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審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  A63F
管理番号 1356849
異議申立番号 異議2019-700606  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-31 
確定日 2019-10-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第6469385号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6469385号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6469385号(以下、「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成26年8月21日に出願した特願2014-168359号であって、平成30年1月17日提出の手続補正書によって特許請求の範囲及び明細書の補正がなされ、同年7月19日提出の手続補正書によって特許請求の範囲及び明細書の補正がなされ、同年12月14日付けで特許査定がなされ、平成31年1月25日にその特許権の設定登録がなされ、同年2月13日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和1年7月31日付けで特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社は、特許異議の申立てを行った。

第2 本件発明
本件特許に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(A?Jは、特許異議申立人の主張を考慮して、当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 所定の遊技を行う遊技機であって、
B 所定事象および特定事象のいずれかの発生を検知する検知手段と、
C 前記検知手段により前記所定事象の発生が検知されたときに、予め設定された報知条件に基づいて所定情報を報知し、前記特定事象の発生が検知されたときに、前記報知条件に基づいて特定情報を報知する報知手段と、
D 前記報知条件を設定可能な設定手段と、
E 前記検知手段により前記所定事象が検知されたときに所定検知情報を記憶し、前記特定事象の発生が検知されたときに特定検知情報を記憶する記憶手段とを備え、
F 前記報知条件は、前記所定情報が報知される頻度が第1所定頻度となり、前記特定情報が報知される頻度が第1特定頻度となる第1報知条件と、前記所定情報が報知される頻度が前記第1所定頻度よりも高い第2所定頻度となり、前記特定情報が前記第1特定頻度よりも高い第2特定頻度となる第2報知条件とを含み、
G 前記第1報知条件および前記第2報知条件のいずれが設定されていても、前記所定検知情報が記憶される頻度は一定であるとともに前記特定検知情報が記憶される頻度は一定であり、
H 前記所定検知情報が記憶される頻度は、前記第2所定頻度よりも高く、
I 前記特定検知情報が記憶される頻度は、前記第2特定頻度よりも高い、
J 遊技機。」

第3 申立ての理由の概要
特許異議申立人は、特許異議申立書において、本件発明における発明特定事項H(「前記所定検知情報が記憶される頻度は、前記第2所定頻度よりも高く」)及び発明特定事項I(「前記特定検知情報が記憶される頻度は、前記第2特定頻度よりも高い」)は、本件特許の出願当初の明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下、「当初明細書等」という。)には記載されておらず、平成30年7月19日付け手続補正書でした補正(以下、「本件補正」という。)により初めて導入されたものであり、本件補正は新規事項の追加に該当し、本件特許は、特許法第17条の2第3項の規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してなされたものであるから、取り消されるべきものである旨主張している。

第4 新規事項について
1 当初明細書等の記載
(1)本件特許の願書に最初に添付した特許請求の範囲(以下、「当初特許請求の範囲」という。)には、以下のとおり記載がされている(a、b’?e’、h’、i’、jは、当審で付与した。)。
「【請求項1】
a 所定の遊技を行う遊技機であって、
b’ 所定事象の発生を検知する検知手段と、
c’ 前記検知手段により所定事象が検知されたときに、予め設定された頻度で特定情報を報知する報知手段と、
d’ 前記報知手段における特定情報の報知頻度を設定可能な設定手段と、
e’ 前記検知手段により所定事象が検知されたことを示す検知情報を記憶可能な記憶手段とを備え、
h’、i’ 前記記憶手段は、前記検知手段により所定事象が検知されたときに、前記設定手段によって設定されている報知頻度にかかわらず、前記設定手段により設定可能な最低の報知頻度よりも高い頻度で検知情報を記憶する、
j 遊技機。」

(2)また、本件特許の願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。なお、【0452】に「「HIレベル」に設定されたときには、図26のSp2eにおける異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が2になるとともに、図26のSp4およびSp13における異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が1になる。つまり、「LOWレベル」に設定されたときには、コマンド異常を2回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を検知したときにサブエラー報知が毎回行われる。」と記載されているが、【0451】に「「LOWレベル」に設定されたときには、・・・。つまり、「LOWレベル」に設定されたときには、コマンド異常を5回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を4回検知したときにサブエラー報知が1回行われる。」と記載され、【0454】に「また、通信エラーレベルをいずれに設定しても、コマンド異常を検知したときには2回に1回の頻度で履歴が残り、コマンド欠落を検知したときには毎回の頻度で履歴が残る。つまり、本実施の形態においては、通信エラーレベルをいずれに設定しても、異常を検知したときには、通信エラーレベルが最も高い「HIレベル」に設定したときの報知頻度と同じ頻度で記憶される。」と記載されているから、【0452】の「つまり、「LOWレベル」に設定されたときには、」は、「つまり、「HIレベル」に設定されたときには、」の誤記であると認めた。

