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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A01K
管理番号 1355750
審判番号 不服2018-17122  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-25 
確定日 2019-11-05 
事件の表示 特願2018- 14011「ルアー」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月 8日出願公開、特開2019-129746、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年1月30日の出願であって、原審では、平成30年4月4日付け(平成30年4月10日発送)で拒絶理由が通知がされ、2カ月の期間延長請求の後、平成30年8月7日付けで手続補正がされ、平成30年10月4日付け(平成30年10月9日発送)で拒絶査定(原査定)がされた。
本件はこれに対し、原査定の謄本送達から3月以内の平成30年12月25日に、拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正(以下、「審判補正」という。)がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成30年10月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
審判補正前の本願請求項1ないし3に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に示される周知技術、並びに引用文献4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献:
1.特開2000-228933号公報
2.登録実用新案第3057057号公報
3.登録実用新案第3049136号公報
4.実願平3-71992号(実開平4-133171号)
のマイクロフィルム


第3 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、審判補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であって、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
錘を含むルアー本体と、
前記ルアー本体の頭部側に設けられた釣糸連結部と、
前記ルアー本体の一方の側面から他方の側面まで貫通する孔と、
前記ルアー本体の両側面に前記孔からみて前記頭部側に設けられた一対の凸状部と、
前記孔に挿入された扁平形状又は断面略円形状のゴム又は樹脂で形成された紐状体からなる長尺状部材と、を備え、
前記孔が0.1mm?5mmの径を有する略円形状の開口を有し、
前記孔の中心から前記凸状部までの距離が3mm?15mmであり、
前記凸状部の高さが1mm?15mmであり、
前記ルアーの重心が、前記ルアーの全長をLとした場合、全長の中心点Cから頭部側及び尾部側にそれぞれ0.25Lの範囲内に位置すること、
を特徴とするルアー。」


第4 進歩性
1 引用文献の記載
(1)引用文献1
ア 記載事項
原査定に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様。)。

