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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G06Q
審判 全部無効 2項進歩性  G06Q
管理番号 1356312
審判番号 無効2018-800057  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2018-05-09 
確定日 2019-10-23 
事件の表示 上記当事者間の特許第6154978号発明「金融商品取引管理装置、金融商品取引管理システム、金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件の特許第6154978号についての手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

出願(特願2017-74472号) 平成29年4月4日
(原出願(特願2015-222090号) 平成27年11月12日)
(原々出願(特願2015-075797号) 平成27年4月2日)
(原々々出願(特願2014-094833号)平成26年5月1日)
(優先日 (特願2014-077354号) 平成26年4月3日)
設定登録 平成29年6月9日
本件無効審判請求 平成30年5月9日
審判事件答弁書提出 平成30年8月10日
審理事項通知 平成30年10月5日付け
口頭審理陳述要領書提出(請求人) 平成30年10月26日
口頭審理陳述要領書提出(被請求人) 平成30年10月26日
審理事項通知 平成30年11月2日付け
口頭審理陳述要領書提出(請求人) 平成30年11月26日
口頭審理陳述要領書提出(被請求人) 平成30年11月26日
口頭審理 平成30年12月6日

第2 本件発明
特許第6154978号の請求項1乃至12に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本件発明1」といい、その他の請求項に係る発明も同様に称する。)は、特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。(なお、(1A)等の分説記号は、両当事者が提出した各種書類において用いられているものを合議体が便宜上付与したものである。)

<本件発明>
「【請求項1】
(1A)相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置であって、
(1B)前記金融商品の買い注文を行うための複数の買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段と、
(1C)前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段と
(1D)を有する注文情報生成手段と、
(1E)前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段とを備え、
(1F)前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、
(1G)前記注文情報生成手段は、前記複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し、
(1H)前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成することを特徴とする
(1I)金融商品取引管理装置。

【請求項2】
(2A)前記売り注文情報は、前記売り注文を約定させる基準となる価格として設定された売り注文価格に対し、相場価格が、前記売り注文価格を超えて上昇したのちに再度前記売り注文価格に一致した後に前記売り注文が約定するように設定され、
(2B)前記買い注文情報と前記売り注文情報のうち、前記売り注文情報のみがトレール幅情報を備え、
(2C)前記売り注文情報の前記売り注文価格は、前記トレール幅情報に基づいて上昇方向に移動されることで、買い注文価格から離間する方向に移動するように設定されて、
(2D)前記注文情報生成手段は、前記買い注文情報の生成及び約定による前記ポジションの保有と、前記売り注文情報の生成及び約定による前記ポジションの決済とが行われると、新たな前記買い注文情報の生成と、新たな前記売り注文情報の生成とを繰り返し行い、生成された前記新たな前記買い注文情報の約定による新たな前記ポジションの保有と、生成された前記新たな売り注文情報の約定による新たな前記ポジションの決済とが繰り返し行われることを特徴とする
(2E)請求項1に記載の金融商品取引管理装置。

【請求項3】
(3A)相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置であって、
(3B)前記金融商品の売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段と、
(3C)前記売り注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する買い注文を行うための複数の買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段と
(3D)を有する注文情報生成手段と、
(3E)前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段とを備え、
(3F)前記複数の買い注文情報に含まれる買い注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、
(3G)前記注文情報生成手段は、前記複数の買い注文情報を一の注文手続で生成し、
(3H)前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の買い注文のうち、最も低い買い注文価格の買い注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の買い注文のうち最も低い買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報を生成することを特徴とする
(3I)金融商品取引管理装置。

【請求項4】
(4A)前記買い注文情報は、前記買い注文を約定させる基準となる価格として設定された買い注文価格に対し、相場価格が、前記買い注文価格を超えて下落したのちに再度前記買い注文価格に一致した後に前記買い注文が約定するように設定され、
(4B)前記売り注文情報と前記買い注文情報のうち、前記買い注文情報のみがトレール幅情報を備え、
(4C)前記買い注文情報の前記買い注文価格は、前記トレール幅情報に基づいて下落方向に移動されることで、売り注文価格から離間する方向に移動するように設定されて、
(4D)前記注文情報生成手段は、前記売り注文情報の生成及び約定による前記ポジションの保有と、前記買い注文情報の生成及び約定による前記ポジションの決済とが行われると、新たな前記売り注文情報の生成と、新たな前記買い注文情報の生成とを繰り返し行い、生成された前記新たな前記売り注文情報の約定による新たな前記ポジションの保有と、生成された前記新たな買い注文情報の約定による新たな前記ポジションの決済とが繰り返し行われることを特徴とする
(4E)請求項3に記載の金融商品取引管理装置。

【請求項5】
(5A)相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理システムであって、
(5B)前記金融商品の買い注文を行うための複数の買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段と、
(5C)前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段と
(5D)を有する注文情報生成手段と、
(5E)前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段とを備え、
(5F)前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、
(5G)前記注文情報生成手段は、前記複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し、
(5H)前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の売り注文情報を生成することを特徴とする
(5I)金融商品取引管理システム。

【請求項6】
(6A)前記売り注文情報は、前記売り注文を約定させる基準となる価格として設定された売り注文価格に対し、相場価格が、前記売り注文価格を超えて上昇したのちに再度前記売り注文価格に一致した後に前記売り注文が約定するように設定され、
(6B)前記買い注文情報と前記売り注文情報のうち、前記売り注文情報のみがトレール幅情報を備え、
(6C)前記売り注文情報の前記売り注文価格は、前記トレール幅情報に基づいて上昇方向に移動されることで、買い注文価格から離間する方向に移動するように設定されて、
(6D)前記注文情報生成手段は、前記買い注文情報の生成及び約定による前記ポジションの保有と、前記売り注文情報の生成及び約定による前記ポジションの決済とが行われると、新たな前記買い注文情報の生成と、新たな前記売り注文情報の生成とを繰り返し行い、生成された前記新たな前記買い注文情報の約定による新たな前記ポジションの保有と、生成された前記新たな売り注文情報の約定による新たな前記ポジションの決済とが繰り返し行われることを特徴とする
(6E)請求項5に記載の金融商品取引管理システム。

【請求項7】
(7A)相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理システムであって、
(7B)前記金融商品の売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段と、
(7C)前記売り注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する買い注文を行うための複数の買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段と
(7D)を有する注文情報生成手段と、
(7E)前記複数の買い注文情報に含まれる買い注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、
(7F)前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段とを備え、
(7G)前記注文情報生成手段は、前記複数の買い注文情報を一の注文手続で生成し、
(7H)前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の買い注文のうち、最も低い買い注文価格の買い注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の買い注文のうち最も低い買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報を生成することを特徴とする
(7I)金融商品取引管理システム。

【請求項8】
(8A)前記買い注文情報は、前記買い注文を約定させる基準となる価格として設定された買い注文価格に対し、相場価格が、前記買い注文価格を超えて下落したのちに再度前記買い注文価格に一致した後に前記買い注文が約定するように設定され、
(8B)前記売り注文情報と前記買い注文情報のうち、前記買い注文情報のみがトレール幅情報を備え、
(8C)前記買い注文情報の前記買い注文価格は、前記トレール幅情報に基づいて下落方向に移動されることで、売り注文価格から離間する方向に移動するように設定されて、
(8D)前記注文情報生成手段は、前記売り注文情報の生成及び約定による前記ポジションの保有と、前記買い注文情報の生成及び約定による前記ポジションの決済とが行われると、新たな前記売り注文情報の生成と、新たな前記買い注文情報の生成とを繰り返し行い、生成された前記新たな前記売り注文情報の約定による新たな前記ポジションの保有と、生成された前記新たな買い注文情報の約定による新たな前記ポジションの決済とが繰り返し行われることを特徴とする
(8E)請求項7に記載の金融商品取引管理システム。

【請求項9】
(9A)相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法であって、
(9B)前記金融商品の買い注文を行うための複数の買い注文情報が生成される買い注文情報生成手順と、
(9C)該買い注文情報生成手順において生成された前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報が生成される売り注文情報生成手順と
(9D)を有する注文情報生成手順と、
(9E)前記買い注文及び前記売り注文の約定が検知される約定検知手順とを備え、
(9F)前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、
(9G)前記注文情報生成手順においては、前記複数の売り注文情報が一の注文手続で生成され、
(9H)前記相場価格が変動して、前記約定検知手順において、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことが検知されると、前記注文情報生成手順においては、前記約定検知手順における前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の売り注文情報が生成されることを特徴とする
(9I)金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法。

【請求項10】
(10A)前記売り注文情報は、前記売り注文を約定させる基準となる価格として設定された売り注文価格に対し、相場価格が、前記売り注文価格を超えて上昇したのちに再度前記売り注文価格に一致した後に前記売り注文が約定するように設定され、
(10B)前記買い注文情報と前記売り注文情報のうち、前記売り注文情報のみがトレール幅情報を備え、
(10C)前記売り注文情報の前記売り注文価格は、前記トレール幅情報に基づいて上昇方向に移動されることで、買い注文価格から離間する方向に移動するように設定されて、
(10D)前記注文情報生成手順においては、前記買い注文情報の生成及び約定による前記ポジションの保有と、前記売り注文情報の生成及び約定による前記ポジションの決済とが行われると、新たな前記買い注文情報の生成と、新たな前記売り注文情報の生成とが繰り返し行われ、生成された前記新たな前記買い注文情報の約定による新たな前記ポジションの保有と、生成された前記新たな売り注文情報の約定による新たな前記ポジションの決済とが繰り返し行われることを特徴とする
(10E)請求項9に記載の金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法。

【請求項11】
(11A)相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法であって、
(11B)前記金融商品の売り注文を行うための複数の売り注文情報が生成される売り注文情報生成手順と、
(11C)該売り注文情報生成手順において生成された前記売り注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する買い注文を行うための複数の買い注文情報が生成される買い注文情報生成手順と
(11D)を有する注文情報生成手順と、
(11E)前記買い注文及び前記売り注文の約定が検知される約定検知手順とを備え、
(11F)前記複数の買い注文情報に含まれる買い注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、
(11G)前記注文情報生成手順においては、前記複数の買い注文情報が一の注文手続で生成され、
(11H)前記相場価格が変動して、前記約定検知手順において、前記複数の買い注文のうち、最も低い買い注文価格の買い注文が約定されたことが検知されると、前記注文情報生成手順においては、前記約定検知手順における前記検知の情報を受けて、前記複数の買い注文のうち最も低い買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報が生成されることを特徴とする
(11I)金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法。

【請求項12】
(12A)前記買い注文情報は、前記買い注文を約定させる基準となる価格として設定された買い注文価格に対し、相場価格が、前記買い注文価格を超えて下落したのちに再度前記買い注文価格に一致した後に前記買い注文が約定するように設定され、
(12B)前記売り注文情報と前記買い注文情報のうち、前記買い注文情報のみがトレール幅情報を備え、
(12C)前記買い注文情報の前記買い注文価格は、前記トレール幅情報に基づいて下落方向に移動されることで、売り注文価格から離間する方向に移動するように設定されて、
(12D)前記注文情報生成手順においては、前記売り注文情報の生成及び約定による前記ポジションの保有と、前記買い注文情報の生成及び約定による前記ポジションの決済とが行われると、新たな前記売り注文情報の生成と、新たな前記買い注文情報の生成とが繰り返し行われ、生成された前記新たな前記売り注文情報の約定による新たな前記ポジションの保有と、生成された前記新たな買い注文情報の約定による新たな前記ポジションの決済とが繰り返し行われることを特徴とする
(12E)請求項11に記載の金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法。」


第3 無効理由
請求人が主張する無効理由は、以下のとおりである。

無効理由1 特許法第29条第2項(特許法第123条第1項第2号)
(甲1号証に基づく進歩性欠如)

無効理由2 特許法第29条第2項(特許法第123条第1項第2号)
(甲2号証に基づく進歩性欠如 その1)

無効理由3 特許法第29条第2項(特許法第123条第1項第2号)
(甲2号証に基づく進歩性欠如 その2)

無効理由4 特許法第36条第6項第1号
(特許法第123条第1項第4号)(サポート要件違反)


第4 請求人の証拠方法と主張
1 証拠方法
請求人は、証拠方法として、審判請求書に添付して以下の甲第1号証、甲第2号証の1、甲第2号証の2、及び甲第3号証を提出した。
甲第1号証 :特開2011-76511号公報
甲第2号証の1:米国特許出願公開第2002/0194106号公報
甲第2号証の2:米国特許出願公開第2002/0194106号公報の
訳文
甲第3号証 :特開2008-40689号公報

2 請求の趣旨及び主張の概要
(1)請求の趣旨
請求人の請求の趣旨は、「特許第6154978号発明の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項12に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求める。」というものである。

(2)主張の概要
(2-1)無効理由1(甲第1号証を主引例とする進歩性欠如)
ア 本件発明1、本件発明5及び本件発明9について
(ア)構成要件1A、構成要件5A及び構成要件9Aについて
甲第1号証の【0039】及び【0140】の記載からみて,甲第1号証に記載された発明(以下「甲1発明」という。)は,構成要件1A,構成要件5A及び構成要件9Aを備えることが明らかである。(審判請求書第136頁)

(イ)構成要件1B、構成要件1C及び構成要件1D、構成要件5B、構成要件5C及び構成要件5D並びに構成要件9B、構成要件9C及び構成要件9Dについて
甲第1号証の【0045】,【0046】及び【0142】ないし【0144】の記載,及び【図18A】の記載からみて,甲第1号証には,金融商品の買い注文に係る情報及び売り注文に係る情報の組合せである注文情報群を複数生成する注文情報生成手段を備える。
したがって,甲1発明は,構成要件1B,構成要件1C及び構成要件1D,構成要件5B,構成要件5C及び構成要件5D並びに構成要件9B,構成要件9C及び構成要件9Dを備えることが明らかである。(審判請求書第136?138頁)

(ウ)構成要件1E、構成要件5E及び構成要件9Eについて
甲第1号証の【0047】の記載からみて,甲1発明は,構成要件1E,構成要件5E及び構成要件9Eを備えることが明らかである。(審判請求書第139頁)

(エ)構成要件1F、構成要件5F及び構成要件9Fについて
甲第1号証の【0144】の記載,及び【図18A】及び【図19】の記載からみて,売り注文価格の情報は,それぞれ,101.50ドル,102.50ドル,103.50ドル,104.50ドル及び105.50ドルであるから,値幅が1.00ドルである。
したがって,甲1発明は,構成要件1F,構成要件5F,構成要件9Fを備えることが明らかである。(審判請求書第139?140頁)

(オ)構成要件1G、構成要件5G及び構成要件9Gについて
甲第1号証の【0143】の記載,及び【図3】の記載からみて,甲第1号証では,注文確定ボタン43kがクリックされると,注文情報及び注文情報群が生成される。
したがって,甲1発明は,構成要件1G,構成要件5G及び構成要件9Gを備えることが明らかである。(審判請求書第140?141頁)

(カ)構成要件1H、構成要件5H及び構成要件9Hについて
甲第1号証の【0146】【0147】の記載,及び【図7A】【図19】の記載からみて,甲第1号証では,第五の第二注文181u25が約定したことを検知すると,注文情報生成部16が第五の注文情報群181u25(181t25及び181u25)を生成する。
ここで,第五の第二注文181u25の売り価格は,105.50円という最高価格であって,第五の第二注文181u25が約定すると生成される第五の注文情報群181u25における第五の第二注文181u25の売り価格は,105.50円である。したがって,甲1発明は,相場価格が変動して,約定検知手段が,複数の売り注文のうち,最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると,注文情報生成手段は,約定検知手段の検知の情報を受けて,複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格と同じ売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する。
そこで,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲1発明とを対比すると,「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知」すると,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9では,「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成」するのに対し,甲1発明では,「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格」と同じ「売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成」する点で本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲1発明とは相違し(以下「相違点1」という。),残余の点では一致している。(審判請求書第141?143頁)

(キ)構成要件1I、構成要件5I及び構成要件9Iについて
「前記(ア)で述べたとおり,甲1発明は,構成要件1I,構成要件5I及び構成要件9Iを備えることが明らかである。」(審判請求書第144頁)

(ク)相違点の判断(相違点1)
甲第2号証の1の[0085]及び[0086]の記載から,甲第2号証の1には,1株50ドルで買い,これを1株51ドルで売るというLOCK注文に対し,サイクルを指定し,指定したサイクルの数だけLOCK注文を繰り返すこと及び繰り返しに係るLOCK注文において,買い価格及び売り価格を指定したインクリメントだけ上昇させることが記載されている(以下「甲2記載事項1」という。)。
甲2記載事項1は,金融商品の取引のイフダンオーダーに関するものであって,本件特許発明及び甲1発明と技術分野を同一にし,また,甲第1号証において,【0038】ないし【0117】の「[実施の形態1]」には,イフダンオーダー(「トラップトレード」。甲2記載事項1のLOCK注文に対応)が記載されているところ,【0140】ないし【0152】の「[実施の形態3]」では,「この実施の形態3においては、実施の形態1のトラップトレード、実施の形態2のリピートイフダン注文に代えて、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、一の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引することを、複数の価格帯に渡って行う注文形態である『トラップリピートイフダン注文』を行う・・・。」(【0140】)ことが記載されていることからみて,甲2記載事項1を甲1発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。
すなわち,甲2記載事項1を甲1発明に適用し,甲1発明において,繰り返しに係るイフダンオーダーに対し,買い価格及び売り価格を「所定価格」だけインクリメントし,第五の第二注文181u25が約定したことを検知すると,注文情報生成部16が第五の注文情報群181u25(181t25及び181u25)を生成するにあたり,生成した181t25及び181u25の買い価格及び売り価格を「所定価格」だけインクリメントすることは,当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第144?146頁)

イ 本件発明2、本件発明6及び本件発明10について
(ア)構成要件2Aないし構成要件2D、構成要件6Aないし構成要件6D及び構成要件10Aないし構成要件10Dについて
「本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10と甲1発明とを対比すると,本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10は,それぞれ,構成要件2Aないし構成要件2D,構成要件6Aないし構成要件6D及び構成要件10Aないし構成要件10Dを備えるのに対し,甲1発明は,それぞれ,構成要件2Aないし構成要件2C,構成要件6Aないし構成要件6C及び構成要件10Aないし構成要件10Cを備えるが,構成要件2D,構成要件6D及び構成要件10Dを備えない点で本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10と甲1発明とは相違し(以下「相違点2」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第146頁)

(イ)構成要件2E,構成要件6E及び構成要件10Eについて
「前記アで述べたとおり,構成要件2E,構成要件6E及び構成要件10Eは,甲1発明及び甲2記載事項1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第146頁)

(ウ)相違点の判断(相違点2)
甲第3号証の【0055】ないし【0064】の記載からみて,甲第3号証には,トリガートレール注文(【0055】)として,注文情報入力部12に入力されたトレール幅及びトレール相場(トリガーレート(【0057】及び【0058】))に基づき,トレール開始判定部103は,相場価格がトレール逆指値の初期値を超えてトレール相場になると,トレール注文のトレール状態を待機から有効へ変更し(【0059】ないし【0061】及び【0064】),トレール逆指値の売り注文価格は,相場価格の上昇に連れて初期値から上昇し(【0062】),トレール注文は,相場価格がトレール逆指値の売り注文価格を超えて上昇した後に再度売り注文価格に一致した後にトレール逆指値を約定させることが記載されている(【0063】及び【図13】)。
また,甲第3号証の【0092】ないし【0106】の記載からみて,甲第3号証には,イフダンオーダーに対してトリガートレール注文を適用し(【0092】ないし【0095】及び【0104】ないし【0106】),イフダンオーダーにおいて,買い注文が約定すると(【0096】ないし【0100】),トリガートレール注文に係る売り注文が行われることが記載されている(【0101】ないし【0103】及び【図19】)。
ここで,甲第3号証のトレール幅,トレール相場(トリガーレート)及びトレール逆指値は,それぞれ,本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10の「トレール幅情報」,「前記売り注文を約定させる基準となる価格として設定された売り注文価格」及び「前記売り注文」に相当する。
したがって,甲第3号証には,構成要件2Aないし構成要件2C,構成要件6Aないし構成要件6C及び構成要件10Aないし構成要件10Cに係る構成が記載されている(以下「甲3記載事項1」という。)。
甲3記載事項1は,金融商品の取引のイフダンオーダーに関するものであって,本件特許発明及び甲1発明と技術分野を同一にすることからみて,甲3記載事項1を甲1発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第146?155頁)

ウ 本件発明3、本件発明7及び本件発明11について
(ア)構成要件3Aないし構成要件3G及び構成要件3I,構成要件7Aないし構成要件7G及び構成要件7I並びに構成要件11Aないし構成要件11G及び構成要件11Iについて
「本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11は,それぞれ,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9の買い及び売りを逆にしたものである。そして,甲第1号証の【0154】には,「【0154】また、上記各実施の形態の金融商品取引管理システム1Aにおいては、注文情報群を形成する買い注文情報を「第一注文」とし、売り注文情報を「第二注文」としたが、逆に、売り注文情報を「第一注文」とし、買い注文情報を「第二注文」としてもよい。」と記載されていることからみて,前記アで述べたのと同様の理由によって,甲1発明は,構成要件3Aないし構成要件3G及び構成要件3I,構成要件7Aないし構成要件7G及び構成要件7I並びに構成要件11Aないし構成要件11G及び構成要件11Iを備えることが明らかである。」(審判請求書第155頁)

(イ)構成要件3H,構成要件7H及び構成要件11Hについて
「前記(ア)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲1発明とを対比すると,「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の買い注文のうち、最も低い買い注文価格の買い注文が約定されたことを検知」すると,本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11では,「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の買い注文のうち最も低い買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報を生成」するのに対し,甲1発明では,「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の買い注文のうち最も低い買い注文価格」と同じ「買い注文価格の買い注文情報を生成」する点で本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲1発明とは相違し(以下「相違点3」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第156頁)