ア「【0007】
(1) 所定の遊技を行う遊技機(たとえば、スロットマシン1、パチンコ遊技機700)であって、
所定事象(たとえば、メイン制御部41側の異常やサブ制御部91側の異常、スロットマシン1における変則押し、パチンコ遊技機700における左打ちや右打ち)の発生を検知する検知手段(たとえば、図26のSp2c、Sp3、Sp12)と、
前記検知手段により所定事象(たとえば、図35のサブエラー)が検知されたときに、予め設定された頻度で特定情報を報知する報知手段(たとえば、図32のサブエラー報知実行処理)と、
前記報知手段における特定情報の報知頻度を設定可能な設定手段(たとえば、図33、図38、図39)と、
前記検知手段により所定事象が検知されたことを示す検知情報(たとえば、通信エラーの発生を検知した情報)を記憶可能な記憶手段(たとえば、RAM41c、RAM91c)とを備え、
前記記憶手段は、前記検知手段により所定事象が検知されたときに、前記設定手段によって設定されている報知頻度にかかわらず、前記設定手段により設定可能な最低の報知頻度よりも高い頻度で検知情報を記憶する(たとえば、図33)。」

イ「【0368】
メンテナンスモードにおいて表示されたメニュー画面において、店員は、現在時刻の設定、メンテナンス履歴の表示、および通信エラーレベルの設定を行うことが可能である。本実施の形態においては、サブ制御部91側において、コマンド欠落、コマンド異常、ARTカウンタ値の異常、遊技カウンタ3コマンドを受信しない異常、遊技カウンタ3コマンドから特定される遊技カウント値と遊技カウンタ1コマンドから特定される遊技カウント値とが一致しない異常などの通信エラーが検知されたときにその旨がRAM91cの所定領域に記憶され、異常検知した履歴がメンテナンス履歴として表示される。」

ウ「【0449】
まず、通信エラーレベルについて説明する。図33に示すように、本実施の形態においては、通信エラーレベルとして、「ZEROレベル」と、「LOWレベル」と、「HIレベル」とが設けられている。
【0450】
「ZEROレベル」に設定されたときには、図26のSp2eにおける異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が無限になるとともに、図26のSp4およびSp13における異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が無限になる。つまり、「ZEROレベル」に設定されたときには、コマンド異常を検知してもサブエラー報知がされず、コマンド欠落を検知してもサブエラー報知がされない。
【0451】
「LOWレベル」に設定されたときには、図26のSp2eにおける異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が5になるとともに、図26のSp4およびSp13における異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が4になる。つまり、「LOWレベル」に設定されたときには、コマンド異常を5回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を4回検知したときにサブエラー報知が1回行われる。
【0452】
「HIレベル」に設定されたときには、図26のSp2eにおける異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が2になるとともに、図26のSp4およびSp13における異常回数判定カウンタの判定値(所定値)が1になる。つまり、「HIレベル」に設定されたときには、コマンド異常を2回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を検知したときにサブエラー報知が毎回行われる。
・・・
【0454】
また、通信エラーレベルをいずれに設定しても、コマンド異常を検知したときには2回に1回の頻度で履歴が残り、コマンド欠落を検知したときには毎回の頻度で履歴が残る。つまり、本実施の形態においては、通信エラーレベルをいずれに設定しても、異常を検知したときには、通信エラーレベルが最も高い「HIレベル」に設定したときの報知頻度と同じ頻度で記憶される。このため、たとえば、通信エラーレベルを「ZEROレベル」や「LOWレベル」に設定したときでも、異常を検知したときには、設定された報知頻度よりも高い頻度で異常を検知した旨が記憶される。これにより、通信エラーレベルを「ZEROレベル」や「LOWレベル」に設定したときでも、店員は、液晶表示器51に表示されたメンテナンス履歴を確認することで、後からでも異常が検知されたことを知ることができ、異常の発生を見逃してしまうことを防止できる。」

エ「【0508】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
・・・
【0521】
たとえば、設定可能な最高の報知頻度よりも高い頻度(たとえば、所定事象の発生を検知する度に毎回の頻度)で所定事象の発生を検知したことを記憶するものであってもよい。」

