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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性  B23B
審判 一部無効 1項2号公然実施  B23B
審判 一部無効 1項1号公知  B23B
管理番号 1355565
審判番号 無効2018-800103  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-08-15 
確定日 2019-09-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第4951788号発明「深穴加工用先端工具のガイド部配置構造及びガイド部配置方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯

本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第4951788号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし9のうち、請求項1及び2に係る発明の特許を無効とすることを求める事件であって、その手続の経緯は、おおむね次のとおりである。

平成20年12月26日 本件特許に係る出願(特願2008-334663号)
平成24年 3月23日 設定登録(特許第4951788号)
平成30年 8月15日 本件無効審判請求書(以下、「請求書」という。)提出(無効2018-800103号)
平成30年12月 3日 審判事件答弁書(以下、「答弁書」という。)提出
平成31年 1月29日 (被請求人側)参加申請書提出
平成31年 2月16日 (参加人)手続補正書提出
平成31年 3月 6日 (請求人)意見書提出
平成31年 3月25日付 参加許否の決定
平成31年 4月22日付 審理事項通知
令和 1年 5月14日 (請求人)口頭審理陳述要領書(以下、「請求人要領書」という。)提出
令和 1年 6月 7日 (被請求人)口頭審理陳述要領書(以下、「被請求人要領書」という。)提出
令和 1年 6月21日 口頭審理


第2.本件特許発明

本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件図面」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その記載は以下のとおりである(以下、請求項1、2に係る発明をそれぞれ「特許発明1」、「特許発明2」という。)。

「【請求項1】
切削油を供給されつつ深穴加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、
前記ガイド部が先端工具外周に三つ配設され、刃部に対する、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、工具回転中心に対する刃部の切れ刃位置を0として、刃部の切削力を受ける向きに90°±10°回転した位置となる第1のガイド部と、180°±10°回転した位置となる第2のガイド部と、前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置される第3のガイド部とからなることを
特徴とする深穴加工用先端工具のガイド部配置構造。
【請求項2】
切削油を供給されつつ深穴加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、
前記ガイド部が、先端工具外周に、切削力の主分力を受ける第1のガイド部、切削力の背分力を受ける第2のガイド部、及び第3のガイド部の三つを配設され、
前記第2のガイド部の、刃部に対する、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、工具回転中心に対する刃部の切れ刃位置を0として、刃部の切削力を受ける向きに180°±10°回転した位置となり、
前記第3のガイド部が、前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置されることを
特徴とする深穴加工用先端工具のガイド部配置構造。」


第3.無効理由、無効理由に対する答弁及び証拠方法

1.請求人主張の無効理由
請求人は、特許発明1及び2についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、おおむね以下のとおり主張している。また、証拠方法として甲第1号証の1ないし7、甲第2号証の1ないし13、甲第3号証及び甲第4号証を提出している。

(1)無効理由1(新規性)
特許発明1及び2に係る特許は、本件出願前に公知であった甲第2号証の1に係る、TDA-1160-1スローアウエイ方式5G付複刃トレパニングヘッド(以下、「トレパニングヘッド」という。)と同一であり、特許法第29条第1項第1号の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(2)無効理由2(新規性)
特許発明1及び2に係る特許は、本件出願前に公然実施された甲第2号証の1に係るトレパニングヘッドと同一であり、特許法第29条第1項第2号の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(3)無効理由3(進歩性)
特許発明1及び2に係る特許は、本件出願前に公知であった又は公然実施された甲第2号証の1に係るトレパニングヘッドに基づき当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

2.無効理由に対する被請求人の答弁
被請求人は、答弁書において、特許発明1及び2についての特許を無効にするとの審判請求の理由はない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めている。また、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。

