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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A23F
管理番号 1356548
審判番号 不服2018-5165  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-16 
確定日 2019-10-30 
事件の表示 特願2016-500141号「コーヒーチェリー粉組成物およびそれらの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔2014年10月2日国際公開、WO2014/158267、平成28年5月19日国内公表、特表2016-513964号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、2013年12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年3月14日,米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成29年12月21日付けで拒絶査定がなされ、それに対して平成30年4月16日に拒絶査定不服審判が請求され、平成30年5月24日に審判請求書の請求の理由を補正する手続補正書が提出されたたものである。
その後、当審において、平成30年10月31日付けで拒絶理由を通知し、応答期間内である平成31年2月26日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
そして、この出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成31年2月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
複数のコーヒーチェリーの粉砕乾燥部分を含む粉末組成物であり、44μm?100μmの平均粒径、および30ラピッドビスコ単位?3000ラピッドビスコ単位のピーク粘度を有する粉末組成物;および
少なくとも1つの第2の材料
を含み、
複数のコーヒーチェリーの乾燥部分が、6重量%?12重量%の水分レベルで粉砕されており、
粉砕乾燥部分が、複数のコーヒーチェリーの以下の部位:殻皮、粘液質、シルバースキン、パーチメントコート、ペクチン層、果肉および外皮のうちの少なくとも1つを含み、
粉砕乾燥部分がコーヒー豆を含まず、
粉末組成物が、総アフラトキシン20ppb未満、総フモニシン2ppm未満、総オクラトキシン10ppb未満および総ボミトキシン5ppm未満のマイコトキシンレベルを有する、
粉組成物。」

第2 拒絶理由の概要
当審において平成30年10月31日付けで通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲に記載された「ラピッドビスコ単位」が、いかなる単位であるのか不明であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

2.(拡大先願)この出願に係る発明は、その優先日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の引用例1の特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその優先日前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

3.(進歩性)この出願に係る発明は、その優先日前日本国内又は外国において頒布された下記の引用例2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例一覧:
引用例1:特願2012-100070号(特開2013-227418号)
引用例2:特表2006-513722号公報

第3 刊行物
1.引用例2
当審において通知した拒絶の理由に引用された引用例2には、次の事項が記載されている。

(1)「【請求項1】
コーヒーチェリーのマイコトキシンレベルが、総アフラトキシン20ppb未満、総オクラトキシン10ppb未満および総フモニシン5ppm未満であるような急速乾燥されているコーヒーチェリーの調製品を含む食品。
【請求項2】
前記コーヒーチェリーの調製品が、コーヒーチェリーの粉砕片を含む、請求項1に記載の食品。
・・・
【請求項4】
前記コーヒーチェリーの調製品が、コーヒーチェリーの豆、コーヒーチェリーの果肉、コーヒーチェリーの粘質およびコーヒーチェリーの殻皮のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の食品。
【請求項5】
前記コーヒーチェリーの調製品が、コーヒーチェリーの豆、コーヒーチェリーの果肉、コーヒーチェリーの粘質およびコーヒーチェリーの殻皮のうちの少なくとも1つからの抽出物を含む、請求項1に記載の食品。
・・・ 」(【特許請求の範囲】)

(2)「ここで用いる用語「食品」は、栄養、健康維持、健康増進、および/または娯楽目的で人間および/または動物により摂取されるあらゆる製品を指す。特に好ましい食品には、人間により消費されるものが挙げられ、こうした食品は、固体製品(例えば、栄養補助食品、スナックバー、ティーバッグなど)であってもよいし、液体製品(例えば、茶もしくは他の飲料、シロップまたはエリキシルなど)であってもよい。」(段落【0017】)

(3)「同様にここで用いる用語「コーヒーチェリー」は、外果皮および外側の中果皮(すなわち、果肉)が、内側の中果皮(すなわち、粘質)および内果皮(すなわち、殻皮)を包囲し、またこれらが種子(すなわち、豆)を包囲する、コーヒーノキの実を指す。従って、具体的には、用語コーヒーチェリーは、コーヒーチェリー原体を指し、これは、このチェリーの茎を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。」(段落【0018】)

