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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部無効 2項進歩性  H01L
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
管理番号 1356300
審判番号 無効2017-800083  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-06-30 
確定日 2019-09-17 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5217800号発明「発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5217800号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、4-6〕、〔7-10〕、11、13、14、15について訂正することを認める。 特許第5217800号の請求項1、4?11及び13?15に係る発明についての本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 請求及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
「特許第5217800号の請求項1、4?11及び13?15に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める。

2 答弁の趣旨
「訂正を認める。本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。

第2 手続の経緯
本件特許第5217800号(以下「本件特許」という。)に係る出願(特願2008-225408号)は、平成20年9月3日に出願され、平成25年3月15日に特許権の設定登録がなされたものである。
平成27年8月12日に無効審判が請求され、平成27年11月6日付けで訂正請求がされ、平成28年6月28日付けで、「特許第5217800号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?6]、[7?10]、[11、12]、13、14、15について、訂正することを認める。請求項1、4?11、13?15に記載された発明についての審判の請求は、成り立たない。請求項2?3、12についての審判の請求を却下する。審判費用は、その15分の12を請求人の負担とし、15分の3を被請求人の負担とする。」旨の審決がされ、その後確定した。
本件特許無効審判事件は、平成29年6月30日に請求人 エヴァーライトエレクトロニクス カンパニー リミテッド(以下「請求人」という。)から請求されたものであり、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成29年 6月30日 無効審判請求
平成29年 7月18日 手続補正書提出(請求人、審判請求書の補正)
平成29年 9月26日 訂正請求書提出(被請求人)
平成29年 9月26日 審判事件答弁書提出(被請求人)
平成29年10月20日 上申書提出(請求人、弁駁書提出期限の期間延長)
平成30年 1月 4日 弁駁書提出(請求人)
平成30年 5月18日 上申書提出(被請求人)(以下「第1上申書」という。)
平成30年 6月 8日 審理事項通知書
平成30年 7月26日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成30年 7月26日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
平成30年 8月23日 口頭審理
平成30年 9月 5日 上申書提出(請求人)(以下「上申書」という。)
平成30年 9月20日 上申書提出(被請求人)(以下「第2上申書」という。)

第3 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
平成29年9月26日付けの本件訂正請求書における請求の趣旨は、「特許第5217800号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、4?11及び13?15について訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。また、平成29年9月26日付けの本件訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。)の内容は、以下のとおりのものである(なお、以下において、願書に添付した明細書又は図面をそれぞれ「本件明細書」又は「本件図面」といい、下線は、訂正箇所として、被請求人が付したものである。)。

(1)請求項1、4?6からなる一群の請求項に係る訂正事項
ア 請求項1に係る訂正
(ア)訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、』
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項4?6も同様に訂正する)。

(イ)訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1において、
「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、」
とあるのを、
『対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームであって、前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、』
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項4?6も同様に訂正する)。

(ウ)訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項1において、
『前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填する工程と、』
という特定事項を、
「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、」
とある後に追加する訂正をする(請求項1の記載を引用する、請求項4?6も同様に訂正する)。

(エ)訂正事項1-4
特許請求の範囲の請求項1において、
「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程と、」
とあるのを、
『隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の発光装置に分離する工程と、』
と訂正する(請求項1の記載を引用する、請求項4?6も同様に訂正する)。

イ 請求項4に係る訂正
(ア)訂正事項4-1
特許請求の範囲の請求項4において、
「前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を有し、」
とあるのを、
『前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を前記外側面となる位置に有し、』
と訂正する(請求項4の記載を引用する、請求項5および6も同様に訂正する)。

(2)請求項7?10からなる一群の請求項に係る訂正事項
ア 請求項7に係る訂正
(ア)訂正事項7-1
特許請求の範囲の請求項7において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置であって、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置であって、』
と訂正する(請求項7の記載を引用する、請求項8?10も同様に訂正する)。

(イ)訂正事項7-2
特許請求の範囲の請求項7において、
『前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂が充填されており、』
という特定事項を、
「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、」
とある後に追加する訂正をする(請求項7の記載を引用する、請求項8?10も同様に訂正する)。

(ウ)訂正事項7-3
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、」
とあるのを、
『前記リードは、対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面の各々に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記切り欠き部は、前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有し、』
と訂正する(請求項7の記載を引用する、請求項8?10も同様に訂正する)。

(エ)訂正事項7-4
特許請求の範囲の請求項7において、
「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、」
とあるのを、
『前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している、』
と訂正する(請求項7の記載を引用する、請求項8?10も同様に訂正する)。

(3)請求項11に係る訂正事項
ア 請求項11に係る訂正
(ア)訂正事項11-1
特許請求の範囲の請求項11において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージの製造方法であって、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージの製造方法であって、』
と訂正する。

(イ)訂正事項11-2
特許請求の範囲の請求項11において、
「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、」
とあるのを、
『対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームであって、前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、』
と訂正する。

(ウ)訂正事項11-3
特許請求の範囲の請求項11において、
「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する工程と、」
とあるのを、
『隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の樹脂パッケージに分離する工程と、』
と訂正する。

(4)請求項13に係る訂正事項
ア 請求項13に係る訂正
(ア)訂正事項13-1
訂正前の請求項13において、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージであって、」
とあるのを、
『熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージであって、』
と訂正する。

(イ)訂正事項13-2
訂正前の請求項13において、
「前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、」
とあるのを、
『前記リードは、対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面の各々に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記切り欠き部は、前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有し、』
と訂正する。

(ウ)訂正事項13-3
訂正前の請求項13において、
「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している、」
とあるのを、
『前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している、』
と訂正する。

(5)請求項14に係る訂正事項
ア 請求項14に係る訂正
(ア)訂正事項14-1
訂正前の請求項14において、
「縦横少なくとも一方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す工程と、」
とあるのを、
『縦横両方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す工程と、』
と訂正する。

(6)請求項15に係る訂正事項
ア 請求項15に係る訂正
(ア)訂正事項15-1
訂正前の請求項15において、
「前記リードフレームは、縦横少なくとも一方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、」
とあるのを、
『前記リードフレームは、縦横両方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、』
と訂正する。

2 訂正の適否についての判断
(1)請求項1、4?6からなる一群の請求項に係る訂正について
ア 一群の請求項について
訂正前の特許請求の範囲において、請求項4?6はそれぞれ請求項1の記載を引用しているものであって、訂正事項1-1乃至1-4によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、請求項1、4?6は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。

イ 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無、新規事項の追加の有無
(ア)請求項1について
a 訂正事項1-1
(a)訂正の目的の適否
訂正事項1-1は、請求項1において、
(1-1-1)製造対象となる発光装置に含まれる樹脂パッケージが有するリードが、第1リードと第2リードとを有すること、
(1-1-2)樹脂パッケージの外側面が、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有すること、
(1-1-3)樹脂パッケージが上面視で矩形であること
を特定し、「リード」、「外側面」および「樹脂パッケージ」をより具体的に特定するものである。
したがって、当該訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項1-1は、「リード」、「外側面」および「樹脂パッケージ」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(c)新規事項の追加の有無
c-1 リードが第1リードと第2リードとを有すること(上記(1-1-1))について
本件図面の図1および図2には、リードが二つの部分に分かれており、発光素子から延びる二本のワイヤ50のうち一方のワイヤが一方のリードに、他方のワイヤが他方のリードに接続されている状態が記載されている。
また、本件明細書の段落【0045】には、
「リードは正負一対となるように所定の間隔を空けて設けている。」
と記載され、段落【0050】には、
「切り欠き部は、樹脂成形体を個片化して樹脂パッケージとした際、リードが正負一対となるように形成されている。」
と記載されており、樹脂パッケージを構成するリードが二つのリード(これらは区別のために便宜的に、「第1リード」および「第2リード」と呼ぶことができる)を有することが記載されている。
したがって、本件明細書および本件図面には、樹脂パッケージが有するリードが、第1リードと、第2リードとを有する構成が記載されている。

c-2 樹脂パッケージの外側面が、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有すること(上記(1-1-2))および樹脂パッケージが上面視で矩形であること(上記(1-1-3))について

第1の実施形態に係る発光装置の斜視図である本件図面の図1には、発光装置100に含まれる樹脂パッケージ20が上面視で矩形のものであることが示されており、また、上記の図1に示された矩形の樹脂パッケージ20が、四つの外側面を有すること、四つの外側面が、互いに対向する位置にある第1外側面と第2外側面、および互いに対向する第3外側面と第4外側面であることが理解できる。
以上のとおりであるから、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

b 訂正事項1-2
(a)訂正の目的の適否
訂正事項1-2は、訂正後の請求項1に記載された発明において、切り欠き部が設けられる位置および切り欠き部の形態を具体的に特定し、限定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、当該訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項1-2は、「切り欠き部」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(c)新規事項の追加の有無
訂正事項1-2は、本件明細書又は本件図面に基づくものである。
図3には、符号21aでリードフレームに設けられた切り欠き部が示され、段落【0078】に「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。」と記載され、さらに、「次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。」(下線は当審が付したものである。以下同じ。)
と記載され、この記載から、リードフレームに設けられた切り欠き部21aに沿って切断して得られる切断面が、図1に示される発光装置の樹脂パッケージの外側面となることが理解できる。
したがって、図3に示されたリードフレームは、図1に示される発光装置100を構成する樹脂パッケージの四つの外側面(第1乃至第4外側面)となる位置に沿って、切り欠き部が設けられたものであり、また、これらの切り欠き部が樹脂パッケージの外側面となる位置において互いに分離した四つの切り欠き部(第1乃至第4切り欠き部)であることは、本件明細書及び本件図面に記載されているといえる。
以上のとおりであるから、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

c 訂正事項1-3
(a)訂正の目的の適否
訂正事項1-3は、訂正後の請求項1に記載された発明において、凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填する工程を特定事項として追加することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、当該訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項1-3は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(c)新規事項の追加の有無
訂正事項1-3は、本件明細書に基づくものである。
本件明細書の段落【0034】には、
「・・・ 樹脂パッケージ20の凹部27内には発光素子10を被覆する封止部材30を配置する。・・・」
と記載され、段落【0051】には、
「(封止部材)
封止部材の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。」
と記載されている。
したがって、訂正事項1-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

d 訂正事項1-4
(a)訂正の目的の適否
訂正事項1-4は、切断工程によって分離される複数の発光装置において、訂正事項1-1により特定された、樹脂パッケージのリードが有する第1リードおよび第2リードについて、それらが露出する、樹脂パッケージの外側面の位置を特定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、当該訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項1-4は、「発光装置」を構成する「リード」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項1を引用する請求項4?6についても同様である。

(c)新規事項の追加の有無
発光装置の製造方法を示す概略断面図である図4及び段落【0078】の記載から、図3に示すリードフレームを用いて、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断したときに、得られる発光装置の樹脂パッケージにおいて、第1リードが第1外側面、第2外側面及び第3外側面それぞれに露出し、第2リードが第1外側面、第2外側面及び第4外側面それぞれに露出することが理解できる。
以上のとおりであるから、訂正事項1-4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(イ)請求項4について
a 訂正事項4-1
(a)訂正の目的の適否
訂正事項4-1は、訂正後の請求項4に記載された発明において、リードフレームが有する少なくとも1つ以上の孔の位置を具体的に特定し、限定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
請求項4を引用する請求項5及び6についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項4-1は、「孔」という発明特定事項をその位置を限定することによって、より下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項4を引用する請求項5及び6についても同様である。

(c)新規事項の追加の有無
図7には、リードフレームに設けられた切り欠き部(符号121a)及び孔部(符号121b)が記載されており、段落【0079】には、
「・・・第2の実施の形態に係る発光装置の製造方法において、リードフレーム121には切り欠き部121a及び孔部121bを設ける。・・・リードフレーム121における孔部121bの位置は切り欠き部121aの延長線上であって、互いに交差する点付近に設けることが好ましい。」と記載され、また、段落【0084】には、
「切り欠き部121aに沿って樹脂成形体124とリードフレーム121とを切断する。」
と記載されている。
以上のとおりであるから、訂正事項4-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

ウ 訂正後の請求項1、4?6に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項1、4?6に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(2)請求項7?10からなる一群の請求項に係る訂正について
ア 一群の請求項について
訂正前の特許請求の範囲において、請求項8?10はそれぞれ請求項7の記載を引用しているものであって、訂正事項7-1乃至7-4によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるものである。したがって、請求項7?10は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。

イ 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無、新規事項の追加の有無
(ア)請求項7について
a 訂正事項7-1
(a)訂正の目的の適否
訂正事項7-1は、
(7-1-1)発光装置に含まれる樹脂パッケージが有するリードが、第1リードと第2リードとを有すること、
(7-1-2)樹脂パッケージの外側面が、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有すること、
(7-1-3)樹脂パッケージが上面視で矩形であること
を特定し、「リード」、「外側面」および「樹脂パッケージ」をより具体的に特定するものである。
この特定は、上記訂正事項1-1と同じである。
よって、上記訂正事項1-1と同様、訂正事項7-1は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
上記訂正事項1-1と同様、訂正事項7-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

(c)新規事項の追加の有無
上記訂正事項1-1と同様、訂正事項7-1は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

b 訂正事項7-2
(a)訂正の目的の適否
訂正事項7-2は、請求項7において、樹脂パッケージに形成された凹部であって、窒化物半導体素子が載置されている凹部に、封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂が充填されていることを特定事項として追加するものである。
この特定事項の追加は、上記訂正事項1-3と同じである。
よって、上記訂正事項1-3と同様、訂正事項7-2は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
請求項7を引用する請求項8?10についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
上記訂正事項1-3と同様、訂正事項7-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
請求項7を引用する請求項8?10についても同様である。

c 新規事項の追加の有無
上記訂正事項1-3と同様、訂正事項7-1は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

c 訂正事項7-3
(a)訂正の目的の適否
訂正事項7-3は、訂正後の請求項7に記載された発明において、切り欠き部が設けられる位置および切り欠き部の形態を具体的に特定し、限定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
請求項7を引用する請求項8?10についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項7-3は、「切り欠き部」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
請求項7を引用する請求項8?10についても同様である。

(c)新規事項の追加の有無
上記訂正事項1-2と同様、訂正事項7-3は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

d 訂正事項7-4
(a)訂正の目的の適否
訂正事項7-4は、発光装置において、訂正事項7-1により特定された、樹脂パッケージのリードが有する第1リードおよび第2リードについて、それらが露出する、樹脂パッケージの外側面の位置を特定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
請求項7を引用する請求項8?10についても同様である。

(b)特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項7-4は、「リード」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
には該当しない。
請求項7を引用する請求項8?10についても同様である。

(c)新規事項の追加の有無
訂正事項7-4は、発光装置において、訂正事項7-1により特定された、樹脂パッケージのリードが有する第1リードおよび第2リードについて、それらが露出する、樹脂パッケージの外側面の位置を特定するものであるが、この特定については、上記訂正事項1-4で説示したとおりであり、本件明細書又は本件図面に基づくものである。

(イ)訂正後の請求項7?10に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項7?10に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(3)請求項11について
ア 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無、新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項11-1
a 訂正の目的の適否
訂正事項11-1は、請求項11において、
(11-1-1)製造対象となる樹脂パッケージが有するリードが、第1リードと第2リードとを有すること、
(11-1-2)樹脂パッケージの外側面が、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有すること、
(11-1-3)樹脂パッケージが上面視で矩形であること
を特定し、「リード」、「外側面」および「樹脂パッケージ」をより具体的に特定するものである。
この特定は、発光装置に対する上記訂正事項1-1の特定に対応する樹脂パッケージに対する特定であり、その特定内容は同じである。
よって、上記訂正事項1-1と同様、訂正事項11-1は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
上記訂正事項1-1と同様、訂正事項11-1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の追加の有無
上記訂正事項1-1と同様、訂正事項11-1は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

(イ)訂正事項11-2
a 訂正の目的の適否
訂正事項11-2は、請求項11の製造方法で用いられるリードフレームに設けられる切り欠き部が、対向する二つの第1外側面および第2外側面と、対向する二つの第3外側面および第4外側面となる位置の各々に沿ったものであること、および当該切り欠き部が、外側面となる位置において互いに分離した、第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有することを、具体的に特定するものである。
この特定は、上記訂正事項1-2と同じである。
よって、上記訂正事項1-2と同様、訂正事項11-2は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
上記訂正事項1-2と同様、訂正事項11-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の追加の有無
上記訂正事項1-2と同様、訂正事項11-2は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

(ウ)訂正事項11-3
a 訂正の目的の適否
訂正事項11-3は、請求項11において、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程によれば、「前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」複数の樹脂パッケージに分離されることを、より具体的に特定するものである。
この特定は、発光装置に対する上記訂正事項1-4の特定に対応する樹脂パッケージに対する特定であり、その特定内容は同じである。
訂正前の請求項11に記載された特許発明において、切断工程によって分離される複数の樹脂パッケージにおいては、その外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されることが特定されていた。
訂正事項11-3は、切断工程によって分離される複数の樹脂パッケージにおいて、訂正事項11-1により特定された、樹脂パッケージのリードが有する第1リードおよび第2リードについて、それらが露出する樹脂パッケージの外側面の位置を特定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項11-3は、「樹脂パッケージ」を構成する「リード」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

c 新規事項の追加の有無
上記訂正事項1-4と同様、訂正事項11-3は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

イ 訂正後の請求項11に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項11に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(4) 請求項13について
ア 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無、新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項13-1
a 訂正の目的の適否
訂正事項13-1は、
(13-1-1)樹脂パッケージが有するリードが、第1リードと第2リードとを有すること、
(13-1-2)樹脂パッケージの外側面が、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有すること、
(13-1-3)樹脂パッケージが上面視で矩形であること
を特定し、「リード」、「外側面」および「樹脂パッケージ」をより具体的に特定するものである。
この特定は、発光装置に対する上記訂正事項7-1の特定に対応する樹脂パッケージに対する特定であり、その特定内容は同じである。
訂正前の請求項13に記載された特許発明において、樹脂パッケージは、リードと、リードと一体に形成された樹脂部とを有するものとして特定され、また、その外側面は、樹脂部とリードとが略同一面に形成されたものとして特定されており、さらに、樹脂パッケージの上面視の形状は特定されていない。
訂正事項13-1は、訂正後の請求項13に記載された発明において、「リード」、「外側面」および「樹脂パッケージ」を上記(13-1-1)乃至(13-1-3)のとおり具体的に特定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項13-1は、「リード」、「外側面」および「樹脂パッケージ」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

c 新規事項の追加の有無
上記訂正事項7-1と同様、訂正事項13-1は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

(イ)訂正事項13-2
a 訂正の目的の適否
訂正事項13-2は、請求項13において、リードが、対向する二つの第1外側面および第2外側面と、対向する二つの第3外側面および第4外側面の各々に沿って切り欠き部を有すること、および当該切り欠き部が、外側面において互いに分離した、第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有することを、具体的に特定するものである。
この特定は、上記訂正事項7-3と同じである。
よって、上記訂正事項7-3と同様、訂正事項13-2は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
上記訂正事項7-3と同様、訂正事項13-2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の追加の有無
上記訂正事項7-3と同様、訂正事項13-2は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

(ウ)訂正事項13-3
a 訂正の目的の適否
訂正事項13-3は、請求項13において、樹脂パッケージを構成するリードについて、「前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」ことを、より具体的に特定するものである。
この特定は、上記訂正事項7-4と同じである。
よって、上記訂正事項7-4と同様、訂正事項13-3は、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
上記訂正事項7-4と同様、訂正事項13-3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

c 新規事項の追加の有無
上記訂正事項7-4と同様、訂正事項13-3は、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に基づくものである。

イ 訂正後の請求項13に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項13に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(5)請求項14について
ア 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無、新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項14-1
a 訂正の目的の適否
訂正事項14-1は、リードフレームが有する切り欠きであって、樹脂成形体において隣り合う凹部が形成される2つの位置の間に一列のみ設けられる切り欠き部が、縦横両方において存在することを具体的に特定するものである。
訂正前の請求項14に記載された特許発明において、リードフレームが有する切り欠き部であって、樹脂成形体において隣り合う凹部が形成される2つの位置の間に一列のみ設けられる切り欠き部は、縦横少なくとも一方において存在するものとして特定されて、縦横両方において存在するものとしては特定されていない。
訂正事項14-1は、訂正後の請求項14に記載された発明において、切り欠き部が縦横両方に存在することを特定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項14-1は、「切り欠き部」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

c 新規事項の追加の有無
本件図面の図3および図5、ならびに図7および図8には、縦横両方において、樹脂成形体において隣り合う凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有するリードフレームが記載されている。
具体的には、図3および図5において、符号21で示されるものがリードフレームであり、符号21aで示されるものが切り欠き部であり、符号24で示されるものが樹脂成形体であるところ、図3および図5を合わせて見れば、切り欠き部21aが、樹脂成形体24において隣り合う凹部が形成される2つの位置の間に、縦横両方に一列のみ形成されたリードフレーム21が記載されていると理解される。
同様に、図7および図8において、符号121で示されるものがリードフレームであり、符号121aで示されるものが切り欠き部であり、符号124で示されるものが樹脂成形体であるところ、図7および図8を合わせて見れば、切り欠き部121aが、樹脂成形体124において隣り合う凹部が形成される2つの位置の間に、縦横両方に一列のみ形成されたリードフレーム121記載されていると理解される。
したがって、上記図3および図5、ならびに図7および図8によれば、これらの図面に示されたリードフレームが、縦横両方において、樹脂成形体において隣り合う凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有するリードフレームであるといえる。
以上のとおりであるから、訂正事項14-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

イ 訂正後の請求項14に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項14に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(6) 請求項15に係る訂正について
ア 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無、新規事項の追加の有無
(ア)訂正事項15-1
a 訂正の目的の適否
訂正事項15-1は、リードフレームが有する切り欠き部であって、樹脂成形体に形成された凹部同士の間に一列のみ設けられる切り欠き部が、縦横両方において存在することを具体的に特定するものである。
訂正前の請求項15に記載された特許発明において、リードフレームが有する切り欠きであって、樹脂成形体に形成された凹部同士の間に一列のみ設けられる切り欠き部は、縦横少なくとも一方において存在するものとして特定されて、縦横両方において存在するものとしては特定されていない。
訂正事項15-1は、訂正後の請求項15に記載された発明において、切り欠き部が縦横両方に存在することを特定することによって、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の有無
訂正事項15-1は、「切り欠き部」という発明特定事項をより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

c 新規事項の追加の有無
本件図面の図3および図5、ならびに図7および図8には、縦横両方において、樹脂成形体に形成された凹部同士の間に、切り欠き部を一列のみ有するリードフレームが記載されている。
具体的には、図3および図5において、符号21で示されるものがリードフレームであり、符号21aで示されるものが切り欠き部であり、符号24で示されるものが樹脂成形体であるところ、図3および図5を合わせて見れば、切り欠き部21aが、樹脂成形体24において形成された凹部同士の間に、縦横両方に一列のみ形成されたリードフレーム21が記載されていると理解される。
同様に、図7および図8において、符号121で示されるものがリードフレームであり、符号121aで示されるものが切り欠き部であり、符号124で示されるものが樹脂成形体であるところ図7および図8を合わせて見れば、切り欠き部121aが、樹脂成形体124に形成された凹部同士の間に、縦横両方に一列のみ形成されたリードフレーム121が記載されていると理解される。
したがって、上記図3および図5、ならびに図7および図8によれば、これらの図面に示されたリードフレームが、縦横両方において、樹脂成形体に形成された凹部同士の間に、切り欠き部を一列のみ有するリードフレームであるといえる。

以上のとおりであるから、訂正事項15-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

イ 訂正後の請求項15に係る発明の独立特許要件について
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項が無効審判の請求の対象とされているので、訂正後の請求項15に係る発明について、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。

(7)訂正についての請求人の主張について
ア 請求人は、訂正について、弁駁書において、次のように主張している。
(ア)弁駁書I.1.「訂正発明1、訂正発明7、訂正発明11、訂正発明13について」の主張
「訂正後の請求項1、請求項7、請求項11および請求項13において、「リードフレーム」は、「前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有」しており、これらの「切り欠き部」は、「前記外側面となる位置において互いに分離」しており、本件訂正発明に係る発光装置または樹脂パッケージは、「前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」ものとされている。

この、「前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」なる記載によれば、発光装置または樹脂パッケージの外側面のどの位置においてリードが露出しているのかは何ら特定されておらず、第1リードは単に、第1、第2、第3外側面において露出してさえすれば良く、第2リードは単に、第1、第2、第4外側面において露出してさえすれば良いこととなるから、発光装置や樹脂パッケージの4隅においてリードが露出していない態様も包含されることとなる。

然るところ、本件特許明細書等において開示されている態様は何れにおいても、裏面視(下面視)で、発光装置や樹脂パッケージの4隅においてリードが露出している(下図中の赤丸を参照)。
特に、「第1外側面」および「第2外側面」に着目すれば、第1リードおよび第2リードは何れも、当該外側面の端部(隅)のみにおいて露出しており、それ以外の態様のものは一切開示されていない。
・・・(図省略)・・・
そして、被請求人提出の審判事件答弁書の第24頁においても、「本件図面の図3」の図中には、リードフレームの「つながっている部分」が赤破線部で示されており、斯かる態様のリードフレームを用いて発光装置や樹脂パッケージを製造した場合には、裏面視で、発光装置や樹脂パッケージの4隅のみにおいて第1および第2リードが露出している態様とならざるを得ないことは明らかである。
・・・(図省略)・・・
このように、訂正後の請求項1に記載の発明(訂正発明1)、訂正後の請求項7に記載の発明(訂正発明7)、訂正後の請求項11に記載の発明(訂正発明11)、訂正後の請求項13に記載の発明(訂正発明13)は、本件特許明細書等に開示されていない態様までをも包含することが明らかであり、その結果、これに直接ないし間接に従属する関係にある訂正後の他の請求項に記載の発明もまた、本件特許明細書等に開示されていない態様までをも包含することは明らかであるから、被請求人の求める上記訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであって、認められるべきものではない。」(第6頁下から5行?第9頁第9行)

(イ)弁駁書I.2.「訂正発明4について」の主張
「訂正後の請求項4に記載の発明(訂正発明4)につき、被請求人は、訂正請求書において、「訂正事項4-1は、請求項4において、リードフレームが有する孔が樹脂パッケージの外側面となる位置にあることを具体的に特定するものである。」(第22頁下から第4?3行)とし、当該訂正の根拠として、図6?7、段落【0078】、【0079】、【0084】を挙げ、段落【0079】には「リードフレーム121における孔部121bの位置は切り欠き部121aの延長線上であって、互いに交差する点付近に設けることが好ましい。」なる記載があり、「孔部が切り欠き部の延長線上に設けられているということは、孔部が樹脂パッケージの外側面となる位置に設けられていることにほかならない。」(第25頁第10?12行)と説明している。

しかし、訂正後の請求項4には、「前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を前記外側面となる位置に有し、前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する」と記載されているに過ぎず、「前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を、切り欠き部の延長線上であって互いに交差する点付近に有し、前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する」と記載されているわけではない。
そうすると、「孔」が設けられる位置は、「外側面となる位置」の端部(切り欠き部の延長線上であって互いに交差する点付近)のみではなく、両端部を結ぶ切断線上の何処かにある場合も含み得ることとなるが、本件明細書等には、斯かる態様は一切開示がない。

訂正事項4-1についての被請求人の上記説明は、段落【0079】の「リードフレーム121における孔部121bの位置は切り欠き部121aの延長線上であって、互いに交差する点付近に設けることが好ましい。」なる記載のうちの、「リードフレーム121における孔部121bの位置は切り欠き部121aの延長線上であって、」の記載部分のみを、請求項4の訂正の根拠とするものである。

しかし、この段落【0079】の記載部分は、あくまでも、これに続く「互いに交差する点付近」を特定するための記載であって、当該段落の記載が本来意味するところは、「リードフレーム121における孔部121bを、切り欠き部121aの延長線が互いに交差する点付近に設けることが好ましい。」である。

然るところ、「前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を前記外側面となる位置に有し、」なる記載は、「孔」が、切り欠き部の延長線上であって互いに交差する点付近ではない位置に設けられる場合も含み得る。

このように、訂正後の請求項4に記載の発明(訂正発明4)は、本件特許明細書等に開示されていない態様までをも包含することが明らかであり、その結果、これに従属する関係にある訂正後の請求項5に記載の発明(訂正発明5)および訂正後の請求項6に記載の発明(訂正発明6)もまた、本件特許明細書等に開示されていない態様までをも包含することは明らかであって、被請求人の求める上記訂正は、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するものであって、認められるべきものではない。」(第9頁第11行?第11頁末行)

イ 訂正についての請求人の主張についての判断
(ア)弁駁書I.1.「訂正発明1、訂正発明7、訂正発明11、訂正発明13について」の主張について
本件特許明細書には、リードの露出について以下の記載がある。
「【0022】
樹脂パッケージは、四隅からリードが露出されていることが好ましい。樹脂パッケージの一側面全体にリードを設けるよりも、リードの露出部分を低減するができるため、樹脂部とリードとの密着性の向上を図ることができる。また、正負の異なるリード間に絶縁性の樹脂部が設けられているため短絡を防止することができる。」
「【0050】
切り欠き部は、樹脂成形体を個片化して樹脂パッケージとした際、リードが正負一対となるように形成されている。また、切り欠き部は、樹脂成形体を切断する際に、リードを切断する面積を少なくするように形成されている。例えば、正負一対のリードとなるように横方向に切り欠き部を設け、また、樹脂成形体を個片化する際の切り出し部分に相当する位置に切り欠き部を設ける。ただし、リードフレームの一部が脱落しないように、又は、樹脂パッケージの外側面にリードを露出させるためにリードフレームの一部を連結しておく。ダイシングソーを用いて樹脂成形体をダイシングするため、切り欠き部は、縦及び横若しくは斜めに直線的に形成されていることが好ましい。」
本件特許明細書には、「樹脂パッケージは、四隅からリードが露出されていることが好ましい。」(【0022】)との記載はあるが、リードの露出位置を四隅に限定する記載はない。ところで、リードの露出位置とは、樹脂成形体を個片化する際の切り出し部分に相当する位置で、リードフレームが切断される部分(切り欠き部ではない箇所)、つまり切断前においてリードフレームの一部を連結している部分である。
確かに、樹脂パッケージの四隅に対応する位置に、リードフレームを連結する部分を設ければ、切り欠き部が設けられていても、リードフレームの一部が脱落するようなことはないが、樹脂パッケージの四隅に対応する位置以外(例えば、樹脂パッケージの外側面となる位置の中央寄りの位置)であっても、リードフレームの一部が脱落するようなことにはならない。
してみると、本件特許明細書には、リードの露出位置を四隅とする態様が好ましい態様として記載され、リードの露出位置を四隅とする態様に限定する記載はなく、また、樹脂パッケージの四隅に対応する位置以外であってもリードフレームの一部が脱落しないようにすることは当業者にとって明らかであるから、本件特許明細書に記載のリードの露出位置は、四隅とする「好ましい」態様に限定されるといるとまではいえない。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(イ)弁駁書I.2.「訂正発明4について」の主張について
本件特許明細書には、リードの露出について以下の記載がある。
「【0018】
上金型と下金型とで挟み込まれる前のリードフレームは、孔部が設けられていることが好ましい。これによりリードフレームを軽量化でき、安価な発光装置を提供することができる。孔部にメッキ処理を施すことができるため、リードフレームの露出を抑えることができる。」
「【0079】
第2の実施の形態に係る発光装置は、樹脂パッケージ120に設けられた凹部内に発光素子10を載置する。樹脂パッケージ120の外上面120cは、隅部が円弧状に形成されている。また、リード122の側面は上面から見て円弧状に形成されており、リード122は、上面から見て樹脂部125からやや突出するように段差を設けている。突出されているリード122の上面及び外底面120a、円弧状の局面部分はメッキ処理を施している。一方、リード122の円弧状以外の外側面120b部分はメッキ処理が施されていない。このようにメッキ処理を施した部分を広くすることにより半田等の導電性部材との接合強度が増す。
(第2の実施の形態に係る発光装置の製造方法)
第2の実施の形態に係る発光装置の製造方法において、リードフレーム121には切り欠き部121a及び孔部121bを設ける。この孔部121bの形状は円形状であることが好ましいが、四角形状、六角形状などの多角形状や楕円形状などを採ることができる。リードフレーム121における孔部121bの位置は切り欠き部121aの延長線上であって、互いに交差する点付近に設けることが好ましい。孔部121bの大きさは特に問わないが、電極として用い導電性部材との接合強度を高める場合、広口の方が好ましい。また、導電性部材との密着面積を拡げ、接合強度を高めることができる。」
「【0085】
以上の工程を経ることにより第2の実施の形態に係る発光装置を提供することができる。切り欠き部121aの延長線上に孔部121bを設けているため、ダイシングソーを用いてダイシングを行う際、切断するリードフレーム121が少なくてすむため切断時間を短縮できる。この製造方法によれば、簡易かつ短時間でリードフレーム121にメッキ処理された部分を多く有する発光装置を提供することができる。」

本件特許明細書には、「リードフレーム121における孔部121bの位置は切り欠き部121aの延長線上であって、互いに交差する点付近に設けることが好ましい。」(【0079】)との記載はあるが、孔部の位置を切り欠き部の延長線上であって、互いに交差する点付近に限定する記載はない。ところで、本件特許明細書に記載されている、孔部を設けることの意義は、リードフレームの軽量化(【0018】)、メッキ処理を施すことによりリードフレームの露出を抑えること(【0018】)、メッキ処理を施すことにより半田等の導電性部材との接合強度を増すこと(【0079】)、ダイシングを行う際、切断するリードフレーム121が少なくてすむこと(【0085】)にある。
これらの孔部を設けることの意義は、孔部の位置を切り欠き部の延長線上であって、互いに交差する点付近でなければ、損なわれるというものではない。
してみると、本件特許明細書には、「リードフレーム121における孔部121bの位置は切り欠き部121aの延長線上であって、互いに交差する点付近に設けることが好ましい。」との記載はあるが、孔部の位置を切り欠き部の延長線上であって、互いに交差する点付近とする態様に限定する記載はなく、また、そのように限定しなくても孔部を設けることの意義は、損なわれるものではないことは当業者にとって明らかであるから、本件特許明細書に記載の孔部を設ける位置は、「好ましい」とする態様に限定されているとまではいえない。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

3 小括
以上のとおり、訂正事項1-1ないし15-1は、特許法第134条の2第1項ただし書きに規定する事項を目的とするものであり、また、同法同条第2項及び第3項の規定、並びに同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正を認める。

第4 本件訂正発明
1 上記第3のとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1、4?11及び13?15に係る発明は、本件訂正後の訂正特許請求の範囲の請求項1、4?11及び13?15に記載された事項によりそれぞれ特定される次のとおりのものである(以下、本件訂正後の各請求項に係る発明を「本件訂正発明1」などという。また、本件訂正前の各請求項に係る発明を「本件発明1」などという。下線は訂正箇所に付したもの。以下、同じ。)。

「【請求項1】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームであって、前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、
前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を前記外側面となる位置に有し、
前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の溝を有し、
前記切断する工程において、前記溝を通って前記リードフレームを切断する請求項1又は4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記上金型と下金型とは、前記発光素子が載置される部分、若しくは、前記孔部の近傍の部分のリードフレームを挟み込んでいる請求項1、4又は5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、
前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂が充填されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面の各々に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記切り欠き部は、前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している、
発光装置。
【請求項8】
前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている請求項7又は8のいずれかに記載の発光装置。
【請求項10】
前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている請求項7乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージの製造方法であって、
対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームであって、前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の樹脂パッケージに分離する工程と、
を有する樹脂パッケージの製造方法。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージであって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面の各々に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記切り欠き部は、前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している、
樹脂パッケージ。
【請求項14】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であって、
縦横両方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す工程と、
前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。
【請求項15】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体であって、
前記リードフレームは、底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されており、
前記リードフレームの底面が露出しており、
前記リードフレームは、縦横両方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて隣り合う凹部の間に側壁を有している
樹脂成形体。」

第5 請求人の主張の概要及び証拠方法
1 請求人の主張する無効理由1ないし6は、おおよそ、以下のとおりである。
(1)無効理由1
本件発明1、4?11、13?15はいずれも、特許法36条4項1号、または同法36条6項1号乃至2号、若しくは特許法134条の2第9項で準用する同法126条第5項の規定に反して特許されたものであり、その特許は同法123条第1項第4号若しくは同法同条同項8号の規定により、無効とすべきである。

(2)無効理由2
本件発明1、4?6および本件発明11はいずれも、特許法36条4項1号、または同法36条6項1号乃至2号、若しくは特許法134条の2第9項で準用する同法126条第5項の規定に反して特許されたものであり、その特許は同法123条第1項第4号若しくは同法同条同項8号の規定により、無効とすべきである。

