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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C07K
管理番号 1356294
審判番号 訂正2019-390089  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-07-18 
確定日 2019-09-20 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5723392号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5723392号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5723392号は、平成20年7月15日(パリ条約による優先権主張 2007年7月16日 アメリカ合衆国(US)、2008年1月31日 アメリカ合衆国(US)、2008年2月29日 アメリカ合衆国(US)、2008年5月20日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする特願2010-517118号の一部を、特許法第44条第1項の規定により、平成25年1月25日に新たな特許出願(特願2013-12112号)としたものであって、その請求項1?21に係る発明について平成27年4月3日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和1年7月18日に本件の訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、「特許第5723392号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」ものである。

2 訂正の内容
訂正の内容は、下記訂正事項のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1、2、3及び4の「広汎性大細胞リンパ腫」を「びまん性大細胞型リンパ腫」に訂正する。

(2) 訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0024】【図35A】、段落【0024】【図39】、段落【0487】、段落【0491】に記載された「広汎性大細胞リンパ腫」を「びまん性大細胞型リンパ腫」に訂正する。

以下、上記訂正事項1ないし2をまとめて「本件訂正」という。

第3 当審の判断
1 本件訂正の目的について
審判請求人は、本件訂正の目的を「誤訳の訂正」としていることから、本件訂正が誤訳の訂正を目的としたものであるか否かを検討する。

本件特許に係る出願の外国語書面における明細書の段落[0199]及び段落[0791]にて記載されていた「diffuse large cell lymphoma」について、訂正前の明細書における段落【0091】及び段落【0410】では、「びまん性大細胞型リンパ腫」と翻訳していた。
一方、上記外国語書面における明細書の段落[0087]、段落[0091]、段落[0950]、段落[0951]、段落[0969]及び段落[0970]にて記載されていた「Diffuse Large Cell Lymphoma」について、上記訂正前の明細書における段落【0024】の【図35A】、段落【0024】の【図39】、段落【0487】及び段落【0491】では、「広汎性大細胞リンパ腫」と翻訳していた。
そして、審判請求人が審判請求書にて述べるとおり、「diffuse large cell lymphoma」は、「びまん性大細胞型リンパ腫」と翻訳することが一般的であると認められ、上記「Diffuse Large Cell Lymphoma」についても、「diffuse large cell lymphoma」と同義の用語であることは明らかであるから、本来「びまん性大細胞型リンパ腫」と翻訳すべきものであったと判断される。

したがって、本件訂正は、特許法126条1項ただし書き2号に掲げる「誤訳の訂正」を目的とするものであるといえる。

2 願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許に係る出願の願書に最初に添付した外国語書面における明細書の段落[0087]、段落[0091]、段落[0950]、段落[0951]、段落[0969]及び段落[0970]には、「Diffuse Large Cell Lymphoma」が記載されている。そして、本件訂正は、「Diffuse Large Cell Lymphoma」について、「広汎性大細胞リンパ腫」と誤訳されていたものを「びまん性大細胞型リンパ腫」と訂正するものであるから、当該訂正は、願書に最初に添付した外国語書面の明細書に記載した事項の範囲内であり、本件訂正は特許法第126条第5項に適合する。

3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
前記1、2のとおり、本件訂正は誤訳の訂正を目的とするものであって、本件訂正の前後において特許請求の範囲に拡張又は変更はないことから、本件訂正は特許法第126条第6項に適合する。

4 独立して特許を受けることができるものであることについて
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないので、本件訂正は特許法第126条第7項に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおりに審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
抗CD79b抗体及びイムノコンジュゲートとその使用方法
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
米国特許法施行規則1.53(b)の下に出願された本非仮出願は、米国特許法第119条(e)の下に、2007年7月16日に出願の米国仮出願番号第60/950052号、2008年1月31日に出願の米国仮出願番号第61/025137号、2008年2月29日に出願の米国仮出願番号第61/032790号及び2008年5月20日に出願の米国仮出願番号第61/054709号の優先権を主張するものであり、これらは出典明記によって全体に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、哺乳動物の造血系腫瘍の治療のために有用な組成物及び、同目的のための組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
悪性腫瘍(癌)は、米国において心臓疾患に続き第2の主要な死亡原因である(Boring et al.,CA Cancel J.Clin.43:7(1993))。癌は、正常な組織に由来し腫瘍塊を形成するように増殖する異常な又は腫瘍形成性の細胞の数の増加、これらの腫瘍形成性腫瘍細胞による隣接組織の浸潤、及び最終的に血液やリンパ系を介して局所のリンパ節や遠くの部位に転移と呼ばれる過程を介して広がる悪性細胞の生成を特徴とする。癌性状態においては、正常細胞が増殖しない条件下で細胞が増殖する。癌自体は、異なる浸潤及び攻撃性の程度で特徴付けられる広範な種々の形態で顕現する。
リンパ球、白血球、血小板、赤血球及びナチュラルキラー細胞などの血液の細胞成分が生成される過程である造血の間に生成される細胞を伴う癌は、造血系癌と称される。血液及びリンパ組織にみられ、免疫応答に重要であるリンパ球は、2つの主要な種類のリンパ球に分類される。それは、Bリンパ球(B細胞)及びTリンパ球(T細胞)であり、それぞれ体液性及び細胞性の免疫を媒介する。
【0004】
B細胞は骨髄内で成熟し、その細胞表面上に抗原結合抗体を発現する骨髄を放出する。ナイーブB細胞がその膜結合性抗体が特異的である抗原と初めて遭遇すると、細胞は速やかに分離し、その子孫はメモリーB細胞と「プラズマ細胞」と呼ばれるエフェクター細胞に分化する。メモリーB細胞は寿命が長く、元の親細胞と同じ特異性を有する膜結合性抗体を発現し続ける。プラズマ細胞は、膜結合性抗体を発現しない代わりに、分泌型抗体を産生する。分泌された抗体は、体液性免疫の主要なエフェクター分子である。
T細胞は、未成熟なT細胞の増殖及び分化の環境を提供する胸腺で成熟する。T細胞が成熟する間、T細胞では、T細胞レセプターを産生する遺伝子再編成と、成熟T細胞の細胞表面の表現型の決定を助けるポジティブ及びネガティブ選択が行われる。成熟T細胞の特徴的な細胞表面マーカーは、CD3、即ちT細胞レセプター複合体と、コアレセプターの一つであるCD4又はCD8である。
【0005】
癌治療のための有効な細胞標的を発見するために、研究者は、一又は複数の正常な非癌性細胞と比べて、一又は複数のある種の癌細胞の表面に特異的に発現される、膜貫通型あるいは膜結合性のポリペプチドの同定を試みていた。多くは、このような膜結合性のポリペプチドは、非癌性細胞の表面上と比べて、癌細胞の表面上に豊富に発現されている。このような腫瘍関連の細胞表面抗原ポリペプチドの同定は、抗体ベースの治療による破壊のための特異的な癌細胞標的能を引き起こした。この点で、抗体ベースの治療は特定の案の治療に非常に有効であることが明らかであることは注目すべきことである。例えば、ハーセプチン(登録商標)及びリツキサン(登録商標)(いずれもGenentech Inc.,South San Francisco,California)は、それぞれ乳癌及び非ホジキンリンパ腫を治療するために成功裏に用いられている抗体である。より具体的には、ハーセプチン(登録商標)は、ヒト上皮性増殖因子レセプター2(HER2)プロトオンコジーンの細胞外ドメインに選択的に結合する組換えDNA由来のヒト化モノクローナル抗体である。HER2タンパク質過剰発現は原発性乳癌の25?30%に観察される。リツキサン(登録商標)は、正常及び悪性のBリンパ球の表面に見られるCD20抗原に向けられる遺伝学的な操作を施したキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。両方の抗体は、CHO細胞において組み換え製造される。
癌治療のための有効な細胞標的を発見するための他の試みでは、研究者は、(1)一又は複数のある種の非癌性正常細胞と比べて、一又は複数のある種の癌細胞によって特異的に製造される非膜結合性ポリペプチド、(2)一又は複数の正常な非癌性細胞よりも有意に高い発現レベルで癌細胞によって産生されるポリペプチド、又は(3)癌性及び非癌性の状態(例えば正常前立腺及び前立腺腫瘍組織)の単一の(又は非常に限られた数の異なる)組織種のみに発現が特異的に限定されているポリペプチド、の同定を試みていた。このようなポリペプチドは、細胞内に位置し続けているか、又は癌細胞によって分泌されうる。さらに、このようなポリペプチドは、癌細胞自体によってではなく、むしろ癌細胞への増強作用又は増殖亢進作用を有するポリペプチドを産生する及び/又は分泌する細胞によって発現されうる。このような分泌されたポリペプチドは、正常細胞を上回る増殖利点を有する癌細胞を提供するタンパク質であることが多く、例えば血管形成因子、細胞接着因子、増殖因子などのものが含まれる。このような癌の治療のための有効な治療薬として役立てるために、前述の非細胞結合性ポリペプチドのアンタゴニストの同定が期待されるであろう。さらに、これらポリペプチドの発現パターンの同定は、哺乳動物の特定の癌の診断に有用であろう。
【0006】
哺乳動物の癌治療において上記のような進歩があるにもかかわらず、哺乳動物の腫瘍の存在を検出することが可能な更なる治療薬及び、効果的に腫瘍細胞の増殖を阻害するための治療薬がそれぞれ求められている。したがって、癌性及び非癌性の状態の単一の(又は非常に限られた数の異なる)造血系組織のみに発現が特異的に限定されているポリペプチド、細胞膜結合性、分泌性ないしは細胞内のポリペプチドを同定すること、そして、哺乳動物の造血系癌の治療的処置及び/又は検出に有用な組成物を製造するためのこれらポリペプチド及びコード核酸の使用が、本発明の目的である。
CD79は、CD79a(Igα、mb-1)及びCD79b(Igβ、B29)を含有する共有結合性ヘテロ二量体からなるB細胞レセプターのシグナル伝達構成成分である。CD79a及びCD79bは、各々細胞外イムノグロブリン(Ig)ドメイン、膜貫通領域及び細胞内シグナル伝達ドメイン、イムノレセプターチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)ドメインを含有する。CD79はB細胞上及び非ホジキンリンパ腫細胞(NHL)において発現される(Cabezudo et al.,Haematologica,84:413-418(1999);D’Arena et al.,Am.J.Hematol.,64:275-281(2000);Olejniczak et al.,Immunol.Invest.,35:93-114(2006))。CD79a及びCD79b及びsIgのすべては、CD79の表面発現に必要である(Matsuuchi et al.,Curr.Opin.Immunol.,13(3):270-7))。NHL上のCD79bの平均表面発現は、正常なB細胞上の平均表面発現と同程度であるが、範囲は広い(Matsuuchi et al.,Curr.Opin.Immunol.,13(3):270-7(2001))。
【0007】
CD79bの発現があれば、特に慢性的な治療のために患者に投与した際に抗原性が最小であるか又は全くないCD79b抗原に対する治療的抗体を製造することが有益である。本発明はこれ及び他の必要を満たすものである。本発明は、現在の治療的組成物の制限を克服する抗CD79b抗体を提供し、並びに以下の詳細な説明から明白となる更なる利点を示す。
細胞障害性又は細胞分裂停止性の薬剤、つまり、癌の治療において腫瘍細胞を殺す又は阻害するための薬剤の局所運搬のために抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)を使う(Lambert,J.(2005)Curr.Opinion in Pharmacology 5:543-549;Wu et al(2005)Nature Biotechnology 23(9):1137-1146;Payne,G.(2003)Cancer Cell 3:207-212;Syrigos and Epenetos(1999)Anticancer Research 19:605-614;Niculescu-Duvaz and Springer(1997)Adv.Drug Del.Rev.26:151-172;米国特許第4975278号)と、薬剤成分を腫瘍へ目的通りに運搬して、そこで細胞内蓄積させることが可能となる。コンジュゲートさせていない薬剤を全身投与すると、排除しようとする腫瘍細胞だけでなく正常な細胞に許容されないレベルの毒性が生じうる(Baldwin et al(1986)Lancet pp.(Mar.15,1986):603-05;Thorpe,(1985)”Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”,Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,A.Pinchera et al(ed.s),pp.475-506)。治療的インデックス、つまりADCの最大の効率及び最小の毒性を改善するための努力は、ポリクローナル抗体(Rowland et al(1986)Cancer Immunol.Immunother.,21:183-87)及びモノクローナル抗体(mAb)の選択、並びに薬剤結合及び薬剤放出性質(Lambert,J.(2005)Curr.Opinion in Pharmacology 5:543-549)に集中していた。抗体薬剤コンジュゲートに用いられる薬剤成分には、ジフテリア毒素などの細菌性タンパク質毒素、リシンなどの植物タンパク質毒素、アウリスタチン、ゲルダナマイシン(Mandler et al(2000)J.of the Nat.Cancer Inst.92(19):1573-1581;Mandler et al(2000)Bioorganic & Med.Chem.Letters 10:1025-1028;Mandler et al(2002)Bioconjugate Chem.13:786-791)、メイタンシノイド(欧州特許第1391213号;Liu et al(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618-8623)、カリケアマイシン(Lode et al(1998)Cancer Res.58:2928;Hinman et al(1993)Cancer Res.53:3336-3342)、ダウノマイシン、ドキソルビシン、及びビンデシン(上掲のRowland et al(1986))などの小分子毒素が含まれる。薬剤成分は、チューブリン結合、DNA結合又はトポイソメラーゼ阻害などの細胞障害性及び細胞分裂停止性の機能に影響しうる。ある種の細胞障害性剤は、大きな抗体又はタンパク質レセプターリガンドにコンジュゲートした場合に、不活性又は活性が低減する傾向がある。
【0008】
アウリスタチンペプチドである、アウリスタチンE(AE)とドラスタチンの合成類似体であるモノメチルアウリスタチン(MMAE)(国際公開02/088172)は、(i)キメラモノクローナル抗体cBR96(カルチノーマ上のルイスYに特異的)、(ii)血液系悪性腫瘍上のCD30に特異的であるcAC10(Klussman,et al(2004),Bioconjugate Chemistry 15(4):765-773;Doronina et al(2003)Nature Biotechnology 21(7):778-784;Francisco et al(2003)Blood 102(4):1458-1465;米国公開特許2004/0018194)、(iii)CD20発現癌及び免疫不全の治療のためのリツキサンなどの抗CD20抗体(国際公開04/032828)、(iv)結腸直腸癌の治療のための抗EphB2抗体2H9(Mao et al(2004)Cancer Research 64(3):781-788)、(v)Eセレクチン抗体(Bhaskar et al(2003)Cancer Res.63:6387-6394)、(vi)トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、米国公開特許2005/0238649)、及び(vi)抗CD30抗体(国際公開03/043583)へ、薬剤成分としてコンジュゲートされていた。アウリスタチンEの変異体は、米国特許第5767237号及び米国特許第6124431号において開示される。モノクローナル抗体にコンジュゲートされるモノメチルアウリスタチンEは、2004年3月28日に発表されたSenter et al,Proceedings of the American Association for Cancer Research,Volume 45,Abstract Number 623において開示される。アウリスタチン類似体MMAE及びMMAFは、様々な抗体にコンジュゲートされている(米国公開特許2005/0238649)。
【0009】
抗体に薬剤成分を付着させる、すなわち共有結合により結合させる従来の手段では、一般的に、薬剤成分が抗体上の多くの部位で付着している分子の不均一な混合物となる。例えば、典型的に、細胞毒性薬剤は、抗体の時に多くのリジン残基を介して抗体にコンジュゲートされ、不均一な抗体薬剤コンジュゲート混合物を生じていた。反応条件に応じて、典型的に、不均一な混合物は、0からおよそ8又はそれ以上の薬剤成分が付着している抗体の分布を含む。さらに、抗体に対する薬剤成分をある整数比で有するコンジュゲートの各サブグループ内では、薬剤成分が抗体上の様々な部位で付着している潜在的に不均一な混合物である。分析方法及び調製方法は、コンジュゲート反応により生じる不均一な混合物内の抗体-薬剤コンジュゲート種分子を分離し特徴付けるために不十分でありうる。抗体は大きく、複雑で、構造的に多様な生体分子であり、反応性の官能基を多く有することが多い。リンカー試薬及び薬剤-リンカー中間生成物との反応性は、pH、濃度、塩濃度及び共存溶媒などの因子に依存している。さらに、複数の工程のコンジュゲート工程は、反応条件の調節や反応物と中間生成物の特徴付けが難しいため、再現性がないかもしれない。
【0010】
システインチオールは、陽子が付加される多くのアミンとは異なり、中性pHで反応性であり、pH7付近ではほとんど求核性基でない。遊離チオール(RSH、スルフヒドリル)基は相対的に反応性であるので、システイン残基を有するタンパク質は、ジスルフィド結合オリゴマーとして酸化型で存在することが多いか、又は内部で架橋したジスルフィド基を有する。細胞外タンパク質は、一般に遊離チオールを有しない(Garman,1997,Non-Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London,at page 55)。一般に、抗体システインチオール基は、求電子性のコンジュゲート試薬に対して、抗体アミンやヒドロキシ基よりも反応性が高い、すなわち求核性が高い。システイン残基は、リガンドへの共有的付着を形成させるため、ないしは新たに分子内ジスルフィド結合を形成させるために、遺伝学的操作技術によりタンパク質内に導入されていた(Better et al(1994)J.Biol.Chem.13:9644-9650;Bernhard et al(1994)Bioconjugate Chem.5:126-132;Greenwood et al(1994)Therapeutic Immunology 1:247-255;Tu et al(1999)Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:4862-4867;Kanno et al(2000)J.of Biotechnology,76:207-214;Chmura et al(2001)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 98(15):8480-8484;米国特許第6248564号)。しかしながら、タンパク質の様々なアミノ酸残基をシステインアミノ酸に変異させることによるシステインチオール基の操作は、対になっていない(遊離Cys)残基又は相対的に反応又は酸化に接触しやすいものの場合に特に問題となりやすい。大腸菌周辺質、培養物上清又は一部ないし完全に精製されたタンパク質内のタンパク質が濃縮された溶液では、タンパク質の表面上の対になっていないCys残基は対になり、酸化されて、分子内ジスルフィドを形成し、ゆえにタンパク質二量体又は多量体となることができる。ジスルフィド二量体形成は、新規のCysを、薬剤、リガンド又は他の標識へのコンジュゲートに対して非反応性にする。さらに、タンパク質が新たに操作されたCysと既存のCys残基との間で分子内ジスルフィド結合を酸化的に形成する場合、両Cysチオール基は活性部位関与にも相互作用にも利用されない。さらに、タンパク質は、三次構造の欠損又はミスホールドにより、不活性化ないしは非特異的になるかもしれない(Zhang et al(2002)Anal.Biochem.311:1-9)。
【0011】
システイン-改変抗体は、Fab抗体断片(thioFab)として設定され、完全長IgGモノクローナル(thioMab)抗体として発現されていた(Junutula,J.R.et al.(2008)J Immunol Methods 332:41-52;米国特許公開2007/0092940、これらの内容は出典明記により援用される)。抗体薬剤コンジュゲート(ThioADC)を調節するために、ThioFab及びThioMab抗体は、チオール反応性リンカー試薬及び薬剤-リンカー試薬によって新たに導入されたシステインチオールでリンカーによりコンジュゲートされていた。
【0012】
特許公報及び出版物を含む本明細書において引用されるすべての文献は、出典明記によってその全体が援用される。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、抗CD79b抗体又はその機能的な断片、及び造血系腫瘍の治療における使用方法を提供する。
一態様では、本発明は、上記又は下記のいずれかのポリペプチドに結合する、好ましくは特異的に結合する抗体を提供する。場合によって、抗体は、モノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)_(2)、及びFv断片を含む抗体断片、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、又はそのそれぞれの抗原エピトープに対する抗CD79bポリペプチド抗体の結合を競合的に阻害する抗体である。本発明の抗体は、場合によって、例えばアウリスタチン、メイタンシノイド、ドラスタチン類似体又はカリケアマイシンを含む毒素、抗生物質、放射性同位体、核酸溶解酵素などの増殖阻害剤ないし細胞障害剤にコンジュゲートされてもよい。本発明の抗体は、場合によって、CHO細胞又は細菌で生産されてもよく、好ましくは、それらが結合する細胞の死を誘導してもよい。検出目的のために、本発明の抗体は、検出可能に標識されても、固形支持体等に付着されてもよい。
一態様では、本発明は、CD79bに対する抗体の一価の親和性(例えばCD79bに対するFab断片としての抗体の親和性)又は二価の形態での親和性(例えばCD79bに対するIgG断片としての抗体の親和性)が、マウス抗体(例えばCD79bに対するFab断片又はIgG断片としてのマウス抗体の親和性)又はキメラ抗体(例えばCD79bに対するFab断片又はIgG断片としてのキメラ抗体の親和性)のそれぞれの一価の親和性又は二価の形態での親和性と実質的に同じであるか、よりも低いか、又はよりも高い、ヒト化抗CD79b抗体であって、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示す軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列を含むか、からなるか、基本的にからなるものを提供する。
【0014】
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.4nM、0.2nM又は0.5nMであるヒト化抗CD79b抗体を提供する。
一態様では、
(i) KASQSVDYDGDSFLN(配列番号:131)である配列A1-A15を含むHVR-L1
(ii) AASNLES(配列番号:132)である配列B1-B7を含むHVR-L2
(iii)QQSNEDPLT(配列番号:133)である配列C1-C9を含むHVR-L3
(iv) GYTFSSYWIE(配列番号:134)である配列D1-D10を含むHVR-H1
(v) GEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号:135)である配列E1-E18を含むHVR-H2、及び、
(vi) TRRVPVYFDY(配列番号:136)である配列F1-F10を含むHVR-H3からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5又は6のHVRを含む、CD79bに結合する抗体が提供される。
【0015】
一態様では、少なくとも1の変異HVRを含み、この変異HVRが配列番号:131、132、133、134、135又は136に示される配列の少なくとも1の残基の修飾を含む、CD79bに結合する抗体が提供される。
一態様では、本発明は、図15(配列番号:164-166)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図15(配列番号:156-158)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図16(配列番号:183-185)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図16(配列番号:175-177)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図17(配列番号:202-204)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図17(配列番号:194-196)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図18(配列番号:221-223)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
一態様では、本発明は、図18(配列番号:213-215)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。
【0016】
一態様では、本発明は、配列番号:170、189、208又は227から選択される重鎖可変ドメインを含む抗CD79b抗体を包含する。他の態様では、本発明は、配列番号:169、188、207又は226から選択される軽鎖可変ドメインを含む抗CD79b抗体を含む。
一態様では、本発明は、配列番号:251-298から選択される配列と一又は複数の遊離システインアミノ酸とを含むシステイン改変抗CD79b抗体を包含する。システイン改変抗CD79b抗体は、CD79bポリペプチドに結合してもよい。システイン改変抗CD79b抗体は、親抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基をシステインに置換することを含む方法によって調製されてもよい。
【0017】
一態様では、本発明は、一又は複数の遊離システインアミノ酸を含有するシステイン改変抗CD79b抗体であって、CD79bポリペプチドに結合し、親抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基をシステインに置換することを含む方法によって調製され、このときの親抗体は、
(a)KASQSVDYDGDSFLN(配列番号:131)又はKASQSVDYEGDSFLN(配列番号:137)である配列A1-A15を含むHVR-L1、
(b)AASNLES(配列番号:132)である配列B1-B7を含むHVR-L2、
(c)QQSNEDPLT(配列番号:133)である配列C1-C9を含むHVR-L3、
(d)GYTFSSYWIE(配列番号:134)である配列D1-D10を含むHVR-H1、
(e)GEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号:135)である配列E1-E18を含むHVR-H2、及び、
(f)TRRVPVYFDY(配列番号:136)又はTRRVPIRLDY(配列番号:138)である配列F1-F10を含むHVR-H3
から選択される少なくとも1のHVR配列を含むものであるシステイン改変抗CD79b抗体を包含する。
【0018】
システイン改変抗CD79b抗体は、モノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、又はそのそれぞれの抗原エピトープに対する抗CD79bポリペプチド抗体の結合を競合的に阻害する抗体であってもよい。本発明の抗体は、場合によって、例えばアウリスタチン又はメイタンシノイドを含む毒素などの増殖阻害剤ないし細胞障害剤にコンジュゲートされてもよい。本発明の抗体は、場合によって、CHO細胞又は細菌で生産されてもよく、好ましくは、それらが結合する細胞の成長ないしは増殖を阻害するか、又は細胞の死を誘導してもよい。診断のために、本発明の抗体は、検出可能に標識されても、固形支持体等に付着されてもよい。
一態様では、本発明は、本発明の抗体の製造方法を提供する。例えば、本発明は、CD79b抗体(本明細書で定義されるように、完全長及びその断片を含む)の製造方法であって、適切な宿主細胞において該抗体(又はその断片)をコードする本発明の組み換えベクターを発現させ、該抗体を回収することを含む方法を提供する。
【0019】
一態様では、本発明は、本発明の抗体又は本発明の抗体-薬剤コンジュゲートと薬学的に許容可能な希釈液、担体又は賦形剤とを含有する薬学的製剤である。
一態様では、本発明は、容器と、容器内に内包される組成物とを具備し、該組成物が一又は複数の本発明のCD79b抗体を含むものである製造品を提供する。
一態様では、本発明は、本発明の一又は複数のCD79b抗体を含む組成物を含む第一容器と、バッファを含む第二容器とを具備するキットを提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明のCD79b抗体の使用を提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の製造品の使用を提供する。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明のキットの使用を提供する。
【0020】
一態様では、本発明は、CD79bを発現する細胞の増殖を阻害する方法であって、該細胞を本発明の抗体と接触させることを含み、これによって該細胞の増殖の阻害が生じる方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
一態様では、本発明は、CD79bを発現する細胞を含む癌性の腫瘍を有する哺乳動物を治療的に処置する方法であって、該哺乳動物に本発明の抗体の治療上有効量を投与することを含み、それによって、該哺乳動物を効果的に処置される方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
一態様では、本発明は、CD79bの発現増加と関連する細胞増殖性疾患の治療又は予防方法であって、本発明の抗体の有効量を該処置が必要な被検体に投与することを含み、これによって該細胞増殖性疾患が効果的に治療又は予防される方法を提供する。一実施態様では、前記増殖性疾患は癌である。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
【0021】
一態様では、本発明は、細胞の増殖の阻害方法であって、この細胞の増殖の少なくとも一部はCD79bの増殖亢進作用に依存しているものであり、該細胞を有効量の本発明の抗体と接触させることを含み、これによって該細胞の増殖が阻害される方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
一態様では、本発明は、哺乳動物の腫瘍を治療的に処置する方法であって、この腫瘍の増殖の少なくとも一部はCD79bの増殖亢進作用に依存しているものであり、該細胞を有効量の本発明の抗体と接触させることを含み、これによって該腫瘍が効果的に処置される方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
一態様では、本発明は、本明細書中に記載のイムノコンジュゲートと薬学的に許容可能な希釈液、担体又は賦形剤とを含有する薬学的製剤を患者に投与することを含む、癌の治療方法を提供する。
一態様では、本発明は、B細胞増殖の阻害方法であって、CD79bに対するイムノコンジュゲートの結合に許容される条件下で本発明の抗体を含むイムノコンジュゲートに細胞をさらすことを含む方法を提供する。
【0022】
一態様では、本発明は、CD79bを含有することが疑われる試料においてCD79bの存在を決定する方法であって、該試料を本発明の抗体にさらし、該試料においてCD79bに対する該抗体の結合を決定することを含み、このとき該試料におけるCD79bへの該抗体の結合が該試料における該タンパク質の存在を表す方法を提供する。
一態様では、本発明は、CD79bを発現する、B細胞などの細胞の増加と関連する細胞増殖性疾患の診断方法であって、生体試料中の試験細胞を上記いずれかの抗体と接触させ、CD79bに対する抗体の結合を検出することによって、試料において試験細胞に結合した抗体のレベルを決定し、そして、コントロール試料において細胞に結合した抗体のレベルを比較することを含み、このとき、結合した抗体のレベルが試験試料及びコントロール試料におけるCD79b発現細胞の数に正規化され、コントロール試料と比較して試験試料において結合した抗体のレベルが高い場合に、CD79bを発現する細胞と関連する細胞増殖性疾患の存在を示す方法を提供する。
【0023】
一態様では、本発明は、血液又は血清における可溶性CD79bの検出方法であって、B細胞増殖性疾患の発症の疑いのある哺乳動物からの血液又は血清の試験試料を本発明の抗CD79b抗体と接触させ、正常な哺乳動物からの血液又は血清のコントロール試料と比較して試験試料における可溶性CD79bの増加を検出することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、CD79bを発現する細胞に本発明の抗体を結合させる方法であって、該細胞を本発明の抗体と接触させることを含む方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】PRO36249 cDNAのヌクレオチド配列(配列番号:1)を示し、配列番号:1は本明細書中では「DNA225786」として称されるクローンである(本明細書中では「CD79b」とも称される)。ヌクレオチド配列はCD79bをコードし、その開始コドンと停止コドンを太字と下線で示す。
【図2】図1に示す配列番号:1のコード配列から得られるアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図3】キメラCD79bマウス抗体(chMA79b)IgG1の軽鎖のヌクレオチド配列(配列番号:3)を示す(MA79bはマウスモノクローナル抗CD79b抗体である)。ヌクレオチド配列はchMA79bの軽鎖をコードし、その開始コドンと停止コドンを太字と下線で示す。
【図4】図3に示す配列番号:3のコード配列から得られるアミノ酸配列(配列番号:4)を示す(初めの18のアミノ酸シグナル配列を欠く)。可変領域は下線を付していない領域である。
【図5】キメラマウス抗体(chMA79b)IgG1の重鎖のヌクレオチド配列(配列番号:5)を示す(MA79bはマウスモノクローナル抗CD79b抗体である)。ヌクレオチド配列はchMA79bの重鎖をコードし、その開始コドンと停止コドンを太字と下線で示す。
【図6】図5に示す配列番号:5のコード配列から得られるアミノ酸配列(配列番号:6)を示す(初めの18のアミノ酸シグナル配列と停止コドン前の最後のリジン(K)を欠く)。可変領域は下線を付していない領域である。
【図7A-B】以下の可変軽鎖の配列のアラインメントを示す。VL-FR1、VL-FR2、VL-FR3、VL-FR4を有する軽鎖ヒトκIコンセンサス配列(「huKI」と表示;配列番号:9)(それぞれ配列番号:139-142)、マウス抗CD79b抗体(「MA79b」と表示;配列番号:10)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体(「huMA79bグラフト」と表示;配列番号:11)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体17(「huMA79b.v17」と表示;配列番号:169)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体18(「huMA79b.v18」と表示;配列番号:188)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体28(「huMA79b.v28」と表示;配列番号:207)及びMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体32(「huMA79b.v32」と表示;配列番号:226)。位置はカバットに従って番号付けし、MA79bから可変軽鎖κIコンセンサスフレームワークへの移植された高頻度可変領域(HVR)を囲みで表す。
【図8A-B】以下の可変重鎖の配列のアラインメントを示す。VH-FR1、VH-FR2、VH-FR3及びVH-FR4を有する重鎖ヒトサブグループIIIコンセンサス配列(「humIII」と表示;配列番号:13)(配列番号:143-146)、マウス抗CD79b抗体(「MA79b」と表示;配列番号:14)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体(「huMA79bグラフト」と表示;配列番号:15)(71A、73T及び78Aを含む)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体17(「huMA79b.v17」と表示;配列番号:170)(71A、73T及び78Aを含む)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体18(「huMA79b.v18」と表示;配列番号:189)(71A、73T及び78Aを含む)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体28(「huMA79b.v28」と表示;配列番号:208)(71A、73T及び78Aを含む)、及びMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体32(「huMA79b.v32」と表示;配列番号:227)(71A、73T及び78Aを含む)。位置はカバットに従って番号付けし、MA79bから可変重鎖サブグループIIIコンセンサスフレームワークへの移植された高頻度可変領域(HVR)を囲みで表す。
【図9】選択されたMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(配列番号:17-21)の様々なHVR配列を示し、各変異体は、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体の単一のHVR(HVR-L1(配列番号:131);HVR-L2(配列番号:132);HVR-L3(配列番号:133))内に単一のアミノ酸変化を有する。示した単一のアミノ酸変化を除いて可変軽鎖及び可変重鎖の配列は、huMA79bグラフトと同じであり、示していない。MA79b-グラフト「ヒト化」抗体のHVR-H1(配列番号:134)、HVR-H2(配列番号:135)又はHVR-H3(配列番号:136)には変化は観察されなかった。
【図10】huMA79b L2-2(本明細書中では「L2」とも称される)及びhuMA79b H3-10(本明細書中では「H3」とも称される)を含む、選択されたMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体の様々なHVR配列(配列番号:22-106)を示し、各変異体は、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体の単一のHVR領域(HVR-L2(配列番号:132);HVR-L3(配列番号:133);HVR-H1(配列番号:134);HVR-H3(配列番号:136)の一部が配列番号:107として図10に示される)内に複数のアミノ酸変化を有する。示したアミノ酸変化を除いて可変軽鎖及び可変重鎖の配列は、huMA79bグラフトと同じであり、示していない。MA79b-グラフト「ヒト化」抗体のHVR-L1(配列番号:131)又はHVR-H2(配列番号:135)には変化は観察されなかった。
【図11】マウスCD79b抗体(「MA79b」と表示)と、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体(「huMA79bグラフト」と表示)と、ヒトCD79bの細胞外ドメイン(huCD79b_(ecd))、Fcに融合させたヒトCD79bの細胞外ドメイン(huCD79b_(ecd)-Fc)及びMA79b及びchMA79bのためのエピトープを含有する16アミノ酸ペプチド(配列番号:16)を含む所定の抗原に対する、huMA79b L2-2(52R、53K、55G、56R;配列番号:22)、huMA79b H3-10(98I、99R、100L;配列番号:94)、huMA79b H1-6(28P、30T、31R、35N;配列番号:57)及びhuMA79b L2/H3(下記のL2-2及びH3-10変異)を含むMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体とを含む、選択された抗CD79b抗体のBiacore分析を示す。
【図12】MA79b-グラフト「ヒト化」抗体(「huMA79bグラフト」と表示)と、ヒトCD79bの細胞外ドメイン(huCD79b-ecd抗原)に対する、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(第一列の1-34又は第一列の「すべてのフレームワーク」と表示)を含む、選択された抗CD79b抗体のBiacore分析を示す。MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体には、潜在的に重要なマウスフレームワーク残基が存在する「すべてのフレームワーク」変異体と、表される可変軽鎖及び可変重鎖内のHVR変異の有無にかかわらず、フレームワーク突然変異の組合せを有する変異体(1-34と表示)が含まれる。MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体17(本明細書中では「huMA79b.v17」と称される)は第一列の17と表示され、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体18(本明細書中では「huMA79b.v18」と称される)は第一列の18と表示され、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体28(本明細書中では「huMA79b.v28」と称される)は第一列の28と表示され、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体32(本明細書中では「huMA79b.v32」と称される)は第一列の32と表示される。二価の結合倍数は、特定のMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体のKd(「Kd_(変異体)」と表示)/キメラMA79b抗体(chMA79b)のKd(「Kd_(キメラ)」と表示)として表され、「二価の結合倍数」と表示した列の値はKd_(変異体)/Kd_(キメラ)を表す。検出されない結合は「NDB」として図に表される。
【図13】以下のように配列識別子を用いて本発明を実施する際に使用するための、例示的なアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を示す(可変重鎖(VH)コンセンサスフレームワーク)。ヒトVHサブグループIコンセンサスフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:108)、ヒトVHサブグループIコンセンサスフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:109-111)、ヒトVHサブグループIIコンセンサスフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:112)、ヒトVHサブグループIIコンセンサスフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:113-115)、ヒトVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:116)、ヒトVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:117-119)、ヒトVHアクセプターフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:120)、ヒトVHアクセプターフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:121-122)、ヒトVHアクセプター2フレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:123)、及びヒトVHアクセプター2フレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:124-26)。
【図14】以下のように配列識別子を用いて本発明を実施する際に使用するための、例示的なアクセプターヒトコンセンサスフレームワーク配列を示す(可変軽鎖(VL)コンセンサスフレームワーク)。ヒトVLκサブグループIコンセンサスフレームワーク(配列番号:127)、ヒトVLκサブグループIIコンセンサスフレームワーク(配列番号:128)、ヒトκサブグループIIIコンセンサスフレームワーク(配列番号:129)、及びヒトκサブグループIVコンセンサスフレームワーク(配列番号:130)。
【図15】本発明の抗体(huMA79b.v17)のアミノ酸配列を示す(A:軽鎖、B:重鎖)。図15A(軽鎖)及び15B(重鎖)は、本発明の抗体(huMA79b.v17)の一実施態様のフレームワーク(FR)、高頻度変異領域(HVR)、第一定常ドメイン(CL又はCH1)及びFc領域(Fc)のアミノ酸配列を示す(配列番号:152-159(図15A)及び配列番号:160-168(図15B))。huMA79b.v17の軽鎖及び重鎖の完全長アミノ酸配列(可変及び定常領域)が示され(それぞれ配列番号:303(図15A)及び304(図15B))、定常ドメインを下線で示す。可変ドメインのアミノ酸配列が示される(配列番号:169(軽鎖について図15A)及び配列番号:170(重鎖について図15B))。
【図16】本発明の抗体(huMA79b.v18)のアミノ酸配列を示す(A:軽鎖、B:重鎖)。図16A(軽鎖)及び16B(重鎖)は、本発明の抗体(huMA79b.v18)の一実施態様のフレームワーク(FR)、高頻度変異領域(HVR)、第一定常ドメイン(CL又はCH1)及びFc領域(Fc)のアミノ酸配列を示す(配列番号:171-178(図16A)及び配列番号:179-187(図16B))。huMA79b.v18の軽鎖及び重鎖の完全長アミノ酸配列(可変及び定常領域)が示され(それぞれ配列番号:305(図16A)及び306(図16B))、定常ドメインを下線で示す。可変ドメインのアミノ酸配列が示される(配列番号:188(軽鎖について図16A)及び配列番号:189(重鎖について図16B))。
【図17】本発明の抗体(huMA79b.v28)のアミノ酸配列を示す(A:軽鎖、B:重鎖)。図17A(軽鎖)及び17B(重鎖)は、本発明の抗体(huMA79b.v28)の一実施態様のフレームワーク(FR)、高頻度変異領域(HVR)、第一定常ドメイン(CL又はCH1)及びFc領域(Fc)のアミノ酸配列を示す(配列番号:190-197(図17A)及び配列番号:198-206(図17B))。huMA79b.v28の軽鎖及び重鎖の完全長アミノ酸配列(可変及び定常領域)が示され(それぞれ配列番号:307(図17A)及び308(図17B))、定常ドメインを下線で示す。可変ドメインのアミノ酸配列が示される(配列番号:207(軽鎖について図17A)及び配列番号:208(重鎖について図17B))。
【図18】本発明の抗体(huMA79b.v32)のアミノ酸配列を示す(A:軽鎖、B:重鎖)。図18A(軽鎖)及び18B(重鎖)は、本発明の抗体(huMA79b.v32)の一実施態様のフレームワーク(FR)、高頻度変異領域(HVR)、第一定常ドメイン(CL又はCH1)及びFc領域(Fc)のアミノ酸配列を示す(配列番号:209-216(図18A)及び配列番号:217-225(図18B))。huMA79b.v32の軽鎖及び重鎖の完全長アミノ酸配列(可変及び定常領域)が示され(それぞれ配列番号:309(図18A)及び310(図18B))、定常ドメインを下線で示す。可変ドメインのアミノ酸配列が示される(配列番号:226(軽鎖について図18A)及び配列番号:227(重鎖について図18B))。
【図19】ヒト(配列番号:2)、カニクイザル(cyno)(配列番号:7)及びマウス(配列番号:8)からのCD79bのアミノ酸配列のアラインメントを示す。ヒト及びcyno-CD79bは85%のアミノ酸同一性を有する。シグナル配列、試験ペプチド(実施例1に記載のMA79b、chMA79b及び抗cyno CD79b抗体に対する11のアミノ酸エピトープ;ARSEDRYRNPK(配列番号:12))、膜貫通(TM)ドメイン及びイムノレセプターチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)ドメインを示す。囲みで示す領域は、CD79bのスプライス変異体には存在しないCD79bの領域である(実施例1に記載)。
【図20】BJAB-ルシフェラーゼ異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフであり、これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスへの抗CD79b抗体((a)chMA79b-SMCC-DM1、薬剤負荷はおよそ2.9(表9)、(b)huMA79b L2/H3-SMCC-DM1、薬剤負荷はおよそ2.4(表9))の投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。コントロールは、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)-SMCC-DM1(抗HER2-SMCC-DM1)を含んだ。
【図21A】Granta-519(ヒトマントル細胞リンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフであり、これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスへの抗CD79b抗体((a)chMA79b-SMCC-DM1、薬剤負荷はおよそ3.6(表10)、(b)huMA79b.v17-SMCC-DM1、薬剤負荷はおよそ3.4(表10)、(c)huMA79b.v28-SMCC-DM1、薬剤負荷はおよそ3.3又は3.4(表10)、(d)huMA79b.v18-SMCC-DM1、薬剤負荷はおよそ3.4(表10)、(e)huMA79b.v32-SMCC-DM1、薬剤負荷はおよそ2.9(表10))の投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。コントロールは、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)-SMCC-DM1(抗HER2-SMCC-DM1)を含んだ。
【図21B】Granta-519異種移植片試験(図21A及び表10)からのマウスの体重変化の割合のプロットである。これは、試験開始の7日間は有意な変化がなかったことを示す。「hu」はヒト化抗体を指し、「ch」はキメラ抗体を指す。
【図22】システイン改変抗CD79b抗体薬剤コンジュゲート(ADC)を描写する。ここでは、軽鎖(LC-ADC);重鎖(HC-ADC);及びFc領域(Fc-ADC)内の改変システイン基に薬剤成分が付着されている。
【図23】(i)還元剤TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロライド)による、システイン改変抗CD79b抗体(ThioMab)の鎖内及び鎖間のジスルフィドとシステインジスルフィド付加物を還元する、(ii)dhAA(デヒドロアスコルビン酸)により部分的に酸化させる、すなわち、再酸化させて鎖内及び鎖間のジスルフィドを再形成させる、そして、(iii)再酸化させた抗体を薬剤-リンカー中間生成物とコンジュゲートさせ、システイン抗CD79b薬剤コンジュゲート(ADC)を形成させる、という工程を示す。
【図24】ヒト化システイン改変抗CD79b抗体(thio-huMA79b.v17-HC-A118C)の(A)軽鎖配列(配列番号:229)及び(B)重鎖配列(配列番号:228)を示す。ここでは、重鎖のEu位置118のアラニン(連続的な位置アラニン118;カバット位置114)はシステインに変えられている。薬剤成分は、重鎖の改変されたシステイン基に付着されてもよい。各々の図において、変えられたアミノ酸は、二重下線と共に太字で示す。一重下線は定常領域を示す。可変領域は下線を付していない領域である。Fc領域は斜体で示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図25】ヒト化システイン改変抗CD79b抗体(thio-huMA79b.v18-HC-A118C)の(A)軽鎖配列(配列番号:231)及び(B)重鎖配列(配列番号:230)を示す。ここでは、重鎖のEu位置118のアラニン(連続的な位置アラニン118;カバット位置114)はシステインに変えられている。薬剤成分は、重鎖の改変されたシステイン基に付着されてもよい。各々の図において、変えられたアミノ酸は、二重下線と共に太字で示す。一重下線は定常領域を示す。可変領域は下線を付していない領域である。Fc領域は斜体で示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図26】ヒト化システイン改変抗CD79b抗体(thio-huMA79b.v28-HC-A118C)の(A)軽鎖配列(配列番号:233)及び(B)重鎖配列(配列番号:232)を示す。ここでは、重鎖のEu位置118のアラニン(連続的な位置アラニン118;カバット位置114)はシステインに変えられている。薬剤成分は、重鎖の改変されたシステイン基に付着されてもよい。各々の図において、変えられたアミノ酸は、二重下線と共に太字で示す。一重下線は定常領域を示す。可変領域は下線を付していない領域である。Fc領域は斜体で示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図27】システイン改変抗CD79b抗体(thio-MA79b-LC-V205C)の(A)軽鎖配列(配列番号:235)及び(B)重鎖配列(配列番号:234)を示す。ここでは、軽鎖のカバット位置205のバリン(連続的な位置バリン209)はシステインに変えられている。薬剤成分は、軽鎖の改変されたシステイン基に付着されてもよい。各々の図において、変えられたアミノ酸は、二重下線と共に太字で示す。一重下線は定常領域を示す。可変領域は下線を付していない領域である。Fc領域は斜体で示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指す。
【図28】システイン改変抗CD79b抗体(thio-MA79b-HC-A118C)の(A)軽鎖配列(配列番号:237)及び(B)重鎖配列(配列番号:236)を示す。ここでは、重鎖のEu位置118のアラニン(連続的な位置アラニン118;カバット位置114)はシステインに変えられている。薬剤成分は、重鎖の改変されたシステイン基に付着されてもよい。各々の図において、変えられたアミノ酸は、二重下線と共に太字で示す。一重下線は定常領域を示す。可変領域は下線を付していない領域である。Fc領域は斜体で示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指す。
【図29】FACSプロット。これは、BJAB-ルシフェラーゼ細胞の表面に発現されるCD79bに対する本発明の抗CD79b thioMAb薬剤コンジュゲート(TDC)の結合が、コンジュゲートされたMMAFを有するchMA79bの(A)LC(V205C)thioMAb変異体及び(B)HC(A118C)thioMAb変異体と同程度であることを示す。MS抗ヒトIgG-PEにより検出した。「Thio」はシステイン改変抗体を指す。
【図30】FACSプロット。これは、BJAB-ルシフェラーゼ細胞の表面に発現されるCD79bに対する本発明の抗CD79b thioMAb薬剤コンジュゲート(TDC)の結合が、(A)huMA79b.v18のネイキッド(コンジュゲートされていない)HC(A118C)thioMAb変異体、及び示される異なる薬剤コンジュゲート((B)MMAF、(C)MMAE及び(D)DM1)を有するhuMA79b.v18のコンジュゲートされたHC(A118C)thioMAb変異体と同程度であることを示す。MS抗ヒトIgG-PEにより検出した。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図31】FACSプロット。これは、BJAB-ルシフェラーゼ細胞の表面に発現されるCD79bに対する本発明の抗CD79b thioMAb薬剤コンジュゲート(TDC)の結合が、(A)huMA79b.v28のネイキッド(コンジュゲートされていない)HC(A118C)thioMAb変異体、及び示される異なる薬剤コンジュゲート((B)MMAE、(C)DM1及び(D)MMAF)を有するhuMA79b.v28のコンジュゲートされたHC(A118C)thioMAb変異体と同程度であることを示す。MS抗ヒト-PEにより検出した。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図32】FACSプロット。これは、cynoCD79bを発現するBJAB-細胞の表面に発現されるCD79bに対する本発明の抗cynoCD79b thioMAb薬剤コンジュゲート(TDC)の結合が、(A)抗cynoCD79b(ch10D10)のネイキッド(コンジュゲートされていない)HC(A118C)thioMAb変異体、及び示される異なる薬剤コンジュゲート((B)MMAE、(C)DM1及び(D)MMAF)を有する抗cynoCD79b(ch10D10)のコンジュゲートされたHC(A118C)thioMAb変異体と同程度であることを示す。MS抗huIgG-PEにより検出した。「Thio」はシステイン改変抗体を指す。
【図33A】Granta-519(ヒトマントル細胞リンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、改変したシステインの位置が異なる(LC(V205C)又はHC(A118C))及び/又は薬剤用量が異なる抗CD79b TDCの投与が、腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio chMA79b-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.9(表11)又はthio chMA79b-LC(V205C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.8(表11)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、hu-抗HER2-MC-MMAF及びthio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF及びchMA79b-MC-MMAFを含んだ。
【図33B】Granta-519異種移植片試験(図33A及び表11)からのマウスの体重変化の割合のプロットである。これは、試験開始の14日間に体重の有意な変化がなかったことを示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図34A】BJAB-ルシフェラーゼ(バーキットリンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(MCvcPAB-MMAE、BMPEO-DM1又はMC-MMAF)にコンジュゲートさせた抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、薬剤負荷はおよそ1.87(表12)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表12)、又はthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.95(表12)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)、huMA79b.v28コントロール(huMA79b.v28-SMCC-DM1及びthio huMA79b.v28-HC(A118C))及び抗CD22コントロール(thio hu-抗CD22(10F4v3)-HC(A118C)-MC-MMAF)を含んだ。
【図34B】BJAB-ルシフェラーゼ異種移植片試験(図34A及び表12)からのマウスの体重変化の割合のプロットである。これは、試験開始の7日間に体重の有意な変化がなかったことを示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図35A】WSU-DLCL2(びまん性大細胞型リンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(MCvcPAB-MMAE、BMPEO-DM1又はMC-MMAF)にコンジュゲートさせた抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、薬剤負荷はおよそ1.87(表13)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表13)、又はthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.95(表13)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)、huMA79b.v28コントロール(huMA79b.v28-SMCC-DM1及びthio huMA79b.v28-HC(A118C))及び抗CD22コントロール(thio hu-抗CD22(10F4v3)-HC(A118C)-MC-MMAF)を含んだ。
【図35B】WSU-DLCL2異種移植片試験(図35A及び表13)からのマウスの体重変化の割合のプロットである。これは、試験開始の7日間に体重の有意な変化がなかったことを示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図36】DOHH2(濾胞性リンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(BMPEO-DM1、MC-MMAF又はMCvcPAB-MMAE)にコンジュゲートさせた抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-BMPEO-DM1(薬剤負荷はおよそ1.85(表14))、thio huMA79b.v28-MC-MMAF(薬剤負荷はおよそ1.95(表14))又はthio MA79b-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE(薬剤負荷はおよそ1.87(表14))にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)、huMA79b.v28コントロール(huMA79b.v28-SMCC-DM1及びthio huMA79b.v28-HC(A118C))及び抗CD22コントロール(thio hu-抗CD22(10F4v3)-HC(A118C)-MC-MMAF)を含んだ。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図37】BJAB-ルシフェラーゼ(バーキットリンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(MCvcPAB-MMAE、BMPEO-DM1又はMC-MMAF)にコンジュゲートさせた、及び/又は異なる用量で投与した抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表15)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、薬剤負荷はおよそ1.9(表15)、又はthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.9(表15)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、ベヒクル(バッファ単独)、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)、huMA79b.v28コントロール(thio huMA79b.v28-HC(A118C))及び抗CD22コントロール(thio hu-抗CD22(10F4v3)-HC(A118C)-MC-MMAF)を含んだ。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図38A】Granta-619(ヒトマントル細胞リンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(BMPEO-DM1又はMC-MMAF)にコンジュゲートさせた、及び/又は示すような異なる用量で投与した抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表16)、又はthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.95(表16)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF)を含んだ。
【図38B】Granta-519異種移植片試験(図38A及び表16)からのマウスの体重変化の割合のプロットである。これは、試験開始の14日間に体重の有意な変化がなかったことを示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図39】WSU-DLCL2(びまん性大細胞型リンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(BMPEO-DM1、MC-MMAF又はMCvcPAB-MMAE)にコンジュゲートさせた、及び/又は示すような異なる用量で投与した抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表17)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.9(表17)又はthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、薬剤負荷はおよそ1.9(表17)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、ベヒクル(バッファ単独)及び抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)を含んだ。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図40】Granta-519(ヒトマントル細胞リンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(BMPEO-DM1又はMCvcPAB-MMAE)にコンジュゲートさせた、及び/又は示すような異なる用量で投与した抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表18)又はthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、薬剤負荷はおよそ1.87(表18)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)を含んだ。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図41】(1)コントロールthio hu 抗gD-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、2.0のMMAE/Ab負荷、(2)コントロールthio hu 抗gD-HC(A118C)-MC-MMAF、2.1のMMAF/Ab負荷、(3)コントロールthio hu 抗gD-HC(A118C)-BMPEO-DM1、2.1のDM1/Ab負荷、(4)thio huMA79b.v18-HC(A118C)-MC-MMAF、1.91のMMAF/Ab負荷、(5)thio huMA79b.v18-HC(A118C)-BMPEO-DM1、1.8のDM1/Ab負荷、及び(6)thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、2.0のMMAE/Ab負荷を含む、1mlにつき異なる濃度0.001?10000ngのTDCにて処置した、(A)BJAB、(B)Granta-519又は(C)WSU-DLCL2腫瘍細胞による、インビトロ細胞増殖アッセイ結果のプロットを示す。「Thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。「gD」は糖タンパク質Dを指す。
【図42】PRO283627 cDNAのヌクレオチド配列(配列番号:238)を示す。ここでは、配列番号:235は「DNA548455」(本明細書中では「cyno CD79b」とも称される)と称されるクローンである。ヌクレオチド配列はカニクイザルCD79bをコードし、その開始コドンと停止コドンを太字と下線で示す。
【図43】図42に示される配列番号:235のコード配列から得られるアミノ酸配列(配列番号:239)を示す。
【図44】抗cyno CD79b抗体(ch10D10)の軽鎖のヌクレオチド配列(配列番号:240)を示す。ヌクレオチド配列は、抗cyno CD79b抗体(ch10D10)の軽鎖をコードし、その開始コドンと停止コドンを太字と下線で示す。
【図45】図44に示される配列番号:240のコード配列から得られるアミノ酸配列(配列番号:241)を示す(初めの18のアミノ酸シグナル配列を欠く)。可変領域(配列番号:302)は下線を付していない領域である。
【図46】抗cyno CD79b抗体(ch10D10)の重鎖のヌクレオチド配列(配列番号:242)を示す。ヌクレオチド配列は、抗cyno CD79b抗体(ch10D10)の重鎖をコードし、その開始コドンと停止コドンを太字と下線で示す。
【図47】図46に示される配列番号:242のコード配列から得られるアミノ酸配列(配列番号:243)を示す(初めの18のアミノ酸シグナル配列と停止コドン前の最後のリジン(K)を欠く)。可変領域(配列番号:301)は下線を付していない領域である。
【図48】システイン改変抗cyno CD79b抗体(Thio-抗cyno CD79b-HC-A118C)の(A)軽鎖配列(配列番号:245)及び(B)重鎖配列(配列番号:244)を示す。ここでは、重鎖のEu位置118のアラニン(連続的な位置アラニン118;カバット位置114)はシステインに変えられている。あるいは、重鎖のEU位置6のアミノ酸D(図の影を付した部分)はEであってもよい。薬剤成分は、重鎖の改変されたシステイン基に付着されてもよい。各々の図において、変えられたアミノ酸は、二重下線と共に太字で示す。一重下線は定常領域を示す。可変領域は下線を付していない領域である。Fc領域は斜体で示す。「thio」はシステイン改変抗体を指す。
【図49】システイン改変抗cyno CD79b抗体(Thio-抗cyno CD79b-LC-V205C)の(A)軽鎖配列(配列番号:300)及び(B)重鎖配列(配列番号:299)を示す。ここでは、軽鎖のカバット位置205のバリン(連続的な位置バリン209)はシステインに変えられている。あるいは、重鎖のEU位置6のアミノ酸D(図の影を付した部分)はEであってもよい。薬剤成分は、重鎖の改変されたシステイン基に付着されてもよい。各々の図において、変えられたアミノ酸は、二重下線と共に太字で示す。一重下線は定常領域を示す。可変領域は下線を付していない領域である。Fc領域は斜体で示す。「thio」はシステイン改変抗体を指す。
【図50】BJAB-cynoCD79b(cynoCD79bを発現するBJAB細胞)(バーキットリンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、異なるリンカー薬剤成分(BMPEO-DM1、MC-MMAF又はMCvcPAB-MMAE)にコンジュゲートさせた抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表19)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.9(表19)、又はthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、薬剤負荷はおよそ1.9(表19)、thio 抗cyno CD79b(ch10D10)-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.8(表19)、thio 抗cyno CD79b(ch10D10)-HC(A118C)-MC-MMAF、薬剤負荷はおよそ1.9(表19)又はthio 抗cyno CD79b(ch10D10)-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、薬剤負荷はおよそ1.86(表19)にて処置した異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF)を含んだ。「thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【図51】BJAB-cynoCD79b(cynoCD79bを発現するBJAB細胞)(バーキットリンパ腫)異種移植片モデルにおけるインビボ腫瘍増殖の阻害のグラフである。これは、ヒトB細胞腫瘍を有するSCIDマウスに対する、示されるように異なる用量で投与したBMPEO-DM1リンカー薬剤成分を有する抗CD79b TDCの投与が腫瘍増殖を有意に阻害したことを示す。thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.85(表20)又はthio 抗cyno(ch10D10)-HC(A118C)-BMPEO-DM1、薬剤負荷はおよそ1.8(表20)にて処置された異種移植片モデルは、試験の間、腫瘍増殖の有意な阻害を示した。コントロールは、抗HER2コントロール(thio hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1)及びhuMA79b.v28コントロール(thio huMA79b.v28-HC(A118C)及び抗cynoCD79b(ch10D10)コントロール(thio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C))を含む。「thio」はシステイン改変抗体を指し、「hu」はヒト化抗体を指す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明は、哺乳動物の造血系腫瘍の治療に有用な組成物を同定するための、方法、組成物、キット及び製造品、そして同目的のための組成物の使用方法を提供する。
これらの方法、組成物、キット及び製造品の詳細は本明細書中に示される。
【0026】
I. 一般的な技術
本発明の実施は、特に明記しない限り、当業者の技術範囲内の分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来技術を使用して行う。このような技術は、例えば以下のような文献に完全に明記されている。「Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition」(Sambrook et al.,1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait,ed.,1984);「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney,ed.,1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987,and periodic updates);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」(Mullis et al.,ed.,1994);「A Practical Guide to Molecular Cloning」(Perbal Bernard V.,1988);「Phage Display:A Laboratory Manual」(Barbas et al.,2001)。
【0027】
II.定義
本出願を理解するために、以下の定義を適用し、必要な場合はいつでも、単数で使用した用語には複数形も含まれ、その逆もそうである。以下に示すいずれかの定義が出典明記によって本明細書中に援用されるいずれかの文献と矛盾する場合、以下の定義を調節してもよい。
【0028】
ここで「B細胞表面上マーカー」又は「B細胞表面上抗原」とは、B細胞の表面上に発現する抗原であり、それを結合するアンタゴニスト、例えば限定するものではないが、天然に生じるB細胞抗原へのリガンドの結合をアンタゴナイズすることができるB細胞表面抗原ないしB細胞表面抗原の可溶型に対する抗体の標的となることができるものである。例示的B細胞表面上マーカーには、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD40、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85及びCD86白血球表面上マーカーが含まれる。(詳しくは、The Leukocyte Antigen Facts Book,2nd Edition.1997,Barclay等編集,Academic Press,Harcourt Brace & Co.,New Yorkを参照)。他のB細胞表面上マーカーには、RP105、FcRH2、B細胞CR2、CCR6、P2X5、HLA-DOB、CXCR5、FCER2、BR3、BAFF、BLyS、Btig、NAG14、SLGC16270、FcRH1、IRTA2、ATWD578、FcRH3、IRTA1、FcRH6、BCMA、及び239287などがある。特に対象とするB細胞表面上マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織と比較してB細胞上に主にに発現しており、B細胞前駆細胞及び成熟B細胞の両方の細胞上に発現していてもよい。
【0029】
特に明記しない限り、本明細書において用いられる「CD79b」なる用語は、霊長類(例えばヒト、カニクイザル(cyno))及び齧歯動物(例えばマウス及びラット)のような哺乳動物を含む任意の脊椎動物供与源からの任意の天然のCD79bに関する。また、CD79bは、本明細書中で「PRO36249」(配列番号:2)と称され、本明細書中で「DNA225786」としても称されるヌクレオチド配列(配列番号:1)によってコードされる。また、カニクイザルCD79bは、本明細書中で「cynoCD79b」又は「PRO283627」(配列番号:239)と称され、本明細書中で「DNA548455」としても称されるヌクレオチド配列(配列番号:238)によってコードされる。「CD79b」なる用語は、「完全長」、プロセシングされていないCD79b、並びに細胞内のプロセシングから生じるCD79bのいずれかの形態を包含する。また、この用語は、CD79bの天然に生じる変異体、例えばスプライス変異体、対立遺伝子変異体及びアイソフォームを包含する。本明細書において記述されるCD79bポリペプチドは、ヒト組織種ないしは他の供給源のような、様々な供与源から単離されてもよいし、又は組み換え法又は合成法によって調製されてもよい。「天然配列CD79bポリペプチド」は、天然由来の対応するCD79bポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。このような天然配列CD79bポリペプチドは、自然から単離されてもよいし、又は組み換え手段又は合成手段によって生産されてもよい。「天然配列CD79bポリペプチド」なる用語は、特に、特定のCD79bポリペプチドの自然に生じる切断形態又は分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、自然に生じる変異形態(例えば、選択的にスプライシングされた形態)及びそのポリペプチドの自然に生じる対立遺伝子変異体を包含する。本発明の特定の実施態様では、本明細書において開示される天然配列CD79bポリペプチドは、添付図に示される完全長アミノ酸配列を含む成熟又は完全長の天然配列ポリペプチドである。開始及び停止コドン(示されているならば)は、図において太字及び下線で示した。添付図に「N」で示した核酸残基は、任意の核酸残基である。しかし、添付図に開示したCD79bポリペプチドは、図面においてアミノ酸位置1としてここに表示されたメチオニン残基で始まるように示されているが、図面におけるアミノ酸位置1の上流又は下流に位置する他のメチオニン残基をCD79bポリペプチドの開始アミノ酸残基として用いることも考えられるし、可能でもある。
【0030】
「MA79b」又は「マウスCD79b抗体」又は「マウス抗CD79b抗体」は、特に、マウス抗CD79bモノクローナル抗体が配列番号:10(図7A-B)の軽鎖可変ドメインと配列番号:14(図8A-B)の重鎖可変ドメインとを含む、マウス抗CD79bモノクローナル抗体を指すために用いられる。マウス抗CD79bモノクローナル抗体は、Biomeda(抗ヒトCD79b抗体;Foster City,CA)、BDbioscience(抗ヒトCD79b抗体;San Diego,CA)又はAncell(抗ヒトCD79b抗体;Bayport,MN)のような商業的な供与源から購入されてもよいし、又は1993年7月20日にアメリカ培養細胞保存機関(ATCC)に寄託番号HB11413で寄託されたハイブリドーマクローン3A2-2E7ATCCから生成されてもよい。
【0031】
「chMA79b」又は「キメラMA79b抗体」は、特に、キメラ抗CD79b抗体が配列番号:4(図4)の軽鎖を含むキメラ抗ヒトCD79b抗体(2006年8月3日に出願の米国特許出願第11/462336号に既に記載される)を指すために本明細書中で用いられる。配列番号:4の軽鎖は、配列番号:10(図7A-B)の可変ドメインとヒトIgG1の軽鎖定常ドメインを更に含む。キメラ抗CD79b抗体は、配列番号:6(図6)の重鎖を更に含む。配列番号:6の重鎖は、配列番号:14(図8A-B)の可変ドメインとヒトIgG1の重鎖定常ドメインを更に含む。
【0032】
「抗cynoCD79b」又は「抗cyno CD79b」は、cynoCD79b(図43の配列番号:239)に結合する抗体(2006年8月3日に出願の米国特許出願第11/462336号に既に記載される)を指すために本明細書中で用いられる。「抗cynoCD79b(ch10D10)」又は「ch10D10」は、cynoCD79b(図43の配列番号:239)に結合するキメラ抗cynoCD79b(2006年8月3日に出願の米国特許出願第11/462336号に既に記載される)を指すために本明細書中で用いられる。抗cynoCD79b(ch10D10)又はch10D10は、配列番号:241(図45)の軽鎖を含むキメラ抗cynoCD79b抗体である。抗cynoCD79b(ch10D10)又はch10D10は、配列番号:243(図47)の重鎖を更に含む。
【0033】
「MA79b-グラフト」又は「MA79b-グラフト『ヒト化』抗体」又は「huMA79bグラフト」は、特に、R71A、N73T及びL78Aを有するヒトサブグループIIIコンセンサスVH(huIII)及びアクセプターヒトコンセンサスVLκI(huKI)に、マウス抗CD79b抗体(MA79b)からの高頻度可変領域を移植することによって生成されるグラフトを指すために本明細書中で用いられる(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992))(実施例1A及び図7(配列番号:11)及び8(配列番号:15)を参照)。
【0034】
本明細書で用いるアミノ酸残基/位置の「修飾」とは、開始アミノ酸配列と比較した場合の初性のアミノ酸配列の変化であって、該アミノ酸残基/位置を伴う配列変異から生じる変化を意味する。例えば、典型的な修飾には、ある残基の(又は該位置での)他のアミノ酸への弛緩(例えば保存的置換又は非保存的置換)、該残基/位置に近接する一又は複数(一般的には5ないし3より少ない)のアミノ酸の挿入、及び該残基/位置の欠損などがある。「アミノ酸置換」又はその変異とは、予定される(開始)アミノ酸配列中に存在するアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基への置換を意味する。一般的に及び好ましくは、前記修飾によって、開始(又は「野生型」)アミノ酸配列を含有してなるポリペプチドと比較して、変異体ポリペプチドの少なくとも一の物理生化学的な活性に変異が生じる。例えばある抗体の場合、変更された物理生化学的活性は結合親和性、結合能及び/又は標的分子に対する結合効果でありうる。
【0035】
「抗体」なる用語は、最も広義に使用され、例えば、単一抗CD79bモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、完全長又はインタクトなモノクローナル抗体を含む)、多エピトープ性特異性を有する抗CD79b抗体組成物、ポリクローナル抗体、多価抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成される多重特異性抗体(例えば所望の生物学的活性を表す限りの二重特異性抗体)、単鎖抗CD79b抗体、及び抗CD79b抗体の断片(以下を参照)、例えば所望の生物学的活性又は免疫学的活性を表す限りFab、Fab’、F(ab’)_(2)及びFv断片、ダイアボディ(diabodies)、単一ドメイン抗体(sdAb)、を具体的に包含する。「イムノグロブリン」(Ig)なる用語は、本明細書において抗体と交換可能で使われる。抗体はヒト、ヒト化及び/また親和性成熟したものであってもよい。
【0036】
「抗CD79b抗体」又は「CD79bに結合する抗体」なる用語は、抗体がCD79bをターゲティングする際の診断用及び/又は治療用薬剤として有用である程度十分な親和性を有してCD79bを結合することができる抗体を指す。好ましくは、関連していない非CD79bタンパク質への抗CD79b抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定されるように、CD79bへの抗体の結合のおよそ10%未満である。ある実施態様では、CD79bに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、又は0.1nM以下の解離定数(Kd)を有する。ある実施態様では、抗CD79b抗体は、異なる種からのCD79bの中で保存されるCD79bのエピトープに結合する。
【0037】
「単離された抗体」とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものを意味する。その自然環境の汚染成分とは、抗体の治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれてもよい。好ましい実施態様では、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法によって定量して95重量%以上の、最も好ましくは99重量%以上の抗体まで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離された抗体には、組換え体細胞内のインサイツの抗体が含まれるが、これは抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
【0038】
基本的な4-鎖抗体ユニットは2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体の糖タンパクである(IgM抗体は、基本的なヘテロ四量体ユニットとそれに付随するJ鎖と称される付加的なポリペプチドの5つからなり、よって10の抗原結合部位を有するが、分泌されたIgA抗体は重合して、基本的4-鎖ユニットとそれ付随するJ鎖のうち2-5つを含む多価集合を形成可能である)。IgGの場合、4-鎖ユニットは一般的に約150000ダルトンである。それぞれのL鎖は1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に結合するが、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて一又は複数のジスルフィド結合により互いに結合している。それぞれのH及びL鎖はまた規則的な間隔を持った鎖内ジスルフィド結合を持つ。それぞれのH鎖は、α及びγ鎖の各々に対しては3つの定常ドメイン(C_(H))が、μ及びεアイソタイプに対しては4つのC_(H)ドメインが続く可変ドメイン(V_(H))をN末端に有する。それぞれのL鎖は、その他端に定常ドメイン(C_(L))が続く可変ドメイン(V_(L))をN末端に有する。V_(L)はV_(H)と整列し、C_(L)は重鎖の第一定常ドメイン(C_(H)1)と整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。V_(L)とV_(H)は共同して対になって、単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性は、例えばBasic and Clinical Immunology,8版,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(編),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,71頁及び6章を参照のこと。
【0039】
任意の脊椎動物種からのL鎖には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。また、その重鎖の定常ドメイン(C_(H))のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンには異なったクラス又はアイソタイプを割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMという免疫グロブリンの5つの主要なクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる重鎖を有する。さらにγ及びαのクラスは、CH配列及び機能等の比較的小さな差異に基づいてサブクラスに分割され、例えば、ヒトにおいては次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2が発現する。
【0040】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖の可変ドメインは「VH」と称されうる。軽鎖の可変ドメインは「VL」と称されうる。これらのドメインは一般に、抗体の最も可変部分であり、抗原結合部位を含む。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部分が抗体の間で配列が広範囲に異なることを意味する。Vドメインは抗原結合性を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定める。しかし、可変性は可変ドメインの110-アミノ酸スパンを通して均等には分布されていない。代わりに、V領域は、それぞれ9-12アミノ酸長である「高頻度可変領域」と称される極度の可変性を有するより短い領域によって分離された15-30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の伸展からなる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメイン各々は、大きなβ-シート配置をとり、3つの高頻度可変領域により接続された4つのFR領域を含み、それはループ状の接続を形成し、β-シート構造の一部を形成することもある。各鎖の高頻度可変領域はFRにより他の鎖からの高頻度可変領域とともに極近傍に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ED.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係ないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞障害(ADCC)における抗体の寄与を示す。
【0041】
「インタクトな」抗体は、抗原-結合部位、並びにC_(L)及び少なくとも重鎖定常ドメイン、C_(H)1、C_(H)2及びC_(H)3を含むものである。定常ドメインは天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそれらのアミノ酸配列変異体であってよい。好ましくは、インタクトな抗体は一又は複数のエフェクター機能を有する。
本明細書の目的のための「ネイキッド抗体」は、細胞障害性部分又は放射標識にコンジュゲートされていない抗体である。
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)_(2)、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapata等,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]);単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
【0042】
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して命名された残留「Fc」断片を産生する。Fab断片は全長L鎖とH鎖の可変領域ドメイン(V_(H))、及び一つの重鎖の第一定常ドメイン(C_(H)1)からなる。各Fab断片は抗原結合性に関して一価である、すなわち単一の抗原-結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab’)_(2)断片が生じ、これは2価の抗原結合部位を持つ2つのジスルフィド結合されたFab断片にほぼ対応し、抗原を交差結合させることができるものである。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含むC_(H)1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていることによりFab断片と相違する。Fab’-SHは、ここでは定常ドメインのシステイン残基(類)が遊離のチオール基を持つFab’を表す。F(ab’)_(2)抗体断片は、通常はFab’断片の対として生成され、それらの間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
Fc断片はジスルフィドにより一緒に保持されている双方のH鎖のカルボキシ末端部位を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列により決定され、その領域は、所定の型の細胞に見出されるFcレセプター(FcR)によって認識される部位である。
【0043】
「Fv」は、完全な抗原-認識及び-結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。単鎖Fv(scFv)種では、一重鎖と一軽鎖の可変ドメインはフレキシブルなペプチドリンカーによって共有結合され、軽鎖と重鎖は二本鎖Fv種のものと類似の「二量体」構造で結びつきうる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖から、それぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。
「sFv」又は「scFv」とも略称される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖内に結合したV_(H)及びV_(L)抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドはV_(H)及びV_(L)ドメイン間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それはsFVが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。sFvの概説については、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg及びMoore編,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994);Borrebaeck 1995,以下を参照のこと。
【0044】
「ダイアボディ」なる用語は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片であって、この断片は同じポリペプチド鎖(VH-VL)内に軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含むものを指す。小さい抗体断片は、鎖間ではなく鎖内でVドメインを対形成させ、結果として二価の断片、すなわち2つの抗原-結合部位を有する断片が得られるように、VHとVLドメインとの間に、短いリンカー(約5?10残基)を持つsFv断片(前の段落を参照)を構築することにより調製される。ダイアボディは二価でも二重特異性であってもよい。二重特異性ダイアボディは2つの「交差」sFv断片のヘテロダイマーであり、そこでは2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404097号;国際公開93/11161号;Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003);及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)により十分に記載されている。トリアボディ及びテトラボディもまた、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)において記述される。
本明細書中で用いられる「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在しうる可能性がある自然に生じる突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に対する。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と比べて、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成される点で有利である。「モノクローナル」との修飾詞は、抗体を何か特定の方法で生成しなければならないことを意味するものではない例えば、本発明において有用なモノクローナル抗体は、最初にKohler et al.,Nature,256:495(1975)により記載されたハイブリドーマ法によって作ることができ、あるいは組換えDNA法によって、細菌、真核細胞動物又は植物細胞から作ることができる(例えば、米国特許第4816567号参照)。また「モノクローナル抗体」は、例えばClackson et al.,Nature,352:624-628(1991)、及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0045】
本明細書中のモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体を含み、それは特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列に相同な又は同一な重鎖及び/又は軽鎖の一部を含むものであり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、抗体断片のように他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列に相同な又は同一なものである(米国特許第4816567号;及びMorrison等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851-6855(1984))。ここで対象とするキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界サル、サルなど)由来の可変ドメイン抗原結合配列とヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
非ヒト(例えば齧歯類)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト抗体から得られた最小配列を含むキメラ抗体である。大部分において、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の抗体特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、全て又はほとんど全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、全て又はほとんど全てのFRがヒト免疫グロブリン配列である、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、状況に応じて免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細は、Jones等,Nature 321,522-525(1986);Riechmann等,Nature 332,323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2,593-596(1992)を参照のこと。また、以下の総説及びここで引用する文献も参照のこと。Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma and Immunol.,1:105-115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions,23:1035-1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.,5:428-433(1994)。
【0046】
本明細書中で用いられる「thio」抗体はシステイン改変抗体を指し、本明細書中で用いられる「hu」抗体はヒト化抗体を指す。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここで開示されたヒト抗体を製造するための何れかの技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当該分野で知られている様々な技術を使用して生産することが可能である。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。また、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)において記述される方法は、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用できる。また、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)も参照のこと。抗原刺激に応答して抗体を産生するように修飾されているが、その内在性遺伝子座が無効になっているトランスジェニック動物、例えば免疫化ゼノマウスに抗原を投与することによってヒト抗体を調製することができる(例として、XENOMOUSE^(TM)技術に関する米国特許第6075181号及び同第6150584号を参照)。また、例えば、ヒトのB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されるヒト抗体に関するLi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)も参照のこと。
【0047】
本明細書中で使用される「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列が高頻度に変化する、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は6つの高頻度可変領域、つまり、VHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに3つ(L1、L2、L3)を含む。多数の高頻度可変領域の描写が使用され、ここに含まれる。カバット相補性決定領域(CDR)は配列変化に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5版 Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。カバット番号付け法を用いて番号付けされるChothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34との間で変化する。(これは、カバット番号付けスキームはH35AとH35Bに挿入があるからであり、)35Aも35Bもない場合、ループは32で終わり、35Aのみがある場合、ループは33で終わり、35A及び35Bがある場合には、ループは34で終わる)。AbM高頻度可変領域は、カバットCDRとChothia構造的ループとの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」高頻度可変領域は、利用できる複合体結晶構造の分析に基づく。これら高頻度可変領域のそれぞれからの残基を以下に示す。

