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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1355849
審判番号 不服2019-2250  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-19 
確定日 2019-10-10 
事件の表示 特願2016-178388号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 2日出願公開、特開2017- 23773号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月15日に出願した特願2015-141675号の一部を平成28年9月13日に新たな特許出願(特願2016-178388号)としたものであって、平成29年11月24日付けで拒絶の理由が通知され、平成30年1月31日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月23日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年7月23日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年11月9日付け(謄本送達日:同年同月20日)で、平成30年7月23日に提出された手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、それに対して、平成31年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成31年2月19日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

本件補正を却下する。

[理由]

1.本件補正について
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
(補正前:平成30年1月31日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備えた遊技板と、
前記遊技領域を囲む包囲壁と、
前記遊技領域の左上縁部側に設けられ、遊技球を前記遊技領域に打ち込むための進入口と、
前記進入口から前記包囲壁に沿って前記遊技領域の右側流下エリアに遊技球を案内する右打導入通路と、を備えた遊技機において、
前記右打導入通路を屈曲させてなる減速屈曲部と、
前記減速屈曲部に設けられて前記包囲壁に下方から隣接し、前記進入口から前記包囲壁に沿って進んできた遊技球が衝突可能な緩衝部材を設け、
前記右打導入通路は、前記減速屈曲部に設けられた段差部より左側の左上側通路と、右側の右下側通路と、前記左上側通路と前記右下側通路との間を連絡する中間通路とを有し、
前記緩衝部材は、弾性部材で構成されて、前記右下側通路と前記包囲壁との間でかつ前記左上側通路の延長線上に位置し
前記段差部は、前記中間通路の左側内側面に形成され、前記左上側通路の下面に対して略直交した逆流規制部と、前記逆流規制部の下端部から下方に向かうに従って右側に向かうように傾斜した誘導傾斜部とを備え、
前記緩衝部材のうち遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って前記左上側通路の延長方向に向かうように傾斜していることを特徴とする遊技機。」
から、
(補正後:本件補正である平成31年2月19日付け手続補正)
「【請求項1】
A 遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備えた遊技板と、
B 前記遊技領域を囲む包囲壁と、
C 前記遊技領域の左上縁部側に設けられ、遊技球を前記遊技領域に打ち込むための進入口と、
D 前記遊技領域の上縁部側に設けられ、前記進入口から前記包囲壁に沿って前記遊技領域の右側流下エリアに遊技球を案内する右打導入通路と、を備えた遊技機において、
E 前記右打導入通路のうち前記遊技領域の上端部近傍に位置する部分を屈曲させてなる減速屈曲部と、
F 前記減速屈曲部に設けられて前記包囲壁に下方から隣接し、前記進入口から前記包囲壁に沿って進んできた遊技球が衝突可能な緩衝部材を設け、
G 前記右打導入通路は、前記減速屈曲部に設けられた段差部より左側の左上側通路と、右側の右下側通路と、前記左上側通路と前記右下側通路との間を連絡し、右下がりに傾斜する中間通路とを有し、
H 前記緩衝部材は、弾性部材で構成されて、前記右下側通路と前記包囲壁との間でかつ前記左上側通路の延長線上に位置し、
I 前記段差部は、前記中間通路の左側内側面に形成され、前記左上側通路の下面に対して略直交した逆流規制部と、前記逆流規制部の下端部から下方に向かうに従って右側に向かうように傾斜した誘導傾斜部とを備え、
J 前記緩衝部材のうち遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って前記左上側通路の延長方向に向かうように傾斜していることを特徴とする
K 遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。また、A?Kは、当審にて分説して付した。)。

2.補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、補正前の請求項1について、
(i)発明を特定するために必要な事項である「右打導入通路」に関して、「前記遊技領域の上縁部側に設けられ」という限定を加え、
(ii)発明を特定するために必要な事項である「右打導入通路」を「屈曲させてなる」「減速屈曲部」に関して、「右打導入通路」を屈曲させる部分を、該通路「のうち前記遊技領域の上端部近傍に位置する部分」であるという限定を加え、
(iii)発明を特定するために必要な事項である「左上側通路」と「右下側通路」との間を連絡する「中間通路」に関し、「右下がりに傾斜する」ものであるという限定を加えるとともに、
(iv)「前記緩衝部材は、弾性部材で構成されて、前記右下側通路と前記包囲壁との間でかつ前記左上側通路の延長線上に位置し」という記載の直後に、読点(「、」)を加えるものである。

(2)補正目的
上記(1)の補正事項(i)?(iii)は、補正前の発明特定事項に限定を加えるものであって、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
上記(1)の補正事項(iv)について、請求人は補正目的を主張していないが、補正前の請求項1において、「前記緩衝部材は、弾性部材で構成されて、前記右下側通路と前記包囲壁との間でかつ前記左上側通路の延長線上に位置し」という記載の後、改行を行ったうえで、「前記段差部は、・・・右側に向かうように傾斜した誘導傾斜部とを備え、」と記載を続けている。補正前の請求項1において、「前記緩衝部材は、弾性部材で構成されて、前記右下側通路と前記包囲壁との間でかつ前記左上側通路の延長線上に位置し」というひとまとまりの意味をなす記載の節目を明示するため、本来であれば、「読点(、)」を付すことが適当な箇所に、「読点(、)」を付さなかったことが明らかであって、補正前の請求項1の記載における誤記の箇所と、その正しい記載を一義的に認定することができるから、補正事項(iv)は、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正に該当する。

(3)新規事項
本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0020】、【0021】、【0025】、【0029】及び図5、図6の記載からみて新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3.本件補正発明の独立特許要件についての検討
上記2.(2)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正を含むことから、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、本件補正である平成31年2月19日付け手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2)引用文献1に記載された発明
原査定の拒絶の理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-17748号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

ア 記載事項
「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面と該遊技盤面に対し所定の隙間を隔てて配置される透光板との間に遊技領域が形成され、該遊技領域に遊技球を発射することにより遊技が行われる遊技機に関する。
・・・
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、遊技領域を視認可能に閉鎖する透明板に遊技領域の遊技球が接触して損傷することを防止できる遊技機を提供することを目的とする。
・・・
【0013】
本発明の手段6に記載の遊技機は、請求項1または手段1?5のいずれかに記載の遊技機であって、
前記遊技領域(遊技領域7)の周囲に設けられ、該遊技領域に打ち出された遊技球を遊技領域の周縁に沿うように誘導する誘導レール(外レール401、外レール飾り410a?410c)と、
前記遊技領域に設けられる遊技用部材(センター枠飾り11)と、
前記遊技領域のうち前記誘導レールと前記遊技用部材との間に形成される遊技球流路(球案内通路276)と、を備え、
前記衝突部(衝突部505)は、前記遊技球流路の下流側(流出部276bの下方近傍位置)に配設され、
前記遊技球流路に、該遊技球流路内を流下する遊技球の流下速度を減速させる減速部(第1減速部278,第2減速部279)が設けられている(図7参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、遊技領域に打ち出され勢いがある遊技球が流下する遊技球流路にて遊技球の流下速度が減速されることで衝突部にかかる衝撃が抑制されるため、衝突部の破損が防止されるばかりか、跳ね返りも小さくなるので透明板に接触しにくくなる。
・・・

