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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1355687
審判番号 不服2019-345  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-11 
確定日 2019-10-29 
事件の表示 特願2016-557292「寿命の終わりの条件に到達したときにソリッドステートメモリへの書き込むを制限するための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 1日国際公開、WO2015/148315、平成29年 4月13日国内公表、特表2017-510891、請求項の数(31)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,2015年3月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年3月24日(以下,「優先日」という。)及び2014年5月12日,アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって,平成28年9月14日付けで特許法第184条の5第1項に規定される書面が提出され,平成28年11月10日付けで特許法第184条の4第1項の規定による国際出願日における明細書,請求の範囲,図面(図面の中の説明に限る。)及び要約の翻訳文が提出され,平成29年12月8日付けで審査請求がなされ,平成30年6月5日付けで拒絶理由通知(同年6月12日発送)がなされ,同年9月6日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされたが,同年9月14日付けで拒絶査定(同年9月25日謄本送達)がなされた。
これに対して,「原査定を取り消す、本願は特許すべきものであるとの審決を求める。」ことを請求の趣旨として,平成31年1月11日付けで本件審判請求がなされた。
そして,令和元年9月10日付けで当審より拒絶理由通知(同年9月17日発送)がなされ,同年9月18日付けで意見書が提出がされ,同年9月26日付けで手続補正がなされたものである。


第2 原査定の概要

原査定(平成30年9月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1?4,10?14,20?24,31に係る発明は,以下の引用文献1に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2013-47913号公報


第3 本願発明

ア 本願請求項1?31に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明31」という。)は,令和元年9月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?31に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。

「データストレージデバイスであって、
ブート処理中にホストによってアクセスされるブートデータに対応する論理ブロックアドレス(「LBAs」)を含むソリッドステートメモリと、
前記ブートデータに対応するLBAsを決定し、
前記ソリッドステートメモリが、寿命の終わりの条件に到達しているかを判定し、
前記ソリッドステートメモリが、寿命の終わりの条件に到達していると判定すると、前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように、前記LBAsへの書き込みを制限し、
前記ブート処理が完了したとき、前記ソリッドステートメモリをリードオンリーモードに設定する
ように構成されるコントローラと、
を備えるデータストレージデバイス。」

イ なお,本願発明2?本願発明31の概要は以下のとおりである。

(ア)本願発明2?本願発明10は,本願発明1を直接・間接に引用して減縮した発明である。

(イ)本願発明11?本願発明20は,それぞれ本願発明1?本願発明10に対応する方法の発明であり,本願発明1?本願発明10とカテゴリー表現が異なるだけの発明である。

(ウ)本願発明21は,本願発明1のデータストレージデバイスを構成の一部として含む電子デバイスの発明である。

(エ)本願発明22?本願発明31は,本願発明21を直接・間接に引用して減縮した発明であり,本願発明22?本願発明30は,それぞれ本願発明2?本願発明10に対応する発明である。


第4 引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

ア 本願の優先日前に頒布(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である)され,原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年6月5日付けの拒絶理由通知において引用された刊行物である,特開2013-47913号公報(平成25年3月7日出願公開。以下,「引用文献」という。)には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0024】
制御ツール200は、例えば、図2に示すように、ホスト装置3が電源オフになっているときはSSD2のNAND型フラッシュメモリ(NANDメモリ)16の領域16Bに格納されているが、ホスト3の起動時またはプログラム起動時に、NANDメモリ16の領域16Bから主メモリ6上の領域6Bにロードされる。一方、ホスト3に複数の不揮発性記憶装置が接続されている場合は、図3に示すように、SSD制御ツール200は、SSD2とは別の不揮発性記憶装置20の領域20Bに格納されており、ホスト装置3の起動時またはプログラム起動時に、領域20Bから主メモリ6上の領域6Bにロードされるようにしてもよい。特に、不揮発性記憶装置20がOSを格納するシステムドライブとして使用されており、SSD2が文書や静止画データや動画データなどユーザデータを格納するデータドライブとして使用されている場合は、システムドライブ20にはOSやアプリケーションプログラムを主として格納するドライブとして使用し、データドライブ2にはユーザデータを格納するドライブとして使用するというように、ドライブ2とドライブ20の役割を明確に分ける観点で、システムドライブとしての不揮発性記憶装置20に制御ツールを格納することが望ましい。」

