ用データベースには、前記分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて、当該分析結果データの前記取得時期に基づいた前記時系列に応じたデータとして登録されている点

甲第2号証(特開2005-056165号公報)には、肌測定データを、使用者の会員ID別に、時系列に記憶することが記載されている。加えて、ユーザーを識別するためのIDを導入することや、時間情報を内包するデータを記憶しソートすることは、一般的な情報処理の分野において周知慣用されている技術である。また、このような周知慣用技術を甲1発明や甲2発明等と組み合わせることによって生じる効果は自明なものである。このように、本件特許発明4は、周知慣用技術の単なる付加にすぎず、容易になし得る。」(審判請求書第32頁)

オ 本件発明5について
「本件特許発明5は、本件特許発明1?4に加え、以下の特徴を有する。
・前記ユーザーデータ用データベースには、前記ユーザークライアントから入力されるとともに前記肌状態測定装置の前記ユーザーが使用している化粧品を特定可能な化粧品データが当該化粧品の使用時期と前記ユーザークライアントから入力された前記顧客IDとに関連付けて前記付帯情報として登録される点
・前記ユーザークライアントは、前記測定データ用データベースおよび前記ユーザーデータ用データベースから前記ユーザークライアントから入力された前記顧客IDに関連付けられた前記分析結果データおよび前記化粧品データを、前記分析結果データの前記取得時期と、前記化粧品の前記使用時期とに対応して検索可能とされる点
・検索された前記取得時期に関連付けられている前記分析結果データと、前記取得時期と同じ時期となる前記使用時期に関連付けられている前記化粧品データとが並列に表示可能とされる点

甲第3号証(特開2006-202069号公報)や甲第8号証(特開2003-091583号公報)には、ユーザーが使用している化粧品の購買履歴(「使用時期」に相当)を取得し、肌状態に関するデータに対応付けて記憶し、適宜提供することが記載されている。
特に甲第8号証には、現在の肌状態と化粧品の購入履歴とが並列表示されている(図3)。
ここで、化粧品についての使用に関する情報として、使用時期と取得時期のいずれかを選択するのは単なる設計事項である。また、使用時期(取得時期)を現在の肌状態と関連付けるのか購入時点の肌状態と関連付けるのかは、単なる設計事項である。要するに、甲8発明は、肌状態と化粧品との関係を同画面で表示するという点で本件特許発明5と本質的に差異がない。
よって、本件特許発明5は、甲第3号証および甲第8号証の記載に基づいて容易になし得る。」(審判請求書第33頁)

カ 本件発明6について
「本件特許発明6は、本件特許発明1?5に加えて、以下の特徴を有する。
・前記分析結果データと、前記取得時期と同じ時期となる前記使用時期に関連付けられている前記化粧品データとを並列に表示可能とされる点
・前記ユーザーに選択される期間内に含まれる前記取得時期の前記分析結果データを前記取得時期の前記時系列に並べて表示する際に、当該分析結果データの前記時系列に沿った変化の経緯を認識可能な時系列表示と、前記ユーザーに選択される複数の前記取得時期の前記分析結果データを同時に表示することにより、前記取得時期による前記分析結果データの違いを比較可能な比較表示とのうちの少なくとも一方の表示が可能になっている点

肌状態の分析結果と、取得時期または使用時期とを並列に表示する点は、上述の通り、甲第8号証に記載されている。
また、取得時点が異なる複数の情報を時系列表示とするのか比較表示とするのかは、周知技術を示す甲第9号証(特開2002-132794号)にあるように、情報処理一般の技術分野において、閲覧目的等に応じて適宜設計する事項にすぎない。
よって、本件特許発明6は、甲8発明に基づいて容易になし得る。」(審判請求書第33?34頁、請求人の口頭審理陳述要領書第2頁)

キ 本件発明7について
「本件特許発明7は、本件特許発明1?6に加え、以下の特徴を有する。
・前記分析結果出力手段は、前記測定データを分析することにより前記分析結果データを求めて当該分析結果出力手段に入力された状態とする分析手段を有する点
甲第1号証(特開2009-153544号公報)においては、測定データを分析することにより分析結果データが算出され、該算出されたデータが出力されることが記載されている(段落0058、段落0059)。すなわち、本件特許発明7は甲1発明と実質的に差異がなく、甲1発明に基づいて容易になし得る。」(審判請求書第34頁)

ク 本件発明8について
本件発明8は、本件発明1と実質的にカテゴリのみ異なる発明である。したがって、本件発明8は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易になし得る。

ケ 本件発明9について
本件発明9は、本件発明2と実質的にカテゴリのみ異なる発明である。したがって、本件発明9は、本件発明2と同様の理由で当業者が容易になし得る。

コ 本件発明10について
本件発明10は、本件発明3と実質的にカテゴリのみ異なる発明である。したがって、本件発明10は、本件発明3と同様の理由で当業者が容易になし得る。

サ 本件発明11について
本件発明11は、本件発明4と実質的にカテゴリのみ異なる発明である。したがって、本件発明11は、本件発明4と同様の理由で当業者が容易になし得る。

シ 本件発明12について
本件発明12は、本件発明5と実質的にカテゴリのみ異なる発明である。したがって、本件発明12は、本件発明5と同様の理由で当業者が容易になし得る。

ス 本件発明13について
本件発明13は、本件発明6と実質的にカテゴリのみ異なる発明である。したがって、本件発明13は、本件発明6と同様の理由で当業者が容易になし得る。

セ 本件発明14について
本件発明14は、本件発明7と実質的にカテゴリのみ異なる発明である。したがって、本件発明14は、本件発明7と同様の理由で当業者が容易になし得る。


(2-2)無効理由2(甲第2号証を主引例とする進歩性欠如)

ア 本件発明1について

<甲第2号証に記載された発明との一致点>
甲第2号証に記載された発明(以下、「甲2発明」という。)における『ユーザ端末10』は、本件発明1における「ユーザークライアント」に相当し、甲2発明における『業務委託先サーバ30』は、本件発明1における「データ管理サーバ」に相当し、甲2発明における『肌センサユニット20』は、本件発明1における「分析結果出力手段」に相当し、甲2発明における『肌データ』は、本件発明1における「測定データ」に相当し、甲2発明における『診断結果』は、本件発明1における「分析結果データ」に相当する。(審判請求書第30頁)

<甲2発明との相違点>
本件発明1と甲2発明とでは、スキンケア装置が、肌状態の測定や分析結果の提供を行う装置からなるシステムに接続され、分析結果に基づいてスキンケア装置が遠隔制御される点において相違する。(審判請求書第30頁)

<容易想到性>
「甲第1号証には、温スチームおよび冷ミストを放出するスキンケア装置(装置本体1)と、肌状態の測定を行う装置(A)と、分析結果の提供を行う装置(センターサーバ101)とが相互に接続されたシステムにおいて、分析結果に基づいてスキンケア装置を遠隔制御することが記載されている。
ここで、スキンケア装置等、美容ないし健康増進に関する装置を、ネットワークを介して制御することは、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証に示されるように、周知・慣用技術である。さらに、装置の制御内容を肌状態に対応させるように構成することは、甲第4号証にも記載されているように、周知技術である。
そして、上述の通り、甲1発明および甲2発明は、本件特許発明1と同一の技術分野に属する。
従って、甲2発明に甲1発明等の周知技術を適宜組み合わせることは、当業者が容易に想到なし得る。また、このような組み合わせを行うことによって、何ら格別な効果が生じるわけでもない。
従って、本件特許発明1は、甲第2号証および甲第1号証等の周知技術に基づいて容易になし得たものである。」(審判請求書第31頁)

甲1発明は周知技術である。具体的には、健康美容機器を遠隔制御することや制御内容を当該機器に表示させることは、甲第1号証以外にも、例えば、甲第4号証の明細書段落0025および0027、甲第5号証の明細書段落0005および0028、甲第6号証の明細書段落0017、甲第10号証の明細書段落0052にも記載されているように、周知技術である。(請求人の口頭審理陳述要領書第2頁)

イ 本件発明2乃至14について
本件発明2乃至14について、請求項1に追加された構成に関しては、上記「(2-1)無効理由1(甲第1号証を主引例とする進歩性欠如)」における「イ」乃至「セ」と同様である。


第5 被請求人の主張

1 答弁の趣旨及び主張の概要

(1)答弁の趣旨
被請求人の答弁の趣旨は、「「特許第6174725号の請求項1?14に係る発明に対する特許無効審判請求は理由がない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。」というものである。

(2)主張の概要

(2-1)無効理由1(甲第1号証を主引例とする進歩性欠如)について

<請求人の主張に対する反論>

ア 「まず、請求人は、「甲1発明における「携帯電話HP」、または「ネットアダプタ54」と「表示装置52」とを組み合わせた構成は、本件特許発明1における「ユーザークライアント」に相当する」と主張している。
しかし、甲1発明における「携帯電話HP」は、請求人が本件特許発明1の「スキンケア装置」に相当すると主張する「肌状態改善部B」と接続されるものではない。また、甲第1号証には、「携帯電話HP」と「肌状態改善部B」とを接続することについて、記載はおろか示唆すらない。
また、甲1発明において、「ネットアダプタ54」と「表示装置52」との間に接続関係は無い。さらには、「ネットアダプタ54」と「表示装置52」とを組み合わせる動機付けもない。
すなわち、甲1発明は、「ユーザーにより使用される肌状態測定装置およびスキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されるとともに、ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアント」という本件特許発明1の構成要素Aを備えておらず、また、甲1発明に基づいて構成要素Aに想到することも到底不可能である。また、甲第2号証および甲第3号証には、スキンケア装置に関する記載がない。したがって、本件特許発明1は、甲第1号証ならびに甲第2号証および甲第3号証に基づき容易に想到し得るものではない。」(審判事件答弁書第13頁)

イ 「また、請求人は、「甲1発明における「皮脂量」または「測定データと標準値とを比較するグラフ等」は、本件特許発明1における「分析結果データ」に相当する」と主張している。
しかし、「皮脂量」は、皮脂量センサ25によって測定される測定データであって、本件特許発明1における分析結果データではない。このことは、仮に「皮脂量」が分析結果データであると考えた場合に測定データに相当するものが存在しないことや、甲第1号証の請求項4?6や明細書の記載において水分量と弾力性と皮脂量との間に差異がないことからも明らかである。
また、「測定データと標準値とを比較するグラフ」が本件特許発明1の分析結果データであるとするならば、請求人が本件特許発明1の「スキンケア装置」に相当すると主張する「肌状態改善部B」の制御方法は「測定データと標準値とを比較するグラフ」に基づいて決定されることになると思われるが、このようになっておらず、また、甲第1号証の記載からはこのようなグラフに基づいて制御方法を決定する方法についても一切不明である。したがって、「測定データと標準値とを比較するグラフ」は、本件特許発明1における分析結果データではない。」(審判事件答弁書第13?14頁)

ウ また、請求人は、「甲1発明における「肌状態検出装置A」は、本件特許発明1における「分析結果出力手段」に相当する」と主張している。
しかし、上述したように、分析結果データに関する請求人の主張は失当であるため、「肌状態検出装置A」が「分析結果出力手段」に相当するとの主張もその前提を欠き妥当ではない。すなわち、甲第1号証に本件特許発明1の「測定データを分析することにより得られる分析結果データ」に相当するものが無い以上、「分析結果データ」を前提とする「分析結果出力手段」、さらには「スキンケア装置制御方法決定手段」、「分析結果表示手段」、「スキンケア装置」等の本件特許発明1の各構成が甲第1号証に開示されているとはいえない。換言すると、甲1発明は、請求人自らが甲第1号証に記載が無いと認める本件特許発明1の構成要素b1、b2、b3、a1に加え、本件特許発明1の構成要素C、b4、a3、Dを備えていない。したがって、甲1発明に甲第2号証または甲第3号証に周知技術として記載されていると請求人が主張する事項を仮に組み合わせたところで、本件特許発明1には到底想到し得ない。(審判事件答弁書第14頁)

エ 「以上のように、請求人が本件特許発明1の各構成に相当すると指摘する甲1発明の各構成は、本件特許発明1の各構成とは全く異なるものであり、甲1発明は少なくとも本件特許発明1の構成要素b1、b2、b3、a1に加え、A、C、b4、a3、Dを備えていない。したがって、甲1発明に甲第2号証または甲第3号証に記載の技術を適用したところで、本件特許発明1には到底想到し得ない。」(審判事件答弁書第14?15頁)

(2-2)無効理由2(甲第2号証を主引例とする進歩性欠如)について

<請求人の主張に対する反論>

ア 上述のように、甲第2号証には、スキンケア装置について記載が一切無い。また、甲2発明は、肌を診断するためのシステムであって、販売店が推奨商品をユーザーに知らせたりするために使用するものであり、スキンケア(肌の手入れ)をするためのシステムではない。そして、このようなスキンケアに使われるシステムでもない甲2発明において、スキンケア装置を接続したり制御可能としたりする動機付けは全くない。ましてや、分析結果データに基づいてスキンケア装置の制御方法を決定するようにすることなど到底想到し得ない。
すなわち、甲2発明について、スキンケア装置を採用することは容易ではない。
また、仮に甲2発明にスキンケア装置を接続することを思いついたとしても、どのような接続関係とするか、あるいはスキンケア装置をどのように制御するのかについて、甲第2号証には記載はおろか示唆すらない。加えて、上述したように、請求人の主張する甲1発明と本件特許発明1との対比も失当であるから、甲1発明には、スキンケア装置が接続される本件特許発明1の構成要素Aで示されるユーザークライアントや、分析結果データに基づくスキンケア装置の制御の開示があるとはいえない。さらに、「スキンケア装置等、美容ないし健康増進に関する装置を、ネットワークを介して制御することは、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証に示されるように、周知・慣用技術である。」と請求人は主張しているが、ネットワークを介して何らかの装置を制御することが周知・慣用技術であったとしても、具体的にどのような装置を、どのような接続関係とし、どのようなデータに基づいて制御するのかが重要なのであり、構成が互いに全く異なる甲4発明、甲5発明および甲6発明から主張可能な周知・慣用技術があったとしても、このような技術は本件特許発明1の進歩性を否定する証拠とはなり得ない。したがって、甲2発明に甲1発明等を適用したところで本件特許発明1に想到し得ないことは明らかである。(審判事件答弁書第16?17頁)