(ウ)相違点の判断(相違点3)
甲第2号証の1の[0078]の記載からみて,甲第2号証の1では,買った金融商品を売るのか,それとも,売った金融商品を買うのかが置換可能であることが明らかである。
したがって,前記ア・(ク)で述べたのと同様の理由によって,甲第2号証の1には,ある価格で金融商品を売り,これをある価格より低い価格で売るというLOCK注文に対し,サイクルを指定し,指定したサイクルの数だけLOCK注文を繰り返すこと及び繰り返しに係るLOCK注文において,売り価格及び買い価格を指定したインクリメントだけ低下させることが記載されている(以下「甲2記載事項2」という。)。
そして,前記ア・(ク)で述べたのと同様の理由によって,甲2記載事項2を甲1発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第156?157頁)

エ 本件発明4,本件発明8及び本件発明12について
(ア)構成要件4Aないし構成要件4D,構成要件8Aないし構成要件8D及び構成要件12Aないし構成要件12Dについて
「本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12は,それぞれ,本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10の買い及び売りを逆にしたものである。
したがって,前記イ・(ア)及び前記ウ・(ア)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12と甲1発明とを対比すると,本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12は,それぞれ,構成要件4Aないし構成要件4D,構成要件8Aないし構成要件8D及び構成要件12Aないし構成要件12Dを備えるのに対し,甲1発明は,それぞれ,構成要件4Aないし構成要件4C,構成要件8Aないし構成要件8C及び構成要件12Aないし構成要件12Cを備えるが,構成要件4D,構成要件8D及び構成要件12Dを備えない点で本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12と甲1発明とは相違し(以下「相違点4」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第157?158頁)

(イ)構成要件4E,構成要件8E及び構成要件12Eについて
「前記ウで述べたとおり,構成要件4E,構成要件8E及び構成要件12Eは,甲1発明及び甲2記載事項2に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第158頁)

(ウ)相違点の判断(相違点4)
「前記イ・(ウ)及び前記ウ・(ア)で述べたのと同様の理由によって,甲第3号証には,構成要件4Aないし構成要件4C,構成要件8Aないし構成要件8C及び構成要件12Aないし構成要件12Cに係る構成が記載されている(以下「甲3記載事項2」という。)。
甲3記載事項2は,金融商品の取引のイフダンオーダーに関するものであって,本件特許発明及び甲1発明と技術分野を同一にすることからみて,甲3記載事項2を甲1発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第158頁)

(2-2)無効理由2(甲第2号証の1を主引例とする進歩性欠如(その1))
ア 本件発明1、本件発明5及び本件発明9について
(ア)構成要件1A、構成要件5A及び構成要件9Aについて
甲第2号証の1の[0004],[0085]ないし[0088]の記載からみて,甲第2号証の1には,株式等のためのアプリケーションであって,投資家のコンピュータ46に設けたLOCK管理ソフトウェアモジュール12によって,LOCK方法による株式の売買を再度自動的に繰り返すことが記載されている。
したがって,甲第2号証の1に記載された発明(以下「甲2発明」という。)は,構成要件1A,構成要件5A及び構成要件9Aを備えることが明らかである。(審判請求書第159?160頁)

(イ)構成要件1B、構成要件5B及び構成要件9Bについて
甲第2号証の1の[0078]ないし[0080]及び[0083]の記載からみて,甲第2号証の1には,投資家から買い又は売りの別,証券銘柄,証券の量,成行注文又は指値注文の別([0078])及びLOCK値([0079])の指示を受け付けると,投資家からの買い又は売りの指示に対し,パート1で買い又は売りを行い,パート2で売り又は買いを行う([0080])ところ,投資家が行ったLOCK注文がLOCK管理モジュール処理12に入力され,パート1の注文(LOCK注文の前半)が行われ,これが約定すると,パート2の注文(LOCK注文の後半)が行われ,これが約定すると,LOCKトランザクションの完了を通知すること([0083])が記載されている。
ここで,甲第2号証の1では,投資家からの買い又は売りの別が買いだった場合,これがLOCK管理モジュール処理12に入力されることによって,買い注文が行われる。そして,買い注文を行うためには,買い注文情報が存在することが明らかであるから,甲第2号証の1のLOCK管理モジュール処理12が「前記金融商品の買い注文を行うための・・・買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段」を有することが明らかである。
また,前記(ア)で述べたとおり,甲第2号証の1の[0086]には,・・・(中略)・・・と記載されている。
甲第2号証の1の[0086]の記載からみて,甲第2号証の1のLOCK処理は,自動的に繰り返されるところ,甲第2号証の1の[0086]の例のとおり,LOCK価格,サイクル数及び価格インクリメントを指定すると,(1)50.00ドルで買う,(2)51.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル),(3)50.50ドルで買う(インクリメントが0.50ドル),(4)51.50ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル),(5)51.00ドルで買う(インクリメントが0.50ドル)及び(6)52.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル)という取引を行う((1)及び(2),(3)及び(4)並びに(5)及び(6)という買い注文及び売り注文の組が3サイクル)。すなわち,買い注文は,(1),(3)及び(5)の3個であるから,買い注文情報は,3個すなわち複数生成されている。
したがって,甲2発明は,構成要件1B,構成要件5B及び構成要件9Bを備える。(審判請求書第160?165頁;丸数字の代わりに(1)、(2)等を用いる。以下同様。)

(ウ)構成要件1C、構成要件5C及び構成要件9Cについて
「甲第2号証の1には,投資家から買い又は売りの別,証券銘柄,証券の量,成行注文又は指値注文の別([0078])及びLOCK値([0079])の指示を受け付けると,投資家からの買い又は売りの指示に対し,パート1で買い又は売りを行い,パート2で売り又は買いを行う([0080])ところ,投資家が行ったLOCK注文がLOCK管理モジュール処理12に入力され,パート1の注文(LOCK注文の前半)が行われ,これが約定すると,パート2の注文(LOCK注文の後半)が行われ,これが約定すると,LOCKトランザクションが完了すること([0083])が記載されている。
ここで,投資家からの買い又は売りの別の指示が買いだった場合,これがLOCK管理モジュール処理12に入力されることによって,買い注文が行われ,これを受けて,売り注文が行われる。そして,売り注文を行うためには,売り注文情報が存在することが明らかであるから,LOCK管理モジュール処理12が「前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための・・・売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段」を有することが明らかである。
また,前記(イ)で述べたとおり,甲第2号証の1において,売り注文は,(2),(4)及び(6)の3個であるから,売り注文情報は,3個すなわち複数生成されている。
したがって,甲2発明は,構成要件1C,構成要件5C及び構成要件9Cを備える。」(審判請求書第165頁)

(エ)構成要件1D、構成要件5D及び構成要件9Dについて
「甲第2号証の1のLOCK管理モジュール処理12は,買い注文情報生成手段及び売り注文情報生成手段を有するので,甲2発明は,構成要件Dを備えることが明らかである。」(審判請求書第165?166頁)

(オ)構成要件1E、構成要件5E及び構成要件9Eについて
甲第2号証の1の[0083]の記載からみて,甲第2号証の1において,LOCK管理モジュール12のソフトウェアインターフェースは,パート1の注文(LOCK注文の前半)が満たされたことを検知すると,パート2の注文(LOCK注文の後半)を行い,これが満たされたことを検知すると,LOCKトランザクションの完了を通知することが記載されている。
ここで,LOCK管理モジュール12のソフトウェアインターフェースは,パート1の注文が満たされたことを検知すると,パート2の注文を行っていることからみて,注文が満たされるとは,注文が約定したことを意味することが明らかである。そうすると,LOCK管理モジュール12のソフトウェアインターフェースは,買い又は売りに係るパート1の注文及び売り又は買いに係るパート2の注文の約定を検知している。
したがって,甲2発明は,構成要件1E,構成要件5E及び構成要件9Eを備えることが明らかである。(審判請求書第166?167頁)

(カ)構成要件1F、構成要件5F及び構成要件9Fについて
「甲第2号証の1において,売り注文は,(2),(4)及び(6)の3個であるから,売り注文情報は,3個すなわち複数生成されている。ここで,(2),(4)及び(6)の売り注文は,それぞれ,「(2)51.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル)」,「(4)51.50ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル)」及び「(6)52.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル)」であるので,「等しい値幅で価格が異なる」。
したがって,甲2発明は,構成要件1F,構成要件5F及び構成要件9Fを備えることが明らかである。」(審判請求書第167頁)

(キ)構成要件1G、構成要件5G及び構成要件9Gについて
「甲第2号証の1において,売り注文は,(2),(4)及び(6)の3個であるから,売り注文情報は,3個すなわち複数生成されている。ここで,(4)の売り注文は,(3)の買い注文が約定してから行われることからみて,(4)の売り注文情報は,少なくとも(2)の売り注文情報と同時に生成されていない。同様のことは,(6)の売り注文情報にもあてはまるので,(2),(4)及び(6)の売り注文情報は,「一の注文手続で生成し」ない。
したがって,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とを対比すると,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9では,「複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し」ているのに対し,甲2発明では,「複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し」ない点で本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とは相違し(以下「相違点5」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第167?168頁)

(ク)構成要件1H、構成要件5H及び構成要件9Hについて
「甲第2号証の1では,「(1)50.00ドルで買う,(2)51.00ドルで売る,(3)50.50ドルで買う,(4)51.50ドルで売る,(5)51.00ドルで買う及び(6)52.00ドルで売るという取引を行う((1)及び(2),(3)及び(4)並びに(5)及び(6)という買い注文及び売り注文の組が3サイクル)。」ところ,(3)及び(4)は,(2)の約定の後に行われ,(5)及び(6)は,(4)の約定の後に行われていることからみて,(3)及び(4)は,(2)の約定の検知を受けて行われ,(5)及び(6)は,(4)の約定の検知を受けて行われていることが明らかである。
したがって,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とを対比すると,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9では,「複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたこと」の「検知」がなされると,「複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の売り注文情報」の生成がなされるのに対し,甲2発明では,複数の売り注文のうちの売り注文が約定されたことの検知がなされると,約定に係る売り注文の売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の売り注文情報が生成される点で本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とは相違し(以下「相違点6」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第168?169頁)

(ケ)構成要件1I、構成要件5I及び構成要件9Iについて
「前記(ア)で述べたとおり,甲2発明は,構成要件1I,構成要件5I及び構成要件9Iを備えることが明らかである。」(審判請求書第169頁)

(コ)相違点の判断(相違点5及び相違点6)
a 相違点5について
甲第1号証の【0139】ないし【0147】及び【0151】ないし【0153】の記載からみて,甲第1号証には,1の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引することに代えて,複数の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引するものであって(【0140】ないし【0147】及び【0151】),複数の価格帯における買い注文情報及び売り注文情報は,値幅入力欄43gに入力された等しい値幅だけ価格が異なるものであり(【0141】及び【0142】),注文情報を生成する注文情報生成手段は,注文確定ボタン43kのクリックという一の注文手続によって注文情報を生成し(【0143】及び【0152】),複数の売り注文のうち,最も高い売り注文価格の売り注文である第五の第二注文181u25が約定した場合,繰り返しに係る第五の注文情報群181s25すなわち第五の第一注文及び第二注文である181t25及び181u25を生成すること(【146】及び【147】)が記載されている(以下「甲1記載事項1」という。)。
また,前記(6)・ア・(ク)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)で述べたのと同様の理由によって,甲1記載事項1を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。
すなわち,前記(イ)で述べたとおり,甲第2号証の1では,まず,(1)及び(2)が行われるところ,甲1記載事項1に倣って,(1)及び(2)に加え,48.00ドルで買う及び49.00ドルで売る,46.00ドルで買う及び47.00ドルで売る,・・・,という指値のイフダンオーダー(なお,甲第1号証の【図19】及び【図20】からみて,「値幅」(1.00円)は,利幅(0.50円)の2倍となっている。)を行うようなことは,当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第169?175頁)

b 相違点6について
「前記aで述べたとおり,甲第1号証には,甲1記載事項1が記載されているところ,前記(6)・ア・(ク)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)で述べたのと同様の理由によって,甲1記載事項1を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。
すなわち,前記aで述べたとおり,甲1記載事項1を甲2発明に適用し,(1)及び(2)に加え,48.00ドルで買う及び49.00ドルで売る,46.00ドルで買う及び47.00ドルで売る,・・・,という指値のイフダンオーダーを行うようなことは,当業者が容易に想到し得たものであるところ,(2)の売り価格は,(2),49.00ドルで売る,47.00ドルで売る,・・・,という複数の売り注文のうち「複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格」である。また,前記(ク)で述べたとおり,(2)が約定すると,(3)及び(4)が行われるところ,甲1記載事項1からみて,(3)に係る注文情報及び(4)に係る注文情報は,一の注文手続で生成されるから,結局,(2)が約定すると,(4)に係る注文情報が生成される。
ここで,(4)の売り注文価格は,(2)の売り注文価格に比べ,0.50ドルという所定価格だけ高いことからみて,相違点6に係る本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9の構成は,甲2発明及び甲1記載事項1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第175?176頁)

イ 本件発明2、本件発明6及び本件発明10について
(ア)構成要件2Aないし構成要件2D、構成要件6Aないし構成要件6D及び構成要件10Aないし構成要件10Dについて
「本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10と甲2発明とを対比すると,本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10は,それぞれ,構成要件2Aないし構成要件2D,構成要件6Aないし構成要件6D及び構成要件10Aないし構成要件10Dを備えるのに対し,甲2発明は,それぞれ,構成要件2Aないし構成要件2C,構成要件6Aないし構成要件6C及び構成要件10Aないし構成要件10Cを備えるが,構成要件2D,構成要件6D及び構成要件10Dを備えない点で本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10と甲2発明とは相違し(以下「相違点7」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第176?177頁)

(イ)構成要件2E、構成要件6E及び構成要件10Eについて
「前記アで述べたとおり,構成要件2E,構成要件6E及び構成要件10Eは,甲2発明及び甲1記載事項1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第177頁)

(ウ)相違点の判断(相違点7)
「前記(6)・イ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)で述べたとおり,甲第3号証には,甲3記載事項1が記載されているところ,甲3記載事項1は,金融商品の取引のイフダンオーダーに関するものであって,本件特許発明及び甲2発明と技術分野を同一にすることからみて,甲3記載事項1を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第177頁)

ウ 本件発明3,本件発明7及び本件発明11について
(ア)構成要件3Aないし構成要件3F及び構成要件3I,構成要件7Aないし構成要件7F及び構成要件7I並びに構成要件11Aないし構成要件11F及び構成要件11Iについて
「前記アで述べたのと同様の理由によって,甲2発明は,構成要件3Aないし構成要件3F及び構成要件3I,構成要件7Aないし構成要件7F及び構成要件7I並びに構成要件11Aないし構成要件11F及び構成要件11Iを備えることが明らかである。」(審判請求書第178頁)

(イ)構成要件3G、構成要件7G及び構成要件11Gについて
「本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲1発明とを対比すると,前記(6)・ウ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)及び前記ア・(キ)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9では,「複数の買い注文情報を一の注文手続で生成し」ているのに対し,甲2発明では,「複数の買い注文情報を一の注文手続で生成し」ない点で本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲2発明とは相違し(以下「相違点8」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第178頁)

(ウ)構成要件3H、構成要件7H及び構成要件11Hについて
「本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲1発明とを対比すると,前記(6)・ウ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)及び前記ア・(ク)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11では,「複数の買い注文のうち、最も低い買い注文価格の買い注文が約定されたこと」の「検知」がなされると,「複数の買い注文のうち最も低い買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報」の生成がなされるのに対し,甲2発明では,複数の買い注文のうちの買い注文が約定されたことの検知がなされると,約定に係る買い注文の買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報が生成される点で本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲2発明とは相違し(以下「相違点9」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第178頁)

(エ)相違点の判断(相違点8及び相違点9)
a 相違点8について
「甲第1号証の【0154】からみて,甲第1号証では,買った金融商品を売るのか,それとも,売った金融商品を買うのかが置換可能である。したがって,前記ア・(コ)・aで述べたのと同様の理由によって,甲第1号証には,1の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引することに代えて,複数の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引するものであって(【0140】ないし【0147】,【0151】及び【0154】),複数の価格帯における売り注文情報及び買い注文情報は,値幅入力欄43gに入力された等しい値幅だけ価格が異なるものであり(【0141】,【0142】及び【0154】),注文情報を生成する注文情報生成手段は,注文確定ボタン43kのクリックという一の注文手続によって注文情報を生成し(【0143】,【0152】及び【0154】),複数の買い注文のうち,最も低い買い注文価格の買い注文が約定した場合,繰り返しに係る注文情報群すなわち第一注文及び第二注文を生成すること(【146】,【147】及び【0154】)が記載されている(以下「甲1記載事項2」という。)。
そして,前記(6)・ア・(ク)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)及び前記ア・(コ)・aで述べたのと同様の理由によって,甲1記載事項2を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第179頁)

b 相違点9について
「前記aで述べたとおり,甲第1号証には,甲1記載事項2が記載されているところ,前記(6)・ア・(ク)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)及び前記ア・(コ)・aで述べたのと同様の理由によって,甲1記載事項2を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第179頁)

エ 本件発明4、本件発明8及び本件発明12について
(ア)構成要件4Aないし構成要件4D,構成要件8Aないし構成要件8D及び構成要件12Aないし構成要件12Dについて
「本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12は,それぞれ,本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10の買い及び売りを逆にしたものである。
したがって,前記(6)・ウ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)及び前記イ・(ア)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12と甲2発明とを対比すると,本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12は,それぞれ,構成要件4Aないし構成要件4D,構成要件8Aないし構成要件8D及び構成要件12Aないし構成要件12Dを備えるのに対し,甲2発明は,構成要件4Aないし構成要件4C,構成要件8Aないし構成要件8C及び構成要件12Aないし構成要件12Cを備えるが,構成要件4D,構成要件8D及び構成要件12Dを備えない点で本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12と甲2発明とは相違し(以下「相違点10」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第180頁)

(イ)構成要件4E、構成要件8E及び構成要件12Eについて
「前記ウで述べたとおり,構成要件4E,構成要件8E及び構成要件12Eは,甲2発明及び甲1記載事項2に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第180頁)

(ウ)相違点の判断(相違点10)
「前記(6)・エ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)で述べたとおり,甲第3号証には,甲3記載事項2が記載されているところ,甲3記載事項2は,金融商品の取引のイフダンオーダーに関するものであって,本件特許発明及び甲2発明と技術分野を同一にすることからみて,甲3記載事項2を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第180?181頁)

オ 口頭審理陳述要領書における無効理由2の補足
(ア)「甲2発明に甲1記載事項1を組み合わせて得られたものでは,(2)(51.00ドルで売る),49.00ドルで売る及び47.00ドルで売るという複数の売り注文情報又は複数の売り注文が取引開始直後に現れるものであった。
したがって,クレームの文言は措くとして,これらが「複数の売り注文情報」(構成要件1C),「前記複数の売り注文情報」(構成要件1F),「前記複数の売り注文情報」(構成要件1G)及び「前記複数の売り注文」(構成要件1H)にそれぞれ相当する唯一のものであるとするならば,本件特許発明1及び甲2発明との間には,相違点5及び相違点6以外にも相違点があることになる。すなわち,(甲1記載事項1を組み合わせる以前の)甲2発明だけでは,取引開始直後の売り注文情報又は売り注文として,(2)しか存在しないところ,これは,単数であって,「複数の」ということができないので,構成要件1C及び構成要件1Fに関し,本件特許発明1及び甲2発明との間に相違点が存在することになる。ただし,これらの相違点に係る本件特許発明1の構成は,甲2発明に甲1記載事項1を組み合わせることによって,当業者が容易に想到し得たものであることが明らかである。」(平成30年10月26日付け口頭審理陳述要領書(以下、請求人陳述要領書1という)第6頁)

(イ)「甲2発明に関し,これらの各注文が先行する注文の約定を受けて,順次,生成,発注されていくという原判決の認定は,誤りである。なぜなら,甲2発明は,イフダンオーダーに係るものであって,「いずれも新規注文である買い注文の約定により決済注文である売り注文が約定,発行済の状態になるという『イフダンオーダーの性質』を有するものである」(原判決34頁16行から18行まで)ので,「注文(1)」及び「注文(2)」,「注文(3)」及び「注文(4)」並びに「注文(5)」及び「注文(6)」というそれぞれ2組の指値注文の組合せは,「イフダンオーダーを構成する一体的な注文として,同じ機会に行われていると推認される」(原判決34頁19行から20行まで)からである。
したがって,「注文(1)」及び「注文(2)」,「注文(3)」及び「注文(4)」並びに「注文(5)」及び「注文(6)」というそれぞれ2組の指値注文の組合せは,それぞれ同時に生成される。」
(平成30年11月26日付け口頭審理陳述要領書(以下、請求人陳述要領書2という)第11頁)

(ウ)「甲2発明は,「イフダンオーダーをしかけ,新たに生成されるイフダンオーダーの価格を,相場価格の変動に応じて追従していくように,従前のものより所定価格だけ増加させることを繰り返すことによって利益を得ようとする発明である」が,これは,甲第2号証に記載された「従前のもの」に係る実施例に対し,インクリメントオプション(「買値又は売値を上げる又は下げる追加のオプション」。甲第2号証の1の[0085])を加えた実施例に対応したものに過ぎない。すなわち,「従前のもの」は,強いていえば,インクリメントが0(ゼロ)という固定値であったので,「想定した一定の価格帯に複数のイフダンオーダーをしかけ,同じ価格帯においてイフダンオーダーを繰り返すこと」しかできなかったが,甲2発明は,「従前のもの」に対し,インクリメントオプションを追加し,インクリメントを自由に設定することによって,「新たに生成されるイフダンオーダーの価格を,相場価格の変動に応じて追従していくように,従前のものより所定価格だけ増加させることを繰り返すことによって利益を得」ることができるようにしたものである。
そして,甲1発明は,「従前のもの」を並列に複数個並べたものに過ぎないので,各「従前のもの」は,その他の「従前のもの」とは独立していて,各「従前のもの」ごとにイフダンオーダーを繰り返していることからみて,各「従前のもの」に対し,インクリメントオプションを適用する基礎がある。
したがって,甲2発明,甲1発明を組み合わせる動機付けがあることは,明らかである。」(請求人陳述要領書2第12?13頁)

