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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01M
管理番号 1355581
審判番号 不服2018-1587  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-05 
確定日 2019-10-02 
事件の表示 特願2014-500256「大型のディーゼルエンジンシリンダの中へのシリンダ潤滑油の投入で使用されるインジェクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年9月27日国際公開、WO2012/126473、平成26年4月10日国内公表、特表2014-508890〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)3月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年3月18日(DK)デンマーク王国)の出願であって、その手続は以下のとおりである。
平成25年11月15日 :特許協力条約第34条補正の翻訳文 の提出
平成25年11月19日 :手続補正書の提出
平成27年3月13日 :手続補正書の提出
平成27年10月20日(発送日):拒絶理由通知書
平成28年4月20日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年10月4日(発送日) :拒絶理由通知書(最後)
平成29年4月4日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年10月3日(発送日) :平成29年4月4日の手続補正の却 下、拒絶査定
平成30年2月5日 :審判請求書の提出
平成30年8月21日(発送日) :拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶 理由」という。)
平成31年2月21日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成31年2月21日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「大型のディーゼルエンジンシリンダへのシリンダ潤滑油のための投入システムで使用されるインジェクタであって、
前記投入システムは、
ポンプステーション又はアキュムレータによって構成され得る潤滑油供給源と、
潤滑油供給源からの供給ラインと、
制御部とを含み、
前記インジェクタは、
供給ラインに接続するための入口と、
ステムを有するバルブ本体と、相互に作用する弁座とを有する、開閉バルブ部と、
連結されたシリンダにシリンダ潤滑油を注入するための1つ以上のノズル口を有し、
前記制御部が各開閉バルブ部を制御する、インジェクタにおいて、
前記バルブ本体がボールバルブ本体であり、
前記制御部が、各々のシリンダ毎に局所的制御ボックスを含み、シリンダ毎の全てのインジェクタのタイミング及び投入を制御し、バルブ本体のステムと開閉バルブ部のバルブガイド内の壁との間に10μm?0.3mmの幅をもつギャップがあることを特徴とするインジェクタ。」

第3 当審における拒絶の理由
当審が通知した拒絶理由のうちの理由3は、次のとおりのものである。

(進歩性)本願の請求項1ないし11に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



・請求項1ないし6に対し 引用文献1ないし引用文献7
・請求項7ないし11に対し 引用文献1ないし引用文献8

引用文献一覧
1.特開平2-30914号公報
2.特開2009-24644号公報(周知技術を示す文献)
3.実願平1-55393号(実開平2-145607号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
4.特開2010-174803号公報(周知技術を示す文献)
5.特開平4-318253号公報
6.特開平11-13587号公報(周知技術を示す文献)
7.特開平9-310656号公報(周知技術を示す文献)
8.特開昭57-88212号公報

第4 引用文献の記載事項
1 引用文献1
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献1(特開平2-30914号)には、「潤滑油の注油弁装置」に関して、図面(特に第1図ないし第3図を参照。)とともに以下の事項が記載されている(なお、下線部は当審が付した。以下同様。)。

ア 「本発明は、舶用ディーゼル機関におけるシリンダライナとピストンとの間にに潤滑油を注油する注油弁装置に関する。」(1ページ右欄3ないし5行)

