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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61J
管理番号 1357673
異議申立番号 異議2019-700205  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-03-14 
確定日 2019-11-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6397061号発明「錠剤印刷方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6397061号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1,2〕について訂正することを認める。 特許第6397061号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6397061号(以下,「本件特許」という。)の請求項1及び2に係る特許についての出願は,平成26年5月28日にされた出願(特願2014-109859号)の一部を平成29年1月11日に新たな出願(特願2017-2484号)としたものであり,平成30年9月7日にその特許権の設定登録がされ,平成30年9月26日に特許掲載公報が発行された。
その後,その特許について,平成31年3月14日に特許異議申立人早房長隆により特許異議の申立てがされ,当審は,令和1年5月21日付けで取消理由を通知した。特許権者は,その指定期間内である令和1年7月17日に意見書の提出及び訂正の請求を行った。その訂正の請求に対して,当審は,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,特許異議申立人からは応答がなかった。

2 訂正の適否
(1)訂正の内容(下線は訂正箇所を示す。)
特許権者は,本件特許の特許請求の範囲の請求項1を,以下の事項により特定されるとおりに訂正することを請求する(訂正事項1)。
「【請求項1】
表面に割線が刻設された錠剤に対して印刷処理を行う錠剤印刷方法であって,
搬送されている搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の一方面を撮像する第1撮像工程と,
搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の他方面を撮像する第2撮像工程と,
前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された画像データに基づいて,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第1印刷工程と,
前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された前記画像データに基づいて,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第2印刷工程と,
を備えることを特徴とする錠剤印刷方法。」(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)
また,特許権者は,本件特許の特許請求の範囲の請求項2について,以下の事項により特定されるとおりに訂正することを請求する(訂正事項2)。
「【請求項2】
請求項1記載の錠剤印刷方法において,
前記第1印刷工程の後であって前記第2印刷工程の前に搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の一方面を撮像する第3撮像工程をさらに備え,
前記第3撮像工程にて取得された画像データに基づいて搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の位置ずれを検出し,その検出した位置ずれに基づいて前記第2印刷工程での搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のそれぞれに対する印刷位置を調整することを特徴とする錠剤印刷方法。」
さらに,特許権者は,本件特許の明細書の段落【0009】,【0011】,及び【0012】について,以下のとおりに訂正することを請求する(訂正事項3?5)。
(訂正事項3)
「【0009】
上記課題を解決するため,請求項1の発明は,表面に割線が刻設された錠剤に対して印刷処理を行う錠剤印刷方法において,搬送されている搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の一方面を撮像する第1撮像工程と,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の他方面を撮像する第2撮像工程と,前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された画像データに基づいて,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第1印刷工程と,前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された前記画像データに基づいて,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに,搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第2印刷工程と,を備えることを特徴とする。」
(訂正事項4)
「【0011】
また,請求項2の発明は,請求項1の発明に係る錠剤印刷方法において,前記第1印刷工程の後であって前記第2印刷工程の前に搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の一方面を撮像する第3撮像工程をさらに備え,前記第3撮像工程にて取得された画像データに基づいて搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の位置ずれを検出し,その検出した位置ずれに基づいて前記第2印刷工程での搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のそれぞれに対する印刷位置を調整することを特徴とする。」
(訂正事項5)
「【0012】
請求項1および請求項2の発明によれば,搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の一方面および他方面を撮像して取得した画像データに基づいて,搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の表面および裏面に対して割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うため,割線が刻設された錠剤の裏面に対しても印刷処理を行うことができる。」

本件訂正請求は,特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項〔1,2〕に対して請求されたものである。また,本件特許の明細書に係る訂正は,前記一群の請求項〔1,2〕を対象とするものであり,同法第120条の5第9項において準用する同法第126条第4項に適合する。

(2)訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 請求項1及び2に係る訂正について(訂正事項1及び2)
請求項1及び2に係る「複数の錠剤」は,「搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤」を選択肢として含む上位概念であるから,「複数の錠剤」を「搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤」に変更する訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
次に,明細書の発明の詳細な説明には,「複数の錠剤」の具体例として「搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤」が示されている(【0044】,【0047】,【0052】,【0054】,【0069】,【0070】,【図2】,【図6】?【図10】)。よって,「複数の錠剤」を「搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤」とする発明は,明細書に記載された事項の範囲内のものであり,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないと認められる。
イ 段落【0009】,【0011】,【0012】の訂正について(訂正事項3?5)
「複数の錠剤」を「搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤」とする訂正は,訂正事項1及び2の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。そうすると,訂正事項3乃至5の訂正は,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(3)小括
以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は,特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条4項,並びに同条第9項において準用する同法第126条第4項乃至第6項の規定に適合する。
したがって,本件特許の明細書,特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1,2〕について訂正することを認める。

3 本件発明
上記2のとおり訂正の請求は認められるから,本件特許の請求項1及び2に係る発明(以下「本件発明1及び2」という。)は,訂正特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものである(上記2(1)参照。)。

4 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
本件発明1及び2に係る特許に対して,当審が令和1年5月21日に特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。
なお,特許異議の申し立てで申し立てられた理由はすべて通知された。
ア [理由1]本件発明1は,甲第1号証?甲第3号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。よって,本件発明1に係る特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり,取り消されるべきものである。
甲第1号証:国際公開2014/013973号
甲第2号証:国際公開2014/013974号
甲第3号証:特開2013-13711号公報
イ [理由2]本件発明1及び2に係る特許は,特許請求の範囲の記載が同法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,取り消されるべきものである。

(2)甲号証の記載
ア 甲第1号証には,図面と共に次の記載がある。
「【0006】
よって,本発明は,かかる事情に鑑み,搬送されている錠剤の両方側の面に印刷したり,搬送されている錠剤の一方側の面及び他方側の面のうち,所望の一方の面に印刷したりできる印刷機を提供することを課題とする。」
「【0012】
かかる構成によれば,第1の印刷判定部は,第1の撮像装置によって撮像された画像に基づいて,錠剤の前記一方側を向いた面に印刷するか否かを判定すると共に,第2の印刷判定部は,第2の撮像装置で撮像された画像に基づいて,錠剤の前記他方側を向いた面に印刷するか否かを判定する。これにより,印刷機は,各印刷判定部の判定に基づいて,搬送されている錠剤の両方側の面に印刷したり,搬送されている錠剤の前記一方側を向いた面及び前記他方側を向いた面のうち,所望の一方の面に印刷したりできる。」
「【0013】
また,前記錠剤が,前記一方側を向いた面及び前記他方側を向いた面の何れか一方に前記割線を有する場合がある。この場合,前記印刷機は,前記第1の撮像装置によって撮像された画像に基づいて,前記錠剤の一方側を向いた面の溝状の割線の有無を判定する第1の割線判定部と,前記第2の撮像装置によって撮像された画像に基づいて,前記割線の有無を判定する第2の割線判定部とを備える。そして,前記第1の印刷判定部は,前記第1の割線判定部が割線有りと判定した際に,当該錠剤の一方側を向いた面に印刷しないと判定し,前記第2の印刷判定部は,前記第2の割線判定部が割線有りと判定した際に,当該錠剤の他方側を向いた面に印刷しないと判定することが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば,搬送装置は,前記一方側を向いた面及び前記他方側を向いた面の何れか一方の面に,分割するための割線を有する錠剤を搬送する。また,第1の割線判定部は,第1の撮像装置で撮像された画像に基づいて,割線の有無を判定する。そして,第1の割線判定部が,割線有りと判定した際に,第1の印刷判定部は,当該錠剤の前記一方側を向いた面に印刷しないと判定する。