(エ)相違点3-1の検討
「前記a(本審決では(ウ)のことを指す。)で述べたとおり,甲2発明に甲1発明を適用する動機付けがあるので,甲1発明及に倣って,甲2発明において,イフダンオーダーを構成する買い注文及び売り注文を等間隔に複数個設けるようなことは,当業者が容易に想到し得たものである。
したがって,相違点3-1に係る本件特許発明1の構成は,甲2発明及び甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。」(請求人陳述要領書2第14頁)

(オ)相違点3-2の検討
「前記b(本審決では(エ)のことを指す。)で述べたとおり,甲1発明に倣って,甲2発明において,イフダンオーダーを構成する買い注文及び売り注文を等間隔に複数個設けると,複数の売り注文は,それぞれ値幅が等間隔になるので,複数の売り注文を等間隔に設けるようなことは,当業者が容易に想到し得たものである。
したがって,相違点3-2に係る本件特許発明1の構成は,甲2発明及び甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。」
(請求人陳述要領書2第14?15頁)

(カ)相違点3-3の検討
「甲1発明に倣って,甲2発明において,「売り注文(注文(2)”,(4)”又は注文(2),(4))が約定されたことを検知すると,買い注文情報(注文(3),(5))を生成」すると同時に売り注文情報(注文(4)’,(4)”又は注文(6)’,(6)”若しくは注文(4),(6))を一体的なものとして,同じ機会に生成するようなことは,当業者が容易に想到し得たものである。
したがって,相違点3-3に係る本件特許発明1の構成は,甲2発明及び甲1発明から当業者が容易に想到し得たものである。」
(請求人陳述要領書2第15頁)


(2-3)無効理由3(甲第2号証の1を主引例とする進歩性欠如(その2))
ア 本件特許発明1、本件特許発明5及び本件特許発明9について
(ア)構成要件1A、構成要件5A及び構成要件9Aについて
「前記(7)・ア・(ア)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたとおり,甲2発明は,構成要件1A,構成要件5A及び構成要件9Aを備える。」(審判請求書第181頁)

(イ)構成要件1B、構成要件5B及び構成要件9Bについて
「前記(7)・ア・(イ)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたとおり,甲2発明は,構成要件1B,構成要件5B及び構成要件9Bを備える。」(審判請求書第181頁)

(ウ)構成要件1C、構成要件5C及び構成要件9Cについて
甲第2号証の1の[0081]及び[0089]の記載からみて、甲第2号証の1には,前記(7)・ア・(イ)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたような(1)50.00ドルで買う及び(2)51.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル)というLOCK注文(イフダンオーダーの繰り返し)において,(1)及び(2)に代えて,(1)50.00ドルで買う,(2)’51.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル)及び(2)”52.00ドルで売る(例えば,1ドルのLOCK価格の繰り返しで2ドル)とすることが記載されている。ここで,(2)’を受けて(2)”が行われていることからみて,(2)’すなわち51.00ドルで売るという売り注文の約定を検知して(2)”すなわち52.00ドルで売るという売り注文が行われていることが明らかであるし,(2)”の52.00ドルで売るという売り注文情報は,(2)’の51.00ドルで売るという売り注文情報より1ドルというLOCK価格すなわち所定の価格だけ高い売り注文情報である。同様に,甲第2号証の1では,(3)50.50ドルで買う(インクリメントが0.50ドル),(4)’51.50ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル),(4)”52.50ドルで売る(1ドルのLOCK価格の繰り返しで2ドル及びインクリメントが0.50ドル),(5)51.00ドルで買う(インクリメントが0.50ドル),(6)’52.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル)及び(6)”53.00ドルで売る(1ドルのLOCK価格の繰り返しで2ドル及びインクリメントが0.50ドル)という取引を行う((1),(2)’及び(2)”,(3),(4)’及び(4)”並びに(5),(6)’及び(6)”という買い,売り及び売りの組が3サイクル)。
したがって,甲2発明は,構成要件1C,構成要件5C及び構成要件9Cを備えることが明らかである。(審判請求書第181?183頁)

(エ)構成要件1D、構成要件5D及び構成要件9Dについて
「前記(7)・ア・(エ)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたとおり,甲2発明は,構成要件1D,構成要件5D及び構成要件9Dを備える。」(審判請求書第183頁)

(オ)構成要件1E、構成要件5E及び構成要件9Eについて
「前記(7)・ア・(オ)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたとおり,甲2発明は,構成要件1E,構成要件5E及び構成要件9Eを備える。」(審判請求書第183頁)

(カ)構成要件1F、構成要件5F及び構成要件9Fについて
「前記(ウ)で述べたとおり,甲第2号証の1では,「(2)’及び(2)”」,「(4)’及び(4)”」及び「(6)’及び(6)”」という6個の売り注文が行われることが記載されている。
ここで,「(2)’及び(2)”」の売り注文価格は,それぞれ,51.00ドル及び52.00ドルであって,同様に,「(4)’及び(4)”」の売り注文価格は,それぞれ,51.50ドル及び52.50ドルであり,「(6)’及び(6)”」の売り注文価格は,それぞれ,52.00ドル及び53.00ドルであるから,これらは,互いに価格が異なっているところ,これらの値幅は,1.00ドルである。
したがって,甲2発明は,構成要件1F,構成要件5F及び構成要件9Fを備えることが明らかである。」(審判請求書第183?184頁)

(キ)構成要件1G、構成要件5G及び構成要件9Gについて
「前記(ウ)で述べたとおり,甲第2号証の1では,「(2)’及び(2)”」,「(4)’及び(4)”」及び「(6)’及び(6)”」という6個の売り注文が行われることが記載されている。ここで,甲第2号証の1では,「(2)’及び(2)”」の売り注文に係る売り注文情報が「一の注文手続で生成」されるか否か不明である。
したがって,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とを対比すると,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9では,「複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し」ているのに対し,甲2発明では,「複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し」ない点で本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とは相違し(以下「相違点11」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第184頁)

(ク)構成要件1H、構成要件5H及び構成要件9Hについて
「前記(ウ)で述べたとおり,甲第2号証の1には,「(2)’及び(2)”」,「(4)’及び(4)”」及び「(6)’及び(6)”」という6個の売り注文が行われることが記載されているところ,甲第2号証の1では,「(2)”」が約定すると,「(3)」の買い注文を行い,これが約定すると,「(4)’」の売りの注文を行い,これが約定すると,「(4)”」の売り注文を行う。すなわち,甲2発明では,「(2)”」が約定すると,「(3)」の買い注文だけが行われることからみて,「(3)」の買い注文に係る注文情報だけが生成されるのか,それとも,「(3),(4)’及び(4)”」の注文に係る注文情報が生成されるのか不明である。
したがって,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とを対比すると,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9では,「複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたこと」の「検知」がなされると,「複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の売り注文情報」の生成がなされるのに対し,甲2発明では,複数の売り注文のうち,最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことの検知がなされると,買い注文情報が生成されるが,約定に係る売り注文の売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の売り注文情報が生成されない点で本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9と甲2発明とは相違し(以下「相違点12」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第184?185頁)

(ケ)構成要件1I,構成要件5I及び構成要件9Iについて
「前記(7)・ア・(ケ)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたとおり,甲2発明は,構成要件1I,構成要件5I及び構成要件9Iを備える。」(審判請求書第185頁)

(コ)相違点の判断(相違点11及び相違点12)
a 相違点11について
「甲第1号証には,甲1記載事項1,すなわち,一の注文手続によって注文情報を生成することが記載されているところ,甲1記載事項1を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第185頁)

b 相違点12について
「前記aで述べたとおり,甲1記載事項1を甲2発明に適用し,「(3),(4)’及び(4)”」という買い注文及び売り注文の組み合わせに係る注文情報を1組の注文情報群として一の注文手続で生成することは,当業者が容易に想到し得たものである。そうすると,「(2)”」の売り注文が約定すると,「(3),(4)’及び(4)”」という注文に係る注文情報が一の注文手続で生成されることによって,「(4)”」の売り注文に係る売り注文情報を生成することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第185?186頁)

イ 本件特許発明2、本件特許発明6及び本件特許発明10について
(ア)構成要件2Aないし構成要件2D、構成要件6Aないし構成要件6D及び構成要件10Aないし構成要件10Dについて
「本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10と甲2発明とを対比すると,本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10は,それぞれ,構成要件2Aないし構成要件2D,構成要件6Aないし構成要件6D及び構成要件10Aないし構成要件10Dを備えるのに対し,甲2発明は,それぞれ,構成要件2Aないし構成要件2C,構成要件6Aないし構成要件6C及び構成要件10Aないし構成要件10Cを備えるが,構成要件2D,構成要件6D及び構成要件10Dを備えない点で本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10と甲2発明とは相違し(以下「相違点13」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第186頁)

(イ)構成要件2E、構成要件6E及び構成要件10Eについて
「前記アで述べたとおり,構成要件2E,構成要件6E及び構成要件10Eは,甲2発明及び甲1記載事項1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第186頁)

(ウ)相違点の判断(相違点13)
「相違点13は,相違点7と同様であるので,前記(7)・イ・(ウ)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたとおり,相違点13に係る本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10の構成は,甲2発明及び甲3記載事項1に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第186?187頁)

ウ 本件特許発明3、本件特許発明7及び本件特許発明11について
(ア)構成要件3Aないし構成要件3F及び構成要件3I、構成要件7Aないし構成要件7F及び構成要件7I並びに構成要件11Aないし構成要件11F及び構成要件11Iについて
「本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11は,それぞれ,本件特許発明1,本件特許発明5及び本件特許発明9の買い及び売りを逆にしたものである。そして,前記(6)・ウ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)で述べたとおり,甲第2号証の1では,買った金融商品を売るのか,それとも,売った金融商品を買うのかが置換可能である。
したがって,前記アで述べたのと同様の理由によって,甲2発明は,構成要件3Aないし構成要件3F及び構成要件3I,構成要件7Aないし構成要件7F及び構成要件7I並びに構成要件11Aないし構成要件11F及び構成要件11Iを備えることが明らかである。」(審判請求書第187頁)

(イ)構成要件3G、構成要件7G及び構成要件11Gについて
「本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲1発明とを対比すると,前記(6)・ウ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)及び前記ア・(キ)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲1発明では,「複数の買い注文情報を一の注文手続で生成し」ているのに対し,甲2発明では,「複数の買い注文情報を一の注文手続で生成し」ない点で本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲2発明とは相違し(以下「相違点14」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第187頁)

(ウ)構成要件3H、構成要件7H及び構成要件11Hについて
「本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲1発明とを対比すると,前記(6)・ウ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)及び前記ア・(ク)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11では,「複数の買い注文のうち、最も低い買い注文価格の買い注文が約定されたこと」の「検知」がなされると,「複数の買い注文のうち最も低い買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報」の生成がなされるのに対し,甲2発明では,複数の買い注文のうち,最も低い買い注文価格の買い注文が約定されたことの検知がなされると,売り注文情報が生成されるが,約定に係る買い注文の買い注文価格よりもさらに所定価格だけ低い買い注文価格の買い注文情報が生成されない点で本件特許発明3,本件特許発明7及び本件特許発明11と甲2発明とは相違し(以下「相違点15」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第187?188頁)

(エ)相違点の判断(相違点14及び相違点15)
「相違点14及び相違点15は,それぞれ,相違点8及び相違点9と同様であるので,前記(7)・ウ・(エ)((7)は本審決における(2-2)のことを指す。)で述べたとおり,相違点14及び相違点15に係る本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10の構成は,甲2発明及び甲3記載事項2に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第188頁)

エ 本件特許発明4、本件特許発明8及び本件特許発明12について
(ア)構成要件4Aないし構成要件4D、構成要件8Aないし構成要件8D及び構成要件12Aないし構成要件12Dについて
「本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12は,それぞれ,本件特許発明2,本件特許発明6及び本件特許発明10の買い及び売りを逆にしたものである。そして,前記(6)・ウ・(ウ)((6)は本審決における(2-1)のことを指す。)で述べたとおり,甲第2号証の1では,買った金融商品を売るのか,それとも,売った金融商品を買うのかが置換可能である。
したがって,前記イ・(ア)で述べたのと同様の理由によって,本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12と甲2発明とを対比すると,本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12は,それぞれ,構成要件4Aないし構成要件4D,構成要件8Aないし構成要件8D及び構成要件12Aないし構成要件12Dを備えるのに対し,甲2発明は,それぞれ,構成要件4Aないし構成要件4C,構成要件8Aないし構成要件8C及び構成要件12Aないし構成要件12Cを備えるが,構成要件4D,構成要件8D及び構成要件12Dを備えない点で本件特許発明4,本件特許発明8及び本件特許発明12と甲2発明とは相違し(以下「相違点16」という。),残余の点では一致している。」(審判請求書第188?189頁)

(イ)構成要件4E、構成要件8E及び構成要件12Eについて
「前記ウで述べたとおり,構成要件4E,構成要件8E及び構成要件12Eは,甲2発明及び甲3記載事項2に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第189頁)

(ウ)相違点の判断(相違点16)
「相違点16は,相違点10と同様であるので,前記(6)・エ・(ウ)で述べたとおり,甲3記載事項2は,金融商品の取引のイフダンオーダーに関するものであって,本件特許発明及び甲2発明と技術分野を同一にすることからみて,甲3記載事項2を甲2発明に適用することは,当業者が容易に想到し得たものである。」(審判請求書第189頁)

(2-4)無効理由4(サポート要件違反)
ア はじめに
「本件特許明細書等には,相場価格が売り注文の売り注文価格に一致しても約定しないという「いったんスルー注文」及び売り注文価格より高くなった相場価格をトレールする(追いかける)という「決済トレール注文」を組み合わせたものを前提として,「シフト機能」を行わせるものだけが記載されている。
したがって,「シフト機能」が「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものを前提としないのであれば,それは,本件特許明細書等に記載されたものではない。しかし,本件特許発明1ないし本件特許発明12では,「シフト機能」が規定されているところ,これは,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものを前提としていないので,本件特許発明1ないし本件特許発明12は,本件特許明細書等に記載したものではない。」(審判請求書第190頁)

イ 本件特許明細書等について
(ア)「「発明の実施の形態3」では,本件特許明細書等の【0138】において,
「この実施の形態3の金融商品取引管理システムにおいては、『いったんスルー注文』と『決済トレール注文』とを、『らくトラ』による注文と組み合わせ、さらに『シフト機能』を行わせる状態を示す。」
と記載されていることからみて,「シフト機能」は,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」と組み合わせることが前提となっていることが明らかである。
・・・(中略)・・・
本件特許明細書等の【0145】ないし【0148】では,「決済注文S1,S2,S3が約定した際の相場価格64が、点P2に示す1ドル=102.40円であった場合」の処理だけが記載されているので,本件特許明細書の「発明の実施の形態3」では,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものに基づいて,当初のものから変動した後の決済注文が一度に全部約定したとき,この約定価格に基づいて,「シフト機能」によるシフトが行われていることが明らかである。
したがって,本件特許明細書の「発明の実施の形態3」では,「シフト機能」を「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」と組み合わせることが前提となっていることが明らかである。」(審判請求書第191?196頁)

(イ)「本件特許明細書等の「発明の実施の形態1」では,前述したとおり,総論的かつ総花的に記載されているところ,本件特許明細書等の【0054】ないし【0077】には,「発明の実施の形態1」で行われる「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものが記載されていて(なお,「発明の実施の形態1」では,「シフト機能」が行われない。),本件特許明細書等の【0079】以下では,「発明の実施の形態1」で行われる「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものの具体的な処理手順が記載されている。特に,本件特許明細書の【0079】及び【0080】には、それぞれ,・・・(中略)・・・と記載されていることからみて,前述したとおり,「発明の実施の形態1」では,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものが行われていることが明らかである。
また,本件特許明細書等の「発明の実施の形態2」でも「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものが行われている。このことは,本件特許明細書の【0119】において,・・・(中略)・・・と記載されていることからみて,明らかである。
したがって,本件特許明細書等の「発明の実施の形態1」及び「発明の実施の形態2」では,「いったんスルー注文」の構成及び「決済トレール注文」の構成を組み合わせたものが前提となっていることが明らかである。」(審判請求書第196?198頁)

(ウ)「本件特許明細書等の【0151】の示唆に基づいて,本件特許明細書等の「発明の実施の形態3」の「シフト機能」を本件特許明細書等の「発明の実施の形態1」の構成及び「発明の実施の形態2」の構成に適用すると,本件特許明細書等の「発明の実施の形態1」の構成及び「発明の実施の形態2」の構成が有する「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものに対し,「シフト機能」が追加されるに過ぎないことが明らかである。
したがって,本件特許明細書等の「発明の実施の形態3」の「シフト機能」を本件特許明細書等の「発明の実施の形態1」の構成及び「発明の実施の形態2」の構成に適用すると,「シフト機能」が「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものに適用されることが明らかであって,「シフト機能」を「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたもの以外のものに適用したものは,本件特許明細書等に記載されていないことが明らかである。
なお,本件特許明細書等の【0149】には,「シフト機能」の変形例が記載されているが,そこでも「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものが前提となっていて,決済注文S1,S2及びS3が一度に全部約定した際の約定価格(1ドル=102.40円)が基準となっていることに変わりがない。すなわち,本件特許明細書等の【0149】には,「シフト機能による処理は、上述の処理手順以外のいかなる方法によって行われてもよい。」と記載されているが,これは,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものを前提として,決済注文S1,S2及びS3が一度に全部約定した際の約定価格(1ドル=102.40円)を基準に「シフト機能」による処理が行われることを意味することが明らかである。」(審判請求書第198?199頁)

ウ 本件発明1ないし本件発明12は、サポート要件違反であること
(ア)本件発明1について
a「構成要件1Hの「前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」は,「前記・・・」と規定されていることからみて,構成要件1Hの「前記複数の売り注文」は,構成要件1C,構成要件1F及び構成要件1Gで規定される「売り注文」を意味する。すなわち,構成要件1Hの「前記複数の売り注文」とは,「前記注文情報生成手段」(構成要件1G)によって,「一の注文手続で生成」(構成要件1G)されるものであって,「前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報」(構成要件1C)であり,「前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であ」(構成要件1F)る。
したがって,構成要件1Hの「前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」は,注文価格が指定された注文であるから,「最も高い売り注文価格」という特定の注文価格で売るという売り指値注文を意味する。ここで,「最も高い売り注文価格」という特定の注文価格は,本件特許発明1の規定からみて,単なる指値注文の指値価格に過ぎないので,固定値であって,変動しないことが明らかである。」(審判請求書第200頁)

b「構成要件1Hの「前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、」は,「前記・・・」と規定されていることからみて,構成要件1Hの「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知」を受けてのものであることが明らかである。
ここで,前記aで述べたとおり,構成要件1Hの「前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」は,「最も高い売り注文価格」という固定値であって,変動しない特定の注文価格で売るという売り指値注文を意味する。そして,本件特許発明1の規定からみて,「最も高い売り注文価格」という固定値であって,変動しない特定の注文価格で売るという売り指値注文は,特定の1の注文を意味すること(複数の注文を意味しないこと)が明らかである。
したがって,構成要件1Hの「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、・・・売り注文情報を生成する」のは,変動しない特定の1の注文である「前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定された」(構成要件1H)ときであることが明らかである。」(審判請求書第201頁)

c「構成要件1Hの「最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成すること」は,前記a及び前記bで述べたとおり,変動しない特定の1の売り注文である最も高い売り注文価格の売り注文が約定すると,約定価格に基づいて,新たな売り注文情報を生成することを意味する。
これに対し,本件特許明細書等では,売り注文が一度に全部約定した場合,新たな買い注文及び売り注文を行うにあたり,約定価格に基づいて,直前の(変動前の)買い注文及び売り注文の買い注文価格及び売り注文価格よりも高い買い注文価格及び売り注文価格の新たな買い注文及び売り注文を行うである(「シフト機能」を「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」と組み合わせたもの)。
・・・(中略)・・・
したがって,構成要件1Hの「最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成すること」は,本件特許明細書等の「シフト機能」を規定したものであるが,そもそもの前提である「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものを規定したものではない。」(審判請求書第202?203頁)

d「前記cで述べたとおり,構成要件1Hは,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものを前提とせずに「シフト機能」を規定している。しかし,前記イで述べたとおり,本件特許明細書等には,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものに対し,「シフト機能」を行わせるものだけが記載されているのであって,これ以外のものは,実質的にも形式的にも記載されていない。
したがって,構成要件1Hは,本件特許明細書等に記載したものではないことが明らかであるので,本件特許発明1は,本件特許明細書等に記載したものではないことが明らかである。」(審判請求書第203?204頁)

(イ)本件発明2ないし本件発明12について
「前記(ア)で述べたとおり,本件特許発明1は,「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」を組み合わせたものが規定されていないにもかかわらず「シフト機能」が規定されているので,サポート要件違反である。同様のことは,本件特許発明5及び本件特許発明9にもあてはまる。
また,前述したとおり,本件特許発明1がサポート要件違反であるので,本件特許発明1に対し,買い注文及び売り注文を入れ替えた本件特許発明3もまたサポート要件違反である。同様のことは,本件特許発明7及び本件特許発明11にもあてはまる。
さらに,本件特許発明2,本件特許発明4,本件特許発明6,本件特許発明8,本件特許発明10及び本件特許発明12は,それぞれ,本件特許発明1,本件特許発明3,本件特許発明5,本件特許発明7,本件特許発明9及び本件特許発明11の従属請求項であるので,本件特許発明1,本件特許発明3,本件特許発明5,本件特許発明7,本件特許発明9及び本件特許発明11がサポート要件違反から,サポート要件違反であるので,無効にされるべきものである。」(審判請求書第204頁)