イ 「以下本発明について、図面に示す一実施例にもとづき説明する。
第1図は注油弁1の断面図であり、図において10は注油弁ボデーである。
この注油弁ボデー10は、ボデー本体11、接続口体12、電磁弁ホルダ13および噴射ノズル14により形成されている。
接続口体12はボデー本体11に対して締結ナット15により固定されており、電磁弁ホルダ13はボデー本体11に対して直接螺着されている。
噴射ノズル14はボデー本体11に対してホルダナット16により固定されている。なお、17はガスケットである。
接続口体12には流入口体18および流出口体19が連結されており、流入口体18には流入口20が開口されているとともに、流出口体19には流出口21が開口されている。
流入口20は、第2図に示す注油ポンプ60に接続され、また流出口21はドレンパイプ61を介して潤滑油タンク62に接続される。
流入口20には潤滑油中のごみを捕獲するフィルタ25が取付けられているとともに、オリフィス26を形成した流量規制プレート27が脱着可能に取付けられている。
また流出口21には、上記オリフィス26より小径のオリフィス28を形成した流量規制プレート29が脱着可能に取付けられている。
上記ボデー本体11、接続口体12および電磁弁ホルダ13には、上記流入口20と流出口21との間を連通させる潤滑油通路22が形成されている。
この潤滑油通路22は、上記ボデー本体11と電磁弁ホルダ13の接合面を通るように形成されており、この接合面には電磁弁30が設けられている。
電磁弁30は、電磁弁ホルダ13に取付けられた電磁コイル31と、この電磁コイル31に通電した場合に磁力を発生するステータコア32と、この磁力によりステータコア32に吸引されるアーマチュア33およびこのアーマチュア33に取着したプランジャ34とで構成されており、プランジャ34に形成した弁部35が弁シート部36に当接した場合に潤滑油通路22を閉じるようになっている。
プランジャ34はスプリング37により常時押し下げる力が与えられており、電源ターミナル38、38に通電されていない場合は、ステータコア32に磁力が発生しないので、上記スプリング37の力を受けてアーマチュア33およびプランジャ34が押し下げられ、弁部35が弁シート部36から離れる。
このため、潤滑油通路22が開かれ、流入口20と流出口21が導通する。
上記流入口20と電磁弁30との間の潤滑油通路22には、噴射通路40が分岐接続されており、この噴射通路40は噴射ノズル14に導かれている。
噴射ノズル14には針弁41が摺動自在に嵌挿されており、この針弁41はスプリング室42に収容したノズルスプリング43によって押し下げられている。上記噴射通路40から送られてくる潤滑油の圧力が所定圧以上になってノズルスプリング43の押し下げ力に勝ると針弁41が油圧により押し上げられ、このため噴射孔44を開く。したがって、噴射孔44から潤滑油が噴射される。
上記スプリング室42には背圧通路45が接続されており、この背圧通路45は前記電磁弁30と流出口21との間の潤滑油通路22に接続されている。
このような構成の注油弁1は、第3図および第4図に示すように、シリンダライナ50に、周方向に間隔を存して複数個、例えば6?8本装着される。このような注油弁1は、上記シリンダライナ50とピストンクラウン51との摺動面に潤滑油を供給するもので、ピストンクラウン51に取付けたピストンリング52を潤滑する。」(2ページ右下欄15行ないし3ページ右下欄11行)

ウ 「このような構成に係る注油弁の作用を説明する。
第2図に示す潤滑油タンク62の潤滑油は注油ポンプ60に吸い上げられ、この注油ポンプ60で例えば100Kg/cm^(2)以上の高圧に加圧され、第3図および第4図に示すシリンダライナ50に取付けた注油弁1に供給される。
図示しない、クランク角度検出器、エンジンの運転時間検出器、ピストンリング位置検出器、潤滑度検出器、エンジン回転数検出器、エンジン出力検出器、潤滑油消費量検出器などからエンジンの運転状況を検出し、この検出信号により制御器(ECU)100が注油弁1からの潤滑油噴射量を演算し、電磁弁30に電気信号を送る。
電磁弁30においては、電磁コイル31に通電されていない状態では、アーマチュア33およびプランジャ34がスプリング37により押し下げられており、したがって弁部35が弁シート部36から離れ、潤滑油通路22を開いている。すなわち、流入口20と流出口21が連通している。
このため、注油ポンプ60から圧送されてきた高圧の潤滑油は、流入口20から潤滑油通路22を素通りし流出口21から流出し、ドレンパイプ61を通じて潤滑油タンク62に戻される。
この場合、噴射通路40の圧力P2と、背圧通路45の圧力P3は略等しく、噴射ノズル14の針弁41はノズルスプリング43の押圧力を受けて噴射孔44を塞いでいる。したがって、潤滑油は噴射されない。
前記制御器(ECU)100からの指令により、電磁コイル31に通電されると、ステータコア32がアーマチュア33を磁気吸引し、プランジャ34がスプリング37の力に抗して上昇され、弁部35が弁シート部36に着座し潤滑油通路22を閉じる。
このため、弁部35よりも上流側の潤滑油通路22の圧力が上昇して噴射通路40の圧力P2が高くなり、これに比較して弁部35よりも下流側の潤滑油通路22の圧力が下がり、背圧通路45の圧力P3が低くなる。
噴射通路40の圧力P2が、ノズルスプリング43の押圧力Fと背圧通路45の圧力P3との和に打勝った場合(P2>F+P3)、例えば70?90Kg/cm^(2)程度の圧力になった場合、噴射ノズル14の針弁41がリフトされ、噴射通路40に圧送されてきた高圧の潤滑油は噴射孔44から噴射される。
したがって、シリンダライナ50とピストンクラウン51との摺動面、つまりピストンリング52を潤滑する。
電磁コイル31への通電を停止すると、アーマチュア33およびプランジャ34がスプリング37により押し下げられ、弁部35が弁シート部36から離脱し潤滑油通路22が開かれる。このため、流入口20と流出口21が連通し、注油ポンプ60から圧送されてきた高圧の潤滑油は、流入口20から潤滑油通路22を素通りし流出口21からドレンパイプ61を通じて潤滑油タンク62に戻される。
したがって、噴射通路40の圧力P2が低下し、背圧通路45の圧力P3と略等しくなり、噴射ノズル14の針弁41にはノズルスプリング43に押圧力が作用して噴射孔44を塞ぐ。したがって、潤滑油の噴射が停止される。」(3ページ右下欄12行ないし4ページ左下欄14行)

