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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
管理番号 1356814
異議申立番号 異議2019-700218  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-19 
確定日 2019-09-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6390218号発明「水性インクジェット用インキセット」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6390218号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第6390218号の請求項1?3、5?6に係る特許を維持する。 特許第6390218号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立を却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6390218号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成26年7月7日に出願され、平成30年8月31日にその特許権の設定登録がされ、同年9月19日にその特許掲載公報が発行された。
その後、当該発行日から6月以内にあたる、平成31年3月19日に本件特許発明1?6に対して加藤浩志(以下、「異議申立人」という)により特許異議の申立てがされたものである。
特許異議の申立て後の手続きの経緯は次のとおりである。
令和元年 5月20日付け 取消理由通知
同年 7月 2日 意見書・訂正請求書(特許権者)
同年 7月 8日付け 訂正請求があった旨の通知
同年 8月 8日 意見書(異議申立人)

第2 訂正の適否
1 訂正請求の趣旨及び内容
令和元年7月2日の訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という)の「請求の趣旨」は、「特許第6390218号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下の訂正事項1?4のとおりである(なお、訂正に関連する箇所に下線を付した)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキとを含む水性インクジェット用インキセットであって、
前記各インキは少なくとも着色剤、沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)、および、水を含み、
淡色インキは更に沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)を含み、
淡色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)が、濃色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)よりも6?20重量%大きく、
濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2であり、
濃色インキと淡色インキの25℃における粘度差が3.5mPa・s以下であることを特徴とした水性インクジェット用インキセット。」と記載されているのを、
「少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキとを含む水性インクジェット用インキセットであって、
前記各インキは少なくとも着色剤、沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)、および、水を含み、
淡色インキは更に沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)を含み、
淡色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)が、濃色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)よりも6?20重量%大きく、
濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2であり、
濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7であり、
濃色インキと淡色インキの25℃における粘度差が3.5mPa・s以下であることを特徴とした水性インクジェット用インキセット。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、3、5、6も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1?4いずれかに記載の水性インクジェット用インキセット。」と記載されているのを、「請求項1?3いずれかに記載の水性インクジェット用インキセット。」に訂正する(請求項5の記載を直接的に引用する請求項6も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5いずれかに記載の水性インクジェット用インキセット。」と記載されているのを、「請求項1?3または5いずれかに記載の水性インクジェット用インキセット。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項4における「濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7である」との記載に基づいて、訂正前の請求項1に記載されていたインキセットにおける、濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比を7:10?10:7に限定するものである。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものであるとともに、同法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
また、訂正事項1は、上記のとおり、訂正前の請求項1に記載されていたインキセットを、訂正前の請求項4において特定されていたものに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2?4
訂正事項2は、訂正前の請求項4を削除するものであり、訂正事項3、4は、訂正事項2により削除された請求項4をいまだ引用した状態にある不明瞭な請求項の記載を明瞭化したもの、あるいは、引用請求項の一部を削除するものということができるから、これらの訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるか、同項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認められる。また、これらの訂正事項が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を変更し又は拡張するものではないことは明らかであるから、当該訂正事項は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。

3 小括
上記1、2のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第3項及び第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1?6について訂正を求めるものであり、その訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
上記第2のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件訂正後の、次のとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を「本件特許発明1」などといい、まとめて「本件特許発明」ともいう)。
「【請求項1】
少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキとを含む水性インクジェット用インキセットであって、
前記各インキは少なくとも着色剤、沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)、および、水を含み、
淡色インキは更に沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)を含み、
淡色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)が、濃色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)よりも6?20重量%大きく、
濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2であり、
濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7であり、
濃色インキと淡色インキの25℃における粘度差が3.5mPa・s以下であることを特徴とした水性インクジェット用インキセット。
【請求項2】
濃色インキが含む沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)の含有率(SA1)と、淡色インキが含む沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)の含有率(SA2)との比が6:10?10:6であることを特徴とする請求項1記載の水性インクジェット用インキセット
【請求項3】
淡色インキが含む沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)の含有率(SB2)が5?20重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の水性インクジェット用インキセット。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
濃色インキ、および、淡色インキの着色剤が顔料分散樹脂により分散された顔料であり、前記顔料分散樹脂は炭素数10以上のアルキル鎖を有することを特徴とする請求項1?3いずれか記載の水性インクジェット用インキセット。
【請求項6】
濃色インキと淡色インキの組み合わせとして、シアンインキとライトシアンインキ、マゼンタインキとライトマゼンタインキ、および、ブラックインキとライトブラック(グレー)インキのいずれかの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1?3または5いずれか記載の水性インクジェット用インキセット。」

第4 令和元年5月20日付けで通知した取消理由についての判断
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1?3、5、6に係る発明の特許に対して当審が特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

理由1.(進歩性)下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
引用例1:特開2004-225032号公報(異議申立人が提出した甲第8号証)
引用例2:特開2003-041172号公報(異議申立人が提出した甲第5号証)
引用例3:特開2013-027979号公報(異議申立人が提出した甲第6号証)
本件特許発明1?3、6は引用例1、2に記載された発明に基いて、また本件特許発明5は引用例1?3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許発明は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

2 当審の判断
(1)引用文献およびその記載事項
引用例1:特開2004-225032号公報(異議申立人が提出した甲第8号証)
引用例2:特開2003-041172号公報(異議申立人が提出した甲第5号証)
引用例3:特開2013-027979号公報(異議申立人が提出した甲第6号証)