エ 請求人陳述要領書1における主張の補足
「審判合議体が把握したところに加え,前記(1)で述べたとおり,「本件特許発明には、上記検知が行われた場合に『注文情報生成手段』が1個の『売り注文情報』を生成するもの」(通知書2の12行から13行まで)は,本件特許明細書等に何ら記載されていないので,これが含まれる本件特許発明1ないし本件特許発明12は,サポート要件違反であることが明らかである。
・・・(中略)・・・請求書201頁以下の7・(9)・ウ・(ア)・cで述べた「新たな買い注文及び売り注文」とは,1つの買い注文及び1つの売り注文を意味するのではなく,複数の(全ての)買い注文及び複数の(全ての)売り注文を意味することが明らかである。結局,本件特許明細書等には,「売り注文が一度に全部約定した場合」に複数の(全ての)買い注文及び複数の(全ての)売り注文を行うものしか形式的にも実質的にも記載されていない。
したがって,前述したとおり,「本件特許発明には、上記検知が行われた場合に『注文情報生成手段』が1個の『売り注文情報』を生成するもの」(通知書2の12行から13行まで)が含まれる本件特許発明1ないし本件特許発明12は,本件特許明細書等の発明の詳細な説明において,発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであることが明らかであるので,サポート要件違反であることが明らかである。」(請求人陳述要領書1第7?10頁)

オ 請求人陳述要領書2における主張の補足
(ア)「本件特許明細書等の記載からみて,「シフト機能」とは,元の注文情報群を構成する注文情報の個数が維持されかつそれらの値幅が保たれたまま注文価格情報だけをシフトさせるものであって,「特定の決済注文の価格を変動させる」ものではない。
したがって,原判決は,誤りであることが明らかである。」(請求人陳述要領書2第4頁)

(イ)「原判決は,「【0149】にあるように,複数の決済注文の価格帯を変動させる構成のみならず,特定の決済注文の価格を変動させる構成も含まれると認識することができ」ると述べているが,本件特許明細書等の【0149】の記載からみて,新規注文を対象として,複数の新規注文の価格を一括で変動させる構成しか記載されていないことが明らかである。
ここで,新規注文を決済注文と読み替えることが可能であったとしても,本件特許明細書等の【0149】に記載されているのは,あくまで,複数の決済注文の価格を一括で変動させる構成であるので,これに接した当業者といえども「特定の決済注文の価格を変動させる構成も含まれると認識すること」は,不可能である。
したがって,原判決の認定等は,本件特許明細書等の記載に基づかないので,誤りであることが明らかである。」(請求人陳述要領書2第4?5頁)

(ウ)「本件特許明細書等の記載からみて,「特定の決済注文の価格を変動させる構成も含まれると認識すること」ができないことが明らかである。なぜなら,本件特許発明1では,少なくとも売りの指値注文が等間隔に配置されていること(構成要件1F)からみて,等間隔に配置された複数の売りの指値注文を一体的に取り扱っていることが明らかであるからである。」(請求人陳述要領書2第5頁)

(エ)「仮に,「シフト機能」を「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」と分離して理解したとしても,本件特許明細書等には,前述したとおり,複数の新規注文及び複数の決済注文のイフダンオーダーに「シフト機能」が適用されたものに関し,複数の新規注文の全て及び複数の決済注文の全てがそれぞれ1回ずつ約定した場合に複数の新規注文の全て及び複数の決済注文の全てに対応する個数の新たな複数の新規注文及び新たな複数の決済注文を発注させることしか記載されていないので,「特定の決済注文の価格を変動させる構成も含まれると認識することができ」る及び「売り注文が約定した後に異なる売り注文価格の売り注文を発注する構成が含まれていると認識することができる」という原判決の認定は,誤りであることが明らかである。・・・(中略)・・・したがって,「シフト機能」が「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」と分離して理解できたとしても,本件特許明細書等からは,構成要件1Hに係る構成に対応する「シフト機能」を認識できないことが明らかである。」(請求人陳述要領書2第9?10頁)


第5 被請求人の主張と証拠方法
1 証拠方法
被請求人は、審判事件答弁書に添付して乙第1号証、乙第2号証、平成30年10月26日付け口頭審理陳述要領書(以下、被請求人陳述要領書1という)に添付して乙第3号証、平成30年11月26日付け口頭審理陳述要領書(以下、被請求人陳述要領書2という)に添付して乙第4号証を、それぞれ提出した。
乙第1号証 : 原告第2準備書面
乙第2号証 : 原告第4準備書面
乙第3号証 : 判決(東京地裁平成29年(ワ)第24174号事件。平成30年10月24日言渡)
乙第4号証 : 報告書(iサイクル注文)

2 答弁の趣旨及び主張の概要
(1)答弁の趣旨
被請求人の答弁の趣旨は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」というものである。

(2)主張の概要
(2-1)無効理由1(甲第1号証を主引例とする進歩性欠如)
ア 甲1発明について
「甲1発明は、夜間や休日など、取引市場が中断した場合に相場価格が非連続的に飛躍するという、例外的な状況に着目したものである。そして甲1発明は、買い注文が逆指値で行われる場合に、市場の中断などによって板寄せが生じてしまう不利益を、第一注文の逆指値注文を指値注文に切り替えることによって、回避しようとするものである。
これに対し本件特許発明1は、取引市場が中断した場合のような例外的な状況を想定したものではなく、通常の取引の中で相場価格が上昇した場合に、より高い売り注文価格の売り注文情報を生成するものであり、甲1発明とは想定している状況も、行われる処理も、全く異なる。」(答弁書第20?21頁)

イ 相違点の把握について
「構成要件1Hは、「複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成すること」を規定しているのであり、そのために「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知」しているのである。
これに対して甲1発明ではそもそも売り注文価格のシフトが生じないのであるから、甲1発明において105.50円の売り注文が約定したことを検知するとしても、それは売り注文価格のシフトを生じさせる契機としての意味を持つものではない。
したがって、甲1発明において、形式的に「最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知」しているからと言って、これを本件特許発明1との一致点として把握すべきではない。
そうすると、両者の相違点は、端的に甲1発明が「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」ものではないことと把握されるべきものである。」(答弁書第22頁)

ウ 相違点に関する判断について
(ア)甲2発明の技術思想について
「甲1発明のように複数の価格で買い注文や売り注文を行うというのは、幅広い価格帯で取引を行う可能性を生じさせるというメリットがある一方で、多くの注文を行うため、取引費用は嵩むことになるし、このうちのいくつかの注文については約定しないリスクも孕むことになり、「含み損」というリスクを抱えることになる。甲1発明は、そのような取引費用が嵩んだりリスクを抱えるというデメリットを甘受してでも、複数の買い注文と売り注文を行うことで、幅広い価格帯にわたって取引を行うというメリットを得ようとしている。
これに対して甲2発明は、このような取引費用の上昇やリスクといったデメリットを排除するために常に1つの注文だけを順次行っているのであり、甲1発明と甲2発明とでは、その技術思想は真逆と言っていいほど異なっている。
このような全く異なる技術的思想に立った甲1発明と、甲2発明とを組み合わせる動機付けはない。」(答弁書第23?24頁)

(イ)システム構成の違い
「甲1発明と甲2発明とでは、システム構成としても、注文情報の生成するタイミングや、有効/無効という情報を付与するか否か、注文情報群として生成記録するか否かなど、根本的な構成からして大きく相違するのである。
甲1発明に甲2発明の構成を組み合わせるためには、上記の相違を解消するために、発明としての構成の大幅な変更を余儀なくされるのであり、この点に照らしても、甲1発明に甲2発明を組み合わせる動機付けはない。」(答弁書第25頁)

(ウ)阻害要因があること
「甲1発明は、ユーザが所望の価格帯に複数個の注文情報群を配置してトラップをしかけ、その価格帯から所望の利益を繰り返し得る発明である。換言すれば、ユーザはその価格帯で相場価格が上下すると予想してトラップを仕掛けるのであり、最も高い売り注文価格の売り注文が約定しても、その後また相場価格が下降し、より安値側の注文によって利益を得ることを期待しているのである。
このような甲1発明において甲2発明のように自動的に(勝手に)取引価格が変更してしまうのでは、トラップをしかけた価格帯が勝手にずれてしまうことになり、ユーザの意図した取引が実現できなくなってしまう。
それでは、ユーザがトラップをかける価格帯を指定し、その価格帯で繰り返し利益を得るという甲1発明の技術的思想を失わせることになるから、このような組み合わせには阻害要因があると言える。」(答弁書第25?26頁)

(2-2)無効理由2(甲第2号証の1を主引例とする進歩性欠如(その1))について
ア 相違点について
(ア)「複数」の注文情報
「本件特許明細書では「複数」(複数(個))という概念と、異時に注文が行われる(請求人が主張している複数(回))という概念とは区別されているのであって、本件特許明細書における「複数」とは、前者の複数(個)を意味していることは明らかである。
このように、甲2発明において順次行われる(1)、(3)、(5)の各注文、(2)、(4)、(6)の各注文は、本件特許発明1にいう「複数」の買い注文や売り注文には該当せず、これらの注文を管理するための注文情報も「複数」生成されているとは言えないから、甲2発明は「複数」の買い注文情報や売り注文情報を生成する構成を備えていない。」(答弁書第41?42頁)

(イ)値幅
「請求人が指摘する(2)、(3)及び(6)の売り注文は、いずれも順次行われる売り注文である。
しかし、構成要件Fは
「前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、」
と規定しているところ、ここでいう「前記複数の売り注文情報」とは構成要件Cの「複数の売り注文情報」を指すことは明らかであり、同じく「前記複数の売り注文情報」と規定する構成要件Gの「複数の売り注文情報」を指すことは明らかである。
そして、構成要件Gはかかる「前記複数の売り注文情報」が「一の注文手続」で生成されるものと明記しているのであるから、構成要件Fで論じられるべきは「一の注文手続」で生成される注文情報同士の値幅であり、異時に生成される注文情報同士の価格差を論じても無意味である。
・・・(中略)・・・
甲2発明には、同時に生成される複数の注文情報が存在しないことは上述のとおりであるから、それらの複数の注文情報同士の値幅も存在しえない。」(答弁書第42?43頁)

(ウ)請求人が主張する相違点5について
「甲2発明の(2)、(4)及び(6)の注文情報は、本件特許発明1における「複数」の注文情報ではなく、請求人が「複数の売り注文情報」を生成する点を一致点であるかのように捉えている点は誤りである。」(答弁書第44頁)

(エ)請求人が主張する相違点6について
「甲2発明がそもそも「複数」の売り注文を備えていない点も相違点であり、請求人がこの点を一致点であるかのように捉えている点は誤りである。」(答弁書第45頁)

イ 甲2発明と甲1発明との組み合わせについて
(ア)動機付けが全くないこと
「請求人が主張する甲2発明と、甲1発明との組み合わせについては、その動機付けが全くないことから、これらを組み合わせて本件特許発明に至ることは当業者にとって容易ではない。・・・(中略)・・・
甲第2号証には、そのどこを見ても複数の買い注文や複数の売り注文を一の注文手続で行うことの開示も、その示唆もない。・・・(中略)・・・このような甲2発明に、甲1発明のように複数の注文を行ったり、それを管理するための注文情報を複数生成するという構成を組み合わせるということは、甲2発明の特徴を全く失わせてしまうことになり、そのような組み合わせは積極的に排除されているといえる。」(答弁書第45?46頁)

(イ)システム構成の違いについて
「甲2発明において売り注文(パート2の注文)の注文情報が生成されるのは、買い注文(パート1の注文)が約定した段階であろうと考えられる。
また、甲2発明のシステムでは、甲1発明のように、注文情報「群」という概念もなければ、注文情報の有効/無効を切り替えるという概念もない。・・・(中略)・・・このように、金融商品取引を行うためのシステム構成としても、甲2発明と甲1発明とは大きく相違する。」(答弁書第47?48頁)

(ウ)甲2発明と甲1発明を組み合わせた場合に複数のトラップが失われることについて
「仮に甲2発明と甲1発明とを組み合わせてしまった場合には、ユーザが所望する価格帯に複数のトラップを仕掛けるという甲1発明の特徴も失われてしまう。
甲2発明と甲1発明とを組み合わせてしまったのでは、ユーザが仕掛けたトラップの価格が勝手に変更されてしまうことになり、所望の価格帯における取引を繰り返すという甲1発明の特徴が失われてしまう。」(答弁書第48頁)

ウ 組み合わせても本件特許発明1に至らないこと
「仮に甲2発明において、複数個の売り注文を行う構成を採用したとしても、それぞれの売り注文情報は、それに基づく各売り注文に対応する買い注文が約定した以後に、それぞれ別々のタイミングで生成されることになり、複数の売り注文情報が「一の注文手続」で生成される構成に至ることはない。」(答弁書第49頁)

エ 被請求人陳述要領書1における主張の補足
「請求人が挙げる相違点6は、約定を検知したり所定の価格だけ高いことの基準となる売り注文が「最も高い売り注文価格」のものであるか否かであり、「複数の売り注文情報」に関する相違点ではない。
このように、「複数の売り注文情報」とは無関係の相違点6に関する主張箇所で、一致点と主張しているはずの「複数の売り注文情報」と異なる注文情報を対応付けることは、全く合理性を欠くものと思われる。」
(被請求人陳述要領書1第4頁)

オ 被請求人陳述要領書2における主張の補足
「請求人は、平成30年10月26日付け口頭審理陳述要領書(以下「請求人陳述要領書」という。)において、合議体が11月2日付け審理事項通知書の「2」で指摘しているような主張を行なっている(以下「本件追加主張1」という。)。」
「請求人は、審判請求書では構成要件1C及び1Fの「複数の売り注文情報」について、甲2発明の(2)51.50ドルで売る (4)51.50ドルで売る (6)52.00ドルで売るという3つの売り注文に係る売り注文情報がこれに該当すると主張し、これらの構成は本件特許発明と甲2発明との一致点であると主張していた。このような一致点の主張の前提として、請求人は甲2発明の認定として、甲2発明が「複数の売り注文情報」を備えると主張していたことになる。
これに対し、本件追加主張1では、構成要件1C及び1Fの「複数の売り注文情報」という構成を相違点と主張するものである。またこのような相違点を主張する前提として、ここでは甲2発明は「複数の売り注文情報」を備えないものとして把握されていることになる。」
「このように請求人の追加主張1は、全く新たな進歩性の主張を追加するものであって、審判請求書の要旨変更にあたり許されない(特許法131条の2第1項)。」
「甲第2号証から認定される引用発明が異なるとしても、結局のところ甲2B発明と本件特許発明、あるいは甲2B発明と組み合わされる甲1発明とが、技術的思想を全く異にするものであるという点は異ならない。」
(被請求人陳述要領書2第3?4頁)

(2-3)無効理由3(甲第2号証の1を主引例とする進歩性欠如(その2))について
引用発明の認定について
「甲第2号証の[0081]及び[0089]の記載からは、パート2を繰り返すという以外は、例えばパート1がどのような構成になるのかや、パート2の注文が約定した後、パート1の注文が繰り返されることになるのかなど、引用発明としてどのような発明が認定できるのかは全く明らかではない。
甲第2号証の[0081]や[0089]のような1行記載から、請求人が主張するような引用発明を認定することはできない。
少なくとも、請求人が主張するうち、「(4)’及び(4)”」、「(6)’及び(6)”」の4つについては、そのような売り注文が行われることや、これらの注文に対応する注文情報が生成されることは、甲第2号証には開示されていない。」(答弁書第53頁)

イ 相違点について
「甲2発明に基づく無効理由「その1」で述べたところが、そのまま同「その2」についても当てはまる。」(答弁書第53頁)

(ア)買い注文情報について
「請求人の引用発明の認定に従ったとしても、買い注文情報は、無効理由「その1」と同様(1)、(3)及び(5)で変わらないのであり、これら異時に生成される買い注文情報が「複数」の買い注文情報に当たらないことは既に主張したとおりである。」(答弁書第53頁)

(イ)売り注文情報について
「請求人の主張するように、(2)”の売り注文が、(2)’の約定を受けて行われるものであるとすれば、このような異時に行われる売り注文の注文情報は、本件特許発明1における「複数の注文情報」には当たらないし、これが「一の注文手続で生成」されるものでもない。」(答弁書第54頁)

(ウ)値幅について
「請求人が主張する引用発明の「(2)’及び(2)”」や「(4)’及び(4)”」、「(6)’及び(6)”」のように、同じ新規注文に対応し、繰り返される売り注文同士の価格差は、本件特許発明における「値幅」に当たらない。」(答弁書第55頁)

(2-4)無効理由4(サポート要件違反)について
ア 「請求人は、「シフト機能」が「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」と組み合わさったものしか本件特許明細書には開示されていないと主張するが、上述のとおり本件特許明細書では、「シフト機能」にかかる発明を、「いったんスルー注文」、「決済トレール注文」、各種のイフダン注文(例えば「リピートイフダン注文」や「トラップリピートイフダン注文」)、「らくトラ」といった機能と組み合わせてもよいことが開示されている(【0078】、【0138】など)のであり、請求人が主張するように「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」と組み合わせた態様に限定されるものではない。」(答弁書第58頁)

イ 「実施例に関する記載を見ても、本件特許明細書【図13】では、本件特許明細書における「いったんスルー注文」、「決済トレール注文」及び「シフト機能」が、それぞれのチェックボックス(408、409a、410)をチェックしたり外したりすることで、個別に適用し得ることが表されている。
ここからも本件明細書上「シフト機能」が必ずしも「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」と組み合わせる必要があるわけではないことが明確に理解できる。」(答弁書第58頁)

ウ 「「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」は、「既存の注文」の価格を変動させることで相場価格の変動に対応する発明であるのに対し、「シフト機能」は、「新たな注文」の価格を変動させることで相場価格の変動に対応する発明である。このように、「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」と「シフト機能」とは、対象とする注文も、それぞれが機能するタイミングも全く異なるのであり、両者を組み合わせなければならない必然性は全く存在しない。」(答弁書第59?60頁)

エ 被請求人陳述要領書1における主張の補足
「本件特許請求の範囲の記載上、売り注文情報を生成後、その売り注文価格が変動する構成を排除していないし、本件明細書においても実際に決済トレール注文と組み合わせた実施例が明記されていることに照らせば、本件特許発明には「決済トレール注文」と組み合わせた「シフト機能」も含まれると解する。」(被請求人陳述要領書1第5頁)

オ 被請求人陳述要領書2における主張の補足
(ア)請求人の追加主張が要旨変更にあたること
「請求人は、平成30年10月26日付け口頭審理陳述要領書(以下「請求人陳述要領書」という。)において、合議体が11月2日付け審理事項通知書の「3」で指摘しているような主張を行なっている(以下「本件追加主張2」という。)。」
「しかし請求人は、審判請求書ではサポート要件違反に関し、本件特許発明1の構成要件1Hの「最も高い売り注文価格の売り注文」が変動しないこと(審判請求書199頁a?c)を指摘し、このような構成が本件特許明細書によってサポートされていないことを主張していた。
このような請求人の追加主張2は、全く新たなサポート要件の主張を追加するものであって、審判請求書の要旨変更にあたり許されない(特許法131条の2第1項)。」(被請求人陳述要領書2第6頁)

(イ)追加主張に理由がないこと
「本件特許明細書において「シフト機能」とは、「この「シフト機能」による注文は、上述した、「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」や、各種のイフダン注文(例えば後述する「リピートイフダン注文」や「トラップリピートイフダン注文」)等に基づいて、新規注文と決済注文が少なくとも1回ずつ約定したのちに、更に新規注文や決済注文が発注される際に、先に発注済の注文の価格や価格帯とは異なる価格や価格帯にシフトさせた状態で、新たな注文を発注させる態様の注文形態である。」(【0078】)と説明されている
このようにシフト機能は、新規注文と決済注文が少なくとも1回ずつ約定したのちに、「価格」や「価格帯」をシフトさせた状態で新たな注文を発注するものであると説明されている。
このようなシフト機能の説明からすれば、新規注文と決済注文が少なくとも1回ずつ約定した段階で、1つの注文の価格をシフトさせても良いし、複数の注文の発注される価格帯をシフトさせても良いと理解できる。
さらに本件明細書の【0149】に「シフト機能による処理は、上述の処理手順以外のいかなる方法によって行われてもよい。例えば、図35に示す状態において、決済注文S1,S2,S3が約定された際の基準価格である1ドル=102.40円を中心に新たな新規注文情報(あるいは新たな決済注文情報、あるいはその双方の情報)の注文価格情報181Gを設定する構成であってもよい。」として、新規注文のみ、決済注文のみ、あるいはその双方をシフトさせてもいいことが開示されているように、当業者からすれば、シフト機能は新たな価格で注文を発注するものであって、その際発注される注文については様々な態様のものがあり得ると理解することができる。
以上のような本件特許明細書の記載に照らせば、当業者は、請求人が主張するような、複数の決済注文をまとめて、それらの発注が行われる価格帯を変動させる構成のみならず、特定の1つの決済注文の価格を変動させる構成も含まれると認識することができる。」
(被請求人陳述要領書2第7?8頁)


第6 無効理由に対する当審の判断
1.各甲号証の記載事項
(1)甲第1号証
甲第1号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0039】
図1は、この実施の形態の金融商品取引管理システムのシステム構成図及び機能ブロック図である。同図に示すとおり、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、N個(N≧1)のクライアント端末21?2nとを備えており、金融商品取引管理装置1とクライアント端末21?2nは、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット3を介して相互に交信可能である。この実施の形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として外国為替を取扱う。」

