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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C09K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C09K
管理番号 1357198
審判番号 不服2018-12312  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-13 
確定日 2019-11-13 
事件の表示 特願2016-180006「液晶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日出願公開、特開2017- 48394〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成24年3月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成23年3月29日、独国)を国際出願日とする特願2014-501467号の一部を、平成28年9月14日に新たな特許出願としたものであって、以降の手続の経緯は、概略以下のとおりのものである。

平成28年10月13日 :手続補正書
平成29年10月11日付け:拒絶理由通知書
平成30年 4月 5日 :手続補正書・意見書
平成30年 5月10日付け:拒絶査定
平成30年 9月13日 :審判請求書・手続補正書
平成30年10月 5日付け:前置報告


第2 平成30年9月13日付け手続補正についての補正の却下の決定

1 補正の却下の決定の結論
平成30年9月13日付け手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。

2 理由
(1) 補正の内容
ア 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正は、特許請求の範囲の全文を補正するものであり、そのうち、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりとなった(下線部は、補正箇所である)。
「【請求項1】
式I-1、I-13、I-73およびI-85からなる群より選ばれる1種以上の化合物、および
式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2からなる群より選ばれる2種以上の化合物
を含み、
ただし式HN、CYCC、YY、CR、AY、FEFおよびPPの化合物の群から選択する少なくとも1種類の化合物を含むものを除き、
ただし液晶媒体は、式I-145、I-13^(*)、I-151、I-85^(*)、IIB-11^(*)、IIB-12^(*)、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物も含まない
ことを特徴とする極性化合物の混合物を基礎とする液晶媒体。
【化1】

(式中、alkylおよびalkyl^(*)は、それぞれ互いに独立に、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、
alkoxyは、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルコキシ基を表す。)
【化2】

(式中、alkylおよびalkyl^(*)は、それぞれ互いに独立に、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。)
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

(式中、
alkenylは、2?6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、
alkyl^(*)は、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、および
alkoxyは、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルコキシ基を表す。)」

イ 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の、平成30年4月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
式I-1、I-13、I-73およびI-85からなる群より選ばれる1種以上の化合物、および
式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2からなる群より選ばれる2種以上の化合物
を含み、
ただし式HN、CYCC、YY、CR、AY、FEFおよびPPの化合物の群から選択する少なくとも1種類の化合物を含むものを除く、
ことを特徴とする極性化合物の混合物を基礎とする液晶媒体。
【化1】

(式中、alkylおよびalkyl^(*)は、それぞれ互いに独立に、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、
alkoxyは、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルコキシ基を表す。)
【化2】

(式中、alkylおよびalkyl^(*)は、それぞれ互いに独立に、1?6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。)
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】



(2) 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に係る発明の液晶媒体について、上記のとおり「ただし液晶媒体は、式I-145、I-13^(*)、I-151、I-85^(*)、IIB-11^(*)、IIB-12^(*)、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物も含まない」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に係る発明と、補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について検討する。

ア 本件補正発明
本件補正発明は、上記「第2 2(1)ア」に示した請求項1により特定されるとおりのものである。

イ 引用刊行物
1.国際公開第2011/024666号(拒絶査定における引用文献4)
(以下、本願優先日前に頒布された当該刊行物1を、「引用例1」という)

ウ 引用例1の記載
引用例1には、次の記載がある。

a 「【請求項1】
第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そして負の誘電率異方性を有する液晶組成物。

ここで、R^(1)およびR^(2)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;mは1または2である。
【請求項2】
液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の割合が5重量%から60重量%の範囲であり、そして第二成分の割合が5重量%から40重量%の範囲である請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも一つの化合物をさらに含有する、請求項1または2に記載の液晶組成物。

ここで、R^(3)およびR^(4)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環A、環B、および環Cは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、または2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレンであり;Z^(1)は独立して、単結合、エチレン、またはカルボニルオキシであり;jは、0、1、または2である。
・・・(中略)・・・
【請求項9】
液晶組成物の全重量に基づいて、第三成分の割合が20重量%から70重量%の範囲である請求項3から8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項10】
第四成分として式(4-1)および式(4-2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の液晶組成物。

