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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H04L |
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管理番号 | 1357081 |
審判番号 | 訂正2019-390096 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2019-08-21 |
確定日 | 2019-10-21 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6320654号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6320654号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項14について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第6320654号(以下,「本件特許」という。)は,平成29年6月27日を国際出願日とする出願(特願2017-559903号)の請求項1ないし14に係る発明について,平成30年4月13日に特許権の設定登録がなされ,令和元年8月21日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正事項 本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第6320654号発明の特許請求の範囲を,本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,すなわち,下記第3の1のとおり訂正することを認める,との審決を求めるものである。 第3 訂正事項 1 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項14を 「優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理するコンピュータに、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上である通信装置の数を調査する調査処理と、 前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明する前は、前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明したら、前記減算時間を前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する期間指定処理とを実行させる管理プログラム。」 に訂正する(下線は,訂正箇所を示す。以下,「訂正事項1」という。) 第4 当審の判断 1 訂正の目的の適否について 訂正事項1は,本件訂正前の請求項14における,「送信待ちデータを保持している通信装置」を,「送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上である通信装置」及び「前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置」とするものであり,訂正前の「送信待ちデータを保持している通信装置」が,送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間について,基準時間以上である通信装置と,基準時間未満である通信装置が存在することは明らかであり,訂正事項1は,基準時間以上である通信装置に限定するものであるから,訂正事項1は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって,当該訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 2 訂正が本件特許明細書,特許請求の範囲または図面に記載したものであるか否かについて (1)願書に添付した明細書には,以下の記載がある。(下線は,当審で付与した。以下同じ。) ア 「【0010】 実施の形態1. ***構成の説明*** 図1は、本実施の形態に係る通信システムの構成例を示す。 本実施の形態に係る通信システムは、1台の通信親機101と、複数の通信子機102と、1台以上のスイッチングハブ103がイーサネットケーブルで接続されている。 通信親機101は、複数の通信子機102を管理する。 各通信子機102は、優先データと非優先データを通信親機101に送信する。優先データは、優先度の高いデータである。非優先データは、優先度が低いデータである。 各通信子機102から送信された優先データと非優先データはスイッチングハブ103で蓄積され、スイッチングハブ103から通信親機101に中継される。スイッチングハブ103は、汎用のスイッチングハブである。つまり、スイッチングハブ103は、優先データを送信するフェーズと非優先データを送信するフェーズとを切り替える機能を有しない。 通信親機101は各通信子機102から送信された優先データと非優先データをスイッチングハブ103から受信する。 【0011】 本実施の形態では、各通信子機102から通信親機101へのデータ送信は既定の通信サイクルに従って行われる。 各通信サイクルは、優先期間と非優先期間とに区別される。そして、非優先期間は、更に、送信許可期間と送信禁止期間に区別される。優先期間は、複数の通信子機102が優先データを送信するための期間である。非優先期間は、複数の通信子機102が非優先データを送信するための期間である。送信許可期間は、非優先データの送信が許可される期間である。送信禁止期間は、非優先データの送信が禁止される期間である。 本実施の形態では、通信サイクルn{優先期間→非優先期間(送信許可期間→送信禁止期間)}→通信サイクル(n+1){優先期間→非優先期間(送信許可期間→送信禁止期間)}という順序で、通信サイクルが進行する。