(ア)明細書
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の付け替えパーツを付属品として、付け替え可能に装着できるルアー及びそのパーツに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のルアーとして、小魚に似せたミノータイプ、ミノーより太めのクランクベイトタイプ、水面を浮かせるトップウォーター等、様々なタイプのルアーがあり、これら各々のタイプのルアーは、魚の注意を引くために、様々な色彩、模様を用いた工夫が凝らされている。
【0003】そして、ルアーフィッシングでは、これらの様々なルアーを、釣り魚、釣り場の環境、天候、季節等に応じて、使い分けるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらのルアーを使い分けるには、ルアーを取り換えるしかなく、一つのルアーについての形態を変更するための自由度はない。
【0005】本発明は、ルアーの形態の変更における自由度を高めるため、一つ又は複数のパーツとパーツ付け替え可能ルアーとが結合し、全体としてまとまった機能を発揮することのできる新規なシステムルアーとしての、パーツ付け替え可能ルアー及びパーツを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、付け替えパーツを着脱自在に装着可能な取付け部を備えていることを特徴とするパーツ付け替え可能ルアーにより達成される。
【0007】また、本発明の目的は、前記ルアーに着脱自在に装着可能な取付け部を備えていることを特徴とする付け替えパーツにより達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係るパーツ付け替え可能ルアー及びそのパーツの好ましい実施形態について、以下に図面を参照して説明する。下記の第1?第5実施形態において、同じ構成部分は、同符号を付した。なお、以下の実施形態において、ルアーとしては、魚の形に似せた、いわゆるミノータイプのものが例示されているが、このタイプのものに限らない。
【0009】図1は、本発明に係るパーツ付け替え可能ルアーの一実施形態を示す斜視図、図2は、該ルアー及びそのパーツの第1実施形態を示す斜視図である。パーツ付け替え可能ルアー1aは、その胴体に凹部2が形成されている。凹部2は、ルアーの進行方向、即ち、ルアーが道糸によって引かれる方向と交差する方向に形成される。図示の例では、凹部2としては、貫通穴のタイプが示されているが、中空タイプのルアーには、貫通穴にパイプを嵌入する等して中空内に水が入らないようにする。パーツ付け替えルアー1aは、針3及び道糸(図示せず)を連結するための公知のリング4,5が固定されている。
【0010】凹部2に差し込むための付け替えパーツ6aは、水中翼の形状とすることができる。パーツ6aは、翼6a′の一側面に凸部7を備えている。凸部7は、クロロプレンゴムのような硬質ゴム等により形成された軸の形態を採用することができ、凹部2に差し込みやすいように、先端をテーパー状に形成することが好ましい。翼6a′は、容易に変形しない硬質のプラスチック等で形成し、水中で魚に見えにくいように透明なものが好ましい。翼6a′は、図3に示すような中央部が凹んだ形状等、種々の形状とすることができる。
【0011】凸部7及び凹部2は、締まり嵌めによって固定することができる。即ち、凸部7と凹部2との間に、一定の締めしろを設け、嵌合すれば容易に抜けないようにする。なお、凸部7と凹部2と嵌合は、両者の接触面における摩擦によって係合するようにしても良い。
【0012】このようにしてルアー1aと締まり嵌めにより着脱自在に装着された付け替えパーツ6aは、翼6a′の方向を自由に変えて固定することができる。翼の方向を変えることで、潜行角度或いは浮上角度を変化させることができる。従って、ルアー1aは、通常のミノータイプのルアーが備えるようなリップ(図示せず)は、無くても良い。
・・・・(中略)・・・・。
【0015】図5は、本発明に係るパーツ付け替え可能ルアー1c及びパーツ6cの第3実施形態を示す斜視図である。この実施形態では、図示のように、上記第1実施形態とは、凹部2cの位置が少し異なっている。付け替えパーツ6cは、板バネ様の弾性翼6c′と、凹部2cに嵌合させるために該弾性翼に固定された凸部7とを備えている。弾性翼6c′は、プラスチックシート等の弾性のあるものを用いて形成される。なお、図示しないが、凸部7を構成する軸を延設して弾性翼6c′の心材とし、弾性翼6c′の弾性力を補強してもよい。付け替えパーツ6cは、ルアーをリトリーブした時に弾性翼6c′が水の抵抗を受けるような向きに固定する。それにより、いわゆるストップ・アンド・ゴーアクションにおいて、ルアーを引いている(ゴーアクション)ときは、弾性翼6c′が水の抵抗を受けて撓むが、ストップさせた時に、撓んでいた弾性翼6c′がその弾性により復元する際にボートのオールのような働きをして、ルアーを後退移動させる。この後退移動が釣魚の興味を引く。凸部7を構成する軸は、図6に示すように、0?90度の角度で曲折させることができる。また、弾性翼6c′は、図7に示すように、鳥の羽を用いても良い。
【0016】図8は、本発明に係る付け替え可能ルアー1e及びそのパーツ6eの第4実施形態を示す斜視図である。付け替えパーツ6eは、昆虫等のような小動物の足の形をしたゴム又はプラスチック模型とすることができる。図示の例では、付け替えパーツ6eは、ゴムで形成した蛙の足の模型6e′と、その足の付け根に固定された軸で構成される凸部7とを備えている。昆虫等のような小動物としては、図示の蛙の足の他、コオロギなどの昆虫の足の形等、釣りの対象魚が捕食し得る生物を模すことができる。
【0017】図9は、上記第1実施形態と第2実施形態のパーツを幾つか組み合わせた第5実施形態を示している。パーツ付け替え可能ルアー1fの胴体には、複数個(図では3個)の凹部2…2が形成され、該凹部にパーツ6a,6f,6aが嵌合される。斯かる形態により、種々のパーツの組み合わせによる自由度が更に広がる。
【0018】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ルアー本体及びそのパーツを種々組み合わせることができるので、ルアーの形態を変更するための自由度が広がる。」