3.証拠方法
請求人は、証拠方法として、請求書とともに、以下の甲第1号証の1ないし甲第2号証の13を提出し、請求人要領書とともに、以下の甲第3号証及び甲第4号証を提出した。なお、甲第2号証の3及び甲第2号証の11以外の書証は「写し」であるが、その表記を省略する。
甲第1号証の1:特許第4951788号公報
甲第1号証の2:特開2010-155303号公報
甲第1号証の3:特願2008-334663号の審査段階の拒絶理由通知書
甲第1号証の4:実願昭60-125554号(実開昭62-35707号)のマイクロフィルム
甲第1号証の5:実願平3-109212号(実開平5-53812号)のCD-ROM
甲第1号証の6:実願昭55-31738号(実開昭56-132013号)のマイクロフィルム
甲第1号証の7:実願昭56-70006号(実開昭57-181511号)のマイクロフィルム
甲第2号証の1:請求人が作成した図面番号TDA-1160-1のスローアウエイ方式5G付複刃トレパニングヘッドに関する設計図面
甲第2号証の2:株式会社研究社発行の新英和中辞典(机上版)第5巻表表紙及び裏表紙並びに1777頁及び182頁
甲第2号証の3:日本高速削孔株式会社ブログのインターネットホームページ
甲第2号証の4:甲第2号証の1の設計図面中の左側上部の平面図を簡略化した図
甲第2号証の5:甲第2号証の4の図面を90°回転させた図
甲第2号証の6:甲第2号証の5の図面と本件図面の図3との対比図
甲第2号証の7:請求人の日本ビ-・テ-・エ-株式会社が2002年(平成14年)8月8日に発行の手配票(正)
甲第2号証の8:請求人の日本ビ-・テ-・エ-株式会社が2002年(平成14年)8月8日に発行の出図要求
甲第2号証の9:菱光産業株式会社及び日本鋳鍛鋼株式会社向けの得意先別・売上明細表
甲第2号証の10:日本鋳鍛鋼株式会社による納入(譲渡)証明が付された甲第2号証の1の設計図面
甲第2号証の11:日本鋳鍛鋼株式会社による納入(譲渡)証明書
甲第2号証の12:甲第2号証の1の設計図面に示すトレパニングヘッドの現物を上方向から撮影した写真
甲第2号証の13:甲第2号証の1の設計図面に示すトレパニングヘッドの現物を斜め上方向から撮影した写真
甲第3号証:特開2008-254091号公報
甲第4号証:「特許・実用新案審査基準」の「第II部 特許要件、第2章 新規性進歩性」の項第17頁「4(*)引用発明の内容中の示唆」の項目
(*:○の中に4)

また、被請求人は、証拠方法として、被請求人要領書で、以下の乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。なお、乙第3号証ないし乙第5号証は参考資料である(口頭審理調書の「被請求人 3」欄を参照。)。
乙第1号証:審査基準第III部第2章第1節新規性 第1ページ
乙第2号証:本件特許発明の技術説明
乙第3号証:日本機械学会論文集(C編)75巻 755号(2009-7) 「BTA深穴加工におけるライフリングマーク発生現象に関する基礎的研究」
乙第4号証:日本機械学会論文集(C編)76巻 767号(2010-7) 「BTA深穴加工におけるライフリングマーク発生現象の防止対策」
乙第5号証:Theoretical and experimental study of rifling mark generating phenomena in BTA deep hole drilling process(generating mechanism and countermeasure) 「和訳:BTA深穴加工におけるライフリングマーク発生現象(発生メカニズムとその対策)に関する理論的及び実験的な研究」
International Journal of Machine Tools & Manufacture 88 (2015) 194-205