【0048】
高頻度可変領域は、次のような「伸展した高頻度可変領域」を含んでもよい、即ち、VLの24-36又は24-34(L1)、46-56又は50-56(L2)及び89-97(L3)と、VHの26-35B(H1)、50-65、47-65又は49-65(H2)及び93-102、94-102、又は95-102(H3)である。可変ドメイン残基には、これら各々を規定するために、上掲のKabat等に従って番号を付した。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここで定義される高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0049】
「カバット(Kabat)による可変ドメイン残基番号付け」又は「カバットに記載のアミノ酸位番号付け」なる用語及びその異なる言い回しは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991)の抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はCDR内の短縮又は挿入に相当する2、3のアミノ酸又は付加的なアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインには、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えばカバットによる残基82a、82b及び82cなど)と、H2の残基52の後に単一アミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a)を含んでもよい。残基のKabat番号は、「標準の」カバット番号付け配列によって抗体の配列の相同領域でアライメントすることによって与えられる抗体について決定してもよい。
カバット番号付けシステムは一般に、可変ドメイン内の残基を指す場合に用いられる(軽鎖のおよそ残基1-107及び重鎖の残基1-113)(例えばKabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EU番号付けシステム」又は「EUインデックス」は一般に、イムノグロブリン重鎖定常領域を指す場合に用いられる(例えば上掲のKabat et al.において報告されたEUインデックス)。「カバットにおけるEUインデックス」はヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。本明細書中で特に明記しない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号の参照は、カバット番号付けシステムによって番号付けする残基を意味する。本明細書中で特に明記しない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号の参照は、EU番号付けシステムによって番号付けする残基を意味する(例えば、米国特許仮出願第60/640323号のEU番号付けに関する図を参照のこと)。
【0050】
「親和性成熟した」抗体は、その一又は複数のHVRに一又は複数の変更を有する抗体であって、そのような変更を有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性を向上させる。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル単位の、さらにはピコモル単位の親和性を有する。親和成熟抗体は、当技術分野において既知の方法により生産できる。Marks等は、Bio/Technology,10:779-783(1992年)において、VHドメインとVLドメインのシャフリングによる親和成熟を開示している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダムな突然変異誘発が、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci,USA 91:3809-3813(1994);Schier et al.Gene 169:147-155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)に開示されている。
【0051】
「遮断(ブロッキング)」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害するか又は低減するものである。好適な遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、実質的又は完全に、抗原の生物学的活性を阻害する。
本明細書中で用いられる「アゴニスト抗体」は、対象のポリペプチドの機能的な活性の少なくとも一を擬態する抗体である。
「種依存性抗体」、例えば哺乳動物抗-ヒトIgE抗体は、二番目の哺乳動物種からの抗原のホモログに対して有している結合親和性よりも、一番目の哺乳動物種からの抗原に対してより強力な結合親和性を有するものである。通常、種依存性抗体は、ヒト抗原に「特異的に結合」する(すなわち、約1×10^(?7)M以下、好ましくは約1×10^(?8)M以下、最も好ましくは約1×10^(?9)M以下の結合親和性(Kd)値を有する)が、そのヒト抗原に対する結合親和性よりも、少なくとも約50倍、又は少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍弱い、二番目の非ヒト哺乳動物種からの抗原のホモログに対する結合親和性を有する。種依存性抗体は、上にて定義した種々の型の抗体のいずれでもあることが可能だが、典型的にはヒト化又はヒト抗体である。
【0052】
一般的に「結合親和性」は、分子(例えば抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総合的な強度を意味する。特に明記しない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する内因性結合親和性を意味する。一般的に、分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(Kd)として表される。親和性は、本明細書中に記載のものを含む当業者に公知の共通した方法によって測定することができる。低親和性抗体は抗原にゆっくり結合して素早く解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は抗原により密接により長く結合したままとなる。結合親和性の様々な測定方法が当分野で公知であり、それらの何れかを本発明のために用いることができる。以下に具体的な例示的実施態様を記載する。
結合親和性を指すための本明細書中で用いられる「それ以上」は、分子とその結合パートナーとの間の結合がより強いことを指す。本明細書中で用いられる「それ以上」は、より小さい数値のKd値によって表される結合の強さを指す。例えば、「0.6nM以下」の抗体に対する親和性を有する抗体は、0.6nM未満、すなわち0.59nM、0.58nM、0.57nMなど又は0.6nM未満の任意の値である。
【0053】
一実施態様では、本発明の「Kd」又は「Kd値」は、段階的な力価の非標識抗原の存在下で、最小濃度の(^(125)I)-標識抗原にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する、以下のアッセイで示されるような、所望の抗体のFab型(バージョン)とその抗原を用いて実行される放射性標識した抗原結合アッセイ(RIA)で測定される(Chen,et al.,(1999)J.Mol Biol 293:865-881)。アッセイの条件を決めるために、ミクロタイタープレート(Dynex)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2?5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)に、100pM又は26pMの[^(125)I]抗原を段階希釈した所望のFabと混合する(例えば、Presta等,(1997)Cancer Res.57:4593-4599の抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致する)。ついで所望のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは平衡状態に達したことを確認するまでに長時間(例えば65時間)かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。そして、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTween20を含むPBSにて8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint-20;Packard)を加え、プレートをTopcountγ計測器(Packard)にて10分間計測する。最大結合の20%か又はそれ以下濃度のFabを選択してそれぞれ競合結合測定に用いる。
他の実施態様によると、?10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcore^(TM-)2000又はBIAcore^(TM)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)にて表面プラズモン共鳴アッセイを行ってKd又はKd値を測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(?0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model)(BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(k_(on))と解離速度(k_(off))を算出した。平衡解離定数(Kd)をk_(off)/k_(on)比として算出した。例として、Chen,Y.,等,(1999)J.Mol Biol 293:865-881を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10^(6)M^(?1)S^(?1)を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
また、本発明の「結合速度」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「k_(on)」は、上記のような、BIAcore^(TM-)2000又はBIAcore^(TM)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いた前述と同じ表面プラズモン共鳴アッセイにて測定される。
【0054】
ここで用いる「実質的に類似」、「実質的に同じ」なる用語は、当業者が2つの数値(例えば、本発明の抗体に関連するもの、及び参照/比較抗体に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値)によって測定される生物学的性質上わずかに又は全く生物学的及び/又は統計学的有意差がないと認められるほど、2つの数値が有意に類似していることを意味する。前記2つの値間の差異は、参照/比較抗体についての値の好ましくは約50%以下、好ましくは約40%以下、好ましくは約30%以下、好ましくは約20%以下、及び/又は好ましくは約10%以下である。
ここで用いる「実質的に減少」、又は「実質的に異なる」という句は、当業者が2つの数値(一般に、本発明の抗体に関連するもの、及び参照/比較抗体に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値、HAMA応答)によって測定される生物学的性質上統計学的に有意であると認められるほど、2つの数値が有意に異なっていることを意味する。前記2つの値間の差異は、参照/比較抗体の値の、好ましくは約10%より大きく、好ましくは約20%より大きく、好ましくは約30%より大きく、好ましくは約40%より大きく、及び/又は好ましくは約50%より大きい。
「抗原」は、抗体が選択的に結合しうる予め決められた抗原である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン又は他の天然に生じるないしは合成される化合物であってもよい。標的抗原はポリペプチドであることが望ましい。
【0055】
本願明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られるVL又はVHフレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含有するか、又は既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。既存のアミノ酸変化の数が好ましくは5以下、好ましくは4以下、又は3以下である場合、既存のアミノ酸変化が存在する。既存のアミノ酸変化がVH中に存在する場合、好ましくは、それらの変化は位置71H、73H及び78Hの内の3つ、2つ又は1つのみ起こり、例えば、それらの位置のアミノ酸残基は、71A、73T及び/又は78Aであってよい。一実施態様では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0056】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選別において、最も共通して生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列は、可変ドメイン配列のサブグループから選別する。通常、Kabat等によると、配列のサブグループはサブグループである。一実施態様では、VLについて、Kabat等によると、前記サブグループはサブグループκIである。一実施態様では、VHについて、Kabat等によると、前記サブグループはサブグループIIIである。
【0057】
「VHサブグループIIIコンセンサスフレームワーク」は、上掲のKabat等の可変重鎖サブグループIIIのアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含有する。一実施態様では、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列のそれぞれの少なくとも一部又は全部を含む。
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:143)-H1-WVRQAPGKGLEWV(配列番号:144)-H2-RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYC(配列番号:145)-H3-WGQGTLVTVSS(配列番号:146)。
「VLサブグループIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat等の可変軽鎖κサブグループIのアミノ酸配列から得られたコンセンサス配列を含んでなる。一実施態様では、VLサブグループIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列のそれぞれの少なくとも一部又は全部を含む。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:139)-L1-WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:140)-L2-GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:141)-L3-FGQGTKVEIKR(配列番号:142)。
【0058】
「修飾されていないヒトフレームワーク」は、アクセプターヒトフレームワークと同じアミノ酸配列を有するヒトフレームワーク、例えばアクセプターヒトフレームワーク内にヒトから非ヒトへのアミノ酸置換を欠いているものである。
本明細書中における「変更した高頻度可変領域」は、一又は複数(例えば1?およそ16)のアミノ酸置換をそこに含む高頻度可変領域である。
本明細書中における「修飾していない高頻度可変領域」は、元の非ヒト抗体と同じアミノ酸配列を有する高頻度可変領域、すなわち、一又は複数のアミノ酸置換を欠いているものである。
【0059】
対象の抗原、例えば腫瘍関連ポリペプチド抗原標的に「結合する」抗体は、当該抗原を発現する細胞又は組織を標的とするうえで、有用な診断薬となるのに十分な親和性を持って抗原に結合するものであり、他のタンパク質に対し有意な交差反応をしない。このような実施態様では、「非標的」タンパク質への抗体の結合の範囲は、蛍光標識細胞分取(FACS)分析又は放射性免疫沈降法(RIA)によって決定した場合、特定の標的タンパク質への抗体の結合の約10%未満である。標的分子への抗体の結合に関して、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープ「(に対する)特異的結合」、「に特異的に結合する」又は「に特異的である」という表現は、非特異的相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。特定の結合は、例えば、コントロール分子と比較したある分子の結合を決定することにより測定することができ、この場合コントロール分子は結合活性を有さない同じ構造の分子である。例えば、特異的結合は、標的と類似のコントロール分子との競合、例えば、標識しない標的の過多により定量することができる。この場合、標識した標的のプローブに対する結合が、標識していない標的の過多により競合的に阻害されると、特異的結合が示唆される。本明細書中で用いる特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープ「を特異的に結合する」又は「に特異的に結合する」又は「に特異的である」という用語は、例えば、少なくともおよそ10^(?4)M、あるいは少なくともおよそ10^(?5)M、あるいは少なくともおよそ10^(?6)M、あるいは少なくともおよそ10^(?7)M、あるいは少なくともおよそ10^(?8)M、あるいは少なくともおよそ10^(?9)M、あるいは少なくともおよそ10^(?10)M、あるいは少なくともおよそ10^(?11)M、あるいは少なくともおよそ10^(?12)M以上の標的に対してKdを有する分子によって表されうる。一実施態様では、「特異的な結合」なる用語は、1の分子が、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに対し、他のポリペプチド又はポリペプチドのエピトープに殆ど結合することなく結合するような結合を意味する。
【0060】
「CD79bポリペプチドを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する」抗体又は「増殖阻害」抗体とは、適切なCD79bポリペプチドを発現又は過剰発現する癌細胞の、測定可能な増殖抑制を導くものである。CD79bポリペプチドは癌細胞の表面上に発現される膜貫通型ポリペプチドでもよいし、癌細胞によって製造されて分泌されるポリペプチドであってもよい。好適な増殖阻害抗CD79b抗体は、適切なコントロールと比較して、20%を超える、好ましくは約20%?約50%、更に好ましくは50%を超える(例えば約50%?約100%)CD79b発現腫瘍細胞の増殖を阻害し、このコントロールは典型的に試験される抗体によって処置されていない腫瘍細胞である。一実施態様では、増殖の抑制は、細胞培養液中で約0.1?30μg/ml又は約0.5nM?200nMの抗体濃度において測定することができ、増殖阻害は、腫瘍細胞を抗体に曝してから1?10日後に測定する。インビボでの腫瘍細胞の増殖阻害は、後述の実験的実施例に記載したような様々な方法で定量することができる。抗CD79b抗体を体重1kg当たり約1μg?約100mgで投与した結果、当該抗体の初回投与から約5日?3ヶ月、好ましくは約5?30日以内に腫瘍の大きさ又は腫瘍細胞の増殖が低減した場合、抗体はインビボにおいて増殖阻害性である。
【0061】
「アポトーシスを誘発する」抗体とは、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞の縮み、小胞体の拡張、細胞断片化、及び/又は膜小胞の形成(アポトーシス性本体と呼ばれる)により決定される、プログラムされた細胞死を誘発するものである。細胞は通常、CD79bポリペプチドを過剰発現する細胞である。好ましくは、細胞は腫瘍細胞、例えばB細胞、T細胞、好塩基球、好酸球、好中球、単球、血小板又は赤血球などの造血性細胞である。様々な方法を使用して、アポトーシスに関連する細胞イベントを評価することができる。例えば、ホスファチジルセリン(PS)の転位置をアネキシン結合により測定することができ、DNA断片化をDNAラダーリングにより評価することができ、核/染色質凝縮及びDNA断片化を、低二倍体性細胞の増加により評価することができる。好ましくは、アポトーシスを誘発する抗体は、アネキシン結合アッセイにおいて、処理しない細胞に対し、約2?50倍、好ましくは約5?50倍、及び最も好ましくは約10?50倍のアネキシン結合を誘発するものである。
「細胞死を誘発する」抗体は、生存可能な細胞を生存不能にするものである。このような細胞はCD79bポリペプチドを発現するものであり、CD79bポリペプチドを特異的に発現又は過剰発現する細胞種である。細胞は特定の細胞種の癌性細胞ないしは正常細胞であってもよい。CD79bポリペプチドは、癌細胞の表面上に発現される膜貫通ポリペプチドであるか、癌細胞によって産生及び分泌されるポリペプチドであり得る。細胞は癌細胞、例えばB細胞又はT細胞であってもよい。インビトロでの細胞死を補体及び免疫エフェクター細胞の不在下で決定し、よって抗体依存性細胞障害(ADCC)又は補体依存性細胞障害(CDC)によって誘発された細胞死を区別することができる。つまり、細胞死のアッセイは、熱で不活性化した血清を用いて(即ち、補体の不在下において)、免疫エフェクター細胞の不在下で、実行することができる。抗体が細胞死を誘発することができるか否かを決定するために、処理しない細胞と比較して、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー(Moore等,Cytotechnology 17:1-11(1995)参照)、又は7AADの取り込みによって評価される膜完全性の欠損が評価されうる。好ましい細胞死誘発抗体は、BT474細胞におけるPI取り込みアッセイにおいてPI取り込みを誘発するものである。
【0062】
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰する生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害;Fcレセプター結合性;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
【0063】
本明細書中の「Fc領域」なる用語は、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化するかも知れないが、通常、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226の位置又はPro230からの位置のアミノ酸残基からそのカルボキシル末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば、抗体の産生又は精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え遺伝子操作することによって取り除かれてもよい。したがって、インタクト抗体の組成物は、すべてのK447残基が除去された抗体群、K447残基が除去されていない抗体群、及びK447残基を有する抗体と有さない抗体の混合を含む抗体群を含みうる。
「機能的なFc領域」は、天然配列のFc領域が有するエフェクター機能を保持する。典型的なエフェクター機能は、C1q結合;補体媒介障害活性(CDC)、Fcレセプター結合、抗体依存性細胞障害活性(ADCC);貪食作用、細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター;BCR)の低減下などである。このようなエフェクターの機能は、一般に、Fc領域が結合領域(例えば、抗体の可変領域)に結合するのに必要とされており、本明細書中の定義に開示されるような様々はアッセイを用いることで評価することが可能である。
【0064】
「天然配列のFc領域」は、天然に見出されるFc領域と同一のアミノ酸配列を包含する。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1Fc領域(非A-及びA-アロタイプ);天然配列ヒトIgG2Fc領域;天然配列ヒトIgG3Fc領域;及び、天然配列ヒトIgG4Fc領域、同様に、自然に生じるこれらの変異体が含まれる。
「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは一又は複数のアミノ酸置換により、天然配列Fc領域とは異なるアミノ酸配列を包含するものである。好ましくは、変異体Fc領域には、天然配列のFc領域もしくは親ペプチドのFc領域と比較した場合、少なくとも1つのアミノ酸置換が存在する。例えば、天然配列のFc領域又は親鎖のFc領域において、おおよそ1からおよそ10、好ましくは、おおよそ1からおよそ5のアミノ酸の置換が存在する。ここで言う変異体Fc領域は、好ましくは少なくともおよそ80%以上の相同性を天然配列のFc領域及び/又は親ペプチドのFc領域との間に有するか、より好ましくはおよそ90%以上の相同性を、最も好ましくは少なくともおよそ95%の相同性を有するものであろう。
【0065】
「抗体依存性細胞障害活性」又は「ADCC」は、特定の細胞障害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)に結合した分泌型Igが細胞障害性エフェクター細胞を抗原保持標的細胞に特異的に結合させ、続いて標的細胞を細胞障害性によって標的細胞を殺傷する細胞障害性の形態を指す。抗体は細胞障害性細胞「に対するものであり」、必ず細胞の殺傷に必要である。ADCCを媒介する一次細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現する一方、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血性細胞でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol.,9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象分子のADCC活性を評価するためには、米国特許第5500362号又は第5821337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイが実施されうる。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK)細胞を含む。あるいは、又は付加的に、対象分子のADCC活性は、例えばClynes等.PNAS(USA),95:652-656(1998)に開示されたような動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。
【0066】
「Fcレセプター」もしくは「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを指す。好適なFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好適なFcRは、IgG抗体(ガンマレセプター)と結合するもので、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスを含み、それらの対立遺伝子変異体、選択的にスプライシングされたものも含まれる。FcγRIIレセプターには、FcγRIIA(「活性型レセプター」)、FcγRIIB(「阻害型レセプター」)が含まれ、主として細胞質領域は異なるが、類似のアミノ酸配列を有するものである。活性型レセプターFcγRIIAは、細胞質領域にチロシン依存性免疫レセプター活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif;ITAM)を含んでいる。阻害型レセプターFcγRIIBは、細胞質領域にチロシン依存性免疫受容体阻害性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif;ITIM)を含んでいる(Daeron,Annu.Rev.immunol.15:203-234(1997))。FcRに関しては、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-92(1991);Capel等,Immunomethods 4:25-34(1994);de Haas等,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)に総説されている。他のFcR、ここでは、将来的に同定されるものも含めて、「FcR」という言葉によって包含される。また、また、該用語には、母性IgGsが胎児に受け継がれる要因となっている新生児性受容体「FcRn」も含まれる(Guyer等,J.Immunol.117:587(1976)及びKim等,J.Immunol.24:249(1994))。
【0067】
インビボのヒトFcRnへの結合やヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質移入されたヒト細胞株において、又は、変異Fc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類においてアッセイされてもよい。国際公開2000/42072(Presta)は、FcRへの結合が改善された又は低減された抗体変異体を記載している。また、例としてShields et al.J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照のこと。
【0068】
「ヒトエフェクター細胞」とは、一又はそれ以上のFcRsを発現し、エフェクターとしての機能を発揮する白血球のことである。その細胞が少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を発揮することが望ましい。ADCCを媒介する細胞の例として、抹消血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、好中球、が含まれるが、PBMCとNK細胞が好適である。エフェクター細胞は天然の材料(例えば、血液)から単離してもよい。
【0069】
「補体依存性細胞障害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解することを意味する。古典的な補体経路の活性化は、補体活性化経路は補体系(Clq)の第1補体が、同族抗原と結合した(好適なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されるようなCDCアッセイが行われてもよい。変化したFc領域アミノ酸配列を有し(変異Fc領域を有するポリペプチド)、C1q結合能が増加しているないしは減少しているポリペプチド変異体は、例えば米国特許第6194551号B1及び国際公開1999/51642に記載されている。また、例としてIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)を参照のこと。
【0070】
「Fc領域を含む抗体」なる用語は、Fc領域を含む抗体を指す。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムに従うと残基447)は、例えば、ポリペプチドの精製中又はポリペプチドをコードする核酸を組み換え操作することによって除去してもよい。したがって、本発明のFc領域を有する抗体を含有する組成物は、K447を有する抗体、すべてのK447が除去された抗体、又はK447残基を有する抗体とK447残基を有さない抗体の混合を含みうる。
【0071】
CD79bポリペプチド「細胞外ドメイン」又は「ECD」は、膜貫通及び細胞質ドメインを実質的に有しないCD79bポリペプチドの形態を意味する。通常、CD79bポリペプチドECDは、それらの膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。本発明のCD79bポリペプチドについて同定された任意の膜貫通ドメインは、疎水性ドメインのその型を同定するために当該分野において日常的に使用される基準に従い同定されることが理解されるであろう。膜貫通ドメインの厳密な境界は変わり得るが、最初に同定されたドメインの何れかの末端から約5アミノ酸を超えない可能性が高い。場合によっては、従って、CD79bポリペプチドの細胞外ドメインは、実施例又は明細書で同定されるように膜貫通ドメイン/細胞外ドメインの境界の何れかの側から約5を超えないアミノ酸を含んでもよく、シグナルペプチドを伴う又は伴わない、それらのポリペプチド及びそれらをコードする核酸は、本発明で考慮される。
【0072】
ここに開示するCD79bポリペプチドの「シグナルペプチド」のおおよその位置は、本明細書及び/又は添付図に示されうる。しかし、シグナルペプチドのC末端境界は変化しうるが、ここで最初に定義したようにシグナルペプチドC末端境界の何れかの側で約5アミノ酸未満である可能性が最も高く、シグナルペプチドのC末端境界は、そのような型のアミノ酸配列成分を同定するのに日常的に使用される基準に従って同定しうることに留意される(例えば、Nielsen等,Prot.Eng.10:1-6(1997)及びvon Heinje等,Nucl.Acids.Res.14:4683-4690(1986))。更に、幾つかの場合には、分泌ポリペプチドからのシグナル配列の切断は完全に均一ではなく、一つ以上の分泌種をもたらすことも認められる。シグナルペプチドがここに同定されるシグナルペプチドのC末端境界の何れかの側の約5アミノ酸未満内で切断されるこれらの成熟ポリペプチド、及びそれらをコードするポリヌクレオチドは、本発明で考慮される。
【0073】
「CD79bポリペプチド変異体」とはCD79bポリペプチド、好ましくは、ここに開示するような完全長天然配列CD79bポリペプチド配列、ここで開示するようなシグナルペプチドを欠くCD79bポリペプチド配列、ここに開示するようなシグナルペプチドを有する又は有しないCD79bポリペプチドの細胞外ドメイン又はここに開示する完全長CD79bポリペプチド配列の任意の他の断片(例えば、完全長CD79bポリペプチドの完全なコード配列の一部のみを示す核酸によってコードされるもの)と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するここで定義するような活性なCD79bポリペプチドを意味する。このようなCD79bポリペプチド変異体には、例えば、完全長天然アミノ酸配列のN末端又はC末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加、もしくは欠失されたCD79bポリペプチドが含まれる。通常、CD79bポリペプチド変異体は、ここに開示する完全長天然配列CD79bポリペプチド配列、ここに開示するシグナルペプチドを欠くCD79bポリペプチド配列、シグナルペプチドを有する又は有しないここに開示するCD79bポリペプチドの細胞外ドメイン、又はここに開示する完全長CD79bポリペプチド配列の任意の具体的に定義した他の断片に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%のアミノ酸配列同一性を有している。通常、CD79b変異体ポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長、あるいは少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600アミノ酸長、又はそれ以上である。場合によっては、CD79b変異体ポリペプチドは、天然CD79bポリペプチド配列に比較して一つ以下の保存的アミノ酸置換、あるいは天然CD79bポリペプチド配列に比較して2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以下の同類アミノ酸置換を有するにすぎない。
【0074】
ここで同定したペプチド又はポリペプチド配列、すなわちCD79bポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」とは、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした後の、特定のペプチド又はポリペプチド配列、すなわちCD79bポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが下記の表1に提供されている配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権庁,ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN-2プログラムはジェネンテック社、サウス サン フランシスコ,カリフォルニアから公的に入手可能であり、下記の表1に提供されたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標)V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0075】
アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bへの、それとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、与えられたアミノ酸配列Bへの、それとの、又はそれに対する或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2のA及びBのプログラムアラインメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性と等しくないと認識されるであろう。
【0076】
「CD79b変異体ポリヌクレオチド」又は「CD79b変異体核酸配列」とは、ここで定義されるように、CD79bポリペプチド、好ましくは活性CD79bポリペプチドをコードし、ここに開示する完全長天然配列CD79bポリペプチド配列、ここに開示するシグナルペプチドを欠いた完全長天然配列CD79bポリペプチド配列、シグナルペプチドを有する又は有しないここに開示するCD79bポリペプチドの細胞外ドメイン、又はここに開示する完全長CD79bポリペプチド配列の他の任意の断片をコードする核酸配列(完全長CD79bポリペプチドの完全なコード化配列の一部分のみを表す核酸によってコードされた)と、少なくとも約80%の核酸配列同一性を有する核酸分子を意味する。通常、CD79b変異体ポリヌクレオチドは、ここに開示する完全長天然配列CD79bポリペプチド配列、ここに開示するシグナルペプチドを欠く完全長天然配列CD79bポリペプチド配列、シグナルペプチドを有する又は有しないここに開示するCD79bポリペプチドの細胞外ドメイン、又はここに開示する完全長CD79bポリペプチド配列の任意の他の断片をコードする核酸配列と、少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の核酸配列同一性を有している。変異体は、天然ヌクレオチド配列を含まない。
【0077】
通常、CD79b変異体ポリヌクレオチドは、少なくとも約5ヌクレオチド長、あるいは少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、又は1000ヌクレオチド長であり、この文脈の「約」という用語は、表示ヌクレオチド配列長にその表示長の10%を加えるか又は減じたものを意味する。
【0078】
ここで同定されるCD79bコード化核酸配列に対する「パーセント(%)核酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、対象のCD79b核酸配列のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウエアのような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。ここでの目的のためには、%核酸配列同一性値は、ALIGN-2プログラム用の完全なソースコードが下記の表1に提供されている配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用することによって得られる。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作成され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権庁,ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN-2プログラムはジェネンテック社、サウスサンフランシスコ,カリフォルニアから公的に入手可能であり、下記の表1に提供されたソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標)V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0079】
核酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、与えられた核酸配列Cの、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(あるいは、与えられた核酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される:
分率W/Zの100倍
ここで、Wは配列アラインメントプログラムALIGN-2のC及びDのアラインメントによって同一であると一致したスコアのヌクレオチドの数であり、ZはDの全ヌクレオチド数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと等しくない場合、CのDに対する%核酸配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性と等しくないことは理解されるであろう。特に断らない限りは、ここでの全ての%核酸配列同一性値は、直ぐ上のパラグラフに示したようにALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られる。
【0080】
他の実施態様では、CD79b変異体ポリヌクレオチドとは、CD79bポリペプチドをコードする核酸分子であり、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件下で、ここに記載の完全長CD79bポリペプチドをコードするヌクレオチド配列とハイブリダイゼーションすることができる。CD79b変異体ポリペプチドは、CD79b変異体ポリヌクレオチドによってコードされているものであり得る。
CD79bポリペプチドをコードする核酸に関して使用される場合の「完全長コード領域」という用語は、(添付図において開始及び停止コドンの間でしばしば示される)本発明の完全長CD79bポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を意味する。ATCC寄託核酸に関して使用される場合の「完全長コード領域」という用語は、(添付図において開始及び停止コドンの間でしばしば示される)ATCCに寄託されたベクター中に挿入されているcDNAのTATポリペプチドコード部分を意味する(開始コドンと終止コドンは図中で太字と下線で示す)。
【0081】
ここに開示される種々のCD79bポリペプチドを記載するために使用される「単離」とは、自然環境の成分から同定され及び分離及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の汚染成分とは、そのポリペプチドの治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様では、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端あるいは内部アミノ酸配列を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でSDS-PAGEにより均一になるまで精製される。単離されたポリペプチドには、CD79bポリペプチドの自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも一つの精製工程により調製される。
【0082】
「単離された」CD79bポリペプチドをコードする核酸又は他のポリペプチドコード化核酸は、同定され、ポリペプチドをコードする核酸の天然源に通常付随している少なくとも一つの汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離されたポリペプチドをコードする核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。故に、単離されたポリペプチドをコードする核酸分子は、天然の細胞中に存在する特異的なポリペプチドをコードする核酸分子とは区別される。しかし、ポリペプチドをコードする単離された核酸分子には、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にあるポリペプチドを通常は発現する細胞に含まれるポリペプチドをコードする核酸分子が含まれる。
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列と、リボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0083】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0084】
ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングに必要な温度が高くなり、プローブが短くなるとそれに必要な温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、一般的に、相補鎖がその融点より低い環境に存在する場合に、変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリダイゼーション配列の間で所望される相同性の程度が高くなればなるほど、用いることができる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をよりストリンジェントにすることになり、低い温度はストリンジェントを低下させることになる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーの更なる詳細及び説明については、Ausubel等,Current Protocols in Molecular Biology(Wiley Interscience Publishers,1995)を参照のこと。
【0085】
ここで定義される「ストリンジェント条件」又は「高度のストリンジェンシー条件」は、(1)洗浄に低イオン強度及び高温度を用いる、例えば、50℃で、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウム;(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性剤を用いる、例えば、42℃で、50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム;又は(3)42℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハード液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%の硫酸デキストラン溶液中で終夜ハイブリダイゼーション、42℃で、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中にて10分間の洗浄、ついで55℃で、EDTAを含む0.1×SSCからなる10分間の高ストリンジェンシー洗浄を用いるものによって同定される。
「中程度のストリンジェント条件」は、Sambrook等,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(New York:Cold Spring Harbor Press,1989)に記載されているように同定され、上記のストリンジェントより低い洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度のストリンジェント条件は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハード液、10%硫酸デキストラン、及び20mg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中にて37℃での終夜インキュベーション、次いで1×SSC中にて約37-50℃でのフィルターの洗浄といった条件である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識する。
【0086】
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」と融合したCD79bポリペプチド又は抗CD79b抗体を含んでなるキメラポリペプチドを意味する。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエピトープを提供するのに十分な残基を有し、その長さは融合するポリペプチドの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8?50のアミノ酸残基(好ましくは、約10?20の残基)を有する。
ここでの目的に対する「活性な」又は「活性」とは、天然又は天然に生じるCD79bの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するCD79bポリペプチドの形態を意味し、その中で、「生物学的」活性とは、天然又は天然発生CD79bが保持する抗原性エピトープに対する抗体の生成を誘発する能力以外の、天然又は天然発生CD79bによって引き起こされる生物機能(阻害又は刺激)を意味し、「免疫学的」活性とは、天然又は天然発生CD79bが保持する抗原性エピトープに対する抗体の生成を誘発する能力を意味する。
【0087】
「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、そして天然CD79bポリペプチドの生物学的活性を部分的又は完全にブロック、阻害、又は中和する任意の分子が含まれる。同じように、「アゴニスト」という用語は最も広い意味で用いられ、天然CD79bポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子が含まれる。適切なアゴニスト又はアンタゴニスト分子には、特にアゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、断片、又は天然CD79bポリペプチドのアミノ酸配列変異体、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小有機分子等が含まれる。CD79bポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法は、CD79bポリペプチドと候補アゴニスト又はアンタゴニスト分子を接触させ、そして通常はCD79bポリペプチドに関連している一又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測定することが含まれ得る。
【0088】
「精製」とは、分子が少なくとも95重量%又は含有される試料の少なくとも98重量%の濃度で試料中に存在することを意味する。
「単離された」核酸分子は、例えば天然の環境に通常付随している少なくとも一の他の核酸分子から分離された核酸分子である。さらに、単離された核酸分子は、核酸分子を通常発現するが、その核酸分子がその天然の染色体位置と異なる染色体位置にあるか又は染色体外に存在する、細胞に含まれる核酸分子を含む。
【0089】
ここで使用される「ベクター」という用語は、それが結合している他の核酸を輸送することのできる核酸分子を意味するものである。一つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは付加的なDNAセグメントが結合されうる円形の二本鎖DNAループを意味する。他の型のベクターはファージベクターである。他の型のベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントをウイルスゲノムへ結合させうる。所定のベクターは、それらが導入される宿主細胞内において自己複製することができる(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクターとエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、宿主ゲノムと共に複製する。更に、所定のベクターは、それらが作用可能に結合している遺伝子の発現を指令し得る。このようなベクターはここでは「組換え発現ベクター」(又は単に「組み換えベクター」)と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術で有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形をとる。本明細書では、プラスミドが最も広く使用されているベクターの形態であるので、「プラスミド」と「ベクター」を相互交換可能に使用する場合が多い。
【0090】
ここで交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを意味し、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体(アナログ)、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、もしくは合成反応によりポリマー中に取り込み可能な任意の基質とすることができる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。存在するならば、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前又は後になされ得る。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは合成後に標識とコンジュゲートによるなどしてさらに修飾されてもよい。他のタイプの修飾には、例えば「キャップ(caps)」、類似体との自然に生じたヌクレオチドの一又は複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結(例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマート等)及び荷電連結(ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等)を有するもの、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リジン等)を含むもの、インターカレータ(intercalators)を有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート剤(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾された連結を含むもの(例えばアルファアノマー核酸等)、並びにポリヌクレオチド(類)の未修飾形態が含まれる。更に、糖類中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えばホスホナート基、ホスファート基で置き換えられてもよく、標準的な保護基で保護されてもよく、又は付加的なヌクレオチドへのさらなる連結を調製するように活性化されてもよく、もしくは固体又は半固体担体に結合していてもよい。5’及び3’末端のOHはホスホリル化可能であり、又は1?20の炭素原子を有する有機キャップ基部分又はアミンで置換することもできる。また他のヒドロキシルは標準的な保護基に誘導体化されてもよい。またポリヌクレオチドは当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖類の類似形態のものをさらに含み得、これらには例えば2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ又は2’-アジド-リボース、炭素環式糖の類似体、アルファ-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース類又はリキソース類、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドが含まれる。一又は複数のホスホジエステル連結は代替の連結基で置き換えてもよい。これらの代替の連結基には、限定されるものではないが、ホスファートがP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、「(O)NR_(2)(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO又はCH_(2)(「ホルムアセタール」)と置き換えられた実施態様のものが含まれ、ここでそれぞれのR及びR’は独立して、H又は、エーテル(-O-)結合を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1-20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。先の記述は、RNA及びDNAを含むここで引用される全てのポリヌクレオチドに適用される。
ここで使用される「オリゴヌクレオチド」とは、短く、一般的に単鎖であり、また必ずしもそうではないが、一般的に約200未満のヌクレオチド長さの、一般的に合成のポリヌクレオチドを意味する。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上述した記載はオリゴヌクレオチドと等しく、十分に適用可能である。
【0091】
「癌」及び「癌性」なる用語は、一般的に制御されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を関すか又は記述する。癌の例には、限定するものではないが、造血性癌又は血液関連の癌、例えばリンパ腫、白血病、骨髄腫又はリンパ系腫瘍、しかしまた、脾臓の癌やリンパ節の癌や、更にはカルチノーマ、芽細胞腫(ブラストーマ)及び肉腫が含まれる。癌のより具体的な例には、B細胞関連の癌、例えば高、中及び低悪性度リンパ腫(例えば粘膜関連のリンパ組織B細胞リンパ腫及び非ホジキンリンパ腫(NHL)などのB細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫及びホジキンリンパ腫、及びT細胞リンパ腫を含む)や、白血病(二次白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、例えばB細胞白血病(CD5+Bリンパ球)、脊髄性白血病、例えば急性脊髄性白血病、慢性脊髄性白血病、リンパ白血病、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)及び脊髄形成異常を含む)や、他の血液学的な及び/又はB細胞ないしT細胞関連の癌が含まれる。また、好塩基球、好酸球、好中球及び単球のような多核白血球、樹状細胞、血小板、赤血球及びナチュラルキラー細胞を含む更なる造血性細胞の癌も含まれる。また、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される、癌性B細胞増殖性疾患も含まれる。B細胞癌の起源には、辺縁帯のメモリーB細胞の辺縁帯B細胞リンパ腫起源、胚中心のライトゾーンの中心細胞内の濾胞性リンパ腫及びびまん性大B細胞リンパ腫起源、B1細胞(CD5+)の慢性リンパ球性白血病及び小リンパ球性白血病起源、マントルゾーンのナイーブB細胞のマントル細胞リンパ腫起源、及び胚中心のダークゾーンの中心芽細胞のバーキットリンパ腫起源が含まれる。本明細書中で「造血性細胞組織」と称される造血性細胞を含む組織には、胸腺及び骨髄及び周辺リンパ組織、例えば脾臓、リンパ節、粘膜と関連したリンパ組織、例えば腸関連のリンパ組織、扁桃腺、パイエル板及び虫垂及び他の粘膜と関連するリンパ系組織、例えば気管支裏層が含まれる。このような癌のより具体的な例には、扁平細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞性癌、胃腸癌、膵癌、グリオーマ、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮上皮癌、唾液腺上皮癌、腎臓癌、肝癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌、白血病及び他のリンパ系増殖性疾患、及び様々なタイプの頭頸部癌が含まれる。
【0092】
本明細書中の「B細胞悪性腫瘍」には、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例として軽度/濾胞性NHL、小リンパ球(SL)NHL、中程度/濾胞性NHL、中程度のびまん性NHL、高度免疫芽細胞NHL、高度リンパ芽球NHL、高度小型非切れ込み核細胞性NHL、バルキー(bulky)疾患NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連のリンパ腫、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ球優性ホジキン病(LPHD)、小リンパ球性リンパ腫(SL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、再発性低悪性度NHL及びリツキシマブ抵抗性の低悪性度NHLを含む低悪性度NHL;白血病、例として急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病;マントル細胞リンパ腫;及び他の血液学的な悪性腫瘍が含まれる。このような悪性腫瘍は、CD79bなどのB細胞表面マーカーに対する抗体によって治療されてもよい。このような疾患は、CD79bなどのB細胞表面マーカーに対する抗体の投与によって治療されることが本明細書において意図されるものであり、本明細書中で開示したようなコンジュゲートしていない(「ネイキッド」)抗体又は細胞障害性剤にコンジュゲートされた抗体の投与を含む。また、このような疾患は、他の抗体ないし抗体薬剤コンジュゲート、他の細胞障害性剤、放射線又は他の同時ないしは連続して施される治療と組み合わせて、本発明の抗CD79b抗体ないし抗CD79b抗体薬剤コンジュゲートを含む併用療法によって治療されることが、本願明細書において意図される。本発明の例示的な治療方法では、本発明の抗CD79b抗体は、抗CD20抗体、イムノグロブリン又はこれらのCD20結合断片と組み合わされて、ともにないしは連続して投与される。抗CD20抗体はネイキッド抗体又は抗体薬剤コンジュゲートであってもよい。併用療法の実施態様では、抗CD79b抗体は本発明の抗体であり、抗CD20抗体はリツキサン(登録商標)(リツキシマブ)である。
【0093】
本明細書で使用する「非ホジキンリンパ腫」又は「NHL」という用語は、ホジキンリンパ腫以外のリンパ系の癌を意味する。通常、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫とは、ホジキンリンパ腫にはリードシュテルンベルク細胞が存在し、非ホジキンリンパ腫には前記細胞が不在であることにより区別することができる。本明細書で使用する用語に含まれる非ホジキンリンパ腫の例は、従来技術に既知の分類方式、例えばColor Atlas of Clinical Hematology第3版;A.Victor Hoffbrand及びJohn E.Pettit(編)(Harcourt Publishers Limited 2000)(特に図11.57、11.58及び11.59参照)に記載の改訂版European-American Lymphoma(REAL)方式に従って当業者(腫瘍学者又は病理学者)によって認識されるあらゆるものを含む。より具体的な例としては、限定するものではないが、再発性又は抵抗性NHL、前線低悪性度NHL、第III/IV期NHL、化学療法に抵抗性のNHL、前駆体Bリンパ芽球性白血病及び/又はリンパ腫、小リンパ球リンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病及び/又は前リンパ球性白血病及び/又は小リンパ球リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、immunocytoma及び/又はリンパ形質細胞性リンパ腫、リンパ系質細胞性リンパ腫周辺帯B細胞リンパ腫、脾周辺帯リンパ腫、結節外周辺帯-MALTリンパ腫、結節周辺帯リンパ腫、有毛細胞白血病、プラズマ細胞腫及び/又は形質細胞骨髄腫、低悪性度/濾胞性リンパ腫、中悪性度/濾胞性NHL、マントル細胞リンパ腫、濾胞性中心リンパ腫(濾胞性)、中悪性度拡散性NHL、広汎性大B細胞リンパ腫、高悪性度NHL(高悪性度前線NHL及び高悪性度再発性NHLを含む)、自己幹細胞移植後の又は自己肝細胞移植に抵抗性のNHL再発、原発性縦隔大B細胞リンパ腫、原発性浸出リンパ腫、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度非切断小細胞性NHL、巨大(bulky)病変NHL、バーキットリンパ腫、前駆体(周辺性)大顆粒リンパ球性白血病、菌状息肉腫及び/又はセザリー症候群、皮膚(皮膚性)リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管動原体リンパ腫が挙げられる。
【0094】
「疾患」は、本発明の物質/分子又は方法を用いた処置によって利益を得る任意の症状である。これには、問題とする疾患に哺乳動物がかかりやすくなる病理学的症状を含む慢性及び急性の疾病又は疾患を含む。限定的なものではなく、ここで処置される疾患の例には、悪性及び良性などの癌性状態;非白血病及びリンパ系腫瘍;ニューロン、グリア、アストロサイト(astrocytal)、視床下部及び他の腺、マクロファージ、上皮性、間質性及びブラストコエリックの疾患;炎症性、免疫性、及び他の血管形成関連の障害が含まれる。さらに、疾患には、B細胞増殖性疾患及び/又はB細胞腫瘍などの癌性状態、例えばリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫が含まれる。
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」なる用語は、ある程度の異常な細胞増殖と関係している疾患を指す。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。
本明細書中の「腫瘍」とは、悪性か良性かにかかわらず、すべての前癌性及び癌性細胞及び組織を指す。
【0095】
本明細書中の「自己免疫性疾患」は、個体の自己組織ないしは臓器又は同時分離したものに対する及びそれらから生じる疾患又は症状、又はその徴候又は結果として生じるその症状である。これら多くの自己免疫性及び炎症性疾患において、多くの臨床用及び研究用のマーカーが存在してもよく、限定するものではないが、高ガンマグロブリン血症、高レベルの自己抗体、組織中の抗原抗体複合体蓄積、副腎皮質ステロイド又は免疫抑制性治療の利点、及び、影響を受けた組織中のリンパ系細胞の凝集塊が含まれうる。B細胞が媒介する自己免疫性疾患に関して何か一つの理論に限定されるものではないが、B細胞は、自己抗体産生、免疫複合体形成、樹状及びT細胞活性化、サイトカイン合成、ケモカインの直接放出、及び病巣への異所性新リンパ形成を含む、多くの機構的な経路によりヒト自己免疫性疾患において病原性効果を示すことが考えられる。各々のこれらの経路は、自己免疫性疾患の病状の程度の違いに寄与しうる。
【0096】
「自己免疫性疾患」は、臓器特異的疾患(すなわち、免疫応答が、内分泌系、造血系、皮膚、循環器系、胃腸及び肝臓系、腎臓系、甲状腺、耳、神経筋系、中枢神経系などといった臓器系に対して特異的である)又は、複数の臓器系に影響しうる全身性疾患(例えば全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ、多発性筋炎など)でありうる。好ましい前記疾患には、自己免疫性リウマチ学疾患(例えば、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、SLE及びループス腎炎などの狼瘡、多発性筋炎/皮膚筋炎、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、及び乾癬の関節炎など)、自己免疫性胃腸及び肝臓疾患(例えば、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、自己免疫性胃炎及び悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆管萎縮症、原発性硬化性胆管炎、及び小児脂肪便病など)、血管炎(例えば、チャング-シュトラウス血管炎、ウェゲナー肉芽腫症及び顕微鏡的多発血管炎を含むANCA-ネガティブ血管炎及びANCA-関連血管炎)、自己免疫性神経学的疾患(例えば、多発性硬化症、眼球クローヌスミオクローヌス症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び自己免疫性多発性神経炎など)、腎臓疾患(例えば、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、及びベルガー病など)、自己免疫性皮膚科疾患(例えば、乾癬、蕁麻疹、蕁麻疹、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、及び皮膚紅班性狼瘡など)、血液系疾患(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後の紫斑病、及び自己免疫溶血性貧血など)、アテローム性動脈硬化、ブドウ膜炎、自己免疫性聴覚疾患(例えば、内耳疾患及び聴力障害など)、ベーチェット病、レイノー症候群、臓器移植及び自己免疫性内分泌系疾患(例えば、インスリン依存型糖尿病(IDDM)などの糖尿病関連の自己免疫性疾患、アジソン病及び自己免疫性甲状腺疾患(例えばグレーブス病及び甲状腺炎)など)が含まれる。より好ましい前記疾患には、例えば、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ANCA関連血管炎、狼瘡、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎及び糸球体腎炎が含まれる。
【0097】
場合によって上記のものを包含する、本明細書中で定義されるような他の自己免疫性疾患の具体的な例には、限定されるものではないが、関節炎(急性及び慢性の関節リウマチ、例として、若年発症関節リウマチ及び段階、例として、関節リウマチ関節滑膜炎、痛風又は痛風性関節炎、急性の免疫学的な関節炎、慢性炎症性関節炎、変形性関節症、II型コラーゲン誘導性の関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬の関節炎、スティル病、椎骨関節炎、骨関節炎、慢性関節炎プログレディエンテ、変形性関節炎、慢性多発性関節炎プリマリア、反応性関節炎、閉経期の関節炎、エストロゲン-枯渇関節炎、及び強直性脊椎炎/リウマチ様脊椎炎)、自己免疫性リンパ系増殖性疾患、炎症性過剰増殖性皮膚病、乾癬、例としてプラーク乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬及び爪乾癬、アトピー、例としてアトピー性疾患、例えば花粉症及びジョブ症候群、皮膚炎、例として接触皮膚炎、慢性接触皮膚炎、剥脱性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、疱疹状皮膚炎、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、非特異的皮膚炎、原発性刺激物接触皮膚炎、及びアトピー性皮膚炎、X連鎖過剰IgM症候群、アレルギー性眼内炎症性疾患、蕁麻疹、例として慢性アレルギー性蕁麻疹及び慢性特発性蕁麻疹、例として慢性自己免疫性蕁麻疹、筋炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、中毒性上皮性表皮壊死症、強皮症(全身強皮症を含む)、全身性硬化症などの硬化症、多発性硬化症(MS)、例として脊髄-視神経MS、原発性進行性MS(PPMS)、及び再発性寛解型MS(RRMS)、進行性全身性硬化症、アテローム性動脈硬化、動脈硬化症、皮膚硬化症、失調性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫媒介性胃腸疾患、胃腸炎症、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎、大腸炎潰瘍、顕微鏡的大腸炎、膠原性大腸炎、多発性大腸炎、壊死性全腸炎、及び経壁性大腸炎、及び自己免疫性炎症性腸疾患)、腸炎症、膿皮症壊疽、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、呼吸窮迫症候群、例として、成人又は急性の呼吸窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、葡萄膜の全部又は一部の炎症、虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液疾患、移植片対宿主病、遺伝性血管性浮腫などの血管性浮腫、髄膜炎の脳神経損傷、妊娠ヘルペス、妊娠性類天疱瘡、陰嚢掻痒、自己免疫性早期卵巣機能不全、自己免疫性症状による急性聴力損失、IgE媒介性疾患、例えばアナフィラキシー及びアレルギー性鼻炎及びアトピー性鼻炎、脳炎、例えばラスマッセンの脳炎及び辺縁及び/又は脳幹脳炎、ブドウ膜炎、例として、前部ブドウ膜炎、急性前ブドウ膜炎、肉芽腫ブドウ膜炎、非顆粒性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎又は自己免疫ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群を有する又は有さない糸球体腎炎(GN)、例として、慢性又は急性の糸球体腎炎、例として原発性GN、免疫性GN、膜性GN(膜性ネフロパシ)、特発性膜性GN又は特発性膜性ネフロパシ、膜又は膜性増殖性GN(MPGN)(タイプI及びタイプIIを含む)、急速進行性GN(RPGN)、増殖性腎炎、自己免疫性多腺性内分泌不全、亀頭炎、例として形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、扁平苔癬、薄板状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、妊娠前角化症、膿皮症壊疽、アレルギー性状態及び応答、食物アレルギー、薬剤アレルギー、昆虫アレルギー、まれなアレルギー性疾患、例として肥満細胞症、アレルギー性応答、湿疹、例としてアレルギー性又はアトピー性湿疹、乾皮性湿疹、異常発汗剤湿疹及び小胞の掌蹠湿疹、喘息、例えば喘息気管支炎、気管支喘息及び自己免疫喘息、T細胞の浸潤を伴う症状及び慢性炎症反応、妊娠中の胎児のABO式血液型など外来性抗原に対する免疫反応、慢性肺炎症性疾患、自己免疫心筋炎、白血球粘着力欠損、ループス、例としてループス腎炎、ループス脳炎、小児ループス、非腎性ループス、腎外ループス、ジスコイドループス、円板状エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス(SLE)、脱毛症ループス、SLE、例えば皮膚SLE又は亜急性の皮膚SLE、新生児期ループス症候群(NLE)及び紅班性狼瘡汎発、若年性開始型(I型)真正糖尿病、例として小児IDDM、成人発症型真正糖尿病(II型糖尿病)、自己免疫性糖尿病、特発性の尿崩症、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシ、糖尿病性大腸炎、糖尿病性大動脈疾患、サイトカイン及びTリンパ球によって媒介される急性及び遅発性過敏症と関係する免疫応答、結核、サルコイドーシス、肉芽腫症、例としてリンパ腫肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎(例として、リウマチ性多発性筋痛及び巨細胞(高安)動脈炎などの大脈管脈管炎、川崎病及び結節性多発動脈炎/結節性動脈周囲炎などの中脈管脈管炎、免疫血管炎、CNS血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、フィブリノイドを壊死させる血管炎及び全身性壊死性血管炎などの壊死性血管炎、ANCAネガティブ血管炎、及びチャーグ-ストラウス症候群(CSS)などのANCA関連の血管炎、ヴェゲナー肉芽腫、及び顕微鏡的多発性血管炎)、側頭動脈炎、無形成性貧血、自己免疫無形成性貧血、クームズ陽性貧血症、ダイアモンドブラックファン貧血症、溶血性貧血又は免疫溶血性貧血、例として自己免疫溶血性貧血(AIHA)、悪性貧血(貧血症悪性熱)、アジソン病、純粋な赤血球貧血症又は形成不全(PRCA)、第VIII因子欠損症、血友病A、自己免疫好中球減少症、例として汎血球減少症、白血球減少症、白血球血管外遊出を伴う疾患、CNS炎症性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、多器官損傷症候群、例えば敗血症、外傷又は出血の二次症状、抗原-抗体複合体関連疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、単神経炎、アレルギー性神経炎、ベーチェット病/症候群、カールスマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンスジョンソン症候群、天疱瘡又は類天疱瘡、例えば水疱性類天疱瘡、瘢痕性(粘液膜)類天疱瘡、皮膚類天疱瘡、尋常性天疱瘡、新生物関連天疱瘡、落葉状天疱瘡、類天疱瘡粘液-膜天疱瘡、及び紅斑性天疱瘡、後天性表皮水疱症、眼炎症、好ましくはアレルギー性眼性炎症、例えばアレルギー性結膜、直鎖状IgA水疱性疾患、自己免疫誘導性結膜炎、自己免疫多腺性内分泌障害、ライター病又は症候群、自己免疫性状態による熱性損傷、子癇前症、免疫複合体疾患、例として、免疫複合体腎炎、抗体が媒介する腎炎、神経炎症性疾患、多発性神経炎、慢性神経障害、例えばIgM多発性神経炎又はIgM媒介性神経障害、血小板減少(例えば心筋梗塞患者によるもの)、例えば血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、輸血後紫斑病(PTP)、ヘパリン誘発性血小板減少及び自己免疫性又は免疫媒介性血小板減少、例えば慢性及び急性のITPを含む特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、強膜炎、例えば特発性のセラト強膜炎、上強膜炎、自己免疫性精巣炎及び卵巣炎を含む精巣及び卵巣の自己免疫性疾患、一次甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫内分泌性疾患、例えば甲状腺炎、例えば自己免疫性甲状腺炎、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)又は亜急性の甲状腺炎、自己免疫甲状腺性疾患、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、グレーブス眼疾患(眼障害又は甲状腺関連の眼障害)、自己免疫多腺性症候群などの多腺性症候群、例えばタイプI(又は、多腺性内分泌障害症候群)、腫瘍随伴症候群、例として神経系新生物関連症候群、例えばランバート-イートン筋無力症症候群又はイートン-ランバート症候群、スティッフマン又はスティッフマン症候群、脳脊髄炎、例として、アレルギー性脳脊髄炎又は脳脊髄炎性アレルギー及び実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、重症筋無力症、例えば胸腺腫関連の重症筋無力症、小脳性退化、神経ミオトニ、眼球クローヌス又は眼球クローヌス筋硬直症候群(OMS)及び感覚系神経障害、多病巣性運動神経障害、シーハン症候群、自己免疫肝炎、慢性肝炎、類狼瘡肝炎、巨細胞肝炎、慢性活動性肝炎又は自己免疫慢性活動性肝炎、間質性肺炎、例えばリンパ系間隙間質性肺炎(LIP)、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、ギラン-バレー症候群、ベルガー病(IgAネフロパシ)、特発性IgAネフロパシ、線状IgA皮膚病、急性発熱性好中性皮膚病、角層下膿疱症、一過性棘融解皮膚病、肝硬変、例として原発性胆管萎縮症及び肺線維症、自己免疫腸疾患症候群、セリアックないしはコエリアック病、脂肪便症(グルテン腸疾患)、抵抗性スプルー、特発性スプルー、クリオグロブリン血症、例として混合性クリオグロブリン血症、アミロトロフィック側索硬化症(ALS;筋萎縮性側索硬化症(Lou Gehrig’s disease))、冠状動脈疾患、自己免疫性耳疾患、例として、自己免疫内耳疾患(AIED)、自己免疫聴力障害、多発性軟骨炎、例として、抵抗性又は再発性ないしは再発する多発性軟骨炎、肺胞状蛋白症、コーガン症候群/非梅毒性間質性角膜炎などの角膜炎、ベル麻痺、スウィート病/症候群、自己免疫性酒さ、帯状ヘルペス関連疼痛、アミロイドーシス、非癌性リンパ球増多症、一次リンパ球増多症、これにはモノクローナルB細胞リンパ球増多症(例えば良性モノクローナル免疫グロブリン症及び未同定の有意なモノクローナルガーモパチィ(monoclonal garnmopathy of undetermined significance)、MGUS)が含まれる、末梢性神経障害、腫瘍随伴症候群、チャネル病、例として、癲癇、片頭痛、不整脈、筋疾患、難聴、盲目、周期性麻痺及びCNSのチャネル病、自閉症、炎症性ミオパシ、局所性又は分節性又は限局性分節性糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼障害、ブドウ膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性肝臓病、線維症、多内分泌性不全、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮、初老期痴呆、脱髄性疾患、例として、自己免疫脱髄性病及び慢性炎症性脱髄性多発性神経炎、ドレスラー症候群、円形脱毛症、完全脱毛症、CREST症候群(石灰沈着、レイノー現象、食道運動障害、強指症及び毛細管拡張症)、雌雄自己免疫性不妊性、例えば、抗精子抗体によるもの、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、再発性中絶、農夫肺、多形性紅斑、心切開術後症候群、クッシング症候群、愛鳥家肺、アレルギー性肉芽腫性脈管炎、良性リンパ球血管炎、アルポート症候群、肺胞炎、例えばアレルギー性肺胞炎及び繊維化肺胞炎、間隙肺疾患、輸血反応、ハンセン病、マラリア、寄生虫病、例としてリーシュマニア症、キパノソミアシス(kypanosomiasis)、住血吸虫症、蛔虫症、アスペルギルス症、サンプター症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維形成、広汎性間隙肺線維形成、間質性肺線維形成、繊維化縦隔炎、肺線維形成、特発性の肺線維形成、嚢胞性線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸性筋膜炎(eosinophilic faciitis)、シャルマン症候群、フェルティー症候群、フィラリア(flariasis)、毛様体炎、例えば慢性毛様体炎、ヘテロ慢性毛様体炎、虹彩毛様体炎(急性又は慢性)又はFuchの毛様体炎)、ヘーノホ-シェーンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、SCID、後天性免疫不全症候群(AIDS)、エコーウィルス感染、敗血症(全身性炎症反応症候群(SIRS))、内毒血症、膵炎、thyroxicosis、パルボウィルス感染、風疹ウィルス感染、種痘後症候群、先天性風疹感染、エプスタインバーウイルス感染、耳下腺炎、エヴァンの症候群、自己免疫性腺機能不全、シドナム舞踏病、連鎖球菌感染後腎炎、閉塞性血栓性血管炎(thromboangitis ubiterans)、甲状腺中毒症、脊髄癆、脈絡膜炎、巨細胞多発性筋痛、慢性過敏性肺炎、結膜炎、例として、春季カタル、乾性角結膜炎及び流行性角結膜炎、特発性腎臓症候群、微小変化ネフロパシ、良性家族性及び乏血-再灌流障害、移植臓器再灌流、網膜自己免疫、関節炎症、気管支炎、慢性閉塞性気道/肺性疾患、珪肺症、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化症疾患、(大脳血管性不足)、例として動脈硬化脳症及び動脈硬化症網膜症、アスペルミオジェネース(aspermiogenese)、自己免疫性溶血、ベック病、クリオグロブリン血症、デュピュイトラン拘縮、水晶体過
敏性眼内炎、腸炎アレルギー、結節性紅斑、leprosum、特発性顔麻痺、慢性疲労症候群、リウマチ性熱、ハンマンリッチ病、感覚器性(sensoneural)聴力障害、血色素尿症発作(haemoglobinuria paroxysmatica)、性機能低下、回腸炎領域、白血球減少症、単核細胞増加症感染、横移動脊髄炎、一次特発性の粘液水腫、ネフローゼ、眼炎symphatica(交感性眼炎)、新生児眼炎、視神経炎、精巣炎肉芽腫症、膵炎、多発性神経根炎急性、膿皮症壊疽、Quervain甲状腺炎、後天性脾臓萎縮、非悪性胸腺腫、リンパ濾胞性胸腺炎、白斑、毒性ショック症候群、食中毒、T細胞の浸潤を伴う症状、白血球-粘着力欠損、サイトカイン及びTリンパ球に媒介される急性及び遅発性過敏症関連免疫応答、白血球血管外遊出を伴う疾患、多器官損傷症候群、抗原-抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜疾患、自己免疫多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫萎縮性胃炎、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多内分泌性不全、自己免疫多腺性症候群、例えば多腺性症候群I型、成人発症型特発性副甲状腺機能低下症(AOIH)、拡張型心筋症、例えば後天性表皮水疱症(EBA)、ヘモクロマトーシス、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性又は非化膿性副鼻腔炎、急性又は慢性副鼻腔炎、篩骨、正面、上顎骨又は蝶形骨副鼻腔炎、アレルギー性副鼻腔炎、好酸球性関連疾患、例えば好酸球増加症、肺浸潤好酸球増加症、好酸球増加症-筋肉痛症候群、レフラー症候群、慢性好酸性肺炎、熱帯肺好酸球増加症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギローム又は好酸球性を含有する肉芽腫、アナフィラキシー、脊椎関節症、血清陰性脊椎関節炎疹、多内分泌性自己免疫性疾患、硬化性胆管炎、強膜、上強膜、慢性皮膚粘膜カンジダ症、ブラットン症候群、乳児期の一過性低ガンマグロブリン血症、ウィスコット-アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症候群、血管拡張症、膠原病と関係する自己免疫疾患、リウマチ、例えば慢性関節リウマチ、リンパ節炎、血圧応答の減退、血管機能不全、組織損傷、心血管乏血、痛覚過敏、腎虚血、脳虚血、及び脈管化を伴う疾患、アレルギー性過敏症疾患、糸球体腎炎、再灌流障害、虚血性再灌流障害、心筋又は他の組織の再灌流損傷、リンパ腫気管気管支炎、炎症性皮膚病、急性炎症性成分を有する皮膚病、多臓器不全、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系炎症性疾患、眼性及び眼窩の炎症性疾患、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘発性毒性、ナルコレプシ、急性重症炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、及び子宮内膜症などがある。このような疾患は、CD79bなどのB細胞表面マーカーに結合する抗体の投与によって治療されることが本明細書において意図されるものであり、本明細書中で開示したようなコンジュゲートしていない(「ネイキッド」)抗体又は細胞障害性剤にコンジュゲートされた抗体の投与を含む。また、このような疾患は、他の抗体ないし抗体薬剤コンジュゲート、他の細胞障害性剤、放射線又は他の同時ないしは連続して施される治療と組み合わせて、本発明の抗CD79b抗体ないし抗CD79b抗体薬剤コンジュゲートを含む併用療法によって治療されることが、本願明細書において意図される。
【0098】
「治療すること」又は「処置」又は「寛解」は、治療的処置及び予防的ないし防止的手段を指し、この目的は標的とした病態又は疾患を予防又は衰退(減少)させることである。処置が必要なものには、疾患を既に有しているもの、並びに疾患にかかりやすいもの又は予防されるべき疾患があるものが含まれる。本発明の方法に従って抗CD79b抗体の治療的有効量を投与した後、被検体又は哺乳動物のCD79bポリペプチド発現癌がうまく「治療」されれば、患者は、癌細胞数の減少又は癌細胞の消失;腫瘍の大きさの減少;癌の軟組織及び骨への播種を含む、周辺臓器への癌細胞浸潤の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);ある程度の腫瘍成長の阻害;及び/又は特定の癌が関与する一又はそれ以上の症状のある程度の除去;罹患率及び死亡率の減少、及び生活の質の改善の一又は複数の観察可能な減少及び/又は測定可能な減少又は欠失を示す。抗CD79b抗体が増殖を予防しうる、及び/又は既存の癌細胞を殺しうる限り、細胞分裂停止性及び/又は細胞障害性であってよい。また、これらの兆候又は症状の減少は患者が感じてもよい。
疾患の有効な処置及び改善を評価するための上記パラメーターは、医師によく知られる慣例的な手法によって容易に測定可能である。癌療法では、例えば、疾患進行の時間(TTP)を評価し、及び/又は応答速度(RR)を決定することによって有効性が測定されてもよい。ステージテストや骨スキャン、及び骨への拡がりを測定するためのカルシウムレベルや他の酵素に関する試験によって、転移を決定してもよい。また、CTスキャンは、領域内の骨盤及びリンパ節への拡がりを探すためになされる。胸部X線及び公知の方法による肝酵素レベルの測定値は、それぞれ、肺及び肝臓への転移を探すために用いられる。疾患をモニターするための他の慣例方法には、経直腸超音波検査法(TRUS)及び経直腸針生検(TRNB)が含まれる。
【0099】
限局性である膀胱癌では、疾患の経過を決定するための方法には、膀胱鏡検査による泌尿器細胞学的評価、尿内の血液の存在のモニタリング、超音波検査又は静脈内腎盂像による尿路上皮性管の視覚化、コンピューター断層装置(CT)及び磁気共鳴画像(MRI)が含まれる。遠隔転移の存在は、腹部のCT、胸部X線又は骨格の放射性核種撮像によって評価されてもよい。
【0100】
「慢性」投与とは、初期の治療効果(活性)を長期間にわたって維持するようにするために、急性態様とは異なり連続的な態様での薬剤の投与を意味する。「間欠」投与とは、中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。
「個体」は脊椎動物である。ある実施態様では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、限定するものではないが、家畜動物(ウシなど)、スポーツ用動物、愛玩動物(ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類、マウス及びラットが含まれる。ある実施態様では、哺乳動物はヒトである。
【0101】
癌の症状の治療、緩和のための「哺乳動物」とは、哺乳動物に分類される任意の動物を意味し、ヒト、家畜用及び農場用動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
一又は複数の更なる治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での連続した投与を含む。
ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含み、用いられる服用量及び濃度でそれらに曝露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性である。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩のバッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン;グルコース、マンノース又はデキストランを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(登録商標)を含む。
【0102】
「固相」又は「固体支持体」とは、本発明の抗体が接着又は付着できる非水性マトリクスを意味する。ここに包含される固相の例は、部分的又は全体的にガラス(例えば、径の調整されたガラス)、ポリサッカリド(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンで形成されたものを含む。或る実施態様では、前後関係に応じて、固相はアッセイ用プレートのウェル;その他では精製用カラム(例えばアフィニティークロマトグラフィーカラム)を含むことができる。また、この用語は、米国特許第4275149号に記載されたような別々の粒子の不連続な固相も含む。
「リポソーム」は、哺乳動物への薬物(CD79b抗体など)の輸送に有用な、脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤を含む種々のタイプの小胞体である。リポソームの成分は、通常は細胞膜の脂質配向に類似した2層構造に配列される。
ここで定義されている「小」分子又は「小」有機分子とは、約500ダルトン未満の分子量である。
【0103】
「個体」、「被検体」又は「患者」は脊椎動物である。ある実施態様では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、限定するものではないが、家畜動物(ウシなど)、スポーツ用動物、愛玩動物(ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類、マウス及びラットが含まれる。ある実施態様では、哺乳動物はヒトである。
「薬学的製剤」なる用語は、活性成分の生物学的活性が有効となるような形態であり、製剤が投与される被検体に対して許容できない毒性がある付加的化合物を含まない調製物を指す。このような製剤は無菌でもよい。
「無菌の」製剤はすべての生きている微生物及びそれらの胞子を含まないで無菌である。
【0104】
本明細書中で開示される抗体の「有効量」は、具体的に言及する目的を実行するために十分な量である。「有効量」は経験的に、慣例方法で、定まった目的との関係で、決定されてよい。
「治療上の有効量」なる用語は、被検体又は哺乳動物の疾患又は疾病を「治療」するために効果的な抗体又は他の薬剤の量を指す。癌の場合、薬剤の治療上の有効量は、癌細胞の数を減少;腫瘍サイズを低減;周辺臓器への癌細胞浸潤の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の遅延及び好ましくは停止);ある程度の腫瘍成長の阻害;及び/又は癌が関与する一又はそれ以上の症状のある程度の軽減をしうる。「治療すること」の本明細書中の定義を参照のこと。薬剤が増殖を予防しうる、及び/又は既存の癌細胞を殺しうる限り、細胞分裂停止性及び/又は細胞障害性であってよい「予防的有効量」とは所望の予防結果を達成するために必要な用量及び時間での効果的な量を指す。典型的には必ずではないが、予防的用量は疾患の初期ステージ又はその前の患者に用いるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないであろう。
【0105】
抗CD79b抗体の「増殖阻害量」は、細胞、特に腫瘍、例えば癌細胞の増殖をインビトロ又はインビボで阻害できる量である。腫瘍性細胞増殖を阻害するための抗CD79b抗体の「増殖阻害量」は、経験的又は慣例的な方法によって決定されてよい。
抗CD79b抗体の「細胞障害性量」は、細胞、特に腫瘍、例えば癌細胞をインビトロ又はインビボでの破壊を引き起こすことができる量である。腫瘍性細胞増殖を阻害するための抗CD79b抗体の「細胞障害性量」は、経験的又は慣例的な方法によって決定されてよい。
【0106】
「CD79b発現細胞」は、細胞表面上のあるいは分泌された様式の内在性の又は形質移入されたCD79bポリペプチドを発現する細胞である。「CD79b発現癌」は、細胞表面上に存在するCD79bポリペプチドを有するか、又は、CD79bポリペプチドを生産して分泌する細胞を含む癌である。「CD79b発現癌」は場合によって、細胞表面上のCD79bポリペプチドを十分なレベル産生するので、抗CD79b抗体が結合して、癌に関する治療効果を有することができる。他の実施態様では、「CD79b発現癌」は場合によって、CD79bポリペプチドの十分なレベルを生産して、分泌するので、抗CD79b抗体アンタゴニストは結合して、癌に関する治療効果を有することができる。後者の場合、アンタゴニストは、腫瘍細胞によって分泌されたCD79bポリペプチドの製造や分泌を低減、阻害又は予防するアンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。CD79bポリペプチドを「過剰に発現する」癌は、同じ組織種の非癌性細胞と比較して、その細胞表面上に有意に高いレベルのCD79bポリペプチドを有するか、製造して分泌するものである。この過剰発現は、遺伝子増幅又は増加した転写ないし翻訳によって引き起こされてもよい。CD79bポリペプチドの過剰発現は、細胞の表面上に存在するか又は細胞によって分泌されるCD79bタンパク質のレベルの増加を評価することによる検出又は予後のアッセイで決定されてもよい(例えば、CD79bポリペプチドをコードする単離された核酸からの組み換えDNA技術を用いて調製されうる単離されたCD79bポリペプチドに対して調製される抗CD79b抗体を用いた免疫組織化学アッセイ、FACS分析などによって)。あるいは又はさらに、例えば、CD79bコード化核酸又はその相補鎖に対応する核酸ベースのプローブを使用する蛍光インサイツハイブリダイゼーション;(FISH;1998年10月公開の国際公開98/45479を参照)、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術、例えばリアルタイム定量PCR(RT-PCR)を介して、細胞のCD79bポリペプチドコード化核酸又はmRNAのレベルを測定してもよい。また、例えば、抗体ベースのアッセイを用いて、血清のような生物学的体液中に流れている抗原を測定することによって、CD79bポリペプチド過剰発現を研究してもよい(同じく、例えば、1990年6月12日に発行の米国特許第4933294号;1991年4月18日に公開の国際公開91/05264;1995年3月28日に発行の米国特許第5401638号;Sias等,J.Immunol.Methods 132:73-80(1990)を参照)。上記のアッセイとは別に、種々のインビボアッセイは、熟練技術者に入手可能である。例えば、患者の体の中にある細胞を、例えば、放射活性アイソトープのような検出可能な標識で場合によって標識した抗体に曝してもよく、患者の細胞への抗体の結合は、例えば、放射活性の外部スキャンニングによって、又は以前に抗体へ曝した患者から取り出した生検を分析することによって評価することができる。
【0107】
ここで用いられているように、「イムノアドヘシン」という用語は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能を持つ異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性を付与した抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは抗体の抗原認識及び結合部位以外の所望の結合特異性を持つアミノ酸配列(即ち「異種」)と免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物である。イムノアドヘシン分子のアドヘシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む近接アミノ酸配列を含む。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
「標識」という語は、ここで用いられる場合、「標識された」抗体を作製するために、抗体に直接的又は間接的に結合させる検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識はそれ自身によって検出可能でもよく(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)、あるいは、酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物又は組成物の化学的変換を触媒してもよい。
【0108】
ここで用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞破壊を生ずる物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At^(211)、I^(131)、I^(125)、Y^(90)、Re^(186)、Re^(188)、Sm^(153)、Bi^(212)、P^(32)及びLuの放射性同位体)、化学療法剤、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、又は他の挿入剤(intercalating agent)、酵素及びその断片、例えば核溶解性酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、そして下記に開示する種々の抗腫瘍又は抗癌剤を含むように意図されている。他の細胞障害性剤が下記に記載されている。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「毒素」は、細胞の成長又は増殖に対して有害効果を有することが可能な任意の物質である。
【0109】
作用機構に関係なく、「化学療法剤」は、癌の治療において有用な化学化合物である。化学療法剤の種類には、限定するものではないが、アルキル化剤(alkyating agent)、アンチメタボライ、紡錘体阻害剤植物アルカロイド、細胞障害性/抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害薬、抗体、光増感剤及びキナーゼ阻害薬が含まれる。化学療法剤は、「ターゲティング療法」と従来の化学療法とに用いられる化合物を含む。化学療法剤の例には、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標),Genentech/OSI Pharm.)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標),Sanofi-Aventis)、5-FU(フルオロウラシル、5‐フルオロウラシル、CAS番号51-21-8)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標),Lilly)、PD-0325901(CAS番号391210-10-9,Pfizer)、シスプラチン(シス-ジアミン、ジクロロ白金(II)、CAS番号15663-27-1)、カルボプラチン(CAS番号41575-94-4)、パクリタキセル(TAXOL(登録商標),Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標),Genentech)、テモゾロミド(4-メチル-5-オキソ-2,3,4,6,8-ペントアザ二環式[4.3.0]ノナ-2,7,9-トリエン-9-カルボキシアミド、CAS番号85622-93-1,TEMODAR(登録商標),TEMODAL(登録商標),Schering Plough)、タモキシフェン((Z)-2-[4-(1,2-ジフェニルブト-1-エニル)フェノキシ]-N,N-ジメチル-エタンアミド,NOLVADEX(登録商標),ISTUBAL(登録商標),VALODEX(登録商標))、及びドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標))、Akti-1/2、HPPD及びラパマイシンが含まれる。
【0110】
化学療法剤の他の例には、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標),Sanofi)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標),Millennium Pharm.)、スーテント(SUNITINIB(登録商標),SU11248,Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標),Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標),Novartis)、XL-518(Mekインヒビター,Exelixis,国際公開2007/044515)、ARRY-886(Mekインヒビター,AZD6244,Array BioPharma,Astra Zeneca)、SF-1126(PI3Kインヒビター,Semafore Pharmaceuticals)、BEZ-235(PI3Kインヒビター,Novartis)、XL-147(PI3Kインヒビター,Exelixis)、PTK787/ZK 222584(Novartis)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標),AstraZeneca)、リューコボリン(フォリン酸)、ラパマイシン(シロリムス,RAPAMUNE(登録商標),Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標),GSK572016,Glaxo Smith Kline)、ロナファーニブ(SARASAR^(TM),SCH 66336,Schering Plough)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標),BAY43-9006,Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標),AstraZeneca)、イリノテカン(CAMPTOSAR(登録商標),CPT-11,Pfizer)、ティピファニブ(ZARNESTRA^(TM),Johnson & Johnson)、ABRAXANE^(TM)(Cremophor-free),パクリタキセルのアルブミン-変更ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Il)、バンデタニブ(rINN,ZD6474,ZACTIMA(登録商標),AstraZeneca)、クロラムブシル、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、テムシロリムス(TORISEL(登録商標),Wyeth)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、カンフォスファミド(TELCYTA(登録商標),Telik)、チオテパ、及びシクロフォスファミド(CYTOXAN(登録商標)、NEOSAR(登録商標));ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin)(合成類似体、KW-2189及びCBI-TM1を含む);エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne)抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、カリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1、例えば、Agnew Chem Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシン(dynemicin)、ダイネミシンA(dynemicinA);クロドロネート(clodronate)などのビスホスホネート(bisphosphonates);エスペラマイシン(esperamicin);同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne)抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン(mitomycins)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin)のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);ミトキサントン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ナベルビン(Navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標),Roche);イバンドロナート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;、並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類及び誘導体が含まれる。
【0111】
また、「化学療法剤」の定義には、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、抗エストロゲン及び選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)など、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフェン);(ii)アロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼ阻害物質、それらは副腎でのエストロゲン産生を調節するものであり、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(メゲストロールアセテート)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン,Pfizer)、ホルメスタイン(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ゾロゾール(vorozole))、FEMARA(登録商標)(レトロゾール,Novartis)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール,AstraZeneca);(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)プロテインキナーゼインヒビター、例えばMEKインヒビター(国際公開2007/044515);(v)脂質キナーゼインヒビター;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に不粘着性細胞増殖に関係するシグナル伝達経路の遺伝子の発現を抑制するもの、例えばPKC-α、Raf及びH-Ras、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標),Genta Inc.);(vii)リボザイム、例えばVEGF発現インヒビター(例えばANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現インヒビター;(viii)遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標)などのワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)などのトポイソメラーゼ1インヒビター;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標),Genentech)などの抗血管形成剤;並びに上記のものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
また、「化学療法剤」の定義には、治療的抗体、例として、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標),Genentech);セツキシマブ(ERBITUX(登録商標),Imclone);パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標),Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標),Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG^(TM),2C4,Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標),Genentech)、トシツモマブ(Bexxar,Corixia)、及び抗体薬剤コンジュゲート、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標),Wyeth)が含まれる。
【0112】
本明細書中で用いられる「増殖阻害性剤」は、インビトロ又はインビボで、細胞、特にCD79b発現癌細胞の増殖を阻害する化合物又は組成物を指す。したがって、増側阻害性剤は、S期のCD79b発現細胞の割合を有意に減少するものであってもよい。増殖阻害性剤の例には、細胞サイクルの進行を(S期以外の時点で)遮断する薬剤、例えばG1停止及びM期停止を誘導する薬剤が含まれる。典型的なM期遮断剤には、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン及びトポイソメラーゼII阻害薬、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させる薬剤、例えば、タモキシフェン、プレドニソン、デカルバジン(decarbazine)、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル及びara-CのようなDNAアルキル化剤の場合でも、S期停止にずれ込むことがある。更なる情報は、Murakami et al.(WB Saunders:Philadelphia,1995),especially p.13の、The Molecular Basis of Cancer,Mendelsohn and Israel,eds.,Chapter 1,entitled ”Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs”にある。タキサン(パクリタキセル及びドセタキセル)は、両方ともイチイの木から得られる抗癌薬である。ヨーロッパイチイから得られるドセタキセル(TAXOTERE(登録商標),Rhone-Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標),Bristol-Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体からの微小管のアセンブリを促し、脱重合を予防することによって微小管を安定化し、その結果として細胞内の有糸分裂を阻害する。
【0113】
「ドキソルビシン」はアントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンの完全な化学名は、(8S-シス)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキサピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオンである。
【0114】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。そのようなサイトカインの例は、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;肝増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えばNGF-α;血小板増殖因子;TGF-α及びTGF-βのようなトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロン、例えばインターフェロン-α、-β、-γ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);IL-1、IL-1a、IL-2、IL-3、 IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12のインターロイキン(IL);TNF-α又はTNF-βなどの腫瘍壊死因子;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。ここで使用される場合は、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
【0115】
「パッケージ挿入物」という用語は、効能、用途、服用量、投与、配合禁忌及び/又はその治療薬の用途に関する警告についての情報を含む、治療薬の商業的包装を慣習的に含めた指示書を指すために用いられる。
【0116】
「細胞内代謝物」なる用語は、抗体-抗原コンジュゲート(ADC)上の細胞内部で代謝プロセス又は反応から生じている化合物に関する。代謝プロセス又は反応はADCのペプチドリンカーのタンパク質切断や、ヒドラゾン、エステル又はアミドなどの官能基の加水分解といった酵素的な過程であってもよい。細胞内代謝物には、限定するものではないが、細胞内への移行、拡散、取り込み又は輸送後に細胞内切断が行われた遊離薬剤及び抗体が含まれる。
「細胞内に切断される」及び「細胞内切断」なる用語は、抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)に対する細胞内の代謝プロセス又は反応であって、これによって薬剤成分(D)と抗体(Ab)間の共有結合、すなわちリンカーが壊れ、その結果、細胞内の抗体から遊離した薬剤が分離される。ゆえに、ADCの切断された成分は細胞内代謝物である。
【0117】
「生物学的利用能」なる用語は、患者に投与される薬剤の所定の量の全身有効性(すなわち、血液/血しょう濃度)を指す。生物学的利用能は、投与された用量形態から体循環に達する薬剤の時間(速度)と総量(程度)の測定値を示す絶対的な用語である。
「細胞障害活性」なる用語は、ADC又はADCの細胞内代謝物の細胞殺傷効果、細胞増殖抑制効果又は増殖阻害効果を指す。細胞障害活性は、細胞の半分が生存する単位容量当たりの濃度(モル又は質量)であるIC50値として表されてもよい。
【0118】
本明細書中で用いられる「アルキル」なる用語は、1?12の炭素原子(C_(1)-C_(12))の飽和した線状又は分枝状の一価性炭化水素ラジカルを指し、このアルキル基が場合によって後述の一又は複数の置換基と独立して置換されていてもよい。他の実施態様では、アルキル基は、1?8の炭素原子(C_(1)-C_(8))、又は1?6の炭素原子(C_(1)-C_(6))である。アルキル基の例には、限定するものではないが、メチル(Me、-CH_(3))、エチル(Et、-CH_(2)CH_(3))、1-プロピル(n-Pr、n-プロピル、-CH_(2)CH_(2)CH_(3))、2-プロピル(i-Pr、i-プロピル、-CH(CH_(3))_(2))、1-ブチル(n-Bu、n-ブチル、-CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(3))、2-メチル-1-プロピル(i-Bu、i-ブチル、-CH_(2)CH(CH_(3))_(2))、2-ブチル(s-Bu、s-ブチル、-CH(CH_(3))CH_(2)CH_(3))、2-メチル-2-プロピル(t-Bu、t-ブチル、-C(CH_(3))_(3))、1-ペンチル(n-ペンチル、-CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(3))、2-ペンチル(-CH(CH_(3))CH_(2)CH_(2)CH_(3))、3-ペンチル(-CH(CH_(2)CH_(3))_(2))、2-メチル-2-ブチル(-C(CH_(3))_(2)CH_(2)CH_(3))、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH_(3))CH(CH_(3))_(2))、3-メチル-1-ブチル(-CH_(2)CH_(2)CH(CH_(3))_(2))、2-メチル-1-ブチル(-CH_(2)CH(CH_(3))CH_(2)CH_(3))、1-ヘキシル(-CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(3))、2-ヘキシル(-CH(CH_(3))CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(3))、3-ヘキシル(-CH(CH_(2)CH_(3))(CH_(2)CH_(2)CH_(3)))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH_(3))_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(3))、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH_(3))CH(CH_(3))CH_(2)CH_(3))、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH_(3))CH_(2)CH(CH_(3))2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH_(3))(CH_(2)CH_(3))_(2))、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH_(2)CH_(3))CH(CH_(3))_(2))、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH_(3))_(2)CH(CH_(3))_(2))、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH_(3))C(CH_(3))_(3)、1-ヘプチル、1-オクチルなどが含まれる。
【0119】
「アルケニル」なる用語は、不飽和の少なくとも一部、すなわち炭素-炭素、sp^(2)二重結合を有する2?8の炭素原子(C_(2)-C_(8))の線状又は分岐状の一価性炭化水素ラジカルを指し、このアルケニル基は場合によって本明細書中に記載の一又は複数の置換基と独立して置換されていてよく、「シス」及び「トランス」定位、あるいは「E」及び「Z」定位を有するラジカルを含む。例には、エチレンイル又はビニル(-C=CH_(2))、アリル(-CH_(2)CH=CH_(2))などを含むが、これらに限定されるものではない。
「アルキニル」なる用語は、不飽和の少なくとも一部、すなわち炭素-炭素、sp三重結合を有する2?8の炭素原子(C_(2)-C_(8))の線状又は分岐状の一価性炭化水素ラジカルを指し、このアルキニル基は場合によって本明細書中に記載の一又は複数の置換基と独立して置換されていてよい。例には、エチニル(-C≡CH)、プロピニル(プロパルギル、-CH_(2)C≡CH)などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0120】
「カルボシクリル」、「炭素環の」、「炭素環」及び「カルボシクロ」は、単環として3?12の炭素原子(C_(3)-C_(12))を、又は二重環として7?12の炭素原子を有する一価性非芳香族の飽和ないしは部分的不飽和の環を指す。7?12の原子を有する二環式の炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]システムとして配置され、9又は10の環状原子を有する二環式の炭素環は、ビシクロ[5,6]又は[6,6]システムとして、又はビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンなどの架橋したシステムとして配置されうる。単環の炭素環の例には、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペント-1-エニル、1-シクロペント-2-エニル、1-シクロペント-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキス-1-エニル、1-シクロヘキス-2-エニル、1-シクロヘキス-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルなどが含まれる。
「アリール」は、親芳香族環システムの単一の炭素原子から1の水素原子の除去によって得られる6?20の炭素原子(C_(6)-C_(20))の一価性芳香族炭化水素基を意味する。いくつかのアリール基は、「Ar」として例示的な構造で表される。アリールには、飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環に融合した芳香族環を含む二環式ラジカルが含まれる。代表的なアリール基には、ベンゼン(フェニル)、置換されたベンゼン類、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、インデニル、インダニル、1,2-ジヒドロナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフチルなどから得られるラジカルが含まれるが、これらに限定されるものではない。アリール基は場合によって、本明細書において記述される一又は複数の置換基に独立して置換される。
【0121】
「ヘテロサイクル」、「ヘテロシクリル」及び「複素環」は本明細書中で交換可能に用いられ、少なくとも一の環原子が窒素、酸素、リン及び硫黄から選択されるヘテロ原子である3?20の環原子の、飽和ないしは部分的に不飽和の(すなわち、環内に一又は複数の二重及び/又は三重の結合を有する)炭素環式基を指し、この一又は複数の環原子が場合によって後述の一又は複数の置換基と独立して置換されている。ヘテロサイクルは、3?7員環を有するモノシクロ(2?6の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1?4のヘテロ原子)又は7?10員環を有するビシクロ(4?9の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1?6のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]システムであってもよい。複素環は、Paquette,Leo A.;”Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)、特に第1,3,4,6,7及び9章;”The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley &Sons,New York,1950 to present)、特に13,14,16,19及び28号;及び、J.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載される。また、「ヘテロシクリル」には、複素環式基がヘテロシクリル基が飽和、部分的に不飽和の環、又は芳香族の炭素環又は複素環に融合されているラジカルが含まれる。複素環の例には、例示のためであって限定するものではなく、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2-ピロリニル、、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H-インドールイルキノリジニル及びN-ピリジルウレアが含まれる。また、スピロ部分もこの定義の範囲内に含まれる。2環炭素原子がオキソ(=O)部分に置換されている複素環基の例は、ピリミジノニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルである。本明細書において複素環基は場合によって、本明細書中に記載される一又は複数の置換基によって、独立して置換されている。
【0122】
「ヘテロアリール」なる用語は、5員、6員又は7員環の一価性の芳香族基を指し、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される一又は複数のヘテロ原子を含む、5?20の原子の融合した環システム(少なくともその一つが芳香族である)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば、2-ヒドロキシピリジニルを含む)、イミダゾリル、イミドアゾピリジニル、ピリミジニル(例えば、4-ヒドロキシピリミジニルを含む)、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、フリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル及びフロピリジニルである。ヘテロアリール基は場合によって、本明細書中に記載される一又は複数の置換基によって、独立して置換されている。
【0123】
複素環基又はヘテロアリール基は、可能な場合には、炭素(炭素結合)、又は窒素(窒素結合)結合されてもよい。限定ではなく例を挙げると、炭素結合した複素環又はヘテロアリールは、ピリジンの位置2、3、4、5又は6、ピリダジンの位置3、4、5又は6、ピリミジンの位置2、4、5又は6、ピラジンの位置2、3、5又は6、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール又はテトラヒドロピロールの位置2、3、4又は5、オキサゾール、イミダゾール又はイソチアゾールの位置3、4又は5、アジリジンの位置2又は3、アゼチジンの位置2、3又は4、キノリンの位置2、3、4、5、6、7又は8、又はイソキノリンの位置1、3、4、5、6、7又は8で結合される。
限定するものではないが、窒素が結合した複素環又はヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの位置1、イソインドール又はイソインドリンの位置2、モルホリンの位置4、及びカルバゾール又はβ-カルボリンの位置9で結合される。
【0124】
「アルキレン」は、1?18の炭素原子であって、親のアルカンと同じ又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を取り除くことによって誘導される2つの一価基センターを有する飽和した、分岐鎖又は直鎖又は環式の炭化水素基を指す。典型的なアルキレン基には、限定するものではないが、メチレン(-CH_(2)-)1,2-エチル(-CH_(2)CH_(2)-)、1,3-プロピル(-CH_(2)CH_(2)CH_(2)-)、1,4-ブチル(-CH_(2)CH_(2)CH_(2)CH_(2)-)などが含まれる。
「C_(1)-C_(10)アルキレン」は、式-(CH_(2))_(1-10)-の直鎖の飽和した炭化水素基である。C_(1)-C_(10)アルキレンの例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、及びデカレンが含まれる。
【0125】
「アルケニレン」は、2?18の炭素原子であって、親のアルケンと同じ又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を取り除くことによって誘導される2つの一価基センターを有する不飽和の、分岐鎖又は直鎖又は環式の炭化水素基を指す。典型的なアルケニレン基には、限定するものではないが、1,2-エチレン(-CH=CH-)が含まれる。
「アルキニレン」は、2?18の炭素原子であって、親のアルキンと同じ又は2つの異なる炭素原子から2つの水素原子を取り除くことによって誘導される2つの一価基センターを有する不飽和の、分岐鎖又は直鎖又は環式の炭化水素基を指す。典型的なアルキニレン基には、限定するものではないが、アセチレン(-C≡C-)、プロパルギル(-CH_(2)C≡C-)、及び4-ペンチニル(-CH_(2)CH_(2)CH_(2)C≡C-)が含まれる。
【0126】
「アリレン(arylene)」は2つの共有結合を有するアリール基であり、以下の構造で示すようなオルト、メタ又はパラの立体配置でありうる。