(3)無効理由3
本件発明1、4?6および本件発明11はいずれも、特許法36条6項1号乃至2号の規定に反して特許されたものであり、その特許は同法123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
また、本件訂正発明1、4?6および本件訂正発明11はいずれも、特許法36条6項1号乃至2号の規定に反して特許されたものであり、その特許は同法123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。

(4)無効理由4
本件発明1、4?11、13?15はいずれも、甲1発明(主たる証拠)と甲2発明?甲20発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
また、本件訂正発明1、4?11、13?15はいずれも、甲1発明(主たる証拠)と甲2発明?甲20発明、甲27発明?29発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。

(5)無効理由5
本件発明1、4?11、13?15はいずれも、甲23発明(主たる証拠)(および甲24発明)と甲1発明?甲22発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
また、本件訂正発明1、4?11、13?15はいずれも、甲23発明(主たる証拠)(および甲24発明)と甲1発明?甲22発明、甲27発明?29発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
ただし、口頭審理(調書の請求人項目5)において、「無効理由5のうち、甲24発明を主たる証拠とする特許法29条第2項の規定に基づく無効理由を取下げる。よって、無効理由5は、甲23発明を主たる証拠とする特許法29条第2項の規定に基づく無効理由のみである。」と、無効理由5は整理された。

(6)無効理由6
本件発明1、4?11、13?15はいずれも、甲3発明(主たる証拠)と、甲1発明、甲2発明、および甲4発明?甲24発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
また、本件訂正発明1、4?11、13?15はいずれも、甲3発明(主たる証拠)と、甲1発明、甲2発明、甲4発明?甲24発明、甲27発明?29発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。

2 無効理由1についての主張
(1)審判請求書における主張
「本件発明1、4?11及び13?15においては、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」るのであるから、上述のとおり、本件発明1、4?11及び13?15は、例えば、「対向する二つの外側面となる位置に沿って、製造される発光装置の全包囲周の3/4にわたって切り欠き部が設けられ」た態様も包含することとなるが、この態様において一辺の長さをLとすると、「発光装置の全包囲周」の長さは4Lとなり、この「発光装置の全包囲周」の長さ4Lの3/4は3Lである。
・・・(途中省略)・・・
しかし、最長でも2Lでしかない位置に、どのようにすれば3Lの長さの切り欠き部を設け得るのかを、当業者は到底理解することができないから、そのような態様を実施することはできない。
そもそも、本件特許明細書には、「リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。」(段落【0016】)なる記載や、「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。」(段落【0035】なる記載はあるものの、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」(傍点付加)る態様そのものについては、一切開示も示唆もない。
・・・(途中省略)・・・
(3)小結
以上の次第であり、本件発明1、4?11及び13?15は何れも本件特許明細書において開示されていない態様までをも包含するものであるか、特許請求の範囲の記載が明確ではなく、その結果、いわゆる当業者はその実施をすることができないものである。
よって、本件発明1、4?11及び13?15は、特許法第36条第4項第1号、または、同法同条第6項第1号乃至は同法同条第6項第2号、若しくは、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に反して特許されたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号若しくは同法同条同項第8号の規定により、無効とすべきである。」(第29頁末行?第32頁末行)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
「5-4.「無効理由1について」について
本件訂正発明1および11において、リードフレームに設けられる切り欠き部の位置を、樹脂パッケージの四つの外側面となる位置とし、本件訂正発明7および13において、リードが有する切り欠き部の位置を、四つの外側面とし、本件訂正発明15において、リードフレームが有する切り欠き部の位置を、縦横両方とした今般の訂正により、「二つの外側面となる位置または二つの外側面においてのみ、リードフレームまたはリードに切り欠き部が設けられた構成」が本件訂正発明に含まれなくなったこと、また、「発光装置の全包囲周の3/4にわたって切り欠き部が設けられた態様」が、切り欠き部を、四つの外側面それぞれに設けることによって実現できるものとなったこと、さらに、上記訂正事項が、本件明細書等に開示されている点については、特に意見はない。
その意味においては、「仮に訂正が認められたとすると」という前提の下において、被請求人の「(2)の主張は妥当なものと考える。」との合議体の暫定見解に対し、特に意見はない。
しかし、平成30年1月4日付けの審判事件弁駁書において主張したとおり、今般の訂正は認められるべきものではないから、被請求人の「本件訂正発明1、4?11、13?15はいずれも、本件明細書において開示されていない態様を包含するものではなく」との主張は、その結論においては誤りである。」(第6頁下から3行?第7頁第15行)

3 無効理由2についての主張
(1)審判請求書における主張
「(1)請求項1、4?6および請求項11に係る発明
請求項1、4?6および請求項11に係る発明は何れも、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている」ことを要件とするものであるところ、当該要件は本件特許明細書において開示されてはおらず、その結果、これらの発明は本件特許明細書に開示されていない態様までをも包含することとなる。

(2)発光装置の外側面となる位置に設けられ得る「切り欠き部」
既に明らかにしたとおり、本件特許明細書に開示の発光装置の外側面は何れも、外上面から見て、その一辺の長さが略等しい矩形(正方形)となる態様に限られるから、何れの外側面においても一辺の長さは略等しくLであり、全包囲周は4Lである。
そして、「隣り合う前記凹部の間で」の切断は4つの外側面のすべてにおいてなされることは明らかであるところ、一対の「対向する2つの外側面」と、これと直角な方向の他の一対の「対向する2つの外側面」の何れにおいても、切り欠き部が設けられる「対向する二つの外側面となる位置」の総長は最長で2Lでしかない。
然るところ、これらの発明の何れにおいても、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」るとされているのであるから、全包囲周が4Lである限り、「対向する2つの外側面」には「全包囲周の1/2」を超えて切り欠き部を設けることができないことは明らかである。

そうすると、「全包囲周の1/2以上」である態様のうち、「全包囲周の1/2」である態様以外のものは物理的に成り立ち得ないから、当該要件は「全包囲周の1/2」である場合においてのみ理解可能という他ない。
そして、この場合には、長さLの外側面のそれぞれに長さLの切り欠き部を設けることとなり、これは即ち、「対向する2つの外側面」においては、分離後の各樹脂パッケージの全外側面に切り欠き部が設けられていることに他ならない(下掲の右図:L0は一外側面の長さ、Lは「切り欠き部」の長さを表す)。
しかし、このような状態はすなわち、「切断」前に既に、リードは少なくとも一方向の「隣り合う前記凹部の間で」分離されていることを意味するから、少なくともこの方向におけるリードフレームの切断など、そもそもあり得ない。
よって、上記「方向」に沿って行われる「樹脂成形体とリードフレームとを切断」ということは存在し得ないし、当該「方向」においては「前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている」状態も実現し得ないから、当業者はこれを実施することができない。
なお、発光装置の外側面が、平面図において長方形の場合には、その長手方向に設けられる「切り欠き部」如何によっては、上記構成をとり得る態様もあり得よう。しかしながら、特許請求の範囲に斯かる限定はなされていないのであるから、その意味において発明が不明確であるし、仮にそのような限定がなされたとしても、そのような態様は本件特許明細書に開示されているものではない。
・・・(途中省略)・・・
以上の次第であり、請求項1、4?6および請求項11に係る発明は、本件特許明細書において開示されていない態様までをも包含するものであるか、特許請求の範囲の記載が明確ではなく、その結果、いわゆる当業者はその実施をすることができないものである。
よって、本件発明1、4?6および本件発明11は、特許法第36条第4項第1号、または、同法同条第6項第1号乃至は同法同条第6項第2号、若しくは、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に反して特許されたものであるから、その特許は同法第123条第1項第4号若しくは同法同条同項第8号の規定により、無効とすべきである。」(第33頁第10行?第37頁第2行)

(2)口頭審理陳述要領書における主張
「5-5.「無効理由2について」について
今般の訂正により、本件訂正発明1および11において、リードフレームに設けられる切り欠き部の位置を、樹脂パッケージの四つの外側面となる位置としたことにより、切り欠き部が、製造される発光装置乃至樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって設けられているか否かは、四つの外側面それぞれに形成された切り欠き部を合わせて考慮すべきことが明確になった点、また、訂正後の請求項1および11において、切り欠き部は、外側面となる位置において互いに分離した、第1乃至第4切り欠き部を有するものとされている構成が、本件明細書等に開示されている点については、特に意見はない。
その意味においては、「仮に訂正が認められたとすると」という前提の下において、被請求人の「(2)の主張は妥当なものと考える。」との合議体の暫定見解に対し、特に意見はない。
しかし、平成30年1月4日付けの審判事件弁駁書において主張したとおり、今般の訂正は認められるべきものではないから、被請求人の「本件訂正発明1、4?6、11はいずれも、本件明細書において開示されていない態様を包含するものではなく」との主張は、その結論においては誤りである。」(第7頁第16行?第8頁第7行)

4 無効理由3についての主張
(1)審判請求書における主張
「(1)本件特許発明における「切断」がもつ技術的意義
本件特許発明は、「発光装置1個に対して廃棄されるランナー部分の樹脂が大量になるという問題」(本件特許明細書段落【0007】参照)に鑑みてなされたものとされ、本件発明1に関連しては「また、一度に多数個の発光装置を得ることができ、生産効率の大幅な向上を図ることができる。さらに、廃棄されるランナーを低減することができ、安価な発光装置を提供することができる。」(段落【0014】:下線付加)なる記載があり、本件発明6に関連しては「また、一度に多数個の樹脂パッケージを得ることができ、生産効率の大幅な向上を図ることができる。さらに、廃棄されるランナーを低減することができ、安価な樹脂パッケージを提供することができる。」(段落【0025】:下線付加)なる記載があり、「発明の効果」に関連しては「また、短時間に多数個の発光装置を得ることができ、生産効率の大幅な向上を図ることができる。さらに、廃棄されるランナーを低減することができ、安価な発光装置を提供することができる。」(段落【0030】:下線付加)なる記載がある。

そして、本件特許明細書および図面を参酌する限り、「前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを・・・切断する」とは、切断ライン上に設けられた複数の切り欠き部(およびそこに充填された熱硬化性樹脂)が一回の切断により順次断ち切られることで相互に隣接する発光装置若しくは樹脂パッケージが分離され、(外枠に相当するリードフレームの最外周部分を除く)リードフレームはすべて、個片化された後の発光装置若しくは樹脂パッケージが備えるリードとなる態様以外のものは示されていない。

つまり、(外枠に相当するリードフレームの最外周部分を除く)リードフレームはすべて、個片化された後の発光装置若しくは樹脂パッケージが備えるリードとなるように「切断」を行うべく、本件特許明細書には、切断方法として、ダイシングソーを用いたダイシング以外のものは一切記載されていないのである(段落【0050】、【0078】、【0085】、【0087】参照)。

そうすると、本件特許発明における「切断」とは、発光装置や樹脂パッケージとして個片化した後には、リードフレームはすべて、個片化後の発光装置若しくは樹脂パッケージが備えるリードとなり、その結果、「廃棄されるランナーを低減する」という本件特許発明の効果を奏するという技術的意義を有するものと解される。

(2)請求項1および請求項11に記載されている「分離する工程」
請求項1、4?6および請求項11に係る発明は何れも、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」ことにより、「前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程」若しくは「前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の樹脂パッケージに分離する工程」を備えるものとされる。

これらの記載においては、「切断」は単に、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」ものであればよいとされているのであるから、発光装置や樹脂パッケージとして個片化した後に、(外枠に相当するリードフレームの最外周部分を除く)リードフレームのすべてが、個片化後の発光装置若しくは樹脂パッケージが備えるリードとはならず、その結果、「廃棄されるランナーを低減する」という本件特許発明の効果を奏しない態様をも包含する記載となっている。

例えば「金型加工」の場合、下図(仮想図)のように、図中青破線で示したようなスタンピング金型等で打ち抜き加工した場合には、リードフレームのすべてが個片化された発光装置のリードとなるわけではなく、隣接する樹脂パッケージ間のリードフレーム部分が僅かに残り、当該リードフレーム部分は廃棄されることとなるが、そのような分離工程も、「切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを・・・切断する」ものと解する余地があるから、文言上は、請求項1および請求項11に記載されている「分離する工程」に当たることになる。

そして、その場合には、本来は、請求項1、4?6乃至請求項11に係る発明に包含されるべきではない態様までが含まれ得ることとなるのであるから、結局のところ、これらの請求項に係る発明は、本件特許明細書において開示されていない態様までをも包含するものであるか、特許請求の範囲の記載が明確ではない。
(3)小結
以上の次第であり、本件発明1、4?6および本件発明11は何れも、本件特許明細書において開示されていない態様までをも包含するものであるか、特許請求の範囲の記載が明確ではなく、本件発明1、4?6および本件発明11は、特許法第36条第6項第1号乃至は同法同条第6項第2号の規定に反して特許されたものであり、その特許は同法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。」(第38頁第8行?第41頁第7行)

(2)弁駁書における主張
「第2 「第6 無効理由3について」(第43?46頁)について
・・・請求項1および11の「一体に樹脂成形体を形成」なる記載に基づけば、第1?4の外側面となる位置の少なくとも1つの外側面となる位置において、個片化前の隣接する発光装置ないし樹脂パッケージの間が単にランナー等で繋がれて一体化されているような態様も含み得るのであって、このことは、「廃棄されるランナーを低減する」という本件特許発明の効果を奏しない態様をも包含することを意味する。
よって、今般の訂正によっても、無効理由3は解消していない。」(第30頁第1行?第33頁第4行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「5-6.「無効理由3について」について
・・・ 結局のところ、本件訂正発明1および11による、「廃棄されるランナーを低減する」とは、各発光装置ないし各樹脂パッケージの樹脂部の4つの外側面の何れをも切断により形成すること、また、切断時にリードフレームの残部を残さないことで個片化を実現すること、により実現されるものであって、各発光装置ないし各樹脂パッケージの樹脂部の4つの外側面の何れかが金型により形成されたり、あるいは、スタンピング金型を用いる場合のように切断時に切断手段の幅の分以上のリードフレームの無駄が生じたりする態様は、本件訂正発明1および11による、「廃棄されるランナーを低減する」とは到底言えない。」(第8頁第8行?第10頁第6行)

5 無効理由4についての主張
(1)審判請求書における主張
(以下、丸付き数字については、半角括弧に半角数字で表記する。)
ア 本件発明7
「(3)本件発明7と甲1発明との一致点及び相違点
本件発明7と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(ア)一致点
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは、前記外側面を除く少なくとも上面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子が載置されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出している、
発光装置。

(イ)相違点
相違点7-1A:
「リード」は、
本件発明7では、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」ているのに対し、
甲1発明では、「前記外側面を除く少なくとも上面に銀メッキ処理が施され」たものである点。

相違点7-2A:
「半導体発光素子」は、
本件発明7では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、
甲1発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点7-3A:
「リード」は、
本件発明7では、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」のに対し、
甲1発明では、「切り欠き部」を有していない点。」(第70頁第7行?第71頁第19行)

「(5)相違点7-1Aについての検討
・・・
(ii)上記に摘記したとおり、甲第5号証の請求項3には「前記メタル基板の少なくとも上面の前記発光素子ボンディング部、並びに下面の外部接続端子部には、金メッキ又は銀メッキの表面処理が施されている」(傍点付加)と記載され、段落【0022】等には、甲5発明が備える「メタル基板」の全面に銀メッキ処理等が施される旨の記載があり、当該「メタル基板」は、「切り欠き部を設けたリードフレーム」である。
・・・
つまり、甲第1号証に触れた当業者であれば、甲第5号証に示されているような、全面に銀メッキ処理等が施されたリードフレームを用いることは甲1発明の予定するものでしかないことを想起するし、斯かる全面に銀メッキ処理等が施されたリードフレームを用いた場合には、個片化後の表面実装型発光ダイオードが備える「リード」が「底面及び上面を含む、外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」たものとなることは明らかである。」(第77頁第9行?第78頁第17行)

「(iv)なお、リードフレームの全面に銀メッキ等の処理を施す程度のことは、本件特許の出願前において公知又は周知であって、銀メッキ等の処理を、リードフレームの上面に施すこととするか、それとも全面に施すこととするかは、当業者が適宜選択しうるものでしかない。」(第80頁第7行?第10行)

(当審注:甲第7号証【0064】【0066】【0112】【0114】
甲第8号証【0007】?【0009】【0015】【0020】【0022】
甲第9号証【0032】【0061】図6
甲第10号証【0013】【0018】【0019】図2(a)参照。)

「(v)・・・
してみれば、甲1発明において、「外側面を除く少なくとも上面に銀メッキ処理が施され」た「リード」を、外側面を除く全面に銀メッキ処理等が施された「リード」とすること、すなわち、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」た態様のものとすることに、格別の困難性はない。」(第85頁下から4行?第86頁第11行)

「(6)相違点7-2Aについての検討
・・・
(ii)・・・(甲第3号証)の段落【0066】及び【0068】に下記の記載があるように(下線付加)、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」は、本件特許の出願時点で公知乃至周知の技術であるから、「波長800nm?350nm」の光を発光する「光半導体素子」として、公知又は周知の「光半導体素子」から、当業者が適宜選択しうるものである。」(第96頁第20行?第97頁第8行)

「(7)相違点7-3Aについての検討」(第98頁第3行)
「(iii)しかし、詳細は後述するが、リードフレームに開口部(切り欠き部)を設けることとし、この開口部(切り欠き部)に樹脂を充填させることでリードと樹脂部との接着力を向上させる技術を開示する文献は枚挙に遑がない。」(第98頁下から3行?末行)
(当審注:甲第3号証【0109】?【0110】、甲第11号証【0072】 【0095】参照。)

「(iv)・・・
つまり、甲1発明で用いられるリードフレームとして、甲第5号証に開示されているような「切り欠き部を設けたリードフレーム」を用いた場合には、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」態様となるのである。
(v)なお、甲第5号証に図示されている態様のものは、切り欠き部が、リードフレームの面内で直交する2方向(横方向と縦方向)のダイシングラインの何れか一方向にのみ形成されている。しかし、ダイシング予定のライン上に切り欠き部を設けたリードフレームは、甲第5号証に図示されているようなもの以外にも種々の態様のものがあり、下記に示すとおり、リードフレームの面内で直交する2方向(横方向と縦方向)に切り欠き部が設けられたリードフレームそのものは、本件特許の出願前において公知又は周知なものでしかないのであって、・・・。」(第101頁第5行?第102頁第末行)

(当審注:甲第12号証 、甲第13号証 、甲第14号証、甲第15号証 、甲第16号証参照。)

「(vi)このように、面内で直交する2方向(横方向と縦方向)に切り欠き部が設けられたリードフレームは本件特許の出願前において公知又は周知であり、しかも、「リード」として、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることは、例えば甲第12号証や甲第13号証における開示のとおり、本件特許の出願前において公知又は周知である。
そして、甲1発明において用いる「リード」として、甲第5号証に開示されているような「切り欠き部を設けたリード(フレーム)」を用いることにより上記相違点7-3Aに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はないことは既に明らかにしたとおりである。
仮に、甲第5号証に開示されているような態様の「切り欠き部を設けたリード(フレーム)」を用いることとしない場合であっても、冒頭で説明したとおり、本件特許の出願当時において、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿」う「切り欠き部」を有する「リードフレーム」乃至「リード」を備える発光装置乃至その製造方法そのものは既に公知の技術であったのであるから、甲1発明において用いる「リード」として、例えば甲第12号証や甲第13号証における開示のような、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることにより上記相違点7-3Aに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。」(第117頁第1行?第20行)

「(ix)以上の次第であり、甲1発明において用いる「リード」として、甲第5号証に開示されているような「切り欠き部を設けたリード(フレーム)」を用いることにより上記相違点7-3Aに係る本件発明7の構成となすこと、若しくは、甲1発明において用いる「リード」として、例えば甲第12号証や甲第13号証に開示のような、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることにより上記相違点7-3Aに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。」(第123頁第12行?第19行)

「(8)本件発明7の進歩性の欠如
上述のとおり、本件発明7と甲第1号証に記載された発明との相違点7-1A、相違点7-2A、相違点7-3Aは何れも、当業者にとって、何ら格別のものではなく、容易に想到し得る事項である。」(第123頁第20?第23行)

イ 本件発明8
「(2)本件発明8の進歩性の欠如」(第125頁第8行)

「結局のところ、樹脂パッケージを、「四隅のみからリードが露出されている」態様とする程度のことは、単なる設計事項でしかないと言わざるを得ない。
例えば、・・・(甲第17号証)・・・上記図3から明らかなように、四隅のみからリードに相当する裏面電極が露出しており、その露出の態様は「底面側から視認して四隅が弧状に形成されている」ものである。
加えて、・・・(甲第18号証)に図示された下図のような態様において、そもそも、金属部材(リード)を樹脂部(樹脂パッケージ)の四隅領域でどのように露出させるか、すなわち、露出部分を四隅にどの程度近く設けるのか、といった程度の設計事項でしかない。」(第126頁第2行?第127頁第2行)

ウ 本件発明9
「(3)本件発明9の進歩性の欠如
このように、甲第19号証には、図6(a)および図7(a)に示されている態様のように、「底面側から視認して四隅が弧状に形成されている」樹脂パッケージが開示されており、この図に示された「凹部12a」は、段落【0054】に記載があるとおり、「パッケージ5の製造過程において、コーナー部22にパッケージ5の厚さ方向に貫通孔を形成後に、この位置でダイシングしたことにより、穴の1/4円形がコーナー部22に残るため、この貫通孔跡」として形成されたものである。
したがって、甲第19号証には、本件発明9の構成9A(前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている)が開示されている。」(第131頁下から8行?第132頁第2行)

「してみれば、接合強度を高めるという自明の課題に基づき、甲第19号証等の開示に従い、甲1発明を「前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている」態様とすることは、当業者が適宜なし得るものである。」(第133頁第5行?第8行)

エ 本件発明10
「してみれば、はんだ接続部の信頼性を向上させるという自明の課題に基づき、甲第19号証や甲第20号証等の開示に従い、甲1発明において「リードは、外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」ものとすることは、当業者が適宜なし得るものであり、何ら格別のものでない。」(第139頁第6行?第9行)

オ 本件発明13
「本件発明13の樹脂パッケージは、本件発明7の発光装置が備える樹脂パッケージに他ならない。
そして、既に明らかにしたように、本件発明7は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証と甲第2号証乃至甲第16号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。」(第140頁第10行?第15行)

カ 本件発明15
「本件発明15の樹脂成形体は、本件発明7の発光装置を個片化する前の樹脂成形体に他ならない。
そして、既に明らかにしたように、本件発明7は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証と甲第2号証乃至甲第16号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。」(第141頁第15行?第20行)

キ 本件発明1
「(3)本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点
本件発明7に関連して明らかにしたように、甲第1号証には、構成要件1Aで特定される発光装置が開示されており、当該発光装置は、「前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成」して製造されたものである。
よって、本件発明1の発光装置の製造方法は、上記構成1Aおよび1Fを充足することは明らかであって、本件発明1と甲1発明は、下記の相違点を有する。

相違点1-1A:
「リードフレーム」は、
本件発明1では、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」であり、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」のに対し、
甲1発明では、「配線基板」が「リードフレーム」である場合に、当該「リードフレーム」は「外側面を除く少なくとも上面に銀メッキ処理が施され」たものであり、このリードフレームを「上金型と下金型とで挟み込む」ものである点。

相違点1-2A:
「半導体発光素子」は、
本件発明1では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、
甲1発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点1-3A:
「リードフレーム」は、
本件発明1では、「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ・・・たリードフレーム」であって、「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」のに対し、
甲1発明では、「切り欠き部」が設けられていない点。

(4)本件発明1の進歩性の欠如
(i)相違点1-1Aについて
既に相違点7-1Aに関連して明らかにしたとおり、甲1発明において、「外側面を除く少なくとも上面に銀メッキ処理が施され」た「リード」を、外側面を除く全面に銀メッキ処理等が施された「リード」とすること、すなわち、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」た態様のものとすることに、格別の困難性はない。

そして、「リードフレーム」とは、個片化される前の「リード」であるから、上記と同等の理由により、甲1発明において、上記相違点1-1Aに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(ii)相違点1-2Aについて
既に相違点7-2Aに関連して明らかにしたとおり、甲第3号証に記載されているように、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」は本件特許の出願当時において周知である。

よって、甲1発明において、上記相違点1-2Aに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(iii)相違点1-3Aについて
既に相違点7-3Aに関連して明らかにしたとおり、「リード」として、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることは、例えば甲第12号証や甲第13号証における開示のように、本件特許の出願前において公知又は周知である。

そして、甲1発明において用いる「リード」として、甲第5号証に開示されているような「切り欠き部を設けたリード(フレーム)」を用いることにより上記相違点7-3Aに係る本件発明7の構成となすこと、若しくは、甲1発明において用いる「リード」として、例えば甲第12号証や甲第13号証における開示のような、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることにより上記相違点7-3Aに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。」(第146頁第7行?第148頁第22行)

「しかも、例えば甲第11号証においても、電極板(リード)に設けた開口部(切り欠き部)に樹脂を充填させることでリードと樹脂部との接着力が向上する旨が記載されていることも、上述のとおりである。
よって、甲第5号証や甲第11?13号証の開示ないし教示に従い、本件発明1の発光装置の製造方法において上記構成1Cおよび1Eとすること(相違点1-3A)に、格別の困難性はない。」(第153頁第1行?第6行)

ク 本件発明4
「甲第20号証には、本件発明4で新たに特定される構成4Aと4Bの何れもが開示されており、その段落【0063】?【0064】には、ダイシング工程に先立ち、ダイシングラインDLの延長線S上に設けられた貫通穴からなる「ダイシングマーク」をリードフレームに設けておくことは、通常のことである旨が記載されていることに照らせば、本件発明1の方法を実施するに際し、予め、リードフレームにダイシングラインDLの延長線S上に設けられた貫通穴からなる「ダイシングマーク」を設けておくこと程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。」(第155頁第15行?22行)

ケ 本件発明5
「(2)甲第8号証および甲第13号証に開示された態様
・・・
上記記載等から、甲第8号証の「第2実施形態」に係るリードフレームが「少なくとも1つ以上の溝を有し」ていること、そして、切断する工程において、「前記溝を通って前記リードフレームを切断することは明らかである。
また、甲第13号証の段落【0030】には、「図5は、半導体装置製造用フレームの一例を示している。図示されたフレーム4は、一定の厚みを有する長尺帯状または矩形状などの銅板を所定形状に打ち抜きプレスするとともに、その銅板にエッチング処理を施すことにより、所定部分を薄肉にし、各部に薄肉部と厚肉部とを形成して製造されたものである。」との記載がある。
そして、樹脂封止作業が終了した後に、「封止樹脂およびフレーム4を図7の仮想線Na,Nbで示す箇所で切断」して得られるものとは、図1に示されたような態様のものであり、ここに図示されている「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」が、切断前には「少なくとも1つ以上の溝を有し」ていたことは明らかであって、切断工程において、「前記溝を通って前記リードフレームを切断」した結果、「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」となったことも明らかである。

(3)本件発明5の進歩性の欠如
本件発明10に関連して述べたとおり、「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」は、本件特許の出願当時において周知ないし公知であった。
そして、斯かる「リード」が、切断前には「少なくとも1つ以上の溝を有し」ていたことは明らかであり、切断工程において、「前記溝を通って前記リードフレームを切断」した結果、「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」となったことも明らかである。
してみれば、本件発明1や本件発明4の方法を実施するに際し、予め、リードフレームに「少なくとも1つ以上の溝」を設けておくこと程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、その場合に、切断する工程において、溝を通ってリードフレームを切断する程度のこともまた、当業者が容易に想到し得るものである。」(第156頁第14行?第158頁第13行)

コ 本件発明6
「本件発明6で新たに特定される構成6Aのうちの「前記上金型と下金型とは、前記発光素子が載置される部分のリードフレームを挟み込んでいる」構成は、そもそも甲第1号証に記載された発明が備える構成であるから、当該構成に関する事項は、甲第1号証に記載された発明との間で新たな相違点を構成する事項ではない。」(第160頁第2行?第7行)

サ 本件発明11
「本件発明11の樹脂パッケージの製造方法は、本件発明13の樹脂パッケージを製造する方法に他ならないし、上記構成11A?Dは何れも、本件発明1が備える工程に他ならない。
そして、甲第1?16号証の開示ないし教示に従い、本件発明1の各構成とすることに格別の困難性がない点については、既に明らかにしたとおりである。」(第162頁第8行?第12行)

シ 本件発明14
「本件発明14の樹脂成形体の製造方法は、本件発明15の樹脂成形体を製造する方法に他ならないし、上記構成14A、C?Dは何れも、実質的に、本件発明1が備える工程に他ならない。
そして、甲第1?16号証の開示ないし教示に従い、本件発明1の各構成とすることに格別の困難性がない点については、既に明らかにしたとおりである。
また、上記構成14Bは、本件発明15の構成15Dに対応するものであるところ、既に述べたとおり、縦横少なくとも一方において凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有する態様は単なる設計事項でしかなく、構成要件14Bで特定される構成となすことに、格別の困難性はない。」(第163頁第19行?末行)

(2)弁駁書における主張
「(4)「(4)本件訂正発明1の進歩性について」(第53?85頁)について
(ア)「(ア)相違点1-1a(銀メッキ処理)について」(第55?66頁)について」(第46頁第1行?第3行)
「(v)まとめ
以上の次第であり、「a 甲1発明において、凹部の内底面を越えてリードフレームと熱硬化性樹脂との界面にまで銀メッキ処理を施すことには阻害要因がある」とか、「b 甲5および甲7には切り欠き部内側面に銀メッキ処理を施すことを動機づけるものはなく、銀メッキ処理に関する技術常識を考慮すれば、切り欠き部内側面に銀メッキを施すことには阻害要因がある」とする被請求人の主張は、何れも失当である。」(第60頁第10行?第16行)

「(イ)「(イ)相違点1-2a(切り欠き部)、1-3a(切り欠き部の充填)、1-4a(切り欠き部に沿った切断)について」(第66?84頁)について
(i)甲第3号証および甲第11号証について」(第60頁第17行?第19行
「被請求人は、「甲1等に開示された発光装置を製造する際の問題点」として「光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体とリードフレームとの間の剥離」を挙げるが、甲1発明は「トランスファ・モールドでリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成」したものであるにもかかわらず、「切断時の機械的ストレスによってリードフレームの上面に接合した熱硬化性樹脂が剥離」などしてはおらず、「甲1のようにトランスファ・モールドでリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成しても、接着シートを使った場合のような接合強度が得られないため、切断時の機械的ストレスによってリードフレームの上面に接合した熱硬化性樹脂が剥離してしまう。」ことはないのであって、「光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体とリードフレームとの間の剥離」が「甲1等に開示された発光装置を製造する際の問題点」とされてはいない。
加えて、甲1等に開示された発光装置を製造する際に、光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体とリードフレームとの間の密着性を高めることが好ましいこと自体は当業者にとって自明・周知である。
そして、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めることにより、光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体とリードフレームとの間の剥離が生じ難くなることも自明・周知である。
その一方で、甲第3号証や甲第11号証には、リードフレームに切り欠き部を設け、かつ当該切り欠き部に熱硬化性樹脂を充填させることによって、熱硬化性樹脂-リードフレーム間の剥離を有効に防止するための手段の開示も存在している。
よって、仮に、被請求人の言う「甲3に記載の製造方法においては、切断時の熱硬化性樹脂-リードフレーム間の剥離という現象がそもそも生じず」、「甲11もまた、樹脂成形体とリードフレームを切断するときの課題を指摘するものではない。」との立場に立つ場合であっても、これらの文献を、「甲1等に開示された発光装置を製造する際の問題点(光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂からなる樹脂成形体とリードフレームとの間の剥離)を解消する構成を開示するものではない。」(第72頁第2?5行)などと評価すべきではない。」(第61頁第20行?第62頁第20行)

「(ii)甲第5号証について」(第62頁第21行)
「よって、これらの段落の記載を根拠に、「スリット12bに熱硬化性樹脂を充填してはならないことは明らかである」と結論付けることはできない。」(第65頁第8行?第9行)
「よって、甲第5号証の段落【0022】の「全面を金メッキ又は銀メッキ処理をする」なる記載の「全面」の意味するところは、「表と裏の両面」の意味であって、スリットの内側面までをも包含するものと理解すべきではない。」(第67頁第12行?第14行)

「(iii)甲第12?16号証について」(第67頁第22行)
「しかし、甲第12?16号証がいずれも、発光素子ではない、一般的な半導体チップを樹脂で封止した半導体装置に関するものであるとしても、これらの証拠のいずれもが、リードフレームに形成された「切り欠き部」を開示するものであることに変わりはない。
そして、その態様は、リードフレームの面内で直交する2方向(横方向と縦方向)に切り欠き部が設けられたリードフレームなのであって、斯かる態様のリードフレームが本件特許の出願前において公知又は周知なものでしかないことは明らかであり、発光素子も半導体チップの一態様である以上、リードフレームにどのような切り欠き部を設けるかは、当業者が適宜選択しうるものでしかない。」(第68頁第3行?第12行)

「(v)まとめ
以上の次第であり、相違点1-2a(切り欠き部)、1-3a(切り欠き部の充填)、1-4a(切り欠き部に沿った切断)に関連しての、甲第3号証、甲第11号証、甲第5号証、および、甲第12?16号証に開示の発明についての被請求人の主張は、何れも失当である。

(ウ)「(ウ)相違点1-5a(発光素子)および1-6a(封止部材)について」(第84?85頁)について
上記のとおり、本件訂正発明1と甲1発明との相違点1-1a乃至1-6aのうち、相違点1-1a、1-2a乃至1-4aについての被請求人の主張は何れも理由がなく、本件審判請求書において主張したとおり、相違点1-5aおよび1-6aもまた、当業者が容易に想到し得る事項でしかない。

(5)小結
以上説明したとおり、本件訂正発明1は、甲第1号証および甲第2乃至16号証ならびに甲第27?28号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、今般の訂正によっても無効理由4は解消していない。」(第69頁第14行?第70頁第6行)

「8.小結
以上の次第であり、本件訂正発明1、4?11、13?15は何れも、今般の訂正によっても無効理由4を解消しておらず、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証および甲第2号証?甲第20号証ならびに甲第27号証?甲第29号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。」(第78頁第1行?第8行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「5-7.「無効理由4について」について
(1)「甲1A、B発明」の認定について
甲1A、B発明の認定につき、特に意見はない。

(2)「対比1:甲1」について
(ア)「一致点及び相違点の認定」について
一致点及び相違点の認定につき、特に意見はない。

(イ)「相違点1:甲1-1」について
リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいこと自体は、技術常識を有する当業者にとって自明である。

そうであるが故に、リードあるいはリードに相当する電極板等に切り欠き部に相当する開口部等を設け、そこに樹脂を充填させて、リードと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくする態様を開示する先行文献が多数存在するのである。

そして、上記技術常識を有する当業者が甲1A発明に触れれば、甲1A発明においても、リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいことを自明のこととして認識するし、そのための手段として、リードフレームに切り欠き部を設け、そこに樹脂を充填させてリードフレームと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくすることを試みることには十分に動機付けがあるし、阻害要因もない。

そして、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めるためには、上記切り欠き部への熱硬化性樹脂の充填領域をなるべく多く設けることが好ましいことは自明である。

その場合、4つの外側面のうちの例えば2つの外側面に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるよりも、4つの外側面の何れにも上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けることが好ましいことは当業者にとって自明であるし、阻害要因もない。

また、製造される発光装置の全包囲周の何割程度に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるかは、当業者にとっての設計事項に過ぎないし、審判請求書の第107頁や第110頁で述べたとおり、例えば甲第12号証の図6や甲第13号証の図2に図示されているように、また、審判請求書の第49?58頁で説明した甲第25号証や甲第26号証に図示されている態様のように、これを「1/2以上」とすることの阻害要因もない。

なお、甲1A発明において上記構成を採用したうえで個片化すれば、結果的に、「前記切り欠き部に沿って」、「前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が」、「露出するように」「切断」されることは明らかである。

(ウ)「相違点1:甲1-2」について
発光素子からの光の反射率を高めるため以外にも、例えばリードフレームのはんだ付け性を向上させるためや、あるいは腐食防止等のために銀等でメッキ処理することが好ましいことは、当業者にとって技術常識である。

この点については、例えば甲第5号証ではスリットを除くメタル基板の全面に金メッキ等の表面処理が施されているし、また、例えば甲第10号証の段落【0019】にも、例えば銀のめっき被膜を設けることで「素子とのダイスボンディング性、素子-リードフレーム間のワイヤーボンディング性、およびリードフレームのはんだ付け性を向上させる機能を付加することが可能になる。」旨の記載がなされているところである。

そして、技術常識を有する当業者が甲1A発明に触れれば、甲1A発明においても、リードフレームのはんだ付け性を向上させるためや、あるいは腐食防止等の目的で、光半導体素子からの光を反射できる表面以外にも銀等でメッキ処理することが好ましいことは自明のこととして想起するのであるから、斯かる処理を施すことを試みることには十分に動機付けがある。

