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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A47J
管理番号 1357463
審判番号 不服2019-658  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-18 
確定日 2019-12-17 
事件の表示 特願2017-503326「加熱調理器」拒絶査定不服審判事件〔2016年 9月 9日国際公開、WO2016/139867、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年12月17日(優先権主張2015年3月5日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成30年3月13日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年5月18日に意見書及び手続補正が提出され、平成30年10月25日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成31年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年10月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
[理由]
本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1及び2に基いて、本願請求項2?9に係る発明は、以下の引用文献1?7に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特公平6-91862号公報
2.特公平1-13660号公報
3.特開2001-340216号公報
4.特開2007-50039号公報
5.特開2002-202499号公報
6.特開2002-215078号公報
7.特開平7-222675号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項2?9を補正後の請求項1?8とするものであるから、係る補正は、請求項の削除を目的とするものである。
よって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第5項までの要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明8」という。)は、平成31年1月18日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
調理器本体と、
前記調理器本体による調理残り時間をセグメントで表示するセグメント表示部を有する表示部と、
前記調理残り時間を前記セグメント表示部に表示させる制御部と、を備え、
前記セグメント表示部は、セグメントで二桁の数字を表示するものであり、
前記制御部は、
前記調理残り時間が100分以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段において前記調理残り時間が100分以上と判定された場合、該調理残り時間を分単位から時間単位に換算し、前記判定手段において前記調理残り時間が100分未満と判定された場合、該調理残り時間を分単位のままとする換算手段と、
前記判定手段において前記調理残り時間が100分以上と判定された場合、前記換算手段において時間単位に換算された前記調理残り時間を、最大二桁で前記セグメント表示部に表示させ、前記判定手段において前記調理残り時間が100分未満と判定された場合、
前記調理残り時間を分単位のまま、最大二桁で前記セグメント表示部に表示させる時間表示手段と、を有し、
前記換算手段は、
前記調理残り時間から1を減算した値を60で除算し、更に1を加算して、前記調理残り時間を分単位から時間単位に換算するものである
加熱調理器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記調理器本体による前記調理残り時間を算出する算出手段を有する請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記表示部は、
前記セグメント表示部の10の位側に設けられ、時刻のうち時桁をセグメントで表示する時桁セグメント表示部を有し、
前記制御部は、
時刻のうち分桁を前記セグメント表示部に表示させて、前記時桁セグメント表示部及び該セグメント表示部で時刻を表示させるものであり、
前記表示部は、
前記時桁セグメント表示部と前記セグメント表示部との間に約という文字を表示する約表示部を有する請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記セグメント表示部に表示される前記調理残り時間が時間単位から分単位に変更される際に、変更された旨を報知する報知部を備える請求項1?3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記調理器本体は、炊飯機能を有し、
前記時間表示手段は、
前記調理器本体による調理が蒸らし工程に移行した後、炊飯量にかかわらず、前記セグメント表示部に表示される前記調理残り時間が減少する間隔を一定にするものである請求項1?4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記時間表示手段は、
前記調理器本体の調理が開始されてから所定の時間が経過した後、前記セグメント表示部に表示された前記調理残り時間の表示を消去するものである請求項1?5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記調理残り時間を前記セグメント表示部に表示させることを前記制御部に指示する表示操作部を備え、
前記時間表示手段は、
前記表示操作部が操作されたときに、前記調理残り時間を前記セグメント表示部に表示させるものである請求項1?6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記調理器本体に近付く人を検出する人検出部を備え、
前記時間表示手段は、
前記人検出部において前記調理器本体に人が近付いたことが検出された場合、前記調理残り時間を前記セグメント表示部に表示させるものである請求項1?7のいずれか1項に記載の加熱調理器。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「炊飯器」に関して図面とともに次の事項が記載されている(下線は、参考のため当審で付した。以下同様である。)。
「発明が解決しようとする課題
このような従来の炊飯器の構成において、タイマー手段32で計時する所定時間の単位を例えば1分のように細かい単位で行うと第7図で示す表示手段34が構成されるが、使用するセグメントの数が多いので表示手段34の小型化に限界があった。また今度はタイマー手段32で計時する所定時間の単位を例えば30分のようなおおまかな単位で行うとすると第8図のように表示手段34は構成され、この表示手段34であれば使用するセグメントの数が第7図の場合に比べて少なくなるので比較的小さな表示手段が構成を得ることができる。しかし、炊飯が所定時間に開始になり炊飯動作中に炊飯が終了するまでの時間を知りたくてもおおまかな時間単位で計時を行っているので理解しにくいという課題があった。
本発明は上記課題に鑑み、表示手段の小型化を図りつつ細かな時間表示を行うことを目的とする。
課題を解決するための手段
本発明は上記目的を達成するために、炊飯が終了するまでの時間を設定する時間設定手段と、この時間設定手段により設定された炊飯が終了するまでの時間を計時してゆくタイマー手段Aと、このタイマー手段Aよりも細かい時間単位で炊飯が終了するまでの時間を計時してゆくタイマー手段Bと、前記タイマー手段A及び前記タイマー手段Bにより計時されてゆく炊飯が終了するまでの時間を記憶する記憶手段と、この記憶されている時間データの値により前記タイマー手段Aもしくは前記タイマー手段Bを選択するタイマー選択手段と、前記タイマー手段A及び前記タイマー手段Bにより計時された炊飯が終了するまでの時間がある所定の時間になると炊飯を開始する炊飯手段と、前記記憶手段に記憶されている炊飯が終了するまでの時間を表示する表示手段とにより構成されている。」(第3欄第20行目?第4欄第1行目)
「第2図は本発明の一実施例における炊飯器の具体的な回路図である。この図において、10は炊飯が終了するまでの時間を設定する時間設定スイッチで、11はタイマー動作を開始する開始スイッチである。12は炊飯加熱を行う炊飯ヒーター、13は炊飯ヒーター12を通電させるトライアックで、このトライアック13のゲートパルスは14のフォト・トライアックにより制御され、フォト・トライアック14は15のトランジスタにより制御される。炊飯ヒーター12とトライアック13により炊飯手段6を構成している。16は液晶表示素子で、表示手段7の具体例である。17はマイクロコンピュータで、時間設定スイッチ10と開始スイッチ11の信号を入力し、トランジスタ15に制御信号を出力し、液晶表示素子16に表示信号を出力する。このマイクロコンピュータ17は、記憶手段2,タイマー手段A3,タイマー手段B4,タイマー選択手段5の機能を有している。」(第4欄第28?43行目)
「表示手段である液晶表示素子16の構成を第8図に示す。すなわち、1時間以上の残り時間であれば第8図(a)のように30分単位の表示を行い、1時間未満の残り時間であれば第8図(b)のように1分単位の表示を行うもので、1つの小型表示手段で2通りの表示機能を持つ炊飯器を構成することができる。
なお、本実施例では、表示手段に液晶表示素子を用いたが、7セグメントLEDと文字表示を組み合せたものでもよく、要は時間表示が行える構成であればよい。また、タイマー手段A3は30分単位としたが1時間単位としてもよく、この場合、表示手段は2つの数字表示部で表示可能であるため、更に表示手段の小型化が可能となる。」(第5欄第14行目?第6欄第2行目)
「【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の炊飯器のブロック図、第2図は同炊飯器の具体的な回路図、第3図は同炊飯器のマイクロコンピュータの流れ図、第4図は同炊飯器の表示手段の正面図、第5図は従来例の炊飯器のブロック図、第6図は同炊飯器のマイクロコンピュータの流れ図、第7図は同炊飯器において計時する時間単位を1分で行う場合の表示手段の正面図、第8図は同炊飯器において計時する時間単位を30分で行う場合の表示手段の正面図である。
1……時間設定手段、2……記憶手段、3……タイマー手段A、4……タイマー手段B、5……タイマー選択手段、6……炊飯手段、7……表示手段。」(第6欄第10?22行目)