(4)「こうして得られた急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーは、この後、さらにマイコトキシンの毒素除去をすることなく、非常に多数の食品での様々な用途に利用することができる。例えば、急速乾燥亜成熟コーヒーチェリー原体を食品に使用する場合、このコーヒーチェリーを別の消耗品と混合することができる(例えば、動物の餌用の穀物との混合物、または人間が消費するためのチョコレートでのコーティング)。もう1つの特に好ましい例では、急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーを粉砕し、食品添加剤として、またはコーヒーチェリー茶をいれるための基礎原料として使用する(例えば、ばら茶については500から3000μmのサイズに粉砕することが好ましく、またはティーバッグについては200から1000μmのサイズに粉砕することが好ましい)。
また、急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーの一部のみを食品に利用することができることは理解されるはずである。例えば、この亜成熟コーヒーチェリーが、ほぼ成熟した状態である場合、果肉、粘質および/または殻皮を種子から分離することができ、この後、これらを(場合により他の種子と混合し)焙煎して、市販のコーヒー豆にすることも考えられる。この後、この急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーからの残りの果肉、粘質および/または殻皮は、食品添加剤として、または1つもしくはそれ以上の所望の成分(例えば、ポリフェノール)を抽出するための基礎材料として利用することができる。」(段落【0028】?【0029】)

(5)「意図する食品には、意図する急速乾燥亜成熟コーヒーチェリー(またはこの砕片もしくは一部)から調製した飲料、または意図する急速乾燥亜成熟コーヒーチェリー(またはこの砕片もしくは一部)からの抽出物もしくはかけらが添加された飲料が特に挙げられる。同様に、さらに意図する食品には、意図する急速乾燥亜成熟コーヒーチェリー(またはこの砕片もしくは一部)からの抽出物もしくはかけらが添加された、焼いた製品(例えば、パン、クラッカーなど)、スナック(例えば、キャンディーまたはエネルギー・バー)、穀類および他の固体栄養分が挙げられる。また、意図する食品には、急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーの抽出物を含む液体または固体形の栄養補助製品も挙げられる。」(段落【0036】)

(6)「コーヒーチェリー原体の急速乾燥
サンプル抽出のためのコーヒーチェリー原体は、収穫後1から12時間以内に、次の手順に従って、これらのチェリーをエアドライヤの別トレーで乾燥させることにより準備した。コーヒーチェリー(400から600g)を計量してビーカーに入れ、水道水で2回洗浄し、この後、蒸留水で1回洗浄した。このように洗浄したコーヒーチェリーをエアドライヤのトレイに置いて水切りし、この後、恒量になるまで150から160°Fで16から18時間乾燥させた。1時間空けて2回続けて量った重量が1g未満の差になったとき、乾燥を停止した。乾燥チェリー原体の典型的な収量は、160から220gであった。さらなる分析は、この乾燥チェリー原体中、6から12%の残留含水量を示した。」(段落【0040】)

上記(6)の「乾燥チェリー原体中、6から12%の残留含水量を示した。」ことから、「急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーの果肉、粘質および/または殻皮」についても残留含水量は同程度と認められるところ、上記(1)?(6)の記載を総合すると、引用例2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「マイコトキシンレベルが、総アフラトキシン20ppb未満、総オクラトキシン10ppb未満および総フモニシン5ppm未満である、6から12%の残留含水量である急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーの果肉、粘質および/または殻皮を粉砕した食品添加剤。」

第4 対比・判断
1.対比
以下、本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーの果肉、粘質および/または殻皮を粉砕した食品添加剤」は、急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーを粉砕しているから、本願発明の「複数のコーヒーチェリーの粉砕乾燥部分を含む粉末組成物」に相当するとともに、「粉組成物」ということもできるものであり、また、「果肉、粘質および/または殻皮」からなるものであるから、本願発明の「複数のコーヒーチェリーの以下の部位:殻皮、粘液質、シルバースキン、パーチメントコート、ペクチン層、果肉および外皮のうちの少なくとも1つを含み」、「コーヒー豆を含ま」ないものに相当する。
また、引用発明の「急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーの果肉、粘質および/または殻皮」が、「6から12%の残留含水量である」ことは、本願発明の「複数のコーヒーチェリーの乾燥部分が、6重量%?12重量%の水分レベル」であることに相当する。
以上のことからすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