エ 上記イの記載、特に「上記流入口20と電磁弁30との間の潤滑油通路22には、噴射通路40が分岐接続されており、この噴射通路40は噴射ノズル14に導かれている。噴射ノズル14には針弁41が摺動自在に嵌挿されており、この針弁41はスプリング室42に収容したノズルスプリング43によって押し下げられている。上記噴射通路40から送られてくる潤滑油の圧力が所定圧以上になってノズルスプリング43の押し下げ力に勝ると針弁41が油圧により押し上げられ、このため噴射孔44を開く。したがって、噴射孔44から潤滑油が噴射される。」(3ページ左下欄9行ないし20行)との記載及び第1図における噴射通路40と噴射ノズル14との構成からみて、針弁41はステムを有し、さらに、針弁41のステムと噴射ノズル14との間には、潤滑油を噴射口44に導くギャップがあるといえる。

オ 上記イの記載、特に「流入口20は、第2図に示す注油ポンプ60に接続され、また流出口21はドレンパイプ61を介して潤滑油タンク62に接続される。」(3ページ左上欄13ないし15行)との記載及び第2図からみて、引用文献1は潤滑油タンク62からの供給ラインを備えているといえる。そして、引用文献1の流入口20は、供給ラインに接続するための入口であると理解できる。

カ 上記イの記載、特に「噴射ノズル14には針弁41が摺動自在に嵌挿されており、この針弁41はスプリング室42に収容したノズルスプリング43によって押し下げられている。上記噴射通路40から送られてくる潤滑油の圧力が所定圧以上になってノズルスプリング43の押し下げ力に勝ると針弁41が油圧により押し上げられ、このため噴射孔44を開く。したがって、噴射孔44から潤滑油が噴射される。」(3ページ左下欄13ないし20行)との記載及び上記ウの記載、特に「噴射通路40の圧力P2が、ノズルスプリング43の押圧力Fと背圧通路45の圧力P3との和に打勝った場合(P2>F+P3)、例えば70?90Kg/cm^(2)程度の圧力になった場合、噴射ノズル14の針弁41がリフトされ、噴射通路40に圧送されてきた高圧の潤滑油は噴射孔44から噴射される。したがって、シリンダライナ50とピストンクラウン51との摺動面、つまりピストンリング52を潤滑する。電磁コイル31への通電を停止すると、アーマチュア33およびプランジャ34がスプリング37により押し下げられ、弁部35が弁シート部36から離脱し潤滑油通路22が開かれる。このため、流入口20と流出口21が連通し、注油ポンプ60から圧送されてきた高圧の潤滑油は、流入口20から潤滑油通路22を素通りし流出口21からドレンパイプ61を通じて潤滑油タンク62に戻される。したがって、噴射通路40の圧力P2が低下し、背圧通路45の圧力P3と略等しくなり、噴射ノズル14の針弁41にはノズルスプリング43に押圧力が作用して噴射孔44を塞ぐ。したがって、潤滑油の噴射が停止される。」(4ページ右上欄11行ないし左下欄14行)との記載並びに第1図及び第2図における針弁41と噴射ノズル14の関係からみて、噴射ノズル14は弁座を備え、針弁41と噴射ノズル14とで開閉バルブ部を構成しているといえる。さらに、上記ウの記載からみて、ECU100が開閉バルブ部を制御しているといえる。

以上から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「舶用ディーゼル機関におけるシリンダライナとピストンとの間に潤滑油を注油する注油弁1であって、
注油ポンプ60と、
注油ポンプ60からの供給ラインと、
ECU100とを含み、
前記注油弁1は、
供給ラインに接続するための流入口20と、
ステムを有する針弁41と、相互に作用する弁座を備えた噴射ノズル14とを有する開閉バルブ部と、
潤滑油が噴射される噴射孔44を有し、
前記ECU100が開閉バルブ部を制御し、
針弁41のステムと噴射ノズル14との間にギャップがある、注油弁1。」