【0015】
また,第2の割線判定部は,第2の撮像装置で撮像された画像に基づいて,割線の有無を判定する。そして,第2の割線判定部が,割線有りと判定した際に,第2の印刷判定部は,当該錠剤の前記他方側を向いた面に印刷しないと判定する。これにより,印刷機は,搬送されている錠剤のうち,割線を有する側の面に印刷することを防止でき,割線を有していない側の面に印刷することができる。」
「【0034】
貯留装置21は,上方から給入された錠剤1を内部に貯留すると共に,貯留している錠剤1を下方から排出する。そして,搬入装置22は,錠剤1を搬送する方向(以下「搬送方向」という)Xに沿う部位を上部に有して無端回転する搬入ベルト221と,搬入ベルト221に載置される錠剤1を複数列(本実施形態において4列)に整列させる整列部222とを備える。これにより,搬入装置22は,複数列に整列した状態の錠剤1を搬送装置23に供給できる。
【0035】
搬送装置23は,錠剤1の上方側に接した状態で錠剤1を搬送方向Xに搬送する第1の搬送部24と,第1の搬送部24の下流側に配置され,錠剤1の下方側に接した状態で錠剤1を搬送方向Xに搬送する第2の搬送部25と,を備える。なお,図示していないが,搬送装置23は,搬入装置22で整列させた錠剤1の列数に応じて,複数(本実施形態では,例えば4つ)並列されている。それに伴って,各撮像印刷ユニット4,5も,搬送装置23の数に応じて,複数(本実施形態では,例えば4つずつ)並列されている。」
「【0062】
下方印刷判定部622bは,下方割線判定部622aの判定結果に基づいて判定する。具体的には,下方印刷判定部622bは,下方割線判定部622aが「割線無し」と判定した際に,下方印刷装置44によって当該錠剤1の下方側の面に「印刷する」と判定する。反対に,下方印刷判定部622bは,下方割線判定部622aが「割線有り」と判定した際に,下方印刷装置44によって当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。」
「【0068】
上方印刷判定部626bは,上方割線判定部626aの判定結果に基づいて判定する。具体的には,上方印刷判定部626bは,上方割線判定部626aが「割線無し」と判定した際に,上方印刷装置55によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷する」と判定する。反対に,上方印刷判定部626bは,上方割線判定部626aが「割線有り」と判定した際に,上方印刷装置44によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。」
「【0085】
また,本実施形態に係る印刷機において,搬送装置23は,分割するための割線11を一方側の面及び他方側の面の何れか一方に有する錠剤1を搬送する。また,下方割線判定部622aは,下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて,割線11の有無を判定する。そして,下方割線判定部622aが,「割線有り」と判定した際に,下方印刷判定部622bは,当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。
【0086】
また,上方割線判定部626aは,上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて,割線11の有無を判定する。そして,上方割線判定部626aが,「割線有り」と判定した際に,上方印刷判定部626bは,当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。これにより,印刷機は,搬送されている錠剤1のうち,割線11を有する面に印刷することを防止できる。即ち,印刷機は,割線11を有していない面に確実に印刷できる。」
「【0095】
図9に示す印刷機において,下方印刷判定部622bは,下方割線判定部622a及び下方検査部623の判定結果に基づいて判定する。具体的には,下方割線判定部622aが「割線有り」と判定する場合,及び,下方検査部623が異常と判定する場合のうち,何れか一つに該当する場合に,下方印刷判定部622bは,下方印刷装置44によって当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。
【0096】
また,上方印刷判定部626bは,下方検査部623,下方印刷検査部624,側方検査部625,上方割線判定部626a及び上方検査部627の判定結果に基づいて判定する。具体的には,上方割線判定部626aが「割線有り」と判定する場合,下方検査部623が異常と判定する場合,下方印刷検査部624が異常と判定する場合,側方検査部625が異常と判定する場合,及び上方検査部627が異常と判定する場合のうち,何れか一つに該当する場合に,上方印刷判定部626bは,上方印刷装置55によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。」
「【0113】
上記実施形態に係る印刷機において,各印刷装置44,45及び各印刷制御部622,626は,錠剤1の割線11の向きに関わらず,割線11が設けられた面と反対側の面に印刷する構成である。しかしながら,本発明に係る印刷機は,かかる構成に限られない。例えば,印刷機は,割線11がさまざまな位置(向き)の状態で,錠剤1が搬送されていても,割線11が設けられた面と反対側の面において割線11と対応する部位110を避けた状態で,当該部位110を基準として同じように印刷できる構成であってもよい。かかる構成の印刷機の5つの具体例が,以下に説明されている。
【0114】
まず,割線11と対応する部位110を基準として同じように印刷できる印刷機の第1の具体例が,図15?図20を参酌して,以下に説明されている。
【0115】
この印刷機では,上方撮像装置54が搬送装置23の上流側(例えば搬入装置22等)に配置されている。」
「【0121】
まず,上方割線判定部1622aは,上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて,割線11の有無を判定する(ステップ105b)。そして,錠剤1の上方側の面に割線11が有る場合(ステップ105bの「Y」),割線位置演算部1622dは,上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて,割線11が所定の位置に対して何度回転した角度であるかを演算する(ステップ105c)。その後,印刷情報演算部1622eは,印刷情報記憶部1622cに記憶されている印刷情報を呼び出し,呼び出した情報を,割線位置演算部1622dによって演算した角度だけ回転させるように演算する(ステップ105d)。そして,下方印刷装置44は,印刷情報演算部622eにおいて演算した情報に基づいて,錠剤1の下方側の面に印刷する。
【0122】
反対に,錠剤1の上方側の面に割線11が無い場合(ステップ105bの「N」),下方印刷が終了する。」
「【0124】
まず,下方割線判定部1626aは,下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて,割線11の有無を判定する(ステップ114b)。そして,錠剤1の下方側の面に割線11が有る場合(ステップ114bの「Y」),割線位置演算部1626dは,下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて,割線11が所定の位置に対して何度回転した角度であるかを演算する(ステップ114c)。その後,印刷情報演算部1626eは,印刷情報記憶部1626cに記憶されている印刷情報を呼び出し,呼び出した情報を,割線位置演算部1626dにおいて演算した角度だけ回転させるように演算する(ステップ114d)。上方印刷装置55は,印刷情報演算部1626eにおいて演算した情報に基づいて,錠剤1の上方側の面に印刷する。
【0125】
反対に,錠剤1の下方側の面に割線11が有る場合(ステップ114bの「N」),上方印刷が終了する。
【0126】
かかる構成によれば,割線11がさまざまな位置(向き)の状態で,錠剤1が搬送ベルト241によって搬送されていても,図19及び図20に示すように,下方印刷装置44は,割線11と対応する部位110を避けた状態で当該部位110を基準として,同じように印刷できる。例えば,印刷部位(符号)12は,錠剤1の割線11と対応する部位110に沿って印字されたものでもよい。具体的には,下方印刷装置44は,錠剤1における割線11の設けられた面と反対側の面102において,割線11と対応する部位110に対して一方側の領域113に第1の符号121を印刷すると共に,他方側の領域114に第2の符号122を印刷してもよい。
【0127】
同様に,割線11がさまざまな位置(向き)の状態で,錠剤1が搬送ベルト251によって搬送されていても,上方印刷装置55は,割線11と対応する部位110を避けた状態で当該部位110を基準として,同じように印刷できる。」
イ 上記記載及び図面の図示内容から,甲第1号証には,次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「割線が設けられた錠剤に対して印刷を行う錠剤印刷方法であって,
搬送されている錠剤の上方側の面を撮像し,
前記錠剤の下方側の面を撮像し,
上方撮像装置によって撮像された画像に基づいて,前記錠剤のうち上方側の面に割線がある錠剤の下方側の面に対して前記割線と対応する部位に沿って印刷を行い,
下方撮像装置によって撮像された画像に基づいて,前記錠剤のうち下方側の面に割線がある錠剤の上方側の面に対して前記割線と対応する部位に沿って印刷を行う,錠剤印刷方法。」
ウ さらに,甲第2号証には,図面と共に次の記載がある。
「【0105】
また,上記実施形態に係る印刷機において,各印刷装置44,55及び各印刷制御部622,626は,錠剤1の一方側(上記実施例では下方側)を向いた面及び他方側(上記実施例では上方側)を向いた面のうち,割線11を有する面に,印刷しない構成である。しかしながら,本発明に係る印刷機は,かかる構成に限られない。例えば,各印刷装置44,55及び各印刷制御部622,626は,錠剤1の割線11を有する面にも,印刷する構成でもよい。かかる構成の印刷機の6つの具体例が,以下に説明されている。」
「【0111】
まず,下方割線判定部622aは,下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて,割線11の有無を判定する(ステップ105b)。そして,錠剤1の下方側の面に割線11が無い場合(ステップ105bの「N」),印刷情報演算部622eが印刷情報記憶部622cに記憶されている印刷情報を呼び出し(ステップ105d),下方印刷装置44が,印刷情報演算部622eによって呼び出された情報を,錠剤1の下方側の面に印刷する。【0112】
反対に,錠剤1の下方側の面に割線11が有る場合(ステップ105bの「Y」),割線位置演算部622dは,下方撮像装置43によって撮像された画像に基づいて,割線11が所定の位置に対して何度回転した角度であるかを演算する(ステップ105c)。その後,印刷情報演算部622eは,印刷情報記憶部622cに記憶されている印刷情報を呼び出し,呼び出した情報を,割線位置演算部622dによって演算した角度だけ回転させるように演算する(ステップ105d)。そして,下方印刷装置44は,印刷情報演算部622eにおいて演算した情報に基づいて,錠剤1の下方側の面に印刷する。」
「【0114】
まず,上方割線判定部626aは,上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて,割線11の有無を判定する(ステップ114b)。そして,錠剤1の上方側の面に割線11が無い場合(ステップ114bの「N」),印刷情報演算部626eは,印刷情報記憶部626cに記憶されている印刷情報を呼び出す(ステップ114d)。上方印刷装置55は,印刷情報演算部626eによって呼び出された情報を,錠剤1の上方側の面に印刷する。
【0115】
反対に,錠剤1の上方側の面に割線11が有る場合(ステップ114bの「Y」),割線位置演算部626dは,上方撮像装置54によって撮像された画像に基づいて,割線11が所定の位置に対して何度回転した角度であるかを演算する(ステップ114c)。その後,印刷情報演算部626eは,印刷情報記憶部626cに記憶されている印刷情報を呼び出し,呼び出した情報を,割線位置演算部626dにおいて演算した角度だけ回転させるように演算する(ステップ114d)。上方印刷装置55は,印刷情報演算部626eにおいて演算した情報に基づいて,錠剤1の上方側の面に印刷する。
【0116】