【0017】
パチンコ遊技機1は、図1、図2及び図4に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。・・・
【0018】
・・・また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
【0019】
図4及び図5に示すように、遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された木製のベニヤ板からなり、・・・
【0095】
図6に示すように、遊技盤6の遊技盤面6aには、遊技領域7を囲むように設けられ、打球発射装置(図示略)から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球案内通路400の一部を構成する外レール401及び内レール402、外レール飾り410a?410c、障害釘K(一部図示略)、風車F等の遊技用部材が取り付けられるとともに、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25や、後述する第1球誘導部材500及び第2球誘導部材550等が前面側から取り付けられている。
【0096】
これら外レール401及び内レール402、外レール飾り410a?410c、障害釘K、風車F、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25、第1球誘導部材500、第2球誘導部材550は、遊技盤面6a上に配設される遊技用構造物(遊技用部材)であり、そのうち遊技領域7の周囲に配設される外レール飾り410a?410c及び各レール401,402を除く障害釘K、風車F、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25、第1球誘導部材500、第2球誘導部材550は、遊技領域7に遊技球の流下の障害となる立体物であり、遊技球の流下方向を変更させる流下方向変更部材を構成する。
・・・
【0098】
このようにこれら外レール401及び内レール402や外レール飾り410a?410cの誘導面410dにより、遊技盤面6aは中央部に形成される略円形の遊技領域7とその周囲に形成される非遊技領域とに区画されるため、外レール飾り410a?410c及び外レール401及び内レール402は遊技領域7を形成するレール部材を構成している。
・・・
【0101】
センター枠飾り11は、図7?図9に示すように、例えばポリカーボネート樹脂材等により構成され、枠本体270と、該枠本体270の前面に取り付けられる装飾部材274と、からパチンコ遊技機1の前後方向に所定の厚みを有するように形成され、装飾部材274が遊技盤面6aから少なくとも遊技球の直径以上の厚み分突出するように取り付けられている。
・・・
【0103】
装飾部材274は、枠板部271の下辺部を除き正面視下向き略C字形に形成されており、その外周面は遊技球を誘導する誘導面275を構成している。この誘導面275のうち、特に上部から右側にかけて、外レール401及び外レール飾り410cの誘導面410dに対し所定の隙間を隔てて配置される誘導面275aと、外レール401及び誘導面410dとの間に、遊技球を1球ずつ通過可能とする球案内通路276が形成されている。この球案内通路276の幅寸法L1は、遊技球の直径2Rよりも長く、直径2Rの2倍の長さ(2R×2=4R)よりも短い(2R<L1<4R)。
・・・
【0105】
また、誘導面275aの前側辺には、側壁277が該誘導面275aに対し直交するように立設されている。この側壁277は、殆どが遊技球の直径2Rよりも短寸であるが、図9(b)に示すように、後述する第1減速部278に設けられるカバー側壁277aのみ長寸に形成されている。

【0106】
図6に戻って、遊技領域7において、センター飾り枠11よりも左側の左遊技領域7aは、正面視略C字形に形成され、遊技球の直径2R以上の幅寸法を有し、主に通常遊技状態において有利となる領域であり、第1始動入賞口13a及び入賞口29a?29cに遊技球が入賞可能とされている。
【0107】
一方、センター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7bは、上部は遊技球の直径よりやや幅広な通路幅を有する球案内通路276が外レール401に沿って延設され、下部には左遊技領域7aの下部とほぼ同等の大きさを有し、主に時短状態や確変状態において有利となる領域であり、第2始動入賞口14a及び入賞口29dに遊技球が入賞可能とされている。
【0108】
球案内通路276は、遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設され、その中間位置には第1減速部278が形成されているとともに、さらにその下流側近傍には第2減速部279が形成されている。
【0109】
第1減速部278における外レール401の内面所定箇所には、ゴム材等からなる緩衝部280が遊技球の移動方向に対し交差するように設けられているとともに、通路壁298もこの緩衝部280に沿って屈曲形成され、遊技球が遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成している。これにより、緩衝部280に衝突した遊技球が外レール401から離れる方向(遊技領域7の中央側)に方向変換される。また、第1減速部278の下流側近傍位置にも、誘導面275a及び外レール飾り410cの誘導面410dの一部に凹凸部が形成され、遊技球が遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成している。
【0110】
このように球案内通路276の所定箇所には、第1減速部278及び第2減速部279が設けられ、これらを通過する際に遊技球が減速されるようになっている。打球発射装置は、打球操作ハンドル5の初期位置からの回転角度が大きくなるに従い遊技球を打ち出す際の弾発力が増大するようになっている。よって、遊技球の発射位置(図示略)からの距離が左遊技領域7aよりも遠くなる右遊技領域7bに遊技球を打ち出す場合、左遊技領域7aに遊技球を打ち出す場合よりも遊技球の弾発力を増大させる必要があり、これにより遊技球の移動速度も速くなるため、発射球案内通路400から外レール401に沿って障害釘K等に衝突することなく高速で流入する遊技球を移動案内する球案内通路276内において、遊技球を効果的に減速させることができる。
【0111】
特に緩衝部280は、右遊技領域7bに向けて強く打ち出された遊技球が最初に衝突する衝突部であるため、緩衝部280により反発力が減衰されるようになっているものの、遊技球が透視窓102a側に跳ね返る可能性がある。よって、この第1減速部278においては、側壁277の一部を延設してなるカバー側壁277aを、球案内通路276における第1減速部278の透視窓102a側を被覆するように設けて透視窓102aを保護しているため、跳ね返った遊技球により透視窓102aが損傷することが防止される。」

