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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
管理番号 1356843
異議申立番号 異議2019-700570  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-22 
確定日 2019-11-01 
異議申立件数
事件の表示 特許第6457955号発明「改善された甘味料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6457955号の請求項1ないし44に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6457955号の請求項1?44に係る特許についての出願は、平成26年3月14日(パリ条約による優先権主張 2013年3月15日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成30年12月28日にその特許権の設定登録がされ、平成31年1月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和1年7月22日に特許異議申立人 アクシス国際特許業務法人は、特許異議の申立てを行った。

2 本件特許発明
特許第6457955号の請求項1?44の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?44に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
アルロース、及び少なくとも1種のモグロシドを含む甘味料組成物であって、
前記少なくとも1種のモグロシドは、ウリ科植物の果実からの抽出物中のものであり、
前記果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であり、
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、少なくとも97重量%のアルロース及び0.05重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のモグロシドは、モグロシドV、モグロシドIV、モグロシドVI、オキソモグロシドV、モグロシドIIIE若しくはシアメノシドIからなる群から選ばれるか、又はこれらの混合物である、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項3】
前記植物はSiraitia grosvenoriiであることを特徴とする、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項4】
前記モグロシド組成物は、モグロシドV、モグロシドIV、モグロシドVI、オキソモグロシドV、モグロシドIIIE若しくはシアメノシドIからなる群から選ばれる少なくとも1種のモグロシド、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項5】
前記果実抽出物は、40?65重量%のモグロシドV、及び0?30重量のモグロシドIV、モグロシドVI、オキソモグロシドV、モグロシドIIIE、若しくはシアメノシドI、又はこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1?4のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項6】
前記果実抽出物は、48?52重量%のモグロシドV、並びに25?30重量のモグロシドIV、オキソモグロシドV、及びシアメノシドIを含むことを特徴とする、請求項1?5のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項7】
前記果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、50?60重量%のモグロシドVを含むことを特徴とする、請求項1?6のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項8】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、97?99.95重量%のアルロース及び0.05?3重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項9】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、98?99.9重量%のアルロース及び0.1?2重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項10】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、99.5重量%のアルロース及び0.5重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項9に記載の甘味料組成物。
【請求項11】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、98重量%のアルロース及び2重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項12】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、99.94重量%のアルロース及び0.06重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項13】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、99.83重量%のアルロース及び0.17重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項14】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、97重量%のアルロース及び3重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項15】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、98.5重量%のアルロース及び1.5重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項16】
前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、99.6重量%のアルロース及び0.4重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項17】
甘味向上添加剤、充填剤、香味剤及び/又は安定剤を更に含むことを特徴とする、請求項1?16のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項18】
前記果実抽出物は、45?60重量%のモグロシドVを含むことを特徴とする、請求項1?17のいずれか一項に記載の甘味料組成物。
【請求項19】
請求項1?18のいずれか一項に記載の甘味料組成物を含む食品又は飲料製品。
【請求項20】
前記食品又は飲料製品の総重量を基準として、アルロース及び果実抽出物の総含有量が1?12重量%であることを特徴とする、請求項19に記載の食品又は飲料製品。
【請求項21】
前記食品又は飲料製品の総重量を基準として、アルロース及び果実抽出物の総含有量が1?5重量%であることを特徴とする、請求項20に記載の食品又は飲料製品。
【請求項22】
前記食品又は飲料製品の総重量を基準として、アルロース及び果実抽出物の総含有量が4?10重量%であることを特徴とする、請求項20に記載の食品又は飲料製品。
【請求項23】
前記食品又は飲料製品の総重量を基準として、アルロース及び果実抽出物の総含有量が6?12重量%であることを特徴とする、請求項20に記載の食品又は飲料製品。
【請求項24】
前記食品又は飲料製品は食品であり、前記甘味料組成物は前記食品の表面においてコーティング又はフロスティングとして提供されることを特徴とする、請求項19?23のいずれか一項に記載の食品又は飲料製品。
【請求項25】
前記食品又は飲料製品は炭酸飲料又は非炭酸飲料であることを特徴とする、請求項19?23のいずれか一項に記載の食品又は飲料製品。
【請求項26】
請求項1?18のいずれか一項に記載の甘味料組成物を含むことを特徴とする、食卓用甘味料。
【請求項27】
前記食卓用甘味料は乾燥型食卓用甘味料であることを特徴とする、請求項26に記載の食卓用甘味料。
【請求項28】
前記食卓用甘味料は、錠剤、顆粒又は粉末であることを特徴とする、請求項27に記載の食卓用甘味料。
【請求項29】
前記甘味料組成物は、前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、97.5?99.2重量%のアルロース及び0.8?2.5重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項26?28のいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項30】
前記甘味料組成物は、前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、98.7重量%のアルロース及び1.3重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項26?28のうちいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項31】
前記甘味料組成物は、前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、98.87重量%のアルロース及び1.13重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項26?28のいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項32】
前記甘味料組成物は、前記組成物におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、97.68重量%のアルロース及び2.32重量%の果実抽出物を含むことを特徴とする、請求項26?28のいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項33】
前記食卓用甘味料は、1種以上の栄養甘味料を更に含むことを特徴とする、請求項26?32のいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項34】
前記栄養甘味料は、ショ糖、ブドウ糖、ブドウ糖シロップ、イソグルコース、果糖、ブドウ糖-果糖シロップ、マルトース、ラクトース、コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、転化糖、糖蜜、蜂蜜、及びアガベからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項33に記載の食卓用甘味料。
【請求項35】
前記栄養甘味料はショ糖であることを特徴とする、請求項34に記載の食卓用甘味料。
【請求項36】
前記食卓用甘味料の総重量を基準として、最大30重量%の栄養甘味料を含むことを特徴とする、請求項33?35のいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項37】
前記食卓用甘味料の総重量を基準として、26重量%の栄養甘味料を含むことを特徴とする、請求項36に記載の食卓用甘味料。
【請求項38】
前記食卓用甘味料は、高強度甘味料及び糖アルコールからなる群から選ばれる1種以上の共甘味料(co-sweetner)を更に含むことを特徴とする、請求項26?37のいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項39】
前記1種以上の共甘味料はステビア抽出物を含むことを特徴とする、請求項38に記載の食卓用甘味料。
【請求項40】
前記1種以上の共甘味料は、スクラロース、アスパルテーム、及びアセスルファムカリウムからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項38又は39に記載の食卓用甘味料。
【請求項41】
前記1種以上の共甘味料は、マルチトール、キシリトール、及びエリトリトールからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項38?40のいずれか一項に記載の食卓用甘味料。
【請求項42】
食品、飲料製品、医薬製品、栄養補助食品、スポーツ栄養食又は化粧品における、請求項1?18のいずれか一項に記載の甘味料組成物の使用。
【請求項43】
充填剤としての、請求項1?18のいずれか一項に記載の甘味料組成物の使用。
【請求項44】
コーティング剤としての、請求項1?18のいずれか一項に記載の甘味料組成物の使用。 」
(以下、請求項1に係る発明、請求項2に係る発明、……、請求項44に係る発明を、請求項順にそれぞれ、「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、……、「本件特許発明44」ともいう。)