(イ)図面
図2,図5,図7,図8及び図9aには、次の図示がある。

図7におけるパーツ付け替え可能ルアーの図番「1a」は、凹部2の位置が図5のパーツ付け替え可能ルアー1cと同じであること、及び段落【0015】の記載を参酌すれば、「1c」の誤記と解される。
図2、図5、図7、図8及び図9aには、パーツ付け替え可能ルアー1a,1c,1e及び1fに設けられた凹部2は、いずれも段落【0009】に記載される「ルアーの進行方向と交差する方向に形成」された「貫通穴のタイプ」のものである様子が、示されている。
図2、図5、図7及び図8には、パーツ付け替え可能ルアー1a,1c,1eの進行方向の先端に、段落【0009】に記載される「針3及び道糸を連結するためのリング5」が設けられる様子が、示されている。図9には、「リング5」の図番は付されていないが、図2,図5,図7及び図8における「リング5」と同じ箇所に同様の形状の部材が図示されていることから、図9のパーツ付け替え可能ルアー1fにも、ルアーの進行方向の先端に「針3及び道糸を連結するためのリング5」が設けられていると理解できる。
図2には、パーツ付け替え可能ルアー1aの凹部2の進行方向左右両側に、付け替えパーツとして段落【0010】に記載される「水中翼の形状」の「翼6a’」を装着した様子が、示されている。
図7には、パーツ付け替え可能ルアー1cの凹部2の進行方向左右両側に、付け替えパーツとして段落【0015】に記載される「鳥の羽」を用いた「弾性翼6c’」を装着した様子が、示されている。
図8には、パーツ付け替え可能ルアー1eの凹部2の左右両側に、付け替えパーツとして段落【0016】に記載される「ゴムで形成した蛙の足の模型6e’」を装着した様子が、示されている。
図9には、パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向に沿って3個の凹部2が設けられ、進行方向前側及び進行方向後側の凹部2の左右両側には、付け替えパーツとして図2における「翼6a’」と同じ部材が装着され、進行方向中央の凹部2の左右両側には、付け替えパーツとして図7における「弾性翼6c’」と同じ部材を装着した様子が、示されている。

イ 引用文献1に記載された発明
上記アより、図9に着目して整理すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「パーツ付け替え可能ルアー1fと、パーツ付け替え可能ルアー1fに装着可能な付け替えパーツとからなるシステムルアーであって、
パーツ付け替え可能ルアー1fと、
パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向の先端に設けられた、針3及び道糸を連結するためのリング5と、
パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向に沿って3個設けられ、進行方向と交差する方向に形成された貫通穴のタイプの凹部2と、
パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向前側の凹部2、及び進行方向後側の凹部2の、それぞれ左右両側に装着された、付け替えパーツとしての水中翼の形状の翼6a’と、
パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向中央の凹部2の左右両側に装着された、付け替えパーツとしての鳥の羽を用いた弾性翼6c’と、
を有する、システムルアー。」

(2)引用文献2
原査定に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0014】
即ち、本考案の釣具、漁具の磁波発生装置は、釣具や漁具1の一実施例として魚形状の擬似餌1aを説明すると、図15及び図16には擬似餌1aの底面に鉛玉3を装着した従来型の中心重心タイプが示してあるが、このような擬似餌1aの底面に、図1に示すように一対の磁性体2を左右に適宜間隔に振り分けて埋設又は装着した左右振分重心タイプにしたり、或いは図2に示すように擬似餌1aの底面に一対の磁性体2を中心に適宜間隔に振り分けて埋設又は装着した中心振分タイプにしたり、更には図3に示すように擬似餌1aの底面に鉛玉3と一対の磁性体2とを中心に適宜間隔に振り分けて埋設又は装着した補助重心兼振分タイプにしたりしても良い。
・・・・(中略)・・・・。
【0020】
それに、通常、適宜浮力を利用した魚形状の擬似餌(ルアー)等では、より良い泳ぎをさせるために擬似餌の底面前部、中心部に単数又は複数の金属や鉛のウエイト等を内蔵し、擬似餌の重心を作っているが、本考案では、釣具や漁具1に磁性体2や金属で作った重心(ウエイト)を前後左右に振り分けて内蔵し、不安定ながら必ず中立に戻るようにし、前記釣具や漁具1をより自然魚の泳ぎに近づけようとするものである。この場合、釣具や漁具1の底面前部、中心部に適宜な重心を補助的に設け、前後左右に重心を振り分けても良い。」