イ 「【0042】
図1に示す通り、金融商品取引管理装置1は、上述した各種プログラムとハードウェア資源とに基づいて実現される機能手段としてのデータ処理部10、及び、データ処理部10にて処理される各種データが記録されるデータベース18を有する。データ処理部10は金融商品取引管理装置1において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、更に、同じく機能手段としてのフロントページ配信部11、「注文情報受付手段」及び「証拠金金額算出手段」としての注文入力受付部12、入出金情報生成部13、「約定情報生成手段」としての約定情報生成部14、口座情報生成部15、「注文情報生成手段」としての注文情報生成部16、データベース(DB)接続基底部17、「相場価格情報管理手段」としての価格情報受信管理部19を有している。
【0043】
注文入力受付部12は、クライアント端末2から入力された各種の注文に関するデータを受け付け、金融商品の注文を成立させるために必要な各種処理を行う。また、金融商品の取引に必要な証拠金の額を算出する。
【0044】
入出金情報生成部13は、クライアント端末2から入出金のリクエストを受け付け、リクエストに基づいて入出金の一覧表を作成する。
【0045】
注文情報生成部16は、注文入力受付部12が処理した情報に基づいて、成立した金融商品の注文に関する情報を生成する。ここでの注文には、いわゆる成行注文、指値注文、逆指値注文に加え、イフダンオーダーも含まれる。
【0046】
注文情報生成部16は、イフダンオーダー及び逆指値注文を生成する際に、第一注文を新規の指値注文又は逆指値注文の注文情報として生成し、第二注文を決済の指値注文の注文情報として生成し、逆指値注文を決済の逆指値注文の注文情報として生成する。なお、第一注文、第二注文、逆指値注文の如何は後述する注文テーブル181のフィールド定義に基づいて区別、記録される。
【0047】
約定情報生成部14は、注文情報生成部16が生成した注文に基づく約定処理、及び、完了した約定処理に関する情報を顧客のクライアント端末2に送るための処理を行う。なお、ここでの「約定」とは、顧客の注文に基づいて金融商品の売買を成立されるための各種の手続並びに処理のことをいう。後述する通り、この実施の形態において約定が成立すると、外国為替の売買が行われ、その結果、約定情報生成部14の指示に基づいて、口座情報生成部15が売買額に応じて証拠金情報(後述)を変換し、更に、入出金情報生成部13が入出金の一覧表に入金や出金の状況を記載する。また、約定情報生成部14は、約定が成立すると、クライアント端末2の表示部22に約定が成立した旨の文字情報等を表示させ、また、売買価格に基づいてクライアント端末の銀行口座の出入金処理を行う。」

ウ 「【0140】
この実施の形態3においては、実施の形態1のトラップトレード、実施の形態2のリピートイフダン注文に代えて、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、一の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引することを、複数の価格帯に渡って行う注文形態である「トラップリピートイフダン注文」を行う点で相違する。
【0141】
金融商品取引管理装置1がクライアント端末2の表示部22に第一入力画面40、次いで第二入力画面41を表示させ、顧客が注文種類選択ボタン41bで「トラップリピートイフダン注文」を選択すると、表示部22にはトラップリピートイフダン注文の入力用の第二入力画面43が表示される。図17は、第一入力画面40でUSドル/日本円(日本円でUSドルを売買する)の「買い」の売買種類選択ボタン401aを選択し、第二入力画面41の注文種類選択ボタン41bで「トラップリピートイフダン注文」が選択されたときに表示される第二入力画面43のイメージ図である。同図に示す通り、第二入力画面43には、実施の形態1の第二入力画面41と同様の売買種類選択ボタン43a、注文種類選択ボタン43b、注文条件選択欄43c、注文金額入力欄43d、第一注文価格入力欄43e、トラップ本数選択欄43f、値幅入力欄43gが表示され、また、実施の形態2の第二入力画面42と同様の利益金額指定欄43h、ストップロス注文用チェックボックス43i、ストップロス価格入力欄43jが表示されている。
【0142】
顧客は、操作部21を用いて第一入力画面40、第二入力画面43に注文内容のデータを選択・入力する。図17においては、売買種類選択ボタン43aで第一注文「買い」の取引が選択され、注文条件選択欄43cで「指値」が選択され、注文金額入力欄43dに10(万円)、第一注文価格入力欄43eに101.00(円)が入力され、トラップ本数選択欄43fにおいて5(本)が選択され、値幅入力欄43gに1.00(円)が入力され、利益金額指定欄43hに50000(円)が入力され、ストップロス注文用チェックボックス43iにチェックが入り、ストップロス価格入力欄43jに100.00(円)が入力された状態が示されている。
【0143】
この状態で注文確定ボタン43kがクリックされると、実施の形態1及び2と同様にステップS1?S10の処理が行われて注文情報、注文情報群が生成され、注文テーブル181に記録される。
【0144】
図18A、図18Bの(a)は、注文情報生成部16によってステップS1?S10の手順に基づいて生成されて注文テーブル181に記録された、注文情報群を模式的に示した図である。同図に示す通り、第二注文の注文価格情報181Hには、対応する第一注文、例えば第二注文181u21に対応する第一注文181u21の第一注文価格入力欄43eに入力された数値(101.00(円))に、利益金額指定欄43hに入力された数値を注文金額入力欄43dに入力された数値で割った値(50000(円)÷10(万円)=0.5(円))を加えた値が示されている。この数値は第二入力画面43に入力された数値に基づいて注文入力受付部12が算出したものである。なお、注文入力受付部12は、実施の形態1の式(1)を用いて算出を行うことや、式(1)’等を用い、金融商品取引管理装置1の管理者の利益を加えた数値を当該注文価格情報181Hとして算出することもできる。更に、これらの注文情報群181s21,181s22,・・・181s25においては、“trap_seq”フィールド181mによってトラップトレードが選択された設定、及び“repeat_flag”フィールド181nによってイフダンオーダーを繰り返し行う設定がされる。そして、その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0145】
この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップリピートイフダン注文による指値注文の受け付け後の処理手順は、図13A、図13Bに示す、実施の形態2における処理手順と同じである。図19及び図20は、この実施の形態の金融商品取引管理装置1における、トラップリピートイフダン注文による指値注文の受け付け後の処理手順を示すタイムチャートである。以下、同図に基づいて処理手順を説明する。なお、図19及び図20において、丸印は一のポジションの注文情報を示す。
【0146】
注文の受け付け処理の完了後、ステップS11?S19までの処理は実施の形態1と同じである。そして、一方、第一注文が新規の逆指値注文又は新規の指値注文として約定した後、最初に行われる第一?第五の群注文情報群181s21?181s25の処理は、実施の形態1と同じである。例えば、図19における時点t1での米国ドルの相場購入価格71が1ドル=100.00円であり、為替相場が一旦中断したのちに時点t2にて再開し、いわゆる「板寄せ方式」で相場購入価格71が同じ1ドル=103.50円になった場合、約定情報生成部14は第一?第三の第一注文181t21?181t23及び第一?第三の第一注文181u21?181u23を取り消す処理を行う。具体的には、第一?第三の第一注文181t21?181t23を逆指値注文の注文情報から(順)指値注文の注文情報に置き換える。更に、約定情報生成部14は、新たに、指値種別情報181Gが「順指値」となっている第一?第三の第一注文181t21?181t23を生成、設定し、第一?第三の第一注文181t21?181t23及び第一?第三の第二注文181u21?181u23を約定させる。即ち、約定情報生成部14は、図18A、図18Bの(a)に示す各注文情報群181s21?181s23について、図6Aの(b)に示すように第一?第三の第一注文181t21?181t23の指値種別情報181Gのフラグ情報を「逆指値」から「順指値」に変換し、図10の(b)に示すように第一?第三の第二注文181u21?181u23、及び第一?第三の逆指値注文181v21?181v23の有効/無効情報181Lのフラグ情報を「無効」から「有効」にし、第一?第三の第一注文181t21?181t23の約定有無情報181Nのフラグ情報を「無」から「有」に変換する。また、約定情報生成部14は、図10の(c)に示すように、第一?第三の第二注文181u21?181u23の約定有無情報181Nのフラグ情報を「無」から「有」に変換する。
【0147】
本実施の形態においては、実施の形態1とは異なり、注文情報生成部16は、第二注文が約定すると、当該第二注文を含む注文情報群を再度生成する。例えば、図10の(c)に示すように、第一?第三の第二注文181u21?181u23の約定有無情報181Nのフラグ情報を「無」から「有」に変換された後、注文情報生成部16は、図18A、図18Bの(b)に示すように第一?第三の注文情報群181s21?181s23が再度繰り返し生成される。また、第四、第五の第二注文181u24,181u25が約定した場合も、同様に第四、第五の注文情報群181s24?181s25が再度繰り返し生成される。ただし、図18Aの(b)に示すように、二度目以降に生成される注文情報群181s21?181s25の第一注文、例えば図18A、図18Bにおいては、再度生成された第一?第三の注文情報群181s21?181s23は第一?第三の第一注文181t21?181t23の指値種別情報181Gが「順指値」として生成される。」

エ 図18A


オ 上記エの図18Aの記載から、注文情報群181s21?181s25に、買い注文である第一注文181t21?25と、当該買い注文に対応する売り注文である第二注文181u21?25が含まれ、さらに、第二注文181u21?25の価格がそれぞれ101.50ドル、102.50ドル、103.50ドル、104.50ドル、105.50ドルであってそれぞれ等しい値幅で価格が異なることが看取される。

前記ア乃至オによると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

<甲1発明>
「金融商品として外国為替を取扱い、一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、一の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引することを、複数の価格帯に渡って行う注文形態である「トラップリピートイフダン注文」を行う金融商品取引管理システムが備える金融商品取引管理装置であって、
金融商品取引管理装置は、データ処理部、及び、データ処理部にて処理される各種データが記録されるデータベースを有し、
前記データ処理部は、金融商品取引管理装置において用いる各種データの生成、加工等の処理を行うものであり、フロントページ配信部、注文入力受付部、入出金情報生成部、約定情報生成部、口座情報生成部、注文情報生成部、データベース(DB)接続基底部、価格情報受信管理部を有し、
注文情報生成部は、注文入力受付部が処理した情報に基づいて、成立した金融商品の注文に関する情報を生成するものであり、イフダンオーダーを生成する際には、第一注文を新規の注文情報として生成し、第二注文を決済の注文情報として生成し、
約定情報生成部は、注文情報生成部が生成した注文に基づく約定処理を行い、
顧客の注文に応じて、注文情報生成部は、注文情報群181s21,181s22,・・・181s25を生成し、当該注文情報群181s21?181s25には、買い注文である第一注文181t21?25と、当該買い注文に対応する売り注文である第二注文181u21?25が含まれ、前記第二注文の価格はそれぞれ等しい値幅で価格が異なり、
注文情報生成部は、前記第二注文が約定すると、当該第二注文を含む注文情報群を再度生成する、
金融商品取引管理装置。」

(2)甲第2号証の1
甲第2号証の1には、次の事項が記載されている。なお、訳は甲第2号証の1の訳文として請求人より提出された甲第2号証の2を主に採用し、また、下線は当審において付加したものである。

ア 「[0004] This invention applies to buying and selling stocks, options, commodities, bonds, and most forms of equities and securities. This invention has useful application for the individual investor, the securities broker and others who trade securities.」
(対訳)
「[0004]
この発明は、株式、オプション、商品、債券、および大部分の型式のエクイティおよび証券の売買に適合する。この発明は、個人投資家、証券ブローカ、および証券をトレードするその他の人のための有用なアプリケーションを有する。」

イ 「[0074] The LOCK method and invention comprises (A) an investor who invests in a securities market with an objective to make a profit; (B) a host securities broker (such as E-Trade, Ameritrade, etc.) with a computer network, for handling their transaction. The host computer network includes a database server that provides an electronic security order template. With this template in place, the host computer network can store and organize security transaction request so that when an investor initiates a transaction, the network processes the request and sends it to a security exchange (such as New York Stock Exchange, NASDAQ, etc.); (C) individual computer workstations for each investor or broker. Each computer workstation would include a video monitor, a means for the investor of broker to send user commands to the host computer network, and a means for the investor or broker to receive and display (on the video monitor) security order templates and instructions transmitted from the host computer network; (D) a communications network electronically linking the investor's computer workstation to the host computer network; (E) a two-part securities exchange order (referred to as the LOCK order) that the investor initiates and that contains specific instructions for the host computer network to transact the security exchange. The LOCK order would include instructions and information for buying or selling a security, the name of the security, the quantity of that security, to buy the limit price or current market price at which to transact the security exchange and the increase or decrease in security price to initiate part-two of the transaction (referred to as the LOCK profit); (F) a software module that allows the investor at the computer workstation to interact with the host computer network. With this software the investor can select security exchange options and transmit them to the host computer network then receive confirmation that was underway. (G) an additional software module (referred to as the LOCK management module) as part of the securities broker host computer network. This software would link the host computer network to the security exchange markets and track and monitor the status of the investor's LOCK order. At the appropriate market price, the software would initiate a two-part, sequenced securities exchange order to buy a stock at the investor's specified price, then add the specified desired profit price and place a second order.」
(対訳)
「[0074]
LOCK方法および発明は、(A)利益を得るという目的で証券市場に投資する投資家と、(B)彼らのトランザクションを取り扱うために、コンピュータネットワークを備えた(E-Trade、Ameritrade等のような)ホスト証券ブローカと、を備える。ホストコンピュータネットワークは、電子証券注文テンプレートを提供するデータベースサーバを含む。このテンプレートで、ホストコンピュータネットワークは、証券トランザクション要求を記憶および体系化し、これによって、投資家がトランザクションを開始した場合に、このネットワークは、この要求を処理し、(ニューヨーク証券取引所、ナスダック等のような)証券取引所へ送信できる。(C)各投資家またはブローカのための個々のコンピュータワークステーション。各コンピュータワークステーションは、ビデオモニタと、ブローカの投資家が、ホストコンピュータネットワークへユーザコマンドを送るための手段と、投資家またはブローカが、ホストコンピュータネットワークから送信された指示と証券注文テンプレートとを受信し、(ビデオモニタ上に)表示するための手段と、を含むであろう。(D)投資家のコンピュータワークステーションをホストコンピュータネットワークへ電子的にリンクさせる通信ネットワーク。(E)投資家が開始し、ホストコンピュータネットワークが証券取引をトランザクトするための特有の指示を含む(LOCK注文とも称される)2パートの証券取引注文。LOCK注文は、証券取引をトランザクトする指値または現在の市場価格、および、トランザクションのパート2を開始するための証券価格における増加または減少(LOCK利益と称される)を受け入れるために、証券を買うかまたは売るかに関する指示および情報と、証券の名称と、その証券の量とを含むであろう。(F)投資家がコンピュータワークステーションにおいて、ホストコンピュータネットワークとインタラクトすることを可能にするソフトウェアモジュール。このソフトウェアを用いて、投資家は、証券取引オプションを選択し、ホストコンピュータネットワークにそれらを送信し、その後、それが進行中であることの確認を受け取る。(G)証券ブローカホストコンピュータネットワークの一部としての(LOCK管理モジュールと称される)追加のソフトウェアモジュール。このソフトウェアは、ホストコンピュータネットワークを、証券取引市場にリンクさせ、投資家のLOCK注文のステータスを追跡およびモニタするであろう。適切な市場価格において、ソフトウェアは、投資家の指定した価格で株式を買い、その後、指定された所望の利益価格を加え、第2の注文をするための、2パートのシーケンス化された証券取引注文を開始するであろう。」

ウ 「[0078] FIG. 1 shows information typically required and found on electronic transaction equities order 1 today, including instructions from the investor to buy or sell 2, whether to form a long (buy) or short (sell short) position 3, the time the order is valid either for the remainder of the market day then canceled (also referred by investors as "fill or kill") or the leave the order valid for multiple days until filled or canceled by the investor 4, the stock symbol 5, the quantity of stock 6, whether the order is a market order (to trade at the prevailing trading price) 7, or a Limit Order (to trade at a specific price or better)8.
[0079] FIG. 2 is shows the addition of the LOCK information box 9, to the FIG. 1 example order form. If an investor wished to execute a LOCK trade, the investor would simply add the movement value of the equity 10 to close out the position. This simple addition of information LOCK value 10 is all that the investor would have to add to execute the LOCK process. If the investor enters an order to buy a stock and enters a 1.00 in the box this would be interpreted by the LOCK process (FIG. 3) and module (FIG. 5) to sell the equity at 1.00 more than the purchase price. Alternate embodiment of this number could be to have the investor specify the amount of profit desired such as $150.
[0080] FIG. 3 shows the logic execution and conversion of the LOCK invention and process. FIG. 3's right side represents the investor's input request that is used to execute Part one of the LOCK process. The buy/sell instruction 2 convert from part 1 from buy to part 2 to sell 11. An example is if the order states to buy 100 XYZ, part 1 will buy then convert to a sell order in part 2. The order's time to be valid box in part 1 can be specified as day or good to canceled 4. If part 1 on the LOCK order is executed, this information will convert to a good till canceled order. An option for the investor is to see the status of his order and request modification to the LOCK order or cancel the second half of the LOCK order if unexecuted. An example may be that the investor's LOCK order is executed and he now holds 100 shares of XYZ and is waiting for a LOCK price move of 2.00 before he sell. During this time the investor queries the electronic investment company on the status of the LOCK order and sees that part one has been executed and now wished to cancel the "sell" order in part 2 of the LOCK order. The investor submits a cancellation request and, if received in time, the LOCK order could be canceled and the investor would only have part 1 of the LOCK order's results. Similarly, if the investor wished to cancel the entire LOCK order before part 1 has been executed, the order would be cancelled in a method similar to canceling traditional unexecuted orders.
[0081] The stock symbol 5, and stock quantity 6, remains the same in part 1 and part 2. Alternate embodiment could change the quantity, such as selling half in part 2 then cycling through part 2 again selling the second half a an increased price. The price selection for part 1 involves either a market order 7, which executes the trade at the prevailing market rate or a Limit Order 8, which specifies a price. For the investor to execute a Limit Order normally he or she must check a box and enter the price at which to execute it or if market conditions permit, at a better price. The part 1 order executed price in combination with information in the LOCK box 9, and the LOCK price 10, will form the Limit Order execution price for the part 2 of the LOCK transaction.」
(対訳)
「[0078]
図1は、本日の電子トランザクションエクイティ注文において一般に必要とされ、見出される情報1を示し、この情報は、投資家からの、買いまたは売り2、ロング(買い)ポジションを形成するか、またはショート(売りショート)ポジション3を形成するか、市場営業日の残りについて注文が有効であり、その後キャンセルされる(投資家によって「フィルオアキル(fill or kill)」とも称される)か、または投資家によって満たされるか、キャンセルされるまで、複数の日にわたって注文を有効にしておく時間4、証券銘柄5、証券の量6、注文が(一般的なトレード価格でトレードするための)成り行き注文7であるか、または(指定された価格においてまたはそれより良い条件でトレードするための)指値注文8であるかの指示を含む。
[0079]
図2は、図1の例示的な注文フォームにLOCK情報ボックス9を追加したものを図示する。投資家が、LOCKトレードを実行することを望んだのであれば、投資家は、単に、ポジションをクローズアウトするために、エクイティの変動値10を加えるであろう。この単純な、情報LOCK値10の追加は、投資家が、LOCK処理を実行するために追加しなければならないすべてである。投資家が、株式を買う注文を入力し、ボックス内に1.00を入力すると、これは、購入価格よりも1.00高くエクイティを売るとLOCK処理(図3)およびモジュール(図5)によって解釈されるであろう。この数値の代替実施形態は、投資家に対して、150ドルのように所望される利益量を指定させることであり得る。
[0080]
図3は、LOCK発明および処理のロジック実行および変換を示す。図3の右側は、LOCK処理のパート1を実行するために使用される投資家の入力要求を表す。買い/売り指示2は、パート1の買いから、パート2の売り11に切り替わる。例は、注文が、100 XYZを買うことを明示しているのであれば、パート1は、買い、その後、パート2において売り注文に切り替わるであろう。パート1において、有効なボックスとなるこの注文の時間は、デイまたはグッドトゥキャンセル4として指定され得る。LOCK注文におけるパート1が実行されると、この情報は、グッドティルキャンセル注文に切り替わるであろう。投資家のためのオプションは、注文のステータスを観察し、LOCK注文に対する修正を要求するか、または、実行されていないのであれば、LOCK注文の後半をキャンセルすることである。例は、投資家のLOCK注文が実行され、投資家が、XYZの100株を保持し、売る前に、2.00のLOCK価格変動を待つことであり得る。この時間中、投資家は、電子投資会社に対して、LOCK注文のステータスについて問い合わせを行い、パート1が実行され、現在、LOCK注文のパート2において、「売り」注文のキャンセルを望んでいる。投資家は、キャンセル要求を発行し、時間内に受信されれば、LOCK注文がキャンセルされ、投資家は、LOCK注文のパート1の結果しか得ないであろう。同様に、投資家が、パート1が実行される前にLOCK注文の全体のキャンセルを望んでいるのであれば、この注文は、従来の未実行注文のキャンセルと類似の方法でキャンセルされるであろう。
[0081]
株式銘柄5、また、株式の量6は、パート1およびパート2において同じままである。代替実施形態は、パート2において半分を売り、その後、パート2を繰り返し、増加された価格で後半を売るように、量を変え得る。パート1の価格選択は、市場相場でトレードを実行する成り行き注文7または価格を指定する指値注文8かの何れかを含む。投資家が指値注文を実行するためには通常、ボックスをチェックし、実行する価格を入力するか、または、市場状況が許すのであれば、よりよい価格を入力する。LOCKボックス9およびLOCK価格10における情報と組み合わされたパート1注文実行価格は、LOCKトランザクションのパート2の指値注文実行価格を形成するであろう。」

エ 「[0083] FIG. 5 shows the main embodiment of the LOCK method, process and order flow sequence for opening and closing a LOCK order. The method begins with the investor 17 submitting a LOCK order 19, which contains sufficient information as described in FIG. 3. The LOCK order 19 is submitted to the electronic trading company 20 where the order is identified as a LOCK order and enters the LOCK management module process 12. The LOCK management module 12 comprises the software interfaces that receive the LOCK order 19 document and generate a tracking record 33, record the LOCK increment 35, monitor the submission of the first part of the LOCK order submission 34, as the order 34 enters the securities exchange 23 trading pit 36, and the order is filled 37, then record the first order being filled 38, generate the second part of the LOCK order 39, and submit the second part of the LOCK order 40. The second part of the LOCK order 40 is resubmitted to the trading pit 41 and once the second order is filled 42, the electronic trading company 20, records the account balance 43 and notifies the investor 17 that the LOCK transaction has been completed.」
(対訳)
「[0083]
図5は、LOCK注文をオープンおよびクローズするためのLOCK方法、処理、および注文フローシーケンスの主な実施形態を図示する。この方法は、投資家17が、LOCK注文19を発行することで始まる。これは、図3に記載されたような十分な情報を含む。LOCK注文19は、電子トレード会社20へ発行され、ここで、この注文は、LOCK注文として識別され、LOCK管理モジュール処理12に入力する。LOCK管理モジュール12は、ソフトウェアインターフェースを備える。このソフトウェアインターフェースは、LOCK注文19ドキュメントを受信し、追跡記録33を生成し、LOCKインクリメント35を記録し、LOCK注文発行34の前半の発行をモニタし、この注文34が、証券取引所23にトレードピット36を入力し、注文が満たされる37と、第1の注文が満たされたことを記録し38、LOCK注文の後半を生成し39、LOCK注文の後半を発行する40。LOCK注文の後半40がトレードピット41へ再発行され、第2の注文が満たされる42と、電子トレーディング会社20は、口座残高を記録43し、投資家17に、LOCKトランザクションが完了したことを通知する。」