3 申立理由の概要
特許異議申立人 アクシス国際特許業務法人は、以下の甲第1号証?甲第9号証を証拠として提出するとともに以下の参考資料1を提出し、請求項1?44に係る特許は、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである旨を主張し(申立理由1)、請求項1?44に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、取り消されるべきものである旨を主張する(申立理由2)。


甲第1号証:特許第4942001号公報
甲第2号証:特表2010-527611号公報
甲第3号証:特開2012-60897号公報
甲第4号証:特開2011-234652号公報
甲第5号証:特表2010-502213号公報
甲第6号証:国際公開第2008/142860号
甲第7号証:特開2008-37758号公報
甲第8号証:田口和子 他2名,“実用調味濃度レベルでの基本味質の混合効果”,名古屋文理短期大学紀要第13号(1988),1?15頁
甲第9号証:瓦家千代子,“調理と科学(10) 砂糖の調理”,生活衛生,1985,Vol.29-4,221?224頁
参考資料1:ニュースリリース「米国食品医薬品局(FDA)指針発表 希少糖の一種であるプシコース(英語名:アルロース)の米国栄養表示における糖類(Total Sugars)分類から除外 カロリー値は0.4kcal/g -2019年4月17日(日本時間4月18日)付FDA Draft Guidance-」,松谷化学工業株式会社/株式会社レアスウィート 広報東京事務局,2019年4月19日
(以下、「甲第1号証」、「甲第2号証」、…、「甲第8号証」を順に、「甲1」、「甲2」、…、「甲8」ともいう。)

4 甲1?甲9及び参考資料1の記載
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。
(記載事項1-1)
「【請求項1】
主成分として含有するD-プシコースと、糖アルコールおよび/または高甘味度甘味料からなる味質の改良されたD-プシコース含有低カロリー甘味料。
【請求項2】
前記糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトールおよびエリスリトールからなる群から選ばれる1種類以上の糖アルコールからなる請求項1のD-プシコース含有低カロリー甘味料。
【請求項3】
前記高甘味度甘味料が、アスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース(登録商標)、ステビア甘味料、ズルチン、タウマチン、ネオタームおよびモネリンからなる群から選ばれる1種類以上の高甘味度甘味料からなる請求項1または2のD-プシコース含有低カロリー甘味料。
【請求項4】
口腔内に清涼感を与える甘味料である請求項1、2または3のD-プシコース含有低カロリー甘味料。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の味質の改良されたD-プシコース含有低カロリー甘味料を使用して得られたことを特徴とする飲食品、その他甘味を付与された製品。」(請求項1?5)

(記載事項1-2)
「【0008】
そこで、本発明は、D-プシコースの持つ甘味の立ち上がりの遅さや多量使用による味の重たさ等の問題点を改良し、味質を変化させ、砂糖のように飲食物に広範囲に使用できる、味質の改良されたD-プシコース含有甘味料、特に低カロリー甘味料を提供することを目的とする。また、本発明は、D-プシコースの持つ甘味の立ち上がりの遅さや多量使用による味の重たさ等の問題点をD-プシコースの持つ清涼感を減らすことなく改良し、味質を変化させ、砂糖のように飲食物に広範囲に使用できる、味質の改良された清涼感のあるD-プシコース含有甘味料、特に低カロリー甘味料を提供することを目的とする。
また、本発明は、該味質の改良されたD-プシコース含有甘味料を用いて、嗜好性に優れた、かつカロリーを制限した飲食品、その他甘味を付与された製品を提供することを目的とする。」(段落0008)

(記載事項1-3)
「【0020】
本発明でいう高甘味度甘味料とは砂糖の数十倍から数百倍の甘味を持つ甘味料であり、アスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース(登録商標)、ステビア甘味料、ズルチン、タウマチン、ネオターム、モネリンなどが挙げられる。」(段落0020)

(記載事項1-4)
「【0021】
D-プシコース100部に対し、高甘味度甘味料の使用量は、0.008?5部が望ましい。この範囲では、前半の甘味の立ちと後半の甘味のバランスがよい。0.008部以下では、前半の甘味が物足りなく、5部以上では、高甘味度甘味料の苦味が出たり後甘味が強すぎ好ましくない。また、0.05?1.5部がより好ましい。」(段落0021)

(記載事項1-5)
「【0022】
さらに本発明でいう低カロリー甘味料の形態は、粉末、微粉、顆粒、結晶、錠剤等の固形物、水溶液、溶液などのいずれの形態でも良い。またこの製造方法についても特に制限されるものではない。さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、さらに別の甘味成分や呈味成分ではない増量剤や、担体等として使用するものを含有することができる。
また、D-プシコースと、糖アルコールおよびまたは高甘味度甘味料は、あらかじめ混合しても良いが、場合によれば、別々に添加しても良い。要は、最終飲食物などに、D-プシコースと、糖アルコールおよびまたは高甘味度甘味料が共存すれば良い。
また、本発明の低カロリー甘味料は、従来使用される甘味料と併用しても使用することができる。例えば、砂糖や果糖等のカロリーを有するものの一部代替として使用した場合、カロリー低下が図れるし、嗜好性により、他の甘味料との併用による甘味の多様化が図れる。」(段落0022)

(記載事項1-6)
「【0023】
さらに本発明は、上記の本発明の味質の改良されたD-プシコース含有甘味料、特に低カロリー甘味料および/または口腔内に清涼感を与える甘味料を使用して得られたことを特徴とする飲食品、その他甘味を付与された製品がある。」(段落0023)

(記載事項1-7)
「【0024】
本発明でいう飲食物とは、飲料、キャンディー、冷菓、ヨーグルト、チョコレートなど甘味を必要とする食品全般を言う。その他甘味を付与された製品には医薬品、口腔用組成物などの甘味を付与された製品を言う。」(段落0024)

(2)甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。
(記載事項2-1)
「【請求項1】
少なくとも1つの甘味料と、
以下の化学式を有するスルファメートを含む少なくとも1つの甘味増強剤とを含む、甘味組成物であり、
【化9】