(2)上記(1)の記載された事項及び図面を総合し、表示手段に7セグメントLEDと文字表示とを組み合わせ、タイマー手段を1時間単位としたものについて着目すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「炊飯が終了するまでの時間を7セグメントLEDと文字表示とを組み合わせて表示する表示手段と、
表示手段に表示信号を出力するマイクロコンピュータと、を備え、
表示手段は2つの数字表示部で表示可能であり、
表示手段は、炊飯が終了するまでの時間が1時間以上であれば1時間単位の表示を行い、1時間未満であれば1分単位の表示を行う2通りの表示機能を持つ、炊飯器。」
2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、「時間表示装置」に関して次の事項が記載されている。
「1 外部スイッチで設定した運転時間をマイクロコンピュータの運転時間記憶メモリに、下4ビットは10進数で、上4ビットは16進数で夫々記憶し、運転中この記憶時間から運転済み時間を減算して残り時間の記憶内容を運転時間表示用メモリに転送して記憶させ、当該残り時間の記憶内容を2桁の表示装置で表示するものであって、前記残り時間の記憶内容が99分以内の場合はその記憶をそのまま運転時間表示用メモリに転送して時間表示を行なうと共に、オーバー表示装置を消灯し、100分以上の場合は運転時間表示用メモリが上下各4ビットの一方若しくは双方を16進数で記憶して“99”の数字表示を行なうと共に、16進数で記憶した時にはオーバー表示装置を点灯することを特徴とした時間表示装置。」(特許請求の範囲)
「図面の簡単な説明
第1図は本発明時間表示装置を備えた衣類乾燥機の正面図、第2図は時間表示部分を拡大した図、第3図は電気回路である。
3…コイン投入部、17,18…コインスイッチ(外部スイッチ)、13…マイクロコンピュータ、5…時間表示装置、20…運転時間表示用螢光管、21…オーバー表示用螢光管」(第6欄第2?10行目)



