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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1357406 |
審判番号 | 不服2019-730 |
総通号数 | 241 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-01-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-01-21 |
確定日 | 2019-11-28 |
事件の表示 | 特願2016-165595号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 1日出願公開、特開2018- 29873号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成28年8月26日の出願であって、平成29年8月31日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年10月30日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年3月20日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年5月22日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月30日付け(送達日:同年11月6日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年1月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、その後、当審において、令和1年6月24日付けで拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対して、同年8月8日に意見書及び手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。 2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(なお、記号AないしLは、本願発明を分説するために当審で付した)。 「A 本体枠と、 B 遊技者の操作により打ち込まれる遊技媒体を進入させる遊技領域を設けてなる遊技盤と、 C 前記本体枠に対しその前側にて開閉可能となっている前扉と、 D 遊技媒体を貯留し得るように前記前扉の下部の左右方向中間部位から前方に膨出する皿部材と、 E 前記前扉の前記下部の右側部位から前方へ延出するハンドル部材と、 F 前記前扉の左側部に前方へ膨出するように設けてなる左側電飾部材と、 G 前記前扉の右側部に前方へ膨出するように設けてなる右側電飾部材と、 H 前記皿部材を電飾により装飾する皿電飾手段と、 I 遊技媒体の入賞に伴い大当たり抽選の結果が大当たりであるとき、大当たり電飾態様を表す大当たり電飾演出を行うように処理する大当たり電飾演出処理手段と、 J 前記大当たり抽選の結果が外れであるとき行われる外れ演出処理の終了後、所定の客待ち時間の経過に伴い客待ちモード電飾演出を行うように処理する客待ちモード電飾演出処理手段と、 K 制御手段とを備えており、 E-1 前記ハンドル部材は、その延出先端部にて、前記左側電飾部材の膨出先端部位よりも前方へ延出し、 G-1 前記右側電飾部材は、その膨出先端部位にて、前記ハンドル部材の延出先端部よりも前方へ膨出し、かつ、 D-1 前記皿部材は、その膨出先端部位にて、前記右側電飾部材 の膨出先端部位よりも前方へ膨出しており、 K-1 前記制御手段は、 前記大当たり電飾演出処理手段による前記大当たり電飾演出の処理に基づき、前記大当たり電飾演出を行うように前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段のうちの少なくとも1つを制御し、 K-2 また、前記客待ちモード電飾演出処理手段による前記客待ちモード電飾演出の処理に基づき、既に大当たりが成立しているかのように錯覚を起こす程に前記大当たり電飾態様における大当たり点滅態様に類似した点滅態様による電飾演出を、新たな客の誘導が可能となるように、行うべく、前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段のうちの少なくとも1つを制御するようにした L 遊技機。」 3 拒絶の理由 当審拒絶理由は、平成31年1月21日に提出された手続補正書により補正がされた請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に示された技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という拒絶理由を含むものである。 引用文献1:特開2015-223405号公報 引用文献2:特許第5957585号 4 引用文献の記載及び引用発明 (1)当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-223405号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ぱちんこ遊技機(一般的に「パチンコ機」とも称する)や回胴式遊技機(一般的に「パチスロ機」とも称する)等の遊技機に関するものである。」 イ 「【発明を実施するための形態】 【0088】 [1.パチンコ機の全体構造] 本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1乃至図9を参照して本実施形態のパチンコ機1の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施形態であるパチンコ機の正面図である。図2はパチンコ機の右側面図であり、図3はパチンコ機の平面図であり、図4はパチンコ機の背面図である。図5はパチンコ機を前から見た斜視図であり、図6はパチンコ機を後ろから見た斜視図である。図7は本体枠から扉枠を開放させると共に、外枠から本体枠を開放させた状態で前から見たパチンコ機の斜視図である。図8はパチンコ機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して前から見た分解斜視図であり、図9はパチンコ機を扉枠、遊技盤、本体枠、及び外枠に分解して後ろから見た分解斜視図である。 【0089】 本実施形態のパチンコ機1は、遊技ホールの島設備(図示しない)に設置される枠状の外枠2と、外枠2の前面を開閉可能に閉鎖する扉枠3と、扉枠3を開閉可能に支持していると共に外枠2に開閉可能に取付けられている本体枠4と、本体枠4に前側から着脱可能に取付けられると共に扉枠3を通して遊技者側から視認可能とされ遊技者によって遊技球が打込まれる遊技領域5aを有した遊技盤5と、を備えている。 【0090】 パチンコ機1の外枠2は、図8及び図9等に示すように、上下に離間しており左右に延びている上枠部材10及び下枠部材20と、上枠部材10及び下枠部材20の両端同士を連結しており上下に延びている左枠部材30及び右枠部材40と、を備えている。上枠部材10、下枠部材20、左枠部材30、及び右枠部材40は、前後の幅が同じ幅に形成されている。また、上枠部材10及び下枠部材20の左右の長さに対して、左枠部材30及び右枠部材40の上下の長さが、長く形成されている。 【0091】 また、外枠2は、左枠部材30及び右枠部材40の下端同士を連結し下枠部材20の前側に取付けられる幕板部材50と、上枠部材10の正面視左端部側に取付けられている外枠側上ヒンジ部材60と、幕板部材50の正面視左端側上部と左枠部材30とに取付けられている外枠側下ヒンジ部材70と、を備えている。