第4.当事者の主張

上記無効理由1ないし3について、請求人及び被請求人は以下のように主張している。
なお、各甲号証や乙号証を「甲1」などという。

1.請求人の主張
(1)甲2の1は、請求人である日本ビ-・テ-・エ-株式会社が、平成14年8月20日に作成したその図面番号がTDA-1160-1の設計図面である。
当該甲2の1の設計図面の名称の欄に記載のように、当該設計図面は、スロ-アウエイ方式5G付複刃トレパニングヘッドに関するもので、当該トレパニングヘッドにおけるトレパニングとは、甲2の2に記載のように、Trepanning(穴をあけること又は穴をあける器具)を意味する。又、甲2の3に記載のように、トレパニングヘッドとは、深穴加工のトレパニング加工をする際のヘッドを意味する。甲2の3には、ボーリングバーの先端にヘッドが取り付けられて、深穴加工(BTA方式深穴明け加工)が行われることが示されている。
即ち、当該トレパニングヘッドは、本件明細書の段落【0002】に記載されるところの、切削油を供給されつつ深穴加工を行うための先端工具であって、特許発明1、2と同じであり、甲2の1の設計図面の左側上部にも図示のように、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部が配置されていて、この点でも本件特許の先端工具と同じである。
(2)甲2の4の図面から判るように、甲2の1のトレパニングヘッドでは、刃部10の切れ刃11の位置を基準として90°の位置に第1のガイドパッド部(21)が配置され、又、180°の位置に第2のガイドパッド部(22)が配置され、更には、180°+22°=202°位置に第3のガイドパッド部(23)が配置されている。特に、当該第3のガイドパッド部(23)の中心位置は、第2のガイドパッド部(22)の中心位置の180°の位置から22°右側の202°位置にあり、当該202°位置は、特許発明1、2の第3のガイド部23の中心位置の181°ないし220°の範囲に包含されていることは明らかである。
(3)甲2の1の設計図面におけるトレパニングヘッドにおけるガイドパッド部は、5つで、特許発明1、2の3つの点数とは異なるが、当該先端工具のトレパニングヘッドでは、当該甲2の1の設計図面からも明らかなように、刃部の切れ刃の位置を基準として90°の位置に第1のガイドパッド部が配置され、又、180°の位置に第2のガイドパッド部が配置され、更には、180°+22°=202°位置に第3のガイドパッド部が配置されていることは明白であり、この点では、両者は共通しており、既に、そうした発明が本件出願前に実施されていたことは事実である。
(4)甲2の1の図面番号がTDA-1160-1のトレパニングヘッドは、当該甲2の1の「納入先」欄に記載のように、日本鋳鍛鋼株式会社に納入された。実際上は、商社の菱光産業株式会社を介して、当該納入先の日本鋳鍛鋼株式会社に納入される形態が取られた。
当該トレパニングヘッド納入の要請が菱光産業株式会社を介して日本鋳鍛鋼株式会社よりあったため、甲2の7の手配票(正)に示すように、当該トレパニングヘッドの納入(製作)の手配に関する当該手配票(正)が、注文番号;16-1113として、2002年(平成14年)8月8日に発行されて、担当部門に対して手配が行われた。また、作図担当部門が、前記甲2の1に記載のように、平成14年8月20日に前記甲2の1の設計図面を作成し、甲2の7の手配票(正)及び甲2の8の出図要求に記載のように、平成14年8月21日に出図をした。
(5)甲2の9の菱光産業株式会社及び日本鋳鍛鋼株式会社向けの得意先別・売上明細表に示すように、2002年10月7日に伝票No.19529にて、「TDA スロ-アウエイ型トレパン、5点ガイド、φ116」が請求され、当該菱光産業株式会社福岡営業所を介して、摘要No.13055にて日本鋳鍛鋼株式会社に納入(譲渡、販売)された。
(6)請求人である日本ビ-・テ-・エ-株式会社は、2017年9月27日に日本鋳鍛鋼株式会社を、納入済みのトレパニングヘッドの設計図を携えて訪れた。その結果、甲2の10に示すように、トレパニングヘッドの現物が2002年10月9日に納入されたことを日本鋳鍛鋼株式会社の担当者が証明した。また、甲2の11の納入(譲渡)証明書に示すように、請求人である日本ビ-・テ-・エ-株式会社から、2002年10月9日を以て、当該甲2の1に示す、図面番号:TDA-1160-1のスロ-アウエイ方式5G付複刃トレパニングヘッドの納入(譲渡)がなされ、当該日本鋳鍛鋼株式会社は当該トレパニングヘッドを使用したことを日本鋳鍛鋼株式会社の担当者が証明し、請求人である日本ビ-・テ-・エ-株式会社と当該日本鋳鍛鋼株式会社との間に秘密保持義務がなかったことも証明した。
(7)以上のように、特許発明1、2のように、先端工具において、そのガイド部配置について、第1のガイド部を刃部に対し90°±10°の位置に配置し、又、第2のガイド部を刃部に対し180°±10°の位置に配置し、更に、第3のガイド部を181°ないし220°の位置に配置する構成の先端工具に関する発明は、本件出願前に日本国内において公然知られ又は公然実施されていたことである。
(8)甲3の公開特許公報には、ガイドパッドがねじ止め等されているような場合には、削除することが可能であることが記載されており、甲2の1のトレパニングヘッドにおける5個のガイドパッド部はボルトで止まっているので取り外し可能である。ガイドパッド部の個数は、排出穴との関係で変わってくるものであり、適宜、5つのガイド部の内の2つ(本件特許のガイド部に対応しないもの)を削除することが可能になり、当業者であれば特許発明1及び2に想到し得ると考えられる。
(9)よって、甲2の1のトレパニングヘッドが、本件特許の出願前に公知であったことから、特許発明1及び2は、特許法第29条第1項第1号又は第29条第2項に該当し、また、甲2の1のトレパニングヘッドが、甲2の7、8、9、11のとおり本件特許の出願前に公然実施されたことから、特許発明1及び2は、特許法第29条第1項第2号又は第29条第2項に該当する。

