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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60J
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B60J
管理番号 1356674
審判番号 不服2018-17356  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-27 
確定日 2019-11-27 
事件の表示 特願2014-201072号「車両のウェザストリップ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月 9日出願公開,特開2016- 68807号,請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年9月30日の出願であって平成30年6月25日付けで拒絶理由が通知され,同年8月10日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが,同年9月25日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,同年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
1.本願の請求項1係る発明は,以下の引用文献1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
2.本願の請求項1,3に係る発明は,以下の引用文献1?3に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2006-182251号公報
2.特開2012-11859号公報
3.特開2004-189212号公報

第3 本願発明
本願請求項1?3に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」?「本願発明3」という。)は,平成30年12月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である(下線部は,補正箇所であり,当審で付した。)
「【請求項1】
車体の開口部を開閉する開閉部材の周縁端部をシールするウェザストリップであって,
ウェザストリップ取付面に固定される基部と,
前記基部から前記ウェザストリップ取付面と反対側に突出されて,その先端部が受け座に弾接される中空断面の中空シール部と,を備え,
前記基部は,同基部の車内側の端縁に沿って形成され前記ウェザストリップ取付面に当接される第1のリップ部と,同基部の車外側の端縁に沿って形成され前記ウェザストリップ取付面に当接される第2のリップ部とを有し,
前記中空シール部は,同中空シール部内部において前記先端部近傍の内面から前記基部側の前記第2のリップ部近傍の内面に延びるよう形成され,前記先端部で受けた反力を前記第1のリップ部よりも多く前記第2のリップ部に伝達する隔壁を有し,
前記隔壁は,前記中空シール部の前記先端部近傍の内面から当該中空シール部の中心側へ延びる第1壁部と,前記中空シール部の前記基部の第2のリップ部近傍の内面から当該中空シール部の中心側へ延びて屈曲形状をなす接続部を介して前記第1壁部とつながる第2壁部とを有し,
前記第2壁部は,前記中空シール部の中心側から前記第2のリップ部に向かって延び,
前記中空シール部の車外側部分とともに前記基部の前記第2のリップ部近傍につながれる
ことを特徴とする車両のウェザストリップ。
【請求項2】
前記第2壁部は,前記第1壁部よりも厚みが薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のウェザストリップ。
【請求項3】
前記第2壁部は,前記中空シール部の潰れ変形が進むと,前記中空シール部の前記基部側の内面に当接する当接部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両のウェザストリップ。」

第4 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は,自動車のドア,バックドア,トランク等の車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップに関するものである。」
イ.「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため,本発明は,ウエザストリップの中空シール部と車体開口部周縁との間の遮音性に優れて,車体開口部開閉部材の閉力の増加しない自動車用ウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は,自動車の開口部を開閉する車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールし,上記開閉部材の外周部に取付けられる自動車用ウエザストリップにおいて,
ウエザストリップは,車体開口部開閉部材の外周部に取付けられる取付基部と,取付基部に一体的に形成され車体開口部周縁に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し,シール部は,中空シール部を有し,中空シール部の中空の内部に,取付基部から車体開口部周縁と当接する部分の中空シール部の内壁面まで連続する中空シールブリッジ部を形成し,中空シールブリッジ部は,車体開口部開閉部材の閉時に中空シール部が変形する方向に張出して湾曲して形成されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップである。」
ウ.「【発明の効果】
【0028】
シール部は,中空シール部を有し,中空シール部の中空の内部に,取付基部から車体開口部周縁と当接する部分の中空シール部の内壁面まで連続する中空シールブリッジ部を形成したため,中空シールブリッジ部が中空シール部の空間で屈曲してその空間を2分割したまま,遮音壁となることができる。
中空シールブリッジ部は,車体開口部開閉部材の閉時に中空シール部が変形する方向に張出して湾曲して形成されているため,中空シールブリッジ部は所定の方向に必ず湾曲するため,スムースに屈曲して車体開口部開閉部材の閉力が増加することがなく,中空シール部内の空間も潰れることはなく,遮音性に優れている。」
エ.「【0029】
本発明の実施の形態を図1?図6に基づき説明する。
本発明は,ドアウエザストリップ10,オープニングトリムウエザストリップ,トランクウエザストリップ,バックドアウエザストリップ等の自動車の開口部を開閉する車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁6との間をシールするウエザストリップに関するものであるが,以下ドアウエザストリップ10を例にとり説明する。
【0030】
図6は自動車の側面図である。図6に示すように,自動車のドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ,ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。すなわち,ドアフレーム2の外周部にはドアウエザストリップ10が取付けられ,ドア1と車体開口部周縁6の間をシールしている。」
オ.「【0031】
図1は,本発明における実施の形態のドアウエザストリップ10の断面図である。図1は,図6におけるA-A線に沿ったドアフレーム2部分の断面図であり,ドアウエザストリップ10を自動車ドア1の外周部に装着した状態を示すものである。
図2は,ドアウエザストリップ10がドア閉時に車体開口部周縁6に当接した状態を示す断面図である。