外枠2の外枠側上ヒンジ部材60と外枠側下ヒンジ部材70とによって、本体枠4及び扉枠3が開閉可能に取付けられている。 【0092】 パチンコ機1の扉枠3は、正面視の外形が四角形で前後に貫通している貫通口111を有した枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面下部に取付けられ遊技球を貯留可能な上皿201及び下皿202を有した皿ユニット200と、扉枠ベースユニット100の前面上部に取付けられるトップユニット350と、扉枠ベースユニット100の前面左部に取付けられる左サイドユニット400と、扉枠ベースユニット100の前面右部に取付けられる右サイドユニット450と、扉枠ベースユニット100の前面右下部に皿ユニット200を貫通して取付けられ上皿201に貯留された遊技球を遊技盤5の遊技領域内へ打込むために遊技者が操作可能なハンドルユニット500と、扉枠ベースユニット100の後面下部に取付けられ遊技領域内へ打ち損じた遊技球を受けて皿ユニット200の下皿202へ排出するファールカバーユニット520と、扉枠ベースユニット100の後面下部に取付けられ上皿201の遊技球を球発射装置680へ送るための球送りユニット540と、扉枠ベースユニット100の後面に取付けられ貫通口111を閉鎖するガラスユニット560と、ガラスユニット560の後面下部を覆う防犯カバー580と、を備えている。」 ウ 「【0142】 [3.扉枠の全体構成] パチンコ機1の扉枠3について、図19乃至図25を参照して説明する。図19はパチンコ機における扉枠の正面図であり、図20は扉枠の背面図である。図21は扉枠を右前から見た斜視図であり、図22は扉枠を左前から見た斜視図であり、図23は扉枠を後ろから見た斜視図である。図24は扉枠を主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図25は扉枠を主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。 【0143】 扉枠3は、正面視の外形が四角形で枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面下部に取付けられる皿ユニット200と、扉枠ベースユニット100の前面上部に取付けられるトップユニット350と、扉枠ベースユニット100の前面左部に取付けられる左サイドユニット400と、扉枠ベースユニット100の前面右部に取付けられる右サイドユニット450と、扉枠ベースユニット100の前面右下部に皿ユニット200を貫通して取付けられるハンドルユニット500と、を備えている。 ・・・略・・・ 【0148】 扉枠3の左サイドユニット400は、図24及び図25等に示すように、扉枠ベースユニット100の前面で貫通口111の左側外周縁に沿って取付けられる平板状のユニットベース410と、ユニットベース410の前面に取付けられており上端がトップユニット350のトップ装飾部材370の左端まで延びている透光性を有した左サイド装飾部材420と、左サイド装飾部材420の前側で正面視扉枠3の左上隅となる位置に取付けられており左スピーカ(図示は省略)を有した左スピーカユニット430と、ユニットベース410の後側に取付けられており前面に複数のLEDが取付けられた扉枠左装飾基板440と、を備えている。 【0149】 扉枠3の右サイドユニット450は、図24及び図25等に示すように、扉枠ベースユニット100の前面で貫通口111の右側外周縁に沿って取付けられる平板状のユニットベース460と、ユニットベース460の前側に取付けられており上端がトップユニット350のトップ装飾部材370の右端まで延びている透光性を有した右サイド装飾部材470と、右サイド装飾部材470の前面で正面視扉枠3の右上隅となる位置に取付けられており右スピーカ(図示は省略)を有した右スピーカユニット480と、ユニットベース460と右サイド装飾部材470との間に取付けられており前面に複数のLEDが取付けられた扉枠右装飾基板(図示は省略)と、を備えている。」 エ 「【0154】 [3-1.皿ユニットの全体構成] 扉枠3の皿ユニット200について、図26乃至図41を参照して詳細に説明する。図26は扉枠の皿ユニットを前から見た斜視図であり、図27は皿ユニットを後ろから見た斜視図である。図28は皿ユニットを主な部材毎に分解して前から見た分解斜視図であり、図29は皿ユニットを主な部材毎に分解して後ろから見た分解斜視図である。図30(a)は皿ユニットの演出操作ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は演出操作ユニットを後ろから見た斜視図である。図31は演出操作ユニットを主な部材毎に分解して上から見た斜視図であり、図32は演出操作ユニットを主な部材毎に分解して下から見た分解斜視図である。図33は演出操作ユニットの取付ベースユニットを分解して上から見た分解斜視図であり、図34は取付ベースユニットを分解して下から見た分解斜視図である。 【0155】 また、図35は演出操作ユニットのタッチユニットを分解して上から見た分解斜視図であり、図36はタッチユニットを分解して下から見た分解斜視図である。図37は演出操作ユニットのボタンユニットを分解して上から見た分解斜視図であり、図38はボタンユニットを分解して下から見た分解斜視図である。図39は皿ユニットの平面図であり、図40は図39におけるB-B断面において演出操作ユニットの部位を拡大して示す断面図であり、図41は図39におけるC-C断面において演出操作ユニットの部位を拡大して示す断面図である。 【0156】 更に、図42(a)は皿ユニットの扉右下演出ユニットの正面図であり、(b)は扉右下演出ユニットの右側面図であり、図43(a)は扉右下演出ユニットを前から見た斜視図であり、(b)は扉右下演出ユニットを後ろから見た斜視図である。図44は、図42(b)の扉右下演出ユニットにおけるD-D断面図である。図45は扉右下演出ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図46は扉右下演出ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図47は扉右下演出ユニットの回転体内部ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図48は回転体内部ユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。図49(a)は扉右下演出ユニットの扉右下回転体が前を向いた状態の正面図であり、(b)は扉右下回転体が後ろを向いた状態の正面図である。 【0157】 また、図50(a)は皿ユニットの上皿球抜きユニットを皿ユニットベースに取付けた状態で前から見た斜視図であり、(b)は上皿球抜きユニットを皿ユニットベースに取付けた状態で後ろから見た斜視図である。図51は上皿球抜きユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図52は上皿球抜きユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。また、図53(a)は皿ユニットの下皿球抜きユニットを前から見た斜視図であり、(b)下皿球抜きユニットを分解して前から見た分解斜視図である。 【0158】 皿ユニット200は、扉枠ベースユニット100から前方へ膨出している。この皿ユニット200は、払出装置830から払出され遊技領域5a内に打込むための遊技球を貯留する上皿201と、上皿201の下側に配置されており上皿201から供給される遊技球を貯留可能な下皿202と、を備えている。