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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E02D
管理番号 1357702
異議申立番号 異議2019-700609  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-07-31 
確定日 2019-12-13 
異議申立件数
事件の表示 特許第6497659号発明「既存杭を利用した新設構造物の基礎構造およびその構築方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6497659号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6497659号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成27年8月7日に出願され、平成31年3月22日にその特許権の設定登録がされ、平成31年4月10日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和1年7月31日に特許異議申立人出川栄一郎(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。


2 本件発明
特許第6497659号の請求項1?5の特許に係る発明(以下「本件発明1」等といい、全体を「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
既存杭が残存する地盤の上に構築される新設構造物の基礎構造であって、
前記既存杭の沈下に対する沈下剛性を変更調整するために前記既存杭の上端部を置換して設けられ、前記既存杭の水平断面積とは異なる水平断面積を有し、前記新設構造物からの荷重を前記既存杭に伝達可能な杭頭部を備えることを特徴とする既存杭を利用した新設構造物の基礎構造。
【請求項2】
前記杭頭部の水平断面積は、前記既存杭の上端部を前記杭頭部に置換したことによる前記既存杭の沈下剛性と、その周辺の地盤の沈下剛性とが合うように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の既存杭を利用した新設構造物の基礎構造。
【請求項3】
前記既存杭の周辺の地盤に新設の杭または地盤改良体をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の既存杭を利用した新設構造物の基礎構造。
【請求項4】
前記杭頭部は、その直径(d)が前記既存杭の直径(D)と前記杭頭部の高さ(h)の2倍とを加えた長さ(D+2h)以上の円盤からなることを特徴とする請求項1?3のいずれか一つに記載の既存杭を利用した新設構造物の基礎構造。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか一つに記載の既存杭を利用した新設構造物の基礎構造を構築する方法であって、
前記既存杭の上端部の周辺の地盤を壺掘りして前記既存杭の上端部を切除した後、切除した部分を前記杭頭部に置換し、前記杭頭部および周辺の地盤の上に前記新設構造物を構築可能にしたことを特徴とする既存杭を利用した新設構造物の基礎構造の構築方法。」


3 申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として甲第1号証を、従たる証拠として甲第2号証?甲第9号証を提出して、請求項1?5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?5に係る特許を取り消すべきものである旨、主張している。
〔証拠〕
甲第1号証:特許第5181290号公報
甲第2号証:勝二理智・藤森健史、水平力を負担する既存杭の活用方法、大林組技術研究所報 No.77、2013年12月、株式会社大林組、1-7頁
甲第3号証:特許第6130991号公報
甲第4号証:特開2004-225487号公報
甲第5号証:特開2007-255168号公報
甲第6号証:脇田英治、杭の沈下推定式とそれを用いた基礎の設計、土木学会論文集 No.631、1999年9月、499-504頁
甲第7号証:梅野岳・鈴木裕美、歴史的建築物の基礎の補強事例、基礎工、2011年2月、61-64頁
甲第8号証:2011-236705号公報
甲第9号証:鉄筋コンクリート構造 計算基準・同解説 -許容応力度設計法- 1999、日本建築学会、2000年4月1日 第7版第2刷、257-259頁


4 証拠の記載事項
(1)甲第1号証
(下線は決定で付した。以下同様。)
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に残存する既存杭を利用する新設構造物の構造および構築方法に関する。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および2による既存杭を杭基礎として再利用し、新設構造物を構築する方法では以下のような問題があった。
既存構造物が存在している状態では、実際の既存杭の状況や設置位置が図面と一致しているかを確認することができない。そして、既存構造物の撤去後に、例えば、既存杭の劣化などによって既存杭が杭基礎として耐力が不十分であることや、既存杭の設置位置が図面と異なることなどが判明すると、新設構造物自体の設計変更を行わなければならないこともあり、新設構造物の設計や工期、コストなどに変更が生じてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、新設構造物は既存杭を杭基礎として利用する構造物ではなく、直接基礎構造物として既存杭の残存する地盤の上に構築することができる既存杭を利用した新設構造物の構造および構築方法を提供することを目的とする。」

ウ 「【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、既存杭の上端部の周辺の地盤を壺掘りして既存杭の上端部を切除し、埋め戻し材を配設した地盤に新設構造物が構築されるので、新設構造物は既存杭を杭基礎として利用せず、新設構造物を既存杭の残存した地盤の上に直接基礎構造物として構築することができる。」