なお、既に主張済みではあるが、甲第1号証の、「基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい。」との記載から導き得る認定は、精々、LED素子からの光を効率よく反射できるようにするとの観点からすれば、「『LED素子』が配置されない基板『裏面』に関して『銀めっきを施しておく』必要があるかどうかについて言えば、それは特にはない」という程度のものでしかないのであって、基板の全面に銀めっき処理を施してはいけない、施すべきではないなど、銀めっき処理を施す態様を排除するものではない。

(エ)「相違点1:甲1-3」について
既に主張済みではあるが、甲1発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であるから、甲1発明の「光半導体素子」は、「波長800nm?350nm」の光を発光するものであるところ、例えば甲第3号証の段落【0068】に「420nm以上490nm以下がより好ましい」と記載があるように、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」は、本件特許の出願時点で公知乃至周知の技術であって、しかも、420nm以上490nm以下が「より好ましい」との教示まであるのであるから、「波長800nm?350nm」の光を発光する「光半導体素子」として、公知又は周知の「光半導体素子」から、当業者が適宜選択しうるものであることに加え、斯かる光半導体素子を採用することには、十分な動機付けがある。

(オ)「相違点1:甲1-4」について
例えば甲第3号証の段落【0087】には、本件訂正発明の「封止部材」に相当する「第2の樹脂成形体」に関し、「第2の樹脂成形体50の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。」なる記載があり、「特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。」との教示がある。

よって、当業者であれば、甲1A発明において、「封止部材」として、熱硬化性樹脂の中から、特に好ましい「エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂」を選択する動機付けは十分にある。

そして、甲1A発明において透明な封止樹脂として用いられているエポキシ樹脂は単なる例示に過ぎず、「封止部材」として特に好ましい樹脂である「エポキシ樹脂」を、同様に、特に好ましい樹脂である「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂」とすることに、阻害要因はない。

そうすると、例えば甲第3号証の教示に従い、「封止部材」として、特に好ましい「エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂」のうちの「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂」を選択する動機付けは、十分にある。

(3)「対比7:甲1」について
(ア)「一致点及び相違点の認定」について
一致点及び相違点の認定につき、特に意見はない。

(イ)「相違点7:甲1-1」について
「相違点7:甲1-1」は、実質的に、上記「相違点1:甲1-1」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、技術常識を有する当業者が甲1B発明に触れれば、甲1B発明においても、リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいことを自明のこととして認識するし、そのための手段として、リードフレームに切り欠き部を設け、そこに樹脂を充填させてリードフレームと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくすることを試みることには十分に動機付けがあるし、阻害要因もない。

(ウ)「相違点7:甲1-2」について
「相違点7:甲1-2」は、実質的に、上記「相違点1:甲1-2」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、技術常識を有する当業者が甲1B発明に触れれば、甲1B発明においても、リードフレームのはんだ付け性を向上させるためや、あるいは腐食防止等の目的で、光半導体素子からの光を反射できる表面以外にも銀等でメッキ処理することが好ましいことは自明のこととして想起するのであるから、斯かる処理を施すことを試みることには十分に動機付けがある。

(エ)「相違点7:甲1-3」について
「相違点7:甲1-3」は、実質的に、上記「相違点1:甲1-3」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、「波長800nm?350nm」の光を発光する「光半導体素子」として、公知又は周知の「光半導体素子」から、当業者が適宜選択しうるものであることに加え、斯かる光半導体素子を採用することには、十分な動機付けがある。

(オ)「相違点7:甲1-4」について
「相違点7:甲1-4」は、実質的に、上記「相違点1:甲1-4」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、当業者であれば、甲1B発明において、「封止部材」として、熱硬化性樹脂の中から、特に好ましい「エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂」を選択する動機付けは十分にある。

(4)「対比11:甲1」について
本件訂正発明11と甲1A発明との間に、上記「相違点1:甲1-1」及び上記「相違点1:甲1-2」がある点につき、特に意見はない。
なお、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成を、甲1A発明において採用することの動機付けについては、上述のとおりである。

(5)「対比13:甲1」について
本件訂正発明13と甲1B発明との間に、上記「相違点7:甲1-1」及び上記「相違点7:甲1-2」がある点につき、特に意見はない。
なお、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成を、甲1B発明において採用することの動機付けについては、上述のとおりである。」(第10頁第7行?第15頁第15行)

6 無効理由5についての主張
(1)審判請求書における主張
ア 本件発明7
「(1)本件発明7と甲23発明との一致点及び相違点
・・・
(ア)一致点
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは、光半導体素子搭載領域にNi/Agめっき処理が施されており、かつ、前記外側面はめっき処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子が載置されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出している、
発光装置。

(イ)相違点
相違点7-1B:
「リード」は、
本件発明7では、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」ているのに対し、
甲23発明では、「光半導体素子搭載領域にNi/Agめっき処理が施され」たものである点。

相違点7-2B:
「半導体発光素子」は、
本件発明7では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、
甲23発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

相違点7-3B:
「リード」は、
本件発明7では、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」のに対し、
甲23発明では、「切り欠き部」を有していない点。

(2)相違点7-1Bについての検討
相違点7-1Bは、「リード」に関し、本件発明7では、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」ているのに対し、甲23発明では、「光半導体素子搭載領域にNi/Agめっき処理が施され」たものである点である。

然るところ、既に無効理由4に関連して明らかにしたとおり、本件特許明細書の記載によれば、本件特許発明においては、リードに「段差」を設けた特定の態様でない限り、必ずしも「底面及び上面を含む、外側面を除く全面に銀メッキ処理」を施す必要はないとされており、銀メッキ処理を施す面は全面であってもよい(し、そうでなくてもよい)程度のものでしかない。

しかも、リードやリードフレームの全面に銀メッキ等の処理を施す程度のことは、本件特許の出願前において公知又は周知であって、例えば半田との濡れ性等を考慮して、当業者が適宜選択しうる程度のものでしかない。

してみれば、甲23発明において、「光半導体素子搭載領域にNi/Agめっき処理が施され」た「リード」を、外側面を除く全面に銀メッキ処理等が施された「リード」とすること、すなわち、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」た態様のものとすることに、格別の困難性はない。

(3)相違点7-2Bについての検討
相違点7-2Bは、「半導体発光素子」に関し、本件発明7では「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、甲23発明ではそのようなものであるのか否か明らかでない点である。

当該相違点についても、既に無効理由4に関連して明らかにしたとおりであって、甲23発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であるから、甲23発明の「光半導体素子」は、「波長800nm?350nm」の光を発光するものであるところ、例えば、甲第3号証に記載があるように、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」は、本件特許の出願時点で公知乃至周知の技術であるから、「波長800nm?350nm」の光を発光する「光半導体素子」として、公知又は周知の「光半導体素子」から、当業者が適宜選択しうるものである。

してみれば、甲23発明において、上記周知の技術を採用して、上記相違点7-2Bに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(4)相違点7-3Bについての検討
相違点7-3Bは、「リード」に関し、本件発明7では、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」のに対し、甲23発明では「切り欠き部」を有していない点である。

しかし、「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性」を高めるために、リード(フレーム)に「切り欠き部」を設け、この「切り欠き部」に樹脂を充填させることでリードと樹脂部との接着力を向上させる技術そのものは、本件特許の出願当時において既に知られていた技術に過ぎない。

そうすると、上記相違点7-3Bの判断に際しては、
(1):「リード(フレーム)」に、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」「切り欠き部」を設けることが容易想到であるか否か
(2):当該「切り欠き部」に、リードと一体に形成された樹脂部の一部が充填されて外側面で露出している態様とすることが容易想到であるか否か
(3):「切り欠き部」を、「前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって」設けることが容易想到であるか
が問題となる。

先ず上記(1)および(2)について検討すると、例えば甲第2号証の「変形例」のものは、個片化前の「金属薄板」(リードフレーム)は、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」「切り欠き部」が設けられた「リードフレーム」に他ならないから、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」「切り欠き部」を設けたリードフレームは、本件特許の出願当時において公知のものでしかない。

そして、斯かるリードフレームを甲23発明に適用すること、すなわち、トランスファー成型する際にリードフレームとして用いることに何ら困難性は見出せず、阻害要因もないどころか、「集合体での多数個同時生産方式」は当業者の熟知するところであり、その必要性も充分に認識されていたことは明らかであるから、甲第2号証の「変形例」で用いられているような、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」「切り欠き部」を設けたリードフレームを甲23発明に適用することへの動機付けも充分である。

よって、「リード(フレーム)」に、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」「切り欠き部」を設けることは当業者が容易に想到する事項でしかない。

なお、甲23発明に斯かるリードフレームを用いた場合には、必然的に、「切り欠き部」に、リードと一体に形成された樹脂部の一部が充填されて外側面で露出している態様となる。
・・・
また、甲第3号証は、リード(フレーム)に開口部(切り欠き部)を設けることとし、この開口部(切り欠き部)に樹脂を充填させることでリードと樹脂部との接着力を向上させる技術を開示する文献であるから、技術常識を備えた当業者が甲第3号証に触れれば、甲23発明においてリード(フレーム)に開口部(切り欠き部)を設けることとし、この開口部(切り欠き部)に樹脂を充填させることでリードと樹脂部との接着力を向上させることができることを当然に理解するのであって、その場合、例えば下記の左図中に示した赤領域は、「リード」に「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」設けられた「切り欠き部」に、リードと一体に形成された樹脂部の一部が充填されて外側面で露出していることとなる。
・・・
よって、甲23発明において、(1):「リード(フレーム)」に、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って」「切り欠き部」を設けること、(2):当該「切り欠き部」に、リードと一体に形成された樹脂部の一部が充填されて外側面で露出している態様とすることの何れも、当業者が容易に想到する事項でしかない。

更に、上記(3):「切り欠き部」を、「前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって」設けることもまた、当業者が容易に想到する事項でしかない。

この点については、無効理由4に関連して既に明らかにしたところであるが、例えば特開平11-186481号公報(甲第12号証)には、「対向する二つの外側面に沿って、発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」しており、「リードと一体に形成された樹脂部の一部が切り欠き部内に充填されて外側面で露出している」態様が開示されており、特開2001-326295号公報(甲第13号証)にも、「対向する二つの外側面に沿って、発光装置の全包囲周のほぼ1/2にわたって切り欠き部を有」しており、「リードと一体に形成された樹脂部の一部が切り欠き部内に充填されて外側面で露出している」態様が開示されている。

そして、本件発明の目的とされる「短時間に多数個の発光装置を製造すること」と「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性」を高めることは何れも、本件特許の出願当時における新規な解決課題などではなく、「リード」として、「少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることは、例えば甲第12号証や甲第13号証に開示のように、本件特許の出願前において公知又は周知であるし、上記「切り欠き部」を発光装置の全包囲周のどの程度に渡って設けるかは、当業者にとっては設計事項でしかない。

そして、甲第11号証には電極板(リード)に設けた開口部(切り欠き部)に樹脂を充填させることでリードと樹脂部との接着力が向上する旨が記載されており、甲第14?16号証には、甲第12号証や甲第13号証と同様、面内で直交する2方向(横方向と縦方向)に切り欠き部が設けられたリードフレームが開示されていることについては既に無効理由4において明らかにしたとおりである。

以上の次第であるから、甲第2号証や甲第3号証に触れた当業者にとって、甲23発明において用いる「リード」として、例えば甲第12号証や甲第13号証に開示されているような「切り欠き部を設けたリード(フレーム)」を用いることにより上記相違点7-3Bに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(5)本件発明7の進歩性の欠如
上述のとおり、本件発明7と甲第23号証に記載された発明との相違点7-1B、相違点7-2B、相違点7-3Bは何れも、当業者にとって、何ら格別のものではなく、容易に想到し得る事項である。」(第175頁第6行?第183頁第9行)

イ 本件発明8
「本件発明8は本件発明7に従属する関係にあるところ、無効理由4に関連して甲第17?18号証を示して明らかにしたとおり、本件発明8で新たに特定される構成8A(前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている)は、単なる設計事項でしかなく、甲23発明において「前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている」態様とすることは、当業者が適宜なし得るものである。」(第183頁第18行?第23行)

ウ 本件発明9
本件発明9は本件発明7又は8に従属する関係にあるところ、無効理由4に関連して明らかにしたとおり、本件発明9で新たに特定される構成9A(前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている)は、甲第17号証や甲第19号証に開示されている構成に過ぎず、甲23発明において「前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている」態様とすることは、当業者が適宜なし得るものである。」(第184頁第5行?第10行)

エ 本件発明10
「本件発明10は本件発明7乃至9のいずれかに従属する関係にあるところ、本件発明10で新たに特定される構成10A(前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている)は、無効理由4に関連して明らかにしたとおり、例えば甲第2号証、甲第8号証、甲第13号証、甲第20号証に開示されている構成に過ぎず、はんだ接続部の信頼性を向上させるという自明の課題に基づき、甲第19号証等の開示に従い、甲23発明において「前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様とすることは、当業者が適宜なし得るものである。」(第184頁第18行?第25行)

オ 本件発明13
「本件発明13の樹脂パッケージは、本件発明7の発光装置が備える樹脂パッケージに他ならない。
そして、本件発明7は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第23号証(および甲第24号証)と甲第1号証乃至甲第16号証および甲第21号証?甲第22号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。」(第185頁第7行?第12行)

カ 本件発明15
「本件発明15の樹脂成形体は、本件発明7の発光装置を個片化する前の樹脂成形体に他ならない。
そして、無効理由4に関連して明らかにしたとおり、縦横少なくとも一方において凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有する態様は単なる設計事項であって、構成要件15Dで特定される構成となすことに、格別の困難性はない。」(第185頁第20行?末行)

キ 本件発明1
「(1)甲第23号証に開示されている光半導体装置の製造方法
・・・
(2)本件発明1と甲23発明との一致点及び相違点
既に本件発明7に関連して検討済みの事項を踏まえれば、本件発明1と甲第23号証に開示の光半導体装置(発光装置)の製造方法との一致点及び相違点は下記のとおりである。

(ア)一致点
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
リードを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードの上面の一部が内底面に露出した1つ以上の凹部が形成され、かつ、前記リードの底面が外底面に露出するように、前記リードと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子を載置する工程と、
を有する発光装置の製造方法。

なお、甲第23号証には、「光半導体素子搭載領域となる凹部が1つ」形成された態様のもののみが図示等されているが、請求項8には「光半導体素子搭載領域となる凹部が1つ以上形成されている光半導体素子搭載用基板の製造方法」と記載されており、「光半導体素子搭載領域となる凹部」が「複数」形成されている態様のものが排除されてはいない。

(イ)相違点
相違点1-1B:
本件発明1では、「個片化される前の段階」の「リード」である「リードフレーム」を用いているのに対し、
甲23発明では「リード」を用いている点。

相違点1-2B:
本件発明1では、「リードフレーム」には「少なくとも対向する二つの前記外側面となる位置に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」ているのに対し、
甲23発明では、「リード」に「切り欠き部」が設けられていない点。

相違点1-3B:
本件発明1は、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程」を備えているのに対し、
甲23発明は、そのような「分離する工程」を備えていない点。

相違点1-4B:
本件発明1では、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」のに対し、
甲23発明では、硬化した熱硬化性光反射用樹脂組成物を硬化させて形成した光半導体素子搭載領域に「Ni/Agめっき処理が施され」る点。

相違点1-5B:
「半導体発光素子」は、
本件発明1では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、
甲23発明では、そのようなものであるのか否か明らかでない点。

(3)相違点1-1Bについての検討
・・・
そうすると、甲23発明に係る光半導体装置を製造するに際し、「集合体での多数個同時生産方式」を採用することとし、「リード」に代えて「リードフレーム」を用いること、すなわち、上記相違点1-1Bに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(4)相違点1-2Bについての検討
・・・
しかし、既に無効理由4に関連して、また、本件発明7(相違点7-3B)に関連して明らかにしたとおり、リードフレームに切り欠き部を設ける点については、本件特許の出願当時において公知のものでしかなく、斯かるリードフレームを甲23発明に適用することに何ら困難性は見出せず、阻害要因もないどころか、寧ろ、充分な動機付けが存在する。

よって、甲23発明において、リードフレームを採用してそれに切り欠き部を設ける点については、当業者が容易に想到する事項でしかない。

また、その「切り欠き部」を、「製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって」設けることもまた、既に無効理由4に関連して、また、本件発明7(相違点7-3B)に関連して明らかにしたとおり、当業者が容易に想到する事項でしかない。

よって、甲23発明において、上記相違点1-2Bに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(5)相違点1-3Bについての検討
・・・
しかし、甲23発明に係る光半導体装置を製造するに際し、「集合体での多数個同時生産方式」を採用することとし、「リード」に代えて「リードフレーム」を用いることとすれば、必然的に、個片化のための切断工程(複数の発光装置に分離する工程)が必要となるのであって、事実、例えば甲第1号証において、光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成して光半導体素子搭載用パッケージ基板を作製した後、このパッケージ基板を切断して光半導体装置単体に分割する、「光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法」の発明が開示されている。

よって、甲23発明において、上記相違点1-3Bに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(6)相違点1-4Bについての検討
・・・
然るところ、既に無効理由4に関連して、また、本件発明7(相違点7-1B)に関連して明らかにしたとおり、リードやリードフレームの全面に銀メッキ等の処理を施す程度のことは、本件特許の出願前において公知又は周知であって、例えば半田との濡れ性等を考慮して、当業者が適宜選択しうる程度のものでしかない。

してみれば、甲23発明に係る光半導体装置を製造するに際し、「集合体での多数個同時生産方式」を採用することにより用いられる「リードフレーム」の全面に銀メッキ等の処理を施す程度のことすなわち、上記相違点1-4Bに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(7)相違点1-5Bについての検討
・・・
しかし、既に無効理由4に関連して、また、本件発明7(相違点7-2B)に関連して明らかにしたとおり、例えば、甲第3号証に記載があるように、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」は、本件特許の出願時点で公知乃至周知の技術である。

よって、甲23発明において、当該周知の技術を採用して、上記相違点1-5Bに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(8)本件発明1の進歩性の欠如
上述のとおり、本件発明1と甲第23号証に記載された発明との相違点1-1B?1-5Bは何れも、当業者にとって、何ら格別のものではなく、容易に想到し得る事項である。」(第186頁8行から第192頁第20行)

ク 本件発明4
「本件発明4は、本件発明1に更に構成4A(前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を有し)および4B(前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する)を備えるものであるところ、上述のとおり、本件発明1は、甲第23号証(および甲第24号証)と甲第1号証乃至甲第16号証および甲第21?22号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、無効理由4に関連して明らかにしたとおり、甲第20号証には、本件発明4で新たに特定される構成4Aと4Bの何れもが開示されており、本件発明1の方法を実施するに際し、予め、リードフレームにダイシングラインDLの延長線S上に設けられた貫通穴からなる「ダイシングマーク」を設けておくこと程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。」(第193頁第5行?第15行)

ケ 本件発明5
「無効理由4に関連して、そしてまた本件発明10に関連して上述したとおり、「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」は、本件特許の出願当時において周知ないし公知であった。
そして、斯かる「リード」が、切断前には「少なくとも1つ以上の溝を有し」ていたことは明らかであり、切断工程において、「前記溝を通って前記リードフレームを切断」した結果、「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」となったことも明らかである。
してみれば、本件発明1や本件発明4の方法を実施するに際し、予め、リードフレームに「少なくとも1つ以上の溝」を設けておくこと程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、その場合に、切断する工程において、溝を通ってリードフレームを切断する程度のこともまた、当業者が容易に想到し得るものである。」(第193頁下から3行?第194頁第9行)

コ 本件発明6
「本件発明6は本件発明1、4又は5に従属する関係にあるところ、本件発明6で新たに特定される構成6Aのうちの「前記上金型と下金型とは、前記発光素子が載置される部分のリードフレームを挟み込んでいる」構成は、そもそも甲第23号証に記載された発明が備える構成であるから、当該構成に関する事項は、甲第23号証に記載された発明との間で新たな相違点を構成する事項ではない。」(第194頁下から6行?末行)

サ 本件発明11
「本件発明11の樹脂パッケージの製造方法は、本件発明13の樹脂パッケージを製造する方法に他ならないし、構成11A?Dは何れも、本件発明1が備える工程に他ならない。
そして、甲第23号証(および甲第24号証)と甲第1号証乃至甲第16号証および甲第21?22号証の開示ないし教示に従い、本件発明1の各構成とすることに格別の困難性がない点については、既に明らかにしたとおりである。」(第195頁第13行?第18行)

シ 本件発明14
「本件発明14の樹脂成形体の製造方法は、本件発明15の樹脂成形体を製造する方法に他ならないし、構成14A、C?Dは何れも、実質的に、本件発明1が備える工程に他ならない。
そして、甲第23号証(および甲第24号証)と甲第1号証乃至甲第16号証および甲第21?22号証の開示ないし教示に従い、本件発明1の各構成とすることに格別の困難性がない点については、既に明らかにしたとおりである。
また、構成14Bは、本件発明15の構成15Dに対応するものであるところ、既に述べたとおり、縦横少なくとも一方において凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有する態様は単なる設計事項でしかなく、構成要件14Bで特定される構成となすことに、格別の困難性はない。」(第196頁第2行?第10行)

(2)弁駁書における主張
「9.小結
以上の次第であり、本件訂正発明1、4?11、13?15は何れも今般の訂正によっても無効理由5を解消しておらず、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第23号証(および甲第24号証)と甲第1号証?甲第22号証ならびに甲第27?29号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。」(第94頁第1行?第8行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「5-2.「無効理由について」について
・・・
(5)無効理由5について
無効理由5に関し、請求人は、甲第24号証につき、甲第23号証の開示事項を補うため、すなわち、甲23発明をより正しく理解するための証拠としての取り扱いが認められることを前提として、甲24発明を主たる証拠とする無効理由は取り下げる。」(第5頁末行?第6頁第13行)

「5-8.「無効理由5について」について
(1)「甲23A、B発明」の認定について
甲23A、B発明の認定につき、特に意見はない。

(2)「対比1:甲23」について
(ア)「一致点及び相違点の認定」について
一致点及び相違点の認定につき、特に意見はない。

(イ)「相違点1:甲23-1」について
審判請求書で述べたとおり、本件訂正発明の目的とされる、「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性」を高めること、および、「短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供すること」は何れも、本件特許の出願当時における新規な解決課題ではなく、加えて、リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいこと自体は、技術常識を有する当業者にとって自明である。

そうであるが故に、本件特許の出願当時において既に、集合体での多数個同時生産方式を開示する文献や、リードあるいはリードに相当する電極板等に切り欠き部に相当する開口部等を設け、そこに樹脂を充填させて、リードと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくする態様を開示する先行文献が多数存在するのである。

そして、上記技術常識を有する当業者が甲23A発明に触れれば、甲23A発明においても、これを集合体での多数個同時生産方式で実施すべくリードに変えてリードフレームを用いることを試みる動機付けは十分にあるし、その場合には、最終段階として「切断」という工程を要することは自明である。

加えて、上記技術常識を有する当業者が甲23A発明に触れれば、リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいことを自明のこととして認識した上で、そのための手段として、リードフレームに切り欠き部を設け、そこに樹脂を充填させてリードフレームと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくすることを試みることには十分に動機付けがあるし、阻害要因もない。

そして、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めるためには、上記切り欠き部への熱硬化性樹脂の充填領域をなるべく多く設けることが好ましいことは自明である。

その場合、4つの外側面のうちの例えば2つの外側面に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるよりも、4つの外側面の何れにも上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けることが好ましいことは当業者にとって自明であるし、阻害要因もない。

また、製造される発光装置の全包囲周の何割程度に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるかは、当業者にとっての設計事項に過ぎないし、審判請求書の第107頁や第110頁で述べたとおり、例えば甲第12号証の図6や甲第13号証の図2に図示されているように、また、審判請求書の第49?58頁で説明した甲第25号証や甲第26号証に図示されている態様のように、これを「1/2以上」とすることの阻害要因もない。

なお、甲23A発明において上記構成を採用したうえで個片化すれば、結果的に、「前記切り欠き部に沿って」、「前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が」、「露出するように」「切断」されることは明らかである。

(ウ)「相違点1:甲23-2」について
甲第23号証において図示されている態様(メッキ処理が金型に金属配線を配置する段階では施されていない態様)は、あくまでも甲23A発明を実施するに際しての一態様の例示でしかなく、メッキ処理を金属配線の全面に施す態様が排除されているわけではない。

甲第23号証に例示の態様のものは、メッキ処理が半導体発光素子からの光の反射率を高めるために施されているものと理解されるが、金属配線へのメッキ処理は斯かる目的以外にも、例えば、はんだ付け性を向上させるためや、あるいは腐食防止等のために施されることがあり、斯かる目的でメッキ処理を施すことがより好ましいことは、当業者にとって技術常識である。

この点については、既に甲第5号証や甲第10号証の記載に基づいて説明したところである。

技術常識を有する当業者が甲23A発明に触れれば、甲23A発明においても、金属配線のはんだ付け性を向上させるためや、あるいは腐食防止等の目的で、半導体発光素子からの光を反射できる表面以外にも銀等でメッキ処理することが好ましいことは自明のこととして想起するのであるから、斯かる処理を施すことを試みることには十分に動機付けがある。

そして、半導体発光素子からの光を反射できる表面以外にも銀等でメッキ処理することとした場合には、必然的に、金型に金属配線を配置する段階に先立ってメッキ処理が施されることになるのであるから、「相違点1:甲23-2」に係る本件訂正発明の構成を、甲23A発明において採用することの動機付けは十分にある。

(エ)「相違点1:甲23-3」について
上記「相違点1:甲1-3」で述べたのと同様の理由により、甲23A発明で用いる「光半導体素子」として、公知又は周知の「光半導体素子」から、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」を採用することには、十分な動機付けがある。

(オ)「相違点1:甲23-4」について
上記「相違点1:甲1-4」で述べたのと同様の理由により、当業者であれば、甲23A発明において、「封止部材」として、透明封止樹脂材料として、特に好ましい「エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂」を選択する動機付けは十分にある。

(3)「対比7:甲23」について
(ア)「一致点及び相違点の認定」について
一致点及び相違点の認定につき、特に意見はない。

(イ)「相違点7:甲23-1」について
「相違点7:甲23-1」は、実質的に、上記「相違点1:甲23-1」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲23B発明において、「相違点7:甲23-1」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(ウ)「相違点7:甲23-2」について
「相違点7:甲23-2」は、実質的に、上記「相違点1:甲23-2」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲23B発明において、「相違点7:甲23-2」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(エ)「相違点7:甲23-3」について
「相違点7:甲23-3」は、実質的に、上記「相違点1:甲23-3」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲23B発明において、「相違点7:甲23-3」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(オ)「相違点7:甲23-4」について
「相違点7:甲23-4」は、実質的に、上記「相違点1:甲23-4」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲23B発明において、「相違点7:甲23-4」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(4)「対比11:甲23」について
本件訂正発明11と甲23A発明との間に、上記「相違点1:甲23-1」及び上記「相違点1:甲23-2」がある点につき、特に意見はない。
なお、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成を、甲23A発明において採用することの動機付けについては、上述のとおりである。

(5)「対比13:甲23」について
本件訂正発明13と甲23B発明との間に、上記「相違点7:甲23-1」及び上記「相違点7:甲23-2」がある点につき、特に意見はない。
なお、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成を、甲23B発明において採用することの動機付けについては、上述のとおりである。」(第15頁16行?第20頁第5行)

7 無効理由6についての主張
(1)審判請求書における主張
ア 本件発明7
「(1)本件発明7と甲3発明との一致点及び相違点
・・・
(ア)一致点
熱硬化後において、リードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを備えた樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、少なくとも対向する二つの前記外側面に沿って、切り欠き部を有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されている、
発光装置。

(イ)相違点
相違点7-1C:
「樹脂部」は、
本件発明7では、「波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であ」るのに対し、
甲3発明では、熱硬化後の光反射率が不明である点。

相違点7-2C:
「リード」は、
本件発明7では、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されて」いるのに対し、
甲3発明では、表面(上面)に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキ処理が施されている点。

相違点7-3C:
本件発明7では、「外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されて」おり、「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出している」のに対し、
甲3発明では、外側面において樹脂部とリードは略同一面に形成されておらず、その結果、「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が切り欠き部内に充填された樹脂部の一部が外側面で露出していない点。

相違点7-4C:
「リード」は、
本件発明7では、「発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し」ているのに対し、甲3発明では、「切り欠き部」は「発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって」は設けられていない点。

(2)相違点7-1Cについての検討
・・・
しかし、本件特許明細書には、「波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上」の意味として、「これは主に可視光領域の光反射率が高いことを示す。」(段落【0037】)という程度の説明しかなく、「波長350nm?800nmにおける光反射率」をどの程度のものとするかは、当業者にとっての設計事項でしかない。

事実、例えば甲第1号証に開示の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上とされ、甲第23号証に開示の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が90%以上」とされており、甲第24号証に開示の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」もまた、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」とされており、何れにおいても「硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率」は70%以上のものである。

してみれば、甲3発明において、上記相違点7-1Cに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(3)相違点7-2Cについての検討

然るところ、既に無効理由4および無効理由5に関連して明らかにしたとおり、本件特許明細書の記載によれば、本件特許発明においては、リードに「段差」を設けた特定の態様でない限り、必ずしも「底面及び上面を含む、外側面を除く全面に銀メッキ処理」を施す必要はないとされており、銀メッキ処理を施す面は全面であってもよい(し、そうでなくてもよい)程度のものでしかない。

しかも、リードやリードフレームの全面に銀メッキ等の処理を施す程度のことは、本件特許の出願前において公知又は周知であって、例えば半田との濡れ性等を考慮して、当業者が適宜選択しうる程度のものでしかない。

してみれば、甲3発明において、「表面(上面)に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキ処理」された「リード」を、外側面を除く全面に銀メッキ処理等が施された「リード」とすること、すなわち、「底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」た態様のものとすることに、格別の困難性はない。

(4)相違点7-3Cについての検討
・・・
つまり、甲3発明において「集合体での多数個同時生産方式」を採用した場合には、必然的に、上記相違点7-3Cに係る本件発明7の構成となるのであって、甲3発明において「集合体での多数個同時生産方式」を採用することに、動機付けはあっても阻害要因はない。

よって、甲3発明において上記相違点7-3Cに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(5)相違点7-4Cについての検討
・・・
そして、本件発明の目的とされる「短時間に多数個の発光装置を製造すること」と「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性」を高めることは何れも、本件特許の出願当時における新規な解決課題などではなく、「リード」として、「発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることは、例えば甲第12号証や甲第13号証における開示のように、本件特許の出願前において公知又は周知であるし、上記「切り欠き部」を発光装置の全包囲周のどの程度に渡って設けるかは、当業者にとっては設計事項でしかない。

よって、甲3発明において用いる「リード」として、例えば甲第12号証や甲第13号証に開示されているような「切り欠き部を設けたリード(フレーム)」を用いることにより上記相違点7-4Cに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(6)本件発明7の進歩性の欠如
上述のとおり、本件発明7と甲第3号証に記載された発明との相違点7-1C、相違点7-2C、相違点7-3C、相違点7-4Cは何れも、当業者にとって、何ら格別のものではなく、容易に想到し得る事項である。」(第207頁8行?第213頁第19行)

イ 本件発明8
「本件発明8は本件発明7に従属する関係にあるところ、無効理由4および無効理由5に関連して明らかにしたとおり、本件発明8で新たに特定される構成8A(前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている)は、単なる設計事項でしかなく、甲3発明において「前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている」態様とすることは、当業者が適宜なし得るものである。」(第214頁第2行?第7行)

ウ 本件発明9
「本件発明9は本件発明7又は8に従属する関係にあるところ、無効理由4および無効理由5に関連して明らかにしたとおり、本件発明9で新たに特定される構成9A(前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている)は、甲第17号証や甲第19号証に開示されている構成に過ぎず、甲3発明において「前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている」態様とすることは、当業者が適宜なし得るものである。」(第214頁第15行?第20行)

エ 本件発明10
「本件発明10は本件発明7乃至9のいずれかに従属する関係にあるところ、本件発明10で新たに特定される構成10A(前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている)は、無効理由4および無効理由5に関連して明らかにしたとおり、例えば甲第2号証、甲第8号証、甲第13号証、甲第20号証に開示されている構成に過ぎず、はんだ接続部の信頼性を向上させるという自明の課題に基づき、甲第13号証等の開示に従い、甲3発明において「前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様とすることは、当業者が適宜なし得るものである。」(第215頁第2行?第9行)

オ 本件発明13
「本件発明13の樹脂パッケージは、本件発明7の発光装置が備える樹脂パッケージに他ならない。」(第215頁第16行?第17行)

カ 本件発明15
「本件発明15の樹脂成形体は、本件発明7の発光装置を個片化する前の樹脂成形体に他ならない。
そして、無効理由4および無効理由5に関連して明らかにしたとおり、縦横少なくとも一方において凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有する態様は単なる設計事項であって、構成要件15Dで特定される構成となすことに、格別の困難性はない。」(第216頁第2行?第7行)

キ 本件発明1
「(1)本件発明1と甲3発明との一致点及び相違点
・・・
(ア)一致点
熱硬化後において、リードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有する樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
対向する二つの前記外側面となる位置に沿って切欠き部が設けられたリードを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードの上面の一部が内底面に露出した1つ以上の凹部が形成され、かつ、前記リードの底面が外底面に露出するように、前記リードと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、
を有する発光装置の製造方法。

(イ)相違点
相違点1-1C:
「樹脂部」は、
本件発明1では、「波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であ」るのに対し、
甲3発明では、熱硬化後の光反射率が不明である点。

相違点1-2C:
本件発明1では、「個片化される前の段階」の「リード」である「リードフレーム」を用いているのに対し、
甲3発明では「リード」を用いている点。

相違点1-3C:
本件発明1では、「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」のに対し、
甲3発明では、「発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード20及び第2のリード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。」と記載されているものの、当該金属メッキが施されたリードを上金型と下金型とで挟み込むかどうかは不明である点。

相違点1-4C:
本件発明1では、「リードフレーム」には、「製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」ているのに対し、
甲3発明では、「リード」に設けられた「切り欠き部」は「製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって」はいない点。

相違点1-5C:
本件発明1は、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている複数の発光装置に分離する工程」を備えているのに対し、
甲3発明は、そのような「分離する工程」を備えていない点。

(2)相違点1-1Cについての検討
・・・
しかし、相違点7-1Cに関連して明らかにしたとおり、「波長350nm?800nmにおける光反射率」をどの程度のものとするかは、当業者にとっての設計事項でしかないから、甲3発明において、上記相違点1-1Cに係る本件発明7の構成となすことに、格別の困難性はない。

(3)相違点1-2Cについての検討
相違点1-2Cは、本件発明1では、「個片化される前の段階」の「リード」である「リードフレーム」を用いているのに対し、甲3発明では「リード」を用いている点であるところ、既に明らかにしたとおり、本件特許の出願当時においては、「集合体での多数個同時生産方式」は当業者の熟知するところであり、その必要性も充分に認識されていた。

そうすると、甲3発明に係る光半導体装置を製造するに際し、「集合体での多数個同時生産方式」を採用することとし、「リード」に代えて「リードフレーム」を用いること、すなわち、上記相違点1-1Cに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(4)相違点1-3Cについての検討
・・・
然るところ、既に無効理由4および無効理由5に関連して明らかにしたとおり、リードやリードフレームの全面に銀メッキ等の処理を施す程度のことは、本件特許の出願前において公知又は周知であって、例えば半田との濡れ性等を考慮して、当業者が適宜選択しうる程度のものでしかない。

してみれば、甲3発明に係る光半導体装置を製造するに際し、「集合体での多数個同時生産方式」を採用することにより用いられる「リードフレーム」の全面に銀メッキ等の処理を施す程度のことすなわち、上記相違点1-3Cに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(5)相違点1-4Cについての検討
・・・
既に、無効理由4および無効理由5に関連して、また、本件発明7に関連して明らかにしたとおり、本件発明の目的とされる「短時間に多数個の発光装置を製造すること」と「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性」を高めることは何れも、本件特許の出願当時における新規な解決課題などではなく、「リード」として、「発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有」するものを用いることは、例えば甲第12号証や甲第13号証に開示のように、本件特許の出願前において公知又は周知であるし、上記「切り欠き部」を発光装置の全包囲周のどの程度に渡って設けるかは、当業者にとっては設計事項でしかない。

よって、甲3発明において用いる「リード」として、例えば甲第12号証や甲第13号証に開示されているような「切り欠き部を設けたリード(フレーム)」を用いることにより上記相違点1-4Cに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(6)相違点1-5Cについての検討
・・・
しかし、甲3発明に係る光半導体装置を製造するに際し、「集合体での多数個同時生産方式」を採用することとし、「リード」に代えて「リードフレーム」を用いることとすれば、必然的に、個片化のための切断工程(複数の発光装置に分離する工程)が必要となる。