2 引用文献2
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献2(特開2009-24644号公報)には、次の記載がある。

ア 「【0004】
潤滑油にはカーボンスラッジ、金属粉等の異物が混入していることがあり、それらの異物の詰まりを防止するためには給油孔の内径をむやみに小さく設定することができない。そのため、給油孔の内径を、必要最小限度の流量の潤滑油を供給するために必要な内径よりも大きく設定されることがある。この場合、給油孔から直接給油する構成では、過剰な量の潤滑油が供給され、潤滑油の消費量の増大、撹拌抵抗の増加、オイルポンプの吐出容量の増大といった不都合が生じる。このような問題は、転がり軸受への給油に限らず、カムノーズへの給油に関しても同様に生じ得る。」

以上から、上記引用文献2には次の事項が記載されていると認められる。

「潤滑油に混入する異物による詰まりを防止するために、給油孔の内径を潤滑油を供給するために必要な内径よりも大きく設定すること。」

3 引用文献3
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献3(実願平1-55393号(実開平2-145607号)のマイクロフィルム)には、次の事項がある。

ア 「このような手段では、潤滑回路中に異物が混入した場合、オリフィス部材の小径先端部周面のクリアランスよりも大きい異物はそこで補足され、クリアランスよりも小さい異物のみがオリフィス流路に進入する。ここでオリフィス流路は上記クリアランスより径寸法が大きいことから、異物はスムーズにオリフィス流路を通過する。」(明細書4ページ4ないし12行)

以上から、上記引用文献3には次の事項が記載されていると認められる。

「潤滑回路に異物が混在した場合、クリアランスより小さい異物は、クリアランスよりも径寸法が大きいオリフィス流路をスムーズに通過するから、オリフィス流路の詰まりが改善されること。」(明細書3ページ4ないし12行)

4 引用文献4
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献4(特開2010-174803号公報)には、次の記載がある。

ア 「【0003】
エンジンオイル中には、加工時の切粉の残りや部品同士の摺動による摩耗粉、オイル劣化物などの異物が存在する。そして通常、異物はストレーナの金網やオイルフィルタによって取り除かれるが、全ての異物を取り除けるわけではない。そこで異物がこれらの下流側に流されることになるが、この異物の詰まりによる潤滑不良を防止するため、通常、油路をφ1.2?1.5mm程度より小さくすることができない。」

以上から、上記引用文献4には次の事項が記載されていると認められる。

「ストレーナの金網やオイルフィルタより下流側に流されたエンジンオイル中の異物の詰まりによる潤滑不良を防止するため、油路はφ1.2?1.5mm程度より小さくすることができないこと。」

5 引用文献5
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献5(特開平4-318253号公報)には、図面(特に図1を参照。)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、電子制御により作動される燃料噴射弁、排気弁、始動弁、シリンダ注油装置を有する多気筒エンジンにおいて、前記燃料噴射弁制御用、排気弁制御用、始動弁制御用、シリンダ注油装置制御用の電子制御装置のそれぞれを気筒毎に設けたこと、さらには前記4系統の制御装置を組み合せて気筒毎に設けたことを特徴としている。
【0012】
【作用】電子制御装置をシリンダ(気筒)毎に設けているので、ある1のシリンダの制御装置が故障した場合には、そのシリンダの作動を停止させれば、他のシリンダは独立して制御装置を有しているため故障したシリンダの影響を受けずに運転を続行することができる。また、気筒数が多くなっても電子制御装置をその分だけ増加するのみで、ソフトウェアを大幅に増加、改変する必要はない。
【0013】
【実施例】以下図1,図3及び図4を参照して本発明の1実施例を説明すると、1は過給機010のコンプレッサ、8は排気タービン、3はエンジンのシリンダ、4はピストン、5は燃料噴射弁、6は排気弁、9は始動弁、10は掃気孔、11は注油弁、2は掃気室、7は静圧管であり、これらの構成,作用は従来のものと同様である。
【0014】図1は本発明に係る6気筒2サイクルディーゼル機関の制御装置を示すブロック図であり、31?36はエンジンのNO.1?NO.6シリンダ(気筒)毎に1台づつ設けられた電子制御装置である。
【0015】前記各電子制御装置31?36は、各シリンダ3に設けられた燃料噴射弁5、排気弁6、始動弁9、及び注油弁11に制御信号41a,41b,41c,41dを出力する。即ち、41aは燃料噴射系の制御信号、41bは排気動弁系の制御信号、41cは始動系の制御信号、41dは注油系の制御信号である。
【0016】前記各電子制御装置31?36からの指令(制御信号)を受けて前記各弁を開閉制御するためのハード機構は従来のものと同様であり、1例を挙げれば燃料噴射弁系、排気動弁系については特開昭59-176412号、始動弁系については実開昭60-147761号、注油弁系については実開昭58-51003号がある。尚、前記ハード機構はこれらに限定されるものではなく、前記各弁が電子制御可能な機構であればよい。
【0017】次にこの実施例の作用について説明する。上位機器25より、燃料噴射量、燃料噴射時期、排気弁開閉タイミング、始動弁開閉タイミング、シリンダ注油量、注油弁開閉タイミング等の運転指令51及びエンジンのクランク角、回転数等の運転情報52が各電子制御装置31?36に入力される。各制御装置31?36は、所定の演算を行い対応するシリンダ3の燃料噴射弁5、排気弁6、始動弁9、注油弁11を指令通り動作させる。」