【0032】
図3は,本発明におけるドアウエザストリップ10が車体開口部周縁6の下部に取付けられた部分における断面図であり,ドアウエザストリップ10を自動車ドア1の外周部に装着した状態を示すものである。
図4は,ドアウエザストリップ10のコーナー部分に装着される型成形で形成された部分の断面図である。図5は図2におけるA部分の拡大部分断面図である。」
カ.「【0033】
まず,第1の実施の形態のドアウエザストリップ10について,図1に基づき説明する。ドアウエザストリップ10は,直線部分は押出成形により長尺に成形され,ドアフレーム2のコーナー部に対応する部分は,型成型により形成される。
ドアウエザストリップ10の断面形状は,図1に示すように,ドアフレーム2の外周等に取付けられる取付基部11と,取付基部11の上面に一体に形成されるシール部から形成される。シール部は,取付基部11の上面の車外側に形成されるドアフレーム2の外周端縁と車体開口部周縁6の車外側の側端との間をシールするリップ状の形状をなすシールリップ部16と,同じく取付基部11の車内側の上面に形成され,該シールリップ部16が当接する部分よりも若干車内側の車体開口部周縁6に当接する中空状の形状をなす中空シール部14とから形成される。なお,シール部は,中空シール部14のみとすることができ,このシールリップ部16は,省略することができる。
【0034】
取付基部11は,断面において車外側が厚肉の略三角形状をなして形成されている。取付基部11は,後述するように,ドアフレーム2の外周部に取付けられたリテーナー4に嵌め込まれることができるように,その幅方向の両端が幅方向に張り出している。リテーナー4は,ドアフレーム2のアウターパネル2aの先端から一体的に延設して形成されているが,アウターパネル2aと別体で形成して,インナーパネル2bの上面に取付けてもよい。
【0035】
図1に示す実施の形態では,取付基部11は,リテーナー4に取り付けられているが,リテーナー4を廃止して,両面接着テープを取付基部11の裏面に取付けられて,その両面接着テープをドアフレーム2の外周部に接着して,ドアウエザストリップ10をドアフレーム2に取付けてもよい。この場合はリテーナー4を廃止することができるため,車両の軽量化に貢献することができ,ドアフレーム2と取付基部11との間のシール性を向上することができる。
【0036】
断面略三角形の取付基部11には,中空状の取付基部中空部12がその中央部付近に設けられている。このため,ドアウエザストリップ10の重量を低減することができるとともに,取付基部11の柔軟性を向上させることができる。
取付基部11の上面には前述の通り,シールリップ部16と中空シール部14が設けられる。シールリップ部16については後述する。
【0037】
中空シール部14は,断面が円形または,楕円形の中空状をなし,取付基部11の上面の断面三角形の斜面の部分から車内側に斜めに延出されている。
ドア閉時には,この中空シール部14の先端は,車体開口部周縁6のシールリップ部16が当接する部分よりも車内側の車体開口部周縁6の膨出部分に当接して,中空シール部14が膨出部分に沿って弾性的に変形し,ドアフレーム2と車体開口部周縁6との間をシールすることができる。
【0038】
この中空シール部14とシールリップ部16により,ドアフレーム2と車体開口部周縁6との間を雨水や埃から2重にシールすることができる。
なお,中空シール部14は変形の容易性及び軽量化の観点からスポンジ材(スポンジゴム)で形成することが好ましい。
【0039】
中空シール部14の内部には,中空シールブリッジ部15が,取付基部11から中空シール部14が車体開口部周縁6と当接する部分の車内側の内壁まで一体的に延設されている。このため,ドア閉時に車体開口部周縁6に,中空シール部14が当接して,中空シール部14が押されて変形すると,中空シールブリッジ部15が中空シール部14の内部で屈曲しつつ,中空シール部14内の空間を2つに仕切り,遮音壁となることができる。
【0040】
中空シールブリッジ部15は,ドア閉時に中空シール部14が車体開口部周縁6に押されて変形する方向に張出して湾曲して形成される。図1においては,車体開口部周縁6は,斜め左上の方向から中空シール部14に当接して,中空シール部14は,右方向に変形する。このため,中空シールブリッジ部15は右方向(車外方向)に張り出して湾曲している。
【0041】
このため,図2に示すように,ドア閉時には,中空シール部14は,右方向(車外方向)に変形するとともに,中空シールブリッジ部15は,湾曲方向と同じ方向に屈曲している。このとき,中空シールブリッジ部15は湾曲により一定方向にスムースに湾曲するため,中空シール部14の内部で折り畳まれたりすることがなく,中空シール部14の内部を2分割して,遮音効果を向上させることができるとともに,ドア閉力を低下させることができる。」
キ.「【0042】
また,図3において,ウエザストリップ10の中空シール部14は車体開口部周縁6の上部において中空シール部14の下端に当接して,中空シール部14は,上下方向に変形する。このため,中空シールブリッジ部15は右上方向(車内方向)に張り出して湾曲している。
ドア閉時には,中空シール部14は,右上方向(車内方向)に変形するとともに,中空シールブリッジ部15は,湾曲方向と同じ方向に屈曲している。このとき,中空シールブリッジ部15は湾曲により一定方向にスムースに湾曲するため,図1の場合と同様に,中空シール部14の内部で折り畳まれたりすることがなく,中空シール部14の内部を2分割して,遮音効果を向上させることができるとともに,ドア閉力を低下させることができる。」
ク.「【0044】
中空シールブリッジ部15は,湾曲して,その肉厚は略一定に形成されている。中空シールブリッジ部15は,略一定肉厚で形成されたため,中空シール部14が車体開口部周縁6に押されて変形するときに,変形の程度にかかわらず,中空シールブリッジ部15は中空シール部14の変形につれて一定の力でスムースに変形し,ドア閉力が増加することがない。
中空シールブリッジ部15は,柔軟性に優れたスポンジゴムで形成することができる。」
ケ.以下の図3が図示されている。


段落【0032】,【0042】の記載事項と図3の図示内容からみて,以下の事項が理解できる。
コ.ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部に取り付けられた取付基部11と,前記取付基部11からウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部と反対側に突出されて,その先端部が車体開口部周縁6の上部に当接される断面が中空状をなす中空シール部14と,を備えること。
サ.取付基部11は,取付基部11に形成された,ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部及び前記自動車ドア1の外周部から下方に伸びる面に当接される上方のリップ部と,取付基部11に形成された,ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部から下方に伸びる面に当接される下方のリップ部とを有すること。
シ.中空シール部14は,中空シール部14内部において前記先端部周辺の内面から前記取付基部11側の前記下方のリップ部の周辺の内面に延びるように形成され,前記先端部で受けた反力を前記下方のリップ部にも伝達する中空シールブリッジ部15を有すること。
ス.中空シールブリッジ部15は,中空シール部14の前記先端部周辺の内面から中空シール部14の中心側へ延びる下方の壁部と,中空シール部14の取付基部11の前記下方のリップ部周辺の内面から中空シール部14の中心側へ延びて湾曲して前記下方の壁部とつながる上方の壁部とを有すること。