よって、甲3発明において、上記相違点1-5Cに係る本件発明1の構成となすことに、格別の困難性はない。

(7)本件発明1の進歩性の欠如
上述のとおり、本件発明1と甲第3号証に記載された発明との相違点1-1C?1-5Cは何れも、当業者にとって、何ら格別のものではなく、容易に想到し得る事項である。」(第216頁15行?第221頁第4行)

ク 本件発明4
「そして、無効理由4および無効理由5に関連して明らかにしたとおり、甲第20号証には、本件発明4で新たに特定される構成4Aと4Bの何れもが開示されており、本件発明1の方法を実施するに際し、予め、リードフレームにダイシングラインDLの延長線S上に設けられた貫通穴からなる「ダイシングマーク」を設けておくこと程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。」(第221頁第19行?第23行)

ケ 本件発明5
無効理由4および無効理由5に関連して、そしてまた本件発明10に関連して上述したとおり、「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」は、本件特許の出願当時において周知ないし公知であった。
そして、斯かる「リード」が、切断前には「少なくとも1つ以上の溝を有し」ていたことは明らかであり、切断工程において、「前記溝を通って前記リードフレームを切断」した結果、「外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている」態様の「リード」となったことも明らかである。
してみれば、本件発明1や本件発明4の方法を実施するに際し、予め、リードフレームに「少なくとも1つ以上の溝」を設けておくこと程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、その場合に、切断する工程において、溝を通ってリードフレームを切断する程度のこともまた、当業者が容易に想到し得るものである。」(第222頁第6行?第17行

コ 本件発明6
「本件発明6は本件発明1、4又は5に従属する関係にあるところ、本件発明6で新たに特定される構成6Aのうちの「前記上金型と下金型とは、前記発光素子が載置される部分のリードフレームを挟み込んでいる」構成は、そもそも甲第3号証に記載された発明が備える構成であるから、当該構成に関する事項は、甲第3号証に記載された発明との間で新たな相違点を構成する事項ではない。
なお、構成要件6Aには「孔部の近傍の部分のリードフレームを挟み込んでいる」旨の記載もあるが、そもそも、「近傍」が具体的にどの程度のものであるかを、その記載からは明確に把握し得ないうえに、「孔部の近傍の部分のリードフレームを挟み込んでいる」態様についても、当業者が容易に想到し得たものでしかないことは既に述べたとおりである。」(第223頁第4行?第14行)

サ 本件発明11
「本件発明11の樹脂パッケージの製造方法は、本件発明13の樹脂パッケージを製造する方法に他ならないし、構成11A?Dは何れも、本件発明1が備える工程に他ならない。
そして、甲第3号証と甲第1?2号証、甲第4?16号証、甲第21?24号証の開示ないし教示に従い、本件発明1の各構成とすることに格別の困難性がない点については、既に明らかにしたとおりである。」(第223頁第22行?第224頁第2行)

シ 本件発明14
「本件発明14の樹脂成形体の製造方法は、本件発明15の樹脂成形体を製造する方法に他ならないし、構成14A、C?Dは何れも、実質的に、本件発明1が備える工程に他ならない。
そして、甲第3号証と甲第1?2号証、甲第4?16号証、甲第21?24号証の開示ないし教示に従い、本件発明1の各構成とすることに格別の困難性がない点については、既に明らかにしたとおりである。
また、構成14Bは、本件発明15の構成15Dに対応するものであるところ、既に述べたとおり、縦横少なくとも一方において凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有する態様は単なる設計事項でしかなく、構成要件14Bで特定される構成となすことに、格別の困難性はない。」(第224頁第10行?第19行)

(2)弁駁書における主張
「9.小結
以上の次第であり、本件訂正発明1、4?11、13?15は何れも、今般の訂正によっても無効理由6を解消しておらず、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証と第1?2号証および甲第4?24号証ならびに甲第27?29号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。」(第105頁第5行?第12行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「5-9.「無効理由6について」について
(1)「甲3A、B発明」の認定について
甲3A、B発明の認定につき、特に意見はない。

(2)「対比1:甲3」について
(ア)「一致点及び相違点の認定」について
一致点及び相違点の認定につき、特に意見はない。

(イ)「相違点1:甲3-1」について
表面実装型発光装置において光反射率が高いことが好ましいことは自明である。

そして、甲3A発明において用いられる発光素子がGaN系のものである以上、その反射率を波長350nm?800nmにおける光反射率とすることは、甲3A発明において必然的な結果でしかない。

このことは、例えば甲1発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」が、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であるとされていることからも明らかである。

よって、甲3A発明において、「相違点1:甲3-1」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(ウ)「相違点1:甲3-2」について
「相違点1:甲3-2」は、下記の「相違点1:甲3-3」のうちの「分離する工程」を、甲3A発明において採用した場合に、必然的に解消する相違点に過ぎない。

そして、甲3A発明において、下記「相違点1:甲3-3」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

よって、甲3A発明において、「相違点1:甲3-2」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(エ)「相違点1:甲3-3」について
上記「相違点1:甲23-1」に関連して述べたとおり、本件訂正発明の目的とされる、「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性」を高めること、および、「短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供すること」は何れも、本件特許の出願当時における新規な解決課題ではなく、加えて、リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいこと自体は、技術常識を有する当業者にとって自明である。

そして、上記技術常識を有する当業者が甲3A発明に触れれば、甲3A発明においても、これを集合体での多数個同時生産方式で実施すべくリードに変えてリードフレームを用いることを試みる動機付けは十分にあるし、その場合には、最終段階として「切断」という工程を要することは自明である。

加えて、上記技術常識を有する当業者が甲3A発明に触れれば、リードフレームと樹脂成形体との密着性は高いほど好ましいことを自明のこととして認識した上で、そのための手段として、リードフレームに切り欠き部を設け、そこに樹脂を充填させてリードフレームと樹脂との接触面積を増大させて接着力の向上を図ることで剥離しにくくすることを試みることには十分に動機付けがあるし阻害要因もない上に、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めるためには、上記切り欠き部への熱硬化性樹脂の充填領域をなるべく多く設けることが好ましいことは自明である。

そして、その場合、4つの外側面のうちの例えば2つの外側面に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるよりも、4つの外側面の何れにも上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けることが好ましいことは当業者にとって自明であるし阻害要因もない上に、甲3A発明において上記構成を採用したうえで個片化すれば、結果的に、リードフレームだけではなく、切り欠き部内に充填された樹脂も切断され、その結果、第1の樹脂成形体とリードが略同一面を形成することとなることは明らかである。

よって、「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性」を高めること、および、「短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供すること」は何れも、本件特許の出願当時における新規な解決課題ではない以上、甲3A発明において、「相違点1:甲3-3」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(オ)「相違点1:甲3-4」について
既に述べたとおり、リードフレームへのメッキ処理は、半導体発光素子からの光の反射率を高める目的以外にも、はんだ付け性を向上させる目的や腐食防止等の目的で施されることがあり、斯かる目的でメッキ処理を施すことがより好ましいことは、当業者にとって技術常識である。

甲第3号証において図示されている態様は、あくまでも甲3A発明を実施するに際しての一態様の例示でしかなく、メッキ処理をリードフレームの全面に施す態様が排除されているわけではない。

技術常識を有する当業者が甲3A発明に触れれば、甲3A発明においても、腐食防止等の目的で、リードフレームの全面に銀等でメッキ処理することが好ましいことは自明のこととして想起するのであるから、斯かる処理を施すことを試みることには十分に動機付けがある。

そして、リードフレームの全面にメッキ処理することとした場合には、必然的に、リードフレームを上金型と下金型で挟み込む工程に先立ってメッキ処理が施されることになるのであるから、「相違点1:甲3-4」に係る本件訂正発明の構成を、甲3A発明において採用することの動機付けは十分にある。

(3)「対比7:甲3」について
(ア)「一致点及び相違点の認定」について
一致点及び相違点の認定につき、特に意見はない。

(イ)「相違点7:甲3-1」について
「相違点7:甲3-1」は、実質的に、上記「相違点1:甲3-1」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲3B発明において、「相違点7:甲3-1」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(ウ)「相違点7:甲3-2」について
「相違点7:甲3-2」は、実質的に、上記「相違点1:甲3-2」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲3B発明において、「相違点7:甲3-2」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(エ)「相違点7:甲3-3」について
「相違点7:甲3-3」は、実質的に、上記「相違点1:甲3-3」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲3B発明において、「相違点7:甲3-3」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(オ)「相違点7:甲3-4」について
「相違点7:甲3-4」は、実質的に、上記「相違点1:甲3-4」と同様のものであるから、既に述べたのと同様の理由により、甲3B発明において、「相違点7:甲3-4」に係る本件訂正発明の構成を採用することには、十分な動機付けがある。

(4)「対比11:甲3」について
本件訂正発明11と甲3A発明との間に、上記「相違点1:甲3-1」、「相違点1:甲3-2」、「相違点1:甲3-3」、及び上記「相違点1:甲3-4」がある点につき、特に意見はない。

なお、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成を、甲3A発明において採用することの動機付けについては、上述のとおりである。

(5)「対比13:甲3」について
本件訂正発明13と甲3B発明との間に、上記「相違点7:甲3-1」、「相違点7:甲3-2」、「相違点7:甲3-3」、及び上記「相違点7:甲3-4」がある点につき、特に意見はない。
なお、これらの相違点に係る本件訂正発明の構成を、甲3B発明において採用することの動機付けについては、上述のとおりである。」(第20頁第6行?第24行第18行)

8 上申書における主張
「第2 熱膨張係数の相違に起因する「すべり」等について」(第3頁第12行)
「被請求人によれば「すべり」は生じるが反りは解消されるわけではないとされる。しかし、この主張自体、理解困難である。
・・・(途中省略)・・・
熱硬化性樹脂とリードフレームとの間ですべりが生じるのであれば、熱硬化性樹脂が4つの側面からリードフレームを挟み込む力は基本的には緩和されるはずである。」(第6頁第4行?第16行)

「第3 熱硬化性樹脂とリードフレーム間の剥離防止について
・・・
被請求人は、本件訂正発明1の発光装置の製造方法では、リードフレームに切り欠き部を設けることで、(1)切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減すること、(2)熱硬化性樹脂とリードフレームの接合界面を熱硬化性樹脂で保護すること、(3)熱硬化性樹脂がリードフレームの上面だけでなく側面でも密着するため接合強度を高めることの、「これらの総合的な作用によって熱硬化性樹脂とリードフレームの間の剥離を防止できる」旨を主張している(答弁書22頁1?9行)。
しかし、上述のとおり、樹脂の熱収縮に伴い、接着力を弱めるはずの銀メッキが施された切り欠き部の内部に充填された樹脂部分はその内側面から容易に剥離し、切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じることになり、熱硬化性樹脂はリードフレームの上面だけでなく側面でも密着するため接合強度を高めるどころか、寧ろ、熱硬化性樹脂とリードフレームの密着吐を弱めるように作用することになるし、このような「隙間」が生じた状態では、熱硬化性樹脂とリードフレームの接合界面を熱硬化性樹脂で保護しているとは言えず、切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減することもかなわないことになる。

つまり、被請求人が「これらの総合的な作用によって熱硬化性樹脂とリードフレームの間の剥離を防止できる」と主張する根拠となる上記(1)?(3)は何れも、合理的な根拠がないものばかりである。

そもそも、訂正前の特許請求の範囲の独立請求項には、(ア)リードフレームの「全面にメッキ処理が施され」ること、および、(イ)リードフレームに「発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」ることの規定はなかったのであるから、恰も、全面にメッキ処理が施されることによる作用とリードフレームに切り欠き部を設けることによる作用が一体不可分な関係にあるかのような被請求人の主張は、その前提において誤りであり、到底受け入れ難いものと言わざるを得ない。

本件訂正発明の進歩性の有無を判断するに際しては、当該発明の個々の構成要件を一体不可分な関係にあるものとしてではなく、それぞれの発明特定事項の想到容易性の有無を個別に評価すれば事足りるというべきである。」(第8頁第14行?第9頁末行)

9 証拠方法
請求人が提出した甲号証は、以下のとおりである。
なお、甲号証は「甲」に数字を付加して略して表記する。
甲1:特開2007-235085号公報 平成19年9月13日公開
甲2:特開2001-36154号公報 平成13年2月9日公開
甲3:特開2006-156704号公報 平成18年6月15日公開
甲4:特開2001-77235号公報 平成13年3月23日公開
甲5:特開2003-218398号公報 平成15年7月31日公開
甲6:特開平08-37252号公報 平成8年2月6日公開
甲7:特開2003-174200号公報 平成15年6月20日公開
甲8:特開2006-140265号公報 平成18年6月1日公開
甲9:特開2006-310397号公報 平成18年11月9日公開
甲10:特開2008-187045号公報 平成20年8月14日公開
甲11:特開2007-134376号公報 平成19年5月31日公開
甲12:特開平11-186481号公報 平成11年7月9日公開
甲13:特開2001-326295号公報 平成13年11月22日公開
甲14:特開平11-191562号公報 平成11年7月13日公開
甲15:特開2003-37236号公報 平成15年2月7日公開
甲16:特開2001-267482号公報 平成13年9月28日公開
甲17:特開2007-123302号公報 平成19年5月17日公開
甲18:特開2008-147611号公報 平成20年6月26日公開
甲19:特開2005-311137号公報 平成17年11月4日公開
甲20:特開2008-186891号公報 平成20年8月14日公開
甲21:特開2003-304000号公報 平成15年10月24日公開
甲22:特開2004-128424号公報 平成16年4月22日公開
甲23:特開2008-50573号公報 平成20年3月6日公開
甲24:特開2006-140207号公報 平成18年6月1日公開
甲25:米国特許出願公開第2008/061339号明細書 米国特許庁2008年10月23日公開 (当審注:本件特許出願日後に公開された文献)
甲26:台湾特許公開第200719448号公報 台湾特許庁2007年1月21日公開
(以上、審判請求書に添付して提出)
甲27:特開2000-156435号公報 平成12年6月6日公開
甲28:特開2007-329502号公報 平成19年12月20日公開
甲29:特開2007-5722号公報 平成19年1月11日公開
(以上、弁駁書に添付して提出)
甲30:特開2001-15668号公報 平成13年1月19日公開
(以上、口頭審理陳述要領書に添付して提出)

第6 被請求人の反論の概要及び証拠方法
1 無効理由1について
(1)答弁書における主張
「第4 無効理由1について」(第38頁第3行)
「2 被請求人の反論
被請求人は、訂正により、訂正後の請求項1および11において、リードフレームに設けられる切り欠き部の位置を、樹脂パッケージの四つの外側面となる位置とし(構成要件1B、11B)、訂正後の請求項7および13において、リードが有する切り欠き部の位置を、四つの外側面とし(構成要件7F、構成要件13E)、訂正後の請求項15において、リードフレームが有する切り欠き部の位置を、縦横両方とした(構成要件15D)。これにより、請求人が例として挙げている、二つの外側面となる位置または二つの外側面においてのみ、リードフレームまたはリードに切り欠き部が設けられた構成は、本件訂正発明に含まれなくなった。」(第39頁第3行?第12行)

2 無効理由2について
(1)答弁書における主張
「第5 無効理由2について」(第40頁第21行)
「2 被請求人の反論
被請求人は、訂正により、訂正後の請求項1および11において、リードフレームに設けられる切り欠き部の位置を、樹脂パッケージの四つの外側面となる位置とした(構成要件1B、11B)。この訂正により、切り欠き部が、製造される発光装置乃至樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって設けられているか否かは、四つの外側面それぞれに形成された切り欠き部を合わせて考慮すべきことが明確となった。したがって、請求人が主張するような、対向する二つの外側面となる位置において、長さL(L=L0、L0は一外側面の長さ)の切り欠き部が設けられている場合においてのみ、当該要件は理解可能であるという主張はもはや失当である。」(第41頁末行?第42頁第9行)

3 無効理由3について
(1)答弁書における主張
「第6 無効理由3について」(第43頁第21行)
「2 被請求人の反論
本件訂正発明1および11は、従前の個別封止により樹脂部を形成する発光装置の製造方法と比較して、一度により多数個の発光装置を得ることができ、また、廃棄されるランナーを低減しようとするものである。
個別封止の場合は、・・・この間隔のために、個別封止においては、所定の大きさのリードフレームを用いる場合には、一度に製造できる発光装置の数が少なくなり、また、間隔に位置するリードフレームやランナー樹脂が無駄になるという課題があった。
これに対し、本件訂正発明1および11においては、リードフレームの上に、個別封止によらず、一括的な成形により樹脂成形体を形成し、各発光装置ないしは各樹脂パッケージの樹脂部の外側面を金型により形成するのではなく、切断によって形成する。そのため、隣り合う発光装置と発光装置との間で金型部分が必要なくなり、隣り合う発光装置と発光装置との間に個別封止の場合のような広い間隔を設ける必要はない。また、切断時には、例えば、切断手段としてダイシングソーを用いる場合には、ダイシングソーの幅の分だけ樹脂成形体およびリードフレームが削り取られ、削り取られた部分は最終的には発光装置とはならず、その部分は無駄になるといえなくもないが、その無駄は、個別封止の際に生じる無駄よりもはるかに小さく、その意味において本件訂正発明は、「廃棄されるランナーを低減することができ」るのである。

請求人が例示するスタンピング金型を用いる場合も、上記事情はまったく変わらず、本件訂正発明1および11によれば、発光装置の樹脂部となる部分が熱硬化性樹脂の一括的な成形により形成されるため、個別封止の際のように、発光装置と発光装置との間で広い間隔を設ける必要はない。また、スタンピング金型で切断する場合も、スタンピング金型の刃で削りとられる部分と、スタンピング金型間の距離に相当する僅かな部分(請求人が、「隣接する樹脂パッケージ間のリードフレーム部分が僅かに残り、」と指摘する部分)とが、最終的に得られる発光装置を構成する部分とはならず、その部分が無駄になるとはいえなくもないが、その無駄は、個別封止の際に生じる無駄よりもはるかに小さいものである。
さらにまた、本件訂正発明1および11は、「本件訂正発明の意義」の欄で説明したとおり、切り欠き部を設けたリードフレームを使用し、この切り欠き部に熱硬化性樹脂を充填させることによって、樹脂成形体とリードフレームとを切断するときに、熱硬化性樹脂とリードフレームとの間で剥離が生じることを有効に抑制する。この切り欠き部による効果は、切断手段がスタンピング金型である場合にも得られる。
したがって、本件訂正発明1、4?6および11は、いずれの切断手段を用いる場合でも、共通した技術的意義を有するものであり、本件明細書に開示されていない態様を含むものではなく、特許請求の範囲の記載が不明確ということもない。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、4?6,11いずれも、本件明細書において開示されていない態様を包含するものではなく、また、その特許請求の範囲の記載に不明確なところもなく、いわゆるサポート要件および明確性要件を充足している。したがって、本件訂正発明1、4?6、11はいずれも、特許法123条1項4号の規定により無効とされるものではない。」(第43頁第21行?第46頁第15行)

(2)第1上申書における主張
「第2 審判事件答弁書における「第6 無効理由3について」に対する請求人の反論に対する被請求人の意見(本件訂正発明1および11の特許請求の範囲の記載が明確であること)
・・・
2 被請求人の反論
・・・
弁駁書における請求人の上記主張は、審判請求書に記載した「権利を無効にする根拠となる事実」とは異なる事実を主張するものである。したがって、請求人が弁駁書でした主張は、審判請求書に記載した「権利を無効にする根拠となる事実」それ自体を実質的に変更するものであって、審判請求書に記載した請求の理由の要旨変更に該当し、許されない。
・・・
請求人は、請求項1および11に記載の「一体」および答弁書に記載の「一括」が意味するところについて縷々主張しているが、請求人の主張は要するに、本件訂正発明1および11が、樹脂パッケージの少なくとも1つの外側面が切断により形成されたものでない態様を包含するものである、というものである。
しかし、訂正後の請求項1および11に「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、・・・切り欠き部が設けられ」、「前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを・・・切断することにより、・・・外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、」と記載されていることからも明らかなとおり、訂正後の請求項1および11は、樹脂パッケージの四側面すべてにおいて、樹脂成形体とリードフレームとを切断することで形成される切断面である外側面(第1外側面、第2外側面、第3外側面および第4外側面)を有していることを要件とする。したがって、請求人の上記主張は、訂正後の請求項1および11の記載を誤解したものであって、失当である。
以上より、本件訂正発明1および11は「廃棄されるランナーを低減する」という本件特許発明の効果を奏しない態様をも包含するとの請求人の主張には理由がなく、本件訂正発明はいずれも無効理由3に該当しない。」(第39頁第4行?第41頁第21行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
「第1 「5 無効理由3について」について
・・・
しかるところ、この切り代部分以上の樹脂の廃棄が不要であることは、切断方法がダイシングであろうとスタンピング金型を用いた切断であろうと全く同様である。つまり、スタンピング金型を用いた切断(上右下図、廃棄される樹脂は緑線と緑線の間の部分に相当)においても、ダイシングによる切断(上右上図、廃棄される樹脂はダイシングブレード幅に相当する黒線部)と同様に、切り欠き部内の樹脂部とリードを切断していることに変りはないから、上記個別封止の場合と比較して、樹脂の無駄は低減されている。
よって、本件訂正発明1および11の製造方法においては、スタンピング金型を用いる場合においても、上記個別封止の場合に比して廃棄される樹脂の量が低減され、「廃棄されるランナーを低減することができ」る。」(第3頁第9行?第5頁第21行)

(4)口頭審理における主張(調書(被請求人))
「4 無効理由3について
本件発明は、個別封止の従来技術から多数個同時生産方式にした際に剥離し易くなることに鑑み、為された発明である。
多数個同時生産方式(甲1)で用いられる分割手法として金型加工(段落0038)が挙げられており、本件発明における分割手法としてダイシングだけでなくスタンピング金型を用いることは排除されるものではない。
多数個同時生産方式で用いられる切断手法にかかわらず、発光装置1個あたり個別封止に比べ廃棄されるランナー樹脂は低減される。 」

4 無効理由4について
(1)答弁書における主張
「(2)被請求人反論の要旨
本件訂正発明1は、リードフレームに樹脂成形体を一体に形成した樹脂成形体付きリードフレームを切断することを含む、上面視で矩形の樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
(1) 樹脂パッケージの四つの外側面それぞれに沿って切り欠き部が設けられ、かつ全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを用いること
(2) 樹脂成形体を金型で形成するに際し、外側面に沿って設けられた切り欠き部内に樹脂成形体を構成する熱硬化性樹脂の一部を充填させること
(3) 外側面に沿って設けられた切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が分離されて、樹脂パッケージの外側面に露出するように、樹脂成形体とリードフレームとを切断すること
を特徴とする。これらの特徴により、本件訂正発明1においては、先に「第3」「1」「(3)」項で説明したとおり、リードフレームの全面を銀メッキ処理することにより、熱応力が緩和されて、切断時の剥離の原因となる「反り」が抑制され、また、切り欠き部内の熱硬化性樹脂がリードフレームを二組の対向する側面から挟み込むことにより、リードフレームと樹脂成形体との機械的な接合力が向上する。そのため、本件訂正発明1によれば、リードフレームに一体に形成した樹脂成形体における剥離、特に切断時の剥離が有効に抑制される。加えて、銀メッキ処理がリードフレームの全面に施されていることで、製造した発光装置が長期間保管され、あるいは高湿度環境下で使用されたときでも、水分によるリードの腐食が抑制され、それに付随する剥離が抑制される。
したがって、本件訂正発明1によれば、樹脂成形体とリードフレームとの剥離に起因する不良を少なくして、短時間に多数個の発光装置を製造することが可能となり、また、信頼性に優れた発光装置を製造することが可能となる。

これに対して、請求人が主引例とする甲1は、リードフレームの全面に銀メッキ処理を施すことを開示するものではなく、リードフレームの凹部の内底面にのみ銀メッキ処理を施すことを開示している。後述するとおり、これは、銀メッキ処理を樹脂成形体との界面にも施すと、リードフレームと樹脂成形体との間の接着強度が低下することを考慮したものと見られ、甲1においてはリードフレームの全面に銀メッキ処理を施すことに阻害要因がある。
また、甲1は、リードフレームの樹脂パッケージの外側面となる位置に切り欠き部を設けることなく、樹脂成形体付きリードフレームを切断して発光装置を得る方法を開示するのみである。甲1には、そのような発光装置の製造方法において、切断時に樹脂成形体-リードフレーム間の剥離が生じるという課題があることは示されておらず、当然のことながらこれを解決する手段も示唆されていない。さらに、請求人が甲1に組み合わせる副引例として提出するいずれの証拠も、樹脂成形体付きリードフレームを切断するときに生じる剥離の問題が、リードフレームの全面に銀メッキ処理を施し、かつリードフレームにおいて樹脂パッケージの外側面となる位置に切り欠き部を設け、かつこの切り欠き部に熱硬化性樹脂を充填させ、充填した熱硬化性樹脂が分離されるように切断することで解決できることを、まったく示していない。

このように、請求人が提出する証拠のいずれにも、本件訂正発明1の課題を解決する手段としての、本件訂正発明1の特徴となる構成は記載されていないから、これらの証拠の記載に基づいて、本件訂正発明1をなすことは当業者といえども容易なことではない。この点、請求人は、これらの証拠には、上記特徴に類する構成を備えた発光装置および半導体装置が記載されていると主張して、本件訂正発明1の進歩性を否定しようとしているが、いずれの証拠も切断時の剥離防止という作用効果を期待して、上記特徴に係る構成を採用することを当業者に動機づけるものではないし、それ以外の作用効果に基づいて本件訂正発明1の上記特徴に係る構成を導くものでもない。」(第47頁末行?第49頁第22行)

(2)第1上申書における主張
ア 請求人主張が主張する「iv)相違点1-1a(銀メッキ処理)」に関する反論について
「(5)請求人主張 iv)に対する反論
ア 全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを使用することの効果は本件明細書に記載されていること
・・・
しかしながら、本件明細書の段落【0015】の記載は特定の態様に向けられたものではなく、また、本件明細書において、全面に銀メッキ処理を施したリードフレームを使用することの効果が記載されている。
・・・
イ 甲1発明において、リードフレームの全面に銀メッキ処理を施すことには阻害要因があること
・・・
(エ)以上から、メッキ処理を施したリードフレームと樹脂との間の接着強度が低いという当然の技術常識を備えた当業者であれば、甲1の開示内容から、甲1発明において配線基板(リードフレーム)の全面に銀メッキ処理を施すことには阻害要因があると認識することは明らかであるから、請求人の主張は失当である。

ウ 切り欠き部内側面に銀メッキを施すことには阻害要因があること
・・・
(イ)上記「(ア)」「a」項の主張、すなわち、甲5発明においてスリット12bには銀メッキ処理は施されていないという主張は、甲5の記載に基づくものでなく、甲5の記載の曲解または甲5の記載の自己に都合の良い解釈に基づくものといわざるを得ない。
・・・
(ウ)上記「(ア)」「b」項の主張に関して、甲7発明において、全面に銀メッキ処理を施す態様が記載されていることは、被請求人としても争うものではない。
しかしながら、上記「第1」「5」「(2)」「イ」項で説明したとおり、甲7発明は、透明な絶縁体4を、例えば熱硬化性のエポキシ樹脂を用いた個別封止により形成し、第1リード2および第2リード3の絶縁体4から突出した部分を切断して個片化することにより得られるものである。したがって、甲7において、リードフレームの全面に銀メッキ処理が施されてよいということが記載されているとしても、そのような記載は、切断時にリードフレームと熱硬化性樹脂との間の剥離が問題となる多数個同時生産方式において、全面に銀めっき膜を形成することを動機づけるものとはなり得ない。また、甲7は、リードフレームに銀めっき膜を形成する際のあらゆる選択肢を示しているのであって、リードフレームの表面全面に銀めっき膜を形成することは、好ましい形態として示されているわけでもない。したがって、このような包括的な記載は、当業者が、銀メッキ処理を敢えてリードフレームの全面に施す動機づけの理由にはならない。

エ 小括
以上のとおり、相違点1-1aに関する請求人の反論はいずれも失当であり、相違点1-1aに関する被請求人の答弁書における主張に誤りはなく、相違点1-1aは当業者が容易に想到できない。」(第53第第15行?第60頁第4行)

イ 請求人主張が主張する「v)相違点1-2a(切り欠き部)、1-3a(切り欠き部の充填)、1-4a(切り欠き部に沿った切断)」に関する反論について
「(6)請求人主張v)」に対する反論
・・・
ウ 甲1、甲3および甲11についての結論
以上のとおりであるから、四つの外側面に沿って切り欠き部を設け、かつ切り欠き部を発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けるという構成は甲1、甲3および甲11発明の「設計事項」ではなく、当業者の通常の創作能力の範囲外の事項であるうえ、さらに、そのような構成を採用することには阻害要因が存在するから、本件訂正発明1における切り欠き部構成は非容易想到である。
エ 甲5について
・・・
(オ)以上のとおり、甲5には、メタル基板に設けたスリット12bに熱硬化性樹脂を充填させてはならないことが記載ないしは記載されているに等しいから、甲5を甲1に適用しても、本件訂正発明1の構成要件1-3aおよび1-4aは導かれないという、答弁書における被請求人の主張に誤りはない。
・・・
カ 小括
以上のとおり、相違点1-2a、1-3aおよび1-4aに関する請求人の反論はいずれも失当であり、これらの相違点に関する被請求人の答弁書における主張に誤りは無く、当業者は、相違点1-2a、1-3aおよび1-4aに想到できない。」(第60第5行?第78頁第20行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
(省略)

5 無効理由5について
(1)答弁書における主張
「(2) 被請求人の反論の要旨
本件訂正発明1に係る発光装置の製造方法は、先に「第7」「2」「(2)」項で説明したように、
(1) 樹脂パッケージの四つの外側面それぞれに沿って切り欠き部が設けられ、かつ全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを用いること
(2) 樹脂成形体を金型で形成するに際し、外側面に沿って設けられた切り欠き部内に樹脂成形体を構成する熱硬化性樹脂の一部を充填させること
(3) 外側面に沿って設けられた切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が分離されて、樹脂パッケージの外側面に露出するように、樹脂成形体とリードフレームとを切断することを特徴とする。これらの特徴により、切断時の樹脂成形体とリードフレームとの剥離を有効に抑制でき、また、銀メッキ処理による接着強度の低下を補填できるほどに、樹脂成形体とリードフレームとの接合強度を向上させることができる。
これに対して、甲23発明に係る光半導体装置の製造方法は、1個の光半導体素子搭載用基板を構成する一対の金属配線を金型の内部に配置し、金型に熱硬化性樹脂組成物を注入し熱硬化させることで、リフレクターを備える光半導体素子搭載用基板を形成するものであって、光半導体素子搭載用基板の外側面を切断によって形成するものではないから、切断時の剥離を防止することを目的とした切り欠き部を設ける必要のないものである。
したがって、本件訂正発明1が甲23発明および他の証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たものでないことは明らかである。」(第95頁第10行?第96頁第4行)

(2)第1上申書における主張
「1 本件訂正発明1が進歩性を有するものであること
・・・
(2)被請求人の反論
ア 相違点1-1b(銀メッキ処理)について
請求人は、甲23発明において金属配線の上面全面を銀メッキ処理する動機はないと被請求人が答弁書で主張したことに対して、甲23発明において凹部の底面のみメッキが施される理由は、甲23の図2(b)に示された態様の光半導体装置が、リフレクターの形成後に銀メッキ処理が実行されるものとして図示されているからに過ぎず、「金属配線のリフレクター(熱硬化性光反射用樹脂組成物)との接着面がメッキ面となるのを避けて、リフレクターの接合強度を高めようとしている」からなどではない。」と主張し、この主張の根拠として甲24を示している(弁駁書の79頁3行?81頁10行)。
しかしながら、上記「第3」「1」「(4)」項でも説明したとおり、甲23発明を認定するにあたり、甲23と出願人および発明者が同じであるとしても、甲23で引用もされていない甲24を参照することは許されない。したがって、請求人の上記主張は、参照し得ない証拠に依拠している点で失当である 。

そして、トランスファー成型で直接リードフレーム上に形成した樹脂の接合強度が比較的弱いこと、およびメッキ処理を施したリードフレームと樹脂との間の接着強度が低いということが当業者の技術常識であることを考慮すれば、甲23発明において金属配線とリフレクター(熱硬化性光反射用樹脂組成物)との間にメッキ膜が存在すると両者の間で剥離が生じやすくなることは、当業者には容易に理解できる。したがって、当業者であれば、甲23発明において凹部の内側にのみメッキが施されており、凹部の内側を越えてメッキ処理が施されていないのは、金属配線とリフレクターとの接着強度を確保するためであり、甲23発明において金属配線の全面にメッキ処理を施すと、金属配線とリフレクターとの接着強度が低下して剥離が生じやすくなると考える。
したがって、当該分野における技術常識を備えた当業者であれば、甲23の開示内容から、甲23発明において金属配線の全面に銀メッキ処理を施すことには、むしろ阻害要因があると認識する。

イ 相違点1-2b(リードフレーム)および相違点1-4b(樹脂成形体とリードフレームの切断)について

請求人は、被請求人の答弁書における、「甲23に記載された製造方法を、敢えて、集合体での多数個同時生産方式で製造できるように、リードフレームを採用する方法に変更する動機はないというべきである。」という主張に対し、「甲第23号証においても、また甲第24号証においても、これらの甲号証に開示の光半導体装置が、被請求人のいうところの「個別封止」のものでなければならず、「集合体での多数個同時生産方式」によるものであってはならないとする記載の存在は認められない」としたうえで、「これらの甲号証に開示の発明は、その目的を実現するための構成が、「個別封止」のものであるか「集合体での多数個同時生産方式」によるものであるかを問わないが故に、敢えて「集合体での多数個同時生産方式」によるものとはせず、「個別封止」のものとして開示されているに過ぎない」などと主張する(弁駁書の81頁11行?83頁3行)。
しかしながら、甲23が「個別封止」のものとして開示されているにすぎないうえに、特に「多数個同時生産方式」に関する記載ないし示唆も存在しない以上、被請求人が主張するとおり、「甲23に記載された製造方法を、敢えて、集合体での多数個同時生産方式で製造できるように、リードフレームを採用する方法に変更する動機はない」ことは明らかであって、このような甲23について、「その目的を実現するための構成が、「個別封止」のものであるか「集合体での多数個同時生産方式」によるものであるかを問わない」ものであるとする請求人の上記主張には、まったく理由がない。

ウ 相違点1-3b(切り欠き部)について
・・・
(カ)請求人主張が違法であること
以上から、甲23発明に、甲5、甲21、甲22、甲4ないし甲1発明等を組み合わせた発明(請求人のいう、甲23発明を「集合体での多数個同時生産方式」に変更した発明)が主引用発明のごとくに主張したうえで、この「主引用発明」に甲12および甲13等を組み合わせて本件発明に想到することが容易になし得ることであると主張する請求人主張は、法29条2項に規定する「発明」に該当しないものを根拠に同条同項を適用すべきという主張であるから、違法な主張である。
(キ)付言?本件の創作プロセスの各ステップにおいては相当程度以上の創作力を要すること
なお、「相当程度の創作力が求められる」という請求人主張は、上記のとおり違法な主張ではあるが、甲23発明に「集合体での多数個同時生産方式」を適用することは容易に想到し得ることではなく(答弁書101頁15行?102頁11行参照)、また、前述のとおり、仮に甲23発明に「集合体での多数個同時生産方式」を適用したとしても、本件訂正発明1における全包囲周の1/2にわたる切り欠き部構成は 、四つの外側面の各々に沿って形成される切り欠き部構成と同様、同発明の基本思想と密接に関係する構成であって当業者が容易に想到し得ないことは明らかであるから、該各適用においては相当程度以上の創作力が求められることは明らかであって、請求人の主張は、そもそもの事実認識自体が誤りであることを、念のため付言しておく。」(第83頁第3行?第90頁第6行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
(省略)