(3)引用文献3
原査定に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は遊漁に用いる擬似針の形状に関する。
・・・・(中略)・・・・。
【0004】
【考案実施の形態】
この考案の一実施形態を図1、図2、図3、図4および図5に示す。本体は木製もしくは合成樹脂製で、全長の中央付近に重心を作る為の鉛を入れる。錨針はその真下に配置する。先端部はライン取り付け用のアイレットを中心に、左右対称の変形くさび型となる。
・・・・(中略)・・・・。
【0005】
【考案の効果】
余計な空気抵抗を無くしたことで、安定した空中姿勢を獲得し、従来品の固定重心式のものよりも格段の飛距離を実現した。さらに、前方向からの引っぱる力に対しては、水を分けて進みやすく、横方向には水中抵抗の少ない前端部、後端部の形状と、中心部に置かれた重心および錨針の水中抵抗により、ルアーに急激な動きを与えても水面にすぐに飛び出ることなく、逃げ惑う小魚の動きに似た、水平方向への不規則な回頭運動を発生させることが容易に出来るようになった。特にツイッチングと呼ばれる、竿先を小さくあおりながらリールを巻上げる釣法で効果が大きい。従来品はリップに水の抵抗を受けることで動きを演出していたが、それは同時に大きく頭を振るようなイレギュラーな動きを抑制していた。後端部に付けられた錨針も、その慣性重量と水中抵抗で動きに大きな制約を強いていた。 本考案は、ミッドシップスポーツカーのように重心を本体センターに置き、前後の慣性重量および抵抗を軽減することで釣人のロッド操作に敏感に反応することの出来る、新コンセプトのルアーである。」

(4)引用文献4
ア 記載事項
原査定に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)明細書
「【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は主として、イカ釣りに使用される擬餌、特に擬餌の鰭部として使用される羽根の取付け部の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、イカ釣り用の擬餌は擬餌本体表面の鰭部に固着した羽根が設けられて構成され、しかも擬餌本体を海老や子魚等の形に形成されることにより、擬餌を本物の海老や子魚等のように見せて、イカを集魚するものである。
・・・・(中略)・・・・。
【0004】
本考案は、以上のような点に鑑みて考案されたもので、海のイカ釣り等で擬餌が海水等や、釣り上げられたイカを擬餌より引き離す等によって、擬餌の羽根が損傷した場合でも、容易に新しい羽根と交換できることにより、擬餌としての集魚効果を弱めることなく、且つ羽根のみを交換することができる擬餌を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案が、上記課題を解決するための、技術的手段は、擬餌本体2に羽根3を設けなる擬餌1において、該擬餌本体2に該羽根3を着脱自在に取付けてなることにある。
・・・・(中略)・・・・。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面に従って説明する。
図1において、2は合成樹脂からなる魚の形状をした擬餌本体で、該擬餌本体2の表面の先端部側には目玉の模造品11が取り付けられ、該目玉11後方に凹部20が設けられて構成されている。
3は鳥の2枚の羽毛からなる羽根で、図2に示すように根元部に金属性の管5を外嵌着し、その後該管5を押圧して形成され、図3に示すように前記擬餌本体2に設けられた凹部20に、根元部の金属性の管5を着脱自在に強制嵌入して取り付けられている。
【0008】
10は金属片からなる擬餌1を釣糸に結合するための輪状の管で、該管は擬餌本体2の先端部に取り付けられている。
12は擬餌1を海中に沈めるための金属片からなる重りで、擬餌1の先端下部に取り付けられている。
8は擬餌本体2の末端部に取り付けられた釣針である。
【0009】
次に、上記構成からなる擬餌1の使用方法について説明する。
本実施例の海老の形状擬餌1は主にイカ釣りに使用されるもので、この擬餌1を使用する際は、前記輪状の管10を釣糸に取付け、擬餌を重り12により海中に沈める。
【0010】
そして、前記擬餌1は、海中で魚の形状をした擬餌本体2や鰭部に設けられた羽根3により、本物の海老のように構造してあるのでイカが擬餌1に集まり易くなり、イカを釣り上げることができる。
この場合において、海水等により、またイカを釣り上げ前記擬餌1より引き離すしたりする際等に、前記羽根3が損傷することがおこるが、この場合でも羽根3は根元部の管5を、擬餌本体2の凹部20に着脱自在に強制嵌入して取り付けてあるので、損傷した羽根3を取外し新しい羽根3と交替できる。
【0011】
尚、上記擬餌1を製造する場合には、従来のように擬餌本体2と鰭部の羽根3が一体となっていないので、製造工程が従来に比し簡易になるために、大量生産ができ、このためにコストの低下を図ることができる。
また、前記実施例では擬餌本体2の凹部に嵌入して羽根3を取付けたが、取り付けはこれに限るものでなく、図4に示すように切り欠き30を形成して、擬餌本体2に挿入し挟着させてもよく、要は擬餌本体2と羽根3とは着脱自在で、しかも使用中に容易に外れないものならよい。
【0012】
更に、羽根3の枚数や材質も、上記実施例に示すように2枚の鳥の羽毛に限定されるものでなく、枚数は何枚でもよく、またも合成樹脂等のものでも特に問うものでなく、要はイカに対して目立つものであればよい。
また、管5としては実施例のような金属管に限らず、合成樹脂性の管であってもよく、その材質は問わないが、比較的硬い材質であることが擬餌本体2への着脱作業上好ましい。
【0013】
更に、上記実施例ではイカ釣りのための擬餌1であるために、擬餌本体2が海老の形状をしたが、本考案の擬餌1は必ずしもイカ釣り専用に用いられるものでなく、よって擬餌本体2は必ずしも海老の形状をする必要もなく、例えば子魚の形状をしてもよく、要は魚やイカ等を誘き寄せるために、本物の海老や子魚等の様に見せかけてある擬餌で有ればよい。」