以上から、上記引用文献5には次の事項が記載されていると認められる。

「各シリンダ3に設けられた各電子制御装置31ないし36により、各シリンダ3の注油弁11を各シリンダ3毎に制御すること。」

6 引用文献6
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献6(特開平11-13587号公報)には、図面(特に【図2】及び【図4】を参照。)とともに次の記載がある。

ア 「【0019】可動部4Aは、磁性材料製プランジャ4と、一端がプランジャ4に接合されたロッド5とロッド5の他端に接合されたボール6とより成るが、ロッド5のプランジャ4側には燃料の通過を許す空洞部5Aが設けてある。この空洞部5Aには燃料の流出口5Bが設けてある。また可動部4Aは、プランジャ4の外周がシールリング12に当接することでその軸方向の動きを案内されるとともに、他端部に接合されたボール6がノズル部材7の中空部の内壁21に挿入されている燃料旋回素子22の内壁に当接することでそれぞれガイドされている。ノズル部材7には、ボール弁6をガイドする円筒状の燃料旋回素子22につづいて、ボール弁6をシートするシート面9が形成されており、シート面9の中央には燃料の通過を許す開口孔8が設けられている。可動部4Aのストローク(軸上方への移動量)は、ロッド5の首部の受け面5aとストッパ19間の空隙の寸法で決定される。なお、25はフィルターで、燃料中や配管中のゴミや異物がバルブシート側へ侵入するのを防ぐために設けられている。」

イ 「【0027】図4は、本発明にかかる各々の燃料通路の流路面積を求める説明図である。」

以上から、上記引用文献6には次の事項が記載されていると認められる。

「ロッド5、ロッド5に接続されたボール弁6及びボール弁6をシートするシート面9が形成されたノズル部材7を設けた筒内燃料噴射装置。」

7 引用文献7
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された引用文献7(特開平9-310656号公報)には、図面(特に【図1】を参照。)とともに次の記載がある。

ア 「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の実施の形態1の電子式燃料インジェクタの構成を示す断面図である。この燃料インジェクタは、コア8軸心部のシリンダである筒体8a内に摺動自在に嵌入されたプランジャロッド2が往復動作することにより、プランジャロッド2先端に接合されたボール弁2aがノズルボディ4の燃料噴射孔4bを開閉して、ノズルボディ4内に加圧供給された燃料を間歇的に噴射するように構成されている。プランジャロッド2は筒体8a内に挿入されたコイル状スプリング3による押出しと、筒体8a外周に取り付けられた電磁コイル6による引き戻しにより、往復動作する。
【0016】さらに詳細に構成を説明すると、この燃料インジェクタは、環状の電磁コイル6を外周に取り付けた筒体8aと該筒体8aの上部から外方向へ張り出すつば部8bとからなるコア8と、コア筒体8a内上部に嵌入され位置調整のためのねじ部を有する略棒状のアジャスタ1と、コア筒体8a内の下部に元端部が摺動自在に嵌入され先端部にボール弁2aを有するプランジャロッド2と、プランジャロッド2の長手方向中間部の外周に形成されコア筒体8aの先端面と所定のすき間をもって位置するつば部2cと、コア筒体8a内でアジャスタ1とプランジャロッド2との間に設けられプランジャロッド2を下方に押圧するように付勢されたコイル状のスプリング3と、コアつば部8b、電磁コイル6及びプランジャロッド2を囲う有底の筒体5aからなり該底部5bにプランジャロッド2のつば部2cを摺動自在に嵌入する穴5cを形成したヨーク5と、ヨーク5の下端部に取り付けられプランジャロッド2先端のボール弁2aを当接させるシート面4a及び該当接部分に下方向に開口する燃料噴射孔4bを有するノズルボディ4と、ヨーク筒体5aの周壁に形成された燃料供給穴5dと、燃料供給穴5dから電磁コイル8とヨーク筒体5a間のすき間を通じて流入した加圧燃料をノズルボディ4内に導入するためにヨーク底部5bに設けられた燃料通過孔5eと、ボール弁2aをガイドする穴を有しその周囲に燃料に旋回流を与える羽根を設けたスワラ9と、環状の電磁コイル6の内周面とコア筒体8aの外周面との間、およびヨーク底部5b内面と電磁コイル6の下面との間、およびヨーク底部5bに形成した穴5cとプランジャロッド2のつば部2c外周との間にそれぞれ設けた各シールリング10、11、12と、プランジャロッド2の周囲でシールリング10、11、12により区画された室である内部空間13からコア筒体8a内にわたって充填された潤滑油14と、から構成されている。」