セ.前記上方の壁部は,中空シール部14の中心側から前記取付基部11の内面に延び,中空シール部14の車外側部分とともに前記取付基部11の前記下方のリップ部周辺につながれること。
そうすると,特に図3の実施例に着目すると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「自動車の開口部を開閉する車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップ10であって,
ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部に取り付けられた取付基部11と,
前記取付基部11からウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部と反対側に突出されて,その先端部が車体開口部周縁6の上部に当接される断面が中空状をなす中空シール部14と,を備え,
前記取付基部11は,前記取付基部11に形成された,ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部及び前記自動車ドアの外周部から下方に伸びる面に当接される上方のリップ部と,前記取付基部11に形成された,ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部から下方に伸びる面に当接される下方のリップ部とを有し,
前記中空シール部14は,前記中空シール部14内部において前記先端部周辺の内面から前記取付基部11側の前記下方のリップ部の周辺の内面に延びるように形成され,前記先端部で受けた反力を前記下方のリップ部にも伝達する中空シールブリッジ部15を有し,
前記中空シールブリッジ部15は,前記中空シール部14の前記先端部周辺の内面から前記中空シール部14の中心側へ延びる下方の壁部と,前記中空シール部14の前記取付基部11の前記下方のリップ部周辺の内面から前記中空シール部14の中心側へ延びて湾曲して前記下方の壁部とつながる上方の壁部とを有し,
前記上方の壁部は,前記中空シール部14の中心側から前記取付基部11の内面に延び,中空シール部14の車外側部分とともに前記取付基部11の前記下方のリップ部周辺につながれる,
自動車用ウエザストリップ10。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は,自動車のドアと車体開口部周縁との間をシールする自動車用のドアウエザストリップに関するものであり,特にそのコーナー部に関するものである。」
イ.「【0036】
請求項10の本発明では,取付基部突条は,押出成形で形成された部位では,ブリッジ部と取付基部底部が連結した位置に対応した取付基部底部の外面に形成され,コーナー部では,補強リブの車内側先端に対応した位置の取付基部底部の外面に形成されている。このため,ドア閉時に中空シール部からブリッジ部を介して取付基部突条に力が伝達され,取付基部突条とドアの外周とのシール性を向上させることができる。
押出成形で形成された部位とコーナー部の上記取付基部突条は,一連に連続して形成されているため,ドアの外周の全周に亘り切れ目なく,シールすることができる。」
ウ.「【0042】
本発明の実施の形態のドアWS10の直線部11の上辺部13は,図3の断面図に示すように,ドアフレーム3のドア外周部平坦面4に取付けられる取付基部20と,ドアフレーム3の車外側部位に取付けられ,車体開口部周縁6の車外側との間をシールする車外側シール部40と,ドアフレーム3の車内側部位に取付けられ,車体開口部周縁6の車内側との間をシールする中空シール部30から構成される。
【0043】
取付基部20は,ドアフレーム3の外周に取付けられる。本実施の形態では,取付基部20は,ドアフレーム3の外周部の平坦部であるドア外周部平坦面4に当接して取付けられる板状の取付基部底部21と,取付基部底部21の車外側側端の部位から垂直方向に延出された取付基部車外側壁25aと,取付基部底部21の車内側側端の部位から垂直方向に延出された取付基部車内側壁25bと,取付基部車外側壁25aから車内方向へ延出する取付基部延出部25cと,取付基部延出部25cの先端と取付基部車内側壁25bの先端とを連結する取付基部上壁部22を有する。取付基部車内側壁25bは,取付基部車外側壁25aと比べて,寸法が小さく形成され,取付基部底部21から若干盛り上がっているように形成することもできる。
【0044】
取付基部底部21の車外側側端から取付基部シールリップ27がドアフレーム3の外周端縁3aの車内側面方向に張出して形成されている。本実施の形態では,取付基部車外側壁25aのドア外周部平坦面4寄りの部分から取付基部シールリップ27が形成されている。取付基部シールリップ27を短くして剛性を向上させるために,取付基部車外側壁25aは車外側に張り出して形成されている。このため,取付基部シールリップ27がドアフレーム3の外周端縁3aの車内側面と当接して,ドアフレーム3の外周端縁3aの車内側面とドアWS10の間のシールをすることができ,車外から雨水や騒音の浸入を防止することができる。
【0045】
取付基部20は,取付基部車外側壁25aを車外側に張り出して形成するため,大きな取付基部中空部23を形成する必要があり,取付基部中空部23は,取付基部第1中空部23aと取付基部第2中空部23bから形成されている。取付基部第1中空部23aと取付基部第2中空部23bとを分けて,取付基部底部21と取付基部延出部25c又は取付基部上壁部22とを連結する取付基部ブリッジ部26が形成されている。
取付基部中空部23は,取付基部底部21と,取付基部車外側壁25aと,取付基部車内側壁25bと,取付基部延出部25cと,取付基部上壁部22とで囲まれている。この取付基部中空部23により柔軟性の向上と軽量化を図っている。
【0046】
このため,取付基部ブリッジ部26により,取付基部中空部23が大きくなっていても,取付基部上壁部22と取付基部延出部25cの変形を防止することができ,ドア閉時に車外側シール部40と中空シール部30が取付基部底部21方向に撓むことがない。従って,ドアフレーム3の先端と車体開口部周縁6の車外側端部との間に空間が生じて外観が低下することを防止するとともに,車外側シール部先端部42が車体開口部周縁6と,後述する車外側シール部サブシールリップ44がドアフレーム3の外周端縁3aの車内側面から離れることを防止できる。さらに,車外側シール部40と中空シール部30が互いに接触して干渉することもなく,外観も向上する。
【0047】
取付基部底部21の外面(ドア外周部平坦面4と当接する面)には,両側端に取付基部突条28,28が長手方向に連続して形成されている。取付基部底部21は,クリップ60によりドア外周部平坦面4に取り付けられているため,取付基部突条28,28がドア外周部平坦面4に当接して,ドアフレーム3と取付基部20の間のシール性を向上させることができる。特に,車外側の取付基部突条28は,上記の取付基部ブリッジ部26の連結部位に対応した位置に設けられている。」
エ.「【0053】
中空シール部30は,車外側シール部40が当接する部分よりも,車体開口部周縁6の車内側の膨出部分に当接する。中空シール部30は,断面形状が楕円形に形成され,中空シール部車外側シール壁31と中空シール部車内側シール壁32から形成される。中空シール部30の内部は,中空シール部中空部34となる。
【0054】
中空シール部車内側シール壁32の根元は取付基部上壁部22の車内側側端から延設される。中空シール部車外側シール壁31の根元は,車外側シール部根元部41から延設された取付基部延出部25cの先端から延設され,中空シール部車外側シール壁31と中空シール部車内側シール壁32のそれぞれの先端が連結した,中空シール部頂部33を形成する。
【0055】