上記引用例1には、次の記載がある。
摘記1a:請求項1
「【請求項1】
相互に同一色であるが色の濃度の異なる濃インク組成物及び淡インク組成物を含有するインクセットであって、
前記濃インク組成物及び前記淡インク組成物が何れも、着色剤としての顔料、分散剤としての樹脂、及び樹脂エマルジョンを少なくとも含み、
前記濃インク組成物中の樹脂エマルジョンは、前記淡インク組成物中の樹脂エマルジョンとは種類が異なるインクセット。」

摘記1b:段落0044、0054?0061
「【0044】
樹脂エマルジョンの含有量(固形分換算量)は、インクの定着性、グロスチェンジ及び表面光沢性の一層の改善の観点と、インク粘度を適切に保つ観点から、前記濃インク組成物中、好ましくは0.5重量%以上、5.0重量%以下であり、より好ましくは 1.0重量%以上、3.0重量%以下であり、淡インク組成物中、好ましくは0.1重量%以上、2.0重量%以下であり、より好ましくは0.3重量%以上、1.0重量%以下である。
・・・(中略)・・・
【0054】
インクセットにおいて、相互に同一色で着色剤の量が大きなものを濃インク組成物、小さいものを淡インク組成物と定義すると、着色剤の含有量は、濃インク組成物中、好ましくは1.5重量%以上、10重量%以下であり、さらに好ましくは2.0重量%以上、7.0重量%以下である。一方、淡インク組成物中においては、着色剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、2.0重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以上、1.5重量%以下である。着色剤の含有量は、濃淡インク組成物等のインク組成物の種類に応じて適宜調整される。
【0055】
本発明の各インク組成物は、着色剤としての顔料を、分散剤としての樹脂によって水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液を含有する。
【0056】
分散剤としての樹脂は、特に限定されず、通常のインクジェット記録用カラーインク組成物に含まれる樹脂を用いることができる。
【0057】
分散剤として用いられる樹脂としては、メタアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、メタアクリル-スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋メタアクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0058】
分散剤樹脂の添加量は、前記濃インク組成物の場合には、固形分換算で顔料100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、100重量部以下、更に好ましくは20重量部以上、80重量部以下であり、前記淡インク組成物場合には、固形分換算で顔料100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、100重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上、100重量部以下である。
【0059】
前記水性媒体としては、インクジェット記録用の水性インク組成物に一般的に用いられる溶媒が用いられ、具体的には、水、水溶性有機溶媒、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
水性媒体として水を用いる場合、水は、各インク組成物中に各成分の残量として添加される。
【0061】
前記水性媒体として水溶性有機溶媒を用いる場合、該水溶性有機溶媒としては、低沸点有機溶剤及び高沸点有機溶剤の何れも好ましく用いられる。前記低沸点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール等が挙げられる。特に一価アルコールが好ましい。これらの低沸点有機溶剤は、インク組成物の乾燥時間を短くする効果があるため好ましい。また、前記高沸点有機溶剤の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、トリエタノールアミン等が挙げられる。」

摘記1c:段落0084、0092
「【0084】
実施例1;(インクセットA)
・・・(中略)
〔マゼンタインク組成物〕
樹脂エマルジョン▲1▼(固形分2重量%) 5.0重量%
顔料(PR122) 6.0重量%
分散剤(スチレン-アクリル酸共重合体) 1.5重量%
グリセリン 13.0重量%
1,2-ヘキサンジオール 5.0重量%
BYK-348 0.5重量%
TEA(トリエタノールアミン) 0.9重量%
純水 残量
合計 100重量%
〔ライトマゼンタインク組成物〕
樹脂エマルジョン▲2▼(固形分0.5重量%)3.33重量%
顔料(PR122) 1.0重量%
分散剤(スチレン-アクリル酸共重合体) 0.24重量%
グリセリン 29.0重量%
1,2-ヘキサンジオール 5.0重量%
BYK-348 0.5重量%
TEA(トリエタノールアミン) 0.9重量%
純水 残量
合計 100重量%
・・・(中略)・・・
【0092】
インクセットA?Fをそれぞれインクカートリッジに収容し、このインクカートリッジをインクジェットプリンタ(セイコーエプソン株式会社製;PM-4000PX)に取り付けた。記録媒体としては、インクジェット専用紙(セイコーエプソン株式会社製;MC写真用紙、PM写真用紙、フォトプリント用紙)を用い、記録媒体に対して、1440×720dpiにて印字して記録物を得た。記録画像及びインクの吐出安定性は良好であった。」

上記引用文献2には、次の記載がある。
摘記2a:請求項1
「【請求項1】 着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含有するインク組成物を複数具備するインクジェット記録用インクセットであって、剪断速度10^(4)?10^(7)(秒^(-1))の範囲において、前記複数のインク組成物の温度20℃での粘度のうち、最大値と最小値との差が0.5mPa・s以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。」

摘記2b:段落0012
「【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討の結果、インク組成物を複数具備するインクジェット記録用インクセットにおいて、前記複数のインク組成物の粘度に基づく特定の値を特定の範囲内となるように調整することによって、驚くべきことに、各色間のインク吐出量のバラツキ抑制を高精度で達成し、極めて高画質の画像が得られることを見出し、本発明を完成したものである。・・・(中略)・・・」

摘記2c:段落0019
「【0019】本発明のインクセットは、着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含有するインク組成物(以下、単に、インクともいう)を複数具備するものであり、通常は、3色以上のそれぞれ色の異なるインク組成物を組み合わせて構成される。例えば、マゼンダインク、イエローインク、シアンインク及びブラックインクの4種のインク組成物を組み合わせたり、更に、マゼンダインク、イエローインク、シアンインクを色の濃淡で2種づつ備えた7種のインク組成物を組み合わせた構成等とすることができる。・・・(中略)・・・」