かかる構成によれば,割線11がさまざまな位置の状態で,錠剤1が搬送ベルト241によって搬送されていても,図19及び図20に示すように,下方印刷装置44は,割線11を基準として,同じように印刷できる。したがって,例えば,印刷部位(符号)12は,錠剤1の割線11に沿って印字されたものでもよい。具体的には,下方印刷装置44は,錠剤1における割線11の設けられた面101において,割線11に対して一方側の領域111に第1の符号121を印刷すると共に,他方側の領域112に第2の符号122を印刷してもよい。」
「【0143】
次に,割線11を有する面にも印刷する印刷機の第6の具体例が,図32?図34を参酌して,以下に説明されている。尚,本具体例の錠剤1の表面は,図32?図34に示すように,一方側(図34では上側)を向いた面である第1の面101と,他方側(図34では下側)を向いた面である第2の面102と,第1の面101と第2の面102との周縁同士を接続する円筒状の周面103と,によって構成されている。また,本具体例の錠剤1では,割線11が第1の面101に設けられている。
【0144】
かかる印刷機において,錠剤1が割線11の設けられた第1の面101を下方に向けて第1の搬送部24によって搬送されている場合には,下方印刷装置45と上方印刷装置55とが錠剤1の各面101,102に対して以下の通りに印刷する。
【0145】
下方印刷装置45は,図32及び図34に示すように,第1の面101において,割線11に対して一方側(図32では左側)の第1領域111に第1の符号121を印刷すると共に,他方側(図32では右側)の第2領域112に第2の符号122を印刷する。この第2の符号122は,第1の符号121と異なる符合である。また,上方印刷装置55は,図33及び図34に示すように,第2の面102において,第1領域111と対応する第3領域(即ち,第1の面101の割線11と対応する部位110に対して一方側(図33では左側)の領域)113に第2の符号122を印刷すると共に,第2領域112と対応する第4領域(即ち,第1の面101の割線11と対応する部位110に対して他方側(図33では右側)の領域)114に第1の符号121を印刷する。
【0146】
一方,錠剤1が割線11のない第2の面102を下方に向けて第1の搬送部24によって搬送されている場合には,下方印刷装置45と上方印刷装置55が錠剤1の各面101,102に対して以下の通りに印刷する。
【0147】
下方印刷装置45は,第2の面102において,第3領域113に第1の符号121を印刷すると共に第4領域114に第2の符号122を印刷する。また,上方印刷装置55は,第1の面101において,第1の領域111に第2の符号122を印刷すると共に第2領域に第1の符号121を印刷する。
【0148】
かかる構成によれば,当該印刷機によって印刷された錠剤1は,割線11の位置において分割されたときにいずれの分割片においても第1の符号121と第2の符号122との両符号がそれぞれ印刷されている状態となる。」
エ 上記記載及び図面の図示内容から,甲第2号証には,次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「錠剤に印刷を行うに際し,
一方の面に割線を有する錠剤の両方の面に印刷を行うべく,
下方印刷装置で,下方側の面に割線のない錠剤の下方側の面に対して印刷を行うとともに下方側の面に割線がある錠剤の下方側の面に対しても印刷を行い,
上方印刷装置で,上方側の面に割線のない錠剤の上方側の面に対して印刷を行うとともに上方側の面に割線がある錠剤の上方側の面に対しても印刷を行い,
また,割線を有する面に印刷を行うに際しては,割線に沿って印刷を行うべく,
下方側の面に割線がある錠剤の下方側の面に対する上記の印刷を下方撮像装置によって撮像された画像に基づいて行い,
上方側の面に割線がある錠剤の上方側の面に対する上記の印刷を上方撮像装置によって撮像された画像に基づいて行う,錠剤印刷方法。」
オ 甲第3号証には,図面と共に次の記載がある。
「【0066】
<第1の搬送コンベア>
図13ないし図15は,第1の搬送コンベアを説明するための図である。
図13に示すように,第1の搬送コンベア4の上流端は,整列トラフ31の下流端の下方にオーバラップして配置されている。第1の搬送コンベア4は,搬送方向(図13左右方向)と直交する幅方向に所定の間隙4eを隔てて並設された複数本(ここでは8本)のタイミングベルト4aから構成されている。各間隙4eは,整列トラフ31の各溝31gの幅方向中央に配置されている。第1の搬送コンベア4の下方には,図14に示すように,当該第1の搬送コンベア4の幅方向および搬送方向に延在する支持プレート45が設けられている。支持プレート45の上面には,第1の搬送コンベア4の搬送方向に延びる8本の溝45aが一定間隔で形成されており,各溝45a内に各タイミングベルト4aがスライド自在に収容されている。」
「【0111】
<錠剤に対する検出・印刷・検査処理>
次に,第1,第2の搬送コンベア4,4’上の各錠剤Tに対する検出処理,印刷処理および検査処理について,図30ないし図35を用いて説明する。これらの図のうち,図30ないし図32は,第1の搬送コンベア4上の錠剤Tに対する各処理を,図33ないし図35は,第2の搬送コンベア4’上の錠剤Tに対する各処理をそれぞれ示している。
【0112】
各図においては,図示の便宜上,第1,第2の搬送コンベア4,4’上の各錠剤Tが,搬送方向と直交する幅方向に整列した状態を示している。実際の運転においては,第1,第2の搬送コンベア4,4’上の各錠剤Tは,搬送方向と直交する幅方向に整列しておらず,ランダムに配置されている。しかしながら,この場合でも,第1,第2の搬送コンベア4,4’の幅方向に隣り合う各錠剤Tの間隔は一定に維持されている。また,図示の簡略化のために,錠剤Tが幅方向に7列ではなく,4列で搬送される状態を示している。なお,錠剤Tとしては,一方の面に割線が形成された割線錠を例にとって示しており,ここでは,割線の形成されていない側の面にのみ印刷処理を施す場合を例にとって説明する。」「【0115】
各錠剤Tは,図30に示す検出位置において,第1の検出用ラインセンサカメラ5により検出される。このとき,各錠剤Tは,第1の検出用ラインセンサカメラ5のカメラレンズ51により撮影され,撮影された画像データがラインセンサ50により検出される。ラインセンサ50により検出された各錠剤Tの検出データには,錠剤Tの種別や位置,姿勢(向き),表裏の情報等を含んでいる。また,第1の検出用ラインセンサカメラ5による撮影は,錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期して行われる。」
「【0116】
第1の検出用ラインセンサカメラ5により検出された各錠剤Tは,図31に示すように,印刷位置において,第1のインクジェットプリンタ部6により印刷処理を受ける。このとき,第1のインクジェットプリンタ部6は,第1の検出用ラインセンサカメラ5で検出された各錠剤Tの検出データに基づいて,搬送中の各錠剤Tに印刷を行う。この例では,割線が形成された側の面には印刷処理が行われず,割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理が行われる。また,印刷時には,第1のインクジェットプリンタ部6による印字タイミングは,錠剤Tの移動速度(第1の搬送コンベア4の搬送速度)と同期しており,これにより,移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。」
「【0120】
このように,第1の搬送コンベア4上で検出・印刷・検査処理を受けた各錠剤Tは,反転装置8(図1)により表裏を反転されて,第2の搬送コンベア4’上に受け渡される。受け渡された各錠剤Tは,図33に示すように,第2の搬送コンベア4’により,複数列のまま図示矢印方向(第2の搬送方向)にランダムに搬送されてくる。このとき,各錠剤Tの表裏は,第1の搬送コンベア4上での表裏の状態と逆になっている。また,この場合でも,搬送方向と直交する幅方向において隣り合う各錠剤Tの間隔は一定である。
【0121】
各錠剤Tは,図33に示す検出位置において,第2の検出用ラインセンサカメラ5’により検出される。このとき,各錠剤Tは,第2の検出用ラインセンサカメラ5’のカメラレンズ51’により撮影され,撮影された画像データがラインセンサ50’により検出される。ラインセンサ50’により検出された各錠剤Tの検出データには,錠剤Tの位置や姿勢(向き),表裏の情報等を含んでいる。また,第2の検出用ラインセンサカメラ5’による撮影は,錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期して行われる。
【0122】
第2の検出用ラインセンサカメラ5’により検出された各錠剤Tは,図34に示すように,印刷位置において,第2のインクジェットプリンタ部6’により印刷処理を受ける。このとき,第2のインクジェットプリンタ部6’は,第2の検出用ラインセンサカメラ5’で検出された各錠剤Tの検出データに基づいて,搬送中の各錠剤Tに印刷を行う。この例では,割線が形成された側の面には印刷処理が行われず,割線が形成されていない側の面にのみ印刷処理が行われる。また,印刷時には,第2のインクジェットプリンタ部6’による印字タイミングは,錠剤Tの移動速度(第2の搬送コンベア4’の搬送速度)と同期しており,これにより,移動中の錠剤Tに正確に印刷処理を施すことができる。」
カ 上記記載及び図面の図示内容から,甲第3号証には,次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「割線が形成された錠剤に印刷するに際して,搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤を撮像し,搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤に印刷を行う,錠剤印刷方法」

(3)取消理由についての当審の判断
(3-1)理由2:特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
ア 請求項1及び2の記載に対するサポート要件違反の具体的な内容は次のとおりである。
「(1)請求項1には…(中略)…撮像や印刷処理の対象として「複数の錠剤」が特定されているものの,「複数の錠剤」がどのようなものであるかについては特定がない。
つまり,請求項1に記載された発明の「複数の錠剤」には,例えば搬送方向に沿った複数の錠剤が含まれる。
一方,発明の詳細な説明には,撮像や印刷処理の対象として,搬送方向と直交する方向の「複数の錠剤」が記載されているにすぎず(図2の記載等),搬送方向に沿った「複数の錠剤」は記載されていない。
そして,技術常識を考慮しても,搬送方向と直交する方向の「複数の錠剤」の記載から,請求項1の「複数の錠剤」にまで拡張ないし一般化できるものではない。
したがって,請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものでない。
(2)請求項2は請求項1を引用するものであり,そして,請求項2にも「複数の錠剤」についての特定はない。
したがって,上記(1)で述べたのと同様の理由により,請求項2に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものでない。」
イ これに対して、本件訂正の請求が認められたことにより、請求項1の「複数の錠剤」は「搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤」に訂正された。これは、明細書の「【0044】・・・搬送ドラム10には、搬送方向(搬送ドラム10の周方向)に垂直な方向、つまり搬送ドラム10の中心軸方向に沿って5列に吸着孔11が形設されている。従って、搬送ドラム10は、搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を整列させた5列にて複数の錠剤2を搬送する。本明細書では、搬送ドラム10の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した単位を「行」と表記する。」との記載からも明らかなように、発明の詳細な説明に記載された範囲内のものであるといえる。
したがって、請求項1の記載について、上記理由2の取消理由は理由のないものとなった。
また、請求項2は、請求項1を引用して記載するものであり、また、請求項2の「複数の錠剤」も上記した請求項1についての訂正と同様に「搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤」に訂正された。
したがって、請求項2の記載についても、上記理由2の取消理由は理由のないものとなった。
ウ 小括
以上のとおりであるから、請求項1及び2に係る特許は、上記理由2によっては,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないとすることはできない。

(3-2)理由1:特許法第29条第2項(進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア)本件発明1と甲1発明とを対比すると,
甲1発明の「割線が設けられた」は,明らかに本件発明1の「表面に割線が刻設された」に相当する。
以下同様に,
「印刷」は「印刷処理」に,
「上方側の面」は「一方面」に,