2.被請求人の主張
(1)本件特許の出願日前に甲2の1の設計図面が存在していたこと、及び甲2の1の設計図面が公知であったことは首肯するが、甲2の1のトレパニングヘッドが公用されていたか否かについては不知である。
(2)特許発明1、2は、本件明細書において3つのガイド部を前提として運動方程式を解析した結果として得られたものであり、特許発明1、2においてそれぞれの角度で規定されるガイド部の数は3つに限定されることは明らかである。
それに対し、甲2の1に示されるトレパニングヘッドでは、5つのガイド部が実質的に刃部と同じ仮想平面上に配置されており、これら5つのガイド部の全ては刃部の切削力を受けていると考えらる。
したがって、甲2の1に示されるトレパニングヘッドには5つのガイド部が備えられている点で、特許発明1及び2で規定する「ガイド部が先端工具外周に三つ配置され」なる要件と一致しない。よって、甲2の1に示されるトレパニングヘッドは特許発明1及び2を開示したものとは言えない。換言すれば、甲2の1に示される発明と特許発明1及び2とは同一の発明ではないし、特許発明1及び2は甲2の1に示される発明から容易に想到できるものでもない。
(3)新規性及び進歩性の議論では、引用発明である甲2の1に示されるトレパニングヘッドに基づいてのみ、その理由は説明されるべきところ、請求人は引用発明の図を本件図面に関連付けてその理由を説明している。更に、甲2の1の図では、隙間のない部分に2つのガイド部が並んでいるが、かかる構成のヘッドにおいて、いかなる契機をもって、隙間を避けて当該ガイド部の一つを削除するということになるのか、説明が不足しており、そのような動機はない。


第5.無効理由についての当審の判断

1.各書証の記載事項、発明及び技術的事項
甲2の1ないし甲2の3に記載された事項、発明及び技術的事項は、以下のとおりである。

(1)甲2の1の記載事項
甲2の1は、請求人が作成した図面番号TDA-1160-1の名称がスローアウエイ方式5G付複刃トレパニングヘッドに関する設計図面(組立図)であって、以下の事項が記載されている。

ア.左上の正面図及び右上部の側面図には、「切刃チップ(外)(6-2)」及び「切刃チップ(内)(6-1)」を備えた「カートリッジ1(2)」が、「台金クランプネジ1(8)」によって「本体(1)」に取り付けられることが図示されている。

イ.左上の正面図には、「切刃チップ(中間)(5)」を備えた「カートリッジ2(3)」が、「台金クランプネジ2(7)」によって「本体(1)」に取り付けられることが図示されている。

ウ.左上の正面図及び右上部の側面図には、「超硬ガイド(4)」が「本体(1)」外周に「ガイドクランプネジ(9)」によって五つ固定されることが図示されている。そして、「切刃チップ(外)(6-2)」に対する、当該「超硬ガイド(4)」の「トレパニングヘッド」回転中心から径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、「トレパニングヘッド」回転中心に対する「切刃チップ(外)(6-2)」の先端部位置を0として、「切刃チップ(外)(6-2)」の切削力を受ける向きに略68°回転した位置に第1の「超硬ガイド(4)」が設けられ、略90°回転した位置に第2の「超硬ガイド(4)」が設けられ、略180°回転した位置に第3の「超硬ガイド(4)」が設けられ、略202°回転した位置に第4の「超硬ガイド(4)」が設けられ、略270°回転した位置に第5の「超硬ガイド(4)」が設けられることが図示されている。

(2)甲2の2の記載事項
甲2の2は、株式会社研究社発行の新英和中辞典であり、トレパニングTrepanningの意味が「丸い穴を明けること」、及び、Boringの意味が「穴明け用の」であることが記載されている。

(3)甲2の3の記載事項
甲2の3は、日本高速削孔株式会社ブログのインタ-ネットホ-ムペ-ジであって、以下の事項が記載されている。

ア.深穴加工(BTA方式深孔明け加工)とは、Boring & Trepanning Association の略(ボーリング・トレパン加工)で、金属加工での重要な工程である深穴の切削加工であること、及び、ポンプで加圧された高圧の切削油が加工物に接したプレッシャーヘッド(圧力頭)に送られ、明けられた穴とボーリングバーの間隙を通って刃物に達し、切粉と共にボーリングバー内を通り抜け、切粉受とマグネットフィルターを通過してタンクに戻ること。

イ.ヘッドの種類について、トレパニングヘッドは材料に大径の穴を明ける場合に使用されると、及び、孔の中心部分(芯材)を残して深穴加工をする専用のヘッドが使用されること。