ここで、R^(1)およびR^(2)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環Dおよび環Eは独立して、1,4-シクロへキシレン、または1,4-フェニレンであり;Z^(2)およびZ^(3)は独立して、単結合、エチレン、メチレンオキシ、またはカルボニルオキシであり;X^(1)およびX^(2)は独立して、フッ素または塩素であり;kは、1、2、または3であり;pおよびqは独立して、0、1、2、または3であり、そしてpとqとの和が3以下である。
・・・(中略)・・・
【請求項15】
液晶組成物の全重量に基づいて、第四成分の割合が5重量%から40重量%の範囲である請求項10から14のいずれか1項に記載の液晶組成物。
・・・(中略)・・・
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【請求項18】
液晶表示素子の動作モードが、VAモード、IPSモード、またはPSAモードであり、液晶表示素子の駆動方式がアクティブマトリックス方式である請求項17に記載の液晶表示素子。」(請求項1?3、9、10、15、17、18)

b 「【発明の効果】
【0011】
本発明の長所は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物である。本発明の1つの側面は、少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。別の側面は、このような組成物を含有する液晶表示素子である。他の側面は、適切な光学異方性、負に大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性などを有する組成物であり、そして短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子である。」(段落0011)

c 「【0035】
第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の液晶性化合物、添加物、不純物などをさらに含有してもよい。・・・(中略)・・・添加物は、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合可能な化合物、重合開始剤などである。
・・・(中略)・・・
【0037】
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、0(ゼロ)は、値がほぼゼロであることを意味する。
【0038】

【0039】
成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は誘電率異方性の絶対値を上げる。化合物(2)は光学異方性を上げ、そして誘電率異方性の絶対値を上げる。化合物(3)は粘度を下げるまたは上限温度を上げる。化合物(4-1)および化合物(4-2)は誘電率異方性の絶対値を上げ、そして下限温度を下げる。」(段落0035、0037?0039)

d 「【0054】
第五に、成分化合物の具体的な例を示す。下記の好ましい化合物において、R^(5)は、炭素数1から12を有する直鎖のアルキルまたは炭素数1から12を有する直鎖のアルコキシである。R^(6)およびR^(7)は独立して、炭素数1から12を有する直鎖のアルキルまたは炭素数2から12を有する直鎖のアルケニルである。R^(8)は、炭素数2から12を有する直鎖のアルケニルである。
・・・(中略)・・・
【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

」(段落0054、0056?0059)

e 「【0089】
実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。
表3において、1,4-シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(-)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)であり、液晶組成物には不純物が含まれている。最後に、組成物の特性値をまとめた。
【0090】

・・・(中略)・・・
【0104】
[実施例8]
3-H1OB(2F,3F)-O4 (1-1) 5%
3-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2) 6%
5-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2) 6%
3-HBB(2F,3F)-O2 (2-1) 10%
5-HBB(2F,3F)-O2 (2-1) 9%
2-HH-3 (3-1) 28%
5-HB-O2 (3-2-1) 5%
V2-BB-1 (3-3-1) 5%
3-HHB-O1 (3-5-1) 4%
3-HBB-2 (3-6-1) 4%
V-HB(2F,3F)-O2 (4-1-1-1) 5%
V-HB(2F,3F)-O4 (4-1-1-1) 5%
V2-HHB(2F,3F)-O2 (4-1-2-1) 5%
3-HHB(2F,3Cl)-O2 (4-1) 3%
NI=79.9℃;Tc≦-20℃;Δn=0.093;η=10.3mPa・s;Δε=-2.7;Vth=2.63V;τ=8.5ms;VHR-1=99.0%;VHR-2=98.0%;VHR-3=98.2%.」(段落0089、0090、0104)

