• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06F
管理番号 1355991
異議申立番号 異議2019-700545  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-11 
確定日 2019-10-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第6454440号発明「ドキュメント作成支援システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6454440号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第6454440号の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成30年7月23日に特許出願され、平成30年12月21日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人寺尾康典により特許異議の申立てがされたものである。

第2.本件発明
特許第6454440号の請求項1?9の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
1又は複数の要素からなるパーツを記憶するパーツ記憶手段と、
ドキュメントごとに、前記パーツの配列順序又は階層関係を規定したマップ情報を記憶するマップ情報記憶手段と、
前記パーツ記憶手段のパーツ及び前記マップ情報記憶手段のマップ情報に基づいて、前記パーツを構造化した構造化データを生成する構造化データ生成手段と、
前記パーツのレイアウトを規定したレイアウトテンプレートを記憶するテンプレート記憶手段と、
前記構造化データ生成手段で生成した構造化データ及び前記テンプレート記憶手段のレイアウトテンプレートに基づいて前記ドキュメントを生成するドキュメント生成手段と、
アクセス制御情報を記憶するアクセス制御情報記憶手段と、
前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、複数の前記ドキュメントで共用される前記パーツ又は前記要素に対するアクセスを制御するアクセス制御手段とを備え、
前記アクセス制御手段は、複数の前記ドキュメントで前記パーツが共用される場合、当該複数のドキュメントのすべてに対して出力、更新又は作成を含むアクセスの許可が設定されることを条件に、当該パーツに対する当該アクセスを許可することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記アクセス制御情報は、前記パーツごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス設定を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記パーツごとに、当該パーツの出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項において、
前記アクセス制御情報は、前記要素ごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス設定を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記要素ごとに、当該要素又はこれを利用するパーツの出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記パーツは、用語からなる前記要素を含み、
前記アクセス制御情報は、前記用語ごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス設定を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記用語ごとに、当該用語又はこれを利用するパーツの出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記パーツには、当該パーツの属性に関する属性情報が対応づけられ、
前記アクセス制御情報は、前記属性ごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス設定を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記属性ごとに、当該属性を有するパーツの出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記アクセス制御情報は、前記ドキュメントごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス設定を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記ドキュメントごとに、当該ドキュメントで利用されるパーツの出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
前記ドキュメントには、当該ドキュメントのカテゴリに関するカテゴリ情報が対応づけられ、
前記アクセス制御情報は、前記カテゴリごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス設定を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記カテゴリごとに、当該カテゴリに属するドキュメントで利用されるパーツの出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項において、
前記ドキュメントには、当該ドキュメントを利用する企業に関する企業情報が対応づけられ、
前記アクセス制御情報は、前記企業ごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス設定を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記企業ごとに、当該企業に属するドキュメントで利用されるパーツの出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項において、
前記アクセス制御情報は、ユーザ又は前記ユーザが属するグループごとに出力、更新又は作成の可否に関するアクセス権限を含み、
前記アクセス制御手段は、前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、前記ユーザ又は前記グループごとに、前記パーツ又は前記要素の出力、更新又は作成の可否を制御することを特徴とするドキュメント作成支援システム。」

第3.申立理由の概要
特許異議申立人寺尾康典は、甲第1号証として、特開2001-331481号公報を、甲第2号証として、「業務システムのためのユーザーマニュアル作成ガイド」(黒田聡、他著、株式会社翔泳社発行、2009年1月28日)を、甲第3号証として、特開平11-25076号公報を、甲第4号証として、特表2011-526032号公報を、甲第5号証として、「JIS システム及びソフトウエア技術-製品ライフサイクル,利用者及びサービスマネージメントの文書化のためのコンテンツ管理」(日本規格協会発行、平成30年3月20日官報公示)を、甲第6号証として、特開2005-10988号公報を提出し、請求項1?9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?9に係る特許を取り消すべきものである旨(以下、「理由1」という。)、及び「前記アクセス制御手段は、複数の前記ドキュメントで前記パーツが共用される場合、当該複数のドキュメントのすべてに対して出力、更新又は作成を含むアクセスの許可が設定されることを条件に、当該パーツに対する当該アクセスを許可する」という記載について,明細書では発明を実施できる程度に記載されていないし、サポートされていないとして、特許法第36条第4項第1号及び特許法第36条第6項第1号の要件を満たしていない旨(以下、「理由2」という。)主張している。