中空シール部30は,中空状に形成されるため,ドア閉時には車体開口部周縁6と柔軟に当接し,中空シール部頂部33又は中空シール部車内側シール壁32は広く車体開口部周縁6と当接し,ドア2や車体開口部周縁6との寸法バラツキがあっても,ドア2と車体開口部周縁6との間に確実に当接してシールすることができる。」
オ.以下の図3が図示されている。



図3からみて,以下の事項が理解できる。
カ.取付基部20は,取付基部20の車内側の端縁に沿って形成され,ドア外周面平坦面4に当接される車内側の取付基部突条28と,取付基部20の取付基部ブリッジ部26の連結部位に対応した位置に形成され,ドア外周部平坦面4に当接される車外側の取付基部突条28とを有すること。
キ.取付基部20からドア外周部平坦面4と反対側に突出されて,中空シール部頂部33が車体開口部周縁6に当接される中空断面の中空シール部30を備えること。
ク.取付基部中空部23に設けた取付基部ブリッジ部26が車外側の取付基部突条28に向かって延びていること。

そうすると,引用文献2には以下の事項が記載されているといえる。
「自動車のドアと車体開口部周縁との間をシールする自動車用のドアウエザストリップであって,
ドアフレーム3の外周部の平坦部であるドア外周部平坦面4に当接して取付けられる取付基部20と,
前記取付基部20からドア外周部平坦面4と反対側に突出されて,中空シール部頂部33が車体開口部周縁6に当接される中空断面の中空シール部30と,を備え,
取付基部20は,取付基部20の車内側の端縁に沿って形成され,ドア外周面平坦面4に当接される車内側の取付基部突条28と,取付基部20の取付基部ブリッジ部26の連結部位に対応した位置に形成され,ドア外周面平坦面4に当接される車外側の取付基部突条28とを有し,
取付基部中空部23に設けた取付基部ブリッジ部26が車外側の取付基部突条28に向かって延びており,
ドア閉時に中空シール部から取付基部ブリッジ部26を介して取付基部突条28に力が伝達され,取付基部突条28とドア2の外周とのシール性を向上させる,自動車用ドアウエザストリップ。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。
ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は,自動車の車体のドア開口縁とドアとの間をシールするドアオープニングトリムウエザストリップに関するものである。」
イ.「【0016】
本発明の実施の形態について図1と図2に基づき説明する。本実施の形態は,自動車の車体の開口縁とドア50との間をシールするドアオープニングトリムウエザストリップ10に関するものである。図1(a)はドアオープニングトリムウエザストリップ10を車体のフランジ40に取付ける前の状態を示す断面図である。図1(b)は,ドアオープニングトリムウエザストリップ10をフランジ40に取付けた状態を示し,図3のA-A線に沿った断面図である。
図1に示すように,ドアオープニングトリムウエザストリップ10は,車体の開口縁のフランジ40に取付けられるトリム部20と,ドア50のドアフレームの膨出部51と当接して車体の開口縁とドア50との間をシールする中空シール部30から構成される。
【0017】
トリム部20は,車外側側壁21,底壁22と車内側側壁23からなり,車体への取付状態では断面略U字状に形成されている。本実施の状態では,ロールフォーミング方式により車体への取付けを行うため,車体の開口縁のフランジ40に取付ける前の車体への取付状態ではトリム部20は,断面略U字状より開口が若干開いた側壁がハ字状をなしている。このため,フランジ40をトリム部20に挿入しやすくすることができる。そして,フランジ40をトリム部20に挿入して,位置決め・仮固定した後に一対のかしめローラーにより両側壁21,23をかしめて,断面略U字状として取付けが完了する。
なお,トリム部20の車外側側壁21,底壁22と車内側側壁23の内部には,芯材24が埋設されフランジ40への保持強度を向上させている。
【0018】
芯材24は,鉄板等の金属製や硬質合成樹脂製のものを用いることができる。金属製の芯材24の場合は,ドアオープニングトリムウエザストリップ10をコーナー部に取付けるときの柔軟性を向上させるために,短冊状の金属板を連結部で連結したものが用いられている。なお,トリム部20をU字形に形成した後に,フランジ部に取付ける場合には,トリム部20の形成工程において,この連結部を破断させることにより,トリム部20の柔軟性をより向上させることができる。
トリム部20は,芯材24をソリッドゴムで被覆して形成することができる。
【0019】
トリム部20の車外側側壁21の外面,即ち断面略U字状をなすトリム部20のU字状の外側の面には,前述のとおり中空シール部30が一体的に設けられている。
車外側側壁21の開口側の先端には,湾曲した車外側保持リップ26が設けられるとともに,車外側側壁21の内側には4本の車外側保持リップ26が設けられている。車内側側壁23には,2本の車内側保持リップ27,28が設けられている。後述するロールフォーミング方式により,トリム部20をフランジ40に取付けた後には,図1(b)に示すようにフランジ40を車外側保持リップ26と車内側保持リップ27,28が両側から挟み保持して,ドアオープニングトリムウエザストリップ10を保持するとともに,トリム部20とフランジ40の間をシールする。そして,フランジ40の厚さの変化に応じて車外側保持リップ26と車内側保持リップ27,28が撓み保持することができる。
【0020】
中空シール部30は,トリム部20の車外側側壁21に一体的に形成されている。中空シール部30は,車外側側壁21の外面において開口側と底壁22側の2箇所から延設されたソリッドゴムからなる2本の根元部31a,31bと,その2本の根元部31a,31bから連続して断面略円弧状をなすスポンジゴムからなる円弧部32と,上記車外側側壁21の一部と,根元部31a,31bと,円弧部32とでなす中空の中に断面く字状で円弧部32をブリッジ状につなぐ遮音壁33を有して構成されている。
なお,根元部31,31は,車外側側壁21から一体的に延設され,車外側側壁21と同じ材料のソリッドゴムで形成されている。
【0021】
車外側側壁21の外面において底壁22に連続する付近,即ち図1(b)における車外側側壁21の下部から根元部31aは,一体的に斜め下方に延出されている。その高さは,遮音壁33の肉厚の略2倍程度である。
根元部31bは,車外側側壁21の先端付近の外面から斜め上方に延出されている。その高さは,根元部31aと同様に,遮音壁33の肉厚の略2倍程度である。根元部31a,31bの高さを遮音壁33の肉厚の略2倍程度で形成したため,図2に示すように,ドア閉時に中空シール部30がドア50により圧縮され変形したときに,遮音壁33が中空シール部30の内部で折り畳まれるが,そのときに遮音壁33は,根元部31aと根元部31bの間に収容することができ,中空シール部30の変形を妨げることがない。また,根元部31a,31bは,ソリッドゴムで形成されているため,ドア50が斜め方向から当接したときに,中空シール部30が横へ倒れることを防止することができる十分な高さである。
【0022】
円弧部32は,根元部31a,31bから連続一体的に形成され,断面が略円弧状であり,スポンジゴムで形成されている。円弧部32の一部には通孔34が設けられ,中空シール部30がドア閉時に圧縮されたときに,中空シール部30内の空気を逃がすことができ,中空シール部30が変形しやすくなり,ドア閉力を減少させることができる。
円弧部32の先端,即ちドア50の膨出部51と当接する部分には,先端突部35が設けられている。先端突部35が設けられているため,中空シール部30がドア50の膨出部51と当接したときに,膨出部51の凹凸等により中空シール部30と膨出部51の間に隙間が生じてもこの先端突部35が膨出部51と当接するため,シール性が向上する。
【0023】