オ 「[0085] Alternative embodiments include inserting the option to automatically re-cycle through the process again and an additional option to increase or decrease the buy/sell prices. FIG. 6 and FIG. 7 shows alternative embodiment of the LOCK method by adding a number of cycles and increment options to the methodology. FIG. 6 shows the additional information required to cycle through the process. FIG. 7 shows the methodology for reentering the LOCK management module 12. The addition of "Number of Cycles" 44 would allow the investor to automatically reenter the LOCK process again in hopes of making more profit. An example of specifying two cycles would mean to buy 100 shares of XYZ (with a LOCK price of $1) at $50 a share, sell at $51 a share, buy back at $50 and sell again at $51. This investment process would allow the individual investor to take advantage of daily small stock fluctuations.
[0086] Another option would be to increase the price increment for each cycle 45. Investors would use this process to take advantage of a stock price that is moving up. An example is specifying buy 100 XYZ at $50.00 with a LOCK price of $1, number of cycles of 3 and an increment of $0.50. This would translate to buy 100 shares of XYZ at $50.00, sell at $51.00, buy back at $51.50, sell at $52.50, buy back at $52.00, and sell at $53.00.
[0087] Another embodiment would be to locate the LOCK management module 12 on the investor's own computer.
[0088] FIG. 8 is an alternative embodiment that would locate the LOCK management software module 12 on an investor's computer 46. This method and approach is similar to the primary methodology requiring LOCK information to automatically generating multiple sequenced orders and executing the number of cycles and increments selected by the investor discussed below.
[0089] The LOCK process could include an option allowing an investor to cancel a LOCK order anytime during the process. For example an investor could decide to hold on to a stock purchased in part 1 of the LOCK order then cancel the sell side (part 2) of the LOCK order. The stock symbol 5, and stock quantity 6, remains the same in part 1 and part 2. Alternate embodiment could change the quantity, such as selling half in part 2 then cycling through part 2 again, selling the second half at an increased price.」
(対訳)
「[0085]
代替実施形態は、この処理を再度自動的に繰り返すオプションと、買値/売値を上げまたは下げる追加のオプションと、を挿入することを含む。図6および図7は、この方法に、サイクル数と、インクリメントオプションとを加えることによるLOCK方法の代替実施形態を図示する。図6は、処理を繰り返すために必要な追加情報を図示する。図7は、LOCK管理モジュール12に再び入るための方法を図示する。「サイクル数」44の追加によって、投資家は、より多くの利益を得ることを望んで、LOCK処理に自動的に再び入ることができるようになるであろう。2つのサイクルを指定する例は、1株あたり50ドルでXYZを100株(1ドルのロック価格で)買い、1株あたり51ドルで売り、50ドルで買い戻し、51ドルで再び売ることを意味するであろう。この投資処理によって、個人投資家は、毎日の小さな株価変動を活用することが可能となるであろう。
[0086]
別のオプションは、各サイクルの価格インクリメント45を上げることであろう。投資家は、上昇している株価を利用するためにこの処理を利用するであろう。例は、1ドルのLOCK価格、サイクル数3、および、0.50ドルのインクリメントで、50.00ドルで100株のXYZを買うことを指定する。これは、50.00ドルで100株のXYZを買い、51.00ドルで売り、51.50ドルで買い戻し、52.50ドルで売り、52.00ドルで買い戻し、53.00ドルで売ると解釈するであろう。
[0087]
別の実施形態は、投資家自身のコンピュータに、LOCK管理モジュール12を配置することであろう。
[0088]
図8は、投資家のコンピュータ46にLOCK管理ソフトウェアモジュール12を配置する代替実施形態である。この方法およびアプローチは、LOCK情報を要求する基本的な手法に類似しており、以下に記載するように、シーケンス化された複数の注文を自動的に生成し、投資家によって選択されたサイクル数およびインクリメントを実行する。
[0089]
LOCK処理は、投資家が、処理中いつでもLOCK注文をキャンセルできるようにするオプションを含み得る。たとえば、投資家は、LOCK注文のパート1で購入された株式を保持し、その後、LOCK注文の売り側(パート2)をキャンセルするように決定し得る。株式銘柄5および株の量6は、パート1およびパート2において同じままである。代替実施形態は、パート2において半分を売り、その後パート2を繰り返し、増加した価格で後半を売るように、量を変更でき得る。」

カ 前記オの[0086]において、「51.50ドルで買い戻し、52.50ドルで売り、52.00ドルで買い戻し、53.00ドルで売る」と記載されているのは、「例は、1ドルのLOCK価格、サイクル数3、および、0.50ドルのインクリメントで、50.00ドルで100株のXYZを買うことを指定する。」の記載から、「50.50ドルで買い戻し、51.50ドルで売り、51.00ドルで買い戻し、52.00ドルで売る」の誤りであることは明らかである。
そうすると、当該取引例によると、「投資家が1ドルのLOCK価格、サイクル数3及び0.50ドルの価格インクリメントを指定すると、(1)50.00ドルで買う、(2)51.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル)、(3)50.50ドルで買う(インクリメントが0.50ドル)、(4)51.50ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル)、(5)51.00ドルで買う(インクリメントが0.50ドル)及び(6)52.00ドルで売る(LOCK価格が1ドル及びインクリメントが0.50ドル)という取引が順次行われる。」ことが開示されているといえる。

前記ア乃至カによると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明の1」という。)が記載されていると認められる。

<甲2発明の1>
「証券市場に投資する投資家のトランザクションを取り扱うために、コンピュータネットワークを備えたホスト証券ブローカであって、
ホストコンピュータネットワークは、証券トランザクション要求を記憶および体系化し、投資家がトランザクションを開始した場合に、この要求を処理し、(ニューヨーク証券取引所、ナスダック等のような)証券取引所へ送信でき、
投資家またはブローカのための各コンピュータワークステーションは、ビデオモニタと、ホストコンピュータネットワークへユーザコマンドを送るための手段と、ホストコンピュータネットワークから送信された指示と証券注文テンプレートとを受信し表示するための手段と、を含み、
投資家は、LOCK注文と称される2パートの証券取引注文の指示を行うことができ、
証券ブローカホストコンピュータネットワークの一部としてLOCK管理モジュールを備え、このソフトウェアは、投資家のLOCK注文のステータスを追跡およびモニタし、投資家の指定した価格で株式を買い、その後、指定された所望の利益価格を加え、第2の注文をするための、2パートのシーケンス化された証券取引注文を開始し、
LOCK管理モジュールが備えるソフトウェアインターフェースは、LOCK注文ドキュメントを受信し、LOCK注文発行の前半の発行をモニタし、注文が満たされると、第1の注文が満たされたことを記録し、LOCK注文の後半を生成して発行し、
LOCK注文の方法において、サイクル数と、インクリメントオプションとを加えることができ、サイクル数の追加によって、投資家は、より多くの利益を得ることを望んで、LOCK処理に自動的に再び入ることができ、別のオプションとして、各サイクルの価格インクリメントがあり、投資家は、上昇している株価を利用するためにこの処理を利用し、
サイクル数とインクリメントオプションの例として、1ドルのLOCK価格、サイクル数3、および、0.50ドルのインクリメントで、(1)50.00ドルで買う、(2)51.00ドルで売る、(3)50.50ドルで買う、(4)51.50ドルで売る、(5)51.00ドルで買う及び(6)52.00ドルで売るという取引を順次行う、
ホスト証券ブローカ。」

また、甲第2号証の1の段落[0089]には、「代替実施形態は、パート2において半分を売り、その後パート2を繰り返し、増加した価格で後半を売るように、量を変更でき得る。」との記載がある。当該代替実施形態を、インクリメントオプションに適用すると、パート2の前半と後半の価格差が1ドルであると仮定した場合、パート1の50.00ドルの買い注文(注文(1))、パート2前半の51.00ドルの売り注文(注文(2)’)、パート2後半の52.00ドルの売り注文(注文(2)”)、パート1の50.50ドルの買い注文(注文(3))、パート2前半の51.50ドルの売り注文(注文(4)’)、パート2後半の52.50ドルの売り注文(注文(4)”)、パート1の51.00ドルの買い注文(注文(5))、パート2前半の52.00ドルの売り注文(注文(6)’)、パート2後半の53.00ドルの売り注文(注文(6)”)という各注文が、先行する注文の約定を受けて、順次、生成、発注されていくことになる。
(なお被請求人は、甲2号証の1には、「(4)’及び(4)”」、「(6)’及び(6)”」の4つの売り注文が行われることは記載されていない旨を主張している。しかしながら、甲2号証の1には、LOCK処理の代替実施形態の説明として、サイクル数とインクリメントオプションについて説明され、続いてパート2の売り注文を2つに分ける形態が説明されており、甲2号証の1に接した当業者であれば、これらの機能を組み合わせて「(4)’及び(4)”」、「(6)’及び(6)”」の売り注文を生成するよう構成しうることが理解できる。また、甲第2号証には、「後半」の売り注文に係る「増加」の幅を「LOCK」価格とするか「インクリメント」値によるかについて記載がないが、いずれによることも可能であるから、「LOCK」価格の幅で増加するものとして認定する。なお、この認定は請求人の主張とも合致するものである。)
前記ア乃至カ、及び、上記段落[0089]に記載の代替実施形態から、甲2号証の1には、次の発明(以下、「甲2発明の2」という。)も記載されていると認められる。

<甲2発明の2>
「証券市場に投資する投資家のトランザクションを取り扱うために、コンピュータネットワークを備えたホスト証券ブローカであって、
ホストコンピュータネットワークは、証券トランザクション要求を記憶および体系化し、投資家がトランザクションを開始した場合に、この要求を処理し、(ニューヨーク証券取引所、ナスダック等のような)証券取引所へ送信でき、
投資家またはブローカのための各コンピュータワークステーションは、ビデオモニタと、ホストコンピュータネットワークへユーザコマンドを送るための手段と、ホストコンピュータネットワークから送信された指示と証券注文テンプレートとを受信し表示するための手段と、を含み、投資家は、LOCK注文と称される2パートの証券取引注文の指示を行うことができ、
証券ブローカホストコンピュータネットワークの一部としてLOCK管理モジュールを備え、このソフトウェアは、投資家のLOCK注文のステータスを追跡およびモニタし、投資家の指定した価格で株式を買い、その後、指定された所望の利益価格を加え、第2の注文をするための、2パートのシーケンス化された証券取引注文を開始し、
LOCK管理モジュールが備えるソフトウェアインターフェースは、LOCK注文ドキュメントを受信し、LOCK注文発行の前半の発行をモニタし、注文が満たされると、第1の注文が満たされたことを記録し、LOCK注文の後半を生成して発行し、
LOCK注文の方法において、サイクル数と、インクリメントオプションとを加えることができ、サイクル数の追加によって、投資家は、より多くの利益を得ることを望んで、LOCK処理に自動的に再び入ることができ、別のオプションとして、各サイクルの価格インクリメントがあり、投資家は、上昇している株価を利用するためにこの処理を利用し、
さらに、LOCK注文の後半であるパート2において半分を売り、その後パート2を繰り返し、増加した価格で後半を売るように、量を変更でき、
サイクル数とインクリメントオプションの例として、1ドルのLOCK価格、サイクル数3、および、0.50ドルのインクリメントで、パート2の前半と後半の価格差が1ドルである場合、(1)50.00ドルで買う、(2)’51.00ドルで売る、(2)”52.00ドルで売る、(3)50.50ドルで買う、(4)’51.50ドルで売る、(4)”52.50ドルで売る、(5)51.00ドルで買う、(6)’52.00ドルで売る及び(6)”53.00ドルで売る、という取引を順次行う、
ホスト証券ブローカ。」

(3)甲第3号証
甲第3号証には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア 「【0055】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る売買注文処理システムについて説明する。第1の実施の形態との主な相違点として、第2の実施の形態では、入力されるトレール注文情報が、トレール幅に加えてトリガー相場を含んでおり、このトリガー相場がトレール幅と共に処理される。本実施の形態で扱うトレール注文をトリガートレール注文と呼ぶ。トリガートレール注文は、本実施の形態のトレール注文の一種であって、トリガー相場指定の追加によって機能的に拡張される。以下、第1の実施の形態と共通する事項の説明は省略し、第1の実施の形態との相違点を中心に、第2の実施の形態について説明する。
【0056】
図9は、本実施の形態の売買注文処理システムを示す機能ブロック図である。図9の売買注文処理システム101と図3の売買注文処理システム1を比較すると分かるように、売買注文処理システム101では、トレール開始判定部103が追加されている。
【0057】
図9において、注文情報入力部21は、注文量、トレール幅に加えてトリガー相場を含んだトレール注文情報を入力する。トリガー相場は後述のようにトレール注文を有効化するトレール開始条件になるパラメータである。トレール相場はトレール幅と同様に注文者により指定され、入力される。図10は本実施の形態における注文情報の入力画面の例である。図10では、取引通貨が「米ドル/円」であり、注文種類が「TTR(トリガートレール)」であり、売買種別が「売」であり、区分が「新規」であり、枚数が「1」(=10、000ドル)であり、トレール幅が「5.00円」であり、トリガーレートが「110円」である。トリガーレートはトリガー相場に相当する。入力されたトレール注文情報は、第1の実施の形態と同様に、注文情報入力部21を経由してトレール注文情報データベース105に格納される。
【0058】
図11は、本実施の形態におけるトレール注文情報データベース105の例を示している。トレール注文情報データベース105は、注文識別情報、注文種類、注文量(枚)、トレール幅、トリガー相場(トリガーレート)およびトレール状態のテーブルである。図5に示した第1の実施の形態のデータベースと比較すると、トリガー相場とトレール状態が追加されている。
【0059】
トレール状態は、新規のトレール注文情報が登録されるときは、「待機」に設定される。そして、以下に説明するようにトリガー相場が処理されてトレールが開始すると、トレール状態が「有効」に書き換えられる。さらにその後に約定が成立すると、トレール状態が「終了」に書き換えられる。
【0060】
トレール開始判定部103は、トリガー相場を処理して、トレール開始条件が成立したか否かを判定する構成であり、これにより、トレール逆指値初期値設定部31、トレール逆指値記憶部33およびトレール逆指値更新部35にトレール逆指値の処理を開始させるトレール開始の制御を行う。つまり、本実施の形態では、トレール注文の発生と同時に有効になるのではなく、トレール開始条件が成立してから有効になる。トレール開始判定部103は、相場情報入力部27から入力されるリアルタイムの相場情報を相場情報テーブル記憶部29から取得することで、相場情報を監視する。トレール開始判定部103は、トレール注文情報データベース105からトレール状態が待機の各トレール注文のトリガー相場を読み取り、現在の相場とトリガー相場とを比較する。そして、トレール開始判定部103は、トレール相場に相場が到達するとトレール開始条件が成立したと判定する。そして、トレール開始判定部103は、トレール注文情報データベース105における該当するトレール注文のトレール状態を「待機」から「有効」に更新する。これにより、トレール開始条件成立がトレール逆指値初期値設定部31とトレール逆指値記憶部33に通知される。
【0061】
トレール逆指値初期値設定部31は、トレール注文情報データベース105にてトレール状態が「待機」から「有効」に変わったトレール注文のトレール逆指値の初期値を設定する。初期値設定処理は第1の実施の形態と同様であり、トレール開始時点の相場からトレール幅ずれた値を算出して、トレール逆指値記憶部33に格納する。トリガートレール注文の場合、トレール開始時点の相場がトレール相場であるから、トレール逆指値の初期値としては、トレール相場からトレール幅ずれた値が算出される。
【0062】
また、トレール逆指値更新部35は、トレール注文情報データベース105にてトレール状態が「待機」から「有効」に変わったトレール注文のトレール逆指値に対して相場に応じた更新の処理を開始する。ここでは、注文識別情報をキーにした処理が行われてよく、例えば、トレール注文情報データベース25でトレール状態が有効になったトレール注文情報の注文識別情報と関連づけられたトレール逆指値がトレール逆指値記憶部33から特定されて、更新処理対象に設定される。これにより、トレール逆指値更新部35は、トレール開始判定部103によりトレール開始条件が成立したと判定されたトリガー注文情報と注文識別情報が合致するトレール逆指値の更新処理を開始する。
【0063】
トレール逆指値の更新処理は第1の実施の形態と同様である。また、トレール逆指値を用いた約定成立判定とその後の約定関連の処理も第1の実施の形態と同様である。トレール注文約定成立判定部37は、約定が成立したと判定すると、トレール注文情報データベース105における該当するトレール注文のトレール状態を更新し、有効から終了に変更する。
【0064】
なお、本発明の範囲内で、トレール逆指値初期値設定部31は、新規のトレール注文情報が追加された時点でトレール逆指値の初期値を設定してもよい。これにより、トレール開始条件成立より前にトレール逆指値の初期値が設定される。しかし、この時点ではまだトレール状態が「待機」である。相場がトレール相場に達し、トレール開始条件が成立し、トレール状態が「有効」になってから、トレール逆指値更新部35およびトレール注文約定成立判定部37が機能する。したがって、この変形例でも同様のトレール注文処理が実現される。」

イ 「【0092】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る売買注文処理システムについて説明する。第1?第3の実施の形態との主な相違点として、第4の実施の形態では、第1注文情報と第2注文情報が入力される。第2注文情報は、第1注文情報の約定が成立したときに有効化される。そして、第2注文情報が、上述のOCOトリガートレール注文である。
【0093】
上記の第1注文情報と第2注文情報の組み合わせは、IFD(イフダン)注文に相当する。したがって、本実施の形態は、IFD注文とOCOトリガートレール注文の組合せを実現する。IFD注文とOCO注文の組合せは、元々、IFO注文と呼ばれる。この観点では、本実施の形態は、IFO注文とトリガートレール注文の組合せを実現するものであり、この注文をIFOトリガートレール注文と呼ぶことができる。
【0094】
なお、後述するように、本発明は、IFD注文と基本のトレール注文の組合せ、および、IFD注文とトリガートレール注文の組合せにも同様に適用可能である。
【0095】
以下、第1?第3の実施の形態と共通する事項の説明は省略し、第1?第3の実施の形態との相違点を中心に、第4の実施の形態について説明する。
【0096】
図18は、本実施の形態の売買注文処理システムを示す機能ブロック図である。図18の売買注文処理システム301と図14の売買注文処理システム201を比較すると分かるように、売買注文処理システム301では、第1注文約定処理部303、第2注文転送処理部305、相場情報入力部307および相場情報テーブル記憶部309が追加されている。これら構成は、図2の注文管理サーバ5に設けられる。
【0097】
このうち、相場情報入力部307および相場情報テーブル記憶部309は、相場情報入力部27および相場情報テーブル記憶部29と同様の構成である。ただし、相場情報入力部27および相場情報テーブル記憶部29が図2のトレール注文管理サーバ7に設けられたのに対して、相場情報入力部307および相場情報テーブル記憶部309は図2の注文管理サーバ5に設けられて、同サーバ内の第1注文約定処理部303に参照される。なお、システム構成によっては、相場情報入力部307および相場情報テーブル記憶部309が、相場情報入力部27および相場情報テーブル記憶部29とそれぞれ一体化されてよいことはもちろんである。
【0098】
図18において、注文情報入力部21は、第1注文情報と第2注文情報を入力する。第2注文情報が、トレール注文情報と付帯注文情報である。第1注文情報は、IFD注文にて先に処理されるべき注文情報である。第1注文情報は、指値注文または逆指値注文の情報であり、注文量と、固定の指値または逆指値を含む。本実施の形態では、第2注文情報のトレール注文の例が売注文である。第1注文の例は、買いの指値注文または逆指値注文である。
【0099】
入力された第1注文情報と第2注文情報は、互いに関連づけられ、さらに注文識別情報と関連づけられて、注文情報データベース23に格納される。ここで、前述の実施の形態ではトレール注文情報が直ちにトレール注文情報データベース25に転送されたが、本実施の形態では、第2注文情報は直ちに転送されない。下記の処理により第1注文情報の約定が成立するまで、転送が制限され、第2注文情報がトレール注文情報データベース25に保持される。
【0100】
第1注文約定判定部303は、第1注文情報の約定が成立したかを判定する構成である。処理対象の注文情報と指値または逆指値が異なるものの、第1注文約定判定部303とトレール注文約定成立判定部37では、約定成立の判定処理は同様でよい。第1注文約定判定部303は、相場情報入力部307から入力されるリアルタイムの相場情報を相場情報テーブル記憶部309から取得することで、相場情報を監視する。第1注文約定判定部303は、注文情報データベース23に格納された各々の第1注文情報における指値または逆指値とリアルタイムの相場情報を比較し、指値または逆指値が相場と一致した場合に、第1注文の約定が成立したと判定する。
【0101】
第1注文約定判定部303は、第1注文の約定が成立したと判定すると、約定成立を注文情報データベース23に記録する。約定成立は、約定登録処理部41に通知され、約定登録処理部41が約定成立テーブル記憶部43に第1注文の約定成立を記録する。このとき、注文識別情報をキーにして注文量を含む必要な情報が注文情報データベース23から取得される。
【0102】
約定成立は、上述のように注文情報データベース23に記録されて、第2注文転送処理部305に通知される。第2注文転送処理部305は、約定が成立した第1注文情報と関連づけられた第2注文情報を注文情報データベース23から読み出し、トレール注文情報データベース25へ転送する。第2注文情報は、トリガートレール注文情報と付帯注文情報であり、上述の実施の形態と同様に処理される。
【0103】
図19は、各トレール注文情報に対して売買注文処理システム301により行われる処理を示すフローチャートである。図示のように、第3の実施の形態で説明した図16の処理と比べると、ステップS1のトレール注文情報入力の後に、ステップS301?S305が追加されている。ステップS301では、第1注文約定判定部303が、第1注文の約定が成立したか否かを判定する。第1注文の約定が成立すると(S301、Yes)、その第1注文の約定が登録され(S303)、対応する第2注文情報が転送される(S305)。以降の処理は、第3の実施の形態と同様である。
【0104】
なお、本実施の形態は、IFD注文の2段階の売買種別に関しては、IFD注文で可能な任意の組合せに適用されてよく、第1注文が買いで第2注文が売りでもよく、その逆もよい。
【0105】
また、本実施の形態では、第2注文情報が、トリガートレール注文情報と付帯注文情報であった。しかし、本発明は上記に限定されない。トレール注文とIFD注文に関しては、下記のような各種の組合せによる応用が可能である。
【0106】
例えば、第2注文情報は、トリガートレール注文情報のみでもよい。この場合、付帯注文情報の入力と処理が省かれる。この注文は、IFDトリガートレール注文と呼ぶ。」