以上から、上記引用文献7には次の事項が記載されていると認められる。

「先端部にボール弁2aを接合するプランジャロッド2とシート面4aを有するノズルボディ4を有する電子制御式燃料インジェクタ。」

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「舶用ディーゼル機関」は、その機能、構成および技術的意義からみて前者の「大型のディーゼルエンジン」に相当し、以下同様に、「注油弁1」は「インジェクタ」に、「流入口20」は「供給ラインに接続するための入口」に、「ECU100」は「制御部」に、「噴射孔44」は「1つ以上のノズル口」にそれぞれ相当する。
また、後者の「シリンダライナとピストンとの間に潤滑油を注油する」は、その機能、構成および技術的意義からみて、前者の「シリンダへのシリンダ潤滑油のための投入システム」に相当する事項を備えているといえる。同様に、「ECU100が開閉バルブ部を制御する」は「制御部が各開閉バルブ部を制御する」に相当する事項を備えているといえる。
そして、後者の「注油ポンプ60」と前者の「ポンプステーション又はアキュムレータによって構成され得る潤滑油供給源」とは、少なくとも「ポンプステーションによって構成され得る潤滑油供給源」という限りで一致する。
同様に、後者の「針弁41のステムと噴射ノズル14との間にギャップがある」と前者の「バルブ本体のステムと開閉バルブ部のバルブガイド内の壁との間に10μm?0.3mmの幅をもつギャップがある」とは、「バルブ本体のステムと開閉バルブ部のバルブガイド内の壁との間にギャップがある」という限りで一致する。

したがって、両者は、
「大型のディーゼルエンジンシリンダへのシリンダ潤滑油のための投入システムで使用されるインジェクタであって、
前記投入システムは、
ポンプステーションによって構成され得る潤滑油供給源と、
潤滑油供給源からの供給ラインと、
制御部とを含み、
前記インジェクタは、
供給ラインに接続するための入口と、
ステムを有するバルブ本体と、相互に作用する弁座とを有する、開閉バルブ部と、
連結されたシリンダにシリンダ潤滑油を注入するための1つ以上のノズル口を有し、
前記制御部が各開閉バルブ部を制御する、インジェクタにおいて、
バルブ本体のステムと開閉バルブ部のバルブガイド内の壁との間にギャップがあるインジェクタ。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
[相違点1]
前者は「バルブ本体が、ボールバルブ本体」であるのに対し、後者は針弁41である点。

[相違点2]
前者は「制御部が、各々のシリンダ毎に局所的制御ボックスを含み、シリンダ毎の全てのインジェクタのタイミング及び投入を制御」しているのに対し、後者はかかる構成を備えていない点。

[相違点3]
「ギャップ」に関し、前者は「10μm?0.3mmの幅をもつギャップ」であるのに対し、後者は「ギャップ」の幅が不明である点。

第6 判断
上記相違点について検討する。
相違点1について検討する。
引用文献6の記載事項は
「ロッド5、ロッド5に接続されたボール弁6及びボール弁6をシートするシート面9が形成されたノズル部材7を設けた筒内燃料噴射装置。」
である。
また、引用文献7の記載事項は
「先端部にボール弁2aを接合するプランジャロッド2とシート面4aを有するノズルボディ4を有する電子制御式燃料インジェクタ。」
である。
引用文献6及び引用文献7の記載事項からみて、ボールバルブ本体と相互に作用する弁座とを含むインジェクタは本願の優先日前の周知技術(以下、「周知技術1」という。)といえる。そして、周知技術1と引用発明とはシリンダ内に流体を注入するための技術である点で共通する。さらに、該周知技術1を潤滑油のインジェクタで用いることに格別な技術上の困難性を見出すこともできない。
そうすると、引用発明の針弁41に換えて、該周知技術1を採用し、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