(2)上記(1)の記載された事項及び図面を総合し、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。

「運転時間の残り時間を2桁の表示装置で表示するものであって、残り時間が99分以内の場合はそのまま時間表示を行なうと共に、オーバー表示装置を消灯し、100分以上の場合は“99”の数字表示を行なうと共に、オーバー表示装置を点灯する時間表示装置。」

3.引用文献3について
(1)原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献3には、「炊飯器」に関して次の事項が記載されている。
「【0070】ついで、ステップS96で、前記ステップS94で算出した炊き上がり時刻から現時刻を減算することにより、炊き上がりまでの時間を演算した後、ステップS97で、算出した炊き上がりまでの時間を表示する。本実施形態では、この炊き上がりまでの時間を1時間単位でデクリメント(減少)するように構成している。」
「【図面の簡単な説明】

【図6】 (A)は図5のステップS27での液晶表示の設定画面、(B)は図5のステップS31での液晶表示の設定画面を示す正面図である。

【符号の説明】
1…圧力炊飯器、2…内鍋、3…本体、6…誘導加熱コイル、7…内鍋用温度センサ、8…蓋体、11…内蓋、12…蓋体用温度センサ、13…圧力センサ、14…調圧器、15…マイコン、20…操作パネル、21…液晶表示、22?36…表示部、37?43…スイッチの操作部。」



(2)上記(1)の記載された事項及び図面を総合し、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「炊き上がりまでの時間を、液晶表示の設定画面の分桁の位置で1時間単位で表示すること。」
4.引用文献4について
(1)原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献4には、「電気炊飯器」に関して次の事項が記載されている。
「【0048】
そして、同状態で、炊飯スイッチ26aの操作面22aがON操作されると、炊飯動作を開始し、白米・極うまで炊飯中であること、現在時刻は18:30、炊き上りまで残り約30分であることをそれぞれ表示する。」
「【図面の簡単な説明】
【0084】