2 当審の判断
特許異議申立人は、本件発明における発明特定事項H及びIは、当初明細書等には記載されておらず、本件補正により初めて導入されたものであり、本件補正は新規事項の追加に該当する旨主張しているが、発明特定事項H及びIは、本件補正により補正された発明特定事項B?Gと密接に関連しているから、発明特定事項B?Iが当初明細書等に記載されているか(新規事項の追加に該当するか)検討することとする。

(1)発明特定事項Bについて
本件発明の発明特定事項Bは、「所定事象および特定事象のいずれかの発生を検知する検知手段と」であり、本件補正により、当初特許請求の範囲の発明特定事項b’の「所定事象」という記載を、「所定事象および特定事象のいずれか」に補正するものである。
また、【0007】には「前記記憶手段は、前記検知手段により所定事象が検知されたときに、前記設定手段によって設定されている報知頻度にかかわらず、前記設定手段により設定可能な最低の報知頻度よりも高い頻度で検知情報を記憶する(たとえば、図33)。」と記載され、【0452】には「つまり、「HIレベル」に設定されたときには、コマンド異常を2回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を検知したときにサブエラー報知が毎回行われる。」と記載されているから、「所定事象」は、「コマンド異常」と「コマンド欠落」であるといえる。また、本件補正により、当初明細書等の「所定事象(「コマンド異常」と「コマンド欠落」)」が、「所定事象(コマンド異常)」と「特定事象(コマンド欠落)」に分けられたといえるから、【0452】の「コマンド異常」及び「コマンド欠落」は、本件発明の「所定事象」及び「特定事象」に相当する。
以上のことから、本件発明の発明特定事項Bについては、当初明細書等に記載されている。

(2)発明特定事項Cについて
本件発明の発明特定事項Cは、「前記検知手段により前記所定事象の発生が検知されたときに、予め設定された報知条件に基づいて所定情報を報知し、前記特定事象の発生が検知されたときに、前記報知条件に基づいて特定情報を報知する報知手段と」であり、実質的な補正内容は、当初特許請求の範囲の発明特定事項b’の「所定事象」という記載を、「所定事象」と「特定事象」に分けると共に、「予め設定された頻度で」という記載を、「予め設定された報知条件に基づいて」に補正するものである。
また、【0451】には「「LOWレベル」に設定されたときには、コマンド異常を5回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を4回検知したときにサブエラー報知が1回行われる」と記載され、【0452】に記載された「「HIレベル」に設定されたときには、コマンド異常を2回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を検知したときにサブエラー報知が毎回行われる」と記載されている。このことから、【0451】及び【0452】の「「LOWレベル」に設定され」ること、及び「「HIレベル」に設定され」ることは、本件発明の「報知条件」に相当するといえるので、本件発明の発明特定事項Cについては、当初明細書等に記載されている。

(3)発明特定事項Dについて
本件発明の発明特定事項Dは、「前記報知条件を設定可能な設定手段と」であり、当初特許請求の範囲の発明の特定事項d’の「前記報知手段における特定情報の報知頻度」という記載を、「前記報知条件」に補正するものである。
上記「(2)発明特定事項Cについて」において既に検討したように、【0451】及び【0452】には、本件発明の「報知条件」について記載されているから、本件発明の発明特定事項Dについては、当初明細書等に記載されている。

(4)発明特定事項Eについて
本件発明の発明特定事項Eは、「前記検知手段により前記所定事象が検知されたときに所定検知情報を記憶し、前記特定事象の発生が検知されたときに特定検知情報を記憶する記憶手段とを備え」であり、実質的な補正内容は、当初特許請求の範囲の発明特定事項e’の「所定事象」という記載を、「所定事象」と「特定事象」に分けると共に、「所定事象」及び「特定事象」に対応する「検知情報」を、「所定検知情報」及び「特定検知情報」とするものである。
また、【0368】には「コマンド欠落、コマンド異常・・・などの通信エラーが検知されたときにその旨がRAM91cの所定領域に記憶され」と記載されているから、「コマンド欠落」「が検知された」「旨」の情報、及び「コマンド異常」「が検知された」「旨」の情報が、本件発明の「所定検知情報」、及び「特定検知情報」に相当する。
以上のことから、本件発明の発明特定事項Eについては、当初明細書等に記載されている。