(上方側の面を)「撮像」することは「撮像する第1撮像工程」を備えることに,
「下方側の面」は「他方面」に,
(下方側の面を)「撮像」することは「撮像する第2撮像工程」を備えることに,
「上方撮像装置によって撮像された画像」は「前記第1撮像工程にて取得された画像データ」に,
「上方側の面に割線がある」は「他方面が裏面である」に,
「前記割線と対応する部位に沿って」は「前記割線に対して平行な方向に沿って」に,
(下方側の面に)「印刷を行」うことは,下方側の面に印刷を行う限りにおいて「印刷処理を行う第1印刷工程」を備えることに,
「下方撮像装置によって撮像された画像」は「前記第2撮像工程にて取得された画像データ」に,
「下方側の面に割線がある」は「一方面が裏面である」に,
(上方側の面に)「印刷を行」うことは,上方側の面に印刷を行う限りにおいて「印刷処理を行う第2印刷工程」を備えることに,
それぞれ相当する。
(イ)そうすると,本件発明1と甲1発明との一致点,相違点は次のとおりである。
【一致点】
「表面に割線が刻設された錠剤に対して印刷処理を行う錠剤印刷方法であって,
搬送されている錠剤の一方面を撮像する第1撮像工程と,
前記錠剤の他方面を撮像する第2撮像工程と,
前記第1撮像工程にて取得された画像データに基づいて,前記錠剤のうち他方面が裏面である錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行う第1印刷工程と,
前記第2撮像工程にて取得された前記画像データに基づいて,前記錠剤のうち一方面が裏面である錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行う第2印刷工程と,を備える錠剤印刷方法。」である点。
【相違点1】
撮像及び印刷処理の対象となる錠剤が,請求項1に係る発明は「搬送方向と垂直な方向の複数の」錠剤であるのに対し,甲1発明は,搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤かどうか不明である点。
【相違点2】
第1印刷工程において,請求項1に係る発明は他方面が表面である錠剤の表面に対しても印刷処理を行い,該印刷処理は,第1撮像工程及び第2撮像工程にて取得された画像データに基づいて,割線に対して平行な方向に行うのに対し,甲1発明は他方面が表面である錠剤の表面に対して印刷処理を行わない点。
【相違点3】
第2印刷工程において,請求項1に係る発明は一方面が表面である錠剤の表面に対しても印刷処理を行い,該印刷処理は,第1撮像工程及び第2撮像工程にて取得された画像データに基づいて,割線に対して平行な方向に行うのに対し,甲1発明は一方面が表面である錠剤の表面に対して印刷処理を行わない点。
(ウ)相違点の判断にあたり,まず,甲1発明において,本件発明1の相違点2及び3に係る発明特定事項を備えるように導かれる動機付けがあるかどうか検討する。
甲第1号証には,印刷処理に関し,「割線有りと判定した際に,…(中略)…面に印刷しないと判定することが好ましい。」(【0013】),「下方割線判定部622aが「割線有り」と判定した際に、下方印刷装置44によって当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する」(【0062】),「上方割線判定部626aが「割線有り」と判定した際に、上方印刷装置44によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。
」(【0068】),「下方割線判定部622aが、「割線有り」と判定した際に、下方印刷判定部622bは、当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。」(【0085】),「上方割線判定部626aが、「割線有り」と判定した際に、上方印刷判定部626bは、当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。」(【0086】),「下方割線判定部622aが「割線有り」と判定する場合、…(中略)…場合のうち、何れか一つに該当する場合に、下方印刷判定部622bは、下方印刷装置44によって当該錠剤1の下方側の面に「印刷しない」と判定する。」(【0095】),「上方割線判定部626aが「割線有り」と判定する場合、…(中略)…場合のうち、何れか一つに該当する場合に、上方印刷判定部626bは、上方印刷装置55によって当該錠剤1の上方側の面に「印刷しない」と判定する。」(【0096】)とあるように,甲1発明は,表面に割線を有する錠剤については,一貫して,錠剤の裏面には印刷するが割線を有する表面に対しては印刷しないようにするものである。
してみると,甲1発明には,そもそも錠剤の表面に割線がある場合において,本件発明1の相違点2及び3に係る発明特定事項を備えるよう,言い換えると,その錠剤の両面に印刷をするように導かれる動機付けがあるとはいえない。甲第1号証の【0006】には「搬送されている錠剤の両方側の面に印刷したり,搬送されている錠剤の一方側の面及び他方側の面のうち,所望の一方の面に印刷したりできる印刷機を提供することを課題とする。」という記載があり,錠剤の両面に印刷したりすることが他の印刷パターンとともに一般的な課題として示されているが,甲1発明のように表面に割線を有する錠剤についてはその裏面にのみ印刷するようにしたものについて,あえて両面に印刷を施そうとする動機を与えるほどの強い示唆とみることはできない。
さらに,第1撮像工程及び第2撮像工程にて取得された画像データに基づいて印刷処理を行う点は,甲第1号証?甲第3号証のいずれにも記載も示唆もされていない。
(エ)小括
以上のとおり、甲1発明において、相違点2及び3に係る本件発明1の発明特定事項を備えるように導かれる動機付けがあるとはいえないから、本件発明1は、甲1?甲3発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記「ア 本件発明1について」の理由と同様の理由により、甲1?甲3発明に基いて当業者が容易になし得たものではない。

ウ 上述のとおり,甲1発明において相違点2及び3に係る本件発明1の発明特定事項を備えるように導かれる動機付けがないのであるから,相違点2及び3に係る本件発明1の発明特定事項を備えることにより生じる効果は,当業者が予測する範囲を超えるものとなる。

エ まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1及び2は、甲1?甲3発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって,本件発明1及び2に係る特許は,上記理由1によっては特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとすることはできない。

5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
錠剤印刷方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に方向を識別するための割線が刻設された錠剤に対して印刷処理を行う錠剤印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品の錠剤には薬を識別するためのコードが印字されていることが多い。典型的には、錠剤に印字される識別コードは、例えば製造メーカーを表す会社コードや製品を区別するための製品コードなどである。このような識別コードは、主として医療機関や薬局において調剤のために用いられる。また、錠剤の誤飲防止(例えば、降圧剤と昇圧剤との誤飲防止)のために、患者にも明確に認識できるような表示を錠剤に付することもある。さらに、医薬品のトレーサビリティの目的で錠剤に番号を付するという要望もある。
【0003】
このような識別コードなどは錠剤の表面に刻印されることもあるが、視認性に問題があるために印刷によって錠剤に直接印字を行うことへのニーズが増加している。特許文献1,2には、インクジェットプリンタを用いた錠剤への印刷技術が提案されている。
【0004】
特許文献1には、ランダムに供給された複数のワーク(錠剤)を撮像して各ワークの位置および姿勢等の情報を検出し、そのワーク情報に基づいて各ワークに対する印刷パターンを作成することが開示されている。また、特許文献2には、ランダムに供給された複数の錠剤をラインセンサカメラによって撮像し、その画像データに基づいて錠剤の割線の向きに応じた印刷データを作成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-20325号公報
【特許文献2】特開2013-121432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に開示される錠剤への印刷技術では、錠剤の片面(例えば、特許文献2では割線が形成されている面)にのみ印刷処理を行っているが、錠剤の表裏両面に対して印刷処理を行うことも期待されている。錠剤の表裏両面に印刷処理を行う場合には、薬剤の偽造防止等の観点から表面と裏面とで同じ方向に印刷を行うことが望ましい。
【0007】
また、錠剤(特に、コーティングを施していない素錠)には半分に割るための割線が刻設されていることが多い。特許文献2には、割線の向きに合わせた印刷を行うことが開示されているが、錠剤の表面と裏面とで異なる方向に印刷を行っている場合には、錠剤を割線で半分に割ったときに裏面の印刷情報が分断されて情報価値を喪失するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、割線が刻設された錠剤の裏面に対しても印刷処理を行うことができる錠剤印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、表面に割線が刻設された錠剤に対して印刷処理を行う錠剤印刷方法において、搬送されている搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の一方面を撮像する第1撮像工程と、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の他方面を撮像する第2撮像工程と、前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された画像データに基づいて、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第1印刷工程と、前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された前記画像データに基づいて、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第2印刷工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る錠剤印刷方法において、前記第1印刷工程の後であって前記第2印刷工程の前に搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の一方面を撮像する第3撮像工程をさらに備え、前記第3撮像工程にて取得された画像データに基づいて搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の位置ずれを検出し、その検出した位置ずれに基づいて前記第2印刷工程での搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のそれぞれに対する印刷位置を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項2の発明によれば、搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の一方面および他方面を撮像して取得した画像データに基づいて、搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の表面および裏面に対して割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うため、割線が刻設された錠剤の裏面に対しても印刷処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る錠剤印刷装置の全体概略構成を示す図である。
【図2】搬送ドラムおよび第1搬送ベルトの外観を示す斜視図である。
【図3】図1の錠剤印刷装置における処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の錠剤印刷装置における処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】錠剤の平面図である。
【図6】第1割線カメラによる撮像結果の一例を示す図である。
【図7】第2割線カメラによる撮像結果の一例を示す図である。
【図8】第1インクジェットヘッドによる印刷処理結果の一例を示す図である。
【図9】第3割線カメラによる撮像結果の一例を示す図である。
