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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E02D
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 E02D
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 E02D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02D
管理番号 1357482
審判番号 不服2018-15212  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-15 
確定日 2019-12-14 
事件の表示 特願2017-241263「地上、地下と地面」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月 4日出願公開、特開2019-108702〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年12月18日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 3月16日付け:拒絶理由通知書
平成30年 5月 4日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 5月10日 :手続補正書の提出
平成30年 6月27日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成30年 7月23日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 9月11日付け:平成30年7月23日の手続補正について
の補正の却下の決定、拒絶査定
平成30年11月15日 :審判請求書、手続補正書、意見書の提出


第2 平成30年11月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年11月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は、特許請求の範囲の補正を含むものである。本件補正前の平成30年7月23日付け手続補正書による補正は、平成30年9月11日付けの決定により却下されているから、本件補正前の特許請求の範囲は、平成30年5月10日付け手続補正書により補正されたものとなる。
本件補正の前後における特許請求の範囲の記載は、請求項1についてみれば、次のとおりである。

(1)本件補正後
「【請求項1】
地面の下部の液体を集める事が出来る機構を設置して液体の変化する現象の状況を回避して安定化と為す構成の地面。」

(2)本件補正前
「【請求項1】
地面、地盤の下部又は下面に、液体を溜める事が出来る構成を有する地面又は地盤。」

2 補正の適否その1-補正目的(主位的検討)
本件補正前の請求項1の記載では、「地面又は地盤」は、「地面、地盤の下部又は下面に、液体を溜める事が出来る構成を有する」ものであったから、「液体を溜める事が出来る構成」は、「地面、地盤の下部又は下面」に「液体を溜める事が出来る」ものであった。
これに対して、本件補正後の請求項1の記載では、「地面」は「地面の下部の液体を集める事が出来る機構を設置」して「液体の変化する現象の状況を回避して安定化と為す構成」であるから、「液体を集める事が出来る機構」は、「地面の下部の液体」を集める事が出来ればよく、地面又は地盤の「下部又は下面」に「液体を溜める事が出来る」必要はないものとなった。
そのため、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1における「地面、地盤の下部又は下面に、液体を溜める事が出来る構成を有する」という発明を特定するための事項を、さらに限定したものということができず、請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものということができない。
また、本件補正前の請求項1において、「地面、地盤の下部又は下面に、液体を溜める事ができる構成を有する」という発明を特定するための事項に、特段不明りような点はないから、請求項1についての本件補正は、同項第4号に掲げる明りようでない記載の釈明を目的とするものとも、認めることができない。
そして、請求項1についての本件補正は、同項第1号に掲げる請求項の削除、あるいは同項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものとも、認めることができない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同条同項の規定に違反するものである。

3 補正の適否その2-独立特許要件(予備的検討)
上記2で指摘のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
しかしながら、仮に本件補正の目的について、本件補正前の請求項1の「地面又は地盤」を「地面」とし、また「液体の変化する現象の状況を回避して安定化と為す」という記載を追加した点をもって、本件補正前の請求項1に係る発明を限定しようとしたものと扱った場合、すなわち特許法第17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としたものと扱った場合についても、予備的に検討を行うこととする。
その場合、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)は、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する(特許出願の際独立して特許を受けることができるものである)ことを要する。
そこで、以下に本件補正発明の独立特許要件を検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における記載により特定されるものであり、その記載は上記1(1)に示したとおりである。

(2)引用文献1
ア 引用文献1の記載事項
原査定の理由で引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2016-56645号公報(平成28年4月21日公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審決で付した。以下、同様。)。