6 無効理由6について
(1)答弁書における主張
「(2) 被請求人の反論の要旨
本件訂正発明1に係る発光装置の製造方法は、先に「第7」「2」「(2)」項で説明したように、
(1) 樹脂パッケージの四つの外側面それぞれに沿って切り欠き部が設けられ、かつ全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを用いること
(2) 樹脂成形体を金型で形成するに際し、外側面に沿って設けられた切り欠き部内に樹脂成形体を構成する熱硬化性樹脂の一部を充填させること
(3) 外側面に沿って設けられた切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が分離されて、樹脂パッケージの外側面に露出するように、樹脂成形体とリードフレームとを切断すること
を特徴とする。これらの特徴により、切断時の樹脂成形体とリードフレームとの剥離を有効に抑制でき、また、銀メッキ処理による接着強度の低下を補填できるほどに、樹脂成形体とリードフレームとの接合強度を向上させることができる。
一方、甲3発明は、各発光装置の第1の樹脂成形体の外形に応じた金型を用いる、いわゆる個別封止によって第1の樹脂成形体(本件訂正発明1でいう樹脂部に相当)を形成するものであり(甲3の段落【0121】?段落【0127】、段落【0140】および図10)、第1の樹脂成形体の外側面は本件訂正発明1のそれとは異なり、切断によって形成されるものではない。また、リードフレームから個々の発光装置を得ることは、リードフレームを切り出すことにより行われる(甲3の段落【0143】)。すなわち、甲3発明の発光装置は、四つの外側面を切断によって形成するものではないから、切断時の剥離を防止することを目的とした切り欠き部を設ける必要のないものである。
また、そのような甲3発明において、図4に示されるように、第1のリード21および第2のリード31に凹凸(切り欠き部)が設けられるのは、これらのリードの側面において第1の樹脂成形体との接触面積を増やして、これらのリードが抜脱することを防止するためである(甲3の段落【0110】)。すなわち、甲3発明において、凹凸は、第1リードおよび第2リードと第1の樹脂成形体との間に「引っかかり」を設けて、これらのリードが発光装置の使用中に抜け落ちることを抑制するものであり、本件訂正発明1とは異なり、切断時の剥離を防止するためのものではない。
このように、本件訂正発明1と甲3発明とでは、樹脂パッケージの外側面を形成する手法が異なり、また、切り欠き部を設ける目的もまったく異なるから、甲3それ自体から、または甲3にその他の証拠を組み合わせても、本件訂正発明1に想到することは容易になし得ることではない。」(第119頁末行?第121頁第6行)

(2)第1上申書における主張
「1 本件訂正発明1が進歩性を有するものであること
(1)請求人主張の要旨
・・・
(2)被請求人の反論
ア 甲3発明について
請求人は、被請求人が答弁書でした「甲3発明において、凹凸は、第1リードおよび第2リードと第1の樹脂成形体との間に「引っかかり」を設けて、これらのリードが発光装置の使用中に抜け落ちることを抑制するものであり、本件訂正発明1とは異なり、切断時の剥離を防止するためのものではない。」という主張に対して、「樹脂成形体とリードフレームとの間の剥離が抑制される」という点において、それが「使用中の抜け落ち」であるか「切断時の剥離」であるかで本質的な違いはないと主張する。

しかしながら、前述のとおり、個別封止である甲3発明においては、発光装置を個片化する際の樹脂とリードフレームとの切断による樹脂成形体とリードフレームとの間の剥離という問題が生じないから、a)やわらかな樹脂成形体の切断により、硬いリードフレームを切断するときに加わる振動や応力などの機械的ストレスを緩和すると共に、b)樹脂成形体とリードフレームとの界面に切断装置が直接触れることを避けるために切り欠き部を設けるという、本件訂正発明1の基本思想ないし課題は生じ得ない。
しかるところ、本件訂正発明1における構成、特に、四つの外側面それぞれに沿って設けられ、かつ製造される発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられている切り欠き部構成は、本件訂正発明1の基本思想ないし課題と直結した構成であるから、請求人の言う、「「樹脂成形体とリードフレームとの間の剥離が抑制される」という点において、それが「使用中の抜け落ち」であるか「切断時の剥離」であるか」という点は、本件訂正発明1の基本思想および構成に直結する甲3発明との間の本質的な相違である。よって、請求人の上記主張は失当である。
イ 相違点1-2c(銀メッキ処理)について
請求人は、被請求人が答弁書でした「甲3発明においてリードフレームの全面に銀メッキ処理を施す動機はない。」という主張に対して、
「仮に「トランスファー成形で直接リードフレーム上に形成した樹脂の接合強度が比較的弱いこと」が当業者の常識であるとしても、例えば甲1発明のように、トランスファ・モールドでリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成しても、「接着シートを使った場合のような接合強度が得られないため、切断時の機械的ストレスによってリードフレームの上面に接合した熱硬化性樹脂が剥離してしまう。」ことはないのである。」、
「仮に「メッキ面が一般に接着しにくい面であること」が当業者の常識であるとしても、そもそも、トランスファ・モールドでリードフレーム上に熱硬化性樹脂を直接形成しても、「接着シートを使った場合のような接合強度が得られないため、切断時の機械的ストレスによってリードフレームの上面に接合した熱硬化性樹脂が剥離してしまう。」こともない。」
と主張する(弁駁書の95頁3行?97頁6行)。
請求人の上記主張は、要は、甲1に記載の実施例1?5により製造された光半導体素子搭載用パッケージ基板において「その反りが0.5mm未満」(段落【0052】)であったことを根拠として、甲3発明においてリードフレームの全面に銀メッキ処理を施す動機があると主張するものである。
しかし、そもそも、甲1発明においては、銀メッキは凹部の底面にのみ形成され、リードフレームと樹脂部との界面には金属メッキが存在しない。よって、請求人の上記主張は、結局のところ、該界面に金属メッキが存在しない甲1発明を根拠として、甲3発明においては、該界面にメッキを施す動機が存在するという主張であり、その論理矛盾は明らかである。
さらに、請求人は、「はんだとの密着性向上や腐食防止といった効果を期待して、甲3発明に於いて、金属メッキをリードの全面に施すことは十分にあり得る」とも主張する。しかしながら、前述のとおり、甲3発明においては、凹部を設けることによって、横方向の力が加わったときにリードが抜脱することを防止するための構成を採用している。よって、このような甲3発明における凹部による抜脱防止効果という思想からして、敢えて接着強度の低下を伴う全面メッキを採用する動機はない 。よって、請求人の主張は失当である。
ウ 相違点1-3c(切り欠き部)について
請求人は、「相違点1-3c(切り欠き部)」について被請求人がした主張「請求人の主張は・・・いわゆる「容易の容易」の場合に相当する。したがって、甲3発明に基づいて相違点1-3cに係る構成に想到することは格別な努力が必要であり、当業者にとって容易であるとはいえず、請求人の主張は失当である。」に対して、「請求人の主張が「いわゆる『容易の容易』の場合に相当する」わけではなく、「甲3発明に基づいて相違点1-3cに係る構成に想到することは格別な努力が必要であ」るとも言えない。」と主張する(弁駁書の97頁7行?98頁12行)。
請求人の上記主張は、無効理由5に関連して請求人がした主張(弁駁書の83頁4行?85頁12行)と実質的に同一であるところ、かかる請求人主張は独自のものであって法29条2項に反することは、前述のとおりである。
また、請求人は、「本件明細書において、本件訂正発明1で「全包囲周の1/2以上にわたる切り欠き部をリードフレームに設けること」について「格別の技術的意義」は記載されていない」ので、「「甲12および甲13には、請求人が『全包囲周の1/2にわたる切り欠き部』と称する部分に格別な意義があるとも記載されていない」ことが、相違点1-3cを「動機付けるものではない」と結論付ける根拠とはならない」と主張する(弁駁書の98頁13行?99頁14行)。
請求人の上記主張は、無効理由5に関連して請求人がした主張(弁駁書の85頁13行?86頁12行)と実質的に同一であり、これに対する反論は、上記「第4」「1」「(2)」「ウ」項で述べたとおりである。」(第96頁第3行?第100頁第7行)

(3)口頭審理陳述要領書における主張
(省略)

7 口頭審理における主張
「4 無効理由3について
本件発明は、個別封止の従来技術から多数個同時生産方式にした際に剥離し易くなることに鑑み、為された発明である。
多数個同時生産方式(甲1)で用いられる分割手法として金型加工(段落0038)が挙げられており、本件発明における分割手法としてダイシングだけでなくスタンピング金型を用いることは排除されるものではない。
多数個同時生産方式で用いられる切断手法にかかわらず、発光装置1個あたり個別封止に比べ廃棄されるランナー樹脂は低減される。」 (調書 被請求人 項番4)

「5 「すべり」についての主張について
「すべり」によって反りが解消するという効果の主張は、撤回する。ただし、「すべり」によって、挟み込みの効果が増大し、剥離抑制に結果的に寄与することは主張する。」(調書 被請求人 項番5)

8 第2上申書における主張
(1)「第2 上申書「第2」における請求人主張に対する被請求人の反論」(第3頁第5行)
「イ 上記のとおり、被請求人は、「「すべり」によって反りが解消するという効果の主張」を撤回した。これは、銀メッキによってリードフレームと樹脂の接着力が低下し、その界面においてリードフレームと樹脂が相対的に移動しやすい状態になるものの、切り欠き部内に充填された樹脂がリードフレームに引っかかることによって樹脂のリードフレーム主面上における相対的な移動は妨げられ(請求人のいう「ピン止め(pinning)効果」)、反りは完全には解消されないことによる。
ウ したがって、被請求人は、請求人が摘示するような主張をしているわけではなく、請求人の前記主張は失当である。」(第4頁第5行?第13行)

「このように、熱硬化性樹脂がリードフレームを挟み込む力が緩和されるという請求人の主張は、根拠が不明であるうえに自己矛盾を生じており、誤りである。」(第7頁第13行?第15行)

(2)「第3 上申書「第3」における請求人主張に対する被請求人の反論」(第7頁末行)
「請求人の主張する「隙間」については、その根拠が不明であるうえに、請求人の主張は自己矛盾を生じている。」(第8頁第15行?第16行)

「よって、本件訂正発明においても、剥離防止という同一作用効果に向けられた構成である全面メッキと本件切り欠き部構成とは、相互に関連性を有する一体不可分な構成として把握される。」(第9頁第20行?第22行)

「尤も、以下念のために付言しておけば、本件切り欠き部構成は、貴庁からの審理事項通知書26頁「11」記載のとおりの意義を有しており、該切り欠き部の構成を設けることは、請求人の引用する各引用例及び技術水準に照らして非容易想到である。」(第9頁第第24行?27行)

9 証拠方法
被請求人が提出した乙号証は、以下のとおりである。
なお、乙号証は「乙」に数字を付加して略して表記する。
乙1:特開2003-268205号公報 平成15年9月25日公開
乙2:台湾特許公開第200719448号公報(甲26)の書誌事項を除く訳文 作成者:被請求人 作成日:平成29年9月7日
(以上、答弁書に添付して提出)
乙3:特開2001-15682号公報 平成13年1月19日公開
乙4:特開2004-281510号公報 平成16年10月7日公開
乙5:特開2004-88119号公報 平成16年3月18日公開
(以上、第1上申書に添付して提出)

第7 当審の判断
1 本件訂正発明
「第3 本件訂正発明」で認定したとおりである。

2 甲各号証に記載された事項
(以下において、証拠は略記して、例えば「甲第1号証」を「甲1」のように表記する。なお、下線は、当審が付与したものである。以下、同様。)
(1)甲1(無効理由4における主たる引用例)
甲1には、以下の記載がある。
「【請求項1】
光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成することを特徴とする、光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【請求項2】
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであることを特徴とする、請求項1に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。

【請求項7】
前記配線基板が、リードフレーム、プリント配線板、フレキシブル配線板、およびメタルベース配線板のいずれかであることを特徴とする、請求項1?6のいずれか1項に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1?7のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程、および
前記光半導体素子を封止樹脂により覆う工程、
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂封止工程後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程、をさらに有することを特徴とする、請求項8に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記分割する工程が、ダイシングにより行われることを特徴とする、請求項9に記載の光半導体装置の製造方法。」

「【0024】
上記トランスファー成型による形成について、より具体的には、例えば、上記配線基板として、図1(a)に示すような、金属配線401を有するプリント配線板400を用い、これを図1(b)に示すように、所定形状の金型411内に配置し、金型411の樹脂注入口410から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入する。ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を好ましくは、金型温度170℃?190℃で60秒?120秒、アフターキュア温度120℃?180℃で1時間?3時間の条件で熱硬化させた後、金型411を外すことで、凹部(光半導体素子搭載領域)420が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層(リフレクター)421を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板430を得ることができる(図1(c)、(d))。また、凹部底面の、光半導体素子が接続される端子表面に電気めっき等によりNi/Agめっき104を施すこともできる。また、凹部の形状は、特に限定されないが、搭載されたLED素子10が発する光を反射させて上方へ導くようなカップ形状(円錐台形状)であることが望ましい。
【0025】
上記光反射用熱硬化性樹脂組成物としては、公知のものを使用することも可能であるが、好ましくは、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能な光反射用熱硬化性樹脂組成物を用い、より好ましくは、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、かつ熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能な光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いる。上記光反射率が80%未満であると、光半導体装置の輝度向上に十分寄与できない傾向がある。より好ましくは、光反射率が90%以上である。また、上記加圧成形は、例えば、室温(約25℃)において、0.5MPa?2MPaの圧力で、1秒?5秒程度の条件下で行うことができればよい。また、本発明において用いる光反射用熱硬化性樹脂組成物の熱伝導率は、1W/mK以上であることが好ましい。この熱伝導率が1W/mK未満であると光半導体素子から発生する熱を十分に逃がすことができず、封止樹脂等を劣化させてしまう恐れがある。」

「【0035】
上記プリント配線は、例えば、銅箔付プリプレグに対して、公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、絶縁用の樹脂及びプリプレグに含浸する樹脂には、LED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。また、上記リードフレームは、例えば、銅、42アロイ等の基板を公知の手法を用いて回路を形成して得ることができる。その際、基板表面にはLED素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきを施しておくことが望ましい。また、上記フレキシブル配線板は、例えば、銅箔付のポリイミド基板を公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、絶縁用の樹脂にはLED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。また、上記メタルベース配線板は、例えば、銅やアルミニウムの基板に絶縁層を形成し、公知の手法を用いて回路となる配線を形成した後、絶縁用の樹脂を回路上に形成して得ることができる。その際、金属基板上の絶縁層及び回路絶縁用の樹脂にはLED素子からの光を効率よく反射できるように白色の絶縁樹脂を用いることが望ましい。」

「【0043】
<光半導体装置の製造>
上記で得た光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された各凹部底面の回路上に、LED素子をダイボンド材(日立化成工業(株)製、EN4620K)にて固定し、150℃で1時間加熱することによりLED素子を端子上に固着させた。ついで、金線でLED素子と端子を電気的に接続した後、下記組成の透明封止樹脂をポッティングにより各凹部に流し込み、150℃で2時間加熱硬化し、LED素子を樹脂封止した。
【0044】
(透明封止樹脂組成)
・水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂:デナコールEX252(ナガセケムテックス社製) 90重量部
・脂環式エポキシ樹脂:CEL-2021P(ダイセル化学社製) 10重量部
・4-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物HN-5500E(日立化成工業製) 90重量部
・2、6ジターシャルブチル-4-メチルフェノールBHT 0.4重量部
・2-エチル-4-メチルイミダゾール 0.9重量部
【0045】
<ダイシング>
上記透明封止樹脂を硬化させた後、マトリックス状の光半導体装置をダイシング装置((株)ディスコ製、DAD381)により個片化し、LED素子を1つ有する単体の光半導体装置(SMD型LED)を複数製造した。
【0046】
(実施例2)
プリント配線板の代わりにリードフレームを用いた以外は、実施例1と同様にして光半導体装置を製造した。」

また、図2,3は、以下のとおりである。

甲1の記載において、「LED素子」は「光半導体素子」であり、図2、3には、光半導体装置単体は、上面視で矩形であり、2つの金属配線と、凹部が形成されたリフレクター(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)とからなる4つの外側面は略同一面に形成され、前記2つの金属配線の底面が露出していることが図示され、前記「2つの金属配線」は、配線基板としてリードフレームを用いた場合には(【請求項7】、段落【0034】の記載参照。)、「2つのリード」となることを踏まえると、甲第1号証(特に、請求項1、2、7?10、段落【0023】、【0024】、【0035】、【0036】、【0043】?【0046】、図2、3の記載参照。)には、以下の発明(甲1A発明)が記載されていると認められる。

「配線基板と光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程であって、当該工程は、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成するものであり、
前記トランスファー成型による形成は、前記配線基板を所定形状の金型内に配置し、金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、ついで、注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させた後、金型を外すことである、
光半導体素子搭載用パッケージ基板を製造する工程と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程と、
前記光半導体素子をエポキシ樹脂を主成分とする透明封止樹脂により覆う工程と、
前記樹脂封止工程後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割する工程と、
を有する光半導体装置の製造方法であって、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、表面には光半導体素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきが施されており、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記分割する工程が、ダイシングにより行われ、
前記光半導体装置単体は、上面視で矩形であり、2つのリードと、凹部が形成されたリフレクター(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)とからなる4つの外側面は略同一面に形成され、前記2つのリードの底面が露出している、
光半導体装置の製造方法。」

また、甲1には、以下の発明(甲1B発明)が記載されていると認められる。

「配線基板と光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板であって、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成したものであり、
前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであり、
前記配線基板が、リードフレームであり、
前記リードフレームは、表面には光半導体素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきが施されている、
光半導体素子搭載用パッケージ基板と、
前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に搭載する光半導体素子と、
前記光半導体素子を覆う、エポキシ樹脂を主成分とする透明封止樹脂と、
を有し、前記樹脂封止工程後、前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体に分割されたものであり、
前記光半導体装置単体は、上面視で矩形であり、2つのリードと、凹部が形成されたリフレクター(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)とからなる4つの外側面は略同一面に形成され、前記2つの金属配線の底面が露出している、
光半導体装置。」

(2)甲3(無効理由6における主たる引用例)
甲3には、以下の記載がある。
「【0064】
<発光素子>
発光素子10は、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが用いられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。
【0065】
屋外などでの使用を考慮する場合、高輝度な発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、また、赤色ではガリウム・アルミニウム・砒素系の半導体やアルミニウム・インジュウム・ガリウム・燐系の半導体を用いることが好ましいが、用途によって種々利用することもできる。
【0066】
窒化ガリウム系化合物半導体を使用した場合、半導体基板にはサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnOやGaN単結晶等の材料が用いられる。結晶性の良い窒化ガリウムを量産性良く形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。窒化物系化合物半導体を用いた発光素子10例を示す。サファイヤ基板上にGaN、AlN等のバッファー層を形成する。その上にN或いはP型のGaNである第1のコンタクト層、量子効果
を有するInGaN薄膜である活性層、P或いはN型のAlGaNであるクラッド層、P或いはN型のGaNである第2のコンタクト層を順に形成した構成とすることができる。窒化ガリウム系化合物半導体は、不純物をドープしない状態でN型導電性を示す。なお、発光効率を向上させる等所望のN型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、N型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。」

「【0068】
こうした発光素子10は、適宜複数個用いることができ、その組み合わせによって白色表示における混色性を向上させることもできる。例えば、緑色系が発光可能な発光素子10を2個、青色系及び赤色色系が発光可能な発光素子10をそれぞれ1個ずつとすることが出来る。なお、表示装置用のフルカラー発光装置として利用するためには赤色系の発光波長が610nmから700nm、緑色系の発光波長が495nmから565nm、青色系の発光波長が430nmから490nmであることが好ましい。本発明の表面実装型発光装置において白色系の混色光を発光させる場合は、蛍光物質からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。発光素子と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。なお、比較的紫外線により劣化されにくい部材との組み合わせにより400nmより短い紫外線領域或いは可視光の短波長領域を主発光波長とする発光素子を用いることもできる。」

「【0072】
第1の樹脂成形体40の主面側の形状は矩形であるが、楕円、円形、五角形、六角形等とすることもできる。凹部40cの主面側の形状は、楕円であるが、略円形、矩形、五角形、六角形等とすることも可能である。所定の場合に、カソードマークを付けておく。
【0073】
第1の樹脂成形体40の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。例えば、トリグリシジルイソシアヌレート(化1)、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(化2)他よりなるエポキシ樹脂と、ヘキサヒドロ無水フタル酸(化3)、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(化4)、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(化5)他よりなる酸無水物とを、エポキシ樹脂へ当量となるよう溶解混合した無色透明な混合物100重量部へ、硬化促進剤としてDBU(1,8-Diazabicyclo(5,4,0) undecene-7)(化6)を0.5重量部、助触媒としてエチレングリコール(化7)を1重量部、酸化チタン顔料を10重量部、ガラス繊維を50重量部添加し、加熱により部分的に硬化反応させBステージ化した固形状エポキシ樹脂組成物を使用することができる。」

「【0081】
第1の樹脂成形体40は、パッケージとしての機能を有するため硬質のものが好ましい。また、第1の樹脂成形体40は透光性の有無を問わないが、用途等に応じて適宜設計することは可能である。例えば、第1の樹脂成形体40に遮光性物質を混合して、第1の樹脂成形体40を透過する光を低減することができる。一方、表面実装型発光装置からの光が主に前方及び側方に均一に出射されるように、フィラーや拡散剤を混合しておくこともできる。また、光の吸収を低減するために、暗色系の顔料よりも白色系の顔料を添加しておくこともできる。このように、第1の樹脂成形体40は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。」

「【0084】
第1のリード20及び第2のリード30は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード20及び第2のリード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、第1のリード20及び第2のリード30の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。また、放熱性を向上させるため第1のリード20及び第2のリード300の面積は大きくすることができる。これにより発光素子10の温度上昇を効果的に抑えることができ、発光素子10に比較的多くの電気を流すことができる。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより放熱性を向上することができる。この場合、第1のリード20及び第2のリード30を折り曲げるなどの成形工程が困難であるため、所定の大きさに切断する。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより、第1のリード20及び第2のリード30のたわみが少なくなり、発光素子10の実装をし易くすることができる。これとは逆に、第1のリード20及び第2のリード30を薄い平板状とすることにより折り曲げる成形工程がし易くなり、所定の形状に成形することができる。」

「【0087】
第2の樹脂成形体50の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。」

「【0109】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図4は、第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【0110】
この表面実装型発光装置は、第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げている。これにより第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止することができる。」

「【0139】
実施例1に係る表面実装型発光装置は以下の工程により製造される。図10は実施例1に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0140】
所定のリードフレームに打ち抜きを行い、複数個の第1のリード20と第2のリード30とを設ける。約150℃に加熱した下金型121へリードフレームを固定する。同様に約150℃に加熱した上金型120でリードフレームを挟み込む。挟み込みは第1のリード20と第2のリード30のインナーリード部20a、30a、アウターリード部20b、30bに相当する部分である。第1の樹脂成形体40に相当する上記のエポキシ樹脂組成物を打錠し得たタブレットを金型シリンダー部に配置する。このタブレットをピストンにより金型内へ流し込む(トランスファ・モールド)。この流し込まれたエポキシ樹脂を金型内で約150℃約3分間の加熱を行い仮硬化する。次に上金型120と下金型121とを分割して上記のエポキシ樹脂組成物の半硬化物を金型内から取り出す。取り出した後、さらに約150℃約3時間の加熱を行い本硬化する。これによりリードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームを得る。第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成しており、底面40aはリードフレームが露出している。このリードフレームのアウターリード部20b、30bに相当する部分にメッキ処理を施す。
【0141】
次に、凹部40cの底面40aに発光素子10をダイボンドする。発光素子10の持つ第1の電極11と第1のリード20の第1のインナーリード部20a、第2の電極12と第2のリード30の第2のインナーリード部30aとをそれぞれワイヤ60を用いて電気的に接続する。
【0142】
次にYAG系蛍光体80を均一に混合した、第2の樹脂成形体50に相当するシリコーン樹脂を凹部40cの上面まで滴下する。シリコーン樹脂の粘度等により、YAG系蛍光体80が沈降する。YAG系蛍光体80が沈降することにより発光素子10の周辺にYAG系蛍光体を配置することができ、所定の色調を有する表面実装型発光装置を提供することができる。シリコーン樹脂を滴下後、硬化して、第2の樹脂成形体50を形成する。
【0143】
最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを形成する。これにより実施例1に係る表面実装型発光装置を製造することができる。」

また、図4、図10は以下のものである。

上記【0140】及び図10の記載から、第1の樹脂成形体40の外側面は、金型により形成されたものであるといえる。
してみると、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分を有する第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置の製造方法に関し、甲3(特に、段落【0064】?【0068】、【0072】、【0073】、【0081】、【0084】、【0087】、【0109】、【0110】、【0139】?【0143】、図4、図10の記載参照。)には、以下の発明(甲3A発明)が記載されていると認められる。

「所定のリードフレームに打ち抜きを行い、複数個の第1のリード20と第2のリード30とを設け、
下金型121へリードフレームを固定し、上金型120でリードフレームを挟み込み、
第1の樹脂成形体40に相当するエポキシ樹脂組成物を金型内へ流し込み仮硬化し、
エポキシ樹脂組成物の半硬化物を金型内から取り出し、
取り出した後、本硬化し、
リードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームを得、
第1の樹脂成形体40の外側面は、金型により形成されたものであり、
第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成しており、底面40aはリードフレームが露出しており、このリードフレームのアウターリード部21b、31bに相当する部分にメッキ処理を施し、
次に、凹部40cの底面40aに発光素子10をダイボンドし、
発光素子10の持つ第1の電極11と第1のリード21の第1のインナーリード部21a、第2の電極12と第2のリード31の第2のインナーリード部31aとをそれぞれワイヤ60を用いて電気的に接続し、
次にYAG系蛍光体80を均一に混合した、第2の樹脂成形体50に相当するシリコーン樹脂を凹部40cの上面まで滴下し、硬化して、第2の樹脂成形体50を形成し、
最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bとを形成する、
表面実装型発光装置を製造する方法であって、
前記第1のリード21及び前記第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げ、第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止し、
発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用い、
前記発光素子の発光波長は、450nm以上475nm以下が好ましく、
前記発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード21及び第2のリード31の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともでき、
上記第1の樹脂成形体40の主面側の形状は矩形であり、材質は熱硬化性樹脂であり、反射性物質を混合したものである、
方法。」

また、甲3には、以下の発明(甲3B発明)が記載されていると認められる。

「リードフレームは、複数個の第1のリード21と第2のリード31とが設けられており、
リードフレームと一体成形されたエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームは、第1の樹脂成形体40の外側面を、金型により形成されたものであり、
第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cが形成されており、底面40aはリードフレームが露出しており、このリードフレームのアウターリード部21b、31bに相当する部分にメッキ処理を施されており、
凹部40cの底面40aに発光素子10がダイボンドされており、
発光素子10の持つ第1の電極11と第1のリード21の第1のインナーリード部21a、第2の電極12と第2のリード31の第2のインナーリード部31aとをそれぞれワイヤ60を用いて電気的に接続されており、
次にYAG系蛍光体80を均一に混合した、第2の樹脂成形体50に相当するシリコーン樹脂を凹部40cの上面まで滴下し、硬化して、第2の樹脂成形体50を形成された、
表面実装型発光装置であって、
前記第1のリード21及び前記第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げ、第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止し、
発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用い、
前記発光素子の発光波長は、450nm以上475nm以下が好ましく、
前記発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード21及び第2のリード31の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともでき、
上記第1の樹脂成形体40の主面側の形状は矩形であり、材質は熱硬化性樹脂であり、反射性物質を混合したものである、
表面実装型発光装置。」

(3)甲23(無効理由5における主たる引用例)
甲23には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体素子と蛍光体などの波長変換手段とを組み合わせた光半導体装置に用いる熱硬化性光反射用樹脂組成物、および該熱硬化性光反射用樹脂組成物を用いた光半導体素子搭載用基板とその製造方法、ならびに該光半導体素子搭載用基板を用いた光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体素子を利用した光半導体装置として、図4に示すような構成のSMD(Surfacemounted device)タイプのLED(Light Emitting Diode)が知られている。このLEDは、通常、マウント基板リフレクター(光半導体素子搭載用基板)403に形成されたカップ状部(凹部)の、リード404が露出している底面にLED素子(発光素子)400が配置され、さらに当該素子が配置されたカップ状部に蛍光体405を含有する透明封止樹脂402が充填されている。リフレクターは、発光素子から側方に放射された光をその表面で拡散反射して軸方向に分配し、これによって軸上強度を高めることを目的として使用されている。特許文献1?4にはリフレクターが熱可塑性樹脂組成物からなるSMDタイプのLED用形成材料が開示されている。
【0003】
このような構造を有するLEDは、高エネルギー効率、長寿命などの利点から、屋外用ディスプレイ、携帯液晶バックライト、車載用途などその需要を拡大しつつあるが、これに伴い、LEDデバイスの高輝度化が進み、素子の発熱量増大によるジャンクション温度の上昇、あるいは直接的な光エネルギーの増大による材料の耐熱劣化・耐光劣化が課題となっている。
・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献5における樹脂組成物は、硬化剤として含まれるヘキサヒドロ無水フタル酸の融点が34?38℃であるため、タブレット成型性やバリ発生などに課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光反射特性、タブレット成型性に優れ、バリを低減することが可能な熱硬化性光反射用樹脂組成物、これを用いた光半導体素子搭載用基板とその製造方法および光半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は下記(1)?(9)に記載の事項をその特徴とするものである。
【0008】
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、および(D)白色顔料を含む樹脂組成物において、硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が90%以上であり、硬化前には室温(0?35℃)において加圧成型が可能であることを特徴とする熱硬化性光反射用樹脂組成物。」

「【0033】
本発明の光半導体素子搭載用基板は、光半導体素子搭載領域となる凹部が1つ以上形成されており、少なくとも前記凹部の内周側面が本発明の熱硬化性光反射用樹脂組成物からなることを特徴とするものである。図1は、本発明の光半導体素子搭載用基板の一実施形態を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は側面断面図である。図1に示す本発明の光半導体素子搭載用基板110では、光半導体素子搭載領域(凹部)200の側壁が本発明の熱硬化性光反射用樹脂組成物からなり、当該凹部底面を形成するように上記樹脂組成物を挟んで対向配置された一対の正負の金属配線105の露出表面がNi/Agめっき104により覆われている。
【0034】
本発明の光半導体素子搭載用基板の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の熱硬化性光反射用樹脂組成物をトランスファー成型により成型し、製造することが好ましい。図2は、本発明の光半導体素子搭載用基板の製造方法を説明する概略図であり、(a)?(c)はトランスファーモールド成型により基板を製造する場合の各工程に対応する。より具体的には、光半導体素子搭載用基板は、例えば、図2(a)に示すように、金属箔から打ち抜きやエッチング等の公知の方法により金属配線105を形成し、ついで、該金属配線105を所定形状の金型301に配置し(図2(b))、金型301の樹脂注入口300から本発明の熱硬化性光反射用樹脂組成物を注入し、これを好ましくは金型温度170?190℃、成型圧力2?8MPaで60?120秒、アフターキュア温度120℃?180℃で1?3時間の条件にて熱硬化させた後、金型301を外し、硬化した熱硬化性光反射用樹脂組成物からなるリフレクター103に周囲を囲まれてなる光半導体素子搭載領域(凹部)200の所定位置に、電気めっきによりNi/銀めっき104を施すことで製造することができる(図2(c))。
【0035】
また、本発明の光半導体素子搭載用基板を用いた光半導体装置は、例えば、本発明の光半導体素子搭載用基板と、光半導体素子搭載用基板の凹部底面に搭載される光半導体素子と、光半導体素子を覆うように凹部内に形成される蛍光体含有透明封止樹脂層と、を少なくとも備える。図3(a)および図3(b)は、それぞれ本発明の光半導体装置の一実施形態を示す側面断面図である。より具体的には、図3に示した光半導体装置は、本発明の光半導体素子搭載用基板110の光半導体素子搭載領域(凹部)200の底部所定位置に光半導体素子100が搭載され、該光半導体素子100と金属配線105とがボンディングワイヤ102やはんだバンプ107などの公知の方法により電気的に接続され、該光半導体素子100が公知の蛍光体106を含む透明封止樹脂101により覆われている。」

図1から図3は以下のものである。

甲23の図1から図3の記載から、「光半導体素子搭載用基板110は、上面視で矩形であり、間に熱硬化性光反射用樹脂組成物層103が形成された対向する2つの金属配線105と、凹部が形成されたリフレクター103(熱硬化性光反射用樹脂組成物層)とからなり、光半導体素子搭載用基板110の4つのそれぞれの外側面は上下の金型301の形成面により金属配線105とリフレクター103が略同一面に形成され、、前記2つの金属配線105の底面が露出して」いることが見て取れるから、甲23(特に、段落【0008】、【0033】?【0035】、図1から図3の記載参照。)には、以下の発明(甲23A発明)が記載されていると認められる。

「金属箔から打ち抜きやエッチング等の公知の方法により金属配線105を形成し、
ついで、該金属配線105を所定形状の金型301に配置し、
金型301の樹脂注入口300から、熱硬化性光反射用樹脂組成物を注入し、
熱硬化させた後、金型301を外し、
硬化した熱硬化性光反射用樹脂組成物からなるリフレクター103に周囲を囲まれてなる光半導体素子搭載領域(凹部)200の所定位置であって、凹部底面を形成する一対の金属配線105の露出表面に、電気めっきによりNi/銀めっき104を施すことによって、
光半導体素子搭載用基板110をトランスファー成型により製造し、
前記熱硬化性光反射用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、および(D)白色顔料を含む樹脂組成物において、硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が90%以上であり、
光半導体素子搭載用基板110は、上面視で矩形であり、間に熱硬化性光反射用樹脂組成物103が形成された対向する2つの金属配線105と、凹部が形成されたリフレクター103(熱硬化性光反射用樹脂組成物)とからなり、光半導体素子搭載用基板110の4つのそれぞれの外側面は、上下の金型301の形成面により金属配線105とリフレクター103が略同一面に形成され、前記2つの金属配線105の底面が露出しており、
前記光半導体素子搭載用基板110の光半導体素子搭載領域(凹部)200の底部所定位置に光半導体素子100を搭載し、
該光半導体素子100と金属配線105と電気的に接続し、
該光半導体素子100を蛍光体106を含む透明封止樹脂101により覆う、
光半導体装置の製造方法。」

また、甲23(特に、段落【0008】、【0014】、【0033】?【0035】、図1から図3の記載参照。)には、以下の発明(甲23B発明)が記載されていると認められる。

「熱硬化性光反射用樹脂組成物からなる光半導体素子搭載用基板110と光半導体素子100と透明封止樹脂101とを備える光半導体装置であって、
光半導体素子搭載用基板110は、トランスファー成型により成型されたものであり、
硬化した熱硬化性光反射用樹脂組成物からなるリフレクター103に周囲を囲まれてなる光半導体素子搭載領域(凹部)200の所定位置であって、凹部底面を形成する一対の金属配線105の露出表面に、電気めっきによりNi/銀めっき104が施されており、
熱硬化性光反射用樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、および(D)白色顔料を含む樹脂組成物において、硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が90%以上であり、
光半導体素子搭載用基板110は、上面視で矩形であり、間に熱硬化性光反射用樹脂組成物103が形成された対向する2つの金属配線105と、凹部が形成されたリフレクター103(熱硬化性光反射用樹脂組成物)とからなり、光半導体素子搭載用基板110の4つのそれぞれの外側面は、上下の金型301の形成面により金属配線105とリフレクター103が略同一面に形成され、前記2つの金属配線105の底面が露出しており、
前記光半導体素子搭載用基板110の光半導体素子搭載領域(凹部)200の底部所定位置に光半導体素子100が搭載され、
該光半導体素子100と金属配線105とが電気的に接続され、
該光半導体素子100が蛍光体106を含む透明封止樹脂101により覆われている、
光半導体装置。」

(4)他の甲各号証
他の甲各号証については、後記の6(1)イ(ア)b?zを参照。

3 無効理由1についての当審の判断
本件訂正により、訂正後の請求項1および11において、リードフレームに設けられる切り欠き部の位置を、樹脂パッケージの四つの外側面となる位置とし、訂正後の請求項7および13において、リードが有する切り欠き部の位置を、四つの外側面とし、訂正後の請求項15において、リードフレームが有する切り欠き部の位置を、縦横両方とする構成が明確になった。
この訂正により、請求人が例として挙げている、二つの外側面となる位置または二つの外側面においてのみ、リードフレームまたはリードに切り欠き部が設けられた構成は、本件訂正発明に含まれなくなった。また、請求人が主張するような、発光装置の全包囲周の3/4にわたって切り欠き部が設けられた態様は、切り欠き部を、四つの外側面それぞれに設けることによって実現できるものとなっている。
さらに、リードフレームにおいて樹脂パッケージの外側面となる位置、またはリードの外側面において、互いに分離した切り欠き部を、四つの外側面となる位置または四つの外側面それぞれに設けた態様は、本件図面の図3(リードフレーム)および図1(発光装置)に記載されており、これらの図面を説明する本件明細書の段落【0035】には、「樹脂パッケージ20の外側面20bの全包囲の長さにおいて、リード22が露出している部分は1/2より短い長さである。後述する発光装置の製造方法において、リードフレーム21に切り欠き部21aを設け、その切り欠き部21aに沿って切断するため、リードフレーム21の切断部分が樹脂パッケージ20から露出される部分である。」と記載されている。この記載ならびに図1および図3は、本件訂正発明1の「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」た態様(ならびに、本件訂正発明7、11、13および15における対応する態様)を開示しているといえる。
したがって、本件訂正発明1、4?11、13?15はいずれも、本件明細書に開示されたものであって、サポート要件を充足する。また、上記訂正が新規事項の追加に相当するということもない。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、4?11、13?15はいずれも、本件明細書において開示されていない態様を包含するものではなく、また、その特許請求の範囲の記載に不明確なところもなく、当業者はその実施をすることができるものであり、いわゆるサポート要件、明確性要件および実施可能要件を充足している。また、本件訂正発明1、4?11、13?15はいずれも、願書に添付された明細書等に開示されたものであるから、訂正が新規事項追加に該当するということもない。
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由1によっては、本件訂正発明1、4?11、13?15についての特許を無効にすることができない。