イ 図面の記載及び上記アに摘記した事項から認定される事項
イ-1 図6は、遊技領域の構成を示す概略図であって、図6の左上方には、以下の事項が記載されると認められる。
・遊技領域7を形成するレール部材を構成する外レール401及び内レール402が、打球発射装置から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球案内通路400の一部を構成し、発射球案内通路400は、外側に位置する外レール401と、その内側に位置する内レール402とにより構成され、発射球案内通路400の出口となる内レールの最上部は、遊技領域6の左上縁部側に位置すること (【0095】、【0098】、図6)。
・打球発射装置から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部の右上方には、右斜め上に向かった後鉛直下向きに向いた一点鎖線と、右斜め上方に向いた一点鎖線とが記載されること(【0095】、図6)。
図6において、一点鎖線は、遊技球の動きを表しているものと認められ、【0106】、【0107】、【0110】の記載と併せると、〇-2における右斜め上に向かった後鉛直下向きに向いた一点鎖線は、左遊技領域7aに打ち出される遊技球の動きを表し、同右斜め上方に向いた一点鎖線は、右遊技領域7bに打ち出される遊技球の動きを表していると認められる。
したがって、図6及び上記アに摘記した事項から、
遊技領域7を形成するレール部材を構成する外レール401及び内レール402が、打球発射装置から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球案内通路400の一部を構成し、発射球案内通路400は、外側に位置する外レール401と、その内側に位置する内レール402とにより構成され、発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部は、遊技領域6の左上縁部側に位置し、当該発射球案内通路400の出口から、センター飾り枠11よりも左側の左遊技領域7aに打ち出される遊技球及びセンター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7bに打ち出される遊技球があることが看て取れる。
【図6】


イ-2 図8は、球案内通路を示す概略図であって、図8及び上記アに摘記した事項から、以下の事項が看て取れる。
イ-2-1 遊技領域7の上部から右側にかけて凸状の略円弧状に延設され、その中間位置には第1減速部278が形成されている球案内通路276は、遊技領域7の上部から第1減速部278が設けられた箇所までの球案内通路276の左側部分は、凸状の略円弧状に形成され、外レール401を上面とし、外レール401から所定の間隔を空けた下方に、誘導面275aを下面として設けていること。

イ-2-2 遊技領域7の第1減速部278が設けられた箇所から右側までの球案内通路276の右側部分は、その一部に遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成して第2減速部279が設けられ、球案内通路276を形成する通路壁は、外レール飾り410bの誘導面410dを上面とし、当該誘導面410dから所定の間隔を空けた下方に誘導面275aを下面として設けていること。

イ-2-3 球案内通路276の左側部分と球案内通路276の右側部分との間には第1減速部278が形成され、外レール401の内面に、緩衝部280が遊技球の移動方向に対し交差するように下方から隣接して設けられ、通路壁298もこの緩衝部280に沿って屈曲形成され、遊技球が遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成することで、緩衝部280に衝突した遊技球を外レール401から離れる方向である遊技領域7の中央側に方向変換し、前記蛇行部では、当該緩衝部280に対向する球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275aは、当該緩衝部280に沿って、球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった後、さらに右斜め下方向に折れ曲がることにより全体として「く」の字の形状をなすとともに、球案内通路276の右側部分をなす誘導面275aに連続していること。

イ-2-4 図8において、「外レール飾り」を表す符号「410b」が記載された先頭の数字「4」が記載された箇所と、その右下側に位置する「第2減速部」を表す符号「279」から延びた指示線の矢印の先端の箇所とを結ぶ一直線上に、左から、「外レール401」、「緩衝部280」及び「球案内通路276の右側部分」の順に位置していること。
【図8】


上記ア及びイを参照すると、引用文献1には、以下の引用発明が記載されていると認められる(a?kは、本願発明のA?Kに対応させて付与した。)。

引用発明
「a パチンコ遊技機1の外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101に取り付けられているとともに、前面に遊技領域7が形成され、遊技領域7において遊技球の流下方向を変更させる障害釘K、風車F、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25、第1球誘導部材500、第2球誘導部材550が遊技盤面6aに配設された遊技盤6と (【0017】-【0019】、【0095】、【0096】)、

b 遊技盤6の遊技盤面6aは、中央部に形成される略円形の遊技領域7とその周囲に形成される非遊技領域とに区画され、遊技盤面6aに取り付けられ、遊技領域7を形成するレール部材を構成している外レール飾り410a?410c及び外レール401及び内レール402と、を備え(【0095】、【0098】)、

c 遊技領域7を形成するレール部材を構成する外レール401及び内レール402が、打球発射装置から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球案内通路400の一部を構成し、発射球案内通路400は、外側に位置する外レール401と、その内側に位置する内レール402とにより構成され、発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部は、遊技領域6の左上縁部側に位置し、当該発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部から、センター飾り枠11よりも左側の左遊技領域7aに打ち出される遊技球及びセンター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7bに打ち出される遊技球があり(【0095】、【0098】、【0106】、【0107】、【0110】、図6、イ-1)、

d センター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7bに遊技球を打ち出す場合、発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部から外レール401に沿って障害釘K等に衝突することなく高速で流入する遊技球を移動案内するために、遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設され、その中間位置には第1減速部278が形成されている球案内通路276を備えたパチンコ遊技機1において(【0017】、【0107】、【0108】、【0110】、図6、イ-1)、

e’、f 遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設された球案内通路276の中間位置に形成され、外レール401の内面には、ゴム材等からなる緩衝部280が遊技球の移動方向に対し交差するように下方から隣接して設けられているとともに、通路壁298もこの緩衝部280に沿って屈曲形成した第1減速部278を設け(【0108】、【0109】)、

g、h、i センター枠飾り11は、枠本体270と、該枠本体270の前面に取り付けられる装飾部材274と、からなり、装飾部材274は、遊技盤面6aからパチンコ遊技機1の前後方向に少なくとも遊技球の直径以上の厚み分突出するように取り付けられるとともに、装飾部材274の外周面は、遊技球を誘導する誘導面275を構成し、この誘導面275のうち、特に上部から右側にかけて、外レール401及び外レール飾り410cの誘導面410dに対し所定の隙間を隔てて配置される誘導面275aと、外レール401及び誘導面410dとの間に、遊技球を1球ずつ通過可能とする球案内通路276が形成され、
球案内通路276は、
遊技領域7の上部から第1減速部278が設けられた箇所までの球案内通路276の左側部分は、凸状の略円弧状に形成され、外レール401を上面とし、外レール401から所定の間隔を空けた下方に、誘導面275aを下面として設け、
遊技領域7の第1減速部278が設けられた箇所から右側までの球案内通路276の右側部分は、その一部に遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成して第2減速部279が設けられ、球案内通路276を形成する通路壁は、外レール飾り410bの誘導面410dを上面とし、当該誘導面410dから所定の間隔を空けた下方に誘導面275aを下面として設けるとともに、
球案内通路276の左側部分と球案内通路276の右側部分との間には第1減速部278が形成され、外レール401の内面に、緩衝部280が遊技球の移動方向に対し交差するように下方から隣接して設けられ、通路壁298もこの緩衝部280に沿って屈曲形成され、遊技球が遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成することで、緩衝部280に衝突した遊技球を外レール401から離れる方向である遊技領域7の中央側に方向変換し、前記蛇行部では、当該緩衝部280に対向する球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275aは、当該緩衝部280に沿って、球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった後、さらに右斜め下方向に折れ曲がることにより全体として「く」の字の形状をなすとともに、球案内通路276の右側部分をなす誘導面275aに連続し、
第1減速部278及び第2減速部279を通過する際に遊技球が減速されるようになっていて、
左から、「外レール401」、「緩衝部280」及び「球案内通路276の右側部分」の順に一直線上に位置しており(【0101】、【0103】、【0108】-【0110】、図8、イ-2-1ないしイ-2-4)、