上記引用例3には、次の記載がある。
摘記3a:段落0084、0099?0100、0105
「【0084】
<水系顔料インクジェットインキ>
本発明で使用する水系顔料インクジェットインキ(以下水系インキ)は、顔料、水溶性溶剤、水および顔料分散樹脂を含むことが好ましい。以下、これらの各成分について説明する。
・・・(中略)・・・
【0099】
前記顔料分散樹脂は、炭素数10以上24以下のアルキル基の(メタ)アクリレートエステルを有する単量体(D)、スチレン、α-メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレートを有する単量体(E)及び(メタ)アクリル酸を有する単量体(F)を共重合組成に含むコポリマー(共重合体)であることが好ましい。
【0100】
このような顔料分散樹脂を使用した場合、水系インキとインキ受容層表面との親和性が適切に制御され、インキドットが適度に拡がるため、白抜け・白スジ、色間滲みの抑制された画像の形成、および印刷物の耐水性の点で有益であり、また、インキ自体の保存安定性の点でも有益である。
・・・(中略)・・・
【0105】
さらに、単量体(D)、単量体(E)の比率は、単量体(D)/単量体(E)=1/9?9/1であることが好ましく、単量体(D)/単量体(E)=1/4?4/1であることがさらに好ましい。単量体(D)と単量体(E)の比率が1/9より少ないと、顔料分散樹脂の疎水性が低くなり、顔料表面に対する顔料分散樹脂の付着力が低下し、水系顔料インクの保存安定性が低下する傾向がある。・・・(中略)・・・」

(2)引用例1に記載された発明
引用例1には、摘記1cのとおり、マゼンタインク組成物とライトマゼンタインク組成物とを含むインクセットが記載され、インクジェットプリンタに取り付けて印字することが記載されているから、当該インクセットはインクジェット用インクセットといえる。また、マゼンタインク組成物は、樹脂エマルジョン▲1▼(固形分2重量%)5.0重量%、顔料(PR122)6.0重量%、分散剤(スチレン-アクリル酸共重合体)1.5重量%、グリセリン13.0重量%、1,2-ヘキサンジオール5.0重量%、BYK-348を0.5重量%、TEA(トリエタノールアミン)0.9重量%を含み残量が純水であり、ライトマゼンタインク組成物は、樹脂エマルジョン▲2▼(固形分0.5重量%)3.33重量%、顔料(PR122)1.0重量%、分散剤(スチレン-アクリル酸共重合体)0.24重量%、グリセリン29.0重量%、1,2-ヘキサンジオール5.0重量%、BYK-348を0.5重量%、TEA(トリエタノールアミン)0.9重量%を含み残量が純水であるから、当該マゼンタインク組成物、及びライトマゼンタインク組成物は水性インク組成物といえ、それらを含むインクジェット用インクセットは水性インクジェット用インクセットといえる。
そうすると、引用例1には、マゼンタインク組成物とライトマゼンタインク組成物とを含む水性インクジェット用インクセットであって、マゼンタインク組成物は、樹脂エマルジョン▲1▼(固形分2重量%)5.0重量%、顔料(PR122)6.0重量%、分散剤(スチレン-アクリル酸共重合体)1.5重量%、グリセリン13.0重量%、1,2-ヘキサンジオール5.0重量%、BYK-348を0.5重量%、TEA(トリエタノールアミン)0.9重量%、及び純水を含み、ライトマゼンタインク組成物は、樹脂エマルジョン▲2▼(固形分0.5重量%)3.33重量%、顔料(PR122)1.0重量%、分散剤(スチレン-アクリル酸共重合体)0.24重量%、グリセリン29.0重量%、1,2-ヘキサンジオール5.0重量%、BYK-348を0.5重量%、TEA(トリエタノールアミン)0.9重量%、及び純水を含む、水性インクジェット用インクセット」(以下、この発明を「引用例1発明」という)が記載されていると認められる。

(3)本件特許発明1
ア 引用例1発明との対比
引用例1発明の「マゼンタインク組成物及びライトマゼンタインク組成物」は、本件特許発明1の「少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキ」に相当する。
引用例1発明の「顔料(PR122)」は、本件特許発明1の「着色剤」に相当する。
引用例1発明の「1,2-ヘキサンジオール」は、本件特許の発明の詳細な説明の段落0024に「溶剤Aは、沸点が200℃以上、280℃以下であり、かつ表面張力が20mN/m以上、30mN/m以下である有機溶剤であれば、どのような溶剤でも使用可能である。・・・(中略)・・・特に限定するものではないが、溶剤Aとして、例えば、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、・・・(中略)・・・等が挙げられる。」と記載されていることからみて、本件特許発明1の「沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)」に相当する。
引用例1発明のライトマゼンタインク組成物が含む全ての有機溶剤の含有率は34重量%(グリセリン29.0重量%及び1,2-ヘキサンジオール5.0重量%)であり、マゼンタインク組成物が含む全ての有機溶剤の含有率は18重量%(グリセリン13.0重量%及び1,2-ヘキサンジオール5.0重量%)であるから、前者は後者より16重量%大きく、これは本件特許発明1の「淡色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)が、濃色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)よりも6?20重量%大きく」の範囲内である。
引用例1発明のマゼンタインク組成物とライトマゼンタインク組成物の顔料(PR122)の含有量の比は1:0.17であり、これは本件特許発明1の「濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2」の範囲内である。
してみると、本件特許発明1と引用例1発明とは、
「少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキとを含む水性インクジェット用インキセットであって、
前記各インキは少なくとも着色剤、沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)、および、水を含み、
淡色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)が、濃色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)よりも6?20重量%大きく、
濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2であることを特徴とした水性インクジェット用インキセット。」
である点において一致し、以下の点において相違が認められる。