ここで、フェニル基は置換されていなくても、限定するものではないが、-C_(1)-C_(8)アルキル、-O-(C_(1)-C_(8)アルキル)、-アリール、-C(O)R’、-OC(O)R’、-C(O)OR’、-C(O)NH_(2)、-C(O)NHR’、-C(O)N(R’)_(2)-NHC(O)R’、-S(O)_(2)R’、-S(O)R’、-OH、-ハロゲン、-N_(3)、-NH_(2)、-NH(R’)、-N(R’)_(2)、及び-CNを含む最大4つの基にて置換されてもよく、それぞれのR’は、H、-C_(1)-C_(8)アルキル及びアリールから個々に選択される。
【0127】
「アリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端又はsp3炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがアリール基に置換している非環式アルキル基を指す。代表的なアリールアルキル基には、限定するものではないが、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-phenylethen-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-naphthylethen-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどが含まれる。アリールアルキル基は6?20の炭素原子を含み、例えば、アルカニル、アルケニル又はアルキニル基を含む、アリールアルキル基のアルキル部分は1?6の炭素原子であり、アリール部分は5?14の炭素原子である。
「ヘテロアリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端又はsp^(3)炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがヘテロアリール基に置換している非環式アルキル基を指す。典型的なヘテロアリールアルキル基には、限定するものではないが、2-ベンズイミダゾリルメチル、2-フリルエチルなどが含まれる。ヘテロアリールアルキル基は6?20の炭素原子を含み、例えば、アルカニル、アルケニル又はアルキニル基を含む、ヘテロアリールアルキル基のアルキル部分は1?6の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は5?14の炭素原子であり、1?3のヘテロ原子はN、O、P及びSから選択される。ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分は3?7員環を有するモノシクロ(2?6の炭素原子)又は7?10員環を有するビシクロ(4?9の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1?3のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]システムであってもよい。
【0128】
この出願で用いられる用語「プロドラッグ」は、親化合物ないし薬剤に比較して細胞に対する細胞障害性が低く、酵素的に活性化又はより活性な親形態に変換される本発明の化合物の前駆体又は誘導体形態を指す。例としてWilman,”Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions,14,pp.375-382,615th Meeting Belfast(1986)及びStella et al.,”Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(ed.),pp.247-267,Humana Press(1985)参照。本発明のプロドラッグは、限定するものではないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグを含む。限定はしないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞障害性剤の例には、本発明の化合物及び前記の化学療法剤が含まれる。
【0129】
「代謝産物」は、特定の化合物又は塩の体内の代謝によって生産される生成物である。化合物の代謝産物は当分野で公知の慣例技術を使用して同定されてもよく、それらの活性は本明細書中に記載のものなどの試験を用いて決定されてもよい。このような生成物は、例えば、投与される化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、アミド分解、エステル化、エステル分解、酵素の切断などから生じうる。したがって、本発明は、代謝産物が得られるために十分な時間、本発明の化合物を哺乳動物と接触させることを含む方法によって産生される化合物を含む、本発明の化合物の代謝産物を含む。
「リポソーム」は、哺乳動物への薬剤の運搬に有用である様々な種類の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤から成る小さいベシクル(小胞)である。リポソームの構成成分は一般に二重層で配置され、これは生物学的膜の脂質配置と類似している。
【0130】
「リンカー」は、共有結合を含む化学的な部分又は薬剤部分に抗体を共有結合させる原子の鎖を指す。様々な実施態様では、リンカーには、二価の基、例としてalkyldiyl、aryldiyl、heteroaryldiyl、アルキロキシ(例としてポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)及びアルキラミノ(例えばポリエチレンアミノ、Jeffamine^(TM))の繰り返しユニットである-(CR_(2))_(n)O(CR_(2))_(n)-などの部分、及び、スクシナート、スクシンアミド、ジグリコレート、マロネート及びカプロアミドを含む二酸エステル及びアミドが含まれる。
【0131】
「キラル」なる用語は、鏡像パートナーの重ね合わすことができない特性を有する分子を指し、一方、「アキラル」なる用語は、鏡像パートナーの重ね合わすことができる分子を指す。
「立体異性体」なる用語は、同一の化学構造を有するが、空間の原子又は基の配列に関しては異なる化合物を指す。
「ジアステレオマー」はキラリティの2以上の中心を有し、その分子が互いの鏡像でない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的性質、例えば融点、沸点、分光特性及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィなどの高分解能解析手順により分離されうる。
「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0132】
本明細書中で用いる立体化学的定義及び慣例は、一般にS.P.Parker,Ed.,McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw-Hill Book Company,New York;及び、Eliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物は光学的に活性な形態で存在する。すなわち直線偏光の平面を回転する能力を有する。光学的に活性な化合物を記載する場合、接頭語DとL又はRとSを用いて、キラル中心(一又は複数)の周りの分子の絶対配置を示す。接頭後dとl又は(+)と(-)は、化合物による直線偏光の回転のサインを示すために用いるものであって、(-)又は1は化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdを接頭に付した化合物は右旋性である。所定の化学構造では、互いの鏡像であることを除いて、これらの立体異性体は同一である。また、特定の立体異性体は鏡像異性体とも称され、この異性体の混合物は鏡像異性体混合物と称されることが多い。鏡像異性体の50:50混合物は、化学的反応又は過程において立体選別でも立体特異性でもなくなった場合に生じうるラセミ混合物又はラセミ化合物を指す。「ラセミ混合物」及び「ラセミ化合物」なる用語は、光学的活性を欠く、2つの鏡像異性種を指す。
【0133】
「互変異性体」又は「互変異性型」なる用語は、低エネルギー障壁を経た相互転換性である異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、陽子互変異性体(別名プロト親和性互変異性体)には、陽子の移動による相互変換、例えばケト‐エノール及びイミン-エナミン異性化が含まれる。原子価互変異性体には、いくつかの結合電子の再編成による相互転換が含まれる。
【0134】
本明細書中で用いる「薬学的に許容可能な塩」なる表現は、本発明の化合物の薬学的に許容可能な有機塩又は無機塩を指す。例示的な塩には、限定するものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ素、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、琥珀酸塩、マレイン酸塩、gentisinate、フマル酸塩、グルコン酸塩、グロクロン酸塩、糖酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシレート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、他の分子、例えば酢酸イオン、琥珀酸イオン又は他の対イオンの包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物上の荷電を安定化する任意の有機又は無機の部分でもよい。さらに、薬学的に許容可能な塩は、その構造内に複数の荷電原子を有してもよい。複数の荷電原子が薬学的に許容可能な塩の一部である場合は複数の対イオンを有しうる。したがって、薬学的に許容可能な塩は、一又は複数の荷電原子及び/又は一又は複数の対イオンを有してもよい。
【0135】
本発明の化合物が塩基性である場合、当分野で有用な任意の好適な方法、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸などといった無機酸による遊離塩基の処理、又は酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例としてグルクロン酸又はガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸又は酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸又はニッケイ酸、スルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸などといった有機酸による遊離塩基の処理によって調製されてもよい。
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、任意の好適な方法、例えば、アミン(一次、二次又は三次)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物などといった無機塩基又は有機塩基による遊離酸の処理によって調製されてもよい。好適な塩の例示的な例には、限定するものではないが、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニン、アンモニア、一次、二次、三次のアミン、及び環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンから得られる有機塩、並びにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから得られる無機塩が含まれる。
【0136】
「薬学的に許容可能な」という表現は、物質又は組成物が製剤を含む他の成分と、及び/又は処置される哺乳動物と化学的及び/又は毒物学的に適合性がなければならないことを表す。
「溶媒和化合物」は、一又は複数の溶媒分子と本発明の化合物との結合又は複合体を指す。溶媒和化合物を形成する溶媒の例には、限定するものではないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンが含まれる。「水和物」なる用語は溶媒分子が水である場合の複合体を指す。
【0137】
「保護基」なる用語は、化合物上の他の官能基と反応する間に特定の官能性をブロック又は保護するために一般的に用いられる置換を指す。例えば、「アミノ-保護基」は、化合物内のアミノ官能性をブロックし又は保護するアミノ基が付着している置換基である。望ましいアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。同様に、「ヒドロキシ-保護基」は、ヒドロキシ官能性をブロック又は保護するヒドロキシ基の置換基を指す。適切な保護基には、アセチル及びシリルが含まれる。「カルボキシ-保護基」は、カルボキシ官能性をブロック又は保護するカルボキシ基の置換基を指す。一般的なカルボキシ保護基には、フェニルスルホニルエチル、シアノエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、2-(p-トルエンスルホニル)エチル、2-(p-ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2-(ジフェニルホスフィノ)-エチル、ニトロエチルなどが含まれる。保護基の一般的な解説及びその使用については、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991を参照のこと。
「脱離基」は、他の官能基によって置換されうる官能基を指す。特定の脱離基は当分野で公知であり、例として、限定するものではないが、ハロゲン化物(例えば、クロライド、ブロマイド、イオジド)、メタンスルホニル(メシル)、p-トルエンスルホニル(トシル)、トリフルオロメチルスルホニル(トリフレート)、及びトリフルオロメチルスルホネートなどがある。
【0138】
省略記号
リンカー成分:
MC=6-マレイミドカプロイル
Val-Cit又は「vc」=バリン-シトルリン(プロテアーゼにより切断可能なリンカーの例示的なジペプチド)
シトルリン=2-アミノ-5ウレイドペンタン酸
PAB=p-アミノベンジルオキシカルボニル(「自己犠牲(self immolative)」リンカー成分の例)
Me-Val-Cit=N-メチル-バリン-シトルリン(リンカーペプチド結合が、カテプシンBによる切断を阻害するように修飾されているもの)
MC(PEG)6-OH=マレイミドカプロイル-ポリエチレングリコール(抗体システインに結合しうる)
細胞障害性剤:
MMAE=モノメチルアウリスタチンE(MW718)
MMAF=薬剤のC末端にフェニルアラニンを有するアウリスタチンE(MMAE)の変異体(MW731.5)
MMAF-DMAEA=C末端のフェニルアラニンに対するアミド連結にDMAEA(ジメチルアミノエチルアミン)を有するMMAF(MW801.5)
MMAF-TEG=フェニルアラニンにエステル化したテトラエチレングリコールを有するMMAF
MMAF-NtBu=MMAFのC末端にアミドとして結合した、N-t-ブチル
DM1=N(2’)-デアセチル-N(2’)-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン
DM3=N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン
DM4=N(2’)-デアセチル-N2-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-メイタンシン
【0139】
さらに、略語は以下の通りである:AEはアウリスタチンEであり、BocはN(tブトキシカルボニル)であり、citはシトルリンであり、dapはドラプロイン(dolaproine)であり、DCCは1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミドであり、DCMはジクロロメタンであり、DEAはジエチルアミンであり、DEADはジエチルアゾジカルボキシレートであり、DEPCはジエチルホスホリルシアニダートであり、DIADはジイソプロピルアゾジカルボキシレートであり、DIEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、dilはドライソロイシンであり、DMAはジメチルアセトアミドであり、DMAPは4-ジメチルアミノピリジンであり、DMEはエチレングリコールジメチルエーテル(又は1,2-ジメトキシエタン)であり、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドであり、DMSOはジメチルスルホキシドであり、doeはドラフェニン(dolaphenine)であり、dovはN,N-ジメチルバリンであり、DTNBは5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)であり、DTPAはジエチレントリアミンペンタ酢酸であり、DTTはジチオトレイトールであり、EDCIは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩であり、EEDQは、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリンであり、ES-MSはエレクトロスプレー質量分析であり、EtOAcは酢酸エチルであり、FmocはN-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)であり、glyはグリシンであり、HATUは、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートであり、HOBtは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、HPLCは高速液体クロマトグラフィであり、ileはイソロイシンであり、lysはリジンであり、MeCN(CH_(3)CN)はアセトニトリルであり、MeOHはメタノールであり、Mtrは4-アニシルジフェニルメチル(又は4-メトキシトリチル)であり、(1S,2R)-(+)-ノルエフェドリンではなく、PBSはリン酸塩緩衝生理食塩水(pH7.4)であり、PEGはポリエチレングリコールであり、Phはフェニルであり、Pnpはp-ニトロフェニルであり、MCは6-マレイミドカプロイルであり、pheはL-フェニルアラニンであり、PyBropは、ブロモトリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェイトであり、SECはサイズ排除クロマトグラフィであり、Suはスクシンイミドであり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、TLCは薄層クロマトグラフィであり、UVは紫外線であり、valはバリンである。
【0140】
「遊離したシステインアミノ酸」は、親抗体内に改変されているシステインアミノ酸残基を指し、チオール官能基(-SH)を有し、分子内ないし分子間ジスルフィド架橋として対形成しない。
「チオール反応値」なる用語は、遊離したシステインアミノ酸の反応性の定量的特徴づけである。チオール反応値は、チオール反応試薬と反応するシステイン改変抗体の遊離したシステインアミノ酸の割合であって、1の最大値に変換される。例えば、ビオチン-マレイミド試薬などのチオール反応試薬と100%の収率で反応してビオチン標識抗体を形成するシステイン改変抗体の遊離システインアミノ酸はチオール反応値が1.0となる。チオール反応試薬と80%の収率で反応する同じ又は異なる親抗体内で改変された他のシステインアミノ酸はチオール反応値が0.8となる。チオール反応試薬と完全に反応しない同じ又は異なる親抗体内で改変された他のシステインアミノ酸はチオール反応値が0となる。特定のシステインのチオール反応値の測定は、ELISAアッセイ、質量分析、液体クロマトグラフィ、オートラジオグラフィ、又は他の定量的な分析試験によって行ってもよい。
【0141】
「親抗体」は、一又は複数のアミノ酸残基が一又は複数のシステイン残基に置き換わっているアミノ酸配列を含む抗体である。親抗体は、天然の又は野生型の配列を含んでいてもよい。親抗体は、他の天然、野生型又は修飾した形態の抗体と比較して既存のアミノ酸配列修飾(例えば付加、欠失及び/又は置換)を有してもよい。親抗体は、対象の標的抗原、例えば生物学上重要なポリペプチドに対するものであってもよい。また、非ポリペプチド抗原(例えば腫瘍関連糖脂質抗原;米国特許第5091178号を参照)に対する抗体も考慮される。
【0142】
図1

















【0143】
III.本発明の組成物及び方法
本発明は、抗CD79b抗体又はその機能的な断片、及び造血系腫瘍の治療における使用方法を提供する。
一態様では、本発明は、上記又は下記のいずれかのポリペプチドに結合する、好ましくは特異的に結合する抗体を提供する。場合によって、抗体は、モノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)_(2)、及びFv断片を含む抗体断片、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、又はそのそれぞれの抗原エピトープに対する抗CD79bポリペプチド抗体の結合を競合的に阻害する抗体である。本発明の抗体は、場合によって、例えばアウリスタチン、メイタンシノイド、ドラスタチン類似体又はカリケアマイシンを含む毒素、抗生物質、放射性同位体、核酸溶解酵素などの増殖阻害剤ないし細胞障害剤にコンジュゲートされてもよい。本発明の抗体は、場合によって、CHO細胞又は細菌で生産されてもよく、好ましくは、それらが結合する細胞の死を誘導してもよい。検出目的のために、本発明の抗体は、検出可能に標識されても、固形支持体等に付着されてもよい。
【0144】
一態様では、本発明は、CD79bに対する抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としての抗体の親和性)がマウス抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としてのマウス抗体の親和性)又はキメラ抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としてのキメラ抗体の親和性)と実質的に同じである、ヒト化抗CD79b抗体であって、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列を含むか、からなるか、又はから基本的になるものを提供する。
他の態様では、本発明は、CD79bに対する抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としての抗体の親和性)がマウス抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としてのマウス抗体の親和性)又はキメラ抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としてのキメラ抗体の親和性)の例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60分の1である、ヒト化抗CD79b抗体であって、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列を含むか、からなるか、又はから基本的になるものを提供する。
【0145】
他の態様では、本発明は、CD79bに対する抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としての抗体の親和性)がマウス抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としてのマウス抗体の親和性)又はキメラ抗体の一価性親和性(例えばCD79bに対するFab断片としてのキメラ抗体の親和性)の例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍であるヒト化抗CD79b抗体であって、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列を含むか、からなるか、又はから基本的になるものを提供する。
一態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が二価の形態のマウス抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)又は二価の形態のキメラ抗体の親和性(例えばCD79bに対するFab断片としてのキメラ抗体の親和性)と実質的に同じである、ヒト化抗CD79b抗体であって、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列を含むか、からなるか、又はから基本的になるものを提供する。
【0146】
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が二価の形態のマウス抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)又は二価の形態のキメラ抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgG断片としてのキメラ抗体の親和性)の例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60分の1である、ヒト化抗CD79b抗体であって、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列を含むか、からなるか、又はから基本的になるものを提供する。
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が二価の形態のマウス抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)又は二価の形態のキメラ抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgG断片としてのキメラ抗体の親和性)の例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍である、ヒト化抗CD79b抗体であって、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖の可変ドメイン配列を含むか、からなるか、又はから基本的になるものを提供する。
【0147】
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.4nMであるヒト化抗CD79b抗体を提供する。更なる態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.4nM±0.04であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.3nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.32nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.36nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.4nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.44nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.48nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.5nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.3nMと0.5nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.32nMと0.48nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.36nMと0.44nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。
【0148】
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.2nMであるヒト化抗CD79b抗体を提供する。更なる態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.2nM±0.02であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.1nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.12nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.14nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.16nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.18nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.2nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.22nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.24nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.26nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.28nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.30nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.1nMと0.3nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.12nMと0.28nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.14nMと0.26nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.16nMと0.24nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.18nMと0.22nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。
【0149】
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.5nMであるヒト化抗CD79b抗体を提供する。更なる態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.5nM±0.1であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。
他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.4nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.5nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.6nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.7nM以上であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.3nMと0.7nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.4nMと0.6nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。他の態様では、本発明は、CD79bに対する二価の形態の抗体の親和性(例えばCD79bに対するIgGとしての抗体の親和性)が0.5nMと0.55nMの間であるヒト化抗CD79b抗体を提供する。
【0150】
一態様では、CD79bに対するマウス抗体の一価性親和性は、配列番号:10(図7A-B)及び配列番号:14(図8A-B)の可変ドメイン配列を含むFab断片の結合親和性と実質的に同じである。他の態様では、CD79bに対するマウス抗体の一価性親和性は、1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成される抗体の可変ドメインを含むFab断片、又は1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成される抗体の可変ドメインを含むキメラ抗体の結合親和性と実質的に同じである。
【0151】
当分野において十分に確立されているように、リガンドのそのレセプターへの結合親和性は、多くの中のいずれかのアッセイを用いて決定され、様々な量的値の項目で表されうる。したがって、一実施態様では、結合親和性は、Kd値として表され、(例えば、最小化された結合活性効果による)固有の結合親和性を反映する。概してそして好ましくは、無細胞環境か細胞が関与する環境であるかにかかわらず、結合親和性はインビトロで測定される。本明細書中でより詳細に記載されるように、結合親和性の倍数的差異は、ヒト化抗体(例えば、Fab形態)の一価性結合親和性値及び参照/比較抗体(例えば、Fab形態)(例えばドナー高頻度可変領域配列を有するマウス抗体)の一価性結合親和性値の比率に関して定量化されてもよく、この結合親和性値は同種のアッセイ条件で決定される。ゆえに、一実施態様では、結合親和性の倍数的差異は、Fab形態のヒト化抗体及び前記参照/比較Fab抗体のKd値の比率として決定される。例えば、一実施態様では、本発明の抗体(A)が参照抗体(M)の親和性の「3分の1」である親和性を有する場合、それから、AのKd値が3倍である場合、MのKd値は1倍であり、MのKdに対するAのKdの比率は3:1である。反対に、一実施態様では、本発明の抗体(C)が参照抗体(R)の親和性の「3倍」である親和性を有する場合、それから、CのKd値が1倍である場合、RのKd値は3倍であり、RのKdに対するCのKdの比率は1:3である。本明細書中に記載のものを含む当分野で公知である多くのアッセイのいずれか、例えばBiacore、ラジオイムノアッセイ(RIA)及びELISAを用いて、結合親和性測定値を得てもよい。
【0152】
一態様では、
(a)
(i) KASQSVDYDGDSFLN(配列番号:131)である配列A1-A15を含むHVR-L1
(ii) AASNLES(配列番号:132)である配列B1-B7を含むHVR-L2
(iii)QQSNEDPLT(配列番号:133)である配列C1-C9を含むHVR-L3
(iv) GYTFSSYWIE(配列番号:134)である配列D1-D10を含むHVR-H1
(v) GEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号:135)である配列E1-E18を含むHVR-H2、及び、
(vi) TRRVPVYFDY(配列番号:136)である配列F1-F10を含むHVR-H3
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5又は6のHVRを含む、CD79bに結合する抗体が提供される。
一実施態様では、本発明の抗体のHVR-L1は配列番号:131の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-L2は配列番号:132の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-L3は配列番号:133の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-H1は配列番号:134の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-H2は配列番号:135の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-H3は配列番号:136の配列を含む。一実施態様では、これらの配列(本明細書に記載のように組み合わせて)を含む本発明の抗体は、ヒト化、又はヒトである。
【0153】
一態様では、
(a)
(i) KASQSVDYDGDSFLN(配列番号:131)である配列A1-A15を含むHVR-L1
(ii) AASNLES(配列番号:132)である配列B1-B7を含むHVR-L2
(iii)QQSNEDPLT(配列番号:133)である配列C1-C9を含むHVR-L3
(iv) GYTFSSYWIE(配列番号:134)である配列D1-D10を含むHVR-H1
(v) GEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号:135)である配列E1-E18を含むHVR-H2、及び、
(vi) TRRVPVYFDY(配列番号:136)である配列F1-F10を含むHVR-H3
からなる群から選択される少なくとも1、2、3、4、5又は6のHVRと、
(b)配列番号:131、132、133、134、135又は136に示される配列の少なくとも1の残基の修飾を配列に含む少なくとも1の変異HVR
とを含む、CD79bに結合する抗体が提供される。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-L1は配列番号:131の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-L2は配列番号:132の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-L3は配列番号:133の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-H1は配列番号:134の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-H2は配列番号:135の配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体のHVR-H3は配列番号:136の配列を含む。一実施態様では、これらの配列(本明細書に記載のように組み合わせて)を含む本発明の抗体は、ヒト化、又はヒトである。
【0154】
一態様では、本発明は、1、2、3、4、5又は6のHVRを含む抗体であって、この各々のHVRが配列番号:131、132、133、134、135及び136からなる群から選択される配列を含むか、からなるか又は基本的にからなり、このとき配列番号:131はHVR-L1に対応し、配列番号:132はHVR-L2に対応し、配列番号:133はHVR-L3に対応し、配列番号:134はHVR-H1に対応し、配列番号:135はHVR-H2に対応し、そして配列番号:136はHVR-H3に対応する抗体を提供する。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、このそれぞれが順に配列番号:131、132、133、134、135及び136を含む。
【0155】
発明の抗体内の変異体HVRは、HVR内に一又は複数の残基の修飾を有しうる。一実施態様では、HVR-L1変異体は、以下の位置:A4(K)、A9(E又はS)及びA10(A又はS)に1の置換を含む。一実施態様では、HVR-L2変異体は、以下の位置:B2(S又はG)、B3(R又はG)、B4(K、R、Y、I、H又はQ)、B5(R)、B6(G、K、A、R、S又はL)及びB7(R、N、T又はG)のいずれか一又は組合せに1?5(1、2、3、4又は5)の置換を含む。一実施態様では、HVR-L3変異体は、以下の位置:C1(N又はD)、C2(N又はP)、C3(D又はR)、C5(S、K、A、Q、D、L又はG)、C6(A、E又はN)、C7(A)、C8(R)及びC9(N)のいずれか一又は組合せに1?4(1、2、3又は4)の置換を含む。一実施態様では、HVR-H1変異体は、以下の位置:D1(P)、D2(F)、D3(P、S、Y、G又はN)、D4(L又はV)、D5(T、R、N、K、C、G又はP)、D6(R、T、K又はG)、D8(F)、D9(V又はL)及びD10(S、Q、N又はD)のいずれか一又は組合せに1?7(1、2、3、4、5、6又は7)の置換を含む。一実施態様では、HVR-H3変異体は、以下の位置:F4(R又はI)、F6(I又はF)、F7(K、C、R、V又はF)、F8(L)及びF9(S)のいずれか一又は組合せに1?3(1、2又は3)の置換を含む。各位置の後の括弧内の文字は例示的な置換(すなわち置き換わる)アミノ酸を示し、当業者に明らかなように、本明細書中に記載される文脈での置換アミノ酸としての他のアミノ酸の適合性は、当分野で公知の技術及び/又は本明細書中に記載される技術を用いて慣例的に評価されうる。一実施態様では、変異体HVR-L1のA9はEである。一実施態様では、変異体HVR-H3のF6はIである。一実施態様では、変異体HVR-H3のF7はRである。一実施態様では、変異体HVR-H3のF8はLである。一実施態様では、本発明の抗体は、F6がIであり、F7がRであり、F8がLである変異体HVR-H3を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、A9がEである変異体HVR-L1と、F6がIであり、F7がRであり、F8がLである変異体HVR-H3とを含む。一実施態様では、変異体HVR-L1のA9はSである。一実施態様では、本発明の抗体は、A9がSである変異体HVR-L1と、F6がIであり、F7がRであり、F8がLである変異体HVR-H3とを含む。
【0156】
一実施態様では、本発明の抗体は、A4がKである変異体HVR-L1を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L1は、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、この各々は順に配列番号:132、133、134、135及び136に示す配列を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L1抗体はさらに、A9がE又はSであり、及び/又はA10がA又はSであるHVR-L1変異体を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L1抗体はさらに、C6がE又はNであり、及び/又はC7がAであるHVR-L3変異体を含む。ある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、位置71、73及び/又は78に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、位置71はAであり、73はTであり、及び/又は、78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体のある実施態様では、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。これらの抗体の一実施態様では、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置48はIであり、67はAであり、69はFであり、71はAであり、73はTであり、75はSであり、78はAであり、そして、又は、80はMである。これらの抗体のある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。
【0157】
一実施態様では、本発明の抗体は、B3がRであり、B4がKであり、B6がGであり、B7がRである変異体HVR-L2を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、B3がRであり、B4がYであり、B6がKであり、B7がRである変異体HVR-L2を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、B3がRであり、B4がKであり、B6がGである変異体HVR-L2を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L2はさらに、HVR-L1、HVR-L3、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、このそれぞれが順に配列番号:131、133、134、135及び136を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L2抗体はさらに、A9がE又はSであり、及び/又はA10がA又はSであるHVR-L1変異体を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L2抗体はさらに、C6がE又はNであり、及び/又はC7がAであるHVR-L3変異体を含む。ある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、位置71、73及び/又は78に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、位置71はAであり、73はTであり、及び/又は、78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体のある実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。これらの抗体の一実施態様では、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置48はIであり、67はAであり、69はFであり、71はAであり、73はTであり、75はSであり、78はAであり、そして、又は、80はMである。これらの抗体のある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。
【0158】
一実施態様では、本発明の抗体は、C5がKである変異体HVR-L3を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、C5がSである変異体HVR-L3を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L3はさらに、HVR-L1、HVR-L2、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含み、このそれぞれが順に配列番号:131、132、134、135及び136を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L3抗体はさらに、A9がE又はSであり、及び/又はA10がA又はSであるHVR-L1変異体を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-L3抗体はさらに、C6がE又はNであり、及び/又はC7がAであるHVR-L3変異体を含む。ある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、位置71、73及び/又は78に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、位置71はAであり、73はTであり、及び/又は、78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体のある実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。これらの抗体の一実施態様では、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置48はIであり、67はAであり、69はFであり、71はAであり、73はTであり、75はSであり、78はAであり、そして、又は、80はMである。これらの抗体のある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列が位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。
【0159】
一実施態様では、本発明の抗体は、D3がPであり、D5がTであり、D6がRであり、D10がNである変異体HVR-H1を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、D3がPであり、D5がNであり、D6がRであり、D10がNである変異体HVR-H1を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-H1はさらに、HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H2及びHVR-H3を含み、このそれぞれが順に配列番号:131、132、133、135及び136を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-H1抗体はさらに、A9がE又はSであり、及び/又はA10がA又はSであるHVR-L1変異体を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-H1抗体はさらに、C6がE又はNであり、及び/又はC7がAであるHVR-L3変異体を含む。ある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークコンセンサス配列は、位置71、73及び/又は78に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、位置71はAであり、73はTであり、及び/又は、78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体のある実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。これらの抗体の一実施態様では、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置48はIであり、67はAであり、69はFであり、71はAであり、73はTであり、75はSであり、78はAであり、そして、又は、80はMである。これらの抗体のある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。
【0160】
一実施態様では、本発明の抗体は、F6がIであり、F8がLである変異体HVR-H3を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、F6がIであり、F7がRであり、F8がLである変異体HVR-H3を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-H3はさらに、HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H1及びHVR-H2を含み、このそれぞれが順に配列番号:131、132、133、134及び135を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-H3抗体はさらに、A9がE又はSであり、及び/又はA10がA又はSであるHVR-L1変異体を含む。ある実施態様では、前記変異体HVR-H3抗体はさらに、C6がE又はNであり、及び/又はC7がAであるHVR-L3変異体を含む。ある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置71、73及び/又は78に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置71はAであり、73はTであり、及び/又は、78はAである。これらの抗体の一実施態様では、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73及び/又は78に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置48はIであり、67はAであり、69はFであり、71はAであり、73はTであり、及び/又は、78はAである。これらの抗体の一実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体のある実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。これらの抗体の一実施態様では、ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトサブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置48はIであり、67はAであり、69はFであり、71はAであり、73はTであり、75はSであり、78はAであり、そして、又は、80はMである。
これらの抗体のある実施態様では、これらの抗体はさらに、ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列を含む。これらの抗体の一実施態様では、フレームワークヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列は位置4及び/又は47に置換を含む。これらの抗体のある実施態様では、(ヒトκI軽鎖フレームワークコンセンサス配列の)位置4はLであり、及び/又は、47はFである。
【0161】
一態様では、本発明は、図9(配列番号:17-21)及び/又は図10(配列番号:22-106)に示されるHVR配列の1、2、3、4、5又はすべてを含む抗体を提供する。
【0162】
宿主被検体に使用するための治療剤は、該被検体における該薬剤に対する免疫原性応答をほとんどないしは全く誘発しないのが望ましい。一実施態様では、本発明はそのような薬剤を提供する。例えば、一実施態様では、本発明は、宿主被検体において配列番号10及び14の配列を含む抗体と比較して実質的に低減したレベルでヒト抗マウス抗体応答(HAMA)を誘発する、及び/又は誘発することが期待されるヒト化抗体を提供する。他の例では、本発明は、最小限のヒト抗マウス抗体応答(HAMA)を誘発するか、全く誘発しないことが期待されるヒト抗体を提供する。一例では、本発明の抗体は、臨床的に許容可能なレベルであるか、それよりも低い抗マウス抗体応答を誘発する。
本発明のヒト化抗体は、その重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメインに一又は複数のヒト及び/又はヒトコンセンサス非高頻度可変領域(例えばフレームワーク)配列を含有してもよい。ある実施態様では、ヒト及び/又はヒトコンセンサス非高頻度可変領域配列内に一又は複数の付加的な修飾が存在する。一実施態様では、本発明の抗体の重鎖可変ドメインはヒトコンセンサスフレームワーク配列を含んでなり、一実施態様では、そのヒトコンセンサスフレームワーク配列はサブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列である。一実施態様では、本発明の抗体は、少なくとも一アミノ酸位置が修飾された変異体サブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列を含んでなる。例えば、一実施態様では、変異体サブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列は、位置71、73及び/又は78の一又は複数に置換を含んでもよい。一実施態様では、前記の置換はR71A、N73T及び/又はN78Aの何れかの組合せである。例えば、一実施態様では、変異体サブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73及び/又は78に置換を含む。一実施態様では、前記置換は、V48I、F67A、I69F、R71A、N73T及び/又はL78Aである。例えば、一実施態様では、変異体サブグループIII重鎖フレームワークコンセンサス配列は、位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80に置換を含む。一実施態様では、前記置換は、V48I、F67A、I69F、R71A、N73T、K75S、L78A及び/又はL80Mである。一実施態様では、本発明の抗体の軽鎖可変ドメインは、ヒトのコンセンサスフレームワーク配列を含み、一実施態様では、κIコンセンサスフレームワーク配列である。一実施態様では、本発明の抗体は、少なくとも一のアミノ酸位置で修飾されている変異体κIコンセンサスフレームワーク配列を含む。例えば、一実施態様では、変異体κIコンセンサスフレームワーク配列は位置4に置換を含む。一実施態様では、前記置換はM4Lである。例えば、一実施態様では、変異体κIコンセンサスフレームワーク配列は位置4及び/又は47に置換を含む。一実施態様では、前記置換は、M4L及び/又はL47Fである。
【0163】
当分野で公知であるように、また、より詳細に後述するように、抗体の高頻度可変領域を示すアミノ酸位置/境界域は、(以下に記載のように)当分野で公知の様々な定義及び状況によって異なりうる。可変ドメイン内の位置は、ある定義のもとで高頻度可変領域外と判断されても、異なる定義のもとでは高頻度可変領域内であると判断されうるハイブリッド高頻度可変位置とみなされるものが多い。また、一又は複数のこれらの位置は、伸展した高頻度可変領域にあるとみなされうる(以下に定義する)。本発明は、これらハイブリッド高頻度可変位置内に修飾を含有する抗体を提供する。一実施態様では、これらのハイブリッド高頻度可変位置には、重鎖可変ドメイン内の位置26-30、33-35B、47-49、57-65、93、94及び101-102の一又は複数が含まれる。一実施態様では、これらハイブリッド高頻度可変位置には、軽鎖可変ドメイン内の位置24-29、35-36、46-49、56及び97の一又は複数が含まれる。一実施態様では、本発明の抗体は、一又は複数のハイブリッド高頻度可変位置が修飾された可変ヒトサブグループコンセンサスフレームワーク配列を含んでなる。
【0164】
一態様では、本発明の抗体は、一又は複数の位置26-30、33-35、48-49、58、60-63、93及び101が修飾された可変ヒトサブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列を含んでなる。一実施態様では、抗体はG26P置換を含む。一実施態様では、抗体はF27Y置換を含む。一実施態様では、抗体は、T28P、S、Y、G又はN置換を含む。一実施態様では、抗体は、F29L又はF29V置換を含む。一実施態様では、抗体は、S30T、R、N、K、C、G又はP置換を含む。一実施態様では、抗体は、A33W又はA33F置換を含む。一実施態様では、抗体は、M34I、V又はL置換を含む。一実施態様では、S35E、Q、N又はDである。一実施態様では、抗体はV48I置換を含む。一実施態様では、抗体はS49G置換を含む。一実施態様では、抗体はY58N置換を含む。一実施態様では、抗体はA60N置換を含む。一実施態様では、抗体はD61E置換を含む。一実施態様では、抗体はS62I置換を含む。一実施態様では、抗体はV63F置換を含む。一実施態様では、抗体はA93T置換を含む。一実施態様では、抗体はD101S置換を含む。
一態様では、本発明の抗体は、位置24、27-29、56及び97の一又は複数で修飾された変異体ヒトκサブグループIコンセンサスフレームワーク配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。一実施態様では、抗体はR24K置換を含む。一実施態様では、抗体はQ27K置換を含む。一実施態様では、抗体はS28D又はE置換を含む。一実施態様では、抗体はI29G、A又はS置換を含む。一実施態様では、抗体はS56R、N、T又はG置換を含む。一実施態様では、抗体はT97N置換を含む。
【0165】
一態様では、本発明の抗体は、位置26-30、33-35、48-49、58、60-63、93及び101の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又はすべてで修飾されている変異体ヒトサブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列を含む重鎖可変ドメインを含む。一実施態様では、修飾は、G26P、F27Y、T28P(S、Y、G又はN)、F29L(V)、S30T(R、N、K、C、G又はP)、A33W(F)、M34I(V又はL)、S35E(Q、N又はD)、V48I、S49G、Y58N、A60N、D61E、S62I、V63F、A93T及びD101Sからなる群から選択される。本発明のある実施態様では、本発明の抗体は、位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80で修飾される変異体サブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列を含む。一実施態様では、前記置換は、V48I、F67A、I69F、R71A、N73T、K75S、L78A及び/又はL80Mである。
一態様では、本発明の抗体は、位置24、27-29、56及び97の1、2、3、4、5又はすべてで修飾される変異体ヒトκサブグループIコンセンサスフレームワーク配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。一実施態様では、修飾は、R24K、Q27K、S28D(E)、I29G(A又はS)、S56R(N、T又はG)及びT97Nからなる群から選択される。本発明のある実施態様では、本発明の抗体は、位置4及び/又は47で修飾される変異体κIコンセンサスフレームワーク配列を含む。一実施態様では、前記置換は、M4L及び/又はL47Fである。
【0166】
本発明の抗体は、抗体が所望の生物学的特性(例えば所望の結合親和性)を表す限り、任意の好適なヒト又はヒトコンセンサス軽鎖フレームワーク配列を含みうる。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒト軽鎖のフレームワーク配列の少なくとも一部(又はすべて)を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒトκサブグループIフレームワークコンセンサス配列の少なくとも一部(又はすべて)を含む。
一態様では、本発明の抗体は、配列番号:9(図7A-B)及び/又は13(図8A-B)に示されるフレームワーク配列を含む重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメインを含む。
【0167】
一態様では、本発明の抗体は、細胞障害性剤にコンジュゲートされたヒト化抗CD79b抗体である。一態様では、細胞障害性剤にコンジュゲートされたヒト化抗CD79b抗体は、異種移植片の腫瘍発達を阻害する。
一態様では、ヒト化抗体及びキメラ抗体は、一価性である。一実施態様では、ヒト化及びキメラ抗体は、Fc領域に連結された単一Fab領域を含む。一実施態様では、参照キメラ抗体は、ヒトFc領域に連結された、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される可変ドメイン配列を含む。一実施態様では、ヒトFc領域は、IgG(例えばIgG1、2、3又は4)のものである。
【0168】
一態様では、本発明は、図15(配列番号:164-166)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図15(配列番号:160-163)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図15(配列番号:167及び/又は168)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列(図15、配列番号:164-166)、及びFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図15、配列番号:160-163)を含む重鎖可変ドメインを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図15、配列番号:164-166)と、図15(配列番号:167及び/又は168)に示されるCH1及び/又はFc配列とを含む。一実施態様では、本発明の抗体はHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図15、配列番号:164-166)と、FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図15、配列番号:160-163)と、CH1及び/又はFc(図15、配列番号:167及び/又は168)とを含む。
一態様では、本発明は、図15(配列番号:156-158)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図15(配列番号:152-155)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図15(配列番号:159)に示されるCL1配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図15に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:156-158)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列(配列番号:152-155)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図15に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:156-158)と、CL1配列(配列番号:159)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図15に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:156-158)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC(配列番号:152-155)配列と、図15(配列番号:159)に示されるCL1配列とを含む。
【0169】
一態様では、本発明は、図16(配列番号:183-185)に示される、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図16(配列番号:179-182)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図16(配列番号:186及び/又は187)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図16、配列番号:183-185)と、FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図16、配列番号:179-182)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図16、配列番号:183-185)と、図16に示されるCH1及び/又はFc配列(配列番号:186及び/又は187)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図16、配列番号:183-185)と、FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図16、配列番号:179-182)と、CH1及び/又はFc(図16、配列番号:186及び/又は187)とを含む。
一態様では、本発明は、図16(配列番号:175-177)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図16(配列番号:171-174)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図16(配列番号:178)に示されるCL1配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図16に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:175-177)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列(配列番号:171-174)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図16に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:175-177)と、CL1配列(配列番号:178)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図16に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列(配列番号:175-177)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC(配列番号:171-174)配列と、図16(配列番号:178)に示されるCL1配列とを含む。
【0170】
一態様では、本発明は、図17(配列番号:202-204)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図17(配列番号:198-201)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図17(配列番号:205及び/又は206)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図17、配列番号:202-204)と、FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図17、配列番号:198-201)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図17、配列番号:202-204)と、図17に示されるCH1及び/又はFc配列(配列番号:205及び/又は206)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図17、配列番号:202-204)と、FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図17、配列番号:198-201)と、CH1及び/又はFc(図17、配列番号:205及び/又は206)とを含む。
一態様では、本発明は、図17(配列番号:194-196)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図17(配列番号:190-193)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図17(配列番号:197)に示されるCL1配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図17に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:194-196)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列(配列番号:190-193)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図17に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:194-196)と、CL1配列(配列番号:197)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図17に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:194-196)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC(配列番号:190-193)配列と、図17(配列番号:197)に示されるCL1配列とを含む。
【0171】
一態様では、本発明は、図18(配列番号:221-223)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図18(配列番号:217-220)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図18(配列番号:224及び/又は225)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図18、配列番号:221-223)と、FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図18、配列番号:217-220)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図18、配列番号:221-223)と、図18(配列番号:224及び/又は225)に示されるCH1及び/又はFc配列とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、HVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメイン(図18、配列番号:221-223)と、FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列(図18、配列番号:217-220)と、CH1及び/又はFc(図18、配列番号:224及び/又は225)とを含む。
一態様では、本発明は、図18(配列番号:213-215)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体を提供する。一実施態様では、可変ドメインは、図18(配列番号:209-212)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む。一実施態様では、抗体は、図18(配列番号:216)に示されるCL1配列を含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図18に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:213-215)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列(配列番号:209-212)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図18に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:213-215)と、CL1配列(配列番号:216)とを含む。一実施態様では、本発明の抗体は、図18に示される、HVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメイン(配列番号:213-215)と、FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC(配列番号:209-212)配列と、図18(配列番号:216)に示されるCL1配列とを含む。
【0172】
一態様では、本発明の抗体は、国際公開2006/034488;米国公開特許2007/0092940(本明細書において出典明記によって全体が援用される)に開示されるように、親抗体の一又は複数のアミノ酸が遊離したシステインアミノ酸に置換されるシステイン改変抗体を包含する。抗CD79b抗体のいずれかの形態が改変、すなわち変異されてもよい。例えば、親Fab抗体断片を改変して、本明細書中で「ThioFab」と称するシステイン改変Fabを形成してもよい。同様に、親のモノクローナル抗体を改変して、「ThioMab」を形成してもよい。単一の部位突然変異によりThioFabの単一の改変したシステイン残基が生じるのに対して、IgG抗体の二量体の性質のためにThioMabでは、単一の部位突然変異により2つの改変したシステイン残基が生じる。本発明のシステイン改変抗CD79b抗体には、細胞関連のCD79bポリペプチドを選択的に結合するモノクローナル抗体、ヒト化ないしはキメラのモノクローナル抗体、及び抗体の抗原結合断片、融合ポリペプチド及びアナログが含まれる。あるいは、システイン改変抗体は、必ずしも親抗体を変える必要はなく、例えばファージディスプレイ抗体の設定や選別によって、又は軽鎖及び/又は重鎖フレームワーク配列と定常領域のデノボ設定によって、抗体の配列設定及び/又は選別により生じる、抗体又はFabの本明細書において開示される位置にシステインを含む抗体を包含する。システイン改変抗体は、0.6?1.0、0.7?1.0又は0.8?1.0の範囲のチオール反応値を有する一又は複数の遊離したシステインアミノ酸を含む。遊離したシステインアミノ酸は、親抗体内で改変されているシステイン残基であり、ジスルフィド架橋の一部でない。システイン改変抗体は、例えばマレイミド又はハロアセチルによる改変されたシステインの部位での、細胞障害性化合物及び/又は造影(イメージング)化合物の接着に有用である。Cys残基のチオール官能基のマレイミド基に対する求核反応性は、リジン残基のアミノ基又はN末端アミノ基などのタンパク質の任意の他のアミノ酸官能基の、およそ1000倍である。ヨードアセチル及びマレイミド試薬のチオール特異的官能基はアミン基と反応するが、より高いpH(>9.0)及びより長い反応時間が必要とされるであろう必要かもしれない(Garman,1997,Non-Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London)。
【0173】
ある態様では、本発明のシステイン改変抗CD79b抗体は以下のいずれか一の位置に改変したシステインを含み、この位置は、軽鎖ではカバット等(Kabat等(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDを参照)に従った、重鎖(Fc領域を含む)ではEU番号付け(上掲のKabat等(1991)を参照)に従った数であり、図24A、25A、26A、27A、28、48A及び49Aの下線で示す軽鎖定常領域は位置109(カバット番号付け)で始まり、図24B、25B、26B、27B、28B、48B及び49Bの下線で示す重鎖定常領域は位置118(EU番号付け)で始まる。また、位置は、図24-28、48及び49に示す完全長軽鎖ないしは重鎖のアミノ酸を順次番号付けする際にその位置で表されてもよい。本発明の一実施態様では、抗CD79b抗体は、LC-V205Cに改変されたシステインを含む(カバット番号:Val205、図27A及び49Aの順次番号209はその位置でCysになるように改変される)。軽鎖の改変されたシステインを図27A及び49Aにおいて太字の二重線で示す。一実施態様では、抗CD79b抗体は、HC-A118Cに改変されたシステインを含む(EU番号:Ala118;カバット番号114;図24B、25B、26B、28B又は48Bの順次番号118はその位置でCysになるように改変される)。重鎖の改変されたシステインを図24B、25B、26B、28B又は48Bにおいて太字の二重線で示す。一実施態様では、抗CD79b抗体は、Fc-S400Cに改変されたシステインを含む(EU番号:Ser400;カバット番号396、図24B、25B、26B、28B又は48Bの順次番号400はその位置でCysになるように改変される)。他の実施態様では、重鎖(Fc領域を含む)の改変されたシステインは、以下の位置のいずれか一である(カバット番号付けに従い、EU番号付けは括弧内に示す)。5、23、84、112、114(118EU番号付け)、116(120EU番号付け)、278(282EU番号付け)、371(375EU番号付け)又は396(400EU番号付け)。したがって、本発明の親ヒト化抗CD79b抗体についてこれらの位置でのアミノ酸の変化は、V5C、A23C、A84C、S112C、A114C(A118C EU 番号付け)、T116C(T120C EU番号付け)、V278C(V282C EU番号付け)、S371C(S375C EU番号付け)又はS396C(S400C EU番号付け)である。したがって、本発明の親キメラ抗CD79b抗体についてこれらの位置でのアミノ酸の変化は、Q5C、K23C、S84C、S112C、A114C(A118C EU番号付け)、T116C(T120C EU番号付け)、V278C(V282C EU番号付け)、S371C(S375C EU番号付け)又はS396C(S400C EU番号付け)である。したがって、本発明の親抗cynoCD79b抗体についてこれらの位置でのアミノ酸の変化は、Q5C、T23C、S84C、S112C、A114C(A118C EU番号付け)、T116C(T120C EU番号付け)、V278C(V282C EU番号付け)、S371C(S375C EU番号付け)又はS396C(S400C EU番号付け)である。他の実施態様では、軽鎖の改変されたシステインは、以下の何れか一である(カバット番号付けに従う)。15、110、114、121、127、168、205。したがって、本発明の親ヒト化抗CD79b抗体についてこれらの位置でのアミノ酸の変化は、V15C、V110C、S114C、S121C、S127C、S168C又はV205Cである。したがって、本発明の親キメラ抗CD79b抗体についてこれらの位置でのアミノ酸の変化は、L15C、V110C、S114C、S121C、S127C、S168C又はV205Cである。したがって、本発明の親抗cynoCD79b抗体についてこれらの位置でのアミノ酸の変化は、L15C、V110C、S114C、S121C、S127C、S168C又はV205Cである。
【0174】
一態様では、本発明には、一又は複数の遊離したシステインアミノ酸を含むシステイン改変抗CD79b抗体であり、該システイン改変抗CD79b抗体がCD79bポリペプチドに結合するものであり、親の抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基をシステインに置換することを含む方法によって調製され、このとき該親抗体が以下から選択される少なくとも一つのHVR配列を含むものである。
(a)KASQSVDYDGDSFLN(配列番号:131)又はKASQSVDYEGDSFLN(配列番号:137)である配列A1-A15を含むHVR-L1、
(b)AASNLES(配列番号:132)である配列B1-B7を含むHVR-L2、
(c)QQSNEDPLT(配列番号:133)である配列C1-C9を含むHVR-L3、
(d)GYTFSSYWIE(配列番号:134)である配列D1-D10を含むHVR-H1、
(e)GEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号:135)である配列E1-E18を含むHVR-H2、及び、
(f)TRRVPVYFDY(配列番号:136)又はTRRVPIRLDY(配列番号:138)である配列F1-F10を含むHVR-H3。
【0175】
ある態様では、本発明は、本明細書において開示した完全長アミノ酸配列を有するシステイン改変抗体、又は本明細書において開示したシグナルペプチドを欠くシステイン改変抗体アミノ酸配列に対して、少なくともおよそ80%のアミノ酸配列同一性、あるいは少なくともおよそ81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、システイン改変抗CD79b抗体に関する。
【0176】
より更なる態様では、本発明は、(a)本明細書に開示した完全長アミノ酸配列を有するシステイン改変抗体、(b)本明細書に開示したシグナルペプチドを欠くシステイン改変抗体アミノ酸配列、(c)本明細書に開示した、シグナルペプチドを持つ又は持たない、膜貫通型システイン改変抗体タンパク質の細胞外ドメイン、(d)本明細書に開示したいずれかの核酸配列によってコードされるアミノ酸配列、又は(e)本明細書に開示した完全長システイン改変抗体アミノ酸配列の任意の他の特異的に定義される断片、をコードするDNA分子の相補鎖にハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む、単離されたシステイン改変抗CD79b抗体に関する。
特定の態様では、本発明は、N末端シグナル配列を持たない及び/又は開始メチオニンを持たない単離されたシステイン改変抗CD79b抗体を提供し、この抗体は本明細書中に記載のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によってコードされる。本明細書中ではまた、前記抗体を産生する方法を記載しており、これらの方法は、システイン改変抗体の発現に適切な条件下で適切なコード化核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を培養し、細胞培養物からシステイン改変抗体を回収することを含んでなる。
【0177】
本発明の他の態様では、膜貫通ドメインを削除するか膜貫通ドメインを不活性化してある単離されたシステイン改変抗CD79b抗体を提供する。本明細書中ではまた、前記抗体を産生する方法を記載しており、これらの方法は、システイン改変抗体の発現に適切な条件下で適切なコード化核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞を培養し、細胞培養物からシステイン改変抗体を回収することを含んでなる。
他の態様では、本発明は、異種性(非CD79b)のポリペプチドに融合させた、本明細書中に記載したいずれかのシステイン改変抗体を含む、単離された抗CD79bキメラシステイン改変抗体を提供する。このようなキメラ分子の例は、例えばエピトープタグ配列又はイムノグロブリンのFc領域などの異種性のポリペプチドに融合させた、本明細書中に記載したいずれかのシステイン改変抗体を含む。
【0178】
システイン改変抗CD79b抗体は、それぞれの抗原エピトープへの抗CD79bポリペプチド抗体の結合を競合的に阻害するモノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体又は抗体であってもよい。本発明の抗体は場合によって、例えばアウリスタチン、メイタンシノイド、ドラスタチン誘導体又はカリケアマイシン、抗生物質、放射性同位体、核酸分解性の酵素などを含む毒素などの増殖阻害性剤ないしは細胞障害性剤にコンジュゲートさせてもよい。本発明の抗体は場合によって、CHO細胞又は細菌内で産生され、結合する細胞の成長ないし増殖を阻害するか、又は死を誘導することが好ましい。診断目的のために、本発明の抗体は、固体担体などに付着して検出可能に標識されてもよい。
本発明の他の態様では、本発明は、本明細書中に記載したいずれかの抗CD79b抗体及び抗CD79bシステイン改変抗体をコードするDNAを含むベクターを提供する。また、このいずれかのベクターを含む宿主細胞も提供される。例として、宿主細胞は、CHO細胞、大腸菌細胞又は酵母であってもよい。さらに、本明細書中に記載のいずれかのポリペプチドを産生するための方法が提供され、所望のポリペプチドの発現に適切な条件下で宿主細胞を培養し、細胞培養物から所望のポリペプチドを回収することを含んでなる。
【0179】
システイン改変抗体は癌の治療において有用であり、細胞表面及び膜貫通型レセプター、及び腫瘍関連抗原(TAA)に特異的な抗体が含まれる。このような抗体は、ネイキッド抗体(薬剤又は標識成分にコンジュゲートしていない)として、あるいは抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)として用いられてもよい。本発明のシステイン改変抗体は、チオール反応性の試薬と、部位特異的かつ効率的にカップリングしうる。チオール反応性の試薬は、多機能リンカー試薬、キャプチャ標識試薬、蛍光体試薬又は薬剤-リンカー中間生成物であってもよい。システイン改変抗体は、検出可能な標識により標識され、固相担体に固定され、及び/又は、薬剤成分とコンジュゲートされもよい。L10-L20、L105-L115、L109-L119、L116-L126、L122-L132、L163-L173、L200-L210のアミノ酸範囲から選択される軽鎖の範囲内、及びH1-H10、H18-H28、H79-H89、H107-H117、H109-H119、H111-H121のアミノ酸範囲から選択される重鎖の範囲内、及びH270-H280、H366-H376、H391-401から選択される範囲内のFc領域において、反応性のシステインアミノ酸によるアミノ酸の置換を持つ抗体に対してチオール反応が生じうる。このとき、アミノ酸位の番号付けはカバット番号付けシステム(Kabat等(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD)の位置1から始め、その後は国際公開第2006034488号に開示されるように、順次続ける。また、チオール反応は、抗体の特定のドメイン、例えば軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3に対して生じうる。0.6以上のチオール反応値となるシステイン置換は、インタクト抗体、つまりIgGサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2を含むIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの重鎖定常ドメインα、δ、ε、γ及びμにあってもよい。このような抗体及びそれらの使用は、国際公開2006/034488;米国公開特許2007/0092940に開示される。
【0180】
本発明のシステイン改変抗体は、それらの野生型、親抗体相当物の抗原結合能を保持するのが好ましい。ゆえに、システイン改変抗体は、抗原へ結合することができる、好ましくは抗原に特異性がある。このような抗原には、例えば、腫瘍関連抗原(TAA)、細胞表面レセプタータンパク質及び他の細胞表面分子、膜貫通タンパク質、シグナル伝達タンパク質、細胞生存調節因子、細胞増殖調節因子、組織発達又は分化に関連する(例えば機能的に寄与することが公知であるか又は予測される)分子、リンホカイン、サイトカイン、細胞周期調節に伴う分子、脈管形成に伴う分子、及び血管新生に関連する(例えば機能的に寄与することが公知であるか又は予測される)分子が含まれる。腫瘍関連抗原はクラスター分化因子(すなわち、CD79bに限定されないCDタンパク質)であってもよい。本発明のシステイン改変抗CD79b抗体はその親の抗CD79b抗体相当物の抗原結合能を保持する。ゆえに、本発明のシステイン改変抗CD79b抗体は、ヒト抗CD79bアイソフォームβ及び/又はαなどのCD79b抗原に対して(B細胞に限らず細胞の表面上に抗原が発現される場合も含む)、結合、好ましくは特異的に結合することができる。
【0181】
一態様では、本発明の抗体は、反応性成分、活性化成分、又は反応性システインチオール基によって抗体に共有結合して付着されうる標識成分とコンジュゲートされてもよい(Singh等(2002)Anal.Biochem.304:147-15;Harlow E.and Lane,D.(1999)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Lundblad R.L.(1991)Chemical Reagents for Protein Modification,2nd ed.CRC Press,Boca Raton,FL)。 付着された標識は、(i)検出可能なシグナルを提供する、(ii)第二標識と反応して、例えばFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)が生じるように第一又は第二標識によって生じる検出可能なシグナルを改変する、(iii)抗原又はリガンドとの相互作用を安定させるか又は結合の親和性を増加する、(iv)電荷、疎水性、形状又は他の物理学的なパラメータによって可動性、例えば電気泳動易動度又は細胞透過性に作用する、又は(v)キャプチャ成分を与えて、リガンド親和性、抗体/抗原結合又はイオン錯体形成を調節する、ように機能しうる。
【0182】
標識されたシステイン改変抗体は、例えば、特定の細胞、組織又は血清における対象の抗原の発現を検出するための診断的検査法に有用となりうる。診断用適用のために、抗体は一般的に検出可能な成分ににより標識されるであろう。多くの標識が利用可能であり、通常、以下のカテゴリに分類することができる:
ラジオアイソトープ(放射性核種)、例えば^(3)H、^(11)C、^(14)C、^(18)F、^(32)P、^(35)S、^(64)Cu、^(68)Ga、^(86)Y、^(99)Tc、^(111)In、^(123)I、^(124)I、^(125)I、^(131)I、^(133)Xe、^(177)Lu、^(211)At、又は^(213)Bi。放射性同位体標識抗体は、レセプター標的撮像実験において有用である。抗体は、Immunology,Volumes 1 and 2,Coligen等,Ed.Wiley-Interscience,New York,New York,Pubs.(1991)のCurrent Protocolsに記載される技術を用いて、リガンド試薬が抗体の改変システインチオールと反応性がある場合に、キレートを結合するか、あるいはラジオアイソトープ金属と複合化する該リガンド試薬により標識することができる。金属イオンを複合化しうるキレートリガンドには、DOTA、DOTP、DOTMA、DTPA及びTETA(Macrocyclics,Dallas,TX)が含まれる。放射性核種は、本発明の抗体-薬剤コンジュゲートとの複合体化によりターゲティングされうる(Wu等(2005)Nature Biotechnology 23(9):1137-1146)。
【0183】
DOTA-マレイミド(4-マレイミドブチルアミドベンジル-DOTA)などのリンカー試薬は、イソプロピルクロロフォルメート(Aldrich)によって活性化される4-マレイミド酪酸(Fluka)とアミノベンジル-DOTAを反応させて、その後Axworthy等(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97(4):1802-1807の手順によって調製されうる。DOTA-マレイミド試薬は、システイン改変抗体の遊離したシステインアミノ酸と反応して、抗体上の金属錯体形成リガンドを提供する(Lewis等(1998)Bioconj.Chem.9:72-86)。DOTA-NHS(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸モノ(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)などのキレート化リンカー標識試薬は市販されている(Macrocyclics,Dallas,TX)。放射性核種標識抗体によるレセプター標的造影は、腫瘍組織の抗体の進行性蓄積の検出及び定量化によって経路活性化のマーカーとなりうる(Albert等(1998)Bioorg.Med.Chem.Lett.8:1207-1210)。コンジュゲートした放射性金属はリソソーム分解後に細胞内に残りうる。
造影実験のための抗体標識として好適な金属-キレート複合体は以下に開示される。米国特許第5342606号、米国特許第5428155号、米国特許第5316757号、米国特許第5480990号、米国特許第5462725号、米国特許第5428139号、米国特許第5385893号、米国特許第5739294号、米国特許第5750660号、米国特許第5834456号、Hnatowich等(1983)J.Immunol.Methods 65:147-157;Meares等(1984)Anal.Biochem.142:68-78;Mirzadeh等(1990)Bioconjugate Chem.1:59-65;Meares等(1990)J.Cancer1990,Suppl.10:21-26;Izard等(1992)Bioconjugate Chem.3:346-350;Nikula等(1995)Nucl.Med.Biol.22:387-90;Camera等(1993)Nucl.Med.Biol.20:955-62;Kukis等(1998)J.Nucl.Med.39:2105-2110;Verel等(2003)J.Nucl.Med.44:1663-1670;Camera等(1994)J.Nucl.Med.21:640-646;Ruegg等(1990)Cancer Res.50:4221-4226;Verel等(2003)J.Nucl.Med.44:1663-1670;Lee等(2001)Cancer Res.61:4474-4482;Mitchell,等(2003)J.Nucl.Med.44:1105-1112;Kobayashi等(1999)Bioconjugate Chem.10:103-111;Miederer等(2004)J.Nucl.Med.45:129-137;DeNardo等(1998)Clinical Cancer Research 4:2483-90;Blend等(2003)Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals 18:355-363;Nikula等(1999)J.Nucl.Med.40:166-76;Kobayashi等(1998)J.Nucl.Med.39:829-36;Mardirossian等(1993)Nucl.Med.Biol.20:65-74;Roselli等(1999)Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals,14:209-20。
【0184】
蛍光標識、例えば希有土類キレート(ユウロピウムキレート)、FITC、5-カルボキシフルオレセイン、6カルボキシフルオレセインを含むフルオレセイン種;TAMRAを含むローダミン種;ダンシル;リサミン;シアニン;フィコエリトリン;テキサスレッド;及びこれらの類似体。蛍光標識は、例えば、上記のImmunologyのCurrent Protocolsに開示される技術を用いて抗体にコンジュゲートすることができる。蛍光色素及び蛍光標識試薬には、Invitrogen/Molecular Probes(Eugene,OR)及びPierce Biotechnology,Inc.(Rockford,IL)から市販されているものが含まれる。
【0185】
様々な酵素基質標識は利用可能であり、開示されてもいる(米国特許第4275149号)。一般に、酵素は、様々な技術を用いて測定することができる色素生産性基質の化学変化を触媒する。例えば、酵素は、分光測光法で測定することができる基質の変色を触媒するかもしれない。あるいは、酵素は、基質の蛍光又は化学発光を変えうる。蛍光の変化を定量化する技術は上記の通りである。化学発光基質は、化学反応によって電子的に励起され、測定することができる(例えば化学ルミノメーターを用いて)か、又はエネルギーを蛍光受容基に与える光を発しうる。酵素標識の例には、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタルアジネジオン(dihydrophthalazinediones)、リンゴ酸酵素、ウレアーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソチーム、サッカライドオキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環のオキシダーゼ(例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが含まれる。抗体に酵素をコンジュゲートする技術は、O’Sullivan等,Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay,in Methods in Enzym.(ed J.Langone & H.Van Vunakis),Academic press,New York,73:147-166(1981)に記載されている。
【0186】
酵素基質の組合せの例には、例えば以下のものが含まれる:
(i)基質として水素ペルオキシダーゼを有する西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、ここで水素ペルオキシダーゼが染料前駆(例えば、オルソフェニレン(orthophenylene)ジアミン(OPD)又は3,3’,5,5’テトラメチルのベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する;
(ii)色素生産性基質としてリン酸パラグラフ-ニトロフェニルを有するアルカリホスファターゼ(AP);及び
(iii)色素生産性基質(例えばp-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光発生基質4-メチルウンベリフェリル(methylumbelliferyl)-β-D-ガラクトシダーゼを有するβ-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)。
多数の他の酵素基質の組合せは当業者にとって利用可能である。これらの一般的な概要については、米国特許第4275149号及び同第4318980号を参照。
【0187】
標識は、アミノ酸側鎖、活性化されたアミノ酸側鎖、システイン改変抗体などと間接的にコンジュゲートされてもよい。例えば、抗体は、ビオチンとコンジュゲートさせることができ、前述した大きな3つの分類のうちの何れかはアビジン又はストレプトアビジンとコンジュゲートさせることができ、その逆もまた可能である。ビオチンは選択的にストレプトアビジンと結合し、したがって、標識はこの間接的な方法で抗体にコンジュゲートさせることができる。あるいは、ポリペプチド変異体と標識とを間接的にコンジュゲートさせるために、ポリペプチド変異体は小ハプテン(例えばジゴキシン)とコンジュゲートさせ、前述した標識の異なるタイプのうちの1つは抗ハプテンポリペプチド変異体(例えば抗ジゴキシン抗体)とコンジュゲートさせる。したがって、ポリペプチド変異体と標識は間接的にコンジュゲートすることができる(Hermanson,G.(1996)in Bioconjugate Techniques Academic Press,San Diego)。
【0188】
本発明の抗体は、任意の公知のアッセイ方法、例えばELISA、競合結合アッセイ、直接的及び間接的なサンドイッチアッセイ及び免疫沈降アッセイに用いられてもよい(Zola,(1987)Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158,CRC Press,Inc.)。
検出標識は、結合又は認識事象を局所化し、視覚化して、数量化するために有用となりうる。本発明の標識抗体は細胞表面レセプターを検出しうる。検出可能に標識した抗体についての他の使用は、蛍光標識抗体とビーズをコンジュゲートさせ、リガンド結合時の蛍光シグナルを検出することを含む、ビーズに基づく免疫キャプチャの方法である。同様の結合検出方法論は、表面プラスモン共鳴(SPR)効果を利用して抗体-抗原相互作用を測定して検出するものである。
蛍光色素及び化学発光色素などの検出標識(Briggs等(1997)”Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids,”J.Chem.Soc.,Perkin-Trans.1:1051-1058)は検出可能なシグナルを提供し、通常、好ましくは以下のような特性により標識化抗体に応用することができる。(i)標識抗体は、少量の抗体が無細胞アッセイ及び細胞に基づくアッセイにおいて敏感に検出されるように低いバックグランドで非常に高いシグナルを産生するものである、さらに、(ii)標識抗体は、有意に写真を退色させることなく蛍光シグナルが観察され、モニターされ、記録されるように、光安定性を有するものである。膜又は細胞表面、特に生きている細胞への標識抗体の細胞表面結合を伴う用途では、標識は、(iii)有効なコンジュゲート濃度と検出感度が達成されるように良好な水溶性であり、(iv)細胞の正常な代謝過程が破壊されないか、又は早期に細胞死を引き起こさないように生きている細胞に対して毒性がないことが好ましい。
【0189】
細胞性蛍光強度の直接の定量化と蛍光標識事象、例えば、ペプチド-色素コンジュゲートの細胞表面結合の算出は、生きている細胞又はビーズによる非放射性アッセイである、混合と読み取り(mix-and-read)を自動化するシステム(FMAT(登録商標)8100 HTSシステム、Applied Biosystems,Foster City,Calif.)で実施してもよい(Miraglia,”Homogeneous cell- and bead-based assays for high throughput screening using fluorometric microvolume assay technology”,(1999)J.of Biomolecular Screening 4:193-204)。また、標識抗体の使用には、細胞表面レセプター結合アッセイ、イムノキャプチャアッセイ、蛍光結合免疫吸着アッセイ(FLISA)、カスパーゼ切断(Zheng,”Caspase-3 controls both cytoplasmic and nuclear events associated with Fas-mediated apoptosis in vivo”,(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:618-23;米国特許第6372907号)、アポトーシス(Vermes,”A novel assay for apoptosis.Flow cytometric detection of phosphatidylserine expression on early apoptotic cells using fluorescein labelled Annexin V”(1995)J.Immunol.Methods 184:39-51)及び細胞障害性アッセイが含まれる。蛍光定量的マイクロ体積アッセイ技術を用いて、細胞表面を標識とする分子によって上方制御又は下方制御を同定することができる(Swartzman,”A homogeneous and multiplexed immunoassay for high-throughput screening using fluorometric microvolume assay technology”,(1999)Anal.Biochem.271:143-51)。
【0190】
本発明の標識抗体は、様々な方法及び以下のような生医学的かつ分子的撮像法の技術によってバイオマーカーやプローブを造影する際に有用である。(i)MRI(磁気共鳴画像法)、(ii)MicroCT(コンピューター断層撮影法)、(iii)SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法)、(iv)PET(ポジトロン放出断層撮影)Chen等(2004)Bioconjugate Chem.15:41-49、(v)バイオルミネセンス、(vi)蛍光、及び(vii)超音波。イムノシンチグラフィは、放射性物質にによって標識された抗体が動物又はヒト患者に投与される造影手順であり、画像は抗体が局在する身体の部位のものである(米国特許第6528624号)。造影バイオマーカーは、客観的に測定され、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、又は治療的介入に対する薬理学的応答の指標として評価されてもよい。バイオマーカーはいくつかの種類がある。タイプ0は、疾患の自然な成長マーカーであって、公知の臨床指標、例えば関節リウマチの滑液炎症のMRI評価と縦方向に相関する。タイプIマーカーは、例えばメカニズムが臨床転帰と関係していなくても、作用のメカニズム(mechanism-of-action)の関係として介入の効果を捕らえる。タイプIIマーカーは代理のエンドポイントとして機能するものであり、該バイオマーカーの変化又は該バイオマーカーのシグナルから、関節リウマチの骨浸食をCTで測定するなどの目的の応答を「有効と認める」ために臨床的な利点を予測する。したがって、造影バイオマーカーは、(i)標的タンパク質の発現、(ii)標的タンパク質に対する治療用の結合、すなわち選択性、及び(iii)クリアランス及び半減期の薬物動態学的データについての薬物動態学的(PD)治療的情報を提供しうる。研究室ベースのバイオマーカーと比較したときのインビボ造影バイオマーカーの利点には、非侵襲性処置、定量化できる、全身評価、反復性投与及び評価、すなわち複数の時点の投与と評価、及び臨床前(小動物)の結果を臨床(ヒト)の結果に潜在的に置き換えることができる結果が含まれる。用途によっては、バイオイメージングは、前臨床研究の多くの動物実験の代替となるか又は最小化する。
【0191】
ペプチド標識方法は周知である。Haugland,2003,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Molecular Probes,Inc.;Brinkley,1992,Bioconjugate Chem.3:2;Garman,(1997)Non-Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London;Means(1990)Bioconjugate Chem.1:2;Glazer等(1975)Chemical Modification of Proteins.Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology(T.S.Work and E.Work,Eds.)American Elsevier Publishing Co.,New York;Lundblad,R.L.and Noyes,C.M.(1984)Chemical Reagents for Protein Modification,Vols.I and II,CRC Press,New York;Pfleiderer,G.(1985)”Chemical Modification of Proteins”,Modern Methods in Protein Chemistry,H.Tschesche,Ed.,Walter DeGryter,Berlin and New York;及びWong(1991)Chemistry of Protein Conjugation and Cross-linking,CRC Press,Boca Raton,Fla.);De Leon-Rodriguez等(2004)Chem.Eur.J.10:1149-1155;Lewis等(2001)Bioconjugate Chem.12:320-324;Li等(2002)Bioconjugate Chem.13:110-115;Mier等(2005)Bioconjugate Chem.16:240-237を参照。
十分近接した蛍光レポーターとクエンチャーの2つの成分にて標識されたペプチドとタンパク質は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を受ける。レポーター基は、一般的に、特定の波長で光に励起され、エネルギーをアクセプター又はクエンチャーに転移して、その結果、最大の明るさで発光するための適切なストークスシフトが生じる蛍光色素である。蛍光色素には、広範な芳香族性を有する分子、例としてフルオレセイン及びローダミン、ないしこれらの誘導体が含まれる。蛍光レポーターは、完全なペプチドのクエンチャー成分によって部分的あるいは有意に失活されうる。ペプチダーゼ又はプロテアーゼによるペプチドの切断時に、蛍光の検出可能な増加が測定されうる(Knight,C.(1995)”Fluorimetric Assays of Proteolytic Enzymes”,Methods in Enzymology,Academic Press,248:18-34)。
【0192】
また、本発明の標識抗体は親和性精製剤として用いられてもよい。この方法では、標識抗体は、当分野で公知の方法を用いて、セファデックス樹脂又は濾紙などの固相に固定される。固定された抗体は、精製される抗原を含む試料と接触させ、その後、支持体を、精製される抗原以外の試料中の実質的にすべての物質を取り除く適切な溶媒にて洗浄し、固定されたポリペプチド変異体に結合させる。最後に、抗原をポリペプチド変異体から放すように、支持体を他の適切な溶媒、例えばグリシンバッファ、pH5.0にて洗浄する。
標識化試薬は、一般的に、(i)標識抗体を形成するためにシステイン改変抗体のシステインチオールと直接、(ii)リンカー-標識中間生成物を形成するためにリンカー試薬と、又は(iii)標識抗体を形成するためにリンカー抗体と、反応しうる反応官能基を保持する。標識試薬の反応性官能基には、マレイミド、ハロアセチル、ヨードアセトアミドスクシンイミジルエステル(例えば、NHS、N-ヒドロキシスクシンイミド)、イソチオシアネート、スルホニルクロリド、2,6-ジクロロトリアジニル、ペンタフルオロフェニルエステル、及びホスホラミダイトが含まれるが、他の官能基も用いられてよい。
【0193】
例示的な反応性官能基は、検出可能な標識、例えばビオチンや蛍光色素のカルボキシル置換基のN-ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)である。標識のNHSエステルを予め造っても、単離しても、及び/又は特徴付けてもよく、あるいはインサイツで形成して、抗体の求核基と反応させてもよい。典型的には、標識のカルボキシル型を、カルボジイミド試薬、例としてジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、又はユーロニウム試薬、例としてTSTU(O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルユーロニウム テトラフルオロボレート)、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルユーロニウム ヘキサフルオロホスフェート)、又はHATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルユーロニウム ヘキサフルオロホスフェート)、標識のNHSエステルを与えるためのアクチベーター、例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、及びN-ヒドロキシスクシンイミドのいくつかの組み合わせと反応させることによって活性化する。場合によって、標識のインサイツ活性化と抗体との反応によって標識と抗体をカップリングさせて、一工程で標識-抗体複合体を形成させてもよい。他の活性化試薬及びカップリング試薬には、TBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾ-1-イル)-1-1,3,3-テトラメチルユーロニウム ヘキサフルオロホスフェート)、TFFH(N,N’,N’’,N’’’-テトラメチルユーロニウム 2-フルオロ-ヘキサフルオロホスフェート)、PyBOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート、EEDQ(2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロ-キノリン)、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);DIPCDI(ジイソプロピルカルボジイミド)、MSNT(1-(メシチレン-2-スルホニル)-3-ニトロ-1H-1,2,4-トリアゾール、及びアリール スルホニル ハロゲン化物、例えばトリイソプロピルベンゼンスルホニル クロライドが含まれる。
【0194】
本発明のアルブミン結合ペプチド-Fab化合物:
一態様では、本発明の抗体はアルブミン結合タンパク質に融合される。血漿タンパク質結合は、生存が短い分子の薬物動態学的性質を向上させる有効な手段となりうる。アルブミンは血漿中で最も多いタンパク質である。血清アルブミン結合ペプチド類(ABP)は、組織取り込み、浸透及び拡散の変更を含む、融合した活性なドメインタンパク質の薬物動態を変えうる。これらの薬物動態学的パラメータは、適切な血清アルブミン結合ペプチド配列を特異的に選別することによって調製されうる(米国特許公開20040001827)。一連のアルブミン結合ペプチドは、ファージディスプレイスクリーニングによって同定された(Dennis等(2002)”Albumin Binding As A General Strategy For Improving The Pharmacokinetics Of Proteins”J Biol Chem.277:35035-35043;国際公開第01/45746号)。本発明の化合物には、(i)Dennis等(2002)J Biol Chem.277:35035-35043 at Tables III and IV,page 35038、(ii)米国特許公開20040001827の[0076]配列番号9から22、及び(iii)国際公開第01/45746号の12?13頁に示されるABP配列が含まれ、これらの文献はすべて出典明記によって本明細書中に援用される。アルブミン結合(ABP)-Fabは、1:1の化学量比(1ABP/1Fab)で、Fab重鎖のC末端にアルブミン結合ペプチドを融合させることによって作製した。アルブミンとのこれらABP-Fabの会合により、抗体の半減期がウサギ及びマウスの25倍以上に増加したことが示された。したがって、上記の反応性のCys残基をこれらABP-Fabに導入し、細胞障害性剤と部位特異的にコンジュゲートさせた後にインビボ動物実験に用いることができる。
例示的なアルブミン結合ペプチド配列には、以下に列挙する配列番号246から250のアミノ酸配列が含まれるが、これらに限定されるものではない。
CDKTHTGGGSQRLMEDICLPRWGCLWEDDF 配列番号:246
QRLMEDICLPRWGCLWEDDF 配列番号:247
QRLIEDICLPRWGCLWEDDF 配列番号:248
RLIEDICLPRWGCLWEDD 配列番号:249
DICLPRWGCLW 配列番号:250
【0195】
抗体-薬剤コンジュゲート
他の態様では、本発明は、化学療法剤、薬剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、糸状菌、植物又は動物由来の酵素活性性毒素、又はその断片)、又は放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)などの細胞毒性剤にコンジュゲートした抗体を含む、抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)を提供する。他の態様では、本発明はさらに、イムノコンジュゲートの使用方法を提供する。一態様では、イムノコンジュゲートは、細胞障害性剤又は検出可能な薬剤に共有結合して付着した前記いずれかの抗CD79b抗体を含む。
【0196】
一態様では、本発明のCD79b抗体は、他のCD79b抗体によって結合されるCD79b上の同じエピトープと結合する。他の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成されるモノクローナル抗体、配列番号:10(図7A-B)及び配列番号:14(図8A-B)の可変ドメインを含むモノクローナル抗体、又は1993年7月20日にATCCに寄託されたHB11413ハイブリドーマから生成される抗体の可変ドメイン及びIgG1からの定常ドメインないしは配列番号:10(図7A-B)及び配列番号:14(図8A-B)の配列を含むモノクローナル抗体の可変ドメインのいずれかを含むキメラ抗体のFab断片によって結合されるCD79b上の同じエピトープに結合する。他の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、他のCD79b抗体(すなわち、CB3.1(BD Biosciences Catalog #555678;San Jose,CA)、AT105-1(AbD Serotec Catalog #MCA2208;Raleigh,NC)、AT107-2(AbD Serotec Catalog #MCA2209)、抗ヒトCD79b抗体(BD Biosciences Catalog #557592;San Jose,CA))によって結合されるCD79b上の同じエピトープに結合する。
【0197】
他の態様では、本発明のCD79b抗体は、他のCD79b抗体によって結合されるエピトープとは異なるCD79b上のエピトープに結合する。他の実施態様では、本発明の抗体は、1993年7月20日にATCCに寄託されたHB11413ハイブリドーマから生成されるモノクローナル抗体、配列番号:10(図7A-B)及び配列番号:14(図8A-B)の可変ドメインを含むモノクローナル抗体、又は1993年7月20日にATCCに寄託されたHB11413ハイブリドーマから生成される抗体の可変ドメイン及びIgG1からの定常ドメインないしは配列番号:10(図7A-B)及び配列番号:14(図8A-B)の配列を含むモノクローナル抗体の可変ドメインのいずれかを含むキメラ抗体のFab断片によって結合されるエピトープとは異なるCD79b上のエピトープに結合する。他の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、他のCD79b抗体(すなわち、CB3.1(BD Biosciences Catalog #555678;San Jose,CA)、AT105-1(AbD Serotec Catalog #MCA2208;Raleigh,NC)、AT107-2(AbD Serotec Catalog #MCA2209)、抗ヒトCD79b抗体(BD Biosciences Catalog #557592;San Jose,CA))によって結合されるCD79b上のエピトープとは異なるCD79b上のエピトープに結合する。
【0198】
他の態様では、本発明のCD79b抗体は、1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成されるモノクローナル抗体、配列番号:10(図7A-B)及び配列番号:14(図8A-B)の可変ドメインを含むモノクローナル抗体、又は1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成される抗体の可変ドメインとIgG1からの定常ドメイン、ないしは配列番号:10(図7A-B)及び配列番号:14(図8A-B)の配列を含むモノクローナル抗体の可変ドメインを含むキメラ抗体のFab断片とは異なる(すなわち、それではない)。他の実施態様では、本発明のCD79b抗体は、他のCD79b抗体(すなわち、CB3.1(BD Biosciences Catalog #555678;San Jose,CA)、AT105-1(AbD Serotec Catalog #MCA2208;Raleigh,NC)、AT107-2(AbD Serotec Catalog #MCA2209)、抗ヒトCD79b抗体(BD Biosciences Catalog #557592;San Jose,CA))のFab断片とは異なる(すなわち、それではない)。
【0199】
一態様では、本発明の抗体は、第一動物種のCD79bに特異的に結合し、第二動物種のCD79bには特異的に結合しない。一実施態様では、第一動物種はヒト及び/又は霊長類(例えばカニクイザル)であり、第二動物種はマウス(例えばマウス)及び/又はイヌである。一実施態様では、第一動物種はヒトである。一実施態様では、第一動物種は霊長類、例えばカニクイザルである。一実施態様では、第二動物種はマウス、例えばマウスである。一実施態様では、第二動物種はイヌである。
一態様では、本発明は、本発明の一又は複数の抗体と担体とを含有する組成物を提供する。一実施態様では、担体は薬学的に許容可能である。
一態様では、本発明は、本発明のCD79b抗体をコードする核酸を提供する。
一態様では、本発明は、本発明の核酸を含むベクターを提供する。
一態様では、本発明は、本発明の核酸又はベクターを含む宿主細胞を提供する。ベクターは、いずれかの種類、例えば発現ベクターなどの組み換えベクターであってもよい。様々な宿主細胞のいずれかを用いてよい。一実施態様では、宿主細胞は原核細胞、例えば大腸菌である。一実施態様では、宿主細胞は真核細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞である。
【0200】
一態様では、本発明は、本発明の抗体の製造方法を提供する。例えば、本発明は、CD79b抗体(本明細書で定義されるように、完全長及びその断片を含む)の製造方法であって、適切な宿主細胞において該抗体(又はその断片)をコードする本発明の組み換えベクターを発現させ、該抗体を回収することを含む方法を提供する。
一態様では、本発明は、容器と、容器内に内包される組成物とを具備し、該組成物が一又は複数の本発明のCD79b抗体を含むものである製造品を提供する。一実施態様では、組成物は本発明の核酸を含む。一実施態様では、抗体を含む組成物は担体を更に含み、ある実施態様では、薬学的に許容可能なものである。一実施態様では、本発明の製造品はさらに、被検体への組成物(例えば抗体)の投与についての指示を含む。
一態様では、本発明は、本発明の一又は複数のCD79b抗体を含む組成物を含む第一容器と、バッファを含む第二容器とを具備するキットを提供する。一実施態様では、バッファは薬学的に許容可能である。一実施態様では、アンタゴニスト抗体を含む組成物は担体を更に含み、ある実施態様では、薬学的に許容可能なものである。一実施態様では、キットは、被検体への組成物(例えば抗体)の投与についての指示を含む。
【0201】
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明のCD79b抗体の使用を提供する。一実施態様では、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の核酸の使用を提供する。一実施態様では、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。
【0202】
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の発現ベクターの使用を提供する。一実施態様では、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の宿主細胞の使用を提供する。一実施態様では、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。
【0203】
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明の製造品の使用を提供する。一実施態様では、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。
一態様では、本発明は、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の調製における本発明のキットの使用を提供する。一実施態様では、癌、腫瘍及び/又は細胞増殖性疾患は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。
【0204】
一態様では、本発明は、CD79bを発現する細胞の増殖を阻害する方法であって、該細胞を本発明の抗体と接触させることを含み、これによって該細胞の増殖の阻害が生じる方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
一態様では、本発明は、CD79bを発現する細胞を含む癌性の腫瘍を有する哺乳動物を治療的に処置する方法であって、該哺乳動物に本発明の抗体の治療上有効量を投与することを含み、それによって、該哺乳動物を効果的に処置される方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
一態様では、本発明は、CD79bの発現増加と関連する細胞増殖性疾患の治療又は予防方法であって、本発明の抗体の有効量を該処置が必要な被検体に投与することを含み、これによって該細胞増殖性疾患が効果的に治療又は予防される方法を提供する。一実施態様では、前記増殖性疾患は癌である。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
【0205】
一態様では、本発明は、細胞の増殖の阻害方法であって、この細胞の増殖の少なくとも一部はCD79bの増殖亢進作用に依存しているものであり、該細胞を有効量の本発明の抗体と接触させることを含み、これによって該細胞の増殖が阻害される方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
一態様では、本発明は、哺乳動物の腫瘍を治療的に処置する方法であって、この腫瘍の増殖の少なくとも一部はCD79bの増殖亢進作用に依存しているものであり、該細胞を有効量の本発明の抗体と接触させることを含み、これによって該腫瘍が効果的に処置される方法を提供する。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
【0206】
一態様では、本発明は、本明細書中に記載のイムノコンジュゲート、薬学的に許容可能な希釈液、担体又は賦形剤を含有する薬学的製剤を患者に投与することを含む、癌の治療方法を提供する。一実施態様では、癌は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。一実施態様では、患者は、抗体-薬剤コンジュゲート化合物と組み合わせた細胞障害性剤が投与される。
一態様では、本発明は、B細胞増殖の阻害方法であって、CD79bに対するイムノコンジュゲートの結合に許容される条件下で本発明の抗体を含むイムノコンジュゲートに細胞をさらすことを含む方法を提供する。一実施態様では、B細胞増殖は、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫から選択される。一実施態様では、B細胞は異種移植片である。一実施態様では、曝露はインビトロで行う。一実施態様では、曝露はインビボで行う。
【0207】
一態様では、本発明は、CD79bを含有することが疑われる試料においてCD79bの存在を決定する方法であって、該試料を本発明の抗体にさらし、該試料においてCD79bに対する該抗体の結合を決定することを含み、このとき該試料におけるCD79bへの該抗体の結合が該試料における該タンパク質の存在を表す方法を提供する。一実施態様では、試料は生体試料である。さらなる実施態様では、生体試料はB細胞を含む。一実施態様では、生体試料は、限定するものではないが、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、進行性NHL、再発性進行性NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫を含む、B細胞疾患及び/又はB細胞増殖性疾患に罹患しているか、又は罹患することが疑われる哺乳動物から得る。
一態様では、本発明は、CD79bを発現する、B細胞などの細胞の増加と関連する細胞増殖性疾患の診断方法であって、生体試料中の試験細胞を上記いずれかの抗体と接触させ、CD79bに対する抗体の結合を検出することによって、試料において試験細胞に結合した抗体のレベルを決定し、そして、コントロール試料において細胞に結合した抗体のレベルを比較することを含み、このとき、結合した抗体のレベルが試験試料及びコントロール試料におけるCD79b発現細胞の数に正規化され、コントロール試料と比較して試験試料において結合した抗体のレベルが高い場合に、CD79bを発現する細胞と関連する細胞増殖性疾患の存在を示す方法を提供する。
【0208】
一態様では、本発明は、血液又は血清における可溶性CD79bの検出方法であって、B細胞増殖性疾患の発症の疑いのある哺乳動物からの血液又は血清の試験試料を本発明の抗CD79b抗体と接触させ、正常な哺乳動物からの血液又は血清のコントロール試料と比較して試験試料における可溶性CD79bの増加を検出することを含む方法を提供する。ある実施態様では、検出方法は、哺乳動物の血液又は血清中の可溶性CD79bの増加と関係しているB細胞増殖性疾患を診断する方法として有用である。
一態様では、CD79bを発現する細胞への本発明の抗体の結合方法であって、本発明の抗体と該細胞を接触させることを含む。一実施態様では、抗体は細胞障害性剤にコンジュゲートされる。一実施態様では、抗体は増殖阻害性剤にコンジュゲートされる。
【0209】
本発明の方法は、任意の好適な病理学的状態、例えばCD79bの発現と関連する細胞及び/又は組織に作用するために用いられうる。一実施態様では、本発明の方法で標的とされる細胞は、造血性細胞である。例えば、造血性細胞は、リンパ球、白血球、血小板、赤血球及びナチュラルキラー細胞からなる群から選択されるものであってもよい。一実施態様では、本発明の方法で標的とされる細胞は、B細胞又はT細胞である。一実施態様では、本発明の方法で標的とされる細胞は、癌細胞である。例えば、癌細胞は、リンパ腫細胞、白血病細胞又は骨髄腫細胞からなる群から選択されるものであってもよい。
本発明の方法は、更なる処理工程を更に含んでもよい。例えば、一実施態様では、方法はさらに、標的とされる細胞及び/又は組織(例えば癌細胞)が放射線治療又は化学療法剤にさらされる工程を含む。
【0210】
本明細書において記述されるように、CD79bはB細胞レセプターのシグナル伝達構成成分である。したがって、本発明の方法のある実施態様では、標的とされる細胞(例えば癌細胞)は、CD79bを発現しない細胞と比較してCD79bが発現されるものである。更なる実施態様では、標的とされる細胞は、同じ組織タイプの正常な非癌細胞と比較してCD79b発現が亢進されている癌細胞である。一実施態様では、本発明の方法によって、標的とされる細胞の死が生じる。
本発明の他の態様では、本発明は、本明細書中に記載のいずれかの抗体をコードするDNAを含むベクターを提供する。また、このような任意のベクターを含む宿主細胞が提供される。例として、宿主細胞は、CHO細胞、大腸菌又は酵母菌であってもよい。本明細書中に記載のいずれかの抗体の製造方法がさらに提供され、所望の抗体の発現に適する条件下で宿主細胞を培養し、細胞培養物から所望の抗体を回収することを含む。
なお更なる態様では、本発明は、本明細書中に記載の抗CD79b抗体を担体と組み合わせて含む組成物に関する。場合によって、担体は薬学的に許容可能な担体である。
本発明の他の態様は、CD79bポリペプチド抗体に応答する症状の治療に有用な医薬の調製のための、本明細書中に記載の抗CD79bポリペプチド抗体の使用に関する。
本発明の他の態様は、抗体当たりの平均薬剤負荷がおよそ2からおよそ5、又はおよそ3からおよそ4である式Iの抗体-薬剤化合物の混合物を含む組成物である。
【0211】
本発明の他の態様は、式I ADC化合物を含む薬学的組成物、式I ADC化合物、又はその薬学的に許容可能な塩ないしは溶媒和化合物と薬学的に許容可能な希釈液、担体ないしは賦形剤の混合物である。
他の態様は、式I ADC化合物と、抗癌性質又は他の治療効果を有する第二化合物とを含む薬学的組合せを提供する。
他の態様は、腫瘍細胞又は癌細胞の増殖を殺傷又は阻害するための方法であって、腫瘍細胞又は癌細胞の増殖を殺傷するか又は阻害するために有効である、式Iの抗体-薬剤コンジュゲート、又はその薬学的に許容可能な塩ないしは溶媒和化合物の有効量にて該細胞を処理することを含む方法である。
【0212】
他の態様は、癌の治療方法であって、式I ADCを含む薬学的組成物の治療的有効量を患者に投与することを含む方法である。
他の態様には、抗体-薬剤コンジュゲート、容器、及び処置を示唆するパッケージ挿入物又はラベルを具備する製造品、すなわちキットが包含される。
本発明の一態様は、式I抗体薬剤コンジュゲート化合物の製造方法であって、(a)システイン改変抗体の改変されたシステイン基をリンカー試薬と反応させて抗体-リンカー中間生成物Ab-Lを形成させ、(b)Ab-Lを活性化された薬剤成分Dと反応させて、抗体-薬剤コンジュゲートを形成させる、という工程を含むか、又は、(c)薬剤成分の求核性基をリンカー試薬と反応させて薬剤-リンカー中間生成物D-Lを形成させ、(d)D-Lをシステイン改変抗体の改変されたシステイン基と反応させて、抗体-薬剤コンジュゲートを形成させる、という工程を含む方法である。
本発明の一態様は、癌細胞を検出するためのアッセイであって、(a)細胞をシステイン改変抗CD79b抗体-薬剤コンジュゲートにさらし、(b)システイン改変抗CD79b抗体-薬剤コンジュゲート化合物の細胞に対する結合の程度を決定することを含む方法である。
【0213】
A.抗CD79b抗体
一実施態様では、本発明は治療薬としての本明細書中における使用を理解しうる抗CD79b抗体を提供する。抗体の例には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、及びヘテロコンジュゲート抗体が含まれる。
【0214】
1.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを一又は複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することにより、動物に産生させる。それは、免疫化されるべき種において免疫原性であるタンパク質に関連する抗原をコンジュゲートさせるために有用である(特に合成ペプチドが使用されるとき)。例えば、抗原は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターへ、二重官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する抱合)、グルタルアルデヒド、及び無水コハク酸、SOCl_(2)、又はR及びR^(1)が異なるアルキル基であるR^(1)N=C=NRを用いてコンジュゲートさせることができる。
動物を、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と併せ、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して免疫する。1ヶ月後、該動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5から1/10のペプチド又はコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加免疫する。7から14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。コンジュゲートはまた、タンパク融合として組換え細胞培養中で調製することができる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために好適に使用される。
【0215】
2.モノクローナル抗体
本明細書中に記載の抗原に対するモノクローナル抗体は、Kohler等,Nature,256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作成することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記のように免疫し、免疫化に用いられたタンパク質と特異的に結合する抗体を産生する、又は産生することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。免疫化の後、リンパ球を単離し、次いでポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いて骨髄腫細胞株と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,59-103頁(Academic Press,1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞(融合パートナーとも呼ばれる)の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための選択的培地は、典型的には、HGPRT-欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
【0216】
好ましい融合パートナーの骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの発現を支援し、融合していない親細胞に対して選択を行う選択的培地に対して感受性である細胞である。これらの中でも、好ましい骨髄腫株化細胞は、マウス骨髄腫ライン、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センター(米国カリフォルニア州サンディエゴ)より入手し得るMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、及び、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(米国バージニア州マナッサス)より入手し得るSP-2及び誘導体、例えばX63-Ag8-653細胞から誘導されるものである。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫株化細胞もまたヒトモノクローナル抗体の産生のために開示されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur等,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁、(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0217】
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
例えば、モノクローナル抗体の結合親和性は、Munsonら、Anal.Biochem.,107:220(1980)に記載のスキャッチャード分析によって測定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性な抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定されたら、そのクローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,59-103頁(Academic Press,1986))。この目的に対して好適な培地は、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地を包含する。また、このハイブリドーマ細胞は、動物の腹水症腫瘍として、例えばマウスへの細胞の腹腔内注入により、インビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばアフィニティークロマトグラフィー(例えばプロテインA又はプロテインG-セファロースを使用するもの)、又はイオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析などのような常套的な抗体精製法によって、培地、腹水、又は血清から上手く分離される。
【0218】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、常法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)即座に分離されて、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび分離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、この状況以外では抗体タンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入し、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を獲得することができる。抗体をコードするDNAの細菌中の組換え発現に関する参考文献には、Skerraら、Curr.Opinion in Immunol.5:256-262(1993)及びPluckthun,Immunol.Revs.130:151-188(1992)が含まれる。
さらなる実施態様では、モノクローナル抗体又は抗体断片は、McCafferty等,Nature,348:552-554(1990)に記載された技術を使用して産生される抗体ファージライブラリから分離することができる。Clackson等,Nature,352:624-628(1991)及びMarks等,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)は、ファージライブラリを使用したマウス及びヒト抗体の分離を記述している。続く刊行物は、鎖シャフリングによる高親和性(nM範囲)のヒト抗体の生成(Marks等,Bio/Technology,10:779-783[1992])、並びに非常に大きなファージライブラリを構築するための方策としてコンビナトリアル感染とインビボ組換え(Waterhouse等,Nuc.Acids.Res.,21:2265-2266[1993])を記述している。従って、これらの技術はモノクローナル抗体の分離に対する伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法に対する実行可能な別法である。
例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメイン(C_(H)及びC_(L))配列を、相同的マウス配列に代えて置換することによって(米国特許第4816567号;及びMorrison等,Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,81:6851(1984))、又は免疫グロブリンコード配列を非免疫グロブリンポリペプチド(異種ポリペプチド)のコード配列の全部又は一部と融合させることによって、抗体をコードするDNAを修飾し、キメラ又は融合抗体ポリペプチドを生成することができる。前記の非免疫グロブリンポリペプチド配列は、抗体の定常ドメインと置き代わることができるか、又は抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインが置換されて、抗原に対する特異性を有する1つの抗原結合部位と異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作り出す。
【0219】
3.ヒト及びヒト化抗体
本発明の抗CD79b抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含みうる。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)_(2)又は非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む、抗体のその他抗原結合サブシーケンス)である。ヒト化抗体には、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット、又はウサギといった非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置換されているヒト免疫グロブリンが含まれる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入されたCDR又はフレームワーク配列にも見られない残基も含みうる。一般に、ヒト化抗体は、すべて又はほぼすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンに対応しており、且つすべて又はほぼすべてのFR領域がヒト免疫グロブリンの共通配列である、少なくとも一及び典型的には二の可変ドメインのほぼすべてを含む。最適には、ヒト化抗体は、免疫グロブリンの定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域(Fc)、の少なくとも一部も含む[Jones等、Nature,321:522-525(1986);Riechmann等,Nature,332:323-327(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593-596(1992)]。
非ヒト抗体をヒト化する方法は、従来技術に周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入される一又は複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「移入」残基と呼ばれ、通常は一の「移入」可変ドメインから取得される。ヒト化は基本的にWinter及び共同研究者による方法に従って、齧歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより実行される(Jones等、Nature,321:522-525(1986);Riechmann等,Nature,332:323-327(1988);Verhoeyen等、Science,239:1534-1536(1988))。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。
【0220】
抗体がヒトの治療用に用いられる場合、抗原性及びHAMA応答(ヒト抗マウス抗体)を低減するには、ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方のヒト可変ドメインの選択が非常に重要である。 HAMA応答の低減又は除去は、適切な治療薬の臨床上の発達の有意な態様である。例として、Khaxzaeli et al.,J.Natl.Cancer Inst.(1988),80:937;Jaffers et al.,Transplantation(1986),41:572;Shawler et al.,J.Immunol.(1985),135:1530;Sears et al.,J.Biol.Response Mod.(1984),3:138;Miller et al.,Blood(1983),62:988;Hakimi et al.,J.Immunol.(1991),147:1352;Reichmann et al.,Nature(1988),332:323;Junghans et al.,Cancer Res.(1990),50:1495を参照のこと。本明細書において記述されるように、本発明は、HAMA応答が低減されるか又は取り除かれるように、ヒト化される抗体を提供する。さらに、これらの抗体の変異体は、当分野で公知の慣例的な方法を用いて得られる。その方法のいくつかは以降に記載される。いわゆる「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒトVドメイン配列を同定し、その中のヒトフレームワーク(FR)をヒト化抗体に受け入れる(Sims等,J.Immunol.,151:2296(1993);Chothia等,J.Mol.Biol.,196:901(1987))。他の方法では、軽又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);Presta等,J.Immunol.,151:2623(1993))。
【0221】
例えば、本明細書において記述されるように、抗体のアミノ酸配列はフレームワーク及び/又は高頻度可変配列(一又は複数)を多様化させるために開始(親)配列として働きうる。開始高頻度可変配列が連結される選択されたフレームワーク配列は、本明細書において、アクセプターヒトフレームワークと称する。アクセプターヒトフレームワークは、ヒト免疫グロブリン(そのVL及び/又はVH領域)のものかあるいはそれに由来するものであってよいが、好ましくはヒトコンセンサスフレームワーク配列のものかあるいはそれに由来するものであり、これはそのようなフレームワークがヒト患者においてごく小さい免疫原性あるいは全く免疫原性を示さないことが証明されているためである。
アクセプターがヒト免疫グロブリンから得られる場合、場合によっては、ドナーフレームワーク配列を一まとまりのヒトフレームワーク配列の様々なヒトフレームワーク配列と整列配置させることによって、ドナーフレームワーク配列に対するその相同性に基づいて選択されるヒトフレームワーク配列を選択し、アクセプターとして最も相同性のあるフレームワーク配列を選択してもよい。
【0222】
一実施態様では、本明細書中のヒトコンセンサスフレームワークは、VHサブグループIII及び/又はVLκサブグループIコンセンサスフレームワーク配列のものかあるいはそれに由来するものである。
ゆえに、VHアクセプターヒトフレームワークは、以下のフレームワーク配列の1、2、3又はすべてを含んでもよい。
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:143)を含むFR1、
WVRQAPGKGLEWV(配列番号:144)を含むFR2、
RFTISX_(1)DX_(2)SKNTX_(3)YLQMNSLRAEDTAVYYC(配列番号:147)を含むFR3であって、X_(1)はA又はRであり、X_(2)はT又はNであり、X_(3)はA又はLであるFR3、
WGQGTLVTVSS(配列番号:146)を含むFR4。
【0223】
VHコンセンサスフレームワークの例には以下が含まれる。
ヒトVHサブグループIコンセンサスフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:108);
ヒトVHサブグループIコンセンサスフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:109-111);
ヒトVHサブグループIIコンセンサスフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:112);
ヒトVHサブグループIIコンセンサスフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:113-115);
ヒトVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:116);
ヒトVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:117-119);
ヒトVHアクセプターフレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:120);
ヒトVHアクセプターフレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:121-122);
ヒトVHアクセプター2フレームワークマイナスカバットCDR(配列番号:123);又は、
ヒトVHアクセプタ2フレームワークマイナス伸展した高頻度可変領域(配列番号:124-126)。
【0224】
一実施態様では、VHアクセプターヒトフレームワークは、以下のフレームワーク配列の1、2、3又はすべてを含む。
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:143)を含むFR1、
WVRQAPGKGLEWV(配列番号:144)を含むFR2、
RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYC(配列番号:145)、
RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCA(配列番号:148)、
RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:149)、
RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCS(配列番号:150)、又は
RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCSR(配列番号:151)を含むFR3、
WGQGTLVTVSS(配列番号:146)を含むFR4。
【0225】
VLアクセプターヒトフレームワークは、以下のフレームワーク配列の1、2、3又はすべてを含んでもよい。
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:139)を含むFR1、
WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:140)を含むFR2、
GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:141)を含むFR3、
FGQGTKVEIKR(配列番号:142)を含むFR4。
VLコンセンサスフレームワークの例には、以下が含まれる。
ヒトVLκサブグループIコンセンサスフレームワーク(配列番号:127);
ヒトVLκサブグループIIコンセンサスフレームワーク(配列番号:128);
ヒトVLκサブグループIIIコンセンサスフレームワーク(配列番号:129);又は、
ヒトVLκサブグループIVコンセンサスフレームワーク(配列番号:130)。
【0226】
アクセプターが、ヒト免疫グロブリン又はヒトコンセンサスフレームワークからのものか否かにかかわらず、配列において、選択されたヒトフレームワーク配列と同一でもよい一方で、本発明では、アクセプター配列はヒト免疫グロブリン配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に関して既存のアミノ酸置換を含有しうると考えられる。これらの既存の置換は、ヒト免疫グロブリン配列又はコンセンサスに関して、最小限、通常、4つ、3つ、2つ又は一つだけのアミノ酸の相違であることが好ましい。
非ヒト抗体の高頻度可変領域残基は、VL及び/又はVHアクセプターヒトフレームワークに組込まれる。例えば、KabatCDR残基、Chothia超可変ループ残基、AbM残基、及び/又は接触残基に対応する残基を組込んでもよい。場合によって、以下のような伸展した高頻度可変領域残基が組み込まれる:24-34(L1)、50-56(L2)及び89-97(L3)、26-35B(H1)、50-65、47-65又は49-65(H2)及び93-102、94-102又は95-102(H3)。
【0227】
高頻度可変領域残基の「組込み」は本明細書中で検討され、様々な方法で達成可能であり、例えば、所望のアミノ酸配列をコードする核酸は、そのフレームワーク残基がアクセプターヒトフレームワーク残基に変化するようにマウス可変ドメイン配列をコードする核酸を変異させることによって、又は、高頻度可変領域残基が非ヒト残基に変化するようにヒト可変ドメイン配列をコードする核酸を変異させることによって、又は、所望の配列をコードする核酸を合成することによってなどして生成できる。
本明細書中の実施例では、高頻度可変領域グラフト変異体は、各高頻度可変領域について別個のオリゴヌクレオチドを用いて、ヒトアクセプター配列をコードする核酸のKunkel突然変異誘発法により生成された。Kunkel等,Methods Enzymol.154:367-382(1987)。慣例的な技術を用いてフレームワーク及び/又は高頻度可変領域の中に適当な変異を導入して、適正な高頻度可変領域-抗原相互作用を修正及び再確立できる。
【0228】
ファージ(ファジミド)ディスプレイ(また本明細書中ではファージディスプレイとも称する)は、配列のランダム化により生成されたライブラリ中の、多くの異なる潜在的な変異体抗体の生成及びスクリーニングのための簡便で迅速な方法として用いることができる。しかしながら、変更された抗体の作製及びスクリーニングのための他の方法も当業者に有用である。
ファージ(ファジミド)ディスプレイ技術は、抗原などのリガンドに結合する新規のタンパク質を生成して選別するための強力な手段を提供している。ファージ(ファジミド)ディスプレイ技術を用いると、高い親和性で標的分子と結合する配列について迅速に選別できるタンパク質変異体の大きなライブラリを生成できる。変異体ポリペプチドをコードする核酸は、通常、遺伝子IIIタンパク質又は遺伝子VIIIタンパク質などのウィルスコートタンパク質をコードする核酸配列に融合する。タンパク質又はポリペプチドをコードする核酸配列が遺伝子IIIタンパク質の一部をコードする核酸配列に融合されている一価性ファジミドディスプレイシステムが開発されている。(Bass,S.,Proteins,8:309(1990)、Lowman及びWells,Methods:A Companion to Methods in Enzymology,3:205(1991))。一価性ファジミドディスプレイシステムにおいて、遺伝子融合は低レベルで発現され、粒子の感染力が保持されるように野生型遺伝子IIIタンパク質も発現される。ペプチドライブラリを生成する方法及びそれらのライブラリのスクリーニング方法は、多くの特許に開示されている(例えば米国特許第5723286号、同第5432018号、同第5580717号、同第5427908号、及び同第5498530号)。
【0229】
抗体又は抗原結合ポリペプチドのライブラリは、ランダムなDNA配列を挿入することによって、単一遺伝子を変更すること、又は、関連した遺伝子のファミリをクローニングすることなどを含む、多くの方法により調製されている。ファージ(ファジミド)ディスプレイを用いた抗体又は抗原結合断片のディスプレイ方法は、米国特許第5750373号、同第5733743号、同第5837242号、同第5969108号、同第6172197号、同第5580717号、及び同第5658727号に記述されている。次いでライブラリは、所望の特徴を有する抗原結合タンパク質又は抗体の発現についてスクリーニングされる。
鋳型核酸を選択するアミノ酸に置き換える方法は当分野では十分に確立されており、そのいくつかは本明細書中に記載される。例えば、高頻度可変領域残基はキュンケル法を使用して置換されてもよい。例としてKunkel et al.,Methods Enzymol.154:367-382(1987)を参照のこと。
【0230】
オリゴヌクレオチド配列は、変更する高頻度可変領域残基の一又は複数の設計されたコドンセットを含む。コドンセットは所望の変異体アミノ酸をコードするのに用いられる、一組の異なるヌクレオチドトリプレット配列である。コドンセットは、IUBコードによって以下に示すように、特定のヌクレオチド又はヌクレオチドの等モル混合物を示す符号を使って表される。
IUBコード
G グアニン
A アデニン
T チミン
C シトシン
R(A又はG)
Y(C又はT)
M(A又はC)
K(G又はT)
S(C又はG)
W(A又はT)
H(A又はC又はT)
B(C又はG又はT)
V(A又はC又はG)
D(A又はG又はT)H
N(A又はC又はG又はT)
【0231】
例えば、コドンセットDVKでは、DはヌクレオチドA又はG又はTであり;VはA又はG又はCであり;KはG又はTであってよい。このコドンセットは18の異なるコドンを示し、アミノ酸Ala、Trp、Tyr、Lys、Thr、Asn、Lys、Ser、Arg、Asp、Glu、Gly及びCysをコードする。
オリゴヌクレオチド又はプライマーのセットは、標準の方法を使って合成できる。一組のオリゴヌクレオチドは、例えば、コドンセットによって提供されるヌクレオチドトリプレットの全ての可能な組合せを表し且つ所望のアミノ酸群をコードする配列を含み、固相法によって合成することができる。ある位置での選ばれたヌクレオチド「縮重」を有するオリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野で公知である。そのようなある種のコドンセットを有しているオリゴヌクレオチドのセットは、市販の核酸シンセサイザー(Applied Biosystems,Foster City,CAなどから入手可能)を使って合成することができ、又は市販品を入手することができる(例えば、Life Technologies,Rockville,MDから)。したがって、特定のコドンセットを有する合成オリゴヌクレオチドセットは、一般的に異なる配列の複数のオリゴヌクレオチドを含み、この相違は配列全体の中のコドンセットによるものである。本発明に従って使用されるように、オリゴヌクレオチドは、可変ドメインの核酸鋳型へのハイブリダイゼーションを可能にする配列を有し、また、クローニングに役立つ制限酵素部位を含むこともできる。
【0232】
一つの方法では、変異体アミノ酸をコードしている核酸配列は、オリゴヌクレオチドを媒介した突然変異生成によって作製することができる。この手法はZoller等,Nucleic Acids Res.10:6487-6504(1987)が記載しているように、当技術分野で公知である。つまり、変異体アミノ酸をコードしている核酸配列は、所望の制限コドンセットをコードしているオリゴヌクレオチドセットをDNA鋳型にハイブリダイズすることによって作製され、前記鋳型は可変領域核酸鋳型配列を含むプラスミドの一本鎖型である。ハイブリダイゼーションの後、DNAポリメラーゼを用いて鋳型の完全二次相補鎖を合成し、この相補鎖はオリゴヌクレオチドプライマーを組込み、前記オリゴヌクレオチドセットによって提供される制限コドンセットを含むようになる。
通常、長さが少なくとも25ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドが使われる。最適なオリゴヌクレオチドは、突然変異体をコードするヌクレオチド(一又は複数)の片側が鋳型と完全に相補性である少なくとも12から15個のヌクレオチドを持つ。これにより、オリゴヌクレオチドが正しく一本鎖DNA鋳型分子にハイブリダイズするようになる。オリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の手法、例えばCrea等,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,75:5765(1978)に記載の手法を使って容易に合成される。
【0233】
DNA鋳型はバクテリオファージM13ベクター(市販のM13mp18及びM13mp19ベクターが適当)に由来するベクター、又はViera等,Meth.Enzymol.,153:3(1987)に記載の一本鎖ファージ複製起点を含むベクターによって生成される。このように、突然変異されるDNAは、一本鎖鋳型を生成するためにこれらのベクターの一つに挿入することができる。一本鎖鋳型の生産は、Sambrook等,上掲のセクション4.21?4.41に記載されている。
天然のDNA配列を変えるために、オリゴヌクレオチドが適当なハイブリダイゼーション条件の下で一本鎖鋳型にハイブリダイズされる。DNA重合酵素、通常、T7DNAポリメラーゼ又はDNAポリメラーゼIのKlenow断片を次に加え、合成のためのプライマーとしてオリゴヌクレオチドを使って鋳型の相補鎖を合成する。こうしてDNAの一つの鎖が遺伝子1の突然変異した形態をコードし、他の鎖(元の鋳型)が遺伝子1の未変性、未変更の配列をコードするようにヘテロ二本鎖分子が形成される。このヘテロ二本鎖分子は、次に適当な宿主細胞、通常大腸菌JM101のような原核生物に形質転換される。細胞を増殖させた後にアガロースプレートの上へプレートし、突然変異したDNAを含む細菌コロニーを同定するために^(32)Pリン酸塩で放射性標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使ってスクリーニングする。
【0234】
直前で記載されている方法は、プラスミドの両方の鎖が突然変異を含むホモ二本鎖分子が作製されるように修正することができる。この修正は以下の通りである。一本鎖オリゴヌクレオチドを先に述べたように一本鎖鋳型にアニールする。3つのデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキシリボグアノシン(dGTP)及びデオキシリボチミジン(dTT)の混合物を、dCTP-(aS)と呼ばれる修飾されたチオデオキシリボシトシン(Amershamから入手できる)と合わせる。この混合物を鋳型-オリゴヌクレオチド複合体に加える。DNAポリメラーゼをこの混合物へ追加すると、突然変異した塩基以外は鋳型と同一のDNA鎖が生成される。さらに、この新しいDNA鎖はdCTPの代わりにdCTP-(aS)を含み、これはDNA鎖を制限酵素による消化作用から保護するのに役立つ。二本鎖ヘテロ二本鎖の鋳型鎖に適当な制限酵素でニックを入れた後、突然変異を起こさせる部位を含む領域の後方で鋳型鎖はExoIIIヌクレアーゼ又は別の適当なヌクレアーゼで消化することができる。反応を終了すると、部分的にだけ一本鎖の分子が残る。次に、完全な二本鎖DNAホモ二本鎖が、4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸のすべて、ATP及びDNAリガーゼの存在下でDNAポリメラーゼを使って形成される。このホモ二本鎖分子は、次に適当な宿主細胞に形質転換することができる。
【0235】
前に示したように、オリゴヌクレオチドセットの配列の長さは、鋳型核酸にハイブリダイズするために十分な長さであり、また、必須ではないが制限部位を含むこともできる。DNA鋳型は、バクテリオファージM13ベクターに由来するベクター、又はViera等(Meth.Enzymol.,153:3(1987))に記載されている一本鎖ファージ複製起点を含むベクターによって生成できる。このように、突然変異させるべきDNAは、一本鎖鋳型を生成するためにこれらのベクターの一つに挿入する必要がある。一本鎖鋳型の生産は、Sambrook等,上掲のセクション4.21?4.41に記載されている。
他の方法に従って、抗原結合は、修復された高頻度可変領域の選択により、抗体のヒト化の間に回復されてもよい(2005年2月18日出願の米国特許第11/061841号を参照)。この方法には、非ヒト高頻度可変領域をアクセプターフレームワークに組み込み、さらにアクセプターフレームワーク配列を変更することなく一又は複数の高頻度可変領域に一又は複数のアミノ酸置換を導入することが含まれる。あるいは、一又は複数のアミノ酸置換の導入は、アクセプターフレームワーク配列内の修飾を伴ってもよい。
【0236】
別の方法によると、ライブラリは上流及び下流のオリゴヌクレオチドセットを提供することによって生成することができ、各セットは、異なる配列を有する複数のオリゴヌクレオチドを持つ。これらの配列は、オリゴヌクレオチドの配列内で提供されたコドンセットによって確立される。上流及び下流のオリゴヌクレオチドセットは、可変ドメイン鋳型核酸配列と共に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で用いてPCR産物の「ライブラリ」を作製することができる。PCR産物は確立された分子生物学的手法を使って他の関連した、又は無関係な核酸配列、例えばウィルスのコートタンパク質及び二量体化ドメインと融合することができるので、「核酸カセット」と呼ぶこともある。
PCRプライマー配列は、高頻度可変領域の溶媒に露出し非常に多様な位置のために設計された一又は複数のコドンセットを含む。前記したように、コドンセットは所望の変異体アミノ酸をコードするのに用いられる、一組の異なるヌクレオチドトリプレット配列である。
【0237】
標準的な組み換え技術を用いて、好適なスクリーニング/選別工程を介して選択された、所望の基準を満たす抗体選択物を単離してクローニングすることができる。
更に、抗体を、抗原に対する高い結合親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するために、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グログリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、高頻度可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
【0238】
ヒト化抗CD79b抗体の様々な形態を考える。例えば、ヒト化抗体は、Fabなどの、任意で一又は複数の細胞障害性剤とコンジュゲートしてイムノコンジュゲートを生成する抗体断片とすることができる。或いは、ヒト化抗体は、インタクトIgG1抗体などのインタクト抗体でもよい。
ヒト化の代わりに、ヒト抗体を生成することができる。例えば、現在では、免疫化することで、内因性免疫グロブリンの産生無しで、ヒト抗体の全レパートリーを産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが可能である。例えば、キメラ及び生殖細胞系突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(J_(H))遺伝子のホモ接合体欠失によって、結果として内因性抗体産生の完全な阻害が起こることが説明されてきた。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列の、このような生殖細胞系突然変異体マウスへの転移によって、結果として抗原投与時にヒト抗体の産生がおこる。Jakobovits等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551(1993);Jakobovits等,Nature 362:255-258(1993);Bruggeman等,Year in Immuno.,7:33(1993);米国特許第5545806号、同5569825号、同5591669号(すべてGenPharm);米国特許第5545807号;及び国際公開第97/17852号を参照されたい。
【0239】
また、ファージディスプレイ技術(McCafferty等、Nature 348:552-553(1990))を用いて、未免疫のドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからインビトロでヒト抗体及び抗体断片を産生することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子を、フレーム単位で、繊維状バクテリオファージ、例えばM13又はfdの大きい又は小さいコートタンパク質遺伝子でクローンし、ファージ粒子の表面で機能的抗体断片として表示させる。繊維状粒子がファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択も、結果としてこれらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択が成される。よって、このファージはB細胞の特性の幾つかを模倣している。ファージディスプレイは多様な形式で行うことができる;例えばJohnson,Kevin S.及びChiswell,David J.,Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照。V-遺伝子セグメントの複数の供給源を、ファージディスプレイのために使用できる。Clackson等,Nature,352:624-628(1991)は、免疫化したマウスの脾臓由来のV遺伝子の小さいランダムなコンビナトリアルライブラリから、多様な抗-オキサゾロン抗体を単離した。非免疫化ヒトドナーのV遺伝子のレパートリーが構成可能であり、多様な抗原(自己抗原を含む)に対する抗体は、基本的にMarks等,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)、又はGriffith等,EMBO J.12:725-734(1993)に記載の技術に従って単離することができる。また、米国特許第5565332号及び同5573905号を参照のこと。
上述のように、ヒト抗体はインビトロで活性化したB細胞により産生することもできる(米国特許第5567610号及び同5229275号)。
【0240】
4.抗体断片
特定の実施態様では、抗体全体より抗体断片を使用する方が有利である。小さな断片は迅速なクリアランスを可能にし、固形腫瘍へのアクセスを向上させる。
抗体断片を産生するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、無傷の抗体のタンパク分解性消化によって誘導された(例えば、Morimoto等,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117(1992)及びBrennan等,Science,229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は、現在は組換え宿主細胞により直接産生することができる。Fab、Fv及びScFv抗体断片はすべて大腸菌に発現され、且つ大腸菌から分泌されるので、これら断片を容易に大量生成することができる。抗体断片は、上で論じた抗体ファージライブラリから単離することができる。別法として、Fab’-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合させてF(ab’)_(2)断片を形成することができる(Carter等,Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab’)_(2)断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。サルベージレセプター結合エピトープ残基を含むインビボでの半減期が増大したFab及びF(ab’)_(2)断片は、米国特許第5869046号に記載されている。抗体断片を生成するのための他の方法は、当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択する抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。国際公開93/16185号;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びsFvは、定常領域を欠く無傷の連結部位を有する唯一の種である;従って、インビボで使用している間の減少した非特異的結合に適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ又はカルボキシ末端のどちらかで、エフェクタータンパク質の融合体が生成されるように構成されてもよい。上掲のAntibody Engineering,Borrebaeck編を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。そのような直鎖状抗体断片は単一特異性又は二重特異性であってもよい。
【0241】
5.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2の異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、本明細書において記述されるように、CD79bタンパク質の2つの異なるエピトープに結合してもよい。他のこのような抗体は、CD79b結合部位を他のタンパク質のための結合部位と組み合わせてもよい。あるいは、抗CD79bアームは、T細胞レセプター分子(例えばCD3)などの白血球上のトリガー分子、又はFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)などのIgGのためのFcレセプター(FcγR)に結合するアームと組み合わせて、CD79b発現細胞に細胞防御機構を集中させ局在化させてもよい。また、二重特異性抗体は、CD79bを発現する細胞に細胞障害性剤を局所化するために用いられてもよい。これらの抗体は、CD79b-結合アームと、細胞障害性剤(例えばサポリン、抗インターフェロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテン)を結合するアームとを有する。二重特異性抗体は、完全長抗体、又は、抗体断片(例えばF(ab’)_(2)二重特異性抗体)として調製されてもよい。
国際公開96/16673は二重特異性抗ErbB2/抗FcγRIII抗体を記載し、米国特許第5837234号は二重特異性抗ErbB2/抗FcγRI抗体を開示する。二重特異性抗ErbB2/Fcα抗体は国際公開98/02463に示される。米国特許第5821337号は二重特異性抗ErbB2/抗CD3抗体を教示する。
【0242】
二重特異性抗体を作製する方法は当該分野において既知である。完全長二重特異性抗体の伝統的な産生は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの鎖は異なる特異性を持っている(Millstein等,Nature,305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93/08829号及びTraunecker等,EMBO J.10:3655-3659(1991)に開示されている。
【0243】
異なったアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原-抗体結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。好ましくは、該融合は少なくともヒンジの一部、C_(H)2及びC_(H)3領域を含むIg重鎖定常ドメインである。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(C_(H)1)を、融合の少なくとも一つに存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、望まれるならば免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主細胞に同時トランスフェクトする。これにより、組立に使用される3つのポリペプチド鎖の等しくない比率が所望の二重特異性抗体の最適な収率をもたらす態様において、3つのポリペプチド断片の相互の割合の調節における柔軟性が増大する。しかし、少なくとも2つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が所望の差の組み合わせの収率に有意な影響を及ぼさないときは、2又は3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を単一の発現ベクターに挿入することが可能である。
この手法の好ましい一実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等,Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照されたい。
【0244】
米国特許第5731168号に記載された他の手法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすることができる。好適な界面はC_(H)3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、架橋した抗体又は「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに、他方はビオチンに結合することができる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞に向けるため(米国特許第4676980号)、及びHIV感染の治療のために(国際公開第91/00360号、同第92/200373号、及び欧州特許第03089号)提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、便利な架橋方法のいずれかを使用して作製することができる。適切な架橋剤は当技術分野において周知であり、多数の架橋技術と共に米国特許第4676980号に開示されている。
【0245】
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等,Science,229:81(1985)は無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab’)_(2)断片を産生する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤、亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたFab’断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に変換される。Fab’-TNB誘導体の一つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab’-チオールに再変換し、他のFab’-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
最近の進歩により、大腸菌からのFab’-SH断片の直接の回収が容易になり、これは化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby等,J.Exp.Med.,175:217-225(1992)は完全にヒト化された二重特異性抗体F(ab’)_(2)分子の製造を記述している。各Fab’断片は大腸菌から別個に分泌され、インビトロで定方向化学共役を受けて二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、正常なヒトT細胞、及びErbB2レセプターを過剰発現する細胞に結合可能で、ヒト乳房腫瘍標的に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性の誘因となる。
【0246】
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な技術もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生成されている。Kostelny等,J.Immunol.148(5):1547-1553(1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab’部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生成に対して使用することができる。Hollinger等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには十分に短いリンカーによりV_(L)にV_(H)を結合してなる。従って、一つの断片のV_(H)及びV_(L)ドメインは他の断片の相補的V_(L)及びV_(H)ドメインと強制的に対形成させられ、よって2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異性抗体断片を製造する他の方策もまた報告されている。Gruber等,J.Immunol.152:5368(1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等J.Immunol.147:60(1991)。
【0247】
6.ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内である。ヘテロコンジュゲート抗体は2つの共有結合で結合した抗体で構成される。そのような抗体は、例えば、望ましくない細胞に免疫系細胞を標的化するため(米国特許第4676980号)、及びHIV感染の治療のため(国際公開91/00360;国際公開92/200373;欧州特許第03089号)に、提案されている。抗体は合成タンパクの化学の公知の方法、例えば架橋剤を伴うものを用いて、インビトロで調製してもよい。例えば、イムノトキシンは、ジスルフィド-交換反応を用いるかチオエーテル結合を形成させることにより構築されてもよい。この目的に適当な試薬の例には、イミノチオラート及びメチル-4-メルカプトブチルイミダート、並びに例えば米国特許4676980号に記載の試薬が含まれる。
【0248】
7.多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも早くインターナリゼーション(及び/又は異化)されうる。本発明の抗体は、3又はそれ以上の結合部位を有する多価抗体(IgMクラス以外のもの)であり得(例えば四価抗体)、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は二量化ドメインと3又はそれ以上の抗原結合部位を有する。好ましい二量化ドメインはFc領域又はヒンジ領域を有する(又はそれらからなる)。このシナリオにおいて、抗体はFc領域と、Fc領域のアミノ末端に3又はそれ以上の抗原結合部位を有しているであろう。ここで、好ましい多価抗体は3ないし8、好ましくは4の抗原結合部位を有する(又はそれらからなる)。多価抗体は少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を有し、ポリペプチド鎖(類)は2又はそれ以上の可変ドメインを有する。例えば、ポリペプチド鎖(類)はVD1-(X1)_(n)-VD2-(X2)_(n)-Fcを有し、ここでVD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリペプチド鎖の一つであり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は1である。例えば、ポリペプチド鎖(類)は:VH-CH1-柔軟なリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を有し得る。ここで多価抗体は、好ましくは少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに有する。ここで多価抗体は、例えば約2?約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを有する。ここで考察される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを有し、場合によってはCLドメインを更に有する。
【0249】
8.エフェクター機能の加工
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えば抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞障害性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞障害性(CDC)を向上させることが望ましい。これは、抗体のFc領域に一又は複数のアミノ酸置換を導入することにより達成することができる。別法として又は付加的に、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合を形成するようにしてもよい。そのようにして生成された同種二量体抗体は、向上したインターナリゼーション能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷及び抗体-依存細胞性細胞障害性(ADCC)を有する可能性がある。Caron等,J.Exp.Med.176:1191-1195(1992)及びShopes,B.J.Immunol.148:2918-2922(1992)参照。また、向上した抗腫瘍活性を持つ同種二量体抗体は、Wolff等,Cancer Research 53:2560-2565(1993)に記載されている異種二官能性架橋を用いて調製することができる。あるいは、抗体は、2つのFc領域を有するように加工して、それにより補体溶解及びADCC能力を向上させることもできる。Stevenson等,Anti-Cancer Drug Design 3:219-230(1989)参照。抗体の血清半減期を増大させるために、例えば米国特許第5739277号に記載のように、抗体(特に抗体断片)へサルベージレセプター結合エピトープを導入してもよい。ここで使用される場合の「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子のインビボ血清半減期を増加させる原因であるIgG分子(例えば、IgG_(1)、IgG_(2)、IgG_(3)又はIgG_(4))のFc領域のエピトープを意味する。
【0250】
9.イムノコンジュゲート(免疫抱合体)
また、本発明は、化学療法剤、増殖阻害剤、毒素(例えば、細菌、糸状菌、植物又は動物由来の酵素活性性毒素、又はその断片)、又は放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)などの細胞毒性剤にコンジュゲートした抗体を含む、イムノコンジュゲート(「抗体-薬剤コンジュゲート」又は「ADC」と交換可能に称される)に関する。
ある実施態様では、イムノコンジュゲートは抗体と化学療法剤又は他の毒素を含む。こういったイムノコンジュゲートの生成に有用な化学治療薬を上記に記載した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。放射性コンジュゲート抗体の生成には、様々な放射性ヌクレオチドが利用可能である。例としては、^(212)Bi、^(131)I、^(131)In、^(90)Y及び^(186)Reが含まれる。抗体及び細胞障害性薬のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCl等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等,Science 238:1098(1987)に記載されているように調製することができる。炭素-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合(コンジュゲート)のためのキレート剤の例である。国際公開公報第1994/11026参照。
抗体のコンジュゲートと一又は複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、アウリスタチンペプチド、例えばモノメチルアウリスタチン(MMAE)(ドラスタチンの合成アナログ)、メイタンシノイド、例えばDM1、トリコテセン、及びCC1065、及び毒性活性を有するこれらの毒素の誘導体もまた、ここで考察される。
【0251】
例示的なイムノコンジュゲート-抗体-薬剤コンジュゲート
本発明のイムノコンジュゲート(又は「抗体-薬剤コンジュゲート」(「ADC」))は、以下の式Iのものであり、任意のリンカー(L)を介して、一又は複数の薬剤部分(D)に抗体がコンジュゲート(すなわち共有結合)しているものである。ADCはthioMAb薬剤コンジュゲート(「TDC」)を含んでもよい。