「【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1は、実施形態の液状化対策構造を有する構築物の概略図である。図1に示す構築物は、敷地1の地盤10の上に施工された基礎2と、基礎2の上に施工された建物3とから成っている。
実施形態の液状化対策構造の大きな特徴点は、基礎2の下に大きな空間(空洞)Sを形成し、液状化発生時にこの空間内に水を引き込むことで間隙水圧を緩和する点である。以下、この空間Sを間隙水圧緩和空間と呼ぶ。
【0014】
間隙水圧緩和空間Sは、多数の樹脂ブロック5によって形成されている。多数の樹脂ブロックは、水平方向に並べられて配置されており、水平方向に延びる層(樹脂ブロック層)4を形成している。各樹脂ブロック5は、間隙水圧緩和空間Sを形成するものではあるものの、基礎2及び建物3を支える構造部材であるため、十分な強度を有するものとなっている。
【0015】
図2は、図1に示す樹脂ブロック層4を構成する樹脂ブロック5の概略図であり、(1)が平面概略図、(2)は正面概略図である。樹脂ブロック5は、水平な姿勢とされるベース部51と、ベース部51から垂直に延びるよう形成された脚部52とから成っている。ベース部51は、全体としては正方形の板状である。ベース部51には、多くの開口50が形成されている。
脚部52は、正方形のベース部51の各角の位置に合計4つ設けられている。脚部52の位置は、角の縁から少し内側の位置である。各脚部52は、対角線上に位置し、角の縁からの距離はすべて同じである。
・・・・(中略)・・・・
【0018】
間隙水圧緩和空間Sを形成するというだけであれば、樹脂ブロックではなく例えばスチール製の構造材を使用することも可能である。しかしながら、スチール製の鋼材を組み立てることで間隙水圧緩和空間Sを形成することは、材料コストが高くなり、また施工も面倒となる。また、間隙水圧緩和空間Sは、内部に水が進入することを想定しており、水は長期間滞留することがあるので、腐食性の材料は使用できない。実施形態の構造では、このような点を考慮し、樹脂ブロックを並べることで間隙水圧緩和空間Sを形成している。
・・・・(中略)・・・・
【0023】
このように多数の樹脂ブロックを並べて形成した樹脂ブロック層4は、全体が遮砂透水シート6で覆われている。「遮砂透水シート」という用語は一般的ではないが、地盤10の砂は遮断して通さないものの水は通すシートという意味である。
上記のように各樹脂ブロック5は、開口50を多数有する形状であり、内部に水が浸入し得る。液状化発生時には、高い間隙水圧によって上昇する水は、開口50を通して各樹脂ブロック5内に浸入するが、単に樹脂ブロック5を並べただけであると、周囲の砂(敷地の地盤10の砂)を巻き込んで浸入してしまう。こうなると、地盤10が削り取られたような状態になり、不同沈下を誘発してしまうことがあり得る。
【0024】
実施形態では、この問題を考慮し、遮砂透水シート6で樹脂ブロック層4を覆っている。一般に、砂とは、粒径が0.075mm?2mmの粒子のものを言うので、遮砂透水シート6としては、開孔の大きさが0.075mm以下であれば理論的に遮砂透水が可能である。しかしながら、そのように細かい開孔でなくとも実際には砂の遮断は可能であるし、また液状化が生じ易い砂の粒径がある範囲に入ることが既に報告されている。
・・・・(中略)・・・・
【0028】
次に、このような液状化対策構造の施工方法について、図3を使用して説明する。図3は、実施形態の免震構造を有する建築物の施工方法を示した概略図である。
まず、図3(1)に示すように、敷地1の地盤10を掘り下げ、底面を平らにする。そして、掘り下げて形成した凹部の底面及び側面を覆うようにして遮砂透水シート61を被せる。その後、底面に砕石72を敷き詰める。
【0029】
次に、図3(2)に示すように、砕石72の上に別の遮砂透水シート6を敷き、その上に樹脂ブロック5を並べていく。そして、並べた各樹脂ブロック5の上側に別の樹脂ブロック5を向かい合わせて(脚部52を互いに突き合わせるようにして)配置し、上下二段の樹脂ブロック層4を形成する。その上で、樹脂ブロック層4全体を遮砂透水シート6で覆う。遮砂透水シート6の端は、必要に応じて粘着テープ等で貼り合わせる。
次に、図3(3)に示すように、樹脂ブロック5の上に緩衝層7を施工する。即ち、リプラボード又はEPSボードを並べて載置し、樹脂ブロック層4の上側を覆った状態で敷き詰めて緩衝層7とする。また、敷地1を掘り下げて形成した凹部と樹脂ブロック層4の側面との間には、若干の空間が残るが、この空間には、砕石72が充填される。
【0030】
そして、図3(4)に示すように、緩衝層7の上に基礎2を施工し、基礎2の上に建物3を施工する。基礎2や建物3の施工法は、特に制限されるものではなく、適宜の工法を用いることができる。尚、基礎2を施工した後、樹脂ブロック層4の上側に空間では、基礎2の周囲を含めて埋め戻しがされ、適宜の高さの地表面とされる。このため、基礎2の一部や樹脂ブロック層4は、地中に埋設された状態となる。
【0031】
次に、実施形態の液状化対策構造の作用について説明する。図4は、実施形態の液状化対策構造の作用について示した正面断面概略図である。
実施形態の構造において、図4(1)に示すように、敷地1の地盤10は砂地層11となっており、且つ敷地1の地下の比較的浅い位置に地下水層12が存在している。この状態において、大きな地震が発生し、地震の振動により砂地層11,12がいったん緩んで大きな間隙水圧が地下水層12に生じたとする。この結果、図4(2)に示すように、地下水Wが急激に上昇し、液状化の発生となる。
【0032】
この際、図4(2)に示すように、上昇する地下水Wは、その多くが遮砂透水シート6,61を通って樹脂ブロック層4内の間隙水圧緩和空間Sに浸入する。このため、間隙水圧は、樹脂ブロック層4の部分で大幅に緩和される。この結果、地下水Wが地表面にまで達して噴砂となったり、地表面が液状化して基礎2や建物3が傾いてしまったりするのが防止される。
尚、樹脂ブロック層4の下側での砂地層11の液状化により、樹脂ブロック層4が全体に沈下し得る。但し、樹脂ブロック層4により上載圧は軽量化され且つ均等になっているので、沈下は小さく、また均等(同沈下)である。
・・・・(中略)・・・・
【0045】
上記の想定は、間隙水圧緩和空間Sの水平方向の領域(即ち、樹脂ブロック層4の水平方向の領域)が基礎2の占有領域Aと同じであることを前提にしている。液状化対策効果をより高くするには、基礎2の直下の領域を含めその領域より広い領域を間隙水圧緩和空間Sの領域とすることがより好ましい。この場合には、間隙水圧緩和空間Sの容積も大きくなるから、その分、高さhを小さくしてもよく、そのように設計されることもあり得る。また逆に、地下水量(0.2RT)に応じてhを十分に高くしておけば、基礎2の占有領域Aに比べて間隙水圧緩和空間Sの領域Rを小さくすることも可能である。
尚、上記想定において、地中水層12までの深さDは、季節に応じて変化し得る(例えば雨季には浅くなる)。従って、ボーリング調査の際の時期を考慮し、一年の平均的な値を過去のデータから推算して求めるようにする。
・・・・(中略)・・・・
【0065】
次に、構築物の施工領域と樹脂ブロック層4の大きさとの関係について、図12を使用して説明する。図12は、構築物の施工領域と樹脂ブロック層4の大きさとの関係について示した正面断面概略図である。
上述したように、樹脂ブロック層4は、間隙水圧緩和空間Sを形成することで間隙水圧を緩和し、液状化被害を防止するものである。従って、より大きなものとする方が、より多い量の上昇地下水を溜め込むことができるので好適である。この観点からは、図12(1)に示すように、構築物(建物3)の施工領域よりも大きな領域を占めるように樹脂ブロック層4を施工することが考えられる。」