(5)発明特定事項Fについて
本件発明の発明特定事項Fは、「前記報知条件は、前記所定情報が報知される頻度が第1所定頻度となり、前記特定情報が報知される頻度が第1特定頻度となる第1報知条件と、前記所定情報が報知される頻度が前記第1所定頻度よりも高い第2所定頻度となり、前記特定情報が前記第1特定頻度よりも高い第2特定頻度となる第2報知条件とを含み」である。
また、【0451】には「つまり、「LOWレベル」に設定されたときには、コマンド異常を5回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を4回検知したときにサブエラー報知が1回行われる。」と記載され、【0452】には「つまり、「HIレベル」に設定されたときには、コマンド異常を2回検知したときにサブエラー報知が1回行われ、コマンド欠落を検知したときにサブエラー報知が毎回行われる。」と記載されている。このことから、【0451】及び【0452】の「コマンド異常を5回検知したときにサブエラー報知が1回行われ」ること、「コマンド欠落を4回検知したときにサブエラー報知が1回行われる」こと、「「LOWレベル」に設定され」ること、「コマンド異常を2回検知したときにサブエラー報知が1回行われ」ること、「コマンド欠落を検知したときにサブエラー報知が毎回行われる」こと、「「HIレベル」に設定され」ることは、それぞれ、本件発明の「第1所定頻度」、「第1特定頻度」、「第1報知条件」、「第2所定頻度」、「第2特定頻度」、「第2報知条件」に相当する。
以上のことから、本件発明の発明特定事項Fについては、当初明細書等に記載されている。

(6)発明特定事項Gについて
本件発明の発明特定事項Gは、「前記第1報知条件および前記第2報知条件のいずれが設定されていても、前記所定検知情報が記憶される頻度は一定であるとともに前記特定検知情報が記憶される頻度は一定であり」である。
また、【0454】には「また、通信エラーレベルをいずれに設定しても、コマンド異常を検知したときには2回に1回の頻度で履歴が残り、コマンド欠落を検知したときには毎回の頻度で履歴が残る。つまり、本実施の形態においては、通信エラーレベルをいずれに設定しても、異常を検知したときには、通信エラーレベルが最も高い「HIレベル」に設定したときの報知頻度と同じ頻度で記憶される。」と記載されているから、本件発明の発明特定事項Gについては、当初明細書等に記載されている。

(7)発明特定事項H及びIについて
本件発明の発明特定事項Hは、「前記所定検知情報が記憶される頻度は、前記第2所定頻度よりも高く」であり、本件発明の発明特定事項Iは、「前記特定検知情報が記憶される頻度は、前記第2特定頻度よりも高い」であり、実質的な補正内容は、比較する報知頻度を、当初特許請求の範囲の発明特定事項h’、i’の「前記設定手段により設定可能な最低の報知頻度」から、「第2所定頻度」及び「第2特定頻度」に変更するものである。
また、【0454】には「また、通信エラーレベルをいずれに設定しても、コマンド異常を検知したときには2回に1回の頻度で履歴が残り、コマンド欠落を検知したときには毎回の頻度で履歴が残る。つまり、本実施の形態においては、通信エラーレベルをいずれに設定しても、異常を検知したときには、通信エラーレベルが最も高い「HIレベル」に設定したときの報知頻度と同じ頻度で記憶される。」と記載され、【0368】には「コマンド欠落、コマンド異常・・・などの通信エラーが検知されたときにその旨がRAM91cの所定領域に記憶され」と記載され、【0508】には「[変形例]」と記載され、【0521】には「たとえば、設定可能な最高の報知頻度よりも高い頻度(たとえば、所定事象の発生を検知する度に毎回の頻度)で所定事象の発生を検知したことを記憶するものであってもよい。」と記載されていると共に、「設定可能な最高の報知頻度」は「HIレベル」に設定したときの報知頻度であるといえる。これらのことから、【0368】、【0454】、【0508】、【0521】には、コマンド異常が検知された旨の情報(所定検知情報)が記憶される頻度は、「HIレベル」に設定したときにコマンド異常を検知したときの報知頻度(第2所定頻度)よりも高く、コマンド欠落が検知された旨の情報(特定検知情報)が記憶される頻度は、「HIレベル」に設定したときにコマンド欠落を検知したときの報知頻度(第2特定頻度)よりも高い構成にすることが記載されているといえる。
以上のことから、本件発明の発明特定事項H及びIについては、当初明細書等に記載されている。