式中、……、組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの甘味向上組成物をさらに含む、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの甘味増強剤および少なくとも1つの甘味料が、前記甘味料組成物の水溶液中に、10重量%ショ糖水溶液に相当する甘味強度を付与するのに十分な量存在する場合、前記少なくとも1つの甘味増強剤、前記少なくとも1つの甘味料、および任意で少なくとも1つの甘味向上組成物が、前記甘味料組成物の水溶液に約10mオスモル/L?約500mオスモル/Lのオスモル濃度を付与するのに有効な量で前記甘味料組成物中に存在する、請求項2に記載の甘味料組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの甘味向上組成物が、前記甘味料組成物に対し、前記少なくとも1つの甘味向上組成物を含まない前記少なくとも1つの甘味増強剤および前記少なくとも1つの甘味料の組み合わせよりも砂糖に似た風味プロファイルを付与する、請求項2に記載の甘味料組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの甘味料が、炭水化物甘味料、高甘味度甘味料、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の甘味料組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの高甘味度甘味料が、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア、ステビオシド、モグロシドIV、モグロシドV、Luo Han Guo甘味料、シアメノシド、モナチンおよびモナチン塩(モナチンSS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリシルリジン酸およびグリシルリジン酸塩、タウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン、フィロズルチン、グリシフィリン、フロリジン、トリロバチン、バイユノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドA、シクロカリオシドIおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される天然高甘味度甘味料を含む、請求項5に記載の甘味料組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムのカリウム塩または他の塩、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、チクロ、ネオテーム、N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)プロピル]-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン 1-メチルエステル、N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-メチルブチル]-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン 1-メチルエステル、N-[3-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロピル]-L-α-アスパルチル]-L-フェニルアラニン 1-メチルエステル、これらの塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される合成高甘味度甘味料を含む、請求項5に記載の甘味料組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つの甘味料が、ショ糖、フルクトース、グルコース、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、D-タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン、リブロース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノースまたはイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ソルボース、ニゲロオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルトオリゴ糖、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノース、リボース、異性化液糖(例えば、果糖ブドウ糖液糖、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖およびグルコースシロップ)からなる群から選択される炭水化物を含む、請求項5に記載の甘味料組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの甘味向上組成物が、炭水化物、ポリオール、アミノ酸および対応するアミノ酸塩、ポリアミノ酸および対応するポリアミノ酸塩、糖酸および対応する糖酸塩、有機酸、無機酸、有機塩、無機塩、苦味化合物、香味剤、収斂性化合物、ポリマー、タンパク質またはタンパク質加水分解物、界面活性剤、乳化剤、フラボノイド、アルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の甘味料組成物。」(請求項1?9)

(記載事項2-2)
「【0024】
本明細書に記載の実施形態で使用するのに適した他の甘味料としては、天然および合成の高甘味度甘味料が挙げられる。本明細書で使用する場合、句「天然高甘味度甘味料」、「NHPS」、「NHPS組成物」および「天然高甘味度甘味料組成物」は、同じ意味である。「NHPS」は、原料そのもの、抽出された形態、精製された形態または任意の他の形態であってもよい、ショ糖、フルクトースまたはグルコースよりも甘味強度が高く、カロリーが低いことを特徴とする、天然に存在する任意の1種類の甘味料またはこれらの組み合わせを意味する。本発明の実施形態に適したNHPSの非限定例としては、レバウジオシド(rebaudioside)A、レバウジオシドB、レバウジオシドC(ズルコシドB)、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア、ステビオシド、モグロシドIV、モグロシドV、Luo Han Guo甘味料、シアメノシド、モナチンおよびモナチン塩(モナチンSS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリシルリジン酸およびグリシルリジン酸塩、タウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン、フィロズルチン、グリシフィリン、フロリジン、トリロバチン、バイユノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシドI、ペリアンドリンI、アブルソシドAおよびシクロカリオシドIが挙げられる。」(段落0024)

(記載事項2-3)
「【0025】
ある実施形態では、NHPSの抽出物を任意の純度で使用することができる。別の実施形態では、NHPSを非抽出物として使用する場合、NHPSの純度は、例えば、約25%?約100%であり得る。他の実施形態によれば、NHPSの純度は、約50%?約100%、約70%?約100%、約80%?約100%、約90%?約100%、約95%?約100%、約95%?約99.5%、約96%?約100%、約97%?約100%、約98%?約100%および約99%?約100%であり得る。」(段落0025)

(記載事項2-4)
「【0027】
特定の純度のNHPS(例えば、レバウジオシドA)抽出物を得るために、粗抽出物を実質的に純粋な形態に精製することが必要な場合もある。このような方法は、一般的に当業者に知られている。」(段落0027)

(記載事項2-5)
「【0069】
一般的に、甘味を測定する方法は、サンプル10mLを口に入れ、サンプルを5秒間入れたままにし、サンプルを口の中でゆっくりと回転させ、5秒間で甘味強度を数値化し、サンプルを吐きだし(サンプルを吐きだした後に飲み込まない)、水を口いっぱいに含んでゆすぎ(例えば、マウスウォッシュを用いる場合、水を口の中で激しく移動させ)、ゆすぎ水を吐き出し、ゆすぎ水を吐き出した直後に感じた甘味強度を数値化し、45秒間待ち、45秒間待っている間に最大に甘味強度を感じた時間を特定し、その時点での甘味強度を数値化し(必要な場合、口を通常通りに動かし、飲み込み)、さらに10?15秒後に甘味強度を数値化し、さらに60秒後に甘味強度を数値化し(すすいだ後の累積時間は120秒)、さらに60秒経過後に甘味強度を数値化する(すすいだ後の累積時間は180秒)過程を含む。サンプルを変える毎に5分間の休憩をとり、水で口を十分にゆすぐ。」(段落0069)

(記載事項2-6)
「【0131】
ある実施形態では、少なくとも1つの甘味増強剤および少なくとも1つの甘味料を、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンおよびγ-シクロデキストリン)、マルトデキストリン(Fibersol-2商標のような難消化性マルトデキストリンを含む)、デキストラン、ショ糖、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノースまたはイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、ビートオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノースなど)、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ソルボース、ニゲロオリゴ糖、フコース、フルクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース 、ラムノース、リボース、異性化液糖(例えば、果糖ブドウ糖液糖(high fructose corn/starch syrup)(例えば、HFCS55、HFCS42またはHFCS90)、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖またはグルコースシロップから選択される、少なくとも1つの甘味を向上させる炭水化物添加物と組み合わせて含む甘味料組成物が提供される。」(段落0131)