また、皿ユニット200は、扉枠ベースユニット100に取付けられる平板状の皿ユニットベース210と、皿ユニットベース210の前面上部に取付けられると共に左右中央より左側が前方へ大きく膨出しており上皿201を形成している上皿本体212と、皿ユニットベース210の前面下部で左右中央に取付けられると共に前方へ大きく膨出しており下皿202を形成している下皿本体214と、を備えている。 【0159】 また、皿ユニット200は、上皿本体212の前側及び皿ユニットベース210の前面に取付けられる演出操作ユニット220と、上皿本体212、下皿本体214、及び演出操作ユニットの前側及び下側を覆い皿ユニットベース210の前面に取付けられる皿ユニットカバー260と、演出操作ユニット220の右側に配置されており皿ユニットベース210の前面右部に取付けられる扉右下演出ユニット270と、扉右下演出ユニット270の前側を覆い皿ユニットベース210の前面に取付けられる演出ユニットカバー300と、皿ユニットベース210を前後から挟むように取付けられており上皿本体212の上皿201内に貯留されている遊技球を下皿202へ抜き取るための上皿球抜きユニット310と、下皿本体214の下側に取付けられており下皿202に貯留されている遊技球を下方へ排出するための下皿球抜きユニット320と、を備えている。 【0160】 更に、皿ユニット200は、演出操作ユニット220の上面に取付けられており遊技ホールの島設備においてパチンコ機1と隣接して配置される球貸機を操作するための球貸操作ユニット330と、皿ユニットベース210の上部に取付けられており発光装飾可能な上皿トップ装飾部材340と、皿ユニットカバー260の後側で皿ユニットベース210の前面左側に取付けられており前方へ向かって光を照射可能な複数のLEDを備えている皿ユニット左装飾基板345と、演出ユニットカバー300の後側且つ扉右下演出ユニット270の下側で皿ユニットベース210の前面右側に取付けられており前方へ向かって光を照射可能な複数のLEDを備えている皿ユニット右装飾基板346と、皿ユニットベース210の後側に取付けられており後述する上皿前装飾基板233、上皿後装飾基板235、上皿液晶基板241、加振装置242、タッチパネル246、演出ボタン装飾基板251、演出ボタン押圧センサ258、扉右下中継基板281、皿ユニット左装飾基板345、及び皿ユニット右装飾基板346と遊技盤5の図示しない周辺制御基板1510との接続を中継する皿ユニット中継基板347と、を備えている。」 オ 「【0399】 [5-6.周辺制御ユニット] 次に、周辺制御ユニット1500について、図84及び図86を参照して説明する。周辺制御ユニット1500は、裏ユニット3000の裏箱3010の後面に取付けられている。周辺制御ユニット1500は、主制御基板1310からの制御信号に基いて遊技者に提示する演出を制御する周辺制御基板1510(図142を参照)と、周辺制御基板1510を収容している周辺制御基板ボックス1520と、を備えている。周辺制御基板1510は、発光演出、サウンド演出、及び可動演出、等を制御するための周辺制御部1511と、演出画像を制御するための液晶表示制御部1512と、を備えている(図142を参照)。」 カ 「【0648】 [6-3.周辺制御基板] 周辺制御基板1510は、図142に示すように、主制御基板1310からのコマンドに基づいて演出制御を行う周辺制御部1511と、この周辺制御部1511からの制御データに基づいてメイン液晶表示装置1600、サブ液晶表示装置3114や上皿液晶表示装置244の描画制御を行う液晶表示制御部1512と、を備えている。 【0649】 [6-3a.周辺制御部] 周辺制御基板1510における演出制御を行う周辺制御部1511は、詳細な図示は省略するが、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPUと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する周辺制御ROMと、高音質の演奏を行う音源ICと、この音源ICが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROMと、を備えている。 【0650】 周辺制御MPUは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板1310から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤5の各装飾基板に設けられたカラーLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートから演出駆動基板3043に送信したり、遊技盤5に設けられた各種演出ユニットを作動させる駆動モータへの駆動信号を出力するための遊技盤側駆動データを遊技盤装飾駆動基板用シリアルI/Oポートから演出駆動基板3043に送信したり、扉枠3に設けられた加振装置242や扉右下駆動モータ272等の電気的駆動源への駆動信号を出力するための扉側駆動データと、扉枠3の各装飾基板に設けられたカラーLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための扉側発光データと、から構成される扉側駆動発光データを枠装飾駆動基板用シリアルI/Oポートから扉枠3側に送信したり、メイン液晶表示装置1600や上皿液晶表示装置244に表示させる画面を示す制御データ(表示コマンド)を液晶制御部用シリアルI/Oポートから液晶表示制御部1512に送信したり、するほかに、音ROMから音情報を抽出するための制御信号(音コマンド)を音源ICに出力したりする。」 キ 「【0679】 本実施形態のパチンコ機1は、第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受入れられると、主制御基板1310において、遊技者に有利な有利遊技状態(例えば、「大当り」、「中当り」、「小当り」、「確率変動当り」、「時間短縮当り」、等)を発生させる特別抽選結果の抽選が行われる。そして、抽選された特別抽選結果を、所定時間(例えば、0.1?360秒、特別変動時間とも称す)かけて遊技者に示唆する。なお、第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受入れられることで抽選される特別抽選結果には、「ハズレ」、「小当り」、「2R大当り」、「5R大当り」、「15R大当り」、「確変(確率変更)当り」、「時短(時間短縮)当り」、「確変時短当り」、「確変時短無し当り」、等がある。」 ク 「【0688】 また、周辺制御基板1510では、メイン液晶表示装置1600による特別抽選結果を示唆するための演出画像の表示の他に、抽選された特別抽選結果に応じて、センター役物2500の装飾体、裏左中装飾ユニット3050、裏下後可動演出ユニット3100、裏上左可動演出ユニット3200、裏左可動演出ユニット3300、裏上中可動演出ユニット3400、及び裏下前可動演出ユニット3500、等を適宜用いて、発光演出、可動演出、表示演出、等を行うことが可能であり、各種の演出によっても遊技者を楽しませることができ、遊技者の遊技に対する興趣が低下するのを抑制することができる。」 ケ 「【図2】 」 コ 「【図3】 」 サ 「【図5】 」 シ 「【図7】 」 ス 「【図8】 」 セ 「【図22】 」 ソ 「【図142】 」 タ 上記図示内容ケ(図2)から、右サイドユニット450は、その膨出先端部位にて、ハンドルユニット500の延出先端部よりも前方へ膨出していることが看取できる。 チ 上記図示内容コ(図3)から、皿ユニット200は、その膨出先端部位にて、右サイドユニット450の膨出先端部位よりも前方へ膨出していることが看取できる。 