したがって、抗体は直接又はリンカーを介して薬剤にコンジュゲートしうる。式Iでは、pは抗体当たりの薬剤部分の平均数であり、例えば1抗体当たりおよそ1?およそ20の薬剤部分、ある実施態様では、抗体当たり1?およそ8の薬剤部分の範囲でありうる。本発明には、式Iの抗体-薬剤化合物の混合物を含有する組成物であって、抗体当たりの平均薬剤負荷がおよそ2からおよそ5、又はおよそ3からおよそ4であるものが含まれる。
【0252】
a.例示的なリンカー
リンカーは、一又は複数のリンカー成分を含みうる。例示的なリンカー成分には、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」又は「vc」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、及びリンカー試薬とのコンジュゲートから生じるもの:N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(「SMCC」、本明細書中では「MCC」とも称される)、及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(「SIAB」)が含まれる。様々なリンカー成分が当分野で公知であり、そのいくつかを以下に記載する。
リンカーは、細胞内での薬剤の放出を容易にする「切断可能なリンカー」でもよい。例えば、酸に弱いリンカー(例えばヒドラゾン)、プロテアーゼ感受性(例えばペプチダーゼ感受性)リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari等,Cancer Research 52:127-131[1992];米国特許第5208020号)を使用してもよい。
【0253】
ある実施態様では、リンカーは以下の式IIに示される通りである。

このとき、Aはストレッチャーユニットであり、0から1の整数であり、Wはアミノ酸ユニットであり、wは0から12の整数であり、Yはスペーサーユニットであり、yは0、1又は2であり、Ab、D及びpは式Iについて先に定義した通りである。このようなリンカーの例示的な実施態様は、米国公開2005-0238649A1に記述される。その内容は出典明記によって特別に本明細書中に援用される。
【0254】
いくつかの実施態様では、リンカー成分は、抗体を他のリンカー成分又は薬剤部分に連結する「ストレッチャーユニット」を含んでもよい。例示的なストレッチャーユニットを以下に示す(波線は抗体への共有結合の部位を示す)。

【0255】
いくつかの実施態様では、リンカーはアミノ酸ユニットを含みうる。そのような実施態様では、アミノ酸ユニットにより、プロテアーゼによるリンカーの切断が可能となり、それによってリソソーム酵素などの細胞内プロテアーゼへの曝露によってイムノコンジュゲートからの薬剤放出が促される。例としてDoronina等(2003)Nat.Biotechnol.21:778-784を参照。例示的なアミノ酸ユニットには、限定するものではないが、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドなどがある。例示的なジペプチドには、バリン-シトルリン(vc又はval-cit)、アラニン-フェニルアラニン(af又はala-phe);フェニルアラニン-リジン(fk又はphe-lys);又はN-メチル-バリン-シトルリン(Me-val-cit)が含まれる。例示的なトリペプチドには、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が含まれる。アミノ酸ユニットは、天然に生じるアミノ酸残基、並びに微量のアミノ酸及び非天然に生じるアミノ酸類似体、例えばシトルリンを含みうる。アミノ酸ユニットは設定され、特に酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD又はプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断の選択性に最適化できる。
【0256】
いくつかの実施態様では、リンカー成分は、直接又は、ストレッチャーユニット及び/又はアミノ酸ユニットにより、抗体を薬剤部分に連結する「スペーサー」ユニットを含みうる。スペーサーユニットは、「自己犠牲」又は「非自己犠牲」であってもよい。「非自己犠牲」のスペーサーユニットは、ADCの酵素的な(例えばタンパク質分解性の)切断によりスペーサーユニットの一部又はすべてが薬剤部分に結合したままとなるものである。非自己犠牲のスペーサーユニットの例には、限定するものではないが、グリシンスペーサーユニット及びグリシン-グリシンスペーサーユニットが含まれる。また、配列特異的な酵素的切断の影響を受けるペプチド性スペーサーの他の組合せも考慮される。例えば、グリシン-グリシンスペーサーユニットを含有するADCの腫瘍細胞関連のプロテアーゼによる酵素切断によって、残りのADCからグリシン-グリシン-薬剤部分が放出されるであろう。そのような実施態様では、グリシン-グリシン-薬剤部分は腫瘍細胞の異なる加水分解処理を受け、それによってグリシン-グリシンスペーサーユニットを薬剤部分から分離する。
【0257】
「自己犠牲」のスペーサーユニットは、異なる加水分解処置を経ずに薬剤部分を放出させる。ある実施態様では、リンカーのスペーサーユニットはp-アミノベンジルユニットが含まれる。このような実施態様では、p-アミノベンジルアルコールはアミド結合によりアミノ酸ユニットに結合し、カルバメート、メチルカルバメート又はカルボネートがベンジルアルコールと細胞障害性剤との間に作られる。例としてHamann等(2005)Expert Opin.Ther.Patents(2005)15:1087-1103を参照。一実施態様では、スペーサーユニットはp-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)である。ある実施態様では、p-アミノベンジルユニットのフェニレン部分はQmに置き換えられ、このQは-C_(1)-C_(8)アルキル、-O-(C_(1)-C_(8)アルキル)、-ハロゲン、-ニトロ、又は-シアノであり、そしてmは0?4の範囲の整数である。さらに、自己犠牲のスペーサーユニットの例には、限定するものではないが、p-アミノベンジルアルコールに電子工学的に類似している芳香族化合物(例として米国特許公開第2005/0256030号A1を参照)、例えば2-アミノイミダゾール-5-メタノール誘導体(Hay等(1999)Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237)及びオルソ-ないしはパラ-アミノベンジルアセタール類が含まれる。アミド結合加水分解により環化されるスペーサー、例として、置換されたないしは置換されていない4-アミノ酪酸アミド類(Rodrigues等,Chemistry Biology,1995,2,223);適切に置換されたビシクロ[2.2.1]及びビシクロ[2.2.2]環システム(Storm,等,J.Amer.Chem.Soc.,1972,94,5815);及び、2-アミノフェニルプロピオン酸アミド類(Amsberry,等,J.Org.Chem.,1990,55,5867)が用いられうる。グリシンのa-位置で置換されているアミン含有薬剤の除去(Kingsbury,等,J.Med.Chem.,1984,27,1447)もまたADCに有用な自己犠牲のスペーサーの例である。
【0258】
一実施態様では、以下に示すように、スペーサーユニットは分岐したビス(ヒドロキシメチル)スチレン(BHMS)ユニットであり、これを用いて複数の薬剤の取り込みと放出が行われうる。

ここで、Qは-C_(1)-C_(8)アルキル、-O-(C_(1)-C_(8)アルキル)、-ハロゲン、-ニトロ、又は-シアノであり、mは0?4の範囲の整数であり、nは0又は1であり、そして、pは1?およそ20の範囲である。
【0259】
他の実施態様では、リンカーLは、分岐状の、多機能リンカー成分により一又は複数の薬剤成分が抗体に共有結合するための樹枝型のリンカーであってもよい(Sun等(2002)Bioorganic &Medicinal Chemistry Letters 12:2213-2215;Sun等(2003)Bioorganic &Medicinal Chemistry 11:1761-1768)。樹枝状のリンカーは抗体に対する薬剤のモル比を増す、すなわち負荷することができ、これはADCの力価に関連がある。したがって、システイン改変抗体は1つの反応性のシステインチオール基のみを有する場合、多くの薬剤成分が樹枝状のリンカーを介して付着されうる。
例示的なリンカーは、上記いずれかの一又は複数のリンカー成分を含んでもよい。ある実施態様では、リンカーは、以下のADC 式IIにおいて括弧で示す。

ストレッチャー、スペーサー及びアミノ酸ユニットを含むリンカー成分は、例えば米国特許公開第2005-0238649号A1に記載のものなど、当分野で公知の方法によって合成されうる。
【0260】
b.例示的な薬剤部分
(1)メイタンシン及びメイタンシノイド
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは一又は複数のメイタンシノイド分子と結合している本発明の抗体(完全長又は断片)を含んでなる。メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害するように作用する分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離されたものである(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4,137,230号;同4,248,870号;同4,256,746号;同4,260,608号;同4,265,814号;同4,294,757号;同4,307,016号;同4,308,268号;同4,308,269号;同4,309,428号;同4,313,946号;同4,315,929号;同4,317,821号;同4,322,348号;同4,331,598号;同4,361,650号;同4,364,866号;同4,424,219号;同4,450,254号;同4,362,663号;及び同4,371,533号に開示されている。
メイタンシノイド薬剤成分は、(i)発酵又は化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために相対的に利用可能である(ii)抗体に対するジスルフィド及び非ジスルフィドリンカーによる共役に好適な官能基による誘導体化に従う、(iii)血漿中で安定、そして(iv)様々な腫瘍細胞株に対して有効であるため、抗体薬剤コンジュゲートの魅力的な薬剤成分である。
【0261】
メイタンシノイド薬剤部分としての使用に適切なメイタンシン化合物は当分野で周知であり、公知の方法に従って天然の供給源から単離してもよいし、又は遺伝子工学技術及び発酵を用いて産生してもよい(米国特許第6790952号;米国公開特許2005/0170475;Yu等(2002)PNAS 99:7968-7973を参照)。また、マイタンシノール及びマイタンシノール類似体は、公知の方法に従って合成して調製されてもよい。
例示的なメイタンシノイド薬剤部分には、修飾した芳香族環を有するもの、例えば、C-19-デクロロ(米国特許第4256746号)(アンサマイトシンP2のリチウムアルミニウム水素化物の還元によって調製される);C-20-ヒドロキシ(又はC-20-デメチル)+/-C-19-デクロロ(米国特許第4361650号及び同第4307016号)(ストレプトミセス属ないしはアクチノミセス属を用いた脱メチル化又はLAHを用いた脱塩素により調製される);及びC-20-デメトキシ、C-20-アシロキシ(-OCOR)、+/-デクロロ(米国特許第4294757号)(アシル塩化物を用いたアシル化により調製される)、及び他の位置に修飾を有するものが含まれる。
【0262】
また、例示的なメイタンシノイド薬剤部分には、修飾を有するもの、例えば、C-9-SH(米国特許第4424219号)(H_(2)S又はP_(2)S_(5)を有するメイタンシノールの反応により調製される);C-14-アルコキシメチル(デメトキシ/CH_(2)OR)(米国特許第4331598号);C-14-ヒドロキシメチル又はアシロキシメチル(CH_(2)OH又はCH_(2)OAc)(米国特許第4450254号);C-15-ヒドロキシ/アシロキシ(米国特許第4364866号)(ストレプトミセス属によるメイタンシノールの変換によって調製される);C-15-メトキシ(米国特許第4313946号及び同第4315929号)(トレウィア ヌドロフローラ(Trewia nudlflora)より単離);C-18-N-デメチル(米国特許第4362663号及び第4322348号)(ストレプトミセス属によるメイタンシノールの脱メチル化により調製される);及び、4,5-デオキシ(米国特許第4371533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元により調製される)が含まれる。
【0263】
結合の種類に応じて、メイタンシン化合物上の多くの位置は結合位置として有用であることが知られている。例えば、エステル結合を形成するために、水酸基を有するC-3位置、ヒドロキシメチルによって修飾されたC-14位置、水酸基によって修飾されたC-15位置、及び水酸基を有するC-20位置はすべて適する(米国特許第5208020号;US RE39151;米国特許第6913748号;米国特許第7368565号;米国公開特許2006/0167245;米国公開特許2007/0037972)。
メイタンシノイド薬剤成分は、以下の構造を有するものを含む。

ここで、波線は、ADCのリンカーへのメイタンシノイド薬剤成分の硫黄原子の共有結合を示す。Rは、独立してH又はC_(1)-C_(6)アルキルであってもよい。硫黄原子にアミド基を付着しているアルキレン鎖は、メタニル、エタニル又はプロピルであってもよく、すなわち、mは1、2又は3である(米国特許第633410号;米国特許第5208020号;米国特許第7276497第;Chari et al(1992)Cancer Res.52:127-131;Liu et al(1996)Proc.Natl.Acad.Sci USA 93:8618-8623)。
【0264】
メイタンシノイド薬剤成分のすべての立体異性体は、本発明の化合物炭素、すなわちDのキラルの炭素でのRとS配位の任意の組合が考慮される。一実施態様では、メイタンシノイド薬剤成分は、以下の立体化学を有するであろう。

メイタンシノイド薬剤成分の例示的な実施態様には、以下の構造を有するDM1;DM3;及びDM4が含まれる。

ここで、波線は、抗体-薬剤コンジュゲートのリンカー(L)への薬剤の硫黄原子の共有結合を示す。(国際公開第2005/037992号;米国特許公開2005/0276812号A1)。
【0265】
他の例示的メイタンシノイド抗体-薬剤コンジュゲートは以下のような構造と略記号を有している。(ここでAbは抗体であり、pは1?およそ8である。)

【0266】
DM1が抗体のチオール基にBMPEOリンカーにより連結されている例示的な抗体-薬剤コンジュゲートは、以下のような構造及び略記号を有する。

ここで、Abは抗体であり、nは0、1又は2であり、そして、pは1、2、3又は4である。
【0267】
メイタンシノイドを含有するイムノコンジュゲート、その作製方法及びそれらの治療用途は、例えばErickson,et al(2006)Cancer Res.66(8):4426-4433;米国特許第5208020号、同5416064号、米国特許公開第2005/0276812号A1、及び欧州特許第0425235号B1に開示されており、その開示内容は出典を明示してここに援用する。
抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体又はメイタンシノイド分子のいずれの生物学的活性もほとんど低減することなく、メイタンシノイド分子に抗体を化学的に結合させることにより調製される。例えば、米国特許第5208020号(この開示内容は出典明記により特別に組み込まれる)を参照。メイタンシノイドは公知の技術で合成することも、天然源から単離することもできる。適切なメイタンシノイドは、例えば米国特許第5208020号、及び他の特許、及び上述した特許ではない刊行物に開示されており、例えばメイタンシノール、及び種々のメイタンシノールエステル等の、メイタンシノール分子の芳香環又は他の位置が修飾されたメイタンシノール類似体である。
例えば、米国特許第5208020号又は欧州特許第0425235 B1号、Chari等,Cancer Research,52:127-131(1992)、及び米国特許公開第2005/016993号A1(これらの開示内容は出典明記により特別に援用される)に開示されているもの等を含め、抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するために、当該技術で公知の多くの結合基がある。リンカー成分SMCCを含んでなる抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、米国特許公開第2005/0276812号A1,”Antibody-drug conjugates and Methods.”に開示されるように調製されうる。リンカーには、上述した特許に開示されているようなジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチターゼ不安定性基、又はエステラーゼ不安定性基が含まれる。更なるリンカーを本願明細書中に記載し、例示する。
【0268】
抗体とメイタンシノイドとのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。ある実施態様では、カップリング剤は、ジスルフィド結合により提供されるN-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノアート(SPP)又はN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)(Carlsson等,Biochem.J.173:723-737[1978])である。
リンカーは結合の種類に応じて、種々の位置でメイタンシノイド分子に結合し得る。例えば、従来からのカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエステル結合を形成することができる。反応はヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で生じる。一実施態様では、結合はメイタンシノール又はメイタンシノールの類似体のC-3位で形成される。
【0269】
(2)アウリスタチン類及びドラスタチン類
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、ドラスタチン又はドロスタチンペプチジル類似体ないしは誘導体、例えばアウリスタチン(auristatin)(米国特許第5635483号;同第5780588号)にコンジュゲートした抗体を含んでなる。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解及び核と細胞の分割を妨げ(Woyke等(2001)Antimicrob.Agents and Chemother.45(12):3580-3584)、抗癌活性(US 5663149)及び抗真菌性活性(Pettit等(1998)Antimicrob.Agents Chemother.42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬剤成分は、ペプチジル薬剤分子のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端により抗体に接着しうる(国際公開第02/088172号)。
例示的なアウリスタチンの実施態様には、N末端連結モノメチルアウリスタチン薬剤部分DE及びDFが含まれる(米国公開特許2005/0238649、2004年3月28日に公開されたSenter等,Proceedings of the American Association for Cancer Research,Volume 45,Abstract Number 623に開示される。この開示内容は出典明記によってその全体が特別に援用される)。
【0270】
ペプチド性薬剤部分は以下の式D_(E)及びD_(F)から選択されうる。

ここで、D_(E)及びD_(F)の波線は、独立して各々の位置で、抗体又は抗体-リンカー成分への共有結合部位を示す。
R^(2)は、H及びC_(1)-C_(8)アルキルから選択され、
R^(3)は、H、C_(1)-C_(8)アルキル、C_(3)-C_(8)炭素環式化合物、アリール、C_(1)-C_(8)アルキル-アリール、C_(1)-C_(8)アルキル-(C_(3)-C_(8)炭素環式化合物)、C_(3)-C_(8)ヘテロ環及びC_(1)-C_(8)アルキル-(C_(3)-C_(8)ヘテロ環)から選択され、
R^(4)は、H、C_(1)-C_(8)アルキル、C_(3)-C_(8)炭素環式化合物、アリール、C_(1)-C_(8)アルキル-アリール、C_(1)-C_(8)アルキル-(C_(3)-C_(8)炭素環式化合物)、C_(3)-C_(8)ヘテロ環及びC_(1)-C_(8)アルキル-(C_(3)-C_(8)ヘテロ環)から選択され、
R^(5)は、H及びメチルから選択され、
又はR^(4)及びR^(5)は共同で環状炭素を形成し、R^(a)及びR^(b)がH、C_(1)-C_(8)アルキル及びC_(3)-C_(8)炭素環式化合物からそれぞれ選択される式-(CR^(a)R^(b))_(n)-を有し、nは2、3、4、5及び6から選択され、
R^(6)は、H及びC_(1)-C_(8)アルキルから選択され、
R^(7)は、H、C_(1)-C_(8)アルキル、C_(3)-C_(8)炭素環式化合物、アリール、C_(1)-C_(8)アルキル-アリール、C_(1)-C_(8)アルキル-(C_(3)-C_(8)炭素環式化合物)、C_(3)-C_(8)ヘテロ環及びC_(1)-C_(8)アルキル-(C_(3)-C_(8)ヘテロ環)から選択され、
各々のR^(8)は、H、OH、C_(1)-C_(8)アルキル、C_(3)-C_(8)炭素環及びO-(C_(1)-C_(8)アルキル)からそれぞれ選択され、
R^(9)は、H及びC_(1)-C_(8)アルキルから選択され、
R^(10)は、アリール又はC_(3)-C_(8)ヘテロ環から選択され、
ZはO、S、NH、又はR^(12)がC_(1)-C_(8)アルキルであるNR^(12)であり、
R^(11)は、H、C_(1)-C_(20)アルキル、アリール、C_(3)-C_(8)ヘテロ環、-(R^(13)O)_(m)-R^(14)、又は-(R^(13)O)_(m)-CH(R^(15))_(2)から選択され、
mは、1?1000の範囲の整数であり、
R^(13)はC_(2)-C_(8)アルキルであり、
R^(14)は、H又はC_(1)-C_(8)アルキルであり、
各々のR^(15)の発生は、独立してH、COOH、-(CH_(2))_(n)-N(R^(16))_(2)、-(CH2)_(n)-SO_(3)H、又は-(CH_(2))_(n)-SO_(3)-C_(1)-C_(8)アルキルであり、
各々のR^(16)の発生は、独立してH、C_(1)-C_(8)アルキル、又は-(CH_(2))_(n)-COOHであり、
R^(18)は、-C(R^(8))_(2)-C(R^(8))_(2)-アリール、-C(R^(8))_(2)-C(R^(8))_(2)(C_(3)-C_(8)ヘテロ環)、及び-C(R^(8))_(2)-C(R^(8))_(2)(C_(3)-C_(8)炭素環式化合物)から選択され、そして、nは0から6の範囲の整数である。
【0271】
一実施態様では、R^(3)、R^(4)及びR^(7)は、それぞれイソプロピル又はsec-ブチルであり、R^(5)は-H又はメチルである。ある例示的な実施態様では、R^(3)及びR^(4)は各々イソプロピルであり、R^(5)は-Hであり、そしてR^(7)はsec-ブチルである。
さらに他の実施態様では、R^(2)及びR^(6)はそれぞれメチルであり、R^(9)は-Hである。
さらに他の実施態様では、各々のR^(8)の発生は-OCH_(3)である。
例示的な実施態様では、R^(3)及びR^(4)は各々イソプロピルであり、R^(2)及びR^(6)はそれぞれメチルであり、R^(5)は-Hであり、R^(7)はsec-ブチルであり、各々のR^(8)の発生は-OCH_(3)であり、そしてR^(9)は-Hである。
-実施態様では、Zは-O-又は-NH-である。
一実施態様では、R^(10)はアリールである。
ある例示的な実施態様では、R^(10)は-フェニールである。
ある例示的な実施態様では、Zが-O-の場合、R^(11)は-H、メチル又はt-ブチルである。
一実施態様では、Zが-NHである場合に、R^(11)は-CH(R^(15))_(2)である。このR^(15)は-(CH_(2))_(n)-N(R^(16))_(2)であり、R^(16)は-C_(1)-C_(8)アルキル又は-(CH_(2))_(n)-COOHである。
他の実施態様では、Zが-NHである場合に、R^(11)は-CH(R^(15))_(2)である。このR^(15)は-(CH_(2))_(n)-SO_(3)Hである。
【0272】
式D_(E)の例示的なアウリスタチンの実施態様はMMAEである。ここで、波線は抗体-薬剤コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す。

式D_(F)の例示的なアウリスタチンの実施態様はMMAFである。ここで、波線は抗体-薬剤コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す(米国特許公開第2005/0238649号及びDoronina等(2006)Bioconjugate Chem.17:114-124)を参照)。

【0273】
他の例示的な実施態様には、ペンタペプチドアウリスタチン薬剤成分のC末端にフェニルアラニンカルボキシ修飾を有するモノメチルバリン化合物(国際公開2007/008848)及びペンタペプチドアウリスタチン薬剤成分のC末端にフェニルアラニン側鎖修飾を有するモノメチルバリン化合物(国際公開2007/008603)が含まれる。
他の薬剤部分には以下のMMAF誘導体が含まれる。ここで、波線は抗体-薬剤コンジュゲートのリンカー(L)への共有結合を示す。


【0274】
一態様では、限定するものではないが、上記のようなトリエチレングリコールエステル(TEG)を含む親水基はR^(11)で薬剤部分に結合することができる。ある特定の理論に縛られるものではないが、親水基は薬剤部分の内在化及び非凝集に存在する。
アウリスタチン/ドラスタチン又はその誘導体を含む式IのADCの例示的な実施態様は、米国特許公開第2005-0238649号A1及びDoronina等(2006)Bioconjugate Chem.17:114-124に記載されており、これは出典明記によってここに明確に援用される。MMAE又はMMAFと様々なリンカー成分を含む式IのADCの例示的な実施態様は、以下の構造及び略記号を有する(ここで、「Ab」は抗体であり、pは1?およそ8であり、「Val-Cit」はバリン-シトルリンジペプチドであり、そして「S」は硫黄原子である。本明細書中の硫黄結合ADCのある構造説明では、単に硫黄結合の特徴を表し、特定の硫黄原子が複数のリンカー-薬剤成分を有することを表さないために、抗体を「Ab-S」と表すことを理解するであろう。また、以下の構造の左の括弧は、AbとSの間の硫黄原子の左に配置されてもよく、本明細書中全体にわたって記載される本発明のADCの同等の記載である。