(記載事項2-7)
「【0149】
別の実施形態では、少なくとも1つの甘味増強剤および少なくとも1つの甘味料を、少なくとも1つの甘味を向上させるヌクレオチド添加物および少なくとも1つの甘味を向上させる炭水化物添加物と組み合わせて含む甘味料組成物が提供される。ここで、少なくとも1つのヌクレオチド添加物は、イノシンモノホスフェート(IMP)、グアノシンモノホスフェート(GMP)、アデノシンモノホスフェート(AMP)、シトシンモノホスフェート(CMP)、ウラシルモノホスフェート(UMP)、イノシンジホスフェート、グアノシンジホスフェート、アデノシンジホスフェート、シトシンジホスフェート、ウラシルジホスフェート、イノシントリホスフェート、グアノシントリホスフェート、アデノシントリホスフェート、シトシントリホスフェート、ウラシルトリホスフェート、これらのヌクレオシド、核酸塩基または塩から選択され、少なくとも1つの炭水化物添加物は、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリンおよびγ-シクロデキストリン)、マルトデキストリン(Fibersol-2商標のような難消化性マルトデキストリンを含む)、デキストラン、ショ糖、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノースまたはイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、ビートオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノースなど)、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ソルボース、ニゲロオリゴ糖、フコース、フルクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース 、ラムノース、リボース、異性化液糖(例えば、果糖ブドウ糖液糖(high fructose corn/starch syrup)(例えば、HFCS55、HFCS42またはHFCS90)、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖またはグルコースシロップから選択される。」(段落0149)
(記載事項2-8)

(3)甲3の記載
甲3には、以下の記載がある。
(記載事項3-1)
「【請求項1】
羅漢果エキス(モグロシド)、及び少なくとも一種のエリスリトールを備えてなり、モグロシドVとエリスリトールとの配合割合は、50: 50及び0.1: 99.9の間にあることを特徴とする優れた砂糖代替組成物。」(請求項1)

(記載事項3-2)
「【請求項2】
羅漢果エキス(モグロシド)とは、羅漢果属 (Genus: Siraitia) 果実由来のエキス(モグロシド)をいい、次の複数の羅漢果エキス(モグロシド)には Siraitia grosvenorii, S. siamensis, S. silomaradjae, S. sikkimensis, S. africana, S. borneensis,又はS. taiwaniana. が含まれることを特徴とする請求項1に記載の優れた砂糖代替組成物。」(請求項2)

(記載事項3-3)
「【0005】
人々は、糖分摂取を控え、食物のグリセミック指数GI値を重要視するようになったため、砂糖代替物が多く使われている。砂糖代替物は一般的に、高強度甘味料と低強度甘味料に分かれるが、よく見られる高強度甘味料はたいてい人工合成甘味料で、例えば、アスパルテーム(Aspartame)、サッカリン(Saccharine)、スクラロース(Sucralose)、ネオテーム(Neotame)があり、天然の高強度甘味料は、ステビア(Stevia)と羅漢果エキス(モグロシド)があげられ、低強度甘味料でよく見られるのはショ糖、キシリトール(Xylitol)である。高強度甘味料は、甘味がショ糖と異なり、後味 (after taste) に常に苦みを伴い、なかなか消えず、食後に不快感を与えるのが主な問題点であり、また、人工合成の高強度甘味料は、体にマイナスな影響を与える恐れがあると懸念され、人々がそれを使用しようとしないこと、それに対して、ステビアは天然の高強度甘味料であるが、甘味がショ糖とかなり異なり、苦みを伴う後味、またそれが比較的に持続し、全体として甘味の品質がよくなく、近年、報道によると、ステビアは発がん性物質を含み、または不妊症を起こす恐れがあるということで、更に懸念されている。」(段落0005)

(記載事項3-4)
「【0006】
羅漢果エキス(モグロシド)の甘味は、ショ糖の甘味に極めて類似し、後味にやや苦味があり、甘草に似た漢方薬の味もあり、一部の使用者に、使用後の不快感を与えるおそれがある。文献によると、羅漢果は健康に良いものと言われており、また、東洋医学によると、肺を潤し熱をとり、腸を潤し、通便の効果があり、肺熱、燥咳、咽頭痛、声枯れ、大腸燥結、便秘がある場合に使用されるということ、また、中国人は羅漢果を摂取し始めてから、既に千年の歴史があり、健康にマイナスな影響を与える顕著な懸念もないということで安全性が高いと見られ、また、近年の研究によると、羅漢果は、抗酸化、ガン予防、抗ウィルスなどの効果があると発見されたという。」(段落0006)

(記載事項3-5)
「【0007】
羅漢果属 (Genus: Siraitia) の果実のモグロシドは、カロリーゼロ、GI値ゼロと発見された天然甘味料であり、羅漢果属には、Siraitia grosvenorii, S.siamensis, S.silomaradjae, S.sikkimensis, S.africana, S.borneensis,或いはS.taiwanianaなど各種の羅漢果が含まれ、Siraitia grosvenoriiの植物学名との同義語は更に、Momordica grosvenoriiとThladiantha grosvenoriiがある。羅漢果エキスのモグロシドはmogrosideV (モグロシドV), mogroside IV, siamenoside, 11-oxo-mogrosideVなどと同じように、いずれも高甘味度甘味料であり、その中、モグロシドV( MogrosideV, mogrol-3-O-(beta-D-glucopyranosyl(1-6)-beta-D-glucopyranoside)-24-O-((beta-D-glucopyranosyl(1-2))-(beta-D-glucopyranosyl(1-6))-beta-D-glucopyranoside)が主で、その甘味度はショ糖の400倍にもなるということだが、羅漢果エキスは食品に応用される場合、幾つかの問題点を解決する必要がある。一つは、後味にはわずかな苦味、また漢方薬の味を伴って、使用者の食感にだけではなく、市場への広がりにもマイナスな影響を及ぼすこと、もう一つは、羅漢果エキスの甘味度は、ショ糖の数百倍にもなるので、毎回の使用量が僅かでよいので、実際の商品に使用するとき、使用ニーズを満足させるために、あらかじめ希釈しなければならないこと、例えば、砂糖代替物の一回使用パックにする場合、適切な希釈剤で、適当な割合に配合する必要がある。」(段落0007)