(4)甲2の1発明
甲2の2及び甲2の3に記載されるように、甲2の1のトレパニングヘッドが、切削油を供給されつつ深穴加工を行うためのものであることは技術常識である。また、甲2の1の「超硬ガイド(4)」が、トレパニングヘッド外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ切刃の切削力を受けるガイドとしての役割を果たすことは明らかな事項である。
上記(1)の記載事項を、技術常識及び上記の明らかな事項をふまえて整理すると、甲2の1には以下の発明が記載されていると認められる。
「切削油を供給されつつ深穴加工を行うためのトレパニングヘッドにおける、トレパニングヘッド外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ切刃チップ(外)の切削力を受ける超硬ガイドの配置構造において、前記超硬ガイドがトレパニングヘッド本体外周に五つ配設され、切刃チップ(外)に対する、超硬ガイドのトレパニングヘッド回転中心からトレパニングヘッド径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、トレパニングヘッド回転中心に対する切刃チップ(外)の先端部位置を0として、切刃チップ(外)の切削力を受ける向きに略68°回転した位置となる第1の超硬ガイドと、略90°回転した位置となる第2の超硬ガイドと、略180°回転した位置となる第3の超硬ガイドと、略202°回転した位置となる第4の超硬ガイドと、略270°回転した位置となる第5の超硬ガイドとからなるトレパニングヘッドの超硬ガイド配置構造。」(以下、「甲2の1発明」という。)

2.無効理由1及び2(新規性)について
事案に鑑み、甲2の1発明のトレパニングヘッドが、本件出願前に公知であった又は公然実施されたかどうかを検討する前に、特許発明1、2が、甲2の1発明のトレパニングヘッドであるかどうかを検討する。

(1)特許発明1について
ア.特許発明1と甲2の1発明との対比
特許発明1(上記第2.の【請求項1】)と甲2の1発明(上記1.(4))とを対比すると、甲2の1発明の「トレパニングヘッド(本体)」が特許発明1の「(先端)工具」に相当することは明らかであり、以下同様に、「切刃チップ(外)」が「刃部」に相当し、「超硬ガイド」が「ガイド部」に相当し、「(切刃チップ(外)の)先端部位置」が「(刃部の)切れ刃位置」に相当し、「略90°回転した位置となる第2の超硬ガイド」が「90°±10°回転した位置となる第1のガイド部」に相当し、「略180°回転した位置となる第3の超硬ガイド」が「180°±10°回転した位置となる第2のガイド部」に相当し、「略202°回転した位置となる第4の超硬ガイド」が「前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置される第3のガイド部」に相当する。
また、甲2の1発明の「前記超硬ガイドがトレパニングヘッド本体外周に五つ配設され」と特許発明1の「前記ガイド部が先端工具外周に三つ配設され」とは、「前記ガイド部が先端工具外周に複数配設され」という点で共通する。
以上から、両発明は、以下の点で一致及び相違する。

<一致点A>
「切削油を供給されつつ深穴加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、
前記ガイド部が先端工具外周に複数配設され、刃部に対する、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、工具回転中心に対する刃部の切れ刃位置を0として、刃部の切削力を受ける向きに90°±10°回転した位置となる第1のガイド部と、180°±10°回転した位置となる第2のガイド部と、前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置される第3のガイド部とを含む深穴加工用先端工具のガイド部配置構造。」

<相違点1>
「ガイド部」について、特許発明1では、「先端工具外周に三つ配設され」るのに対し、甲2の1発明では、「超硬ガイド」が「トレパニングヘッド本体外周に五つ配設され」、略90°回転した位置、略180°回転した位置、略202°回転した位置の三つの他に、「切刃チップ(外)の切削力を受ける向きに略68°回転した位置となる第1の超硬ガイド」及び「略270°回転した位置となる第5の超硬ガイド」の二つが存在する点。