j’ 球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275aの前側辺には、側壁277が該誘導面275aに対し直交するように立設され、この側壁277は、殆どが遊技球の直径2Rよりも短寸であるが、第1減速部278に設けられるカバー側壁277aのみ側壁277の一部を延設することで長寸とすることにより、球案内通路276における第1減速部278の透視窓102a側を被覆するように設けて透視窓102aを保護しているため、緩衝部280に衝突することによって跳ね返った遊技球により透視窓102aが損傷することが防止される(【0105】、【0111】)、

k パチンコ遊技機1(【0017】)。」

(3)対比

本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
ア 発明特定事項Aについて
引用発明の
「遊技盤面6aに配設された」「障害釘K、風車F、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、ゲート32、装飾部材25、第1球誘導部材500、第2球誘導部材550」が「遊技球の流下方向を変更させる」こと、
「遊技領域7」、
「遊技盤6」の「前面に遊技領域7が形成され」ること、
「遊技盤6」はそれぞれ、
本件補正発明の
「遊技球が流下可能」であること、
「遊技領域」、
「遊技領域」を「遊技板」の「前面に備えた」こと、
「遊技板」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Aに相当する構成を備えるといえる。

イ 発明特定事項Bについて
引用発明の「遊技盤面6a」は、「中央部に形成される略円形の遊技領域7とその周囲に形成される非遊技領域とに区画され」ていて、「レール部材を構成している外レール飾り410a?410c及び外レール401及び内レール402」が、「中央部に形成される略円形」の「遊技領域7を形成」しているから、当該「レール部材を構成している外レール飾り410a?410c及び外レール401及び内レール402」は、「遊技領域を囲む」ものということができる。
よって、引用発明の「レール部材を構成している外レール飾り410a?410c及び外レール401及び内レール402」は、本件補正発明の「包囲壁」に相当するから、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Bに相当する構成を備えるといえる。

ウ 発明特定事項Cについて
引用発明の「発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部」から、「センター飾り枠11よりも左側の左遊技領域7aに打ち出される遊技球及びセンター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7bに打ち出される遊技球」があるから、引用発明の「発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部」は、本件補正発明の「遊技球」を「遊技領域に打ち込むための進入口」に相当する。
また、引用発明の「発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部」が「遊技領域6の左上縁部側に位置」することは、それが、「遊技領域の左上縁部側に設けられ」ていると言い換えることができるから、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Cに相当する構成を備えるといえる。

エ 発明特定事項D、Kについて
引用発明の
「センター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7b」、
「移動案内」、
「パチンコ遊技機1」はそれぞれ、
本件補正発明の
「遊技領域の右側流下エリア」、
「案内」、
「遊技機1」に相当する。
引用発明の「球案内通路276」は、「センター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7b(本件補正発明の「遊技領域の右側流下エリア」に相当。)に遊技球を打ち出す場合、発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部(本件補正発明の「進入口」に相当。)から外レール401(本件補正発明の「包囲壁」に相当。)に沿って障害釘K等に衝突することなく高速で流入する遊技球を移動案内(本件補正発明の「案内」に相当。)」するものであるから、引用発明の「球案内通路276」は、本件補正発明の「右打導入通路」に相当する。
また、引用発明の「球案内通路276」は、「遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設され」ているから、これを、「遊技領域の上縁部側に設けられ」ているということができる。
よって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項D、Kに相当する構成を備えるといえる。

オ 発明特定事項Eについて
引用発明の「第1減速部278」は、「球案内通路276」の「通路壁298」を「屈曲形成」したものであるから、本件補正発明の「減速屈曲部」に相当する。
また、引用発明の「第1減速部278」は、「遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設された球案内通路276の中間位置」に形成され、かつ、「第1減速部278」において、「緩衝部280」が設けられている「外レール401の内面」は、上記イで検討したとおり、「レール部材を構成している外レール飾り410a?410c及び外レール401及び内レール402」が、「中央部に形成される略円形」の「遊技領域7を形成」している「レール部材」(構成b)の一部であるから、引用発明の「第1減速部278」が設けられている位置は、遊技領域の上端部近傍であるか否かをさておけば、「遊技領域の上方に位置する部分」であるということができる。
よって、引用発明の構成e’、fと本件補正発明の発明特定事項Eとは、「前記右打導入通路のうち前記遊技領域の上方に位置する部分を屈曲させてなる減速屈曲部」を設けるという限りで共通する。

カ 発明特定事項Fについて
引用発明の「第1減速部278」における「緩衝部280」は、「外レール401の内面」に、「遊技球の移動方向に対し交差するように下方から隣接して設けられている」から、引用発明の「緩衝部280」は、本件補正発明の「緩衝部材」に相当する。
また、上記エで検討したとおり、引用発明において、「第1減速部278」(本件補正発明の「減速屈曲部」に相当。)が形成されている「球案内通路276」(本件補正発明の「右打導入通路」に相当。)に移動案内される遊技球は、「発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部(本件補正発明の「進入口」に相当。)から外レール401(本件補正発明の「包囲壁」に相当。)に沿って障害釘K等に衝突することなく高速で流入する」(構成d)から、引用発明の「緩衝部280」(本件補正発明の「緩衝部材」に相当。)に、「前記進入口から前記包囲壁に沿って進んできた遊技球が衝突可能」であるということができる。
よって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Fに相当する構成を備えるといえる。

キ 発明特定事項Gについて
引用発明の「球案内通路276」(本件補正発明の「右打導入通路」に相当。)において、「球案内通路276の左側部分」と「球案内通路276の右側部分」との間に位置する「第1減速部278」の「蛇行部」では、「当該緩衝部280に対向する球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275aは、当該緩衝部280に沿って、球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった後、さらに右斜め下方向に折れ曲がることにより全体として「く」の字の形状をなすとともに、球案内通路276の右側部分をなす誘導面275aに連続」しているから、当該「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった後、さらに右斜め下方向に折れ曲がることにより全体として「く」の字の形状をなす」「球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275a」は、本件補正発明の「段差部」に相当する。
また、引用発明の当該「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった後、さらに右斜め下方向に折れ曲がることにより全体として「く」の字の形状をなす」「球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275a」(本件補正発明の「段差部」に相当。)は、左右方向でそれぞれ、「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275a」及び「球案内通路276の右側部分をなす誘導面275a」に連続していることから、
引用発明の
「球案内通路276の左側部分」、
「球案内通路276の右側部分」、
「蛇行部」はそれぞれ、
本件補正発明の
「左上側通路」、
「右下側通路」、
「中間通路」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Gに相当する構成を備えるといえる。

