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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する G07F
管理番号 1357944
審判番号 訂正2019-390108  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-09-17 
確定日 2019-12-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6550181号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6550181号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6550181号は、平成30年9月21日に特許出願され、令和1年7月5日に特許請求の範囲の請求項1ないし18に係る発明について、特許権の設定登録(令和1年7月24日特許掲載公報発行)されたものである。
そして、令和1年9月17日付けで本件訂正審判が請求がされ、同年10月23日付けで審判請求書を対象とする手続補正書(方式)が提出された。

第2 請求の趣旨
令和1年10月23日付け手続補正により補正された本件審判請求の趣旨は、特許第6550181号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容
請求人が求める訂正の内容は次のとおりである。なお、以下において、願書に添付した明細書を「特許明細書」、特許請求の範囲を「本件特許の特許請求の範囲」という。また、本件特許の特許請求の範囲の請求項1?18を「訂正前」の請求項1?18ということもある。また、当審にて訂正箇所に下線を付した。

1 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1における「1台の提供ユニットと複数台の案内ユニットとを具備し、」を「複数台の提供ユニットと1台の案内ユニットとを具備し、」に訂正する。請求項1を引用する請求項2?18も同様に訂正する。

2 訂正事項2
特許明細書の段落【0006】に「1台の提供ユニットと複数台の案内ユニットとを具備し、」とあるのを「複数台の提供ユニットと1台の案内ユニットとを具備し、」と訂正する。

第4 当審の判断
訂正事項1?2について検討する。

1 訂正の目的の適否
(1)訂正事項1について
ア 特許明細書等の記載事項等について
(ア)特許明細書には、以下の記載がある(下線は当審にて付与した。以下同様。)。
「【0009】
本発明に係る物品提供装置は、複数台または1台の提供ユニット10(図1を参照)と1台の案内ユニット20(図2を参照)とを組み合わせて構築され(図3および図10を参照)、需要者の要求に応じて物品を提供する装置である。」
「【0022】
次に、図3を用いて、提供ユニット10と案内ユニット20とを組み合わせて構築された物品提供装置(一構築例)の構成について説明する。」
「【0023】
図3に示した物品提供装置は、5台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20とを組み合わせて構築されたものであって、下段に3台の提供ユニット10が並び、上段に2台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20が並んでおり、案内ユニット20が提供ユニット10に挟まれた配置形態を有している。先に述べたように提供ユニット10と案内ユニット20は左右方向寸法および上下方向寸法が同じか略同じであるため、物品提供装置の前面視輪郭は矩形状である。」
「【0027】
次に、図4?図9を用いて、図3に示した物品提供装置の動作について、作用効果を交えて説明する。」
「【0030】
前記チェックにより、5台の提供ユニット10の物品収容部12全てに物品ARが有るときには、前記管理信号は「全てが提供可能」に係るものとなる。この場合には、案内ユニット20の画像表示部22に、図4(C)に示した物品選択画面S2、すなわち、操作手順を示すメッセージ「欲しい物品をタッチ」の他に、提供可能を表す第1画像としての5個のカラー画像(物品紹介用のテキスト等を含んでいてもよい)Ia1?Ia5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示される(図4(A)のステップST4)。ちなみに、物品選択画面S2の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。」
「【0031】
一方、前記チェックにより、5台の提供ユニット10の物品収容部12の一部に物品ARが無いときには、前記管理信号は「一部が提供不可能」に係るものとなる。例えば3番目の提供ユニット10の物品収容部12に物品ARが無い場合には、案内ユニット20の画像表示部22に、図4(D)に示した物品選択画面S2、すなわち、操作手順を示すメッセージ「欲しい物品をタッチ」の他に、提供不可能を表す第2画像としての1個のモノクロ画像Ia3’と、提供可能を表す第1画像としての4個のカラー画像Ia1、Ia2、Ia4およびIa5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示される(図4(A)のステップST4)。前記モノクロ画像Ia3’にはカラー画像Ia3のモノクロ版を好ましく使用できるが、提供不可能を表す専用のモノクロ画像を用いてもよい。ちなみに、物品選択画面S2の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。」
「【0051】
図3には、5台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20とを上下2段に組み合わせて構築した物品提供装置を示したが、上段の提供ユニット10の台数を3台以上とし、下段の提供ユニット10の台数を4台以上としてもよい。また、図3に示した下段3台の提供ユニット10と同台数の提供ユニット10を上段の上にさらに積み重ねて、上下3段の物品提供装置を構築してもよいし、この場合には上段の提供ユニット10の台数を4台以上とし、中段の提供ユニット10の台数を3台以上とし、下段の提供ユニット10の台数を4台以上としてもよい。」
「【0052】
また、図3には、物品提供装置として案内ユニット20が提供ユニット10に挟まれた配置形態を有するものを示したが、提供ユニット10の台数が少ない場合や設置スペースが小さい場合等では、図10(A)示したように案内ユニット20が上段の端に位置するような配置形態や、図10(B)および図10(C)に示したように案内ユニット20が一段並びの端に位置するような配置形態を採用してもよい。」

