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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B26B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B26B
管理番号 1355883
審判番号 不服2018-15311  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-19 
確定日 2019-10-29 
事件の表示 特願2017-510279「かみそりカートリッジ及びこれを利用したかみそり」拒絶査定不服審判事件〔平成28年3月3日国際公開、WO2016/032015、平成29年6月8日国内公表、特表2017-514654、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2014年8月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年8月25日(KR)大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成29年 9月 4日付け:拒絶理由通知
同 年 12月12日 :意見書及び手続補正書の提出
平成30年 1月29日付け:拒絶理由通知(最後)
同 年 5月 2日 :意見書及び手続補正書の提出
同 年 7月 9日付け:平成30年5月2日の手続補正書でした 補正の却下の決定
同 年 7月 9日付け:拒絶査定
同 年 11月19日 :審判請求と同時に手続補正書の提出
同 年 12月26日 :前置報告

第2.原査定の概要
本願の審査において、審査官は、平成30年5月2日の手続補正書でした手続補正を独立特許要件に違反するとして却下するとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)をした。
1.平成30年5月2日の手続補正書でした補正の却下の決定の概要は、次のとおりである。

理由.
請求項1についての補正は限定的減縮を目的としている。この場合、補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
この点について検討すると、平成30年5月2日の手続補正書により補正された請求項1に係る発明は、以下の引用文献1及び5に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、当該補正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

2.原査定の概要は、次のとおりである。

理由1.(新規性)平成29年12月12日の手続補正書により補正された請求項1、8及び9に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)平成29年12月12日の手続補正書により補正された請求項1ないし9に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表2009-542305号公報
2.特表2012-502779号公報
3.特表2007-525310号公報(周知技術を示す文献)
4.特表平9-502912号公報(周知技術を示す文献)
5.特表2012-517274号公報(補正の却下の決定で新たに引 用された文献)

第3.本願発明
本願請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、平成30年11月19日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ガード及びキャップを備えるハウジングと、
前記ガードと前記キャップとの間で前記ハウジング内に取り付けられ、基底部と、前記基底部の一端から折れ曲がって延長された折曲部と、前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成されるエッジ部を含む、0.05mmないし0.1mmの厚さに形成されている複数のかみそりの刃を含み、
前記折曲部の厚さは、前記基底部の厚さよりも小さく形成され、
前記基底部と前記エッジ部とがなす角度は、105度ないし115度に形成され、
前記カッティングエッジ、前記折曲部、及び前記基底部は、前記かみそりの刃の幅方向に対し、中間部分が両側端部よりも剃毛方向に向かって突出したアーチ型構造に形成され、
前記折曲部は、内部曲率半径(R)が0.45mmより大きく0.9mmより小さく形成され、
前記基底部の前面に延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし0.75mmの範囲内に形成され、
前記複数のかみそりの刃は、
互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点との間の距離で定義されるオーバーラップサイズLが0より大きく0.5mm以下の範囲内に形成される、かみそりカートリッジ。
【請求項2】
前記複数のかみそりの刃は、
前記ガードと隣接した少なくとも2枚のかみそりの刃を含む第1かみそりの刃グループと、
前記キャップと隣接した少なくとも2枚のかみそりの刃を含む第2かみそりの刃グループを含み、
前記第1かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLは、
前記第2かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLより小さく形成される、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項3】
前記第1かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLは同一であり、
前記第2かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLは同一である、請求項2に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項4】
前記第1かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLは同じであり、
前記第2かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLはキャップ方向に行くほど大きくなるように形成される、請求項2に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項5】
前記第1かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLは前記キャップ方向に行くほど大きくなるように形成され、
前記第2かみそりの刃グループのかみそりの刃の上に形成される前記オーバーラップサイズLはキャップ方向に行くほど大きくなるように形成される、請求項2に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項6】
前記複数のかみそりの刃のうち前記ガードに隣接したかみそりの刃のカッティングエッジと前記ガードとの離隔距離は0.1mmないし0.8mmの範囲内に形成され、
前記複数のかみそりの刃のうち前記キャップに隣接したかみそりの刃のカッティングエッジと前記キャップとの離隔距離は0.5mmないし2.5mmの範囲内に形成される、
請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項7】
前記オーバーラップサイズLは0.01mmないし0.25mmの範囲内に形成される、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項8】
前記かみそりカートリッジは、3ないし10枚の前記かみそりの刃を含む、請求項1に記載のかみそりカートリッジ。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちいずれか一項のかみそりカートリッジと、
前記かみそりカートリッジと結合されるハンドルを含む、かみそり。」