B 「【0028】
本実施形態では、OS100として、通常時OS(第1のオペレーティングシステム)100Aと緊急時OS(第2のオペレーティングシステム)100Bの2種類が存在する。通常時OS100AはSSD2の信頼性が劣化していない場合に使用されるオペレーティングシステムである。前述したように、通常時OSは、ブート時にSSDへの書き込みが発生し、またユーザが意図しないSSDへの書き込みがバックグラウンドで発生する。通常時OS100Aは、図7に示すように、ホスト装置3が電源オフになっているときはNANDメモリ16の領域16Dに格納されている。緊急時OS100BはSSD2の信頼性が劣化した場合に使用されるオペレーティングシステムであり、SSD2への書き込みは行わない(書き込み非サポート)。すなわち、緊急時OSは、ブート時にSSDに対し読み出し動作のみを行い、ユーザが意図しないバックグラウンドでのSSDへの書き込みを行わない。なお、緊急時OS100Bは信頼性劣化した時のSSD2以外の不揮発性記憶装置に対しては書き込みを行うことができてもよい。また、緊急時OS100Bは、緊急時OSのシステム情報など一部のデータをSSD2に書き込む必要がある場合は、例外としてSSD2に当該データを書き込むことを許可してもよいが、当該データはデータ量がNANDメモリ16の容量に対して十分に小さいことが望ましい。さらに望ましくは、ユーザが誤って書き込みコマンドを送信してしまいSSD2に対してデータを書き込んでしまうことを防止するために、緊急時OS100BはSSD2に対する通常の書き込みコマンドを行うことを禁止し、SSD2に対して例外的にデータを書き込む必要がある場合は、たとえばINCITS ACS-2に記述されているSCT Command Transportやその他ベンダー独自のコマンドなど、特殊なコマンドを用いたコマンドのみによりSSD2に対する書き込みを許可するようにすることが望ましい。」

C 「【0031】
コンピュータシステム1の電源がONしたときやOSが再起動されたときなどのような、コンピュータシステム1の起動時、ホスト装置3はNANDメモリ16の領域16Cに書き込まれているブートローダ300を読み出し、ブートローダ300の情報をもとに、通常時OS100Aと緊急時OS100Bのどちらがホスト装置3における領域6Aにロードされるかが決定される。そのためには、ブートローダ300には読み出すべきOSのLBAを示すOSポインタ情報OSPTを保持させておく。ホスト装置3はブートローダ300の読み出し時、OSポインタ情報OSPTの示すLBAを開始点として読み出しを行い、読み出したデータを主メモリ6上の領域6Aに書き込むようにすればよい。ブートローダ300は、初期状態では、通常時OS100Aをロードされるように構成されている。SSD2の信頼性が劣化したのち、主メモリ6上の領域6Bに格納された制御ツール200はNANDメモリ16上の領域16Cに記憶されているブートローダ300を書き換えて、緊急時OS100Bを読み出すようにブートローダ300を再構築する。ブートローダ300として、たとえばマスターブートレコード(MBR)を採用してもよいし、GUIDパーティションテーブル(GPT)を採用してもよい。」

D 「【0141】
上記のようにして、制御ツール200は、SSD2が寿命に到達したか否か(SSD2が異常状態であるか否か)を判定し、SSD2が寿命に到達したと判定された場合(SSD2が異常状態であると判定された場合)、後述する寿命到達時処理(ステップS205)に移行する。統計情報65は、統計情報X01?X19、X23、X24以外にも種々の形態をとりうるが、本発明はこれらに対しても適用可能である。また、X01?X19、X23、X24と不良率の関係には正の相関関係が存在するが、不良率と負の相関関係が存在する統計情報に対しても本発明は適用可能である。たとえば、SSD2が出荷後に体験した最低温度などである。その場合、RMAXの代わりに、信頼性保証できる下限値RMINを採用し、統計情報がRMINを下回った場合にSSD2が寿命に到達したと判断すればよい。」