【0275】
さらに、MMAFと様々なリンカー成分を含む式IのADCの例示的な実施態様には、Ab-MC-PAB-MMAF及びAb-PAB-MMAFが含まれる。興味深いことに、タンパク質分解性の切断を受けないリンカーによって抗体に結合しているMMAFを含むイムノコンジュゲートは、タンパク質分解で切断可能なリンカーによって抗体に結合しているMMAFを含むイムノコンジュゲートに比べて活性を有することが示されている。Doronina等(2006)Bioconjugate Chem.17:114-124を参照。このような場合、薬剤放出は細胞内の抗体分解に影響を受けると思われる。同上。
一般的に、ペプチドベースの薬剤部分は、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片間でペプチド結合を形成することによって調製されうる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野において周知の液相合成方法に従って調製することができる(E.Schroder and K.Lubke,”The Peptides”,volume 1,pp 76-136,1965,Academic Pressを参照)。アウリスタチン/ドラスタチン薬剤部分は、米国特許公開第2005-0238649号A1;米国特許公開第5635483号;米国特許第5780588号;Pettit等(1989)J.Am.Chem.Soc.111:5463-5465;Pettit等(1998)Anti-Cancer Drug Design 13:243-277;Pettit,G.R.,等Synthesis,1996,719-725;及びPettit等(1996)J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 5:859-863;及びDoronina(2003)Nat.Biotechnol.21(7):778-784の方法に従って調製されうる。
特に、式D_(F)のアウリスタチン/ドラスタチン薬剤部分、例えばMMAF及びその誘導体は、米国特許公開第2005-0238649号A1及びDoronina等(2006)Bioconjugate Chem.17:114-124に記載の方法を用いて調製されうる。式DEのアウリスタチン/ドラスタチン薬剤部分、例えばMMAE及びその誘導体は、Doronina等(2003)Nat.Biotech.21:778-784に記載の方法を用いて調製されうる。薬剤-リンカー部分であるMC-MMAF、MC-MMAE、MC-vc-PAB-MMAF、及びMC-vc-PAB-MMAEは、例えばDoronina等(2003)Nat.Biotech.21:778-784、及び米国特許公開第2005/0238649号A1に記載のような常套的な方法によって都合よく合成され、その後対象の抗体にコンジュゲートされてもよい。
【0276】
(3)カリケアマイシン
他の実施態様では、イムノコンジュゲートは、一又は複数のカリケアマイシン分子にコンジュゲートした抗体を含んでなる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはサブ-ピコモルの濃度で二重鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同5714586号、同5739116号、同5767285号、同5770701号、同5770710号、同5773001号、同5877296号(全て、American Cyanamid Company)を参照のこと。使用可能なカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないが、γ_(1)^(I)、α_(2)^(I)、α_(3)^(I)、N-アセチル-γ_(1)^(I)、PSAG及びθ^(I)_(1)(Hinman等,Cancer Research,53:3336-3342(1993)、Lode等Cancer Research,58:2925-2928(1998)及び上述したAmerican Cyanamidの米国特許)が含まれる。抗体がコンジュゲート可能な他の抗腫瘍剤は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAは双方共、細胞内に作用部位を有し、原形質膜を容易に通過しない。よって抗体媒介性インターナリゼーションによるこれらの薬剤の細胞への取込により、細胞障害効果が大きく向上する。
【0277】
c.他の細胞障害性剤
抗体と結合可能な他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン及び5-フルオロウラシル、米国特許第5053394号、同第5770710号に記載されており、集合的にLL-E33288複合体として公知の薬剤のファミリー、並びにエスペラマイシン(esperamicine)(米国特許第5877296号)が含まれる。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
【0278】
本発明は、抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えばリボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼ)との間に形成されるイムノコンジュゲートをさらに考察する。
ある実施態様では、イムノコンジュゲートは高い放射性を有する原子を含有してよい。放射性コンジュゲートした抗体を生成するために、種々の放射性同位体が利用される。例には、At^(211)、I^(131)、I^(125)、Y^(90)、Re^(186)、Re^(188)、Sm^(153)、Bi^(212)、P^(32)、Pb^(212)及びLuの放射性同位体が含まれる。イムノコンジュゲートが検出に使用される場合、それはシンチグラフィー研究用の放射性原子、例えばtc^(99m)又はI^(123)、又は核磁気共鳴(NMR)映像(磁気共鳴映像、mriとしても公知)用のスピン標識、例えばヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含有し得る。
【0279】
放射-又は他の標識が、公知の方法でイムノコンジュゲートに導入される。例えば、ペプチドは生物合成されるか、又は水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を使用する化学的なアミノ酸合成により合成される。標識、例えばtc^(99m)又はI^(123)、Re^(186)、Re^(188)及びIn^(111)は、ペプチドのシステイン残基を介して結合可能である。イットリウム-90はリジン残基を介して結合可能である。IODOGEN法(Fraker等(1978)Biochem.Biophys.Res.Commun.80:49-57)は、ヨウ素-123の導入に使用することができる。他の方法の詳細は、「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal,CRC Press 1989)に記載されている。
【0280】
ある実施態様では、イムノコンジュゲートは、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開81/01145を参照)を抗癌剤などの活性な薬剤へ変換するプロドラッグ活性化酵素へコンジュゲートした抗体を含みうる。このようなイムノコンジュゲートは抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ療法(「ADEPT」)に有用である。抗体にコンジュゲートされうる酵素には、限定するものではないが、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの変換に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なノイラミニダーゼ及びβ-ガラクトシダーゼ;β-ラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変換させるのに有用なβ-ラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。酵素が、当分野で周知の組み換えDNA技術によって抗体に共有結合されてもよい。例として、Neuberger等,Nature 312:604-608(1984)を参照。
【0281】
d.薬剤ローディング(負荷、Drug Loading)
薬剤ローディングは、式Iの分子において、抗体当たりの薬剤部分の平均数であるpによって表される。薬剤ローディングは抗体当たり1?20の薬剤部分(D)の範囲であってもよい。式IのADCには、1から20の薬剤部分の範囲でコンジュゲートされる抗体の集まりが含まれる。コンジュゲート反応からのADCの調製において抗体当たりの薬剤部分の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ及びHPLCなどの従来の方法によって特徴付けられうる。pに関するADCの定量的分布も決定されうる。いくつかの場合では、pが他の薬剤ローディングを有するADCの一定の値である場合の均質なADCの分離、精製及び特徴づけは、逆相HPLC又は電気泳動などの手段によって達成されうる。ゆえに、式I抗体-薬剤コンジュゲートの薬学的製剤は、1、2、3、4又はそれ以上の薬剤成分に結合した抗体とのコンジュゲートの異種性混合物であってもよい。
ある抗体-薬剤コンジュゲートでは、pは抗体上の結合部位の数によって限定されうる。例えば、結合がシステインチオールである場合、上記の例示的な実施態様のように、抗体はたった1つ又は複数のシステインチオール基を有してもよいし、結合しうるリンカーによってたった1つ又は複数の十分に活性なチオール基を有してもよい。ある実施態様では、薬剤ローディングが高いと、例えばp>5であると、特定の抗体-薬剤コンジュゲートの凝集、難溶性、毒性又は細胞透過性の喪失が起こりうる。ある実施態様では、本発明のADCの薬剤ローディングは、1?およそ8の範囲、およそ2?およそ6、又は、およそ3?およそ5の範囲である。実際、あるADCでは、抗体当たりの薬剤部分の適切な比は、8未満であってもよいし、およそ2?およそ5であってもよい。米国特許公開第2005-0238649号A1を参照。
【0282】
ある実施態様では、理論的な最大よりも少ない薬剤部分がコンジュゲート反応の間に抗体にコンジュゲートされる。抗体は、例えば、以下に検討するように、薬剤-リンカー中間体又はリンカー試薬と反応しないリジン残基を含みうる。一般に、抗体は薬剤部分に結合しうる多くの遊離した反応性のシステインチオール基を含まず、実際、抗体のほとんどのシステインチオール残基はジスルフィド架橋として存在する。ある実施態様では、抗体は、反応性のシステインチオール基を生成するために、部分的ないしは完全に還元な条件下で、ジチオトレイトール(DTT)又はトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)などの還元剤により還元されうる。ある実施態様では、抗体は変性条件下に曝されるとリジンやシステインなどの反応性の求核基を現す。
ADCのローディング(薬剤/抗体比率)は、例えば、(i)抗体に対して薬剤-リンカー中間体又はリンカー試薬のモル過剰量を限定する、(ii)コンジュゲートの反応時間又は温度を限定する、及び(iii)システインチオール修飾のための還元条件を限定することによるなど、異なる方法で制御しうる。
【0283】
1以上の求核基が薬剤部分試薬が続くリンカー試薬又は薬剤-リンカー中間体と反応する場合、その結果生じる生成物は、抗体に結合した一又は複数の薬剤部分を有するADC化合物の混合物であると考えられる。抗体当たりの薬剤の平均数は、抗体特異的かつ薬剤特異的である二重ELISAアッセイによって混合物から算出されうる。個々のADC分子は、質量分析によって混合物中で識別され、HPLC、例えば疎水性相互作用クロマトグラフィによって分離されうる(例としてMcDonagh等(2006)Prot.Engr.Design & Selection 19(7):299-307;Hamblett et al(2004)Clin.Cancer Res.10:7063-7070;Hamblett,K.J.,等”Effect of drug loading on the pharmacology,pharmacokinetics,and toxicity of an anti-CD30 antibody-drug conjugate,”Abstract No.624,American Association for Cancer Research,2004 Annual Meeting,March 27-31,2004,Proceedings of the AACR,Volume 45,March 2004;Alley,S.C.,等”Controlling the location of drug attachment in antibody-drug conjugates,”Abstract No.627,American Association for Cancer Research,2004 Annual Meeting,March 27-31,2004,Proceedings of the AACR,Volume 45,March 2004を参照)。ある実施態様では、単一のローディング値をもつ均質なADCは、電気泳動又はクロマトグラフィによってコンジュゲート混合物から単離してもよい。
【0284】
e.イムノコンジュゲートの調製方法
式IのADCは、当業者に公知の有機化学的反応、条件及び試薬を用いた様々な手段、例えば、(1)共有結合によってAb-Lを形成するための二価のリンカーと抗体の求核基との反応とその後の薬剤部分Dとの反応、及び(2)共有結合によってD-Lを形成するための二価のリンカーと薬剤部分の求核基との反応とその後の抗体の求核基との反応などによって調製されてもよい。後者の手段による式IのADCを調製するための例示的な方法は米国特許公開第2005-0238649号A1に記載されており、出典明記によって本明細書中に明確に援用される。
抗体の求核基には、限定するものではないが、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例えばリジン、(iii)側鎖チオール基、例えばシステイン、及び(iv)抗体がグリコシル化される糖水酸基又はアミノ基が含まれる。アミン、チオール及び水酸基は、求核であり、反応して、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子性基により共有結合を形成することができる。このリンカー部分及びリンカー試薬には、(i)活性エステル類、例えばNHSエステル類、HOBtエステル類、ハロギ酸類及び酸ハロゲン化物;(ii)アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド類;(iii)アルデヒド類、ケトン類、カルボキシル及びマレイミド基、が含まれる。特定の抗体は、還元しうる鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、抗体が完全ないしは部分的に還元されるように、還元剤、例えばDTT(ジチオトレイトール)又はトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)による処置によって、リンカー試薬を用いたコンジュゲート反応を行ってもよい。ゆえに、各々のシステイン架橋は、理論的には、2つの反応性のチオール求核基を形成する。リジン残基の修飾によって、例えば、チオールにアミンを転換させる2-イミノチオラン(トラウトの試薬)を用いてリジンを反応させることによって、抗体に付加的な求核基を導入することができる。反応性のチオール基は、1、2、3、4又はそれ以上のシステイン残基を導入する(例えば、一又は複数の非天然のシステインアミノ酸残基を含んでなる変異体抗体を調製する)ことによって抗体に導入されてもよい。
【0285】
また、本発明の抗体-薬剤コンジュゲートは、アルデヒドないしはケトンカルボニル基などの抗体上の求電子性基とリンカー試薬や薬剤上の求核基との間の反応によって生成してもよい。リンカー試薬上の有用な求核基には、限定するものではないが、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート及びアリールヒドラジドが含まれる。一実施態様では、抗体を修飾して、リンカー試薬又は薬剤上の求核置換基と反応させることができる求電子性の部分を導入する。他の実施態様では、グリコシル化された抗体の糖質を、例えば過ヨウ素酸塩酸化剤を用いて酸化して、リンカー試薬又は薬剤部分のアミン基と反応しうるアルデヒド又はケトン基を形成させてもよい。生じたイミンシッフ塩基群が安定結合を形成するか、又は例えば安定アミン結合を形成させるホウ化水素試薬によって、還元してもよい。一実施態様では、ガラクトースオキシダーゼ又はナトリウムメタ過ヨウ素酸塩の何れかによるグリコシル化抗体の炭水化物部分の反応により、薬剤(Hermanson,Bioconjugate Techniques)上の適当な基と反応することができる抗体のカルボニル(アルデヒド及びケトン)基が生じうる。他の実施態様では、N末端セリン又はスレオニン残基を含む抗体はナトリウムメタ過ヨウ素酸塩と反応して、第一のアミノ酸の代わりにアルデヒドを生成する(Geoghegan & Stroh,(1992)Bioconjugate Chem.3:138-146;US 5362852)。このようなアルデヒドは、薬剤部分又はリンカー求核基と反応することができる。
薬剤部分上の求核基には、限定するものではないが、反応して、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子性の基と共有結合することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸エステル及びアリールヒドラジド基が含まれる。このリンカー部分及びリンカー試薬には、(i)活性エステル類、例えばNHSエステル類、HOBtエステル類、ハロギ酸類及び酸ハロゲン化物;(ii)アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド類;(iii)アルデヒド類、ケトン類、カルボキシル及びマレイミド基、が含まれる。
【0286】
本発明の化合物は、限定するものではないが、以下の架橋剤:市販されている(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aより)BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)にて調製したADCが特に考えられる。2003-2004 Applications Handbook and Catalogの467-498頁を参照。
また、抗体と細胞障害性剤のイムノコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等,Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照されたい。
【0287】
別法として、抗体と細胞障害性剤を含有する融合タンパク質は、例えば組換え技術又はペプチド合成により作製される。組み換えDNA分子は、コンジュゲートの所望する特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により離間しているか、又は互いに隣接しているコンジュゲートの抗体と細胞障害性の部分をコードする領域を含みうる。
さらに他の実施態様では、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートし、ここで抗体-レセプターコンジュゲートを患者に投与し、続いて清澄剤を使用して循環から非結合コンジュゲートを除去し、細胞障害性剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートする「リガンド」(例えばアビジン)を投与してもよい。
【0288】
例示的なイムノコンジュゲート-Thio-抗体薬剤コンジュゲート
a.システイン改変抗CD79b抗体の調製
本発明のシステイン改変抗CD79b抗体及び親抗CD79b抗体のアミノ酸配列変異体をコードするDNAは、限定するものではないが、(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合には)天然源からの単離、予め調製したポリペプチドをコードするDNAの、部位特異的(又はオリゴヌクレオチド媒介性)突然変異誘発(Carter(1985)等Nucleic Acids Res.13:4431-4443;Ho等(1989)Gene(Amst.)77:51-59;Kunkel等(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488;Liu等(1998)J.Biol.Chem.273:20252-20260)、PCR突然変異誘発(Higuchi,(1990)in PCR Protocols,pp.177-183,Academic Press;Ito等(1991)Gene 102:67-70;Bernhard等(1994)Bioconjugate Chem.5:126-132;及びVallette等(1989)Nuc.Acids Res.17:723-733)、及びカセット突然変異誘発(Wells等(1985)Gene 34:315-323)を含む、様々な方法によって調製される。QuikChange(登録商標)多部位-特異的突然変異誘発キット(Stratagene,La Jolla,CA)などの、突然変異誘発プロトコール、キット及び試薬は市販されている。また、PCRベースの突然変異誘発によって鋳型として二本鎖プラスミドDNAを用いたオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発によって、単一突然変異が生成される(Sambrook and Russel,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition;Zoller等(1983)Methods Enzymol.100:468-500;Zoller,M.J.and Smith,M.(1982)Nucl.Acids Res.10:6487-6500)。組み換え抗体の変異体も、制限酵素断片操作又は合成オリゴヌクレオチドによるオーバーラップ伸展PCRによって構築してもよい。突然変異誘発プライマーはシステインコドン置換(一又は複数)をコードする。標準的な突然変異誘発技術を用いて、このような変異体システイン改変抗体をコードするDNAを生成することができる(Sambrook等Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;及びAusubel等Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York,N.Y.,1993)。
【0289】
ファージディスプレイ技術(McCafferty等(1990)Nature 348:552-553)を使用して、非免疫化ドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロで抗CD79bヒト抗体及び抗体断片を産出させることができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子を、繊維状バクテリオファージ、例えばM13又はfdの主要又は微量コートタンパク質遺伝子のどちらかをフレーム内にクローン化し、ファージ粒子の表面で機能的抗体断片として表示させる。繊維状粒子がファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選別を行ってもそれらの性質を表す抗体をコードする遺伝子が選別される。ゆえに、ファージはB細胞の性質のいくつかを模倣する(Johnson等(1993)Current Opinion in Structural Biology 3:564-571;Clackson等(1991)Nature,352:624-628;Marks等(1991)J.Mol.Biol.222:581-597;Griffith等(1993)EMBO J.12:725-734;米国特許第5565332号;米国特許第5573905号;米国特許第5567610号;米国特許第5229275号)。
抗CD79b抗体は、公知のオリゴペプチド合成法を使用して化学的に合成されてもよいし、組み換え技術を用いて調製して精製されてもよい。適切なアミノ酸配列、又はその一部を、固相法技術を用いた直接的なペプチド合成によって生成してもよい(Stewart等,Solid-Phase Peptide Synthesis,(1969)W.H.Freeman Co.,San Francisco,CA;Merrifield,(1963)J.Am.Chem.Soc.,85:2149-2154)。インビトロタンパク質合成は、手動の技術又は自動化によって実行されてもよい。例えば、t-BOC又はFmoc保護アミノ酸を使用して、そして製造業者の指示を用いたアプライドバイオシステムペプチド合成機(Foster City,CA)を用いて、自動固相合成法を行ってもよい。抗CD79b抗体又はCD79bポリペプチドの様々な部分は、別々に化学的に合成されて、化学的又は酵素的な方法を用いて組み合わせ、所望の抗CD79b抗体又はCD79bポリペプチドを生産させてもよい。
【0290】
抗体断片の産生のために様々な技術が開発されている。以前から、これらの断片はインタクトな抗体の蛋白分解によって生じるか(Morimoto等(1992)Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;及びBrennan等(1985)Science,229:81)、又は組換え宿主細胞によって直接生産された。Fab、Fv及びScFv抗CD79b抗体断片はすべて、大腸菌において発現され、大腸菌から分泌されるため、大量の断片を容易に生成することができる。抗体断片は、本明細書において述べられる抗体ファージライブラリから単離してもよい。あるいは、Fab’-SH断片は、大腸菌から直接回収して、化学的にカップリングしてF(ab’)_(2)断片を形成させてるか(Carter等(1992)Bio/Technology 10:163-167)、又は組換え宿主細胞培養物から直接単離されうる。抗CD79b抗体は(scFv)単鎖Fv断片であってもよい(国際公開第93/16185号;米国特許第5571894号;米国特許第5587458号)。また、抗CD79b抗体断片は「直鎖状抗体」であってもよい(米国特許第5641870号)。このような線形抗体断片は、単一特異性でも二重特異性でもよい。
以下の記載は主に、抗CD79b抗体をコードする核酸を含むベクターにて形質転換した又は該ベクターを形質移入した細胞を培養することによる、抗CD79b抗体の産生に関する。抗CD79b抗体をコードするDNAは、抗CD79b抗体のmRNAを有し、検出可能なレベルに発現すると思われる組織から調製したcDNAライブラリから得てもよい。したがって、ヒト抗CD79b抗体ないしCD79bポリペプチドDNAは、ヒト組織から調製したcDNAライブラリから従来通りに得ることができる。また、抗CD79b抗体コード遺伝子は、ゲノムライブラリから得るか、又は公知の合成手順(例えば自動核酸合成)によって得てもよい。
【0291】
本発明の設定、選別及び調製方法により、求電子性の官能性と反応するシステイン改変抗CD79b抗体が可能である。これらの方法によりさらに、所定の設定した選択した部位に薬剤分子を有する抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)化合物などの抗体複合体化合物が可能である。抗体表面上の反応性のシステイン残基により、マレイミド又はハロアセチルなどのチオール反応基を介した薬剤成分の特異的なコンジュゲートが可能である。マレイミド基に対するCys残基のチオール官能基の求核反応性は、リジン残基のアミノ基又はN-末端アミノ基などのタンパク質内の任意の他のアミノ酸官能性の、およそ1000倍である。ヨードアセチル及びマレイミド試薬のチオール特異的官能性はアミン基と反応するが、より高いpH(>9.0)とより長い反応時間が必要である(Garman,1997,Non-Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London)。タンパク質内の遊離チオールの量は、標準的なエルマンのアッセイによって推定されてもよい。免疫グロブリンMはジスルフィド結合五量体の例であるのに対し、免疫グロブリンGは、サブユニットを一緒に結合している内部ジスルフィド架橋を有するタンパク質の例である。このタンパク質では、ジチオトレイトール(DTT)又はselenol(Singh等(2002)Anal.Biochem.304:147-156)などの試薬によるジスルフィド結合の還元は、反応性の遊離チオールを生成するために必要である。この手法により、抗体立体構造及び抗原結合特異性が失われうる。
【0292】
Pheselector(反応性チオールの選別のためのファージELISA)アッセイにより、ELISAファージ様式での抗体の反応性システイン基の検出が可能であり、これによってシステイン改変抗体の設定の助けとなる(Junutula,J.R.et al.(2008)J Immunol Methods 332:41-52;国際公開2006/034488;国際公開2007/0092940)。システイン改変抗体をウェルの表面にコートし、ファージ粒子とインキュベートして、HRP標識した二次抗体を添加して、吸光度を検出する。ファージにディスプレイされる変異タンパク質は、迅速で、強力な、ハイ-スループット方法でスクリーニングされうる。システイン改変抗体のライブラリを生成して同じ手法を用いて結合選別を行い、抗体又は他のタンパク質のランダムなタンパク質-ファージライブラリから遊離Cys取込みの反応性の部位を適切に同定することができる。この技術は、ファージにディスプレイされるシステイン変異タンパク質を、チオール反応性でもあるレポーターグループ又は親和性試薬と反応させることを含む。
PHESELECTORアッセイにより、抗体の反応性のチオール基のスクリーニングが可能である。この方法によるA121C変異の同定は一例である。完全なFab分子は、反応性チオール基を有するThioFab変異体をより多く同定するために、効果的に検索されうる。パラメーターである断片的な表面のアクセス容易性を用いて、ポリペプチド内のアミノ酸残基に対する溶媒のアクセスしやすさを同定して、定量化した。表面のアクセス容易性は、溶媒分子、例えば水が接触することができる表面積(Å^(2))として表されうる。水が占める面積は1.4Å半径球として概算される。アルゴリズムを用いて公知のX線結晶学由来の座標によりタンパク質の各アミノ酸の表面アクセス容易性を算出する結晶学プログラムのCCP4 Suiteとして(”The CCP4 Suite:Programs for Protein Crystallography”(1994)Acta.Cryst.D50:760-763)、ソフトウェアは入手自由であるか許可されている(Secretary to CCP4,Daresbury Laboratory,Warrington,WA4 4AD,United Kingdom,Fax:(+44)1925 603825,or by internet:www.ccp4.ac.uk/dist/html/INDEX.html)。B.Lee and F.M.Richards(1971)J.Mol.Biol.55:379-400のアルゴリズムに基づいて、表面アクセス容易性の算出を実行する2つの例示的なソフトウェアモジュールは、「AREAIMOL」及び「SURFACE」である。 AREAIMOLは、タンパク質のヴァンデルワールス表面を転がるので、プローブ球(溶媒分子を表す)の中心の座標としてタンパク質の溶媒にアクセスする表面を定義する。AREAIMOLは、各原子の周りの拡がった球上(原子とプローブの半径の合計に等しい原子中心からの距離)に表面ポイントを生成して、周囲の原子と関連する同等の球内にあるものを除くことによって溶媒にアクセス容易な表面を算出する。AREAIMOLは、PDB座標ファイルに原子の溶媒にアクセス容易な領域を見つけ、残基、鎖、及び全分子がアクセス容易な領域をまとめる。個々の原子がアクセス容易な領域(又は、領域の相違)は、偽PDB出力ファイルに書き込まれる。AREAIMOLは各エレメントについて単一の半径を仮定し、限られた数の異なるエレメントを認識するのみである。
【0293】
AREAIMOL及びSURFACEは、絶対的なアクセス容易性、すなわち正方形のオングストローム(Å)の数を示す。部分的な表面アクセス容易性は、ポリペプチド内のアミノ酸に関する標準の状態を参照することで算出される。基準状態はトリペプチドGly-X-Glyであり、ここで、Xは対象のアミノ酸であり、基準状態は「伸展した」高次構造、すなわちβ鎖内の高次構造様でなければならない。伸展した高次構造はXのアクセス容易性を最大にする。算出したアクセス容易な領域をGly-X-Glyトリペプチド基準状態のアクセス容易な領域で割って、比率を比率を示す。これが部分的なアクセス容易性となる。アクセス容易性の割合は、100を乗じた部分的アクセス容易性である。表面アクセス容易性を算出するための他の例示的なアルゴリズムは、ポリペプチドのX線座標に基づいて水球体に対するアミノ酸残基の部分的アクセス容易性を算出するプログラムxsae(Broger,C.,F.Hoffman-LaRoche,Basel)のSOLVモジュールに基づく。抗体のすべてのアミノ酸の部分的表面アクセス容易性は、利用できる結晶構造情報を使用して算出されてもよい(Eigenbrot等(1993)J Mol Biol.229:969-995)。
システイン改変抗体をコードするDNAを容易に単離し、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)配列決定される。ハイブリドーマ細胞はこのようなDNAの供与源として役立つ。単離した後、DNAを発現ベクターに入れ、ついでそれを、大腸菌、サルのCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は他の哺乳動物の宿主細胞、例えば抗体タンパク質を産生しない骨髄腫細胞(米国特許第5807715号;米国公開特許第2005/0048572号;米国公開特許第2004/0229310)などの宿主細胞に形質移入して、組み換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成を得てもよい。
【0294】
設定及び選別の後、改変された、非常に反応性のある対になっていないCys残基「遊離システインアミノ酸」を有するシステイン改変抗体、例えばThioFabが、(i)細菌、例えば大腸菌システム(Skerra等(1993)Curr.Opinion in Immunol.5:256-262;Pluckthun(1992)Immunol.Revs.130:151-188)又は哺乳類の細胞培養システム(国際公開第01/00245号)、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)における発現、及び(ii)一般的なタンパク質精製技術を用いた精製(Lowman等(1991)J.Biol.Chem.266(17):10982-10988)によって産生されてもよい。
改変されたCysチオール基は、求電子性リンカー試薬及び薬剤-リンカー中間生成物と反応して、システイン改変抗体薬剤コンジュゲート及び他の標識したシステイン改変抗体を形成する。親抗体に存在し、鎖内及び鎖間のジスルフィド結合を形成するシステイン改変抗体Cys残基は、反応性チオール基を全く持っておらず(還元剤で処理されない限り)、求電子性のリンカー試薬又は薬剤-リンカー中間生成物と反応しない。新規に改変されたCys残基は対形成せずに、反応することができる。すなわち求電子性のリンカー試薬又は薬剤-マレイミドなどの薬剤-リンカー中間生成物にコンジュゲートすることができる。例示的な薬剤-リンカー中間生成物には、MC-MMAE、MC-MMAF、MC-vc-PAB-MMAE及びMC-vc-PAB-MMAFが含まれる。重鎖及び軽鎖の改変したCys残基の構造位置は連続する番号付けシステムに従って番号付けする。この連続する番号付けシステムは、N末端から始まるカバット番号付けシステム(Kabat等,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD)に関連しており、a、b、cで示す挿入がカバット番号付けスキーム(下列)とは異なる。カバット番号付けシステムを用いると、実際の直鎖のアミノ酸配列は、可変ドメインのFRないしCDRが短くなっているアミノ酸か、又はFRないしCDRに挿入を含むアミノ酸を含みうる。システイン改変重鎖変異体部位は連続する番号付け及びカバット番号付けスキームによって同定される。
【0295】
一実施態様では、システイン改変抗CD79b抗体は、
(a)システインによって親抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基を置換する、そして、
(b)チオール反応性の試薬とシステイン改変抗体を反応させることによって、システイン改変抗CD79b抗体のチオール反応性を決定する
ことを含む方法によって調製される。
システイン改変抗体は親抗体よりチオール反応性の試薬との反応性が高くてもよい。
遊離システインアミノ酸残基は、重鎖ないし軽鎖、又は定常ドメインないし可変ドメインに位置してもよい。また、抗体断片、例えばFabは、抗体断片のアミノ酸を置換する一又は複数のシステインアミノ酸によって改変して、システイン改変抗体断片を形成してもよい。
本発明の他の実施態様は、
(a)一又は複数のシステインアミノ酸を親抗CD79b抗体に導入して、システイン改変抗CD79b抗体を生成する、そして、
(b)チオール反応性の試薬によりシステイン改変抗体のチオール反応性を決定する
ことを含み、
このとき、システイン改変抗体は親抗体よりもチオール反応性の試薬と反応性が高いものである、システイン改変抗CD79b抗体を調製する(作製する)方法を提供する。
【0296】
システイン改変抗体を調製する方法の工程(a)は、
(i)システイン改変抗体をコードする核酸配列を突然変異誘発する、
(ii)システイン改変抗体を発現させる、そして、
(iii)システイン改変抗体を単離して、精製する
ことを含む。
システイン改変抗体を調製する方法の工程(b)は、ファージ又はファジミド粒子から選択されるウイルス粒子上にシステイン改変抗体を発現させることを含んでもよい。
また、システイン改変抗体を調製する方法の工程(b)は、
(i)システイン改変抗体をチオール反応性の親和性試薬と反応させ、親和性標識した、システイン改変抗体を生成させる、そして、
(ii)親和性標識したシステイン改変抗体のキャプチャ培地への結合を測定する
ことを含んでもよい。
本発明の他の実施態様は、
(a)親抗体に一又は複数のシステインアミノ酸を導入して、システイン改変抗体を生成する、
(b)システイン改変抗体をチオール反応性の親和性試薬と反応させ、親和性標識した、システイン改変抗体を生成させる、そして、
(c)親和性標識したシステイン改変抗体のキャプチャ培地への結合を測定する、そして、
(d)チオール反応性の試薬によりシステイン改変抗体のチオール反応性を決定する
ことを含む、チオール反応のために高い反応性を有し、対形成をしないシステインアミノ酸を有するシステイン改変抗体をスクリーニングする方法である。
【0297】
システイン改変抗体をスクリーニングする方法の工程(a)は、
(i)システイン改変抗体をコードする核酸配列を突然変異誘発する、
(ii)システイン改変抗体を発現させる、そして、
(iii)システイン改変抗体を単離して、精製する
ことを含んでもよい。
システイン改変抗体をスクリーニングする方法の工程(b)は、ファージ又はファジミド粒子から選択されるウイルス粒子上にシステイン改変抗体を発現させることを含んでもよい。
また、システイン改変抗体をスクリーニングする方法の工程(b)は、
(i)システイン改変抗体をチオール反応性の親和性試薬と反応させ、親和性標識した、システイン改変抗体を生成させる、そして、
(ii)親和性標識したシステイン改変抗体のキャプチャ培地への結合を測定する
ことを含んでもよい。
【0298】
b.抗CD79b IgG変異体のシステイン改変
システインは、本明細書中に記載のシステイン改変方法によって、完全長、キメラ親モノクローナル抗CD79b抗体内の重鎖118(EU番号付け)(重鎖位置118に等しい、連続番号付け)、又は完全長、キメラ親モノクローナル抗CD79b抗体内の軽鎖205(カバット番号付け)(軽鎖位置209に等しい、連続番号付け)に導入された。
生成された重鎖118(EU番号付け)にシステインを有するシステイン改変抗体は、(a)重鎖配列(配列番号:228)及び軽鎖配列(配列番号:229)を有する、thio-MA79b.v17-HC(A118C)、図24;(b)重鎖配列(配列番号:230)及び軽鎖配列(配列番号:231)を有する、thio-MA79b.v18-HC(A118C)、図25;(c)重鎖配列(配列番号:232)及び軽鎖配列(配列番号:233)を有する、thio-MA79b.v28-HC(A118C)、図26;(d)重鎖配列(配列番号:236)及び軽鎖配列(配列番号:237)を有する、thio-MA79b-HC(A118C)、図28;及び(e)重鎖配列(配列番号:244)及び軽鎖配列(配列番号:245)を有する、thio-抗cynoCD79b-HC(A118C)、図48であった。
【0299】
生成された軽鎖205(カバット番号付け)にシステインを有するシステイン改変抗体は、(a)重鎖配列(配列番号:234)及び軽鎖配列(配列番号:235)を有するthio-MA79b-LC(V205C)、図27及び(b)重鎖配列(配列番号:299)及び軽鎖配列(配列番号:300)を有するthio-抗cynoCD79b(ch10D10)-LC(V205C)、図49であった。
これらのシステイン改変モノクローナル抗体は、1mMのシステインを含有する培地での一過性の発酵によってCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞で発現された。
【0300】
一実施態様では、ヒト化MA79bシステイン改変抗CD79b抗体は、遊離システインアミノ酸を有する以下の重鎖配列(配列番号:251-259、表2)の一又は複数を含む。
表2:ヒト化MA79bシステイン改変抗CD79b抗体変異体の連続、カバット及びEU番号付けの比較

【0301】
一実施態様では、キメラMA79bシステイン改変抗CD79b抗体は、遊離システインアミノ酸を有する以下の重鎖配列(配列番号:260-268、表3)の一又は複数を含む。
表3:chMA79bシステイン改変抗CD79b抗体変異体の連続、カバット及びEU番号付けの比較

【0302】
一実施態様では、抗cynoCD79b(ch10D10)システイン改変抗CD79b抗体は、遊離システインアミノ酸を有する以下の重鎖配列(配列番号:269-277、表4)の一又は複数を含む。
表4:抗cynoCD79b(ch10D10)システイン改変抗CD79b抗体変異体の連続、カバット及びEU番号付けの比較

【0303】
一実施態様では、ヒト化MA79bシステイン改変抗CD79b抗体は、遊離システインアミノ酸を有する以下の軽鎖配列(配列番号:278-284、表5)の一又は複数を含む。
表5:ヒト化MA79bシステイン改変抗CD79b抗体変異体の連続、カバット及びEU番号付けの比較

【0304】
一実施態様では、キメラMA79bシステイン改変抗CD79b抗体は、遊離システインアミノ酸を有する以下の軽鎖配列(配列番号:285-291、表6)の一又は複数を含む。
表6:キメラMA79bシステイン改変抗CD79b抗体変異体の連続、カバット及びEU番号付けの比較

【0305】
一実施態様では、抗cynoCD79(ch10D10)システイン改変抗CD79b抗体は、遊離システインアミノ酸を有する以下の軽鎖配列(配列番号:292-298、表7)の一又は複数を含む。
表7:抗cynoCD79b(ch10D10)システイン改変抗CD79b抗体変異体の連続、カバット及びEU番号付けの比較

【0306】
c.標識したシステイン改変抗CD79b抗体
システイン改変抗CD79b抗体は部位特異的であり、チオール反応性の試薬と効率よくカップリングしうる。チオール反応性の試薬は、多機能性リンカー試薬、キャプチャ、すなわち親和性、標識試薬(例えばビオチン-リンカー試薬)、検出標識(例えば蛍光体試薬)、固相固定化試薬(例えばSEPHAROSE^(TM)、ポリスチレン又はガラス)、又は薬剤-リンカー中間生成物であってもよい。チオール反応性試薬の一例はN-エチルマレイミド(NEM)である。ある例示的な実施態様では、ビオチン-リンカー試薬とのThioFabの反応によりビオチン化されたThioFabが生じ、これによって改変されたシステイン残基の存在及び反応性が検出され、測定されうる。多機能リンカー試薬とのThioFabの反応により、薬剤成分試薬又は他の標識とさらに反応しうる官能化されたリンカーを有するThioFabが生じる。薬剤-リンカー中間生成物とのThioFabの反応により、ThioFab薬剤コンジュゲートが生じる。
本明細書中で記述される例示的な方法は一般に、抗体の同定及び産生、さらに一般的には、本明細書中に記載の設定及びスクリーニングの工程によって他のタンパク質に応用されてもよい。
【0307】
このような手法は、反応基が例えばマレイミド、ヨードアセトアミド、ピリジルジスルフィド、又は他のチオール反応性の結合パートナーである他のチオール反応性試薬のコンジュゲーションに応用されてもよい(Haugland,2003,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Molecular Probes,Inc.;Brinkley,1992,Bioconjugate Chem.3:2;Garman,1997,Non-Radioactive Labelling:A Practical Approach,Academic Press,London;Means(1990)Bioconjugate Chem.1:2;Hermanson,G.in Bioconjugate Techniques(1996)Academic Press,San Diego,pp.40-55,643-671)。チオール反応性の試薬は、薬剤成分、フルオロホア、例としてフルオレセイン又はローダミンのような蛍光染料、イメージング又は放射性治療用金属のためのキレート剤、ペプチジル又は非ペプチジル標識ないしは検出用タグ、又はポリエチレングリコールの各種アイソフォームなどのクリアランス-改変剤、第三成分に結合するペプチド、又は他の炭水化物又は親油性剤であってもよい。
【0308】
d.システイン改変抗CD79b抗体の使用
システイン改変抗CD79b抗体とそのコンジュゲートは治療用及び/又は診断用の薬剤としての使用が明らかにされうる。本発明はさらに、B細胞関連疾患と関係する一又は複数の症状を予防するか、管理するか、治療するか又は、寛解する方法を提供する。特に、本発明は、癌、例えばリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、中悪性度NHL、再発性中悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、抵抗性NHL、抵抗性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、線毛細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)及びマントル細胞リンパ腫などの細胞増殖性疾患と関係する一又は複数の症状を予防するか、管理するか、治療するか又は、寛解する方法を提供する。本発明はまた更に、CD79b関連の疾患又はこのような疾患を発達させる素因を診断するための方法、並びに好ましくはB細胞関連のCD79bポリペプチドを結合する抗体、及び抗体の抗原結合断片を同定するための方法を提供する。
本発明の他の実施態様は、B細胞関連の疾患に応答する状態の治療において有用な医薬の調製のためのシステイン改変抗CD79b抗体の使用に関する。
【0309】
e.システイン改変抗体薬剤コンジュゲート(Thio-抗体薬剤コンジュゲート(TDC))
本発明の他の態様は、システイン改変抗CD79b抗体(Ab)と、アウリスタチン薬剤成分(D)を含む抗体-薬剤コンジュゲート化合物であって、このときシステイン改変抗体はリンカー成分(L)によって一又は複数の遊離したシステインアミノ酸を介してDに付着され、この化合物は式Iを有するものであり、
Ab-(L-D)_(p) I
このときpは1、2、3又は4であり、システイン改変抗体は、親抗CD79b抗体の一又は複数のアミノ酸残基を一又は複数の遊離したシステインアミノ酸に置換することを含む方法によって調製される。
【0310】
本発明の他の態様は、抗体当たりの平均薬剤負荷がおよそ2からおよそ5、又はおよそ3からおよそ4である、式Iの抗体-薬剤化合物の混合物を含有する組成物である。
図24-28及び48-49は、アウリスタチン薬剤成分が軽鎖(LC-ADC)又は重鎖(HC-ADC)内の改変したシステイン基に付着している、システイン改変抗CD79b抗体薬剤コンジュゲート(ADC)の実施態様を示す。
システイン改変抗CD79b抗体薬剤コンジュゲートの考えられる利点には、PKパラメーターの改善である安全性の改善(より大きな治療係数)が挙げられ、コンジュゲートを安定化し、かつその活性な結合高次構造を保持しうる抗体鎖間ジスルフィド結合が保たれており、薬剤コンジュゲートの部位が決定され、そして、システイン改変抗体の薬剤-リンカー試薬へのコンジュゲートからシステイン改変抗体薬剤コンジュゲートを調製することでより均一な産物が得られる。
【0311】
リンカー
「リンカー」、「リンカーユニット」又は「連結」は、共有結合を含む化学的成分又は共有結合にて抗体を薬剤成分に付着させる原子の鎖を意味する。様々な実施態様では、リンカーはLと表される。「リンカー」(L)は、一又は複数の薬剤成分(D)と抗体ユニット(Ab)を連結させて、式Iの抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)を形成させるために用いられうる、二官能性成分又は多機能性成分である。抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)は、薬剤及び抗体への結合について反応性機能を有するリンカーを用いて都合良く調製されうる。システイン改変抗体(Ab)のシステインチオールは、リンカー試薬、薬剤成分又は薬剤-リンカー中間生成物の求電子性の官能基と結合することができる。
一態様では、リンカーは、抗体に存在する求核性システインに反応することができる求電子性基を有する反応部位を有する。抗体のシステインチオールは、リンカー上の求電子性基と反応することができ、リンカーに共有結合する。有用な求電子性の基には、マレイミド及びハロアセトアミド基を含むが、これらに限定されるものではない。
リンカーには、二価の基、例としてalkyldiyl、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキロキシ(例としてポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)及びアルキラミノ(例えばポリエチレンアミノ、Jeffamine^(TM))の繰り返しユニットである-(CR_(2))_(n)O(CR_(2))_(n)-などの成分、及び、スクシナート、スクシンアミド、ジグリコレート、マロネート及びカプロアミドを含む二酸エステル及びアミドが含まれる。
システイン改変抗体は、Klussman,等(2004),Bioconjugate Chemistry 15(4):765-773の766ページのコンジュゲート法及び、実施例6のプロトコールに従って、マレイミド又はα-ハロカルボニルなどの求電子性の官能基を有するリンカー試薬又は薬剤-リンカー中間生成物と反応する。
【0312】
リンカーは一又は複数のリンカー成分から成ってもよい。例示的なリンカー成分には、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」又は「vc」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(「PAB」)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(「SMCC」)、N-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(「SIAB」)、一又は複数の繰り返しユニットとしてのエチレンオキシ-CH_(2)CH_(2)O-(「EO」又は「PEO」)が含まれる。更なるリンカー成分は当分野において周知であり、そのいくつかを本明細書中に記載する。
一実施態様では、ADCのリンカーLは以下の式を有する。

このとき、
-A-は、抗体(Ab)のシステインチオールに共有結合にて付着したストレッチャーユニットであり、
aは0又は1であり、
各々の-W-は、独立したアミノ酸ユニットであり、
wはそれぞれ、0から12まで変動する整数であり、
-Y-は、薬剤成分に共有結合にて付着したスペーサーユニットであり、そして、yは0、1又は2である。
【0313】
ストレッチャーユニット
ストレッチャユニット(-A-)は、存在する場合には、抗体ユニットをアミノ酸ユニット(-W-)に連結することができる。この点に関しては、抗体(Ab)は、ストレッチャーの官能基と結合することができる官能基を有する。天然ないし化学的操作のいずれにかによって抗体に存在することができる有用な官能基には、スルフヒドリル(-SH)、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシ、炭水化物のアノマー水酸基及びカルボキシルが含まれるがこれらに限定されるものではない。一態様では、抗体官能基はスルフヒドリル又はアミノである。スルフヒドリル基は、抗体の分子内ジスルフィド結合の還元によって生成されうる。あるいは、2-イミノチオラン(トラウトの試薬)又は他のスルフヒドリル生成試薬を用いて、抗体のリジン成分のアミノ基を反応させることによって、スルフヒドリル基を生成することができる。一実施態様では、抗体(Ab)は、ストレッチャーユニットの求電子性の官能基と結合することができる遊離したシステインチオール基を有する。式Iのコンジュゲートの例示的なストレッチャーユニットは、式II及び式IIIで示すものであり、このときAb、-W-、-Y-、-D、w及びyは前記に定義した通りであり、R^(17)は、(CH_(2))_(r)、C_(3)-C_(8) カルボシクリル、O-(CH_(2))_(r)、アリーレン、(CH_(2))_(r)-アリーレン、-アリーレン-(CH_(2))_(r)-、(CH_(2))_(r)-(C_(3)-C_(8) カルボシクリル)、(C_(3)-C_(8) カルボシクリル)-(CH_(2))_(r)、C_(3)-C_(8) ヘテロシクリル、(CH_(2))_(r)-(C_(3)-C_(8) ヘテロシクリル)、-(C_(3)-C_(8) ヘテロシクリル)-(CH_(2))_(r)-、-(CH_(2))_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2))_(r)-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-、-(CH_(2))_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-、-(CH_(2))_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-、及び-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2))_(r)-から選択される二価の基であり、R^(b)はH、C_(1)-C_(6)アルキル、フェニル又はベンジルであり、そして、rはそれぞれ、1から10の範囲の整数である。
【0314】
アリーレンには、芳香族環システムから2つの水素原子を除去して得られる6?20の炭素原子の二価の芳香族炭化水素基が含まれる。代表的なアリーレン基には、ベンゼン、置換されたベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから得られる基が含まれるが、これらに限定されるものではない。
ヘテロシクリル基には、一又は複数の環原子がヘテロ原子、例えば窒素、酸素及び硫黄である環式システムが含まれる。複素環基は、1?20の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1?3のヘテロ原子を含む。複素環は、3?7員環を有するモノシクロ(2?6の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1?3のヘテロ原子)又は7?10員環を有するビシクロ(4?9の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1?3のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]システムであってもよい。複素環は、Paquette,Leo A.;”Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)、特に第1,3,4,6,7及び9章;”The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York,1950 to present)、特に13,14,16,19及び28号;及び、J.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に記載される。
【0315】
複素環の例には、例示のためであって限定するものではなく、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化型テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス-テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾチニル、トリアジニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、チエニル、チアンスレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H-ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナンスリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナンスロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシンドリル、ベンズオキサゾリニル、及びイサチノイルが含まれる。
「カルボシクリル基(Carbocyclyl)」には、単環として3?7の炭素原子又は二環として7?12の炭素原子を有する飽和ないしは不飽和の環が含まれる。単環の炭素環は3?6の環状原子、より一般的には5又は6の環状原子を有する。二環式の炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]システムとして配置した7?12の環状原子、又はビシクロ[5,6]又は[6,6]システムとして配置した9又は10の環状原子を有する。単環の炭素環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペント-1-エニル、1-シクロペント-2-エニル、1-シクロペント-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキス-1-エニル、1-シクロヘキス-2-エニル、1-シクロヘキス-3-エニル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。
【0316】
IIからVIなどの式IのADCのすべての例示的な実施態様から、明確に示していない場合であっても、改変したシステイン残基の数に応じて、1から4の薬剤成分が抗体に連結している(p=1?4)ことが理解される。

図示する式IIのストレッチャーユニットは、R^(17)が-(CH_(2))_(5)-である、マレイミド-カプロイル(MC)から得られる。

図示する式IIのストレッチャーユニットは、R^(17)が-(CH_(2))_(2)-である、マレイミド-プロパノイル(MP)から得られる。

【0317】
他の図示する式IIのストレッチャーユニットは、R^(17)が-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-であり、rが2である。

他の図示する式IIのストレッチャーユニットは、R^(17)が-(CH_(2))_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-であり、R^(b)がHであり、各々のrが2である。

図示する式IIIのストレッチャーユニットは、R^(17)が-(CH_(2))_(5)-である。

【0318】
他の実施態様では、ストレッチャーユニットは、抗体の改変されたシステイン硫黄原子とストレッチャーユニットの硫黄原子との間のジスルフィド結合により、システイン改変抗CD79b抗体に連結する。この実施態様の代表的なストレッチャーユニットは、式IVで表され、R^(17)、Ab-、-W-、-Y-、-D、w及びyは前記に定義する通りである。

さらに他の実施態様では、ストレッチャーの反応基は、抗体の遊離したシステインチオールと結合することができるチオール反応性の官能基を含む。チオール反応性の官能基の例には、限定するものではないが、マレイミド、α-ハロアセチル、活性エステル、例として、スクシンイミドエステル、4-ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、無水物、酸クロリド、塩化スルホニル、イソシアネート及びイソチオシアネートが含まれる。この実施態様の代表的なストレッチャーユニットは、式Va及びVbに表され、このとき、-R^(17)-、Ab-、-W-、-Y-、-D、w及びyは前記に定義した通りである。

他の実施態様では、リンカーは、分岐した多機能性リンカー成分を介して一より多い薬剤成分を抗体へ共有結合的に付着させるために樹枝状型である(Sun等(2002)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12:2213-2215;Sun等(2003)Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:1761-176;King(2002)Tetrahedron Letters 43:1987-1990)。樹枝状のリンカーは抗体に対する薬剤のモル比を増やす、すなわち負荷することができ、これはADCの力価に関連がある。したがって、システイン改変抗体は1つの反応性のシステインチオール基のみを有する場合、多くの薬剤成分が樹枝状のリンカーを介して付着されうる。
【0319】
アミノ酸ユニット
リンカーはアミノ酸残基を含んでいてもよい。アミノ酸ユニット(-Ww-)は、存在する場合には、抗体(Ab)を本発明のシステイン改変抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)の薬剤成分(D)に連結する。
-Ww-は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチド又はドデカペプチドのユニットである。アミノ酸ユニットを含むアミノ酸残基には、天然に生じるもの、並びにシトルリンなどの微量アミノ酸及び天然に生じないアミノ酸類似体が含まれる。各々の-W-ユニットはそれぞれ、以下の角括弧で示す式を有し、wは、0から12の範囲の整数である。

このとき、R^(19)は、ヒドロゲン、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、ベンジル、p-ヒドロキシベンジル、-CH_(2)OH、-CH(OH)CH_(3)、-CH_(2)CH_(2)SCH_(3)、-CH_(2)CONH_(2)、-CH_(2)COOH、-CH_(2)CH_(2)CONH_(2)、-CH_(2)CH_(2)COOH、-(CH_(2))_(3)NHC(=NH)NH_(2)、-(CH_(2))_(3)NH_(2)、-(CH_(2))_(3)NHCOCH_(3)、-(CH_(2))_(3)NHCHO、-(CH_(2))_(4)NHC(=NH)NH_(2)、-(CH_(2))_(4)NH_(2)、-(CH_(2))_(4)NHCOCH_(3)、-(CH_(2))_(4)NHCHO、-(CH_(2))_(3)NHCONH_(2)、-(CH_(2))_(4)NHCONH_(2)、-CH_(2)CH_(2)CH(OH)CH_(2)NH_(2)、2-ピリジルメチル-、3-ピリジルメチル-、4-ピリジルメチル-、フェニル、シクロヘキシル、

である。
R^(19)が水素以外である場合に、R^(19)が付着される炭素原子はキラルである。R^(19)が付着される各々の炭素原子は、独立して(S)又は(R)配位又はラセミ混合物にある。したがって、アミノ酸ユニットは、鏡像異性的に純粋であるか、ラセミ性であるか、又はジアステレオ異性であってもよい。
【0320】
例示的な-Ww-アミノ酸ユニットには、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドが含まれる。例示的なジペプチドには、バリン-シトルリン(vc又はval-cit)、アラニン-フェニルアラニン(af又はala-phe)が含まれる。例示的なトリペプチドには、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が含まれる。アミノ酸リンカーを含むアミノ酸残基には、天然に生じるもの、並びにシトルリンなどの微量アミノ酸及び天然に生じないアミノ酸類似体が含まれる。
アミノ酸ユニットは、腫瘍関連プロテアーゼを含む一又は複数の酵素によって切断され、薬剤成分(-D)を遊離する。この薬剤成分は、一実施態様では、薬剤(D)を提供するために、放出時にインビボでプロトン化される。アミノ酸リンカー構成成分は、特定の酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD、又はプラスミンプロテアーゼによって酵素的に切断されるために設定し、その選択性が最適化されうる。
【0321】
スペーサーユニット
スペーサユニット(-Yy-)は、存在する場合(y=1又は2)には、アミノ酸ユニットが存在する(w=1?12)場合に、アミノ酸ユニット(-Ww-)を薬剤部分(D)に連結する。あるいは、アミノ酸ユニットがない場合には、スペーサーユニットはストレッチャーユニットを薬剤成分に連結する。アミノ酸ユニット及びストレッチャーユニットがともにない(w、y=0)場合には、スペーサーユニットも薬剤成分を抗体ユニットに連結する。スペーサーユニットは、自己犠牲型及び非自己犠牲型の2つの一般的なタイプである。非自己犠牲的なスペーサーユニットは、抗体-薬剤コンジュゲート又は薬剤成分-リンカーからアミノ酸ユニットが切断、特に酵素的に切断された後に、スペーサーユニットの一部ないしはすべてが薬剤成分に結合したままとなるものである。グリシン-グリシンスペーサーユニット又はグリシンスペーサーユニットを含むADCが腫瘍細胞関連プロテアーゼ、癌細胞関連プロテアーゼ又はリンパ球関連プロテアーゼによって酵素切断される場合、グリシン-グリシン-薬剤成分又はグリシン-薬剤成分がAb-A_(a)-Ww-から切断される。一実施態様では、独立した加水分解反応が標的細胞の中で起こり、グリシン-薬剤成分の結合が切断され、薬剤が遊離される。
他の実施態様では、-Yy-は、フェニレン部分がQ_(m)に置換しているp-アミノベンジルカルバモイル(PAB)ユニットであり、このときQは-C_(1)-C_(8)アルキル、-O-(C_(1)-C_(8)アルキル)、-ハロゲン、-ニトロ、又は-シアノであり、そして、mは0?4の範囲の整数である。
【0322】
非自己犠牲型スペーサーユニット(-Y-)の例示的な実施態様は、-Gly-Gly-、-Gly-、-Ala-Phe-、-Val-Cit-である。
一実施態様では、スペーサーユニットがない(y=0)、又は薬学的に許容可能な塩ないしはその溶媒和化合物である、薬剤成分-リンカー又はADCが提供される。
あるいは、自己犠牲的なスペーサーユニットを含むADCは-Dを放出しうる。一実施態様では、-Y-はPABグループのアミノ窒素原子を介して-Ww-に連結されるPABグループであり、カルボナート、カルバメート又はエーテル基を介して-Dに直接連結しており、このときADCは以下のような例示的な構造を有する。

このとき、Qは、-C_(1)-C_(8)アルキル、-O-(C_(1)-C_(8)アルキル)、-ハロゲン、-ニトロ、又は-シアノであり、mは0?4の範囲の整数であり、そして、pは1から4の範囲である。
【0323】
自己犠牲的なスペーサーの他の例には、PABグループに電子的に類似している芳香族化合物、例として、2-アミノイミダゾール-5-メタノール誘導体(Hay等(1999)Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237)、複素環式のPAB類似体(米国公開特許2005/0256030)、β-グルクロニド(国際公開2007/011968)、及びオルトないしはパラ-アミノベンジルアセタールが含まれるが、これらに限定されるものではない。アミド結合加水分解の際に環化されるスペーサー、例として、置換した、及び、置換していない4-アミノ酪酸アミド(Rodrigues等(1995)Chemistry Biology 2:223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]、及び、ビシクロ[2.2.2]環システム(Storm等(1972)J.Amer.Chem.Soc.94:5815)、及び2-アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberry,等(1990)J.Org.Chem.55:5867)などが使われてもよい。また、グリシンで置換されるアミン含有薬剤の除去(Kingsbury等(1984)J.Med.Chem.27:1447)は、ADCに有用な自己犠牲的スペーサーの例である。
例示的なスペーサーユニット(-Yy-)を式X?XIIに示す。

【0324】
樹枝状リンカー
他の実施態様では、リンカーLは、分岐状の、多機能リンカー成分により一又は複数の薬剤成分が抗体に共有結合するために樹枝型のリンカーであってもよい(Sun等(2002)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12:2213-2215;Sun等(2003)Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:1761-1768)。樹枝状のリンカーは抗体に対する薬剤のモル比を増す、すなわち負荷することができ、これはADCの力価に関連がある。したがって、システイン改変抗体は1つの反応性のシステインチオール基のみを有する場合、多くの薬剤成分が樹枝状のリンカーを介して付着されうる。分岐状の、樹枝状リンカーの例示的な実施態様には、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾール及び2,4,6-トリス(ヒドロキシメチル)-フェノールデンドリマーユニット(国際公開2004/01993;Szalai等(2003)J.Amer.Chem.Soc.125:15688-15689;Shamis等(2004)J.Amer.Chem.Soc.126:1726-1731;Amir等(2003)Angew.Chem.Int.Ed.42:4494-4499)が含まれる。
一実施態様では、スペーサーユニットは分岐状ビス(ヒドロキシメチル)スチレン(BHMS)であり、これを用いて複数の薬剤を取り込み、放出することができ、以下の構造を有し、

2-(4-アミノベンジリデン)プロパン1,3-ジオールデンドリマーユニットを含み(国際公開2004/043493;de Groot等(2003)Angew.Chem.Int.Ed.42:4490-4494)、Qは、-C_(1)-C_(8)アルキル、-O-(C_(1)-C_(8)アルキル)、-ハロゲン、-ニトロ、又は-シアノであり、mは0?4の範囲の整数であり、nは0又は1であり、そして、pは1から4の範囲である。
【0325】
式Iの抗体-薬剤コンジュゲート化合物の例示的な実施態様には、XIIIa(MC)、XIIIb(val-cit)、XIIIc(MC-val-cit)、及びXIIId(MC-val-cit-PAB)が含まれる。

【0326】
式Iaの抗体-薬剤コンジュゲート化合物の他の例示的な実施態様には、XIVa-eが含まれる。

このとき、Xは以下のものであり、

Yは以下の通りであり、

そして、RはそれぞれH又はC_(1)-C_(6)アルキルであり、そして、nは1?12である。
【0327】
他の実施態様では、リンカーは、抗体に存在する求電子性の基に反応することができる求核基を有する反応性の官能基を有する。抗体上の有用な求電子性の基は、アルデヒド及びケトンカルボニル基が含まれるが、これらに限定されるものではない。リンカーの求核基のヘテロ原子は抗体上の求電子性の基と反応して、抗体ユニットに共有結合することができる。リンカーの有用な求核基には、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート及びアリールヒドラジドが含まれるが、これらに限定するものではない。抗体の求電子性の基は、リンカーへの付着に都合の良い部位を提供する。
一般的に、ペプチド-タイプのリンカーは、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片間でペプチド結合を形成することによって調製されうる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野では周知である液相合成方法(E.Schroder and K.Lubke(1965)”The Peptides”,volume 1,pp 76-136,Academic Press)に従って調製されうる。リンカー中間生成物は、スペーサー、ストレッチャー及びアミノ酸ユニットを含む反応のいずれかの組合せ又は連続によってアセンブリされてもよい。スペーサー、ストレッチャー及びアミノ酸ユニットは、天然で求電子性、求核性、又は遊離の基である反応性官能基を用いうる。反応性官能基には、カルボキシル、ヒドロキシル、パラ-ニトロフェニルカルボネート、イソチオシアネート、及びO-メシル、O-トシル、-Cl、-Br、-Iなどの脱離基、又はマレイミドが含まれるが、これらに限定されるものではない。
例えば、ADCを調製するために用いる合成手段に応じて、スルホン酸(-SO_(3)-)又はアンモニウムなどの荷電性の置換基は、試薬の水溶性を増し、抗体又は薬剤成分とリンカー試薬とのカップリング反応を容易にしうるか、又はDとAb-L(抗体-リンカー中間生成物)とのカップリング反応、又はAbとD-L(薬剤-リンカー中間生成物)とのカップリング反応を容易にしうる。
【0328】
リンカー試薬
抗体とアウリスタチンとのコンジュゲートは、種々の二官能性リンカー試薬、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。
また、抗体薬剤コンジュゲートは、以下のリンカー試薬、BMPEO、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、及びSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾアート)、及びビスマレイミド試薬、例えばDTME、BMB、BMDB、BMH、BMOE、1,8-ビス-マレイミドジエチレングリコール(BM(PEO)_(2))、及び1,11-ビス-マレイミドトリエチレングリコール(BM(PEO)_(3))にて調製されうる。これらはPierce Biotechnology,Inc.、Thermo Scientific、Rockford,IL.及び他の試薬提供者から市販されている。ビスマレイミド試薬により、連続した様式又は同時の様式で、チオール含有薬剤成分、標識又はリンカー中間生成物にシステイン改変抗体のチオール基が付着することができる。システイン改変抗体、薬剤成分、標識又はリンカー中間生成物のチオール基と反応することができるマレイミド以外の他の官能基には、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イソシアネート及びイソチオシアネートが含まれる。

【0329】
また、有用なリンカー試薬は、Molecular Biosciences Inc.(Boulder,CO)などの他の商業的供給源により得ることができるし、Toki等(2002)J.Org.Chem.67:1866-1872;Walker,M.A.(1995)J.Org.Chem.60:5352-5355;Frisch等(1996)Bioconjugate Chem.7:180-186;米国特許第6214345号;国際公開02/088172;米国特許公開2003130189;米国特許公開2003096743;国際公開03/026577;国際公開03/043583;及び国際公開04/032828に記載の手段に従って合成してもよい。
【0330】
式(IIIa)のストレッチャーは、以下のリンカー試薬をアミノ酸ユニットのN末端と反応させることによって、リンカーに導入することができる。

このときnは1?10の範囲の整数であり、Tは-H又は-SO_(3)Naであり、

このときnは0?3の範囲の整数である。

ストレッチャーユニットは、以下の二官能試薬をアミノ酸ユニットのN末端と反応させることによってリンカーに導入することができる。

このときXはBr又はIである。
【0331】
また、式のストレッチャーユニットは、以下の二官能試薬をアミノ酸ユニットのN末端と反応させることによってリンカーに導入することができる。

【0332】
マレイミドストレッチャーとパラ-アミノベンジルカルバモイル(PAB)自己犠牲的スペーサーとを有する例示的なバリン-シトルリン(val-cit又はvc)ジペプチドリンカー試薬は、以下の構造を有する。

マレイミドストレッチャーユニットとPAB自己-犠牲的スペーサーユニットとを有する例示的なphe-lys(Mtr、モノ-4-メトキシトリチル)ジペプチドリンカー試薬は、Dubowchik,等(1997)Tetrahedron Letters,38:5257-60に従って調製されてもよく、以下の構造を有する。

【0333】
システイン改変抗CD79b抗体-薬剤コンジュゲートの調製
式IのADCは、当業者に公知の有機化学的反応、条件及び試薬を用いた様々な手段、例えば、(1)システイン改変抗体のシステイン基をリンカー試薬と反応させて、共有結合によって抗体-リンカー中間生成物Ab-Lを形成させ、その後に薬剤成分Dと反応させる、及び(2)薬剤成分の求核基をリンカー試薬と反応させて、共有結合によって薬剤-リンカー中間生成物D-Lを形成させ、その後にシステイン改変抗体のシステイン基と反応させる、などによって調製されてもよい。コンジュゲート方法(1)及び(2)は、様々なシステイン改変抗体、薬剤成分及びリンカーを用いて行い、式Iの抗体-薬剤コンジュゲートを調製してもよい。
抗体システインチオール基は求核基であり、反応して、リンカー試薬及び薬剤-リンカー中間生成物の求電子基と共有結合することができる。このリンカー試薬及び薬剤-リンカー中間生成物には、(i)活性エステル類、例えばNHSエステル類、HOBtエステル類、ハロギ酸類及び酸ハロゲン化物、(ii)アルキル及びベンジルハロゲン化物、例えばハロアセトアミド類、(iii)アルデヒド類、ケトン類、カルボキシル及びマレイミド基、及び(iv)スルフィド交換による、ピリジルジスルフィドを含むジスルフィドが含まれる。薬剤成分の求核基には、リンカー成分及びリンカー試薬の求電子基と共有結合するために反応することができる、アミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸エステル及びアリールヒドラジド基が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0334】
システイン改変抗体は、DTT(クリーランド試薬、ジチオトレイトール)又はTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロライド;Getz等(1999)Anal.Biochem.Vol 273:73-80;Soltec Ventures,Beverly,MA)などの還元剤にて処理した後に、鎖間及び鎖内のジスルフィド結合を再形成させるために再酸化させることによって、リンカー試薬とのコンジュゲートに対して反応性にしてもよい(実施例5)。例えば、CHO細胞に発現される完全長のシステイン改変モノクローナル抗体(ThioMab)を、新たに導入したシステイン残基と培養培地中に存在するシステインとの間で形成しうるシステイン付加物のジスルフィド結合を還元するために、およそ50倍モルの過剰なTCEPにて37℃で3時間かけて還元する。還元されたThioMabを希釈して、10mM 酢酸ナトリウム、pH5にてHiTrap Sカラムに流し、0.3M 塩化ナトリウムを含むPBSにて溶出する。希釈(200nM)硫酸銅水(CuSO_(4))、室温に終夜置くことにより親Mabに存在するシステイン残基間にジスルフィド結合が再構築された。あるいは、デヒドロアスコルビン酸(DHAA)は、システイン付加物の還元分解反応の後にシステイン改変抗体の鎖内ジスルフィド基を再構築させるための有効な酸化体である。当分野で公知の他の酸化体、すなわち酸化剤及び酸化条件が用いられてもよい。外気酸化も有効である。この低刺激性の部分的な再酸化工程により、高品位の鎖内ジスルフィドが効率よく形成され、新たに導入されたシステイン残基のチオール基が維持される。およそ10倍過剰な薬剤-リンカー中間生成物、例えばMC-vc-PAB-MMAEを添加し、混合して、室温におよそ1時間置いて、コンジュゲートに作用させ、抗CD79b抗体-薬剤コンジュゲートを形成させた。コンジュゲート混合物をゲル濾過し、HiTrap Sカラムに流して溶出させ、過剰な薬剤-リンカー中間生成物と他の不純物を除去した。
【0335】
図23は、コンジュゲートのために細胞培養物から発現されるシステイン改変抗体を調製するための一般的な方法を示す。細胞培養培地にシステインを含む場合、新たに導入されたシステインアミノ酸と培地のシステインとの間にジスルフィド付加物が形成しうる。これらのシステイン付加物(図23の例示的なThioMab(左)に○で示す)は、コンジュゲートのために反応するシステイン改変抗体を生成するために還元されなければならない。システイン付加物は、おそらく様々な鎖間ジスルフィド結合とともに、TCEPなどの還元剤によって抗体の還元型を生じさせるために、還元により切断される。対形成したシステイン残基間の鎖間ジスルフィド結合は、硫酸銅、DHAA又は周囲酸素への曝露による不完全酸化条件下で再形成される。新たに導入され、改変され、対形成しないシステイン残基は、リンカー試薬や薬剤-リンカー中間生成物と反応して本発明の抗体コンジュゲートを形成するために利用されうる状態にある。哺乳類の細胞株において発現されるThioMabは、-S-S-結合形成によって外部からコンジュゲートされた改変CysへのCys付加物となる。したがって、精製されたThioMabを、実施例5に記載の還元及び再酸化の手順にて処理して、反応性のThioMabsを生産する。これらのThioMabを用いて、細胞障害性剤、蛍光体及び他の標識を含むマレイミドとコンジュゲートさせる。
【0336】
10.イムノリポソーム
ここで開示されている抗CD79b抗体は、免疫リポソーム(イムノリポソーム)として処方することもできる。「リポソーム」は、哺乳動物への薬物輸送に有用な、脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤を含む種々のタイプの小胞体である。リポソームの成分は、通常は生物膜の脂質配向に類似した2層構造に配列される。抗体を含有するリポソームは、例えばEpstein等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688(1985);Hwang等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030(1980);及び米国特許第4485045号及び同4544545号;及び1997年10月23日に公開の国際公開97/38731に記載されているように、当該分野において既知の方法により調製される。循環時間が増したリポソームは米国特許第5013556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含有する脂質組成物を用いた逆相蒸発法により作製することができる。リポソームは孔径が定められたフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームが得られる。本発明の抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応を介して、Martin等,J.Biol.Chem.257:286-288(1982)に記載されているようにしてリポソームにコンジュゲートすることができる。場合によっては、化学療法剤はリポソーム内に包含される。Gabizon等,J.National Cancer Inst.81(19)1484(1989)を参照されたい。
【0337】
B.抗体製造方法
1.所望の性質を有する抗CD79b抗体のスクリーニング
CD79bポリペプチドに結合する抗体を生成する技術を、上記に記載した。所望するような、所定の生物学的特性を有する抗体をさらに選択することができる。
本発明の抗CD79b抗体の増殖阻害効果を、例えば、内因的又はCD79b遺伝子によるトランスフェクション後のいずれかでCD79bポリペプチドを発現する細胞を用いる当該分野で周知の方法によって評価することができる。例えば、適切な腫瘍細胞株及びCD79b形質移入細胞は、数日間(例えば、2-7日)、種々の濃度の本発明の抗CD79bモノクローナル抗体で処理し、クリスタル・バイオレット又はMTTで染色するか、又は他の何らかの比色アッセイによって分析することができる。増殖を測定するその他の方法は、本発明の抗CD79b抗体の存在又は非存在下で処理した細胞の^(3)H-チミジン取り込みを比較することによる。処理の後、細胞を収集し、DNAへ取り込まれた放射能をシンチレーションカウンターで定量化した。適切なポジティブコントロールには、細胞株の成長を阻害することが知られている成長阻害抗体でその選択した細胞株を処理することが含まれる。インビボでの成長阻害は、当該分野で知られている種々の方法で確かめることができる。腫瘍細胞は、CD79bポリペプチドを過剰発現するものである。抗CD79b抗体は、ある実施態様では約0.5から30μg/mlの抗体濃度で、未処理腫瘍細胞と比べて約25-100%、より好ましくは約30-100%、そしてさらにより好ましくは約50-100%又は70-100%のCD79b発現腫瘍細胞の増殖をインビトロ又はインビボで阻害する。増殖阻害は、細胞培養で、約0.5から30μg/ml又は0.5nMから200nMの抗体濃度で測定することができ、その増殖阻害は、抗体への腫瘍細胞の曝露後1-10日で確かめられる。約1μg/kgから約100mg/kg体重での抗CD79b抗体の投与が、抗体の最初の投与から約5日から3ヶ月、好ましくは約5から30日以内に腫瘍の大きさの減少又は腫瘍細胞増殖の減少を引き起こすならば、抗体はインビボで増殖阻害作用がある。
【0338】
細胞死を誘発する抗CD79b抗体を選択するために、例えばヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー又は7AADの取込みにより示される膜インテグリティの損失度合いを対照と比較して求める。PI取込みアッセイは、補体及び免疫エフェクター細胞の不在下で行われる。CD79bポリペプチド発現細胞腫瘍細胞を、培地のみ、又は適切な抗CD79b抗体(例えば約10μg/ml)を含有する培地でインキュベートする。細胞を3日間インキュベートする。各処理に続いて、細胞を洗浄し、細胞凝塊除去のために35mmのストレーナキャップ付き12×75チューブ(チューブ当たり1ml、処理グループ当り3チューブ)に等分する。次いで、チューブへPI(10μg/ml)を与える。サンプルをFACSCAN(登録商標)フローサイトメータとFACSCONVERT(登録商標)セルクエスト(CellQuest)ソフトウエア(Becton Dickinson)を使用して分析してもよい。このようにして、PI取込みによって測定されるような、統計的に有意なレベルの細胞死を誘発する抗CD79b抗体を細胞死誘導抗CD79b抗体として選択することができる。
関心のある抗体が結合したCD79bポリペプチド上のエピトープに結合する抗体をスクリーニングするために、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed Harlow及びDavid Lane編(1988)に記載されているような通常の交差ブロッキングアッセイを実施することができる。既知の抗CD79b抗体のように、試験抗体が同じ部位又はエピトープと結合するならば、このアッセイを確定するために用いることができる。あるいは、又は付加的に、エピトープマッピングを、当該分野で周知の方法によって行うことができる。例えば、接触残基を同定するために、例えばアラニンスキャンニングによって抗体配列を変異させることができる。この変異体抗体は、適切なフォールディングを確かめるために、最初にポリクローナル抗体との結合について試験される。異なる方法では、CD79bポリペプチドの異なる領域と一致するペプチドを、試験抗体群又は試験抗体及び特徴付けられた又は既知のエピトープを有する抗体による競合アッセイで用いることができる。
【0339】
2.ある一つのライブラリスクリーニング法
本発明の抗CD79b抗体は、所望の活性(一又は複数)を有する抗体についてスクリーニングするためにコンビナトリアルライブラリを用いて作製することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成して、所望の結合特性を有する抗体についてこのライブラリをスクリーニングするためには当分野で様々な方法が公知である。このような方法は、一般にMethods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien等,ed.,Human Press,Totowa,NJ)のHoogenboom等(2001)に、ある実施態様では、Lee等(2004)J.Mol.Biol.340:1073-1093に記載される。
原則として、合成抗体クローンを、ファージコートタンパク質と融合した抗体可変領域(Fv)の種々の断片を表示するファージを有するファージライブラリをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリは、所望される抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによって選別される。所望される抗原と結合することができるFv断片を発現するクローンは抗原へ吸収され、それによって、ライブラリの非結合クローンから分離される。次いで、この結合クローンは、抗原から溶出させることが可能であり、抗原吸収/溶出の付加的サイクルによってさらに濃縮することができる。本発明の任意の抗CD79b抗体は、興味の対象であるファージクローンを選択するために適切な抗原スクリーニング手法を設計し、続いて、興味の対象であるファージクローンからのFv配列、及びKabat等,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3に記載の適切な定常領域(Fc)配列を用いての全長抗CD79b抗体クローンの構築によって得ることができる。
【0340】
ある実施態様では、抗体の抗原結合ドメインは、約110アミノ酸の2つの可変(V)領域である軽(VL)及び重(VH)鎖で形成され、その双方には、3つの高頻度可変ループ(HVR)又は相補鎖決定領域(CDR)が存在する。可変ドメインは、Winter等,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載のように、VH及びVLが短くて柔軟なペプチドを介して共有結合している一本鎖Fv(scFv)断片として、又は定常ドメインと融合して非共有的に相互作用しているFab断片のいずれかとしてファージ上に機能的に表示することができる。ここで用いられているように、scFvコード化ファージクローン、及びFabコード化ファージクローンは、総称して「Fvファージクローン」又は「Fvクローン」と呼ぶ。
VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって分離してクローンし、ファージライブラリにおいてランダムに組み換えられることが可能であり、それは、Winter等,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載のように抗原結合クローンについて探索することが可能である。免疫化したソースからのライブラリは、ハイブリドーマを構成する必要がなく、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、天然レパートリーをクローニングして、Griffiths等,EMBO J,12:725-734(1993)に記載のようにどんな免疫化もせずに、幅広い非自己及びまた自己抗原に対するヒト抗体の単一のソースを提供することが可能である。最終的には、天然ライブラリは、また、Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.227:381-388(1992)に記載のように、幹細胞からの再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、及びランダム配列を有するPCRプライマーを利用して高度可変CDR3領域をコードし、インビトロでの再配列を完成させることによって合成的に作製することができる。
【0341】
ある実施態様では、繊維状ファージは、マイナーコートタンパク質pIIIへの融合によって、抗体断片を表示するのに用いられる。この抗体断片は、例えばMarks等,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記載のように、フレキシブルポリペプチドスペーサーによって同じポリペプチド鎖上にVH及びVLドメインが連結されている一本鎖Fv断片として、又は、例えばHoogenboom等,Nucl.Acids.Res.,19:4133-4137(1991)に記載のように、1つの鎖はpIIIと融合し、もう一方の鎖は、幾つかの野生型コートタンパク質を置換することによってファージ表面上に表示されるようになるFabコートタンパク質構造のアセンブリがある細菌宿主細胞のペリプラズムへ分泌されるFab断片として、表示されることが可能である。
一般的に、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒト又は動物から収集した免疫細胞から得られる。抗CD79bクローンに有利になるように偏ったライブラリが望ましい場合には、検体をCD79bで免疫化して抗体応答を生成させ、そして、脾臓細胞及び/又は他の末梢血リンパ球(PBL)である循環B細胞を、ライブラリ構築のために回収する。好ましい実施態様では、CD79b免疫化により、CD79bに対するヒト抗体を産生するB細胞が生じるように、抗CD79bクローンに好ましいヒト抗体遺伝子断片ライブラリは、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを有する(及び、機能的な内因性抗体産生系を欠く)トランスジェニックマウスにおける抗CD79b抗体応答を生成することによって得られる。ヒト抗体産生トランスジェニックマウスの作製は以下に記載する。
【0342】
抗CD79b反応細胞集団のさらなる濃縮は、適切なスクリーニング手法を利用してCD79b特異的膜結合抗体を発現するB細胞を単離すること、例えば、CD79bアフィニティクロマトグラフィーによる細胞分離、又は蛍光色素標識CD79bへの細胞の吸着とその後の蛍光標示式細胞分取器(FACS)によって得ることができる。
あるいは、非免疫化供与体からの脾臓細胞及び/又はB細胞又は他のPBLの利用によって可能性のある抗体レパートリーのより良い表示が提供され、また、CD79bが免疫原ではない任意の動物(ヒト又は非ヒト)種を利用した抗体ライブラリの構築が可能となる。インビトロの抗体遺伝子コンストラクトを取り込むライブラリに関しては、幹細胞を被検体から収集して非再配列の抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を提供する。対象の免疫細胞は、種々の動物種、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ目、オオカミ、犬科、ネコ科、ブタ、ウシ、ウマ、及びトリ種等から得ることができる。
【0343】
抗体可変遺伝子セグメント(VH及びVLセグメントを含む)をコードする核酸を、興味の対象の細胞から回収して増幅した。再配列したVH及びVL遺伝子ライブラリの場合では、その所望するDNAは、Orlandi等,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),86:3833-3837(1989)に記載されているように、リンパ球からのゲノムDNA又はmRNAを単離し、再配列したVH及びVL遺伝子の5’及び3’末端と一致するプライマーによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことによって得ることが可能であり、よって発現のための多様なV遺伝子レパートリーを作製することができる。このV遺伝子は、Orlandi等,(1989)及びWard等,Nature,341:544-546(1989)に記載のように、成熟Vドメインをコードするエクソンの5’末端のバックプライマーとJセグメントに基づいた前方向プライマーにより、cDNA及びゲノムDNAから増幅することが可能である。しかしながら、cDNAからの増幅のためには、バックプライマーは、また、Jones等,Biotechnol.,9:88-89(1991)に記載のようにリーダーエクソンに、前方向プライマーは、Sastry等,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)86:5728-5732(1989)に記載のように定常領域内に基づくことが可能である。相補性を最大にするために、Orlandi等(1989)又はSastry等(1989)に記載のように、縮重をプライマーへ取り込むことが可能である。ある実施態様では、例えば、Marks等,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)の方法に記載のように、又はOrum等,Nucleic Acids Res.,21:4491-4498(1993)の方法に記載のように、免疫細胞の核酸試料に存在するすべての入手可能なVH及びVL配列を増幅するために、各V遺伝子ファミリーを標的にしたPCRプライマーを用いて、そのライブラリの多様性を最大にする。発現ベクターへの増幅DNAのクローニングに関しては、希な制限部位を、Orlandi等(1989)に記載のように、又はClackson等,Nature,352:624-628(1991)に記載のようにタグ付加したプライマーによるさらなるPCR増幅によって、PCRプライマー内の1つの末端へタグとして導入することができる。
【0344】
合成的に再配列したV遺伝子のレパートリーは、V遺伝子セグメントからインビボで誘導することができる。殆どのヒトVH遺伝子セグメントはクローニング及び配列決定(Tomlinson等,J.Mol.Biol.227:776-798(1992)に報告されている)、そしてマッピングがされている(Matsudaら,Nature Genet.,3:88-94(1993));これらクローニングされたセグメント(H1及びH2ループのすべての主要なコンホメーションを含む)は、Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.227:381-388(1992)に記載のように、多様な配列と長さのH3ループをコードするPCRプライマーによる多様なVH遺伝子レパートリーを作製するのに用いられる。VHレパートリーは、また、Barbas等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4457-4461(1992)に記載されているように、単一の長さの長いH3ループに焦点を合わせたすべての配列多様性をともなって作製することができる。ヒトVκ及びVλセグメントはクローニング及び配列決定がなされ(Williams及びWinter,Eur.J.Immunol.,23:1456-1461(1993))、合成軽鎖レパートリーを作製するのに利用することができる。VH及びVLフォールドの範囲及びL3及びH3の長さに基づく合成的V遺伝子レパートリーは、相当に構造的多様性を有する抗体をコードする。DNAをコードするV遺伝子の増幅に続いて、生殖系のV遺伝子セグメントは、Hoogenboom及びWinter,J.Mol.Biol.227:381-388(1992)の方法に従ってインビトロで再配列することができる。
【0345】
抗体断片のレパートリーは、幾つかの方法でVH及びVL遺伝子レパートリーを共に組み合わせることによって構築することができる。各レパートリーを異なるベクターで作製し、そのベクターを、例えばHogrefe等,Gene,128:119-126(1993)に記載のようにインビトロで、又はコンビナトリアル・インフェクション、例えばWaterhouse等,Nucl.Acids Res.,21:2265-2266(1993)に記載のloxP系によってインビボで作製することが可能である。このインビボの組み換え手法では、大腸菌の形質転換効率によって強いられるライブラリの大きさの限界を克服するために、二本鎖種のFabフラグメントが利用される。ナイーブのVH及びVLレパートリーは、1つはファージミドへ、そして他はファージベクターへと個別にクローニングされる。この2つのライブラリは、その後、各細胞が異なる組み合わせを有し、そのライブラリの大きさが、存在する細胞の数(約10^(12)クローン)によってのみ限定されるように、ファージミド含有細菌のファージ感染によって組み合わせられる。双方のベクターは、VH及びVL遺伝子が単一のレプリコンへ組み換えられ、ファージビリオンへ共にパッケージされるように、インビボの組み換えシグナルを有する。これら巨大なライブラリは、良好な親和性(約10^(-8)MのKd^(-1))の多くの多様な抗体を提供する。
別法として、このレパートリーは、例えばBarbas等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7978-7982(1991)に記載のように同じベクターへ連続してクローニング、又は、Clakson等,Nature,352:624-628(1991)に記載のようにPCR後に、クローニングすることでアセンブリすることができる。PCRアセンブリは、また、柔軟なペプチドスペーサーをコードしているDNAとVH及びVL DNAを連結させて、単鎖のFv(scFv)レパートリーを形成することに利用することができる。さらに他の技術では、「細胞内でのPCRアセンブリ」は、Embleton等,Nucl.Acids Res.,20:3831-3837(1992)に記載のように、PCRによってリンパ球内のVH及びVL遺伝子を組み合わせて、その後、連結した遺伝子のレパートリーをクローニングするのに利用される。
【0346】
ナイーブのライブラリ(天然又は合成のいずれか)によって産生された抗体は中度の親和性(約10^(6)?10^(7)M^(-1)のK_(d)^(-1))である可能性があるが、Winterら(1994),上掲に記載のように第二番目のライブラリから構築して遊離することによって、親和性成熟をもインビトロで模倣することが可能である。例えば、Hawkins等,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)の方法、又はGram等,Proc.Natl.Acad.Sci USA,89:3576-3580(1992)の方法においてエラー・プローンポリメラーゼ(Leung等,Technique,1:11-15(1989)で報告されている)を利用することによって、突然変異をインビトロでランダムに導入することができる。さらには、1つ又はそれより多いCDRをランダムに変異させることによって、例えば、選択した個々のFvクローンにおいて、対象のCDRまで及ぶランダム配列を有するプライマーによるPCRを利用して、そしてより高い親和性クローンをスクリーニングすることで親和性成熟をおこなうことが可能である。国際公開第9607754号(1996年3月14日に公開)は、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域へ突然変異生成を誘導して軽鎖遺伝子のライブラリを作製する方法を記載している。その他の有効な手法は、Marks等,Biotechnol.10:779-783(1992)に記載のように、非免疫化供与体から得られた天然で発生するVドメイン変異体のレパートリーによるファージディスプレイによって選択されたVH又はVLドメインを組み換えること、及び数回のチェーン・シャッフリングにおいてより高い親和性についてスクリーニングすることである。この技術は、10^(-9)Mの範囲の親和性の抗体及び抗体断片の産生を可能にする。
ライブラリのスクリーニングは当分野で公知の様々な技術によって達成されうる。例えば、CD79bは、吸収プレートのウェルをコーティングするために利用すること、吸収プレートへ付着させた宿主細胞上で発現させるか又はセルソーティングで利用すること、又はストレプトアビジンでコーティングしたビーズによる捕獲のためにビオチンとコンジュゲートすること、又はファージディスプレイライブラリをパニングするためのあらゆる他の方法において利用することが可能である。
【0347】
吸着剤との少なくともファージ粒子の一部分の結合に適した条件下で、ファージライブラリの試料を固定化CD79bと接触させる。通常は、pH、イオン強度、温度等を含む条件を選択して、生理学的条件を模倣する。固相と結合したファージを洗浄し、その後、例えばBarbas等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:7978-7982(1991)に記載されているように酸で、又は例えばMarks等,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)に記載にされているようにアルカリで、又は例えばClackson等,Nature,352:624-628(1991)の抗原競合法に類似の手法であるCD79b抗原競合によって溶出する。ファージは、1回目の選択で20?1000倍に濃縮することが可能である。さらには、この濃縮したファージを細菌培養液で生育させ、さらなる回の選択に供することが可能である。
選択の効率は多くの要因に依存し、それには、洗浄の間の解離の動力学、そして単一のファージ上の複数の抗体断片が同時に抗原と関われるかどうかということが含まれる。一次解離定数(及び弱い結合親和性)を有する抗体は、短い洗浄、多価ファージディスプレイ及び固相の抗原の高いコーティング密度の利用によって保持することが可能である。高い密度は、多価相互作用を介してファージを安定化するだけでなく、解離したファージの再結合に有利に作用する。遅い解離動力学(及び良好な結合親和性)を有する抗体の選択は、Bass等,Proteins,8:309-314(1990)及び国際公開第92/09690号に記載されているような長い洗浄と単価ファージディスプレイの利用、そしてMarks等,Biotechnol.,10:779-783(1992)に記載されているような抗原の低度のコーティング密度によって促進することが可能である。
【0348】
親和性に僅かな違いがあったとしても、CD79bに対する異なる親和性のファージ抗体の中で選択することは可能である。しかしながら、選択した抗体のランダム変異(例えば、幾つかの親和性成熟の技術で行われているような)は、多くの変異を生じやすく、その殆どが抗原と結合し、僅かだがより高い親和性である。CD79bを限定すると、希な高い親和性のファージが競合して除かれることが可能である。すべてのより高い親和性の変異を保持するために、ファージは、過度のビオチン化CD79bとインキュベートすることが可能であるが、CD79bに対する標的モル濃度親和定数よりも低いモル濃度のビオチン化CD79bとインキュベートできる。次いで、高親和性結合ファージをストレプトアビジンでコーティングした常磁性体ビーズによって捕獲することが可能である。そのような「平衡捕獲」は、結合の親和性に従い、親和性の低い過度のファージから、僅かに2倍高い親和性の変異体クローンの単離を可能にする感度で抗体を選択することを可能にする。固相と結合したファージを洗浄するのに用いる条件を操作して、解離定数を基礎として識別することも可能である。
抗CD79bクローンは活性を元に選択されうる。ある実施態様では、本発明は、CD79bを天然に発現する生細胞に結合する抗CD79b抗体を提供する。一実施態様では、本発明は、CD79bリガンドとCD79bとの結合をブロックするが、CD79bリガンドと第二タンパク質との結合をブロックしない抗CD79b抗体を提供する。このような抗CD79b抗体に対応するFvクローンは、(1)上記のようなファージライブラリから抗CD79bクローンを単離して、場合によって、好適な宿主細胞で個体集団を成長させることによって、ファージクローンの単離した母集団を増幅する、(2)望ましいブロック活性及び非ブロック活性のそれぞれについてCD79bと第二タンパク質を選択する、(3)固定されたCD79bに抗CD79bファージクローンを吸着する、(4)過剰量の第二タンパク質を用いて、第二タンパク質の結合決定基と共有するかオーバーラップするCD79b-結合決定基を認識する任意の望ましくないクローンを溶出する、そして、(5)工程(4)の後に吸着されたまま残ったクローンを溶出する、ことによって選別できる。場合によって、所望のブロック/非ブロック特性を有するクローンを、本明細書に記載の選別手順を一又は複数回繰り返すことによって、さらに濃縮できる。
【0349】
ハイブリドーマ由来のモノクローナル抗体をコードするDNA又は本発明のファージディスプレイFvクローンは、常法を用いて(例えば、ハイブリドーマの対象の領域をコードする重鎖及び軽鎖又はファージDNA鋳型を特異的に増幅するように設定したオリゴヌクレオチドプライマーを用いることにより)即座に分離されて、配列決定される。ひとたび分離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、この状況以外では抗体タンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中に形質移入し、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を獲得することができる。抗体をコードするDNAの細菌での組み換え発現に関する概説論文には、Skerra等,Curr.Opinion in Immunol.,5:256-262(1993)及びPluckthun,Immunol.Revs.130:151-188(1992)が含まれる。
本発明のFvクローンをコードするDNAは、重鎖及び/又は軽鎖定常領域をコードする公知のDNA配列(例えば好適なDNA配列は上掲のカバット等から得ることができる)と組み合わせて、完全長ないし一部の重鎖及び/又は軽鎖をコードするクローンを形成できる。このために、何れかのアイソタイプの定常領域、例えばIgG、IgM、IgA、IgD及びIgE定常領域を用いることができることが理解されるであろう。このような定常領域は任意のヒト又は動物種から得ることができる。ある動物(例えばヒト)種の可変ドメインDNAから得て、次いで「ハイブリッド」である完全長重鎖及び/又は軽鎖のコード配列を形成するために他の動物種の定常領域DNAに融合したFvクローンは、本明細書で用いられる「キメラ」及び「ハイブリッド」抗体の定義に含まれる。ある実施態様では、ヒト可変DNAから得たFvクローンをヒト定常領域DNAに融合して、完全長ないし一部のヒト重鎖及び/又は軽鎖のコード配列を形成する。
【0350】
また、ハイブリドーマ由来の抗CD79b抗体をコードするDNAは、例えば、ハイブリドーマクローン由来の相同的マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を置換すること(例えばMorrison等,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,81:6851(1984)の方法)によって修飾することができる。ハイブリドーマ又はFvクローン由来の抗体ないし抗体断片をコードするDNAは、免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列の全て又は一部を共有結合させることによってさらに修飾することができる。そのように、「キメラ」又は「ハイブリッド」抗体は、本発明のFvクローン又はハイブリドーマクローン由来の抗体の結合特異性を有するように調製される。
【0351】
C.抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ治療法(ADEPT)
また、本発明の抗体は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開81/01145を参照)を活性な抗癌剤へ変換するプロドラッグ活性化酵素へ抗体をコンジュゲートすることによって、ADEPTにおいて使用することができる。例えば国際公開88/07378及び米国特許第4975278号を参照されたい。
ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態に変換するようにプロドラッグへ作用し得る任意の酵素が含まれる。
限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの変換に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラクトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変換させるのに有用なβラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。あるいは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本発明のプロドラッグを変換させるために使用することもできる(例えば、Massey,Nature 328:457-458(1987)を参照)。抗体-アブザイムコンジュゲートは、ここで記載されているようにして、腫瘍細胞個体群にアブザイムを送達するために調製することができる。
この発明の酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上で検討したヘテロ二官能性架橋試薬を使用することにより、抗CD79b抗体に共有的に結合させることができる。あるいは、本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該技術においてよく知られている組換えDNA技術を使用して作成することができる(Neuberger等,Nature 312:604-608[1984])。
【0352】
D.抗CD79b抗体
ここに記載した抗CD79b抗体に加えて、抗CD79b抗体変異体も調製できると考えられる。抗CD79b抗体変異体は、コード化DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することによって、及び/又は所望の抗体又はポリペプチドを合成することによって調製できる。当業者は、アミノ酸変化がグリコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などの抗CD79b抗体の翻訳後プロセスを変え得るのを理解するであろう。
ここに記載した抗CD79b抗体の変異は、例えば、米国特許第5364934号に示す保存的及び非保存的変異に関する技術及び指針のいずれかを用いて作成することができる。変異は、結果として天然配列抗体又はポリペプチドと比較してアミノ酸配列の変化を生じる、抗体又はポリペプチドをコードする一又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってもよい。場合によっては、変異は、抗CD79b抗体の一つ又は複数のドメインにおける、少なくとも一つのアミノ酸の他の任意のアミノ酸との置換による。どのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失され得るかを確かめる指針は、抗CD79b抗体の配列を既知の相同タンパク質分子の配列と比較し、相同性の高い領域内で生じたアミノ酸配列変化の数を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、一のアミノ酸を類似した構造及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸で置換すること、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果であるとすることができる。挿入及び欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲内であり得る。許容され得る変異は、配列にアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、生じた変異体を、完全長又は成熟した天然配列によって示される活性に関して試験することによって確かめられる。
【0353】
抗CD79b抗体断片がここに提供される。そのような断片は、例えば完全長天然抗体又はタンパク質と比較した時に、N末端又はC末端で切断しているか、又は内部残基を欠いている可能性がある。ある断片は、抗CD79b抗体の所望される生物学的活性にとって必修ではないアミノ酸残基を欠く。
抗CD79b抗体断片は、多くの従来技術のいずれかによって調製してもよい。所望のペプチド断片は化学合成してもよい。代替的方法には、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基で確定した部位でタンパク質を切断することが知られた酵素によってタンパク質を処理することで、又は適当な制限酵素でDNAを消化して所望の断片を単離することによって抗体又はポリペプチド断片を生成することが含まれる。さらにその他の好適な技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、所望の抗体又はポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することが含まれる。DNA断片の所望の末端を確定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、抗CD79b抗体断片は、ここで開示される天然の抗CD79b抗体と少なくとも1つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。
特定の実施形態では、対象とする保存的置換を、好ましい置換の項目で表8に示す。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表8に例示的置換と名前を付けた又は以下にアミノ酸分類でさらに記載するように、より実質的な変化が導入され、所望の変異体を同定するために生成物がスクリーニングされる。
【0354】
表8