4 無効理由2についての当審の判断
本件訂正により、本件訂正発明1および11において、リードフレームに設けられる切り欠き部の位置を、樹脂パッケージの四つの外側面となる位置としたことにより、切り欠き部が、製造される発光装置乃至樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって設けられているか否かは、四つの外側面それぞれに形成された切り欠き部を合わせて考慮すべきことが明確となった。したがって、請求人が主張するような、対向する二つの外側面となる位置において、長さL(L=L0、L0は一外側面の長さ)の切り欠き部が設けられている場合においてのみ、当該要件は理解可能であるという主張はあたらないものとなった。
また、訂正後の請求項1および11において、切り欠き部は、外側面となる位置において互いに分離した、第1乃至第4切り欠き部を有するものとされている。この構成は本件図面の図3に開示されており、この構成によれば四つの外側面となる位置にはリードフレームが切り欠かれていない部分(リードフレームがつながっている部分)が存在することとなり、いずれの外側面においても、その全長が切り欠き部となることはない。
そして、この構成を備えたリードフレームを用いれば、「前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより」、外側面となる位置で切り欠かれていないリードフレームの部分が発光装置の外側面を構成して、「前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され」るといえる。
したがって、本件訂正発明1および11が、本件明細書に開示されていない態様を含むことはなく、本件訂正発明1および11は、本件明細書等に開示されたものであって、サポート要件を充足する。また、上記訂正が新規事項の追加に相当するということもない。
以上のとおりであるから、本件訂正発明1、4?6、11いずれも、本件明細書において開示されていない態様を包含するものではなく、また、その特許請求の範囲の記載に不明確なところもなく、当業者はその実施をすることができるものであり、いわゆるサポート要件、明確性要件および実施可能要件を充足している。また、本件訂正発明1、4?6、11はいずれも、願書に添付された明細書等に開示されたものであるから、訂正が新規事項追加に該当するということもない。
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由2によっては、本件訂正発明1、4?6、11についての特許を無効にすることができない。

5 無効理由3についての当審の判断
(1)本件明細書には、以下の記載がある。
「【0006】
これらの問題点を解決するため、樹脂成形体の材料に熱硬化性樹脂を用いる発光装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。図17は、従来の発光装置を示す斜視図及び断面図である。図18は、従来の発光装置の製造方法を示す概略断面図である。この発光装置は、金属箔から打ち抜きやエッチング等の公知の方法により金属配線を形成し、ついで、金属配線を所定形状の金型に配置し、金型の樹脂注入口から熱硬化性樹脂を注入し、トランスファ・モールドすることが開示されている。
【0007】
しかし、この製造方法は、短時間に多数個の発光装置を製造することが困難である。また、発光装置1個に対して廃棄されるランナー部分の樹脂が大量になるという問題がある。
【0008】
異なる発光装置及びその製造方法として、配線基板状に光反射用熱硬化性樹脂組成物層を有する光半導体素子搭載用パッケージ基板及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。図19は、従来の発光装置の製造工程を示す概略図である。この光半導体素子搭載用パッケージ基板は、平板状のプリント配線板を金型に取り付け、光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、トランスファー成型機により加熱加圧成型し、複数の凹部を有する、マトリックス状の光半導体素子搭載用パッケージ基板を作製している。また、プリント配線板の代わりにリードフレームを用いることも記載されている。
【0009】
しかし、これらの配線板及びリードフレームは平板状であり、平板状の上に熱硬化性樹脂組成物が配置されており、密着面積が小さいため、ダイシングする際にリードフレーム等と熱硬化性樹脂組成物とが剥離し易いという問題がある。
【0010】
【特許文献1】特開2007-35794号公報(特に〔0033〕)
【特許文献2】特開平11-087780号公報
【特許文献3】特開2006-140207号公報(特に、〔0028〕)
【特許文献4】特開2007-235085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した問題に鑑みて、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供することを目的とする。」

(2)判断
【0006】には、従来の発光装置の製造方法として、金属箔から打ち抜きやエッチング等の公知の方法により金属配線を形成し、ついで、金属配線を所定形状の金型に配置し、金型の樹脂注入口から熱硬化性樹脂を注入し、トランスファ・モールドすることが記載され(以下「個別封止方式」という。)、【0007】には、個別封止方式では、短時間に多数個の発光装置を製造することが困難であり、また、発光装置1個に対して廃棄されるランナー部分の樹脂が大量になるという問題があることが記載されている。
また、【0008】には、従来の発光装置の異なる製造方法(例えば、特許文献4:特開2007-235085号公報(甲1)参照)として、平板状のプリント配線板を金型に取り付け、光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、トランスファー成型機により加熱加圧成型し、複数の凹部を有する、マトリックス状の光半導体素子搭載用パッケージ基板を作製することが記載され(以下「多数個同時生産方式」という。)、【0009】には、多数個同時生産方式では、ダイシングする際にリードフレーム等と熱硬化性樹脂組成物とが剥離し易いという問題があることが記載されている。
そして、【0011】には、「本発明は上述した問題に鑑みて、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供することを目的とする」ことが記載されている。
してみると、「廃棄されるランナーを低減することができ」る(【0030】等。)との効果とは、多数個同時生産方式の本発明は、個別封止方式で生じる「廃棄されるランナー」と比較して、「低減することができ」るというものである。

本件明細書には、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する際に、ダイシングソーを用いることが記載されている(【0078】【0085】【0087】等参照。)が、切断をダイシングソーによるものに限定する記載はない。また、本件明細書中で「多数個同時生産方式」の例として引用している特許文献4:特開2007-235085号公報(甲1)の【0038】には、「上記樹脂封止工程後に、マトリックス状である上記光半導体装置を、ダイシング、レーザ加工、ウォータージェット加工、金型加工等の公知の方法により分割することができる。」と記載され、マトリックス状である光半導体装置を分割する公知の方法として、ダイシングと共にスタンピング金型に相当する金型加工が挙げられている。
このことから、本件明細書に記載された「切断」には、「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供する」限りにおいて、ダイシングソーを用いるものに限定されず、「多数個同時生産方式」の切断に用いられる公知の方法も用いられるものといえる。
そして、多数個同時生産方式では、個別封止方式のような、隣り合う発光装置と発光装置との間で樹脂部の外側面を形成する金型部分が必要なくなり、隣り合う発光装置と発光装置との間に広い間隔を設ける必要はないことから、多数個同時生産方式の際に生じる廃棄される部材の1個あたり量は、個別封止方式の際に生じる「廃棄されるランナー」と比較して低減されるものといえる。
以上のことから、請求項1及び11に記載の「分離する工程」でいう「切断」には、「多数個同時生産方式」の切断に用いられる公知の方法も用いられるものであり、そのことにより、本件訂正発明1及び11は、個別封止方式よりも廃棄されるランナーを低減するという本件訂正発明の効果を奏する、言い換えると、「短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供」するという課題を解決するものであるといえる。
よって、本件訂正発明1、4?6、11が、「切断」の態様としダイシングに限定されず、スタンピング金型を用いるものも包含するからといって、課題を解決し得ない発明であるとはいえず、また、特許請求の範囲の記載が不明確であるとはいえない。

したがって、本件訂正発明1、4?6、11は、いずれも、本件明細書において開示されていない態様を包含するものではなく、また、その特許請求の範囲の記載に不明確なところもなく、いわゆるサポート要件および明確性要件を充足している。したがって、本件訂正発明1、4?6、11はいずれも、特許法123条1項4号の規定により無効とされるものではない。

(3)請求人の主張について
請求人は、請求項1および11に記載の分離工程でいう「切断」は廃棄されるランナーを低減するという本件発明の効果を奏しない態様を包含すると主張し、そのような態様の例として、スタンピング金型を用いた金型加工で切断する場合を挙げている。(上記「第5」「4」参照。)
しかしながら、スタンピング金型を用いた金型加工による切断は、ダイシングによる切断と比較すれば廃棄されるランナーを低減するとはいえないものの、上記(2)で検討したとおり、本件明細書に記載されている廃棄されるランナーを低減しているか否かの判断は、個別封止方式で生じる廃棄されるランナーの量との比較においてなされるものである。そして、本件訂正発明1、4?6、11において、スタンピング金型を用いた金型加工による切断は、個別封止方式の際に生じる廃棄されるランナーの量と比較して低減する切断であるといえる。
よって、上記請求人の主張は、採用することができない。

なお、請求人が、弁駁書においてしている、請求項1および11に記載の「一体に樹脂形成体を形成」に基づく主張は、本件訂正発明1および11が、樹脂パッケージの少なくとも1つの外側面が切断により形成されたものでない態様を包含するとの誤解に基づく主張であり、採用することはできない。

6 無効理由4についての当審の判断
(1)本件訂正発明1(発光装置の製造方法)
ア (対比1:甲1)本件訂正発明1と甲1A発明とを対比する。
(ア)本件訂正発明1の
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法」について

a 甲1A発明では、「前記配線基板が、リードフレーム」であるから、甲1A発明の「配線基板」及び「『光半導体装置単体に分割』した後の『リード』」は、それぞれ、本件訂正発明1の「リードフレーム」及び「リード」に相当する。

b 甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「熱硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が80%以上」であり、「配線基板」上に「トランスファー成型により形成」するものであるから、甲1A発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光反射用熱硬化性樹脂組成物層』」は、本件訂正発明1の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、・・・前記リードと一体に形成された樹脂部」に相当する。

c 甲1A発明の「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」は、本件訂正発明1の「樹脂パッケージ」に相当し、甲1A発明の「光半導体装置単体は、上面視で矩形であり、2つのリードと、凹部が形成されたリフレクター(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)とからなる4つの外側面は略同一面に形成され、前記2つのリードの底面が露出している」ことは、甲1A発明の「第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である」ことに相当する。

d 甲1A発明の「光半導体装置」は、本件訂正発明1の「発光装置」に相当する。

e してみれば、甲1発明Aは、
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法」である点で本件訂正発明1と一致する。

(イ)本件訂正発明1の
「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームであって、前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」について

a 甲1A発明の「配線基板」は、本件訂正発明1の「リードフレーム」に相当し、甲1A発明では、「前記リードフレームは、基板表面には光半導体素子からの光を効率よく反射できるように銀めっきが施されて」いることから、甲1A発明の「配線基板」と、本件訂正発明1の「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とは、共に「表面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」である点で共通する。

b 甲1A発明の「所定形状の金型」は、上金型と下金型からなるといえる。
また、甲1A発明は、「配線基板上に有する」「光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成」するから、「配線基板」を、上金型と下金型からなる「所定形状の金型」に挟み込む工程を有しているといえる。

c 甲1A発明の「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂・・・(E)白色顔料・・・を必須成分として含」むから、本件訂正発明1の「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」に相当する。

d 甲1A発明の「金型の樹脂注入口から光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入」することは、本件訂正発明1の「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして・・・前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された・・・空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」ることに相当する。

e 甲1A発明の「注入した光反射用熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させ」ることは、本件訂正発明1の「前記熱硬化性樹脂を硬化させ」ることに相当する。

f 甲1A発明の「光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、「光半導体素子搭載領域」に「配線基板」の上面の一部が露出していることは明らかであるから、本件訂正発明1の「前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されるように、前記リードフレームと一体に・・・形成」された「樹脂成形体」に相当する。
また、甲1A発明の「光半導体装置単体は、」「2つの2つの金属配線の底面が露出してい」るから、「金属配線」の分割前の形態である「配線基板」(リードフレーム)の底面も露出していることは明らかである。してみると、甲1A発明のトランスファー成型後の「配線基板」(リードフレーム)は、本件訂正発明1の「前記リードフレームの底面が外底面に露出するように」「形成」されたものに相当する。

g してみれば、甲1A発明は、
「表面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されかつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」を備える点で本件訂正発明1と共通する。

(ウ)本件訂正発明1の
「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程」について

a 甲1A発明の「前記光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に、光半導体素子を搭載する工程」と、本件訂正発明1の「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程」とを対比すると、どちらも「前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子を載置する工程」を備える点で共通する。

(エ)本件訂正発明1の
「前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填する工程」について

a 甲1A発明の「エポキシ樹脂を主成分とする透明封止樹脂」と、本件訂正発明1の「封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂」とを対比すると、両者は「封止部材としての樹脂」である点で共通する。

b してみれば、甲1A発明の「前記光半導体素子をエポキシ樹脂を主成分とする透明封止樹脂により覆う工程」と本件訂正発明1の「前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填する工程」とを対比すると、どちらも「前記凹部に封止部材としての樹脂を充填する工程」を備える点で共通する。

(オ)本件訂正発明1の
「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の発光装置に分離する工程」について

a 甲1A発明の「光半導体素子」は、「光半導体素子搭載用パッケージ基板に形成された2つ以上の凹部の各底面に・・・搭載する」ものであるから、「前記光半導体素子を1つ有する光半導体装置単体」は、隣り合う「凹部」の間で「分割」したものであるといえる。
また、「光半導体素子搭載用パッケージ基板」は、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する」ものであるから、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」及び「配線基板」は分割され、「光反射用熱硬化性樹脂組成物層」を形成する「光反射用熱硬化性樹脂組成物」は、「『光半導体装置単体に分割』した後の『光半導体素子搭載用パッケージ基板』」の外側面に露出するといえる。

b 甲1A発明の「分割する工程」は、「ダイシングにより行われる」工程であるから、切断によって「分離する工程」であるといえる。

c 甲1A発明の「分割する工程」の後の「光半導体装置単体は、・・・2つの金属配線と、凹部が形成されたリフレクターとからなる4つの外側面は略同一面に形成され」ていることは、本件訂正発明1の「切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」ことに相当する。

d してみれば、甲1A発明は、
「隣り合う前記凹部の間で、前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の発光装置に分離する工程」を備える点で本件訂正発明1と共通する。

(カ)以上より、本件訂正発明1と甲1A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
a(一致点1:甲1)
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
表面に銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成されかつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子を載置する工程と、
前記凹部に封止部材としての樹脂を充填する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。」

b(相違点1:甲1-1 「切り欠き部」、「樹脂が露出するように切断」関連)
本件訂正発明1では、
「リードフレーム」は、「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」、
「前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有」し、
「前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させ」、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断する」のに対し、
甲1A発明では、「配線基板」(リードフレーム)は、四つの外側面それぞれに沿って形成され、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられる「切り欠き部」を有しておらず、分割(ダイシング)の際に、「前記切り欠き部に沿って」、「前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、」「露出するように」「切断」されるものでない点。

c(相違点1:甲1-2 「メッキ箇所」)
リードフレームに銀メッキ処理が施される箇所が、本件訂正発明1は、リードフレームの「全面」であるのに対し、甲1A発明は、光半導体素子からの光を反射できる表面である点。

d(相違点1:甲1-3 「半導体発光素子」)
半導体発光素子について、本件訂正発明1では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、甲1A発明で用いる光半導体素子は、そのような構成が特定されていない点。

e(相違点1:甲1-4 「封止部材の樹脂材料」)
凹部に封止部材として充填する樹脂が、本件訂正発明1では、「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂」であるのに対し、甲1A発明では、エポキシ樹脂を主成分とする透明封止樹脂である点。

イ 判断
(ア)(相違点1:甲1-1 「切り欠き部」、「樹脂が露出するように切断」関連)について

a 本件訂正発明における「切り欠き部」の意義について
本件特許明細書には、「切り欠き部」の意義について、以下の記載がある。
「【0016】
リードフレームは、切断部分における切り欠き部が全包囲周の約1/2以上であることが好ましい。これによりリードフレームを軽量化でき、安価な発光装置を提供することができる。また、リードフレームにおける切断される部分が少なくなり、リードフレームと熱硬化性樹脂との剥離をより抑制することができる。」
「【0078】
次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。
複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。このように切り欠き部21aを設けることにより、切断されるリードフレーム21は少なくなりリードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する。」
以上の記載から、本件訂正発明における「切り欠き部」意義は、
a 切断の際に、切断されるリードフレーム21を少なくし、リードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制するとの意義
b リードフレームと熱硬化性樹脂との密着面積が大きくなり(切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため)、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性(接合強度)を向上する意義
c リードフレームの軽量化の意義
との意義を総合したものであるといえる。

b 甲1
甲1A発明が記載されている甲1には、技術背景及び課題について以下の記載がある。
「【0006】
しかしながら、上記した従来のSMD型LEDの製造方法では、貫通穴を有する樹脂層板を作製する工程、穴を有する接着シートを作製する工程、樹脂層板と接着シートとLED素子を搭載した配線基板を位置合わせして一体化する工程といった複数の工程やこれに伴う複数の部材が必要となる。
【0007】
また、LED用パッケージ基板における樹脂層板を、耐熱性の高い熱可塑性樹脂を用い、射出成型により製造することが、例えば、特許文献2?4に開示されているが、400mm2のマトリックス状の大型の樹脂層板を一括成型した場合、線膨張率の違いによる応力で反りが発生し易く、その後の実装工程を進めることが困難となる場合がある等の課題があった。また、一般に使用されているリフレクター材料は、酸化チタンを顔料として用いているため、発光波長が短波長領域になると急激にその反射率が低下してしまう。また、紫外線による劣化が原因で可視領域の光に対しても反射率の低下が起こることが課題となっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記を鑑みて、本発明は、リードタイムの短縮、使用する部材や工程の低減による生産
性の向上、低コスト化が可能な光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、硬化後の、可視光から近紫外光の反射率が高い光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いた光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。」

しかしながら、甲1には、本件訂正発明1における「切り欠き部」の記載や示唆はない。
また、光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法における、光半導体装置単体に分割する工程において、リードフレームとリフレクター(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)とに剥離が生じるという課題があることは示されていない。

c 甲2及び甲26
甲2には、「チップ部品型発光素子とその製造方法」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0033】(第4の工程)第4の工程では、図5に示すように、分離スリット24aに絶縁性樹脂が充填されてなる絶縁分離部24が絶縁基板15の貫通孔内に位置するように絶縁基板15と薄型平板13とを接着フィルム19を介して張り合わす。この時、薄板平板13の接着側上面をケミカルエッチング法あるいはブラスト法により粗面化しておくことが好ましく、これにより絶縁基板15との密着力を向上させることができる。また、薄型平板13と絶縁基板15とが張り合わされてなるパッケージ1は、絶縁基板15により十分な機械的強度を有する。」
「【0038】(第9の工程)第9の工程では、ダイヤモンドカッター等によりチップ部品型発光素子の個片に分割する。以上のような工程により、図1に示す構造の実施の形態1のチップ部品型発光素子が製造される。尚、本第9の工程を経ないで、複数のチップ部品型発光素子を集合状態のままとし、複数の素子が所定の規則で配列したディスプレイとして利用することもできる。以上のような第1?第9の工程を含む製造方法により、本発明に係る実施の形態1のチップ部品型発光素子を製造することができる。」
「【0045】変形例.以上の実施の形態1及び2では、バンプ17a,17b,18a,18bを用いて実装基板に実装するようにしたが、本発明はこれに限らず、バンプを用いることなく、第1の金属薄板と第2の金属薄板をそれぞれ直接実装基板の電極に接続するようにしてもよい。すなわち、図12に示すように、樹脂53aと、樹脂53aによって互いに絶縁分離されかつそれぞれバンプを有していない第1の金属薄板53b及び第2の金属薄板53cとからなる薄型平板を用いて構成してもよい。ここで、図12に示した例では、第1の金属薄板53b及び第2の金属薄板53cにおいて、チップの接合面の両端に位置する部分に切り欠き部を形成している。このように切り欠きを形成することにより実装基板と接合したときに接合面積を大きくできるので、接着強度を向上させることができる。また、この切り欠きの部分に例えば、はんだ付けを容易にする金属メッキを施し、この切り欠きの部分で接続するようにすることもできる。しかしながら、本発明においてこの切り欠きは必須の構成要素でない。」


図12から、個片に分割された発光素子において、第1の金属薄板53b及び第2の金属薄板53cとからなる薄型平板を絶縁分離している樹脂部の一部(53a)が、第1および第2の金属薄板(53b、53c)から、対向する2つの面において露出していることが見て取れる。
また、図12に記載された変形例は、実施の形態1及び2とは、バンプを有せず、チップの接合面の両端に位置する部分に切り欠き部を形成している点で相違するが、絶縁基板15と薄型平板53(13)とを接着フィルム19を介して張り合わせてなるパッケージ1を構成している点では共通している。

以上のことから、甲2には、変形例に関し、
「樹脂53aと、樹脂53aによって互いに絶縁分離され第1の金属薄板53b及び第2の金属薄板53cとからなる薄型平板53を用い、
絶縁基板15と薄型平板53とを接着フィルム19を介して張り合わせ、パッケージ1を構成し、
個片に分割された発光素子において、第1の金属薄板53b及び第2の金属薄板53cとからなる薄型平板を絶縁分離している樹脂部の一部(53a)が、第1および第2の金属薄板(53b、53c)から、対向する2つの面において露出している」との技術事項が記載されている。

ここで、絶縁基板15と薄型平板53とを接着フィルム19を介して張り合わせていることから、樹脂部の一部(53a)が、第1および第2の金属薄板(53b、53c)から、対向する2つの面において露出しているものの、その樹脂部の一部は、絶縁基板15とは別途形成されているものである。
よって、樹脂部の一部(53a)が、第1および第2の金属薄板(53b、53c)に設けられた切り欠き部に充填された樹脂であるとしても、絶縁基板15の形成とともに充填され形成されたものではない。
したがって、第1および第2の金属薄板(53b、53c)に設けられた切り欠き部は、本件訂正発明1における、「リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」の際に、熱硬化性樹脂が充填される切り欠き部であるとはいえず、甲1A発明に甲2に記載された切り欠き部の技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

また、甲26には、「反射板110は、適切な接着剤160によりベース100と接着する。反射板110が金属材質で構成される場合、この接着剤160は、反射板110とベース100の電極104の間の電気的な絶縁の機能を果たす。」(乙2の5頁8?10行、乙2は被請求人が提出する甲26の書誌的事項を除く日本語訳参照。)と記載されている。
よって、甲26には、「反射板が接着剤によってリードフレームに貼り合わせられる」との技術事項が記載されている。
この技術事項は、上記甲2の技術事項と同様であるから、甲1A発明に甲26に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

d 甲3
甲3の【0140】及び図10の記載から、第1の樹脂成形体40の外側面は、金型によって形成されたものであり、切断によって形成されたものではないことが分かる。
また、【0143】の「最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを形成する。これにより実施例1に係る表面実装型発光装置を製造することができる。」との記載から、リードフレームの切断工程は、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを切り出すことである。
そして、【0110】の「この表面実装型発光装置は、第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げている。これにより第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止することができる。」との記載から、第1のリード21及び第2のリード31に設けられた凹凸は、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げることでリードが抜脱するのを防止するためのものである。
以上のように甲3には、リードフレーム(リード)に凹凸を設ける技術事項が記載されているが、この技術事項は、樹脂成形体からリードが抜脱するのを防止するための技術事項である。また、第1の樹脂成形体40の外側面は金型によって形成され、リードフレームの切断工程では、第1の樹脂成形体40は切断される対象ではないから、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離という課題を生じるものではない。
ところで、本件特許明細書の【0016】の記載によれば、「切り欠き部」が切断部分にあり、全包囲周の約1/2以上であることにより、リードフレームと熱硬化性樹脂との剥離をより抑制することができるものであるところ、仮に、甲1A発明に甲3に記載された技術事項を適用し、リードフレームに凹凸を設けるとしても、樹脂成形体からリードが抜脱するのを防止する効果が奏されるように、樹脂成形体との接触面積を拡げる凹凸が設けられるにとどまり、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果が奏されるように、切断部分にあり、全包囲周の約1/2以上であるという凹部(切り欠き部)が直ちに設けられるとまではいえない。よって、四つの外側面それぞれに沿って形成され、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられる「切り欠き部」を含む(相違点1:甲1-1)係る構成が得られるとまではいえない。

そして、本件訂正発明1は(相違点1:甲1-1)に係る構成を採用することで、甲3及び他の甲各号証から予測し得ない、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果を奏するものであるから、(相違点1:甲1-1)に係る構成を当業者が容易に想到し得るとまではいえない。

e 甲4
甲4には、以下の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】近年、絶縁性基板あるいはリードフレームを使用した樹脂封止型のLGA(ランド・グリッド・アレイ型半導体装置)あるいはBGA(ボール・グリッド・アレイ型半導体装置)などの、基板の側面にリードが突出しないタイプの半導体装置が市場に投入され話題となっている。
【0003】通常この種の半導体装置は、絶縁性あるいは導電性の半導体素子搭載用基板の一面に半導体素子を搭載し、この半導体素子の電極と前記半導体素子搭載用基板、例えばリードフレームのリードとを電気的にワイヤー等で接続した後、前記リードを露出させた状態で樹脂封止を行うことによって製造される。
【0004】ところで前述した樹脂封止は、通常は各半導体装置単位ごとに行われるが、最近では、図2に示すように、半導体素子搭載用基板1に搭載される複数の半導体装置を樹脂封止領域3に示すように一括して樹脂封止し、その後ダイシングすることにより各半導体装置単位4に分離することが行われている。この方法によれば、工程が簡略化できるとともに、外径サイズが同じであれば、ひとつの樹脂封止金型で多品種に対応できるといった利点がある。」

以上のとおり、甲4には、「半導体素子搭載用基板1に搭載される複数の半導体装置を樹脂封止領域3に示すように一括して樹脂封止し、その後ダイシングすることにより各半導体装置単位4に分離する」との技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲4に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

f 甲5
甲5には以下の図が記載されている。


甲5には、「【0022】スリット12aは、完成LED10のスリット2cになる部分であり、スリット12bは、完成LED10の外周にあたる部分である。その後、全面を金メッキ又は銀メッキ処理をする。次に、スリット12a内に絶縁部材3である樹脂接着剤を充填・硬化させる。」と記載されている。
また、甲5の図1には、完成LED10のスリット2c内には絶縁部材3が形成されていることが記載されているが、メタル基板2の外周にあたる部分に絶縁部材3が形成さているようには記載されていない。よって、甲5には、完成LED10においてメタル基板2の外周に絶縁部材3を設ける技術思想は開示されていない。
これらの記載から、スリット12a内に絶縁部材3である樹脂接着剤を充填・硬化させ、完成LED10のスリット2c内に絶縁部材3を形成しているといえる。一方、スリット12b内に絶縁部材3である樹脂接着剤を充填・硬化させ、その後、メタル基板2の外周にあたる部分の絶縁部材3を除去しているとはいえない。なぜなら、甲5の明細書には、スリット12b内に樹脂接着剤を充填することや、スリット12b内で硬化させた絶縁部材3を除去することや、そのようにする目的や意義について何ら記載されていない。また、除去することを前提に樹脂接着剤をわざわざ充填することが自明の技術事項であるとはいえない。
また、メタル基板のスリット12bの部分を「完成LEDの外周」とする際に、その過程において、単にスリットのある状態としておくのか(前者)、又は、スリット12b内に熱硬化性樹脂を充填し、硬化させたものをメタル基板の面が露出するまで除去するのか(後者)を検討しても、前者を選択するのが当業者にとって自然であるといえる。
してみると、甲5のスリット12b内にメッキ処理がされているか否か検討するまでもなく、甲5におけるメタル基板のスリット12bは、熱硬化性樹脂が充填される対象であるとはいえないから、甲1A発明に甲5に記載されたスリット12bの構成を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

g 甲6
甲6には、以下の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】従来、この種の基板をパッケージ材料として用いて形成される半導体装置の例としては、例えばイビデン(株)のPACKTHOL(登録商標:パクソールと呼ぶ)においては、図3(a)に断面図が示されるように、メタルコア基板のメタル層をリードフレームとして用いており、基板1の表面に設けられているニッケル金メッキ(図示されない)された配線層11と、リードフレーム3との接続は、多層配線基板の層間接続に用いられるスルーホール8が用いられている。リードフレームの半導体素子搭載部(以下、アイランドと云う)9もメタルコア基板のメタル層により形成されており、図3(a)に示される例においては、パッケージの熱抵抗低減とパッケージ本体厚の低減のために、座グリ加工により露出させたアイランド9の表面に、半導体素子4が導電性接着剤(一般には、銀ペーストが用いられる)5’によりダイボンディングされている。半導体素子4と配線層11との電気的接続は、金細線6のワイアボンディングにより行われている。このPACKTHOLは、基板1の両面に配線層を形成することができるので、基板1の両面に対する半導体素子および受動部品等の搭載が可能である。従って、一つのパッケージ本体内に複数の半導体素子を搭載するMCP(Multi ChipPackage)の実現に適しているものと考えられる。」

上記の記載から、甲6には、「メタルコア基板は、リードフレームとして用いられることがある」との技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲6に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

h 甲7?甲10
(a)甲7には、以下の記載がある。
「【0060】本実施例1の発光装置は、銅板などの導体板を所定形状に開口して前記第1リード2及び前記第2リード3を形成したリードフレームを用いて製造する。そのため、まず、前記リードフレームを形成する前記リードフレーム形成工程について説明する。
・・・(途中省略)・・・
【0064】また、前記リードフレームLFの表面には、図4(b)及び図4(c)に示したように、例えば、光沢のある銀めっき膜6を形成しておく。このとき、前記銀めっき膜6は、前記リードフレームLFの一面に形成されていてもよいし、両面あるいは表面全面に形成されていてもよい。」

上記の記載から、甲7には、「発光装置をリードフレームを用いて製造する際に、銀めっき膜6は、前記リードフレームLFの一面に形成されていてもよいし、両面あるいは表面全面に形成されていてもよい」との技術事項が記載されている。

(b)甲8には、以下の記載がある。
「【0008】
このような粗化処理の技術としては、たとえば、樹脂モールドパッケージタイプの半導体装置におけるリードフレームとモールド樹脂との密着性を高めるために、リードフレームのメッキ表面を粗化する技術が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。」
「【0015】
図13に示される半導体装置においては、リードフレーム10は、分離形成された素子搭載部11とリード部12とを有するものであり、このリードフレーム10のほぼ全表面に粗化処理が施されている。」

上記の記載から、甲8には、「樹脂モールドパッケージタイプの半導体装置におけるリードフレームとモールド樹脂との密着性を高めるために、リードフレームのほぼ全表面にメッキを施し、メッキ表面を粗化する」との技術事項が記載されている。

(c)甲9には、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、回路部材表面の積層構造や、回路部材の一つとしてのリードフレームの表面処理技術やその回路部材を用いた半導体装置に関し、さらに詳しくは、半導体パッケージのタイプに対応して、リードフレームと封止樹脂との密着強度を高める技術に関する。」

「【0032】
また、ダイパッド部3及びリード部8などを含むフレーム素材2の表面には、図6に示すように、めっき層10が形成されている。・・・(途中省略)・・・」
「【0061】
ここで、前記の貴金属めっき層10Bとしては、Agめっき層、もしくはフレーム素材2表面に順次Niめっき層、Pdめっき層が積層されてなるめっき層である。」

以上の記載から、甲9には、「リードフレームの表面処理技術としてAgめっき層を形成すること」の技術事項が記載されている。

(d)甲10には、以下の記載がある。
「【0013】
リードフレーム1の表面には、通常、機能めっき皮膜が形成されている。機能めっき皮膜としては、最表面には金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、錫またはその合金からなる機能めっき皮膜が好ましい。
・・・(途中省略)・・・
【0017】
(実施の形態2)
図2(a)?(c)は、本発明の実施の形態における半導体装置用リードフレームの製造方法の工程フローに沿った断面図である。図2(a)?(c)において、図1と同じ構成においては詳細な説明は省略する。
【0018】
図2(a)?(c)において、銅または銅合金若しくは鉄または鉄合金からなる金属板材8の表面に機能めっき皮膜9を形成する(図2(a))。
【0019】
このとき、機能めっき皮膜9は最表面に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、錫もしくはその合金を少なくとも1種類含む事が好ましい。これによれば、素子とのダイスボンディング性、素子-リードフレーム間のワイヤーボンディング性、およびリードフレームのはんだ付け性を向上させる機能を付加することが可能になる。」

以上の記載から、甲10には、「半導体装置用リードフレームの製造において、金属板材の表面に銀の機能めっき皮膜を形成する」との技術事項が記載されている。

(e)甲7?甲10に記載された技術事項
上記a?dのとおり、甲7?甲10には、銀めっき等をリードフレームの表面に形成する技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲7?甲10に記載された技術事項を適用しても、リードフレームの表面に銀めっき等を形成するだけであるから、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

i 甲11
甲11には、以下の記載がある。
「【0009】
本発明の目的は、放熱特性が良好な発光ダイオード装置及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、薄型化が図れる発光ダイオード装置及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、部品点数が少なく製造コストの低減が図れる発光ダイオード装置及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、放熱特性が良好で薄型化が可能な安価な白色発光ダイオード装置及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
(1)白色発光ダイオード装置は、
第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面並びに前記第1の面の周縁と前記第2の面の周縁を繋ぐ複数の側面を有する透明な絶縁性の樹脂からなり、前記樹脂には黄色蛍光体が分散されて内在される封止体と、
一端側が前記封止体の内側に位置し、他の一端側が前記側面から前記封止体の外側に突出し、第1の面が前記封止体内に位置し、前記第1の面の反対面となる第2の面が前記封止体の第2の面側に露出する平坦な板状体からなる導電性の第1の電極板と、
前記第1の電極板に対して直列配置となり、一端側が前記封止体の内側に位置するとともに少なくとも一部周面が前記第1の電極板の周面に対面し、他の一端側が前記側面から前記封止体の外側に突出し、第1の面が前記封止体内に位置し、前記第1の面の反対面となる第2の面が前記封止体の第2の面側に露出する平坦な板状体からなる導電性の第2の電極板と、
前記封止体内に位置し、第1の面に形成される第1の極性を有する電極を前記第1の電極板に接続手段を介して接続し、第1の面に形成される第2の極性を有する電極を前記第2の電極板に接続手段を介して接続し、かつ青色光を発光する発光ダイオードチップとを有し、前記封止体の表面から外部に白色光を放射することを特徴とする。
また、第1の電極板と第2の電極板は以下の特徴を有する。」

「【0037】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0038】
・・・発光ダイオードチップで発生する熱は、実装基板に対して広い面積で接触する第1及び第2の電極板の第2の面から実装基板に放散されることになり、放熱特性が向上し、発光ダイオードは安定動作する。また、放熱特性の向上により、発光ダイオード装置の寿命が長くなる。従って、熱特性が優れた高出力白色発光ダイオード装置を提供することができる。
【0039】
(b)第1及び第2の電極板の封止体で覆われる電極板部分においては、薄い電極板部分の下側に封止体を形成する樹脂が充填され、樹脂によって薄い電極板部分を抱えるように支持するため、封止体による電極板の保持状態が良好となり、電極板が封止体から剥離し難くなり、封止の信頼性が高くなる。
【0040】
(c)第1及び第2の電極板の封止体で覆われる電極板部分においては、第1及び第2の電極板の対面部分の開口には封止体を形成する樹脂が充填されていることから、封止体による電極板の保持状態が良好となり、電極板が封止体から剥離し難くなり、封止の信頼性が高くなる。
【0041】
(d)第1及び第2の電極板の封止体で覆われる電極板部分においては、電極板を貫通する貫通孔に封止体を形成する樹脂が充填されていることから、封止体による電極板の保持状態が良好となり、電極板が封止体から剥離し難くなり、封止の信頼性が高くなる。」

「【0072】
上記のように電極板3,4に、貫通孔3f,4e、中幅部分3b、細片部3c、引っ込んだ部分3d、張り出し部3e、中幅部分4b、括れ部分4c、小幅部分4dを形成し、かつ開口17及び細い溝3j,4jを形成している。これにより、第1の電極板3と第2の電極板4の周縁間の対面部分は複雑に噛み合う構造になる。そして、この噛み合う空間部分には封止体2を形成する樹脂が入り込むことから、電極板3,4と樹脂との接触面積の増大及び噛み合い構造の増大が図れ、封止体2と電極板3,4との接着力が向上する。この封止体2と電極板3,4との接着力は、電極板3,4の一部を薄くし、かつ薄くした空間部分に樹脂が入る構造にすることによってさらに増強される。」