第4.引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面(【図1】、【図4】、【図5】、【図6】を参照。)とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審が付したものである。

ア.「【技術分野】
【0001】
本発明はかみそりに係り、さらに詳しくは、洗浄性、剃味性能、安定性および作動性を向上させることのできるかみそりに関する。」

イ.「【0013】
図2に示すように、前記カートリッジ100は、矩形フレーム状のカートリッジボディ110と、前記カートリッジボディ110に左右方向に沿って設けられるブレード120(図1参照)と、前記カートリッジボディ110の左右側フレーム111、113の上に形成されて前記ブレード120の左右側の両端を固定する側面固定スロット115と、前記カートリッジボディ110の上下部フレーム112、114を連結する支持体116と、前記支持体116の上に形成されて前記ブレード120の一部を固定する内側固定スロット117と、前記ハンドルアセンブリー200とフロントヒンジ方式により結合するためにヒンジ溝119を有するヒンジ部118と、を備えてなる。」

ウ.「【0018】
また、図4に示すように、前記ブレード120は、前記カートリッジボディ110の上下方向に沿って可変の間隔をあけて複数設けられる。すなわち、前記ブレード120は前記カートリッジボディ110の上下方向に沿って一定の間隔をあけて複数設けられていてもよく、異なる間隔をあけて複数設けられていてもよい。
このとき、前記内側固定スロット117は前記ブレード120の取付枚数と取付間隔に対応するように形成され、前記側面固定スロット115もまた前記ブレード120の取付枚数と取付間隔に対応するように形成される。
すなわち、前記カートリッジボディ110に前記ブレード120を複数設ける場合、前記側面固定スロット115と前記内側固定スロット117を介して前記ブレード120を可変の間隔をあけて正確に複数設けることができる。
【0019】
一方、図4及び図5に示すように、前記ブレード120の前方部はブレード120の後方部から一体に下向きに折り曲げられる。
ここで、前記ブレード120は、通常、打抜き、熱処理、研磨、コーティング、折り曲げなどの順序に製造可能である。
このとき、前記ブレード120は適切な長さと厚さを有するように形成されるが、概ね総長は3.0?4.0mmに形成され、厚さは0.075?0.15mmに形成されてもよい。
また、前記ブレード120の前方部は適切な長さと角度で下向きに折り曲げられるが、概ね折り曲げられた長さは0.6?1.0mmに形成され、折り曲げられた角度αは後方部から108°?115°程度の角度をなすことが好ましい。
【0020】
そして、柔軟な髭剃りのために前記ブレード120を複数設ける場合、この実施形態によるブレード120は前方部が後方部から一体に下向きに折り曲げられることによりブレード120同士の間隔Sを種々に自由に形成することができる。
すなわち、この実施形態によるブレード120は前方部が後方部から一体に下向きに折り曲げられることにより髭剃り時に発生するスラッジがブレード120の連続する面に沿って流動するため、ブレード120同士の間隔Sを狭く形成して多量のひげを容易に切削しながらもスラッジを円滑に排出することができる。例えば、前記ブレード120同士の間隔Sは略0.7?1.5mmに種々に且つ自由に形成することができる。
【0021】
このとき、前記ブレード120の前方部が下向きに折り曲げられることにより、前記ブレード120の前方部同士の間隔は前記ブレード120の後方部同士の間隔よりも小さく形成される。
このため、前記ブレード120により切削されたひげとその他の異物よりなるスラッジが前記ブレード120の前方部から後方部に向かって円滑に流動することにより、かみそりの洗浄性をなお一層向上させることができる。」

エ.「【符号の説明】
【0028】
100 カートリッジ
110 カートリッジボディ
111 左側フレーム
112 上部フレーム
113 右側フレーム
114 下部フレーム
115 側面固定スロット
116 支持体
117 内側固定スロット
118 ヒンジ部
119 ヒンジ溝
120 ブレード
200 ハンドルアセンブリー
210 ハンドルボディ
216 弾性部
218 ヒンジ部
219 ヒンジ突起」