エ 「【0011】
第一の実施の形態による既存杭を利用した新設構造物の構造は、図1に示すような、地盤Gに埋設された既存杭12に支持された既存構造物11が既存杭12を残して撤去され、図2に示すように、既存杭12の上端部12aの周辺の地盤Gが壺掘りされて既存杭12の上端部12aが切除され、図3に示すように、壺掘りされた地盤Gに埋め戻し材2が配設されて形成された複合地盤G1上に、図4に示すように、新設構造物10が構築される構成である。
【0012】
既存構造物11は、鉄筋コンクリートなどの構造物で、例えば柱状の地盤改良体や現場打ちコンクリート杭などの既存杭12に支持されている。
切除される既存杭12の上端部12aの長さLは、既存杭12の杭径Dの1?3倍ほどの長さとする。
埋め戻し材2は、壺掘りされた地盤Gの周辺の地盤Gよりも剛性が低い材料とし、例えば砂、粘土、原位置発生土、流動化処理土などを採用する。
【0013】
新設構造物10は、例えば鉄筋コンクリートなどの構造物で、既存杭12を杭基礎としない直接基礎構造物である。新設構造物10と既存杭12とは、間に埋め戻し材2が配設されて連結しない構造である。新設構造物10を設計する際には、新設構造物10が構築される複合地盤G1の支持力や沈下量を算定し、支持力の不足や、新設構造物10の沈下量にばらつきが生じないかの検討を行う。
【0014】
複合地盤G1の沈下量の予測算定に関しては、例えば以下のような等価剛性評価法を用いて容易に算出することができる。
既存杭12の配設されている複合地盤G1を、既存杭12とその周囲の原地盤とからなる所定面積の単位周期構造体の集合体とし、単位周期構造体は剛性の異なる原地盤と既存杭12との複合体で、複合体全体の剛性を等価とみなせる剛性(以下、これを等価剛性という)を有する単一の均質体とみなす。また、単位周期構造体の面積に対する既存杭12の面積の比を改良率とする。
【0015】
そして、この等価剛性と改良率との関係を単位周期構造体の縦横比、既存杭12の剛性、原地盤の剛性をパラメータとして簡易チャート化し、これに基づいて改良率とこれに対応する等価剛性とを求め、その等価剛性と既存杭12の配設された複合地盤G1全体に作用する外力に基づいて複合地盤G1の等価剛性を算定する。沈下量の算定は上記等価剛性を用いて、有限要素解析もしくは梁バネモデルにより求めればよい。」

オ 「【0019】
次に、第二の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図5は、本発明の第二の実施の形態による既存杭を利用した新設構造物の一例を示す図である。
【0020】
第二の実施の形態による既存杭を利用した新設構造物の構造は、第一の実施の形態による既存杭を利用した新設構造物の構造において、地盤を補強する新設杭を配設した構成である。
図5に示すように、新設構造物20は、例えば鉄筋コンクリートなどの構造物で、既存杭12の残存する領域より広い範囲の地盤Gに接地して構築される。第一の実施の形態と同様に、新設構造物20が構築される地盤Gの支持力や沈下量が算定されて、地盤Gの支持力が不足している部分や、沈下量にばらつきが生じる部分に新設杭3を配設して複合地盤G2を形成する。
【0021】
新設杭3は、例えば現場打ちコンクリート杭や柱状の地盤改良体などで、地盤の補強材として配設される。新設杭3は、新設構造物20とは接続されず、新設杭3の配設する場所や形状、また数量は地盤Gの強度によって適宜設定される。そして、第二の実施の形態による既存杭を利用した新設構造物の構造では、新設杭3は地盤Gの既存杭12が残存する領域に既存杭12に混ざって配設されると共に、地盤Gの既存杭12の残存する領域を外れた新設構造物20の下にも配設される。」

カ 上記アないしオからみて、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「地盤Gに埋設された既存杭12に支持された既存構造物11が既存杭12を残して撤去され、既存杭12の上端部12aの周辺の地盤Gが壺掘りされて既存杭12の上端部12aが切除され、壺掘りされた地盤Gに埋め戻し材2が配設されて形成された複合地盤G1上に、新設構造物10が構築される、地盤中に残存する既存杭を利用する新設構造物の構造において、
埋め戻し材2は、壺掘りされた地盤Gの周辺の地盤Gよりも剛性が低い材料を採用し、
新設構造物10は、既存杭12を杭基礎としない直接基礎構造物であって、既存杭12との間に埋め戻し材2が配設されて連結しない構造であるから、設計する際には、新設構造物10が構築される複合地盤G1の支持力や沈下量を算定し、支持力の不足や、新設構造物10の沈下量にばらつきが生じないかの検討を行う、新設構造物の構造。」