イ 「また、請求人は、「甲2発明における「肌センサユニット20」は、本件特許発明1における「分析結果出力手段」に相当する。」、「甲2発明における「診断結果」は、本件特許発明1における「分析結果データ」に相当する。」と主張している。
しかし、請求人が「分析結果出力手段」に相当すると指摘する「肌センサユニット20」は、請求人が「分析結果データ」に相当すると指摘する「診断結果」を扱うものではない。
すなわち、請求人の主張する対比関係は矛盾している。換言すると、請求人が本件特許発明1の構成に相当すると指摘する甲2発明の構成は、本件特許発明1の構成とは全く異なるものである。したがって、甲2発明に、甲1、4、5、6号証に記載の技術を適用したところで、本件特許発明1には到底想到し得ない。」(審判事件答弁書第17頁)


第6 無効理由に対する当審の判断

1 各甲号証の記載事項

(1)甲第1号証
甲第1号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0042】
(実施形態2)
図7は本発明に係る肌状態改善システムの概略構成を示し、個人の住宅Xにおいてイーサネット(登録商標)によりLAN201が構築され、当該LAN201が住宅盤53内に収納された情報ブレーカと呼ばれるセキュリティ機器53aを介してWANを構成するインターネット202に接続されている。ここで、セキュリティ機器53aは、宅内の機器に対する不正アクセスと思われるパケットを自動破棄する機能などを備えている。
【0043】
一方、様々な機器を用いた各種の健康プログラムを提供する事業者Yには、使用者が自宅で所望の健康管理プログラムを実行できるようにする後述の健康管理サービスを提供するためのセンターサーバ101と、健康管理プログラムの実践内容を示す動画を配信するための映像配信サーバ102が設置されている。ここにおいて、事業者Y側のセンターサーバ101および映像配信サーバ102と、インターネット202と、事業者Yが提供する健康管理サービスを利用する住宅X内のLAN201と、住宅X内に設置された肌状態検出装置Aおよび肌状態改善部B、表示装置52などで本システムが構成される。
【0044】
肌状態検出装置Aは、実施形態1と同様に構成されるが、通信部22が赤外線通信機能の代わりにBluetoothまたは特定小電力無線を用いた通信機能を備えている(図5参照)。
【0045】
肌状態改善部Bは、図8に示すように、実施形態1と同様に装置本体1に設けられるが、制御部Cの代わりに、Bluetoothまたは特定小電力無線を用いた通信機能を備えた通信部30を備えた点が異なる。
【0046】
そして、制御部Cは、センターサーバ101内に設けられており、肌状態検出装置A、肌状態改善部Bとは、LAN201、インターネット202のネットワークを介して通信行う。
【0047】
表示装置52はネットワーク接続機能を備えたテレビジョン装置からなり、インターネット202およびLAN201を介して映像配信サーバ102から配信された映像を画面52b上に表示するとともに、音声を内蔵スピーカ(図示せず)から出力する。また表示装置52は、リモコン装置52aから送信される赤外線のような光信号からなるワイヤレス信号を受信するワイヤレス受信部(図示せず)を備え、操作に応じてリモコン装置52aから送信されたワイヤレス信号をワイヤレス受信部が受信し、当該ワイヤレス信号に応じて表示するチャンネルや音量の切り替えを行ったり、ネットワークを介して映像配信サーバ102にアクセスし、映像配信サーバ102に蓄積された映像を送信させることができる。なお、表示装置52は、肌状態改善部Bを使用する使用者から目視可能な位置に設置されているものとする。
【0048】
住宅盤53は、主幹開閉器および分岐開閉器を内蔵して、宅内の分岐回路に電力を供給するとともに、宅内のLAN201に接続されるセキュリティ機器53aが図示しないルータを介してインターネット202に接続されている。
【0049】
ネットアダプタ54は、LANケーブル203を介してセキュリティ機器53aに接続されるとともに、Bluetoothまたは特定小電力無線を利用して肌状態検出装置Aおよび肌状態改善部Bとの間で無線電波によって通信を行うものである。すなわち、ネットアダプタ54の通信可能エリア内に存在する肌状態検出装置Aから、送信元および送信先のIDを含む無線電波が送信され、この無線電波をネットアダプタ54が受信すると、無線電波により送信された信号のプロトコル変換を行い、送信先のIDが示すネットワーク機器(表示装置52やセンターサーバ101など)へ信号を送信する。また、ネットワーク機器(センターサーバ101など)から送信先として肌状態改善部Bが設定された信号が送信されると、ネットアダプタ54が送信された信号のプロトコル変換を行って無線電波に変換し、送信先の肌状態改善部Bへ無線電波を送信する。このように、Bluetoothまたは特定小電力無線を利用することにより、ネットアダプタ54と肌状態検出装置Aおよび肌状態改善装置Bとの通信において、指向性が広がるとともに通信経路に障害物があっても通信可能となり、通信範囲が拡大される。
【0050】
本システムでは、表示装置52が、LANケーブル203を介してセキュリティ機器53aに接続されており、インターネット202およびLAN201を介して映像配信サーバ102から配信された映像を画面52b上に表示したり、センターサーバ101から送信された映像信号や音声信号を出力することができる。また、肌状態検出装置A、肌状態改善部B、制御部Cはそれぞれネットアダプタ54を介してLAN201に接続されており、LAN201およびインターネット202を介してセンターサーバ101に接続されるので、センターサーバ101との間でデータの送受信が行えるようになっている。なお、肌状態検出装置A、肌状態改善部B、表示装置52、ネットアダプタ54にはそれぞれ個別のローカルIPアドレスが割り当てられており、センターサーバ101(および制御部C)と各機器との間で相互に通信が行えるようになっている。
【0051】
ここで、本システムにより事業者Bが提供する健康管理サービスの1つである肌状態の改善サービスを住宅X内の利用者が利用する場合について以下に説明する。
【0052】
まず、使用者は、肌状態検出装置Aによって肌の水分量を測定し、当該測定データを無線電波でネットアダプタ54へ送信し、ネットアダプタ54からLAN201、インターネット202を介してセンターサーバ101内の制御部Cへ送信される。
【0053】
制御部Cは、受信した測定データに基づいて、実施形態1と同様に、肌の水分量が所定値以上の場合は標準パターンで温スチームと冷ミストを交互に切り換えて放出させる標準制御信号を生成し、肌の水分量が所定値未満の場合は、標準パターンより温スチームの時間が長い水分補給パターンで温スチームと冷ミストを交互に切り換えて放出させる水分補給制御信号を生成して、LAN201、インターネット202からネットアダプタ54を介して肌状態改善部Bへ送信する。
【0054】
肌状態改善部Bは、受信した制御信号に応じて、標準パターンまたは水分補給パターンのいずれかで温スチームと冷ミストを交互に切り換えて放出するので、使用者の肌の水分量を考慮した動作となる。
【0055】
このように、制御部Cは、肌状態検出装置Aによって検出した使用者の実際の肌の水分量に基づいて肌状態改善部Bの稼動を制御するので、肌の水分量を考慮して肌状態を容易に改善させることができる。」

イ 「【0060】
また上記同様に、使用者がリモコン装置52aを用いてセンターサーバ101にアクセスさせる操作を行うことで表示装置52の画面52b上に表示されるWebページには、使用者の肌の測定データの履歴や、測定データと標準値とを比較するグラフ等を提供するサービスを選択する選択ボタンもある。この選択ボタンを選択する操作をリモコン装置52aにより行うことで、測定データの履歴や、測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データがセンターサーバ101から表示装置52に送信され、画面52b上に表示される。したがって、使用者は、現状の肌状態や改善効果を確認することができ、肌状態の改善への動機付けとなる。
【0061】
また、ネットアダプタ54(図7参照)が、肌状態検出装置Aから送信された肌状態の測定データをもとに制御信号を生成する制御部Cを備えて、肌状態改善部Bへ制御信号を送信してもよい。このようにネットアダプタ54が肌状態の測定データをもとに制御信号を生成する構成では、装置本体1で制御信号を生成する場合に比べて演算の処理能力の面で有利であり、さらにセンターサーバ101で制御信号を生成する場合に比べて制御信号を肌状態改善部Bへ送信して稼動を制御する即時性の面で有利である。
【0062】
また本実施形態では、肌状態検出装置Aとネットアダプタ54との間で電波通信を行い、ネットアダプタ54からLAN201およびインターネット202を介してセンターサーバ101へデータを送信しているが、Bluetoothまたは特定小電力無線を用いた通信機能を備えた携帯電話HPを用いて肌状態検出装置Aから測定データを取り込むとともに、携帯電話HPから携帯電話網およびインターネットを介してセンターサーバ101へ測定データを送信するようにしても良い。
【0063】
また上述の表示装置として、Bluetoothまたは特定小電力無線を用いた通信機能を備えた携帯電話HPを用いても良い。この場合、センターサーバ101からのWebページや、映像配信サーバ102からの動画を携帯電話HPのディスプレイ上に表示させる。」

上記ア乃至イによると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

<甲1発明>
「肌状態改善システムであって、
個人の住宅XにおいてLAN201が構築され、当該LAN201が住宅盤53内に収納された情報ブレーカと呼ばれるセキュリティ機器53aを介してWANを構成するインターネット202に接続されており(【0042】)、
事業者Y側のセンターサーバ101および映像配信サーバ102と、インターネット202と、事業者Yが提供する健康管理サービスを利用する住宅X内のLAN201と、住宅X内に設置された肌状態検出装置Aおよび肌状態改善部B、表示装置52などで本システムが構成されており(【0043】)、
前記センターサーバ101内に設けられた制御部Cは、肌状態検出装置A、肌状態改善部Bとは、LAN201、インターネット202のネットワークを介して通信行い(【0046】)、
前記表示装置52は、インターネット202およびLAN201を介して映像配信サーバ102から配信された映像を画面52b上に表示し(【0047】)、
LANケーブル203を介してセキュリティ機器53aに接続されたネットアダプタ54は、Bluetoothまたは特定小電力無線を利用して肌状態検出装置Aおよび肌状態改善部Bとの間で無線電波によって通信を行い、肌状態検出装置Aから、送信元および送信先のIDを含む無線電波を受信すると、送信先のIDが示すネットワーク機器(表示装置52やセンターサーバ101など)へ信号を送信し、ネットワーク機器(センターサーバ101など)から送信先として肌状態改善部Bが設定された信号が送信されると、肌状態改善部Bへ無線電波を送信するものであって(【0049】)、
使用者が、肌状態検出装置Aによって肌の水分量を測定し、当該測定データが無線電波でネットアダプタ54へ送信され、ネットアダプタ54からLAN201、インターネット202を介してセンターサーバ101内の制御部Cへ送信されると(【0052】)、
前記制御部Cは、受信した測定データに基づいて、肌の水分量が所定値以上の場合は標準パターンで温スチームと冷ミストを交互に切り換えて放出させる標準制御信号を生成し、肌の水分量が所定値未満の場合は、標準パターンより温スチームの時間が長い水分補給パターンで温スチームと冷ミストを交互に切り換えて放出させる水分補給制御信号を生成して、LAN201、インターネット202からネットアダプタ54を介して肌状態改善部Bへ送信し(【0053】)、
肌状態改善部Bは、受信した制御信号に応じて、標準パターンまたは水分補給パターンのいずれかで温スチームと冷ミストを交互に切り換えて放出して、使用者の肌の水分量を考慮した動作を行い(【0053】)、
また、使用者がリモコン装置52aを用いてセンターサーバ101にアクセスさせる操作を行うことで表示装置52の画面52b上に表示されるWebページには、使用者の肌の測定データの履歴や、測定データと標準値とを比較するグラフ等を提供するサービスを選択する選択ボタンがあり、当該選択ボタンを選択する操作をリモコン装置52aにより行うことで、測定データの履歴や、測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データがセンターサーバ101から表示装置52に送信され、画面52b上に表示される(【0060】)
肌状態改善システムであり、
携帯電話HPを用いて肌状態検出装置Aから測定データを取り込むとともに、Bluetoothまたは特定小電力無線を用いた通信機能を備えた携帯電話HPから携帯電話網およびインターネットを介してセンターサーバ101へ測定データを送信するようにしても良く(【0062】)、
また、上述の表示装置として、Bluetoothまたは特定小電力無線を用いた通信機能を備えた携帯電話HPを用いても良く、この場合、センターサーバ101からのWebページや、映像配信サーバ102からの動画を携帯電話HPのディスプレイ上に表示させる(【0063】)、
肌状態改善システム。」

(2)甲第2号証
甲第2号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0026】
図1は、本発明を実施するための最良の形態の構成を示す図であり、ユーザ端末10と、肌センサユニット20と、業務委託先サーバ30と、サービス提供業者端末40と、アドバイザー端末50と、販売店端末60と、これらを相互に接続するインターネット100とを備えている。」