(イ)図面
図1,図2及び図3には、次の図示がある。

図2には、羽根3の管5を除く部分の概形が、複数の線の集合で描かれた様子が、示されている。

イ 引用文献4に記載された発明
上記アより、引用文献4には次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。

「擬餌本体2に羽根3を着脱自在に取付けてなる擬餌1において、
羽根3は鳥の2枚の羽毛からなり、根元部に硬い材質の管5を外嵌着して、擬餌本体2に設けられた凹部20に管5を着脱自在に強制嵌入可能とし、
羽根3の枚数と材質は、2枚の鳥の羽毛に限定されるものでなく、枚数は何枚でもよく、材質も合成樹脂等のものでも、イカに対して目立つものであればよく、
魚やイカ等を誘き寄せるために、本物の海老や子魚等の様に見せかけてある、擬餌1。」

2 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1における「システムルアー」は、「パーツ付け替え可能ルアー1f」に「装着可能な付け替えパーツ」が組み合わさった状態で「ルアー」として機能することが明らかであるから、本願発明における「ルアー」に相当する。
引用発明1における「パーツ付け替え可能ルアー1f」は、「システムルアー」の本体に該当する部分と言えるから、本願発明における「錘を含むルアー本体」とは、「ルアー本体」という点で共通する。
引用発明1における「パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向の先端に設けられた、針3及び道糸を連結するためのリング5」は、本願発明における「ルアー本体の頭部側に設けられた釣糸連結部」に相当する。
引用発明1における「パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向に沿って3個設けられ、進行方向と交差する方向に形成された貫通穴のタイプの凹部2」のうち、「進行方向中央の凹部2」は、本願発明における「ルアー本体の一方の側面から他方の側面まで貫通する孔」に相当する。
引用発明1における、「パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向前側の凹部2」の存在位置は、「進行方向中央の凹部2」からみても進行方向前側に位置するから、本願発明における「前記孔からみて前記頭部側」に相当する。また、引用発明1において、「パーツ付け替え可能ルアー1f」の「凹部2」の「左右両側」に装着された「付け替えパーツとしての水中翼の形状の翼6a’」は、「パーツ付け替え可能ルアー1f」より左右両側に突出した状態となることが明らかであるから、引用発明1において「パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向前側の凹部2」の「左右両側」に「付け替えパーツとしての水中翼の形状の翼6a’」が「装着された」構成と、本願発明において「前記ルアー本体の両側面に前記孔からみて前記頭部側に設けられた一対の凸状部」を有する構成とは、「前記孔からみて前記頭部側」に「一対の凸状部」が「存在する」という点で共通する。
引用発明1において、「パーツ付け替え可能ルアー1fの進行方向中央の凹部2の左右両側に装着された、付け替えパーツとしての鳥の羽を用いた弾性翼6c’」を有する構成と、本願発明において、「前記孔に挿入された扁平形状又は断面略円形状のゴム又は樹脂で形成された紐状体からなる長尺状部材」を有する構成とは、「前記孔に挿入された部材」を有するという点で共通する。