(2)引用文献1に記載された技術的事項
これらの記載事項及び図示事項から、引用文献1には,以下のア.及びイ.の技術的事項が記載されているということができる。
ア.段落【0018】の「図4に示すように、前記ブレード120は、前記カートリッジボディ110の上下方向に沿って可変の間隔をあけて複数設けられる。」との記載、及び段落【0019】の「図4及び図5に示すように、前記ブレード120の前方部はブレード120の後方部から一体に下向きに折り曲げられる。」との記載、並びに【図4】及び【図5】の図示事項によれば、ブレード120の後方部はカートリッジボディ11に設けられること、ブレード120の後方部とブレード120の前方部との間にはブレード120の後方部から折れ曲がって延長された折曲部を有すること、及び、ブレード120の前方部の端部には、カッティングエッジが形成されていることが理解できる。

イ.【図4】の図示事項から、互いに隣接した2枚のブレード120のうち下方のブレード120の後方部の下面から延長された直線と、上方のブレード120の前方部とが、オーバーラップしていることが見て取れる。

(3)引用発明
上記(1)の記載事項及び上記(2)の技術的事項を技術常識を参酌して整理すると,引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。

「下部フレーム114及び上部フレーム112を備えるカートリッジボディ110と、
前記下部フレーム114と前記上部フレーム112との間で前記カートリッジボディ110内に取り付けられ、後方部と、前記後方部の一端から折れ曲がって延長された折曲部と、前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成される前方部を含む、0.075?0.15mmの厚さに形成されている複数のブレード120を含み、
前記後方部と前記前方部とがなす角度αは、108°?115°に形成され、
前記複数のブレード120は、
互いに隣接した2枚のブレード120のうち下方のブレード120の後方部の下面から延長された直線と上方のブレード120の前方部とがオーバーラップしている、カートリッジ100。」 (以下、「引用発明」という。)

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面(【図2】を参照。)とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)。
ア.「【0013】
本明細書に詳述されている本発明の実施形態では、ブレード間スパン(S_(IB))は相互に等しい可能性が高い。図2に示されているように、5つの細長いブレードアセンブリが存在するケースでは、第1のブレード間スパン(すなわち、ガードに最も近い主要なブレードアセンブリと、次の第2のブレードアセンブリとの間のスパン)S_(1)、第2のブレード間スパンS_(2)、第3のブレード間スパンS_(3)及び第4のブレード間スパンS_(4)はそれぞれ相互に等しい。少なくとも4つ又は5つのブレードアセンブリが存在するケースでは、ブレード間スパンS_(IB)は、約0.85mm以下、0.8mm以下、0.75mm以下、0.7mm以下、0.65mm以下、0.6mm以下、0.55mm以下、0.5mm以下、0.45mm以下である。他のケースでは、ブレード間スパンは、かみそりカートリッジの累積スパンにわたって異なってよい。例えば、図2の5つのブレードアセンブリの実施形態では、S_(1)は、S_(2)、S_(3)及びS_(4)のそれぞれよりも広くてもよく、これらの4つのスパンは、相互に等しくても相互に異なっていてもよい。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面(【図3】を参照。)とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)。
ア.「【0010】
図3?図6を参照すると、各細長いブレード28は、細長い下部基部部分402、細長い曲がった部分404、及びブレード28が支持される細長い台部分406を有する、各々の細長い曲がった支持体400上で支持されるのが見られる。ブレードの間隔は、皮膚に接触する要素とブレード縁部との間で伸びる接線に沿って測定されるとき、ブレード縁部から、その縁部のすぐ前の、皮膚に接触する要素までの距離として規定される。各ブレードの刃先406は、ブレード間隔の距離S2=S3=S4=S5で、隣接するブレードの刃先408から分離し;ブレード間隔は、0.95mm?1.15mm、好ましくは1.0mm?1.1mm、最も好ましくは約1.05mmである。ブレードの露出は、ブレード縁部のすぐ前のブレードユニット要素の皮膚に接触する面と、すぐ後ろのブレードユニット要素の皮膚に接触する面とに接線方向である平面に対して測定される、ブレード縁部の垂直の距離又は高さであると規定される。刃先は全て、静止しているときクリップ32に支えられているので、それらは共通の平面内にあって、3枚の中間ブレードの露出はゼロである。前側のブレード28は、-0.04mmの負の露出を有し、最後のブレード28は、正の露出を有する。第1のブレード上の減少した露出と、最後のブレード上の増大した露出により、改善された剃毛性能がもたらされるが、それが米国特許第6,212,777号に記載されている。前側のレール409から前側のブレード28の刃先までの間隔S1は、0.65mmであり、また最後のブレード28の刃先からキャップ24の潤滑ストリップ26上の接点までの距離SCは、3.16mmである。」