(記載事項3-6)
「【0008】
エリスリトール又はエリトリトール(Erythritol) は、GI値ゼロ、カロリーがほとんどないのが特徴であり、健康に関心を持っている人々から注目を集めており、近年、高価格のクッキーや飲料、砂糖代替物パック、砂糖代替商品によく利用され、その機能性がアピールされている。エリスリトールは、口腔内細菌に利用されず、口腔や歯の健康を守り、果物や発酵物に存在しているが、その含有量が少ないということで、近年、ブトウ糖を発酵させ、エリスリトールを生成させようとしている。エリスリトールの甘味はショ糖の甘味によく似ていることが長所の一つであるが、甘味度がショ糖の0.7倍ぐらいで、甘味がすぐ消え、後味に収斂味が残されるのが欠点である。エリスリトールの主な欠点と言えば、ショ糖より値段が高く、甘味度が低くすぐ消えてしまい、後味に収斂味が残されるのが好ましくなく、水溶解度が低く、短時間内に過剰摂取すると、腹部の不快感や軽い下痢が起こる恐れがあることである。
【0009】
エリスリトールは水溶解度が約30%w/wのみなのに対して、ショ糖は、どんな割合でも水に溶けるが、エリスリトールが食品甘味料に使用されるとき、その溶解度と甘味度が限られ、十分な甘味度が供給できないという問題点があり、また、エリスリトールを砂糖代替物の一回使用パックにする場合、甘味度が低いため、大量を入れる必要がある。分量が多くなると、溶解しにくなり、溶解に時間がかかること、更に使用量が多くなると、使用者の腹部に不快感を起こす恐れがあること、いずれも、使用者がそれを受け入れる可能性を低下させることにつながる。これらの問題点を解決するため、エリスリトールを使用するとき、適当な高甘味度甘味料を配合するのが一つの解決策であり、当該高強度甘味料は健康増進のほかに、エリスリトールと共に1+1=2より大きな相乗作用(synergy)を得られれば望ましい。
【0010】
異種甘味料の間で相乗作用 (synergy)が生じる発見例は多くないが、エリスリトールは、アスパルテームとアセスルファムカリウムとの相乗作用 (synergy)が生じると発見され、すなわち、1+1=2より大きな甘味度の效果が得られ、甘味度が最大理論値の30%程度増加するということで、甘味料の使用量やコストの20%削減にもつながる。
【0011】
それを鑑みて、発明者は優れた砂糖代替組成物を発明した。天然の羅漢果エキス(モグロシド)、及び羅漢果エキス(モグロシド)との相乗作用(synergy)が生じる、甘味度増加、低GI値そして健康的なエリスリトールを採用し、それらを適当な割合で配合し、それを市販されているショ糖または人工甘味料の代わりに、食品、飲料、調味料、及び各種の食品添加物に必要とされる優れた甘味料に使用でき、体によく、現代人の食生活の向上にも役立つものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、優れた砂糖代替組成物を提供することを目的とし、該砂糖代替組成物は、羅漢果エキス(モグロシド)及び羅漢果エキス(モグロシド)の後味(苦味)を遮断し、羅漢果エキス(モグロシド)との相乗作用(synergy)が生じ、甘味度を増加させるエリスリトールを備えてなるものである。」(段落0008?段落0012)

(4)甲4の記載
甲4には、以下の記載がある。
(記載事項4-1)
「【請求項1】
モグロシド類の含有量が羅漢果抽出粉体の全体に対して50質量%以上である羅漢果抽出粉体を、粉末甘味料全体に対して0.4質量%?3質量%含有し、還元難消化性デキストリンを、粉末甘味料全体に対して75質量%?99.6質量%含有することを特徴とする粉末甘味料。
【請求項2】
モグロシド類の含有量が羅漢果抽出粉体の全体に対して50質量%以上である羅漢果抽出粉体と、還元難消化性デキストリンとからなることを特徴とする粉末甘味料。
【請求項3】
モグロシド類の含有量が羅漢果抽出粉体の全体に対して50質量%以上である羅漢果抽出粉体を、粉末甘味料全体に対して0.4質量%?3質量%含有し、還元難消化性デキストリンを、粉末甘味料全体に対して97質量%?99.6質量%含有する請求項2に記載の粉末甘味料。」(請求項1?3)

(記載事項4-2)
「【0005】
上記の粉末甘味料の内、羅漢果由来の天然甘味料は、液状のエキスや顆粒状で提供されており、単に甘味料というだけでなく、解熱、去たん、咳止等の効能を持つ生薬としても用いられている。本邦では、のど飴への使用が特に知られている。この羅漢果由来の甘味料が低カロリーなのは、一つには甘味度が砂糖の約300倍?約400倍と非常に高いために使用量が少なくて済むことと、甘味成分であるテルペン配糖体(モグロシド類)自体が腸から吸収されないのでエネルギー源として使用されないからである。」(段落0005)

(記載事項4-3)
「【0006】
しかしながら、以上のような有用性を持つ羅漢果由来の天然甘味料は、液状、顆粒状、粉体状の何れでも、その色調が褐色を呈しており、特に、従来の羅漢果抽出粉体の呈する褐色は、他の白色粉体に少量でも配合されると、砂糖の白色とはっきり区別できる程度に着色してしまう。すなわち、羅漢果抽出粉体は、甘味度が砂糖の約300倍?約400倍と非常に高いので、他の白色粉体に少量配合しただけで、砂糖と同等の甘みは達成されるが、それでも、砂糖の白色とは明確に区別できる程の淡黄色となってしまうので、砂糖代替品にはなり難かった。
【0007】
また、羅漢果抽出粉体は、独特の風味、焦げ味、苦味(以下、これらを総称して「雑味」と略記する)があるという問題点を有している。そのため、他の粉末甘味料と比較しても砂糖の代替品として優れているとは言えず、一般的に使用される粉末甘味料とはなっていない。」(段落0006?段落0007)

(記載事項4-4)
「【0031】
また、本発明の粉末甘味料は、
「モグロシド類の含有量が羅漢果抽出粉体の全体に対して50質量%以上である羅漢果抽出粉体」と、
還元難消化性デキストリンと
からなることを特徴としている。
以下、この粉末甘味料の発明を「態様2」とする。
【0032】
<態様1と態様2に共通>
ここで、「モグロシド類」とは、羅漢果果実から抽出される甘味成分中に含まれている砂糖の100倍以上の甘味度を有する(実際には、約300倍?約400倍の甘味度を有する場合がある)高甘味成分で、モグロシドVが主成分であり、その他にモグロシドIV、11-オキソ-モグロシドV、シアメノサイドI等を含んでいる。本発明の「モグロシド類」は、モグロシド類の任意の割合の混合物をも含む用語である。
【0033】
また、「羅漢果抽出粉体」とは、羅漢果の果実から抽出される成分全般を示す用語で、そのうち、甘味成分としては、上記モグロシド類以外に、D-グルコース、D-フルクトース等がある。しかしながら、甘味度は、D-グルコースが砂糖の0.7倍、D-フルクトースが砂糖の1.5倍と、モグロシド類に比べるとはるかに低いので、羅漢果抽出粉体の甘味の主成分は先のモグロシド類である。また、本発明の粉末甘味料に含有される羅漢果抽出粉体の場合、モグロシド類の含有量が、羅漢果抽出粉体の全体に対して50質量%以上と高いので、また、本発明の粉末甘味料全体に占める羅漢果抽出粉体の割合が小さいので、D-グルコースとD-フルクトースの存在はカロリー上無視することができる。
【0034】
上記したように、本発明に用いられる羅漢果抽出粉体は、モグロシド類を50質量%以上含んでいる。モグロシド類を50質量%以上含んでいることによって、甘味度を上げることができ、雑味がなくなり、甘味質も希釈した際に砂糖に近づけることができる。また、モグロシド類を50質量%以上含むように精製することによって、不純物の含有量が下がり、それによっても、雑味がなくなり、甘味質も希釈した際に砂糖に近づけることができ、白色の程度も上昇させることができる。以下、羅漢果抽出粉体の全体に対して、モグロシド類の含有量が50質量%以上である羅漢果抽出粉体を「特定羅漢果抽出粉体」と略記することがある。」(段落0031?段落0034)