さらに,遮音性の向上のために中空シール部30の円弧部32の中をブリッジ状につなぐ遮音壁33を設けている。この円弧部32と遮音壁33は,スポンジゴムで形成されている。
遮音壁33は,断面が略く字状をなし,両端がそれぞれ円弧部32と接続する第1接続部33cと第2接続部33dとを有している。
第1接続部33cは,円弧部32が根元部31aと接続する付近の円弧部32と接続している。円弧部32と遮音壁33は両方ともスポンジゴムで形成されているため,遮音壁33が屈曲するときも第1接続部33cを中心に変形しやすく,中空シール部30が変形しやすくなる。
【0024】
第2接続部33dは,円弧部32が根元部31aと接続し,第1接続部33cが接続する部分から円弧部32の円周上の略3分の1離れた部分で円弧部32と接続している。即ち,円弧部32がドア50と当接する先端よりも若干第1接続部33c側の部分で接続している。このため,ドア50が中空シール部30に当接しても遮音壁33がドア50と斜め方向に当たるため,遮音壁33が突っ張ることがなく,ドア閉力を増加させることがない。また,ドア閉時に遮音壁33が屈曲したときに,屈曲した先端と円弧部32は離れているため,屈曲した先端が円弧部32に接触することがなく,遮音性に優れている。
【0025】
さらに,遮音壁33は,断面が円弧部32の車外側,即ち,図1(b)において上方に凸状に曲がった略く字状に形成されている。断面が略く字状に形成されているため,ドア閉時に中空シール部30が圧縮されて変形したときに屈曲しやすく,屈曲方向も円弧部3
2の車外側,即ち円弧部32の図1(b)における上方向に屈曲するため中空シール部30の変形が確実である。
【0026】
遮音壁33には第1ノッチ33aと第2ノッチ33bが設けられている。
第1ノッチ33aは,遮音壁33の略中央の断面が略く字状に屈曲した内側に設けられている。略く字状に屈曲した内側にノッチを設けたため,略く字状とノッチの両方の作用で遮音壁33が屈曲しやすくなるので,ドア閉力を低くすることができる。また,遮音壁33の第1接続部33cと第1ノッチ33aとの間の長さは,根元部31aの先端から根元部31bの先端までの長さよりも短く形成されている。
第2ノッチ33bは,第1接続部33cと円弧部32の接続付近に設けられている。第2ノッチ33bを設けたため,中空シール部30がドア50により圧縮されて変形したときに,遮音壁33が円弧部32から第2ノッチ33bを支点にして曲がりやすくなり,ドア閉力を低くすることができる。
【0027】
このように,遮音壁33は,ドア閉時に中空シール部30が圧縮されて変形するときに,第1ノッチ33aと第2ノッチ33bにより遮音壁33の略半分の所で折れ畳まれ,トリム部10の車外側側壁21方向に移動する。そして,中空シール部30がさらに圧縮されると,折り畳まれた遮音壁33の第1接続部33cから第1ノッチ33aまでの部分は,根元部31aと根元部31bの間に収納される。
また,遮音壁33の肉厚を円弧部32の肉厚よりも薄く形成したため柔軟性があり,ドア閉時に屈曲しやすく,屈曲したときに折り畳まれた厚さが薄いので,コンパクにすることができ,中空シール部30が撓む余地が大きく,そのためドア閉時に中空シール部38が撓みやすくなり,ドア閉力を小さくすることができる。
【0028】
このように遮音壁33の少なくともその略中央部の屈曲部までの部分,即ち第1接続部33cから第1ノッチ33aまでの部分が,根元部31aと根元部31bの間に収納されることにより,遮音壁33がソリッドゴムからなる根元部31aや根元部31bに重なり合って中空シール部30の変形を妨げるようなこともなくコンパクトに中空シール部30が変形することができ,円弧部32と当接して,円弧部32が大きく変形することもない。
根本部31a,31bの高さを,遮音壁33が屈曲したときに2本の根本部31a,31bの間に収容可能な高さ,即ち遮音壁33の肉厚の2倍程度に形成したため,ドア閉時に遮音壁33が折り畳まれて屈曲するときに,根本部31aと根本部31bの間に収容されるので,円弧部32が変形する余地が大きくなり円弧部32が撓み易くなり,ドア50の閉力を小さくすることができる。」
ウ.以下の図1(b)が図示されている。


上記記載事項と図1(b)からみて,以下の事項が理解できる・
エ.ドアオープニングトリムウエザストリップ10は,車体の開口縁のフランジ40に取付けられる断面略U字状のトリム部20と,前記トリム部20の車外側側壁21の外面に,中空シール部30の円弧部32がドア50のドアフレームの膨出部51と当接して車体の開口縁とドア50との間をシールする中空断面の中空シール部30から構成されていること。
オ.トリム部20は,同トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端にフランジ40に当接して車外側保持リップ26が設けられると共に,車外側側壁21の内側には前記フランジ40に当接して4本の車外側保持リップ26が設けられ,前記4本の車外側保持リップ26のうち前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26を有していること。
カ.中空シール部30は,同中空シール部内部において円弧部32のドア50側内面からトリム部20のフランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26近傍の内面に延びるように形成され,前記円弧部32のドア側50で受けた反力を,前記トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端に設けた車外側保持リップ26よりも多く前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26に伝達する遮音壁33を有していること。
キ.遮音壁33は,中空シール部30の円弧部32のドア50側内面から当該中空シール部の中心側に延びる第1壁部と,前記中空シール部30のトリム部20のフランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26の近傍の内面から当該中空シール部30の中心側に延びて断面く字状に前記第1壁部につながる第2壁部とを有していること。
ク.第2壁部は,中空シール部30の中心側からフランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26に向かって延び,前記中空シール部30の図1(b)下側部分とともにトリム部20のフランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26近傍につながれること。

そうすると,引用文献3には,以下の事項が記載されているといえる。
「自動車の車体のドア開口縁とドアとの間をシールするドアオープニングトリムウエザストリップ10であって,
ドアオープニングトリムウエザストリップ10は,車体の開口縁のフランジ40に取付けられる断面略U字状のトリム部20と,前記トリム部20の車外側側壁21の外面に,中空シール部30の円弧部32がドア50のドアフレームの膨出部51と当接して車体の開口縁とドア50との間をシールする中空断面の中空シール部30から構成され,
前記トリム部20は,同トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端に前記フランジ40に当接して車外側保持リップ26(第1のリップ部)が設けられると共に,車外側側壁21の内側には前記フランジ40に当接して4本の車外側保持リップ26が設けられ,前記4本の車外側保持リップ26のうち前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26(第2のリップ部)を有し,