(相違点1)
本件特許発明1は「淡色インキは更に沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)を含」むのに対し、引用例1発明の「ライトマゼンタインク組成物」は当該有機溶媒を含んでいない点。
(相違点2)
本件特許発明1は「濃色インキと淡色インキの25℃における粘度差が3.5mPa・s以下である」のに対し、引用例1発明では、当該粘度差が不明である点。
(相違点3)
本件特許発明1は「濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7であ」るのに対し、引用例1発明では、「マゼンタインク組成物」の固形分の含有率が9.5重量%(樹脂エマルジョン2重量%+顔料6.0重量%+分散剤1.5重量%)であり、「ライトマゼンタインク組成物」の固形分の含有率が1.74重量%(樹脂エマルジョン0.5重量%+顔料1.0重量%+分散剤0.24重量%)であって、その比が10:1.8である点。
なお、引用例1発明における、「マゼンタインク組成物」、「ライトマゼンタインク組成物」の固形分は、その構成成分からみて、樹脂エマルジョンの固形分と顔料と分散剤の合計量とした。これについて、本件特許明細書の段落0059には、「インキ中の固形分量」を「測定することができる」方法として、「ガラス製のシャーレに1?3g程度のインキを量りとり、これを180℃のオーブンにて30分間乾燥させる。乾燥後の重量を量り、これを固形分として乾燥前後の重量からインキ中の割合を求める。」方法が記載されている。その一方で、樹脂成分、着色剤、溶剤等を含むインク組成物において、溶剤等が印刷後に揮発し、樹脂成分、着色剤等は印刷基材に残るこは技術常識と認められる。そして、本件特許明細書の表2、表3において、インキの「固形分」として示された値が、樹脂エマルジョンの固形分と顔料と分散剤の合計量と一致していることを考慮し、引用例1発明における固形分を上述のように判断した。

イ 判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
まず、引用例1には、インク組成物の固形分をどのように調節するかについて記載がない。
次に、引用例1発明の「マゼンタインク組成物」と「ライトマゼンタインク組成物」の固形分である、樹脂エマルジョン、顔料、及び分散剤の量についての記載は段落0044、0055、0058(摘記1b)のとおりであって、引用例1発明において、「マゼンタインク組成物」の固形分を減らすことや「ライトマゼンタインク組成物」の固形分を増やすこと(あるいはその両方)は記載も示唆もされていない。
また、仮に引用例1発明の「マゼンタインク組成物」と「ライトマゼンタインク組成物」の固形分を、引用例1の記載に基づいて調節しても、その含有率の比が7:10?10:7となるとは認められない。例えば、引用例1発明において、段落0044の記載に基づき、「マゼンタインク組成物」の樹脂エマルジョンの固形分を「濃インク組成物」における最小値である0.5重量%とし、「ライトマゼンタインク組成物」の樹脂エマルジョンの固形分を「淡インク組成物」における最大値である2.0重量%としても、「マゼンタインク組成物」の固形分の含有率と「ライトマゼンタインク組成物」の固形分の含有率の比は10:4.0(8.0重量%:3.24重量%)である。また、段落0054、0058の記載に基づき、「マゼンタインク組成物」の顔料の固形分を「濃インク組成物」における最小値である2.0重量%とし分散剤を同割合で減らして0.5重量%としても、固形分の含有率の比は10:3.9(4.5重量%:1.74重量%)としかならない上に、本件特許発明1の「濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2」との規定を満たさなくなる。
さらに、引用例1には、「インクの定着性(耐擦性)が良好でかつグロスチェンジが改善された記録物を提供し得るインクセット」を提供することが課題であると記載され(段落0008)、当該課題を解決するために、引用例1に記載された構成(例えば、段落0044、0055、0058に記載された重量範囲)とすることが記載されているのであるから、特段の動機付けなしに、引用例1に記載された範囲を超えて樹脂エマルジョン等の量を設定することは、当業者が容易になし得ることとは認められない。
そして、引用例2、3の記載を参酌しても、引用例1発明において、「マゼンタインク組成物」の固形分の含有率と「ライトマゼンタインク組成物」の固形分の含有率とを所定の範囲とすることを、当業者が容易に想到し得るとは認められない。
したがって、本件特許発明1の上記相違点3に係る構成は、引用例1?3の記載に照らしても、当業者が容易に想到し得るものと認められない。