(5)甲5の記載
甲5には、以下の記載がある。
(記載事項5-1)
「【請求項1】
乾燥重量基準で約16?75%のモグロシドV、約30?95%の全テルペン・グリコシドを含有する甘味組成物であって、固体含有量が1%w/vであるろ過(0.2μm)組成物水溶液の420nmにおける吸光度が約0.55以下である、甘味組成物。
【請求項2】
前記組成物中のテルペン・グリコシドは、ウリ科の果実から得られた天然に存在するテルペン・グリコシドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中のテルペン・グリコシドは、ラカンカ果実から得られたトリテルペン・グリコシドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の実質上全ての固体成分は、ラカンカ果実から得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
乾燥重量基準で約20?70%のモグロシドV、約40?90%の全テルペン・グリコシドを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
乾燥重量基準で約30?65%のモグロシドV、約50?85%の全テルペン・グリコシドを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
乾燥重量基準で約35?60%のモグロシドV、約55?85%の全テルペン・グリコシドを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
乾燥重量基準で約40?55%のモグロシドV、約60?80%の全テルペン・グリコシドを含有する、請求項1に記載の組成物。」(請求項1?8)

(記載事項5-2)
「【0004】
ラカンカ(Luo Han Guo)は、Siraitia grosvenorii(以前はMomordica grosvenoriiとして知られていた)の果実に属し、ウリ(Cucurbitaceae)科の一員である。ラカンカは、中国の南西地方、主として、Guangxi地域において成長する。それは、何百年もの間にわたって咳や肺鬱血を治療するための伝統的な漢方薬としての他、スープおよび茶中の甘味料および調味料としても栽培され用いられてきた。
【0005】
ラカンカおよびウリ科の他の果実は、モグロシドおよびシアメノシドとして知られるテルペン・グリコシドを含有しており、これらは、果実の肉質部の約1%のレベルで存在する。これらの化合物は、非特許文献1によって記載されおよび特徴付けられた。モグロシドは、1?6個のグルコース分子がトリテルペン骨格に付いた化合物である。最も豊富なモグロシドは、モグロシドVであり、このものは、重量基準で甘蔗糖の甘味の約250%の甘味を有することが推定された。」(段落0004?段落0005)

(記載事項5-3)
「【0014】
加工処理技術の進歩にもかかわらず、ラカンカ果実に由来する既存の甘味組成物は、依然として、茶色/黄色の着色および顕著な望みでない風味を有するという不利益を受ける。」(段落0014)

(記載事項5-4)
「【0060】
(本発明の甘味組成物)
上記の通り、本発明は、テルペン・グリコシドを含有する甘味組成物に関する。この組成物は、好ましくは、トリテルペン・グリコシド(モグロシドおよびシアメノシド)を含有するウリ科の果実、好ましくはラカンカ果実に由来する。本発明の甘味組成物は、少なくとも好ましい実施形態において、ラカンカに由来する既存の甘味組成物より清浄な風味およびより薄い着色を有する。
【0061】
次に、一つの態様において、本発明は、テルペン・グリコシドを含有する甘味組成物であって、固体含有量が1%w/vである0.2μmろ過組成物水溶液の420nmにおける吸光度が約0.55以下であるものに関する。本発明の甘味組成物中のテルペン・グリコシドの割合は、組成物が作られる果実源材料の天然の多様性に応じて変動し得る。本発明の組成物は、一般的に、乾燥重量基準で約16?75%のモグロシドV、約30?95%の全テルペン・グリコシドを含有する。
【0062】
所定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、乾燥重量基準で約35?60%のモグロシドV、約55?85%の全テルペン・グリコシドを含有し得る。
【0063】
上記に示されたように、本発明の固体含有量が1%w/vであるサブミクロン(0.2μm)ろ過組成物水溶液の420nmにおける吸光度は、約0.55以下である。420nmにおける吸光度は、組成物の色と相関し、吸光度が低い程、色はより薄くなる。また、本出願人らにより、420nmにおける吸光度は、組成物のカラメル化された、調理されたメープル味と相関し、吸光度が低くなる程、組成物の風味がより清浄になることが見出された。本発明の組成物は、黄色がかった白色?淡黄色の色、清浄な風味を有し、従来技術の組成物と関連する最小限の甘草および焼けたタイプのカラメルおよびメープルの風味を伴う。」(段落0060?段落0063)

(6)甲6の記載
甲6には以下の記載がある。
(記載事項6-1)


」(図2)

(7)甲7の記載
甲7には以下の記載がある。
(記載事項7-1)
「【0008】
天然素材の異味・特異臭への対策としては、一般に、香料等の添加により改良する方法や、砂糖や異性化糖などの糖類を用いて甘味を付与するとともに異味・特異臭をマスキングする方法、調味料や無機酸・有機酸を添加する方法などが採られている。」(段落0008)

(8)甲8の記載
甲8には、以下の記載がある。
(記載事項8-1)
「調理された食物の味は,基本的4原味(sweet-ness,saltiness,sourness,bitterness)の他,旨味,辛味,渋味,えぐ味が加わりさらに香りやその食物の持つ独特の味が加わって風味として賞味されるもので,極めて複雑なものである.単純化した2種類の基本味についてだけでも,混合することにより味を強める効果(対比効果)や味を弱める効果(抑制効果)の働くことが知られている.」(1頁左欄3?12行)

(9)甲9の記載
甲9には、以下の記載がある。
(記載事項9-1)
「1)甘味料
砂糖は甘味料の代表的なものであり,表2に示したように甘味度表示の基準とされる。ブドウ糖はショ糖より甘味は少ないが,ショ糖80?85%にブドウ糖20?15%加えるとショ糖だけより,甘味度はわずかに強くなるといわれる。砂糖は甘味料として飲み物,寄せ物,練り物,菓子類に使用されているが,一般的には紅茶,コーヒーなどの飲み物には5?10%,練りようかん40?60%,水ようかん20?30%,ミルクキャラメル75%位,アイスクリーム12?18%位,使用されている。このアイスクリームは砂糖濃度が少ない割には,かなり甘く感じる。これは,アイスクリームが冷たく,口の中ですぐ溶けることで,濃度以上に甘く感じるのではないかと考えられる。また調味料として,煮物,あえ物,酢の物などの味付けとして,鹹味,酸味,辛味,苦味などのどの味にも調理でき,調和味の種類を豊富にしている。」(222頁左欄11?26行)

(10)参考資料1の記載
参考資料1には、以下の記載がある。
(記載事項10-1)




5 甲1に記載された発明
記載事項1-1及び記載事項1-4から、甲1には
「D-プシコース100部と高甘味度甘味料0.008?5部からなる、味質の改良されたD-プシコース含有低カロリー甘味料」の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