(2)甲第2号証
ア 「2. 既存杭の活用方法
既存杭の活用方法として,・・・。また,既存杭の性能や配置等の制約から,既存杭と新築基礎の直接接合が困難な場合,それらを杭頭付近のソイルセメントを介して接合する非接触型の方法(ソイルセメント構法)も考えられる。」(1頁右下欄1?11行)

イ 「4. ソイルセメント構法
本章では,ソイルセメント構法を用いた場合の,耐震性に係る特性について検討する。既存杭を活用するにあたり,既存杭の性能や配置,計画上の制約から,新築基礎への直接接合が困難な場合がある。また,・・・このような場合,杭頭付近をソイルセメントで地盤改良することにより,合理的に既存杭を活用できることを実験的・解析的に示しており,ソイルセメント構法は有効であると考えられる。」(5頁左欄1?11行)

(3)甲第3号証
ア 「【0001】
本発明は、取り除かれた建物を支持していた既存杭を利用して構築した基礎構造に関する。」

イ 「【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の基礎構造は、取り除かれた建物を支持していた既存杭と、新たに設ける新設杭と、前記既存杭と前記新設杭とに支持される基礎スラブと、を有し、前記基礎スラブに対する前記新設杭の杭頭固定度は、前記基礎スラブに対する前記既存杭の杭頭固定度より低いことを特徴とする基礎構造である。
【0007】
このような基礎構造によれば、基礎スラブを支持する新設杭の基礎スラブに対する杭頭固定度は、基礎スラブに対する既存杭の杭頭固定度より低いので、例えば地震等による曲げモーメントや水平剪断力は、新設杭よりも既存杭の応力負担が大きくなる。すなわち、曲げモーメントや水平剪断力は、より既存杭に負担されるので、既存杭の性能を十分に活用させることが可能である。
【0010】
かかる基礎構造であって、前記新設杭の杭頭と前記既存杭の杭頭とは、前記基礎スラブ内に埋設されており、前記基礎スラブ内に埋設されている前記新設杭の前記杭頭の外径は、前記基礎スラブ内に埋設されている前記既存杭の前記杭頭の外径より小さいことが望ましい。」

ウ 「【0042】
図5は、本発明に係る基礎構造の第4実施形態を説明するための概略図である。図6は、第4実施形態の変形例を説明するための概略図である。
【0043】
第4実施形態の基礎構造においては、既存杭10及び既存杭10と基礎スラブ20との接合は、第1、第2実施形態と同じなので説明を省略する。
【0044】
第4実施形態の新設杭34は、杭頭34aの外径dと、他の部位34bの外径と同じであるが、新設杭34の杭頭34aは基礎スラブ20に埋め込まれることなく基礎スラブ20を構築する際に、基礎スラブ20の下に設けられた地盤改良体26内に配置されている。 地盤改良体26とは、例えば、基礎スラブ20とほぼ同じ厚みに、既存杭10及び新設杭の34周囲を取り囲むように打設されたソイルセメントの部材である。すなわち、既存杭10は、地盤改良体26を貫通するとともに、基礎スラブ20内に、基礎スラブ20の厚みTのほぼ半分まで埋め込まれており、新設杭34は基礎スラブ20に至ることなく、地盤改良体26内に地盤改良体26の厚みVのほぼ半分まで埋め込まれている。
【0045】
第4実施形態の基礎構造によれば、新設杭34は地盤改良体26を介して基礎スラブ20と接合されるので、基礎スラブ20と新設杭34との接合部の強度は、基礎スラブ20と直接繋がった既存杭10の接合部の強度より低くなる。このため、新設杭34の方が既存杭10より曲げや水平剪断力に対する耐力が小さくなり、新設杭34に負担させる曲げや水平剪断力が低減されるため、既存杭10の性能を十分に活用することが可能である。また、基礎スラブ20の下に地盤改良体26を設け、既存杭10の杭頭10aを基礎スラブ20内に埋設し、新設杭34の杭頭34aを地盤改良体26内に埋設することにより、容易に、基礎スラブ20に対する新設杭34の杭頭固定度が、基礎スラブ20に対する既存杭10の杭頭固定度より低い基礎構造を実現することが可能である。この場合には、地盤改良体26を介さないで接合された既存杭10と基礎スラブ20との接合が、剛接合に相当し、地盤改良体26を介して接合された新設杭12と基礎スラブ20との接合が、半剛接合に相当する。」