前記ア及びイによると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

<甲3発明>
「現在の相場がトリガー相場に到達すると、トレール注文のトレール逆指値の初期値を設定し、トレール逆指値に対して相場に応じた更新の処理を行う注文方法であるトリガートレール注文を、イフダン注文と組み合わせ、イフダンオーダーの第2注文情報をトリガートレール注文とする、注文方法。」

2.無効理由1について
(1)本件発明1についての判断
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
(ア)甲1発明の「金融商品取引管理装置」は、「一の売買注文申込情報に基づいて、同一種類の金融商品を、一の価格帯においてイフダンオーダーで複数回取引することを、複数の価格帯に渡って行う注文形態である「トラップリピートイフダン注文」を行う」ものであり、相場価格の変動に応じて複数回、すなわち継続的に金融商品の取引を行うものであるから、後述する相違点を除いて、本件発明1の「相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置」に対応する。

(イ)甲1発明の「注文情報生成部」は、顧客の注文に応じて買い注文である第一注文181t21?25を含む複数の注文情報群を生成するものであるから、本件発明1の「前記金融商品の買い注文を行うための複数の買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段」を備えているといえる。

(ウ)甲1発明の「注文情報生成部」が生成する複数の注文情報群には、それぞれ買い注文に対応する売り注文である第二注文181u21?25が含まれるから、甲1発明の「注文情報生成部」は、本件発明1の「前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段」を備えているといえる。

(エ)上記(イ)(ウ)から、甲1発明の「注文情報生成部」は、後述する相違点を除いて、本件発明1の「注文情報生成手段」に対応する。

(オ)甲1発明は「注文情報生成部が生成した注文に基づく約定処理を行う約定情報生成部」を備えており、「約定処理」には約定の検知が含まれることは明らかであるから、甲1発明は、本件発明1の「前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段」を備えているといえる。

(カ)甲1発明において、「第二注文の価格はそれぞれ等しい値幅で価格が異な」るものであるから、甲1発明は、本件発明1の「前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり」に相当する構成を備えている。

(キ)甲1発明において、「注文情報生成部」は、「顧客の注文に応じて」、「売り注文である第二注文181u21?25」を含む「複数の注文情報群181s21,181s22,・・・181s25」を生成するものであるから、甲1発明は、本件発明1の「前記注文情報生成手段は、前記複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し」に相当する構成を備えている。

(ク)甲1発明の「注文情報生成部」は、「第二注文が約定すると、当該第二注文を含む注文情報群を再度生成」との構成を有するのであるから、甲1発明と本件発明1とは、「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、売り注文情報を生成する」との点で共通する。
(なお請求人は、構成要件1Hにおける「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知」する点を甲1発明との一致点として認定しているが、甲1発明において、「最も高い売り注文価格の売り注文」の約定は、他の「売り注文」の約定と同様に扱われており、「最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたこと」を特有の処理を行う契機とするものではないから、形式的に「最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知」しているからといって、これを本件発明1との一致点として把握することはできない。)

以上(ア)乃至(ク)によると、本件発明1と甲1発明は、次の点で一致する。
<一致点>
「相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の買い注文を行うための複数の買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段と、
前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段と
を有する注文情報生成手段と、
前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段とを備え、
前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり、
前記注文情報生成手段は、前記複数の売り注文情報を一の注文手続で生成し、
前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、売り注文情報を生成する、
金融商品取引管理装置。」

そして、本件発明1と甲1発明は、次の点で相違する。
<相違点1-1>
本件発明1では、約定検知手段が、「複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」が約定されたことを検知すると、注文情報生成手段が「前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報」を生成するものであるのに対し、甲1発明では、約定検知手段が、「複数の売り注文」のうちいずれかの「売り注文」が約定されたことを検知すると、注文情報生成手段が、約定した売り注文と同じ売り注文価格の情報を含む「売り注文情報」を再度生成する構成となっている点。

イ 相違点についての判断
<相違点1-1>について
甲2発明の1は、イフダンオーダーであるLOCK注文を指定されたサイクル数だけ繰り返し、その際新たなサイクルのLOCK注文の価格を指定されたインクリメントだけ上昇させるという発明である。甲2発明の1を甲1発明に適用して、本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であるかについて、以下に検討する。
甲1発明は、複数の売り注文のうちいずれかの売り注文が約定されたことを検知すると、同じ売り注文価格の情報を含む売り注文情報を再度生成するものであり、想定した一定の価格帯に複数のイフダンオーダーをしかけ、同じ価格帯においてイフダンオーダーを繰り返すことで、相場価格が一定の範囲内で変動する状況で利益を得ることを目的(課題)とする発明であるのに対し、甲2発明の1は、相場価格が上昇する状況を前提とし、上昇する相場に追従するように、従前のものより所定価格だけ増加させたイフダンオーダーを生成することを繰り返すことで利益を得ることを目的(課題)とする発明であって、両者は、目的(課題)が異なるものである。してみると、甲1発明と甲2発明の1とは、ともに金融商品の取引に関する技術分野に属しているものの、目的(課題)が異なるものであるから、これらを組み合わせる動機付けがあると認めることはできない。
また、「ア・(ク)」で上述したことに加えて、「3・(1)・ア・(ウ)」で後述するように、甲2発明の1の(2)、(4)、(6)の売りは「一の注文手続で生成」される「複数の売り注文情報」によるものでもなく、「複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたこと」を「さらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」ための契機として扱うことは、甲1発明と甲2発明の1のいずれにも特定されていないから、仮に甲1発明に甲2発明の1を組み合わせることを試みたとしても、本件発明1の相違点1-1に係る構成に至ることができない。
したがって、相違点1-1に係る構成は、甲1発明と甲2発明の1とに基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ 請求人の主張について
請求人は、甲2発明の1が金融商品の取引のイフダンオーダーに関するものであって、本件発明1及び甲1発明と技術分野が同一である点を挙げ、甲1発明との組み合わせが容易である旨を主張している。
しかしながら、上記イで示したように、甲1発明と甲2発明の1とは、目的(課題)が異なるものであるから、技術分野が同一であるからといって、これらを組み合わせることが容易であるということはできない。

エ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明の1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本件発明2についての判断
本件発明2は、本件発明1を引用すると共にさらなる限定を加えたものであって、本件発明1の上記相違点1-1に係る構成と同一の構成を備えるものである。また、甲3発明はトレール注文に関する発明であって、相違点1-1に関連するものではないから、甲1発明に甲3発明を組み合わせても、相違点1-1に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明2は、甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(3)本件発明3,4についての判断
本件発明3,4は、それぞれ本件発明1,2の買い注文と売り注文の順序を逆にして記載したものであって、上記(1)(2)で示した判断と同様に、甲1発明及び甲2発明の1または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(4)本件発明5乃至8についての判断
本件発明5乃至8は、それぞれ本件発明1乃至4を「システム」として記載したものであって、上記(1)乃至(3)で示した判断と同様に、甲1発明及び甲2発明の1または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(5)本件発明9乃至12についての判断
本件発明9乃至12は、それぞれ本件発明5乃至8を単に「方法」のカテゴリーで記載したものであって、上記(1)乃至(4)で示した判断と同様に、甲1発明及び甲2発明の1または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(6)無効理由1についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1,3,5,7,9,11は、甲第1号証及び甲第2号証の1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。また、本件発明2,4,6,8,10,12は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
したがって、請求人が主張する無効理由によっては、同法第123条第1項第2号の規定に違反するものとして、請求項1乃至12に係る発明の特許を無効とすることはできない。

3.無効理由2について
(1)本件発明1についての判断
ア 対比
本件発明1と甲2発明の1を対比する。
(ア)甲2発明の1の「ホスト証券ブローカ」は、「証券市場に投資する投資家のトランザクションを取り扱う」ものであり、「LOCK管理モジュール」により、指定された「サイクル数」に基づいて「LOCK注文」を繰り返し行わせる機能を有する。イフダンオーダーであるLOCK注文を繰り返し行うことは、「相場価格の変動に応じて継続的に」取引を行うことに該当するから、甲2発明の1の「ホスト証券ブローカ」は、後述する相違点を除いて、本件発明1の「相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置」に対応する。

(イ)甲2発明の1の「LOCK管理モジュール」は、「LOCK注文発行の前半の発行をモニタ」するものであり、サイクル数とインクリメントオプションとを加えたLOCK注文の方法において、(1)50.00ドルで買う、(3)50.50ドルで買う、(5)51.00ドルで買うという各買い注文を生成しているから、本件発明1と甲2発明の1とは、「前記金融商品の買い注文を行うための買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段」を備えるという点で共通する。
もっとも、本件発明1における「複数の売り注文情報」は、「一の注文手続で生成」(構成要件1G)されることからみて、「複数個の売り注文情報」を意味し、「複数の売り注文情報」の決済の対象である「複数の買い注文情報」も同様に、「複数個の買い注文情報」を意味する。これに対し、甲2発明の1における「LOCK管理モジュール」は、同時に1個の注文を発行する機能しか備えておらず、(1)、(3)、(5)の各買い注文、(2)、(4)、(6)の各売り注文は、それぞれ別個のイフダンオーダーに属しており、異なるタイミングで発行されるから、これらが本件発明1の「複数の買い注文情報」「複数の売り注文情報」に対応するものと認めることはできない。

(ウ)甲2発明の1の「LOCK管理モジュール」は、LOCK注文の前半が満たされると、「LOCK注文の後半を生成して発行」するものであり、サイクル数とインクリメントオプションとを加えたLOCK注文の方法において、買い注文を決済するために、(2)51.00ドルで売る、(4)51.50ドルで売る、(6)52.00ドルで売るという各売り注文を生成しているから、本件発明1と甲2発明の1とは、「前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段」を備えるという点で共通する。
もっとも、(イ)で上述したとおり、(2)、(4)、(6)の売りは本件発明1の「複数の売り注文情報」に相当しない。

(エ)上記(イ)(ウ)から、甲2発明の1の「LOCK管理モジュール」は、後述する相違点を除いて、本件発明1の「注文情報生成手段」に対応する。

(オ)甲2発明の1の「LOCK管理モジュール」は、「投資家のLOCK注文のステータスを追跡およびモニタ」する機能を備え、買い注文及び売り注文の約定を検知しているから、本件発明1の「前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段」を備えている。

(カ)甲2発明の1において、「売り注文」である(2)または(4)が約定すると、買い注文である(3)または(5)が生成され、当該買い注文が約定すると(2)または(4)よりも所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文である(4)または(6)が生成される。よって本件発明1と甲2発明の1とは、「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、注文情報を生成する」との構成を有する点で共通する。

以上(ア)乃至(カ)によると、本件発明1と甲2発明の1は、次の点で一致する。
<一致点>
「相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の買い注文を行うための買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段と、
前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段と
を有する注文情報生成手段と、
前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段とを備える、
前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、注文情報を生成する、
金融商品取引管理装置。」

そして、本件発明1と甲2発明の1は、次の点で相違する。
<相違点2-1>
本件発明1の「買い注文情報生成手段」が、「複数の買い注文情報を生成する」のに対し、甲2発明の1の「買い注文情報生成手段」は、単数の買い注文情報を生成する機能しか有しない点。

<相違点2-2>
本件発明1の「売り注文情報生成手段」が、「複数の売り注文情報を生成」するものであり、さらに「前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報」であるのに対し、甲2発明の1の「売り注文情報生成手段」は、単数の売り注文情報を生成する機能しか有しておらず、値幅も存在しない点。

<相違点2-3>
本件発明1の「注文情報生成手段」が、「前記複数の売り注文情報を一の注文手続で生成」するのに対し、甲2発明の1の「注文情報生成手段」は、単数の売り注文情報を生成する機能しか有しない点。

<相違点2-4>
本件発明1では、約定検知手段が、「前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」が約定されたことを検知すると、注文情報生成手段が「前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報」を生成するのに対し、甲2発明の1では、約定検知手段が、「売り注文」が約定されたことを検知すると、注文情報生成手段は、「買い注文情報」を生成し、その後当該買い注文が約定した際に、前記「売り注文」の注文価格よりも「さらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報」を生成する構成となっている点。

イ 相違点についての判断
<相違点2-1>乃至<相違点2-4>について
甲2発明の1に甲1発明を適用して、本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であるかについて、以下に検討する。
甲2発明の1は、相場価格が上昇する状況を前提とし、上昇する相場に追従するように、従前のものより所定価格だけ増加させたイフダンオーダーを生成することを繰り返すことで利益を得ることを目的(課題)とする発明であるのに対し、甲1発明は、想定した一定の価格帯に複数のイフダンオーダーをしかけ、同じ価格帯においてイフダンオーダーを繰り返すことで、相場価格が一定の範囲内で変動する状況で利益を得ることを目的(課題)とする発明であって、両者は、目的(課題)が異なるものである。してみると、甲2発明の1と甲1発明とは、ともに金融商品の取引に関する技術分野に属しているものの、目的(課題)が異なるものであるから、これらを組み合わせる動機付けがあると認めることはできない。
また、仮に、甲2発明の1と甲1発明との組み合わせを試みると、甲1発明は、複数の買い注文情報と等しい値幅で価格が異なる複数の売り注文情報を一の注文手続で生成する構成を備えるから、当該構成を甲2発明の1に適用して、インクリメントオプションを含んだ複数のLOCK注文を、等しい値幅で価格を異ならせて一の注文手続により生成するよう変形することが考えられる。しかしながら、そのように甲2発明の1を変形すると、複数の異なる価格で生成されるLOCK注文のそれぞれが同じようにインクリメントオプションによる新たな注文の生成を行うことになるから、本件発明1の相違点2-4に係る、「複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」の約定を「さらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報」を生成する契機とする構成に至ることができない。
したがって、相違点2-1乃至2-4に係る構成は、甲2発明の1と甲1発明とに基づいて、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ 請求人の主張について
(ア)組み合わせの動機付けについて
請求人は、請求人陳述要領書2において、「甲1発明は,「従前のもの」を並列に複数個並べたものに過ぎないので,各「従前のもの」は,その他の「従前のもの」とは独立して」いるとの点を指摘し、甲2発明の1と甲1発明との組み合わせの動機付けを主張している。しかしながら、甲1発明は、想定した価格帯に複数のイフダンオーダーによって1個の「トラップ」を形成するものであって、甲1発明における各イフダンオーダーは、トラップの一部として互いに連携する関係にある。そのような甲1発明の技術思想を考慮せずに、甲1発明を互いに無関係なイフダンオーダーを単に複数並べたものと解釈することはできない。そして、上記イで検討した通り、甲1発明と甲2発明の1とは、目的(課題)が異なるものであるから、これらを組み合わせることが容易であるということはできない。よって請求人の主張は採用できない。

(イ)相違点の認定について
請求人は、審判請求書において、甲2発明の1において順次行われる(1)、(3)、(5)の各買い注文、(2)、(4)、(6)の各売り注文が、それぞれ本件発明1の「複数の買い注文情報」「複数の売り注文情報」に対応する旨を主張している。しかしながら、「ア・(イ)」で上述したとおり、これらが本件発明1の「複数の買い注文情報」「複数の売り注文情報」に対応するものと認めることはできない。
また、仮に、甲2発明の1における(1)、(3)、(5)の各買い注文、(2)、(4)、(6)の各売り注文がそれぞれ本件発明1の「複数の買い注文情報」「複数の売り注文情報」に対応するものと解釈し「複数の売り注文情報」である(2)、(4)、(6)の各売り注文の情報を甲1発明に倣って「一の注文手続で生成」するよう変形するにしても、甲2発明の1ではインクリメントオプションにおけるサイクル数はあらかじめ指定され、(2)、(4)、(6)の売りは指定されたサイクル数だけ繰り返されるそれぞれのサイクルにおけるLOCK注文の後半なのであるから、最も高い売り注文価格の売り注文である(6)の約定によって「さらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成」する構成とはなり得ず、本件発明1の構成に至ることができない。
よって、仮に請求人が「第4・2・(2)・(2-2)・ア」で主張するように本件発明1と甲2発明の1との相違点を認定したとしても、本件発明1が、甲2発明の1と甲1発明とに基づいて当業者が容易に想到し得たものということはできない。

エ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明の1及び甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本件発明2についての判断
本件発明2は、本件発明1を引用すると共にさらなる限定を加えたものであって、本件発明1の上記各相違点に係る構成と同一の構成を備えるものである。これに対し、甲3発明はトレール注文に関する発明であって、上記各相違点に関連するものではないから、甲2発明の1に甲3発明を組み合わせても、各相違点に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明2は、甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(3)本件発明3,4についての判断
本件発明3,4は、それぞれ本件発明1,2の買い注文と売り注文の順序を逆にして記載したものであって、上記(1)(2)で示した判断と同様に、甲2発明の1及び甲1発明または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(4)本件発明5乃至8についての判断
本件発明5乃至8は、それぞれ本件発明1乃至4を「システム」として記載したものであって、上記(1)乃至(3)で示した判断と同様に、甲2発明の1及び甲1発明または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(5)本件発明9乃至12についての判断
本件発明9乃至12は、それぞれ本件発明5乃至8を単に「方法」のカテゴリーで記載したものであって、上記(1)乃至(4)で示した判断と同様に、甲2発明の1及び甲1発明または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(6)無効理由2についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1,3,5,7,9,11は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。また、本件発明2,4,6,8,10,12は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
したがって、請求人が主張する無効理由によっては、同法第123条第1項第2号の規定に違反するものとして、請求項1乃至12に係る発明の特許を無効とすることはできない。

4.無効理由3について
(1)本件発明1についての判断
ア 対比
本件発明1と甲2発明の2を対比する。
(ア)甲2発明の1について「3・(1)・ア・(ア)」で示したように、甲2発明の2の「ホスト証券ブローカ」は、後述する相違点を除いて、本件発明1の「相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置」に対応する。

(イ)甲2発明の1について「3・(1)・ア・(イ)」で示したように、本件発明1と甲2発明の2とは、「前記金融商品の買い注文を行うための買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段」を備えるという点で共通する。

(ウ)甲2発明の2の「LOCK管理モジュール」は、LOCK注文の前半の注文が満たされると、「LOCK注文の後半を生成して発行」するものであり、サイクル数とインクリメントオプションとを加えたLOCK注文の方法において、買い注文を決済するために、(2)’51.00ドルで売る、(2)”52.00ドルで売る、(4)’51.50ドルで売る、(4)”52.50ドルで売る、(6)’52.00ドルで売る、(6)”53.00ドルで売るという6回の売り注文を生成する。これらの売り注文のうち、「(2)’及び(2)”」、「(4)’及び(4)”」、並びに「(6)’及び(6)”」という各売り注文の組は、1個のイフダンオーダーにおける決済注文を構成する「複数の売り注文」であるということができるから、甲2発明の2は、本件発明1の「前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段」に相当する構成を備えている。

(エ)上記(イ)(ウ)から、甲2発明の2の「LOCK管理モジュール」は、後述する相違点を除いて、本件発明1の「注文情報生成手段」に相当する。

(オ)甲2発明の2の「LOCK管理モジュール」は、「投資家のLOCK注文のステータスを追跡およびモニタ」する機能を備え、買い注文及び売り注文の約定を検知しているから、本件発明1の「前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段」を備えている。

(カ)甲2発明の2において、「複数の売り注文」である「(2)’及び(2)”」または「(4)’及び(4)”」のうち、最も高い売り注文価格の売り注文である(2)”または(4)”が約定すると、買い注文である(3)または(5)が生成され、当該買い注文が約定すると(2)”または(4)”よりも所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文である(4)”または(6)”が生成される。よって本件発明1と甲2発明の2とは、「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、注文情報を生成する」との構成を有する点で共通する。

以上(ア)乃至(オ)によると、本件発明1と甲2発明の2は、次の点で一致する。
<一致点>
「相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行うための金融商品取引管理装置であって、
前記金融商品の買い注文を行うための買い注文情報を生成する買い注文情報生成手段と、
前記買い注文の約定によって保有したポジションを、約定によって決済する売り注文を行うための複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段と
を有する注文情報生成手段と、
前記買い注文及び前記売り注文の約定を検知する約定検知手段とを備え、
前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると、前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、注文情報を生成する、
金融商品取引管理装置。」

そして、本件発明1と甲2発明の2は、次の点で相違する。
<相違点3-1>
本件発明1の「買い注文情報生成手段」が、「複数の買い注文情報を生成する」のに対し、甲2発明の2の「買い注文情報生成手段」は、単数の買い注文情報を生成する機能しか有しない点。

<相違点3-2>
本件発明1が、「前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報であり」との構成を有するのに対し、甲2発明の2の「複数の売り注文情報」の数は2個であり値幅が一つしか存在しないため、「等しい値幅」との構成を有しない点。