【図7】標準コースで、白米メニュー/極うま炊き分けを選択した時の待機状態から、炊飯、炊飯終了後の保温中までの表示内容の変化を示す図である。
…」



(2)上記(1)の記載された事項から、引用文献4には、次の技術的事項(以下、「引用文献4記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「約という文字を表示する表示部を備えること。」
5.引用文献5について
(1)原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献5には、「LCD表示装置及びLCD表示装置を備えた調理器」に関して、次の事項が記載されている。
「【0043】むらしに切り替えるときには、制御手段91が音声報知手段93を利用してブザーやメロディーなどで報知を行ない、むらしまで点灯していた炊飯ランプ55を点灯から点滅に切り替え、時計表示部56の時計表示をむらし期間の残時間表示にする。この残時間は、例えば分単位で表示され、この分表示が1分ずつ減じていくものである。むらしは1?10分の所定の時間継続するが、このむらし時間が経過したら、ブザーまたはメロディーにより雑炊ができ上がったことを報知し、保温に移行する。この保温では、鍋8のご飯が所定の温度に保持されるように鍋8を加熱する。」
(2)上記(1)の記載された事項から、引用文献5には、次の技術的事項(以下、「引用文献5記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「調理器において、制御手段が音声報知手段を利用して報知を行うこと及び分単位で残り時間を表示すること。」
6.引用文献6について
(1)原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献6には、「家電機器」に関して次の事項が記載されている。
「【0023】表示切替スイッチ42は、これを押して操作すると、発光素子35による表示を消灯または点灯に切替え可能にする表示切替手段に相当するものである。また、この表示切替スイッチ42の操作とは別に、予約スイッチ46,炊飯スイッチ45または保温スイッチ44を最後に押してから所定時間(例えば、炊飯スイッチ45を押して通常の炊飯を開始してから5分後、または予約スイッチ46や保温スイッチ44を押してタイマー動作や保温を開始してから30分後)が経過し、再操作の必要がなくなったら、操作した設定状況や動作状況(炊飯,保温,タイマー動作など)の発光素子35による表示を消灯にし、非発光素子34の予約表示部50,炊飯表示部51若しくは保温表示部52のいずれかで表示を継続するか、発光素子34から非発光素子35の表示に切替えるように構成している。なおこの場合の所定時間は、実際の使用状況に応じて任意に設定してよい。」
(2)上記(1)の記載された事項から、引用文献6には、次の技術的事項(以下、「引用文献6記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「炊飯を開始してから所定時間が経過した後に操作した設定状態や動作状態(炊飯、保温、タイマー動作など)の発光素子による表示を消灯する。」
7.引用文献7について
(1)原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献7には、次の事項が記載されている。
「【0025】次に本発明の第六の手段の実施例について、図6を参照しながら説明する。本実施例では、炊飯器本体10に設けた赤外線センサ8で、人が近くにいるかどうかを検出するようにしているものである。赤外線センサ8の情報は制御装置4に伝達しており、制御装置4はこの情報に基づいて駆動装置3を作用させて、バックライト2をオン・オフしているものである。」
(2)上記(1)の記載された事項から、引用文献7には、次の技術的事項(以下、「引用文献7記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「人が近くにいるかどうかの情報に基づいてバックライトをオン・オフさせること。」