(イ)本件特許の特許請求の範囲には、以下の記載がある。
「【請求項1】
需要者の要求に応じて物品を提供可能な物品提供装置であって、
1台の提供ユニットと複数台の案内ユニットとを具備し、
前記提供ユニットは、物品を収容するための物品収容部であって、手前に引き出すことによって物品の収容が行えるようになっている物品収容部と、前記物品収容部に収容されている物品を提供するための物品提供部とを備え、
前記案内ユニットは、前記物品収容部に収容されている物品の収容状況を管理するための収容状況管理部と、前記収容状況管理部からの管理信号に基づいて物品収容情報を提示するための情報提示部とを備え、
前記情報提示部は、画像表示部を含み、前記管理信号が提供可能に係るものである場合に第1画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示する一方、前記管理信号が提供不可能に係るものである場合に前記第1画像とは異なる第2画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示するように構成され、前記画像表示部に表示される前記第1画像と前記第2画像は前記提供ユニットの配置位置に対応したレイアウトを有する、
物品提供装置。」
「【請求項2】
前記案内ユニットは、前記物品の提供に係る代金の支払いを受け付ける代金受付部と、
前記代金受付部による代金の受付を条件として、前記物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させるための提供制御部とをさらに備える、
請求項1に記載の物品提供装置。」
「【請求項3】
前記案内ユニットは、前記物品の提供に係る代金を支払うための代金決済部と、前記代金決済部による代金決済を管理する決済管理部と、前記決済管理部からの決済完了信号に基づいて前記物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させるための提供制御部とをさらに備える、
請求項1または2に記載の物品提供装置。」
「【請求項6】
前記案内ユニットは、複数台の前記提供ユニットの何れかの選択を行うための選択部をさらに備え、
前記提供制御部は、前記受付部による代金の受付を条件として、前記選択部により選択された提供ユニットの物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させる、
請求項2に記載の物品提供装置。」
「【請求項7】
前記案内ユニットは、複数台の前記提供ユニットの何れかの選択を行うための選択部をさらに備え、
前記提供制御部は、前記代金決済部による代金決済を条件として、前記選択部により選択された提供ユニットの物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させる、
請求項3に記載の物品提供装置。」

イ 「1台の提供ユニット」を「複数台の提供ユニット」に訂正することについて
(ア)上記アに示すように、本件特許の特許請求の範囲の請求項1には、「1台の提供ユニットと複数台の案内ユニットとを具備し、」と記載されている。一方で、請求項1を間接的に引用する請求項6又は7にはそれぞれ「前記案内ユニットは、複数台の前記提供ユニットの何れかの選択を行うための選択部をさらに備え、」と記載されている。そうすると、当該請求項1と請求項6又は7とは「提供ユニット」が「1台」であるか「複数台」であるかで技術的に矛盾しており、いずれかに誤記が存在するものと認められる。

(イ)ここで、本件特許の特許請求の範囲の請求項1,6及び7はいずれも、少なくとも「前記情報提示部は、画像表示部を含み、前記管理信号が提供可能に係るものである場合に第1画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示する一方、前記管理信号が提供不可能に係るものである場合に前記第1画像とは異なる第2画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示するように構成され、前記画像表示部に表示される前記第1画像と前記第2画像は前記提供ユニットの配置位置に対応したレイアウトを有する」構成(以下「構成A」という。)を含むものである。