イ 「【0028】
肌センサユニット20は、少なくとも一つ以上の肌センサを備えて肌の状態を検出する装置であり、ユーザ端末10の外部機器接続部12に接続して使用される。この肌センサユニット20は、プログラムによりユニット内全体の動作を制御するCPU等の制御部21と、ユーザ端末10の外部機器接続部12に接続されデータ入出力を制御する接続部22と、肌の状態を読み取る肌センサ23と、書き込み,読み出し可能な記憶部24とを備えている。肌センサ23は、例えば、水分センサ,皮脂量センサ,透明度センサ,弾力度センサ,PH測定器,カメラセンサ等であり、肌センサユニット20に備えられる種類や数量に限定はない。なお、肌センサユニット20の電源は、ユーザ端末10から外部機器接続部12,接続部22を経由して供給される。
【0029】
業務委託先サーバ30は、本発明の肌の診断サービスを提供するサービス提供業者から業務委託されたインターネット接続業者等の外部業者によって設置,運用される、サーバ・ワークステーション等の情報処理装置である。この業務委託先サーバ30は、制御部31と、記憶部32とを備えている。
【0030】
制御部31は、プログラムにより装置内全体の動作を制御するCPU等である。この制御部31は、ユーザ端末10やサービス提供業者端末40,アドバイザー端末50からアクセスされたときに認証する手段と、ユーザ端末10から受信した肌データにより診断し診断結果を登録する手段と、サービス提供業者端末40から指示されたアドバイザー端末50に対して診断結果を通知しアドバイスの登録を依頼する手段と、サービス提供業者端末40またはアドバイザー端末50から送信されたアドバイス情報を登録し診断結果とともにユーザ端末10に送信する手段と、診断結果が正常かを判断する手段と、正常でなかった場合に、ユーザから予め登録された指定地域の販売店を検索する手段と、検索された販売店の販売店端末60に診断結果を通知する手段と、販売店端末60からの返信に含まれる情報を該当ユーザ端末10にメール送信する手段と、定期的に会員決済口座からの利用料金引き落としや、アドバイザー決済口座へのアドバイス報酬の振り込み、サービス提供業者決済口座からの業務委託料の引き落とし等の決済処理を行う手段とを備えている。
【0031】
記憶部32は、書き込み,読み出し可能な記憶装置であり、会員情報データベース321と、アドバイザー情報データベース322と、販売店データベース323と、肌履歴データベース324と、肌基準値データベース325とを含んでいる。
【0032】
会員情報データベース321は、ユーザが本発明の肌の診断サービスの会員登録をするときに登録されるものであり、図2(会員情報データベース321に格納されるデータの一例を示す図)に示すように、会員ID,パスワード,氏名,メールアドレス,紹介販売店の指定地域,決済情報が含まれている。紹介販売店の指定地域とは、例えば横浜市内等のように、自宅近くの地域等を予め指定して登録しておくものである。なお、この販売店は、診断の結果肌に異常があったときに肌のケアや肌用の美容品の購入等のために紹介してもらう販売店である。」

ウ 「【0035】
肌履歴データベース324には、図5(肌履歴データベース324に格納されるデータの一例を示す図)に示すように、会員ID,年月日,肌データ格納アドレス,診断結果,アドバイス内容,アドバイザーIDが含まれている。診断毎のこれら情報が会員ID別に、年月日の順に時系列に記録される。なお、肌データ格納アドレスは肌データを格納している記憶部32内のアドレスであり、このアドレスは肌履歴データベース324内のアドレスであってもよいし、別に肌データデータベースを備えてもよい。また、肌データ格納アドレスの代わりに肌データとし、ここに直接肌データを格納するようにしてもよい。
【0036】
肌基準値データベース325には、ユーザ端末10から送られる肌データが正常かを判断するための基準値データが格納されている。この基準値は、各肌データの種類別に一つまたは複数の基準値が予め設定されている。例えば、肌データとして水分データを例にとると、水分率35%未満は×(異常)、35%?42%は○(正常)、42%超は×(異常)というように基準値が設定されている。
【0037】
サービス提供業者端末40は、本発明の肌の診断サービスを提供するサービス提供業者が使用する、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。このサービス提供業者端末40は、インターネット100を介して業務委託先サーバ30にアクセスし診断結果を閲覧する手段と、診断結果が正常な場合はアドバイス内容を登録する手段と、診断結果が正常でない場合はアドバイザーを指定して業務委託先サーバ30にアドバイザーへの依頼要求を行う手段とを備えている。」

エ 「【0043】
図6を参照すると、肌の健康状態を確認したいユーザは、ユーザ端末10の外部機器接続部12に肌センサユニット20の接続部22を接続する。接続後、肌センサユニット20の肌センサ23を確認したい部位に接触させる。肌センサ23の読み取り開始および停止は、ユーザ端末10の入力部13の操作により行う。肌の健康状態確認の開始するための入力部13の操作を行うと、制御部11が開始命令を外部機器接続部12に指示し、肌センサユニット20の接続部22を経由して制御部21に伝達する。これにより肌センサ23は接触した皮膚の状態や皮膚表面の情報の読み取りを開始し、読み取った情報を逐次制御部21に送信する。制御部21は、ユーザ端末10の制御部11で処理できるよう肌センサ23から送信された情報を加工し、加工した肌データを記憶部24に格納する。ここで、加工とは、皮膚表面の画像であれば画像データに変換することを、また、水分率であれば数値情報に変換することを意味している(ステップA1)。
【0044】
そして、ユーザ端末10の入力部13の操作により読み取り停止がユーザから入力されると、肌センサユニット20の制御部21は、記憶部24に格納された肌データを接続部22,外部機器接続部12を介してユーザ端末10の制御部11に送信する。制御部11は、受信した肌データを記憶部14に格納されたプログラムに従って処理し、肌の表面状態の画像や水分率等の情報を表示部15に表示させるとともに、記憶部14に格納する。ユーザは、表示部15に表示された画像や数値情報等により肌の健康状態を確認することができる。また、表示部15に表示させた肌データを記憶部14に格納しているため、ユーザは後日再度確認することが可能になる(ステップA2)。
【0045】
次に、ユーザは肌データの診断を依頼するか否かを決定する(ステップA3)。ユーザ端末10に表示させるだけで診断を依頼しない場合は、ここで処理を終了する。診断を依頼する場合は、ユーザはユーザ端末10から業務委託先サーバ30にアクセスし、肌データと会員ID,パスワードを送信する(ステップA4)。
【0046】
業務委託先サーバ30の制御部31は、受診した会員ID,パスワードが会員情報データベース321に登録されているかを照合することにより、ユーザが会員であるかの認証を行う(ステップA5)。認証後、制御部31は受診した肌データを肌履歴データベース324に格納し、診断を行う。診断にあたっては、水分率等の肌データについては、受診した肌データと肌基準値データベース325に登録された肌データの基準値とを比較して診断する。皮膚表面の画像データ等の肌データについては、画像データを解析して指標毎の数値を算出した後、算出した数値と肌基準値データベース325に登録された肌データの基準値とを比較して診断する。なお、画像データの解析手段については、例えば特開2002-366651号公報に詳細が記載されているように公知であり、解析手段の詳細を記載することが本発明の要旨でもないため、詳細な説明は省略する(ステップA6)。制御部31は、図5に示すように、診断結果を肌履歴データベース324に登録する(ステップA7)。
【0047】
サービス提供業者は、サービス提供業者端末40から業務委託先サーバ30に随時または定期的にアクセスし、サービス提供業者ID,パスワードを送信して業務委託先サーバ30の認証を受けた後、肌履歴データベース324を参照する。図5を参照すると、肌履歴データベース324には診断結果とともにアドバイス内容やアドバイザーIDも登録されるようになっている。サービス提供業者は、診断結果が登録されていてアドバイザーIDが登録されていないものについて、アドバイス回答を自分が担当するか、アドバイザーに依頼するかを決定する。なお、アドバイザーとは、診断結果に基づいてアドバイスを作成,回答する医師や肌の専門家であり、予めサービス提供業者と契約してアドバイザー情報データベース322に登録されている(図3参照)。また、アドバイス内容は、今回の診断結果およびこれまでの診断履歴を踏まえて、日常生活で注意する点や、改善策,お薦め情報、参考情報等を会員に助言する内容である(ステップA8,A9)。
【0048】
サービス提供業者が自分でアドバイス内容の作成を担当する場合は、アドバイス内容とアドバイザーIDを入力し、制御部31により肌履歴データベース324に登録される。このとき、サービス提供業者はアドバイザー情報データベース322にアドバイザーとして登録されておらず、アドバイザーIDも付与されていないため、サービス提供業者であることがわかるアドバイザーIDに相当するものを入力しておく(ステップA10)。次に、アドバイザーにアドバイス内容の作成を依頼する場合は、サービス提供業者は案件毎にアドバイザーIDを指定しアドバイス内容の作成依頼を入力する(ステップA11)。業務委託先サーバ30の制御部31は、案件毎に肌履歴データベース324のアドバイザーID欄に指定されたアドバイザーIDを登録する。そして、制御部31はアドバイザー情報データベース322から該当アドバイザーのメールアドレスを取得し、会員IDを通知してアドバイス内容の作成,登録を依頼するメールを作成,送信する(ステップA12)。
【0049】
アドバイス内容の作成,登録依頼メールを受信したアドバイザーは、アドバイザー端末50から業務委託先サーバ30にアクセスし、アドバイザーID,パスワードを送信して業務委託先サーバ30の認証を受けた後、肌履歴データベース324の該当会員IDに対応する今回の診断結果や診断履歴を参照する(ステップA13)。そして、アドバイザーはアドバイス内容を入力し、制御部31は肌履歴データベース324の該当のアドバイス内容欄にアドバイザー端末50から送られたアドバイス内容を登録する(ステップA14)。
【0050】
ステップA10またはステップA14によるアドバイス内容登録後、制御部31は登録されたアドバイス内容と診断結果をユーザ端末10に送信する。このとき、制御部31は会員情報データベース321から会員IDに対応して登録されたメールアドレスを取得し、アドバイス内容と診断結果をメールで通知する(ステップA15)。ユーザ端末10は、アドバイス内容と診断結果を業務委託先サーバ30から受信する(ステップA16)。」

上記ア乃至エによると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

<甲2発明>
「ユーザ端末10、肌センサユニット20、業務委託先サーバ30、サービス提供業者端末40、アドバイザー端末50、及びインターネット100を備えたシステムであって(【0026】)、
前記肌センサユニット20は、肌センサを備えて肌の状態を検出する装置であって、ユーザ端末10の外部機器接続部12に接続して使用され(【0028】)、
前記業務委託先サーバ30は、制御部31と記憶部32を備え(【0029】)、
前記制御部31は、ユーザ端末10から受信した肌データにより診断した診断結果を登録する手段、サービス提供業者端末40またはアドバイザー端末50から送信されたアドバイス情報を登録し、診断結果とともにユーザ端末10に送信する手段等を備え(【0030】)、
前記記憶部32は、会員情報データベース321、肌履歴データベース324、肌基準値データベース325等を含んでおり(【0031】)、
前記会員情報データベース321には、ユーザが肌の診断サービスの会員登録をするときに登録される、会員ID,パスワード,氏名,メールアドレス,紹介販売店の指定地域,決済情報等が含まれており(【0032】)、
前記肌履歴データベース324には、会員ID,年月日,肌データ,診断結果,アドバイス内容,アドバイザーIDが含まれ、会員ID別に、年月日の順に時系列に記録されており(【0035】)、
前記肌基準値データベース325には、ユーザ端末10から送られる肌データが正常かを判断するための基準値データとして、例えば、水分率35%未満は×(異常)、35%?42%は○(正常)、42%超は×(異常)というように基準値が設定されており(【0036】)、
ユーザが、ユーザ端末10の外部機器接続部12に肌センサユニット20の接続部22を接続し、肌センサユニット20の肌センサ23を確認したい部位に接触させることにより肌センサ23は皮膚の状態や皮膚表面の情報を読み取り、読み取った情報を逐次制御部21に送信し、肌データが記憶部24に格納され(【0043】)、格納された肌データが接続部22,外部機器接続部12を介してユーザ端末10の制御部11に送信されると、制御部11が、肌の表面状態の画像や水分率等の情報を表示部15に表示させ(【0044】)、
ユーザが肌データの診断を依頼する場合は、ユーザ端末10から業務委託先サーバ30にアクセスし、肌データと会員ID,パスワードを送信すると(【0045】)、
業務委託先サーバ30の制御部31は、肌データを肌履歴データベース324に格納し、水分率等の肌データについては、肌データと肌基準値データベース325に登録された肌データの基準値とを比較して診断し、皮膚表面の画像データ等の肌データについては、画像データを解析して指標毎の数値を算出した後、算出した数値と肌基準値データベース325に登録された基準値とを比較して診断し、制御部31は、診断結果を肌履歴データベース324に登録し(【0046】)、
サービス提供業者は、サービス提供業者端末40から業務委託先サーバ30に随時または定期的にアクセスし、肌履歴データベース324を参照し、サービス提供業者は、診断結果に対するアドバイス回答を自分が担当するか、アドバイザーに依頼するかを決定し(【0047】)、
アドバイザー端末50から送られたアドバイス内容、又は、サービス提供業者が作成したアドバイス内容が肌履歴データベース324に登録され、診断結果ともにユーザ端末10にメールで通知され、ユーザ端末10は、アドバイス内容と診断結果を業務委託先サーバ30から受信する(【0048】乃至【0050】)
システム。」

(3)甲第3号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0029】
なお、上記センター側システム11では、店舗用ウエブサイトと、会員用ウエブサイトとを作成して管理している。これらのウエブサイトは、上記のような分析結果や、顧客である会員の購買履歴、肌状況を、店舗ごとに把握できるように、店舗側システム1からアクセス可能な店舗用ウエブサイトと、各会員が、自分の購買履歴や肌情報を取得するために会員端末10からアクセス可能にしている。」