ウ 異議申立人の主張
異議申立人は令和元年8月8日提出の意見書において、上記相違点3に関して、
「引用例1の段落【0044】、【0054】、及び【0058】には、濃色インキ及び淡色インキの固形分である「樹脂エマルジョン」、「着色剤」、及び「分散剤」の好ましい含有量が記載されており、マゼンタインク組成物及びライトマゼンタインク組成物のインクセット(インキセット)である引用例1発明において、固形分の濃色インキと、淡色インキと、の含有率を調整することは当業者であれば適宜行われることであるといえる。」と主張する。
しかし、上記イに記載したように、引用例1発明において、マゼンタインク組成物とライトマゼンタインク組成物の固形分を調整するとしても、当業者が適宜行うのは、段落0044、0055、0058等に記載された重量範囲内での調整であると認められ、当該調整では、上記イのとおり、上記相違点3に係る構成には到らない。
また、異議申立人は同意見書において、
「参考文献1(特開2004-067861号公報)には、引用例1発明と同様の淡色インク及び濃色インクを有するインクセット(インキセット)が開示されており(参考資料1【請求項1】参照)、淡色インクの固形分量(S_(1))と濃色インクの固形分量(S_(2))との比S_(1)/S_(2)が0.3<S_(1)/S_(2)<1.0であることが必須の構成要件であることが記載されており(参考資料1【請求項1】参照)、さらに、参考資料1の段落【0023】には、「・・・また、淡色インクと濃色インク間の固形分比を特定の範囲とし、極端に両者の固形分量差を大きくしないことにより、濃淡インクで印字した画像の光沢性を低減することができる。」が記載されている。すなわち、淡色インクと濃色インクを有するインクセット(インキセット)において、印刷物の表面に高い光沢を得ることを目的に、濃色インキと淡色インキの固形分の含有量の差を小さくすることは周知技術であるといえる。したがって、引用例1発明において、濃色インキ及び淡色インキの固形分の含有量を(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7になるように調節することは当業者にとって何ら困難性はない。」と主張する。
しかし、当該参考文献1記載の発明は、その請求項1に記載されているように「淡色インク及び濃色インクが色材及び樹脂からなる着色樹脂微粒子を含有し、かつ少なくとも該淡色インクが非着色樹脂微粒子を含有」するインクセットに関する発明であり、当該色材としては、その段落0045や実施例に記載されているように染料を用いることが想定されている。また、異議申立人が挙げる段落0023には、「本発明の色材と樹脂を相溶させて形成した着色樹脂微粒子を含有し、かつ本発明で規定する構成からなるインクジェット用インクセットを用いることにより、…、また、淡色インクと濃色インク間の固形分比を特定の範囲とし、極端に両者の固形分量差を大きくしないことにより、濃淡インクで印字した画像の光沢性を低減することができる。」と記載されており、参考文献1記載の、淡色インク及び濃色インクが、染料と樹脂を相溶させて形成した着色樹脂微粒子を含有するインクセットにおいて、印刷物の表面に高い光沢を得ることを目的に、濃色インクと淡色インクの固形分の含有量の差を小さくすることが記載されているのみである。そして、当該記載を参酌しても、濃色インク及び淡色インクが、染料と樹脂を相溶させて形成した着色樹脂微粒子ではなく、顔料とそれを分散する樹脂と樹脂エマルジョンとを含む引用例1発明のようなインクセットにおいて、濃色インクと淡色インクの固形分の含有量の差を小さくしても、濃淡インクで印字した画像の光沢性を低減できるか否かは本件出願時の技術常識を参酌しても不明であるから、異議申立人の主張する「印刷物の表面に高い光沢を得ることを目的に、濃色インキと淡色インキの固形分の含有量の差を小さくすること」は周知の事項とは認められない。
さらに、仮に当該事項が周知であったとしても、引用例1発明において、参考文献1の記載を参考に濃色インクと淡色インクの固形分の含有量の差を小さくする場合は、引用例1に記載された範囲内において差を小さくする(例えば上記イに記載したように、段落0044の記載に基づき、濃色インクと淡色インクの固形分を10:4.0、すなわちS_(1)/S_(2)=0.4とする)と認められ、参考文献1(段落0027等)において好ましい値とされている0.3<S_(1)/S_(2)<0.6の範囲外でもある、W1:W2=7:10?10:7(0.7≦S_(1)/S_(2)≦1.4)とするとは認められない。
また、異議申立人は同意見書において、
「参考資料2(特開2002-003768号公報)には、引用例1発明と同様の淡色インク及び濃色インクを有するインクセット(インキセット)が開示されており(参考資料2【請求項1】参照)、この濃色インクは、ポリマー微粒子(樹脂エマルジョン)を淡色インクよりも少量含有すこと(すなわち、訂正発明1の(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7の範囲を含む)が必須の構成要件であることが記載されており(参考資料2【請求項1】参照)、さらに、参考資料2の段落【0076】?【0092】には、(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7の範囲の実施例のインクセット(インキセット)が記載されている。
参考資料3(特開平08-319442号公報)には、引用例1発明と同様の淡色インク及び濃色インクを有するインクセット(インキセット)が開示されており(参考資料3【0020】?【0025】等参照)、さらに、参考資料3の段落【0063】の【表2】や段落【0074】の【表6】には、(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7の範囲の実施例のインクセット(インキセット)が記載されている。
参考資料4(特開2002-030235号公報)には、引用例1発明と同様の淡色インク及び濃色インクを有するインクセット(インキセット)が開示されており(参考資料4【請求項1】等参照)、さらに、参考資料4の段落【0045】?【0063】には、(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7の範囲の実施例のインクセット(インキセット)が記載されている。
このように、淡色インク及び濃色インクを有するインクセット(インキセット)において、印刷物の表面に高い光沢を得ることを目的に、(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7になるように調節することは周知技術であるといえる。」と主張する。
まず、淡色インク及び濃色インクを有するインクセットであって、濃色インクが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インクが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7の範囲内にあるインクセット自体は参考文献2?4に記載されているように周知であると認められる。
しかし、参考資料2記載の発明は、普通紙には濃色インクを主に用い、インクジェット記録専用紙には淡色インクを主に用いるインクセットの発明であり(請求項26、段落0014、実施例等参照)、インクジェット記録専用紙における耐擦性を向上させるために淡色インクに濃色インクより樹脂エマルジョンを多く含有(段落0003?0005等参照)させた結果として、実施例に記載されたインクセットのうち一部のインクセットが上述の固形分の比を満たすものである。また、参考資料3記載の発明は、アニオン性界面活性剤によって分散された染顔料および実質的に無色の微粒子を含むインクジェットインク組成物の発明であり(請求項1等参照)、染顔料濃度の異なる複数のインクを使用する際に被記録媒体上でのインクのにじみのばらつきを解消するために、染顔料濃度が2.5重量%以下のインクに実質的に無色の微粒子を0.3重量%以上多く含有(段落0020、0033等参照)させた結果として、実施例に記載されたインクセットのうち一部のインクセットが上述の固形分の比を満たすものである。さらに、参考資料4記載の発明は、水性媒体中に顔料及び熱可塑性樹脂微粒子を有する濃色インク及び淡色インクを備えたインクセットの発明であり(請求項1等参照)、なめらかな階調性を表現するとき、濃色インクと淡色インクが混在して印字され、広い濃度域で光沢性や耐擦過性を保持するために、濃色インク中の顔料の含有量をP質量%、熱可塑性樹脂微粒子の含有量B質量%とし、淡色インク中の顔料の含有量をp質量%、熱可塑性樹脂微粒子の含有量b質量%としたとき、P/B≧p/bとなる(段落0038等参照)ようにした結果として、実施例に記載されたインクセットのうち一部のインクセットが上述の固形分の比を満たすものである。すなわち、参考文献2?4には、印刷物の表面に高い光沢を得ることを目的に、上述の固形分の比とすることは記載されていない。
このように、参考文献2?4を参酌しても、「印刷物の表面に高い光沢を得ることを目的に、(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7になるように調節すること」は周知の事項とはいえない。
そして、異議申立人は同意見書において
「さらに、平成31年3月19日付け特許異議申立書に記載させていただいているとおり、本願明細書段落【0107】の比較対象結果や平成30年6月28日に特許権者によって提出された手続補足書(実験成績証明書)を参酌しても濃色インキ及び淡色インキの固形分の含有率を(W1)と、(W2)と、の比が7:10?10:7になるように調整することによって得られる本件特許明細書【0058】に記載されているような効果は何ら立証されていない」と主張する。
しかし、上記のように、本件特許発明1の上記相違点3に係る構成は、引用例1?3の記載に照らしても、また参考文献1?4の記載に照らしても、当業者が容易に想到し得るものと認められないのであるから、本件特許発明1の効果について検討するまでもなく、「濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7」になるように調節することは容易想到の事項とはいえない。
よって、異議申立人の同意見書における主張は採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本件特許発明1の上記相違点3に係る構成を容易想到の事項ということはできないから、上記相違点1、2について検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用例1?3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