【一致点】
「複数のコーヒーチェリーの乾燥部分を含む粉末組成物であり、複数のコーヒーチェリーの乾燥部分が、6重量%?12重量%の水分レベルで粉砕されており、粉砕乾燥部分が、複数のコーヒーチェリーの以下の部位:殻皮、粘液質、シルバースキン、パーチメントコート、ペクチン層、果肉および外皮のうちの少なくとも1つを含み、粉砕乾燥部分がコーヒー豆を含まず、粉末組成物が、総アフラトキシン20ppb未満および総オクラトキシン10ppb未満のマイコトキシンレベルを有する、粉組成物。」

【相違点】
1.粉末組成物について、本願発明は「44μm?100μmの平均粒径」を有する粉末組成物であるのに対して、引用発明は平均粒径を特定していない点
2.粉末組成物について、本願発明は「30ラピッドビスコ単位?3000ラピッドビスコ単位のピーク粘度を有」しているのに対して、引用発明はピーク粘度を特定していない点
3.粉末組成物について、本願発明は「総フモニシン2ppm未満」および「総ボミトキシン5ppm未満のマイコトキシンレベルを有する」のに対して、引用発明は総フモニシンが5ppm未満のマイコトキシンレベルを有し、総ボミトキシンのマイコトキシンレベルが特定されていない点
4.本願発明は、粉末組成物に少なくとも1つの第2の材料を含ませて粉組成物としているのに対し、引用発明は、粉末組成物のみで粉組成物としている点

2.判断
以下、上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
引用発明を添加する食品として、焼いた製品(例えば、パン、クラッカーなど)も想定されていて(段落【0036】参照。)、パンやクラッカーなどの原材料としての組成物の平均粒径として44μm?100μmの値は、慣用される値であり(例えば、食品科学便覧編集委員会編,「食品科学便覧」,共立出版株式会社,昭和53年5月10日初版1刷発行,p262の表1.34参照。)、当該値の組成物を得るために、装置や粉砕手法等の選択・利用にあたって、格別の困難性があるものとは認められない。
そして、本願発明が、具体的に平均粒径として44μm?100μmの値を採用したことに格別の意味があるものとは明細書の記載から認められないから、引用発明の粉末組成物の平均粒径の値として、相違点1に係る数値を採用することは設計的事項の域を出るものではない。
よって、相違点1に係る本願発明の構成は、引用発明及び慣用技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
なお、請求人は平成31年2月26日提出の意見書(以下、「意見書」という。)において、次のように主張している。
「平均粒径に関し、今般の拒絶理由通知において、審判官殿は、引用文献1,2には平均粒径の具体的な開示はないことを認定する一方で、『粉体の平均粒径として44μm?125μmという値は、小麦粉(強力)の平均粒径が10?130μmである(食品科学便覧、食品科学便覧編集委員会編、昭和53年5月10日初版第1刷発行、P262参照。)ことに照らして、格別顕著な値とは認められず(なお、本願明細書には平均粒径に44μm?125μmの値を採用したことによる格別な作用効果に係る記載はない。)、その採用に困難性は認められない。』と認定している。しかしながら、補正後の請求項1に規定された『40μm?100μmの平均粒径』は、以下に示すようにコーヒー豆(種子)を含まないコーヒーチェリーの粉砕乾燥部分を含む粉末組成物の平均粒径として通常の平均粒径の範囲内になく、かつ顕著な効果を奏するものである。
本発明者は、補正後の請求項に規定された平均粒径の範囲より実質的に大きい平均粒径が粉組成物に望ましくない粒状感触を生じさせることを見出し、補正後の請求項に規定された平均粒径範囲が請求項1に規定した粉組成物にとって重要であることを見出したものである。また、補正後の請求項に規定された平均粒径範囲より実質的に小さい粒子サイズは、請求されている粉組成物においてうまくブレンドされないという問題があった。
本発明の出願以前には、種子を除去した乾燥コーヒーチェリーの粉砕における困難さのために、具体的には、種子を除去した乾燥コーヒーチェリーの特徴である特に長い繊維が標準的なミリング装置をすり抜けてしまうことから、補正後の請求項に規定された小さいサイズの平均粒径をもつ種子を除去したコーヒーチェリーの粉砕乾燥部分を含む粉末組成物を使用することは行われていなかった。
請求項に規定した粉組成物に添加するために種子を除去した乾燥コーヒーチェリーを粉砕する本発明者の研究において、粉砕中に最適な粒子範囲を見出し、さらに、その範囲外の粒子を捨てることが必須であることを見出した。補正後の請求項に規定された粒子範囲よりも大きい粒子のサイズを減少させようとして粉砕を続けようとすると、最適サイズの粒子は小さくなり過ぎてしまうという問題がある。また、補正後の請求項に規定された粒子範囲よりも大きい粒子を分離して再粉砕すると、結果として生じる熱によって食品および組成物の味が損なわれてしまうという問題がある。
以上のように、請求項に規定した粉組成物に種子を除去した乾燥コーヒーチェリーを添加する際に、『44μm?100μmの平均粒径』とすることは、『香味、食感(texture)等のような味覚の問題』を解決する上で非常に重要であり、また、出願当時、種子を除去した乾燥コーヒーチェリーの平均粒径として通常の範囲のものではない。」
しかし、本願明細書において種子を除去した乾燥コーヒーチェリーの平均粒径については、段落【0037】?【0038】,【0049】?【0053】及び【0069】において言及されているが、いずれの段落においても「44μm?100μmの平均粒径」を格別な値として記載してはおらず、平均粒径の一例として「約44μm?約105μmの平均粒径」を示すにすぎないから、明細書の記載から、本願発明が出願当初から「44μm?100μmの平均粒径」を採用することにより、上記意見書で主張するような作用効果を意図していたものとは認められない。
よって、上記請求人の主張は明細書の記載に基づくものではなく、相違点1に係る数値限定に格別の意味を認めることはできない。