ク 発明特定事項Hについて
引用発明の「ゴム材等」は、本件補正発明の「弾性部材」に相当し、引用発明の「緩衝部280」(本件補正発明の「緩衝部材」に相当。)は、「ゴム材等」(本件補正発明の「弾性部材」に相当。)からなるから、これを、「緩衝部材は、弾性部材で構成されて」いるということができる。
引用発明は、左から、「外レール401」(本件補正発明の「包囲壁」に相当。)、「緩衝部280」(本件補正発明の「緩衝部材」に相当。)及び「球案内通路276の右側部分」(本件補正発明の「右下側通路」に相当。)の順に同じ直線上に位置していることから、「緩衝部材」は、「前記右下側通路と前記包囲壁との間」に位置するということができる。
また、引用発明の「緩衝部280」(本件補正発明の「緩衝部材」に相当。)は、「球案内通路276の左側部分」(本件補正発明の「左上側通路」に相当。)からの「遊技球の移動方向に対し交差」していることから、「緩衝部材」は、「左上側通路の延長線上に位置し」ているということができる。
よって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Hに相当する構成を備えるといえる。

ケ 発明特定事項Iについて
引用発明の「蛇行部」(本件補正発明の「中間通路」に相当。)では、「球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275a」が、「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった後、さらに右斜め下方向に折れ曲がることにより全体として「く」の字の形状をなす」「球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275a」(本件補正発明の「段差部」に相当。)となっているから、当該「全体として「く」の字の形状をなす」「誘導面275a」が、「球案内通路276の左側部分」をなす「誘導面275a」から「下方に折れ曲がっ」ていることは、本件補正発明の「段差部」が、「中間通路の左側内側面に形成され」ることに相当する。
また、当該「全体として「く」の字の形状をなす」「誘導面275a」のうち、上半分の部位、すなわち、「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった」部位は、本件補正発明の「左上側通路の下面に対して略直交した逆流規制部」に相当し、同様に、当該「全体として「く」の字の形状をなす」「誘導面275a」のうち、下半分の部位、すなわち、前記上半分の部位に連なって、「さらに右斜め下方向に折れ曲がる」部位は、本件補正発明の「逆流規制部の下端部から下方に向かうに従って右側に向かうように傾斜した誘導傾斜部」に相当する。
よって、引用発明は、本件補正発明の発明特定事項Iに相当する構成を備えるといえる。

(4)一致点及び相違点
上記(3)ア?ケによれば、本件補正発明と引用発明とは、
「A 遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備えた遊技板と、
B 前記遊技領域を囲む包囲壁と、
C 前記遊技領域の左上縁部側に設けられ、遊技球を前記遊技領域に打ち込むための進入口と、
D 前記遊技領域の上縁部側に設けられ、前記進入口から前記包囲壁に沿って前記遊技領域の右側流下エリアに遊技球を案内する右打導入通路と、を備えた遊技機において、
E’ 前記右打導入通路のうち前記遊技領域の上方に位置する部分を屈曲させてなる減速屈曲部と、
F 前記減速屈曲部に設けられて前記包囲壁に下方から隣接し、前記進入口から前記包囲壁に沿って進んできた遊技球が衝突可能な緩衝部材を設け、
G 前記右打導入通路は、前記減速屈曲部に設けられた段差部より左側の左上側通路と、右側の右下側通路と、前記左上側通路と前記右下側通路との間を連絡し、右下がりに傾斜する中間通路とを有し、
H 前記緩衝部材は、弾性部材で構成されて、前記右下側通路と前記包囲壁との間でかつ前記左上側通路の延長線上に位置し、
I 前記段差部は、前記中間通路の左側内側面に形成され、前記左上側通路の下面に対して略直交した逆流規制部と、前記逆流規制部の下端部から下方に向かうに従って右側に向かうように傾斜した誘導傾斜部とを備えた、
K 遊技機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
ア 相違点1(発明特定事項Eに関する)
本件補正発明は、「前記右打導入通路のうち前記遊技領域の上端部近傍に位置する部分を屈曲させてなる減速屈曲部」を設けるのに対し、引用発明の「球案内通路276」のうち「第1減速部278」として「通路壁298」を「屈曲形成」させてなる位置について、引用発明は、「遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設された球案内通路276の中間位置」としており、「遊技領域の上端部近傍に位置する部分」ではない点。

イ 相違点2(発明特定事項Jに関する)
本件補正発明は、「前記緩衝部材のうち遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って前記左上側通路の延長方向に向かうように傾斜している」のに対し、引用発明は、「緩衝部材」に相当する「緩衝部280」を備えるものの、上記「遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って前記左上側通路の延長方向に向かうように傾斜している」に対応する構成を備えるものでない点。