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面(【図1】を参照。)とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献4に記載された技術的事項」という。)。
ア.「第1図の刃ユニットにおいて、3つの刃全部の縁部は、共通の平面Pにあり、この平面はガード及びキャップの皮膚係合面に正接され、従って刃の露出を特定する『露出面』を構成する。事実、この露出値は3つの刃11,12,13の各々においてゼロに等しい。第1の刃11の幅S1は、0.5乃至1.5mmであり、0.70mmにほぼ等しい。第2の刃12の幅S2及び第3の刃13の幅S3は、1.0乃至2.0mmの範囲の値にある。それらは1.50mmに等しい値を有するように示されている。第3の刃の縁部は、キャップの前方にそこからほぼ1.80mmに等しい距離S4にある。第1の刃がゼロの露出値であり、第3の刃がゼロの露出値であるまで、この実施例は、双方の刃の露出値が本発明によって提案された制限内にある構成を示している。それにもかかわらず、刃ユニットは、ひげそり特性を考慮した承諾できる全体性能で達成されるひげそりの密着性に関して非常に良好なひげそりを行うことができる。」(公報7ページ11ないし22行)

5.引用文献5について
平成30年5月2日の手続補正書でした補正の却下の決定、及び前置報告書において引用された引用文献5には、図面(【図5】ないし【図7】を参照。)とともに次の事項が記載されている(以下、「引用文献5に記載された技術的事項」という。)。
ア.「【0034】
図5は前記図4のA部分を拡大して示し、図6はエッジ部42のみをさらに拡大して示し、図7はかみそり刃を上から見た上面図である。
【0035】
エッジ部42は、図6に示すように、前面部424が突出し、背面部426が凹形に形成されている。かみそり刃をこのような曲面構造に形象化する場合、シェービングの時かみそり刃のカッティングエッジに加えられる圧力が分散されるので、かみそり刃が薄くなってもかみそり刃の剛性を保持することができてかみそり刃が容易に変形されることを防止することができる。
【0036】
即ち、図7に示すように、カッティングエッジ422に力Fが加えられると、曲面に沿って上と下に力Fu、Fdが分散されるので、かみそり刃が薄くなっても剛性を保持することができる。」

第5.対比及び判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「下部フレーム114」は、本願発明1の「ガード」に相当し、以下、同様に、「上部フレーム112」は「キャップ」に、「カートリッジボディ110」は「ハウジング」に、「カートリッジ100」は「かみそりカートリッジ」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「ブレード120」は、本願発明1の「かみそりの刃」に相当し、以下、同様に、「(ブレード120の)後方部」は「(かみそりの刃9の)基底部」に、「(ブレード120の)前方部」は「(かみそりの刃9の)エッジ部」に、「(ブレード120の後方部と前方部とがなす)角度α」は、「(かみそりの刃の基底部とエッジ部とがなす)角度」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「互いに隣接した2枚のブレード120のうち下方のブレード120の後方部の下面から延長された直線と上方のブレード120の前方部とがオーバーラップしている」は、「互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点を含むエッジ部とがオーバーラップしている」ことを限度として、本願発明1の「互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点との間の距離で定義されるオーバーラップサイズLが0より大きく0.5mm以下の範囲内に形成される」と共通する。

よって、本願発明1と引用発明は、次の点で一致及び相違する。

<一致点>
「ガード及びキャップを備えるハウジングと、
前記ガードと前記キャップとの間で前記ハウジング内に取り付けられ、基底部と、前記基底部の一端から折れ曲がって延長された折曲部と、前記折曲部の一端から延長され、一端にカッティングエッジが形成されるエッジ部を含む、0.075mm以上の厚さに形成されている複数のかみそりの刃を含み、
前記折曲部の厚さは、前記基底部の厚さよりも小さく形成され、
前記基底部と前記エッジ部とがなす角度は、108度ないし115度に形成され、
前記複数のかみそりの刃は、
互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点を含むエッジ部とがオーバーラップしている、かみそりカートリッジ。」

<相違点1>
本願発明1は、「かみそりの刃」の厚さが「0.05mmないし0.1mm」であるのに対し、引用発明は、ブレード120(本願発明1の「かみそり刃」に相当。)の厚さが0.075?0.15mmである点。