甲11についての以上の記載を踏まえ、以下、甲11に記載された技術事項の甲1A発明への適用について検討する。
甲1A発明における光半導体装置単体は、上面視で矩形であり、2つのリードと、凹部が形成されたリフレクター(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)とからなる4つの外側面は略同一面に形成され、前記2つのリードの底面が露出しているのに対し、
甲11に記載された白色発光ダイオード装置は、「第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面並びに前記第1の面の周縁と前記第2の面の周縁を繋ぐ複数の側面を有する透明な絶縁性の樹脂からなり、前記樹脂には黄色蛍光体が分散されて内在される封止体と、一端側が前記封止体の内側に位置し、他の一端側が前記側面から前記封止体の外側に突出し、第1の面が前記封止体内に位置し、前記第1の面の反対面となる第2の面が前記封止体の第2の面側に露出する平坦な板状体からなる導電性の第1の電極板と、前記第1の電極板に対して直列配置となり、一端側が前記封止体の内側に位置するとともに少なくとも一部周面が前記第1の電極板の周面に対面し、他の一端側が前記側面から前記封止体の外側に突出し、第1の面が前記封止体内に位置し、前記第1の面の反対面となる第2の面が前記封止体の第2の面側に露出する平坦な板状体からなる導電性の第2の電極板と」を有するものである。
ここで、甲11に記載された白色発光ダイオード装置は、甲1A発明における「凹部が形成されたリフレクター(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)」を用いないものであり、甲11に記載された封止体は、甲1A発明における透明封止樹脂に対応するものである。
また、甲11に記載された第1、2の電極は、封止体から突出するものであるのに対し、甲1A発明における4つの外側面は略同一面に形成され、電極に相当する2つのリードは、突出するものではない。
そして、甲11に記載された発明の目的は、放熱特性が良好であり、薄型化が図れ、部品点数が少なく製造コストの低減が図れ、安価な発光ダイオード装置及びその製造方法を提供すること等(【0009】?【0012】)である。
してみると、甲11に開示された技術事項は、甲1に開示された発光装置とは異なる構造を前提とする発光装置や製造方法に関するものであって、切断の際のリードフレームと樹脂成形体(光反射用熱硬化性樹脂組成物層)との剥離という課題を生じるものではない。
ところで、甲11には、【0039】?【0041】に、
封止体による電極板の保持状態が良好となり、電極板が封止体から剥離し難くなり、封止の信頼性が高くなるための構成として、第1及び第2の電極板の封止体で覆われる電極板部分において、
i)薄い電極板部分の下側に封止体を形成する樹脂が充填され、樹脂によって薄い電極板部分を抱えるように支持すること、
ii)第1及び第2の電極板の対面部分の開口には封止体を形成する樹脂が充填されていること、
iii)電極板を貫通する貫通孔に封止体を形成する樹脂が充填されていること、
が記載され、具体的には、【0072】に、電極板3,4に、貫通孔3f,4e、中幅部分3b、細片部3c、引っ込んだ部分3d、張り出し部3e、中幅部分4b、括れ部分4c、小幅部分4dを形成し、かつ開口17及び細い溝3j,4jを形成すること、電極板3,4の一部を薄くし、かつ薄くした空間部分に樹脂が入る構造にすることが記載されているところ、仮に、封止体(甲11)と光反射用熱硬化性樹脂組成物層(甲1A発明)とに違いがある点は措くとして、甲1A発明に甲11に記載された電極板が封止体から剥離し難くなる構成を適用し、リードフレームに貫通孔等を設けるとしても、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果が奏されるように、切断部分にあり、全包囲周の約1/2以上であるという凹部(切り欠き部)が直ちに設けられるとまではいえない。よって、四つの外側面それぞれに沿って形成され、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられる「切り欠き部」を含む(相違点1:甲1-1)係る構成が得られるとまではいえない。

j 甲12及び甲14
甲12の【0025】および甲14の【0023】にはいずれも、以下の記載がある。
「リード端子34の先端部と、アイランド状の突出部33aの先端部は、凹部36の中心線で切断したことにより先細り形状に加工される。・・この様に加工されることで、リード端子34が樹脂41から引き抜けない状態になっている。」
また、甲12の【0030】および甲14の【0028】にはいずれも、以下の記載がある。
「分割された半導体装置のリード端子34の終端は、図6に示すように、樹脂41表面付近で先細りの形状に形成されるために、リード端子34が樹脂層41の側面から抜け落ちることを防止している。」
よって、甲12及び甲14から、「リード先端の左右を先細り形状にすることでリードが樹脂側面から引き抜けなくする」との技術事項が読み取れる。
しかしながら、甲1A発明に甲12及び甲14に記載された技術事項を適用しても、リード先端の左右を先細り形状とするだけであるから、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

k 甲13
甲13には、以下の記載がある。
「【0006】本願発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、製造が容易であるとともに、全体の薄型化を図ることができる面実装可能な半導体装置を提供することをその課題としている。また、本願発明は、そのような半導体装置を製造するのに好適な半導体装置製造用フレームを提供することを他の課題としている。
【0007】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】本願発明の第1の側面によって提供される半導体装置は、半導体チップと、この半導体チップの複数の電極との電気的な接続が図られている複数の導体と、これら複数の導体および上記半導体チップを封止する樹脂パッケージと、を具備しており、かつ上記各導体の一部は、上記樹脂パッケージの底面から露出した面実装用の端子部とされている、半導体装置であって、上記各導体は、厚みが不均一とされていることにより、上記樹脂パッケージの底面方向に突出する凸部を一部に有しており、かつこの凸部の一部分が、上記端子部として上記樹脂パッケージの底面から露出していることを特徴としている。
【0009】本願発明において、上記各導体は、エッチング処理によってその一部分が薄肉化されることにより、その厚みが不均一とされたものである構成とすることができる。
【0010】本願発明に係る半導体装置においては、上記各導体の凸部を利用することによって所望の箇所に適切に面実装することができることは勿論のこと、次のような効果が得られる。
・・・
【0013】第3に、上記各導体のうち、上記凸部以外の薄肉部分については、上記樹脂パッケージ内に適切に埋没させた構成とすることができる。したがって、上記各導体を上記樹脂パッケージ内に確実に保持させておくことができ、各導体や半導体チップの封止を適切なものにすることができる。」
・・・
【0039】導体2A?2Cのうち、各凸部22以外の箇所は薄肉部とされており、この薄肉部の各部の下方には樹脂パッケージ3の樹脂が存在している。したがって、導体2A?2Cを樹脂パッケージ3内に確実かつ適切に固定させることができ、導体2A?2Cと樹脂パッケージ3との相対移動に起因するワイヤWの断線などを適切に防止することができる。とくに、各凸部22の複数の側面22bの全周囲が樹脂パッケージ3の樹脂によって囲まれているために、導体2A?2Cの固定がより確実なものとなる。」
よって、甲13から、「半導体装置の各導体は、厚みが不均一とされていることにより、樹脂パッケージの底面方向に突出する凸部を一部に有しており、かつこの凸部の一部分が、上記端子部として上記樹脂パッケージの底面から露出していおり、上記各導体のうち、上記凸部以外の薄肉部分については、上記樹脂パッケージ内に適切に埋没させた構成とすることができ、各凸部22の複数の側面22bの全周囲が樹脂パッケージ3の樹脂によって囲まれているために、導体2A?2Cの固定がより確実なものとなる。」との技術事項が読み取れる。
しかしながら、甲13に記載された技術事項において、各導体と樹脂パッケージ3の樹脂との固定は、各導体のうち、樹脂パッケージの底面方向に突出する凸部以外の薄肉部分については、上記樹脂パッケージ内に適切に埋没させた構成とすることにより生じるものであり、(相違点1:甲1-1)に係る構成とは異なるものである。そして、切断される凹部の長さに関する観点は存在しないから、甲13から切断される凹部の長さを全包囲周の約1/2以上となるようにする動機付けは見いだせない。
してみると、甲1A発明に甲13に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

l 甲15
甲15には、以下の記載がある。
「【0009】本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、容易な手段により切断バリが生じるのを抑制することができる半導体装置の製造方法、およびこの方法により製造された半導体装置を提供することをその課題とする。」

「【0018】したがって、第1切断体による切断を行った後、第2切断体による切断を行う場合では、第1切断体による切断時に、従来例のように、リードフレームの一部、すなわち上記したリード部を支持する部分が切断バリとなり、単位半導体装置の底面における端部に残るものの、第2切断体による切断時に、この切断バリを除去することができる。
【0019】また、第2切断体による切断を行った後、第1切断体による切断を行う場合では、上記したリード部を支持する部分は、第1切断体による切断時には、予めその厚みが小とされることとなるので、切断バリの発生を抑制することができる。
【0020】このように、本願発明によれば、従来例のように、上記したリード部を支持する部分の厚みを小とする必要がないため、従来例のように、この部分が製造過程において変形するのを防止することができる。したがって、半導体装置を容易に製造することができる。」
「【0026】上記各リード部2は、平面視長矩形状を呈しており、その一面2aが平坦面とされている。各リード部2の他面側には、凸部21が設けられており、その表面が端子部20(第1端子部20)として樹脂パッケージ4の底面4bから露出している。また、各リード部2は、上記凸部21に対して厚みが小とされた薄肉部22を先端部分に有しており、この薄肉部22が樹脂パッケージ4内に埋設されることにより、樹脂パッケージ4から脱落するのが防止される。」
以上のとおり、甲15には、半導体装置の製造に関し、切断バリを除去又は抑制をする切断に関する技術事項が記載されている。また、リード2が樹脂パッケージ4から脱落するのを防止する構成として、リード部2に設けた凸部21に対して厚みが小とされた薄肉部22を先端部分に設け、この薄肉部22が樹脂パッケージ4内に埋設さるようにするという技術事項が記載されている。
しかしながら、このリード2が樹脂パッケージ4から脱落するのを防止する構成は、(相違点1:甲1-1)に係る構成とは異なるものである。また、切断される凹部の長さに関する観点は存在しないから、甲15から切断される凹部の長さを全包囲周の約1/2以上となるようにする動機付けは見いだせない。
してみると、甲1A発明に甲13に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

m 甲16
甲16には、ワイヤボンディング領域を除くリードの中央にエッチング溝を形成することが記載され(甲16の請求項1、図4)、このエッチング溝に関して、【0011】には、「このとき、各単位リードフレーム13、接続部材17及び各半導体チップ15を一括して封止樹脂18により樹脂封止したとき、封止樹脂18がリード12に設けたエッチング溝19に入り込み、開口部23より幅が大きい奥部24に入った封止樹脂18が楔状に形成され、アンカー効果を生じて、リード12から封止樹脂18が剥離することが防止できる状態となる。」と記載されている。
よって、甲16から、「リードにエッチング溝を形成することにより、リードと封止樹脂との剥離を防止する」との技術事項が読み取れる。
しかしながら、切断される凹部の長さに関する観点は存在しないから、甲16から切断される凹部の長さを全包囲周の約1/2以上となるようにする動機付けは見いだせない。
そして、甲1A発明に甲16に記載された技術事項を適用しても、リードフレームにエッチング溝を形成して、当該エッチング溝に熱硬化性樹脂を入り込ませる構成とするだけであるから、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

n 甲17
甲第17号証には、
「【0017】
図1は、本実施例における発光装置の模式的な平面図を示す。図2は、図1のI-Iにおける断面図を示す。また、図3は、本実施例における発光装置の背面図を示す。 本実施例における発光装置は、発光素子1が載置されたキャビティ2aを有するパッケージ2と、発光素子1および導電性ワイヤ5を覆い、蛍光物質を含有する被覆部材9とからなる。また、発光装置は、パッケージの四隅に切欠部を有し、該切欠部にてパッケージ内部に埋没された第二の導電性部材4が露出しており、該第一の導電性部材は図3に示すようにパッケージ裏面に形成された裏面電極7と導通している。パッケージ内部の第二の導電性部材4は、上方のキャビティ2a底面から表出している第一の導電性部材3とビアに形成された略微小径円柱型導電部材6にて電気的に接続されている。
本実施例におけるパッケージ2は、AlN粉末を主成分とする4枚のセラミックスグリーンシートを用いる。まず、第一から第四のセラミックスグリーンシートに、それぞれ打ち抜き金型等を用いて所定の位置に、第二の導電性部材を露出させるための切欠部や、導通を形成するためのビアホール、およびキャビティの側壁となる貫通孔を形成する。このようにカットされた第一のセラミックスグリーンシートおよび第二のセラミックスグリーンシートに、図1および図3に示すような第一の導電性部材、第二の導電性部材、および略微小径円柱型導電部材6をタングステンペーストにて形成する。最後に、上述の第一から第四のセラミックスグリーンシートを順に積層させ加圧させてなる積層体を焼成する。
こうして得られたパッケージ2のキャビティ2a底面には、第一の導電性部材3が露出しており、該第一の導電性部材3の中央の領域3aに主発光波長が460nmのIn0.2Ga0.8N半導体を有する800μm角のLEDチップ1をエポキシ樹脂8にてダイボンディングする。この接着剤8を140度2時間で硬化後、LEDチップ1の電極と両側に配置された第一の導電性部材3の一対の領域3b,3cとを直径30μmの金線5にて接続する。ここで、キャビティ2a内において、本実施例の第二の導電性部材4のパターンの75%以上が前記第一の導電性部材3のパターンと重なり、かつ、LEDチップ1の端面と平行な領域内の平面透視において、前記第二の導電性部材のパターンの97%以上が前記第一の導電性部材と重なっている。」との記載がある。

また、発光装置の模式的な背面図である図3から、四隅のみからリードに相当する裏面電極が露出しており、その露出の態様は「底面側から視認して四隅が弧状に形成されている」ことが見て取れる。

以上のとおり、甲17には、「発光装置は、パッケージの四隅に弧状に形成されている切欠部を有し、キャビティ2a底面から表出している第一の導電性部材3は、ビアに形成された略微小径円柱型導電部材6、パッケージ内部の第二の導電性部材4、切欠部にて露出する第二の導電性部材4を介してパッケージ裏面に形成された裏面電極7と導通している」ことが記載されている。
しかしながら、甲17には、パッケージの四隅に弧状に形成されている切欠部を有することは記載されているものの、(相違点1:甲1-1)に係る構成についての記載はない。よって、甲1A発明に甲17に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

o 甲18
甲第18号証の図1ないし7、9及び10には、金属部材(リード)を樹脂部(樹脂パッケージ)の四隅領域で突出する態様(技術事項)が見て取れる。
しかしながら、甲1A発明に甲18に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

p 甲19
甲19には、「半導体装置およびその製造方法、半導体装置の実装構造並びにリードフレーム」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0052】
実施の形態2
図6は、本実施の形態による半導体装置19Bを示し、(a)は樹脂封止されたパッケージ5の底面図、(b)は(a)のB-B線断面図である。」
・・・
【0054】
即ち、図6(a)におけるパッケージ5のコーナー部22の凹部12aが欠除されているのは、パッケージ5の製造過程において、コーナー部22にパッケージ5の厚さ方向に貫通孔を形成後に、この位置でダイシングしたことにより、穴の1/4円形がコーナー部22に残るため、この貫通孔跡が凹部12aとして形成されたものである。
【0055】
従って、図7(b)(図6(a)のB1部分の拡大図である図7(a)のB'-B'線断面図)に示すように、凹部12aに面する実装補強部10の側面にも金属めっき14が付着するため、実装補強部10の凹部12aのめっき膜上に十分な量のはんだ13が配されて、良好なフィレットを形成して実装補強部10の接合強度が高められる。
【0056】
従って、各外部接続端子7の接続ランド17への接続の強度が補強され、実装信頼性が向上すると共に、この実装補強部10がパッケージ5のコーナー部22に設けられているので、実装時の位置ずれがあっても実施の形態1と同様にセルフアライメントされ、基板実装性を高めることができる。」

以上のとおり、甲19には、パッケージ5のコーナー部22の凹部12aは、穴の1/4円形であり、金属めっき14が付着するため実装補強部10の接合強度が高められるとの技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲19に記載された穴の1/4円形であり、金属めっき14が付着したパッケージ5のコーナー部22の凹部12aの技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

q 甲20
甲20には、「モールドパッケージおよびその製造方法ならびにモールドパッケージの実装構造」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0046】
これに対して、本モールドパッケージ100では、凸状の角部であった従来のリード部12のコーナー部12dに比べて、リード部12のコーナー部12dを窪み形状としているため、このコーナー部12dにおいて、はんだ300に加わる応力の集中を低減することが可能となる。
【0047】
はんだ接続部に熱的・機械的な応力が加わると、はんだ300内にクラックが発生して、ついには、はんだ接続部が破断に至り電気的な断線となるが、本実施形態のようにコーナー部12dを窪み形状とすることにより、はんだ300に加わる応力が低減され、はんだ接続部のクラックの発生を抑えることができる。その結果、はんだ接続部の信頼性を向上させることが可能となる。」

以上のとおり、甲20には、リード部12のコーナー部12dを窪み形状とすることにより、はんだ接続部の信頼性を向上させるとの技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲20に記載されたリード部12のコーナー部12dを窪み形状とする技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

r 甲21
甲21には、「発光ダイオード用パッケージの製造方法」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のSMD型LED70用のパッケージ71は、リードフレームがCu系等の金属で形成されているのでプレス等による加工しかできず、基板の集合体を用いての多数個同時生産方式が活用できない、また、金型コストが嵩む等、生産性の点で問題があった。また、リードフレームの容量が小さいので放熱性にも問題があった。
【0006】上記発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、放熱性、信頼性に優れたメタルコア基板から成るLED用パッケージの製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するための本発明の手段は、内面に発光素子を接合する電極を有し、外面に該電極と導通する端子電極を有する発光ダイオード用パッケージの製造方法において、金属の射出成形によりメタルコアを多数個取りできるメタルコア集合体を形成する工程と、前記メタルコア集合体を化成処理する工程と、前記メタルコア集合体を樹脂によりインサート成形して前記パッケージを多数個取りできるパッケージ集合体を形成する工程と、前記パッケージ集合体の前記メタルコア部の化成処理を除去する工程と、化成処理除去後のメタルコア部にメッキを施す工程と、前記パッケージ集合体をダイシングして、単個の前記パッケージに分割する工程とを有することを特徴とする。」

「【0013】次に、このパッケージ1の製造方法について説明する。この方法はSMD型LED、或いはLED用パッケージを多数個同時に加工することができる集合基板を用いた製造方法である。図4において、10はパッケージ1を多数個取りできるように配列して形成した集合基板状態のパッケージ集合体である。2はメタルコア材料であるMg合金の射出成形によって平板状に成形した集合基板状態のメタルコア集合体である。4、5はパッケージ集合体10から単個のパッケージ1に切断分離するための切断線X、Yを示す。」

以上のとおり、甲21には、パッケージ1を多数個取りできるように配列して形成した集合基板状態のパッケージ集合体10から単個のパッケージ1に切断分離する多数個同時生産方式の技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲21に記載された多数個同時生産方式の技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

s 甲22
甲22には、「白色発光装置」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0043】
なお、この白色発光装置10の製造方法は、後に第三の実施の形態の製造方法において説明する集合基板方式による方法と基本的に同様であるから、ここでの説明は省略するが、サブマウント基板7やケース体1を多数個取りのできる集合基板方式を用いることで、青色発光素子6の実装も含めて白色発光装置10が集合状態で同時多数個の製造が可能になり、生産性が高く高品質な製品とすることができ、製造コストの削減ができる。」

以上のとおり、甲22には、白色発光装置10の製造方法においてサブマウント基板7やケース体1を多数個取りのできる集合基板方式を用いるとの技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲22に記載された集合基板方式の技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

t 甲23
後記するとおり、本件訂正発明1と甲23A発明とは(相違点1:甲23-1 「リードフレーム」、「切り欠き部」、「切断」)の相違点を有するものである。
したがって、甲23は、少なくとも本件訂正発明1の「切り欠き部」及び「樹脂が露出するように切断」に関する構成を備えていないから、甲1A発明に甲23に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

u 甲24
「【0028】
本発明の光半導体素子搭載用基板の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の光反射用熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成型により成型し、製造することができる。より具体的には、例えば、図2(a)に示すように、金属箔から打ち抜きやエッチング等の公知の方法により金属配線105を形成し、ついで、該金属配線105を所定形状の金型301に配置し(図2(b))、金型301の樹脂注入口300から本発明の樹脂組成物を注入し、これを好ましくは金型温度170?190℃ で60?120秒、アフターキュア温度120℃?180℃で1?3時間の条件にて熱硬化させた後、金型301を外し、硬化した樹脂組成物からなるリフレクター103に周囲を囲まれてなる光半導体素子搭載領域(凹部)200の所定位置に、電気めっきによりNi/銀めっき104を施すことで製造することができる(図2(c))。」

以上のとおり、甲24には、「光反射用熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成型により成型し、製造する際に、硬化した樹脂組成物からなるリフレクターの凹部に銀めっきを施す」との技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1A発明に甲24に記載された技術事項を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

v 甲25
甲25には、「PACKAGING METHOD TO MANUFACTURE PACKAGE FOR A HIGH-POWER LIGHT EMITTING DIODE」(高出力発光ダイオードのためのパッケージを製造するパッケージング方法)の発明が開示されている。
しかしながら、甲25は、本件特許出願日後に公開された文献であるため、甲1A発明に適用する技術事項を検討する対象とはならない。

w 甲27
甲27には、「半導体装置及びその製造方法」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0166】具体的には、スリット88Aは接着部材71Aの配設方向(図中、矢印Xで示す方向)に対して直交する方向(図中、矢印Yで示す方向)に延在するよう形成されており、更にスリット88Aの形成位置は先に第2の分離工程で説明した基板33Dが分離されるダイシング位置(分離位置)に選定されている。上記のように構成されたスリット88Aは、基板33Dに印加される応力を吸収する応力吸収部として機能する。即ち、スリット88Aを形成することにより、例えば熱印加等により基板33Dに応力が発生しても、スリット88Aが変形することにより、この応力はスリット88Aで吸収される。
【0167】これにより、基板33Dに変形が発生することを防止することができ、よって接着部材配設工程,素子搭載工程,及びモールド工程の各工程において、撓みや変形のない状態の基板33Dを用いることができる。従って、各工程における不良品発生を未然に防止でき、製造される半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0168】また本実施例では、上記のようにスリット88Aが第2の分離工程で基板33Dが分離されるダイシング位置82に形成されている。よって、図46に示すように、ダイシングソー81は基板33Dに比べて軟質なモールド樹脂35Aを主に切断処理することとなるため、分離処理を行う治具の長寿命化を図ることが可能となる。」

以上のとおり、甲27には、「スリット88Aの形成位置は基板33Dが分離されるダイシング位置(分離位置)に選定され、熱印加等により基板33Dに応力が発生しても、スリット88Aが変形することにより、この応力はスリット88Aで吸収され、接着部材配設工程,素子搭載工程,及びモールド工程の各工程において、撓みや変形のない状態の基板33Dを用いることができ、また、ダイシングソー81は基板33Dに比べて軟質なモールド樹脂35Aを主に切断処理することとなるため、分離処理を行う治具の長寿命化を図ることが可能となる。」との技術事項が記載されている。

甲27に記載されているスリット88Aは、接着部材配設工程,素子搭載工程,及びモールド工程の各工程において、撓みや変形のない状態の基板33Dを用いるための構成であり、また、分離処理を行う治具の長寿命化を図るためにスリット88Aの形成位置は基板33Dが分離されるダイシング位置(分離位置)に選定されているものである。
よって、甲27に記載されたスリット88Aは、本件訂正発明1の「切り欠き部」とは、設けられる意義が異なっており、スリット88Aと「切り欠き部」は相当関係にあるとはいえない。
したがって、甲1A発明に甲27に記載されたスリット88Aの構成を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

x 甲28
甲28は、「発光装置」に関するものであり、請求人が引用する図37に関連して以下の記載がある。
「【0004】
図37は、従来の発光装置の典型例を表す概念図である。すなわち、同図(a)はその要部構成を表す平面図であり、同図(b)はその断面図である。
【0005】
同図に例示した発光装置は、「表面実装型」などと称されるものであり、パッケージ(樹脂ステム)800と、半導体発光素子802と、樹脂からなる封止体804とを有する。
【0006】
樹脂ステム800は、リードフレームから成形した一対のリード805、806を熱可塑性樹脂からなる樹脂部803によりモールドした構造を有する。そして、樹脂部803には開口部801が形成されており、その中に半導体発光素子802が載置されている。そして、半導体発光素子802を包含するようにエポキシ樹脂804により封止されている。
【0007】
半導体発光素子802は、リード806の上にマウントされている。そして、半導体発光素子802の電極(図示せず)とリード805とが、ワイア809により接続されている。2本のリード805、806を通して半導体発光素子802に電力を供給すると発光が生じ、その発光がエポキシ樹脂804を通して光取り出し面812から取り出される。」


甲28には、リードフレームから成形した一対のリード805、806を熱可塑性樹脂からなる樹脂部803によりモールドした構造を有するパッケージ(樹脂ステム)800と、半導体発光素子802と、樹脂からなる封止体804とを有する表面実装型発光装置の技術事項が記載されている。
甲28に記載されたパッケージは、リードフレームから成形した一対のリード805、806を熱可塑性樹脂からなる樹脂部803によりモールドした構造であり、図37に記載されているとおり、樹脂部803から一対のリード805、806が突出しているから、少なくともリードと樹脂部とは共に切断され同一面を形成するようなものではなく、甲1A発明の樹脂の材料、リードと樹脂部の関係、端面の形状など異なるから、甲1A発明に甲28に記載された技術事項を適用する動機付けがあるとはいえない。

y 甲29
甲29には、「光半導体素子用外囲器およびそれを用いた光半導体装置」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0017】
図1は光半導体素子用外囲器を示す図で、図1(a)はその平面図、図1(b)は図1(a)のA-A線に沿って切断し矢印方向に眺めた断面図、図2は光半導体装置を示す図で、図2(a)はその平面図、図2(b)は図2(a)のB-B線に沿って切断し矢印方向に眺めた断面図である。
・・・
【0025】
また、第1および第2外部端子20、21は、それぞれ第1基板12の下面に設けられ、第1基板12の隅部の外側面に形成された接続部22を介して第1および第2電極リード18、19に電気的に接続されている。
・・・
【0030】
図3に示すように、光半導体装置30は複数の外囲器10が格子状に配列されたシート状の基台24に一括して形成される。
【0031】
即ち、格子状に配列された各外囲器10の凹部16内の第1電極リード18に光半導体素子31が載置され、第2電極リード19にボンディングワイヤ32がボンディングされた後、凹部16に封止樹脂33が充填される。
【0032】
次に、シート状の基台24を、例えばブレードで各個片に分割することにより、光半導体装置30が得られる。」


甲29には、切断後には外側面となる位置にある貫通孔(接続部22)であって、当該孔を通って基板を切断するが技術事項が記載されている。しかしながら、本件訂正発明1における「切り欠き部」に関する記載はない。
したがって、甲1A発明に甲29に記載された貫通孔(接続部22)の構成を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

z 甲30
甲30には、「樹脂封止型半導体パッケージ」に関し、以下の事項が記載されている。
「【0014】図2はこの発明の実施の形態1における、スタンピングで加工されたリード部を示す底面図であって、図1(b)のA部の拡大図であり、図2の形状通り、リード部2の封止樹脂1と接着する部分に凹状のくぼみ3を設けている。このようにすることによって、トランスファーモールド時に、このくぼみ3に封止樹脂1が入り込み、アンカー効果がでる。またこうすることによって、リード部2にかかる、パッケージ本体20から外側への引っ張り力に対するリード抜け防止に有効となる。」

以上のとおり、甲30には、リードのくぼみは、トランスファーモールド時に、封止樹脂1が入り込み、アンカー効果がで、リード部2にかかる、パッケージ本体20から外側への引っ張り力に対するリード抜け防止に有効であるとの技術事項が記載されている。
しかしながら、甲30から、リードのくぼみがリード抜け防止に有効であることが記載されているにとどまり、(相違点1:甲1-1)に係る構成についての記載はない。
したがって、甲1A発明に甲30に記載されたリードのくぼみの構成を適用しても、(相違点1:甲1-1)に係る構成を得ることにはならない。

aa (相違点1:甲1-1)についての判断
(a)甲1ないし甲30について
以上のとおり、甲1ないし甲30には、リードフレームと熱硬化性樹脂が切断によって剥離が生じることを課題とし、リードフレームは、四つの外側面それぞれに沿って形成され、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられる「切り欠き部」を有し、分割の際に、「前記切り欠き部に沿って」、「前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、」「露出するように」「切断」される構成を採用する記載や示唆を見つけることはできない。

(b)請求人の主張(口頭審理陳述要領書)について
請求人は、口頭審理陳述要領書(第12頁第9行?第14行)において、「また、製造される発光装置の全包囲周の何割程度に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるかは、当業者にとっての設計事項に過ぎないし、審判請求書の第107頁や第110頁で述べたとおり、例えば甲第12号証の図6や甲第13号証の図2に図示されているように、また、審判請求書の第49?58頁で説明した甲第25号証や甲第26号証に図示されている態様のように、これを「1/2以上」とすることの阻害要因もない。」と主張している。
しかしながら、甲12の図6(甲14の図6も同様である。)に関連して、甲12,甲14の「分割された半導体装置のリード端子34の終端は、図6に示すように、樹脂41表面付近で先細りの形状に形成されるために、リード端子34が樹脂層41の側面から抜け落ちることを防止している。」(甲12の【0030】および甲14の【0028】参照。)との記載を踏まえると、「リード先端の左右を先細り形状にすることでリードが樹脂側面から引き抜けなくする」観点から、リード先端の左右を先細り形状の寸法を調整する動機付けはあるとしても、切断される凹部の長さに関する観点は存在しないから、切断される凹部の長さを全包囲周の約1/2以上となるようにする動機付けは見いだせない。
また、各導体のうち、樹脂パッケージの底面方向に突出する凸部以外の薄肉部分については、上記樹脂パッケージ内に適切に埋没させた構成とすることにより、各導体と樹脂パッケージ3の樹脂との固定を生じさせるとの甲13に記載された技術事項についても、切断される凹部の長さに関する観点は存在しないから、甲13から切断される凹部の長さを全包囲周の約1/2以上となるようにする動機付けは見いだせない。
甲25は、本件特許出願日後に公開された文献であるため、甲1A発明に適用する技術事項を検討する対象とはならず、甲26は、「反射板が接着剤によってリードフレームに貼り合わせられる」との技術事項が記載されいるものであり、反射性物質が含有される熱硬化性樹脂を「前記切り欠き部を含めた空間内に」充填させる構成を有するものではないから、甲25及び甲26の記載に基づいた「製造される発光装置の全包囲周の何割程度に上記熱硬化性樹脂の充填領域を設けるかは、当業者にとっての設計事項に過ぎない」とする主張はそもそも成り立たない。

(c)請求人の主張(上申書)について
請求人は、上申書(第8頁第14行?第9頁第12行)において、
「第3 熱硬化性樹脂とリードフレーム間の剥離防止について
・・・被請求人は、本件訂正発明1の発光装置の製造方法では、リードフレームに切り欠き部を設けることで、(1)切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減すること、(2)熱硬化性樹脂とリードフレームの接合界面を熱硬化性樹脂で保護すること、(3)熱硬化性樹脂がリードフレームの上面だけでなく側面でも密着するため接合強度を高めることの、「これらの総合的な作用によって熱硬化性樹脂とリードフレームの間の剥離を防止できる」旨を主張している(答弁書22頁1?9行)。
しかし、上述のとおり、樹脂の熱収縮に伴い、接着力を弱めるはずの銀メッキが施された切り欠き部の内部に充填された樹脂部分はその内側面から容易に剥離し、切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じることになり、熱硬化性樹脂はリードフレームの上面だけでなく側面でも密着するため接合強度を高めるどころか、寧ろ、熱硬化性樹脂とリードフレームの密着性を弱めるように作用することになるし、このような「隙間」が生じた状態では、熱硬化性樹脂とリードフレームの接合界面を熱硬化性樹脂で保護しているとは言えず、切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減することもかなわないことになる。
つまり、被請求人が「これらの総合的な作用によって熱硬化性樹脂とリードフレームの間の剥離を防止できる」と主張する根拠となる上記(1)?(3)は何れも、合理的な根拠がないものばかりである。」と主張している。

ここで、請求人の主張の根拠としている、「切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じる」との技術的見解について、以下検討する。
リードフレームは金属からなり、熱硬化性樹脂は有機化合物からなるために、両者はその熱膨張係数において差を有し、熱膨張係数の大きな熱硬化性樹脂が熱硬化された後、冷却されるときに、リードフレームよりも大きく収縮するため、その収縮率の違いにより、製造方法によって程度の差はあれ、「反り」を生じることが知られている(例えば、甲1【0052】、【0053】など参照。)。
(なお、口頭審理において、被請求人による、「すべり」によって反りが解消するという効果の主張は、撤回されている(調書 被請求人 項番5参照。)。)
そして、「反り」が生じるということは、面で接合している一方の材料(熱硬化性樹脂)が「全体的」に他方の材料(リードフレーム)より収縮していると解し得る。参考までに、以下に、被請求人が口頭審理陳述要領書第8頁で提示した図を示す。


一方、請求人の「切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じる」との技術的見解の根拠となる請求人の提示する説明図(図3、「切り欠き部内壁からからの樹脂剥離→隙間の発生」)を参酌するに、樹脂部分の部分部分がそれぞれ収縮はするが全体的な収縮は見られない(「反り」も生じていない。また、樹脂部分の上側の収縮による寸法変化がない一方、切り欠き部内の樹脂だけが収縮による寸法変化をしており、技術的に矛盾のある記載となっている。)。

(上申書第7頁)
この説明図の記載は、樹脂部分の部分部分は全体として一体になって面で接合しているにもかかわらず、樹脂部分が「全体的」に収縮するという観点での検討を欠いたことによるものといえる。そして、全体的に収縮することを考慮すると、切り欠き部内の樹脂部分は、樹脂部分全体の収縮中心に向かって収縮し、切り欠き部内壁を押しつけるように接するところがあることになり、説明図に示されたような「隙間」がある状態とはならない。
してみると、請求人の技術的見解は妥当とはいえないから、その技術的見解に基づいた請求人の上記主張を採用することはできない。

(d)(相違点1:甲1-1)についての判断のまとめ
上記(a)?(c)のとおり、甲1A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項から、(相違点1:甲1-1)に係る構成が得られるとはいえない。
そして、本件訂正発明1は(相違点1:甲1-1)に係る構成を採用することで、甲各号証から予測し得ない、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果を奏するものであるから、(相違点1:甲1-1)に係る構成は単なる設計事項程度のものとはいえない。

(イ)小括
以上のとおりであるから、(相違点1:甲1-2 「メッキ箇所」)、(相違点1:甲1-3 「半導体発光素子」)及び(相違点1:甲1-4 「封止部材の樹脂材料」)について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(2)本件訂正発明4ないし6(発光装置の製造方法)
本件訂正発明4ないし6は、本件訂正発明1の構成を全て含む発光装置の製造方法であるから、本件訂正発明4ないし6は、甲1A発明と(相違点1:甲1-1 「切り欠き部」、「樹脂が露出するように切断」関連)と同じ相違点を有するものである。
そして、(相違点1:甲1-1)についての判断は、上記(1)イ(ア)のとおりであるから、本件訂正発明4ないし6は、当業者が甲1A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるとすることはできない。

(3)本件訂正発明7(発光装置)
ア (対比7:甲1)本件訂正発明7と甲1B発明とを上記(1)アと同様に対比すると、本件訂正発明7と甲1B発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(ア)(一致点7:甲1)
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは、発光素子からの光を反射する位置の表面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子が載置されており、
前記凹部に封止部材として樹脂を充填する工程と、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出している、
発光装置。」

(イ)(相違点7:甲1-1 「切り欠き部」、「露出面」関連)
本件訂正発明7において、「前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され」ていることを踏まえると、「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填され」ていることにおける「前記樹脂部」は、前記リードの上面の一部が露出した凹部の内側面を形成している樹脂部でもある。
よって、本件訂正発明7では、
「リード」は、「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し」、
「前記切り欠き部」は、「前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有」し、
「前記リードと一体に形成され、前記リードの上面の一部が露出した凹部の内側面を形成している前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」のに対し、
甲1B発明では、「金属配線」(リード)は、四つの外側面それぞれに沿って、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたっている「切り欠き部」を有しておらず、前記リードと一体に形成され、前記リードの上面の一部が露出した凹部の内側面を形成している前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて四つの外側面それぞれで露出するものでない点。

(ウ)(相違点7:甲1-2 「メッキ箇所」)
リードに銀メッキ処理が施される箇所が、本件訂正発明7は、リードの外側面を除く「全面」であるのに対し、甲1B発明は、光半導体素子からの光を反射できる表面である点。

(エ)(相違点7:甲1-3 「半導体発光素子」)
半導体発光素子について、本件訂正発明7では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、甲1B発明で用いる光半導体素子は、そのような構成が特定されていない点。

(オ)(相違点7:甲1-4 「封止部材の樹脂材料」)
凹部に封止部材として充填する樹脂が、本件訂正発明7では、「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂」であるのに対し、甲1B発明では、エポキシ樹脂を主成分とする透明封止樹脂である点。