(ウ)また、特許明細書には、当該構成Aに対応した物品提供装置について、【0022】に「図3を用いて、提供ユニット10と案内ユニット20とを組み合わせて構築された物品提供装置(一構築例)の構成について説明する」と記載され、【0023】に「図3に示した物品提供装置は、5台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20とを組み合わせて構築されたものであって」と記載され、【0027】に「次に、図4?図9を用いて、図3に示した物品提供装置の動作について、作用効果を交えて説明する」と記載され、【0030】に「前記管理信号は『全てが提供可能』に係るものとなる。この場合には、案内ユニット20の画像表示部22に、・・・(中略)・・・提供可能を表す第1画像としての5個のカラー画像(物品紹介用のテキスト等を含んでいてもよい)Ia1?Ia5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示される(図4(A)のステップST4)」と記載され、【0031】に「前記管理信号は『一部が提供不可能』に係るものとなる。例えば3番目の提供ユニット10の物品収容部12に物品ARが無い場合には、画像表示部22に、・・・(中略)・・・提供不可能を表す第2画像としての1個のモノクロ画像Ia3’と、提供可能を表す第1画像としての4個のカラー画像Ia1、Ia2、Ia4およびIa5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示される(図4(A)のステップST4)」と記載されている。

(エ)上記(ウ)から、特許明細書には、上記構成Aに対応した物品提供装置として、「前記管理信号は『全てが提供可能』に係るものとなる」場合には、「画像表示部22」に、「提供可能を表す第1画像としての5個のカラー画像」「Ia1?Ia5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示され」、「前記管理信号は『一部が提供不可能』に係るものとなる」、「例えば3番目の提供ユニット10の物品収容部12に物品ARが無い場合には」、「画像表示部22」に、「提供不可能を表す第2画像としての1個のモノクロ画像Ia3’と、提供可能を表す第1画像としての4個のカラー画像Ia1、Ia2、Ia4およびIa5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示される」、「5台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20とを組み合わせて構築された」「物品提供装置(一構築例)」が記載されている。
したがって、特許明細書には、上記構成Aに対応した物品提供装置として、複数台の提供ユニットを具備するものが「一構築例」で示されている。一方で、特許明細書には、上記構成Aに対応した提供ユニットが1台の物品提供装置は記載されていない。

(オ)ここで、上記請求項6又は7と、「一構築例」の特許明細書の上記構成Aに対応した物品提供装置とは、共に「提供ユニット」が「複数台」であるから技術的に整合する一方、上記請求項1と「一構築例」の物品提供装置とは、「提供ユニット」が「1台」であるか「複数台」であるかで整合しない。

(カ)そして、訂正事項1のように、訂正前の請求項1に「1台の提供ユニットと・・・を具備し、」とあるのを、訂正後の「複数台の提供ユニットと・・・を具備し、」とすれば、上記(ア)の矛盾は解消するものとなる。

ウ 「複数台の案内ユニット」を「1台の案内ユニット」に訂正することについて
上記「ア(ア)」に示す【0009】、【0023】、【0051】及び【0052】、本件特許の図3,10のいずれにおいても、「物品提供装置」として「1台の案内ユニット20」が示されている。一方で、物品提供装置として複数台の案内ユニットを具備することは、特許明細書、本件特許の図面のいずれにも記載されていない。以上から、物品提供装置は1台の案内ユニットにより構築されることが理解できる。
しかしながら、訂正前の請求項1には、「複数台の案内ユニット」が記載されているから、当該記載は、特許明細書及び本件特許の図面の内容と矛盾し、かつ技術的に見ても整合しないものとなっている。
訂正事項1のように、訂正前の請求項1に「・・・複数台の案内ユニットとを具備し、」とあるのを、訂正後の「・・・1台の案内ユニットとを具備し、」とすれば、上記矛盾は解消し、かつ技術的に見ても整合するものとなる。