前記中空シール部30は,同中空シール部内部において円弧部32のドア50側内面から前記トリム部20の前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26(第2のリップ部)近傍の内面に延びるように形成され,円弧部32のドア側50で受けた反力を,前記トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端に設けた車外側保持リップ26(第1のリップ部)よりも多く前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26(第2のリップ部)に伝達する遮音壁33を有し,
前記遮音壁33は,前記中空シール部30の円弧部32のドア50側内面から当該中空シール部の中心側に延びる第1壁部と,前記中空シール部30の前記トリム部20の前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26(第2のリップ部)の近傍の内面から当該中空シール部30の中心側に延びて断面く字状に前記第1壁部につながる第2壁部とを有し,
前記第2壁部は,前記中空シール部30の中心側から前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26(第2のリップ部)に向かって延び,前記中空シール部30の図1(b)下側部分とともに前記トリム部20の前記フランジ40の一番先端側に位置する車外側保持リップ26(第2のリップ部)近傍につながれる,
自動車のドアオープニングトリムウエザストリップ10。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と,引用発明とを対比すると,後者の「自動車」は前者の「車体」に相当し,以下同様に,「車体開口部開閉部材」は「開閉部材」に,「自動車用ウエザストリップ10」又は「ウエザストリップ10」は「車両のウェザストリップ」又は「ウェザストリップ」に,「ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部」は「ウェザストリップ取付面」に,「取付基部11」は「基部」に,「車体開口部周縁6の上部」は「受け座」に,「断面が中空状をなす中空シール部14」は「中空断面の中空シール部」に,「中空シール部14」は「中空シール部」に,「上方のリップ部」は「第1のリップ部」に,「下方のリップ部」は「第2のリップ部」に,「中空シールブリッジ部15」は「隔壁」に,「下方の壁部」は「第1壁部」に,「上方の壁部」は「第2壁部」に,それぞれ相当する。
「自動車の開口部を開閉する開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールす」れば「開口部開閉部材」の周縁端部をシールすることになるのは明らかであるから,後者の「自動車の開口部を開閉する車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールする自動車用ウエザストリップ10」は前者の「車体の開口部を開閉する開閉部材の周縁端部をシールするウェザストリップ」に相当する。
後者の「ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部に取り付けられた取付基部11」は前者の「ウェザストリップ取付面に固定される基部」に相当する。
後者の「前記取付基部11からウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部と反対側に突出されて,その先端部が車体開口部周縁6の上部に当接される断面が中空状をなす中空シール部14」は前者の「前記基部から前記ウェザストリップ取付面と反対側に突出されて,その先端部が受け座に弾接される中空断面の中空シール部」に相当する。
後者の「前記取付基部11は,前記取付基部11に形成された,ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部及び前記自動車ドア1の外周部から下方に伸びる面に当接される上方のリップ部と,前記取付基部11に形成された,ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部から下方に伸びる面に当接される下方のリップ部とを有」することと,前者の「前記基部は,同基部の車内側の端縁に沿って形成され前記ウェザストリップ取付面に当接される第1のリップ部と,同基部の車外側の端縁に沿って形成され前記ウェザストリップ取付面に当接される第2のリップ部とを有」することとは,「前記基部は,同基部に形成され前記ウエザストリップ取付面を含む面に当接される第1のリップ部と,同基部に形成され面に当接される第2のリップ部とを有」することにおいて共通する。
後者の「前記中空シール部14は,前記中空シール部14内部において前記先端部周辺の内面から前記取付基部11側の前記下方のリップ部の周辺の内面に延びるように形成され,前記先端部で受けた反力を前記下方のリップ部にも伝達する中空シールブリッジ部15を有」することと,前者の「前記中空シール部は,同中空シール部内部において前記先端部近傍の内面から前記基部側の前記第2のリップ部近傍の内面に延びるよう形成され,前記先端部で受けた反力を前記第1のリップ部よりも多く前記第2のリップ部に伝達する隔壁を有」することとは,「前記中空シール部は,同中空シール部内部において前記先端部周辺の内面から前記基部側の前記第2のリップ部周辺の内面に延びるように形成され,前記先端部で受けた反力を前記第2のリップ部にも伝達する隔壁を有」することにおいて共通する。
後者の「前記中空シールブリッジ部15は,前記中空シール部14の前記先端部周辺の内面から前記中空シール部14の中心側へ延びる下方の壁部と,前記中空シール部14の前記取付基部11の前記下方のリップ部周辺の内面から前記中空シール部14の中心側へ延びて湾曲して前記下方の壁部とつながる上方の壁部とを有」することと,前者の「前記隔壁は,前記中空シール部の前記先端部近傍の内面から当該中空シール部の中心側へ延びる第1壁部と,前記中空シール部の前記基部の第2のリップ部近傍の内面から当該中空シール部の中心側へ延びて屈曲形状をなす接続部を介して前記第1壁部とつながる第2壁部とを有」することとは,「前記隔壁は,前記中空シール部の前記先端部周辺の内面から前記中空シール部の中心側へ延びる第1壁部と,前記中空シール部の前記基部の第2のリップ部周辺の内面から当該中空シール部の中心側へ延びて湾曲した接続部を介して前記第1壁部とつながる第2壁部とを有」することにおいて共通する。
後者の「前記上方の壁部は,前記中空シール部14の中心側から前記取付基部11の内面に延び,中空シール部14の車外側部分とともに前記取付基部11の前記下方のリップ部周辺につながれる」ことと,前者の「前記第2壁部は,前記中空シール部の中心側から前記第2のリップ部に向かって延び,前記中空シール部の車外側部分とともに前記基部の前記第2のリップ部近傍につながれる」こととは,「前記第2壁部は,前記中空シール部の中心側から前記基部側に向かって延び,前記中空シール部の車外側部分とともに前記基部の前記第2のリップ部周辺につながれる」ことにおいて共通する。
そうすると,両者は,
「車体の開口部を開閉する開閉部材の周縁端部をシールするウェザストリップであって,
ウェザストリップ取付面に固定される基部と,
前記基部から前記ウェザストリップ取付面と反対側に突出されて,その先端部が受け座に弾接される中空断面の中空シール部と,を備え,
前記基部は,同基部に形成され前記ウェザストリップ取付面を含む面に当接される第1のリップ部と,同基部に形成され面に当接される第2のリップ部とを有し,
前記中空シール部は,同中空シール部内部において前記先端部周辺の内面から前記基部側の前記第2のリップ部周辺の内面に延びるように形成され,前記先端部で受けた反力を前記第2のリップ部にも伝達する隔壁を有し,