ツ 上記図示内容ケ(図2)から、ハンドルユニット500の延出先端部は、右サイドユニット450を構成する右サイド装飾部材470の膨出先端部位よりも前方へ膨出していないものの、回転体カバー部301の膨出先端部位よりは前方に膨出していることが看取できる。また、上記図示内容コ(図3)から、右サイド装飾部材470と皿ユニット200及びトップ装飾部材370との間に二つの円弧状の部材の存在が看取できるところ、それら二つの円弧状の部材は、いずれも、左サイドユニット400の膨出先端部位よりも前方へ延出していることが看取できる。ここで、右サイド装飾部材470と皿ユニット200及びトップ装飾部材370との間に位置する二つの円弧状の部材として、上記図示内容サ(図5)から、回転体カバー部301とハンドルユニット500とが候補として挙げられるところ、そのいずれであったとしても、ハンドルユニット500は、その延出先端部にて、左サイドユニット400の膨出先端部位よりも前方へ延出していることも明らかである。 テ 上記図示内容シ(図7)から、扉枠3が、本体枠4に対しその前面を開閉可能としたものであることが看取できる。 ト 上記イの【0092】には、「扉枠3は、正面視の外形が四角形で前後に貫通している貫通口111を有した枠状の扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面下部に取付けられ遊技球を貯留可能な上皿201及び下皿202を有した皿ユニット200と」「を備え」ることが記載されている。ここで、上記図示内容ス(図8)から、その扉枠ベースユニット100が扉枠3の外形を縁取る部材であることが看取できる。そうすると、扉枠ベースユニット100の前面下部は、扉枠3の前面下部ともいえるから、皿ユニット200が、扉枠3の前面下部に取付けられ遊技球を貯留可能な上皿201及び下皿202を有したものであることは明らかである。 また、上記エの【0158】には、「皿ユニット200は、扉枠ベースユニット100から前方へ膨出」することが記載されている。ここで、上記図示内容ス(図8)から、扉枠ベースユニット100が扉枠3の外形を縁取る部材であることと、皿ユニット200が扉枠3の前面下部から前方に膨出していることが看取できる。さらに、上記図示内容コ(図3)から、皿ユニット200が扉枠3の左右方向中間部位から前方に膨出していることが看取できる。そうすると、皿ユニット200が、扉枠3の前面下部の左右方向中間部位から前方に膨出するものであることも明らかである。 ナ 上記ウの【0143】には、「扉枠ベースユニット100の前面右下部に」「取付けられるハンドルユニット500」「を備え」ることが記載されている。ここで、上記図示内容ス(図8)から、その扉枠ベースユニット100が扉枠3の外形を縁取る部材であることが看取できる。そうすると、扉枠ベースユニット100の前面右下部は、扉枠3の前面右下部ともいえるから、ハンドルユニット500が、扉枠3の前面右下部に取り付けられるものであることは明らかである。 さらに、上記図示内容ケ(図2)及びサ(図5)から、ハンドルユニット500が、扉枠3の前面右下部から前方へ延出するものであることも明らかである。 ニ 上記イの【0092】には、「扉枠ベースユニット100の前面左部に取付けられる左サイドユニット400」「を備え」ることが記載されている。ここで、上記図示内容ス(図8)から、その扉枠ベースユニット100が扉枠3の外形を縁取る部材であることが看取できる。そうすると、扉枠ベースユニット100の前面左部は、扉枠3の前面左部ともいえるから、左サイドユニット400が、扉枠3の前面左部に取り付けられるものであることは明らかである。 さらに、上記図示内容サ(図5)及びセ(図22)から、左サイドユニット400が、扉枠3の前面左部から前方へ膨出するものであることも明らかである。 ヌ 上記イの【0092】には、「扉枠ベースユニット100の前面右部に取付けられる右サイドユニット450」「を備え」ることが記載されている。ここで、上記図示内容ス(図8)から、その扉枠ベースユニット100が扉枠3の外形を縁取る部材であることが看取できる。そうすると、扉枠ベースユニット100の前面右部は、扉枠3の前面右部ともいえるから、右サイドユニット450が、扉枠3の前面右部に取り付けられるものであることは明らかである。 さらに、上記図示内容ケ(図2)、コ(図3)及びセ(図22)から、右サイドユニット450が、扉枠3の前面右部から前方へ膨出するものであることも明らかである。 ネ 上記カの【0649】及び【0650】には、「周辺制御基板1510における演出制御を行う周辺制御部1511は」「周辺制御MPU」「を備え」、「周辺制御MPUは、パラレルI/Oポート、シリアルI/Oポート等を複数内蔵しており、主制御基板1310から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基づいて、遊技盤5の各装飾基板に設けられたカラーLED等への点灯信号、点滅信号又は階調点灯信号を出力するための遊技盤側発光データをランプ駆動基板用シリアルI/Oポートから演出駆動基板3043に送信」「する」ことが記載されている。ここで、上記図示内容ソ(図142)から、周辺制御機盤1510から遊技盤側装飾基板に向けた矢印を看取できる。そうすると、周辺制御機盤1510が、遊技盤側装飾基板を制御するための信号を送信することは明らかである。 ノ 上記アないしネの記載内容からみて、引用文献1には、実施の形態として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、aないしlについては本願発明のAないしLに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。 [引用発明] 「a 本体枠4と(【0089】)、 b 遊技者によって遊技球が打込まれる遊技領域5aを有した遊技盤5と(【0089】)、 c 本体枠4に対しその前面を開閉可能とした扉枠3と(【0089】、【図7】、上記テ)、 d 扉枠3の前面下部に取付けられ遊技球を貯留可能な上皿201及び下皿202を有した皿ユニット200であって(【0092】、【図8】、上記ト)、その前方への膨出が、扉枠3の前面下部の左右方向中間部位から前方に膨出する皿ユニット200と(【0158】、【図3】、【図8】、上記ト)、 e 扉枠3の前面右下部に取り付けられるハンドルユニット500であって(【0143】、【図8】、上記ナ)、その前面右下部から前方へ延出するハンドルユニット500と(【図2】、【図5】、上記ナ)、 f 扉枠3の前面左部に取り付けられる左サイドユニット400であって(【0092】、【図8】、上記ニ)、その前面左部から前方へ膨出し(【図5】、【図22】、上記ニ)、前面に複数のLEDが取り付けられた扉枠左装飾基板440を備えた左サイドユニット400と(【0148】)、 g 扉枠3の前面右部に取付けられる右サイドユニット450であって(【0092】、【図8】、上記ヌ)、その前面右部から前方へ膨出し(【図2】、【図3】、【図22】上記ヌ)、前面に複数のLEDが取り付けられた扉枠右装飾基板を備えた右サイドユニット450と(【0149】)、 h 前方へ向かって光を照射可能な複数のLEDを備えている皿ユニット左装飾基板345と皿ユニット右装飾基板346と(【0160】)を備え、 i、j 第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受け入れられると、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる特別抽選結果の抽選が行われ、その特別抽選結果には、「ハズレ」や「大当り」があり(【0679】)、抽選された特別抽選結果に応じて、発光演出等を行うことが可能であり(【0688】)、 k、k-1、k-2 主制御基板1310からの制御信号に基いて遊技者に提示する演出を制御する周辺制御基板1510を備え、周辺制御基板1510は、発光演出等を制御するための周辺制御部1511を備え(【0399】)、さらに、周辺制御基板1510は、遊技盤側装飾基板を制御するための信号を送信し(【図142】、上記ネ)、 e-1 ハンドルユニット500は、その延出先端部にて、左サイドユニット400の膨出先端部位よりも前方へ延出し(【図2】、【図3】、【図5】、上記ツ)、 g-1 右サイドユニット450は、その膨出先端部位にて、ハンドルユニット500の延出先端部よりも前方へ膨出し(【図2】、上記タ)、 d-1 皿ユニット200は、その膨出先端部位にて、右サイドユニット450の膨出先端部位よりも前方へ膨出している(【図3】、上記チ)、 l パチンコ機1(【0088】)。」 (2)引用文献2の記載 当審拒絶理由に引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第5957585号(以下、同じく「引用文献2」という。)には、「遊技機」の発明に関し、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、パチンコ遊技機やスロットマシンなどの遊技機に関する。 ・・・略・・・ 【0051】 枠ランプWは、当該パチンコ遊技機における遊技中に大当たりになったとき、レインボウ演出態様にて大当たり演出を行う。また、当該枠ランプWは、当該パチンコ遊技機における客待ちモードの際に上記レインボウ演出態様に類似する演出態様にて客待ちモード演出行う。 ・・・略・・・ 【0271】 しかして、ステップ2141における外れ遊技表示演出処理が終了すると、次のステップ2150において客待ちコマンドありか否かが判定される。ここで、客待ちコマンドが、主制御装置300からシステム制御部500bに出力されていなければ、当該ステップ2150においてNOと判定される。 【0272】 一方、客待ちコマンドが、主制御装置300からシステム制御部500bに出力されていれば、当該ステップ2150における判定はYESとなる。すると、次のステップ2160において所定の客待ち時間の経過か否かが判定される。ここで、当該所定の客待ち時間は、ステップ2141における外れ遊技表示演出処理の終了後の所定の時間をいう。 【0273】 現段階では、上記所定の客待ち時間は未だ経過していないことから、当該ステップ2160における判定はNOとなる。 【0274】 両ステップ2150、2160の循環処理中において、客待ちコマンドが主制御装置300からシステム制御部500bに出力されれば、ステップ2150における判定はYESとなる。 【0275】 しかして、上記所定の客待ち時間の経過に基づきステップ2160においてYESと判定されると、次のステップ2161における客待ちコマンドセット処理において、客待ちコマンドがセットされる。これに伴い、ステップ2162において客待ちモード表示演出処理がなされる。これに伴い、演出表示装置80が、大当たり表示演出態様に類似する表示演出態様でもって、表示演出する。これにより、当該パチンコ遊技機における直前までの遊技において、遊技球を多く獲得した状態にあったかのような印象が、新たな客に対し与えられる。 【0276】 ついで、ステップ2170において、客待ちモード表示演出終了か否かが判定される。原段階において、客待ちモード表示演出が終了していなければ、ステップ2170における判定はNOとなる。 【0277】 以後、両ステップ2162、2170を循環する処理中において、客待ちモード表示演出が終了すると、ステップ2170においてYESと判定される。このことは、当該パチンコ遊技機における客待ちが終了したことを意味する。 【0278】 上述のようにステップ2170における判定がYESになると、次のステップ2180において、遊技開始か否かにつき判定される。現段階において、当該パチンコ遊技機において新たな客が操作ハンドル110の回動操作をすると、上記球発射装置が、遊技球を案内レール20を介し遊技盤10の遊技領域11に向けて発射する。 【0279】 当該遊技球の発射が、上記球発射装置に設けた発射センサ(図示しない)により検出されると、当該検出結果が、遊技開始を表す遊技開始信号としての役割を果たし、ステップ2180においてYESと判定される。 【0280】 一方、上述のような発射センサによる検出がなくステップ2180においてNOと判定される場合には、所定の客待ち時間の経過後客待ちモード表示演出終了にもかかわらず、新たな客がなく遊技開始にならないことから、ステップ2180において、NOと判定される。 【0281】 これに伴い、次のステップ2181において、客待ちモード光演出処理がなされる。 【0282】 この客待ちモード光演出処理においては、枠ランプW及び操作ハンドル110の電飾体113の複数の発光ダイオードが、システム制御部500bによる制御のもとランプ制御部500dにより制御されて、大当たりが成立したときに当該大当たりを光による表す光演出態様に類似する客寄せ光演出態様でもって、光演出を行う。これにより、新たな客が当該パチンコ遊技機の前扉Dを見たとき、当該新たな客は、枠ランプW及び操作ハンドル110の電飾体113が、上述した客寄せ光演出態様でもって、光演出を行っていることを視認することとなる。 【0283】 これにより、当該新たな客が、当該パチンコ遊技機が既に大当たりの成立により多くの遊技球を獲得されているかのように錯覚を起こすことで、当該新たな客を当該パチンコ遊技機による遊技に誘導することができる。」 イ 上記アの【0271】及び【0272】には、「外れ遊技表示演出処理が終了すると」「客待ちコマンドありか否かが判定され」、「客待ちコマンドが」「出力されていれば」「判定はYESとな」り、「所定の客待ち時間の経過か否かが判定される」ことが記載されており、 上記アの【0275】及び【0276】には、「所定の客待ち時間の経過に基づき」「YESと判定されると」「客待ちモード表示演出処理がなされ」、「ついで」「客待ちモード表示演出終了か否かが判定される」ことが記載されており、 上記アの【0277】及び【0278】には、「客待ちモード表示演出が終了すると」「YESと判定され」「遊技開始か否かにつき判定される」ことが記載されており、 上記アの【0280】及び【0281】には、「発射センサによる検出がなく」「NOと判定される場合には、所定の客待ち時間の経過後客待ちモード表示演出終了にもかかわらず、新たな客がなく遊技開始にならないことから」「NOと判定され」、「これに伴い」「客待ちモード光演出処理がなされる」ことが記載されている。 そうすると、「外れ遊技表示演出処理が終了」した後に、「客待ちモード光演出処理がなされる」条件として、「所定の客待ち時間の経過」を含むことになるから、外れ遊技表示演出処理が終了すると、所定の客待ち時間の経過に基づき、客待ちモード光演出処理がなされるといえることは明らかである。 ウ 上記ア及びイの記載内容からみて、引用文献2には、以下の技術事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 [引用文献2記載事項] 「パチンコ遊技機において(【0001】)、外れ遊技表示演出処理が終了すると、所定の客待ち時間の経過に基づき、客待ちモード光演出処理がなされ(【0271】、【0280】、【0281】、上記イ)、この客待ちモード光演出処理においては、大当たりが成立したときに当該大当たりを光による表す光演出態様に類似する客寄せ光演出態様でもって、客待ちモード光演出を行い(【0282】)、これにより、新たな客が、当該パチンコ遊技機が既に大当たりの成立により多くの遊技球を獲得されているかのように錯覚を起こすことで、当該新たな客を当該パチンコ遊技機による遊技に誘導することができる(【0283】)こと。」 