イ 「【0032】
例えば、個々の会員は、自分の会員IDに対応した会員情報よび販売情報を見ることができる。すなわち、会員は自分の属性情報、自分の購入金額や購入商品のほか、自分が購入した店舗に限り、店舗ごとの購入金額の集計値なども、会員端末10に表示させることができる。しかし、他会員の購入情報や、自分の購入していない店舗に関する販売情報を見ることはできない。
また、各店舗においても、原則的に、自店舗に係わる情報に限り見ることができるようにしている。販売情報のうち、自店の売り上げ情報を見ることができるとともに、自店の顧客に関しては、会員ごとの購入履歴も見ることができるようにしている。他店舗の販売情報は、個々の店舗を特定した情報を見ることはできないが、例えば、全国の平均売り上げなどは、見ることができるようにする。」

上記ア乃至イによると、甲第3号証には、次の技術的事項(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「各会員が、自分の購買履歴や肌情報を取得するために会員端末10からアクセス可能であり、個々の会員は、自分の会員IDに対応した会員情報および販売情報を見ることができる。」という技術的事項。

(4)甲第4号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に係る美顔管理システムは、双方向の通信手段により顧客からの肌情報を蓄積し、顧客へのカウンセリングを行う美顔管理システムであって、顧客の肌の状態が肌センサーにより測定され、これらの肌情報が入力・格納される顧客側端末装置と、前記顧客の登録情報と、顧客の肌情報の履歴と、肌情報に基づくカウンセリング情報が格納されるデータベースとから構成され、前記顧客側端末装置からの双方向の通信手段により前記データベースに肌情報を送信し、該肌情報を基に前記データベースからの双方向の通信手段により前記顧客側端末装置から顧客へのカウンセリング手段を有する。」

イ 「【0013】
本発明によれば、肌センサーによって肌情報をパーソナルコンピューター及び携帯通信端末機器(以下「PC」と称する。)にアップすることで日々の肌状態を把握することができる。そしてPCの肌情報をインターネットにて専用サイトにアップすることで、現在の肌状態のカウンセリングを行うと共に、現在の肌情報にあった最適な化粧液噴霧時間や使用量を薦めることが可能となる。」

ウ 「【0027】
さらに、携帯型美顔器とPC端末とWebサイトとをネットワークで連動させることによって測定された肌情報に基づき、事前に設定された制御プログラム(作動時間、スチーム温度、振動数、保湿や美白、シワなどの用途の化粧液噴霧時間のバランス調整)をWebサイト側から端末PCに送信して自動制御とメニュー案内をPC画面に表示し、自宅にて携帯型美顔器と端末PCを自動制御することによってプロの技による肌のケアを行うことが可能となる。
【0028】
また、各種の化粧液をスチーム化して顔肌に噴霧するスチーム式美顔装置とPC端末とWebサイトとをネットワークで連動させることによって化粧液の種類や使用量が肌診断センサーによって測定された肌情報に基づき、事前に設定された制御プログラムによって自動制御されて現時点での肌環境に適した美顔が行えることとなる。」

上記ア乃至ウによると、甲第4号証には、次の技術的事項(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

「肌センサーによって肌情報をインターネットにて専用サイトにアップし、測定された肌情報に基づき、事前に設定された制御プログラム(作動時間、スチーム温度、振動数、保湿や美白、シワなどの用途の化粧液噴霧時間のバランス調整)をWebサイト側から端末PCに送信すること、また、スチーム式美顔装置と肌情報が格納されるPC端末とWebサイトとをネットワークで連動させることによって、肌診断センサーによって測定された肌情報に基づき、化粧液の種類や使用量が事前に設定された制御プログラムによって自動制御されて、現時点での肌環境に適した美顔が行える。」という技術的事項。

(5)甲第5号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0024】
以上のように本実施形態では、ユーザが健康増進機器2を使用する際に、演算処理部20が、通信部25を用いて測定機器1から当該ユーザの身体情報(血圧値および脈拍数)を取得し、取得した身体情報をもとに当該ユーザの健康状態の良否を判断しており、ユーザの健康状態に応じて作用部21の動作を制御しているので、使用時の体調に合わせて作用部21の動作を調整することができる。そして、演算処理部20は、身体情報をもとに使用者の健康状態が所定の基準レベルよりも良いと判断した場合のみ、作用部21を動作させており、ユーザの健康状態が基準レベルよりも悪い場合は作用部21を動作させないことで、使用者の体に無理な負担がかかるのを防止でき、健康増進機器2を安全に使用させることができる。」

上記アによると、甲第5号証には、次の技術的事項(以下、「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。

「ユーザが健康増進機器2を使用する際に、測定機器1から当該ユーザの身体情報(血圧値および脈拍数)を取得し、取得した身体情報をもとに当該ユーザの健康状態の良否を判断し、ユーザの健康状態に応じて作用部21の動作を制御することで、例えば、身体情報をもとに使用者の健康状態が所定の基準レベルよりも良いと判断した場合のみ作用部21を動作させ、ユーザの健康状態が基準レベルよりも悪い場合は作用部21を動作させない。」という技術的事項。

(6)甲第6号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0033】
以上説明したように本実施形態の健康増進システムでは、ネットワークを介してセンターサーバ100に接続された他動運動機器1やマッサージ機2が使用された場合に、他動運動機器1やマッサージ機2から動作プログラムの使用情報をセンターサーバ100に送信することによって、センターサーバ100で、複数の動作プログラムの使用状況を判定することができる。そして、センターサーバ100は、複数の動作プログラムの使用状況を判定した結果を他動運動機器1やマッサージ機2へそれぞれ配信し、他動運動機器1やマッサージ機2において、センターサーバ100の判定結果が表示部17,23に表示されているので、他動運動機器1やマッサージ機2の使用者は、表示部17,23の表示をもとに、複数の動作プログラムのうち使用頻度の高いものを把握することができる。」

イ 「【0035】
また本システムでは、他動運動機器1またはマッサージ機2の使用者が、操作部15,22を用いて自身の年齢や身長などの個人情報を入力した場合、これらの個人情報が動作プログラムの使用情報とともにセンターサーバ100に送信される。この場合、センターサーバ100の演算処理部101が、記憶部103に蓄積した複数の動作プログラムの使用状況と、他動運動機器1またはマッサージ機2から送信された個人情報とに基づいて、当該使用者に推奨する動作プログラムを選択し、通信部102から送信元の他動運動機器1またはマッサージ機2に対して返送させることも好ましく、使用者の年齢や身長などの個人情報をもとに使用者の身体能力に合わせた動作プログラムを提示することによって、健康の増進により有効な動作プログラムを使用者に提供することができる。」

上記ア乃至イによると、甲第6号証には、次の技術的事項(以下、「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。

「ネットワークを介してセンターサーバ100に接続された他動運動機器1やマッサージ機2が使用された場合に、他動運動機器1やマッサージ機2から動作プログラムの使用情報をセンターサーバ100に送信することによって、センターサーバ100で、複数の動作プログラムの使用状況を判定することができ、また、使用者が年齢や身長などの個人情報を入力した場合、これらの個人情報が動作プログラムの使用情報とともにセンターサーバ100に送信され、センターサーバ100の演算処理部101が、複数の動作プログラムの使用状況と、前記個人情報とに基づいて、当該使用者に推奨する動作プログラムを選択し、前記個人情報の送信元に返送させることで、使用者の年齢や身長などの個人情報をもとに使用者の身体能力に合わせた動作プログラムを提示する。」という技術的事項。

(7)甲第7号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0086】
==携帯電話用偏光フィルター付ダーモスコープ==
上述したように、本実施の形態で用いるダーモスコープは、偏光フィルターを備え、カメラ付携帯電話に付属しているカメラに対しアダプタを介して取り付けられるようにするのが最も好ましい。以下、このダーモスコープの一例を詳細に記述する。
【0087】
図5に一例となるカメラ付携帯電話20の概観を示す。この携帯電話20では、画面22の下部、番号用プッシュボタン24の上部にカメラ26が配置されている。このカメラ26は、対物レンズ28と、図6に示した撮像素子40を備える。撮像素子40は、対物レンズ28を介して撮像対象物から導かれた像光による撮像を行うものであり、本実施形態では、CCDによって構成されている。この携帯電話20単独で撮像が行われる場合には、縮小的画像の撮像が可能になるように構成されている。
【0088】
このような携帯電話20に取り付けて用いるアダプタとしてのユニット30を図6に示す。このユニット30は、携帯電話20に取り付けられることにより、携帯電話20の撮像素子40で撮像される画像を拡大的画像にする。ユニット30を携帯電話20に取り付けた状態での横断面を図4に示す。このユニット30を携帯電話20のカメラ26に含まれる対物レンズ28の光軸と同軸になるようにして、露出している対物レンズ28の周囲を取り囲むような状態で、携帯電話20の表面に第1部材42を貼り付け、ここの第2部材34を固定することにより、ユニット30の携帯電話20に対する着脱自在な状態での取り付けを実現することができる。例えば、両部材の一方に凸部、他方に凹部を形成し、はめ込むようにしてユニット30を固定してもよく、また、両部材の一方を金属板にし、他方を磁石にして、磁力によってユニット30を固定してもよい。
【0089】
ユニット30の内部では、図7に示すように、マウント48が、ユニット30内周面に固定されている。マウント48は、外径がユニット30の内径と等しく、中心に円形の孔が設けられている円板である。そして、拡大レンズ46が、マウント48の穴にはめ込まれることにより、マウント48を通してユニット30に取り付けられている。
【0090】
ユニット30を携帯電話20に固定した状態で、ユニット先端部36から携帯電話20外表面までの距離は、先端部36を撮像対象物に接触させたときに、対物レンズ28及び拡大レンズ46の両レンズの組み合わせによるピント位置が、撮像対象物の撮像対象範囲に合う範囲内に保てるように設計されている。従って、先端部36を撮像対象物に接触させれば、撮像対処物のうち、先端部36で囲まれた部分に対し、自動的にピントが合うことになる。」

上記アによると、甲第7号証には、次の技術的事項(以下、「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。

「携帯電話20に取り付けて用いるアダプタとしてのユニット30であって、当該ユニット30を携帯電話20のカメラ26に含まれる対物レンズ28の光軸と同軸になるようにして、露出している対物レンズ28の周囲を取り囲むような状態で、携帯電話20に対する着脱自在な状態での取り付けを実現することができるユニット30。」という技術的事項。

(8)甲第8号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0017】カウンセリングファイルには、プロフィール診断を行った際に得られた情報(肌への要望、肌へのダメージ度、ファウンデーションの好み等)、ネイルケア診断を行った際に得られた情報(爪の厚み、乾燥度合い、深爪か否か等)、メイクアップ診断を行った際に得られた情報(ほお紅、口紅、ネールエナメル、アイシャドーの色等)、スキンケア診断を行った際に得られた情報(現在の肌状態、現在使用中の化粧品や手入れ、好みのローションタイプ等)が会員番号に基づいて記憶される。」

イ 「【0020】顧客が同じフロアに来店する毎にカウンセリング情報や購買情報がカウンセリング端末PC5に入力され、記憶装置に記憶された情報が更新される。また、更新された情報が顧客データベースサーバ2に送信されて顧客データベースサーバ2に記憶された情報も更新される。さらに、顧客データベースサーバ2で売上金額に応じたポイントが算出され、ポイントデータベースサーバ3に記憶されたポイントが更新される。
【0021】次にこの顧客が2階のメイクアップフロアに来店した場合について説明する。カウンセラーが会員カードをカードリーダ・ライタ7に挿入すると、会員番号が読み取られて顧客データベースサーバ2に送られ、この会員番号に基づいて顧客データベースサーバ2に記憶されている過去のカウンセリング情報や購買情報がカウンセリング端末PC5に送信される。」

ウ 「【0022】カウンセラーは、その情報を見ながら顧客に対してカウンセリングを行う。例えば、顧客の個人情報を知りたいときには、画面に表示されたメニューの中から「会員情報」の項目を選択すると、図4に示す如く、顧客が入会申し込み書に記入した事項が表示される。また、「プロフィール」の項目を選択すると、図2に示す如く、プロフィール診断の結果が表示され、「スキンケア」の項目を選択すると、図3に示す如く、スキンケア診断の結果が表示され、「購買履歴」の項目を選択すると、図5に示す如く、過去に購入した商品の一覧表が表示される。」

上記ア乃至ウによると、甲第8号証には、次の技術的事項(以下、「甲8発明」という。)が記載されていると認められる。

「顧客のカウンセリング情報や購買情報がカウンセリング端末PC5に入力されると、更新された情報が顧客データベースサーバ2に送信され、会員カードをカードリーダ・ライタ7に挿入すると、会員番号が読み取られて顧客データベースサーバ2に送られ、この会員番号に基づいて顧客データベースサーバ2に記憶されている過去のカウンセリング情報や購買情報がカウンセリング端末PC5に送信される。」という技術的事項。

(9)甲第9号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0042】図8は、表示項目セットの登録画面である。この登録画面において、表示項目セットの登録を実行するための「登録」ボタン、表示項目セットの使用範囲の設定エリア、表示項目セット名の入力エリアを画面上部に表示する。また、その下には、データベースDB1の名称(図では組織データ)と、その各データベース項目名と、検索結果としての内容表示の有無を設定するためのチェックボックスと、データベース項目を表示順の入力エリアと、表示領域内における内容の表示位置を左詰め、中央揃え、あるいは右詰めに設定するためのチェックボタンと、データベース項目のタイトルの入力エリアを、それぞれ対応づけて表示する。つまり、画面表示スタイルが設定できるようになっている。」

イ 「【0046】図10は、検索結果の表示画面である。同図に示すように、検索項目セットにより検索されたデータの各項目の内容の中の表示項目セットとして設定されたものだけが表示される。なお、表示スタイルについても設定された通りに表示が行われる。」