つまり、各通信子機102は、優先期間において優先データをスイッチングハブ103に送信する。次に、各通信子機102は、送信許可期間において非優先データをスイッチングハブ103に送信する。その後、各通信子機102は、送信禁止期間の間、非優先データの送信を停止する。そして、再度、優先期間が到来すると、各通信子機102は、再度、優先データをスイッチングハブ103に送信する。 【0012】 本実施の形態では、送信禁止区間の間、通信子機102からの非優先データの送信が停止することで、スイッチングハブ103は、蓄積された非優先データの通信親機101への送信を送信禁止区間の間に完了することができる。このため、スイッチングハブ103に蓄積された非優先データによって優先データの送信が遅延するという事態を回避することができる。しかしながら、送信許可期間の長さと送信禁止期間の長さを固定的に設けると、各通信子機102における送信待ちの非優先データ(以下、送信待ちの非優先データを送信待ちデータという)の保持状況によっては、以下のような問題が生じる。例えば、送信待ちデータを保持する通信子機102の数が多い場合に送信許可期間を長くすると、スイッチングハブ103が蓄積された非優先データの送信を送信禁止期間の間に完了できない。この結果、優先データの送信が遅延することになる。一方、送信待ちデータを保持する通信子機102の数が少ない場合に送信許可期間を短くすると、スイッチングハブ103のよる非優先データの送信が早期に完了するため、通信子機102が非優先データが送信できない期間が必要以上に長くなる。このため、非優先データの送信効率が低下する。 本実施の形態では、通信親機101が、各通信子機102における送信待ちデータの保持状況に応じて、適切な送信許可期間の長さと送信禁止期間の長さを決定することで、優先データの送信を遅延させずに、非優先データの送信効率を向上させる。 【0013】 なお、通信親機101は、管理装置に相当する。また、通信親機101により行われる動作は、管理方法及び管理プログラムに相当する。 各通信子機102は、通信装置に相当する。また、スイッチングハブ103は、中継装置に相当する。 ・・・ 中 略 ・・・ 【0027】 ***動作の説明*** 次に、本実施の形態に係る通信親機101と通信子機102の動作を説明する。まず、通信親機101と通信子機102の基本的な動作を説明する。 【0028】 はじめに、通信親機101と通信子機102は時刻同期を行う。通信親機101と通信子機102は、例えば、IEEE1588規格などの従来の手法を用いて時刻同期を行う。 【0029】 次に、通信親機101は各通信子機102の通信遅延量を算出する。例えば、通信親機101は通信遅延を測定するための通信遅延測定データを各通信子機102に送信する。通信遅延測定データには、通信親機101の時計204で測定された送信時刻が示される。各通信子機102は通信遅延測定データを受信すると、時計404で受信時刻を測定する。そして、各通信子機102は、受信時刻が示される応答データを通信親機101に送信する。次に、通信親機101は、応答データを受信し、受信した応答データに示されるに示される受信時刻と通信遅延測定データの送信時刻の差から、通信子機102ごとに通信遅延量を算出する。通信親機101では、期間記憶部303が、算出された通信子機102ごとの通信遅延量と、通信遅延量が最大の通信子機102の識別子を記憶する。なお、通信遅延量が測定できない場合には、通信親機101のユーザが通信遅延量を設定してもよい。 【0030】 次に、通信親機101において、期間指定部302が、優先期間の長さと送信許可期間の長さと送信禁止期間の長さとを指定する。そして、期間記憶部303が、指定された優先期間の長さと送信許可期間の長さと送信禁止期間の長さを記憶する。 また、通知情報生成部305が、期間通知情報を生成し、通信部304が全ての通信子機102に期間通知情報をスイッチングハブ103を介して送信する。 【0031】 図6は、期間通知情報のフォーマット例を示す。 図6の例では、期間通知情報は、サイクル開始タイミング情報601と、通信サイクル情報602と、優先期間情報603と、送信許可期間情報604と、イーサヘッダ605と、CRC(Cyclic Redundancy Check)606とで構成される。 サイクル開始タイミング情報601は、通信子機102に通信サイクルの開始時刻を通知するための情報である。 通信サイクル情報602は、通信子機102に通信サイクルの長さを通知するための情報である。 優先期間情報603は、通信子機102に優先期間の長さを通知するための情報である。 送信許可期間情報604は、通信子機102に非優先期間内の送信許可期間の長さを通知する情報である。 イーサヘッダ605は、イーサネット(登録商標)方式におけるヘッダ情報である。 CRC606は、誤り検出のための符号である。 なお、非優先期間内の送信禁止期間の長さは通信サイクル情報602と、優先期間情報603と、送信許可期間情報604から各通信子機102において算出可能であるが、期間通知情報において送信禁止期間の長さを明示的に通知してもよい。 【0032】 ここで、サイクル開始タイミング情報601には、あらかじめ通信親機101に設定されている通信開始のオフセット値を開始時刻に加えて得られる値が記述される。 【0033】 通信サイクル情報602には、システム要求に応じた値が記述される。通信サイクル情報602の値は、通信親機101のユーザが予め設定しておく。 【0034】 優先期間情報603には、例えば、ユーザが優先データのデータ量を見積もって予め設定した値(優先期間の長さ)が記述される。なお、通信子機102から収集した優先データの予測データ量又は優先データの過去の実績データ量に基づいてユーザが優先期間の長さを設定してもよい。また、期間指定部302が優先データの予測データ量又は優先データの過去の実績データ量に基づいて優先期間の長さを算出してもよい。ただし、優先期間は通信サイクルを超えないものとする。 