【図10】第2インクジェットヘッドによる印刷処理結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る錠剤印刷装置1の全体概略構成を示す図である。この錠剤印刷装置1は、錠剤の表裏両面に対して印刷処理を行う装置である。なお、図1および図2には、それらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0016】
錠剤印刷装置1は、主たる要素として、ホッパー8、搬送ドラム10、第1搬送ベルト20、第2搬送ベルト30、第3搬送ベルト40、第1割線カメラ51、第2割線カメラ52、第3割線カメラ53、第1インクジェットヘッド61および第2インクジェットヘッド62を備える。また、錠剤印刷装置1は、装置に設けられた各駆動部を制御して錠剤に対する印刷処理を進行させる制御部3を備える。
【0017】
ホッパー8は、錠剤印刷装置1の筐体5の天井部上側に設けられている。ホッパー8は、多数の錠剤を一括して装置内に投入するための投入部である。ホッパー8から投入された複数の錠剤は、スライダー9によって搬送ドラム10に導かれる。なお、ホッパー8を除く他の要素は、錠剤印刷装置1の筐体5の内部に設けられている。
【0018】
図2は、搬送ドラム10および第1搬送ベルト20の外観を示す斜視図である。搬送ドラム(第1搬送部)10は、略円筒形状を有しており、図示省略の回転駆動モータによってY軸方向に沿った中心軸を回転中心として図1の紙面上で時計回りに回転される。図2に示すように、搬送ドラム10の外周面には複数の吸着孔11が形設されている。本実施形態では、搬送ドラム10の中心軸に沿って等間隔で5列に吸着孔11が形設されている。また、5列1組の吸着孔11が搬送ドラム10の外周面の周方向に沿って等間隔で複数行に設けられている。
【0019】
吸着孔11の形状は印刷処理の対象となる錠剤の形状に応じたものとなる。例えば、本実施形態では円盤形状の錠剤を処理するため、吸着孔11の形状も円形としている。吸着孔11のサイズは錠剤の大きさよりもやや大きい。例えば、円盤形状の錠剤の直径が約10mmであれば、吸着孔11の直径は約12mmとされる。
【0020】
複数の吸着孔11の底部には吸着孔11よりも小さな小孔が設けられており、複数の吸着孔11のそれぞれは当該小孔を介して搬送ドラム10の内部に設けられた吸引機構(図示省略)と連通している。その吸引機構を作動させることによって複数の吸着孔11のそれぞれに大気圧よりも低い負圧を作用させることができる。これにより、搬送ドラム10の各吸着孔11は1個の錠剤を吸着保持することができる。
【0021】
また、搬送ドラム10の内部には、第1搬送ベルト20に対向する部位の近傍にブロー機構が設けられている。当該ブロー機構は、吸着孔11の底部に設けられた上記の小孔に向けて加圧されたエアーを吹き付ける。ブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔11には大気圧よりも高い圧力を作用させることができる。これにより、吸着孔11による錠剤の吸着状態を解除することができる。このように、搬送ドラム10に設けられた複数の吸着孔11の全体には吸引機構によって吸引力を作用させつつも、第1搬送ベルト20に対向している5列1行の吸着孔11についてはブロー機構によって吸着を解除することができる。
【0022】
第1搬送ベルト(第2搬送部)20は、複数の保持板22をベルト状につなぎ合わせたものを一対のプーリに掛け渡して構成される。一対のプーリが図示省略の駆動モータによって回転駆動されることにより、複数の保持板22からなるベルト状体が図1の矢印にて示す向きに回走する。第1搬送ベルト20は、複数の保持板22からなるベルト状体の一部が搬送ドラム10の外周面に近接して対向するように設置されている。
【0023】
図2に示すように、複数の保持板22のそれぞれにはベルト幅方向(Y軸方向)に沿って等間隔で複数の吸着孔21が形設されている。本実施形態では、各保持板22にY軸方向に沿って5列に吸着孔21が形設されている。第1搬送ベルト20の吸着孔21自体の形状および大きさは搬送ドラム10の吸着孔11と同じである。また、各保持板22に5列に並べられた吸着孔21の間隔も搬送ドラム10の中心軸に沿って5列に並べられた吸着孔11の間隔と等しい。
【0024】
上記吸着孔11と同様に、複数の吸着孔21の底部には吸着孔21よりも小さな小孔が設けられており、複数の吸着孔21のそれぞれは当該小孔を介して第1搬送ベルト20の内部に設けられた吸引機構と連通している。その吸引機構を作動させることによって複数の吸着孔21のそれぞれに大気圧よりも低い負圧を作用させることができる。これにより、第1搬送ベルト20の各吸着孔21は1個の錠剤を吸着保持することができる。
【0025】
また、第1搬送ベルト20の内部には、後述する第2搬送ベルト30に対向する部位の近傍にブロー機構が設けられている。当該ブロー機構は、吸着孔21の底部に設けられた上記の小孔に向けて加圧されたエアーを吹き付ける。ブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔21には大気圧よりも高い圧力を作用させることができる。これにより、吸着孔21による錠剤の吸着状態を解除することができる。
【0026】
次に、第2搬送ベルト(第3搬送部)30および第3搬送ベルト(第4搬送部)40の構成は、第1搬送ベルト20と概ね同様である。すなわち、第2搬送ベルト30および第3搬送ベルト40はともに、複数の保持板をベルト状につなぎ合わせたものを一対のプーリに掛け渡して構成される。一対のプーリが図示省略の駆動モータによって回転駆動されることにより、第2搬送ベルト30および第3搬送ベルト40はそれぞれ図1の矢印にて示す向きに回走する。第2搬送ベルト30は、複数の保持板からなるベルト状体の一部が第1搬送ベルト20に近接して対向するように設置されている。同様に、第3搬送ベルト40は、複数の保持板からなるベルト状体の一部が第2搬送ベルト30に近接して対向するように設置されている。
【0027】
第2搬送ベルト30および第3搬送ベルト40の各保持板にもベルト幅方向(Y軸方向)に沿って等間隔で複数(本実施形態では5列)の吸着孔が形設されている。上記と同様に、第2搬送ベルト30の吸着孔には、第2搬送ベルト30の内部に設けられた吸引機構によって大気圧よりも低い負圧を作用させることができる。これにより、第2搬送ベルト30の各吸着孔は1個の錠剤を吸着保持することができる。また、第2搬送ベルト30の内部には、第3搬送ベルト40に対向する部位の近傍にブロー機構が設けられている。当該ブロー機構がエアーを吹き付けることによって第2搬送ベルト30の吸着孔に大気圧よりも高い圧力を作用させて当該吸着孔による錠剤の吸着状態を解除することができる。
【0028】
同様に、第3搬送ベルト40の吸着孔には、第3搬送ベルト40の内部に設けられた吸引機構によって大気圧よりも低い負圧を作用させることができる。これにより、第3搬送ベルト40の各吸着孔は1個の錠剤を吸着保持することができる。また、第3搬送ベルト40の内部には、3箇所にわたってブロー機構が設けられている。ブロー機構がエアーを吹き付けることによって第3搬送ベルト40の吸着孔に大気圧よりも高い圧力を作用させて当該吸着孔による錠剤の吸着状態を解除することができる。
【0029】
第3搬送ベルト40の3箇所のブロー機構は、いずれも下方または斜め下方に向けてエアーを吹き付ける。従って、3箇所のブロー機構のうち、良品ダクト48に対向する部位に設けられたブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔による錠剤の吸着状態を解除して当該錠剤を良品ダクト48に放出することができる。良品ダクト48に放出された錠剤は良品回収ボックス58に回収される。また、未検査ダクト47に対向する部位に設けられたブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔による錠剤の吸着状態を解除して当該錠剤を未検査ダクト47に放出することができる。未検査ダクト47に放出された錠剤は未検査ボックス57に回収される。さらに、不良品ダクト46に対向する部位に設けられたブロー機構がエアーを吹き付けることによって、吸着孔による錠剤の吸着状態を解除して当該錠剤を不良品ダクト46に放出することができる。不良品ダクト46に放出された錠剤は不良品ボックス56に回収される。
【0030】
次に、第1割線カメラ(第1撮像部)51、第2割線カメラ(第2撮像部)52および第3割線カメラ(第3撮像部)53は、いずれも所定領域を撮像するための撮像部であり、例えばCCDカメラである。第1割線カメラ51は、撮像エリアが搬送ドラム10の外周面となるように当該外周面に対向して設置されている。また、第1割線カメラ51は、スライダー9よりも搬送ドラム10の搬送方向に沿った下流側を撮像できる位置に設けられている。第1割線カメラ51は、搬送ドラム10の吸着孔11に吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。第1割線カメラ51の撮像エリアの大きさは適宜のものとすることが可能であるが、搬送ドラム10の円筒周面を撮像することとなるため、その円筒周面の広範囲にわたって焦点を合わせることは困難である。このため、第1割線カメラ51の撮像エリアは、少なくとも第1割線カメラ51に対向している5列1行の錠剤を撮像可能な大きさであれば良い。
【0031】
第2割線カメラ52は、撮像エリアが第1搬送ベルト20の搬送面となるように当該搬送面に対向して設置されている。第2割線カメラ52は、第1搬送ベルト20の搬送方向に沿って搬送ドラム10との対向位置よりも下流側であって、かつ、第1インクジェットヘッド61よりも上流側を撮像できる位置に設けられている。第2割線カメラ52は、第1搬送ベルト20によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。第2割線カメラ52の撮像エリアの大きさは適宜のものとすることが可能であり、少なくとも第2割線カメラ52に対向している5列1行の錠剤を撮像可能な大きさであれば良い。なお、搬送ドラム10とは異なり、第1搬送ベルト20の搬送面は略平面であるため、第2割線カメラ52の撮像エリアが広くてもその全面について焦点を合わせることも比較的容易である。
【0032】
第3割線カメラ53は、撮像エリアが第2搬送ベルト30の搬送面となるように当該搬送面に対向して設置されている。第3割線カメラ53は、第2搬送ベルト30の搬送方向に沿って第1搬送ベルト20との対向位置よりも下流側であって、かつ、第2インクジェットヘッド62よりも上流側を撮像できる位置に設けられている。第3割線カメラ53は、第2搬送ベルト30よって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。第3割線カメラ53の撮像エリアの大きさは適宜のものとすることが可能であり、少なくとも第3割線カメラ53に対向している5列1行の錠剤を撮像可能な大きさであれば良い。第2割線カメラ52についてと同様に、第2搬送ベルト30の搬送面は略平面であるため、第3割線カメラ53の撮像エリアが広くてもその全面について焦点を合わせることも比較的容易である。
【0033】
第1インクジェットヘッド61および第2インクジェットヘッド62は、複数の吐出ノズルを備えており、それら吐出ノズルからインクジェット方式によってインクの液滴を吐出する。インクジェットの方式は、ピエゾ素子(圧電素子)に電圧を加えて変形させてインクの液滴を吐出するピエゾ方式であっても良いし、ヒータに通電してインクを加熱することによってインクの液滴を吐出するサーマル方式であっても良い。本実施形態においては、医薬品の錠剤に印刷処理を行うため、第1インクジェットヘッド61および第2インクジェットヘッド62から吐出するインクとしては食品衛生法で認められている原料によって製造された可食性インクを使用する。また、第1インクジェットヘッド61および第2インクジェットヘッド62は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)および黒(K)の4色のインクを吐出可能であり、これらを混合することによってカラー印刷が可能である。
【0034】
第1インクジェットヘッド61は、第1搬送ベルト20の搬送方向に沿って第2割線カメラ52よりも下流側に設けられている。第1インクジェットヘッド61は、第1搬送ベルト20によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤に対して印刷処理を行う。また、第2インクジェットヘッド62は、第2搬送ベルト30の搬送方向に沿って第3割線カメラ53よりも下流側に設けられている。第2インクジェットヘッド62は、第2搬送ベルト30によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤に対して印刷処理を行う。なお、第1インクジェットヘッド61および第2インクジェットヘッド62は、それぞれ第1搬送ベルト20および第2搬送ベルト30の幅方向全域をカバーするフルラインヘッドであることが好ましい。
【0035】