上記ア乃至イによると、甲第9号証には、次の技術的事項(以下、「甲9発明」という。)が記載されていると認められる。

「画面表示スタイルの設定を行うことができる表示項目セットの登録画面において、検索結果としての内容表示の有無を設定するためのチェックボックスと、データベース項目を表示順の入力エリアと、表示領域内における内容の表示位置を左詰め、中央揃え、あるいは右詰めに設定するためのチェックボタン等が表示されており、検索結果の表示画面においては、検索項目セットにより検索されたデータの各項目の内容の中の表示項目セットとして設定されたものだけが表示される。」という技術的事項。

(10)甲第10号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0051】ここで、美容カルテ情報に基づいて生成された美容カルテ画面を図13に例示する。なお、前述した図6に示す美容カルテ画面と同一の項目については同一の符号を付し、その説明を省略する。図13に示すように、美容カルテ画面には、フェイシャル・エステケアの実行ボタン70と肌質診断ボタン71が備えられている。フェイシャル・エステケアの実行ボタン70が選択され確定されると、ユーザの肌の状態に適したフェイシャル・エステケアが提供される。また、肌質診断ボタン55が選択され確定されると、肌質診断部44により行われる肌質診断を受診する際の操作手順がモニター部41に順次表示される。フェイシャル装置40は、この操作手順にしたがって順次入力される各種の値に基づいてユーザの肌の状態を診断する。なお、この肌質を診断する際の動作については後述する。そして、肌質診断部44による診断が終了すると、現況入力領域69に設けられた他の項目から入力・選択された情報と肌質診断部44による診断結果とに基づいて、美容カルテ画面に表示されているワンポイントアドバイス65・生活習慣に関するアドバイス66・食事に関するアドバイス67・スキンケアに関するアドバイス68等の美容に関するアドバイスの内容が更新される。
【0052】次に、美容カルテ画面のフェイシャル・エステケアの実行ボタン70がユーザにより選択され確定されると、フェイシャル装置40のCPU47は、アドバイスサーバ10から提供された美容に関するアドバイス情報、例えば、美容カルテ画面のトラブルの内容63・トラブルの段階64・スキンケアに関するアドバイス68に表示されている内容等に基づいて、フェイシャル・エステケアを実行するプログラムに対応する実行プログラム名462aをフェイシャル情報DB462から抽出する(ステップS26)。そして、フェイシャル装置40のCPU47は、この選択した実行プログラム名に対応するプログラムを実行することにより、フェイシャル・エステケアを順次実行させるための操作手順をモニター部41に表示させる(ステップS27)。ユーザは、モニター部41に表示された操作手順にしたがって各種操作ボタン432を操作したり、フェイシャル・エステケア部43に備えられているフェイシャル・エステケアを行うための各種ケア器具を使用することにより、フェイシャル・エステケアのサービスを享受することとなる(ステップS32)。これにより、ユーザは肌に関する専門的な知識を持っていなくても、簡易にフェイシャル・エステケアを行うことが可能となる。」

上記アによると、甲第10号証には、次の技術的事項(以下、「甲10発明」という。)が記載されていると認められる。

「フェイシャル装置40において、肌質診断ボタン55が選択され確定されると、肌質診断部44により行われる肌質診断を受診する際の操作手順がモニター部41に順次表示され、肌質診断部44による診断が終了すると、現況入力領域69に設けられた他の項目から入力・選択された情報と肌質診断部44による診断結果とに基づいて、美容に関するアドバイスの内容が更新され(【0051】)、
続けて、フェイシャル・エステケアの実行ボタン70がユーザにより選択され確定されると、フェイシャル装置40のCPU47は、アドバイスサーバ10から提供された美容に関するアドバイス情報に基づいて、フェイシャル・エステケアを実行するプログラムに対応する実行プログラム名462aをフェイシャル情報DB462から抽出し、この選択した実行プログラム名に対応するプログラムを実行することにより、フェイシャル・エステケアを順次実行させるための操作手順をモニター部41に表示させる。」という技術的事項。

(11)甲第11号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「(57)【要約】
【課題】 インターネット等を利用したオンラインショッピングに於いても、対面販売と同様なカウンセリングを受けられるようにすることにある。
【解決手段】 注文者は、肌診断装置11を用いて自身の肌の状態を測定する。その測定結果を示す肌診断基礎データは、ユーザ端末10からネットワーク100 を介して化粧品販売会社端末20へ送られる。化粧品販売会社端末20は、ユーザ端末10から送られてきた肌診断基礎データに基づいて、推薦する製品や、肌の手入れ方法や、理想の肌状態と現在の肌状態との比較グラフ等を含む肌診断カウンセリング情報をユーザ端末10に返送する。注文者は、ユーザ端末10の画面の表示された肌診断カウンセリング情報に基づいて購入する化粧品を決定し、購入注文情報をユーザ端末10からネットワーク100 を介して化粧品販売会社端末20へ送信する。」

上記アによると、甲第11号証には、次の技術的事項(以下、「甲11発明」という。)が記載されていると認められる。

「注文者が、肌診断装置11を用いて測定した自身の肌の状態の測定結果を示す肌診断基礎データが、ユーザ端末10からネットワーク100 を介して化粧品販売会社端末20へ送られ、化粧品販売会社端末20は、受信した肌診断基礎データに基づいて、推薦する製品や、肌の手入れ方法や、理想の肌状態と現在の肌状態との比較グラフ等を含む肌診断カウンセリング情報をユーザ端末10に返送し、注文者は、ユーザ端末10の画面に表示された肌診断カウンセリング情報に基づいて、購入する化粧品を決定し、購入注文情報をユーザ端末10からネットワーク100 を介して化粧品販売会社端末20へ送信する。」という技術的事項。

2 無効理由1について

(1)本件発明1についての判断
本件発明1の「ユーザークライアント」に関しては、請求人の主張(「第4 請求人の証拠方法と主張」の2(2)(2-1)アを参照)を踏まえ、

「ア 甲1発明の『携帯電話HP』が本件発明1の「ユーザークライアント」に相当すると仮定した場合」

「イ 甲1発明の『表示装置52』が本件発明1の「ユーザークライアント」に相当すると仮定した場合」

に分けて、以下に検討する。

ア 甲1発明の『携帯電話HP』が本件発明1の「ユーザークライアント」に相当すると仮定した場合

(ア) 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。

(ア-1)甲1発明の肌状態改善システムでは、住宅X内に『肌状態検出装置A』と『肌状態改善部B』が設置されており、『肌状態検出装置A』で測定された『測定データ』に基づいて『肌状態改善部B』を制御しており、甲1発明の『肌状態検出装置A』及び『肌状態改善部B』は、それぞれ、本件発明1の「肌状態測定装置」及び「スキンケア装置」に相当する。

(ア-2)分節(A)の「ユーザークライアント」について
(ア-1)で上述したとおり、甲1発明の『肌状態検出装置A』及び『肌状態改善部B』は、それぞれ、本件発明1の「肌状態測定装置」及び「スキンケア装置」に相当する。
また、甲1発明の『携帯電話HP』は、前記『測定データ』を『センターサーバ101』に送信し、また、前記『携帯電話HP』には『ディスプレイ』があることから、甲1発明の『携帯電話HP』は、本件発明1のように「ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備え」ているといえるから、甲1発明の『携帯電話HP』は、本件発明1の「ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアント」に相当する。
つぎに、甲1発明における肌状態測定装置(『肌状態検出装置A』)及びスキンケア装置(『肌状態改善部B』)と、ユーザークライアント(『携帯電話HP』)と、の接続関係について検討すると、ユーザークライアントは肌状態測定装置から『測定データ』を取り込むものの、ユーザークライアントとスキンケア装置との間ではデータの送受信が実行されるものではない。したがって、甲1発明におけるユーザークライアント(『携帯電話HP』)は、本件発明1のように、「スキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続される」とはいえないが、本件発明1の「ユーザークライアント」と対比すると、「ユーザーにより使用される肌状態測定装置」「とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続される」点において共通する。

(ア-3)分節(B)の「データ管理サーバ」及び分節(C)の「分析結果出力手段」について
甲1発明の『測定データ』は、本件発明1の「測定データ」に相当する。また、甲1発明では、肌状態測定装置によって測定された使用者の肌の測定データの履歴や、前記測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データが、センターサーバ101から表示装置52又は携帯電話HPに送信されることから、甲1発明の『センターサーバ101』は、本件発明1のように、「前記ユーザークライアントに対して前記ネットワークを介してデータの送受信が可能にされ」ているといえる。
また、甲第1号証には、『センターサーバ101』が、ユーザーに関連する測定データ等の情報をどのように記憶するのか明示されていないが、甲1発明では、ユーザーが『センサーサーバ101』にアクセスすることで、当該ユーザーに関連する情報が『センターサーバ101』から提供されており、そのために、甲1発明の『センターサーバ101』は、前記ユーザーに関連する情報を、本件発明1のように、「前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客IDに関連付けて記憶」しているといえる。
したがって、甲1発明の『センターサーバ101』は、本件発明1の「前記ユーザークライアントに対して前記ネットワークを介してデータの送受信が可能にされ、前記ユーザーに関連する情報を前記ユーザー毎に重複のない一意の顧客IDに関連付けて記憶するデータ管理サーバ」に相当する。
さらに、甲1発明の『測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データ』は、本件発明1の「前記肌状態測定装置により測定された測定データを分析することにより得られる肌状態の分析結果データ」に相当する。そして、甲1発明では、前記『測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データ』が『センターサーバ101』から『表示装置52』又はユーザークライアントに送信され表示されることから、甲1発明の『センターサーバ101』は、本件発明1の「前記肌状態測定装置により測定された測定データを分析することにより得られる肌状態の分析結果データが入力され、当該分析結果データを前記ユーザークライアントで表示可能に出力する分析結果出力手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-4)分節(b1)の「ユーザーデータ用データベース」について
甲1発明のデータ管理サーバは、ユーザークライアント(『携帯電話HP』)から測定データを受信するものの、測定データ以外の個人情報等を受信するのか否か明らかではなく、甲1発明のデータ管理サーバには、本件発明1の「複数の各ユーザークライアントから受信した前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報と前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報を含み、前記顧客IDに関連付けられたユーザーデータが登録されるユーザーデータ用データベース」に相当する構成が存在するとはいえない。

(ア-5)分節(b2)の「測定データ用データベース」について
甲1発明では、ユーザークライアントから測定データを受信したデータ管理サーバが、『測定データの履歴』や肌状態の分析結果データを、『表示装置52』又はユーザークライアントに送信していることから、甲1発明のデータ管理サーバには、『測定データの履歴』や肌状態の分析結果データが、送信を可能とすべく『表示装置52』又はユーザークライアントを示すIDと関連付けられて記憶されており、前記『測定データの履歴』は、本件発明1の「測定データあるいは肌状態の分析結果データ」であって「当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータ」に相当するといえる。
したがって、甲1発明におけるデータ管理サーバは、本件発明1の「前記ユーザークライアントから受信した前記肌状態測定装置により測定された前記測定データあるいは前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて登録されるとともに、前記測定データあるいは分析結果データが、当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータとして登録される測定データ用データベース」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-6)分節(b3)の「データ閲覧用データ送信手段」について
甲1発明では、表示装置52又は携帯電話HPがセンターサーバ101にアクセスして、測定データの履歴や測定データと標準値とを比較するグラフ等を提供するサービスを選択すると、測定データの履歴や測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データがセンターサーバ101から表示装置52又は携帯電話HPに送信されて表示されることから、甲1発明におけるデータ管理サーバ(『センターサーバ101』)は、本件発明1のように、「前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき、前記測定データ用データベース」「に登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-7)分節(b4)の「スキンケア装置制御方法決定手段」及び分節(D)の「スキンケア装置」について
甲1発明では、スキンケア装置の制御方法(スキンケア装置を制御する制御信号)は、測定データと『所定値』とを比較して決定されるものであって、分析結果データ(測定データと標準値とを比較したグラフ等の画像データ)に基づいて決定されるものではない。
すなわち、本件発明1と甲1発明とを対比すると、第1に、測定データと比較される対象が、本件発明1では「標準値」であるのに対し、甲1発明では『所定値』であり、第2に、制御信号の決定が、本件発明1では「分析結果データ」(すなわち、測定データと標準値とを比較したグラフ等の画像データ)に基づくのに対し、甲1発明では、測定データと『所定値』との比較に基づくものである。
したがって、甲1発明には、本件発明1の「前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データに基づいて前記スキンケア装置の制御方法を決定するスキンケア装置制御方法決定手段」に相当する構成は存在せず、また、甲1発明におけるスキンケア装置は、前記スキンケア装置制御方法決定手段により決定された制御方法に基づいて制御されるものではない。

(ア-8)分節(a1)の「ユーザーデータ送信手段」について
甲1発明では、本件発明1における「ユーザーデータ」のような情報(「個人情報」と「付帯情報」を含むもの)を送信しないため、甲1発明には、本件発明1における「前記ユーザーにより入力されるとともに前記個人情報と前記付帯情報を含むユーザーデータを前記データ管理サーバに送信するユーザーデータ送信手段」に相当する構成は存在しない。

(ア-9)分節(a2)の「測定データ送信手段」について
上記(ア-5)の分節(b2)に関して示したところにより、甲1発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記肌状態測定装置により測定された前記ユーザーの前記測定データが当該肌状態測定装置から入力された場合に、入力された前記測定データを前記データ管理サーバに送信する測定データ送信手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-10)分節(a3)の「分析結果表示手段」について
上記(ア-5)の分節(b2)に関して示したところにより、甲1発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記測定データに対する前記分析結果データが前記分析結果出力手段から入力された場合に前記分析結果データを表示する分析結果表示手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-11)分節(a4)の「データ閲覧要求手段」について
上記(ア-6)の分節(b3)に関して示したところにより、甲1発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-12)分節(a5)の「データ表示手段」について
上記(ア-5)の分節(b2)に関して示したところにより、甲1発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記データ閲覧要求手段により要求したデータを前記データ管理サーバから受信した場合に、送信されたデータを表示するデータ表示手段」に相当する構成を備えているといえる。