以上より、本願発明と引用発明1とは、次の点で一致する。
「ルアー本体と、
前記ルアー本体の頭部側に設けられた釣糸連結部と、
前記ルアー本体の一方の側面から他方の側面まで貫通する孔と、
前記孔からみて前記頭部側に存在する一対の凸状部と、
前記孔に挿入された部材と、を備えた、
ルアー。」

一方、本願発明と引用発明1とは、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願発明では、「ルアー本体」が「錘を含む」と特定されているのに対し、引用発明1では、「パーツ付け替え可能ルアー1f」が「錘を含む」か不明である点。

<相違点2>
「一対の凸状部」に関し、
本願発明では、「一対の凸状部」は「前記ルアー本体の両側面」に「設けられた」ものであると特定されているのに対し、
引用発明1では、「水中翼の形状の翼6a’」は、「付け替えパーツ」として「パーツ付け替え可能ルアー1f」に「装着」される点。

<相違点3>
「孔に挿入」される部材に関し、
本願発明では、「扁平形状又は断面略円形状のゴム又は樹脂で形成された紐状体からなる長尺状部材」と特定されているのに対し、
引用発明1では、「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」である点。

<相違点4>
本願発明では、「前記孔が0.1mm?5mmの径を有する略円形状の開口を有し、前記孔の中心から前記凸状部までの距離が3mm?15mmであり、前記凸状部の高さが1mm?15mm」であるのに対し、
引用発明1では、進行方向中央の「凹部2」のサイズと形状、及び進行方向前側の「水中翼の形状の翼6a’」までの距離、並びに「水中翼の形状の翼6a’」の突出高さが、本願発明における関係を満たしているか不明である点。

<相違点5>
「ルアーの重心」に関し、
本願発明では、「ルアーの重心が、前記ルアーの全長をLとした場合、全長の中心点Cから頭部側及び尾部側にそれぞれ0.25Lの範囲内に位置する」のに対し、
引用発明1では、「システムルアー」の重心の位置が不明である点。

(2)判断
事案に鑑み、上記相違点3、及び上記相違点4から判断する。
ア 相違点3について
上記相違点3について判断する。
(ア)引用発明1、又は引用文献1に基く場合
引用発明1における「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」は、引用文献1の段落【0015】の記載にも示されるとおり、「プラスチックシート等の弾性のあるものを用いて形成」された弾性翼6c’の代替物であり、プラスチックシートを用いた場合と同様に、「ルアーを引いている(ゴーアクション)ときは、弾性翼6c′が水の抵抗を受けて撓むが、ストップさせた時に、撓んでいた弾性翼6c′がその弾性により復元する際にボートのオールのような働きをして、ルアーを後退移動させる。この後退移動が釣魚の興味を引く。」という機能を奏することを意図したものと解される。そのため、「鳥の羽」を用いているとしても、「水の抵抗を受けて撓む」が「弾性により復元する」程度の強度を有するものと解される一方、当該「鳥の羽」を、全体として「鳥の羽」としての形状を維持できない「紐状体からなる長尺部材」へとさらに改変する動機付けはない。また、「鳥の羽」の細部に羽毛状の部分が存在したとしても、そのことをもって「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」自体が「紐状体からなる長尺部材」に相当するということもできない。
したがって、上記相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明1における「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」との形式上の相違点ということはできず、当該「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」を上記相違点3に係る本願発明における「紐状体からなる長尺部材」とすることが、設計事項ということもできない。
引用文献1には、図8及び段落【0016】に、付け替えパーツとして「ゴムで形成した蛙の足の模型6e’」を用いる別の実施例も記載されているが、当該別の実施例で用いられる「ゴムで形成した蛙の足の模型6e’」も、ゴムで形成され多少の変形は生じ得るとしても、「模型」として「蛙の足」の形を維持するものと解され、上記相違点3に係る本願発明における「紐状体からなる長尺部材」に相当するということはできない。そのため、仮に引用発明1における「パーツ付け替え可能ルアー1f」の進行方向中央又は後側の「凹部2」に「ゴムで形成した蛙の足の模型6e’」を装着したとしても、上記相違点3に係る本願発明の構成となるものではない。また、当該「ゴムで形成した蛙の足の模型6e’」をさらに改変して、「紐状体からなる長尺部材」とすることについても、動機付けがあるということはできない。