【0355】
抗CD79b抗体の機能又は免疫学的同一性の実質的修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の電荷又は分子疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において有意に異なる置換基を選択することにより達成される。共通の側鎖特性に基づいて天然に発生する残基をグループ分けすることができる:
(1)疎水性: ノルロイシン、Met,Ala,Val,Leu,Ile;
(2)中性親水性: Cys,Ser,Thr,
(3)酸性: Asp,Glu;
(4)塩基性: Asn,Gln,His,Lys,Arg;
(5)鎖の方向に影響する残基: Gly,Pro;
(6)芳香性: Trp,Tyr,Phe
非保存的置換は、これらの分類の1つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、又はより好ましくは、残された(非保存)部位に導入されうる。
【0356】
変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング、及びPCR突然変異誘発等のこの分野で知られた方法を用いてなすことができる。部位特異的突然変異誘発[Carter等,Nucl.Acids Res.,13:4331(1986);Zoller等,Nucl.Acids Res.,10:6487(1987)]、カセット突然変異誘発[Wells等,Gene,34:315(1985)]、制限的選択突然変異誘発[Wells等,Philos.Trans.R.Soc.London SerA,317:415(1986)]又は他の知られた技術をクローニングしたDNAに実施して、抗CD79b抗体変異体DNAを製造することもできる。
また、隣接配列に沿って一又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中で典型的に好ましいスキャンニングアミノ酸である[Cunningham及びWells,Science,244:1081-1085(1989)]。また、アラニンは最もありふれたアミノ酸であるため典型的には好ましい。さらに、それは埋もれた及び露出した位置の両方に見られることが多い[Creighton,The Proteins,(W.H.Freeman & Co.,N.Y.);Chothia,J.Mol.Biol.,150:1(1976)]。アラニン置換が十分な量の変異体を生じない場合は、アイソテリック(isoteric)アミノ酸を用いることができる。
抗CD79b抗体の適切なコンフォメーションを維持することに関与していない任意のシステイン残基も、分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋を防ぐために、概してセリンと置換され得る。逆に、抗CD79b抗体にシステイン結合(複数でも)を加えて、その安定性を向上させてもよい(特に抗体がFv断片のような抗体断片である場合)。
【0357】
特に好ましい種類の置換変異体は、親抗体の一又は複数の高頻度可変領域残基(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の置換を含む。一般に、さらなる開発のために選択される結果として得られる変異体の生物学的特性は、それらが生成された親抗体の同特性より改善されている。そのような置換変異体を生成するための便利な方法には、ファージディスプレイを用いた親和性成熟化が含まれる。簡単には、複数の高頻度可変領域部位(例えば、6?7部位)を成熟させて、各部位に全ての可能なアミノ置換基を生成する。このように生成された抗体変異体は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子3生成物への融合物として、繊維状ファージ粒子由来の一価様式で表示される。次に、ファージディスプレイされた変異体を、ここに開示されるようにそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。修飾のための候補高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング変異誘発を実行し、抗原結合に有意に寄与している高頻度可変領域残基を同定することができる。別法として、又は付加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析することにより、抗体とCD79bポリペプチドとの接点を同定することが有利な場合がある。そのような接触残基及び隣接残基は、本明細書で考慮される技術による置換の候補である。そのような変異体が生成されたら、ここに記載のように変異体のパネルをスクリーニングし、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を有していた抗体を更なる開発用に選択することができる。
抗CD79b抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、本技術分野で既知の様々な方法によって調製することができる。これらの方法には、限定されないが、天然源からの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)又はオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発、及び早期に調製された変異体又は抗CD79b抗体の非変異体バージョンのカセット変異導入が含まれる。
【0358】
E.抗CD79b抗体の修飾
抗CD79b抗体の共有結合的修飾は本発明の範囲に含まれる。共有結合的修飾の一型には、標的とする抗CD79b抗体のアミノ酸残基を、抗CD79b抗体の選択された側鎖又はN又はC末端残基と反応できる有機誘導体化試薬と反応させることが含まれる。二官能性試薬による誘導体化は、例えば抗CD79b抗体を、抗CD79b抗体の精製方法に用いるための水不溶性支持体マトリクス又は表面と架橋させるために有用であり、その逆も同じである。通常用いられる架橋剤には、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4-アジドサリチル酸を有するエステル、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)等のジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン等の二官能性マレイミド、及びメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミダート等の試薬が含まれる。
他の修飾には、グルタミニル及びアスパラギニル残基の各々対応するグルタミル及びアスパルチル残基への脱アミノ化、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化[T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79-86(1983)]、N末端アミンのアセチル化、及び任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
本発明の範囲内に包含される抗CD79b抗体の共有結合的修飾の他の型は、抗体又はポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。ここで意図される「天然グリコシル化パターンの変更」とは、天然配列抗CD79b抗体に見られる一又は複数の炭水化物部分を欠失させること(内在するグリコシル化部位を取り除くことによって、又は化学及び/又は酵素的手法でグリコシル化を欠失させることのいずれか)、及び/又は天然配列抗CD79b抗体に存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。更には、この語句には、存在する種々の炭水化物部分の性質及び特性の変化を含む、天然タンパク質のグリコシル化における定性的な変化が含まれる。
【0359】
抗体及び他のポリペプチドのグリコシル化とは、典型的にはN-結合又はO-結合のいずれかである。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付与を指す。トリペプチドは、Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンの配列であり、アスパラギン側鎖への炭水化物部分が酵素的に付与される認識部位である。従って、ポリペプチドのこれらトリペプチド配列のいずれかの存在によって、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O-結合グリコシル化とは、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも用いられるが、殆どの場合にはセリン又はスレオニンへN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの一つの糖をヒドロキシアミノ酸へ付与することを指す。
グリコシル化部位の抗CD79b抗体への付加は、アミノ酸配列を改変して、それが上記に記載のトリペプチド配列(N-結合グリコシル化部位について)の一つ又は複数を含むようにすることによって簡便に完遂できる。この改変は、また、元の抗CD79b抗体の配列へ一つ又は複数のセリン又はスレオニン残基を付加、又は置換することによって生成される(O-結合グリコシル化部位について)。抗CD79b抗体アミノ酸配列は、DNAレベルでの変化を通して、特に、コドンが所望するアミノ酸へ翻訳される、あらかじめ選択した塩基での抗CD79b抗体をコードするDNAを変異させることによって、場合によっては改変され得る。
【0360】
抗CD79b抗体上の炭水化物部分の数を増加させる他の手段は、グリコシドのポリペプチドへの化学的又は酵素的結合による。そのような方法は、この技術分野において、例えば、1987年9月11日に発行された国際公開87/05330、及びAplin及びWriston,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259-306(1981)に記載されている。
抗CD79b抗体上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的又は酵素的に、あるいはグルコシル化の標的として提示されたアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によってなすことができる。化学的脱グリコシル化技術は、この分野で知られており、例えば、Hakimuddin等,Arch.Biochem.Biophys.,259:52(1987)によって、そしてEdge等,Anal.Biochem.,118:131(1981)によって記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura等,Meth.Enzymol.138:350(1987)に記載されているように、種々のエンド及びエキソグリコシダーゼを用いることにより達成される。
抗CD79b抗体の共有結合的修飾の他の型は、抗体を、種々の非タンパク質様ポリマーの1つ、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンへ、米国特許第4640835号;第4496689号;第4301144号;第4670417号;第4791192号又は第4179337号に記載された方法で結合させることをを含む。また、抗体は、例えばコアセルベーション法によって又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションで捕捉されてもよい。このような技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences,16版,A.Oslo編(1980)に開示されている。
また、本発明の抗CD79b抗体は、他の異種性ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合した抗CD79b抗体を含むキメラ分子を形成する方法で修飾されてもよい。
【0361】
一実施態様では、このようなキメラ分子は、抗CD79b抗体の、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般的には抗CD79b抗体のアミノ又はカルボキシル末端に位置する。抗CD79b抗体のエピトープタグ形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグの提供は、抗タグ抗体又はエピトープタグに結合する他の型の親和性マトリクスを用いたアフィニティ精製によって抗CD79b抗体を容易に精製できるようにする。種々のタグポリペプチド及びそれら各々の抗体はこの分野で良く知られている。例としては、ポリ-ヒスチジン(ポリ-His)又はポリ-ヒスチジン-グリシン(poly-his-gly)タグ;flu HAタグポリペプチド及びその抗体12CA5[Field等,Mol.Cell.Biol.,8:2159-2165(1988)];c-mycタグ及びそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7及び9E10抗体[Evan等,Molecular and Cellular Biology,5:3610-3616(1985)];及び単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグ及びその抗体[Paborsky等,Protein Engineering,3(6):547-553(1990)]を含む。他のタグポリペプチドは、フラッグペプチド[Hopp等,BioTechnology,6:1204-1210(1988)];KT3エピトープペプチド[Martin等,Science,255:192-194(1992)];α-チューブリンエピトープペプチド[Skinner等,J.Biol.Chem.,266:15163-15166(1991)];及びT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz-Freyermuth等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393-6397(1990)]を含む。
それに換わる実施態様では、キメラ分子は抗CD79b抗体の免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域との融合体を含んでもよい。キメラ分子の二価形態(「イムノアドヘシン」とも呼ばれる)については、そのような融合体はIgG分子のFc領域であり得る。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1つの可変領域に換えて抗CD79b抗体の可溶化(膜貫通ドメイン欠失又は不活性化)形態を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、IgG分子のヒンジ、CH_(2)及びCH_(3)、又はヒンジ、CH_(1)、CH_(2)及びCH_(3)領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5428130号を参照のこと。
【0362】
F.抗CD79b抗体の調製
以下の説明は、主として、抗CD79b抗体コード核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養することにより抗CD79b抗体を産生させる方法に関する。勿論、当該分野においてよく知られている他の方法を用いて抗CD79b抗体を調製することができると考えられている。例えば、適切なアミノ酸配列、又はその一部分を、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生成してもよい[例えば、Stewart等,Solid-Phase Peptide Synthesis,W.H.Freeman Co.,サンフランシスコ,カリフォルニア(1969);Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,85:2149-2154(1963)参照]。手動技術又は自動を使用することによってインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(フォスターシティー,カリフォルニア)を用いて、製造者の指示によって実施してもよい。抗CD79b抗体の種々の部分を別々に化学的に合成し、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて所望する抗CD79b抗体を製造してもよい。
【0363】
1.抗CD79b抗体をコードするDNAの単離
抗CD79b抗体をコードするDNAは、抗CD79b抗体のmRNAを保有していてそれを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリから得ることができる。したがって、ヒト抗CD79b抗体DNAは、ヒトの組織から調製されたcDNAライブラリから簡便に得ることができる。また、抗CD79b抗体コード遺伝子はゲノムライブラリから又は公知の合成方法(例えば、自動核酸合成)により得てもよい。
ライブラリは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタンパク質を同定するために設計されたプローブ(少なくとも約20-80塩基のオリゴヌクレオチド等)によってスクリーニングできる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリのスクリーニングは、例えばSambrook等,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。抗CD79b抗体をコードする遺伝子を単離するための代替法はPCR法を用いることである。[Sambrook等,上掲;Dieffenbach等,PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1995)]。
【0364】
cDNAライブラリをスクリーニングするための技術は、当該分野で良く知られている。プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、疑陽性が最小化されるよう十分な長さであり、十分に明瞭でなければならない。オリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリ内のDNAとのハイブリダイゼーション時に検出可能であるように標識されていることが好ましい。標識化の方法は当該分野において良く知られており、^(32)P標識ATPのような放射線標識、ビオチン化あるいは酵素標識の使用を含む。中程度のストリンジェンシー及び高度のストリンジェンシーを含むハイブリダイゼーション条件は、上掲のSambrookら,に示されている。
このようなライブラリスクリーニング法において同定された配列は、GenBankらの公共データベース又は他の個人の配列データベースに寄託され利用可能となっている他の周知の配列と比較及びアラインメントすることができる。分子の決定された領域内の又は完全長配列に渡っての(アミノ酸又はヌクレオチドレベルのいずれかでの)配列同一性は、当該分野で知られた、及びここに記載した方法を用いて決定することができる。
タンパク質コード化配列を有する核酸は、初めてここで開示された推定アミノ酸配列を使用し、また必要ならば、cDNAに逆転写されていないmRNAの生成中間体及び先駆物質を検出する上掲のSambrook等に記述されているような従来のプライマー伸展法を使用して、選択されたcDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることによって得られる。
【0365】
2.宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞を、ここに記載した抗CD79b抗体製造のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology:a Practical Approach,M.Butler編(IRL Press,1991)及び上掲のSambrook等に見出すことができる。
真核生物細胞形質移入及び原核生物細胞形質転換の方法はDNAが染色体外成分として又は染色体成分によって複製されるような宿主内へのDNAの導入を意味し、例えば、CaCl_(2)、CaPO_(4)、リポソーム媒介、ポリエチレングリコール/DMSO及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shaw等,Gene,23:315(1983)及び1989年6月29日公開の国際公開89/05859に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb,Virology,52:456-457(1978)のリン酸カルシウム沈降法が用いられる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4399216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingen等,J.Bact.,130:946(1977)及びHsiao等,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),76:3829(1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等,Methods in Enzymology,185:527-537(1990)及びMansour等,Nature,336:348-352(1988)を参照のこと。
ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞である。
【0366】
a.原核生物宿主細胞
適切な原核生物には、限定するものではないが、古細菌及び真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性微生物、例えば大腸菌のような腸内細菌科が含まれる。種々の大腸菌株が公に利用可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31446);大腸菌X1776(ATCC31537);大腸菌株W3110(ATCC27325)及びK5772(ATCC53635)である。他の好ましい原核動物宿主細胞は、大腸菌属、例えば大腸菌(E.coli)、エンテロバクター、エルビニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ、例えばネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)、セラチア、例えばセラチア・マルセサンス(Serratia marcescans)、及び赤痢菌、並びに桿菌、例えばバチルス・スブチルス(B.subtilis)及びバチルス・リチェニフォルミス(B.licheniformis)(例えば、1989年4月12日発行のDD266710に記載されたバチルス・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿菌、根粒菌、ビトレオシラ、パラコッカス及びストレプトマイセスなどの腸内細菌科を含む。これらの例は限定ではなく例示である。株W3110(Bachmann,Cellular and Molecular Biology,vol.2(Washington,D.C.:American Society for Microbiology,1987),pp.1190-1219;ATCC Deposit No.27,325)は、組換えDNA生成物発酵のための共通の宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110を、宿主にとって内因性のタンパク質をコードする遺伝子の遺伝子変異をもたらすように修飾してもよく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT kan^(r)を有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kan^(r)を有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ37D6株である大腸菌W3110株40B4;遺伝子型W3110 ΔfhuA(ΔtonA)ptr3 lac Iq lacL8 ΔompTΔ(nmpc-fepE)degP41 kan^(R)を有する大腸菌W3110株33D3(米国特許第5639635号)及び1990年8月7日発行の米国特許第4946783号に開示された変異周辺質プロテアーゼを有する大腸菌株を含む。また、大腸菌294(ATCC 31,446)、大腸菌B、大腸菌1776(ATCC 31,537)、及び大腸菌RV308(ATCC 31,608)などの他の株及びその誘導体も適する。これらの例は、限定するものではなく例示的なものである。特定の遺伝子型を有する上記のいずれかの細菌の誘導体の構築方法は、当分野で公知であり、例えばBass et al.,Proteins,8:309-314(1990)に記載されている。一般に、細菌の細胞におけるレプリコンの複製能を考慮して適切な細菌を選択することが必要である。pBR322、pBR325、pACYC177又はpKN410などの周知のプラスミドがレプリコンを供給するために用いられる場合、例えば、大腸菌、セラチア又はサルモネラ種は宿主として好適に用いられうる。一般的に、宿主細胞は微量のタンパク質分解酵素を分泌し、更なるプロテアーゼインヒビターが細胞培養物に含まれるのが望ましい。あるいは、クローニングのインビトロ法、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が好ましい。
【0367】
完全長抗体、抗体断片、及び抗体融合タンパク質は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が不要であるとき、例えば治療的抗体が細胞障害性剤(例えば毒素)にコンジュゲートしており、イムノコンジュゲート自体が腫瘍細胞の破壊に効果を示すときは、細菌中で生成することができる。完全長抗体は循環においてさらに長い半減期を有する。大腸菌中の生成は、短時間で行うことができ、費用効率が高い。細菌中における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第4648237号(Carter等)、同第5789199号(Joly等)、及び発現と分泌を最適化するための翻訳開始領域(TIR)シグナル配列について記載した同第5840523号(Simmons等)を参照されたい。これらの特許文献はここで参照することにより本発明に包含される。発現の後、抗体は、可溶性の画分中の大腸菌細胞のペーストから単離され、例えばアイソタイプに応じたプロテインA又はGカラムにより精製することができる。最終的な精製は、例えばCHO細胞に発現された抗体を精製するプロセスと同様に実行することができる。
【0368】
b.真核生物宿主細胞
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、抗CD79b抗体コードベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシアは、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。他に、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(Beach及びNurse,Nature,290:140[1981];1985年5月2日公開の欧州特許第139383号);クリュイベロミセス宿主(Kluyveromyces hosts)(米国特許第4943529号;Fleer等,Bio/Technology,9:968-975(1991))、例えばクリュイベロミセスラクチス(K.lactis)(MW98-8C,CBS683,CBS4574;Louvencourt等,J.Bacteriol.,154(2):737-742[1983])、クリュイベロミセス・フラギリス(K.fragilis)(ATCC12424)、クリュイベロミセス・ブルガリクス(K.bulgaricus)(ATCC16045)、クリュイベロミセス・ウィケラミイ(K.wickeramii)(ATCC24178)、クリュイベロミセス・ワルチイ(K.waltii)(ATCC56500)、クリュイベロミセス・ドロソフィラルム(K.drosophilarum)(ATCC36906;Van den Berg等,Bio/Technology,8:135(1990))、クリュイベロミセス・テモトレランス(K.thermotolerans)及びクリュイベロミセス・マルキシアナス(K.marxianus);ヤロウィア(yarrowia)(欧州特許第402226号);ピシア・パストリス(Pichia pastoris)(欧州特許第183070号;Sreekrishna等,J.Basic Microbiol,28:265-278[1988]);カンジダ;トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)(欧州特許第244234号);アカパンカビ(Case等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,76:5259-5263[1979]);シュワニオマイセス(Schwanniomyces)、例えばシュワニオマイセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)(1990年10月31日公開の欧州特許第394538号);及び糸状真菌、例えば、ニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウム(Tolypocladium)(1991年1月10日公開の国際公開91/00357);及びアスペルギルス宿主、例えばアスペルギルス・ニダランス(Ballance等,Biochem.Biophys.Res.Commun.,112:284-289[1983];Tilburn等,Gene,26:205-221[1983];Yelton等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:1470-1474[1984])及びアスペルギルス・ニガー(Kelly及びHynes,EMBO J.,4:475-479[1985])が含まれる。ここで好ましいメチロトロピック(C1化合物資化性、Methylotropic)酵母は、これらに限られないが、ハンセヌラ(Hansenula)、カンジダ、クロエケラ(Kloeckera)、ピシア(Pichia)、サッカロミセス、トルロプシス(Torulopsis)、及びロドトルラ(Rhodotorula)からなる属から選択されたメタノールで成長可能な酵母を含む。この酵母の分類の例示である特定の種のリストは、C.Anthony,The Biochemistry of Methylotrophs,269(1982)に記載されている。
【0369】
グリコシル化抗CD79b抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物から由来のものである。非脊椎動物細胞の例には、植物細胞、例えば綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト及びタバコの細胞培養と同様に、ショウジョウバエS2及びヨトウ(spodoptera)Sf9等の昆虫細胞が含まれる。多くのバキュロウイルス株及び変異体、及びヨトウガ(Spodoptera frugiperda)(幼虫(caterpillar))、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、及びカイコ等の宿主に対応する許容性昆虫宿主細胞が同定されている。種々のトランスフェクション用のウイルス株、例えばオートグラファ・カルフォルニカ(Autographa californica)NPVのL-1変異株、カイコNPVのBm-5株が公に入手でき、このようなウイルスは、本発明に係るウイルスとして、特に、ヨトウガ細胞のトランスフェクションのために使用してもよい。
しかしながら、最大の関心は脊椎動物細胞に向けられ、培養(組織培養)した脊椎動物細胞の増殖がルーチン作業となった。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40(COS-7,ATCC CRL1651)で形質転換させたサル腎CV1細胞株;ヒト胚芽腎細胞株(293又は懸濁培養で成長するようにサブクローン化された293細胞,Graham等,J.Gen Virol.,36:59(1977));ベビーハムスター腎細胞(BHK,ATCC CCL10);チヤイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO,Urlaub等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.,23:243-251(1980));サル腎細胞(CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76,ATCC CRL-1587);ヒト頚管腫瘍細胞(HELA,ATCC CCL2);イヌ腎細胞(MDCK,ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB 8065);マウス乳房腫瘍細胞(MMT 060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44-68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝臓癌細胞(HepG2)である。
宿主細胞は、抗CD79b抗体の生成のために上述の発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘発し、形質転換体を選出し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適切に修正した通常の栄養培地で培養される。
【0370】
3.複製可能なベクターの選択及び使用
本発明の抗体の組み換え製造のために、コードする核酸(例えばcDNA又はゲノムDNA)は単離され、更なるクローニング(DNAの複製)又は発現のために複製可能なベクターに挿入される。抗体をコードするDNAは従来の手順を用いて(抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離され、配列決定される。多くのベクターが利用可能である。ベクターの選択は用いる宿主細胞にいくらか依存する。一般に、好適な宿主細胞は、原核生物又は真核生物(一般に哺乳動物)のものである。
ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベクターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又は複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術を用いる。
CD79bは直接的に組換え手法によって生成されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN-末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生成される。一般に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入される抗CD79b抗体コードDNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクリュイベロミセス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含み、後者は米国特許第5,010,182号に記載されている)、又は酸ホスフォターゼリーダー、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日発行の欧州特許第362179号)、又は1990年11月15日に公開された国際公開90/13646に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一あるいは関連種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのようなタンパク質の直接分泌に使用してもよい。
【0371】
a.原核生物の宿主細胞
本発明の抗体のポリペプチド成分をコードしているポリヌクレオチド配列は標準的な組換え技術を使用して得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列はハイブリドーマ細胞のような抗体産生細胞から単離し配列決定することができる。あるいは、ポリヌクレオチドはヌクレオチド合成機又はPCR法を使用して合成することができる。ひとたび得られると、ポリペプチドをコードしている配列は原核生物宿主中で異種ポリヌクレオチドを複製し、発現することが可能な組換えベクター中に挿入される。当該分野において入手でき知られている多くのベクターを本発明の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、主として、ベクターに挿入される核酸のサイズとベクターで形質転換される特定の宿主に依存する。各ベクターは、機能(異種性ポリヌクレオチドの増幅又は発現ないしその両方)及び属する特定の宿主細胞への適合性に応じて、様々な成分を含む。
【0372】
通常、宿主細胞と互換性を持つ種から得られるコントロール配列とレプリコンを含有するプラスミドベクターがこれらの宿主と関連して用いられる。発現及びクローニングベクターは共に、一又は複数の選択された宿主細胞内でベクターを複製させる核酸配列、並びに形質転換した細胞の表現型による選別が可能となるようなマーキング配列を含む。このような配列は、様々な細菌、酵母及びウイルスについて周知である。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は、アンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を有するために形質転換された細胞の識別を容易にし、大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。また、pBR322、その誘導体又は他の微生物プラスミドないしはバクテリオファージは、内在性タンパク質の発現のために微生物によって用いられうるプロモーターを含むか、含むように変更されていてもよい。特定の抗体の発現に用いられるpBR322誘導体の例は、Carter et al.の米国特許第5648237号に詳細に記載されている。
また、レプリコン及び宿主微生物と適合性のあるコントロール配列を含んでいるファージベクターを、これらの宿主との関連でトランスフォーミングベクターとして使用することができる。例えば、λGEM.TM.-11のようなバクテリオファージを、大腸菌LE392のような感受性の宿主細胞を形質転換するために使用できる組換えベクターを作製する際に利用することができる。
【0373】
本発明の発現ベクターは各ポリペプチド成分をコードする2又はそれ以上のプロモータ-シストロン(翻訳単位)対を含みうる。プロモーターはその発現を調節するシストロンの上流(5’)に位置している非翻訳配列である。原核生物のプロモーターは典型的には誘導性と構成的との二つのクラスのものがある。誘導性プロモーターは、例えば栄養分の有無又は温度の変化のような、培養条件の変化に応答してその調節下でシストロンの転写レベルを増大させるように誘導するプロモーターである。
様々な潜在的宿主細胞によって認識されるプロモータが非常にたくさん公知となっている。選択したプロモーターを、制限酵素消化によって供給源DNAからプロモータを除去し、本発明のベクター内に単離したプロモータを挿入することによって軽鎖又は重鎖をコードするシストロンDNAに作用可能に連結することができる。天然プロモーター配列と多くの異種プロモーターの双方を、標的遺伝子の増幅及び/又は発現を生じさせるために使用することができる。ある実施態様では、天然の標的ポリペプチドプロモーターと比較して、一般的に発現する標的遺伝子をより多く転写させ、効率をよくするので、異種プロモーターが有用である。
【0374】
様々な宿主となりうる細胞に認識されるプロモーターは周知である。原核生物の宿主による使用に適切なプロモーターには、PhoAプロモーター、β-ガラクタマーゼ、及びラクトースプロモーターシステム[Chang et al.,Nature,275:615(1978);Goeddel et al.,Nature,281:544(1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーターシステム[Goeddel,Nucleic Acids Res.,8:4057(1980);欧州特許第36776号]、及びハイブリッドプロモーター、例えばtac[deBoer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:21-25(1983)]又はtrcプロモーターが含まれる。また、細菌システムでの使用のためのプロモーターは、抗CD79b抗体をコードするDNAに操作可能に連結されたシャイン-ダルガーノ(S.D.)配列を含むであろう。しかしながら、細菌中で機能性である他のプロモーター(例えば他の既知の細菌又はファージプロモーター)も好適である。そのヌクレオチド配列は発表されており、よって当業者は、任意の必要とされる制限部位を供給するリンカー又はアダプターを使用して標的軽鎖及び重鎖をコードするシストロンにそれらを作用可能に結合させることができる(Siebenlist等(1980)Cell 20:269)。
本発明の一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜を貫通して発現されるポリペプチドの転写を誘導する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列はベクターの成分でありうるか、ベクター中に挿入される標的ポリペプチドDNAの一部でありうる。この発明の目的のために選択されるシグナル配列は宿主細胞によって認識されプロセシングされる(つまりシグナルペプチダーゼにより切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドに天然のシグナル配列を認識せずプロセシングする原核生物宿主細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ippあるいは熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。一実施態様では、発現系の双方のシストロンに使用されるシグナル配列はSTIIシグナル配列又はその変異体である。
【0375】
他の態様では、本発明による免疫グロブリンは宿主細胞の細胞質内で産生されるので、各シストロン内に分泌シグナル配列の存在は必要でない。この点において、免疫グロブリン軽鎖及び重鎖は発現され、折り畳まれ、集合して細胞質内に機能的免疫グロブリンを形成する。ジスルフィド結合形成に好適な細胞質条件を示し、発現したタンパク質サブユニットを好適に折り畳み、集合することができる宿主系が存在する(例として大腸菌trxB^(-)系)。Proba及びPluckthun Gene,159:203(1995)。
また、本発明は、発現されるポリペプチド成分の量的な比を変更することにより、分泌されて適切に集合体化(アセンブル)される本発明の抗体の産出を最大化することができる発現系を提供する。このような変更は、少なくとも部分的にはポリペプチド成分の翻訳強度を同時に変更することにより行われる。
【0376】
翻訳の強度を変更するための一つの技術は、Simmons等の米国特許第5840523号に開示されている。この方法は、シストロン内の翻訳開始領域(TIR)の変異体を利用する。任意のTIRについて、一連のアミノ酸又は核酸配列の変異体を一定の範囲の翻訳強度を有するように作製することができ、これにより特定の鎖に所望の発現レベルが得られるようにこの因子を調節する便利な手段が提供される。ヌクレオチド配列においてサイレント変化が好ましいが、TIR変異体は、アミノ酸配列を変更しうるコドンの変化を起こす常套的な変異原性技術により生成することができる。TIRにおける変更は、例えば、シャイン・ダルガノ配列の数又はスペーシングの変更、並びにシグナル配列の変更を含みうる。変異シグナル配列を生成するための一つの方法は、シグナル配列のアミノ酸配列を変更しない(つまり、変化がサイレントである)コード配列の始めに「コドンバンク」を生成することである。これは、各コドンの3番目のヌクレオチド位置を変更することにより達成することができる。さらに、いくつかのアミノ酸、例えばロイシン、セリン、及びアルギニンは、1番目及び2番目の位置を複数有しており、これによって前記バンクの作製が複雑になり得る。変異原性の方法は、Yansura等(1992)METHODS:A Companion to Methods in Enzymol.4:151-158に詳細に記載されている。
好ましくは、含有される各シストロンについて一定の範囲のTIR強度を有する一組のベクターを生成する。この限定された組により、各鎖の発現レベル、及び種々のTIR強度の組み合わせにおける所望の抗体産物の産出を比較することができる。TIR強度は、Simmons等による米国特許第5840523号に詳細に記載されているレセプター遺伝子の発現レベルを定量化することにより決定することができる。翻訳強度の比較に基づいて、所望の個々のTIRを選択し、本発明の発現ベクターコンストラクトと組み合わせる。
【0377】
b.真核生物宿主細胞
一般的に、ベクター成分には、シグナル配列、複製起点、一以上のマーカー遺伝子、エンハンサー因子、プロモータ及び転写終末因子の一又は複数を含むがこれらに限定するものではない。
【0378】
(1)シグナル配列成分
真核生物の宿主細胞に用いるベクターは、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいは対象とするポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドを含んでいてもよい。選択された異種シグナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものが好ましい。哺乳動物細胞での発現においては、哺乳動物のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。
このような前駆体領域のDNAは、多価抗体をコードするDNAに読み取り枠を一致させて結合される。
【0379】
(2)複製開始点
一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である。例えば、SV40開始点は典型的にはただ初期プロモーターを有しているために用いられる。
【0380】
(3)選択遺伝子成分
典型的に、発現及びクローニングベクターは、選択マーカーとも称される選択遺伝子を含であろう。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)必要があれば栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質、例えば桿菌のためのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子、をコードする。
選択方法の一例では、宿主細胞の成長を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産し、よって選択工程を生存する。このような優性選択の例は、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。
【0381】
哺乳動物細胞に適切な選択マーカーの例は、抗CD79b抗体コード核酸を捕捉することのできる細胞成分を同定することを可能にするもの、例えばDHFR又はチミジンキナーゼ、メタロチオネインI及びII、好ましくは、霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等々である。野生型DHFRが使用される適切な宿主細胞は、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216(1980)に記載されるように、調製され、増殖される、DHFR活性を欠損しているCHO細胞株である(例えばATCC CRL-9096)。例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、先ず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換物の全てを培養することで同定される。あるいは、抗体をコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3’-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択マーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択マーカーの選択剤を含む培地中での細胞増殖により選択することができる。米国特許第4965199号を参照のこと。
酵母に用いられる適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である[Stinchcomb et al.,Nature,282:39(1979);Kingsman et al.,Gene,7:141(1979);Tschemper et al.,Gene,10:157(1980)]。trp1遺伝子は、トリプトファン中での生育能を欠く酵母の変異株、例えばATCC番号44076又はPEP4-1の選択マーカーを提供する[Jones,Genetics,85:12(1977)]。
【0382】
(4)プロモーター成分
通常、発現及びクローニングベクターは、mRNA合成を促すために抗CD79b抗体コード核酸配列に作用可能に連結されるプロモーターを含む。様々な宿主となりうる細胞によって認識されるプロモーターは周知である。
実質的に全ての真核生物の遺伝子が、転写開始部位からおよそ25から30塩基上流に見出されるATリッチ領域を有している。多数の遺伝子の転写開始位置から70から80塩基上流に見出される他の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3’末端には、コード配列の3’末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルであるAATAAA配列がある。これらすべての配列は真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
酵母宿主との使用に適したプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ[Hitzeman等,J.Biol.Chem.,255:2073(1980)]又は他の糖分解酵素[Hess等,J.Adv.Enzyme Reg.,7:149(1968);Holland,Biochemistry,17:4900(1978)]、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸フォスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母菌での発現に好適に用いられるベクターとプロモーターは欧州特許第73657号に更に記載されている。
【0383】
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからの抗CD79b抗体の転写は、例えば、ポリオーマウイルス、伝染性上皮腫ウイルス(1989年7月5日に公開のUK2211504)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びサルウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り、調節される。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点を更に含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウイルスを用いて哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系が、米国特許第4419446号に開示されている。この系の変形例は米国特許第4601978号に開示されている。また、単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトβ-インターフェロンcDNAの発現を記載している、Reyes等,Nature 297:598-601(1982)を参照。あるいは、ラウス肉腫ウイルス長末端反復をプロモーターとして使用することができる。
【0384】
(5)エンハンサーエレメント成分
より高等の真核生物による抗CD79b抗体をコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強されうる。エンハンサーは、転写を亢進するようにプロモーターに働く通常およそ10から300bpの、DNAのシス作用因子である。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる。また、真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサー要素については、Yaniv,Nature,297:17-18(1982)も参照のこと。エンハンサーは、抗CD79b抗体コード配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされうるが、好ましくはプロモーターから5’位に位置している。
【0385】
(6)転写終末成分
また、真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト又は他の多細胞生物の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、典型的には、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含みうる。このような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’、時には3’の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの領域は、抗CD79b抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号とそこに開示された発現ベクターを参照のこと。
組み換え脊椎動物細胞培養中での抗CD79b抗体の合成への適応に適する他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething et al.,Nature,293:620-625(1981);Mantei et al.,Nature,281:40-46(1979);欧州特許第117060号;及び欧州特許第117058号に記載される。
【0386】
4.宿主細胞の培養
本発明の抗CD79b抗体を製造するために用いられる宿主細胞は様々な培地で培養されてよい。
a.原核生物宿主細胞
本発明のポリペプチドを生産するために使用される原核生物細胞は当該分野で知られ、選択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖させられる。好適な培地の例には、ルリア培地(LB)プラス必須栄養分サプリメントが含まれる。ある実施態様では、培地は発現ベクターを含む原核生物細胞の増殖を選択的に可能にするために、発現ベクターの構成に基づいて選択される選択剤をまた含む。例えば、アンピシリンがアンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖用培地に加えられる。
炭素、窒素及び無機リン酸源の他に任意の必要なサプリメントを、単独で、又は複合窒素源のような他のサプリメント又は培地との混合物として導入される適切な濃度で含有させられうる。場合によっては、培養培地はグルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール及びジチオトレイトールからなる群から選択される一又は複数の還元剤を含みうる。
【0387】
原核生物宿主細胞は適切な温度で培養される。例えば、大腸菌の増殖に対して好ましい温度は、約20℃から約39℃、より好ましくは約25℃から約37℃の範囲、さらに好ましくは約30℃である。培地のpHは、主として宿主生物に応じて、約5から約9の範囲の任意のpHでありうる。大腸菌に対しては、pHは好ましくは約6.8から約7.4、より好ましくは約7.0である。
本発明の発現ベクターに誘導性プロモータが用いられる場合、プロモータの活性に適する条件下でタンパク質発現を誘導する。本発明の一態様では、ポリペプチドの転写制御のためにPhoAプロモータが用いられる。したがって、形質転換した宿主細胞を誘導のためにリン酸限定培地で培養する。好ましくは、リン酸限定培地はC.R.A.P培地である(例として、Simmons等,J.Immunol.Methods(2002),263:133-147を参照)。様々な他の誘導因子は用いるベクターコンストラクトに応じて当業者に知りうるように用いてよい。
一実施態様では、発現された本発明のポリペプチドは宿主細胞の細胞膜周辺中に分泌され、そこから回収される。タンパク質の回収は、一般的には浸透圧ショック、超音波処理又は溶解のような手段によって典型的には微生物を破壊することを含む。ひとたび細胞が破壊されると、細胞片又は全細胞を遠心分離又は濾過によって除去することができる。タンパク質は、例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーによって更に精製することができる。あるいは、タンパク質は培養培地に輸送しそこで分離することができる。細胞を培養物から除去することができ、培養上清は濾過され、生成したタンパク質の更なる精製のために濃縮される。発現されたポリペプチドを更に単離し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)及びウェスタンブロットアッセイ法のような一般的に知られている方法を使用して同定することができる。
【0388】
本発明の一側面では、抗体産生は発酵法によって多量に受け継がれる。組換えタンパク質の生産には様々な大規模流加発酵法を利用することができる。大規模発酵は少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1000から100000リットルの容量である。これらの発酵槽は、酸素と栄養分、特にグルコース(好ましい炭素/エネルギー源)を分散させる撹拌翼を使用する。小規模発酵とは一般におよそ100リットル以下の容積で、約1リットルから約100リットルの範囲でありうる発酵槽での発酵を意味する。
発酵法では、タンパク質の発現の誘導は、典型的には、細胞が適切な条件下にて、初期定常期に細胞があるステージで、所望の密度、例えば約180-220のOD_(550)まで増殖したところで開始される。当該分野で知られ上述されているように、用いられるベクターコンストラクトに応じて、様々なインデューサーを用いることができる。細胞を誘導前の短い時間の間、増殖させてもよい。細胞は通常約12-50時間の間、誘導されるが、更に長い又は短い誘導時間としてもよい。
【0389】
本発明のポリペプチドの生産収量と品質を改善するために、様々な発酵条件を変更することができる。例えば、分泌される抗体ポリペプチドの正しい組み立てとフォールディングを改善するために、例えばDsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD及び/又はDsbG)又はFkpA(シャペロン活性を持つペプチジルプロピルシス、トランス-イソメラーゼ)のようなシャペロンタンパク質を過剰発現する更なるベクターを用いて宿主原核細胞を同時形質転換させることができる。シャペロンタンパク質は細菌宿主細胞中で生産される異種性タンパク質の適切な折り畳みと溶解性を容易にすることが実証されている。Chen等(1999)J Bio Chem 274:19601-19605;Georgiou等,米国特許第6083715号;Georgiou等,米国特許第6027888号;Bothmann及びPluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17100-17105;Ramm及びPluckthun(2000)J.Biol.Chem.275:17106-17113;Arie等(2001)Mol.Microbiol.39:199-210。
発現された異種タンパク質(特にタンパク分解を受けやすいもの)のタンパク質分解を最小にするために、タンパク質分解酵素を欠くある種の宿主株を本発明に用いることができる。例えば、原核生物宿主細胞株を改変して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI及びその組合せのような既知の細菌プロテアーゼをコードしている遺伝子に遺伝子突然変異を生じさせることができる。幾つかの大腸菌プロテアーゼ欠損株が利用でき、例えば、上掲のJoly等(1998);Georgiou等,米国特許第5264365号;Georgiou等,米国特許第5508192号;Hara等(1996)Microbial Drug Resistance 2:63-72に記載されている。
ある実施態様では、タンパク質溶解性酵素を欠損した、一以上のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換した大腸菌株を本発明の発現系の宿主細胞として用いる。
【0390】
b.真核生物宿主細胞
市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地((MEM),(シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM),シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。また、Ham等,Meth.Enz.58:44(1979),Barnes等,Anal.Biochem.102:255(1980),米国特許第4767704号;同4657866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;又は米国再発行特許第30985号に記載された何れの培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地には何れもホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCIN^(TM)薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価なエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必須補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について過去に用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
【0391】
5.遺伝子増幅/発現の検出
遺伝子の増幅及び/又は発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりのサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法[Thomas,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:5201-5205(1980)]、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリダイゼーションによって、直接的に試料中で測定することができる。或いは、DNA二本鎖、RNA二本鎖、及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク質二本鎖を含む特定の二本鎖を認識することができる抗体を用いてもよい。抗体を順に標識することができ、二本鎖が表面に結合される場合はアッセイを行って、表面上に二本鎖が形成されたら、二本鎖に二本鎖に結合された抗体の存在を検出することができる。
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量化する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって、測定することもできる。試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列CD79bポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列に基づいた合成ペプチドに対して、又はCD79bDNAに融合し、特異的抗体をコードする外因性配列に対して調製され得る。
【0392】
6.抗CD79b抗体の精製
抗CD79b抗体の形態は、培養液又は宿主細胞の可溶化液から回収される。膜に結合している場合、ポリペプチドは、適切な洗剤溶液(例えばトリトンX100)を用いて又は酵素の切断により、膜から解放することができる。抗CD79b抗体の発現に用いられる細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤などの種々の化学的又は物理的手段によって破壊することができる。
抗CD79b抗体を、組換え細胞タンパク又はポリペプチドから精製することが望ましい場合がある。適切な精製手順の例である次の手順により精製される:すなわち、イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAEによるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;IgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラム;及び抗CD79b抗体のエピトープタグ形態を結合させる金属キレート化カラムである。この分野で知られ、例えば、Deutscher,Methods in Enzymology,182(1990);Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer-Verlag,New York(1982)に記載された多くのタンパク質精製方法を用いることができる。選ばれる精製過程は、例えば、用いられる生成方法及び生成される特定の抗CD79b抗体の性質に依存する。
組換え技術を使用する場合、抗体は細胞内、細胞膜周辺腔内に生成されるか、又は培地に直接分泌され得る。抗体が細胞内に生成される場合、第1工程として、粒状屑、宿主細胞又は溶菌断片を、例えば遠心分離又は超遠心分離にかけて取り除く。Carter等,Bio/Technology 10:163-167(1992)は、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌される抗体を単離するための手順について記載している。簡単に述べると、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)の存在下で、30分以上かけて解凍する。細胞屑は遠心分離により除去することができる。抗体が培地へ分泌されている場合、そのような発現系からの上清は、一般的には、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はMillipore Pelliconの限外濾過ユニットを用いて最初に濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を上記の任意の工程に含めてタンパク質分解を阻害してもよく、抗生物質を含めて外来性の汚染物の成長を防止してもよい。
【0393】
細胞から調製される抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製され、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。アフィニティリガンドとしてのプロテインAの適合性は抗体に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体の精製に用いることができる(Lindmark等,J.Immunol.Meth.62:1-13[1983])。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss等,EMBO J.5:15671575[1986])。アフィニティリガンドが結合されるマトリクスはアガロースであることが最も多いが、他の材料も使用可能である。孔制御ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスは、アガロースで達成できるものより早い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がC_(H)3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上のクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラム)上でのヘパリンSEPHAROSE(商品名)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿などの他のタンパク質精製技術も、回収される抗体に応じて利用可能である。
任意の予備精製工程に続いて、対象とする抗体と汚染物とを含む混合物に、約2.5-4.5のpHでの溶離バッファーを用いて、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーを施してもよく、好ましくは低い塩濃度(例えば、約0-0.25M塩)で実施される。
【0394】
G.薬学的製剤
本発明の抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)は、治療される症状に適切な任意の手段によって投与されてもよい。典型的にADCは、非経口的に、すなわち注入、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外投与される。
これらの癌を治療するために、一実施態様では、抗体-薬剤コンジュゲートは静脈内注入により投与される。注入により投与される用量は、1用量当たりおよそ1μg/m^(2)からおよそ10000μg/m^(2)の範囲で、一般に週1回、合計1、2、3又は4回の用量である。あるいは、用量範囲は、およそ1μg/m^(2)からおよそ1000μg/m^(2)、およそ1μg/m^(2)からおよそ800μg/m^(2)、およそ1μg/m^(2)からおよそ600μg/m^(2)、およそ1μg/m^(2)からおよそ400μg/m^(2)、およそ10μg/m^(2)からおよそ500μg/m^(2)、およそ10μg/m^(2)からおよそ300μg/m^(2)、およそ10μg/m^(2)からおよそ200μg/m^(2)、及びおよそ1μg/m^(2)からおよそ200μg/m^(2)である。投薬は、1日1回、1週間に1回、1週間に複数回(1日1回より少ない)、1か月に複数回(1日1回より少ない)、1か月に複数回(1週間に1回より少ない)、1か月に1回又は疾患の症状が寛解又は緩和するように間欠的に投与されてもよい。投与は、腫瘍又はリンパ腫の症状、治療される白血病が寛解するまで開示したいずれかの間隔で継続されてもよい。このような寛解又は軽減がこのような継続的な投与によって延長される症状の寛解又は軽減が達成される後に、投与を続けてもよい。
【0395】
また、本発明は、自己免疫性疾患に罹っている患者に、治療的に有効な量の前記実施態様のいずれか一のヒト化MA79b抗体-薬剤コンジュゲートを投与することを含む、自己免疫性疾患の緩和方法を提供する。好ましい実施態様では、抗体は、静脈内又は皮下に投与される。抗体-薬剤コンジュゲートは1用量につきおよそ1μg/m^(2)からおよそ100mg/m^(2)の範囲の用量で静脈内投与され、そして具体的な実施態様では、用量は1μg/m^(2)からおよそ500μg/m^(2)である。投薬は、1日1回、1週間に1回、1週間に複数回(1日1回より少ない)、1か月に複数回(1日1回より少ない)、1か月に複数回(1週間に1回より少ない)、1か月に1回又は疾患の症状が寛解又は緩和するように間欠的に投与されてもよい。投与は、治療される自己免疫性疾患の症状が寛解又は緩和するまで開示したいずれかの間隔で継続されてもよい。このような寛解又は軽減がこのような継続的な投与によって延長される症状の寛解又は軽減が達成される後に、投与を続けてもよい。
また、本発明は、B細胞増殖性疾患(リンパ腫及び白血病を含むがこれらに限定するものではない)又は自己免疫性疾患などのB細胞疾患を患っている患者に、治療的に有効な量の前記実施態様のいずれか一に記載のヒト化MA79b抗体であって、細胞障害性分子や検出可能な分子にコンジュゲートされていない抗体を投与することを含むB細胞疾患の治療方法を提供する。抗体は一般的に、およそ1μg/m^(2)からおよそ1000mg/m^(2)の用量範囲で投与されるであろう。
【0396】
一態様では、本発明はさらに、少なくとも一の本発明の抗CD79b抗体及び/又は少なくとも一のこのイムノコンジュゲート及び/又は少なくとも一の本発明の抗CD79b抗体-薬剤コンジュゲートを含有する薬学的製剤を提供する。いくつかの実施態様では、薬学的製剤は、1)本発明の抗体及び/又はこのイムノコンジュゲートと、2)薬学的許容性のある担体とを含有する。いくつかの実施態様では、薬学的製剤は、1)本発明の抗体及び/又はこのイムノコンジュゲートと、場合によって2)少なくとも一の付加的治療剤とを含有する。更なる治療剤には以下に記載のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。典型的に、ADCは非経口的に、すなわち、注入、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外に投与されるであろう。
本発明に従って用いられる抗CD79b抗体又はCD79bイムノコンジュゲートを含有する治療用製剤は、所望の純度を持つ抗体又はイムノコンジュゲートと、場合によっては薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤を混合することにより(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))、凍結乾燥又は水溶液の形態に調製されて保存される。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、アセテート、トリス、ホスフェート、シトレート及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;トレハロース及び塩化ナトリウム等のtonicifier;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。インビボ投与に用いられる薬学的製剤は一般に滅菌されている。これは滅菌濾過メンブレンによる滅菌によって容易に達成される。
【0397】
また、本明細書中の製剤は、治療される特定の症状に必要な一より多い活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含みうる。例えば、抗CD79b抗体に加え、一製剤中に、更なる抗体、例えばCD79bポリペプチド上の異なるエピトープを結合する第二抗CD79b抗体、又は特定の癌の増殖に影響する増殖因子などのいくつかの他の標的に対する抗体を含むのが望ましいかもしれない。あるいは又はさらに、組成物はさらに、化学療法剤、細胞障害性剤、サイトカイン、増殖阻害性剤、抗ホルモン剤及び/又は心臓保護剤を含んでもよい。このような分子は、意図する目的のために有効である量で組み合わせて好適に存在する。
【0398】
また活性成分は、例えばコアセルベーション技術あるいは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに、コロイド状ドラッグデリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ-粒子及びナノカプセル)に、あるいはマクロエマルションに捕捉させてもよい。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
徐放性調合物を調製してもよい。徐放性調合物の好ましい例は、抗体を含む疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸等のポリマーは、分子を100日以上かけて放出することを可能にするが、ある種のヒドロゲルはタンパク質をより短い時間で放出する。カプセル化されたイムノグロブリンが体内に長時間残ると、37℃の水分に暴露された結果として変性又は凝集し、生物活性を喪失させ免疫原性を変化させるおそれがある。合理的な戦略を、関与するメカニズムに応じて安定化のために案出することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換による分子間S-S結合の形成であることが見いだされた場合、安定化はスルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥させ、水分含有量を制御し、適当な添加剤を使用し、また特定のポリマーマトリクス組成物を開発することによって達成されうる。
【0399】
抗体は、標的細胞/組織への運搬のために任意の適切な様式で調製されてもよい。例えば、抗体はイムノリポソームとして調製されてもよい。「リポソーム」は、哺乳動物への薬剤の運搬に有用である様々な種類の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小さいベシクルである。リポソームの構成成分は二重層形成に共通に配置される。そして、生物学的膜の脂質配列と同種である。抗体を含むリポソームは、Epstein等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688(1985);Hwang等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030(1980);米国特許第4485045号及び同4544545号;及び1997年10月23日公開の国際公開97/38731に記載されるような、当分野において既知の方法により調製される。循環時間が増したリポソームは米国特許第5013556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含有する脂質組成物を用いた逆相蒸発法により作製することができる。リポソームは孔径が定められたフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソームが得られる。本発明の抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応を介して、Martin等,J.Biol.Chem.257:286-288(1982)に記載されているようにしてリポソームにコンジュゲートすることができる。場合によっては、化学療法剤はリポソーム内に包含される。Gabizon等,J.National Cancer Inst.81(19)1484(1989)を参照されたい。
インビボ投与のために使用される製剤は無菌でなければならない。これは、濾過滅菌メンブレンによる濾過によって容易に達成される。
【0400】
H.抗CD79b抗体による治療
癌におけるCD79b発現を定量するために、種々の検出アッセイが利用可能である。一実施形態では、CD79bポリペプチド過剰発現は、免疫組織化学(IHC)によって分析される。腫瘍生検からのパラフィン包埋組織切片をIHCアッセイへ供してもよいし、次のようなCD79bタンパク質染色強度基準と合致させてもよい:
スコア0-染色が観察されないか、又は膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+-わずかに/弱く認知できる程度の膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて検出される。細胞はそれらの膜の一部のみが染色される。
スコア2+-弱いないしは中程度の完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
スコア3+-中程度から強い完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
CD79bポリペプチド発現に関して0又は1+スコアの腫瘍は、CD79bが過剰発現していないことを特徴としうるものであるのに対し、2+又は3+スコアの腫瘍はCD79bが過剰発現していることを特徴としうる。
別に、又は付加的に、FISHアッセイ、例えばINFORM(登録商標)(Ventana,Arizonaから販売)又はPATHVISION(登録商標)(Vysis,Illinois)を、ホルマリン固定、パラフィン包埋された腫瘍組織で実施して、腫瘍におけるCD79bポリペプチド過剰発現の程度(生じているならば)を測定してもよい。
【0401】
CD79b過剰発現又は増幅は、インビボ検出アッセイを使用して評価することができ、例えば検出される分子に結合し、検出可能な標識(例えば、放射性同位体又は蛍光標識)が付けられた分子(例えば抗体)を投与し、標識の局在化について患者を外部スキャニングする。
上に記載したように、本発明の抗CD79b抗体には、種々の非治療的用途がある。本発明の抗CD79b抗体は、CD79bポリペプチドを発現している癌の染色にとって有用である(例えば、ラジオイメージングで)。また、他の細胞の精製の工程として、混合細胞の集団からCD79b発現細胞を死滅させて除去するために、この抗体は、例えば、ELISA又はウエスタンブロットにおいて、インビトロでCD79bポリペプチドの検出及び定量化のために、細胞からCD79bポリペプチドを精製又は免疫沈降するのに有用である。
【0402】
現在、癌の段階に応じて、癌の治療には、次の治療:外科手術による癌組織の除去、放射線治療、及び化学治療の一つ、又はそれらを組合せたものが含まれる。抗CD79b抗体による治療は、特に、化学治療における副作用や毒素に対する耐性がない老年の患者、及び放射線治療の有用性に限界がある転移性疾患において所望されている。本発明の腫瘍標的化抗CD79b抗体は、疾患の初期診断時及び再発中におけるCD79b発現癌の緩和に有用である。治療用途に関しては、抗CD79b抗体は、単独で、あるいは例えば、ホルモン、抗血管形成、又は放射標識された化合物と共に、又は外科手術、寒冷療法、及び/又は放射線治療と組み合わせてもよく、使用してもよい。抗CD79b抗体による治療は、従来的治療の前又は後のいずれかに連続させて、他の形態の従来的治療と共に実施することができる。化学療法剤、例えばタキソテレ(登録商標)(ドセタキセル)、タキソール(登録商標)(パリクタキセル)、エストラムスチン及びミトキサントロンは、癌、特に危険性の少ない患者の癌治療に使用される。癌を治療又は緩和するための本発明の方法において、上述した一又は複数の化学療法剤による治療と組合せて、癌患者に抗CD79b抗体を投与することができる。特に、パリクタキセル及び改変誘導体との組合せ治療が考えられる(例えば、欧州特許第0600517号を参照のこと)。抗CD79b抗体は治療的有効量の化学療法剤と共に投与されるであろう。他の実施形態では、抗CD79b抗体は化学療法剤、例えばパクリタキセルの活性及び効力を高めるための化学治療と組合せて投与される。医師用卓上参考書(PDR)には、種々の癌治療に使用されるこれらの薬剤の用量が開示されている。治療的に有効な上述の化学療法剤の投薬計画及び用量は、治療される特定の癌、疾患の程度、及び当該技術分野の医師によく知られている他の因子に依存し、医師が決定することができる。
【0403】
特定の一実施形態では、細胞障害剤に結合した抗CD79b抗体を含有する毒素コンジュゲートを患者に投与する。好ましくは、CD79bタンパク質に結合した免疫コンジュゲートは細胞によりインターナリゼーションし、結果として、それが結合した癌細胞の殺傷性における免疫コンジュゲートの治療的効果が向上する。好ましい実施形態では、細胞障害剤は、癌細胞内の核酸を標的とするか、又はこれに干渉する。このような細胞障害剤の例は、上述されており、メイタンシノイド、カリケアマイシン、リボヌクレアーゼ及びDNAエンドヌクレアーゼを含む。
抗CD79b抗体又はその毒素コンジュゲートは、公知の方法、例えばボーラス、もしくは一定時間にわたる連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、くも膜下腔内、経口、局所的、又は吸入経路により、ヒトの患者に投与される。抗体の静脈内又は皮下投与が好ましい。
他の治療計画を抗CD79b抗体の投与と組合せてもよい。組合せ投与には、別々の製剤又は単一の医薬製剤を使用する同時投与、及び好ましくは両方(又は全ての)活性剤が同時にその生物学的活性を働かせる時間があるいずれかの順での連続投与が含まれる。このような組合せ治療により、結果として相乗的治療効果が生じることが好ましい。
【0404】
また、特定の癌に関連した他の腫瘍抗原に対する抗体の投与と共に、抗CD79b抗体又は抗体類の投与を組合せることが望ましい。
他の実施形態では、本発明の治療方法は、異なる化学療法剤の混合物の同時投与を含む、抗CD79b抗体(又は抗体類)と一又は複数の化学療法剤又は増殖阻害剤との組合せ投与、例えば異なる化学療法剤又は他の細胞障害性剤又は腫瘍の増殖を阻害する他の治療剤の混合液の同時投与を含む。化学療法剤には、リン酸エストラムスチン、プレドニムスチン、シスプラチン、5-フルオロウラシル、メルファラン、シクロホスファミド、ヒドロキシ尿素及びヒドロキシ尿素タキサン類(hydroxyureataxanes)(例えばパクリタキセル及びドキセタキセル)及び/又はアントラサイクリン抗生物質が含まれる。このような化学療法剤の調製及び投与スケジュールは製造者の注意書きに従い使用されるか、又は熟練した実務者により経験的に決定される。このような化学療法の調製及び投与スケジュールは、Chemotherapy Service編 M.C.Perry,Williams & Wilkins,Baltimore,MD(1992)にも記載されている。抗体は、抗ホルモン化合物;例えばタモキシフェン等の抗-エストロゲン化合物;抗-プロゲステロン、例えばオナプリストン(onapristone)(欧州特許第616812号を参照);又は抗アンドロゲン、例えばフルタミドを、このような分子に対して既知の用量で組合せてもよい。治療される癌がアンドロゲン非依存性癌である場合、患者は予め抗アンドロゲン治療を受け、癌がアンドロゲン非依存性になった後、抗CD79b抗体(及び場合によってはここに記載した他の薬剤)を患者に投与してもよい。
【0405】
しばしば、心臓保護剤(治療に関連する心筋の機能不全を防止又は低減するため)又は一又は複数のサイトカインを患者に同時投与することも有益なことである。上述した治療摂生に加えて、抗体治療の前、同時又は治療後に、外科的に癌細胞を取り除くか、及び/又は放射線治療(例えば外的ビーム照射又は抗体のような放射標識薬剤での治療)を施してもよい。上述した任意の同時投与される薬剤の適切な用量は現在使用されている量であり、抗CD79bと薬剤の組合せ作用(相乗作用)に応じてより少なくしてもよい。
【0406】
本発明の抗体組成物は良好な医療行為に一致した形で処方され、投与量が決められ、投与される。この場合に考慮される因子には、治療されている特定の疾患、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、医師に知られている他のファクターが含まれる。抗体は、必ずしもそうする必要はないが、場合によっては、当該疾患の予防又は治療のために現在使用されている一又は複数の薬剤と共に処方される。かかる他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する本発明の抗体の量、疾患又は治療のタイプ、及び上で検討した他の因子に依存する。これらは、一般に、これまで使用されたものと同じ用量及び投与経路で、あるいはこれまで用いられた投薬量の約1から99%で使用される。
【0407】
疾患の予防又は治療のため、投与量及び投与方式は、公知の基準に従い、医師により選択されるであろう。抗体の適切な用量は、上記のような治療される疾患の種類、疾患の重症度及び過程、抗体を予防目的で投与するのか治療目的で投与するのか、過去の治療、患者の臨床歴及び抗体への応答性、担当医の裁量に依存するであろう。抗体は一度に又は一連の処置にわたって患者に適切に投与される。好ましくは、抗体は静脈注入又は皮下注射により投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば一又は複数の別個の投与又は連続注入のいずれであれ、体重1kg当たり約1μgから約50mg(例えば約0.1-15mg/kg/用量)の抗体を患者への最初の投与量の候補とすることができる。投薬計画は、約4mg/kgの初期負荷量、続いて1週間に約2mg/kgの維持用量の抗CD79b抗体を投与することからなってよい。しかしながら、他の投薬計画も有効であろう。上述した因子に応じて、典型的な一日の投与量は約1μg/kgから100mg/kgあるいはそれ以上の範囲である。数日間又はそれ以上の繰り返し投与の場合、状態によっては、疾患の徴候の望ましい抑制が生じるまで処置を維持する。この治療の進行状態は、医師又は他の当業者に公知の基準をベースにした通常の方法やアッセイで容易にモニターされる。
【0408】
抗体タンパク質の患者への投与の他に、本出願は遺伝子治療による抗体の投与を考察する。抗体をコードする核酸の投与は「抗体を治療的有効量で投与する」という表現に含まれる。例えば、遺伝子治療を用いた細胞内抗体の産生に関する、1996年3月14日に公開された国際公開第96/07321号を参照のこと。
核酸(場合によってはベクター内に含まれたもの)を患者の細胞に入れるために:インビボ及びエキソビボという2つの主要な方法がある。インビボ送達では、核酸は、通常は抗体が必要とされている部位に直接注入される。エキソビボ処理では、患者の細胞を取り出し、核酸をこれらの単離された細胞に導入し、修飾された細胞を患者に、直接、又は例えば患者に埋め込まれる多孔性膜にカプセル化して投与する(米国特許第4892538号及び第5283187号参照)。核酸を生細胞に導入するために利用可能な種々の技術がある。これらの技術は、核酸が培養された細胞にインビトロで移入されるか、又は対象とする宿主にインビボで移入されるかによって異なる。哺乳動物細胞にインビトロで核酸を移入するのに適した技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈降法などの使用を含む。遺伝子のエキソビボ送達に通常用いられるベクターはレトロウイルスベクターである。
【0409】
現在好まれているインビボ核酸移入技術は、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ関連ウイルス)、及び脂質ベースの系(例えば、遺伝子の脂質媒介移入に有用な脂質は、DOTMA、DOPE、及びDC-Cholである)での形質移入を含む。現在知られている遺伝子マーキング及び遺伝子治療プロトコールの概説については、Anderson等,Science,256:808-813(1992)を参照のこと。また、国際公開第93/25673号及びそこに引用された参考文献も参照。
本発明の抗CD79b抗体は、ここでの「抗体」の定義により包含される様々な形態であってよい。よって、抗体には、完全長又は無傷抗体、抗体断片、天然配列抗体又はアミノ酸変異体、ヒト化、キメラ又は融合抗体、免疫コンジュゲート、及びそれらの機能的断片が含まれる。融合抗体において、抗体配列は異種ポリペプチド配列に融合している。抗体はFc領域が修飾されて、所望のエフェクター機能を提供することができる。以下の段落に詳細に記載されるように、適切なFc領域と共に、細胞表面に結合したそのままの抗体は、例えば抗体-依存性細胞障害(ADCC)を介して又は相補鎖依存性細胞障害において相補鎖を補充することにより、又は他のいくつかのメカニズムにより、細胞障害性を誘発し得る。また、副作用及び治療による合併症を最小にするようにエフェクター機能を除去又は低減することが望ましい場合には、所定の他のFc領域が使用される。
一実施形態では、抗体は、本発明の抗体と同じエピトープとの結合に関して競合するか、又はこれに実質的に結合する。また、本発明の抗CD79b抗体の生物学的特徴を有する抗体、特にインビボ腫瘍ターゲティング及び任意の細胞増殖阻害又は細胞障害特性を含むものが考察される。
上述した抗体の産生方法をここで詳細に記載する。
【0410】
本抗CD79b抗体は、哺乳動物におけるCD79bを発現する癌の治療、或いは、該癌の一又は複数の症状の緩和に有用である。そのような癌には、限定するものではないが、造血癌又は血液関連癌、例えばリンパ腫、白血病又はリンパ性悪性疾患と、また脾臓の癌及びリンパ節の癌が含まれる。かかるB細胞関連癌のより特定的な例には、例えば高悪性度、中悪性度及び低悪性度リンパ腫(B細胞リンパ腫、例えば粘膜関連リンパ組織B細胞リンパ腫及び非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、濾胞性リンパ腫、及びホジキンリンパ腫及びT細胞リンパ腫を含む)及び白血病(二次性白血病、慢性リンパ性白血病、例えばB細胞白血病(CD5+Bリンパ球)、骨髄性白血病、例えば急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、例えば急性リンパ芽球性白血病及び骨髄異形成を含む)、及び他の血液及び/又はB細胞又はT細胞関連癌が含まれる。癌は前述の癌が転移したものを含む。抗体は、哺乳動物においてCD79bポリペプチドを発現している癌細胞の少なくとも一部に結合可能である。好ましい一実施形態では、抗体は、インビボ又はインビトロで、細胞上のCD79bポリペプチドに結合すると、CD79bを発現する腫瘍細胞を破壊又は死滅させるか、又はこのような腫瘍細胞の増殖を阻害するのに効果的である。このような抗体には、ネイキッド抗CD79b抗体(いかなる薬剤にも結合していない)が含まれる。細胞傷害性又は細胞増殖阻害特性を有するネイキッド抗体は、細胞障害剤と併用すると、より強く腫瘍細胞を破壊することが可能である。例えば細胞障害剤と抗体とを結合させ、ここに記載するような免疫コンジュゲートを形成させることによって、細胞障害特性を抗CD79b抗体に付与することができる。この細胞障害剤又は増殖阻害剤は、好ましくは小分子である。毒素、例えばカリケアマイシン又はメイタンシノイド、及びそれらの類似物又は誘導体を使用することが好ましい。
【0411】
本発明は、本発明の抗CD79b抗体と担体を含有する組成物を提供する。癌の治療のために、組成物はその治療の必要性に応じて患者に投与することができ、ここで組成物は免疫コンジュゲート又はネイキッド抗体として存在する一又は複数の抗CD79b抗体を含有し得る。さらなる実施形態においては、組成物は、他の療法剤、例えば化学療法剤を含む成長阻害剤又は細胞障害剤とこれらの抗体を組合せて含有することもできる。また本発明は、本発明の抗CD79b抗体と担体を含有する製剤も提供する。一実施形態では、製剤は製薬的に許容可能な担体を含有する治療用製剤である。
本発明の他の態様は、抗CD79b抗体をコードする単離された核酸分子である。H及びL鎖、特に高頻度可変領域残基をコードする核酸、天然配列抗体及び変異体をコードする鎖、該抗体の修飾体及びヒト化形態を含む。
本発明は、抗CD79b抗体を治療的有効量、哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるCD79bポリペプチド発現癌の治療又は癌の一又は複数の徴候を緩和するのに有用な方法を提供する。抗体治療組成物は、医師の指示通りに、短い期間(急性)又は慢性的に、又は間欠的に投与することができる。また、CD79bポリペプチドを発現する細胞の増殖を阻害し、該細胞を殺傷する方法も提供される。
本発明は少なくとも一つの抗CD79b抗体を含有するキット又は製造品も提供する。抗CD79b抗体を含むキットは、例えばCD79b細胞殺傷アッセイ、細胞からのCD79bポリペプチドの精製又は免疫沈降における用途が見出されている。例えば、CD79bの単離及び精製のためには、キットはビーズ(例えばセファロースビース)に結合した抗CD79b抗体を含むことができる。インビトロにおけるCD79bの検出及び定量化、例えばELISA又はウエスタンブロットにおける抗体を含むキットを提供することもできる。検出に有用なこのような抗体は、蛍光又は放射標識などの標識が付されて提供され得る。
【0412】
I.抗体-薬剤コンジュゲート治療
本発明の抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)は、例えば腫瘍抗原の過剰発現によって特徴付けられる様々な疾病又は疾患を治療するために使用することはできる。例示的症状又は過剰増殖疾患には、良性及び悪性腫瘍;白血病及びリンパ系腫瘍が含まれる。他のものには、自己免疫を含む、神経細胞、膠細胞、星状膠細胞、視床下部、腺性、マクロファージ、上皮、間質性、胞胚腔、炎症性、血管形成及び免疫性疾患が含まれる。
動物モデル及び細胞ベースアッセイにおいて同定されるADC化合物は、腫瘍を持つ高等霊長類及びヒト臨床治験で更に試験することができる。ヒト臨床治験を、限定しないが、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵襲性NHL、再発侵襲性NHL、再発無痛性NHL、難治性NHL、難治性無痛性NHL、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、ヘアリーセル白血病(HCL)、急性リンパ性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫を含むB細胞増殖疾患を被っている患者において本発明の抗CD79bモノクローナル抗体又は免疫コンジュゲートの効能を試験するために設計することができる。臨床治験は、放射線及び/又は既知の化学療法及び/又は細胞傷害剤を含む化学療法のような、既知の治療法と併用してのADCの効能を評価するために設計することができる。
【0413】
一般に、治療される疾病又は疾患は、B細胞増殖疾患及び/又はB細胞癌のような過剰増殖疾患である。ここで治療される癌の例には、限定するものではないが、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵襲性NHL、再発侵襲性NHL、再発無痛性NHL、難治性NHL、難治性無痛性NHL、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、ヘアリーセル白血病(HCL)、急性リンパ性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫から選択されるB細胞増殖疾患が含まれる。
癌は、本発明のADCが癌細胞に結合できるように、CD79b発現細胞を含みうる。癌におけるCD79bの発現を決定するために、様々な診断/予後アッセイが利用できる。一実施態様では、CD79bの過剰発現はIHCによって分析することができる。腫瘍バイオプシーからのパラフィン包埋組織切片にIHCアッセイを施し、染色の程度及び検査される腫瘍細胞の割合に関してCD79bタンパク質の染色強度基準に一致させる。
【0414】
疾患の予防又は治療の場合、ADCの適切な投薬量は、上で定めた処置される疾患のタイプ、疾患の重篤度と経過、分子が予防目的又は治療目的で投与されるかどうか、過去の治療、患者の臨床歴、抗体に対する応答性、及び担当医の裁量に依存する。分子は一度に又は一連の処置にわたって患者に適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、例えば一又は複数の別個の投与又は連続注入のいずれであれ、体重1kg当たり約1μgから15mg(例えば0.1-20mg/kg/用量)の分子を患者への最初の投与量の候補とすることができる。上述した因子に応じて、典型的な一日の投与量は約1μg/kgから100mg/kgあるいはそれ以上の範囲である。患者に投与されるADCの例示的投薬量は、約0.1から約10mg/kg患者体重の範囲である。
症状に応じて数日又は更に長い間、繰り返して投与する場合、疾患症状の所望の抑制が得られるまで、治療が持続される。例示的な投薬計画は、約4mg/kgの初期負荷量、続いて1週間に約2mg/kgの維持用量の抗ErbB2抗体を投与することを含む。他の投薬計画も有効であろう。この治療の進行状態は、通常の方法やアッセイで容易にモニターされる。
【0415】
J.併用治療法
本発明の抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)は、抗癌特性を有する第二化合物と、薬学的併用製剤、又は併用療法としての投薬計画において、組み合わせることができる。薬学的併用製剤又は投薬計画の第二化合物は、好ましくは、それらが互いに悪影響を及ぼさないように、併用のADCに対して相補的活性を有している。
第二化合物は、化学療法剤、細胞傷害剤、サイトカイン、増殖阻害剤、抗ホルモン剤、及び/又は心臓保護薬でありうる。かかる分子は、好適には、意図された目的に対して効果的である量で組み合わせて存在する。本発明のADCを含む薬学的組成物は、チューブリン形成阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、又はDNAバインダーのような化学療法剤の治療的有効量をまた有しうる。
一態様では、第一化合物は、本発明の抗CD79b ADCであり、第二化合物は抗CD20抗体(ネイキッド抗体かADCの何れか)である。一実施態様では、第二化合物は抗CD20抗体リツキシマブ(リツキサン(登録商標))又は2H7(ジェネンテック社,South San Francisco,CA)である。本発明の抗CD79b ADCとの併用免疫療法に有用な他の抗体は、限定しないが、抗VEGF(例えばアバスチン(登録商標))を含む。
【0416】
限定しないが、放射線療法及び/又は骨髄及び末梢血移植、及び/又は細胞傷害剤、化学療法剤、又は増殖阻害剤を含む他の治療計画を、本発明に従って同定された抗癌剤の投与と併用することができる。かかる実施態様の一つでは、化学療法剤は、例えばシクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン(オンコビン^(TM))、プレドニソロン、CHOP、CVP、又はCOP、又は免疫療法剤、例えば抗CD20(例えばリツキサン(登録商標))又は抗VEGF(例えばアバスチン(登録商標))のような薬剤又は薬剤の組合せである。
併用療法は、同時の又は連続的な投与計画として投与されうる。連続的に投与される場合、併用剤は二以上の投与で投与されうる。併用投与は、別個の製剤又は単一の薬学的製剤を使用する同時投与と、双方(又は全て)の活性剤がその生物学的活性を同時に作用させる時間が好ましくは存在する何れかの順の連続投与とを含む。
【0417】
一実施態様では、ADCでの治療は、ここで同定された抗癌剤と、異なった化学療法剤のカクテルの同時投与を含む一又は複数の化学療法剤又は増殖阻害剤の併用投与を含む。化学療法剤には、タキサン(例えばパクリタキセル及びドセタキセル)及び/又はアントラサイクリン抗生物質が含まれる。かかる化学療法のための調製及び投薬スケジュールは、製造者の指示書に従って、又は熟練者によって経験的に決定されるようにして、使用されうる。かかる化学療法のための調製及び投薬スケジュールは、また”Chemotherapy Service”,(1992)Ed.,M.C.Perry,Williams & Wilkins,Baltimore,Mdに記載されている。
上記の同時投与剤の何れかのための好適な投薬用量は現在使用されているものであり、新規に同定された薬剤と他の化学療法剤又は治療法との組合せ作用(相乗性)のために低くしてもよい。
併用療法は、「相乗性」をもたらし得、「相乗的」であり得、つまり活性成分が一緒に使用された場合に達成される効果が化合物を別個に使用することから得られる効果の合計よりも大きい。相乗効果は、(1)併用された単位投薬製剤の形で同時処方され同時に投与又は送達される場合;(2)別個の製剤として交互に又は平行して送達される場合;又は(3)ある他の療法によって、達成されうる。交互治療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が、例えば別個のシリンジでの異なった注入によって連続的に投与又は送達される場合に達成されうる。一般に、交互治療中においては、各活性成分の有効投薬量が連続的に、つまり連続して投与される一方、併用療法では、二以上の活性成分の有効投薬量が一緒に投与される。
【0418】
K.製造品及びキット
本発明の他の実施態様は、CD79bを発現する癌の治療、予防及び/又は診断に有用な物質を含む製造品である。該製造品は容器と容器に付与又は添付されるラベル又はパッケージ挿入物を含んでなる。好適な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジ等を含む。容器は、ガラス又はプラスチックなどの多様な材料から形成されうる。容器は、癌の症状の治療、予防及び/又は診断に有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルでありうる)。組成物中の少なくとも一つの活性剤は本発明の抗CD79b抗体である。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が癌の治療のために使用されることを示す。ラベル又はパッケージ挿入物は、癌患者に抗体組成物を投与する際の注意書きをさらに含む。更に、製造品は製薬的に許容可能なバッファー、例えば注射用の静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液及びデキストロース溶液を含む第2の容器を具備しうる。他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料を更に含んでもよい。
様々な目的、例えばCD79b発現細胞殺傷アッセイ、細胞からのCD79bポリペプチドの精製又は免疫沈降に有用なキットも提供される。CD79bポリペプチドの単離及び精製では、キットはビーズ(例えばセファロースビーズ)に結合した抗CD79b抗体を含むことが可能である。インビトロでのCD79bポリペプチドの検出及び定量化、例えばELISA又はウエスタンブロットのために抗体を含むキットを提供することもできる。製造品と同様、キットも容器と容器に付与又は添付されるラベル又は能書を含んでなる。容器には少なくとも1つの本発明の抗CD79b抗体を含有する組成物が収容されている。希釈液及びバッファー、コントロール抗体等を収容する付加的な容器を具備していてもよい。ラベル又は能書は、組成物についての記載並びに意図されたインビトロ又は検出用途に関する注意書きを提供するものである。
【0419】
L.CD79bポリペプチドの用途
本発明は、CD79bポリペプチドを模倣するもの(アゴニスト)又はCD79bポリペプチドの効果を防止するもの(アンタゴニスト)を同定するために化合物をスクリーニングする方法を包含する。アンタゴニスト薬剤候補のスクリーニング分析は、本明細書中で同定される遺伝子によりコードされるCD79bポリペプチドに結合し、若しくはそれと複合体形成する化合物、あるいは例えば細胞からのCD79bポリペプチドの発現を阻害することを含む、そうでなければコードされるポリペプチドの他の細胞性タンパク質との相互作用を妨げる化合物を同定するように設計される。このようなスクリーニング分析には、ハイスループットスクリーニングにより化学ライブラリーを分析できる分析を含み、小分子の薬剤候補を同定するのに特に適したものにする。
分析は、当該分野でよく特性付られているタンパク質-タンパク質結合分析、生化学的スクリーニング分析、免疫分析、及び細胞ベース分析を含む様々な形式で行われ得る。
アンタゴニストのための全ての分析は、ここで同定された核酸によってコードされるCD79bポリペプチドに薬剤候補を、これら二成分が相互作用することを可能にする条件及び十分な時間、接触させることを必要とする点で共通している。
【0420】
結合分析では相互作用は結合であり、形成された複合体は反応混合物中で単離又は検出され得る。特定の実施態様では、本明細書中で同定される遺伝子によりコードされたCD79bポリペプチド又は薬剤候補は、例えば、マイクロタイタープレート等の固相上に、共有、若しくは非共有結合により固定される。非共有結合は一般に固体表面をCD79bポリペプチドの溶液で被覆し、乾燥することによって達成される。あるいは、固定化されるべきCD79bポリペプチドに特異的な、例えばモノクローナル抗体である固定化抗体を、それを固体表面に固定化するのに用い得る。検出可能な標識により標識化されていてもよい非固定化成分を、例えば、固定化された成分を含むコートされた表面である固定化された成分に添加することにより分析を行う。反応が終了したら、例えば洗浄により未反応の成分を除去し、固体表面に固定化された複合体を検出する。当初は固定化されていない成分が検出可能な標識を有する場合、表面に固定化された標識の検出は、複合体形成が起こったことを示す。当初は固定化されていない成分が標識を有さない場合には、例えば、固定化された複合体に特異的に結合する標識化された抗体を用いて複合体形成は検出され得る。
【0421】
候補化合物が本明細書中で同定される遺伝子によりコードされる特定のCD79bポリペプチドと相互作用はしても、結合はしない場合、そのポリペプチドとの相互作用は、タンパク質-タンパク質相互作用を検出するための周知の方法により分析され得る。このような分析には、例えば、架橋法、共免疫沈降法、及び勾配又はクロマトグラフィーカラムによる同時精製等の伝統的な手法が含まれる。更に、タンパク質-タンパク質相互作用は、Fieldsと共同研究者(Fields及びSong,Nature(London),340:245-246(1989);Chien等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:9578-9582(1991))により記載され、Chevray及びNathans,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5789-5793(1991)により開示される酵母を用いた遺伝子系を用いてモニターされ得る。酵母GAL4等の多くの転写活性化物質は、一方がDNA結合ドメインとして働き、もう一方が転写活性化ドメインとして機能する2つの物理的に別個のモジュールドメインからなる。前述の文献に記載の酵母発現系(一般に「ツーハイブリッド系」と呼ばれる)は、この特性を利用し、1個は標的タンパク質がGAL4のDNA結合ドメインに融合されたタンパク質で、もう一方が候補活性化タンパク質が活性ドメインに融合されたタンパク質である2個のハイブリッドタンパク質を利用する。GAL4-活性化プロモーターの制御下のGAL1-lacZレポーター遺伝子の発現は、タンパク質-タンパク質相互作用によるGAL4活性の再構成に依存する。相互作用性のポリペプチドを含むコロニーは、β-ガラクトシダーゼのための色原性の基質により検出される。ツーハイブリッド技術を用いた2つの特異的なタンパク質間のタンパク質-タンパク質相互作用を同定するための完全なキット(MATCHMAKER^(TM))は、Clontechより市販されている。この系はまた特異的なタンパク質相互作用に関与するタンパク質ドメインのマッピング、並びにこれらの相互作用に重要なアミノ酸残基の位置を正確に決定するために拡張され得る。
【0422】
本明細書中で同定されるCD79bポリペプチドをコードする遺伝子と、他の細胞内、又は細胞外成分との相互作用を妨げる化合物は、以下のようにして試験され得る:通常、遺伝子の産物及び細胞内又は細胞外成分を含む反応混合物が、2つの産物の相互作用及び結合を可能にする条件下並びに可能にする時間をかけて調製される。結合を阻害する候補化合物の能力を試験するために、反応を試験化合物の不在下及び存在下で行う。更に、陽性コントロールとして、第3の反応混合物にプラシーボを添加し得る。混合物中に存在する試験化合物及び細胞内又は細胞外成分の間の結合(複合体形成)を、上述のようにしてモニターする。試験化合物を含む反応混合物中では形成されないコントロール反応中の複合体の形成は、試験化合物とその反応相手との相互作用を試験化合物が妨げることを示す。
【0423】
アンタゴニストを分析するため、CD79bポリペプチドが、特定の活性についてスクリーニングされる化合物と一緒に細胞に添加され、CD79bポリペプチド存在下で、興味ある活性を阻害する化合物の能力が、化合物がCD79bポリペプチドのアンタゴニストであることを示す。あるいは、CD79bポリペプチドとアンタゴニストとなり得るものを、膜結合CD79bポリペプチド受容体又は組換え受容体と、競合阻害分析に適当な条件下で一緒にすることによっても、アンタゴニストは検出され得る。受容体に結合したCD79bポリペプチド分子の数を、アンタゴニストとなり得るものの有効性を決定するのに用い得るよう、CD79bポリペプチドを放射能等により標識化することができる。例えばリガンド選別及びFACS分取等、当業者に公知の多数の方法により、受容体をコードする遺伝子を同定し得る。 Coligan等,Current Protocols in Immun.,1(2):第5章(1991)。ポリアデニル酸化RNAがCD79bポリペプチドに反応性の細胞から調製された場合には、好ましくは発現クローニングが採用され、このRNAから製造されたcDNAライブラリーはプールに分けられ、CD79bポリペプチドに反応性でないCOS細胞又は他の細胞をトランスフェクトするのに用いられる。ガラススライド上で生育されたトランスフェクトされた細胞を、標識CD79bポリペプチドに曝露する。 CD79bポリペプチドは、ヨード化、又は部位特異的プロテインキナーゼのための認識部位を含めることを含む種々の手段により標識され得る。固定化及び培養に続き、スライドをオートラジオグラフィー分析に付す。陽性のプールを同定し、サブプールを調製し、相互作用サブ-プーリング、及び再スクリーニング工程を用いて再トランスフェクトし、最終的に、推定される受容体をコードする単一のクローンが得られる。
【0424】
受容体同定の別の方法として、標識されたCD79bポリペプチドを、受容体分子を発現する細胞膜又は抽出調製物と光親和性結合させ得る。架橋された材料をPAGEにより分解し、X線フィルムに曝露する。受容体を含む標識複合体を、削り取り、ペプチド断片に分解し、タンパク質マイクロシークエンシングに付し得る。マイクロシークエンシングにより得られたアミノ酸配列は、推定される受容体をコードする遺伝子を同定するためのcDNAライブラリーをスクリーニングするために縮重オリゴヌクレオチドプローブのセットを設計するのに用いられるであろう。
【0425】
アンタゴニストのための別の分析では、哺乳動物細胞又は受容体を発現する膜調製物は、候補化合物の存在下で標識CD79bポリペプチドと共にインキュベートされるであろう。その後、この相互作用を増幅し又は阻害する化合物の能力を測定し得る。
アンタゴニストとなり得るもののより具体的な例には、CD79bポリペプチドと免疫グロブリンの融合体、特にこれらに限定されるわけではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及び抗体断片、一本鎖抗体、抗イディオタイプ抗体、及びこのような抗体若しくは断片のキメラ又はヒト化型、並びにヒト抗体及び抗体断片を含む抗体が含まれる。或いは、アンタゴニストとなり得るものは、例えば、受容体を認識するが何の効果も与えず、それによりCD79bポリペプチドの活性を競合的に阻害するCD79bポリペプチドの変異型である、密接に関連したタンパク質であり得る。
【0426】
ここで同定されるCD79bポリペプチドに特異的に結合する抗体、並びに上記に開示したスクリーニングアッセイによって同定される他の分子は、癌を含む種々の疾患の治療のために、薬学的組成物の形態で投与することができる。
CD79bポリペプチドが細胞内にあり、全抗体が阻害剤として使用されるとき、内部移行抗体が好ましい。しかし、リポフェクション又はリポソームも抗体、又は抗体断片を細胞に搬送するために使用できる。抗体断片が用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小阻害断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持したペプチド分子が設計できる。このようなペプチドは、化学的に合成でき、及び/又は組換えDNA技術によって生成できる。例えば、Marasco等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,7889-7893(1993)参照。
ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1つ以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。あるいは、又はそれに加えて、組成物は、細胞障害性薬、サイトカイン、化学療法剤、又は成長阻害剤のようなその機能を高める薬剤を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
【0427】
M.抗体誘導体
本発明の抗体は当該分野において知られ直ぐに利用できる更なる非タンパク質性部分を含むように更に修飾することができる。好ましくは、抗体の誘導体化に適した部分は水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーかランダムコポリマー)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは水中におけるその安定性のために製造の際に有利であろう。ポリマーは任意の分子量であってよく、分枝状でも非分枝状でもよい。抗体に結合するポリマーの数は変化してもよく、一を超えるポリマーが結合する場合、それらは同じでも異なった分子でもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定されるものではないが、その抗体誘導体が定まった条件下での治療に使用されるかどうか、改善される抗体の特定の性質又は機能を含む考慮事項に基づいて決定することができる。
【0428】
N.スクリーニング方法
本発明の更に他の実施態様は、CD79bポリペプチドを含むと疑われる試料中のCD79bポリペプチドの存在を決定する方法であって、CD79bポリペプチドに結合するその抗体薬剤コンジュゲートに試料を暴露し、試料中のCD79bポリペプチドへのその抗体薬剤コンジュゲートの結合を決定することを含み、かかる結合の存在が試料中のCD79bポリペプチドの存在を示す方法に関する。場合によっては、試料は、CD79bポリペプチドを発現していることが疑われる細胞(癌細胞でありうる)を含みうる。本方法で用いられるその抗体薬剤コンジュゲートは、場合によっては検出可能に標識され、固体担体に結合等されうる。
本発明の他の実施態様は、哺乳動物中における腫瘍の存在を診断する方法であって、(a)CD79bポリペプチドに結合するその抗体薬剤コンジュゲートに、哺乳動物から得られた組織細胞を含む試験試料を接触させ、(b)その抗体薬剤コンジュゲートと試験試料中のCD79bポリペプチドの間の複合体形成を検出することを含み、複合体の形成が哺乳動物における腫瘍の存在を示す方法に関する。場合によっては、抗体薬剤コンジュゲートは、検出可能に標識され、固体担体に結合等され、及び/又は組織細胞の試験試料が癌性腫瘍を持つことが疑われる個体から得られる。
【0429】
IV.抗CD79b抗体及びイムノコンジュゲートの更なる使用方法
A.診断法と検出の方法
一態様では、本発明の抗CD79b抗体及びイムノコンジュゲートは、生体試料中のCD79bの存在を検出するために有用である。本明細書中で用いる「検出する」なる用語は、定量的又は定性的な検出を包含する。ある実施態様では、生体試料は、細胞又は組織を含む。ある実施態様では、このような組織には、他の組織、例えばB細胞及び/又はB細胞関連組織と比較して高いレベルでCD79bを発現する正常及び/又は癌性組織が含まれる。
一態様では、本発明は、生体試料中のCD79bの存在を検出する方法を提供する。ある実施態様では、前記方法は、CD79bへの抗CD79b抗体の結合に許容される条件下で抗CD79b抗体と生体試料を接触させ、抗CD79b抗体とCD79bとの間に複合体が形成されるか否かを検出することを含む。
一態様では、本発明は、CD79bの発現増加と関係している疾患を診断する方法を提供する。ある実施態様では、前記方法は、抗CD79b抗体と試験細胞を接触させ、CD79bへの抗CD79b抗体の結合を検出することによって試験細胞によるCD79bの発現レベル(量的に又は質的に)を測定し、そして、試験細胞によるCD79bの発現レベルをコントロール細胞(例えば、試験細胞と同じ組織起源の正常細胞、又はこの正常細胞と同等のレベルでCD79bを発現する細胞)によるCD79bの発現レベルと比較することを含み、コントロール細胞と比べて試験細胞によるCD79bの発現レベルが高い場合にCD79bの発現の増加に関連する細胞増殖性疾患の存在が示される。ある実施態様では、試験細胞は、CD79bの発現の増加に関連する疾患があると疑われる患者から得られる。ある実施態様では、前記疾患は、癌又は腫瘍などの細胞増殖性疾患である。
【0430】
本発明の抗体を使用して診断されうる例示的な細胞増殖性疾患には、限定するものではないが、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵襲性NHL、再発侵襲性NHL、再発無痛性NHL、難治性NHL、難治性無痛性NHL、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、ヘアリーセル白血病(HCL)、急性リンパ性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫を含むB細胞疾患及び/又はB細胞増殖性疾患が含まれる。
ある実施態様では、上記のような診断ないし検出の方法は、表面にCD79bを発現する細胞から得た膜調整物中又は細胞の表面において発現されるCD79bに対する抗CD79b抗体の結合を検出することを含む。ある実施態様では、前記方法は、CD79bへの抗CD79b抗体の結合に許容される条件下で抗CD79b抗体と細胞を接触させ、抗CD79b抗体と細胞表面上のCD79bとの間に複合体が形成されるか否かを検出することを含む。細胞の表面上に発現されたCD79bへの抗CD79b抗体の結合を検出するための例示的なアッセイは、「FACS」アッセイである。
【0431】
ある他の方法は、CD79bに対する抗CD79b抗体の結合を検出するために用いてもよい。前期の方法には、限定するものではないが、当分野で周知である抗原-結合アッセイ、例えばウェスタンブロット、放射性免疫アッセイ、ELISA(抗体結合免疫吸着検定)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、及び免疫組織化学(IHC)が含まれる。
ある実施態様では、抗CD79b抗体は標識される。標識には、限定するものではないが、直接検出される標識又は分子(例えば、蛍光、発色、高電子密度、化学発光、及び放射性標識)、並びに、例えば酵素反応又は分子相互作用によって間接的に検出される酵素ないしはリガンドなどの分子が含まれる。例示的な標識には、限定するものではないが、放射性同位体である^(32)P、^(14)C、^(125)I、^(3)H及び^(131)I、フルオロフォア、例えば希有土類キレート又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えばホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタルアジネジオン(dihydrophthalazinediones)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソチーム、サッカライドオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、複素環式オキシダーゼ、例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ、HRP、ラクトペルオキシダーゼ又はマイクロペルオキシダーゼなどの色素前駆体を酸化するために水素ペルオキシダーゼを用いる酵素とカップリングさせたもの、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定したフリーラジカルなどが含まれる。
【0432】
ある実施態様では、抗CD79b抗体は不溶性基質に固定される。固定化は、溶液中で遊離したままであるいずれかのCD79bから抗CD79b抗体を分離することを伴う。これは従来、水不溶性基質ないしは表面に吸着させる(Bennich等,米国特許第3720760号)又は共有的にカップリングさせる(例えば、グルタールアルデヒド架橋結合を使用する)などしてアッセイ手順の前に抗CD79b抗体を不溶化するか、又は抗CD79b抗体とCD79bとの複合体の形成の後に、例えば免疫沈降によって抗CD79b抗体を不溶化することによって達成される。
診断ないし検出の上記いずれかの実施態様は、抗CD79b抗体の代わりに、ないしは抗CD79b抗体に加えて本発明のイムノコンジュゲートを用いて行われうる。
【0433】
B.治療法
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、例えばインビトロ、エクスビボ、及びインビボの治療法で使われてもよい。一態様では、本発明は、CD79bへのイムノコンジュゲートの結合が許容される条件下で抗CD79b抗体ないしはそのイムノコンジュゲートに細胞を曝すことを含む、インビボ又はインビトロでの細胞の成長ないしは増殖を阻害するための方法を提供する。「細胞成長又は増殖を阻害する」ことは、細胞の成長ないしは増殖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%低減することを意味し、細胞死を誘導することを含む。ある実施態様では、細胞は腫瘍細胞である。ある実施態様では、細胞はB細胞である。ある実施態様では、細胞は、例えば本明細書中に例示したような異種移植片である。
一態様では、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、B細胞増殖性疾患を治療するか又は予防するために用いる。ある実施態様では、細胞増殖性疾患は、CD79bの発現及び/又は活性の増加と関係している。例えば、ある実施態様では、細胞増殖性疾患は、B細胞の表面上のCD79bの発現増加と関係している。ある実施態様では、B細胞増殖性疾患は腫瘍又は癌である。本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートによって処置されるB細胞増殖性疾患の例には、限定するものではないが、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵襲性NHL、再発侵襲性NHL、再発無痛性NHL、難治性NHL、難治性無痛性NHL、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、ヘアリーセル白血病(HCL)、急性リンパ性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫が含まれる。
【0434】
一態様では、本発明は、抗CD79b抗体ないしそのイムノコンジュゲートの有効量を個体に投与することを含むB細胞増殖性疾患を治療するための方法を提供する。ある実施態様では、B細胞増殖性疾患を治療するための方法は、抗CD79b抗体又は抗CD79bイムノコンジュゲートと、場合によって以下に挙げるような少なくとも一の付加的治療剤とを含有する薬学的製剤の有効量を個体に投与することを含む。ある実施態様では、細胞増殖性疾患を治療するための方法は、1)抗CD79b抗体と細胞障害性剤とを含むイムノコンジュゲートと、場合によって2)以下に挙げるような少なくとも一の付加的治療剤とを含有する薬学的製剤の有効量を個体に投与することを含む。
一態様では、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートの少なくともいくつかは、ヒト以外の種のCD79bを結合しうる。したがって、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、例えば、CD79bを含む細胞培養物において、ヒトにおいて、又は、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートが交差反応するCD79bを有する他の哺乳動物(例えばチンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザル及びアカゲザル、ブタ又はマウス)においてCD79bを結合するために用いてもよい。一実施態様では、抗CD79b抗体ないしイムノコンジュゲートは、イムノコンジュゲートのコンジュゲートされている細胞毒性が細胞の内部にアクセスするように、抗体ないしイムノコンジュゲートをCD79bと接触させて抗体ないしイムノコンジュゲート-抗原複合体を形成させることによってB細胞上のCD79bをターゲティングするために使われてよい。一実施態様では、CD79bはヒトCD79bである。
【0435】
一実施態様では、抗CD79b抗体ないしイムノコンジュゲートは、個体のCD79bが結合されるように抗体ないしイムノコンジュゲートを個体に投与することを含む、CD79b発現及び/又は活性の増加と関係する疾患を患っている個体において抗体を結合させるための方法に用いられうる。一実施態様では、結合抗体又はイムノコンジュゲートはCD79b発現B細胞中に内部移行する。一実施態様では、CD79bはヒトのCD79bであり、個体はヒト個体である。あるいは、個体は、抗CD79b抗体が結合するCD79bを発現している哺乳動物であってもよい。また更に、個体は、CD79bが(例えば、CD79bの投与によって、又はCD79bをコードする導入遺伝子の発現によって)導入された哺乳動物であってもよい。
抗CD79b抗体ないしイムノコンジュゲートは、治療目的のためにヒトに投与されうる。さらに、抗CD79b抗体ないしイムノコンジュゲートは、獣医学の目的のため又はヒト疾患の動物モデルとして、抗体が交差反応するCD79bを発現する非ヒト哺乳動物(例えば、霊長類、ブタ、ラット又はマウス)に投与されうる。後者に関して、このような動物モデルは、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートの治療有効性を評価するため(例えば、投与の用量及び時間経過の試験する)に有用となりうる。
【0436】
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートが、治療において単独、又は他の組成物と組み合わせて使われてもよい。例えば、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、少なくとも一の付加的治療剤及び/又はアジュバントと同時に投与されてもよい。ある実施態様では、付加的治療剤は、細胞障害性剤、化学療法剤又は増殖阻害性剤である。このような実施態様のうちの一つでは、化学療法剤は、卵巣癌の治療に用いられる薬剤又はこの薬剤の組合せ、例えば、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン(オンコビン^(TM))、プレドニソロン、CHOP、CVP、又はCOP、又は免疫療法剤、例えば抗CD20(例えばリツキサン(登録商標))又は抗VEGF(例えばアバスチン(登録商標))であり、ここで、併用療法は、癌及び/又はB細胞疾患、例えばリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、侵襲性NHL、再発侵襲性NHL、再発無痛性NHL、難治性NHL、難治性無痛性NHL、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、ヘアリーセル白血病(HCL)、急性リンパ性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫を含むB細胞増殖疾患の治療に有用である。
【0437】
上記の併用治療には、併用投与(2以上の治療剤が同じか又は別の製剤に包含される)、及び別々の投与、別々の場合には、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは付加的治療剤及び/又はアジュバントの前、同時及び/又はその後に投与することができる。また、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、放射線療法と組み合わせて使われてもよい。
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲート(及び任意の更なる治療剤又はアジュバント)は、非経口的、皮下、腹膜内、肺内、及び鼻腔内、そして、必要に応じて局所の治療のために、病巣内投与を含む任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、又は皮下的な投与を含む。加えて、抗体ないしイムノコンジュゲートを、特に抗体ないしイムノコンジュゲートの用量を減少して、パルス注入によって好適に投与する。投与が短期のものであるか長期のものであるかにある程度依存して、任意の好適な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射によって投与することができる。
【0438】
本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは、医学的実用性に合わせた様式で調製し、1回分に分けて、投与される。ここで考慮する要因は、治療する特定の疾患、治療する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の運搬部位、投与の方法、投与の日程計画、及び医師が知る他の因子を含む。必要ではないが場合によっては、問題の疾患を予防するか又は治療するために一般に用いられる一つ以上の作用剤と抗体ないしイムノコンジュゲートとを調製する。そのような他の作用剤の有効量は、製剤中の抗体ないしイムノコンジュゲートの量、疾患の型又は治療、及び上記の他の因子に依存する。これらは、一般的に、ここに記載されるものと同じ用量及び投与経路で、又はここに記載される用量のおよそ1?99%で、或いは経験的/臨床的に適切と判断される任意の用量及任意の投与経路で、用いられる。
【0439】
疾患の予防又は治療のために、本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートの好適な用量は(単独で用いる場合、又は化学療法剤などの一又は複数の他の付加的な治療剤と組み合わせて用いる場合)、治療する疾患のタイプ、抗体ないしイムノコンジュゲートのタイプ、疾患の重症度及び経過、抗体ないしイムノコンジュゲートを予防目的で投与するか治療目的で投与するか、以前の治療法、患者の病歴及び抗体ないしイムノコンジュゲートへの応答性、及び担当医師の判断に依存するであろう。抗体ないしイムノコンジュゲートは一時的又は一連の治療にわたって適切に患者に投与される。疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kg?100mg/kg(例えば0.1mg/kg?20mg/kg)の抗体ないしイムノコンジュゲートを、例えば一以上の分割投与又は連続注入による患者投与の初期候補用量とすることができる。ある典型的な1日量は、上記の要因に応じて、約1μg/kg?100mg/kg以上の範囲であろう。症状に応じて、数日間以上にわたる繰り返し投与は、通常、所望の疾患症状の抑制が得られるまで持続する。抗体ないしイムノコンジュゲートの用量の例は、約0.05mg/kg?約10mg/kgの範囲であろう。ゆえに、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kgの抗体ないしイムノコンジュゲートの一以上の用量を(又はそれらを組み合わせて)患者に投与してもよい。このような用量は、間欠的に、例えば週ごと又は3週ごとに投与してもよい(例えば患者に約2?約20、例えば約6用量の抗体ないしイムノコンジュゲートが投与される)。初期のより高い負荷投与量の後、一以上のより低い用量を投与してもよい。例示的用量療法は、約4mg/kgの初期負荷投与量の後、約2mg/kgの毎週の維持用量抗体を投与することを含む。しかしながら、他の投与計画が有効かもしれない。この治療の進行は、従来技術及びアッセイにより容易にモニターすることができる。
【0440】
C.活性アッセイ
本発明の抗CD79b抗体及びイムノコンジュゲートは、当分野で公知の様々なアッセイによって、それらの物理的/化学的な性質及び/又は生物活性について特徴付けされうる。
【0441】
1.活性アッセイ
一態様では、アッセイは、生物学的な活性を有する抗CD79b抗体ないしそのイムノコンジュゲートを同定するために提供される。生物学的な活性には、例えば、細胞成長又は増殖の阻害能(例えば「細胞殺傷」活性)、又はプログラムされた細胞死(アポトーシス)を含む細胞死誘導能が含まれうる。また、インビボ及び/又はインビトロでのこのような生物学的な活性を有する抗体ないしイムノコンジュゲートが提供される。
ある実施態様では、抗CD79b抗体又はそのイムノコンジュゲートは、インビトロでの細胞成長又は増殖を阻害する能力について試験される。細胞成長又は増殖の阻害のためのアッセイは当分野で周知である。本明細中に記載の「細胞殺傷」アッセイにて例示した細胞増殖のためのあるアッセイは、細胞生存度を測定する。このようなあるアッセイは、Promega(Madison,WI)から市販されているCellTiter-Glo^(TM)発光細胞生存率アッセイである。このアッセイは、代謝活性のある細胞の指標であるATPの存在の量に基づいて生細胞数を決定する。Crouch等(1993)J.Immunol.Meth.160:81-88、米国特許第6602677号を参照。アッセイは、自動ハイスループットスクリーニング(HTS)に用いられるように96-又は384-ウェルフォーマットで行ってもよい。Cree等(1995)AntiCancer Drugs 6:398-404を参照。アッセイ手順は、単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)を直接培養細胞に加えることを伴う。この結果、細胞溶解が生じ、ルシフェラーゼ反応によって生産される発光シグナルが生成される。この発光シグナルは、培養物中に存在する生細胞の数に直接比例している、ATPの存在の量に比例する。データは、ルミノメーター又はCCDカメラ画像デバイスによって記録することができる。発光の結果は相対的な光の単位(RLU)として表す。
【0442】
細胞増殖についての他のアッセイは「MTT」アッセイであり、これは、ミトコンドリアレダクターゼによる3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイドのホルマザンへの酸化を測定する比色アッセイである。CellTiter-Glo^(TM)アッセイのように、このアッセイは、細胞培養物に存在する代謝活性のある細胞の数を表す。例としてMosmann(1983)J.Immunol.Meth.65:55-63及びZhang等(2005)Cancer Res.65:3877-3882を参照。
一態様では、抗CD79b抗体は、インビトロでの細胞死を誘導する能力について試験される。細胞死の誘導についてのアッセイは当分野で周知である。いくつかの実施態様では、このようなアッセイは、例えば、プロピジウムヨウ素(PI)、トリパンブルー(Moore等(1995)Cytotechnology,17:1-11を参照)、又は7AADの取り込みによって示される膜統合性の喪失を測定する。例示的なPI取り込みアッセイでは、細胞は、10%の熱不活性化FBS(Hyclone)と2mMのL-グルタミンを添加した、ダルベッコ変更イーグル培地(D-MEM):ハムF-12(50:50)中で培養する。したがって、このアッセイは、補体と免疫エフェクター細胞の非存在下で行う。100×20mmのディッシュにディッシュ当たり3×10^(6)の密度で細胞を播き、終夜接着させる。培地を取り除き、新鮮な培地のみ、又は様々な濃度の抗体ないしイムノコンジュゲートを含む培地と交換する。細胞を3日間インキュベートする。処置後、単層をPBSにて洗浄し、トリプシン処理によって脱離させる。次いで、1200rpmで4℃で5分間遠心して、ペレットを3mlの冷却Ca^(2+)結合バッファ(10mM Hepes、pH7.4、140mM NaCl、2.5mM CaCl_(2))に再懸濁し、細胞凝集塊を取り除くために35mmのストレーナーを取り付けた12×75mmチューブ(チューブ当たり1ml、1処理群につき3チューブ)に分注する。次いで、チューブにPI(10μg/ml)を加える。試料は、FACSCAN^(TM)フローサイトメーター及びFACSCONVERT^(TM)CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて分析される。次いで、PI取り込みによって定まる統計学的に有意なレベルの細胞死を誘導する抗体ないしイムノコンジュゲートを同定する。
【0443】
一態様では、抗CD79b抗体ないしイムノコンジュゲートは、インビトロでのアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導する能力について試験される。アポトーシスを誘導する抗体ないしイムノコンジュゲートの例示的なアッセイはアネキシン結合アッセイである。例示的なアネキシン結合アッセイでは、細胞を培養し、前段落で述べたようにディッシュに播く。培地を取り除き、新鮮培地のみ、又は0.001?10μg/mlの抗体ないしイムノコンジュゲートを含む培地と交換する。3日間のインキュベート後、単層をPBSで洗浄し、トリプシン処理によって脱離させる。次いで、細胞を遠心して、Ca^(2+)結合バッファに再懸濁し、前段落で述べたようにチューブに分注する。その後、チューブに標識したアネキシン(例えばアネキシンV-FITC)(1μg/ml)を加える。試料は、FACSCAN^(TM)フローサイトメーター及びFACSCONVERT^(TM)CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を用いて分析される。次いで、コントロールと比べて統計学的に有意なレベルのアネキシン結合を誘導する抗体ないしイムノコンジュゲートを同定する。アポトーシスを誘導する抗体ないしイムノコンジュゲートの他の例示的なアッセイは、ゲノムDNAのヌクレオソーム間分解を検出するためのヒストンDNA ELISA比色アッセイである。このアッセイは、例えば細胞死検出ELISAキット(Roche,Palo Alto,CA)を用いて行うことができる。
上記いずれかのインビトロアッセイに用いるための細胞には、天然でCD79bを発現する又はCD79bを発現するように操作された細胞ないしは細胞株が含まれる。このような細胞には、同じ細胞起源の正常細胞と比べてCD79bを過剰発現する腫瘍細胞が含まれる。また、このような細胞には、CD79bを発現する細胞株(腫瘍細胞株を含む)や、正常にCD79bを発現しないがCD79bをコードする核酸を形質移入してある細胞株が含まれる。
【0444】
一態様では、抗CD79b抗体ないしそのイムノコンジュゲートは、インビボでの細胞成長又は増殖を阻害する能力について試験される。ある実施態様では、抗CD79b抗体ないしそのイムノコンジュゲートは、インビボでの腫瘍増殖を阻害する能力について試験される。異種移植片モデルなどのインビボモデルシステムが前記の試験のために用いられうる。例示的な異種移植片システムでは、好適に免疫を低下させた非ヒト動物、例えばSCIDマウスにヒト腫瘍細胞が導入される。本発明の抗体ないしイムノコンジュゲートは動物に投与される。抗体ないしイムノコンジュゲートの腫瘍増殖を阻害するか又は減少させる能力が測定される。上記の異種移植片システムのある実施態様では、ヒト腫瘍細胞はヒト患者の腫瘍細胞である。このような異種移植片モデルの調製に有用な細胞には、限定するものではないが、BJAB-luc細胞(ルシフェラーゼレポーター遺伝子を形質移入したEBV陰性バーキットリンパ腫細胞株)、Ramos細胞(ATCC,Manassas,VA,CRL-1923)、SuDHL-4細胞(DSMZ,Braunschweig,Germany,AAC 495)、DoHH2細胞(Kluin-Neilemans,H.C.等,Leukemia 5:221-224(1991)、及びKluin-Neilemans,H.C.等,Leukemia 8:1385-1391(1994)を参照)、Granta-519細胞(Jadayel,D.M.等,Leukemia 11(1):64-72(1997)を参照)を含む、ヒト白血病及びリンパ腫細胞株が含まれる。ある実施態様では、ヒト腫瘍細胞は、皮下注射によって又は哺乳動物の脂肪体などの好適な部位に移植することによって適切に免疫無防備状態にされた非ヒト動物に導入される。
【0445】
2.結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、抗CD79b抗体はその抗原結合活性について試験される。例えば、ある実施態様では、抗CD79b抗体は、細胞の表面に発現されるCD79bに結合する能力について試験される。FACSアッセイがそのような試験に用いられてもよい。
一態様では、競合アッセイを用いて、CD79bへの結合について、マウスMA79b抗体、ヒト化MA79b.v17抗体及び/又はヒト化MA79b.v18及び/又はヒト化MA79b.v28及び/又はヒト化MA79b.v32抗体と競合するモノクローナル抗体を同定してもよい。ある実施態様では、前記の競争する抗体は、マウスMA79b抗体、ヒト化MA79b.v17抗体及び/又はヒト化MA79b.v18及び/又はヒト化MA79b.v28及び/又はヒト化MA79b.v32が結合する同じエピトープ(例えば線形又は立体のエピトープ)に結合する。例示的な競合アッセイには、限定するものではないが、Harlow及びLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)に挙げられるものなどの常套的アッセイが含まれる。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的な方法は、Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)のMorris(1996)”Epitope Mapping Protocols”に示される。2つの抗体のそれぞれが50%以上他の結合をブロックする場合、これらの抗体は同じエピトープに結合すると言える。
【0446】
例示的な競合アッセイでは、固定されたCD79bは、CD79bに結合する第一標識抗体(例えばマウスMA79b抗体、ヒト化MA79b.v17抗体及び/又はヒト化MA79b.v18抗体及び/又はヒト化MA79b.v28及び/又はヒト化MA79b.v32)と、CD79bへの結合について第一抗体と競合する能力について試験されている第二非標識抗体とを含む溶液中でインキュベートされる。二次抗体はハイブリドーマ上清に存在してもよい。コントロールとして、固定したCD79bを第一標識抗体を含むが第二非標識抗体は含まない溶液中でインキュベートする。CD79bへの第一抗体の結合に許容される条件下でのインキュベートの後、過剰な結合していない抗体を取り除き、固定されたCD79bと結合している標識の量を測定する。固定されたCD79bと結合している標識の量がコントロール試料と比較して試験試料において実質的に減少している場合、二次抗体がCD79bへの結合について第一抗体と競合していることが示唆される。ある実施態様では、固定されたCD79bは、細胞の表面上に、又はその表面上にCD79bを発現する細胞から得た膜調製物中に存在する。
一態様では、精製した抗CD79b抗体はさらに、限定するものではないが、N末端配列決定法、アミノ酸分析、非変性サイズ排除高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィ及びパパイン消化を含む、一連のアッセイによって特徴付けることができる。
【0447】
一実施態様では、本発明は、全てではないが幾つかのエフェクター機能を有する変更された抗体を考慮し、この抗体は、抗体のインビボ半減期が重要であり、更に特定のエフェクター機能(補体又はADCCなど)が不要又は有害である多くの用途の好ましい候補となる。特定の実施態様では、抗体のFc活性を測定して、所望の特性だけが維持されていることを確認する。インビボ及び/又はインビトロ細胞障害アッセイを行って、CDC及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認することができる。例えば、Fcレセプター(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠損している(すなわちADCC活性を欠損していると思われる)が、FcRn結合能は維持していることを確認することができる。ADCCを仲介する第一細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現し、その一方で単核細胞はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血系細胞でのFcR発現については、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象とする分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの一例は、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載されている。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又は加えて、対象とする分子のADCC活性は、例えばClynes等のPNAS(USA)95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルにおいてインビボに評価することができる。また、C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qに結合できない、つまりCDC活性を欠損していることを確認してもよい。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro等,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載のように、CDCアッセイを行ってもよい。また、FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期測定を、当分野で公知の方法を用いて行うことができる。
【0448】
以下の実施例は例示的な目的のみであって、いずれの場合においても本発明の範囲を限定するものではない。
本明細書において引用されるすべての特許及び文献は、出典明記によってそれらの全体がここに援用される。
【実施例】
【0449】
実施例において示される市販の試薬は、特に明記しない限り製造業者の指示に従って用いた。実施例において使用する抗体には市販の抗体が含まれ、限定するものではないが、抗CD79b(Biomeda(Foster City,CA)又はBDbioscience(San Diego,CA)又はAncell(Bayport,MN)から購入された抗体)、抗CD79b(1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成される)及びキメラ抗CD79b抗体(1993年7月20にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成される抗体からの可変ドメインを含むもの)が含まれる。以下の実施例、及び明細書全体を通してATCC寄託番号によって識別される細胞の供給源は、アメリカ培養細胞系統保存機関、マナッサス、バージニア州である。
【0450】
実施例1:ヒト化抗CD79b抗体の生成
残基番号はカバットに従う(Kabat et al.,Sequences of proteins of immunological interest,5th Ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))。一文字アミノ酸略記号を用いる。DNA縮重は、IUBコード(N=A/C/G/T、D=A/G/T、V=A/C/G、B=C/G/T、H=A/C/T、K=G/T、M=A/C、R=A/G、S=G/C、W=A/T、Y=C/T)を用いて表す。
【0451】
A.ヒト化抗CD79b抗体グラフト
様々なヒト化抗CD79b抗体を生成した。マウスMA79b抗体(MA79b)(Roswell Park Cancer Institute;Okazaki et al.,Blood,81:84-94(1993))のVL及びVHドメインを、ヒトコンセンサスVLκI(huKI)及びヒトサブグループIIIコンセンサスVH(huIII)ドメインと整列させた。HVRグラフトを作製するために、3つの位置、つまりR71A、N73T及びL78AでヒトサブグループIIIコンセンサスVHドメインと異なるアクセプターVHフレームワーク(Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285(1992))を用いた。マウスMA79b(MA79b)の高頻度可変領域をアクセプターヒトコンセンサスフレームワークに設定し、MA79bの直接のHVR-グラフトを生成した(本明細書中では「MA79bグラフト」又は「MA79b-グラフト」又は「huMA79b-グラフト」と称する)。VLドメインでは、位置24-34(L1)、50-56(L2)及び89-97(L3)(図7A-B)の領域をヒトコンセンサスアクセプターに融合させた。VHドメインでは、位置26-35(H1)、49-65(H2)及び93-102(H3)を融合させた(図8A-B)。MacCallum et al.(MacCallum et al.,J.Mol.Biol.,262:732-745(1996))は抗体と抗原複合体結晶構造を分析して、重鎖の位置49、93及び94が接触領域の一部であって、それゆえに抗体をヒト化する場合にHVR-H2及びHVR-H3の定義に含まれることを発見した。
直接-グラフト変異体(huMA79b-グラフト)は、各々の高頻度可変領域のために異なるオリゴヌクレオチドを用いて、IgGとして及びファージにディスプレイされたFabとして、キュンケル突然変異誘発法によって生成した。適切なクローンはDNA塩基配列決定によって評価した。
【0452】
B.ヒト化抗CD79b抗体グラフト変異体
MA79b-グラフト(MA79b-grafted)「ヒト化」抗体の高頻度可変領域に突然変異の多様性を包含した抗CD79b抗体グラフト変異体を、ファージライブラリを用いて生成した。抗CD79b抗体グラフト変異体は、HVR内に単一の位置バリエーション(図9)か又はHVR内に複数の位置バリエーション(図10)を含んだ。
【0453】
C.ファージ選別
ファージ選別のために、CD79bの細胞外ドメイン(huCD79b_(ecd))(2μg/ml)をMaxiSorpマイクロタイタープレート(Nunc)上にPBS中、4℃で終夜をかけて固定した。プレートは、カゼインブロッカー(Pierce)を用いて少なくとも1時間ブロックした。培養上清物からファージを回収し、0.5%BSA及び0.05%Tween20を含むPBS(PBSBT)に懸濁した。ファージライブラリの添加と2時間のファージ選別の後、マイクロタイターウェルを0.05%Tween20を含むPBS(PBST)にて十分に洗浄し、結合しなかったファージを除去し、結合したファージを100mM HClを含むウェルを30分間インキュベートすることによって溶出させた。選別の続くラウンドの間、PBSTによる洗浄回数を増やすことによってか又は溶出までの時間を増やすために可溶性huCD79b_(ecd)とインキュベートすることによって、選別強度を増やしてもよい。
溶出されたファージは1M Tris,pH8にて中和し、XL1-Blue細胞及びM13/KO7ヘルパーファージを用いて増幅させ、2YT、50μg/ml カルベニシリンにて37℃で終夜生育させた。標的を含むウェルから溶出されたファージのタイターは、標的を含まないウェルから回収したファージのタイターと比較し、増菌を評価した。
【0454】
D.Fab製造及びIgG製造
親和性測定値のためのFabタンパク質を発現させるために、停止コドンを、ファージディスプレイベクターの重鎖とg3との間に導入した。クローンは大腸菌34B8細胞に形質移入し、完全C.R.A.P.培地中で30℃で生育させた(Presta et al.Cancer Res.57:4593-4599(1997))。細胞は遠心分離により回収し、PBS、100μM PMSF、100μM ベンズアミジン、2.4mM EDTAに懸濁し、マイクロ流動化装置を用いて破壊(broken open)した。FabはプロテインG親和性クロマトグラフィにて精製した。
スクリーニングのために、IgG変異体はまず最初に293細胞において製造した。VL及びVHをコードするベクター(25μg)をFuGeneシステムを用いて293細胞に形質移入した。500μlのFuGeneをFBSを含まない4.5mlのDMEM培地と混合し、室温で5分間インキュベートした。各々の鎖(25μg)をこの混合物に添加し、室温で20分間インキュベートし、次いで、フラスコに移し、5%CO_(2)下、37℃で終夜をかけて形質移入させた。次の日、形質移入混合物を含む培地を除去し、0.1ml/Lの微量元素(A0934)及び10mg/Lのインスリン(A0940)を有する23mlのPS04培地と置き換えた。培地を1000rpmにて5分間かけて回収した後、さらに5日間細胞をインキュベートし、0.22μm低タンパク-結合フィルターを用いて濾過滅菌した。125mlの培地ごとに2.5mlの0.1%PMSFを添加した後、試料を4℃で保存することができる。
【0455】
E.親和性決定(Biacore分析)
MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体の親和性測定のために、ヒトCD79bの細胞外ドメイン(huCD79b_(ecd))を、CHO細胞にのみ、又は、Fc融合(huCD79b_(ecd)-Fc)として発現させ、従来の手段によって精製した。さらに、MA79bのためのエピトープを含む16アミノ酸ペプチド(ARSEDRYRNPKGSACK)(配列番号:16)を従来の方法によって合成した。
MA79b抗体のためのエピトープ(図19に「試験ペプチド」として標識した)の特徴は、2006年8月3日に出願の米国特許第11/462336号に既に開示されている。MA79bのエピトープは膜貫通ドメインより遠位の細胞外ペプチド領域に位置し、ヒトCD79bの完全型及び切断型に存在していた(Cragg,Blood,100(9):3068-76(2002))。このことは正常及び悪性B細胞において記載されている(Hashimoto,S.et al.,Mol.Immunol.,32(9):651-9(1995);Alfarano et al.,Blood,93(7):2327-35(1999))。CD79bの切断型は全体の細胞外Ig様ドメインを欠いている(CD79bのスプライシング切断型に存在しない細胞外Ig様ドメインを図19の囲みで示す)。
MA79b、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体又はMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体のFab及びIgG変異体の、固定したhuCD79b_(ecd)ないしはhuCD79b-Fc又はMA79bのエピトープを含む16アミノ酸ペプチドへの結合を、表面プラズマ共鳴法により測定した。親和性決定は、BIAcore^(TM)-2000を用いた表面プラスモン共鳴法によって行った。抗原、huCD79b_(ecd)又はhuCD79b-Fcは、CM5センサーチップ上に、10mM 酢酸ナトリウムpH4.8において固定した(およそ50-200RU)。大きな結合(アビディティ)作用があるために、親和性測定値は固定されたhuCD79b_(ecd)の量に影響された。したがって、異なる日に実行した試料について決定した親和性は、標準物質として同時に実行したMA79bに正規化した。MA79bのエピトープを含む16アミノ酸ペプチド(ARSEDRYRNPKGSACK)(配列番号:16)への結合を測定した実験では、ビオチン化ペプチドをストレプトアビジンコートセンサーチップ上にキャプチャーした(およそ20RU)。精製したMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(Fab又はIgGとして)(PBSTにて0.5?1000nMの2倍段階希釈)を30μl/分の流速で注入した。各々の試料は、4分の会合及び10分の脱会合により分析した。各々の注入の後、チップは10mM グリシンpH1.7を用いて再構成した。
結合応答は、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(Fab又はIgGとして)フローセルからコントロールフローセルを減算することによって修正した。動態分析のために、k_(on)及びk_(off)の同時フィッティングの1:1Languirモデルを用いた。
【0456】
F.結合分析(FACS分析)
さらにMA79b-グラフト「ヒト化」抗体又は抗体変異体のFab変異体の結合を決定するために、DoHH-2細胞に対するFab及び/又はIgG変異体の結合は、FACS分析を用いて分析した。さらに、BJAB-ルシフェラーゼ細胞に対するMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体の結合は、FACS分析を用いて分析した。
MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(MA79b-グラフト「ヒト化」抗体(コントロールとして用いたIgGバージョン))のFab変異体のFACS分析のために、まずDoHH-2細胞(100μl中1×10^(6))は、1μgの元のマウス抗CD79bモノクローナル抗体(MA79b)のある場合又はない場合で30分間インキュベートし、その後1μgのそれぞれのFab変異体(又はコントロール抗体)を添加した。すべてのFab変異体はκ軽鎖を有しており、DoHH-2細胞は細胞表面上にκ軽鎖を発現しないので、PEコンジュゲートマウス抗ヒトIg、κ軽鎖(クローンG20-193,BD Biosciences,San Diego,CA)を二次検出抗体として用いた。
MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体のIgG変異体(コントロールとして用いたchMA79bのIgGバージョン)の更なるFACS分析のために、1.0μg、0.1μg又は0.01μgの抗体を、BJAB-ルシフェラーゼ細胞の100万細胞当たりの力価を測定した。PEコンジュゲートマウス抗ヒトIgを二次検出抗体として用いた。
【0457】
G.親和性決定(スキャッチャード分析)
HVR-L2及びHVR-H3(huMA79b L2/H3)内に変異を有するIgG変異体の結合をさらに決定するために、ヒトCD79b及びカニクイザルCD79bを発現するBJAB細胞に対するヨード化IgG変異体の結合を分析し、スキャッチャード分析を行った。
スキャッチャード分析のために、カニクイザルCD79b及び内在性ヒトCD79bを安定して発現する形質移入したBJAB細胞株の存在下で、0.5nMのI^(125)標識MA79b又はhuMA79b L2/H3を、それぞれ50?0.02nM(12工程 1:2段階希釈)の非標識MA79b又はhuMA79b L2/H3に対して競合させた。4℃で4時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、細胞ペレット数をγカウンターにて読み取った(1470 WIZARD Automatic Gamma Counter;Perkin Elmer,Walthem,MA)。すべての時点を3通り行い、10分間計数した。平均CPMは、ニューリガンド(Genentech,South San Francisco,CA)プログラムを用いたKd算出のために用いた。
【0458】
結果及び考察
A.ヒト化抗CD79b抗体の生成の結果
ヒト化抗CD79b抗体の生成に用いたヒトアクセプターフレームワークは、コンセンサスヒトκI VLドメインと、ヒトサブグループIIIコンセンサスVHドメインの変異体を含む。変異体VHドメインは、ヒトコンセンサスから3つの変化、つまりR71A、N73T及びL78Aを有する。MA79bのVL及びVHドメインは、ヒトκI及びサブグループIIIドメインと整列配置させた。各々のHVRを識別し、次いで、ヒトアクセプターフレームワーク内に融合(グラフト)させて、ファージ上のFabとして表出しうるHVRグラフトを生成した(図7及び8)。
FabとしてMA79b-グラフトを表出するファージは固定されたhuCD79b_(ecd)に結合した(データは示さない)。しかしながら、huMA79b-グラフト配列がIgGとして発現された場合、huCD79b_(ecd)に対する親和性のFACS分析は、結合親和性が100分の1未満に減少したことを示し(データは示さない)、そしてBiacore分析は50分の1未満を示した(図11)。
【0459】
1.CDR修復
以下の配列変化を有する固定されたhuCD79becdに結合することが可能であったMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体が、識別された。
単一位置変化を含むライブラリにおいて、VL内の配列変化のみターゲティングHVR(only sequence changes targeting HVR)が観察され、図9に示す(L1変異では、Q27K(配列番号:17;SPL-2変異)、L2変異では、L54R(配列番号:18)、E55K(配列番号:19)、及びL3変異では、E93S(配列番号:20;SPL-5変異)、E93K(配列番号:21))。
複数の位置変化を含むライブラリにおいて、L2、L3、H1及びH3内の配列変化のみターゲティングHVR(only sequence changes targeting HVR)が観察され、図10に示す(L2変異では、S52R、N53K、E55G及びS56R(配列番号:22;L2-2変異);N53R(配列番号:23);S52R、N53K、E55G及びS56N(配列番号:24);S52R、N53K、E55K及びS56R(配列番号:25);S52R、N53Y、E55K及びS56R(配列番号:26;L2-29変異);S52R、N53K及びE55K(配列番号:27);S52R、N53K及びE55A(配列番号:28);S52G、N53I、E55A及びS56R(配列番号:29);S52R、N53K、E55R(配列番号:30);S52R、N53K及びE55G(配列番号:31;L2-38突然変異);S52R、N53H、E55K及びS56R(配列番号:32);A51S、S52R、N53Y、E55S及びS56R(配列番号:33);A51G、N53K、E55L及びS56R(配列番号:34);L54R及びE55K(配列番号:35);N53K及びE55G(配列番号:36);S52R、N53Y、E55R及びS56R(配列番号:37);S52R、N53R、E55R及びS56T(配列番号:38);S52R、N53R、E55G及びS56R(配列番号:39);S52R、N53Q、L54R、E55K及びS56R(配列番号:40);S52R、N53K、E55L及びS56R(配列番号:41);S52R、N53K、E55K及びS56N(配列番号:42);S52R、N53K、E55G及びS56T(配列番号:43);S52R、N53K、E55G及びS56G(配列番号:44);及びS52R、N53K、E55A及びS56R(配列番号:45)、L3変異では、E93A(配列番号:46);E93Q(配列番号:47);変異なし(配列番号:48);E93D(配列番号:49);E93L(配列番号:50);Q89N、Q90N、E93G及びT97N(配列番号:51);Q90P、S91D、D94A及びL96R(配列番号:52);Q89D、S91R、そして、E93A(配列番号:53)、H1変異では、T28P、S30T、S31R及びE35S(配列番号:54);T28P、S30R及びE35Q(配列番号:55);T28P、S30T及びE35N(配列番号:56);T28P、S30T、S31R、そしてE36N(配列番号:57;H1-6変異);S30N、S31R及びE35N(配列番号:58);T28S及びS30K(配列番号:59);G26P、T28S、F29L、S30C、S31T、W33F及びE35D(配列番号:60);T28Y及びS30T(配列番号:61);T28P、S30G、S31R、I34V及びE35N(配列番号:62);S30K及びS31K(配列番号:63);T28P、S30T及びE35Q(配列番号:64);T28P、S30R及びS31R(配列番号:65);T28P、F29V、S30G、S31R及びE35S(配列番号:66);T28P、S30N、S31R及びE35N(配列番号:67;H1-1突然変異);T28G、S30T及びE35S(配列番号:68);S30T、I34L及びE35S(配列番号:69);S30T(配列番号:70);S31G及びE35N(配列番号:71);S30R、S31R及びE35N(配列番号:72);T28S、S30R及びE35N(配列番号:73);T28S、S30R、S31R及びE35N(配列番号:74);T28S、S30R及びS31R(配列番号:75);T28S、S30P、I34L及びE35Q(配列番号:76);T28P、S30T及びS31R(配列番号:77);T28P及びS31G(配列番号:78);T28P、S30R及びE35S(配列番号:79);T28P、S30R及びE35N(配列番号:80);T28P、S30R及びS31G(配列番号:81);T28P、S30N及びS31R(配列番号:82);T28P、S30N、S31G及びE35N(配列番号:83);T28N、F29V、I34L及びE35S(配列番号:84);Y27F、T28P、S30T及びE35S(配列番号:85);及び、Y27F、T28P、S30N、S31R及びE35N(配列番号 86)、そしてH3変異では、V98I及びF100L(配列番号:87;H3-12変異);変異なし(配列番号:88);Y99K及びF100L(配列番号:89);F100L(配列番号:90);V98I(配列番号:91);V98F、Y99C及びF100L(配列番号:92);F100L(配列番号:93);V98I、Y99R及びF100L(配列番号:94;H3-10変異);V98I、Y99K及びF100L(配列番号:95);V98I及びY99R(配列番号:96);V98I(配列番号:97);D101S(配列番号:98);Y99V及びF100L(配列番号:99);Y99R及びF100L(配列番号:100);Y99R(配列番号:101);Y99F及びF100L(配列番号:102);V98I及びF100L(配列番号:103);V98I(配列番号:104);V96R、Y99C及びF100L(配列番号:105);及び、V96I(配列番号:106))。
選択されたクローンは、FACSによる分析のためにFabとして、そしてBiacore及びスキャッチャードによる更なる分析のためにIgGとして再フォーマットした。
【0460】
a.親和性決定(Biacore分析)
Biacore分析を示す図11に示すように、このCDR-修復手法により、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体の親和性を向上させる多くの異なる配列変化が同定された。表面プラスモン共鳴アッセイから、単一HVR変化を有する試験した変異体はいずれもMA79bと同等の親和性を有していなかったが、HVR-L2及びHVR-H3(MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体L2/H3;本明細書中ではhuMA79b L2/H3とも称する)において同定された変化を組み合わせると、Biacore分析によって測定されるように、固定したhuCD79b_(ecd)ないしはhuCD79b_(ecd)-Fc又はMA79bのエピトープを含む16アミノ酸ペプチドに結合した場合に、MA79bと同程度の親和性を有する変異体となる(図11)ことが示された。
抗原(huCD79b_(ecd)-Fc)に対するMA79bの単量体結合(Fab)対二量体結合(IgG)の分析(図11、列1、FabをIgGカラムと比較する)により、MA79bに存在する100倍の結合活性(アビディティ)成分が親和性改善変異体に欠いていることが示唆された。具体的には、MA79bと比較して単量体結合において5倍の改善を示すMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体L2-2(本明細書中ではhuMA79b L2-2とも称する)では(図11、列1及び3、Fabカラムを比較する)、huMA79b L2-2をIgGとして再フォーマットすることによって見かけの親和性は得られなかった(図11、列4、FabをIgGカラムと比較する)。さらに、最初のMA79b HVRグラフト-「ヒト化」抗体(huMA79bグラフト)は、結合においてこの結合活性成分の欠失を示す(図11、列2、FabをIgGカラムと比較する)。結合活性(アビディティ)による結合の亢進能は、細胞表面抗原を結合する際に望ましいかもしれない。
【0461】
b.親和性決定(スキャッチャード分析)
スキャッチャード分析によって評価されるように、このCDR-修復手法によりMA79b-グラフト「ヒト化」抗体の親和性を向上させた多くの異なる配列変化が同定された。 具体的には、細胞結合アッセイから、カニクイザルCD79b及び内在性ヒトCD79bを安定して発現するBJAB細胞を結合するために、MA79b及びMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体L2/H3(huMA79b L2/H3)(IgGとして再フォーマットしたもの)の親和性は、スキャッチャード分析によって決定されるように、それぞれ0.63nM(MA79b;Kd=0.63±0.14nM)及び0.52nM(huMA79b L2/H3;Kd=0.52±0.1nM)のKd値であったことが示された(データは示さない)。
【0462】
c.結合決定(FACS分析)
FACS分析によって評価されるように、このCDR-修復手法により、DoHH-2細胞に対するMA79b-グラフト「ヒト化」抗体(huMA79bグラフト)の結合を向上させた多くの異なる配列変化が同定された(データは示さない)。具体的には、SP及び6のSRライブラリから同定されたFab変異体(L2-2、H3-10 H1-1変異)のDoHH-2細胞に対するFACS分析は、Fab変異体及びhuMA79bグラフト(IgGとしてフォーマットされたもの)のDoHH-2細胞に対する結合を示した(データは示さない)。さらに、Fab変異体のFACS分析から、DoHH-2細胞に対するFab変異体の結合が、マウス抗CD79bモノクローナル抗体(MA79b)とともにプレインキュベートすることによってブロックされたことが示された(データは示さない)。
【0463】
2.フレームワーク修復
huMA79b L2/H3変異体のHVR-L2に導入したHVR配列変化は、いずれかのヒト生殖系において観察されたものと根本的に異なっていた。huMA79b L2/H3変異体が、DM1にコンジュゲートされた場合、インビボマウス異種移植片モデルでの腫瘍増殖の抑制に有効であることが観察された。抗原に対するhuMA79b L2/H3変異体の単量体結合(Fab)対二量体結合(IgG)の分析が結合活性の欠失を示したので(図11)、下記のようにフレームワーク修復を行った。
二量体抗原結合におけるフレームワーク位置の役割を調べるために、「すべてのフレームワーク」位置変異体を、潜在的に重要なマウスフレームワーク位置がMA79b HVR-グラフト「ヒト化」抗体(huMA79bグラフト)に組み込まれるように構築した。Biacore分析及びスキャッチャード分析によって評価されるように、このいずれかのHVR変化を欠いている変異体(「すべてのフレームワーク」として図12に示される)は、キメラMA79b抗体(chMA79b)(図12)と同程度の二量体結合親和性を有していた。
位置4及び/又は47(VL)及び/又は位置47、48、67、69、71、73、74、78及び/又は80(VH)にマウスフレームワーク残基を含むIgG変異体を作製して、高親和性、二量体結合を維持するために必要なフレームワーク位置の最低一群を決定した(図12)。マウスフレームワーク残基を、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示す。VLの47及びVHの75及び80のフレームワーク位置が、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体17(huMA79b.v17)(図12、17として示す列)によって証明されたように、重要でないことが明らかとなった。
VLの4及びVHの48、67、69、71、73の位置にマウスフレームワーク残基を含み、さらにV98I、Y99R及びF100Lを含むHVR-H3に変化を含む(「H3-10」として図12に示され、H3-10変異として上記されるもの)、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体18(MA79b.v18;図12、18として示す列)は、変異体17(図12、17として示す列)と比較して、二量体結合の更に2倍の改善を示した(図12、28として示す列)。
起こりうる製造時の問題を避けるために、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体のHVR-L1の潜在的なイソ-アスパラギン酸形成部位(Asp-Gly)を、D28をGluに変換することによって取り除いた(グルタミン酸)(D28E;変異体28を参照;本明細書中では「huMA79b.v28」とも称する;図12、28として示す列)。また、D28からSer(セリン)(D28E;変異体32を参照;本明細書中では「huMA79b.v32」とも称する;図12、32として示す列)を含む、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体のVLにおける安定性のための他の置換も許容した。
MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体28(huMA79b.v28;図12、28として示す列)、これは、(1)VLの4及びVHの48、67、69、71、73及び78の位置にマウスフレームワーク残基を含み、(2)V98I、Y99R及びF100Lを含むHVR-H3にさらに変化を含み(「H3-10」として図12に示され、H3-10変異として上記されるもの)、そして(3)さらにHVR-L1に変化(上記のD28E)を含むものをBiacore分析にて特徴付けした。
MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体32(MA79b.v32;図12、32として示す列)、これは、(1)VLの4及びVHの48、67、69、71、73及び78の位置にマウスフレームワーク残基を含み、(2)V98I、Y99R及びF100Lを含むHVR-H3にさらに変化を含み(「H3-10」として図12に示され、H3-10変異として上記されるもの)、そして(3)さらにHVR-L1に変化(上記のD28S)を含むものをBiacore分析にて特徴付けした。
【0464】
a.親和性決定(Biacore分析)
Biacore分析を示す図12に示すように、このフレームワーク-修復手法により、huCD79b_(ecd)に対するMA79b-グラフト「ヒト化」抗体の親和性を向上させる多くの異なる配列変化が同定された。表面プラスモン共鳴アッセイから、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体28(huMA79b.v28;VLの4及びVHの48、67、69、71、73及び78の位置にマウスフレームワークを、並びに、HVR-H3内にH3-10変異(V98I、Y99R及びF100L(上記))とHVR-L1内にD28E変異(安定性のため、上記を参照)を有する;図12、28として示す列)と、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(huMA79b.v32;VLの4及びVHの47、48、67、69、71、73及び78の位置にマウスフレームワークを、並びに、HVR-H3内にH3-10変異(V98I、Y99R及びF100L(上記))とHVR-L1内にD28S変異(安定性のため、上記を参照)を有する;図12、32として示す列)は、Biacore分析によって測定されるように、固定されたhuCD79b_(ecd)への結合の場合に、キメラMA79b抗体(chMA79b)と同程度の親和性を有したことが示された。
【0465】
b.親和性決定(スキャッチャード分析)
スキャッチャード分析によって評価されるように、このフレームワーク-修復手法によりMA79b-グラフト「ヒト化」抗体(huMA79bグラフト)の親和性を向上させる多くの異なる配列変化が同定された。細胞結合アッセイから、カニクイザルCD79b及び内在性ヒトCD79bを安定して発現するBJAB細胞を結合するために、MA79b、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体28(huMA79b.v28;図12、28として示す列を参照)(IgGとして再フォーマットしたもの)及びMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体32(huMA79b.v32;図12、32として示す列を参照)の親和性は、スキャッチャード分析によって決定されるように、それぞれ0.63nM(MA79b;Kd=0.63±0.14nM)、0.44nM(huMA79b.v28;Kd=0.44±0.04nM)、及び0.24nM(huMA79b.v32;Kd=0.24±0.02nM)のKd値であったことが示された(データは示さない)。
【0466】
c.結合決定(FACS分析)
FACS分析によって評価されるように、このフレームワーク-修復手法により、BJAB-ルシフェラーゼ細胞に対するMA79b-グラフト「ヒト化」抗体(huMA79bグラフト)の結合を向上させる多くの異なる配列変化が同定された(データは示さない)。具体的には、BJAB-ルシフェラーゼ細胞に対するMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(変異体huMA79b.v28及びhuMA79b.v32)のIgG変異体のFACS分析は、BJAB-ルシフェラーゼ細胞への結合を示した(データは示さない)。
【0467】
B.ヒト化抗CD79b抗体の生成の考察
6つのマウスMA79b HVRのグラフト(位置24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、26-35(H1)、49-65(H2)及び93-102(H3)として定められる)の、ヒトコンセンサスκI VL及びサブグループIII VH(A71、T73及びA78を含む)へのグラフトから、CDR修復を用いて、結合親和性を向上させるHVR1-6内の変化を同定した。図10及び11において同定されたHVR配列変化又はこれら変化の組合せにより、MA79bと同程度の親和性を有するMA79bのヒト化変異体が生じた。
これに対して、フレームワーク修復を用いて、VLの4及びVHの48、67及び69のフレームワーク位置をhuMA79bグラフト(VHの71、73及び78にマウスフレームワーク残基を含む)に付加することによって二量体結合活性を取り戻させた(図12;MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体17(huMA79b.v17))。huCD79b_(ecd)抗原に対するこれらのフレームワーク変異変異体の親和性は、HVR-H3に3つの変化、つまりV98I、Y99R及びF100Lを付加することによってさらに向上した(図12;MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体18(huMA79b.v18))。HVR-L1内の潜在的なイソ-アスパラギン酸形成部位はD28E変異により取り除いた(図12;MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体28(huMA79b.v28))。
【0468】
実施例2:抗CD79b抗体薬剤コンジュゲート(ADC)の生成
MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体のIgG変異体の有効性を試験するために、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体を、DM1などの薬剤にコンジュゲートした。DM1にコンジュゲートさせた変異体には、HVR-L2及びHVR-H3に変異を有する変異体(huMA79b L2/H3)、huMA79b.v17、huMA79b.v18、huMA79b.v28及びhuMA79b.v32が含まれる。
抗CD79b抗体のための抗体薬剤コンジュゲート(ADC)の生成に使用する薬剤には、メイタンシノイドDM1及びドラスタチン10誘導体モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及びモノメチルアウリスタチンF(MMAF)が含まれる。(米国公開特許2005/0276812;米国公開特許2005/0238649;Doronina et al.,Bioconjug.Chem.,17:114-123(2006);Doronina et al.,Nat.Biotechnol.,21:778-784(2003);Erickson et al.,Cancer Res.,66:4426-4433(2006)、これらのすべては出典明記によってその全体が本明細書中に援用される)。ADCの生成に有用なリンカーは、DM1にはBMPEO、SPP又はSMCC(本明細書中では「MCC」とも称される)であり、MMAE及びMMAFにはMC又はMC-vc-PABである。DM1では、抗体はDM1のthio基に、そしてリンカー試薬SMCCを用いてリジンのε-アミノ基を介して結合した。あるいは、DM1では、抗体は、SPPリンカーを用いてリジンのeアミノ基を介してDM1に結合した。SPP(N-スクシンイミジル4-(2’-ピリジルジチオ)ペンタノエート)はリジンのεアミノ基と反応して、タンパク質上の反応性2-ピリジルジスルフィドリンカーを残す。SPPリンカーについては、フリーなスルフヒドラル(例えばDM1)と反応すると、ピリジル基が置換され、還元ジスルフィド結合により付着したDM1を残す。SPPリンカーにより付着されたDM1は還元条件下(すなわち、例えば細胞内)で放出されるのに対して、SMCCリンカーにより付着されたDM1は還元条件下で切断に耐性がある。さらに、ADCが内部移行され、リジン-N^(ε)-DM1の放出を引き起こすリソソームにターゲティングされる場合、SMCC-DM1 ADCは細胞毒性を引き起こす。このリジン-N^(ε)-DM1は細胞内で有効な抗有糸分裂薬剤であり、細胞から放出されると非毒性である(Erickson et al.,Cancer Res.,66:4426-4433(2006))。MMAE及びMMAFでは、抗体は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン(vc)-p-アミノベンジルオキシカルボニル(MC-vc-PAB)によりシステインを介してMMAE又はMMAFに結合した。あるいは、MMAFでは、抗体は、マレイミドカプロイル(MC)リンカーによって、システインを介してMMAFに結合した。MC-vc-PABリンカーは、カテプシンBなどの細胞内プロテアーゼによって切断され得、切断されると遊離薬剤を放出する(Doronina et al.,Nat.Biotechnol.,21:778-784(2003))のに対して、MCリンカーは細胞内プロテアーゼによる切断に耐性がある。
【0469】
SMCC及びDM1を用いた、抗CD79bのための抗体薬剤コンジュゲート(ADC)は、米国公開特許2005/0276812において記述される手順と同様に生成した。抗CD79b精製抗体は、50mM リン酸カリウム及び2mM EDTA、pH7.0を含む溶液にバッファを交換した。SMCC(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)は、ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解し、抗体溶液に加えて10:1のSMCC/Ab最終モル比とした。混合しながら室温で3時間反応させた。続いて、SMCC修飾抗体は、150mM NaCl及び2mM EDTA、pH6.0を有する35mM クエン酸ナトリウムにて平衡化されたGE Healthcare HiTrap脱塩カラム(G-25)で精製した。DMAに溶解したDM1を、SMCC抗体調製物に添加して、10:1の抗体に対するDM1のモル比とした。混合しながら室温で4?20時間反応させた。DM1修飾抗体溶液は、反応していないDM1を取り除くために20容量のPBSにてダイアフィルターし、フィルター滅菌して、4℃に貯蔵した。一般的に、この方法によって抗体の40?60%の収率が達成された。ゲル濾過及びレーザー光散乱によって評価されるように、調製物は通常95%より多くの単量体であった。DM1が252nmで吸光度最大を有するので、抗体に結合した薬剤の量は、252及び280nmでの差次的な吸光度測定によって決定されうる。一般的に、抗体に対する薬剤比率は3?4であった。
【0470】
SPP-DM1リンカーを用いた、本明細書中に記載の抗CD79bのための抗体薬剤コンジュゲート(ADC)は、米国公開特許2005/0276812において記述される手順と同様に生成してもよい。抗CD79b精製抗体は、50mM リン酸カリウム及び2mM EDTA、pH7.0を含む溶液にバッファを交換する。SPP(Immunogen)は、DMAに溶解し、抗体溶液に加えておよそ10:1のSPP/Ab最終モル比とした。この正確な比率は抗体の望ましい薬剤負荷に依存する。通常、10:1の比率はおよそ3?4の抗体に対する薬剤比率となる。SPPは、混合しながら室温で3?4時間反応させる。続いて、SPP修飾抗体は、150mM NaCl及び2mM EDTA、pH6.0を有する35mM クエン酸ナトリウム又はリン酸緩衝生理食塩水、pH7.4にて平衡化されたGE Healthcare HiTrap脱塩カラム(G-25)で精製する。DMAに溶解したDM1を、SPP抗体調製物に添加して、10:1の抗体に対するDM1のモル比とする。この結果、抗体上の利用可能なSPPリンカーの3?4倍のモル比となる。混合しながら室温で4?20時間、DM1と反応させる。DM1修飾抗体溶液は、反応していないDM1を取り除くために20容量のPBSにてダイアフィルターし、フィルター滅菌して、4℃に貯蔵される。一般的に、この方法によって抗体の40?60%以上の収率が達成される。ゲル濾過及びレーザー光散乱によって評価されるように、抗体-薬剤コンジュゲートは通常95%より多くの単量体であった。SMCC-DM1コンジュゲートの調製について記載したように(上記)、結合した薬剤の量は、252及び280nmでの差次的な吸光度測定によって決定されうる。
【0471】
MC-MMAF、MC-MMAE、MC-val-cit(vc)-PAB-MMAE又はMC-val-cit(vc)-PAB-MMAF薬剤リンカーを用いた、本明細書中に記載の抗CD79b抗体のための抗体薬剤コンジュゲート(ADC)もまた、米国公開特許2005/0238649において記述される手順と同様に生成されてもよい。精製された抗CD79b抗体は、pH8.0で500mM ホウ酸ナトリウム及び500mM 塩化ナトリウムに溶解し、さらに過剰量の100MMジチオトレイトール(DTT)にて処理される。37℃でおよそ30分間インキュベートした後、Sephadex G25樹脂による溶出によりバッファを交換し、1mM DTPAを含むPBSにて溶出する。チオール/Ab値は、溶液の280nmでの吸光度からの還元抗体濃度とDTNBとの反応によるチオール濃度とを測定し、412nmでの吸光度を測定することによって調べられる。還元抗体はPBSに溶解し、氷上で冷やす。DMSO中の例えばMC-val-cit(vc)-PAB-MMAEなどの薬剤リンカーをアセトニトリル及び水に溶解し、冷やした還元抗体を含むPBSに加える。1時間のインキュベートの後、過剰量のマレイミドを加えて反応を止め、任意の反応していない抗体チオール基をキャップする。反応混合物は遠心限外濾過によって濃縮し、抗体薬剤コンジュゲートを精製し、PBSのG25樹脂による溶出によって脱塩し、無菌条件下にて0.2μmフィルターにて濾過し、貯蔵のために凍結させる。
【0472】
抗体薬剤コンジュゲート(本願明細書において記述される抗CD79b抗体を使用する)はアッセイ培地にて2×10μg/mlに希釈した。コンジュゲートはクロスリンカーSMCCにて結合させた(代替ジスルフィドリンカーがメイタンシノイドDM1毒素に対するSPPのために使われてもよい)(米国公開特許2005/0276812及び米国公開特許2005/0238649を参照)。さらに、コンジュゲートは、MC-バリン-シトルリン(vc)-PAB又はMCにて、ドラスタチン10誘導体、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)毒素又はモノメチルアウリスタチンF(MMAF)毒素に結合させてもよい(2005年3月31日に出願の米国特許第11/141344号、及び2004年11月5日に出願の米国特許第10/983340号を参照のこと)。ネガティブコントロールには、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)(抗HER2)ベースのコンジュゲート(SMCC-DM1又はSPP-DM1又はMC-vc-MMAE又はMC-vc-MMAF)が含まれた。ポジティブコントロールには、コンジュゲート負荷用量と等量の遊離L-DM1が含まれてもよい。試料はボルテックスをかけ、希釈の前に均一な混合物とした。
薬剤コンジュゲートのための抗CD79b抗体には、キメラMA79b抗体(chMA79b)及びhuMA79b L2/H3抗体変異体及び本明細書中に記載のhuMA79b.v17、huMA79b.v18、huMA79b.v28及びhuMA79b.v32が含まれた(実施例1を参照)。さらに、コンジュゲートのための抗体には、本願明細書中のいずれかの抗体が含まれてもよい(実施例1を参照)。
【0473】
実施例3:インビボ腫瘍細胞殺傷アッセイ
A.異種移植片
HVR-L2及びHVR-H3に変化を有するMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(huMA79b L2/H3)のIgG変異体の有効性を試験するために、huMA79b L2/H3変異体はDM1にコンジュゲートさせ、マウスの腫瘍に対するコンジュゲート変異体の効果を分析した。
具体的には、複数の異種移植片モデルにおける抗体の腫瘍退行能が調べられうる。この異種移植片モデルには、RAMOS細胞、BJAB細胞(t(2;8)(p112;q24)(IGK-MYC)転位、変異したp53遺伝子を含み、エプスタイン-バーウイルス(EBV)陰性であるバーキットリンパ腫細胞株)(Drexler,H.G.,The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book,San Diego:Academic Press,2001))、Granta519細胞(サイクリンD1(BCL1)の過剰発現を引き起こすt(11;14)(q13;q32)(BCL1-IGH)転位を含み、P16INK4B及びP16INK4A欠失を含み、EBV陽性であるマントル細胞リンパ腫細胞株)(Drexler,H.G.,The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book,San Diego:Academic Press,2001))、U698M細胞(リンパ芽球性リンパ肉腫B細胞株)(Drexler,H.G.,The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book,San Diego:Academic Press,2001)及びDoHH2細胞(Ig重鎖によって作動されるBcl-2の過剰発現を引き起こす濾胞性リンパ腫t(14;18)(q32;q21)の転位特徴を含み、P16INK4A欠失を含み、t(8;14)(q24;q32)(IGH-MYC)転位を含み、EBV陰性である濾胞性リンパ腫細胞株)(Drexler,H.G.,The Leukemia-Lymphoma Cell Line Facts Book,San Diego:Academic Press,2001)が含まれる。
【0474】
MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体の有効性の分析のために、雌CB17 ICR SCIDマウス(6-8週齢、Charles Rivers Laboratories;Hollister,CA)の側腹部に、注射により2×10^(7)のBJAB-ルシフェラーゼ細胞又はGranta-519細胞を皮下接種し、平均200mm2にまで異種移植片腫瘍を成長させた。以下特に示さない場合には、0日目は、腫瘍が平均200mm^(2)であり、処置の第一用量/又は唯一の用量が投与された日を指す。腫瘍体積は、二次元に基づいて算出され、カリパス用いて測定し、式:V=0.5a×b^(2)に従ってmm^(3)で表した。このときa及びbはそれぞれ腫瘍の長径及び短径である。各実験群から採取したデータは平均±SEで表した。10匹のマウス群は、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体又はコントロール抗体-薬剤コンジュゲートを含む、50μgから210μgの間の抗体結合薬剤/m^(2)マウス(およそ1?4mg/kgマウス以下に相当する)の単回静脈内(i.v.)投与にて処置した。実験期間の間、週に1回又は2回腫瘍を測定した。実験期間の間、週に1回又は2回マウスの体重を測定した。腫瘍体積が3000mm^(3)に達する前、又は、腫瘍が切迫潰瘍化の徴候を示すときに、マウスを安楽死させた。すべての動物のプロトコールは、Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)の承認を得た。
使われた抗体と毒素間のリンカーは、DM1ではチオエーテル架橋剤SMCCであった。更なるリンカーには、DM1又はMCのためのジスルフィドリンカーSPP又はチオエーテル架橋剤SMCC、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)又はモノメチルアウリスタチンF(MMAF)のためのマレイミド成分とパラ-アミノベンジルカルバモイル(PAB)自己犠牲的成分とを有するMC-バリン-シトルリン(vc)-PAB又は(バリン-シトルリン(vc))ジペプチドリンカー試薬が含まれうる。使用する毒素はDM1であった。さらに毒素にはMMAE又はMMAFが含まれうる。
この実験のためのCD79b抗体には、2006年8月3日に出願の米国特許第11/462336号に記載のキメラMA79b(chMA79b)抗体、並びに本明細書中に記載のMA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体(実施例1Aを参照)が含まれた。更なる抗体には、市販される抗体、例えば抗CD79b抗体、及び1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマから生成されるMA79bモノクローナル抗体が含まれうる。
ネガティブコントロールには、抗HER2(ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ))ベースのコンジュゲート(SMCC-DM1)が含まれた。
【0475】
B.結果
1.BJAB-ルシフェラーゼ異種移植片
表9に示す薬剤コンジュゲート及び用量による35日間の経過では、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体L2/H3(huMA79b L2/H3変異体)(IgGとして再フォーマットされたもの)及びDM1にコンジュゲートされたキメラ抗CD79b抗体(chMA79b)(それぞれhuMA79b L2/H3-SMCC-DM1及びchMA79b-SMCC-DM1)は、ネガティブコントロールのハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)-SMCC-DM1(抗HER2-SMCC-DM1)と比較して、BJAB-ルシフェラーゼ腫瘍をもつSCIDマウスの腫瘍成長の阻害を示した。ADCは、すべてのADC及びコントロールについて0日目に、単回用量で(表9に示されるように)投与した。具体的には、huMA79b L2/H3-SMCC-DM1抗体(IgGとして再フォーマットされたもの)及びchMA79b-SMCC-DM1は、有意に腫瘍成長を阻害した(図20)。さらに、表9では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示す。
表9