(4)本件特許発明2、3、5、6
本件特許発明2、3、5、6は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用し、さらに限定するものであるから、本件特許発明2、3、5、6と同様に、引用例1?3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3 まとめ
以上のとおり、本件特許発明1?3、5、6は、引用例1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえないから、本件特許発明は、同法第113条第2号に該当するものではない。
したがって、令和元年5月20日付けで通知した取消理由は、理由がない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由についての判断

異議申立人が提出した甲8号証を主引用例とした、請求項4に対する進歩性についての特許異議申立理由は、上記第4において検討した、進歩性についての取消理由とおおむね同旨である。したがって、当該特許異議申立理由によっては、本件特許発明1?3、5、6に係る特許を取り消すことはできない。
そのほかに、異議申立人は、甲1号証(国際公開第2003/066755号)を主引用例とした、請求項1?6に対する進歩性についての特許異議申立理由を主張するので、以下検討する。なお、異議申立人は甲1号証の写しとして、国際公開第2003/066755号の再公表公報を特許異議申立書に添付しているが、両者は同じ内容が記載されているので、以下の検討においては、国際公開第2003/066755号を用いる。

1 甲1号証の記載事項
上記甲1号証には、次の記載がある。
摘記甲1a:請求項1
「【請求項1】
フタロシアニン染料が水性媒体中に溶解または分散しているインクジェット記録用インクであって、
該フタロシアニン染料がその酸化電位が1.0V(vsSCE)より貴である水溶性染料であり、かつ20℃での蒸気圧が2000Pa以下の水混和性有機溶剤を含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。」

摘記甲1b:第47頁下から8?10行、第59頁15?27行、第60頁11?15行
「本発明のインクジェット記録用インクは、前記フタロシアニン染料を好ましくは0.2?20質量%含有し、より好ましくは0.5?15質量%含有する。
・・・(中略)・・・
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58-185677号公報、同61-190537号公報、特開平2-782号公報、同5-197075号公報、同9-34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46-2784号公報、特開平5-194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48-30492号公報、同56-21141号公報、特開平10-88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4-298503号公報、同8-53427号公報、同8-239368号公報、同10-182621号公報、特表平8-501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
・・・(中略)・・・
また、防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは、インク中に0.02?5.00質量%使用するのが好ましい。」

摘記甲1c:第68頁10行?第70頁下から10行
「(実施例1)
下記の成分に脱イオン水を加え1リッターとした後、30?40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してライトシアン用インク液(LC-101)を調製した。
〔ライトシアンインク LC-101処方〕
(固形分)
本発明のシアン色素 (154) 17.5g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール(DEG) 150g/l
グリセリン(GR) 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB) 130g/l
トリエタノールアミン(TEA) 6.9g/l
サーフィノールSTG(SW) 10g/l
LC-101に対して、下記表1のように溶剤種を変更したインクLC-102?106をそれぞれ作製した。