エ 以上のとおりであるから、訂正事項1のように、訂正前に「1台の提供ユニットと複数台の案内ユニットとを具備し、」とあるのを、訂正後に「複数台の提供ユニットと1台の案内ユニットとを具備し、」とすれば、特許明細書及び本件特許の特許請求の範囲における請求項6,7並びに本件特許の図面との矛盾は解消し、かつ技術的にも整合するものとなる。
よって、訂正事項1は、誤記を訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号の「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1と同様の事項を訂正をするものであるから、訂正事項1と同様に、誤記の訂正に該当し、特許法第126条第1項ただし書第2号の「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。

2 訂正事項が願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるかについて
願書に最初に添付した明細書【0023】には「図3に示した物品提供装置は、5台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20とを組み合わせて構築されたものであって」との記載があるから、願書に最初に添付した明細書には「複数台の提供ユニットと1台の案内ユニットとを具備し」との事項が示されているといえる。
したがって、訂正事項1及び2は、いずれも願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。

3 特許請求の範囲の実質的な拡張・変更がないかについて
訂正事項1及び2は、上記1のとおり、正しい記載内容が明らかである誤記を、正しい内容に訂正するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

4 特許法第126条第7項の「訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるもの」であるかについて
訂正事項1及び2は、誤記の訂正を目的とするものであるので、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができることが要件となるところ、訂正後における特許請求の範囲の請求項1-18に記載されている事項により特定される各発明を拒絶すべき理由を発見しないので、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではない。