E 「【0147】
(寿命到達時処理)
つぎに、寿命到達時処理(異常状態時処理)について説明する。第1の実施形態では、通常時OSおよび緊急時OSがSSD2にすでに格納されている場合での寿命到達時処理について説明する。通常時OS100A、緊急時OS100Bおよびブートローダ300は、図7?図11に示したように、たとえば、コンピュータシステム1の出荷前にコンピュータシステム1の製造業者によりSSD2に書き込まれているか、コンピュータシステム1の出荷後にユーザがDVD-ROMやUSBメモリやSSDなどのインストールディスクによりインストールを行うか、コンピュータシステム1の出荷後にユーザがWEBからインストールイメージをダウンロードしダウンロードしたインストールイメージを使ってインストールを行うことで、SSD2に書き込まれる。NANDメモリ16において、図7に示すように、ブートローダ300は領域16Cに、通常時OS100Aは領域16Dに、緊急時OS100Bは領域16Eに書き込まれており、RAM40に格納される管理情報44により、領域16C、領域16D、領域16EにはそれぞれLBAが割り当てられている。領域16CにはLBA16Cが、領域16DにはLBA16Dが、領域16EにはLBA16Eが割り当てられているとする。ブートローダ300内で保持される前述のOSポインタ情報OSPT(読み出すべきOSのLBAを示しているポインタ情報)にも、同様にLBAが割り当てられており、OSPTに割り当てられるLBAをLBAOSPTと呼称する。LBAOSPTはLBA16Cに含まれている。」

F 「【0149】
たとえば図29のステップS205で寿命到達時処理が呼び出されると、図34に示すように、制御ツール200はブートローダ300を書き換えて、次回以降コンピュータシステム1が起動されたときには、通常時OS100Aではなく緊急時OS100Bが主メモリ6上の領域6Aに読み出されるようにする。たとえば、制御ツール200は、LBAOSPTに対して、書き込みデータとしてLBA16Eを書き込む。これにより、次回以降コンピュータシステム1が起動されると、CPU4はOSポインタ情報OSPTを読み出し、OSポインタ情報OSPTの示すLBAであるLBA16Eに対して読み出し命令を送信することで、緊急時OS100Bを読み出すことができる。ブートローダ300の書き換え前後で、制御ツール200がディスプレイ9を通して、「SSDが寿命に到達しました。緊急時OSを有効にします。」という旨の表示を行ってもよい。」

イ ここで,上記引用文献に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「制御ツール200は…(中略)…SSD2のNAND型フラッシュメモリ(NANDメモリ)16の領域16Bに格納されている」との記載,上記Dの「通常時OS100A、緊急時OS100Bおよびブートローダ300は…(中略)…SSD2に書き込まれている」との記載からすると,引用文献には,“ブートローダと制御ツールが格納されているSSD”が記載されている。

(イ)上記Cの「コンピュータシステム1の起動時、ホスト装置3はNANDメモリ16の領域16Cに書き込まれているブートローダ300を読み出し」との記載,上記Cの「ホスト装置3はブートローダ300の読み出し時、OSポインタ情報OSPTの示すLBAを開始点として読み出しを行い、読み出したデータを主メモリ6上の領域6Aに書き込む」との記載,及び上記Eの「ブートローダ300内で保持される前述のOSポインタ情報OSPT(読み出すべきOSのLBAを示しているポインタ情報)」との記載からすると,引用文献には,“コンピュータシステムの起動時にホスト装置によって読み出されるOSのLBAを示しているポインタ情報を保持しているブートローダが書き込まれているNANDメモリ”が記載されている。

(ウ)上記(ア)の検討内容,上記Dの「制御ツール200は、SSD2が寿命に到達したか否か…(中略)…を判定し、SSD2が寿命に到達したと判定された場合…(中略)…寿命到達時処理…(中略)…に移行する」との記載,上記Fの「寿命到達時処理が呼び出されると…(中略)…制御ツール200はブートローダ300を書き換えて、次回以降コンピュータシステム1が起動されたときには、通常時OS100Aではなく緊急時OS100Bが主メモリ6上の領域6Aに読み出されるようにする」との記載,及び上記Cの「コンピュータシステム1の起動時…(中略)…ブートローダ300の情報をもとに、通常時OS100Aと緊急時OS100Bのどちらがホスト装置3における領域6Aにロードされるかが決定される」との記載からすると,引用文献には,制御ツールが,“SSDが寿命に到達したか否かを判定”する機能,及び“SSDが寿命に到達したと判定した場合,次回以降コンピュータシステムが起動されたときには,通常時OSではなく緊急時OSが読み出されるようにするために,ブートローダの情報(読み出すべきOSのLBAを示しているポインタ情報)を書き換える”機能を有する態様が記載されている。