【0476】
2.Granta-519異種移植片
表10に示す薬剤コンジュゲート及び用量による14日間の経過では、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体変異体17、変異体18、変異体28及び変異体32(それぞれ、huMA79b.v17、huMA79b.v18、huMA79b.v28及びhuMA79b.v32)(IgGとして再フォーマットされたもの)及びDM1にコンジュゲートされたキメラ抗CD79b抗体(chMA79b)(それぞれ、huMA79b.v17-SMCC-DM1、huMA79b.v18-SMCC-DM1、huMA79b.v28-SMCC-DM1、huMA79b.v32-SMCC-DM1及びchMA79b-SMCC-DM1)は、ネガティブコントロールのハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)-SMCC-DM1(抗HER2-SMCC-DM1)と比較して、Granta-519腫瘍をもつSCIDマウスの腫瘍成長の阻害を示した。ADCは、すべてのADC及びコントロールについて0日目に、単回用量で(表10に示されるように)投与した。具体的には、huMA79b.v28-SMCC-DM1、huMA79b.v32-SMCC-DM1、huMA79b.v17-SMCC-DM1及びhuMA79b.v18-SMCC-DM1抗体(IgGとして再フォーマットされたもの)及びchMA79b-SMCC-DM1は、有意に腫瘍成長を阻害した(図21A)。
さらに、huMA79b.v28-SMCC-DM1、huMA79b.v32-SMCC-DM1、huMA79b.v17-SMCC-DM1、huMA79b.v18-SMCC-DM1及びchMA79b-SMCC-DM1とコントロールのハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)-SMCC-DM1(抗HER2-SMCC-DM1)はマウスの体重の割合を減少させなかった(図21B)。さらに、表10では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示す。
表10