(5)判断
上記の相違点について検討する。
ア 相違点1(発明特定事項Eに関する)について
引用文献1には、「【0013】
本発明の手段6に記載の遊技機は、請求項1または手段1?5のいずれかに記載の遊技機であって、・・・前記衝突部(衝突部505)は、前記遊技球流路の下流側(流出部276bの下方近傍位置)に配設され、
前記遊技球流路に、該遊技球流路内を流下する遊技球の流下速度を減速させる減速部(第1減速部278,第2減速部279)が設けられている(図7参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、遊技領域に打ち出され勢いがある遊技球が流下する遊技球流路にて遊技球の流下速度が減速されることで衝突部にかかる衝撃が抑制されるため、衝突部の破損が防止されるばかりか、跳ね返りも小さくなるので透明板に接触しにくくなる。・・・」とも記載されている。
すなわち、引用文献1においては、いわゆる右打ちを行った際に、遊技領域に打ち出され勢いがある遊技球が流下する遊技球流路にて遊技球の流下速度が減速されることで衝突部にかかる衝撃が抑制され、衝突部の破損防止と遊技球の跳ね返りを小さくして透明板の損傷防止を図ることが解決すべき課題であって、
その課題を解決するための手段として、遊技球流路の下流側に衝突部を配設することを前提とし、遊技球流路に、該遊技球流路内を流下する遊技球の流下速度を減速させる減速部(第1減速部278,第2減速部279)を設けるという技術思想を採用するものである。
そして、引用発明は、 「球案内通路276」において、「第1減速部278」に連続して、「球案内通路276の右側部分は、その一部に遊技盤面6aに沿って蛇行する蛇行部を構成して、第2減速部279が設けられ」 、「第1減速部278及び第2減速部279を通過する際に遊技球が減速される」(構成g、h、i)ものであって、上記(4) [相違点]アに記載したとおり、引用文献1の実施例では、「球案内通路276」のうち「第1減速部278」として「通路壁298」を「屈曲形成」させてなる具体的な位置について、「遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設された球案内通路276の中間位置」(【0108】)とすることが記載されていているので、引用発明において、「球案内通路276」のうち「第1減速部278」(本件補正発明の「減速屈曲部」に相当。)として、「通路壁298」を「屈曲形成」させてなる位置について、「遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設された球案内通路276の中間位置」(構成e’、f)であると認定したものである。
しかし、上記のとおり、引用文献1には、技術思想として、「遊技球流路に、該遊技球流路内を流下する遊技球の流下速度を減速させる減速部(第1減速部278,第2減速部279)を設ける」(「【0013】)との開示があり、引用文献1の記載からは、必ずしも、「第1減速部278」が、「球案内通路276の中間位置」に設けられる必要性はなく、 「球案内通路276」の適宜の位置に設けられることが示唆されるか、あるいは、少なくとも許容されているものと認められる。
そうすると、引用発明は、上記のとおり、「第1減速部278及び第2減速部279を通過する際に遊技球が減速される」(構成g、h、i)から、「第1減速部278」とその下流に位置する「第2減速部279」とを合わせた長さが短くなると、遊技球流路における遊技球の流下速度の減速が十分になされず、衝突部にかかる衝撃が抑制されなくなるので、「第1減速部278」(本件補正発明の「減速屈曲部」に相当。)として、「通路壁298」を「屈曲形成」させてなる位置を、「遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設された球案内通路276」の「中間位置」より下流側である右下の方向にずらすことは考えづらい。それよりは、むしろ、遊技球流路における遊技球の流下速度を減速させ、衝突部にかかる衝撃を抑制するという課題をより確実に達成するために、当該「通路壁298」を「屈曲形成」させてなる位置を、前記「中間位置」より上流側である左上の方向にずらすことにより、「第2減速部279」の長さを長くとる構成とする設計変更を行うことが自然であり、そのような設計変更を行うことは、上記のとおり、引用文献1の記載から示唆されるか、あるいは、少なくとも許容されているものと認められる。
したがって、引用発明において、「第1減速部278」(本件補正発明の「減速屈曲部」に相当。)として、「通路壁298」を「屈曲形成」させてなる位置を、「遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設された球案内通路276」の「中間位置」より上流側である左上の方向にずらすことにより、「遊技領域の上端部近傍に位置する部分」とする設計変更を行うことは、当業者が容易に想到し得るものと認められる。
よって、引用発明に上記設計変更を行うことにより、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2(発明特定事項Jに関する)について
引用文献1には、引用発明のほか、
センター飾り枠11よりも右側の右遊技領域7bに遊技球を打ち出す場合、発射球案内通路400の出口となる内レール402の最上部から外レール401に沿って障害釘K等に衝突することなく高速で流入する遊技球を移動案内するために、遊技領域7の上部から右側にかけて略円弧状に延設され、その中間位置には第1減速部278が形成されている球案内通路276を備えたパチンコ遊技機1において(【0017】、【0107】、【0108】、【0110】)、
遊技盤面6aから前方に隆起するように設けられる立体構造物である第1球誘導部材500が遊技盤面6aに取り付けられ、第1球誘導部材500の上面には、球案内通路276から流出し落下された遊技球を転動により遊技領域7の中央側に向けて誘導する転動部としての転動面501が形成され(【0115】、図10、図11)、
転動面501の傾斜上位側には段部としての転動傾斜面501aが形成されており、該転動傾斜面501aと、転動傾斜面501aの傾斜上位側の上転動面501bと、転動傾斜面501aの傾斜下位側の下転動面501cと、により連続する転動面501が構成され(【0116】、図10-図12)、
上転動面501bには、側壁503から遊技盤6に向けて延設された衝突部505が突設され(【0119】)、
球案内通路276の流出部276bから流出して外レール410cの誘導面410dに沿うように流下してくる遊技球は、衝突部505の衝突傾斜面505aに衝突し、衝突傾斜面505aに衝突した遊技球が透視窓102a側に跳ねる可能性があるが、衝突傾斜面505aは、遊技盤6側に向けて下方に傾斜しているため、遊技球が強制的に遊技盤面6a側に向けて跳ね返されるようになっている(【0123】、図6、図12)技術(以下、「引用文献1に記載の技術」という。)、が記載されている。
また、引用文献1に記載の技術において、「衝突傾斜面505aは、遊技盤6側に向けて下方に傾斜している」ことは、図12(b)の記載と併せると、「衝突傾斜面505aは、遊技盤面6a側に向かうに従って遊技球が流下する方向に向かうように傾斜している」と言い換えることができるから、上記引用文献1に記載の技術は、「衝突部505」のうち遊技球が衝突する「衝突傾斜面505a」は、「遊技盤面6a側に向かうに従って遊技球が流下する方向に向かうように傾斜している」技術を示している。
ここで、引用文献1に記載の技術の
「衝突部505」、
「衝突傾斜面505a」
「遊技盤面6a側」はそれぞれ、
本件補正発明の
「緩衝部材」、
「遊技球が衝突する衝突面」
「遊技板側」に相当するから、
引用文献1に記載の技術は、「前記緩衝部材のうち遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って遊技球が流下する方向に向かうように傾斜している」技術であるということができる。

そして、引用発明と引用文献1に記載の技術とは、同一文献に記載されている技術であるとともに、パチンコ遊技機という同じ技術分野に属し、遊技球が衝突部に衝突することにより跳ね返った遊技球により透視窓102aの損傷を防止するという点で課題も共通しているから、引用発明の「第1減速部278」(本件補正発明の「減速屈曲部」に相当。)における「緩衝部280」(本件補正発明の「緩衝部材」に相当。)に衝突することによって跳ね返った遊技球により透視窓102aが損傷することを防止するために、「第1減速部278に設けられるカバー側壁277aのみ側壁277の一部を延設することで長寸とすることにより、球案内通路276における第1減速部278の透視窓102a側を被覆するように設けて透視窓102aを保護」(構成j’)する手段に替え、上記引用文献1に記載の技術である「前記緩衝部材のうち遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って遊技球が流下する方向に向かうように傾斜している」技術を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、引用発明の「第1減速部278」(本件補正発明の「減速屈曲部」に相当。)における「緩衝部280」(本件補正発明の「緩衝部材」に相当。)に遊技球が衝突するとき、遊技球は左上側通路の延長方向に遊技球が移動しているから、「遊技球が流下する方向」と「左上側通路の延長方向」とは同じ方向を指し示していることは明らかである。
よって、引用発明に上記引用文献1に記載の技術を適用することにより、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本件補正発明の効果は、引用発明及び引用文献1に記載の技術から予測し得るものであって格別顕著なものということはできない。