第4.刊行物の記載
1 甲第1号証
(1)甲第1号証には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様)。
「【請求項1】文書作成の要求仕様を入力する入力機能部と、該要求仕様に合った文書を作成して所定の形態に纏めるまでの処理を行う文書作成機能部と、作成された文書を出力するための出力機能部から構成された文書作成装置において、文書の全体構造を表現する文書骨組み構造体のデータを作成して保管し、あるいはまた既に作成済みの文書データを保管管理するための文書構造体データ管理機能部と、前記文書骨組み構造体に埋め込んで、文書に仕上げるための文書断片に相当する文章要素片データを作成して保管し、または作成済みの前記文章要素片を修正、訂正、あるいは置換し、あるいは削除するなどの処理を行う文章要素片データ管理機能部を設け、これら二つのデータ管理機能部のデータを使って文書を作成することを特徴とする文書作成装置。」

(2)上記(1)からみて、甲第1号証には,次のとおりの発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「文書の全体構造を表現する文書骨組み構造体のデータを作成して保管する文書構造体データ管理機能部と、前記文書骨組み構造体に埋め込んで、文書に仕上げるための文書断片に相当する文章要素片データを作成して保管する文章要素片データ管理機能部を設け、これら二つのデータ管理機能部のデータを使って文書を作成することを特徴とする文書作成装置」

2 甲第2号証
(1)甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「修正を繰り返す作業を省く(構造化+部品化)
同じ文章が複数の場所で使われている場合に修正を繰り返す作業を省くこと。そして、過去の文章を再利用することによって新たに作り直す作業を省くこと。このためには構造化に加えて、文章を部品化する必要があります。」(第202頁17?20行目)
イ 「データの仕組みを構造化する
文章のデータには、論理的に次の2つが含まれています。
・コンテンツそのものである「内容情報」
・レイアウトなどの体裁である「書式情報」」(203頁第6?9行目)

(2)上記(1)からみて、甲第2号証には次の事項が記載されている。
「文書を構造化し、部品化することで文書管理の効率化を図ること。」及び
「構造化文書が論理的にコンテンツそのものである「内容情報」とレイアウトなどの体裁である「書式情報」を含むこと」

3 甲第3号証
(1)甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 構造化された文書を格納する記憶部と、
前記文書をアクセスする権利を取得するためのアクセス者IDが入力され、該文書を表示するとともに該文書の編集操作が行われる表示編集部と、
前記表示編集部が前記文書をアクセスする権利を、該文書の各構造化部分毎に、かつ、アクセス者ID毎に設定するアクセス権設定手段と、
前記文書の、前記表示編集部から入力されたアクセス者IDに応じた、アクセスを許容する旨設定された構造化部分のみ、該表示編集部からのアクセスを許可するアクセス許可手段とを備えたことを特徴とする文書管理装置。」
イ 「【0009】ここで、本発明は、「構造化された文書」、例えば、章や節や段落等に分けられる文書を取り扱うものであり、上記の「文書の構造化部分」とは、その文書を、章や節や段落等に分けたときの各部分をいい、その文書部分の文章の長さや内容に増減があっても同じ構造化部分として扱われる単位をいう。本発明の文書管理装置は、構造化された文書を取り扱い、その文書の各構造化部分毎にアクセス権を設定するものであるため、ファイルを複数に分けることなく、また文書の各部分の文章の長さに増減が生じてもアクセス権が文書の各部分に適切に設定される。」

(2)上記(1)からみて、甲第3号証には次の事項が記載されている。
「構造化された文書の各構造化部分毎にアクセス権を設定すること」

4 甲第4号証
(1)甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0002】
ドキュメントのマルチユーザー編集作業を支援するシステムにおいてさえ、ユーザーは通常、ユーザーの編集がそのドキュメントを編集している他の人にいつ示されるのか制御できない。さらに、どのユーザーがそのドキュメントの特別な箇所を作業しているのか明確にすることが困難になり、それによって、ドキュメントに加えられた変更に食い違いが生じかねない。」
イ 「【0021】
例示のドキュメント200の各セクションと、そのセクションを現在共同オーサリングしているユーザー名を表示する例示のユーザー制御222?232が並んでいる。例示のドキュメント200は、ドキュメントセクションに対して各ユーザーのアクセス許可を表示する例示のアクセス制御242?252と、ユーザーがそのドキュメントセクションに対し1つ以上の特定動作をとれるようにする例示の動作制御282?292とを含む。特定動作は、別のユーザーへのドキュメントセクションの割当て、校閲したドキュメントのマーキング、完了したドキュメントセクションのマーキング、等を含んでいる。さらに、例示のドキュメント200は、ドキュメントのセクションに対して、アクセス許可を動的に変更する規則を定義する例示の動的制御262?272も含む。制御の他の機能も可能である。制御は、テキストボックス、リストボックス、プルダウンリストボックス、アイコン、その他の適切な任意のユーザーインターフェイス制御形式を含んでも良い。」