エ 引用例1に記載された発明
引用例1の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項3を引用する請求項9を引用する請求項10を引用する請求項15には、「第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第四成分として式(4-1)および式(4-2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の割合が5重量%から60重量%の範囲であり、第二成分の割合が5重量%から40重量%の範囲であり、第三成分の割合が20重量%から70重量%の範囲であり、第四成分の割合が5重量%から40重量%の範囲であり、負の誘電率異方性を有する液晶組成物」の発明(以下、「引用例1発明1」という)が記載されているものと認められる。
また、引用例1には当該発明の実施例として「3-H1OB(2F,3F)-O4 (1-1)5重量%、3-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)6重量%、5-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)6重量%、3-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)10重量%、5-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)9重量%、2-HH-3 (3-1)28重量%、5-HB-O2 (3-2-1)5重量%、V2-BB-1 (3-3-1)5重量%、3-HHB-O1 (3-5-1)4重量%、3-HBB-2 (3-6-1)4重量%、V-HB(2F,3F)-O2 (4-1-1-1)5重量%、V-HB(2F,3F)-O4 (4-1-1-1)5重量%、V2-HHB(2F,3F)-O2 (4-1-2-1)5重量%、3-HHB(2F,3Cl)-O2 (4-1)3重量%の液晶組成物」の発明(摘記事項eの実施例8。以下、「引用例1発明2」という)が記載されているものと認められる。

オ 対比・判断
a 本件補正発明と引用例1発明2との対比
引用例1発明2の「3-H1OB(2F,3F)-O4 (1-1)」は、引用例1の段落0056(摘記事項d)の式(1-1)の化合物に相当し、R^(6)がプロピル基、R^(5)がブトキシ基の化合物であるから、本件補正発明の式I-1の化合物であって、alkylがプロピル基、alkoxyがブトキシ基であるものに相当し、「3-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」、および「5-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」は、いずれも引用例1の段落0056(摘記事項d)の式(1-2)の化合物に相当し、それぞれ、R^(6)がプロピル基、R^(5)がエトキシ基の化合物、およびR^(6)がペンチル基、R^(5)がエトキシ基の化合物であるから、いずれも本件補正発明の式I-73の化合物であって、それぞれ、alkylがプロピル基、alkoxyがエトキシ基であるもの、およびalkylがペンチル基、alkoxyがエトキシ基であるものに相当する。よって、引用例1発明2には、「式I-1、I-13、I-73およびI-85からなる群より選ばれる」「1種以上の化合物」が存在する。
また、引用例1発明2の「3-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」、および「5-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」は、いずれも引用例1の段落0057(摘記事項d)の式(2-1)の化合物に相当し、それぞれ、R^(6)がプロピル基、R^(5)がエトキシ基の化合物、およびR^(6)がペンチル基、R^(5)がエトキシ基の化合物であるから、いずれも本件補正発明の式IIB-2の化合物であって、それぞれ、alkylがプロピル基、alkoxyがエトキシ基であるもの、およびalkylがペンチル基、alkoxyがエトキシ基であるものに相当する。よって、引用例1発明2には「式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2からなる群より選ばれる」「2種以上の化合物」が存在する。
そして、引用例1発明2は、本件補正発明の「式HN、CYCC、YY、CR、AY、FEFおよびPPの化合物の群から選択する少なくとも1種類の化合物」を含んでおらず、「式I-145、I-13*、I-151、I-85*、IIB-11*、IIB-12*、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物」も含まないことは明らかである。たとえば、本件補正発明の式AYの化合物は、少なくとも1つの環Aが1-ピラン-2,5-ジイルであるところ、引用例1発明2は、1-ピラン-2,5-ジイルである環構造を有する化合物を含んでいない。
さらに、引用例1発明2の「3-H1OB(2F,3F)-O4 (1-1)」、「3-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」、「5-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」、「3-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」、および「5-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」はいずれも上記のとおりであり、また、「V-HB(2F,3F)-O2 (4-1-1-1)」、および「V-HB(2F,3F)-O4 (4-1-1-1)」は、いずれも引用例1の段落0059(摘記事項d)の式(4-1-1-1)の化合物に相当し、それぞれ、R^(6)がビニル基、R^(5)がエトキシ基の化合物、およびR^(6)がビニル基、R^(5)がブトキシ基の化合物であり、「V2-HHB(2F,3F)-O2 (4-1-2-1)」は、引用例1の段落0059(摘記事項d)の式(4-1-2-1)の化合物に相当し、R^(6)が3-ブテニル基、R^(5)がエトキシ基の化合物であり、「3-HHB(2F,3Cl)-O2 (4-1)」は、引用例1の請求項10(摘記事項a)の式(4-1)の化合物に相当し、R^(1)がプロピル基、kが2、X^(1)がF、X^(2)がCl、R^(5)がエトキシ基の化合物である。すなわち、それら化合物は置換基としてフッ素又は塩素を有するから、「極性化合物」に相当し、引用例1発明2の液晶組成物はそれら化合物の混合物を有意の量含むから、「極性化合物の混合物を基礎とする」ものと認められる。また、引用例1発明2の「液晶組成物」は本件補正発明の「液晶媒体」に相当する。
してみると、本件補正発明と引用例1発明2とは、
「式I-1、I-13、I-73およびI-85からなる群より選ばれる1種以上の化合物、および式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2からなる群より選ばれる2種以上の化合物を含み、ただし式HN、CYCC、YY、CR、AY、FEFおよびPPの化合物の群から選択する少なくとも1種類の化合物を含むものを除き、ただし液晶媒体は、式I-145、I-13^(*)、I-151、I-85^(*)、IIB-11^(*)、IIB-12^(*)、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物も含まない、ことを特徴とする極性化合物の混合物を基礎とする液晶媒体。」
である点において一致し、相違するところがない。
したがって、本件補正発明は、引用例1に記載された発明である。