<相違点2>
本願発明1は、「折曲部の厚さ」は「基底部の厚さよりも小さく形成され」、また、「折曲部は、内部曲率半径(R)が0.45mmより大きく0.9mmより小さく形成され」ているのに対し、引用発明は、折曲部の厚さが、後方部(本願発明1の「基底部」に相当。)の厚さよりも小さく形成されているかどうか明らかでなく、折曲部の内部曲率半径も明らかでない点。

<相違点3>
本願発明1は、「前記カッティングエッジ、前記折曲部、及び前記基底部は、前記かみそりの刃の幅方向に対し、中間部分が両側端部よりも剃毛方向に向かって突出したアーチ型構造に形成され」るのに対し、引用発明は、かかる構成を有しない点。

<相違点4>
本願発明1は、「前記基底部の前面に延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし0.75mmの範囲内に形成され」、「互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点との間の距離で定義されるオーバーラップサイズLが0より大きく0.5mm以下の範囲内」であるのに対し、引用発明は、後方部の底面に延長された直線とカッティングエッジとの端点との距離(本願発明1の「基底部の前面に延長された直線とカッティングエッジの端点との第1離隔距離X」に相当。)は不明であるから、その数値が0.3mmないし0.75mmの範囲内であるかどうか明らかでなく、また、オーバーラップのサイズも不明であるから、その数値が0より大きく0.5mm以下の範囲内であるかどうか明らかでない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討する。
「前記基底部の前面に延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし0.75mmの範囲内に形成され」、「互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点との間の距離で定義されるオーバーラップサイズLが0より大きく0.5mm以下の範囲内」である点については、引用文献2ないし5には、記載も示唆もない。
そして、「前記基底部の前面に延長された直線と前記カッティングエッジの端点との第1離隔距離Xが0.3mmないし0.75mmの範囲内に形成され」ることと、「互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点との間の距離で定義されるオーバーラップサイズLが0より大きく0.5mm以下の範囲内」であることとは、一体不可分の事項であるとともに、それにより相乗効果を奏するものである。つまり、本願発明は、相違点4に係る発明特定事項を具備することにより、本願明細書の段落【0055】に「前記第1離隔距離Xが0.3mmないし0.75mmである場合、他の数値範囲より優れた洗浄効率を示す」と記載され、また、同段落【0072】に「したがって、かみそりの刃200は基底部230の前面で縦方向に沿って延長された仮想の直線とカッティングエッジ211の端点との第1離隔距離Xが相対的に短い0.3mmないし1.0mmで形成されると、互いに隣接した2枚のかみそりの刃のうち前方のかみそりの刃の基底部の前面から延長された直線と後方のかみそりの刃のカッティングエッジの端点間の距離で定義されるオーバーラップサイズLが相対的に短い0より大きく0.5mm以下の範囲(0<L≦0.5mm)内に形成される。これによって、ハウジング100に多少多くのかみそりの刃200を取り付けて狭いスパンSnが実現されても、オーバーラップサイズLが小さく形成され得るため、かみそりの洗浄効率を維持または向上することができる。」と記載されるとおりの効果を奏するものとして技術的意義を有するものであって、設計的事項ということもできない。
したがって、相違点4に係る発明特定事項を具備する本願発明1は、相違点1ないし3を検討するまでもなく、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2ないし9について
本願発明2ないし9は、本願発明1を直接的または間接的に引用するものであって、本願発明1の発明特定事項を全て有する。よって、上記1.(2)に示す理由と同様の理由により、本願発明2ないし9は、引用発明及び引用文献2ないし5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第6.原査定について
平成30年11月19日の手続補正により補正された請求項1ないし9に係る発明は、上記第5.で検討した相違点4に係る発明特定事項を備えるものであって、この発明特定事項を備えるものは、上記のとおり、原査定において引用された引用文献1ないし4には記載も示唆もされていないし、設計的事項ということもできない。
よって、平成30年11月19日の手続補正により補正された請求項1ないし9に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるとはいえず、また、引用文献1及び2に記載された発明、周知技術を示す文献として提示された引用文献3及び4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7.むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-10-17 
出願番号 特願2017-510279(P2017-510279)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B26B)
P 1 8・ 113- WY (B26B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲葉 大紀  
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 中川 隆司
栗田 雅弘
発明の名称 かみそりカートリッジ及びこれを利用したかみそり  
代理人 八田国際特許業務法人  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  
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