なお、審判請求人は平成31年2月21日付け意見書((5-1)欄)において、「引用例1は、円錐形の弁座を有する、潤滑油の噴射に関するものであります。引用例6及び7は、燃料噴射器に関するものであります。しかしながら、燃料噴射器にボールバルブが設けられるということは一般常識でありますが、当業者が引用例1の特定の潤滑油噴射器にボールバルブを実際に含めように動機付けが与えられておりません。当業者は、引用例1を修正する動機付けが与えられておらず、明確な利益がありません。それゆえ、当業者は引用例1に記載のシステムを変更しません。」と主張する。
しかしながら、上述した通り、ボールバルブ本体と相互に作用する弁座とを含むインジェクタは周知技術であり、請求人も認める通り、燃料噴射器に関するでは技術常識といえるものである。そして、上述した通り、上記周知技術1と引用発明とは内燃機関のシリンダ内に液体を注入する技術である点で共通し、周知技術1を潤滑油のインジェクタで用いることに格別な技術上の困難性がない。さらに、本願発明は、ボールバルブ本体を採用することで格別な効果を奏するものではない(本願の発明の詳細な説明の段落【0086】には、ボールバルブ式を使用した場合の事項について記載されているが、該記載はボールバルブ方式を採用した場合に当業者が想起しうる程度の事項にすぎず、バルブ本体のステムと開閉バルブのバルブガイド内の壁との間に特定の幅のギャップとの関連を指摘するものではない。)。
そうすると、引用発明において、バルブ本体として、内燃機関のシリンダ内に液体を注入するという技術分野における技術常識であるボールバルブ本体を採用することは、当業者の通常の創作能力の範囲で容易に想起し得る程度のものである。したがって、該主張は当を得ない。

相違点2について検討する。
引用文献5の記載事項は
「各シリンダ3に設けられた各電子制御装置31ないし36(本願発明の「各々のシリンダ毎に局所的制御ボックスを含み」に相当。以下同様。)により、各シリンダ3の注油弁11を各シリンダ3毎に制御(シリンダ毎のインジェクタのタイミング及び投入を制御)すること。」
である。
そして、引用文献5の記載事項は、ディーゼル機関の制御である点で引用発明と共通し、注油に関する技術である点でも共通する。
また、引用文献5の記載事項において、注油弁11が複数ある場合、各電子制御装置31ないし36が、対応する各々のシリンダにある全ての注油弁11の制御を行うことになることは、当業者が容易に理解できることである。
そうすると、引用発明において、引用文献5の記載事項を適用して、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

なお、審判請求人は、平成31年2月21日付け意見書において、「しかしながら、個別の制御を「局所的制御ボックス」に相当すると解釈するのは不正確であります。引用例5は、実際、中央の制御ボックスのみを開示しています。引用例5において、中央制御ボックス24が示されています。この中央制御ボックス24は全てのシリンダに対して機能するので、中央であります(本意見書に添付の参考図1(引用例5の図2)参照)。特に、引用例5には、シリンダ注油系制御装置23、24は、始動弁9と、各シリンダの注油弁11とに接続されている点が記載されています(引用例5の明細書第0005段落)。」と主張している。
しかしながら、引用文献5の図2は、引用文献5では従来の技術を示すものとして記載され、引用文献5の記載事項と異なるものである(引用文献5の段落【0002】ないし【0012】を参照。)。すなわち、引用文献5には、図2に記載された従来の技術とは別に上述した引用文献5の記載事項が記載されている。したがって、請求人の当該主張は失当である。

相違点3について検討する。
引用文献2の記載事項は、
「潤滑油に混入する異物による詰まりを防止するために、給油孔の内径を必要な内径よりも大きく設定すること。」
である。
引用文献3の記載事項は
「潤滑回路に異物が混在した場合、クリアランスより小さい異物は、クリアランスよりも径寸法が大きいオリフィス流路をスムーズに通過するから、オリフィス流路の詰まりが改善されること。」
である。
引用文献4の記載事項は
「ストレーナの金網やオイルフィルタより下流側に流されたエンジンオイル中の異物の詰まりによる潤滑不良を防止するため、油路はφ1.2?1.5mm程度より小さくすることができないこと。」
である。
これら引用文献2ないし4の記載事項からみて、潤滑油の流路において、異物の詰まりを防ぐため、流路を異物よりも大きくすることは本願の優先日前の周知技術(以下、「周知技術2」という。)といえる。
してみると、引用発明において、該周知技術2を踏まえ、異物の詰まりを防ぐべくギャップの幅を異物よりも大きくすることは、当業者の通常の創作能力の範囲内で適宜なし得たことである。
また、ギャップの幅を「10μm?0.3mm」と特定することについて、本願明細書、特に段落【0013】、【0027】、【0061】及び【0088】の記載をみても、該特定により当業者が通常の創作能力の範囲内で適宜なし得た数値の最適化或いは好適化を越える、格別な技術的意義あるいは特異な効果を見出すことはできない。
そうすると、引用発明において、該周知技術2を参酌して、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