以上(ア-1)乃至(ア-12)によると、本件発明1と甲1発明は、次の点で一致する。

<一致点>
「ユーザーにより使用される肌状態測定装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されるとともに、ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアントと、
前記ユーザークライアントに対して前記ネットワークを介してデータの送受信が可能にされ、前記ユーザーに関連する情報を前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客IDに関連付けて記憶するデータ管理サーバと、
前記肌状態測定装置により測定された測定データを分析することにより得られる肌状態の分析結果データが入力され、当該分析結果データを前記ユーザークライアントで表示可能に出力する分析結果出力手段と、
を備え、
前記データ管理サーバは、
前記ユーザークライアントから受信した前記肌状態測定装置により測定された前記測定データあるいは前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて登録されるとともに、前記測定データあるいは分析結果データが、当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータとして登録される測定データ用データベースと、
前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき、前記測定データ用データベースに登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信手段と、
前記スキンケア装置の制御方法を決定するスキンケア装置制御方法決定手段と、を備え、
前記ユーザークライアントは、
前記肌状態測定装置により測定された前記ユーザーの前記測定データが当該肌状態測定装置から入力された場合に、入力された前記測定データを前記データ管理サーバに送信する測定データ送信手段と、
前記測定データに対する前記分析結果データが前記分析結果出力手段から入力された場合に前記分析結果データを表示する分析結果表示手段と、
前記測定データ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段と、
前記データ閲覧要求手段により要求したデータを前記データ管理サーバから受信した場合に、送信されたデータを表示するデータ表示手段とを備え、
前記スキンケア装置は、制御されることを特徴とする肌状態測定分析情報管理システム。」

そして、本件発明1と甲1発明は、次の点で相違する。

<相違点1-1-1>
本件発明1では、ユーザークライアントはスキンケア装置と、データの送受信が行えるように、有線または無線で「接続」されているのに対し、甲1発明では、ユーザークライアントはスキンケア装置とは「接続」されていない点。

<相違点1-1-2>
本件発明1では、データ管理サーバが、「前記分析結果出力手段から得られた肌状態の分析結果データに基づいて」前記スキンケア装置の制御方法を決定するスキンケア装置制御方法決定手段を備え、スキンケア装置が、「前記スキンケア装置制御方法決定手段により決定された制御方法に基づいて」制御されるのに対して、甲1発明におけるデータ管理サーバは、スキンケア装置の制御方法を決定するスキンケア装置制御方法決定手段を備えているものの、当該制御方法が、本件発明1のように「前記分析結果出力手段から得られた肌状態の分析結果データに基づいて」決定される、ものではなく、また、スキンケア装置が、「前記スキンケア装置制御方法決定手段により決定された制御方法に基づいて」制御される、ものではない点。

<相違点1-1-3>
本件発明1では、データ管理サーバが、「複数の各ユーザークライアントから受信した前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報と前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報を含み、前記顧客IDに関連付けられたユーザーデータが登録されるユーザーデータ用データベース」を備えているのに対し、甲1発明のデータ管理サーバは備えていない点。

<相違点1-1-4>
本件発明1では、ユーザークライアントが、「前記ユーザーにより入力されるとともに前記個人情報と前記付帯情報を含むユーザーデータを前記データ管理サーバに送信するユーザーデータ送信手段」を備えているのに対し、甲1発明のユーザークライアントは備えていない点。

(イ)相違点についての判断

<相違点1-1-1>について
甲1発明のスキンケア装置は、ネットアダプタ54に接続されており、当該ネットアダプタ54経由でデータ管理サーバから制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて制御されるものであるから、ネットアダプタ54との接続に加えて、さらに、ユーザークライアントとスキンケア装置を接続させる動機付けがあるとはいえないし、ネットアダプタ54との接続に代えて、敢えて、ユーザークライアントと接続させる動機付けもあるとはいえない。

<相違点1-1-2>について
甲1発明における分析結果データとは、具体的には、ユーザークライアントにおいて表示されるべくデータ管理サーバから出力される『測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データ』である。
そして、甲1発明では、スキンケア装置の制御方法の決定は、測定データと所定値とを比較して決定している。
ここで、甲1発明において、スキンケア装置の制御方法を決定するために、測定データと「所定値」とを比較することに代えて、測定データと「標準値」とを比較するように変更する動機付けがあるとはいえない。
さらに、甲1発明では、スキンケア装置の制御方法の決定は、測定データに基づいて行うことで十分であり、これを敢えて、画像データに基づいて行うように変更する動機付けもあるとはいえない。

<相違点1-1-3>及び<相違点1-1-4>について
甲2発明では、データ管理サーバの『会員情報データベース321』に、『会員ID,パスワード,氏名,メールアドレス,紹介販売店の指定地域,決済情報』等が登録されており、当該甲2発明の『氏名』や『メールアドレス』は、本件発明1の「前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報」に相当し、『紹介販売店の指定地域』は、本件発明1の「前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報」に相当するといえるから、甲2発明は、<相違点1-1-3>に係る構成である、データ管理サーバが「複数の各ユーザークライアントから受信した前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報と前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報を含み、前記顧客IDに関連付けられたユーザーデータが登録されるユーザーデータ用データベース」を備えるものであるといえる。
また、甲2発明では、『氏名』、『メールアドレス』、『紹介販売店の指定地域』等は、『肌の診断サービスの会員登録をするときに登録される』ものであり、インターネットを利用した各種サービスの会員登録時には、個人情報等をユーザークライアントから送信することが技術常識であることを考慮すると、甲2発明は、<相違点1-1-4>に係る構成である、ユーザークライアントが「前記ユーザーにより入力されるとともに前記個人情報と前記付帯情報を含むユーザーデータを前記データ管理サーバに送信するユーザーデータ送信手段」を備えるものであるといえる。
ここで、甲2発明は、ユーザークライアントを介して送信された測定データをサーバにおいて管理するという点において、甲1発明と同じ技術分野に属することから、甲1発明において、同じ技術分野に属する甲2発明を適用して、当該<相違点1-1-3>及び<相違点1-1-4>に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

(ウ)請求人の主張について

<相違点1-1-1>に関して
請求人は、甲第1号証の段落【0050】の記載を根拠に、甲第1号証には、ユーザークライアント(『携帯電話HP』)とスキンケア装置(『肌状態改善部B』)とを相互に接続することが記載されていると主張する(請求人の口頭審理陳述要領書第4頁)。
その主張の論拠は、次のとおりである。
・甲第1号証の段落【0050】には、『・・・肌状態検出装置A、肌状態改善部B、表示装置52、ネットアダプタ54にはそれぞれ個別のローカルIPアドレスが割り当てられており、センターサーバ101(および制御部C)と各機器との間で相互に通信が行えるようになっている。』との記載があり、肌状態検出装置A、肌状態改善部B、表示装置52、ネットアダプタ54といった各機器の間には接続関係が存在している。
・したがって、甲第1号証には、スキンケア装置(肌状態改善部B)と肌状態測定装置(肌状態検出装置A)と表示装置(表示装置52)と送受信手段(ネットアダプタ54)とユーザークライアント(携帯電話HP)とを相互に接続することが記載されている。

上記主張について検討すると、無効理由1は、構成(A)のユーザークライアントが、スキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されたものである点が、甲1発明との一致点であることを前提とするものであるところ、ユーザークライアントに対応する甲1発明の『携帯電話HP』に関する記載箇所は、段落【0062】、【0063】、【図7】にとどまる。そして、請求人が示す甲第1号証の段落【0050】は、『携帯電話HP』についての開示ではなく、また、これらの記載箇所においても、ユーザークライアントを肌状態測定装置と接続することや表示装置として用いることは記載されているものの、それにとどまり、ユーザークライアントをスキンケア装置と接続することは、記載されていない。
さらには、甲1発明においては、肌状態測定装置(『肌状態検出装置A』)からの測定データについては、『ネットアダプタ54』ではなく『携帯電話HP』を用いてセンターサーバへ送信することができるとされる一方で、スキンケア装置(『肌状態改善部B』)に対する制御信号については、センターサーバではなく『ネットアダプタ54』において生成することが可能であるとされており、甲1発明の文脈において両者の取扱いは同様ではないから、段落【0062】における肌状態測定装置(『肌状態検出装置A』)についての記載がスキンケア装置(『肌状態改善部B』)について同様に当てはまるということもできない。
してみると、甲第1号証の記載内容からみて、構成(A)のユーザークライアントがスキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されたものである点は、本願発明と甲1発明との一致点であるということはできないのであり、この点が一致点であることを前提とする無効理由1は、成り立たない。

<相違点1-1-2>に関して
請求人は、本件発明1の「分析結果データ」に関して、「分析」が技術的にどのような処理であるのか明細書や図面には一切記載がない、「分析」が具体的に何を意味するのか明確でない、そして、「分析結果データ」と「測定データ」との間に本質的な違いがない、と主張している(請求人の口頭審理陳述要領書第5頁)。

当該主張について検討すると、本件特許明細書の段落【0138】に、「測定データから分析結果を取得するためのデータ分析用データベース53」と記載されており、段落【0140】に、「データ分析用データベース53として肌基準値データベース5g」と記載されており、段落【0149】に、「簡易診断は、・・・(中略)・・・肌基準値データベース5gの測定データから近似する測定データを選択し、当該測定データに関連付けられたランクを簡易診断結果として出力するようになっている」と記載されている。
以上の記載から、本件発明1の「分析結果データ」における「分析」とは、例えば、「測定データ」と「ランク」とが対応付けられた「肌基準値データベース5g」を参照して、「測定データ」に対応する「ランク」を「診断結果(分析結果)」として出力することであると認められるから、本件発明1の「分析」が技術的にどのような処理であるのか明確であって、「分析結果データ」と「測定データ」との違いも明らかであるから、請求人の上記主張は妥当ではない。

(エ)まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明等の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。


イ 甲1発明の『表示装置52』が本件発明1の「ユーザークライアント」に相当すると仮定した場合

(ア) 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。

(ア-1)甲1発明の肌状態改善システムでは、『肌状態検出装置A』で測定された『測定データ』に基づいて『肌状態改善部B』を制御しており、甲1発明の『肌状態検出装置A』及び『肌状態改善部B』は、それぞれ、本件発明1の「肌状態測定装置」及び「スキンケア装置」に相当する。

(ア-2)分節(A)の「ユーザークライアント」について
甲1発明では、住宅X内に『肌状態検出装置A』と『肌状態改善部B』が設置されており、前記『肌状態検出装置A』で測定された『測定データ』に基づいて前記『肌状態改善部B』が制御されることから、甲1発明の『肌状態検出装置A』及び『肌状態改善部B』は、それぞれ、本件発明1の「肌状態測定装置」及び「スキンケア装置」に相当する。
また、甲1発明の『表示装置52』が『センターサーバ101』にアクセスして、使用者の肌の測定データの履歴や測定データと標準値とを比較するグラフ等の画像データがセンターサーバ101から表示装置52に送信されて表示されることから、甲1発明の『表示装置52』は、本件発明1のように「ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備え」ているといえる。
ここで、甲1発明の『表示装置52』が、本件発明1の「ユーザークライアント」に相当する(と仮定している)ことから、甲1発明の『表示装置52』は、本件発明1の「ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアント」に相当する。

つぎに、甲1発明における肌状態測定装置(『肌状態検出装置A』)及びスキンケア装置(『肌状態改善部B』)と、ユーザークライアント(『表示装置52』)と、の接続関係について検討すると、甲1発明のユーザークライアントは、ネットアダプタ54を介して、肌状態測定装置から信号を受信することから、甲1発明のユーザークライアントは、本件発明1のように、肌状態測定装置と「データの送受信が行えるように有線または無線で接続され」ているものの、ユーザークライアントとスキンケア装置との間でデータの送受信が行われるものではない。
つまり、甲1発明のユーザークライアントは、本件発明1のように、「スキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続される」もの、ではない。

(ア-3)分節(a2)の「測定データ送信手段」について
甲1発明では、ユーザークライアント(『表示装置52』)において測定データの履歴が表示されるものの、測定データは、肌状態測定装置からネットアダプタ54、LAN201及びインターネット202を介して、又は、肌状態測定装置から携帯電話HP、携帯電話網及びインターネットを介して、データ管理サーバに送信されることから、甲1発明におけるユーザークライアントには、本件発明1のような「測定データ送信手段」が存在しない。

(ア-4)分節(b1)、(b4)、(D)、(a1)について
上記ア(ア)に示したとおり、甲1発明は、当該各分節に相当する構成を備えていない。

(ア-5)分節(B)、(C)、(b2)、(b3)、(a2)?(a5)について
上記ア(ア)に示したとおり、甲1発明は、当該各分節に相当する構成を備えている。

以上(ア-1)乃至(ア-5)によると、本件発明1と甲1発明は、次の点で一致する。

<一致点>
「ユーザーにより使用される肌状態測定装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されるとともに、ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアントと、
前記ユーザークライアントに対して前記ネットワークを介してデータの送受信が可能にされ、前記ユーザーに関連する情報を前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客IDに関連付けて記憶するデータ管理サーバと、
前記肌状態測定装置により測定された測定データを分析することにより得られる肌状態の分析結果データが入力され、当該分析結果データを前記ユーザークライアントで表示可能に出力する分析結果出力手段と、
を備え、
前記データ管理サーバは、
前記ユーザークライアントから受信した前記肌状態測定装置により測定された前記測定データあるいは前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて登録されるとともに、前記測定データあるいは分析結果データが、当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータとして登録される測定データ用データベースと、
前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき、前記測定データ用データベースに登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信手段と、
前記スキンケア装置の制御方法を決定するスキンケア装置制御方法決定手段と、を備え、
前記ユーザークライアントは、
前記測定データに対する前記分析結果データが前記分析結果出力手段から入力された場合に前記分析結果データを表示する分析結果表示手段と、
前記測定データ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段と、
前記データ閲覧要求手段により要求したデータを前記データ管理サーバから受信した場合に、送信されたデータを表示するデータ表示手段とを備え、
前記スキンケア装置は、制御されることを特徴とする肌状態測定分析情報管理システム。」