前記隔壁は,前記中空シール部の前記先端部周辺の内面から前記中空シール部の中心側へ延びる第1壁部と,前記中空シール部の前記基部の第2のリップ部周辺の内面から当該中空シール部の中心側へ延びて湾曲した接続部を介して前記第1壁部とつながる第2壁部とを有し,
前記第2壁部は,前記中空シール部の中心側から前記基部側に向かって延び,前記中空シール部の車外側部分とともに前記基部の前記第2のリップ部周辺につながれる,
車両のウエザストリップ。」
の点で一致し,以下の各点で相違する。
<相違点1>
前記基部は,同基部に形成され前記ウェザストリップ取付面を含む面に当接される第1のリップ部と,同基部に形成され面に当接される第2のリップ部とを有することに関して,本願発明1では,前記基部は,同基部の「車内側の端縁に沿って」形成され「前記ウェザストリップ取付面」に当接される第1のリップ部と,同基部の「車外側の端縁に沿って」形成され「前記ウェザストリップ取付面」に当接される第2のリップ部とを有することに対して,引用発明では,前記取付基部11は,前記取付基部11に形成された,「ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部及び自動車ドア1の外周部から下方に伸びる面」に当接される上方のリップ部と,前記取付基部11に形成された,「ウエザストリップ10を装着した自動車ドア1の外周部から下方に伸びる面」に当接される下方のリップ部とを有するものであって,上方のリップは,取付基部11の車内側の端縁に沿って形成されたものではなく,下方のリップは,取付基部11の車外側の端縁に沿って形成されたものでもない点。
<相違点2>
前記中空シール部は,同中空シール部内部において前記先端部周辺の内面から前記基部側の前記第2のリップ部周辺の内面に延びるように形成され,前記先端部で受けた反力を前記第2のリップ部にも伝達する隔壁に関して,先端部周辺及び第2リップ部周辺がそれぞれ,本願発明1では,「先端部近傍」,「第2リップ部近傍」であるのに対して,引用発明では,それぞれ近傍とまで特定できるか否か不明な点,及び,隔壁が,本願発明1では,前記先端部で受けた反力を「前記第1のリップ部よりも多く」前記第2のリップ部に伝達するのに対して,引用発明では,前記第1のリップ部よりも多く第2のリップ部に伝達するか否か不明な点。
<相違点3>
前記隔壁は,前記中空シール部の前記先端部周辺の内面から前記中空シール部の中心側へ延びる第1壁部と,前記中空シール部の前記基部の第2のリップ部周辺の内面から前記中空シール部の中心側へ延びて湾曲した接続部を介して前記第1壁部とつながる第2壁部とを有することに関して,先端部周辺,及び,第2のリップ部周辺がそれぞれ,本願発明1では,「先端部近傍」,及び「第2のリップ部近傍」であるのに対して,引用発明では,近傍とまで特定できるか否か不明な点,及び,湾曲した接続部が,本願発明1では,「屈曲形状をなす」接続部であるのに対して,引用発明では,そのような特定はなされていない点。
<相違点4>
前記第2壁部は,前記中空シール部の中心側から前記基部側に向かって延び,前記中空シール部の車外側部分とともに前記基部の前記第2のリップ部周辺につながれることに関し,第2壁部が基部側に向かって延びることについて,本願発明1では,「前記第2のリップ部」に向かって延びているのに対して,引用発明では,取付基部11の内面に向かって延びているものの,下方のリップに向かっては延びていない点,及び,第2のリップ部周辺が,本願発明1では,「第2のリップ部近傍」であるのに対して,引用発明では,近傍とまで特定できるか否か不明な点。

(2)相違点についての判断
(2-1)新規性について
少なくとも上記相違点1,2,4により,本願発明1と引用発明とは,実質的に相違しており,本願発明1は,引用文献1に記載された発明(引用発明)ではない。
(2-2)進歩性について
ア.引用文献2に開示された事項
本願発明1と引用文献2に記載された事項とを対比すると,後者の「自動車」は前者の「車体」に相当し,以下同様に,「ドア」は「開口部を開閉する開閉部材」又は「開閉部材」に,「自動車用ドアウエザストリップ」は「車両のウェザストリップ」又は「ウェザストリップ」に,「取付基部20」は「基部」に,ドアフレーム3の外周部の平坦部であるドア外周部平坦面4」及び「ドア外周面平坦面4」は「ウェザストリップ取付面」に,「中空シール部頂部33」は「先端部」に,「車体開口部周縁6」は「受け座」に,中空シール部の「当接」は「弾接」に,「車内側の取付基部突条28」は「第1のリップ」に「車外側の取付基部突条28」は「第2のリップ」にそれぞれ相当する。
後者の「自動車のドアと車体開口部周縁との間をシールする自動車用のドアウエザストリップ」は前者の「車体の開口部を開閉する開閉部材の周縁端部をシールするウェザストリップ」に相当する。
後者の「ドアフレーム3の外周部の平坦部であるドア外周部平坦面4に当接して取付けられる取付基部20」は前者の「ウェザストリップ取付面に固定される基部」に相当する。
そうすると,引用文献2には,以下の事項が開示されているといえる。
「車体の開口部を開閉する開閉部材の周縁端部をシールするウェザストリップであって,
ウェザストリップ取付面に固定される基部と,
前記基部から前記ウェザストリップ取付面と反対側に突出されて,その先端部が受け座に弾接される中空断面の中空シール部と,を備え,
前記基部は,同基部の車内側の端縁に沿って形成され,前記ウェザストリップ取付面に当接される第1のリップ部と,同基部の取付基部ブリッジ部26の連結部位に対応した位置に形成され前記ウェザストリップ取付面に当接される第2のリップ部とを有し,
取付基部中空部23に設けた取付基部ブリッジ部26が第2のリップ部に向かって延びており,
開閉部材閉時に中空シール部から取付基部ブリッジ部26を介して第2のリップ部に力が伝達され,第1のリップ部と第2のリップ部と開閉部材の外周とのシール性を向上させる,車両のウェザストリップ。」
イ.引用文献3に開示された事項
本願発明1と引用文献3に記載された事項とを対比すると,後者の「自動車の車体」は前者の「車体」に相当し,以下同様に,「ドア開口縁」は「開口部」に,「ドア」は「開口部を開閉する開閉部材」又は「開閉部材」に,「ドアオープニングトリムウエザストリップ10」は「ウェザストリップ」に,「中空シール部30」は「中空シール部」に,「ドアフレームの膨出部51」は「受け座」に,中空シール部30が「当接」することは,「弾接」することに,「構成される」ことは「備え」ることに,車外側側壁21の開口側の先端に前記フランジ40に当接して設けられる「車外側保持リップ26」は「第1のリップ部」に,前記4本の車外側保持リップ26のうち前記フランジ40の一番先端側に位置する「車外側保持リップ26」は「第2のリップ部」に,「遮音壁33」は「隔壁」に,それぞれ相当する。
後者の「自動車の車体のドア開口縁とドアとの間をシールするドアオープニングトリムウエザストリップ10」は前者の「車体の開口部を開閉する開閉部材の周縁端部をシールするウェザストリップ」に相当する。
そうすると,引用文献3には,以下の事項が開示されているといえる。
「車体の開口部を開閉する開閉部材の周縁端部をシールするウェザストリップであって,
ウェザストリップは,車体の開口縁のフランジ40に取付けられる断面略U字状のトリム部20と,前記トリム部20の車外側側壁21の外面に,中空シール部の円弧部32が受け座に弾接される中空断面の中空シール部と,を備え,
前記トリム部20は,同トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端に前記フランジ40に当接される第1のリップ部と,車外側側壁21の内側には前記フランジ40に当接して4本の車外側保持リップ26が設けられ,前記4本の車外側保持リップ26のうち前記フランジ40の一番先端側に位置する第2のリップ部を有し,