(2)相違点2について
本願発明は、「粉末組成物」のピーク粘度を「30ラピッドビスコ単位?3000ラピッドビスコ単位」としているが、「30ラピッドビスコ単位?3000ラピッドビスコ単位」の範囲自体、食品に用いる原材料のピーク粘度として、通常用いられるきわめて広い範囲を特定するものであり、明細書の記載を見てもピーク粘度を「30ラピッドビスコ単位?3000ラピッドビスコ単位」とするための格別の工程を採用しているとは認められない。
そうすると、本願発明のピーク粘度は、所定の平均粒径の粉末組成物のピーク粘度の測定値が、30ラピッドビスコ単位?3000ラピッドビスコ単位であったという結果を単に示す程度のものと認められる。そして、上記(1)で検討したように、引用発明の平均粒径を同程度にすることは、当業者が容易に想到し得たところ、そのピーク粘度を測定すれば、同様に30ラピッドビスコ単位?3000ラピッドビスコ単位という、通常用いられるきわめて広い範囲内の結果が得られることは普通に予測される。
また、作用効果についても、本願明細書にはピーク粘度を当該範囲に限定したことにより格別の作用効果を奏する旨の記載はないから、当該範囲の採用に格別な意味はなく、設計的事項の域を出るものとは認められない。
したがって、相違点2に係る本願発明の構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(3)相違点3について
引用発明は、総フモニシンについては5ppm未満であり本願発明より上限が高く、また、総ボミトキシンについては含有量を特定していない。
しかし、人体に害のあるマイコトキシンの食品への含有量については、格別の特定がなくとも極力少なくすることは当然のことであって、相違点3に係る各数値は、人体に害のある成分について、その含有量が少ないことをいうにすぎず、上限値を特定したことに格別の意味があるものとは認められないから、相違点3に係る数値の限定は設計的事項の域を出るものではない。 よって、相違点3に係る本願発明の構成は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。

(4)相違点4について
引用発明の「食品添加剤」は、添加物である以上、他の原材料とともに用いられることが意図されており、引用例2には、急速乾燥亜成熟コーヒーチェリーのかけらを添加した「焼いた製品(例えば、パン、クラッカーなど)」を製造することの記載がある(上記第3の1.(5)参照。)から、「焼いた製品(例えば、パン、クラッカーなど)」を製造する過程で、当該食品添加剤を小麦粉等の「少なくとも1つの第2の材料」を加えた「粉組成物」とすることは当業者が容易に想到できることと認められる。

(5)作用効果について
相違点1?4を総合的に考慮しても、これら相違点に係る構成とすることに困難性は認められない。
そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び慣用技術から導き出せる範囲内の作用効果にすぎず、格別顕著なものということはできない。

3.小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明(本願発明)は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の拒絶理由及び他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-06-04 
結審通知日 2019-06-05 
審決日 2019-06-20 
出願番号 特願2016-500141(P2016-500141)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A23F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白井 美香保  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 井上 哲男
莊司 英史
発明の名称 コーヒーチェリー粉組成物およびそれらの製造方法  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 江口 昭彦  
代理人 内藤 和彦  
代理人 土屋 徹雄  

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