(6)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、概略、以下の二の主張をしているところ。

[主張1]
「4.本願発明が特許されるべき理由
・・・遊技領域の右側流下エリアに遊技球を流下させるためには、遊技球を比較的速い流下速度で打ち込まなければなりません。つまり、引用文献1の右打導入通路を流下する遊技球は、遊技領域の上端位置に配置されたときの比較的速い第1流下速度に加えて、減速屈曲部に向かって降下する際に加わる加速度が加えられた第2流下速度で減速屈曲部まで流下します。このため、引用文献1の遊技機では、緩衝部材に衝突しても遊技球がガラス窓を傷つける虞がある程の流下速度となっていて、遊技球が右打導入通路を単に比較的速い速度で流下するだけであり、右打導入通路における遊技球の動きを斬新にすることはできません。
一方、本願発明の遊技機は、減速屈曲部が、「右打導入通路のうち遊技領域の上端部近傍に位置する部分」に位置していることを特徴とし、遊技領域の上端位置近傍で遊技球が緩衝部材と衝突するように構成しています。これにより、本願発明では、遊技領域の上端位置近傍に配置されたときの比較的速い第1流下速度の状態で遊技球を緩衝部材に衝突させることができるので、第1流下速度より遅い流下速度に落とすことができます。そして、第1流下速度より遅い流下速度で減速屈曲部を通過させて右側流下エリアへと流下させることができます。このように、本願発明では、遊技領域の上端位置近傍で遊技球の流下速度を落とし、しかも、その遅い流下速度の状態で減速屈曲部を通過させるので、右打導入通路における遊技球の動きを斬新にすることが可能となります。」

[主張2]
「また、引用文献1の減速屈曲部における中間通路は、同文献の図8に示されるように、左下がりに傾斜した構成になっています。これは、前述したように、非常に速い第2流下速度で遊技球が減速屈曲部に向かってくるが故に、遊技球を緩衝部材に衝突させて減速させる構成では足りず、さらに左側の壁に遊技球を衝突させて流下速度を落とそうとするものであります。
一方、本願発明の減速屈曲部における中間通路は、右下がりに傾斜する構成になっています。これにより、本願発明では、遊技領域の上端部近傍で第1流下速度より遅い流下速度に落とされた遊技球を停滞させることなく、スムーズに流下させることができます。即ち、引用文献1の中間通路は、遊技球の流下速度を落とそうとする減速の役割を果たすのに対し、本願発明の中間通路は、遊技球を停滞させることなく流下させようとする加速の役割を果たすため、機能が全く異なります。」

上記主張について検討する。
ア 主張1について
(i)請求人が主張する「・・・引用文献1の右打導入通路を流下する遊技球は、遊技領域の上端位置に配置されたときの比較的速い第1流下速度に加えて、減速屈曲部に向かって降下する際に加わる加速度が加えられた第2流下速度で減速屈曲部まで流下します。」という点について検討する。
たしかに「減速屈曲部に向かって降下する際に加わる加速度」の影響は幾ばくかはあるにせよ、引用発明が、いわゆる右打ちを行うため、打球発射装置が遊技球を打ち出す際の弾発力を増大させている状況において、「球案内通路276」に流入する遊技球は、「・・・遊技球の発射位置(図示略)からの距離が左遊技領域7aよりも遠くなる右遊技領域7bに遊技球を打ち出す場合、・・・遊技球の移動速度も速くなるため、発射球案内通路400から外レール401に沿って障害釘K等に衝突することなく高速で流入する遊技球・・・」 (【0110)】)であることを考慮すると、高々、5.4?5.7g程度の重さの鋼球が10cm乃至20cm程度鉛直方向に落下する際に生じる重力加速度により速度が増加する影響は小さいものと認められる。

(ii)また、請求人は、「・・・引用文献1の遊技機では、緩衝部材に衝突しても遊技球がガラス窓を傷つける虞がある程の流下速度となって・・・」いる旨の主張も行っているが、本件補正発明も、「前記緩衝部材のうち遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って前記左上側通路の延長方向に向かうように傾斜している」(発明特定事項J)という構成を備え、その構成により、「・・・本実施形態の緩衝部材41では、衝突面41Mに衝突した遊技球は、・・・第2傾斜により遊技板11側へと誘導され、遊技球が前面に飛び出してガラス窓10Wを傷つけることが抑制される。」(本願明細書の【0046】)という作用効果を奏するものであるから、遊技球が、引用発明の「緩衝部280」に衝突するときの速度も、本件補正発明の「緩衝部材」に衝突するときの速度も共に、遊技球がガラス窓を損傷する可能性がある程度の速度であり、ガラス窓の損傷を防止する手段を設ける必要があるという点で共通していることからも、上記重力加速度により速度が増加する影響は小さいものと認められる。