b 本件補正発明と引用例1発明1との対比
引用例1発明1の「第一成分として式(1)で表される化合物」は、その定義からみて、本件補正発明における「式I-1の化合物」、「式I-13の化合物」、「式I-73の化合物」、「式I-85の化合物」を包含している。
引用例1発明1の「第二成分として式(2)で表される化合物」は、その定義からみて、本件補正発明における「式IIB-1の化合物」、「式IIB-2の化合物」を包含している。
引用例1発明1の「第四成分として式(4-2)で表される化合物」は、本件補正発明において含有しないとされている「式CRの化合物」に相当する。
引用例1発明1の「第三成分として式(3)で表される化合物」は、その定義からみて、本件補正発明において含有しないとされている「式PPの化合物」を包含し、引用例1発明1の「第一成分として式(1)で表される化合物」は、その定義からみて、本件補正発明において含有しないとされている「式I-145の化合物」、「式I-13^(*)の化合物」、「式I-151の化合物」、「式I-85^(*)の化合物」を包含し、引用例1発明1の「第二成分として式(2)で表される化合物」は、その定義からみて、本件補正発明において含有しないとされている「式IIB-15の化合物」、「式IIB-16の化合物」を包含している。
引用例1発明の「第一成分として式(1)で表される化合物」、「第二成分として式(2)で表される化合物」および「第四成分として式(4-1)および式(4-2)で表される化合物」はいずれも、置換基としてフッ素又は塩素を有するから、「極性化合物」に相当し、それら化合物の混合物を有意の量含む引用例1発明の液晶組成物は、「極性化合物の混合物を基礎とする」ものと認められる。また、引用例1発明1の、「液晶組成物」は本件補正発明の「液晶媒体」に相当する。
してみると、本件補正発明と引用例1発明1とは、
「極性化合物の混合物を基礎とする液晶媒体。」
である点において一致し、以下の点において相違が認められる。

(相違点1)
本件補正発明は「式I-1、I-13、I-73およびI-85からなる群より選ばれる1種以上の化合物」を含むのに対し、引用例1発明1は「第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」を含む点
(相違点2)
本件補正発明は「式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2からなる群より選ばれる2種以上の化合物を含」むのに対し、引用例1発明1は「第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物」を含む点
(相違点3)
本件補正発明は「式HN、CYCC、YY、CR、AY、FEFおよびPPの化合物の群から選択する少なくとも1種類の化合物を含」まず、「式I-145、I-13^(*)、I-151、I-85^(*)、IIB-11^(*)、IIB-12^(*)、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物も含まない」のに対し、引用例1発明1はそれら化合物を含有しないことが明示されていない点