*:水を加えてすべて1リットルの完成量とした。
PRD:2-ピロリドン
IPA:2-プロパノール
MFG:1-メトキシ-2-プロパノール
MS:2-メトキシエタノール
さらに上記処方でシアン色素(154)を68gに増量したシアン用インク液C-101を調製した。
〔シアンインク C-101処方〕
(固形分)
本発明のシアン色素 (154) 68g/l
ベンゾトリアゾール(BTZ) 0.08g/l
PROXEL XL2 3.5g/l
(液体成分)
ジエチレングリコール 150g/l
グリセリン 130g/l
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 130g/l
トリエタノールアミン 6.9g/l
サーフィノールSTG 10g/l
C-101に対して、インク処方を変更したシアンインクC-102?106を下記表2の処方で調製した。

*:水を加えてすべて1リットルの完成量とした。
これらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM-950Cのシアンインク・ライトシアンインクのカートリッジに装填し、その他の色のインクはPM-950Cのインクを用いて、シアンの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙EXに画像を印刷し、インクの吐出性と画像堅牢性の評価を行った。」

2 甲1号証に記載された発明
甲1号証には、摘記甲1cのとおり、ライトシアンインクLC-104とシアンインクC-104が記載され、それらのインクをEPSON社製インクジェットプリンターPM-950Cのシアンインク・ライトシアンインクのカートリッジに装填することが記載されているから、LC-104とC-104の組み合わせはインクジェット用インクセットといえる。
また、ライトシアンインクLC-104とシアンインクC-104が含む
「本発明のシアン色素(154)」は、摘記甲1aの記載からフタロシアニン染料であると認められる。以下、当該 「本発明のシアン色素(154)」を「フタロシアニン染料154」という。
そして、ライトシアンインクLC-104は、固形分として、フタロシアニン染料154を17.5g/l、「ベンゾトリアゾール(BTZ)」(摘記甲1bの記載から紫外線吸収剤であると認められる)を0.08g/l、「PROXEL XL2」(1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンであり、摘記甲1bの記載から防黴剤であると認められる)を3.5g/lを含み、液体成分として、ジエチレングリコール(DEG)を50g/l、グリセリン(GR)を100g/l、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TGB)を50g/l、トリエタノールアミン(TEA)を6.9g/l、サーフィノールSTG(SW)を10g/l、2-ピロリドン(PRD)を10g/l、2-プロパノール(IPA)を150g/l含み、残部として水を加えて1リットルとしたものであり、シアンインクC-104は、固形分として、フタロシアニン染料154を68g/l、BTZを0.08g/l、PROXEL XL2を3.5g/lを含み、液体成分として、DEGを50g/l、GRを70g/l、TGBを20g/l、TEAを6.9g/l、SWを10g/l、PRDを10g/l、IPAを180g/l(当審注:表2中の「180」は「180g」の誤記と認められる)含み、残部として水を加えて1リットルとしたものであるから、当該ライトシアンインクLC-104及びシアンインクC-104は水性インク組成物といえ、それらを含むインクジェット用インクセットは水性インクジェット用インクセットといえる。
そうすると、甲1号証には、「シアンインクとライトシアンインクとを含む水性インクジェット用インクセットであって、シアンインクは、固形分として、フタロシアニン染料154を68g/l、BTZを0.08g/l、PROXEL XL2を3.5g/lを含み、液体成分として、DEGを50g/l、GRを70g/l、TGBを20g/l、TEAを6.9g/l、SWを10g/l、PRDを10g/l、IPAを180g/l含み、残部として水を加えて1リットルとしたものであり、ライトシアンインクは、固形分として、フタロシアニン染料154を17.5g/l、BTZを0.08g/l、PROXEL XL2を3.5g/lを含み、液体成分として、DEGを50g/l、GRを100g/l、TGBを50g/l、TEAを6.9g/l、SWを10g/l、PRDを10g/l、IPAを150g/l含み、残部として水を加えて1リットルとしたものである、水性インクジェット用インクセット」(以下、この発明を「甲1発明」という)が記載されていると認められる。

3 本件特許発明1と甲1発明との対比・判断
ア 対比
甲1発明の「シアンインクとライトシアンインク」は、本件特許発明1の「少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキ」に相当する。
甲1発明の「フタロシアニン染料154」は、本件特許発明1の「着色剤」に相当する。
甲1発明の「TGB」は、本件特許の発明の詳細な説明の段落0024に「溶剤Aは、沸点が200℃以上、280℃以下であり、かつ表面張力が20mN/m以上、30mN/m以下である有機溶剤であれば、どのような溶剤でも使用可能である。・・・(中略)・・・特に限定するものではないが、溶剤Aとして、例えば、・・・(中略)・・・、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、・・・(中略)・・・等が挙げられる。」と記載されていることからみて、本件特許発明1の「沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)」に相当する。
甲1発明のライトシアンインクが含む「IPA」は、本件特許の発明の詳細な説明の段落0026に「溶剤Bは、沸点が50℃以上、180℃以下である水溶性の有機溶剤であれば、どのような溶剤でも使用可能である。・・・(中略)・・・特に限定するものではないが、溶剤Bとして、例えば、・・・(中略)・・・、2-プロパノール、・・・(中略)・・・等が挙げられる。」と記載されていることからみて、本件特許発明1の「淡色インキ」が含む「沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)」に相当する。
してみると、本件特許発明1と甲1発明とは、
「少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキとを含む水性インクジェット用インキセットであって、
前記各インキは少なくとも着色剤、沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)、および、水を含み、
淡色インキは更に沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)を含む、水性インクジェット用インキセット。」
である点において一致し、以下の点において相違が認められる。