(8)まとめ
したがって、発明特定事項H及びIを含む本件発明は、当初明細書等に記載されたものであり、発明特定事項H及びIを含む本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとすることはできない。

第5 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書6頁下から7行?7頁5行において、本件発明の発明特定事項Cの「前記検知手段により前記所定事象の発生が検知されたときに、予め設定された報知条件に基づいて所定情報を報知し、前記特定事象の発生が検知されたときに、前記報知条件に基づいて特定情報を報知する報知手段(下線は、特許異議申立人が付した。)」との記載から、本件発明では「報知条件」は、報知手段によって所定情報および/または特定情報を報知する条件であることは明らかであり、当初明細書の通信エラーレベルのうちの「ZEROレベル」は、報知されることはないので、報知されることを前提とした条件である本件発明の「報知条件」に該当しないから、本件発明の「報知条件」は、当初明細書の開示の範囲においては、「LOWレベル」または「HIレベル」のいずれかである旨主張している。
しかしながら、上記「第4」「2 当審の判断」における、(2)及び(5)にて既に検討したように、本件発明の「報知条件(第1報知条件、第2報知条件)」は、「「LOWレベル」に設定され」ること、及び「「HIレベル」に設定され」ることとして判断している。

更に、「ZEROレベル」に設定されること(「ZEROレベル」では、コマンド異常、コマンド欠落を検知しても報知されない。【0450】参照。)が本件発明の「報知条件」(第1報知条件。この場合、第2報知条件は、「LOWレベル」に設定されること。)に該当するかについても検討することとする。
本件発明の発明特定事項Fには「前記報知条件は、・・・第1報知条件と、・・・第2報知条件とを含み」と記載され、本件発明の発明特定事項Cには「予め設定された報知条件に基づいて所定情報を報知し、・・・前記報知条件に基づいて特定情報を報知する」と記載されているから、本件発明の発明特定事項Cにおける「報知条件」は、「第1報知条件」(「ZEROレベル」)と「第2報知条件」(「LOWレベル」)の両方が含まれるといえる。
また、「第2報知条件」(「LOWレベル」)の場合、【0451】に記載されているように、コマンド異常(所定事象)を5回検知したときに1回(第2所定頻度)、又はコマンド欠落(特定事象)を4回検知したときに1回(第2特定頻度)報知が行われるので、「第1報知条件」(「ZEROレベル」)と「第2報知条件」(「LOWレベル」)の両方を含む「報知条件」において、報知が行われるといえる。そして、「報知条件」の一部に報知頻度がゼロとなる設定が含まれていても、「予め設定された報知条件に基づいて所定情報を報知し、・・・前記報知条件に基づいて特定情報を報知する」(発明特定事項C)といえるから、「ZEROレベル」も本件発明の「報知条件」(第1報知条件)に該当するといえる。
したがって、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

次に、特許異議申立人は、特許異議申立書12頁12行?13頁18行において、本件発明は、当初明細書の【0005】?【0006】に記載されているように、「特許文献1に記載の遊技機においては、異常などの所定事象について、重要度が高いものを多く設定した場合、所定事象が発生する度にその旨が報知されることになり、度重なる報知によって遊技者に煩わしさを感じさせてしまう。一方、重要度が低いものを多く設定した場合、所定事象が発生しても報知されないことがあるため、店員が所定事象の発生を見逃してしまう虞があった。」「この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、遊技者に煩わしさを感じさせることなく所定事象の発生を報知できるとともに、所定事象の発生を見逃してしまうことを防止できる遊技機を提供すること」を課題とするが、「第1報知条件」に「ZEROレベル」を対応づけると、所定事象、特定事象の発生が検知されても報知されないため、店員がこれらの事象の発生を見逃してしまう虞があり、本件発明の課題が解決できない旨主張している。
しかしながら、上記「第4」「2 当審の判断」における、(2)及び(5)にて既に検討したように、本件発明の「報知条件(第1報知条件、第2報知条件)」は、「「LOWレベル」に設定され」ること、「「HIレベル」に設定され」ることとして判断しているから、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

第6 むすび
したがって、特許異議申立の理由によって、本件発明を取り消すことはできない。
また、他に本件発明を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-10-18 
出願番号 特願2014-168359(P2014-168359)
審決分類 P 1 651・ 55- Y (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安藤 達哉  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 瀬津 太朗
大谷 純
登録日 2019-01-25 
登録番号 特許第6469385号(P6469385)
権利者 株式会社三共
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  
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