(2)上記(1)からみて、甲第4号証には次の事項が記載されている。
「ドキュメントに加えられた変更に食い違いが生じることを抑制するために、各ユーザーのアクセスの許可を表示し、ユーザーがドキュメントセクションに対し1つ以上の特定動作をとれるようにすること」

5 甲第5号証
(1)甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
「12.6.1 構成要素コンテンツ管理システムの利用者運用管理
CCMSは、利用者及び利用者に関連する特性の生成、変更、及び削除を考慮しておかなければならない。CCMSの利用者は、コンテンツの生成、編集、及び配布に参加する個人である。
CCMSは、次を行うことが望ましい。
- 利用者のアクセス水準に適応した使用体験を提供するために、機能をオン及びオフ(又は表示及び非表示)できる十分に柔軟なプログラミングモデル及びインタフェースをもつ。
- 構成要素への個別又は型によるアクセスを許可又は拒否するのに十分柔軟なCCMS構造をもつ。
- CCMSの機能及び構成要素へのアクセスが、それぞれのアクセス水準に対して保証又は拒否できるようなアクセス水準の定義を考慮する。
- 利用者へのアクセス水準の割り当て又は削除を許す。」(第39頁22?31行目)

(2)上記(1)からみて、甲第5号証には次の事項が記載されている。
「構成要素コンテンツ管理システムの利用者運用管理として、構成要素への個別又は型によるアクセスを許可又は拒否する十分柔軟なCCMS構造をもつこと」

6 甲第6号証
(1)甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
「【0003】
こうしたドキュメント管理システムは、その内部に大量のドキュメントを保持することとなることが想定され、また、多数のユーザが利用することとなることも想定される。そこで従来から、各ドキュメントをユーザからの指定により複数のカテゴリにグループ分けすることが行われている。このカテゴリは、例えば「稟議書」のグループであるとか、「スケジュール」のグループであるといったようにドキュメントの利用目的などで構成されるのが一般的である。
【0004】
また、このカテゴリを単に、ドキュメントをユーザが見つけやすくするためだけでなく、カテゴリごとにアクセス権(参照権、削除権等)を設定することができるようにして、ドキュメントの管理を容易にしているものもある。」

(2)上記(1)からみて、甲第6号証には次の事項が記載されている。
「ドキュメントのカテゴリごとにアクセス権を設定すること」

第5.判断
1 理由1(特許法29条第2項)について
(1)請求項1に係る発明について
ア 請求項1に係る発明と甲1発明との対比
甲1発明の「文書の全体構造を表現する文書骨組み構造体のデータ」、「文書要素片データ」、「文書」は、それぞれの機能からみて、請求項1に係る発明の「マップ情報」、「パーツ情報」、「構造化データ」に相当する。
甲1発明の「文書構造体データ管理機能部」及び「文章要素片データ管理機能部」は、「文書の全体構造を表現する文書骨組み構造体のデータ」又は「文書要素片データ」を保管するものであって、文章構造体は、「ドキュメントごとに、前記パーツの配列順序又は階層関係を規定した」ものであるといえるから、請求項1に係る発明の「マップ記憶手段」及び「パーツ記憶手段」に相当する。
さらに、甲1発明の「文書構造体データ管理機能部」及び「文章要素片データ管理機能部」は、「文書の全体構造を表現する文書骨組み構造体のデータ」又は「文書要素片データ」を作成するから、請求項1に係る発明の「前記パーツ記憶手段のパーツ及び前記マップ情報記憶手段のマップ情報に基づいて、前記パーツを構造化した構造化データを生成する構造化データ生成手段」に相当する。
甲1発明の「文書作成装置」は、パーツを使用して文書作成を利便化するためのものであるから、請求項1に係る発明の「ドキュメント作成支援システム」と共通する。
そうすると、甲第1号証と請求項1に係る発明との一致点と相違点は以下のとおりである。

(一致点)
「1又は複数の要素からなるパーツを記憶するパーツ記憶手段と、
ドキュメントごとに、前記パーツの配列順序又は階層関係を規定したマップ情報を記憶するマップ情報記憶手段と、
前記パーツ記憶手段のパーツ及び前記マップ情報記憶手段のマップ情報に基づいて、前記パーツを構造化した構造化データを生成する構造化データ生成手段と、
を備えたドキュメント作成支援システム」