第5 むすび
本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
物品提供装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要者の要求に応じて物品を提供可能な物品提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、硬貨投入後にハンドルを回転させることにより、ハンドル回転による提供機構の動作によってケースに収容されているカプセル等の物品を取出口に提供できるようにした装置が開示されている。
【0003】
前記装置のケースに収容可能な物品数は有限であるため、物品が提供可能な状態にあるか否かは需要者自らがケースを覗き込んで物品の収容状況を事前に確認することが望ましいが、ケースに収容されている物品が日陰になっている場合やケースが半透明の場合等では前記の事前確認が充分に行えず、結果として所期の物品提供に支障を生じる懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-326081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、物品の収容状況を需要者に提示して所期の物品提供を支障無く行えるようにした物品提供装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品提供装置は、需要者の要求に応じて物品を提供可能な物品提供装置であって、複数台の提供ユニットと1台の案内ユニットとを具備し、前記提供ユニットは、物品を収容するための物品収容部であって、手前に引き出すことによって物品の収容が行えるようになっている物品収容部と、前記物品収容部に収容されている物品を提供するための物品提供部とを備え、前記案内ユニットは、前記物品収容部に収容されている物品の収容状況を管理するための収容状況管理部と、前記収容状況管理部からの管理信号に基づいて物品収容情報を提示するための情報提示部とを備え、前記情報提示部は、画像表示部を含み、前記管理信号が提供可能に係るものである場合に第1画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示する一方、前記管理信号が提供不可能に係るものである場合に前記第1画像とは異なる第2画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示するように構成され、前記画像表示部に表示される前記第1画像と前記第2画像は前記提供ユニットの配置位置に対応したレイアウトを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る物品提供装置によれば、物品の収容状況を需要者に提示して所期の物品提供を支障無く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1(A)は本発明に係る提供ユニットの前面図、図1(B)は同提供ユニットの側面図、図1(C)は同提供ユニットの制御系のブロック図である。
【図2】図2(A)は本発明に係る案内ユニットの前面図、図2(B)は同案内ユニットの側面図、図2(C)は同案内ユニットの制御系のブロック図である。
【図3】図3は図1に示した提供ユニットと図2に示した案内ユニットとを組み合わせて構築された物品提供装置(一構築例)の前面図である。
【図4】図4(A)?図4(D)は図3に示した物品提供装置の動作説明図である。
【図5】図5(A)および図5(B)は図3に示した物品提供装置の動作説明図である。
【図6】図6(A)および図6(B)は図3に示した物品提供装置の動作説明図である。
【図7】図7(A)?図7(D)は図3に示した物品提供装置の動作説明図である。
【図8】図8(A)および図8(B)は図3に示した物品提供装置の動作説明図である。
【図9】図9(A)および図9(B)は図3に示した物品提供装置の動作説明図である。
【図10】図10(A)?図10(C)は図3に示した物品提供装置(一構築例)と配置形態が異なる物品提供装置(他の構築例)の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る物品提供装置は、複数台または1台の提供ユニット10(図1を参照)と1台の案内ユニット20(図2を参照)とを組み合わせて構築され(図3および図10を参照)、需要者の要求に応じて物品を提供する装置である。
【0010】
まず、図1を引用して、提供ユニット10の構成と制御系について説明する。
【0011】
図1(A)および図1(B)に示したように、提供ユニット10は筐体11の上部に物品収容部12を備えており、その下に物品提供部13を有し、前面に操作部としての回転可能なハンドル14を備えている。
【0012】
物品収容部12には、多数の物品AR、例えば分割可能な球状カプセル内に玩具等が納められたものが収容される。物品収容部12は透明と半透明と不透明のいずれでもよく、当該物品収容部12の前面、好ましくは前面の内側には、収容されている物品ARに対応した広告等の印刷物(図示省略)を装着可能な印刷物装着部12aが設けられている。また、物品収容部12のロックを解除し、物品収容部12を手前に引き出すことによって物品収容部12への物品ARの収容が行えるようになっている。
【0013】
物品提供部13は、特許文献1に開示されているものと同様、提供孔付きの回転板と、当該回転板をハンドル14の回転操作に基づいて回転させる歯車機構とを有しており、ハンドル14を所定角度回転させることによって、物品収容部12に収容されている物品ARのうちの1個を回転板の提供孔を通じて取出口11aに提供できる機能を有している。
【0014】