また、錠剤印刷装置1は、第1検査カメラ71および第2検査カメラ72を備える。第1検査カメラ71および第2検査カメラ72としては、上述した割線カメラと同様に、例えばCCDカメラを用いることができる。第1検査カメラ71は、撮像エリアが第2搬送ベルト30の搬送面となるように当該搬送面に対向して設置されている。第1検査カメラ71は、第2搬送ベルト30の搬送方向に沿って第2インクジェットヘッド62よりも下流側を撮像できる位置に設けられている。第1検査カメラ71は、第2搬送ベルト30によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。なお、図1に示すように、第1検査カメラ71は第2搬送ベルト30の下方に設けられているが、第2搬送ベルト30は錠剤を吸着保持して搬送するため、錠剤が下側を向いている(吸着孔が下側に向けて開放されている)状態であっても当該錠剤は落下することなく搬送される。
【0036】
第2検査カメラ72は、撮像エリアが第3搬送ベルト40の搬送面となるように当該搬送面に対向して設置されている。第2検査カメラ72は、第3搬送ベルト40によって吸着保持されて搬送される複数の錠剤を撮像する。
【0037】
また、錠剤印刷装置1は、第1ヒータ76および第2ヒータ77を備える。第1ヒータ76および第2ヒータ77としては、例えば熱風を吹き付けて錠剤を加熱して乾燥させる熱風乾燥式ヒータを用いることができる。第1ヒータ76は、第1搬送ベルト20の搬送方向に沿って第1インクジェットヘッド61よりも下流側に設けられている。第1ヒータ76は、第1インクジェットヘッド61によって印刷処理が行われた錠剤に対して熱風を吹き付けて乾燥させる。
【0038】
第2ヒータ77は、第2搬送ベルト30の搬送方向に沿って第2インクジェットヘッド62よりも下流側に設けられている。第2ヒータ77は、第2インクジェットヘッド62によって印刷処理が行われた錠剤に対して熱風を吹き付けて乾燥させる。なお、第1ヒータ76および第2ヒータ77はそれぞれ第1搬送ベルト20および第2搬送ベルト30の下方に設けられているが、上述したのと同様に第1搬送ベルト20および第2搬送ベルト30は錠剤を吸着保持して搬送するため、錠剤が下側を向いている状態であっても当該錠剤は落下することなく搬送される。
【0039】
さらに、錠剤印刷装置1は、4つの清掃機構81,82,83,84を備える。搬送ドラム10、第1搬送ベルト20、第2搬送ベルト30および第3搬送ベルト40には、錠剤から生じた粉体が付着することがある。清掃機構81,82,83,84は、それぞれ搬送ドラム10、第1搬送ベルト20、第2搬送ベルト30および第3搬送ベルト40に付着した粉体を清掃する。清掃機構81,82,83,84としては、例えばエアーを吹き付けて周辺雰囲気を吸引回収するものを採用することができる。
【0040】
制御部3は、錠剤印刷装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって錠剤印刷装置1における錠剤に対する処理が進行する。また、制御部3は、第1割線カメラ51および第2割線カメラ52等によって取得された画像データに基づいて第1インクジェットヘッド61および第2インクジェットヘッド62を制御する印刷制御部としての機能も有している。
【0041】
次に、上記構成を有する錠剤印刷装置1における処理動作について説明する。図3および図4は、錠剤印刷装置1における処理動作の手順を示すフローチャートである。まず、錠剤印刷装置1のホッパー8に複数の錠剤を一括投入する(ステップS1)。錠剤の一括投入は、作業者がバケツなどを用いて手動で行うようにしても良いし、錠剤印刷装置1とは別体の搬送機構などによって自動で行うようにしても良い。但し、一括投入される複数の錠剤は全て同一種のものである。
【0042】
本実施形態では、複数の円盤形状の錠剤2がホッパー8に投入される。図5は、錠剤2の平面図である。錠剤2の片面には半分に割るための割線7が刻設されている。割線7は、円盤形状の錠剤2の径方向に沿って刻まれた溝である。割線7は錠剤2の片面のみに刻設されている。
【0043】
本実施形態では、割線7が設けられている側の面を錠剤2の表面とする。錠剤2の裏面には割線7は刻設されていない。なお、錠剤2の表面と裏面とでは薬剤としての性質に相違があるものではなく、単に区別のための便宜上、割線7が設けられている側の面を表面としているに過ぎない。
【0044】
ホッパー8に投入された複数の錠剤2はスライダー9によって搬送ドラム10に導かれ、複数の錠剤2が1個ずつ搬送ドラム10の吸着孔11に吸着保持される。搬送ドラム10には、搬送方向(搬送ドラム10の周方向)に垂直な方向、つまり搬送ドラム10の中心軸方向に沿って5列に吸着孔11が形設されている。従って、搬送ドラム10は、搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を整列させた5列にて複数の錠剤2を搬送する。本明細書では、搬送ドラム10の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した単位を「行」と表記する。すなわち、搬送ドラム10は、各吸着孔11に個別に錠剤2を吸着保持し、複数の錠剤2を5列複数行に整列させた状態にて搬送する(ステップS2)。なお、ホッパー8から投入された錠剤2を搬送ドラム10が5個ずつ円滑に吸着保持できるように、ホッパー8に複数の錠剤2を5個ずつ整列させて送給する整列機構を付設するようにしても良い。このような整列機構としては、例えばボールフォルダー方式の機構を採用することができる。
【0045】
次に、搬送ドラム10によって搬送されている複数の錠剤2を第1割線カメラ51が撮像する(ステップS3)。複数の錠剤2は、搬送ドラム10の吸着孔11に保持されて搬送ドラム10の周方向に沿って図1の紙面上で時計回りに搬送される。複数の錠剤2は、5列ずつ整列されて搬送されるものの、各錠剤2の表面が搬送ドラム10の内側(搬送ドラム10の中心側)を向いているか外側を向いているかは全くランダムである。また、円形の吸着孔11によって円形の錠剤2を保持することとなるため、錠剤2の方向性は任意となり、搬送ドラム10によって搬送される各錠剤2の割線7の向きも全くランダムである。第1割線カメラ51は、搬送ドラム10の外側から錠剤2を撮像する。よって、第1割線カメラ51によって撮像される複数の錠剤2には、第1割線カメラ51に対して表面を向けているものと裏面を向けているものとがランダムに含まれている。
【0046】
換言すれば、第1割線カメラ51は、搬送ドラム10によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像しているのである。ここで、「一方面」とは、錠剤2の表面であるか裏面であるかに関わりなく、搬送ドラム10によって搬送されている錠剤2の外側を向いている面である。
【0047】
また、第1割線カメラ51は、搬送ドラム10の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した行ごとに撮像を行う。このようにしている理由は、搬送ドラム10の外周面が円筒状であるため、複数行にわたって第1割線カメラ51の焦点を合わせることが困難であるというものである。
【0048】
図6は、第1割線カメラ51による撮像結果の一例を示す図である。第1割線カメラ51は、搬送ドラム10によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像する。各錠剤2が搬送ドラム10に吸着保持されるときに表面が外側を向くか内側を向くかはランダムであるため、第1割線カメラ51によって撮像される複数の錠剤2の一方面には割線7が形成された表面とその反対面である裏面とがランダムに含まれている。図6の例では、5列に配列された錠剤2のうち、左端と中央の錠剤2については表面が撮像され、その他の錠剤2については裏面が第1割線カメラ51によって撮像されている。第1割線カメラ51によって撮像された結果である図6に示す如き画像データは制御部3に伝達される。
【0049】
次に、第1割線カメラ51によって撮像された5列1行の錠剤2が搬送ドラム10によってさらに搬送されて第1搬送ベルト20に近接対向する位置に到達する。このときに、搬送ドラム10のブロー機構が当該5列1行の錠剤2が吸着保持されている5個の吸着孔11にエアーを吹き付けることによって当該5列1行の錠剤2に対する吸着状態を解除する。一方、搬送ドラム10に近接対向する位置における第1搬送ベルト20の保持板22の吸着孔21には負圧が作用している。従って、搬送ドラム10による吸着状態が解除された5列1行の錠剤2は、搬送ドラム10の吸着孔11から第1搬送ベルト20の吸着孔21に受け渡されて吸着保持されることとなる。このような錠剤2の受け渡しを確実に行うため、制御部3は、搬送ドラム10の搬送速度と第1搬送ベルト20の搬送速度とを等しくするとともに、吸着孔11と吸着孔21とが正確に対向するように双方の搬送部の動作を同期させる制御を行っている。
【0050】
搬送ドラム10から第1搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるとき、その錠剤2は回転等することなくそのまま移動する。すなわち、それぞれの錠剤2は割線7の方向を維持したまま搬送ドラム10から第1搬送ベルト20に受け渡されることとなる。
【0051】
また、搬送ドラム10から第1搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるときに、それぞれの錠剤2は表裏反転することとなる。すなわち、搬送ドラム10では割線7が形成された表面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は裏面を外側に向けて第1搬送ベルト20の吸着孔21に吸着保持される。逆に、搬送ドラム10では裏面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は表面を外側に向けて第1搬送ベルト20に吸着保持される。従って、搬送ドラム10によって搬送されていた各錠剤2はその方向を維持したまま表裏反転されて第1搬送ベルト20に受け渡されて搬送されるのである(ステップS4)。
【0052】
続いて、第1搬送ベルト20によって搬送されている複数の錠剤2を第2割線カメラ52が撮像する(ステップS5)。第1搬送ベルト20は、搬送ドラム10から表裏反転させて受け取った複数の錠剤2を搬送方向と垂直な方向に5列ずつ整列させて搬送している。第2割線カメラ52は、第1搬送ベルト20の外側から錠剤2を撮像する。よって、第2割線カメラ52によって撮像される複数の錠剤2にも、第2割線カメラ52に対して表面を向けているものと裏面を向けているものとがランダムに含まれている。但し、搬送ドラム10から第1搬送ベルト20に各錠剤2を受け渡すときに表裏が反転するため、第1割線カメラ51が撮像した各錠剤2の表裏と第2割線カメラ52が撮像した対応する錠剤2の表裏とは完全に逆となる。
【0053】
換言すれば、第2割線カメラ52は、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像しているのである。ここで、「他方面」とは、上述の一方面とは反対側の面という意味であり、錠剤2の表面であるか裏面であるかに関わりなく、第1搬送ベルト20によって搬送されている錠剤2の外側を向いている面である。
【0054】
第1搬送ベルト20の搬送面は略平面であるため、第2割線カメラ52は複数行にわたって錠剤2を撮像することも可能であるが、本実施形態では第1割線カメラ51の撮像範囲と整合するように、第2割線カメラ52も第1搬送ベルト20の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した行ごとに撮像を行う。
【0055】
図7は、第2割線カメラ52による撮像結果の一例を示す図である。第2割線カメラ52は、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像する。他方面は、第1割線カメラ51によって撮像される複数の錠剤2の一方面とは反対側の面である。よって、第1割線カメラ51によって表面が撮像された錠剤2については第2割線カメラ52で裏面が撮像される。逆に、第1割線カメラ51によって裏面が撮像された錠剤2については第2割線カメラ52で表面が撮像される。
【0056】
図7の例では、図6とは逆に、5列に配列された錠剤2のうち、左端と中央の錠剤2については裏面が撮像され、その他の錠剤2については割線7が形成された表面が第2割線カメラ52によって撮像されている。第2割線カメラ52によって撮像された結果である図7に示す如き画像データは制御部3に伝達される。なお、図7において、点線で示しているのは第1割線カメラ51によって撮像されて認識されている錠剤2の一方面側の割線7であり、第2割線カメラ52によって直接に撮像されるものではない。
【0057】
次に、第2割線カメラ52によって撮像された錠剤2が第1搬送ベルト20によってさらに搬送されて第1インクジェットヘッド61に対向する位置に到達する。そして、第1インクジェットヘッド61が錠剤2に対する印刷処理を行う(ステップS6)。ここで、制御部3は、第1割線カメラ51および第2割線カメラ52によって取得された画像データに基づいて第1インクジェットヘッド61による印刷処理を制御する。図8は、第1インクジェットヘッド61による印刷処理結果の一例を示す図である。