イ.相違点1の判断
(ア)特許発明1について、請求項1には「前記ガイド部が先端工具外周に三つ配設され、・・・刃部の切削力を受ける向きに90°±10°回転した位置となる第1のガイド部と、180°±10°回転した位置となる第2のガイド部と、前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置される第3のガイド部とからなることを特徴とする」と記載され、「少なくとも三つ配設され」のような記載とはなっていないことから、特許発明1は、ガイド部を三つのみ有し、それぞれが第1のガイド部、第2のガイド部、第3のガイド部に対応するものであって、他にガイド部を有しないと解すのが自然である。
(イ)一方、本件明細書段落【0003】?【0007】には、以下の旨の記載がある。
従来のBTA深穴加工において、一般的なドリルなどによる加工でもみられるように、加工した穴にライフリングマークやスパイラルマーク、又はツールマークと呼ばれる螺旋状の模様(加工痕)が形成されることがあり、この場合、真円度誤差が大きくなるなど製品精度の低下を招き、製品不良の原因となることに加え、真円度の高い穴内周面を得ようとすると研磨やホーニング等の追加工や仕上げ処理が必要となり、手間とコストがかかるという課題を有していたこと。
このライフリングマーク等の螺旋状の模様については、加工中、先端工具及びボーリングバーが不安定振動を起し、工具の振動が切削量の変動をもたらし、さらにこれが刃部及びガイド部と被削材との接触力の変動につながって、不安定な状態で加工が進行することで、穴横断面が多角形形状になる現象が発生することによると考えられているが、従来は有効な対策がとられていなかったこと。
本発明は前記課題を解消するためになされたものであり、先端工具の刃部に加わる力の分力をそれぞれ受ける二つのガイド部に加え、工具の不安定性を抑える第3のガイド部を適切な位置に配設して、加工中の工具の自励振動につながる変位の変動をこの第3のガイド部を含む三つのガイド部で制限することにより、工具全体を安定に動作する状態に維持して、穴断面を多角形とするような不安定状態に陥らず、加工後の穴内面にライフリングマーク等があらわれず、問題のない表面状態として加工精度を高められると共に、追加工や仕上げ作業も不要となり、手間やコストの面でも有利となること。
(ウ)また、本件明細書段落【0026】?【0063】の第1の実施形態の説明では、第1のガイド部の角度α1=90°、第2のガイド部の角度α2=180°を固定とし、第3のガイド部の角度α3を181°から270°の範囲で変動させた際の数値解析結果(図7(A)、(B))に基づき、安定と判別できる第3のガイド部の角度範囲を求めている。そして、ガイド部がこのような前提条件とは異なる数となれば、解析の結果も異なり得ることは明らかである。
(エ)そうすると、α1=90°、α2=180°の二つのガイド部に加えα3=181°?220°の第3のガイド部を設けること、すなわち、三つのガイド部をそれぞれの位置に設けることにより、工具全体を安定に動作する状態に維持することができるものと解される。そして、これは請求項1の上記(ア)に示す解釈とも整合する。
(オ)これを踏まえると、特許発明1で規定する各ガイド部の角度は、三つのガイド部を前提とした運動方程式を解析した結果として見出されたものであり、特許発明1においてそれぞれの角度で規定されるガイド部の数は三つに限定されたものである。
そうすると、相違点1は実質的な相違点であるから、特許発明1は甲2の1発明ではない。

ウ.請求人の主張について
請求人は、請求人要領書において、特許発明1のガイドパッド部の数は3つであるのに対し、甲2の1のトレパニングヘッドにおけるガイドパッド部の数は5つであり、両者のガイドパッド部の個数が異なることを認めた上で、尚、両者においては、3つのガイドパッド部の角度範囲が一致していて、特に、甲2の1のトレパニングヘッドの第3のガイド部が180°+22°=202°の位置にあり、本件特許のように第3のガイド部23の中心位置を181°ないし220°の範囲に包含された位置に設けることは、既に本件特許の出願前から日本国内において公然知られていたこと、又、本件特許の出願前から日本国内において公然実施されていたことを以て、本件特許発明は、特許法第29条第1項第1号又は第2号に該当することを主張している(上記第4.1.(2)、(3)及び(7))。しかしながら、甲2の1のトレパニングヘッドは、5つのガイドパッド部を有するものであるところ、特許発明1は三つのガイドパッドとしたことを特定事項とするものであるから、特許発明1と同じであるということはできない。したがって、請求人の当該主張は採用できない。

エ.特許発明1についてのむすび
以上のとおり、特許発明1が、甲2の1発明のトレパニングヘッドであるとはいえないから、甲2の1発明のトレパニングヘッドが、本件出願前に公知であった又は公然実施されたかどうかを検討するまでもなく、特許発明1が特許法第29条第1項第1号又は2号に掲げる発明に該当するとはいえない。
したがって、無効理由1及び2によって、特許発明1に係る発明を無効とすることはできない。