(イ)引用文献2及び3に基く場合
引用文献2及び3には、それぞれ上記1(2)及び(3)に摘記した事項が記載されているが、ルアーの重心に関する公知の技術が示されているにとどまり、上記相違点3に係る本願発明の構成が記載されているものではない。また、その余の記載を併せて検討しても、引用発明1において、上記相違点3に係る本願発明の構成をとることを示唆するものではない。

(ウ)引用発明4に基く場合
引用文献4には、上記1(4)イに認定した引用発明4が記載されており、引用発明4は、魚やイカ等を誘き寄せるための疑餌1において、着脱可能に装着する「羽根3」を「鳥の2枚の羽毛からなり、根元部に硬い材質の管5を外嵌着」したものとする構成、及び、「羽根3の枚数と材質は、2枚の鳥の羽毛に限定されるものでなく、枚数は何枚でもよく、材質も合成樹脂等のものでも、イカに対して目立つものであればよい」とする選択肢を有している。しかしながら、当該引用発明4は、「羽根3」という形状を離れて上記相違点3に係る本願発明の「紐状体からなる長尺体」に相当する構成を有するものではない。引用文献4の図2には、上記1(4)ア(イ)に示したとおり、羽根3の管5を除く部分の概形が、複数の線の集合で描かれた様子が図示されているが、羽根3の軸や羽毛の部分が単純化した場合に線として表記できる形状を有しているとしても、羽根3の全体、及び羽根3を構成する各部材は、羽根3が羽根3としての形状を保つことができる程度の強度と保形性とを有していると解されるから、引用文献4の図2の図示をもって、引用発明4の「羽根3」が上記相違点3に係る本願発明の「紐状体からなる長尺体」に相当するということもできない。
そのため、仮に引用発明1において、「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」に代えて引用発明4が有する「羽根3」を装着したとしても、上記相違点3に係る本願発明の構成に至るものではない。そして、当該「羽根3」をさらに上記相違点3に係る「紐状体からなる長尺体」へと改変する動機付けは、引用文献1及び引用文献4のいずれにも見いだすことができない。

(エ)小括
上記(ア)?(ウ)に示したとおり、引用発明1において、上記相違点3に係る本願発明の構成に至ることは、引用文献1ないし4のいずれにも記載されておらず、またそのような改変を行う動機付けも、引用文献1ないし4のいずれにも示されていない。
そして、本願発明は、上記相違点3に係る構成を有することにより、明細書の段落【0012】に「当該長尺状部材も更に水流を起こすとともに波
動を生み、最大限に魚に対してその存在をアピールすることができる。」と記載されるように、所定の効果を奏するものと認めることができる。
したがって、引用発明1において、上記相違点3に係る本願発明の構成に至ることは、引用文献1ないし4のいずれの記載を考慮しても、当業者にとって想到容易であったということはできない。

イ 相違点4について
上記相違点4について判断する。
(ア)引用文献1ないし4における記載の有無
引用文献1には、上記相違点4に係る本願発明4の構成に相当する「凹部2」の開口径、「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」を装着する「凹部2」の穴の中心から「進行方向前側の凹部2」に装着された「付け替えパーツとしての水中翼の形状の翼6a’」までの距離、及び「付け替えパーツとしての水中翼の形状の翼6a’」が突出する高さの組合せを選択することは、記載されていない。
引用文献2ないし4にも、それぞれ上記1(2)?(4)に示した事項が記載されているものの、上記相違点4に係る本願発明の構成に相当する「孔の「径」、「孔の中心」から「凸状部」までの「距離」、及び「凸状部の高さ」の組合せを採用することは、記載も示唆もされていない。