5 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致している。
〔相違点〕本件発明1は、既存杭の沈下に対する沈下剛性を変更調整するために前記既存杭の上端部を置換して設けられ、前記既存杭の水平断面積とは異なる水平断面積を有し、新設構造物からの荷重を前記既存杭に伝達可能な杭頭部を備えるのに対し、甲1発明は、そのような特定がない点。

イ 判断
(ア)まず、申立人が提出した甲第2号証ないし甲第9号証をみると、各甲号証には、上記相違点に係る構成は記載されておらず、かつ、該構成を示唆する記載もない。
よって、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第9号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)続いて、申立人の主張について検討する。
a 申立人は、特許異議申立書(17頁下から3行?19頁4行)において、
・沈下剛性を変更調整するために既存杭の上端部を「他の物」に置換するという考え方は、甲第1号証に記載され、甲第2号証には、既存杭の水平断面積とは異なる水平断面積を有し、新設構造物(新築基礎)からの荷重を既存杭に伝達可能な杭頭部(ソイルセメント)が記載されており、甲第1号証において、置換する「他の物」として剛性の低い材料である埋め戻し材2の代わりに、ソイルセメントを用いることは、甲第2号証を見た当業者であれば容易に思いつく、すなわち、ソイルセメントを介して既存杭を新築基礎と接合すれば、容易に本件発明1に想到する、
・甲第2号証(論文)に対応した特許文献となっていると考えられる甲第3号証の図5において、符号26で表されている地盤改良体は、段落【0044】に記載があるようにソイルセメントであって、つまり、符号26で表されている部材(ソイルセメント)が、「新設構造物(新築基礎)からの荷重を既存杭に伝達可能」という要件と「既存杭の水平断面積とは異なる水平断面積を有する」という要件を備えた杭頭部となっているから、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、
と主張している。

b しかしながら、甲1発明は、切除された既存杭12の上端部12aに、上端部12aの周辺の壺掘りされた地盤Gも併せて、地盤Gよりも剛性が低い材料である埋め戻し材2を配設したことにより、「新設構造物10は、既存杭12を杭基礎としない直接基礎構造物であって、既存杭12との間に埋め戻し材2が配設されて連結しない構造」となっており、「設計する際には、新設構造物10が構築される複合地盤G1の支持力や沈下量を算定し、支持力の不足や、新設構造物10の沈下量にばらつきが生じないかの検討を行う」ものである。
してみると、甲第1号証において、既存杭の上端部を「他の物」に置換することが示唆されているとしても、甲1発明の上記構造等からみて、甲1発明の既存杭12から切除した上端部12aに、新設構造物10の荷重を既存杭12に伝達可能な構成を採用しようとは、当業者が容易に気付くものではない。

c そして、甲第2号証に記載のソイルセメントは、杭頭付近を地盤改良して、既存杭と新築基礎を接合するものであって、また、甲第3号証に記載の地盤改良体26は、新設杭34と基礎スラブ20を接合するものであり、既設杭10と基礎スラブ20とは直接繋がっているから、甲第2号証に記載のソイルセメント及び甲第3号証に記載の地盤改良体は、上記相違点に係る「前記既存杭の沈下に対する沈下剛性を変更調整するため」に設けられた「前記既存杭の水平断面積とは異なる水平断面積を有」する「杭頭部」とはいえない。

d したがって、甲1発明において、申立人が主張する「他の物」として、甲第2号証に記載の「ソイルセメント」や甲第3号証に記載の「地盤改良体」に代える動機付けは存在せず、しかも、仮に代えることができたとしても、上記相違点に係る本件発明1の構成にはならないから、申立人の主張は採用できない。

(2)本件発明2?本件発明5について
本件発明2?本件発明5は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに構成を限定したものであるから、上記(1)に示した理由と同様の理由により、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第9号証に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。


6 むすび、
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によって、請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-12-02 
出願番号 特願2015-157345(P2015-157345)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (E02D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石川 信也  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 小林 俊久
住田 秀弘
登録日 2019-03-22 
登録番号 特許第6497659号(P6497659)
権利者 清水建設株式会社
発明の名称 既存杭を利用した新設構造物の基礎構造およびその構築方法  
代理人 酒井 宏明  

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