(2)特許発明2について
ア.特許発明2と甲2の1発明との対比
特許発明2(上記第2.の【請求項2】)と甲2の1発明(上記1.(4))とを対比すると、甲2の1発明の「トレパニングヘッド(本体)」が特許発明2の「(先端)工具」に相当することは明らかであり、以下同様に、「切刃チップ(外)」が「刃部」に相当し、「超硬ガイド」が「ガイド部」に相当し、「(切刃チップ(外)の)先端部位置」が「(刃部の)切れ刃位置」に相当する。
また、甲2の1発明において、「略90°回転した位置となる第2の超硬ガイド」は、その配置関係から、切削力の主分力を受けることは明らかであるから、当該「略90°回転した位置となる第2の超硬ガイド」は特許発明2の「切削力の主分力を受ける第1のガイド部」に相当する。また、甲2の1発明において、「略180°回転した位置となる第3の超硬ガイド」は、その配置関係から、切削力の背分力を受けることは明らかであるから、当該「略180°回転した位置となる第3の超硬ガイド」は特許発明2の「切削力の背分力を受ける第2のガイド部」に相当する。
また、甲2の1発明の「切刃チップ(外)に対する、超硬ガイドのトレパニングヘッド回転中心からトレパニングヘッド径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、トレパニングヘッド回転中心に対する切刃チップ(外)の先端部位置を0として、切刃チップ(外)の切削力を受ける向きに」「略180°回転した位置となる第3の超硬ガイド」は、特許発明2の「前記第2のガイド部の、刃部に対する、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、工具回転中心に対する刃部の切れ刃位置を0として、刃部の切削力を受ける向きに180°±10°回転した位置」になることに相当する。
さらに、甲2の1発明の「切刃チップ(外)に対する、超硬ガイドのトレパニングヘッド回転中心からトレパニングヘッド径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、トレパニングヘッド回転中心に対する切刃チップ(外)の先端部位置を0として、切刃チップ(外)の切削力を受ける向きに」「略202°回転した位置となる第4の超硬ガイド」は、特許発明2の「第3のガイド部が、前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置されること」に相当し、また、甲2の1発明の「前記超硬ガイドがトレパニングヘッド本体外周に五つ配設され」と特許発明2の「前記ガイド部が、先端工具外周に、・・・三つを配設され」とは、「前記ガイド部が、先端工具外周に、・・・を含む複数を配設され」という点で共通する。
以上から、両発明は、以下の点で一致及び相違する。

<一致点B>
「切削油を供給されつつ深穴加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、
前記ガイド部が、先端工具外周に、切削力の主分力を受ける第1のガイド部、切削力の背分力を受ける第2のガイド部、及び第3のガイド部を含む複数を配設され、
前記第2のガイド部の、刃部に対する、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、工具回転中心に対する刃部の切れ刃位置を0として、刃部の切削力を受ける向きに180°±10°回転した位置となり、
前記第3のガイド部が、前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置される深穴加工用先端工具のガイド部配置構造。」

<相違点2>
「ガイド部」について、特許発明2では、「先端工具外周に、・・・三つを配設され」るのに対し、甲2の1発明では、「超硬ガイド」が「トレパニングヘッド本体外周に五つ配設され」、略90°回転した位置、略180°回転した位置、略202°回転した位置の三つの他に、「切刃チップ(外)の切削力を受ける向きに略68°回転した位置となる第1の超硬ガイド」及び「略270°回転した位置となる第5の超硬ガイド」の二つが存在する点。

イ.相違点2の判断
特許発明2について、請求項2には「前記ガイド部が、先端工具外周に、切削力の主分力を受ける第1のガイド部、切削力の背分力を受ける第2のガイド部、及び第3のガイド部の三つを配設され、
前記第2のガイド部の、刃部に対する、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置が、工具回転中心に対する刃部の切れ刃位置を0として、刃部の切削力を受ける向きに180°±10°回転した位置となり、
前記第3のガイド部が、前記切れ刃位置からの回転角度が181°ないし220°となる角度範囲に、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の回転方向中心位置を配置される」と記載され、「少なくとも三つを配設され」のような記載とはなっていないことから、特許発明2は、ガイド部を三つのみ有し、それぞれが第1のガイド部、第2のガイド部、第3のガイド部に対応するものであって、他にガイド部を有しないと解すのが自然である。
また、上記(1)イ.(イ)ないし(エ)で説示するように、本件明細書の記載から、α1=90°、α2=180°の二つのガイド部に加えα3=181°?220°の第3のガイド部を設けること、すなわち、三つのガイド部をそれぞれの位置に設けることにより、工具全体を安定に動作する状態に維持することができるものと解される。そして、これは請求項2の上記解釈とも整合する。
これを踏まえると、特許発明2で規定する各ガイド部の角度は、三つのガイド部を前提とした運動方程式を解析した結果として見出されたものであり、特許発明2においてそれぞれの角度で規定されるガイド部の数は三つに限定されたものである。
そうすると、相違点2は実質的な相違点であるから、特許発明2は甲2の1発明ではない。