前記中空シール部は,同中空シール部内部において円弧部32のドア50側内面から前記トリム部20の前記フランジ40の一番先端側に位置する第2のリップ部近傍の内面に延びるように形成され,円弧部32のドア側50で受けた反力を,前記トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端に設けた第1のリップ部6よりも多く前記フランジ40の一番先端側に位置する第2のリップ部に伝達する壁部を有し,
前記壁部は,前記中空シール部の円弧部32のドア50側内面から当該中空シール部の中心側に延びる第1壁部と,前記中空シール部の前記トリム部20の前記フランジ40の一番先端側に位置する第2のリップ部近傍の内面から当該中空シール部の中心側に延びて断面く字状に前記第1壁部につながる第2壁部とを有し,
前記第2壁部は,前記中空シール部の中心側から前記フランジ40の一番先端側に位置する第2のリップ部に向かって延び,前記中空シール部30の図1(b)下側部分とともに前記トリム部20の前記フランジ40の一番先端側に位置する第2のリップ部26近傍につながれる,
車両のウェザストリップ。」
ウ.相違点の検討
<相違点1について>
引用文献2に開示された事項は,「前記基部は,同基部の車内側の端縁に沿って形成され,前記ウエザストリップ取付面に当接される第1のリップ部と,同基部の取付基部ブリッジ部26の連結部位に対応した位置に形成され前記ウエザストリップ取付面に当接される第2のリップ部とを有」するものであり,「前記基部は,同基部の車内側の端縁に沿って形成され,前記ウエザストリップ取付面に当接される第1のリップ部」を有するものの,「前記ウエザストリップ取付面に当接される第2のリップ部」は「同基部の取付基部ブリッジ部26の連結部位に対応した位置に形成され」るものであって,同基部の「車外側の端縁に沿って」形成されるものではない。
また,引用文献2には,図3を参照すると,取付基部車外側壁25aに取付基部シールリップ27が形成されてはいるが,この取付基部シールリップ27は車外側の「端縁に沿って」形成されるものではない上に,ウエザストリップ取付面としての「ドア外周部平坦面4」に当接されるものでもない。
そして,引用文献3に開示された事項は,「前記トリム部20は,同トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端に前記フランジ40に当接される第1のリップ部と,車外側側壁21の内側には前記フランジ40に当接して4本の車外側保持リップ26が設けられ,前記4本の車外側保持リップ26のうち前記フランジ40の一番先端側の第2のリップ部を有」するものであり,前提として断面略U字状トリム部20がフランジ40に取り付けられるものであって,フランジ40の車外側の面を「ウェザストリップ取付面」としても,「第1のリップ部」はトリム部20の車内側の端縁に沿って形成されるものではない上に,「第2のリップ部」はトリム部20の車外側の端縁に沿って形成されるものではない。
したがって,引用発明及び引用文献2,3のいずれにも,上記相違点1に係る本願発明1の上記発明特定事項は,記載されていない。
<相違点2について>
引用文献2に開示された事項は,「開閉部材閉時に中空シール部から取付基部ブリッジ部26を介して第2のリップ部に力が伝達され」るものではあるが,取付基部ブリッジ部26は,取付基部20(基部)の取付基部中空部26に設けられるものであって,相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である,「中空シール部に設けた隔壁が」中空シール部の先端部で受けた反力を第1リップ部よりも多く第2リップ部に伝達するものではない。
引用文献3に開示された事項は,「前記中空シール部は,同中空シール部内部において円弧部32のドア50側内面から前記トリム部20の前記フランジ40の一番先端側の第2のリップ部近傍の内面に延びるように形成され,円弧部32のドア側50で受けた反力を,前記トリム部20の車外側側壁21の開口側の先端に設けた第1のリップ部6よりも多く前記フランジ40の一番先端側の第2のリップ部に伝達する壁部を有」するものではあるものの,<相違点1について>で述べたように,「第1のリップ部」はトリム部20の車内側の端縁に沿って形成されるものではない上に,「第2のリップ部」はトリム部20の車外側の端縁に沿って形成されるものではないから,本願発明1とは,トリム部20に対する作用が異なるものである。
したがって,引用発明及び引用文献2,3のいずれにも,上記相違点2に係る本願発明1の上記発明特定事項は,記載されていない。
<相違点4について>
引用文献2に開示された事項は,「取付基部中空部23に設けた取付基部ブリッジ部26が第2のリップ部に向かって延びて」いるものではあるが,相違点4に係る本願発明1の発明特定事項である,中空シール部の「第2壁部」が第2のリップ部に向かって延びるものではない。
引用文献3に開示された事項は,「前記第2壁部は,前記中空シール部の中心側から前記フランジ40の一番先端側の第2のリップ部に向かって延び」ているものではあるが,「第2のリップ部」は前記フランジ40の一番先端側に設けられた車外側保持リップ26であって,<相違点1について>において述べたように,トリム部20の車外側の端縁に沿って形成されるものではないから,本願発明1とは,トリム部20に対する作用が異なるものである。
したがって,引用発明及び引用文献2,3のいずれにも,上記相違点4に係る本願発明1の上記発明特定事項は,記載されていない。
<相違点についてのまとめ>
そうすると,引用発明及び引用文献2,3のいずれにも,上記相違点1,2,4に係る本願発明1の上記発明特定事項は,記載されていない。
また,引用発明に引用文献2に開示された事項や引用文献3に開示された事項を適用できたとしても,上記相違点1,2,4に係る本願発明1の発明特定事項にはならない。
そして,本願発明1は,上記発明特定事項を備えることで,中空シール部からの反力が車外側と車内側のいずれかの側に偏って伝達され,ウェザストリップがどちらの方向に傾いたとしても,中空シール部で受けた反力を,隔壁によって車外側にあたる第2のリップ部へより多く伝達することができるので,車外側の第2のリップ部のシール力を補うことができ,車外側に配置される第2のリップ部に十分なシール力が確保されるという格別の効果を奏するものである。
したがって,相違点3について検討するまでもなく,本願発明1は,引用発明,引用文献2に開示された事項及び引用文献3に開示された事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2,3について
本願発明2,3は,本願発明1の発明特定事項を全て含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本願発明1と同じ理由により,引用発明,引用文献2に開示された事項,及び,引用文献3に開示された事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-11-14 
出願番号 特願2014-201072(P2014-201072)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (B60J)
P 1 8・ 121- WY (B60J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高島 壮基  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 出口 昌哉
藤井 昇
発明の名称 車両のウェザストリップ  
代理人 相原 史郎  
代理人 相原 史郎  

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