(相違点1)
請求項1に係る発明では、「前記パーツのレイアウトを規定したレイアウトテンプレートを記憶するテンプレート記憶手段」と「 前記構造化データ生成手段で生成した構造化データ及び前記テンプレート記憶手段のレイアウトテンプレートに基づいて前記ドキュメントを生成するドキュメント生成手段」を有しているのに対して、甲1発明はこのような構成を有していない点。
(相違点2)
請求項1に係る発明では、「アクセス制御情報を記憶するアクセス制御情報記憶手段」と「 前記アクセス制御情報記憶手段のアクセス制御情報に基づいて、複数の前記ドキュメントで共用される前記パーツ又は前記要素に対するアクセスを制御するアクセス制御手段」とを備えていて、「前記アクセス制御手段は、複数の前記ドキュメントで前記パーツが共用される場合、当該複数のドキュメントのすべてに対して出力、更新又は作成を含むアクセスの許可が設定されることを条件に、当該パーツに対する当該アクセスを許可」するのに対して、甲1発明はこのような構成を有していない点。

イ 相違点の検討
(ア)相違点1について
甲第2号証に記載された「レイアウト」は文章全体のレイアウトであって、雛形を表すテンプレートではないことから、甲第2号証の記載を適用しても相違点1に関する請求項1に係る発明の構成には至らない。
また、甲第3?6号証のいずれにもテンプレートについては記載されていない。
仮に、テンプレート自体が周知事項であったとしても、甲1発明にこの周知事項を適用するといった技術的課題がないことから、当業者にとって容易になし得るともいえない。
さらに、甲第2又は3号証に記載された事項に甲1発明又は甲4?6号証を適用したとしても、相違点1に係るテンプレートの構成を導くことができない。

(イ)相違点2について
甲第3号証に記載されたアクセス制限は、文書の章、節、段落に対して付与するアクセス制限であり、文書のパーツや要素に対して付与するものではない。
そうすると、甲1発明に対して、甲第3号証を適用したところで、相違点2に関する請求項1に係る発明の構成には至らない。
また、甲第2、4?6号証のいずれにもパーツや要素に対してアクセス権を付与することは記載されていないし、周知事項であるともいえないとともに、仮に周知事項であったとしても、甲1発明にこの周知事項を適用するといった技術的課題がないことから、当業者にとって容易になし得るともいえない。
さらに、甲第2又は3号証に記載された事項に甲1発明又は甲4?6号証を適用したとしても、相違点2に係る「複数の前記ドキュメントで共用される前記パーツ又は前記要素に対するアクセスを制御する構成を導くことができない。

(ウ)まとめ
以上ア及びイのとおり、相違点1及び2のいずれの点においても、請求項1に係る発明は、上記甲1発明、第2又は3号証に記載された発明、及び第1?6号証に記載された技術的事項から当業者が容易になし得るものではない。

(2)請求項2?9に係る発明について
請求項2?9に係る発明は、上記請求項1に係る発明を更に限定したものであるから、請求項1についての判断と同様の理由により、上記甲1発明、第2又は3号証に記載された発明、及び第1?6号証に記載された技術的事項から当業者が容易になし得るものではない。
以上のとおり、請求項1?9に係る発明は、甲第1?6号証に記載された発明及び技術的事項からから当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 理由2(特許法第36条第4項第1号及び同法第36条第6項第1号)について
「前記アクセス制御手段は、複数の前記ドキュメントで前記パーツが共用される場合、当該複数のドキュメントのすべてに対して出力、更新又は作成を含むアクセスの許可が設定されることを条件に、当該パーツに対する当該アクセスを許可する」という記載は、請求項6の従属項であるが、請求項1のアクセス手段の限定的減縮であると解され、明細書【0126】?【0139】に説明された事項であることから、実施可能要件を満たすものであるし、明細書にもサポートされたものである。
したがって、特許法第36条第4項第1号及び同法第36条第6項第1号の要件を満たしている。

第6.むすび
特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-10-03 
出願番号 特願2018-137823(P2018-137823)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (G06F)
P 1 651・ 121- Y (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 成瀬 博之  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 松田 直也
石川 正二
登録日 2018-12-21 
登録番号 特許第6454440号(P6454440)
権利者 グレイステクノロジー株式会社
発明の名称 ドキュメント作成支援システム  
代理人 渡部 仁  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