【0035】 送信待ちデータを保持する通信子機102の数が判明する前は、送信許可期間情報604には、期間指定部302が以下の式(1)により算出した送信許可期間の長さが記述される。 送信許可期間= (通信サイクル-優先期間-通信遅延量の最大値)/(通信子機数+1) 式(1) このように、送信待ちデータを保持する通信子機102の数が判明する前は、期間指定部302は、送信許可期間と送信禁止期間の合計時間(式(1)内の(通信サイクル-優先期間-通信遅延量の最大値))を通信子機102の数と付加数との合計数で除して得られる値を送信許可期間の長さに指定する。 式(1)において、「1」はスイッチングハブ103での中継処理に要する時間を考慮した付加数である。通信親機101と通信子機102との間にm(m≧1)段のスイッチングハブ103が存在する場合は、期間指定部302は、例えば、付加数として「m」を用いる。 式(1)は一例である。期間指定部302は、式(1)で得られた値の小数点以下を切り下げた値を送信許可期間の長さとしてもよい。また、期間指定部302は、通信親機101の動作クロックに応じて式(1)で得られた値を変更して送信許可期間の長さを決定してもよい。また、期間指定部302は、式(1)と異なる計算式により送信許可時間の長さを決定してもよい。ただし、(送信許可期間×(通信子機数+1))は非優先期間を超えてはならない。 また、送信禁止期期間の長さは、以下の式(2)により得られる。 送信禁止期間= (通信サイクル-優先期間-通信遅延量の最大値)-送信許可期間 式(2) 【0036】 送信待ちデータを保持する通信子機102の数が判明した後は、送信許可期間情報604には、期間指定部302が以下の式(3)により算出した送信許可期間の長さが記述される。 送信許可期間= (通信サイクル-優先期間-通信遅延量の最大値)/(送信待ちデータを保持する通信子機数+1) 式(3) このように、送信待ちデータを保持する通信子機102の数が判明した後は、期間指定部302は、送信許可期間と送信禁止期間の合計時間(式(3)内の(通信サイクル-優先期間-通信遅延量の最大値))を送信待ちデータを保持する通信子機102の数と付加数との合計数で除して得られる値を送信許可期間の長さに指定する。 式(1)と同様、「1」はスイッチングハブ103での中継処理に要する時間を考慮した付加数である。通信親機101と通信子機102との間にm(m≧1)段のスイッチングハブ103が存在する場合は、期間指定部302は、例えば、付加数として「m」を用いる。 式(3)は一例である。期間指定部302は、式(3)で得られた値の小数点以下を切り下げた値を送信許可期間の長さとしてもよい。また、期間指定部302は、通信親機101の動作クロックに応じて式(3)で得られた値を変更して送信許可期間の長さを決定してもよい。また、期間指定部302は、式(3)と異なる計算式により送信許可時間の長さを決定してもよい。ただし、(送信許可期間×(通信子機数+1))は非優先期間を超えてはならない。 また、送信禁止期期間は、前述の式(2)により得られる。 ・・・ 中 略 ・・・ 【0052】 ***実施の形態の効果の説明*** 以上のように、本実施の形態では、送信待ちデータの保持状況に基づいて適切な送信許可期間の長さと送信禁止期間の長さが動的に決定される。このため、本実施の形態によれば、送信許可期間に送信された非優先データの中継が送信禁止期間内に完了し、優先度の低い非優先データによって、優先度の高い優先データの送信が遅延する事態を回避することができる。また、本実施の形態によれば、非優先データの通信効率を向上することができる。」 イ 「【0053】 実施の形態2. 実施の形態1では、通信子機102が非優先データを保持しているか否かに基づいて、送信許可時間の長さと送信禁止期間の長さを指定している。本実施の形態では、通信親機101が、非優先データを保持している通信子機102における非優先データの保持量も用いて送信許可時間の長さと送信禁止期間の長さを指定する例を説明する。」 ウ 「【0054】 ***構成の説明*** 本実施の形態に係る通信システムの構成例は図1に示した通りである。 また、本実施の形態に係る通信親機101のハードウェア構成例は図2に示した通りである。 また、本実施の形態に係る通信親機101の機能構成例は図3に示した通りである。 また、本実施の形態に係る通信子機102のハードウェア構成例は図4に示した通りである。 また、本実施の形態に係る通信子機102の機能構成例は図5に示した通りである。 なお、以下では、主に実施の形態1との差異を説明する。以下で説明していない事項は実施の形態1に示したものと同じである。 【0055】 実施の形態1で述べたように、まず、各通信子機102において、期間管理部503が通知情報生成部501に非優先期間が到来したことを通知する。 通知情報生成部501は、通信部504に非優先データ(送信待ちデータ)の蓄積量を問い合わせる。通信部504は、通知情報生成部501に非優先データ(送信待ちデータ)の蓄積量を通知する。通知情報生成部501は、以下の式(5)により、送信予測時間を計算する。送信予測時間は、非優先データ(送信待ちデータ)の送信に要すると予測される時間である。 送信予測時間= {非優先データの蓄積バイト量+保持されているフレーム数×(イーサヘッダ長+CRC長))}/イーサネットの伝送速度 式(5) 式(5)において「非優先データの蓄積バイト量」は、通信部504により通知された非優先データ(送信待ちデータ)の蓄積量である。「保持されているフレーム数」は、送信バッファに保持されている非優先データ(送信待ちデータ)の数である。 【0056】 次に、通知情報生成部501は、送信予測時間と、基準時間である式(1)により算出された送信許可時間とを比較する。送信予測時間が送信許可期間よりも短い場合は、通知情報生成部501は、送信予測時間が送信許可期間よりも短いことを通知する非優先データ保持通知情報を生成する。 そして、通知情報生成部501は、非優先データ保持通知情報を通信部504を介して通信親機101に送信する。 送信予測時間が送信許可期間よりも短い場合は、通知情報生成部501は、期間更新判定部502に、通信親機101から送信許可期間が延長された期間通知情報を受信しても送信許可期間を延長しないよう指示する。 