ウ.請求人の主張について
相違点2に対する請求人の主張は相違点1に対するものと同じであるから、請求人の主張については、上記(1)ウ.で説示するとおり、採用できない。

エ.特許発明2についてのむすび
以上のとおり、特許発明2が、甲2の1発明のトレパニングヘッドであるとはいえないから、甲2の1発明のトレパニングヘッドが、本件出願前に公知であった又は公然実施されたかどうかを検討するまでもなく、特許発明2が特許法第29条第1項第1号又は2号に掲げる発明に該当するとはいえない。
したがって、無効理由1及び2によって、特許発明2に係る発明を無効とすることはできない。

(3)無効理由1及び2のむすび
よって、無効理由1及び2によって、特許発明1及び2に係る特許を無効とすることはできない。

3.無効理由3(進歩性)について
事案に鑑み、甲2の1発明のトレパニングヘッドが、本件出願前に公知であった又は公然実施されたかどうかを検討する前に、特許発明1、2が、甲2の1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるかどうかを検討する。

(1)特許発明1について
ア.特許発明1と甲2の1発明との対比
特許発明1と甲2の1発明との間の一致点及び相違点は、上記2.(1)ア.の<一致点A>及び<相違点1>に記載のとおりである。

イ.相違点1の判断
請求人は、甲2の1のトレパニングヘッドにおける5個のガイドパッド部はボルトで止まっており、甲3にみられるように取り外し可能なので、甲2の1のトレパニングヘッドにおいて、適宜、5つのガイド部の内の2つ(本件特許のガイド部に対応しないもの)を削除することが可能になり、当業者であれば特許発明1及び2に想到し得ると考えられる旨を主張している(上記第4.1.(8))。
しかし、甲2の1には5つのガイドパッドを有するトレパニングヘッドが示されるのみであり、そのうちの2つのガイドパッドを取り除くことが可能である旨の記載も示唆もないから、これを取り除く動機はないというべきである。また、仮に取り除く動機があったとしても、5つのガイドパッド部の内、第1の超硬ガイドと第5の超硬ガイドの2つを選択して取り除く合理的な理由もない。したがって、請求人の当該主張は採用できない。

ウ.特許発明1についてのむすび
以上のとおりであるから、特許発明1が、甲2の1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、甲2の1発明のトレパニングヘッドが、本件出願前に公知であった又は公然実施されたかどうかを検討するまでもなく、無効理由3によって、特許発明1に係る発明を無効とすることはできない。

(2)特許発明2について
ア.特許発明2と甲2の1発明との対比
特許発明2と甲2の1発明との間の一致点及び相違点は、上記2.(2)ア.の<一致点B>及び<相違点2>に記載のとおりである。

イ.相違点2の判断
相違点2に対する請求人の主張は相違点1に対するものと同じであるから、上記(1)イ.の「相違点1の判断」に記載された理由と同様の理由により、特許発明2が、甲2の1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

ウ.特許発明2についてのむすび
以上のとおりであるから、特許発明2が、甲2の1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、甲2の1発明のトレパニングヘッドが、本件出願前に公知であった又は公然実施されたかどうかを検討するまでもなく、無効理由3によって、特許発明2に係る発明を無効とすることはできない。

(3)無効理由3のむすび
よって、無効理由3によって、特許発明1及び2に係る特許を無効とすることはできない。


第6.むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、特許発明1及び2に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-08-01 
結審通知日 2019-08-05 
審決日 2019-08-20 
出願番号 特願2008-334663(P2008-334663)
審決分類 P 1 123・ 112- Y (B23B)
P 1 123・ 121- Y (B23B)
P 1 123・ 111- Y (B23B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 泰二郎  
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 見目 省二
青木 良憲
登録日 2012-03-23 
登録番号 特許第4951788号(P4951788)
発明の名称 深穴加工用先端工具のガイド部配置構造及びガイド部配置方法  
代理人 小西 富雅  
代理人 小西 富雅  
代理人 佐藤 良博  
代理人 小西 富雅  
代理人 中村 知公  
代理人 中村 知公  
代理人 中村 知公  
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