イ 引用文献1に記載された発明
上記アより、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「敷地1の地盤10を掘り下げ、砂は遮断するが水は通す遮砂透水シート6,61の上に、ベース部51に多くの開口50が形成された樹脂ブロック5を並べて、樹脂ブロック層4とし、基礎2を施工した後、樹脂ブロック層4の上側の空間では、基礎2の周囲を含めて埋め戻し、基礎2の一部や樹脂ブロック層4が地中に埋設された状態とし、適宜の高さの地表面とした地盤10であり、
樹脂ブロック層4は、内部に水が進入することを想定し、水は長期間滞留することがある、間隙水圧緩和空間Sを形成するものであり、液状化対策効果をより高くするため、構築物(建物3)の施工領域よりも大きな領域を占めるように施工し、
敷地1の地下の地下水層12の地下水Wが地震の振動により上昇した際、上昇する地下水Wが、遮砂透水シート6,61を通して樹脂ブロック層4内の間隙水圧緩和空間S内に浸入することで、間隙水圧を緩和するとともに、地下水Wが地表面にまで達して噴砂となったり、地表面が液状化することを防止する、
地盤10。」

(3)対比・判断
本件補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1における「敷地1の地盤10」、又は該「地盤10」の「適宜の高さ」とした「地表面」は、本件補正発明における「地面」に相当する。
引用発明1における「敷地1の地下の地下水層12の地下水W」は、本件補正発明における「地面の下部の液体」に相当する。
引用発明1における「間隙水圧緩和空間S」は、「上昇する地下水W」が「内に浸入する」ことで「間隙水圧を緩和」する機能を発現する、「樹脂ブロック5」を並べて構成される構造物であるから、機構ということができ、本件補正発明における「地面の下部の液体を集める事が出来る機構」に相当する。
引用発明1において、「敷地1の地盤10を掘り下げ」たうえで、「間隙水圧緩和空間S」を形成する「樹脂ブロック層4」を施工した後、「樹脂ブロック層4」が「地中に埋設された状態」とすることは、本件補正発明における「機構」の「設置」に相当する。
引用発明1において、「樹脂ブロック層4内の間隙水圧緩和空間S」内に、「地震の震動」により「上昇する地下水W」が「浸入する」ことで、「間隙水圧を緩和するとともに、地下水Wが地表面にまで達して噴砂となったり、地表面が液状化することを防止する」ことは、本件補正発明において、「液体の変化する現象の状況を回避して安定化と為す」ことに相当する。
引用発明1において、「敷地1の地盤10」又は該「地盤10」の「適宜の高さ」とした「地表面」が、「地中に埋設」された「樹脂ブロック層4」によって、前述した「噴砂」や「液状化」を防止できる状態となっていることは、本件補正発明において、「地面」が「安定化と為す構成」であることに相当する。