6 当審の判断
(1)申立理由1
ア 本件特許発明1について
(ア)本件特許発明1と甲1発明との対比
甲1発明にいう「D-プシコース」は本件特許発明1にいう「アルロース」に相当する。そして、甲1発明における「D-プシコース」及び「高甘味度甘味料」の総重量を基準とした「D-プシコース」及び「高甘味度甘味料」の割合はそれぞれ、95.238?99.992重量%及び0.008?4.762重量%と算出される。
また、甲1発明にいう「低カロリー」は甲1発明の甘味料の性質を示すものであり、甲1発明の甘味料が「組成物」であることは明らかである。
すると、両者は
(一致点)
「アルロースを含む甘味料組成物」である点で一致し、
(相違点)
本件特許発明1は、アルロース及びウリ科植物の果実からの抽出物を含むものであって、本件特許発明1におけるアルロース及び果実抽出物の総重量を基準として、少なくとも97重量%のアルロース及び0.05重量%の果実抽出物を含み、その抽出物中には少なくとも1種のモグロシドを含み、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%である一方、
甲1発明では、アルロース及び高甘味度甘味料を含むものであって、甲1発明におけるアルロース及び高甘味度甘味料の総重量を基準として、アルロース95.238?99.992重量%及び高甘味度甘味料0.008?4.762重量%を含み、その高甘味度甘味料中に含まれる成分の種類及び含有量について特定されていない点で相違する。

(イ)申立理由1のうち新規性の検討
特許異議申立人は、「1種のモグロシドを含むウリ科植物の果実からの抽出物であり、該果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%である」である羅漢果抽出物は、甲3?甲5に記載されており、甲2にも示唆されており、本件出願前、天然の高甘味度甘味料としてすでに周知のものである。また、甲2には、プシコースとモグロシドIV、モグロシドVを含む甘味料が記載されているので、甲1発明の天然高甘味度甘味料に、上記羅漢果抽出物が包含されることは、自明のことであると述べて、相違点に係る事項は、甲1に記載されているに等しいことであると言うべきである旨を主張する(異議申立書31頁15?27行)。

しかし、甲1発明の高甘味度甘味料として、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを用いることは、甲1に記載されておらず、技術常識から明らかな事項でもないので、本件特許発明1と甲1発明との相違点は実質的な相違点である。
したがって、本件特許発明1は甲1発明ではない。

(ウ)申立理由1のうち進歩性の検討
特許異議申立人は、「1種のモグロシドを含むウリ科植物の果実からの抽出物であり、該果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%である」である羅漢果抽出物は、甲3?甲5に記載されており、甲2にも示唆されており、本件出願前、天然の高甘味度甘味料としてすでに周知のものである。また、甲2には、プシコースとモグロシドIV、モグロシドVを含む甘味料が記載されているので、甲1発明の天然高甘味度甘味料に、上記羅漢果抽出物が包含されることは、当業者であれば格別の創意工夫なく容易に想到し得たことである旨を主張するとともに(異議申立書31頁15?27行)、本件特許発明1の効果は格別顕著な効果とは言えない旨を主張する(異議申立書31頁28行?33頁7行)。

まず、甲1発明は、記載事項1-2に示されるとおり、アルロースが味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分であるところ、高甘味度甘味料をアルロースに対して特定の比率で用いることにより、それらの問題点を解決したものである。
一方、記載事項5-2及び記載事項5-4に示されるとおり、ラカンカ(羅漢果)はウリ科植物であり、記載事項3-5、記載事項4-4及び記載事項5-2には、ラカンカの果実にはモグロシドVを含むモグロシド類が含有されていることが記載されている。
また、記載事項2-1には、モグロシドIV及びモグロシドVが高甘味度甘味料として記載され、記載事項3-3及び記載事項3-5には、モグロシドであるラカンカエキスが高強度甘味料であることが記載され、記載事項4-2には、ラカンカ由来のモグロシド類を甘味成分とする甘味料は甘味度が砂糖の約300?400倍であることが記載され、記載事項4-4には、モグロシド類はラカンカ果実から抽出される甘味度が砂糖の100倍以上である高甘味成分で、その主成分はモグロシドVであり、他にモグロシドIV、11-オキソ-モグロシドV、シアメノサイドI等が含まれることが記載され、記載事項5-2には、ラカンカ果実及びウリ科の他の果実にはモグロシドおよびシアメノシドが含まれ、そのうち最も多いモグロシドはモグロシドVであり、その甘味度はショ糖の約250%であることが記載されている。
しかし、甲2には、特定の化学式を有するスルファメートを含む少なくとも1つの甘味増強剤とともに甘味組成物に含有する高甘味度甘味料の一例として、モグロシドIV及びモグロシドVが挙げられているものの(記載事項2-1、記載事項2-2)、甘味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分に対して、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを、特定の比率で用いることにより、それらの問題点を解決できることは記載されていない。
また、甲3には、モグロシドをエリスリトールと特定の比率で用いることにより、甘味度が低くすぐ消えてしまい、後味に収斂味が残されるなどのエリスリトールの問題点が解消できることが記載されているものの(記載事項3-6)、エリスリトールが甘味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分であることは記載されておらず、技術常識であるとすることもできない。そして、甲3には、甘味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分に対して、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを、特定の比率で用いることにより、それらの問題点を解決できることは記載されていない。
また、甲4には、ラカンカ由来の天然甘味料は、褐色で独特の雑味があるところ(記載事項4-3)、モグロシド類の含有量がラカンカ抽出粉体の全体に対して50質量%以上含むように精製することにより、雑味がなくなり、白色の程度も上昇させることができることが記載されているものの(記載事項4-4)、甘味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分に対して、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを、特定の比率で用いることにより、それらの問題点を解決できることは記載されていない。
また、甲5には、ラカンカ果実から得られた甘味組成物は着色および望まれない風味を有するところ(記載事項5-3)、乾燥重量基準で約16?75%のモグロシドV、約30?95%の全テルペン・グリコシドを含有するラカンカ果実などのウリ科の果実に由来する甘味組成物は、より清浄な風味およびより薄い着色を有することが記載されているものの(記載事項5-4)、甘味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分に対して、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを、特定の比率で用いることにより、それらの問題点を解決できることは記載されていない。
また、甲6?甲9にも、甘味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分に対して、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを、特定の比率で用いることにより、それらの問題点を解決できることは記載されていない。
また、甲1?甲9及び参考資料1の記載を検討しても、甘味の立ち上がりの遅さや味の重たさ等の問題点を有する甘味成分に対して、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを、特定の比率で用いることにより、それらの問題点を解決できることが、技術常識であるといえる根拠を見出すことはできない。
さらに、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものは、甲1に高甘味度甘味料の例として挙げられるアスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース(登録商標)、ステビア甘味料、ズルチン、タウマチン、ネオタームまたはモネリンと、アルロースを含む甘味料組成物に含有させた場合の甘味の立ち上がりや味の重たさ等に対する影響が同様であることが技術常識から明らかであるともいえない。