そこで、まず、それら相違点について検討する。
相違点1、2について、引用例1の段落0054、0056(摘記事項d)には、式(1)で表される化合物として式(1-1)、(1-2)の化合物が好ましいことが記載され、段落0054、0057(摘記事項d)には、式(2)で表される化合物として式(2-1)の化合物が好ましいことが記載されている。そして、実施例において「3-H1OB(2F,3F)-O4 (1-1)」(本件補正発明の式I-1の化合物であって、alkylがプロピル基、alkoxyがブトキシ基であるもの)、「3-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」、および「5-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」(いずれも本件補正発明の式I-73の化合物であって、それぞれ、alkylがプロピル基、alkoxyがブトキシ基であるもの、およびalkylがペンチル基、alkoxyがブトキシ基であるもの)、「3-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」、および「5-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」(いずれも本件補正発明の式IIB-2の化合物であって、それぞれ、alkylがプロピル基、alkoxyがエトキシ基であるもの、およびalkylがペンチル基、alkoxyがエトキシ基であるもの)が同時に用いられている(段落0104、摘記事項e)。よって、引用例1発明1において、式(1)で表される化合物として「3-H1OB(2F,3F)-O4 (1-1)」、「3-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」、および「5-HH1OB(2F,3F)-O2 (1-2)」を、また、式(2)で表される化合物として「3-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」および「5-HBB(2F,3F)-O2 (2-1)」を同時に用いることは、当業者ならば容易になし得る。
相違点3について、本件補正発明の式CRの化合物は、引用例1の請求項10(摘記事項a)の式(4-2)の化合物に相当し、本件補正発明の式PPの化合物は、引用例1の段落0058(摘記事項d)の式(3-3-1)の化合物のうちR^(6)およびR^(7)が炭素数1?12のアルキル基のものに相当し、式I-145または式I-13^(*)の化合物は、段落0056(摘記事項d)の式(1-1)の化合物のうちR^(5)が1?6のC原子を有する直鎖状のアルキル基またはアルコキシ基、R^(6)が炭素数2?6のC原子を有する直鎖状のアルケニル基のものに相当し、式I-151または式I-85^(*)の化合物は、段落0056(摘記事項d)の式(1-2)の化合物のうちR^(5)が1?6のC原子を有する直鎖状のアルキル基またはアルコキシ基、R^(6)が炭素数2?6のC原子を有する直鎖状のアルケニル基のものに相当し、式IIB-15または式IIB-16の化合物は、段落0057(摘記事項d)の式(2-1)の化合物のうちR^(5)が1?6のC原子を有する直鎖状のアルキル基またはアルコキシ基、R^(6)が炭素数2?6のC原子を有する直鎖状のアルケニル基のものに相当する。しかし、引用例1にはそれら化合物が必須成分である等の記載は存在しない。例えば引用例1発明1の「第四成分」は式(4-1)で表される化合物であってよく、式(4-2)で表される化合物を含まなくてよい。また、引用例1には、本件補正発明に記載されたそれら化合物を含まない実施例も記載されている(段落0104、摘記事項d)。よって、引用例1発明1において、それら化合物を用いないことは、当業者ならば容易になし得ることである。
次に、本件補正発明の効果について検討するに、本願明細書の段落0031には、「驚くべきことに、液晶混合物中において、特に、負の誘電異方性を有するLC混合物中において、好ましくは、VAディスプレイ用に一般式Iの極性化合物を使用すれば、回転粘度、よって、応答時間を改良することが可能である。」と記載され、段落0033には、「液晶媒体中において、式Iの化合物は、非常に低い回転粘度値と、誘電異方性の高い絶対値とを同時に有する。従って、短い応答時間と同時に、良好な相特性および良好な低温挙動を有する液晶混合物、好ましくは、VAおよびPS-VA混合物を調製することが可能である。」と記載されている。
これに対し、引用例1の0039(摘記事項c)には、「化合物(1)」「化合物(2)」、および「化合物(4-1)」が誘電率異方性の絶対値を上げること、「化合物(3)」が液晶組成物の粘度を下げるまたはネマチック相の上限温度を上げること、「化合物(4-1)」がネマチック相の下限温度を下げることが記載され、段落0011(摘記事項b)には、液晶組成物が「ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度」、「負に大きな誘電率異方性」などの特性を充足すること、およびAM素子が「短い応答時間」などの特性を有することが記載され、実施例において、液晶組成物の粘度が小さく、誘電率異方性の絶対値が高く、ネマチック相の上限温度が高く下限温度が低いことが裏付けられている(段落0104、摘記事項e)。このように、引用例1には液晶組成物の粘度、誘電率異方性の絶対値、ネマチックの上限温度および下限温度(相特性および低温挙動)、およびディスプレイの応答時間に関し、本願明細書記載の効果と同様の効果が記載されている。
そして、本願明細書の実施例およびその他の記載を参酌しても、「式I-1、I-13、I-73およびI-85からなる群より選ばれる1種以上の化合物、および式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2からなる群より選ばれる2種以上の化合物を含み」、「式HN、CYCC、YY、CR、AY、FEFおよびPPの化合物の群から選択する少なくとも1種類の化合物を含」まず、「式I-145、I-13^(*)、I-151、I-85^(*)、IIB-11^(*)、IIB-12^(*)、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物も含まない」ことにより、本願補正発明が、粘度、応答時間等について、引用例1に記載された発明から予測外の格別の作用効果を奏しているものとは認められない。
また、本願明細書の段落0031には、「更に驚くべきことに、本発明による液晶媒体をPS-VAおよびPSAディスプレイにおいて使用することで、特に、低いプレチルト角および所望のチルト角を迅速に確立できることが見出された。これは、本発明による媒体の場合において、プレチルトを測定することで示された。特に、光開始剤を添加することなく、プレチルトを達成することが可能であった。」と記載され、本願明細書の実施例の例M4?M6には、特定の液晶組成物に特定の重合性化合物を特定量添加した結果特定のチルト角が得られたことが具体的に記載されている。
これに対し、引用例1の請求項18(摘記事項a)には液晶組成物をPSAモードの素子に用いること、段落0035(摘記事項c)には重合可能な化合物を添加してよいことが記載されているから、引用例1発明1の液晶組成物は、重合可能な化合物を添加してPSAディスプレイに用い得るものである。さらに、上記本願明細書の実施例から把握できるのは、例M4?M6において特定のチルト角が得られたことのみであって、本件補正発明の全範囲において引用例1に記載された発明に比して「低いプレチルト角および所望のチルト角を迅速に確立できる」という効果が奏されることは確認できない。すなわち、本願明細書には本件補正発明の液晶媒体を用いることによりどのような原理によって上述の効果が発揮されるのかといった作用機序が記載されていないし、本願優先日における技術常識を参酌しても当該作用機序は明らかでない。また、液晶組成物の性質は含まれる液晶化合物及び添加剤の具体的な構造および量に依存すると認められるところ、「式I-1、I-13、I-73およびI-85からなる群より選ばれる1種以上の化合物、および式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2からなる群より選ばれる2種以上の化合物」を必須成分として含み、「式HN、CYCC、YY、CR、AY、FEFおよびPPの化合物の群から選択する少なくとも1種類の化合物」および「式I-145、I-13^(*)、I-151、I-85^(*)、IIB-11^(*)、IIB-12^(*)、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物」を含まないとしか規定されていない本件補正発明の全範囲において、当該例M4?M6と同様の効果が奏されるとは認められない。
したがって、本件補正発明は、引用例1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