(イ)相違点4に係る構成の効果
上記相違点4に係る本願発明の構成に関して、明細書の段落【0020】-【0024】には、以下の記載がある。
「【0020】
更に本実施形態のルアー1は、水面に落とした場合、図示しないが、空中において葉が揺ら揺らと落ちるように、姿勢を安定的に保ちながら水中の深くに沈んでいく。即ち、頭部側又は尾側が下向きになって沈んでいくのではなく、姿勢を安定的に保ちつつ沈んでいくのである。そして、この際にも、孔6と凸状部8とが相俟って水流を起こすとともに波動を生み、付近の魚に存在をアピールできる。
【0021】
更に、本実施形態のルアー1によれば、孔6に挿入された長尺状部材10が存在することにより、水中に深く沈んで牽引される場合、水面付近の浅い部分を牽引される場合、及び、自重により水中で沈んでいく場合であっても、長尺状部材10が更に水流を起こすとともに波動を生み、最大限に魚に対してその存在をアピールすることができる。
【0022】
次に、孔6の開口は略円形状であり、その径は、上記のように効果的に水流を起こすとともに波動を生むという観点からは、0.1mm?5mmであること、が好ましい。この範囲であれば、より確実に水流を起こすとともに波動を生むことができる。特に下限は1mmで上限は3mm?5mmであるのが好ましい。
【0023】
また、孔6の中心から凸状部8までの距離が、3mm?15mmであること、が好ましい。このような距離を有することにより、より確実に水流を起こすとともに波動を生むことができる。特に下限は5mmで上限は10mm?15mmであるのが好ましい。
【0024】
また、凸状部8の高さは1mm?15mmであればよい。下限は、3mmであるのが好ましく、更には5mmであるのが好ましい。また、上限は、10mmであるのが好ましく、更には5mmであるのが好ましい。このような高さを有することにより、より確実に水流を起こすとともに波動を生むことができる。」
以上の記載からすると、上記相違点4に係る本願発明の構成である、「前記孔が0.1mm?5mmの径を有する略円形状の開口を有し、前記孔の中心から前記凸状部までの距離が3mm?15mmであり、前記凸状部の高さが1mm?15mm」であるという数値範囲の組合せは、まずは「孔6と凸状部8とが相俟って水流を起こす」ために好適である数値範囲の組合わせとして選択されたものであり、「長尺状部材10」が追加されたときにも総合的に「水流を起こすとともに波動を生むことができる」という状態が維持され得るものと解される。
したがって、上記相違点4に係る本願発明における3つの数値範囲の組合せは、互いに関連する数値範囲として選択されたものとして、検討されるべき性質を有していると言うことができる。

(ウ)小括
上記(ア)のとおり、引用文献1ないし4には、上記相違点4に係る本願発明における3つの数値範囲の組合せをとることについて、記載や示唆はない。
また、上記(イ)のとおり、上記相違点4に係る本願発明における3つの数値範囲の組合せは、互いに関連する数値範囲として選択された性質を有している。
そのため、仮に引用発明1における「凹部2」の径のみについて単独で検討すると「0.1mm?5mm」とすることがあり得、あるいは引用発明1における「鳥の羽を用いた弾性翼6c’」を装着する「凹部2」の穴の中心から「進行方向前側の凹部2」に装着された「付け替えパーツとしての水中翼の形状の翼6a’」までの距離のみについて単独で検討すると「3mm?15mm」とすることがあり得、また引用発明1における「付け替えパーツとしての水中翼の形状の翼6a’」が突出する高さについて単独で検討すると「1mm?15mm」とすることがあり得たとしても、当該3つの数値を全て上記相違点4に係る数値範囲の組合わせに該当するように選択することについて、特段の記載や示唆がなくとも設計事項程度ということはできない。
したがって、引用発明1において、上記相違点4に係る本願発明の構成に至ることは、引用文献1ないし4のいずれにも記載あるいは示唆されておらず、当業者にとって想到容易ということができない。

ウ まとめ
以上のとおり、上記相違点3及び4に係る本願発明の構成は、引用発明1に基づいて、引用発明4、引用文献2及び3に示される周知技術、並びに引用文献1ないし4におけるその余の記載を考慮しても、本願出願前に当業者が容易に想到することができたとはいえない。
したがって、上記相違点1,2及び5について検討することを要さず、本願発明は、当業者であっても、引用発明1及び引用発明4、並びに引用文献2及び3に示される周知技術に基いて、容易に発明できたものであるとはいえない。


第5 原査定について
本願発明は、前記第4で検討したとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1に記載された発明、引用文献2及び3に示される周知技術、並びに引用文献4に記載された発明に基いて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-10-23 
出願番号 特願2018-14011(P2018-14011)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中村 圭伸川野 汐音  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 有家 秀郎
小林 俊久
発明の名称 ルアー  
代理人 特許業務法人IPRコンサルタント  
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