【0058】
上述したように、第1割線カメラ51は、搬送ドラム10によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像する。搬送ドラム10から第1搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるときに、全ての錠剤2の表裏が反転する。そして、第2割線カメラ52は、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像する。従って、全ての錠剤2について、第1割線カメラ51および第2割線カメラ52によって表裏両面が撮像されて画像データが取得されている。具体的には、第1割線カメラ51によって表面が撮像された錠剤2については第2割線カメラ52によって裏面が撮像される(図6,7の例では左端と中央の錠剤2)。逆に、第1割線カメラ51によって裏面が撮像された錠剤2については第2割線カメラ52によって表面が撮像される(図6,7の例では左から2番目、4番目、5番目の錠剤2)。
【0059】
第1インクジェットヘッド61は、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面に対して印刷処理を行うこととなる。制御部3は、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が表面である錠剤2(図7,8の例で左から2番目、4番目、5番目の錠剤2)に対しては表面用印刷データに基づいて第1インクジェットヘッド61に表面用印刷処理を行わせる。ここでは、表面用印刷データとして、例えば「ABCD」の文字データとする。
【0060】
また、制御部3は、当該錠剤2の表面に刻設された割線7に対する所定方向に沿って第1インクジェットヘッド61に表面への表面用印刷処理を行わせる。本実施形態では、錠剤2の表面の割線7と平行な方向に沿って第1インクジェットヘッド61が印刷処理を行う。第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が表面である錠剤2における割線7の方向については、第2割線カメラ52によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図8の実線で示す割線7の方向)。その結果、図8に示すように、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が表面である錠剤2については、表面に刻設された割線7と平行な方向に沿って「ABCD」という文字列が第1インクジェットヘッド61によって錠剤2の表面に印刷されることとなる。
【0061】
一方、制御部3は、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が裏面である錠剤2(図7,8の例で左端と中央の錠剤2)に対しては裏面用印刷データに基づいて第1インクジェットヘッド61に裏面用印刷処理を行わせる。ここでは、裏面用印刷データとして、例えば「1234」の文字データとする。
【0062】
また、制御部3は、当該錠剤2の表面に刻設されている割線7に対する上記所定方向と同一方向に沿って第1インクジェットヘッド61に当該錠剤2の裏面にも裏面用印刷処理を行わせる。本実施形態では、錠剤2の表面に対しては割線7と平行な方向に沿って印刷処理が行われており、錠剤2の裏面に対しても表面側の割線7と平行な方向に沿って第1インクジェットヘッド61が印刷処理を行う。第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が裏面である錠剤2の表面側における割線7の方向については、第1割線カメラ51によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図8の点線で示す割線7の方向)。その結果、図8に示すように、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2のうち他方面が裏面である錠剤2については、表面に刻設された割線7と平行な方向に沿って「1234」という文字列が第1インクジェットヘッド61によって錠剤2の裏面に印刷されることとなる。
【0063】
さらに、制御部3は、第2割線カメラ52によって取得された画像データに基づいて、第1インクジェットヘッド61による各錠剤2に対する印刷位置の微調整(修正)を行う。第1搬送ベルト20の吸着孔21のサイズは錠剤2の大きさよりもやや大きいため、搬送ドラム10から第1搬送ベルト20に錠剤2が受け渡されるとき、各錠剤2の方向性は維持されるものの、吸着孔21の範囲内で若干の位置のバラツキが生じる。制御部3は、第2割線カメラ52によって取得された画像データから吸着孔21内における各錠剤2の位置のずれを検出し、その検出結果に基づいて印刷位置の微調整を実行するのである。このようにして、複数の錠剤2の他方面に対する印刷処理が実行される。
【0064】
次に、他方面に対する印刷処理が行われた錠剤2が第1搬送ベルト20によってさらに搬送されて第1ヒータ76に対向する位置に到達する。図1に示す通り、第1ヒータ76は第1搬送ベルト20よりも下方に設置されており、錠剤2が第1ヒータ76に対向する位置に到達したときには、当該錠剤2は第1搬送ベルト20によって下向きに保持されていることとなる。第1搬送ベルト20は吸着孔21に負圧を作用させることによって錠剤2を吸着保持しているため、錠剤2を下向きに保持することも可能である。
【0065】
第1ヒータ76は、第1搬送ベルト20によって搬送される複数の錠剤2の他方面に対して熱風を吹き付けてそれら複数の錠剤2を乾燥させる(ステップS7)。このような乾燥処理を行うことによって、第1インクジェットヘッド61から複数の錠剤2に吐出されたインクを迅速に乾燥させてにじみを防止することができる。
【0066】
次に、第1ヒータ76によって乾燥された5列1行の錠剤2が第1搬送ベルト20によってさらに搬送されて第2搬送ベルト30に近接対向する位置に到達する。このときに、第1搬送ベルト20のブロー機構が当該5列1行の錠剤2が吸着保持されている5個の吸着孔21にエアーを吹き付けることによって当該5列1行の錠剤2に対する吸着状態を解除する。一方、第1搬送ベルト20に近接対向する位置における第2搬送ベルト30の吸着孔には負圧が作用している。従って、第1搬送ベルト20による吸着状態が解除された5列1行の錠剤2は、第1搬送ベルト20の吸着孔21から第2搬送ベルト30の吸着孔に受け渡されて吸着保持されることとなる。このような錠剤2の受け渡しを確実に行うため、制御部3は、第1搬送ベルト20の搬送速度と第2搬送ベルト30の搬送速度とを等しくするとともに、双方の搬送ベルトの吸着孔が正確に対向するように双方の搬送ベルトの動作を同期させる制御を行っている。
【0067】
第1搬送ベルト20から第2搬送ベルト30に錠剤2が受け渡されるとき、その錠剤2は回転等することなくそのまま移動する。すなわち、それぞれの錠剤2は割線7の方向を維持したまま第1搬送ベルト20から第2搬送ベルト30に受け渡されることとなる。
【0068】
また、第1搬送ベルト20から第2搬送ベルト30に錠剤2が受け渡されるときに、それぞれの錠剤2は表裏反転することとなる。すなわち、第1搬送ベルト20では割線7が形成された表面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は裏面を外側に向けて第2搬送ベルト30に吸着保持される。逆に、第1搬送ベルト20では裏面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は表面を外側に向けて第2搬送ベルト30に吸着保持される。従って、第1搬送ベルト20によって搬送されていた各錠剤2はその方向を維持したまま表裏反転されて第2搬送ベルト30に受け渡されて搬送されるのである(ステップS8)。
【0069】
続いて、第2搬送ベルト30によって搬送されている複数の錠剤2を第3割線カメラ53が撮像する(ステップS9)。第2搬送ベルト30は、第1搬送ベルト20から表裏反転させて受け取った複数の錠剤2を搬送方向と垂直な方向に5列ずつ整列させて搬送している。第3割線カメラ53は、第2搬送ベルト30の外側から錠剤2を撮像する。従って、第3割線カメラ53が撮像した各錠剤2の表裏は、第2割線カメラ52が撮像した対応する錠剤2の表裏とは完全に逆になる一方で、第1割線カメラ51が撮像した対応する錠剤2の表裏とは完全に一致する。すなわち、第3割線カメラ53は、第1割線カメラ51と同じく、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像しているのである。
【0070】
第2搬送ベルト30の搬送面は略平面であるため、第3割線カメラ53は複数行にわたって錠剤2を撮像することも可能であるが、本実施形態では第1割線カメラ51の撮像範囲と整合するように、第3割線カメラ53も第2搬送ベルト30の搬送方向と垂直な方向に5個の錠剤を配列した行ごとに撮像を行う。
【0071】
図9は、第3割線カメラ53による撮像結果の一例を示す図である。第3割線カメラ53は、第1割線カメラ51と同じく、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像する。よって、第3割線カメラ53による撮像結果は、第1割線カメラ51による撮像結果と概ね同じになる。特に、複数の錠剤2のそれぞれの方向性については、第3割線カメラ53による撮像結果と第1割線カメラ51による撮像結果とは完全に一致する。
【0072】
図9の例では、図6と同様に、5列に配列された錠剤2のうち、左端と中央の錠剤2については割線7が形成された表面が撮像され、その他の錠剤2については裏面が第3割線カメラ53によって撮像されている。第3割線カメラ53によって撮像された結果である図9に示す如き画像データは制御部3に伝達される。なお、図9において、点線で示しているのは第2割線カメラ52によって撮像されて認識されている錠剤2の他方面側の割線7であり、第3割線カメラ53によって直接に撮像されるものではない。
【0073】
但し、制御部3は、第3割線カメラ53によって取得された画像データから錠剤2の表面に刻設された割線7の方向についての認識は行わない。これは、一方面が表面である錠剤2については第1割線カメラ51によって取得された画像データから割線7の方向が既に認識されており、改めて行う必要性がないためである。むしろ、第3割線カメラ53によって取得された画像データから制御部3が割線7の方向を認識した場合には、後述する第2インクジェットヘッド62による印刷処理時に180°逆に印刷してしまう可能性がある。
【0074】
第3割線カメラ53による撮像は、第2搬送ベルト30によって吸着保持される複数の錠剤2の位置のバラツキを検出するために行われる。制御部3は、第3割線カメラ53によって取得された画像データから第2搬送ベルト30の吸着孔内における各錠剤2の位置のずれを検出する。
【0075】
次に、第3割線カメラ53によって撮像された錠剤2が第2搬送ベルト30によってさらに搬送されて第2インクジェットヘッド62に対向する位置に到達する。そして、第2インクジェットヘッド62が錠剤2に対する印刷処理を行う(ステップS10)。ここで、制御部3は、第1割線カメラ51および第2割線カメラ52によって取得された画像データに基づいて第2インクジェットヘッド62による印刷処理を制御する。図10は、第2インクジェットヘッド62による印刷処理結果の一例を示す図である。
【0076】
第2インクジェットヘッド62は、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面に対して印刷処理を行うこととなる。制御部3は、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が表面である錠剤2(図9,10の例で左端と中央の錠剤2)に対しては表面用印刷データに基づいて第2インクジェットヘッド62に表面用印刷処理を行わせる。ここでは、表面用印刷データは、上記と同様の「ABCD」の文字データである。
【0077】
また、制御部3は、当該錠剤2の表面に刻設された割線7に対する上記所定方向に沿って第2インクジェットヘッド62に表面への表面用印刷処理を行わせる。本実施形態では、錠剤2の表面の割線7と平行な方向に沿って第2インクジェットヘッド62が印刷処理を行う。第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が表面である錠剤2における割線7の方向については、第1割線カメラ51によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図10の実線で示す割線7の方向)。その結果、図10に示すように、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が表面である錠剤2については、表面に刻設された割線7と平行な方向に沿って「ABCD」という文字列が第2インクジェットヘッド62によって錠剤2の表面に印刷されることとなる。
【0078】