<相違点3-3>
本件発明1が「前記注文情報生成手段は、前記複数の売り注文情報を一の注文手続で生成」するものであるのに対し、甲2発明の2では、「複数の売り注文情報」は異時に生成されており、「一の注文手続で生成」するものではない点。

<相違点3-4>
「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知」した際に、本件発明1の「注文情報生成手段」は、「前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」のに対し、甲2発明の2の「注文情報生成手段」は、「買い注文情報」を生成し、その後当該買い注文情報が約定した際に「前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」構成となっている点。

イ 相違点についての判断
<相違点3-1>乃至<相違点3-4>について
甲2発明の2に甲1発明を適用して、本件発明1の構成とすることが当業者にとって容易であるかについて、以下に検討する。
甲2発明の2は、相場価格が上昇することを前提とし、上昇する相場に追従するように、従前のものより所定価格だけ増加させたイフダンオーダーを生成することを繰り返すことで利益を得ることを目的(課題)とする発明であるのに対し、甲1発明は、想定した一定の価格帯に複数のイフダンオーダーをしかけ、同じ価格帯においてイフダンオーダーを繰り返すことで、相場価格が一定の範囲内で変動する状況で利益を得ることを目的(課題)とする発明であって、両者は、目的(課題)が異なるものである。してみると、甲2発明の2と甲1発明とは、ともに金融商品の取引に関する技術分野に属しているものの、目的(課題)が異なるものであるから、これらを組み合わせる動機付けがあると認めることはできない。
また仮に、甲2発明の2と甲1発明との組み合わせを試みると、甲1発明は、複数の買い注文情報と複数の売り注文情報を一の注文手続で生成する構成を備えるから、当該構成を甲2発明の2に適用して、甲2発明の2における「(1),(2)’及び(2)”」、「(3),(4)’及び(4)”」、「(5),(6)’及び(6)”」という買い注文及び売り注文の組み合わせに係る注文情報をそれぞれ1組の注文情報群として一の注文手続で生成することにより、本件発明1の相違点3-3および相違点3-4に係る構成とすることが考えられる。しかしながら、「(1),(2)’及び(2)”」、「(3),(4)’及び(4)”」、「(5),(6)’及び(6)”」の各組み合わせをそれぞれ1組の注文情報群とした場合、「買い注文情報」は単数であって複数ではなく、複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の「値幅」は1個しか存在しないこととなるから、本件発明1の相違点3-1及び相違点3-2に係る構成に至ることができない。
したがって、相違点3-1乃至相違点3-4に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものではない。

ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明の2及び甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(2)本件発明2についての判断
本件発明2は、本件発明1を引用すると共にさらなる限定を加えたものであって、本件発明1の上記各相違点に係る構成と同一の構成を備えるものである。また、甲3発明はトレール注文に関する発明であって、各相違点に関連するものではないから、甲2発明の2に甲3発明を組み合わせても、各相違点に係る構成に到達することはできない。
よって、本件発明2は、甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(3)本件発明3,4についての判断
本件発明3,4は、それぞれ本件発明1,2の買い注文と売り注文の順序を逆にして記載したものであって、上記(1)(2)で示した判断と同様に、甲2発明の2及び甲1発明または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(4)本件発明5乃至8についての判断
本件発明5乃至8は、それぞれ本件発明1乃至4を「システム」として記載したものであって、上記(1)乃至(3)で示した判断と同様に、甲2発明の2及び甲1発明または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(5)本件発明9乃至12についての判断
本件発明9乃至12は、それぞれ本件発明5乃至8を単に「方法」のカテゴリーで記載したものであって、上記(1)乃至(4)で示した判断と同様に、甲2発明の2及び甲1発明または甲1発明乃至甲3発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(6)無効理由3についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1,3,5,7,9,11は、甲第2号証及び甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。また、本件発明2,4,6,8,10,12は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
したがって、請求人が主張する無効理由によっては、同法第123条第1項第2号の規定に違反するものとして、請求項1乃至12に係る発明の特許を無効とすることはできない。

5.無効理由4について
(1)本件発明1についての判断
ア 構成要件1Hにおける「最も高い売り注文価格」について
(ア)特許請求の範囲の記載
本件発明1は、「複数の売り注文情報を生成する売り注文情報生成手段」(構成要件1C)を備え、さらに、「前記複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、それぞれ等しい値幅で価格が異なる情報」(構成要件1F)であって、「前記注文情報生成手段は、前記複数の売り注文情報を一の注文手続で生成」(構成要件1G)する。これらの記載によれば、本件発明1において、構成要件1Cで生成される複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報は、少なくとも売り注文情報が生成された時点においては、「それぞれ等しい値幅で価格が異なる」ものである。
これに対し、構成要件1Hには「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知する」との記載があり、構成要件1Hの「約定」の際の「売り注文価格」は、構成要件1Cで売り注文情報が生成された後に、「相場価格が変動」した後のものである旨が明示されている。そうすると、構成要件1Hの「前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」との記載における「売り注文価格」は、相場価格の変動後のものである以上、構成要件1Cで生成される「売り注文情報」に含まれる「売り注文価格」とは異なり得るものを指していると解さざるを得ないのであり、構成要件1Cにおいて「売り注文情報」が生成された後、構成要件1Hにおいて約定検知手段により「売り注文」の約定が検知されるまでの間に、相場価格の変動に伴って売り注文価格が変動することは、特許請求の範囲の文言上、排除されていない。

(イ)明細書の記載
本件明細書には、次の記載がある。

「【0078】
この「シフト機能」による注文は、上述した、「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」や、各種のイフダン注文(例えば後述する「リピートイフダン注文」や「トラップリピートイフダン注文」)等に基づいて、新規注文と決済注文が少なくとも1回ずつ約定したのちに、更に新規注文や決済注文が発注される際に、先に発注済の注文の価格や価格帯とは異なる価格や価格帯にシフトさせた状態で、新たな注文を発注させる態様の注文形態である。」

上記記載によれば、「シフト機能」の定義は、「新規注文と決済注文が少なくとも1回ずつ約定したのちに、更に新規注文や決済注文が発注される際に、先に発注済の注文の価格や価格帯とは異なる価格や価格帯にシフトさせた状態で、新たな注文を発注させる態様の注文形態」であり、さらに、当該「シフト機能」は、各種の形態のイフダン注文と組み合わせることができ、「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」と組み合わせるか否かを任意に選択しうることが理解できる。
さらに本件明細書には、次の記載がある。

「【0082】
図13に示す入力画面40は、取引可能な通貨ペアを画面表示させる売買希望通貨ペア選択ボタン401、それぞれの注文ごとの金融商品の注文金額を入力させる注文金額入力欄402、発注する新規注文の基準価格(それぞれの注文情報の発注の基準となる注文価格)を入力するスタート価格入力欄403、発注する注文の種類を入力する注文種類選択欄404、トラップ(複数発注される注文を構成する、個々の注文のこと。本明細書において同じ。)の本数を入力するトラップ本数入力欄405、複数の新規注文同士や、複数の決済注文同士の値幅を入力するトラップ値幅入力欄406を備えている。
【0083】
また、入力画面40は、一の新規注文と一の決済注文とが約定された際に得られる利益金額を入力する利益金額入力欄407、「いったんスルー注文」を行うか否かを選択するいったんスルー選択欄408、「決済トレール注文」を行うか否かを選択する決済トレール選択欄409a、決済トレール注文を行う際の第二注文価格の変動が行われる相場価格の間隔、及び/又は、変動一回ごとの第二注文価格の変動幅としての「トレール幅」(この実施の形態では第二注文価格の変動が行われる相場価格の間隔、及び、変動一回ごとの第二注文価格の変動幅としての「トレール幅」を示す。以下本明細書において同じ。)を入力するトレール幅入力欄409bを備えている。
【0084】
また、入力画面40は、「シフト機能」による処理の実行を選択するためのシフト機能選択欄410、相場価格が所定の価格まで下落又は上昇したときに、逆指値注文を約定させることで継続中の取引や事後の取引をキャンセルさせる処理(以下単に「ストップロス処理」と称する。)を行わせる価格であるストップロス価格(以下単に「ストップロス価格」と称する。)を設けるか否かを選択するストップロス選択欄411a、ストップロス価格を入力するストップロス価格入力欄411b、入力画面40の表示を表示部22から消去して入力処理を中止させる消去ボタン412、それぞれの入力欄及び選択欄401?412において入力・選択されたデータを、注文入力受付部12において確認させる処理を行わせるための確認ボタン413を備えている。」

上記記載によれば、注文入力を行う入力画面において、「いったんスルー注文」を行うか否かを選択するいったんスルー選択欄408、「決済トレール注文」を行うか否かを選択する決済トレール選択欄409a、「シフト機能」による処理の実行を選択するためのシフト機能選択欄410が、別々に設けられているから、「シフト機能」、「いったんスルー注文」、「決済トレール注文」の各機能が、それぞれ独立して実行の有無を選択できることが示唆されている。
そして、本件明細書の段落【0137】-【0154】には、「発明の実施の形態3」として、「シフト機能」を「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」と組み合わせた形態が記載されており、段落【0145】,【0148】と、明細書で参照される図35に次の記載がある。

「【0145】
具体的には、例えば、図35に示す、(シフトされる前の)新規注文B1,B2,B3,B4,B5や決済注文S1,S2,S3,S4,S5を発注させる新規注文情報18111,?18115や決済注文情報18116?18120(図24参照)が生成された際の相場価格64が、図35の点P1に示す、1ドル=99.50円であり、決済注文S1,S2,S3が約定した際の相場価格64が、点P2に示す1ドル=102.40円であった場合を考える。このとき、注文情報生成部16は、相場価格とそれぞれの注文との上下関係と価格差が等しくなる状態で、新規注文情報18111,?18115や決済注文情報18116?18120の注文価格情報181Gをシフトさせる。例えば、図35に示す、新規注文B5は、点P1の相場価格64に対して、(1ドル=)99.50円?(1ドル=)99.20円=(1ドル)0.30円下方に位置するので、シフト後は、点P2に示す、相場価格の(1ドル=)102.40円よりも(1ドル=)0.30円下方である、(1ドル=)102.10円にシフトさせる。そして、新たに生成される新規注文情報18115の注文価格情報181Gも、(1ドル=)102.10円に設定される。他の新規注文B1,B2,B3,B4や決済注文S1,S2,S3,S4,S5も、同様の処理が行われる。」

「【0148】
これにより、新たに生成される注文情報群1810Bは、新規注文情報18111,18112,18113,18114,18115の注文価格情報181Gはそれぞれ(1ドル=)102.90円,102.70円,102.50円,102.30円,102.10円となり、決済注文情報18116,18117,18118,18119,18120の注文価格情報181Gはそれぞれ(1ドル=)103.90円,102.70円,102.50円,102.30円,102.10円となる。」
(審決注:103.90円は102.9円の誤りと認められる。)

図35


上記記載によると、以下のことがいえる。図35から、新規注文(買い注文)B5,B4に対応する決済注文(売り注文)S5,S4が約定すると、元の買い注文B5,B4と同じ注文価格の買い注文B5,B4が再度生成されることが看取される。ここで、図示されていないが、買い注文B5,B4が再度生成される際に、元の売り注文S5,S4と同じ注文価格のS5,S4の売り注文情報も再度生成される。そうすると、売り注文S1,S2,S3,S4,S5のうち低い売り注文価格の売り注文であるS5,S4が約定した場合には注文価格情報のシフト(先のものと異なる価格での新たな注文の生成)は行われない。
その後、売り注文S1,S2,S3の売り注文価格が、「決済トレール注文」の機能により相場価格の上昇に伴って順次上昇し、点P2の相場価格1ドル=102.40円で約定した際に、先のものと異なる売り注文価格で新たな売り注文情報が生成される(注文価格情報がシフトされる)。この際、約定したS1,S2,S3の3つの売り注文は、複数の売り注文S1,S2,S3,S4,S5のうち最も高い売り注文価格の売り注文となっている。
そして、売り注文S1,S2,S3が約定した際の相場価格(売り注文価格)が102.40円であるのに対し、新たに生成される売り注文情報の売り注文価格の情報は、102.90円,102.70円,102.50円,102.30円,102.10円であって、102.40円よりも高い売り注文価格の情報が含まれる。
すなわち、本件明細書によれば、「シフト機能」の動作において、相場価格が変動して、複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定したことを契機として、複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報が生成されることが理解できる。そして、当該「シフト機能」は、「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」と組み合わせるか否かを任意に選択できるものである。

(ウ)判断
上記(ア)で検討したとおり、本件発明1の「前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると」(構成要件1H)との構成において、「最も高い売り注文価格」は、売り注文情報が生成された後、約定検知手段により売り注文の約定が検知されるまでの間に変動してもしなくてもよい。
これに対し、上記(イ)で検討したとおり、本件明細書には、相場価格が変動して、複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定したことを契機として、「シフト機能」により、所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む新たな売り注文情報を生成することが記載されており、さらに、当該「シフト機能」は、決済注文の注文価格を変動させる注文形態である「決済トレール注文」と組み合わせるか否かを任意に選択できることも記載されている。
以上より、本件発明1の「前記相場価格が変動して、前記約定検知手段が、前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文が約定されたことを検知すると」との構成は明細書の記載においてサポートされているものと認められる。

イ 構成要件1Hにおいて生成される「売り注文情報」の個数について
(ア)特許請求の範囲の記載
本件発明1の構成要件1Hに係る「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」との記載において、「約定検知手段」による検知が行われた際に「注文情報生成手段」が生成する「売り注文情報」の個数についての限定はなされておらず、これが1個の場合と複数の場合のいずれも含むものとなっている。(この点については両当事者とも同様の解釈に立っており、両者の間に争いがない。)

(イ)明細書の記載
上記「ア・(イ)」で検討したように、本件明細書には、シフト機能の契機となる売り注文の約定の検知を受けて、「複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」ことが記載されている。
そして、本件明細書には、「シフト機能」は、「「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」や、各種のイフダン注文等に基づいて、新規注文と決済注文が少なくとも1回ずつ約定したのちに、更に新規注文や決済注文が発注される際に、先に発注済の注文の価格や価格帯とは異なる価格や価格帯にシフトさせた状態で、新たな注文を発注させる態様の注文形態」(段落【0078】)であると定義されており、決済注文の全てではなく「少なくとも1回」の約定を条件とする旨が定義として明確に示されている。しかも、「発明の実施の形態3」における「シフト機能」の説明として、次の記載がある。

「【0149】
なお、シフト機能による処理は、上述の処理手順以外のいかなる方法によって行われてもよい。例えば、図35に示す状態において、決済注文S1,S2,S3が約定された際の基準価格である1ドル=102.40円を中心に新たな新規注文情報(あるいは新たな決済注文情報、あるいはその双方の情報)の注文価格情報181Gを設定する構成であってもよい。具体的には、1ドル=102.40円を中心に新たな新規注文情報を設定する場合、新規注文B1,B2,B3,B4,B5を設定する新規注文情報18111,18112,18113,18114,18115のそれぞれの注文価格情報は、(1ドル=)102.80円、102.60円、102.40円、102.20円、102.00円となる。」

上記記載によれば「発明の実施の形態3」における「シフト機能」は、その処理が「いかなる方法によって行われてもよい」ものである。
ここで、「発明の実施の形態3」における「シフト機能」の具体例では、上記「ア・(イ)」で検討したように、買い注文B1?B5の全てが約定してから相場価格が上昇し、売り注文S5,S4が約定した後にS1?S3が同時に約定した際に、新たな売り注文情報が生成されている。しかしながら、上記の処理手順は一例であって、例えば、相場価格が買い注文B1の発注トリガーにのみ到達してから上昇した場合には、最も高い注文価格の買い注文であるB1のみが約定し、その後対応する売り注文S1のみが約定して、注文価格情報のシフトが行われることになる。
さらに、本件明細書には、次の記載がある。

「【0161】
[発明の実施の形態7]
この発明の実施の形態7の金融商品取引管理システム1Aにおいては、上記実施の形態1乃至6において「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」を組み合わせる対象である、「トラップトレード注文」「リピートイフダン注文」「トラップリピートイフダン注文」「らくトラ」による注文、「ダブルリピートイフダン注文」、「OCO注文」のうちの何れかの構成や、「シフト機能」による注文を行う構成や、それらを成行注文で実現する構成において、所定の条件に基づいて、複数の第一注文同士の値幅や、複数の第一注文と第二注文の価格差のうち、一部又は全部を相違する値幅や価格差に設定することもできるし、第一注文と第二注文が繰り返される際における、元の第一注文や第二注文の注文価格と、新たに生成される第一注文や第二注文の注文価格のうち、一部又は全部を相違する注文価格に設定する構成とすることもできる。また、同一の第一注文と同一の第二注文の発注と約定が繰り返し行われる構成において、注文情報が生成される際に、第一注文と第二注文の「売り注文」と「買い注文」の順序が直前の順序とは逆になる構成(例えば、1回目に生成された注文情報においては「第一注文」が買い注文で「第二注文」が売り注文であり、2回目に生成された注文情報においては「第一注文」が売り注文で「第二注文」が買い注文であるような構成)であってもよい。」

上記記載において、「第一注文」「第二注文」は、それぞれ実施の形態3でいう新規注文(買い注文)、決済注文(売り注文)に対応する。そして、上記記載によれば、実施の形態3の「シフト機能」による注文を行う構成において、複数の売り注文の値幅のうち一部を相違する値幅に設定できるし、売り注文を再度生成する際に、新たに生成される売り注文の注文価格のうち一部を相違する注文価格に設定できることが、理解できる。
以上検討したところによれば、「発明の実施の形態3」における「シフト機能」の処理は、「少なくとも1回」の決済注文の約定を条件とし、「いかなる方法によって行われてもよい」ところ、複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格の売り注文1個のみが約定した場合に新たな売り注文情報の生成を行ってもよいし、さらに、複数の売り注文の値幅のうち一部が相違してもよく、新たに売り注文を生成する際に一部の売り注文の注文価格を相違する注文価格に設定してもよいのであるから、本件明細書に記載の「シフト機能」には、複数の売り注文すべての価格帯を変動させる構成のみならず、複数の売り注文のうち1個の売り注文の価格を変動させる構成も含まれると認識することができる。

(ウ)判断
上記(ア)で検討したとおり、「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」(構成要件1H)との構成において、「注文情報生成手段」が生成する「売り注文情報」の個数についての限定はなされておらず、これが1個の場合と複数の場合のいずれもが含まれる。
これに対し、上記(イ)で検討したとおり、本件明細書には、シフト機能の契機となる売り注文の約定の検知を受けて、「複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」ことが記載されており、ここで、生成される「売り注文情報」の数は、複数であっても1個であってもよい。
以上より、本件発明1の「前記注文情報生成手段は、前記約定検知手段の前記検知の情報を受けて、前記複数の売り注文のうち最も高い売り注文価格よりもさらに所定価格だけ高い売り注文価格の情報を含む売り注文情報を生成する」との構成は明細書においてサポートされているものと認められる。

ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、構成要件1Hにおける「前記複数の売り注文」が、構成要件1C,1F,1Gの「複数の売り注文情報」を意味するとした上で、「複数の売り注文情報に含まれる売り注文価格の情報」が「それぞれ等しい値幅で価格が異なる」(構成要件1F)ことから、「最も高い売り注文価格」という特定の注文価格は固定値であって変動しないという解釈を主張している。
しかし、上記「ア・(ア)」で検討したとおり、構成要件1Hの「前記複数の売り注文のうち、最も高い売り注文価格の売り注文」との記載における「売り注文価格」は、売り注文情報の生成後の相場価格の変動後のものであり、特許請求の範囲の文言上、売り注文情報が生成された後、約定検知手段により売り注文の約定が検知されるまでの間に相場価格の変動により売り注文価格が変動することは排除されていない。よって請求人の主張は採用できない。

(イ)請求人は、本件明細書において「シフト機能」は、「いったんスルー注文」及び「決済トレール注文」と組み合わせることが前提となっている旨を主張している。
しかし、上記「ア・(イ)」で検討したとおり、本件明細書において、「シフト機能」は、各種の形態のイフダン注文と組み合わせることができ、「いったんスルー注文」や「決済トレール注文」と組み合わせるか否かは任意であるから、請求人の解釈を採用することはできない。

(ウ)請求人は、本件明細書には、「売り注文が一度に全部約定した場合」に複数の買い注文及び複数の売り注文を行うものしか記載されていない旨を主張している。
しかし、上記「イ・(イ)」で検討したとおり、本件明細書には、「発明の実施の形態3」における「シフト機能」が、複数の決済注文の価格帯を変動させる構成のみならず、特定の決済注文の価格を変動させる構成も含むことが記載されているから、請求人の主張は採用できない。

エ まとめ
上記ア乃至ウで示したとおり、本件発明1は、本件特許明細書等に記載されたものであり、本件発明1が特許法36条6項1号に適合しないということはできない。

(2)本件発明2乃至12についての判断
本件発明1について(1)で示した判断と同様に、本件発明2乃至12が特許法36条6項1号に適合しないということはできない。

(3)無効理由4についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1乃至12は、本件特許明細書等に記載されたものであり、特許法36条6項1号の規定に違反してなされたものではない。
したがって、請求人が主張する無効理由によっては、同法第123条第1項第4号の規定に違反するものとして、請求項1乃至12に係る発明の特許を無効とすることはできない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1乃至12に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-03-06 
結審通知日 2019-03-08 
審決日 2019-03-19 
出願番号 特願2017-74472(P2017-74472)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (G06Q)
P 1 113・ 537- Y (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 相崎 裕恒
宮久保 博幸
登録日 2017-06-09 
登録番号 特許第6154978号(P6154978)
発明の名称 金融商品取引管理装置、金融商品取引管理システム、金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法  
代理人 平井 佑希  
代理人 佐野 弘  
代理人 伊藤 真  
代理人 石井 明夫  
代理人 丸田 憲和  
代理人 牧野 知彦  
代理人 関 裕治朗  
代理人 溝田 宗司  
代理人 伊藤 雅浩  
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