5 対比 (1)本願発明と引用発明を対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(l)は、本願発明のAないしLに対応させている。 (a)引用発明の「本体枠4」は、本願発明の「本体枠」に相当するといえる。 したがって、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する。 (b)引用発明の「遊技領域5a」は、本願発明の「遊技領域」に相当するといえる。そして、引用発明の「遊技球」は、「遊技者によって」「遊技領域」に「打ち込まれる」ものであるところ、「遊技者」の操作により「打込まれる」ものであることは明らかであるから、本願発明の「遊技媒体」に相当するといえる。そうすると、引用発明の「遊技盤5」は、遊技者の操作により打ち込まれる遊技球(「遊技媒体」)を進入させる遊技領域5a(「遊技領域」)を設けてなるものといえるから、本願発明の「遊技盤」に相当する。 したがって、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する。 (c)上記(a)で示したように、引用発明の「本体枠4」は、本願発明の「本体枠」に相当する。そして、引用発明の「扉枠3」は、本体枠4(「本体枠」)に対しその前面を開閉可能としたものであるから、本願発明の「前扉」に相当するといえる。 したがって、引用発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当する。 (d)上記(b)ないし(c)で示したように、引用発明の「遊技球」、「扉枠3」は、それぞれ、本願発明の「遊技媒体」、「前扉」に相当する。そして、引用発明の「皿ユニット200」は、遊技球(「遊技媒体」)を貯留可能なものであって、かつ、扉枠3(「前扉」)の前面下部の左右方向中間部位から前方に膨出するものであるから、本願発明の「皿部材」に相当するといえる。 したがって、引用発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当する。 (e)上記(c)で示したように、引用発明の「扉枠3」は、本願発明の「前扉」に相当する。そして、引用発明の「ハンドルユニット500」は、扉枠3(「前扉」)の前面右下部に取り付けられ、その前面右下部から前方へ延出するものであるから、本願発明の「ハンドル部材」に相当する。 したがって、引用発明の構成eは、本願発明の構成Eに相当する。 (f)上記(c)で示したように、引用発明の「扉枠3」は、本願発明の「前扉」に相当する。ここで、引用発明の「左サイドユニット400」は、扉枠3(「前扉」)の前面左部に取り付けられ、かつ、その前面左部から前方へ膨出するものであるから、本願発明の「前記前扉の左側部に前方へ膨出するように設けてなる左側・・・部材」を具備しているといえる。 さらに、引用発明の「左サイドユニット400」は、前面に「複数のLEDが取り付けられた扉枠左装飾基板440」を備えたものであるところ、その「複数のLED」が本願発明の「電飾部材」に相当するといえるから、本願発明の「左側電飾部材」に相当する。 したがって、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fに相当する。 (g)上記(c)で示したように、引用発明の「扉枠3」は、本願発明の「前扉」に相当する。ここで、引用発明の「右サイドユニット450」は、扉枠3(「前扉」)の前面右部に取り付けられ、かつ、その前面右部から前方へ膨出するものであるから、本願発明の「前記前扉の右側部に前方へ膨出するように設けてなる右側・・・部材」を具備しているといえる。 さらに、引用発明の「右サイドユニット400」は、前面に「複数のLEDが取り付けられた扉枠右装飾基板」を備えたものであるところ、その「複数のLED」が本願発明の「電飾部材」に相当するといえるから、本願発明の「右側電飾部材」に相当する。 したがって、引用発明の構成gは、本願発明の構成Gに相当する。 (h)上記(d)で示したように、引用発明の「皿ユニット200」は、本願発明の「皿部材」に相当する。そして、引用発明の「皿ユニット左装飾基板345と皿ユニット右装飾基板346」は、皿ユニット200(「皿部材」)を複数のLEDにより装飾するものであるところ、その「複数のLED」が本願発明の「電飾手段」に相当するといえるから、本願発明の「皿電飾手段」に相当する。 したがって、引用発明の構成hは、本願発明の構成Hに相当する。 (i)上記(b)で示したように、引用発明の「遊技球」は、本願発明の「遊技媒体」に相当する。また、引用発明の「遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる特別抽選結果の抽選」は、本願発明の「大当たり抽選」に相当するといえる。 ここで、引用発明における「第一始動口2002及び第二始動口2004に遊技球が受け入れられると」「遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる特別抽選結果の抽選が行われ」ることは、遊技球(「遊技媒体」)の入賞に伴って遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる特別抽選結果の抽選(「大当たり抽選」)を行うことといえるから、本願発明の「遊技媒体の入賞に伴い大当たり抽選」を行うことに相当する。そして、その「特別抽選結果」は、本願発明の「大当たり抽選の結果」に相当するといえる。 さらに、引用発明において、その特別抽選結果には、「ハズレ」や「大当り」があり、抽選された特別抽選結果に応じて、発光演出等を行うことが可能であるところ、特別抽選結果が「大当り」であるときには、その「大当り」に応じた「発光演出」を実施可能であることは明らかである。そうすると、その「大当り」に応じた「発光演出」は、本願発明の「大当たり電飾態様を表す大当たり電飾演出」に相当するといえる。 したがって、引用発明は、本願発明の「大当たり電飾演出処理手段」を具備するといえるから、引用発明の構成iは、本願発明の構成Iを具備する。 (j)上記(i)で示したように、引用発明の「特別抽選結果」は、本願発明の「大当たり抽選の結果」に相当する。 ここで、引用発明において、その特別抽選結果には、「ハズレ」や「大当り」があり、抽選された特別抽選結果に応じて、発光演出等を行うことが可能であるところ、特別抽選結果が「ハズレ」であるときに、その「ハズレ」に応じた「発光演出等」を実施可能であることは明らかである。そうすると、その「ハズレ」に応じた「発光演出等」は、本願発明の「前記大当たり抽選の結果が外れであるとき行われる外れ演出」に相当し、さらに、その「ハズレ」に応じた「発光演出等」に関する処理は、本願発明の「外れ演出処理」に相当するといえる。 したがって、引用発明の構成jと、本願発明の構成Jとは、「J’前記大当たり抽選の結果が外れであるとき行われる外れ演出処理を行う手段と」の点で共通する。 (k)引用発明の「周辺制御基板1510」は、本願発明の「制御手段」に相当するといえる。 したがって、引用発明の構成k、k-1、k-2は、本願発明の構成Kを具備する。 (e-1)上記(e)及び(f)で示したように、引用発明の「ハンドルユニット500」、「左サイドユニット400」は、それぞれ、本願発明の「ハンドル部材」、「左側電飾部材」に相当する。 ここで、引用発明は、ハンドルユニット500(「ハンドル部材」)が、その延出先端部にて、左サイドユニット400(「左側電飾部材」)の膨出先端部位よりも前方へ延出するものであるから、本願発明の「前記ハンドル部材は、その延出先端部にて、前記左側電飾部材の膨出先端部位よりも前方へ延出し」を具備するといえる。 