そして、本件発明1と甲1発明は、次の点で相違する。

<相違点1-2-1>
本件発明1では、ユーザークライアントはスキンケア装置と、データの送受信が行えるように、有線または無線で「接続」されているのに対し、甲1発明では、ユーザークライアントはスキンケア装置とは「接続」されていない点。

<相違点1-2-2>
上記ア(ア)<相違点1-1-2>に示したとおりである。

<相違点1-2-3>
本件発明1のユーザークライアントは、「前記肌状態測定装置により測定された前記ユーザーの前記測定データが当該肌状態測定装置から入力された場合に、入力された前記測定データを前記データ管理サーバに送信する測定データ送信手段」を備えているのに対し、甲1発明のユーザークライアントは備えていない点。

<相違点1-2-4>
上記ア(ア)<相違点1-1-3>に示したとおりである。

<相違点1-2-5>
上記ア(ア)<相違点1-1-4>に示したとおりである。

(イ)相違点についての判断

<相違点1-2-1>について
甲1発明のユーザークライアント(『表示装置52』)は、肌状態測定装置又はデータ管理サーバから、測定データ、グラフ、映像等を受信して表示する装置であって、スキンケア装置(『肌状態改善部B』)を制御する機能は備えていない。
なお、甲1発明において、ユーザークライアント(『表示装置52』)がスキンケア装置(『肌状態改善部B』)を制御することが想定されていないことは、甲1発明では、スキンケア装置(『肌状態改善部B』)に信号を送信する送信元となる『ネットワーク機器』として、データ管理サーバ(『センターサーバ101』)が明示されているものの、送信先となる『ネットワーク機器』と異なり、ユーザークライアント(『表示装置52』)が示されていないことからも明らかである。
したがって、甲1発明では、ユーザークライアントがスキンケア装置を制御する機能を備えておらず、また、想定されていない以上、甲1発明のユーザークライアントを、本件発明1のように、「スキンケア装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続される」ように構成する動機付けがあるとはいえない。

<相違点1-2-2>について
上記ア(イ)の「<相違点1-1-2>について」に示したとおりである。

<相違点1-2-3>について
甲1発明では、ユーザークライアント(『表示装置52』)は、肌状態測定装置から信号を受信するものの、受信した信号を他の機器等(特に、データ管理サーバ)に送信するものではなく、肌状態測定装置により測定された測定データは、ネットアダプタ54を介して、直接、データ管理サーバに送信されることから、甲1発明において、測定データを肌状態測定装置からデータ管理サーバに直接送信することに加えて、肌状態測定装置から一旦ユーザークライアントを経由してデータ管理サーバに送信するように構成する動機付けがあるとはいえないし、肌状態測定装置からデータ管理サーバに直接送信することに替えて、敢えて、ユーザークライアントを一旦経由させて、データ管理サーバに送信するように構成する動機付けもあるとはいえない。

<相違点1-2-4>及び<相違点1-2-5>について
上記ア(イ)の「<相違点1-1-3>及び<相違点1-1-4>について」に示したとおりである。

(ウ)請求人の主張について
<相違点1-2-2>に関して
上記ア(ウ)の「<相違点1-1-2>に関して」に示したとおりである。

(エ)まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明等の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

ウ 以上のとおり、「ア 甲1発明の『携帯電話HP』が本件発明1の「ユーザークライアント」に相当すると仮定した場合」と「イ 甲1発明の『表示装置52』が本件発明1の「ユーザークライアント」に相当すると仮定した場合」のいずれの観点から検討しても、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明等の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本件発明2についての判断
本件発明2は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、データ管理サーバが「スキンケア装置使用スケジュール決定手段」を備え、ユーザークライアントが「スキンケア装置使用スケジュール表示手段」を備えることであるが、甲1発明、甲2発明、甲4発明のいずれも、当該限定事項に相当する構成を備えていない。
また、甲4発明は、スキンケア装置に対応するスチーム式美顔装置がその近傍にあるPC端末に接続されており、このPC端末において測定データの蓄積と蓄積された測定データを踏まえたスチーム式美顔装置の制御が行われ、そのようなPC端末がネットワークを介してWebサイトと連動するものである。これに対し、甲1発明の認定に係る【図7】に示された「実施形態2」は、「実施形態1」と異なり、スキンケア装置に対応する肌状態改善部Bに制御信号を発してこれを制御する制御部Cがスキンケア装置に対応する肌状態改善部Bの近傍ではなく、センターサーバやネットアダプタに設けられており、制御部Cがスキンケア装置に対応する肌状態改善部Bの近傍にあることや、複数の制御部が連動することは想定していない。
このように、甲1発明と甲4発明とは、システムにおけるスキンケア装置の制御部の配置に係る前提が異なるものであり、両者を組み合わせることはできない。
よって、本件発明2は、甲1発明及び甲2発明並びに甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(3)本件発明3についての判断
本件発明3は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、肌状態測定装置が、「カメラ」と「肌を接写するコンバージョンレンズ」とを備えること等であるところ、甲7発明は当該限定事項に相当する構成を備えている。
しかしながら、甲7発明は、携帯電話に取り付けるユニットに関する発明であって、<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に関連するものではないから、甲1発明に甲7発明を組み合わせても<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明3は、甲1発明及び甲2発明並びに甲7発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(4)本件発明4についての判断
本件発明4は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、測定データ用データベースにおいて、分析結果データが「顧客IDに関連付けられて」時系列データとして登録されることであるところ、当該限定事項は、甲1発明に基づいて当業者が適宜なし得ることである。
しかしながら、甲1発明に甲2発明を組み合わせても、<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明4は、甲1発明及び甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(5)本件発明5についての判断
本件発明5は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、ユーザーデータ用データベースに、「化粧品データ」が「使用時期」と「顧客ID」とに関連付けて登録され、「分析結果データ」と「化粧品データ」とが「並列に表示可能」であること等であるが、甲1発明、甲2発明、甲3発明、甲8発明のいずれも、当該限定事項に相当する構成を備えていない。
また、甲3発明及び甲8発明は、スキンケア装置に関する発明ではないから、甲1発明に甲3発明及び甲8発明を組み合わせても、<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明5は、甲1発明及び甲2発明並びに甲3発明及び甲8発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(6)本件発明6についての判断
本件発明6は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定事項とは、化粧品データと並列に表示させる分析結果データを「時系列表示」と「比較表示」の少なくとも一方で表示可能とすることであるが、甲1発明、甲2発明、甲8発明、甲9発明のいずれも、当該限定事項に相当する構成を備えていない。
また、甲8発明及び甲9発明は、スキンケア装置に関する発明ではないから、甲1発明に甲8発明及び甲9発明を組み合わせても、<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明6は、甲1発明及び甲2発明並びに甲8発明及び甲9発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(7)本件発明7についての判断
本件発明7は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、分析結果出力手段が「分析手段」を有することであるところ、甲1発明は当該限定事項に相当する構成を備えている。
しかしながら、甲1発明に甲2発明を組み合わせても、<相違点1-1-1>乃至<相違点1-1-2>、又は、<相違点1-2-1>乃至<相違点1-2-3>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明7は、甲1発明及び甲2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(8)本件発明8乃至14についての判断
本件発明8乃至14は、それぞれ本件発明1-7を単に「方法」のカテゴリで記載したものであって、上記(1)乃至(7)で示した判断と同様に、甲1発明乃至甲9発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(9)無効理由1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1乃至14は、甲1発明、甲3発明、甲4発明、甲7発明及び甲8発明、並びに、甲2号証等の周知技術(甲2乃至甲4発明、甲8発明、甲9発明及び甲11発明)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
したがって、請求人が主張する無効理由によっては、同法第123条第1項第2号の規定に違反するものとして、請求項1乃至14に係る発明の特許を無効とすることはできない。

3 無効理由2について
(1)本件発明1についての判断
ア 対比
本件発明1と甲2発明を対比する。

(ア-1)分節(A)の「ユーザークライアント」及び分節(D)の「スキンケア装置」について
甲2発明では、『肌センサユニット20』が『ユーザ端末10』に接続されており、前記『肌センサユニット20』で測定された肌の状態である『肌データ』が『ユーザ端末10』から『業務委託先サーバ30』に送信されることから、甲2発明の『肌センサユニット20』及び『ユーザ端末10』は、それぞれ、本件発明1の「肌状態測定装置」及び「ユーザークライアント」に相当し、当該ユーザークライアント(『ユーザ端末10』)は、本件発明1のように、「ユーザーにより使用される肌状態測定装置」「とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続され」ており、「ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段」に相当する構成を備えているといえる。
さらに、甲2発明のユーザークライアント(『ユーザ端末10』)においては、肌の表面状態の画像や水分率等の情報が『表示部15』に表示されることから、前記『表示部15』は本件発明1の「表示手段」に相当し、甲2発明におけるユーザークライアントは、本件発明1のように、「表示手段とを備え」ている。
一方、甲2発明は、測定された肌データに基づく診断結果とアドバイス内容をユーザに提供するシステムであるから、甲2発明には、本件発明1における「スキンケア装置」に相当する装置が存在しない。

(ア-2)分節(B)の「データ管理サーバ」及び分節(C)の「分析結果出力手段」について
甲2発明では、『業務委託先サーバ30』が、肌状態測定装置により測定された『肌データ』と『肌データの基準値とを比較して診断』し、『診断結果』や『アドバイス内容』等を『肌履歴データベース324』に『会員ID』別に時系列に記憶するとともに、前記『診断結果』をユーザークライアントに送信することから、甲2発明の『会員ID』は、本件発明1の「前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客ID」に相当し、甲2発明の『診断結果』や『アドバイス内容』等は、本件発明1の「前記ユーザーに関連する情報」に相当する。
そして、甲2発明において、前記ユーザーに関連する情報(『診断結果』や『アドバイス内容』等)を前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客ID(『会員ID』)に関連付けて記憶する『業務委託先サーバ30』は、甲2発明の「データ管理サーバ」に相当する。
また、甲2発明において肌状態測定装置により測定された『肌データ』は、本件発明2の「肌状態測定装置により測定された測定データ」に相当し、甲2発明において前記『肌データ』と『肌データの基準値とを比較して診断』することは、本件発明1の「測定されたデータを分析すること」に相当し、甲2発明の『診断結果』は、本件発明1の「肌状態の分析結果データ」に相当する。
甲2発明では、肌状態の分析結果データは、『業務委託先サーバ30』からユーザークライアントに出力されていることから、甲2発明の『業務委託先サーバ30』は、本件発明1の「分析結果出力手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-3)分節(b1)の「ユーザーデータ用データベース」について
甲2発明におけるデータ管理サーバの『会員情報データベース321』には、ユーザが会員登録をするときに登録される『会員ID,パスワード,氏名,メールアドレス,紹介販売店の指定地域,決済情報』等が含まれていることから、甲2発明の『会員情報データベース321』に登録された情報のうち、『氏名』や『メールアドレス』は、本件発明1の「前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報」に相当し、『紹介販売店の指定地域』は、本件発明1の「前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報」に相当する。
そして、甲2発明においては、『氏名』、『メールアドレス』、『紹介販売店の指定地域』は顧客ID(『会員ID』)に関連付けられて『会員情報データベース321』に登録されることから、甲2発明の『氏名』、『メールアドレス』、『紹介販売店の指定地域』は、甲2発明の「前記顧客IDに関連付けられたユーザデータ」に相当し、甲2発明の前記『会員情報データベース321』は、本件発明2の「ユーザーデータ用データベース」に相当する。
なお、甲2発明のユーザーデータ(『氏名』、『メールアドレス』、『紹介販売店の指定地域』)は、ユーザが『肌の診断サービスの会員登録をするときに登録される』ものであるところ、インターネットを利用した各種サービスの会員登録の際には、個人情報等のユーザーデータをユーザークライアントから登録することが技術常識であることを考慮すると、甲2発明のユーザーデータは、本件発明1のように「複数の各ユーザークライアントから受信した」ものであるといえる。

(ア-4)分節(b2)の「測定データ用データベース」について
甲2発明では、肌状態測定装置により測定された測定データをユーザークライアントから受信したデータ管理サーバーが、前記測定データ及び分析結果データを、『肌履歴データベース324』に登録しており、また、当該『肌履歴データベース324』には、前記測定データ(『肌データ』)及び前記分析結果データ(『診断結果』)が、顧客ID(『会員ID』)別に、『年月日の順に時系列に記録』されていることから、甲2発明の『肌履歴データベース324』は、本件発明1の「前記ユーザークライアントから受信した前記肌状態測定装置により測定された前記測定データあるいは前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて登録されるとともに、前記測定データあるいは分析結果データが、当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータとして登録される測定データ用データベース測定データ用データベース」に相当する。

(ア-5)分節(b3)の「データ閲覧用データ送信手段」について
甲2発明のデータ管理サーバ(『業務委託先サーバ30』)は、測定データ用データベース(『肌履歴データベース324』)に登録され、顧客ID(『会員ID』)に関連付けられたデータ(『診断結果』)をユーザークライアントに送信することから、甲2発明のデータ管理サーバは、本件発明1の「前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースに登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信手段」に相当する構成を備えているといえる。
ただし、甲2発明のデータ閲覧用データ送信手段は、ユーザークライアントへの前記データ送信を、本件発明1のように「前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき」行うもの、ではない。