カ 請求人の主張の検討
請求人は、平成30年9月13日に提出した審判請求書において、引用例1に該当する「引用文献4」について、
「本願請求項1に係る発明は審査官殿が御指摘の引用文献4の実施例6に現されている発明とは上記補正をするまでもなく、以下の点において異なるものです。
(1)本願発明の液晶化合物は式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2の左末端がアルキル基の化合物を少なくとも2種類含みますが、引用文献4の実施例6において左末端がアルキル基の当該化合物は3-HBB(2F,3F)-O2の1種類のみです。
(2)本願発明においては必須の構成成分である式I-1、I-13、I-73およびI-85ならびに式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2の化合物の左末端はアルキル基に限定されており、本願の全ての実施例においても左末端がアルケニル基である式I-1、I-13、I-73およびI-85ならびに式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2の化合物は一切採用されていません。
一方、引用文献4においては実施例6のみならず他の例においても左末端がアルケニル基である式I-1、I-13、I-73およびI-85ならびに式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2の化合物が有意な濃度で採用されており、よって本願発明と引用文献4に開示される発明とでは、誘電的に負の化合物(2位および3位がフッ素で置換された1,4-フェニレン骨格を有する化合物)の左末端がアルキル基であるかアルケニル基であるかの点において根本的に原理が異なるものです。