したがって、引用発明の構成e-1は、本願発明の構成E-1を具備する。 (g-1)上記(e)及び(g)で示したように、引用発明の「ハンドルユニット500」、「右サイドユニット450」は、それぞれ、本願発明の「ハンドル部材」、「右側電飾部材」に相当する。 ここで、引用発明は、右サイドユニット450(「右側電飾部材」)が、その膨出先端部位にて、ハンドルユニット500(「ハンドル部材」)の延出先端部よりも前方へ膨出するものであるから、本願発明の「右サイドユニット450は、その膨出先端部位にて、ハンドルユニット500の延出先端部よりも前方へ膨出し」を具備するといえる。 したがって、引用発明の構成g-1は、本願発明の構成G-1を具備する。 (d-1)上記(d)及び(g)で示したように、引用発明の「皿ユニット200」、「右サイドユニット450」は、それぞれ、本願発明の「皿部材」、「右側電飾部材」に相当する。 ここで、引用発明は、皿ユニット200(「皿部材」)が、その膨出先端部位にて、右サイドユニット450(「右側電飾部材」)の膨出先端部位よりも前方へ膨出するものであるから、本願発明の「前記皿部材は、その膨出先端部位にて、前記右側電飾部材の膨出先端部位よりも前方へ膨出しており」を具備するといえる。 したがって、引用発明の構成d-1は、本願発明の構成D-1を具備する。 (k-1)上記(i)及び(k)で示したように、引用発明の「大当り」に応じた「発光演出」、「周辺制御基板1510」は、それぞれ、本願発明の「大当たり電飾態様を表す大当たり電飾演出」、「制御手段」に相当する。また、上記(i)で示したように、引用発明は、本願発明の「大当たり電飾演出処理手段」を具備する。 ここで、引用発明の「周辺制御基板1510」は、発光演出等を制御するための周辺制御部1511を備えることから、発光演出等を制御するものといえるところ、その発光演出等には「大当り」に応じた「発光演出」が含まれることは明らかであるから、「大当り」に応じた「発光演出」を制御するものともいえる。そうすると、引用発明は、「前記制御手段は、前記大当たり電飾演出処理手段による前記大当たり電飾演出の処理に基づき、前記大当たり電飾演出を行う」ことを具備するといえる。 また、上記(f)ないし(h)で示したように、引用発明の「左サイドユニット400」、「右サイドユニット450」、「皿ユニット左装飾基板345及び皿ユニット右装飾基板346」は、それぞれ、本願発明の「左側電飾部材」、「右側電飾部材」、「皿電飾手段」に相当する。 ここで、引用発明において、周辺制御基板1510は、遊技盤側装飾基板を制御するための信号を送信するものであるところ、その遊技盤側装飾基板には、左サイドユニット400(「左側電飾部材」)の扉枠左装飾基板440、右サイドユニット450(「右側電飾部材」)の扉枠右装飾基板、皿ユニット左装飾基板345及び皿ユニット右装飾基板346(「皿電飾手段」)が含まれることは明らかであるから、引用発明は、本願発明の「前記制御手段は、」「前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段を」「制御し」を具備するといえる。 したがって、引用発明の構成k、k-1、k-2と、本願発明の構成K-1とは、「K-1’前記制御手段は、前記大当たり電飾演出処理手段による前記大当たり電飾演出の処理に基づき、前記大当たり電飾演出を行い、前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段を制御」する点で共通する。 (l)引用発明の「パチンコ機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 したがって、引用発明の構成lは、本願発明の構成Lに相当する。 (2)上記(1)によれば、本願発明と引用発明とは、 「A 本体枠と、 B 遊技者の操作により打ち込まれる遊技媒体を進入させる遊技領域を設けてなる遊技盤と、 C 前記本体枠に対しその前側にて開閉可能となっている前扉と、 D 遊技媒体を貯留し得るように前記前扉の下部の左右方向中間部位から前方に膨出する皿部材と、 E 前記前扉の前記下部の右側部位から前方へ延出するハンドル部材と、 F 前記前扉の左側部に前方へ膨出するように設けてなる左側電飾部材と、 G 前記前扉の右側部に前方へ膨出するように設けてなる右側電飾部材と、 H 前記皿部材を電飾により装飾する皿電飾手段と、 I 遊技媒体の入賞に伴い大当たり抽選の結果が大当たりであるとき、大当たり電飾態様を表す大当たり電飾演出を行うように処理する大当たり電飾演出処理手段と、 J’前記大当たり抽選の結果が外れであるとき行われる外れ演出処理を行う手段と、 K 制御手段とを備えており、 E-1 前記ハンドル部材は、その延出先端部にて、前記左側電飾部材の膨出先端部位よりも前方へ延出し、 G-1 前記右側電飾部材は、その膨出先端部位にて、前記ハンドル部材の延出先端部よりも前方へ膨出し、かつ、 D-1 前記皿部材は、その膨出先端部位にて、前記右側電飾部材 の膨出先端部位よりも前方へ膨出しており、 K-1’前記制御手段は、 前記大当たり電飾演出処理手段による前記大当たり電飾演出の処理に基づき、前記大当たり電飾演出を行い、前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段を制御する、 L パチンコ機1。」である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](構成K-1) 「大当たり電飾演出」に関し、 本願発明では、「前記制御手段は、前記大当たり電飾演出処理手段による前記大当たり電飾演出の処理に基づき、前記大当たり電飾演出を行うように前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段のうちの少なくとも1つを制御」するのに対し、 引用発明では、周辺制御基板1510(「制御手段」)は、抽選された特別抽選結果に応じて、発光演出等を行うことが可能であって、その特別抽選結果には「大当り」があることや、左サイドユニット400(「左側電飾部材」)、右サイドユニット450(「右側電飾部材」)並びに皿ユニット左装飾基板345及び皿ユニット右装飾基板346(「皿電飾手段」)を制御することは特定されているものの、大当りに応じた発光演出を行うように、左サイドユニット400(「左側電飾部材」)、右サイドユニット450(「右側電飾部材」)並びに皿ユニット左装飾基板345及び皿ユニット右装飾基板346(「皿電飾手段」)を制御することが特定されていない点。 [相違点2](構成J、K-2) 本願発明では、「前記大当たり抽選の結果が外れであるとき行われる外れ演出処理の終了後、所定の客待ち時間の経過に伴い客待ちモード電飾演出を行うように処理する客待ちモード電飾演出処理手段」を備え、「前記制御手段は、」「前記客待ちモード電飾演出処理手段による前記客待ちモード電飾演出の処理に基づき、既に大当たりが成立しているかのように錯覚を起こす程に前記大当たり電飾態様における大当たり点滅態様に類似した点滅態様による電飾演出を、新たな客の誘導が可能となるように、行うべく、前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段のうちの少なくとも1つを制御するようにした」するのに対し、 引用発明では、ハズレに応じた発光演出等(「前記大当たり抽選の結果が外れであるとき行われる外れ演出」)を実施可能ではあるものの、そのハズレに応じた発光演出等の終了後に、本願発明のような「客待ちモード電飾演出」を行うか否かについて特定がない点。 6 相違点の検討 (1)上記相違点1について検討する。 