(ア-6)分節(b4)の「スキンケア装置制御方法決定手段」について
甲2発明のシステム自体に「スキンケア装置」が含まれていないため、甲2発明には、本件発明1における「スキンケア装置制御方法決定手段」及び「前記スキンケア装置は前記スキンケア装置制御方法決定手段により決定された制御方法に基づいて制御される」に相当する構成は存在しない。

(ア-7)分節(a1)の「ユーザーデータ送信手段」について
上記(ア-3)の分節(b1)に関して示したところにより、甲2発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記ユーザーにより入力されるとともに前記個人情報と前記付帯情報を含むユーザーデータを前記データ管理サーバに送信するユーザーデータ送信手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-8)分節(a2)の「測定データ送信手段」について
上記(ア-4)の分節(b2)に関して示したところにより、甲2発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記肌状態測定装置により測定された前記ユーザーの前記測定データが当該肌状態測定装置から入力された場合に、入力された前記測定データを前記データ管理サーバに送信する測定データ送信手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-9)分節(a3)の「分析結果表示手段」について
上記(ア-4)の分節(b2)に関して示したところにより、甲2発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記測定データに対する前記分析結果データが前記分析結果出力手段から入力された場合に前記分析結果データを表示する分析結果表示手段」に相当する構成を備えているといえる。

(ア-10)分節(a4)の「データ閲覧要求手段」について
甲2発明では、ユーザークライアントが表示する診断結果等は、データ管理サーバーにアドバイス内容が登録された後、データ管理サーバーからユーザークライアントにメールで通知されており、ユーザークライアントから診断結果等を要求するものではないため、甲2発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段」に相当する構成を備えていない。

(ア-11)分節(a5)の「データ表示手段」について
上記(ア-4)の分節(b2)に関して示したところにより、甲2発明におけるユーザークライアントは、本件発明1の「データを前記データ管理サーバから受信した場合に、送信されたデータを表示するデータ表示手段」に相当する構成を備えているといえる。
ただし、甲2発明のユーザークライアントには、上記(ア-10)に示したとおり、「データ閲覧要求手段」に相当する構成が存在しないことから、甲2発明においてデータ表示手段が表示するデータは、本件発明1のように「前記データ閲覧要求手段により要求した」データ、ではない。

以上(ア-1)乃至(ア-11)によると、本件発明1と甲2発明は、次の点で一致する。

<一致点>
「ユーザーにより使用される肌状態測定装置とデータの送受信が行えるように有線または無線で接続されるとともに、ネットワークに接続してデータの送受信を行う送受信手段と表示手段とを備えたユーザークライアントと、
前記ユーザークライアントに対して前記ネットワークを介してデータの送受信が可能にされ、前記ユーザーに関連する情報を前記ユーザー毎に重複の無い一意の顧客IDに関連付けて記憶するデータ管理サーバと、
前記肌状態測定装置により測定された測定データを分析することにより得られる肌状態の分析結果データが入力され、当該分析結果データを前記ユーザークライアントで表示可能に出力する分析結果出力手段と、
を備え、
前記データ管理サーバは、
複数の各ユーザークライアントから受信した前記ユーザーの個人の特定につながる個人情報と前記ユーザーの個人情報を除いた付帯情報を含み、前記顧客IDに関連付けられたユーザーデータが登録されるユーザーデータ用データベースと、
前記ユーザークライアントから受信した前記肌状態測定装置により測定された前記測定データあるいは前記分析結果出力手段から得られた前記肌状態の分析結果データが前記顧客IDに互いに関連付けられて登録されるとともに、前記測定データあるいは分析結果データが、当該測定データの取得時期に基づいた時系列に応じたデータとして登録される測定データ用データベースと、
前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースに登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信手段と、
を備え、
前記ユーザークライアントは、
前記ユーザーにより入力されるとともに前記個人情報と前記付帯情報を含むユーザーデータを前記データ管理サーバに送信するユーザーデータ送信手段と、
前記肌状態測定装置により測定された前記ユーザーの前記測定データが当該肌状態測定装置から入力された場合に、入力された前記測定データを前記データ管理サーバに送信する測定データ送信手段と、
前記測定データに対する前記分析結果データが前記分析結果出力手段から入力された場合に前記分析結果データを表示する分析結果表示手段と、
前記データを前記データ管理サーバから受信した場合に、送信されたデータを表示するデータ表示手段とを備えることを特徴とする肌状態測定分析情報管理システム。」

そして、本件発明1と甲2発明は、次の点で相違する。

<相違点2-1>
本件発明1のシステムでは、「スキンケア装置」がユーザークライアントと「接続」されているのに対し、甲2発明のシステムには、そもそも「スキンケア装置」を備えていない点。

<相違点2-2>
本件発明1のデータ管理サーバは、「スキンケア装置制御方法決定手段」を備えており、また、本件発明1は、「前記スキンケア装置は前記スキンケア装置制御方法決定手段により決定された制御方法に基づいて制御される」という構成を備えているのに対して、甲2発明のデータ管理サーバは「スキンケア装置制御方法決定手段」を備えていない点。

<相違点2-3>
本件発明1のユーザークライアントは、「前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段」を備えているのに対し、甲2発明のユーザークライアントは備えていない点。また、本件発明1のデータ閲覧用データ送信手段は、ユーザークライアントへのデータ送信を、「前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき」行うのに対し、甲2発明のデータ閲覧用データ送信手段は、そのような構成を備えていない点。

イ 相違点についての判断

<相違点2-1>について
甲2発明は、肌診断のサービス提供業者自身がサーバを管理すると、データベースの構築等の手間が発生することや、診断データに基づいて美容品販売店等がユーザに直接メール等を送信すると、美容品販売店に個人情報が流出することを課題としており、それらの課題を解決するために、サービス提供業者から診断業務を委託された業者が運営する業務委託先サーバを用いて肌の診断を行い、また、当該業務委託先サーバからアドバイス内容をユーザへ送信するという発明であって、甲2発明のシステムに「スキンケア装置」を導入することは、甲2発明における課題の解決には何ら貢献しないことから、甲2発明のシステムに「スキンケア装置」を追加する動機付けがあるとはいえない。
また、甲1発明は、スキンケア装置を肌状態測定装置で測定した使用者の肌状態に基づいて制御するという発明であり、いうなれば、スキンケア装置を備えていることを前提とした課題を解決しようとするものであり、ユーザークライアントにスキンケア装置を備えることによる課題解決を示すものでないから、甲2発明と甲1発明との組み合わせによって、<相違点2-1>に係る構成が容易想到であるとはいうことはできない。
また、仮に、甲2発明のシステムに「スキンケア装置」を追加することに動機付けがあるとしても、当該「スキンケア装置」を甲2発明のユーザークライアントに接続することは、甲2発明と甲1発明のいずれにも特定されていない。この点、請求人が周知技術として示す甲1発明には「スキンケア装置」を「ネットアダプタ54」に接続することは示されているものの、ユーザークライアントに接続することは示されていないことに照らせば、仮に甲2発明に甲1発明を組み合わせることを試みたとしても、<相違点2-1>に係る構成に至ることができない。

<相違点2-2>について
上記<相違点2-1>のとおり、甲2発明のシステムには、そもそも「スキンケア装置」が存在しないことから、甲2発明のデータ管理サーバに「スキンケア装置制御方法決定手段」を備えようとする動機付けがあるとはいえない。

<相違点2-3>について
甲1発明では、表示装置52又は携帯電話HPがセンターサーバ101にアクセスして、測定データの履歴や測定データと標準値とを比較するグラフ等を提供するサービスを選択すると、測定データの履歴や画像データがセンターサーバ101から表示装置52又は携帯電話HPに送信されており、当該甲1発明におけるデータ管理サーバ(『センターサーバ101』)は、本件発明1のように、「前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき、前記測定データ用データベース」「に登録されるとともに、前記ユーザークライアントの前記顧客IDに関連付けられたデータを、前記ユーザークライアントに送信するデータ閲覧用データ送信手段」に相当する構成を備えているといえるから、甲1発明は、<相違点2-3>に係る構成である、ユーザークライアントが「前記測定データ用データベースまたは前記ユーザーデータ用データベースから前記顧客IDに関連付けて記憶された各データの送信を要求するデータ閲覧要求手段」を備え、データ閲覧用データ送信手段がユーザークライアントへのデータ送信を「前記ユーザークライアントからの閲覧要求に基づき」行うものであるといえる。
ここで、甲1発明は、ユーザークライアントを介して送信された測定データをサーバにおいて管理するという点において、甲2発明と同じ技術分野に属することから、甲2発明において、同じ技術分野に属する甲1発明を適用して、当該<相違点2-3>に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

ウ 請求人の主張について
請求人は、「美容・健康診断システムにおいて美容(スキンケアを含む)ないし健康増進のための機器を接続することは周知技術」であり、「診断結果やアドバイスを提供する目的は、当然に、美容や健康の改善のための行動を促すことにあるから、当業者が、甲2発明に甲1発明を適用し、肌の診断結果を提供するシステムにおいて肌の改善を行う装置(スキンケア装置)を接続して診断結果に応じたスキンケア装置の制御を行うように構成する動機付けが存在する」と主張している(請求人の口頭審理陳述要領書第6頁)。
当該主張について検討すると、上記<相違点2-1>に関して上述したとおり、甲1発明は、スキンケア装置を備えていることを前提とした課題を解決しようとするものであり、ユーザークライアントにスキンケア装置を備えることによる課題解決を示すものでないから、甲2発明と甲1発明との組み合わせによって、<相違点2-1>に係る構成が容易想到であるとはいうことはできない。また仮に「スキンケア装置」を接続する動機付けが存在したとしても、当該「スキンケア装置」を甲2発明のユーザークライアントに接続することは、甲2発明と甲1発明のいずれにも特定されていないことから、仮に甲2発明に甲1発明を組み合わせることを試みたとしても、相違点<2-1>に係る構成に至ることができない。

エ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明及び甲1発明等の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本件発明2についての判断
本件発明2は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、上記2(2)に示したとおりであって、甲1発明、甲2発明、甲4発明のいずれも、当該限定事項に相当する構成を備えていない。
また、甲4発明は、端末PCやスチーム式美顔装置をWebサイトと連動させ、肌センサーにより測定された肌情報を端末PCからWebサイトに送信することで、来店せずにカウンセリングを受けるという発明であり、いうなれば、スキンケア装置を備えていることを前提とした課題を解決しようとするものであり、ユーザークライアントにスキンケア装置を備えることによる課題解決を示すものでないことは甲1発明とかわらない。
よって、甲2発明を、甲1発明及び甲4発明のいずれか又は両方と組み合わせることによっては、<相違点2-1>に係る構成が容易想到であるということはできない。
よって、本件発明2は、甲2発明及び甲1発明並びに甲4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(3)本件発明3についての判断
本件発明3は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、上記2(3)に示したとおりであって、甲7発明は当該限定事項に相当する構成を備えている。
しかしながら、甲7発明は、携帯電話に取り付けるユニットに関する発明であって、<相違点2-1>及び<相違点2-2>に関連するものではないから、甲2発明に甲7発明を組み合わせても、<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明3は、甲2発明及び甲1発明並びに甲7発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(4)本件発明4についての判断
本件発明4は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、上記2(4)に示したとおりであって、当該限定事項は、甲1発明に基づいて当業者が適宜なし得ることである。
しかしながら、甲2発明に甲1発明を組み合わせても、<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明4は、甲2発明及び甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(5)本件発明5についての判断
本件発明5は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、上記2(5)に示したとおりであって、甲1発明、甲2発明、甲3発明、甲8発明のいずれも、当該限定事項に相当する構成を備えていない。
また、甲3発明及び甲8発明は、スキンケア装置に関する発明ではないから、甲2発明に甲3発明及び甲8発明を組み合わせても、<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明5は、甲2発明及び甲1発明並びに甲3発明及び甲8発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(6)本件発明6についての判断
本件発明6は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定事項とは、上記2(6)に示したとおりであって、甲1発明、甲2発明、甲8発明、甲9発明のいずれも、当該限定事項に相当する構成を備えていない。
また、甲8発明及び甲9発明は、スキンケア装置に関する発明ではないから、甲2発明に甲8発明及び甲9発明を組み合わせても、<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明6は、甲2発明及び甲1発明並びに甲8発明及び甲9発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(7)本件発明7についての判断
本件発明7は、本件発明1を引用すると共に更なる限定を加えたものであって、本件発明1の<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成と同一の構成を備えるものである。
ここで、上記更なる限定とは、上記2(7)に示したとおりであって、甲1発明は当該限定事項に相当する構成を備えている。
しかしながら、甲2発明に甲1発明を組み合わせても、<相違点2-1>及び<相違点2-2>に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明7は、甲2発明及び甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(8)本件発明8乃至14についての判断
本件発明8乃至14は、それぞれ本件発明1-7を単に「方法」のカテゴリで記載したものであって、上記(1)乃至(7)で示した判断と同様に、甲1発明乃至甲9発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(9)無効理由2についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1乃至14は、甲2乃至甲4発明、甲7発明及び甲8発明、並びに、甲1号証等の周知技術(甲1発明、甲4乃至6発明、甲9発明及び甲10発明)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
したがって、請求人が主張する無効理由によっては、同法第123条第1項第2号の規定に違反するものとして、請求項1乃至14に係る発明の特許を無効とすることはできない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1乃至14に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-07-24 
結審通知日 2019-07-26 
審決日 2019-08-13 
出願番号 特願2016-3499(P2016-3499)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿部 潤  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 相崎 裕恒
田中 秀樹
登録日 2017-07-14 
登録番号 特許第6174725号(P6174725)
発明の名称 肌状態測定分析情報管理システムおよび肌状態測定分析情報管理方法  
代理人 栗林 和輝  
代理人 栗林 三男  
代理人 特許業務法人朝日特許事務所  
代理人 新田 修博  
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