してみると、甲1発明における高甘味度甘味料として、ウリ科植物からの抽出物であってモグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であるものを採用することは、当業者が容易に想到し得たことではなく、上記相違点に係る発明特定事項は当業者が容易に想到し得たことではない。そして、本件特許発明1は、明細書の発明の詳細な説明(特に、段落0135?段落0156)の記載及び図面からみて、ショ糖と同等の味特性を有していながら且つ低カロリー又は無カロリーであって、異味又は異臭を持たず、経時的プロフィル及び食感を向上させるという当業者の予想し得ない効果を奏するものであると認められる。

したがって、本件特許発明1は、甲1発明及び甲1?甲9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(エ)小括
以上(ア)?(ウ)に説示したとおり、特許異議申立人の主張にもかかわらず、本件特許発明1は、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲1?甲9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

イ 本件特許発明2?44について
特許異議申立人は、本件特許発明2?44についても、本件特許発明1と同様の理由により、甲1発明である、あるいは甲1?甲5の記載から当業者が容易に発明し得たものである旨を主張する(特許異議申立書33頁11行?42頁15行)。

しかし、本件特許発明2?44はいずれも、本件特許発明1の全ての発明特定事項を含むものであるから、上記アで説示したとおり、本件特許発明1が、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲1?甲9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件特許発明2?44も、甲1発明ではなく、甲1発明及び甲1?甲9に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 申立理由1のむすび
特許異議申立人の主張する申立理由1には、理由がない。

(2)申立理由2
特許異議申立人は、本件特許発明1の「前記果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であり、」は、本願明細書段落【0078】の「本明細書の『モグロシド組成物』は、少なくとも1種のモグロシドを含む組成物を指す。」を参酌すると、モグロシドV、モグロシドIV、モグロシドVI、オキソモグロシドV、モグロシドIIIE、またはシアメノシドIの含有量が少なくとも50重量%であることを意味するから、モグロシド組成物として、PureFruit^(TM) Selectを用いた場合のみをもって、甘味の程度も味質も異なるモグロシドの種類にかかわらず、ショ糖と同等の味特性を有していながら且つ低カロリー又は無カロリーの甘味料組成物を提供できることは言えないことは明らかである旨を主張する(異議申立書45頁20行?46頁27行)。

まず、本件特許発明1?44の解決しようとする課題は、特許請求の範囲、明細書の発明の詳細な説明の記載及び図面(特に、明細書の発明の詳細な説明の段落0014の記載)からみて、ショ糖と同等の味特性を有していながら且つ低カロリー又は無カロリーの甘味料組成物を提供することであると認められる。

本件特許発明1?44は、
「前記少なくとも1種のモグロシドは、ウリ科植物の果実からの抽出物中のものであり、
前記果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であ」ることを発明特定事項としている。

記載事項4-4に「「モグロシド類」とは、羅漢果果実から抽出される甘味成分中に含まれている砂糖の100倍以上の甘味度を有する(実際には、約300倍?約400倍の甘味度を有する場合がある)高甘味成分で、モグロシドVが主成分であり、その他にモグロシドIV、11-オキソ-モグロシドV、シアメノサイドI等を含んでいる。本発明の「モグロシド類」は、モグロシド類の任意の割合の混合物をも含む用語である。」(段落0032)との記載があり、記載事項5-2に「ラカンカおよびウリ科の他の果実は、モグロシドおよびシアメノシドとして知られるテルペン・グリコシドを含有しており、これらは、果実の肉質部の約1%のレベルで存在する。これらの化合物は、非特許文献1によって記載されおよび特徴付けられた。モグロシドは、1?6個のグルコース分子がトリテルペン骨格に付いた化合物である。最も豊富なモグロシドは、モグロシドVであり、このものは、重量基準で甘蔗糖の甘味の約250%の甘味を有することが推定された。」(段落0005)との記載があり、記載事項5-4に「本発明の甘味組成物中のテルペン・グリコシドの割合は、組成物が作られる果実源材料の天然の多様性に応じて変動し得る。本発明の組成物は、一般的に、乾燥重量基準で約16?75%のモグロシドV、約30?95%の全テルペン・グリコシドを含有する。」(段落0061)との記載があることから、ウリ科植物の果実は天然物であるためにその抽出物中の各モグロシド成分割合は変動するものの、ウリ科植物の果実からの抽出物中のモグロシドにはモグロシドV及びモグロシドV以外のモグロシドが含まれること、モグロシドV以外のモグロシドも甘味成分として作用することが、技術常識であると認められる。
そして、記載事項4-4に「本発明に用いられる羅漢果抽出粉体は、モグロシド類を50質量%以上含んでいる。モグロシド類を50質量%以上含んでいることによって、甘味度を上げることができ、雑味がなくなり、甘味質も希釈した際に砂糖に近づけることができる。また、モグロシド類を50質量%以上含むように精製することによって、不純物の含有量が下がり、それによっても、雑味がなくなり、甘味質も希釈した際に砂糖に近づけることができ、白色の程度も上昇させることができる。」(段落0034)と記載されることにも示されるように、当業界においては、ウリ科植物の果実抽出物をそのモグロシド組成物の含有割合で特定することが行われており、しかも、その抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であれば、モグロシドVやその他のモグロシドの割合にかかわらず、当業者は同等物として認識すると認められる。

してみると、明細書の発明の詳細な説明の段落0134?0156において、
「前記少なくとも1種のモグロシドは、ウリ科植物の果実からの抽出物中のものであり、
前記果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であ」るものとして、Tate&Lyle社の市販製品の「PureFruit^(TM) Select」を用いた実施例1?3が記載され、本件特許発明1?44の課題を解決できることが示されていることから、発明の詳細な説明の記載に接した当業者は、
「前記少なくとも1種のモグロシドは、ウリ科植物の果実からの抽出物中のものであり、
前記果実抽出物は、果実抽出物の総重量を基準として、モグロシド組成物の含有量が少なくとも50重量%であ」ることを発明特定事項とする本件特許発明1?44が、その課題を解決できることを認識したといえる。

したがって、特許異議申立人の主張にもかかわらず、本件特許発明1?44が、発明の課題を解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとすることはできず、特許異議申立人の主張する申立理由2には、理由がない。

7 むすび
以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?44に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?44に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-10-23 
出願番号 特願2015-562330(P2015-562330)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A23L)
P 1 651・ 537- Y (A23L)
P 1 651・ 113- Y (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 柴原 直司  
特許庁審判長 佐々木 秀次
特許庁審判官 冨永 みどり
村上 騎見高
登録日 2018-12-28 
登録番号 特許第6457955号(P6457955)
権利者 テート アンド ライル テクノロジー リミテッド テート アンド ライル イングリーディエンツ アメリカズ エルエルシー
発明の名称 改善された甘味料  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
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