(相違点4)
本件特許発明1は「淡色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)が、濃色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)よりも6?20重量%大き」いのに対し、甲1発明の「ライトシアンインク」の全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)は36重量%(有機溶剤はDEG、GR、TGB、PRD、IPAであるから合計360g/lであり、大部分は水なのでインクの比重は1であるとした)、「シアンインク」の全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)は33重量%(有機溶剤はDEG、GR、TGB、PRD、IPAであるから合計330g/lであり、インクの比重は1であるとした)であるから、ST2はST1より3重量%大きい点。
(相違点5)
本件特許発明1は「濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2である」のに対し、甲1発明の「シアンインク」と「ライトシアンインク」の着色剤である「フタロシアニン染料154」の含有率の比が1:2.6(68g/l:17.5g/l)である点。
(相違点6)
本件特許発明1は「濃色インキと淡色インキの25℃における粘度差が3.5mPa・s以下である」のに対し、甲1発明では、当該粘度差が不明である点。
(相違点7)
本件特許発明1は「濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7であ」るのに対し、甲1発明では、「シアンインク」の固形分の含有率が7.2重量%(固形分は、その記載のとおり、フタロシアニン染料154、BTZ、PROXEL XL2であるとし、その合計は71.58g/lであり、インクの比重は1であるとした)であり、「ライトシアンインク」の固形分の含有率が2.1重量%(固形分は、フタロシアニン染料154、BTZ、PROXEL XL2であるとし、その合計は21.08g/lであり、インクの比重は1であるとした)であって、その比が10:2.9である点。

イ 判断
事案に鑑み、相違点7について検討する。
甲1発明の「シアンインク」と「ライトシアンインク」の固形分である、フタロシアニン染料154、BTZ(紫外線吸収剤)、PROXEL XL2(防黴剤)それぞれの量についての記載は摘記甲1bのとおりであって、甲1発明において、これらの合計量である固形分を「シアンインク」については減らすことや「ライトシアンインク」については増やすこと(あるいはその両方)は記載も示唆もされていない。
また、仮に甲1発明の「シアンインク」と「ライトシアンインク」のフタロシアニン染料154、BTZ、PROXEL XL2それぞれの量を、甲1号証の記載に基づいて調節しても、その合計量の比が7:10?10:7となるとは認められない。例えば、甲1発明において、第60頁11?15行の記載に基づき、「PROXEL XL2」の含有量を最大値である5.0重量%(50g/l))としても、「シアンインク」の固形分の含有率と「ライトシアンインク」の固形分の含有率の比は10:5.7(118.08g/l:67.58g/l)である。
そして、上記第4 2(3)ウに記載した事項と同様に、濃色インクが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インクが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7であるインクセットは周知であっても、甲1発明において(W1)と(W2)との比を7:10?10:7になるように調節する動機付けは見当たらないから、本件特許発明1の上記相違点7に係る構成は、当業者が容易に想到し得るものと認められない。
したがって、本件特許発明1の上記相違点7に係る構成は、甲1号証の記載及び周知技術に照らしても、当業者が容易に想到し得るものと認められない。

ウ 小括
以上のとおり、本件特許発明1の上記相違点7に係る構成を容易想到の事項ということはできないから、上記相違点4?6について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

4 本件特許発明2、3、5、6について
本件特許発明2、3、5、6は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用し、さらに限定するものであるから、本件特許発明2、3、5、6と同様に、甲1号証に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

5 まとめ
以上のとおり、本件特許発明1?3、5、6は、甲1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえないから、本件特許発明は、同法第113条第2号に該当するものではない。
したがって、異議申立人が主張する、甲1号証を主引用例とする進歩性についての特許異議申立理由を採用することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由並びに異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本件特許発明1?3、5、6に係る特許を取り消すことはできない。
また、この他に本件特許発明1?3、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項4は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項4に対して、異議申立人がした特許異議申立については、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも相互に同一色相であるが色濃度の異なる濃色インキと淡色インキとを含む水性インクジェット用インキセットであって、
前記各インキは少なくとも着色剤、沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)、および、水を含み、
淡色インキは更に沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)を含み、
淡色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST2)が、濃色インキが含む全ての有機溶剤の合計含有率(ST1)よりも6?20重量%大きく、
濃色インキと淡色インキの着色剤の含有率の比が、1:0.1?1:0.2であり、
濃色インキが含む固形分の含有率(W1)と、淡色インキが含む固形分の含有率(W2)との比が7:10?10:7であり、
濃色インキと淡色インキの25℃における粘度差が3.5mPa・s以下であることを特徴とした水性インクジェット用インキセット。
【請求項2】
濃色インキが含む沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)の含有率(SA1)と、淡色インキが含む沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(A)の含有率(SA2)との比が6:10?10:6であることを特徴とする請求項1記載の水性インクジェット用インキセット
【請求項3】
淡色インキが含む沸点が50℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(B)の含有率(SB2)が5?20重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の水性インクジェット用インキセット。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
濃色インキ、および、淡色インキの着色剤が顔料分散樹脂により分散された顔料であり、前記顔料分散樹脂は炭素数10以上のアルキル鎖を有することを特徴とする請求項1?3いずれか記載の水性インクジェット用インキセット。
【請求項6】
濃色インキと淡色インキの組み合わせとして、シアンインキとライトシアンインキ、マゼンタインキとライトマゼンタインキ、および、ブラックインキとライトブラック(グレー)インキのいずれかの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1?3または5いずれか記載の水性インクジェット用インキセット。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-09-17 
出願番号 特願2014-139266(P2014-139266)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 林 建二  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 川端 修
牟田 博一
登録日 2018-08-31 
登録番号 特許第6390218号(P6390218)
権利者 東洋インキSCホールディングス株式会社 東洋インキ株式会社
発明の名称 水性インクジェット用インキセット  
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