ここで2位および3位がフッ素で置換された1,4-フェニレン骨格(2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン構造)は、液晶分子の長手方向に直交する双極子モーメント(上図中の矢印)がフッ素原子によって誘発されるため、分子全体として負の誘電異方性を有します。そして誘電的に負な液晶分子の場合、末端がアルキル基である液晶化合物を採用するか末端がアルケニル基である液晶化合物を採用するかは、最終的に得られる液晶媒体の粘度などを大きく左右し、ひいては応答時間などの基本的な性能に大きく影響します。
即ち誘電的に負な液晶分子の場合、末端がアルキル基であるかアルケニル基であるかによって、得られる液晶媒体の特性が大きく異なります。
よって本願発明と引用文献4に開示される発明とは、左末端がアルケニル基である誘電的に負の液晶媒体の採用を許すか許さないかの点において全く異なる発明であり、この相違点を明確にするために上記の通りの補正をしました。」
と主張する。
しかし、上記「オ」に記載したとおり、本願補正発明は、引用例1の実施例8記載の発明と同一である。また、引用例1の実施例において、「左末端がアルケニル基である式I-1、I-13、I-73およびI-85ならびに式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2の化合物」が用いられているのは、出願人の主張に反し実施例6のみである。そして、引用例1に記載された発明において「左末端がアルケニル基である式I-1、I-13、I-73およびI-85ならびに式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2の化合物」を使用可能ではあるが、それを用いることが必須である等の事情は認められないから、引用例1に記載された発明において「左末端がアルケニル基である式I-1、I-13、I-73およびI-85ならびに式IIB-11、IIB-12、IIB-1およびIIB-2の化合物」を用いないことは当業者ならば容易になし得る事項である。
また、本願出願当初明細書においては「式Iの化合物」の態様として左末端がアルケニル基のものも含まれていたように、本願明細書には左末端をアルケニル基ではなくアルキル基とすることの優位性については一切述べられていないから、左末端をアルキル基とすることにより、本願補正発明が、引用例1に記載された発明から予測外の格別の作用効果を奏しているものとは認められない。
よって、出願人の主張は採用できない。

キ まとめ
したがって、本件補正発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。また、引用例1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
平成30年9月13日付けでなされた本件補正は、上記「第2」のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1?18に係る発明は、平成30年4月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されるとおりのものである。そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記「第2 2(1)イ」に示した本件補正前のものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、「平成29年10月11日付け拒絶理由通知書に記載した理由1-2」であって、要するに、
この出願の請求項1?3、6、8?18に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
この出願の請求項1?3、6、8?18に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
というものである。
そして、該拒絶の理由において引用された刊行物は次のとおりである。
<引用文献等一覧>
4.国際公開第2011/024666号

3 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物は、上記引用例1にほかならず、その記載事項は、前記「第2 2(2)ウ」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 2(2)」で検討した本件補正発明の液晶媒体について、「ただし液晶媒体は、式I-145、I-13^(*)、I-151、I-85^(*)、IIB-11^(*)、IIB-12^(*)、IIB-15およびIIB-16のいずれの化合物も含まない」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記限定事項によって限定したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 2(2)オ」に記載したとおり、引用例1に記載された発明であり、また、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用例1に記載された発明であり、また、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条第1項第3号、または特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-06-13 
結審通知日 2019-06-18 
審決日 2019-07-01 
出願番号 特願2016-180006(P2016-180006)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C09K)
P 1 8・ 575- Z (C09K)
P 1 8・ 113- Z (C09K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 恵理  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 牟田 博一
冨士 良宏
発明の名称 液晶媒体  
代理人 伊藤 克博  

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