【0057】 通信親機101の調査部301は、通信部304から非優先データ保持通知情報を取得する。調査部301は、非優先データ保持通知情報を用いて、送信予測時間が送信許可時間以上である通信子機102の数を調査する。 そして、期間指定部302は、以下の式(6)にて送信許可期間の新たな長さを求める。 送信許可期間= (通信サイクル-優先期間-通信遅延量の最大値)/(送信予測時間が送信許可期間以上の通信子機数+1) 式(6) 式(6)により、期間指定部302は、式(1)で求めた送信許可期間の長さよりも長い送信許可期間の長さを得る。 なお、式(6)の計算で用いる通信遅延量の最大値は、送信予測時間が送信許可時間以上の通信子機102の通信遅延量の中での最大値である。 また、式(1)と同様、「1」はスイッチングハブ103での中継処理に要する時間を考慮した付加数である。通信親機101と通信子機102との間にm(m≧1)段のスイッチングハブ103が存在する場合は、期間指定部302は、例えば、付加数として「m」を用いる。 式(6)は一例である。期間指定部302は、式(6)で得られた値の小数点以下を切り下げた値を送信許可期間の長さとしてもよい。また、期間指定部302は、通信親機101の動作クロックに応じて式(6)で得られた値を変更して送信許可期間の長さを決定してもよい。また、期間指定部302は、式(6)と異なる計算式により送信許可時間の長さを決定してもよい。ただし、(送信許可期間×(通信子機数+1))は非優先期間を超えてはならない。 また、送信禁止期期間は、前述の式(2)により得られる。 以降の手順は実施の形態1に示した通りであるので、説明を省略する。 【0058】 以上のようにすることで、非優先データが少量蓄積されている通信子機が混在する場合においても送信許可期間を延長することができる。このため、本実施の形態によれば、非優先データの通信効率を向上することができる。」 (2) 上記(1)ウより,「実施の形態2.」として記載された発明は,「送信予測時間が送信許可時間以上である通信子機102の数を調査」しているから(段落【0057】),「前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上である通信装置の数を調査する調査処理」を行っていると認められる。 また,上記(1)アより,願書に添付した明細書には,「実施の形態1.」として, 「優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理するコンピュータに、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータを保持している通信装置の数を調査する調査処理と、 送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明する前は、前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明したら、前記減算時間を送信待ちデータを保持している通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する期間指定処理とを実行させる管理プログラム。」 の発明が記載されていると認められる。 そして,「実施の形態2.」として記載された発明は,上記(1)イに記載されているように「実施の形態2.」は,「実施の形態1.」の「通信子機102が非優先データを保持しているか否かに基づいて、送信許可時間の長さと送信禁止期間の長さを指定」することに代えて,「通信親機101が、非優先データを保持している通信子機102における非優先データの保持量も用いて送信許可時間の長さと送信禁止期間の長さを指定する」ものであり,「実施の形態2.」として記載された発明では,その指定は,上記(1)ウに記載されているように,式(6)により,送信許可期間を指定し,送信禁止期間は式(2)で指定するものであるから,「実施の形態2.」として記載された発明は, 「前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明したら、前記減算時間を前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する」 ことを行っていると認められる。 さらに,「実施の形態2.」として記載された発明は,「前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明する前は」,「実施の形態1.」として記載された発明と同様の「前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し」ていると認められる。 そうすると,訂正事項1で訂正された請求項14に記載された発明は,願書に添付した明細書の「実施の形態2.」として記載されていると認められる。 したがって,訂正事項1は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 3 訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し,または変更するものであるか否かについて 訂正事項1は,上記1で述べたとおり,本件訂正前の請求項14に記載された「送信待ちデータを保持している通信装置」について,「送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上である通信装置」及び「前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置」と限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,当該訂正事項1は,カテゴリーや対象,目的を変更するものではないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当せず,特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 4 訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて 訂正前の請求項14に記載された事項により特定された発明について特許を受けることができないとする理由を発見しない。 