イ 判断
(ア)(相違点7:甲1-1 「切り欠き部」、「露出面」関連)についての判断
甲1B発明では、「金属配線」(リード)は、四つの外側面それぞれに沿って、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたっている「切り欠き部」を有しておらず、前記リードと一体に形成され、前記リードの上面の一部が露出した凹部の内側面を形成している前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて四つの外側面それぞれで露出するものでない点で本件訂正発明7と相違する。
この「切り欠き部」、「露出面」関連についての相違点と、本件訂正発明1と甲1A発明との相違点の一つである前記(相違点1:甲1-1)の、甲1A発明では、「配線基板」(リードフレーム)は、四つの外側面それぞれに沿って形成され、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられる「切り欠き部」を有しておらず、分割(ダイシング)の際に、「前記切り欠き部に沿って」、「前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、」「露出するように」「切断」されるものでないとする本件訂正発明1との相違点とは、物としての相違点か、方法としての相違点かの違いはあるものの、どちらも切り欠き部が設けられ、その切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が露出する構成を有する相違点では共通するから、切り欠き部が設けられ、その切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が露出する構成を有する点についての(相違点1:甲1-1)の判断と(相違点7:甲1-1)ついての判断は同じである。
よって、前記(相違点1:甲1-1)についての判断と同様に、甲1B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項から、(相違点7:甲1-1)に係る構成が得られるとはいえない。
そして、本件訂正発明7は(相違点7:甲1-1)に係る構成を採用することで、甲各号証から予測し得ない、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果を奏するものであるから、(相違点7:甲1-1)に係る構成は単なる設計事項程度のものとはいえない。

(イ)以上のとおりであるから、(相違点7:甲1-2 「メッキ箇所」)、(相違点7:甲1-3 「半導体発光素子」)及び(相違点7:甲1-4 「封止部材の樹脂材料」)について検討するまでもなく、本件訂正発明7は、甲1B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(4)本件訂正発明8ないし10、14及び15
本件訂正発明8ないし10は、本件訂正発明7を更に限定した発光装置であり、本件訂正発明14は、本件訂正発明7の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であり、また、本件訂正発明15は、本件訂正発明7の発光装置を製造するための樹脂成形体である。
そして、本件訂正発明8ないし10、14及び15は、本件訂正発明7と同様に、甲1B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(5)本件訂正発明11(樹脂パッケージの製造方法)
本件訂正発明11と甲1A発明とを対比すると、本件訂正発明11と甲1A発明とは、少なくとも上記(相違点1:甲1-1)と同じ相違点がある。
そして、本件訂正発明11は、上記(相違点1:甲1-1)を有する本件訂正発明1と同様に、甲1A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(6)本件訂正発明13(樹脂パッケージ)
本件訂正発明13と甲1B発明とを対比すると、本件訂正発明13と甲1B発明とは、少なくとも上記(相違点7:甲1-1)と同じ相違点がある。
そして、本件訂正発明13は、上記(相違点7:甲1-1)を有する本件訂正発明7と同様に、甲1B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(7)小括
したがって請求人の主張する無効理由4及び証拠方法によっては、本件訂正発明1、4?11及び13?15についての特許を無効とすることはできない。

7 無効理由5についての当審の判断
(1)本件訂正発明1(発光装置の製造方法)
ア (対比1:甲23)無効理由5のうち、甲24発明を主たる証拠とする特許法29条第2項の規定に基づく無効理由は取下げられた(調書 請求人 項番5参照。)。よって、無効理由5は、甲23発明を主たる証拠とする特許法29条第2項の規定に基づく無効理由のみである。したがって、以下、本件訂正発明1と甲23A発明とを対比する。

(ア)甲23A発明の「金属配線105」は、本件訂正発明1の「リード」に相当する。

(イ)甲23A発明の「熱硬化性光反射用樹脂組成物」は、「硬化後の、波長800nm?350nmにおける光反射率が90%以上であ」り、「金属配線105」と共に「トランスファー成型により成型」するものであるから、甲23A発明の「硬化した熱硬化性光反射用樹脂組成物からなるリフレクター103」は、本件訂正発明1の「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、・・・前記リードと一体に形成された樹脂部」に相当する。

(ウ)甲23A発明の「光半導体素子搭載用基板110」は、本件訂正発明1の「樹脂パッケージ」に相当し、甲23A発明の「光半導体素子搭載用基板110は、上面視で矩形であり、間に熱硬化性光反射用樹脂組成物層103が形成された対向する2つの金属配線105と、凹部が形成されたリフレクター103(熱硬化性光反射用樹脂組成物層)とからなり、光半導体素子搭載用基板110の4つのそれぞれの外側面は上下の金型301の形成面により金属配線105とリフレクター103が略同一面に形成され、前記2つの金属配線105の底面が露出して」いることは、
本件訂正発明1の「第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である」ことに相当する。

(エ)甲23A発明の「光半導体装置」は、本件訂正発明1の「発光装置」に相当する。

(オ)甲23A発明の「リフレクター103に周囲を囲まれてなる光半導体素子搭載領域(凹部)200の所定位置であって、凹部底面を形成する一対の金属配線105の露出表面に、電気めっきによりNi/銀めっき104を施すこと」と、本件訂正発明1の「全面に銀メッキ処理が施された」こととは、「凹部底面を形成する一対のリードの露出表面に、メッキ処理が施されている」点で共通する。

(カ)甲23A発明の「熱硬化性光反射用樹脂組成物」は、「(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、および(D)白色顔料を含む樹脂組成物」であり、「白色顔料」は、光反射性物質であるから、本件訂正発明1の「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」に相当する。

(キ)甲23A発明の「所定形状の金型」は、上金型と下金型からなるといえる。また、甲23A発明の「該金属配線105を所定形状の金型301に配置」し、「熱硬化性光反射用樹脂組成物を注入し、熱硬化させた後、金型301を外し」「トランスファー成型」することは、上金型と下金型からなる「所定形状の金型」に挟み込む工程を有しているといえ、本件訂正発明1の「上金型と下金型とで挟み込む工程と、前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして・・・前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された・・・空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させ」ることに相当する。

(ク)甲23A発明の「光半導体素子搭載用基板110は、」「間に熱硬化性光反射用樹脂組成物層103が形成された対向する2つの金属配線105と、凹部が形成されたリフレクター103(熱硬化性光反射用樹脂組成物層)とからなり、光半導体素子搭載用基板110の4つのそれぞれの外側面は上下の金型301の形成面により金属配線105とリフレクター103が略同一面に形成され、前記2つの金属配線105の底面が露出して」おり、「凹部底面を形成する一対の金属配線105の」表面が露出していることと、本件訂正発明1の「前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する」こととは、「リード上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードの底面が外底面に露出するように、リードと一体に樹脂成形体を形成する」点で共通する。

(ケ)甲23A発明の「光半導体素子」と、本件訂正発明1の「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」とを対比すると、両者は「半導体発光素子」である点で一致する。

(コ)甲23A発明の「光半導体素子搭載領域(凹部)200の底部所定位置に」搭載された「該光半導体素子100を蛍光体106を含む透明封止樹脂101により覆」うことと、本件訂正発明1の「前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填する工程」とは、共に「前記凹部に封止部材としての樹脂を充填する工程」である点で一致する。

(サ)以上より、本件訂正発明1と甲23A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
a(一致点1:甲23)
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、
リード上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードの底面が外底面に露出するように、リードと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
凹部底面を形成する一対のリードの露出表面に、メッキ処理が施されており、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子を載置する工程と、
前記凹部に封止部材としての樹脂を充填する工程と、
を有する発光装置の製造方法。」

b(相違点1:甲23-1 「リードフレーム」、「切り欠き部」、「樹脂が露出するように切断」関連)
本件訂正発明1は、「リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む」のに対し、甲23A発明は、(リードフレームではなく)リードに相当する「金属配線105を所定形状の金型301に配置」するものであり、
本件訂正発明1の「リードフレーム」は、「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」ているのに対し、甲23A発明は、金属配線105は、「切り欠き部」を有さず、
本件訂正発明1は、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の発光装置に分離する工程」を有するのに対し、
甲23A発明は、「上下の金型301の形成面により金属配線105(リード)とリフレクター103(樹脂部)が略同一面に形成され」るものであり、リフレクター103とリードフレームとを、切断によって互いに分離されて、切り欠き部内に充填された熱硬化性樹脂が、外側面に露出するように切断するものではないから、甲23A発明は、本件訂正発明1でいう「分離する工程」を有しない点。

c(相違点1:甲23-2 「メッキ処理」)
本件訂正発明1は、「リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程」の前に「リードフレーム」の「全面に銀メッキ処理が施され」ているのに対し、甲23A発明のメッキ処理は、金型301に金属配線105を配置する段階では施されておらず、リフレクター103の形成後に、凹部底面を形成する一対の金属配線105の(全面ではなく)露出表面にNi/銀めっき104が施される点。

d(相違点1:甲23-3 半導体発光素子)
本件訂正発明1では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、甲23A発明で用いる光半導体素子がどのような光半導体素子からなるか不明である点。

e(相違点1:甲23-4 封止部材の樹脂材料)
凹部に封止部材として充填する樹脂が、本件訂正発明1では、「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂」であるのに対し、甲23A発明では、透明封止樹脂の材料が不明である点。

イ 判断
(ア)(相違点1:甲23-1 「リードフレーム」、「切り欠き部」、「樹脂が露出するように切断」関連)についての判断
甲23には、【0006】に「本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、光反射特性、タブレット成型性に優れ、バリを低減することが可能な熱硬化性光反射用樹脂組成物、これを用いた光半導体素子搭載用基板とその製造方法および光半導体装置を提供することを目的とする。」と記載されている。しかしながら、甲23には、リードフレームを用いること、リードフレームと熱硬化性樹脂が切断されることは記載されていないから、甲23の記載から、リードフレームと熱硬化性樹脂が切断によって剥離が生じるような事象を課題として認識することはできない。
また、上記6(1)イ(ア)aa((相違点1:甲1-1)についての判断)で検討したとおり、甲1ないし甲30には、リードフレームと熱硬化性樹脂が切断によって剥離が生じることを課題とし、リードフレームは、四つの外側面それぞれに沿って形成され、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられる「切り欠き部」を有し、分割の際に、「前記切り欠き部に沿って」、「前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、」「露出するように」「切断」される構成を採用する記載や示唆を見つけることはできない。
よって、甲23A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項から、(相違点1:甲23-1)に係る構成が得られるとはいえない。
そして、本件訂正発明1は(相違点1:甲23-1)に係る構成を採用することで、甲各号証から予測し得ない、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果を奏するものであるから、(相違点1:甲23-1)に係る構成は単なる設計事項程度のものとはいえない。

(イ)以上のとおりであるから、(相違点1:甲23-2 「メッキ処理」)、(相違点1:甲23-3 半導体発光素子)及び(相違点1:甲23-4 封止部材の樹脂材料)について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲23A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(2)本件訂正発明4ないし6(発光装置の製造方法)
本件訂正発明4ないし6は、本件訂正発明1の構成を全て含む発光装置の製造方法であるから、本件訂正発明4ないし6は、甲1発明と(相違点1:甲23-1)と同じ相違点を有するものである。
そして、(相違点1:甲23-1)についての判断は、上記(1)イ(ア)のとおりであるから、本件訂正発明4ないし6は、当業者が甲23A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(3)本件訂正発明7(発光装置)
ア (対比7:甲23)本件訂正発明7と甲23B発明とを上記(1)アと同様に対比すると、本件訂正発明7と甲23B発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(ア)(一致点7:甲23)
「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは、発光素子からの光を反射する位置の表面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、半導体発光素子が載置されており、
前記凹部に封止部材として樹脂を充填されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出している、
発光装置。」

(イ)(相違点7:甲23-1 「切り欠き部」、「露出面」関連)
本件訂正発明7では、
「リード」は、「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し」、
「前記切り欠き部」は、「前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有」し、
「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」のに対し、
甲23B発明は、リードに相当する金属配線105は四つの外側面それぞれに沿って、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたっている「切り欠き部」を有しておらず、前記リードと一体に形成され、前記リードの上面の一部が露出した凹部の内側面を形成している前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて四つの外側面それぞれで露出するものでない点。

(ウ)(相違点7:甲23-2 「メッキ箇所」)
リードに銀メッキ処理が施される箇所が、本件訂正発明7は、リードの外側面を除く「全面」であるのに対し、甲23B発明では、Ni/銀めっき104が凹部底面を形成する一対の金属配線105の(全面ではなく)露出表面に施されている点。

(エ)(相違点7:甲23-3 「半導体発光素子」)
本件訂正発明7では、「発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子」であるのに対し、甲23B発明で用いる光半導体素子がどのような光半導体素子からなるか不明である点。

(オ)(相違点7:甲23-4 「封止部材の樹脂材料」)
凹部に封止部材として充填する樹脂が、本件訂正発明7では、「シリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂」であるのに対し、甲23B発明では、透明封止樹脂の材料が不明であるである点。

イ 判断
(ア)(相違点7:甲23-1 「切り欠き部」、「露出面」関連)についての判断
甲23には、リードフレームを用いること、リードフレームと熱硬化性樹脂が切断されることは記載されていないから、甲23の記載から、リードフレームと熱硬化性樹脂が切断によって剥離が生じるような事象を課題として認識することはできない。
また、上記6(1)イ(ア)aa((相違点1:甲1-1)についての判断)で検討したとおり、他の甲各号証(甲1ないし22及び甲24ないし30)にも、リードフレームと熱硬化性樹脂が切断によって剥離が生じることを課題とし、リードフレームは、四つの外側面それぞれに沿って形成され、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられる「切り欠き部」を有し、分割の際に、「前記切り欠き部に沿って」、「前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、」「露出するように」「切断」される構成を採用する記載や示唆を見つけることはできない。
してみると、甲23B発明のリードに相当する金属配線105において、四つの外側面それぞれに沿って、かつ発光装置の全包囲周の1/2以上にわたっている「切り欠き部」を有するようにし、前記リードと一体に形成され、前記リードの上面の一部が露出した凹部の内側面を形成している前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて四つの外側面それぞれで露出する構成を得るようにすることは、他の甲各号証(甲1ないし22及び甲24ないし30)に記載の技術事項を参酌しても、当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。
そして、本件訂正発明1は(相違点7:甲23-1)に係る構成を採用することで、甲各号証から予測し得ない、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果を奏するものであるから、(相違点7:甲23-1)に係る構成が単なる設計事項程度のものとはいえない。

(イ)以上のとおりであるから、(相違点1:甲23-2 「メッキ処理」)、(相違点1:甲23-3 半導体発光素子)及び(相違点1:甲23-4 封止部材の樹脂材料)について検討するまでもなく、本件訂正発明7は、甲23B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(4)本件訂正発明8ないし10、14及び15
本件訂正発明8ないし10は、本件訂正発明7を更に限定した発光装置であり、本件訂正発明14は、本件訂正発明7の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であり、また、本件訂正発明15は、本件訂正発明7の発光装置を製造するための樹脂成形体である。
そして、本件訂正発明8ないし10、14及び15は、本件訂正発明7と同様に、甲23B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(5)本件訂正発明11(樹脂パッケージの製造方法)
本件訂正発明11と甲23A発明とを対比すると、本件訂正発明11と甲23A発明とは、少なくとも上記(相違点1:甲23-1)と同じ相違点がある。
そして、本件訂正発明11は、上記(相違点1:甲23-1)を有する本件訂正発明1と同様に、甲23A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(6)本件訂正発明13(樹脂パッケージ)
本件訂正発明13と甲23B発明とを対比すると、本件訂正発明13と甲23B発明とは、少なくとも上記(相違点7:甲23-1 「切り欠き部」、「露出面」関連)と同じ相違点がある。
そして、本件訂正発明13は、上記(相違点7:甲23-1)を有する本件訂正発明7と同様に、甲23B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(7)小括
したがって請求人の主張する無効理由5及び証拠方法によっては、本件訂正発明1、4?11及び13?15についての特許を無効とすることはできない。

8 無効理由6についての当審の判断
(1)本件訂正発明1(発光装置の製造方法)
ア (対比1:甲3)本件訂正発明1と甲3A発明とを対比する。
(ア)甲3A発明の「リードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物」を「所定の位置でリードフレームを切り出し」たものは、本件訂正発明1の「リードと一体に形成された樹脂部とを有」する「樹脂パッケージ」に相当する。

(イ)甲3A発明の「表面実装型発光装置」は、本件訂正発明1の「発光装置」に相当する。

(ウ)甲3A発明の「第1の樹脂成形体40」「形成」後、「リードフレームのアウターリード部21b、31bに相当する部分にメッキ処理を施し」、また、「前記発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード21及び第2のリード31の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともでき」るものであることと、
本件訂正発明1の「全面に銀メッキ処理が施されたリードフレーム」とは、
共に「リードフレームは、銀メッキ処理が施されたものである」点で共通する。

(エ)甲3A発明の「下金型121へリードフレームを固定し、上金型121でリードフレームを挟み込」むことは、本件訂正発明1の「前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程」に相当する。

(オ)甲3A発明の「前記第1のリード21及び前記第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げ、第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止」していることにおいて、該凹凸は、リードフレームの状態の際に設けられているものであり、該凹凸の凹部には、第1の樹脂成形体40の一部が充填されているものといえるから、甲3A発明は、本件訂正発明1の「リードフレーム」に設けられた「切り欠き部」に「熱硬化性樹脂を充填させ」た構成を有しているといえる。

(カ)甲3A発明の
「第1の樹脂成形体40の」「材質は熱硬化性樹脂であり、反射性物質を混合したものであ」って、
「第1の樹脂成形体40に相当するエポキシ樹脂組成物を金型内へ流し込み仮硬化し、
エポキシ樹脂組成物の半硬化物を金型内から取り出し、
取り出した後、本硬化し、
リードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームを得、
第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成しており、 底面40aはリードフレームが露出して」いることは、上記(オ)の相当関係を踏まえると、
本件訂正発明1の
「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」とは、
共に「前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程」である点で共通する。

(キ)甲3A発明の「次に、凹部40cの底面40aに発光素子10をダイボンド」することは、「発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用い、前記発光素子の発光波長は、450nm以上475nm以下が好まし」いことから、本件訂正発明1の「前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程」に相当する。

(ク)甲3A発明の「次にYAG系蛍光体80を均一に混合した、第2の樹脂成形体50に相当するシリコーン樹脂を凹部40cの上面まで滴下」することは、本件訂正発明1の「前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂」「を充填する工程」
に相当する。

(ケ)甲3A発明の「最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bとを形成する」ことは、本件訂正発明1の「複数の発光装置に分離する工程」に相当する。

(コ)本件訂正発明1と甲3A発明とを対比すると、本件訂正発明1と甲3A発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

a (一致点1:甲3)
「第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有する、樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
銀メッキ処理が施されたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、
前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂を充填する工程と、
複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。」

b (相違点1:甲3-1 「光反射率」)
「樹脂部」が、本件訂正発明1では「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であ」るのに対し、
甲3A発明では、熱硬化後の光反射率が不明である点。

c (相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)
本件訂正発明1では「互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージ」であるのに対し、
甲3A発明では、「リードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物」を「所定の位置でリードフレームを切り出し」たものは、「第1の樹脂成形体40の主面側の形状は矩形であ」るものの、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されるものではなく、アウターリード部が露出した2つの面と、エポキシ樹脂組成物の完全硬化物のみからなる2つの面が形成されたものであり、上面視で矩形であるとはいえない点。

d (相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)
本件訂正発明1では、「リードフレーム」において、「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ」、「前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する」ものであり、「前記切り欠き部を含めた」空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させており、
「複数の発光装置に分離する工程」において、「隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」ようにしている。
それに対し、甲3A発明は、「第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げ、第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止」するためにリードフレームに凹凸を設け、
リードフレームに設けられた凹凸部の凹部が、本件訂正発明1の「切り欠き部」のように4つの外側面となる位置に沿って形成されたものではなく、第1のリード21及び第2のリード31に設けた凹凸の凹部に充填された第1の樹脂成形体40の一部が、互いに分離し外側面で露出するものではなく、かつ、切断されることにより第1の樹脂成形体40とリードが略同一面を形成するものではなく、「第1の樹脂成形体40の外側面は、金型により形成されたものであり、」「最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部21bと第2のアウターリード部31bとを形成」している点。

e (相違点1:甲3-4 「メッキ処理の箇所とタイミング」)
本件訂正発明1では、「リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程」の前に、「リードフレーム」は、「全面に銀メッキ処理が施され」ているのに対し、
甲3A発明では、「第1の樹脂成形体40」「形成」後、「リードフレームのアウターリード部21b、31bに相当する部分にメッキ処理」が施され、また、「前記発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード21及び第2のリード31の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともでき」るものであって、メッキ処理がリードフレームの「全面」に施されるかどうかは不明であり、光の反射率を向上させるためのメッキ処理がどのタイミングで施されるのか不明である点。

イ 判断
(ア)(相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)及び(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)についての判断

甲3A発明は、本件訂正発明1と(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)の相違点を有している。
また、本件訂正発明1では、切断の結果外形の形状が形成されるものであり、切断と形状は密接に関連する事項であるから、形状についての相違点である(相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)についても(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)と併せて検討する。

本件特許明細書の【0016】【0078】等の記載から、本件訂正発明における「切り欠き部」意義は、
a 切断の際に、切断されるリードフレーム21を少なくし、リードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制するとの意義
b リードフレームと熱硬化性樹脂との密着面積が大きくなり(切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため)、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性(接合強度)を向上する意義
c リードフレームの軽量化の意義
との意義を総合したものである。
一方、甲3の【0110】に「この表面実装型発光装置は、第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げている。これにより第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止することができる。」との記載がある。この記載から、第1のリード21及び第2のリード31に設けられた凹凸は、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げることでリードが抜脱するのを防止するためのものであり、本件訂正発明1における「切り欠き部」の意義の一つと同じであるといえるが、その他の意義についての記載はない。

ところで、甲3A発明においては、第1の樹脂成形体40の外側面は金型によって形成され、リードフレームの切断工程では、第1の樹脂成形体40は切断される対象ではないから、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離という課題を生じるものではない。
仮に、多数個同時生産のために、甲3A発明において、第1のリード21及び第2のリード31に設けられた凹凸の凹部で切断する態様を採用した場合、外部電極と電気的に接続される部分であり(甲3の【0057】参照)、放熱の役割を担う(甲3の【0043】参照)2つの面から露出しているアウターリードをなくすことになり、金型によって形成していた樹脂成形体40の2つの外側面を切断によって外側面を形成する場合、その切断位置にはリードフレームは存在しないから、リードフレームに設けた凹凸の凹部も存在せず、凹部(切り欠き部)に沿って切断することにはならず、切断されることにより第1の樹脂成形体40とリードが略同一面を形成するものにもならない。よって、仮に、甲3A発明において、第1のリード21及び第2のリード31に設けられた凹凸の凹部で切断する態様を採用したとしても(相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)に係る構成には至らない。
さらに、仮に、甲3A発明において、切断する位置にリードフレームに設けた凹凸の凹部を4つの面に設ける態様を採用した場合、甲3に記載された凹凸は、接触面積を拡げることでリードが抜脱するための構成であり、樹脂とリードの接触面積の観点で凹凸の寸法を調整する動機付けはあるとしても、切断される凹部の長さに関する観点は存在しないから、切断される凹部の長さを全包囲周の約1/2以上となるようにする動機付けは見いだせない。
そして、本件訂正発明1の「切り欠き部」においては、「切り欠き部」が切断部分にあり、全包囲周の約1/2以上であることにより、リードフレームと熱硬化性樹脂との剥離をより抑制するということは、他の甲各号証に記載されておらず、自明とはいえないから、「全包囲周の約1/2以上」とすることが単なる設計事項であるとはいえない。よって、仮に、甲3A発明において、切断する位置にリードフレームに設けた凹凸の凹部を4つの面に設ける態様を採用したとしても、(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)に係る構成が得られるとはいえない。

(イ)以上のとおりであるから、(相違点1:甲3-1 「光反射率」)及び(相違点1:甲3-4 「メッキ処理の箇所とタイミング」)について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲3A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(2)本件訂正発明4ないし6(発光装置の製造方法)
本件訂正発明4ないし6は、本件訂正発明1の構成を全て含む発光装置の製造方法であるから、本件訂正発明4ないし6は、甲3A発明と(相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)及び(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)と同じ相違点を有するものである。
そして、(相違点1:甲3-3)についての判断は、上記(1)ウのとおりであるから、本件訂正発明4ないし6は、当業者が甲3A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(3)本件訂正発明7(発光装置)
ア 本件訂正発明7と甲3B発明とを上記(1)アと同様に対比すると、本件訂正発明7と甲3B発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(ア)(一致点7:甲3)
「第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは、表面の一部にに銀メッキ処理が施されており、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置されており、
前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填されていおり、
前記リードは、切り欠き部を有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されている、
発光装置。」

(イ)(相違点7:甲3-1 光反射率)
「樹脂部」が、本件訂正発明7では「熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であ」るのに対し、
甲3B発明では、熱硬化後の光反射率が不明である点。

(ウ)(相違点7:甲3-2 樹脂部とリードの形状)
本件訂正発明7では「互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージ」であるのに対し、
甲3B発明では、「リードフレームと一体成形されたエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレーム」は、「第1の樹脂成形体40の主面側の形状は矩形であ」るものの、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されるものではなく、アウターリード部が露出した2つの面と、エポキシ樹脂組成物の完全硬化物のみからなる2つの面が形成されたものであり、上面視で矩形であるとはいえない点。

(エ)(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)
本件訂正発明7では、
「リード」は、「対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し」、
「前記切り欠き部」は、「前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有」し、
「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」のに対し、
甲3B発明の第1のリード21及び第2のリード31に設けた凹凸の凹部は、4つの外側面となる位置に設けられたものではなく、第1のリード21及び第2のリード31に設けた凹凸の凹部に充填された第1の樹脂成形体40の一部が、互いに分離し外側面で露出するものではない点。

(オ)(相違点7:甲3-4 「メッキ処理の箇所」)
本件訂正発明7では、「リード」は、「外側面を除く全面に銀メッキ処理が施され」ているのに対し、
甲3B発明では、「アウターリード部21b、31bに相当する部分にメッキ処理」が施され、また、「前記発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード21及び第2のリード31の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともでき」るものであって、メッキ処理がリードの「外側面を除く全面」に施されるかどうかは不明である点。

イ 判断
(ア)(相違点7:甲3-2 樹脂部とリードの形状)及び(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)についての判断

甲3B発明は、本件訂正発明7と(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)の相違点を有している。
また、本件訂正発明7では、分離の結果外形の形状が形成されたものであり、分離と形状は密接に関連する事項であるから、形状についての相違点である(相違点7:甲3-2 樹脂部とリードの形状)についても(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)と併せて検討する。

本件訂正発明7は、
4つの外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成され、上面視で矩形である「樹脂パッケージ」であり、
「リード」は、4つの外側面となる位置の各々に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって「切り欠き部」を有し、
「前記切り欠き部」は、前記外側面において互いに分離した、4つの外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有し、
「前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している」。

一方、甲3B発明では、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されるものではなく、アウターリード部が露出した2つの面と、エポキシ樹脂組成物の完全硬化物のみからなる2つの面が形成されたものであり、上面視で矩形であるとはいえず(相違点7:甲3-2 樹脂部とリードの形状)、
第1のリード21及び第2のリード31に設けた凹凸の凹部は、4つの外側面となる位置に設けられたものではなく、第1のリード21及び第2のリード31に設けた凹凸の凹部に充填された第1の樹脂成形体40の一部が、互いに分離し外側面で露出するものではない(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)。

この相違点7:甲3-2 樹脂部とリードの形状)及び(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)についての相違点と、本件訂正発明1と甲3A発明との相違点である前記(相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)及び(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)についての相違点とは、物としての相違点か、方法としての相違点かの違いはあるものの、
どちらも
甲3A、B発明では、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されるものではなく、アウターリード部が露出した2つの面と、エポキシ樹脂組成物の完全硬化物のみからなる2つの面が形成されたものであり、上面視で矩形であるとはいえず(相違点1:甲3-2、相違点7:甲3-2)、
第1のリード21及び第2のリード31に設けた凹凸の凹部は、4つの外側面となる位置に設けられたものではなく、第1のリード21及び第2のリード31に設けた凹凸の凹部に充填された第1の樹脂成形体40の一部が、互いに分離し外側面で露出するものではない(相違点1:甲3-3、相違点7:甲3-3)という
相違点では共通するから、(相違点1:甲3-2)、(相違点1:甲3-3)の判断と(相違点7:甲3-2)、(相違点7:甲3-3)ついての判断は同じである。
よって、前記(相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)及び(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)についての判断と同様に、甲3B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項から、(相違点7:甲3-2 樹脂部とリードの形状)及び(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)に係る構成が得られるとはいえない。
そして、本件訂正発明7は(相違点7:甲3-2)、(相違点7:甲3-3)に係る構成を採用することで、甲各号証から予測し得ない、切断の際のリードフレームと樹脂成形体との剥離を抑制する効果を奏するものであるから、(相違点7:甲3-2)、(相違点7:甲3-3)に係る構成は単なる設計事項程度のものとはいえない。

(イ)以上のとおりであるから、(相違点7:甲3-1 光反射率)及び(相違点7:甲3-4 「メッキ処理の箇所」)について検討するまでもなく、本件訂正発明7は、甲3B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(4)本件訂正発明8ないし10、14及び15
本件訂正発明8ないし10は、本件訂正発明7を更に限定した発光装置であり、本件訂正発明14は、本件訂正発明7の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であり、また、本件訂正発明15は、本件訂正発明7の発光装置を製造するための樹脂成形体である。
そして、本件訂正発明8ないし10、14及び15は、本件訂正発明7と同様に、甲3B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(5)本件訂正発明11(樹脂パッケージの製造方法)
本件訂正発明11と甲3A発明とを対比すると、本件訂正発明11と甲3A発明とは、少なくとも上記(相違点1:甲3-2 「樹脂部とリードの形状」)及び(相違点1:甲3-3 「切り欠き部」の位置、切断される対象、露出面関連)と同じ相違点がある。
そして、本件訂正発明11は、上記(相違点1:甲3-2 )及び(相違点1:甲3-3)を有する本件訂正発明1と同様に、甲3A発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(6)本件訂正発明13(樹脂パッケージ)
本件訂正発明13と甲3B発明とを対比すると、本件訂正発明13と甲3B発明とは、少なくとも上記(相違点7:甲3-2 樹脂部とリードの形状)及び(相違点7:甲3-3 「切り欠き部」、「分離の対象」、「露出面」関連)と同じ相違点がある。
そして、本件訂正発明13は、上記(相違点7:甲3-2 )及び(相違点7:甲3-3)を有する本件訂正発明7と同様に、甲3B発明及び他の甲各号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。

(7)小括
したがって請求人の主張する無効理由6及び証拠方法によっては、本件訂正発明1、4?11及び13?15についての特許を無効とすることはできない。

第8 むすび
以上のとおり、本件訂正発明1、4?11及び13?15についての特許は、無効理由1ないし6によっては、無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、
対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームであって、前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子を載置する工程と、
前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂を充填する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記樹脂パッケージの外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の孔を前記外側面となる位置に有し、
前記切断する工程において、前記孔を通って前記リードフレームを切断する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記リードフレームは、少なくとも1つ以上の溝を有し、
前記切断する工程において、前記溝を通って前記リードフレームを切断する請求項1又は4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記上金型と下金型とは、前記発光素子が載置される部分、若しくは、前記孔部の近傍の部分のリードフレームを挟み込んでいる請求項1、4又は5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージを有する発光装置であって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
前記樹脂パッケージに、内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
前記凹部の前記内底面に、発光ピーク波長が420nm?480nmにある窒化物半導体発光素子が載置されており、
前記凹部に封止部材としてのシリコーン樹脂または変性シリコーン樹脂が充填されており、
前記樹脂パッケージの外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面の各々に沿って、前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記切り欠き部は、前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している、
発光装置。
【請求項8】
前記樹脂パッケージは、四隅のみからリードが露出されている請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記樹脂パッケージは、底面側から視認して四隅が弧状に形成されている請求項7又は8のいずれかに記載の発光装置。
【請求項10】
前記リードは、前記外側面及び外底面より凹んだ段差が設けられている請求項7乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成された樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージの製造方法であって、
対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面となる位置の各々に沿って、製造される前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部が設けられ、全面に銀メッキ処理が施されたリードフレームであって、前記切り欠き部が、前記外側面となる位置において互いに分離した、前記第1外側面となる位置に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面となる位置に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面となる位置に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面となる位置に沿って形成された第4切り欠き部とを有する前記リードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が内底面に露出した複数の凹部が形成され、かつ前記リードフレームの底面が外底面に露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成する工程と、
隣り合う前記凹部の間で、前記切り欠き部に沿って前記樹脂成形体と前記リードフレームとを、前記切り欠き部内に充填された前記熱硬化性樹脂が、切断によって互いに分離されて、分離後の各樹脂パッケージの前記外側面に露出するように切断することにより、前記外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成され、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している複数の樹脂パッケージに分離する工程と、
を有する樹脂パッケージの製造方法。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、第1リードと第2リードとを有するリードと、前記リードと一体に形成され、光反射性物質を含む熱硬化性樹脂からなる樹脂部とを有し、互いに対向する第1外側面及び第2外側面と、互いに対向する第3外側面及び第4外側面とを有する外側面において前記樹脂部と前記リードとが略同一面に形成されている、上面視で矩形である樹脂パッケージであって、
前記リードは底面及び上面を含む、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されており、かつ、前記外側面は銀メッキ処理が施されておらず、
内側面が前記樹脂部から成り、内底面に前記リードの上面の一部が露出した凹部が形成され、
外底面に前記リードの底面が露出しており、
前記リードは、対向する二つの前記第1外側面および前記第2外側面と、対向する二つの前記第3外側面および前記第4外側面の各々に沿って、前記樹脂パッケージの全包囲周の1/2以上にわたって切り欠き部を有し、前記切り欠き部は、前記外側面において互いに分離した、前記第1外側面に沿って形成された第1切り欠き部と、前記第2外側面に沿って形成された第2切り欠き部と、前記第3外側面に沿って形成された第3切り欠き部と、前記第4外側面に沿って形成された第4切り欠き部とを有し、
前記リードと一体に形成された前記樹脂部の一部が前記切り欠き部内に充填されて前記外側面で露出しており、かつ、前記第1リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第3外側面に露出し、前記第2リードが前記第1外側面、前記第2外側面および前記第4外側面に露出している、
樹脂パッケージ。
【請求項14】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、リードフレームの一部が露出されている、リードフレームと一体に形成された、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体の製造方法であって、
縦横両方において、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が形成される2つの位置の間に、切り欠き部を一列のみ有する前記リードフレームの全面に銀メッキ処理を施す工程と、
前記リードフレームを用い、前記樹脂成形体において隣り合う前記凹部が成形される位置に凸部を有する上金型と下金型とでリードフレームを挟み込む工程と、
前記上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、前記リードフレームを前記上金型と下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に前記熱硬化性樹脂を充填させた後、前記熱硬化性樹脂を硬化させて、前記リードフレームの上面の一部が前記内底面に露出した複数の前記凹部が形成され、かつ、前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に前記樹脂成形体を形成する工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。
【請求項15】
熱硬化後の、波長350nm?800nmにおける光反射率が70%以上であり、リードフレームと一体に形成され、凹部が複数形成され、該凹部の内底面は、前記リードフレームの上面の一部が露出されている、請求項7に記載の発光装置を製造するための樹脂成形体であって、
前記リードフレームは、底面および上面を含む全面に銀メッキ処理が施されており、
前記リードフレームの底面が露出しており、
前記リードフレームは、縦横両方において前記凹部同士の間に切り欠き部を一列のみ有しており、該切り欠き部に前記樹脂成形体となる熱硬化性樹脂が充填されており、前記熱硬化性樹脂からなる前記樹脂成形体は前記リードフレームの上面にも形成されて隣り合う凹部の間に側壁を有している
樹脂成形体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-04-03 
結審通知日 2019-04-08 
審決日 2019-05-09 
出願番号 特願2008-225408(P2008-225408)
審決分類 P 1 113・ 536- YAA (H01L)
P 1 113・ 121- YAA (H01L)
P 1 113・ 537- YAA (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 吉美  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 近藤 幸浩
森 竜介
登録日 2013-03-15 
登録番号 特許第5217800号(P5217800)
発明の名称 発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法  
代理人 言上 惠一  
代理人 片山 健一  
代理人 鮫島 睦  
代理人 重松 文子  
代理人 山尾 憲人  
代理人 田村 啓  
代理人 玄番 佐奈恵  
代理人 玄番 佐奈恵  
代理人 上山 浩  
代理人 宮原 正志  
代理人 鮫島 睦  
代理人 言上 惠一  
代理人 重松 文子  
代理人 山尾 憲人  
代理人 宮原 正志  
代理人 田村 啓  
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