(iii)さらに、請求人が主張する「・・・本願発明では、遊技領域の上端位置近傍で遊技球の流下速度を落とし、しかも、その遅い流下速度の状態で減速屈曲部を通過させるので、右打導入通路における遊技球の動きを斬新にすることが可能となります。」という点について検討する。
本件補正発明における「減速屈曲部」における遊技球の減速について、本願明細書には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。
「【0025】
即ち、右打導入通路Rcは、その左端部を上下方向にクランク状に屈曲させてなる減速屈曲部42を備えている。詳細には、右打導入通路Rcは、上側流下規制部24Aの頂上部24T上の左上側通路45と、左上側通路45の右方で左上側通路45から遊技球1球分下方にずれて延びた右下側通路46と、左上側通路45と右下側通路46との間を連絡する中間通路43とを有している。
・・・
【0026】
また、上側流下規制部24Aの外側面のうち中間通路43の左方部には、頂上部24Tの右端から略直交して下方に僅かに延びた逆流規制部24Cと、逆流規制部24Cの下端部から下方に向かうに従って右側に向かうように傾斜して、上下方向及び左右方向で遊技球1球分延びた誘導傾斜部24Dとが備えられている。なお、逆流規制部24Cと誘導傾斜部24Dとを合わせたものが本発明の「傾斜部」に相当する。
【0028】
また、減速屈曲部42には、緩衝部材41が設けられている。・・・
【0039】
右打導入通路Rcに進入した遊技球は、まず減速屈曲部42を通過する。減速屈曲部42では、左上側通路45を右方へ移動する遊技球が緩衝部材41に衝突して減速され、その下方に配された右下側通路46へ案内される。なお、比較的緩やかに右打導入通路Rcに進入した遊技球は、緩衝部材41に衝突せずに右下側通路46に向かう場合もある。
・・・
【0042】
このように、本実施形態の遊技機10では、第1ガイドレール12Aに案内されて進んできた遊技球が減速屈曲部42で屈曲されるので、右打導入通路を通過する遊技球が包囲壁に案内されて進んでいくだけの構成であった従来の遊技機よりも、右打導入通路Rcにおける遊技球の動きを斬新にすることができる。また、第1ガイドレール12Aに沿って進んできた遊技球が緩衝部材41と減速屈曲部42とにより減速されるので、その後の右打導入通路Rcにおける遊技球の動きは、第1ガイドレール12Aに案内される形態ではなく、転動する形態となり、右打導入通路Rcにおける遊技球の動きをより斬新にすることができる。」
本件補正発明においては、「減速屈曲部」に関し、概略、
・「前記右打導入通路のうち前記遊技領域の上端部近傍に位置する部分を屈曲させてなる減速屈曲部」(発明特定事項E)、
・「前記減速屈曲部に設けられて・・・遊技球が衝突可能な緩衝部材を設け」(発明特定事項F)
・「・・・前記減速屈曲部に設けられた段差部・・・」(発明特定事項G)、
・「前記段差部は、前記中間通路の左側内側面に形成され、・・・逆流規制部と、・・・誘導傾斜部とを備え」(発明特定事項I)、
と特定されていることから、
本件補正発明における「減速屈曲部」に対応する実施例として、少なくとも、本願明細書の「緩衝部材41」及び「中間通路43の左方部」の「逆流規制部24Cと誘導傾斜部24Dとを合わせたもの」により「左端部を上下方向にクランク状に屈曲させてなる」ことが対応しているといえる。
そして、本願明細書の上記摘記事項から、本件補正発明の「減速屈曲部」における遊技球の減速について対応する実施例の作用を検討すると、本願明細書の実施例では、「遊技球が緩衝部材41に衝突して減速され」(【0039】)るだけでなく、当該「緩衝部材41」と遊技球の衝突に加え、「減速屈曲部42」が「左端部を上下方向にクランク状に屈曲させてなる」こととの総和により、遊技球が減速されているものと認められる。
そうすると、「緩衝部280」と遊技球との衝突に加え、「第1減速部278」が「球案内通路276を形成する通路壁の下面となる誘導面275a」を「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった後、さらに右斜め下方向に折れ曲がることにより全体として「く」の字の形状をなす」「蛇行部」 (構成g、h、i)とすることにより遊技球を減速させている引用発明と上記の本件補正発明の「減速屈曲部」とは、遊技球を減速させるという機能の点、及び、遊技球を蛇行させて動きに変化を持たせるという機能の点で相違するものではない。
また、上記(5)イにおいて、相違点2(発明特定事項Jに関する)について判断したとおり、引用発明の「第1減速部278に設けられるカバー側壁277aのみ側壁277の一部を延設することで長寸とすることにより、球案内通路276における第1減速部278の透視窓102a側を被覆するように設けて透視窓102aを保護」(構成j’)する手段に替え、上記引用文献1に記載の技術である「前記緩衝部材のうち遊技球が衝突する衝突面は、前記遊技板側に向かうに従って遊技球が流下する方向に向かうように傾斜している」技術を適用しているから、「第1減速部278の透視窓102a側を被覆」している「カバー側壁277a」が不要となるので、「第1減速部278」の視認を妨げるることもなくなるから、引用発明及び引用文献1に記載の技術は、減速後の遊技球の動きを斬新にしているという作用効果を奏するものといえる。

よって、(i)ないし(iii)で検討したとおり、請求人が主張する主張1を採用することはできない。

イ 主張2について
請求人が主張する「また、引用文献1の減速屈曲部における中間通路は、同文献の図8に示されるように、左下がりに傾斜した構成になっています。・・・一方、本願発明の減速屈曲部における中間通路は、右下がりに傾斜する構成になっています。・・・」という点について、たしかに、鉛直方向を基準としてみれば、引用発明の「全体として「く」の字の形状をなす」「誘導面275a」のうち、上半分の部位、すなわち、「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった」部位(本件補正発明の「左上側通路の下面に対して略直交した逆流規制部」に相当。)は引用文献1の図8を参照すると、左下がりに傾斜し、本件補正発明の「逆流規制部」は、本件図面の図5をみると、「逆流規制部24c」は若干右下がりとなっているように見える。
しかし、遊技球を案内するレールとの位置関係でいえば、引用発明の「球案内通路276の左側部分をなす凸状の略円弧状に形成された誘導面275aから下方に略直角で下方に折れ曲がった」部位は、上記(3)ケにおいて検討したとおり、レールに対し、「略直角で下方に折れ曲がった」位置にあり、本件補正発明の「逆流規制部」もレールに対し、「略直交」した位置にあるから、レールに沿って高速移動する遊技球の挙動に影響に与える影響という点では、レールとの相対的な位置関係が同じであることから、両者に相違はないものといえる。
よって、請求人が主張する主張2を採用することはできない。

(7)小括
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
上記3.において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年1月31日付け手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

2.原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりのものである。


(進歩性)本願発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2013-17748号公報

3.引用文献1に記載の事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の3.(1)に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、上記「第2の2.(2)補正目的」において検討したとおり、本件補正発明において、
(i)発明を特定するために必要な事項である「右打導入通路」に関して、「前記遊技領域の上縁部側に設けられ」という限定を省き、
(ii)発明を特定するために必要な事項である「右打導入通路」を「屈曲させてなる」「減速屈曲部」に関して、「右打導入通路」を屈曲させる部分が、該通路「のうち前記遊技領域の上端部近傍に位置する部分」であるという限定を省き、
(iii)発明を特定するために必要な事項である「左上側通路」と「右下側通路」との間を連絡する「中間通路」に関し、「右下がりに傾斜する」ものであるという限定を省くとともに、
(iv)「前記緩衝部材は、弾性部材で構成されて、前記右下側通路と前記包囲壁との間でかつ前記左上側通路の延長線上に位置し、」という記載から、読点(「、」)を省くものである。

そうすると、本願発明と引用発明とは、上記(i)の限定を省く補正事項から相違点1はなくなり、上記「第2の3.(4)対比」において検討した相違点2の点で異なるものである。
そして、相違点2については、前記「第2の3.(5)イにおいて検討したように、引用発明及び引用文献1記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献1記載の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-07-31 
結審通知日 2019-08-06 
審決日 2019-08-20 
出願番号 特願2016-178388(P2016-178388)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩永 寛道齋藤 智也柳 重幸  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲吉▼川 康史
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 松浦 弘  
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