そして,上記1で検討したように,訂正後の請求項14に記載された事項により特定された発明は,訂正前の請求項14に記載された事項により特定された発明を減縮したものであるから,訂正前の請求項14に係る発明を更に減縮した,訂正後の請求項14に記載された事項により特定された発明も,特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正事項1は,特許法第126条第7項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおり,本件訂正審判の請求に係る訂正事項1は、同条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5?7項の規定に適合するものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理する管理装置であって、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータを保持している通信装置の数を調査する調査部と、 送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明する前は、前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明したら、前記減算時間を送信待ちデータを保持している通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する期間指定部とを有する管理装置。 【請求項2】 優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理する管理装置であって、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上である通信装置の数を調査する調査部と、 前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明する前は、通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明したら、前記減算時間を前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する期間指定部とを有する管理装置。 【請求項3】 前記管理装置は、1つ以上の中継装置を介して前記複数の通信装置と接続されており、 前記期間指定部は、 前記管理装置と前記複数の通信装置との間に介在する中継装置の数に応じた付加数を用いる請求項1又は2に記載の管理装置。 【請求項4】 前記期間指定部は、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況が判明したら、前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況に基づき、前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況が判明する前に指定された長さよりも長い送信許可期間の長さを新たに指定し、前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況が判明する前に指定された長さよりも短い送信禁止期間の長さを新たに指定する請求項1又は2に記載の管理装置。 【請求項5】 前記期間指定部は、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況が更新される度に、更新後の送信待ちデータの保持状況に基づき、前記送信許可期間の長さと前記送信禁止期間の長さを新たに指定する請求項1又は2に記載の管理装置。 【請求項6】 前記管理装置は、中継装置を介して前記複数の通信装置と接続されており、 前記期間指定部は、 送信待ちデータを保持している通信装置から前記送信許可期間の間に前記中継装置に送信された送信待ちデータの中継が前記中継装置において前記送信禁止期間の間に完了するように前記送信許可期間の長さと前記送信禁止期間の長さを指定する請求項1又は2に記載の管理装置。 【請求項7】 前記管理装置は、更に、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況が判明する前に前記期間指定部により指定された前記送信許可期間の長さを前記複数の通信装置に通知し、前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況が判明してから前記期間指定部により指定された前記送信許可期間の新たな長さを、少なくとも送信待ちデータを保持する通信装置に通知する通知部を有する請求項1又は2に記載の管理装置。 【請求項8】 前記期間指定部は、 n(n≧1)回目の通信サイクルでの前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況に基づき、(n+1)回目の通信サイクルでの前記送信許可期間の長さと前記送信禁止期間の長さを指定する請求項1又は2に記載の管理装置。 【請求項9】 複数の通信装置と、優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って前記複数の通信装置を管理する管理装置とを有する通信システムであって、 前記複数の通信装置は、 それぞれの送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータを保持しているか否かを前記管理装置に通知し、 前記管理装置は、 送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明する前は、前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明したら、前記減算時間を送信待ちデータを保持している通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する通信システム。 