本発明にあっては、前記物品提供部13を後記決済管理部26からの決済完了信号に基づいて提供不可能状態から提供可能状態に変化させる必要があることから、当該物品提供部13には状態切替のための機構、例えばソレノイドを用いたロック機構によって前記回転板またはハンドル14を回転不能状態としソレノイドへの通電によってロックを解除して前記回転板またはハンドル14を回転可能状態とする機構等から成る提供制御部(図示省略)が付加されている。なお、代金の支払い(硬貨での支払い)を受け付ける代金受付部を備えることで、代金受付部による代金の支払いの受付を条件として、ハンドル14または前記回転板のロックを解除してハンドル14または回転板を回転可能状態とする構成としてもよい。また、案内ユニット20としては、代金の支払いについて、代金決済部のみを備える構成、代金受付部のみを備える構成、代金決済部と代金受付部の双方を備える構成の何れかの構成を取り得る。
【0015】
図1(C)に示したように、図1(A)および図1(B)に示した提供ユニット10は、制御系として、マイクロコンピュータ構成の制御部16の他に、制御部16からの信号に基づいて前述の状態切替が可能な物品提供部13と、制御部16からの信号に基づいて提供対象となる提供ユニット10(需要者の要求に応じて選択された提供ユニット10)を視覚的に明示するためのLED等を用いた発光部15や聴覚的に明示するためのスピーカ等の発音部27と、物品収容部12に収容されている物品ARの提供有無を検出するための光電スイッチ等を用いた提供検出センサ17と、案内ユニット20との通信に用いられる通信インターフェース18とを備えている。
【0016】
次に、図2を引用して、案内ユニット20の構成と制御系について説明する。
【0017】
図2(A)および図2(B)に示したように、案内ユニット20は筐体21の前面上部に情報提示部としての画像表示部(タッチパネル式カラーディスプレイ)22を備えており、その下に代金決済部としての電子マネー読み書き部23a、2次元コード表示部23bおよび2次元コード読み取り部23cを備えている。この案内ユニット20の左右方向寸法および上下方向寸法は、前述の提供ユニット10の左右方向寸法および上下方向寸法と同じか略同じである。なお、代金決済部としては、電子マネー読み書き部23a、2次元コード表示部23bおよび2次元コード読み取り部23cの少なくとも何れかを備えていればよい。また、代金決済部と共に、又は代金決済部の代わりに、上述の代金受付部を備えていてもよい。
【0018】
電子マネー読み書き部23aは、前記物品ARの提供に係る代金の支払いを電子マネー決済で行う際に使用されるもので、電子マネー読み書き部23aに需要者が電子マネーカードや電子マネー対応スマートフォン等を近接または接触させることによって後記決済管理部26において代金決済が行われる。
【0019】
2次元コード表示部23bは、前記物品ARの提供に係る代金の支払いを2次元コード決済のうちの読み取り支払いで行うためのものであり、2次元コード表示部23bに表示された2次元コードを需要者がスマートフォン等で読み取ることによって後記決済管理部26において代金決済が行われる。
【0020】
2次元コード読み取り部23cは、前記物品ARの提供に係る代金の支払いを2次元コード決済のうちのコード支払いで行うためのものであり、需要者のスマートフォン等に表示された2次元コードを2次元コード読み取り部23cで読み取らせることによって後記決済管理部26において決済が行われる。
【0021】
図2(C)に示したように、図2(A)および図2(B)に示した案内ユニット20は、制御系として、マイクロコンピュータ構成の制御部24の他に、制御部24からの信号に基づいて操作案内用の画像等を表示する前述の画像表示部22と、前述の電子マネー読み書き部23a、2次元コード表示部23bおよび2次元コード読み取り部23cと、提供ユニット10の物品収容部12に収容されている物品ARの収容残数等を管理するための収容状況管理部25と、前述の電子マネー読み書き部23a、2次元コード表示部23bおよび2次元コード読み取り部23cによる代金決済(電子マネーの出金管理や2次元コードの表示や2次元コードの読み取り等を含む)を管理する決済管理部26と、画像表示部22への表示に併せて音声等を出力するためのスピーカ等の発音部27と、画像表示部22に表示される画面および画像や当該表示に併せて出力される音声や効果音等を記憶した記憶部28と、提供ユニット10との通信に用いられる通信インターフェース29とを備えている。
【0022】
次に、図3を用いて、提供ユニット10と案内ユニット20とを組み合わせて構築された物品提供装置(一構築例)の構成について説明する。
【0023】
図3に示した物品提供装置は、5台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20とを組み合わせて構築されたものであって、下段に3台の提供ユニット10が並び、上段に2台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20が並んでおり、案内ユニット20が提供ユニット10に挟まれた配置形態を有している。先に述べたように提供ユニット10と案内ユニット20は左右方向寸法および上下方向寸法が同じか略同じであるため、物品提供装置の前面視輪郭は矩形状である。
【0024】
図3に示した物品提供装置は床面上に構築してもよいが、物品提供装置の搬入や移動等を考慮すれば、車輪付きの台座上に構築してユニット相互を適当な連結器具を用いて連結するか、あるいは、台座が後壁を有する場合には各ユニットを当該後壁に連結することが好ましい。構築後は、各提供ユニット10の通信インターフェース18と案内ユニット20の通信インターフェース29とを専用ケーブルによって接続し、各提供ユニット10の前面に各々の配置番号1?5を示すためのシール等を貼り付ける。
【0025】