一方、制御部3は、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が裏面である錠剤2(図9,10の例で左から2番目、4番目、5番目の錠剤2)に対しては裏面用印刷データに基づいて第2インクジェットヘッド62に裏面用印刷処理を行わせる。ここでは、裏面用印刷データは、上記と同様の「1234」の文字データである。
【0079】
また、制御部3は、当該錠剤2の表面に刻設されている割線7に対する上記所定方向と同一方向に沿って第2インクジェットヘッド62に当該錠剤2の裏面にも裏面用印刷処理を行わせる。本実施形態では、錠剤2の表面に対しては割線7と平行な方向に沿って印刷処理が行われており、錠剤2の裏面に対しても表面側の割線7と平行な方向に沿って第2インクジェットヘッド62が印刷処理を行う。第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が裏面である錠剤2における表面側の割線7の方向については、第2割線カメラ52によって取得された画像データに画像処理を施すことによって制御部3が認識することができる(図10の点線で示す割線7の方向)。その結果、図10に示すように、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2のうち一方面が裏面である錠剤2については、表面に刻設された割線7と平行な方向に沿って「1234」という文字列が第2インクジェットヘッド62によって錠剤2の裏面に印刷されることとなる。
【0080】
さらに、制御部3は、第3割線カメラ53によって取得された画像データに基づいて、第2インクジェットヘッド62による各錠剤2に対する印刷位置の微調整(修正)を行う。上述したのと同様に、第1搬送ベルト20から第2搬送ベルト30に錠剤2が受け渡されるとき、各錠剤2の方向性は維持されるものの、吸着孔の範囲内で若干の位置のバラツキが生じる。制御部3は、第3割線カメラ53によって取得された画像データから第2搬送ベルト30の吸着孔内における各錠剤2の位置のずれを検出し、その検出結果に基づいて印刷位置の微調整を実行するのである。このようにして、複数の錠剤2の一方面に対する印刷処理が実行される。
【0081】
次に、一方面に対する印刷処理が行われた錠剤2が第2搬送ベルト30によってさらに搬送されて第1検査カメラ71に対向する位置に到達する。第1検査カメラ71は、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面を撮像し、第2インクジェットヘッド62による複数の錠剤2の一方面に対する印刷処理の結果を撮像する。第1検査カメラ71は、取得した画像データを制御部3に伝達する。制御部3は、第1検査カメラ71によって取得された画像データに基づいて、複数の錠剤2の一方面に対する第2インクジェットヘッド62の印刷処理結果を確認する(ステップS11)。
【0082】
続いて、一方面の印刷処理結果が検査された錠剤2が第2搬送ベルト30によってさらに搬送されて第2ヒータ77に対向する位置に到達する。第2ヒータ77は、第2搬送ベルト30によって搬送される複数の錠剤2の一方面に対して熱風を吹き付けてそれら複数の錠剤2を乾燥させる(ステップS12)。このような乾燥処理を行うことによって、第2インクジェットヘッド62から複数の錠剤2に吐出されたインクを迅速に乾燥させてにじみを防止することができる。
【0083】
次に、第2ヒータ77によって乾燥された5列1行の錠剤2が第2搬送ベルト30によってさらに搬送されて第3搬送ベルト40に近接対向する位置に到達する。このときに、第2搬送ベルト30のブロー機構が当該5列1行の錠剤2が吸着保持されている5個の吸着孔にエアーを吹き付けることによって当該5列1行の錠剤2に対する吸着状態を解除する。一方、第2搬送ベルト30に近接対向する位置における第3搬送ベルト40の吸着孔には負圧が作用している。従って、第2搬送ベルト30による吸着状態が解除された5列1行の錠剤2は、第2搬送ベルト30の吸着孔から第3搬送ベルト40の吸着孔に受け渡されて吸着保持されることとなる。このような錠剤2の受け渡しを確実に行うため、制御部3は、第2搬送ベルト30の搬送速度と第3搬送ベルト40の搬送速度とを等しくするとともに、双方の搬送ベルトの吸着孔が正確に対向するように双方の搬送ベルトの動作を同期させる制御を行っている。
【0084】
第2搬送ベルト30から第3搬送ベルト40に錠剤2が受け渡されるとき、その錠剤2は回転等することなくそのまま移動する。すなわち、それぞれの錠剤2は割線7の方向を維持したまま第2搬送ベルト30から第3搬送ベルト40に受け渡されることとなる。
【0085】
また、第2搬送ベルト30から第3搬送ベルト40に錠剤2が受け渡されるときに、それぞれの錠剤2は表裏反転することとなる。すなわち、第2搬送ベルト30では割線7が形成された表面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は裏面を外側に向けて第3搬送ベルト40に吸着保持される。逆に、第2搬送ベルト30では裏面を外側に向けて吸着保持されていた錠剤2は表面を外側に向けて第3搬送ベルト40に吸着保持される。従って、第2搬送ベルト30によって搬送されていた各錠剤2はその方向を維持したまま表裏反転されて第3搬送ベルト40に受け渡されて搬送されるのである(ステップS13)。
【0086】
続いて、第3搬送ベルト40によって搬送されている複数の錠剤2を第2検査カメラ72が撮像する。第3搬送ベルト40は、第1搬送ベルト20と同様に、複数の錠剤2の他方面を外側に向けてそれら複数の錠剤2を吸着保持している。よって、第2検査カメラ72は、第3搬送ベルト40によって搬送される複数の錠剤2の他方面を撮像し、第1インクジェットヘッド61による複数の錠剤2の他方面に対する印刷処理の結果を撮像する。第2検査カメラ72は、取得した画像データを制御部3に伝達する。制御部3は、第2検査カメラ72によって取得された画像データに基づいて、複数の錠剤2の他方面に対する第1インクジェットヘッド61の印刷処理結果を確認する(ステップS14)。
【0087】
最後に、表裏両面の検査が終了した錠剤2の仕分け処理が行われる(ステップS15)。ステップS11およびステップS14における表裏両面の検査結果に問題の無かった錠剤2、つまり良品の錠剤2についてはブロー機構からのエアー吹き付けによって良品ダクト48に投入される。良品ダクト48に放出された錠剤2は良品回収ボックス58に回収される。一方、表裏両面のいずれかの検査結果に問題のあった錠剤2、つまり不良品の錠剤2についてはブロー機構からのエアー吹き付けによって不良品ダクト46に投入される。不良品ダクト46に放出された錠剤2は不良品ボックス56に回収される。以上のようにして、錠剤印刷装置1における錠剤2への印刷処理が終了する。
【0088】
本実施形態においては、第1割線カメラ51および第2割線カメラ52によって取得された複数の錠剤2の表裏両面の画像データに基づいて、錠剤2の表面に対しては表面の割線7に対する所定方向に沿って表面用印刷処理を行うとともに、錠剤2の裏面に対しては裏面の上記所定方向と同一方向に沿って裏面用印刷処理を行っている。このため、錠剤2の表裏両面について、割線7に対して同じ方向に印刷処理を行うことができる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態においては、錠剤2の割線7と平行な方向に沿って表裏に印刷処理を行っていたが、これに限定されるものではなく、錠剤2の表裏に同一方向に印刷するのであれば割線7に対する任意の方向に印刷処理を行うことが可能である。
【0090】
また、印刷処理方向の基準となるのは割線7に限定されるものではなく、方向を識別するためのマークであれば良く、例えば錠剤2の表面に刻設された矢印のようなものであっても良い。方向を識別することができるマークであれば、そのマークに対する所定方向に沿って上記実施形態と同様の印刷処理を行うことができる。
【0091】
また、上記実施形態においては、錠剤2の表面に割線7を刻設していたが、上述したように単に便宜上割線7が設けられている側の面を表面としているに過ぎず、割線7が設けられている側の面を裏面としても良い。
【0092】
また、錠剤2の形状は円盤形状に限定されるものではなく、例えば略楕円形状や棒状など他の形状であっても良い。この場合、各搬送部の吸着孔は錠剤2の形状に応じたものとなる。
【0093】
また、上記実施形態においては、5列1行の単位で錠剤2を搬送するようにしていたが、これに限定されるものではなく、1列で錠剤2を搬送するようにしても良いし、2列以上の複数列にて錠剤2を搬送するようにしても良い。
【0094】
また、上記実施形態においては、第1割線カメラ51および第2割線カメラ52による検査結果に基づいて、錠剤2を良品または不良品に仕分けするようにしていたが、錠剤印刷装置1では検査を行わずに印刷処理のみを行うというモードを選択することも可能である。このようなモードが選択されているときには、印刷処理が行われた全ての錠剤2について第3搬送ベルト40から未検査ダクト47に投入される。未検査ダクト47に投入された錠剤2は未検査ボックス57に回収される。さらに、未検査の錠剤2についての検査処理のみを行うモードを錠剤印刷装置1に設定するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明に係る錠剤印刷方法は、割線が刻設された医薬品の錠剤などの表裏両面に印刷を行うのに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 錠剤印刷装置
2 錠剤
3 制御部
7 割線
8 ホッパー
10 搬送ドラム
20 第1搬送ベルト
30 第2搬送ベルト
40 第3搬送ベルト
51 第1割線カメラ
52 第2割線カメラ
53 第3割線カメラ
61 第1インクジェットヘッド
62 第2インクジェットヘッド
71 第1検査カメラ
72 第2検査カメラ
76 第1ヒータ
77 第2ヒータ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に割線が刻設された錠剤に対して印刷処理を行う錠剤印刷方法であって、
搬送されている搬送方向と垂直な方向の複数の錠剤の一方面を撮像する第1撮像工程と、
搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の他方面を撮像する第2撮像工程と、
前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された画像データに基づいて、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち他方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第1印刷工程と、
前記第1撮像工程および前記第2撮像工程にて取得された前記画像データに基づいて、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が裏面である各錠剤の当該裏面に対して前記割線に対して平行な方向に沿って印刷処理を行うとともに、搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のうち一方面が表面である各錠剤の当該表面に対して前記割線に対して平行な方向に印刷処理を行う第2印刷工程と、
を備えることを特徴とする錠剤印刷方法。
【請求項2】
請求項1記載の錠剤印刷方法において、
前記第1印刷工程の後であって前記第2印刷工程の前に搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の一方面を撮像する第3撮像工程をさらに備え、
前記第3撮像工程にて取得された画像データに基づいて搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤の位置ずれを検出し、その検出した位置ずれに基づいて前記第2印刷工程での搬送方向と垂直な方向の前記複数の錠剤のそれぞれに対する印刷位置を調整することを特徴とする錠剤印刷方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-10-29 
出願番号 特願2017-2484(P2017-2484)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (A61J)
P 1 651・ 121- YAA (A61J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 村上 勝見  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 寺川 ゆりか
莊司 英史
登録日 2018-09-07 
登録番号 特許第6397061号(P6397061)
権利者 株式会社SCREENホールディングス
発明の名称 錠剤印刷方法  
代理人 有田 貴弘  
代理人 有田 貴弘  
代理人 吉竹 英俊  
代理人 吉竹 英俊  
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