ウ 以上,(ア)ないし(ウ)で指摘した事項を踏まえると,引用文献には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

コンピュータシステムの起動時にホスト装置によって読み出されるOSのLBAを示しているポインタ情報を保持しているブートローダが書き込まれているNANDメモリと,
SSDが寿命に到達したか否かを判定し,
SSDが寿命に到達したと判定した場合,次回以降コンピュータシステムが起動されたときには,通常時OSではなく緊急時OSが読み出されるようにするために,ブートローダの情報(読み出すべきOSのLBAを示しているポインタ情報)を書き換える,
機能を有する制御ツールと
が格納されているSSD。

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

ア 本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「NANDメモリ」,「制御ツール」,及び「SSD」は,それぞれ,本願発明1の「ソリッドステートメモリ」,「コントローラ」,及び「データストレージデバイス」に対応する。

(イ)引用発明の「コンピュータシステムの起動時」,「ホスト装置」,「OS」,及び「LBA」は,それぞれ,本願発明1の「ブート処理中」,「ホスト」,「ブートデータ」,及び「LBAs」に相当することは明らかであるから,引用発明の「コンピュータシステムの起動時にホスト装置によって読み出されるOSのLBAを示しているポインタ情報を保持しているブートローダが書き込まれているNANDメモリ」は,本願発明1の「ブート処理中にホストによってアクセスされるブートデータに対応する論理ブロックアドレス(「LBAs」)を含むソリッドステートメモリ」に相当するといえる。

(ウ)引用発明の「SSDが寿命に到達したか否かを判定」することは,SSDに含まれるNANDメモリが寿命に到達したか否かを判定することであるから,引用発明の「SSDが寿命に到達したか否かを判定」することは,本願発明1の「前記ソリッドステートメモリが、寿命の終わりの条件に到達しているかを判定」することに相当する。

イ 以上から,本願発明1と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

(一致点)

データストレージデバイスであって,
ブート処理中にホストによってアクセスされるブートデータに対応する論理ブロックアドレス(「LBAs」)を含むソリッドステートメモリと,
前記ソリッドステートメモリが,寿命の終わりの条件に到達しているかを判定する
ように構成されるコントローラと,
を備えるデータストレージデバイス。

(相違点1)

本願発明1の「コントローラ」が「ブートデータに対応するLBAsを決定」するものであるのに対して,引用発明の「制御ツール」は,そのような機能を有していない点。

(相違点2)

ソリッドステートメモリ(NANDメモリ)が,寿命の終わりの条件に到達していると判定した場合に,本願発明1の「コントローラ」が「前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように,前記LBAsへの書き込みを制限」するものであるのに対して,引用発明の「制御ツール」は,そのような機能を有していない点。

(相違点3)

本願発明1の「コントローラ」が「前記ブート処理が完了したとき、前記ソリッドステートメモリをリードオンリーモードに設定する」ものであるのに対して,引用発明の「制御ツール」は,そのような機能を有していない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑み,先に相違点2及び相違点3についてまとめて検討する。

引用文献の上記Bに「緊急時OSは、ブート時にSSDに対し読み出し動作のみを行い、ユーザが意図しないバックグラウンドでのSSDへの書き込みを行わない」と記載されるように,引用文献に記載されているSSDは,緊急時OSでのブート時には,読み出し動作のみを行うものであり,起動時にブートローダへの書き込みが許可されるものではない。また,引用文献の上記Bに「緊急時OS100Bは、緊急時OSのシステム情報など一部のデータをSSD2に書き込む必要がある場合は、例外としてSSD2に当該データを書き込むことを許可してもよい」と記載されているが,引用文献に記載されているSSDへの書き込みが起動時に許可されるかどうか不明であり,ブートデータに対応するLBAへの書き込みが許可されるかどうかについても不明である。さらに,起動完了時にNANDメモリに対する書き込みモードを変更することについては,引用文献に記載も示唆もなされていない。

そうすると,上記相違点2に係る本願発明1の「コントローラ」が「前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように,前記LBAsへの書き込みを制限」する点,及び上記相違点3に係る本願発明1の「コントローラ」が「前記ブート処理が完了したとき、前記ソリッドステートメモリをリードオンリーモードに設定する」点について,引用文献には記載されておらず,本願の優先日前に周知技術または技術常識であるともいえない。

したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし本願発明10について

本願発明2ないし本願発明10も,本願発明1の「前記ソリッドステートメモリが,寿命の終わりの条件に到達していると判定すると,前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように,前記LBAsへの書き込みを制限」する機能,及び「前記ブート処理が完了したとき、前記ソリッドステートメモリをリードオンリーモードに設定する」機能を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明11ないし本願発明20について

本願発明11ないし本願発明20は,それぞれ本願発明1ないし本願発明10に対応する方法の発明であり,本願発明1の「前記ソリッドステートメモリが,寿命の終わりの条件に到達していると判定すると,前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように,前記LBAsへの書き込みを制限」する機能,及び「前記ブート処理が完了したとき、前記ソリッドステートメモリをリードオンリーモードに設定する」機能に対応する構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4 本願発明21について

本願発明21は,本願発明1のデータストレージデバイスを構成の一部として含む電子デバイスの発明であり,本願発明1の「前記ソリッドステートメモリが,寿命の終わりの条件に到達していると判定すると,前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように,前記LBAsへの書き込みを制限」する機能,及び「前記ブート処理が完了したとき、前記ソリッドステートメモリをリードオンリーモードに設定する」機能を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

5 本願発明22ないし本願発明31について

本願発明22ないし本願発明31も,本願発明1の「前記ソリッドステートメモリが,寿命の終わりの条件に到達していると判定すると,前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように,前記LBAsへの書き込みを制限」する機能,及び「前記ブート処理が完了したとき、前記ソリッドステートメモリをリードオンリーモードに設定する」機能に対応する構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても,引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第6 当審拒絶理由について

1 当審では,請求項1の「前記ソリッドステートメモリが、寿命の終わりの条件に到達していると判定すると、前記ホストが、前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことを許可されるように、前記ホストが前記ブート処理中に前記LBAsに書き込むことを制限し」との記載について,
(ア)「・・・書き込むことを許可されるように、・・・書き込むことを制限」との記載は,「書き込むこと」が許可されるのか,制限されるのか,不明りょうな記載となっている,
(イ)「前記ホストが、・・・書き込むことを制限」との記載は,書き込むことを制限している主体が「コントローラ」であるところ,「ホスト」が書き込むことを制限しているようにも読み取れることから,不明りょうな記載となっている,
との拒絶の理由を通知しているが,令和元年9月26日付けの補正において,「前記ソリッドステートメモリが、寿命の終わりの条件に到達していると判定すると、前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように、前記LBAsへの書き込みを制限し」と補正された結果,この拒絶理由は解消した。

2 当審では,請求項11及び請求項21記載の発明は,請求項1記載の発明を,それぞれ方法の発明,電子デバイスの発明として特定したものであることから,上記1で指摘した事項は,請求項11及び請求項21についても該当し,不明りょうな記載となっているとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年9月26日付けの補正において,それぞれ,「前記ソリッドステートメモリが、寿命の終わりの条件に到達していると判定すると、前記ホストが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むために通常の書き込みコマンドを実行することのみを許可されるように、前記LBAsへの書き込みを制限する」,「前記ソリッドステートメモリが、寿命の終わりの条件に到達していると判定すると、前記ホストプロセッサが前記ブート処理中に前記ブートデータに対応するLBAsに書き込むことのみを許可されるように、前記LBAsへの書き込みを制限し」と補正された結果,この拒絶理由は解消した。

3 当審では,請求項11を引用する請求項16及び請求項17に「前記ホスト書き込みを制限するステップ」と記載されているが,請求項11に「ホスト書き込みを制限するステップ」は記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが,令和元年9月26日付けの補正において,「前記LBAsへの書き込みを制限するステップ」と補正された結果,この拒絶理由は解消した。


第7 むすび

以上のとおり,本願発明1?31は,当業者が引用発明に基づいて,容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-10-16 
出願番号 特願2016-557292(P2016-557292)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 後藤 彰  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 田中 秀人
松平 英
発明の名称 寿命の終わりの条件に到達したときにソリッドステートメモリへの書き込むを制限するための方法及び装置  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  
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