ア 引用発明において、抽選された特別抽選結果に応じて、発光演出等を行うことが可能であって、その特別抽選結果には「大当り」があることを鑑みれば、特別抽選結果が「大当り」であるときには、その「大当り」に応じた発光演出を実施可能であることは明らかである。 そして、引用発明において、その「大当り」に応じた発光演出を行う際に、周辺制御基板1510(「制御手段」)により、パチンコ機1(「遊技機」)中のいずれかの発光手段が発光制御されることになるところ、その発光手段として、左サイドユニット400(「左側電飾部材」)、右サイドユニット450(「右側電飾部材」)、皿ユニット左装飾基板345及び皿ユニット右装飾基板346(「皿電飾手段」)に取り付けられた複数のLEDを選択することは、効果的な発光演出を行うために、当業者が適宜なし得たことであって、格別な困難性は認められない。 イ したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たものである。 (2)上記相違点2について検討する。 ア パチンコ機において、外れ抽選処理が終了した後の客待ち時間中に新たな客を誘導したいという課題は、文献を示すまでもなく、当業者にとって周知の課題であるから、引用発明においても当該課題を解決しようとすることは当業者が当然取り組むべきことである。 イ そして、引用発明と引用文献2記載事項とは、いずれも、パチンコ機において、大当りに関係して発光演出を行う点で共通するとともに、上記アで示したように、外れ抽選処理が終了した後の客待ち時間中に新たな客を誘導したいという課題の点でも共通するといえる。 ウ そうすると、引用発明において、ハズレに応じた発光演出等(「前記大当たり抽選の結果が外れであるとき行われる外れ演出」)が終了した後の客待ち時間中に新たな客を誘導するために、引用文献2記載事項を適用して、所定の客待ち時間の経過に基づき、客待ちモード光演出処理がなされ、この客待ちモード光演出処理においては、大当りに応じた発光演出の光演出態様に類似する客寄せ光演出態様でもって、客待ちモード光演出を行うように構成することは、当業者にとって容易である。 ここで、その客待ちモード光演出が、既に大当たりの成立により多くの遊技球を獲得されているかのように錯覚を起こす程のものであることは、引用文献2記載事項から明らかである。 そして、その際に、上記(1)アで検討したように、左サイドユニット400(「左側電飾部材」)、右サイドユニット450(「右側電飾部材」)、皿ユニット左装飾基板345及び皿ユニット右装飾基板346(「皿電飾手段」)を制御して、それらに取り付けられた複数のLEDを発光させることに格別な困難性は認められない。 エ したがって、引用発明において、引用文献2記載事項や周知技術を適用して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たものである。 (3)以上のとおり、上記(1)及び(2)で示したように、本願発明は、引用発明と引用文献2記載事項及び周知技術とに基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。 7 請求人の主張について (1)審判請求人は、令和1年8月8日付け意見書において、概略以下のとおり主張している。 「1.請求項1(旧請求項1)について ・・・略・・・ B.そこで、引用文献1、2を考慮して、上述のごとく、本願の旧請求項1を、別紙手続補正書にて、限定補正して新請求項1とした。 ・・・略・・・ (1)このように構成してなる新請求項1に記載の発明を上記ご指摘事項にいう引用文献1、2と対比検討してみる。 ・・・略・・・ 新請求項1に記載の発明によれば、上述のごとく、制御手段が、前記客待ちモード電飾演出処理手段による前記客待ちモード電飾演出の処理に基づき、既に大当たりが成立しているかのように錯覚を起こす程に前記大当たり電飾態様における大当たり点滅態様に類似した点滅態様による電飾演出を、新たな客の誘導が可能となるように、行うべく、前記左側電飾部材、前記右側電飾部材及び前記皿電飾手段のうちの少なくとも1つを制御する。 換言すれば、制御手段が前記客待ちモード電飾演出処理手段による前記客待ちモード電飾演出の処理に基づき行う電飾演出は、「既に大当たりが成立しているかのように錯覚を起こす程に前記大当たり電飾態様における大当たり点滅態様に類似した点滅態様による電飾演出」であって、「新たな客の誘導が可能となるように」行う電飾演出である。 これによれば、前記客待ちモード電飾演出の処理に基づき行う電飾演出は、単なる電飾ではなく、大当たりの成立の際に生ずる点滅という電飾態様に類似する点滅電飾であって、しかも、既に大当たりが成立しているかのように錯覚を起こす程に大当たり点滅態様に類似する点滅電飾である。 このような「既に大当たりが成立しているかのように錯覚を起こす程に大当たり点滅態様に類似する点滅電飾」が、客待ちモード電飾演出の処理に基づきなされることにより、新たな遊技者は、パチンコ遊技機が既に大当たりの成立により多くの遊技球を獲得しているかのように錯覚を十分に起こし、当該パチンコ遊技機による遊技に誘導されていくという新請求項1に記載の発明に特有の作用効果が達成され得る。 これに対し、上記ご指摘事項にあるように、引用文献2には、パチンコ遊技機において、「外れ遊技表示演出処理が終了すると」、「所定の客待ち時間の経過」に基づき、「客待ちモード光演出処理がなされ」、「この客待ちモード光演出処理においては、大当たりが成立したときに当該大当たりを光により表す光演出態様に類似する客寄せ光演出態様でもって、客待ちモード光演出を行う」ように構成することと、「これにより、新たな客が、当該パチンコ遊技機が既に大当たりの成立により多くの遊技球を獲得されているかのように錯覚を起こすことで、当該新たな客を当該パチンコ遊技機による遊技に誘導することができる」ことが記載されている。 この点について詳細に検討してみると、引用文献2にいう「客寄せ光演出態様」は、大当たりが成立したときに当該大当たりを光により表す光演出態様に類似するものにすぎない。つまり、「光演出態様」ということだけであって、どのような光の態様による演出なのかは全く不明である。例えば、大当たりの際の光が、大当たりでない場合の光よりも、輝度の高い光といった派手目の光であったとしても、このような光の態様では、新たな客が、当該パチンコ遊技機が既に大当たりの成立により多くの遊技球を獲得されているかのように錯覚を起こすには、新請求項1に記載の発明とは異なり、不十分と言わざるを得ない。 以上によれば、上述のような新請求項1に記載の発明の構成及びその特有の作用効果は、引用文献1、2のいずれにも記載も示唆もなされておらず、また、引用文献1に引用文献2を寄せ集めてみても、当業者が新請求項1に記載の発明に容易に想到し得るとは言えないものと思料する。」 (2)しかしながら、上記6の(2)アで示したように、引用発明に引用文献2記載事項を適用した際に行われる客待ちモード光演出が、既に大当たりの成立により多くの遊技球を獲得されているかのように錯覚を起こす程のものであることは、引用文献2記載事項から明らかである。 (3)したがって、上記(2)で示したように、令和1年8月8日付け意見書における審判請求人の主張は、いずれも理由がない。 8 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-09-17 |
結審通知日 | 2019-09-24 |
審決日 | 2019-10-07 |
出願番号 | 特願2016-165595(P2016-165595) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 福田 知喜 |
特許庁審判長 |
鉄 豊郎 |
特許庁審判官 |
島田 英昭 川崎 優 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 間瀬 ▲けい▼一郎 |