なお、審判請求人は、平成31年2月21日付け意見書において「請求項1は引用例1に対して、ステムと座部の間の「ギャップ」が10μm?0.3mmの幅をもつ、という明確な相違点があります。拒絶理由では、当業者が引用例1を考慮する時に他の従来技術から上記のギャップについての情報を得るか否かを検討しています。拒絶理由によれば、この幅は、引用例2、引用例3又は引用例4に基づいて容易に実現し得ると説示されました。この点につきましては、以下に申し述べる通り、承服できません。
引用例1を参照すると、噴射ノズル14内の針弁41の滑動のために幅を有するギャップを必要とする、という点には同意します。しかしながら、引用例1の潤滑油の経路は、噴射通路40から、バルブチャンバの下側部分を通り、ノズルから出ます。特に重要なことでありますが、他の従来技術との比較で、潤滑油は、針弁41と噴射ノズル14の当接部分の間の弁座を通って流れていません(参考図2の引用例1の図1(左)と引用例1の図2(右)参照)。」と主張する。
また、「(5-D)引用例1と引用例2の組み合わせについて」、「(5-E)引用例1と引用例3の組み合わせについて」及び「(5-F)引用例1と引用例4の組み合わせについて」に係る主張をしている。
しかしながら、本願発明において特定される「バルブ本体のステムと開閉バルブ部のバルブガイド内の壁との間に10μm?0.3mmの幅をもつギャップがあること」。特に「10μm?0.3mmの幅」との特定については、本願の発明の詳細な説明の記載、特に段落【0058】の記載をみても、当該特定に含まれない幅をもつギャップとの比較で、格別な技術上の意義あるいは臨界的意義を有するものではなく、その意味において、当業者の通常の創作能力の範囲で適宜設定し得るものといえるものである。
また、引用文献1の第2図に記載されたものは、引用発明における潤滑油の供給油圧回路図であって、注油弁の構造を示すものではない。注油弁の詳細な構造は、第1図から理解するものといえる。そして、引用文献1の3ページ左下欄9行ないし20行の記載及び第1図における噴射通路40と噴射ノズル14との構成からみて、針弁41と噴射ノズル14との間には、潤滑油を噴射口44に導くギャップがあるといえることは、「第4」「1」「エ」で上述した通りである。
そして、上述の検討では、引用文献2ないし4の記載事項からみて、潤滑油の流路において、異物の詰まりを防ぐため、流路を異物よりも大きくすることが周知技術(周知技術2)であり、引用発明において、周知技術2を参酌して相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることが容易になし得たことを述べたものであって、引用発明に対し、引用文献2の記載事項、引用文献3の記載事項或いは引用文献4の記載事項の適用を検討したものではない。
なお、「(5-D)引用例1と引用例2の組み合わせについて」における「引用例1の潤滑油はフィルタ26を通過するので、潤滑油の中に粒子があるとは見込まれません。」との主張について念のため確認すると、引用文献3の記載事項及び引用文献4の記載事項からみて、フィルタにより全ての異物が取り除かれる訳ではなく、フィルタよりも下流に流れる異物の詰まりを防ぐため、流路を異物よりも大きくする必要があることも、従来から知られていたことであり、引用発明においても当然認識されている事項といえる。
したがって、これらの主張は当を得ない主張である。

また、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献5の記載事項並びに周知技術1及び周知技術2から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。

したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献5の記載事項並びに周知技術1及び周知技術2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-04-17 
結審通知日 2019-05-07 
審決日 2019-05-20 
出願番号 特願2014-500256(P2014-500256)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 麻乃  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 水野 治彦
鈴木 充
発明の名称 大型のディーゼルエンジンシリンダの中へのシリンダ潤滑油の投入で使用されるインジェクタ  
代理人 伊藤 公一  
代理人 三橋 真二  
代理人 青木 篤  
代理人 伊藤 健太郎  

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