【請求項10】 複数の通信装置と、優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って前記複数の通信装置を管理する管理装置とを有する通信システムであって、 前記複数の通信装置は、 それぞれの送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上であるか否かを前記管理装置に通知し、 前記管理装置は、 前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明する前は、通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明したら、前記減算時間を前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する通信システム。 【請求項11】 優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理する管理方法であって、 コンピュータが、前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータを保持している通信装置の数を調査し、 前記コンピュータが、送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明する前は、前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明したら、前記減算時間を送信待ちデータを保持している通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する管理方法。 【請求項12】 優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理する管理方法であって、 コンピュータが、前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上である通信装置の数を調査し、 前記コンピュータが、前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明する前は、通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明したら、前記減算時間を前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する管理方法。 【請求項13】 優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理するコンピュータに、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータを保持している通信装置の数を調査する調査処理と、 送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明する前は、前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、送信待ちデータを保持している通信装置の数が判明したら、前記減算時間を送信待ちデータを保持している通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する期間指定処理とを実行させる管理プログラム。 【請求項14】 優先データが送信される期間である優先期間が含まれる通信サイクルに従って複数の通信装置を管理するコンピュータに、 前記複数の通信装置における送信待ちデータの保持状況として、送信待ちデータの送信に要すると予測される送信予測時間が基準時間以上である通信装置の数を調査する調査処理と、 前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明する前は、前記通信サイクルから前記優先期間及び前記複数の通信装置での通信遅延量の最大値を減じて得られる減算時間を前記複数の通信装置の数と既定の付加数との合計数で除して得られる値を、送信待ちデータの送信が許可される送信許可期間の長さに指定し、指定した前記送信許可期間の長さを前記減算時間から減じて得られる値を、送信待ちデータの送信が禁止される送信禁止期間の長さに指定し、前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数が判明したら、前記減算時間を前記送信予測時間が前記基準時間以上である通信装置の数と前記付加数との合計数で除して得られる値を前記送信許可期間の新たな長さに指定し、指定した前記送信許可期間の新たな長さを前記減算時間から減じて得られる値を前記送信禁止期間の新たな長さに指定する期間指定処理とを実行させる管理プログラム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2019-09-18 |
結審通知日 | 2019-09-24 |
審決日 | 2019-10-07 |
出願番号 | 特願2017-559903(P2017-559903) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(H04L)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上田 翔太 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
小田 浩 梶尾 誠哉 |
登録日 | 2018-04-13 |
登録番号 | 特許第6320654号(P6320654) |
発明の名称 | 管理装置、通信システム、管理方法及び管理プログラム |
代理人 | 溝井国際特許業務法人 |
代理人 | 溝井国際特許業務法人 |