整理すると、本件補正発明と引用発明1とは、
「地面の下部の液体を集める事が出来る機構を設置して液体の変化する現象の状況を回避して安定化と為す構成の地面。」
という全ての点で一致し、両者の間に相違点はない。
また、仮に両者の間に若干の相違点があったとしても、当該相違点は設計事項程度である。

したがって、本件補正発明は、引用発明1と同一である。
また、本件補正発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

よって、本件補正発明は、引用発明1と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、同項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができたものではない。
また、本件補正発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができたものではない。

(4)請求人の主張について
請求人は、審判請求書と同日に提出した意見書において、本発明の進歩性を明瞭にする補正を行った旨、原査定で示されたいずれの引用文献にも本件補正発明の技術は開示されておらず、示唆もされていない旨を主張している。
しかしながら、原査定で示された引用文件の一つである引用文献1に、上記(2)に示した引用発明1が記載されていること、上記(3)に示したとおり、本件補正発明と引用発明1とは同一であり、仮に相違点があったとしても設計事項程度であることから、請求人の主張を考慮しても、上記(3)の判断を覆すべき事情は見いだすことができない。

4 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同条同項の規定に違反するものである。
また本件補正は、仮に特許法第17条の2第5項2号に掲げる事項を目的としたものと扱っても、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第159条1項の規定において読み替えて準用する同法第53条1項の規定により、却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件発明について
1 本件発明
本件補正は、上記のとおり却下され、また本件補正前の平成30年7月23日付け手続補正書による補正は、平成30年9月11日付けの決定により却下されているから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、平成30年5月10日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるものとなり、その記載は前記第2[理由]1(2)に示したとおりである。

2 原査定の拒絶の理由の概要
この出願の請求項1に係る発明に関する、原査定の拒絶の理由は、本件発明は、本願の出願の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、又は特開2010-112163号公報に記載された発明、若しくは特開平6-2337号公報に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する、というものである。
また、この出願の請求項1に係る発明に関する、原査定の拒絶の理由は、本件発明は、本願の出願の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明、又は特開2010-112163号公報に記載された発明、若しくは特開平6-2337号公報に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用文献1の記載事項、及び引用発明1
(1)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、上記第2[理由]3(2)アに示したとおりであり、引用文献1には、上記第2[理由]3(2)イに認定した引用発明1が記載されている。

4 対比・判断
本件発明と、引用発明1とを対比する。
引用発明1における「敷地1の地盤10」、又は該「地盤10」の「適宜の高さ」とした「地表面」は、本件発明における「地盤」、「地面」に相当する。
引用発明1における「敷地1の地下の地下水層12の地下水W」は、本件発明における「液体」に相当する。
引用発明1における「樹脂ブロック層4」の「間隙水圧緩和空間S」は、「敷地1の地盤10を掘り下げ」たうえで、「樹脂ブロック層4」が「地中に埋設された状態」とされ、「適宜の高さの地表面とした地盤10」の表面より下に配置された構成となっているから、本件発明における「地面、地盤の下部又は下面」に有する「構成」に相当する。また、引用発明1における「樹脂ブロック層4」の「間隙水圧緩和空間S」は、「上昇する地下水W」が「内に浸入する」とともに、「水は長期間滞留することがある」ものであるから、本件発明における「液体を溜める事が出来る構成」にも相当する。

整理すると、本件発明と引用発明1とは、
「地面、地盤の下部又は下面に、液体を溜める事が出来る構成を有する地面又は地盤。」
という全ての点で一致し、両者の間に相違点はない。
また、仮に両者の間に若干の相違点があったとしても、当該相違点は設計事項程度である。

したがって、本件発明は、引用発明1と同一である。
また、本件発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

よって、本件発明は、引用発明1と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、同項の規定により、特許を受けることができない。
また、本件発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


第4 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明1と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、同項の規定により特許を受けることができない。
また、本件発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は原査定の理由のとおり、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-08-26 
結審通知日 2019-09-03 
審決日 2019-09-19 
出願番号 特願2017-241263(P2017-241263)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E02D)
P 1 8・ 572- Z (E02D)
P 1 8・ 575- Z (E02D)
P 1 8・ 113- Z (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清藤 弘晃門 良成岡村 典子  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 西田 秀彦
有家 秀郎
発明の名称 地上、地下と地面  
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