異種移植片の腫瘍進行を有意に抑制するMA79b-グラフト「ヒト化」抗体ADCの能力を考慮すると、CD79b分子は、リンパ腫(すなわち非ホジキンリンパ腫)、白血病(すなわち慢性リンパ性白血病)、及び他の造血系細胞の癌などのB細胞関連の癌を含む、哺乳動物の腫瘍の治療のための優れた標的であろう。さらに、MA79b-グラフト「ヒト化」ADCは、リンパ腫(すなわち非ホジキンリンパ腫)、白血病(すなわち慢性リンパ性白血病)、及び他の造血系細胞の癌などのB細胞関連の癌を含む、腫瘍のインビボ腫瘍増殖の低減に有用である。
【0477】
実施例4:CD79b抗体共局在
細胞内への内部移行の際にMA79b-グラフト「ヒト化」抗体及び抗体変異体が運搬されるか否かを決定するために、B細胞株へ内部移行された抗CD79b抗体の共局在試験をRamos細胞株において評価してもよい。LAMP-1は後期エンドソーム及びライソソームのためのマーカーであり(Kleijmeer et al.,Journal of Cell Biology,139(3):639-649(1997);Hunziker et al.,Bioessays,18:379-389(1996);Mellman et al.,Annu.Rev.Dev.Biology,12:575-625(1996))、後期エンドソーム/ライソソーム様区画であるMHCクラスII区画(MIIC)を含む。HLA-DMはMIICのためのマーカーである。
Ramos細胞を、1μg/ml MA79b-グラフト「ヒト化」抗体及び抗体変異体、FcRブロック(Miltenyi)及び25μg/ml Alexa647-トランスフェリン(Molecular Probes)を含む完全無炭酸塩培地(Gibco)にて、10μg/ml ロイペプチン(Roche)及び5μM ペプスタチン(Roche)の存在下で、37℃で3時間インキュベートして、ライソソームの分解を阻害させる。次いで、細胞を2回洗浄し、3%パラフォルムアルデヒド(Electron Microscopy Sciences)にて室温で20分かけて固定し、50mM NH4Cl(Sigma)にて反応を止め、0.4% サポニン/2% FBS/1% BSAにて20分間透過させ、次いで、1μg/ml Cy3抗マウス(Jackson Immunoresearch)とともに20分間インキュベートを行う。次いで、マウスIgG(Molecular Probes)にて20分間反応をブロックした後、Image-iT FXシグナルエンハンサー(Molecular Probes)とともに30分間インキュベートを行う。最後に、細胞を、ライソソーム及びMIIC(MHCクラスII経路の一部であるライソソーム様区画)のマーカーであるZenon Alexa488-標識マウス抗LAMP1(BD Pharmingen)と共に20分間インキュベートし、その後3% PFAにて固定する。20μlのサポニンバッファに細胞を再懸濁し、ポリ-リジン(Sigma)コートスライドに付着させ、DAPI含有VectaShield(Vector Laboratories)を有するカバーグラスをマウントする。MIIC又はライソソームの免疫蛍光のために、上記のように細胞を固定し、透過処理し、亢進させ、次いで製造業者(Molecular Probes)の指示に従って、過剰量のマウスIgGの存在下にてZenon標識Alexa555-HLA-DM(BD Pharmingen)とAlexa488-Lamp1にて共染色する。
したがって、免疫蛍光によって評価される、MA79b-グラフト「ヒト化」抗体ないしは抗体変異体とB細胞株のMIIC又はライソソームとの共局在は、分子が、リンパ腫(すなわち非ホジキンリンパ腫)、白血病(すなわち慢性リンパ性白血病)、及び他の造血系細胞の癌などのB細胞関連の癌を含む、哺乳動物の腫瘍の治療のための優れた標的であることを示すであろう。
【0478】
実施例5:システイン操作抗CD79b抗体の調製
本明細書において開示されるようにシステイン操作抗CD79b抗体の調製を行った。
MA79b抗体をコードするDNA(軽鎖、配列番号:4、図4;及び重鎖、配列番号:5、図5)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、軽鎖及び重鎖を修飾した。また、MA79b抗体をコードするDNA(重鎖、配列番号:5;図5)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、重鎖のFc領域を修飾してもよい。
huMA79b.v17抗体をコードするDNA(重鎖、配列番号:304、図15)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、重鎖を修飾した。また、huMA79b.v17抗体をコードするDNA(軽鎖、配列番号:303;図15;及び重鎖、配列番号:304;図15)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、軽鎖又は重鎖のFc領域を修飾してもよい。
huMA79b.v18抗体をコードするDNA(重鎖、配列番号:306、図16)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、重鎖を修飾した。また、huMA79b.v18抗体をコードするDNA(軽鎖、配列番号:305;図16;及び重鎖、配列番号:306;図16)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、軽鎖又は重鎖のFc領域を修飾してもよい。
huMA79b.v28抗体をコードするDNA(重鎖、配列番号:308、図17)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、重鎖を修飾した。また、huMA79b.v28抗体をコードするDNA(軽鎖、配列番号:307、図17;及び重鎖、配列番号:308、図17)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、軽鎖又は重鎖のFc領域を修飾してもよい。
huMA79b.v32抗体をコードするDNA(軽鎖、配列番号:310、図18;及び重鎖、配列番号:309、図18)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、軽鎖及び重鎖を修飾してもよい。
抗cyno CD79b抗体をコードするDNA(軽鎖、配列番号:241;図45及び重鎖、配列番号:243、図47)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、軽鎖及び重鎖を修飾した。また、抗cyno CD79b抗体をコードするDNA(重鎖、配列番号:243、図47)は、本明細書において開示される方法によって突然変異を誘発し、重鎖のFc領域を修飾してもよい。
システイン操作抗CD79b抗体の調製において、軽鎖をコードするDNAに突然変異を誘発し、図27(MA79b thioMAbの軽鎖、配列番号:235)及び図49(thioMAb抗cyno CD79b(ch10D10)の軽鎖、配列番号:300)に示すように、軽鎖のカバット位置205(連続した位置209)でシステインをバリンと置換させた。重鎖をコードするDNAに突然変異を誘発し、図48(thioMAb 抗cyno CD79b(ch10D10)抗体の重鎖、配列番号:244)、図28(MA79b thioMAbの重鎖、配列番号:236)、図24(thioMAb huMA79b.v17の重鎖、配列番号:228)、図25(thioMAb huMA79b.v18の重鎖、配列番号:230)及び図26(thioMAb huMA79b.v28の重鎖、配列番号:232)に示すように、重鎖のEU位置118(連続した位置118;カバット番号114)でシステインをアラニンと置換させた。表2?4に示すように、抗CD79b抗体のFc領域を、重鎖Fc領域のEU位置400(連続した位置400;カバット番号396)でシステインをセリンに置換させてもよい。
【0479】
A.還元及び再酸化によるコンジュゲートのためのシステイン操作抗CD79b抗体の調製
完全長のシステイン操作(engineered)抗CD79bモノクローナル抗体(ThioMab)は、CHO細胞において発現させ、プロテインA親和性クロマトグラフィの後にサイズ排斥クロマトグラフィを行って精製した。精製された抗体は、500mM ホウ酸ナトリウム及び500mM 塩化ナトリウムにておよそpH8.0に再構成し、およそ50?100倍モル過剰量の1mM TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンヒドロクロライド;Getz et al(1999)Anal.Biochem.Vol 273:73-80;Soltec Ventures,Beverly,MA)にて、37℃でおよそ1?2時間かけて還元させる。還元されたThioMabを希釈し、10mM 酢酸ナトリウム、pH5のHiTrap Sカラムに流し、0.3M 塩化ナトリウムを含むPBSにて溶出させる。溶出された稀釈ThioMabは、pH7の2mM デヒドロアスコルビン酸(dhAA)にて3時間、又は2mM 水溶性硫酸銅(CuSO_(4))にて室温で終夜処理する。環境大気酸化も有効であろう。Sephadex G25樹脂による溶出によってバッファを交換し、1mM DTPAを含むPBSにて溶出する。チオール/Ab値は、溶液の280nmの吸光度からの還元抗体濃度とDTNB(Aldrich,Milwaukee,WI)との反応及び412nmの吸光度の測定によるチオール濃度とを決定することによって概算する。
【0480】
実施例6:システイン操作抗CD79b抗体と薬剤-リンカー中間生成物のコンジュゲートによる、システイン操作抗CD79b抗体薬剤コンジュゲートの調製
実施例5の還元及び再酸化手順の後、システイン操作抗CD79b抗体は、PBS(リン酸緩衝食塩水)バッファにて再構成し、氷上で冷やす。マレイミドなどのチオール反応性官能基を有する、MC-MMAE(マレイミドカプロイル-モノメチルアウリスタチンE)、MC-MMAF、MC-val-cit-PAB-MMAE、又はMC-val-cit-PAB-MMAFなどのアウリスタチン薬剤リンカー中間生成物の抗体当たりの操作システインとおよそ1.5モル相当物をDMSOにて希釈し、アセトニトリルと水にて希釈し、冷却した還元、酸化抗体を含むPBSに加える。およそ1時間後、過剰量のマレイミドを加えて反応を止め、任意の反応していない抗体チオール基をキャップする。反応混合物は遠心限外濾過によって濃縮し、システイン操作抗CD79b抗体薬剤コンジュゲートは精製し、PBSのG25樹脂による溶出によって脱塩し、無菌条件下で0.2μmフィルターにて濾過し、貯蔵のために凍結する。
huMA79b.v18-HC(A118C)thioMAb-BMPEO-DM1の調製を以下のように行った。huMA79b.v18-HC(A118C)thioMAb上の遊離システインは、抗体の表面上の反応しなかったマレイミド基を残す、ビス-マレイミド試薬BM(PEO)3(Pierce Chemical)にて修飾した。これは、50%エタノール/水混合物に10mMの濃度になるまでBM(PEO)3を溶解し、huMA79b.v18-HC(A118C)thioMAbをおよそ1.6mg/ml(10マイクロモル)の濃度でリン酸緩衝生理食塩水に含む溶液に10倍モル過剰量のBM(PEO)3を加え、それを1時間反応させることによって達成した。過剰量のBM(PEO)3は、150mM NaClバッファを含む30mM クエン酸塩、pH6のゲル濾過(HiTrapカラム、Pharmacia)によって除去した。ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解したおよそ10倍モル過剰量のDM1を、huMA79b.v18-HC(A118C)thioMAb-BMPEO中間生成物に加えた。また、ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて、薬剤部分試薬を溶解してもよい。反応混合物を終夜反応させ、ゲル濾過又はPBSへの透析を行い反応しなかった薬剤を除去した。PBSのS200カラムのゲル濾過を用いて、高分子量集合体を取り除き、精製されたhuMA79b.v18-HC(A118C)thioMAb-BMPEO-DM1を供給した。
【0481】
同じプロトコールによって、thioコントロールhu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thioコントロールhu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、thioコントロールhu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE及びthioコントロール抗CD22-HC(A118C)-MC-MMAFを生成した。
上記の手順によって、以下のシステイン操作抗CD79b抗体薬剤コンジュゲート(TDC)を調製し、試験した。
1.A118Cthio huMA79b.v18-HC(A118C)とMC-MMAFとのコンジュゲートによるthio huMA79b.v18-HC(A118C)-MC-MMAF;
2.A118Cthio huMA79b.v18-HC(A118C)とBMPEO-DM1とのコンジュゲートによるthio huMA79b.v18-HC(A118C)-BMPEO-DM1;
3.A118Cthio huMA79b.v18-HC(A118C)とMC-val-cit-PAB-MMAEとのコンジュゲートによるthio huMA79b.v18-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE;
4.A118Cthio huMA79b.v28-HC(A118C)とMC-MMAFとのコンジュゲートによるthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF;
5.thio huMA79b.v28-HC(A118C)とBMPEO-DM1とのコンジュゲートによるthio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1;
6.thio huMA79b.v28-HC(A118C)とMC-val-cit-PAB-MMAEとのコンジュゲートによるthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-val-cit-PAB-MMAE;
7.A118Cthio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)とMC-MMAFとのコンジュゲートによるthio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-MC-MMAF;
8.A118Cthio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)とBMPEO-DM1とのコンジュゲートによるthio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-BMPEO-DM1;
9.A118Cthio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)とMC-val-cit-PAB-MMAEとのコンジュゲートによるthio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE;
10.thio MA79b-HC(A118C)とMC-MMAFとのコンジュゲートによるthio MA79b-HC(A118C)-MC-MMAF;そして、
11.thio MA79b-LC(V205C)とMC-MMAFとのコンジュゲートによるthio MA79b-LC(V205C)-MC-MMAF。
【0482】
実施例7:システイン操作ThioMab薬剤コンジュゲートの細胞表面抗原に対する結合親和性の特徴付け
BJAB-ルシフェラーゼ細胞に発現されるCD79bに対するthio huMA79b.v18、thio huMA79b.v28薬剤コンジュゲート及びthio MA79b薬剤コンジュゲートの結合親和性を、FACS分析にて測定した。さらに、cynoCD79bを発現しているBJAB細胞に発現されるCD79bに対するthio 抗cynoCD79b(ch10D10)薬剤コンジュゲートの結合親和性を、FACS分析にて測定した。
簡単にいうと、100μl中およそ1×10^(6)個の細胞を、様々な量(100万個のBJAB-ルシフェラーゼ細胞又はcynoCD79bを発現するBJAB細胞につき、1.0μg、0.1μg又は0.01μgのAb)の以下のいずれかの抗CD79b thioMab薬剤コンジュゲート又はネイキッド(コントロールとしてのコンジュゲートしていないAb)と接触させた。(1)thio MA79b-LC(V205C)-MC-MMAF又は(2)thio MA79b-HC(A118C)-MC-MMAF(それぞれ図29A-B);(3)thio huMA79b.v18-HC(A118C)-MC-MMAF、(4)thio huMA79b.v18-HC(A118C)-MC-vcPAB-MMAE、又は(5)thio huMA79b.v18-HC(A118C)-BMPEO-DM1(それぞれ図30B-D);(6)thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、(7)thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、又は(8)thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF(それぞれ図31B-31Dを参照);又は(9)thio 抗cynoCDb79(ch10D10)-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、(10)thio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-BMPEO-DM1、又は(11)thio 抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-MC-MMAF(それぞれ図32B-32Dを参照)。PEコンジュゲートマウス抗ヒトIgを二次検出抗体(BD Cat#555787)として用いた。
細胞表面に結合した抗CD79b抗体は、PEコンジュゲートマウス抗ヒトIgを用いて検出した。図29-32のプロット線は、抗原結合が試験したthioMAb薬剤コンジュゲートのすべてについておよそ同じであったことを示す。
【0483】
実施例8:抗CD79b ThioMab薬剤コンジュゲートによるインビトロ細胞増殖低減についてのアッセイ
抗CD79b ThioMAb-薬剤コンジュゲート(thio huMA79b.v18-HC(A118C)-MCMMAF、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE及びthio huMA79b.v18-HC(A118C)-BMPEO-DM1を含む)のインビトロ作用強度は、細胞増殖アッセイにて測定した(図41A、BJAB-ルシフェラーゼ;図41B、Granta-519;図41C、WSU-DLCL2)。CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイは、甲虫類ルシフェラーゼの組み換え発現に基づいた、市販されている(Promega Corp.,Madison,WI)均質アッセイ法である(米国特許第5583024号;同第5674713号;同第5700670号)。細胞増殖アッセイは、代謝的に活性な細胞の指標であるATPの存在量に基づいて、培養中の生きている細胞数を決定する(Crouch et al.,J.Immunol.Metho.,160:81-88(1993);米国特許第6602677号)。CellTiter-Glo(登録商標)アッセイは、自動化ハイスループットスクリーニング(HTS)を実施しやすいように96ウェルフォーマットで行った(Cree et al.,AntiCancer Drugs,6:398-404(1995))。均質なアッセイ手順は、血清添加培地にて培養した細胞に単一試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)を直接添加することを伴う。
均質な「add-mix-measure」フォーマットにより細胞溶解と、ATP存在量と比例した発光シグナルの生成が生じる。基質であるカブトムシルシフェリンは、ATPのAMPへの同時転換と光子の生成と共に、組み換えホタルルシフェラーゼにより酸化的に脱炭酸される。生きている細胞は、相対的な発光単位(RLU)に反映される。データは、ルミノメーター又はCCDカメラ画像形成装置によって記録されうる。発光出力は、経時的に測定されたRLUとして表される。%RLUは「非薬剤コンジュゲート」コントロールと比較した規準化したRLU割合である。あるいは、発光からの光子をシンチラントの存在下でシンチレーション計測器にて計測することもできる。次いで、光単位はCPS(数/秒)として表されうる。
【0484】
thioMAb-薬剤コンジュゲートの有効性は、CellTiter Glo発光細胞生存率アッセイ(Promega Corp.Technical bulletin TB288;Mendoza et al.,Cancer Res.,62:5485-5488(2002))を変更した、以下のプロトコールを用いた細胞増殖アッセイにより測定した。
1.およそ3000のBJAB、Granta-519又はWSU-DLCL2細胞を培地に含む40μlの細胞培養物分量を、384ウェルの不透明な壁のプレートの各ウェルに置いた。
2.TDC(ThioMab薬剤コンジュゲート)(10μl)を、4通りの実験ウェルに加え、10000、3333、1111、370、123、41、13.7、4.6又は1.5ng/mlの終濃度にし、「非薬剤コンジュゲート」コントロールウェルは培地のみとし、3日間インキュベートした。
3.プレートは、およそ30分かけて室温にした。
4.CellTiter-Glo試薬(50μl)を加えた。
5.内容物を環状振とう器上で2分間混合した。
6.プレートは、室温で10分間インキュベートし、発光シグナルを安定化させた。
7.発光は、%RLU(相対的な発光単位)として記録し、グラフに表した。無薬剤-コンジュゲート培地にてインキュベートした細胞からのデータは0.51ng/mlにプロットした。
培地:BJAB、Granta-519及びWSU-DLCL2細胞は、RPMI1640/10%FBS/2mMグルタミン中で生育させた。
【0485】
実施例9:抗CD79b ThioMab薬剤コンジュゲートによるインビトロ腫瘍増殖の抑制のためのアッセイ
A.Granta-519(ヒトマントル細胞リンパ腫)
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記参照)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片(ヒトマントル細胞リンパ腫)におけるthioMAb薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表11に示す。
コントロールAbは、hu-抗HER2-MC-MMAF又はMA79b-MC-MMAFとした。コントロールHC(A118C)thioMAbは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)-MMAF thioMAbとした。結果を表11及び図33に示す。
図33Aは、表11に示す用量の、重鎖A118C又は軽鎖V205C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、thio chMA79b-HC(A118C)-MC-MMAF及びthio chMA79b-LC(V205C)-MC-MMAFの投与は、ネガティブコントロール(抗hu-HER2-MC-MMAF及びthio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF)と比較すると、腫瘍増殖の阻害を示した。他のコントロールにはMA79b-MC-MMAFが含まれた。
さらに、同じ試験では、初めの14日間の体重変化の割合を各投与群で測定した。結果(図33B)は、これらthioMab薬剤コンジュゲートの投与によりこの期間では体重の割合の有意な減少も体重減少も起こらなかったことを示した。
さらに、表11では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表11
インビボ腫瘍体積減少、
CB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片におけるthio chMA79b-HC(A118C)又はthio chMA79b-LC(V205C)MMAFコンジュゲート投与

【0486】
B.BJAB-ルシフェラーゼ(バーキットリンパ腫)異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのBJAB-ルシフェラーゼ異種移植片(バーキットリンパ腫)における更なる薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表12に示す。
コントロール抗体は、huMA79b.v28(SMCC-DM1にコンジュゲートされたもの)とした。コントロールHC(A118C)thioMAbは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)抗体thioMAb(BMPEO-DM1、MC-MMAF又はMCvcPAB-MMAEにコンジュゲートされたもの)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)thioMAb又はthio hu-抗CD22(10F4v3)-HC(A118C)thioMAb(MC-MMAFにコンジュゲートされたもの)とした。結果を、以下の表12及び図34に示す。
図34Aは、表12に示すhuMA79b.v28-HC(A118C)thioMAb薬剤コンジュゲートにて処置したCB17 SCIDマウスのBJAB-ルシフェラーゼ異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE thioMAb薬剤コンジュゲートの投与は、ネガティブコントロールの抗体薬剤コンジュゲート(thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF及びthio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。他のコントロールは、thio-huMA79b.v28-HC(A118C),huMA79b.v28-SMCC-DM1及びthio-hu-抗CD22(10F4v3)-HC(A118C)-MC-MMAFとした。
さらに、同じ試験では、初めの7日間の体重変化の割合を各投与群で測定した。結果(図34B)は、これらthioMab薬剤コンジュゲートの投与によりこの期間では体重の割合の有意な減少も体重減少も起こらなかったことを示した。
さらに、表12では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm3に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表12
インビボ腫瘍体積減少、
CB17 SCIDマウスのBJAB-ルシフェラーゼ異種移植片におけるThio HuMA79b.v28-HC(A118C)MMAE、MMAF及びDM1コンジュゲート投与

【0487】
C.WSU-DLCL2(びまん性大細胞型リンパ腫)異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記参照)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスの濾胞性リンパ腫WSU-DLCL2異種移植片(びまん性大細胞型リンパ腫)におけるthioMAb薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量は以下の表13に示す。
コントロール抗体は、huMA79b.v28(SMCC-DM1に接合されたもの)とした。コントロールのHC(A118C)thioMAbは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)抗体thioMAb(BMPEO-DM1、MC-MMAF又はMCvcPAB-MMAEにコンジュゲートされたもの)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)thioMAb又はthio 抗CD22 10F4v3-HC(A118C)thioMAb(MC-MMAFにコンジュゲートされたもの)とした。結果を以下の表13に示す。
図35Aは、表13に示す用量の、重鎖A118C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのWSU-DLCL2(びまん性大細胞型リンパ腫)異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAEの投与は、ネガティブコントロール(thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、thio-huMA79b.v28-HC(A118C))と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。他のコントロールには、thio-huMA79b.v28-HC(A118C)、huMA79b.v28-SMCC-DM1及びthio hu-抗CD22(10F4v3)-HC(A118C)-MC-MMAFが含まれた。
thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE TDCは、この試験において最も効果的な試験薬剤であるようである。
さらに、同じ試験では、初めの7日間の体重変化の割合を各投与群で測定した。結果(図35B)は、これらthioMab薬剤コンジュゲートの投与によりこの期間では体重の割合の有意な減少も体重減少も起こらなかったことを示した。
さらに、表13では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表13
インビボ腫瘍体積減少、
CB17 SCIDマウスのWSU-DLCL2異種移植片における、Thio HuMA79b.v28-HC(A118C)MMAE、MMAF及びDM1コンジュゲート投与

【0488】
D.DOHH2(濾胞性リンパ腫)異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記参照)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのDOHH2異種移植片モデルにおけるthioMAb薬剤コンジュゲートのB細胞腫瘍体積低減能を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表14に示す。
コントロールAbは、huMA79b.v28(SMCC-DM1にコンジュゲートされたもの)とした。コントロールのHC(A118C)thioMAbは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)thioMAb(BMPEO-DM1、MC-MMAF又はMCvcPAB-MMAEにコンジュゲートされたもの)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)thioMab及びthio hu-抗CD22-HC(A118C)(MC-MMAFに接合された)であった。結果を表14及び図36に示す。
図36Aは、表14に示す用量の、重鎖A118C TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのDOHH2細胞異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、表14に示される用量の、thio huMA79b.v28-HC-(A118C)-BMPEO-DM1、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE thioMAb薬剤コンジュゲートの投与は、ネガティブコントロールの薬剤コンジュゲート(thioコントロールhu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、Thioコントロールhu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF、Thioコントロールhu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAEと比較して、腫瘍増殖の抑制を示した。他のコントロールには、ThioコントロールhuMA79b.v28-HC(A118C)、Thioコントロール抗CD22-HC(A118C)-MC-MMAF及びThioコントロールhuMA79b.v28-HC(A118C)及びコントロールhuMA79b.v28-SMCC-DM1が含まれた。
さらに、表14では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表14
インビボ腫瘍体積低減、
CB17 SCIDマウスのDOHH2異種移植片における、Thio HuMA79b.v28-HC(A118C)DM1、MMAF及びMMAEコンジュゲート投与

【0489】
E.BJAB-ルシフェラーゼ(バーキットリンパ腫)異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのBJAB-ルシフェラーゼ異種移植片(バーキットリンパ腫)における薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表15に示す。
コントロール抗体はベヒクル(バッファ(ADCのために)単独)とした。コントロールHC(A118C)thioMAbは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)抗体thioMAb(BMPEO-DM1、MCvcPAB-MMAE又はMC-MMAFにコンジュゲートされたもの)、thio huMA79b.v28-HC(A118C)thioMAb又はthio 抗CD22 10F4v3-HC(A118C)thioMAb(MC-MMAFにコンジュゲートされたもの)とした。結果を、以下の表15に示す。
図37Aは、表15に示す用量の、重鎖A118C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのBJAB-ルシフェラーゼ異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAFの投与は、ネガティブコントロール(thio-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、thio-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF)と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。他のコントロールには、thio huMA79b.v28-HC(A118C)及びthio-10F4v3-HC(A118C)-MC-MMAFが含まれる。
さらに、表15では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表15
インビボ腫瘍体積低減、
CB17 SCIDマウスのBJAB-ルシフェラーゼ異種移植片における、Thio HuMA79b.v28-HC(A118C)MMAE、MMAF及びDM1コンジュゲート投与

【0490】
F.Granta-519(ヒトマントル細胞リンパ腫)異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記参照)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片ヒトマントル細胞リンパ腫におけるthioMAb薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表16に示す。
コントロールHC(A118C)thioMAbは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)thioMAb(BMPEO-DM1又はMC-MMAFにコンジュゲートされたもの)とした。結果を表16及び図38に示す。
図38Aは、表16に示す用量の、重鎖A118C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、表16に示される用量の、thio huMA79b.v28-HC-(A118C)-BMPEO-DM1及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF thioMAb薬剤コンジュゲートの投与は、コントロール薬剤コンジュゲートと比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。
さらに、同じ試験では、初めの14日間の体重変化の割合を各投与群で測定した。結果(図38B)は、これらthioMab薬剤コンジュゲートの投与によりこの期間では体重の割合の減少も体重減少も起こらなかったことを示した。
さらに、表16では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表16
インビボ腫瘍体積低減、
CB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片における、Thio HuMA79b.v28-HC(A118C)DM1及びMMAFコンジュゲート投与

【0491】
G.WSU-DLCL2(びまん性大細胞型リンパ腫)異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記参照)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのWSU-DLCL2異種移植片(びまん性大細胞型リンパ腫)におけるthioMAb薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表17に示す。
コントロール抗体はベヒクル(バッファ(ADCのために)単独)とした。コントロールthio MAbsは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)抗体thioMAbs(BMPEO-DM1、MCvcPAB-MMAE又はMC-MMAFにコンジュゲートされたもの)とした。結果を表17及び図39に示す。
図39は、表17に示す用量の、重鎖A118C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのWSU-DLCL2異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE(0.5、1.0mg/kg、2.0mg/kg及び4.0mg/kgのAb用量で)の投与は、ネガティブコントロール(thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF及びA-ベヒクル)と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。
さらに、表17では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表17
インビボ腫瘍体積低減、
CB17 SCIDマウスのWSU-DLCL2異種移植片における、Thio HuMA79b.v28-HC(A118C)MMAE、MMAF及びDM1コンジュゲート投与

【0492】
H.Granta-519(ヒトマントル細胞リンパ腫)異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記参照)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片(ヒトマントル細胞リンパ腫)におけるthioMAb薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表18に示す。
コントロールthio MAbは、thio hu-抗HER2-HC(A118C)(BMPEO-DM1にコンジュゲートされたもの)及びthio hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE抗体thioMAbとした。結果を以下の表18に示す。
図40Aは、表18に示す用量の、重鎖A118C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片の経時的な平均腫瘍体積の変化をプロットするグラフである。具体的には、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE(1.0mg/kg、2.0mg/kg及び4.0mg/kgのAb用量で)の投与は、ネガティブコントロール(thio-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1及びthio-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE)と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。
さらに、表18では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表18
インビボ腫瘍体積減少、
CB17 SCIDマウスのGranta-519異種移植片における、Thio HuMA79b.v28-HC(A118C)DM1及びMMAEコンジュゲート投与

【0493】
I.BJAB-cynoCD79b異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDのcynoCD79bを発現するBJAB(バーキットリンパ腫)細胞(BJAB-cynoCD79b)異種移植片におけるthioMAb薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表18に示す。
コントロールAbはベヒクル(バッファ単独)とした。コントロールthio MAbは、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF及びthio-hu-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE抗体thioMAbとした。結果を表19及び図50に示す。
図50は、表19に示す用量の、重鎖A118C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのBJAB-cynoCD79b異種移植片の経時的な腫瘍増殖の阻害をプロットするグラフである。具体的には、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE及びthio huMA79b.v28-HC(A118C)-MC-MMAF、並びにthio-抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE及びthio-抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-MC-MMAFは、ネガティブコントロール(thio-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-抗HER2-HC(A118C)-MCvcPAB-MMAE及びthio-抗HER2-HC(A118C)-MC-MMAF及びA-ベヒクル)と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。
さらに、表19では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm^(3)に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表19
インビボ腫瘍体積減少、
CB17 SCIDマウスのBJAB-cynoCD79b異種移植片における、Thio 抗cyno CD79b(ch10D10)-HC(A118C)DM1、MMAF又はMMAE又はThio HuMA79b.v28 DM1、MMAF又はMMAEコンジュゲート投与

【0494】
J.BJAB-cynoCD79b異種移植片
投与した薬剤コンジュゲートと用量を変え、実施例3(上記)に開示したのと同じ異種移植片試験プロトコールを用いた類似の試験において、CB17 SCIDマウスのcynoCD79bを発現するBJAB(バーキットリンパ腫)(BJAB-cynoCD79b)異種移植片におけるthioMAb薬剤コンジュゲートの有効性を調べた。薬剤コンジュゲート及び用量(すべてのADC及びコントロールについて0日目に投与された)は以下の表19に示す。
コントロールthio MAbは、thio-hu-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1、thio-huMA79b.v28-HC(A118C)及びthio-抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)抗体thioMAbとした。結果を表20及び図51に示す。
図51は、表20に示す用量の重鎖A118C抗CD79b TDCにて処置したCB17 SCIDマウスのBJAB-cynoCD79b異種移植片の経時的な腫瘍増殖の阻害をプロットするグラフである。具体的には、thio huMA79b.v28-HC(A118C)-BMPEO-DM1並びにthio-抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)-BMPEO-DM1は、ネガティブコントロール(thio-抗HER2-HC(A118C)-BMPEO-DM1)と比較して、腫瘍増殖の阻害を示した。他のコントロールには、thio-hu-MA79b.v28-HC(A118C)及びthio-抗cynoCD79b(ch10D10)-HC(A118C)が含まれた。
結果を以下の表20に示す。表20では、PR=部分再生(投与後いずれかの時の腫瘍体積が0日目に測定した腫瘍体積の50%以下に落ち込んだ場合)又はCR=完全再生(投与後のいずれかの時の腫瘍体積が0mm3に落ち込んだ場合)を示す、試験したマウスの合計数のうちのマウス数を示し、NAは不適用である。(DAR=抗体に対する薬剤比)
表20
インビボ腫瘍体積減少、
CB17 SCIDマウスのBJAB-cynoCD79b異種移植片における、Thio 抗cyno CD79b(ch10D10)-HC(A118C)DM1又はthio HuMA79b.v28-HC(A118C)DM1コンジュゲート投与

【0495】
上記の文書による明細書は、当業者による本発明の実施を十分可能にするものであると考えられる。本発明は、寄託された実施品が本発明のある態様の一つの例証として意図されているため、寄託された作製物により範囲が制限されるのではなく、機能的に均等であるあらゆる作製物は本発明の範囲内にある。本明細書中の材料の寄託は、本明細書内に記載された説明が、その最良の態様を含む本発明の任意の態様の実施を可能にするのに不十分なことを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して特許請求の範囲を制限するものであると解釈するべきではない。実際に、本明細書で示され記載されたものに加えて、本発明の様々な変更が、上記の説明により当業者には明白であり、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0496】
実施態様
1. (a)
(i) KASQSVDYDGDSFLN(配列番号:131)である配列A1-A15を含むHVR-L1
(ii) AASNLES(配列番号:132)である配列B1-B7を含むHVR-L2
(iii)QQSNEDPLT(配列番号:133)である配列C1-C9を含むHVR-L3
(iv) GYTFSSYWIE(配列番号:134)である配列D1-D10を含むHVR-H1
(v) GEILPGGGDTNYNEIFKG(配列番号:135)である配列E1-E18を含むHVR-H2、及び、
(vi) TRRVPVYFDY(配列番号:136)である配列F1-F10を含むHVR-H3からなる群から選択される少なくとも1のHVR配列と、
(b)配列番号:131、132、133、134、135又は136に示される配列の少なくとも1の残基の修飾を含む少なくとも1の変異HVR
とを含む、抗CD79b抗体。
2. 変異体HVR-H3のF6がIであり、F7がRであり、F8がLである、請求項1に記載の抗体。
3. 変異体HVR-L1のA9がE又はSである、請求項1又は2に記載の抗体。
4. フレームワーク配列の少なくとも一部が、ヒトのコンセンサスフレームワーク配列である、請求項1に記載の抗体。
5. 前記修飾が置換、挿入又は欠失である、請求項1に記載の抗体。
6. HVR-L1変異体が、A4(K)、A9(E又はS)及びA10(A又はS)のいずれかに1の置換を含む、請求項1に記載の抗体。
7. HVR-L2変異体が、B2(S又はG)、B3(R又はG)、B4(K、R、Y、I、H又はQ)、B5(R)、B6(G、K、A、R、S又はL)及びB7(R、N、T又はG)のいずれか1又はいずれかの組合せに1?5(1、2、3、4又は5)の置換を含む、請求項1に記載の抗体。
8. HVR-L3変異体が、C1(N又はD)、C2(N又はP)、C3(D又はR)、C5(S、K、A、Q、D、L又はG)、C6(A、E又はN)、C7(A)、C8(R)及びC9(N)のいずれか1又はいずれかの組合せに1?4(1、2、3又は4)の置換を含む、請求項1に記載の抗体。
9. HVR-H1変異体が、D1(P)、D2(F)、D3(P、S、Y、G又はN)、D4(L又はV)、D5(T、R、N、K、C、G又はP)、D6(R、T、K又はG)、D8(F)、D9(V又はL)及びD10(S、Q、N又はD)のいずれか1又はいずれかの組合せに1?7(1、2、3、4、5、6又は7)の置換を含む、請求項1に記載の抗体。
10. HVR-H3変異体が、F4(R又はI)、F6(I又はF)、F7(K、C、R、V又はF)、F8(L)及びF9(S)のいずれか1又はいずれかの組合せに1?3(1、2又は3)の置換を含む、請求項1に記載の抗体。
11. 配列番号:135の配列を有するHVR-H2を含む、請求項1に記載の抗体。
12. 変異体HVR-H3のF6がIである、請求項1に記載の抗体。
13. 変異体HVR-H3のF7がRである、請求項1に記載の抗体。
14. 変異体HVR-H3のF8がLである、請求項1に記載の抗体。
15. 変異体HVR-L1のA9がEである、請求項1に記載の抗体。
16. 変異体HVR-L1のA9がSである、請求項1に記載の抗体。
17. ヒトCD79bに対する抗体の一価性親和性が、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖可変配列を含むマウス抗体の一価性親和性と実質的に同じであるヒト化抗CD79b抗体。
18. ヒトCD79bに対する抗体の一価性親和性が、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖可変配列を含むマウス抗体又はキメラ抗体の一価性親和性の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍であるヒト化抗CD79b抗体。
19. ヒトCD79bに対する抗体の一価性親和性が、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖可変配列を含むマウス抗体又はキメラ抗体の一価性親和性の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60分の1であるヒト化抗CD79b抗体。
20. マウス抗体が1993年7月20日にHB11413としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって生産される、請求項17から19のいずれか一に記載のヒト化抗体。
21. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が二価の形態のマウス抗体の親和性と実質的に同じであり、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖可変配列を含む、ヒト化抗CD79b抗体。
22. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が、二価の形態のマウス抗体又はキメラ抗体の親和性の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍であり、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖可変配列を含む、ヒト化抗CD79b抗体。
23. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が、二価の形態のマウス抗体又はキメラ抗体の親和性の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55又は60分の1であり、図7A-B(配列番号:10)及び図8A-B(配列番号:14)に示される軽鎖及び重鎖可変配列を含む、ヒト化抗CD79b抗体。
24. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が0.4nMである、ヒト化抗CD79b抗体。
25. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が0.4nM±0.04である、請求項24に記載のヒト化抗CD79b抗体。
26. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が0.2nMである、ヒト化抗CD79b抗体。
27. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が0.2nM±0.02である、請求項26に記載のヒト化抗CD79b抗体。
28. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が0.5nMである、ヒト化抗CD79b抗体。
29. ヒトCD79bに対する二価の形態の抗体の親和性が0.5nM±0.1である、請求項28に記載のヒト化抗CD79b抗体。
30. 結合親和性がKd値として表される、請求項17から29のいずれか一に記載の抗体。
31. 結合親和性がBiacore又はラジオイムノアッセイによって測定される、請求項17から29のいずれか一に記載の抗体。
32. ヒトサブグループ1コンセンサスフレームワーク配列を含む、請求項1から3のいずれか一に記載の抗体。
33. 重鎖ヒトサブグループIIIコンセンサスフレームワーク配列を含む、請求項1から3のいずれか一に記載の抗体。
34. フレームワーク配列が位置71、73及び/又は78に置換を含む、請求項33に記載の抗体。
35. 前記置換がR71A、N73T及び/又はL78Aである、請求項34に記載の抗体。
36. フレームワーク配列が位置48、67、69、71、73及び/又は78に置換を含む、請求項35に記載の抗体。
37. 前記置換がV48I、F67A、I69F、R71A、N73T及び/又はL78Aである、請求項36に記載の抗体。
38. フレームワーク配列が位置48、67、69、71、73、75、78及び/又は80に置換を含む、請求項33に記載の抗体。
39. 前記置換がV48I、F67A、I69F、R71A、N73T、K75S、L78A及び/又はL80Mである、請求項38に記載の抗体。
40. フレームワーク配列が位置4に置換を含む、請求項32に記載の抗体。
41. 前記置換がM4Lである、請求項40に記載の抗体。
42. フレームワーク配列が位置47に置換を含む、請求項32に記載の抗体。
43. 前記置換がL47Fである、請求項42に記載の抗体。
44. フレームワーク配列が位置4及び/又は位置47に置換を含む、請求項32に記載の抗体。
45. 前記置換がM4L及び/又はL47Fである、請求項44に記載の抗体。
46. 細胞障害性剤にコンジュゲートされている場合に腫瘍細胞増殖を阻害する、ヒト化抗CD79b抗体。
47. ヒト化抗体及びキメラ抗体が一価性又は二価性である、請求項1から46のいずれか一に記載の抗体。
48. ヒト化抗体及びキメラ抗体がFc領域に結合された単一のFab領域を含む、請求項1から47のいずれか一に記載の抗体。
49. 図15(配列番号:164-166)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含んでなる抗体。
50. 可変ドメインが図15(配列番号:160-163)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む、請求項49に記載の抗体。
51. 抗体が、図15(配列番号:167及び/又は168)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む、請求項49又は50に記載の抗体。
52. 図15(配列番号:156-158)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体。
53. 可変ドメインが図15(配列番号:152-155)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む、請求項52に記載の抗体。
54. 抗体が、図15(配列番号:159)に示されるCL1配列を含む、請求項52又は53に記載の抗体。
55. 図15(配列番号:170)に示される配列を含むポリペプチド。
56. 図15(配列番号:169)に示される配列を含むポリペプチド。
57. (a)請求項49から51のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項52から54のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体を発現する細胞を培養する、そして、(b)前記の培養された細胞から抗体を単離する
という工程によって作製される抗体。
58. 請求項49から51のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項52から54のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
59. 抗体が一価性であり、Fc領域を含む、請求項58に記載の抗体。
60. 図16(配列番号:183-185)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体。
61. 可変ドメインが図16(配列番号:179-182)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む、請求項60に記載の抗体。
62. 抗体が、図16(配列番号:186及び/又は187)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む、請求項60又は61に記載の抗体。
63. 図16(配列番号:175-177)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体。
64. 可変ドメインが図16(配列番号:171-174)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む、請求項63に記載の抗体。
65. 抗体が、図16(配列番号:178)に示されるCL1配列を含む、請求項63又は64に記載の抗体。
66. 図16(配列番号:189)に示される配列を含むポリペプチド。
67. 図16(配列番号:188)に示される配列を含むポリペプチド。
68. (a)請求項60から62のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項63から65のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体を発現する細胞を培養する、そして、(b)前記の培養された細胞から抗体を単離する
という工程によって作製される抗体。
69. 請求項60から62のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項63から65のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
70. 抗体が一価性であり、Fc領域を含む、請求項69に記載の抗体。
71. 図17(配列番号:202-204)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体。
72. 可変ドメインが図17(配列番号:198-201)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む、請求項71に記載の抗体。
73. 抗体が、図17(配列番号:205及び/又は206)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む、請求項71又は72に記載の抗体。
74. 図17(配列番号:194-196)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体。
75. 可変ドメインが図17(配列番号:190-193)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む、請求項74に記載の抗体。
76. 抗体が、図17(配列番号:197)に示されるCL1配列を含む、請求項74又は75に記載の抗体。
77. 図8A-B(配列番号:208)に示される配列を含むポリペプチド。
78. 図7A-B(配列番号:207)に示される配列を含むポリペプチド。
79. (a)請求項71から73のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項74から76のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体を発現する細胞を培養する、そして、(b)前記の培養された細胞から抗体を単離する
という工程によって作製される抗体。
80. 請求項71から73のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項74から76のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
81. 抗体が一価性であり、Fc領域を含む、請求項80に記載の抗体。
82. 図18(配列番号:221-223)に示されるHVR1-HC、HVR2-HC及び/又はHVR3-HC配列を含む重鎖可変ドメインを含む抗体。
83. 可変ドメインが図18(配列番号:217-220)に示されるFR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及び/又はFR4-HC配列を含む、請求項82に記載の抗体。
84. 抗体が、図18(配列番号:224及び/又は225)に示されるCH1及び/又はFc配列を含む、請求項82又は83に記載の抗体。
85. 図18(配列番号:213-215)に示されるHVR1-LC、HVR2-LC及び/又はHVR3-LC配列を含む軽鎖可変ドメインを含む抗体。
86. 可変ドメインが図18(配列番号:209-212)に示されるFR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及び/又はFR4-LC配列を含む、請求項85に記載の抗体。
87. 抗体が、図18(配列番号:216)に示されるCL1配列を含む、請求項85又は86に記載の抗体。
88. 図18(配列番号:227)に示される配列を含むポリペプチド。
89. 図18(配列番号:226)に示される配列を含むポリペプチド。
90.(a)請求項82から84のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項85から87のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体を発現する細胞を培養する、そして、(b)前記の培養された細胞から抗体を単離する
という工程によって作製される抗体。
91. 請求項82から84のいずれか一の重鎖可変ドメインと、請求項85から87のいずれか一の軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
92. 抗体が一価性であり、Fc領域を含む、請求項91に記載の抗体。
93. 配列番号:169から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項:1に記載の抗体。
94. 配列番号:170から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
95. 配列番号:188から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
96. 配列番号:189から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
97. 配列番号:207から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
98. 配列番号:208から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
99. 配列番号:226から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
100. 配列番号:227から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
101. 配列番号:143、144、145及び146から選択される1、2、3又は4のフレームワークアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
102. 配列番号:139、140、141及び142から選択される1、2、3又は4のフレームワークアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
103. 配列番号:143、144、145及び146から選択されるアミノ酸に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する1、2、3又は4のフレームワークアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
104. 配列番号:139、140、141及び142から選択されるアミノ酸に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する1、2、3又は4のフレームワークアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の抗体。
105. 配列番号:170から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項93に記載の抗体。
106. 配列番号:169から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項94の抗体。
107. 配列番号:189から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項95に記載の抗体。
108. 配列番号:188から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項96に記載の抗体。
109. 配列番号:208から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項97に記載の抗体。
110. 配列番号:207から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項98に記載の抗体。
111. 配列番号:227から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む、請求項99に記載の抗体。
112. 配列番号:226から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む、請求項100に記載の抗体。
113. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:170のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む抗体。
114. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:169のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む抗体。
115. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:170のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号:169のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
116. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:189のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む抗体。
117. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:188のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む抗体。
118. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:189のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号:188のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
119. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:208のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む抗体。
120. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:207のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む抗体。
121. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:208のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号:207のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
122. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:227のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む抗体。
123. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:226のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む抗体。
124. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:227のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号:226のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
125. 請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
126. 請求項125に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
127. 請求項126に記載のベクターを含む宿主細胞。
128. 抗CD79b抗体の製造方法であって、(a)抗体をコードするポリヌクレオチドの発現に適切な条件下で真核細胞及びCHO細胞を含む群から選択される宿主細胞を培養し、そして(b)抗体を単離する方法。
129. 配列番号:2のアミノ酸29-39及び配列番号:16のアミノ酸1-11のCD79bの領域内のエピトープに結合する、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体。
130. CD79bが細胞の表面上に発現される、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体。
131. 細胞がB細胞である、請求項130に記載の抗体。
132. B細胞がB細胞増殖性疾患と関係している、請求項131に記載の抗体。
133. B細胞増殖性疾患が癌である、請求項132に記載の抗体。
134. B細胞増殖性疾患が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫から選択される、請求項133に記載の抗体。
135. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体。
136. 抗体がFab、Fab’-SH、Fv、scFv又は(Fab’)2の断片から選択される抗体断片である、請求項135に記載の抗体。
137. 抗体がヒト化される、請求項135に記載の抗体。
138. 1993年7月20日に寄託されたHB11413としてATCCから選択された抗体;配列番号:170の重鎖可変ドメインと配列番号:169の軽鎖可変ドメインとを含む抗体;配列番号:189の重鎖可変ドメインと配列番号:188の軽鎖可変ドメインとを含む抗体;配列番号:208の重鎖可変ドメインと配列番号:207の軽鎖可変ドメインとを含む抗体;そして、配列番号:227の重鎖可変ドメインと配列番号:226の軽鎖可変ドメインとを含む抗体と同じエピトープに結合する、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体。
139. 細胞障害性剤に共有結合的に付着している、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体を含むイムノコンジュゲート。
140. 細胞障害性剤が、毒素、化学療法剤、薬剤部分、抗生物質、放射性同位体及び核酸溶解性酵素から選択される、請求項139に記載のイムノコンジュゲート。
141. 式Ab-(L-D)pを有し、(a)Abが請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体であり、
(b)Lはリンカーであり、
(c)Dは薬剤部分である、
請求項140に記載のイムノコンジュゲート。
142. Lが、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、バリン-シトルリン(val-cit)、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(SIAB)から選択される、請求項141に記載のイムノコンジュゲート。
143. Dがアウリスタチン及びドラスタチンから選択される、請求項141に記載のイムノコンジュゲート。
144. 請求項141に記載のイムノコンジュゲートと薬学的に許容可能な担体とを含有する医薬組成物。
145. CD79bを発現する細胞の増殖の阻害方法であって、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体と該細胞を接触させることを含み、このことにより該細胞の増殖が阻害される方法。
146. 前記抗体が細胞障害性剤にコンジュゲートされている、請求項145に記載の方法。
147. 前記抗体が増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、請求項145に記載の方法。
148. 癌を有する被検体の治療方法であって、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体の有効量を被検体に投与することを含む方法。
149. 癌が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫から選択される、請求項148に記載の方法。
150. 前記抗体が細胞障害性剤にコンジュゲートされている、請求項148に記載の方法。
151. 前記抗体が増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、請求項148に記載の方法。
152. 被検体の増殖性疾患の治療方法であって、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体の有効量を被検体に投与することを含む方法。
153. 前記増殖性疾患が癌である、請求項152に記載の方法。
154. 癌が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫から選択される、請求項153に記載の方法。
155. 前記抗体が細胞障害性剤にコンジュゲートされている、請求項152の方法。
156. 前記抗体が増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、請求項152の方法。
157. 細胞の増殖の阻害方法であって、該細胞の増殖がCD79bの増殖促進効果に少なくともある程度依存しており、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含み、このことにより該細胞の増殖が阻害される方法。
158. 前記抗体が細胞障害性剤にコンジュゲートされている、請求項157に記載の方法。
159. 前記抗体が増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、請求項157に記載の方法。
160. 哺乳動物の腫瘍の治療的な処置方法であって、該腫瘍の増殖がCD79bの増殖促進効果に少なくともある程度依存しており、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む方法。
161. 前記腫瘍が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫と関係している、請求項160に記載の方法。
162. 前記抗体が細胞障害性剤にコンジュゲートされている、請求項160に記載の方法。
163. 前記抗体が増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、請求項160に記載の方法。
164. CD79bへのイムノコンジュゲートの結合のために許容される条件下において細胞を請求項142に記載のイムノコンジュゲートにさらすことを含む、B細胞増殖の阻害方法。
165. B細胞増殖が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫から選択される、請求項164に記載の方法。
166. B細胞が異種移植片である、請求項164に記載の方法。
167. 曝露がインビトロで起こる、請求項164に記載の方法。
168. 曝露がインビボで起こる、請求項164に記載の方法。
169. CD79bを含むことが疑われる生体試料中におけるCD79bの存在の決定方法であって、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体に該試料をさらし、該試料におけるCD79bへの該抗体の結合を決定することを含み、このとき該試料中のCD79bへの該抗体の結合が該試料中の該タンパク質の存在を表す方法。
170. 生体試料が、B細胞増殖性疾患を有すると思われる患者からのものである、請求項169に記載の方法。
171. B細胞増殖性疾患が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫から選択される、請求項170に記載の方法。
172. 請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体を、CD79bを発現する細胞に結合させる方法であって、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体を該細胞と接触させることを含む方法。
173. 前記抗体が細胞障害性剤にコンジュゲートされている、請求項172に記載の方法。
174. 前記抗体が増殖阻害性剤にコンジュゲートされている、請求項172に記載の方法。
175. 一又は複数の遊離システインアミノ酸を含むシステイン改変抗体であって、親抗体の一又は複数のアミノ酸残基を遊離システインアミノ酸によって置換することを含む方法によって調製されるものであり、このとき親抗体が請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体である、システイン改変抗体。
176. 一又は複数の遊離システインアミノ酸が0.6?1.0の範囲のチオ反応値を有する、請求項175に記載の抗体。
177. thio 反応試薬との反応性が親抗体よりも高い、請求項175に記載のシステイン改変抗体。
178. 前記方法が、チオール反応性の試薬とシステイン改変抗体を反応させることによってシステイン改変抗体のチオール反応性を決定することをさらに含み、
このとき該システイン改変抗体がチオール反応試薬との反応性において親抗体よりも高い、請求項175に記載のシステイン改変抗体。
179. 一又は複数の遊離システインアミノ酸残基が軽鎖に位置している、請求項175に記載のシステイン改変抗体。
180. 抗体が、細胞障害性剤に共有結合的に付着したシステイン改変抗体を含むイムノコンジュゲートである、請求項175に記載のシステイン改変抗体。
181. 細胞障害性剤が、毒素、化学療法剤、薬剤部分、抗生物質、放射性同位体及び核酸分解性酵素から選択される、請求項180に記載のシステイン改変抗体。
182. 抗体がキャプチャ標識、検出標識又は固形支持体に共有結合的に付着されている、請求項175に記載のシステイン改変抗体。
183. 抗体がビオチンキャプチャ標識に共有結合的に付着されている、請求項182に記載のシステイン改変抗体。
184. 抗体が蛍光色素検出標識に共有結合的に付着されている、請求項182に記載のシステイン改変抗体。
185. 蛍光色素が、フルオレセインタイプ、ローダミンタイプ、ダンシル、リサミン、シアニン、フィコエリトリン、テキサスレッド及びこれらの類似体から選択される、請求項184に記載のシステイン改変抗体。
186. 抗体が、^(3)H、^(11)C、^(14)C、^(18)F、^(32)P、^(35)S、^(64)Cu、^(68)Ga、^(86)Y、^(99)Tc、^(111)In、^(123)I、^(124)I、^(125)I、^(131)I、^(133)Xe、^(177)Lu、^(211)At、及び^(213)Biから選択される放射性核種検出標識に共有結合的に付着している、請求項182に記載のシステイン改変抗体。
187. 抗体がキレートリガンドによって検出標識に共有結合的に付着されている、請求項182に記載のシステイン改変抗体。
188. キレートリガンドがDOTA、DOTP、DOTMA、DTPA及びTETAから選択される、請求項187に記載のシステイン改変抗体。
189. アルブミン結合ペプチドを含む、請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体。
190. アルブミン結合ペプチドが配列番号:246-250から選択される、請求項188に記載の抗体。
191. 親抗体のカバット番号付け表現法に従うところの軽鎖の15、110、114、121、127、168及び205と、カバット番号付け表現法に従うところの重鎖の5、23、84及び112と、EU番号付け表現法に従うところの重鎖の118、120、282、375及び400から選択される一又は複数の位置に一又は複数の遊離システインアミノ酸を含み、このとき親抗体が請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251及び258のいずれか一に記載の抗体である、システイン改変抗体。
192. システインが軽鎖の位置205にある、請求項191に記載の抗体。
193. システインが重鎖の位置118にある、請求項191に記載の抗体。
194. システインが重鎖の位置400にある、請求項191に記載の抗体。
195. 抗体がモノクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト抗体及びヒト化抗体から選択される、請求項191に記載の抗体。
196. 抗体断片である、請求項191に記載の抗体。
197. 抗体断片がFab断片である、請求項196に記載の抗体。
198. キメラ抗体、ヒト抗体又はヒト化抗体から選択される、請求項191に記載の抗体。
199. 細菌において製造される、請求項191に記載の抗体。
200. CHO細胞において製造される、請求項191に記載の抗体。
201. CD79bタンパク質を含むことが疑われる試料においてCD79bタンパク質の存在を決定する方法であって、該試料を請求項187に記載の抗体にさらし、該試料中の該CD79bタンパク質への該抗体の結合を決定することを含み、このとき該タンパク質に対する抗体の結合が該試料中の該タンパク質の存在を表すものである、方法。
202. 前記試料は、前記CD79bタンパク質を発現することが疑われる細胞を含む、請求項201に記載の方法。
203. 前記細胞がB細胞である、請求項201に記載の方法。
204. 抗体が、蛍光色素、放射性同位体、ビオチン又は金属-錯体形成リガンドから選択される標識に共有結合的に付着している、請求項201に記載の方法。
205. 請求項191に記載の抗CD79b抗体と薬学的に許容可能な希釈液、担体又は賦形剤とを含有する薬学的製剤。
206. 抗体がアウリスタチン又はメイタンシノイド薬剤部分に共有結合的に付着しており、それによって抗体薬剤コンジュゲートが形成される、請求項191に記載の抗体。
207. 抗体(Ab)とアウリスタチン又はメイタンシノイド薬剤部分(D)とを含み、このときシステイン改変抗体がリンカー部分(L)によって一又は複数の遊離システインアミノ酸によってDに付着しており、化合物が以下の式Iを有し、

ここで、pが1、2、3又は4である、請求項206に記載の抗体-薬剤コンジュゲート。
208. pが2である、請求項207に記載の抗体-薬剤コンジュゲート。
209. Lが以下の式を有し、

そこで:
Aがシステイン改変抗体(Ab)のシステインチオールに共有結合的に付着したストレッチャーユニットであり、
aが0又は1であり、
各々のWが独立したアミノ酸ユニットであり、
wが0から12までの整数であり、
Yが、薬剤部分に共有結合的に付着したスペーサーユニットであり、そして、yが0、1又は2である、請求項207に記載の抗体-薬剤コンジュゲート。
210. 以下の式を有し、

ここで、PABがパラ-アミノベンジルカルバモイルであり、そして、R^(17)が、(CH_(2))-r、C_(3)-C_(8)カルボシクリル、O-(CH_(2))_(r)、アリーレン、(CH_(2))_(r)-アリーレン、-アリーレン-(CH_(2))_(r)-、(CH_(2))_(r)-(C_(3)-C_(8)-カルボシクリル)、(C_(3)-C_(8)カルボシクリル)-(CH_(2))_(r)、C_(3)-C_(8)ヘテロシクリル、(CH_(2))_(r)-(C_(3)-C_(8)ヘテロシクリル)、(C_(3)-C_(8)ヘテロシクリル)-(CH_(2))_(r)-、-(CH_(2))_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2))r-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-、-(CH_(2))_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-、-(CH_(2))_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-、-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2)CH_(2)O)_(r)-CH_(2)-、及び-(CH_(2)CH_(2)O)_(r)C(O)NR^(b)(CH_(2))_(r)-から選択される二価のラジカルであり、このときRbがH、C_(1)-C_(6)アルキル、フェニル又はベンジルであり、そして、rがそれぞれ1から10までの整数である、請求項209に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
211. Wwがバリン-シトルリンである、請求項209に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
212. R^(17)が(CH_(2))_(5)又は(CH_(2))_(2)である、請求項209に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
213. 以下の式を有する、請求項209に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。

214. R^(17)が(CH_(2))_(5)又は(CH_(2))_(2)である、請求項213に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
215. 以下の式を有する、請求項209に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。

216. LがSMCC、SPP、SPDB又はBMPEOである、請求項207に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
217. DがMMAEであり、以下の構造を有し、

ここで、波形の線がリンカーLへの付着部位を示す、請求項207に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
218. DがMMAFであり、以下の構造を有し、

ここで、波形の線がリンカーLへの付着部位を示す、請求項207に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
219. DがDM1又はDM4であり、以下の構造を有し、

ここで、波形の線がリンカーLへの付着部位を示す、請求項207に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
220. 抗体が、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体及び抗体断片から選択される、請求項206に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
221. 抗体断片がFab断片である、請求項206に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物。
222. 以下の構造:


から選択され、
このとき、Valがバリンであり、Citがシトルリンであり、pが1、2、3又は4であり、Abが請求項191に記載の抗体である、抗体-薬剤コンジュゲート。
223. アウリスタチンがMMAE又はMMAFである、請求項206に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
224. LがMC-val-cit-PAB又はMCである、請求項207に記載の抗体-薬剤コンジュゲート。
225. B細胞を検出するためのアッセイであり、
(a)細胞を請求項206に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物にさらし、そして、
(b)抗体-薬剤コンジュゲート化合物の細胞への結合の程度を決定する
ことを含むアッセイ。
226. 請求項206に記載の抗体-薬剤コンジュゲート化合物にて、細胞培養培地中の哺乳類の癌性B細胞を処置することを含み、これによって癌性B細胞の増殖が抑制される、細胞増殖の阻害方法。
227. 請求項206に記載の抗体-薬剤コンジュゲートと、薬学的に許容可能な希釈液、担体又は賦形剤とを含有する、薬学的製剤。
228. 請求項227に記載の薬学的製剤を患者に投与することを含む、癌の治療方法。
229. 癌が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項228に記載の方法。
230. 患者が、抗体-薬剤コンジュゲート化合物と組み合わせて細胞障害性剤が投与される、請求項228に記載の方法。
231. 請求項227に記載の薬学的製剤と、
容器と、
化合物がCD79bポリペプチドの過剰発現に特徴がある癌の治療に用いられることを示すパッケージ挿入物又はラベル
とを具備する製造品。
232. 癌が、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、高悪性度NHL、再発性高悪性度NHL、再発性低悪性度NHL、難治性NHL、難治性低悪性度NHL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、白血病、毛様細胞白血病(HCL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、及びマントル細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項231に記載の製造品。
233. 請求項191に記載の抗CD79b抗体(Ab)とアウリスタチン又はメイタンシノイド薬剤部分(D)とを含む抗体薬剤コンジュゲート化合物の製造方法であって、このとき該抗体がリンカー部分(L)によって一又は複数の改変システインアミノ酸によってDに付着しており、該化合物が以下の式Iを有し、
Ab-(L-D)p I
ここで、pが41、2、3又は4であるものであり、
(a)抗体の改変システイン基をリンカー試薬と反応させ、抗体-リンカー中間生成物Ab-Lを形成させ、そして、
(b)活性化された薬剤部分DとAb-Lを反応させ、これによって、抗体-薬剤コンジュゲートが形成される
工程を含むか、又は、
(c)薬剤部分の求核基をリンカー試薬と反応させ、薬剤-リンカー中間生成物D-Lを形成させ、そして、
(d)D-Lを抗体の改変システイン基と反応させ、これによって、抗体-薬剤コンジュゲートが形成される
工程を含む方法。
234. さらに、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において抗体を発現させる工程を含む、請求項233に記載の方法。
235. さらに、発現された抗体を還元剤にて処理する工程を含む、請求項233に記載の方法。
236. 還元剤がTCEP及びDTTから選択される、請求項235に記載の方法。
237. さらに、還元剤にて処理した後に、発現された抗体を酸化剤にて処理する工程を含む、請求項235に記載の方法。
238. 酸化剤が硫酸銅、デヒドロアスコルビン酸及び空気から選択される、請求項237に記載の方法。
239. 配列番号:304又は228のいずれか一から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列を含む、請求項191に記載の抗体。
240. 配列番号:303のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列と、配列番号:228のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列とを含む、請求項191に記載の抗体。
241. 配列番号:306又は230のいずれか一から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列を含む、請求項191に記載の抗体。
242. 配列番号:305のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列と、配列番号:230のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列とを含む、請求項191に記載の抗体。
243. 配列番号:308又は232のいずれか一から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列を含む、請求項191に記載の抗体。
244. 配列番号:307のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列と、配列番号:232のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列とを含む、請求項191に記載の抗体。
245. 配列番号:6又は236のいずれか一から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列を含む、請求項191に記載の抗体。
246. 配列番号:4又は235のいずれか一から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列を含む、請求項191に記載の抗体。
247. 配列番号:4のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列と、配列番号:236のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列とを含む、請求項191に記載の抗体。
248. 配列番号:235のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列と、配列番号:6のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列とを含む、請求項191に記載の抗体。
249. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:301から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインを含む抗体。
250. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:302から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインを含む抗体。
251. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:301から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号:302から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
252. 配列番号:243又は244のいずれか一から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列を含む、請求項191に記載の抗体。
253. 配列番号:241又は300のいずれか一から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列を含む、請求項191に記載の抗体。
254. 配列番号:241のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列と、配列番号:244のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列とを含む、請求項191に記載の抗体。
255. 配列番号:300のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖配列と、配列番号:243のアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖配列とを含む、請求項191に記載の抗体。
256. 請求項1、6-10、58、69、80、91、115、118、121、124、251又は258のいずれか一に記載の抗体を含有する組成物。
257. 組成物が担体を含有する、請求項256に記載の組成物。
258. CD79bに結合する抗体であって、配列番号:14から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変ドメインと、配列番号:10から選択されるアミノ酸配列に少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメインとを含む抗体。
【配列表】










































































































































(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD79b発現に特徴がある、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫又は濾胞性リンパ腫を治療するための医薬であって、該医薬は抗CD79b抗体を含有し、
該抗体が二価の形態でヒトCD79bに対して0.4nM又は0.4nM±0.04の親和性を有する抗体であり、配列番号:202に示すHVR1-HCアミノ酸配列、配列番号:203に示すHVR2-HCアミノ酸配列、配列番号:204に示すHVR3-HCアミノ酸配列、配列番号:194に示すHVR1-LCアミノ酸配列、配列番号:195に示すHVR2-LCアミノ酸配列及び配列番号:196に示すHVR3-LCアミノ酸配列を含み、
更に該抗体は、配列番号:198、199、200及び201に記載の、各々FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及びFR4-HCアミノ酸配列に対し少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する4つの重鎖フレームワークアミノ酸配列、及び
配列番号:190、191、192及び193に記載の、各々FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及びFR4-LCアミノ酸配列に対し少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する4つの軽鎖フレームワークアミノ酸配列を含む、医薬。
【請求項2】
CD79b発現に特徴がある、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫又は濾胞性リンパ腫を治療するための医薬であって、該医薬は抗CD79b抗体を含有し、
該抗体が、配列番号:207に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号:208に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、医薬。
【請求項3】
CD79b発現に特徴がある、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫又は濾胞性リンパ腫を治療するための医薬であって、該医薬は抗体を含むイムノコンジュゲートを含有し、
該抗体が二価の形態でヒトCD79bに対して0.4nM又は0.4nM±0.04の親和性を有する抗体であり、配列番号:202に示すHVR1-HCアミノ酸配列、配列番号:203に示すHVR2-HCアミノ酸配列、配列番号:204に示すHVR3-HCアミノ酸配列、配列番号:194に示すHVR1-LCアミノ酸配列、配列番号:195に示すHVR2-LCアミノ酸配列及び配列番号:196に示すHVR3-LCアミノ酸配列を含み、
更に 該抗体は、配列番号:198、199、200及び201に記載の、各々FR1-HC、FR2-HC、FR3-HC及びFR4-HCアミノ酸配列に対し少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する4つの重鎖フレームワークアミノ酸配列、及び
配列番号:190、191、192及び193に記載の、各々FR1-LC、FR2-LC、FR3-LC及びFR4-LCアミノ酸配列に対し少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する4つの軽鎖フレームワークアミノ酸配列を含む、医薬。
【請求項4】
CD79b発現に特徴がある、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫又は濾胞性リンパ腫を治療するための医薬であって、該医薬は抗体を含むイムノコンジュゲートを含有し、
該抗体が、配列番号:207に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号:208に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む、医薬。
【請求項5】
イムノコンジュゲートが細胞障害性剤に共有結合された抗体を含む、請求項3又は4に記載の医薬。
【請求項6】
細胞障害性剤が、毒素、化学療法剤、薬剤部分、抗生物質、放射性同位体及び核酸分解酵素から選択される、請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
イムノコンジュゲートが、式Ab-(L-D)pを有し、式中
(a)Abが前記抗体であり、
(b)Lがリンカーであり、
(c)Dが薬剤部分であり、及び
(d)pが1から8である、
請求項3又は4に記載の医薬。
【請求項8】
Lが、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、バリン-シトルリン(val-cit)、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(SMCC)、及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノベンゾエート(SIAB)から選択される、請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
Dがアウリスタチン及びドラスタチンから選択される、請求項7又は8に記載の医薬。
【請求項10】
Dが以下の式DE又はDFの薬剤部分であり、

このとき、R^(2)及びR^(6)はそれぞれメチルであり、R^(3)及びR^(4)は各々イソプロピルであり、R^(5)はH又はメチルであり、R^(7)はsec-ブチルであり、各々のR^(8)は、CH_(3)、O-CH_(3)、OH及びHから独立に選択され、R^(9)はHであり、R^(10)はアリールであり、Zは-O-又は-NH-であり、R^(11)はH、C_(1)-C_(8)アルキル、又は-(CH_(2))_(2)-O-(CH_(2))_(2)-O-(CH_(2))_(2)-O-CH_(3)であり、R^(18)は-C(R^(8))_(2)-C(R^(8))_(2)-アリール、そしてpは1から8である、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
薬剤はMMAE及びMMAFから選択される、請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
イムノコンジュゲートが式Ab-(L-MMAE)pを有し、
式中、Abが前記抗体であり、Lがリンカーであり、pが2から5である、請求項3又は4に記載の医薬。
【請求項13】
Lがval-cit、MC、PAB又はMC-PABを含む、請求項12に記載の医薬。
【請求項14】
Dがメイタンシノイドである、請求項7に記載の医薬。
【請求項15】
DがDM1、DM3及びDM4から選択される、請求項14に記載の医薬。
【請求項16】
pが2から4である、請求項15に記載の医薬。
【請求項17】
イムノコンジュゲートが、以下の式Ab-MC-vc-PAB-MMAFを有し、
式中、Abが前記抗体であり、
MCが6-マレイミドカプロイルであり、
vcがバリンシトルリンであり、
PABがp-アミノベンジルオキシカルボニルであり、及び
pが1から8である、請求項3又は4に記載の医薬。

【請求項18】
イムノコンジュゲートが、以下の式Ab-MC-vc-PAB-MMAEを有し、
式中、Abが前記抗体であり、
MCが6-マレイミドカプロイルであり、
vcがバリンシトルリンであり、
PABがp-アミノベンジルオキシカルボニルであり、及び
pが1から8である、請求項3又は4に記載の医薬。

【請求項19】
前記医薬が第2の治療剤と組み合わせて使用される、請求項1から18の何れか一項に記載の医薬。
【請求項20】
前記医薬と前記第2の治療剤が別々に投与される、請求項19に記載の医薬。
【請求項21】
前記第2の治療剤が抗CD20抗体を含む、請求項19又は20に記載の医薬。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-08-22 
結審通知日 2019-08-27 
審決日 2019-09-11 
出願番号 特願2013-12112(P2013-12112)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (C07K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 一宮 里枝  
特許庁審判長 中島 庸子
特許庁審判官 常見 優
高堀 栄二
登録日 2015-04-03 
登録番号 特許第5723392号(P5723392)
発明の名称 抗CD79b抗体及びイムノコンジュゲートとその使用方法  
代理人 園田・小林特許業務法人  
代理人 園田・小林特許業務法人  
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