第6 原査定についての判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明における「炊飯器」、「表示手段」、「マイクロコンピュータ」は、各文言の意味、機能又は作用等からみて、それぞれ本願発明1における「加熱調理器」、「表示部」、「制御部」に相当する。
そして、引用発明の「炊飯器」が炊飯することは調理することであり、引用発明は本願発明1の調理器本体を有するものといえる。
また、引用発明の「炊飯器」による「炊飯が終了するまでの時間」は、炊飯が終了することは、調理が終了することであるので、本願発明1の「前記調理器本体による調理残り時間」に相当する。
引用発明の「7セグメントLEDと文字表示とを組み合わせて表示する表示手段」は、本願発明1の「セグメントで表示するセグメント表示部」に相当する。
引用発明の「表示信号を出力するマイクロコンピュータ」は、「表示」内容が「炊飯が終了するまでの時間」であること、「表示信号」が表示部の表示をおこなう信号であることから、本願発明1の「前記調理残り時間を前記セグメント表示部に表示させる制御部」に相当する。
引用発明の「2つの数字表示部で表示可能」な「表示手段」は、「1時間単位の表示」、「1分単位の表示」を「2つの数字表示部」で表示するものであるから、表示部は2桁の表示を行うものである。したがって、引用発明の「表示手段」は本願発明1の「セグメント表示部は、セグメントで二桁の数字を表示するもの」及び「最大二桁で前記セグメント表示部に表示させる」ものに相当する。
さらに、引用発明は、「炊飯が終了するまでの時間が1時間以上であれば1時間単位の表示を行い、1時間未満であれば1分単位の表示を行う」ため、調理の残り時間が1時間以上かどうかを判定しており、引用発明の「マイクロコンピュータ」が判定手段を備えていることは明らかである。そうすると、引用発明の「炊飯が終了するまでの時間が1時間以上であれば1時間単位の表示を行い、1時間未満であれば1分単位の表示を行う」「マイクロコンピュータ」と、本願発明1の「前記調理残り時間が100分以上であるか否かを判定する判定手段」とは、「調理残り時間が所定時間以上であるか否かを判定する判定手段」との限りで一致する。
また、引用発明の「表示手段」は「炊飯が終了するまでの時間」について「2通りの表示機能を持つ」ものであり、引用発明の「マイクロコンピュータ」が制御時間を表示させることは、明らかであるので、引用発明の「マイクロコンピュータ」が本願発明1の「前記セグメント表示部に表示させる時間表示手段」を備えていることは明らかである。
したがって、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
【一致点】
調理器本体と、前記調理器本体による調理残り時間をセグメントで表示するセグメント表示部を有する表示部と、前記調理残り時間を前記セグメント表示部に表示させる制御部と、を備え、前記セグメント表示部は、セグメントで二桁の数字を表示するものであり、制御部は、調理残り時間が所定時間以上であるか否かを判定する判定手段と、最大二桁で前記セグメント表示部に表示させる時間表示手段とを有している加熱調理器。
【相違点】
本願発明1は、「所定時間」を「100分」とし、「前記判定手段において前記調理残り時間が100分以上と判定された場合、該調理残り時間を分単位から時間単位に換算し、前記判定手段において前記調理残り時間が100分未満と判定された場合、該調理残り時間を分単位のままとする換算手段」を備え、「前記換算手段は、前記調理残り時間から1を減算した値を60で除算し、更に1を加算して、前記調理残り時間を分単位から時間単位に換算するものであ」り、「前記判定手段において前記調理残り時間が100分以上と判定された場合、前記換算手段において時間単位に換算された前記調理残り時間を」表示し、「前記判定手段において前記調理残り時間が100分未満と判定された場合、前記調理残り時間を分単位のまま、表示しているのに対し、引用発明は、「所定時間」を「1時間」として、「1時間以上であれば1時間単位の表示を行い、1時間未満であれば1分単位の表示を行」っている点。
(2)相違点についての判断
ア 引用発明は、「1時間以上であれば1時間単位の表示を行い、1時間未満であれば1分単位の表示を行」うものであるが、そのための手段として、引用文献1には、タイマー手段Aとタイマー手段Aよりも細かな時間単位で計時するタイマー手段Bのいずれかを選択することのみが記載されていることから、「調理残り時間」を表示する際に、「分単位」と「時間単位」とで換算することは何ら考慮されていない。また、引用文献2記載の技術的事項は、「運転時間の残り時間を2桁の表示装置で表示するものであって、残り時間が99分以内の場合はそのまま時間表示を行なうと共に、オーバー表示装置を消灯し、100分以上の場合は“99”の数字表示を行なうと共に、オーバー表示装置を点灯する時間表示装置。」である。
しかしながら、引用文献2記載の技術的事項は、100分以上である場合、時間単位の表示をしておらず、「100分以上の場合は“99”の数字表示を行なうと共に、オーバー表示装置を点灯する」のみであって、「調理残り時間を分単位から時間単位に換算」するものではないので、引用発明に引用文献2記載の技術的事項を適用しても、相違点に係る本願発明1の構成を導くことはできない。
よって、引用発明及び引用文献2記載の技術的事項を適用して、相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たとはいえない。
イ 以上のとおりであるから、本願発明1は引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。
2.本願発明2?8について
本願の特許請求の範囲における請求項2?8は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載したものであるから、本願発明2?8は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2?8は、本願発明1と同様の理由で、引用発明及び引用文献2記載の発明特定事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-12-04 
出願番号 特願2017-503326(P2017-503326)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A47J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 豊島 ひろみ  
特許庁審判長 山崎 勝司
特許庁審判官 塚本 英隆
松下 聡
発明の名称 加熱調理器  
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所  
代理人 特許業務法人きさ特許商標事務所  
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