図3に示した物品提供装置を店内または店頭に設置するときには、設置の前後において、各提供ユニット10の物品収容部12に物品AR、例えば分割可能な球状カプセル内に玩具等が納められたものを系統別に収容する。ちなみに、ここでの「系統」は物品ARが属するカテゴリーを意味するものであり、例えば物品ARが特定アニメーションに登場するキャラクター等に関連する場合には当該特定アニメーションが「系統」に該当する。また、各提供ユニット10の物品収容部12に物品ARを収容した後は、各々の物品収容部12の印刷物装着部12aに、収容されている物品ARに対応した印刷物(図示省略)を装着する。
【0026】
また、各提供ユニット10の物品収容部12に物品ARを最初に収容するときには、収容個数や物品ARの情報等を各提供ユニット10別に案内ユニット20に入力する。この入力方法としては、(1)専用端末(図示省略)を案内ユニット10の通信インターフェース29に接続し、当該専用端末(図示省略)によって各提供ユニット10の物品収容部12に収容された物品ARの個数として例えば50個を入力し、物品ARの情報を入力して収容状況管理部25に記憶させる方法や、(2)案内ユニット10の後面に入力盤(図示省略)を設けて、当該入力盤(図示省略)によって各提供ユニット10の物品収容部12に収容された物品ARの個数として例えば50個を入力し、物品ARの情報を入力して収容状況管理部25に記憶させる方法、等が適宜採用できる。この方法(1)および(2)は、図3に示した物品提供装置を設置した後に各提供ユニット10の物品収容部12に物品ARを補充する場合にも利用できる。
【0027】
次に、図4?図9を用いて、図3に示した物品提供装置の動作について、作用効果を交えて説明する。
【0028】
図3に示した物品提供装置を起動すると、案内ユニット20の画像表示部(タッチパネル式カラーディスプレイ)22に、図4(B)に示した待機画面S1が表示される(図4(A)のステップST1)。この待機画面S1には、操作手順を示すメッセージ「画面をタッチ」の他に、物品提供装置や収容物品ARを紹介するためのテキストや画像(静止画像や動画像)等を含んでいてもよい。ちなみに、待機画面S1の表示中は、前記メッセージや前記テキストや前記画像に対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0029】
需要者によって待機画面S1がタッチされると、各提供ユニット10の物品収容部12に収容されている物品ARの収容状況が、収容状況管理部25からの管理信号が基づいてチェックされる(図4(A)のステップST2?ST3)。
【0030】
前記チェックにより、5台の提供ユニット10の物品収容部12全てに物品ARが有るときには、前記管理信号は「全てが提供可能」に係るものとなる。この場合には、案内ユニット20の画像表示部22に、図4(C)に示した物品選択画面S2、すなわち、操作手順を示すメッセージ「欲しい物品をタッチ」の他に、提供可能を表す第1画像としての5個のカラー画像(物品紹介用のテキスト等を含んでいてもよい)Ia1?Ia5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示される(図4(A)のステップST4)。ちなみに、物品選択画面S2の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0031】
一方、前記チェックにより、5台の提供ユニット10の物品収容部12の一部に物品ARが無いときには、前記管理信号は「一部が提供不可能」に係るものとなる。例えば3番目の提供ユニット10の物品収容部12に物品ARが無い場合には、案内ユニット20の画像表示部22に、図4(D)に示した物品選択画面S2、すなわち、操作手順を示すメッセージ「欲しい物品をタッチ」の他に、提供不可能を表す第2画像としての1個のモノクロ画像Ia3’と、提供可能を表す第1画像としての4個のカラー画像Ia1、Ia2、Ia4およびIa5が、5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで配置番号1?5とともに表示される(図4(A)のステップST4)。前記モノクロ画像Ia3’にはカラー画像Ia3のモノクロ版を好ましく使用できるが、提供不可能を表す専用のモノクロ画像を用いてもよい。ちなみに、物品選択画面S2の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0032】
つまり、図4(C)および図4(D)に示した物品選択画面S2では、同物品選択画面S2に表示される提供ユニット対応の5個の画像のうち、提供可能を表す第1画像としてカラー画像を用い、提供不可能を表す第2画像としてモノクロ画像を用いることによって、5台の提供ユニット10の物品収容情報(提供可能か否か)を需要者に的確に提示できる。また、提供ユニット対応の5個の画像が5台の提供ユニット10の配置位置に対応したレイアウトで、しかも、配置番号1?5とともに表示されるため、5台の提供ユニット10の物品収容情報(提供可能か否か)を需要者に正確に提示できる。なお、物品収容部12に想定されていない物品ARを収容するときには、当該物品ARについての情報、例えば画像情報が用意されていない(当該物品ARの提供を許可していない)ため、当該物品ARについての情報を案内ユニット20に入力することはできない。この場合、当該物品ARが収容された提供ユニットに対応する画像としては、提供不可能を表す第2画像としてモノクロ画像とし、当該物品ARが収容された提供ユニットからは、当該物品ARを提供不可能に制御してもよい。つまり、本物品提供装置からは提供が許可された物品ARのみ提供可能に制御してもよい。
【0033】
需要者による物品選択(需要者が所望する物品を収容している提供ユニットの選択)は、図4(C)に示した物品選択画面S2の場合には5個のカラー画像Ia1?Ia5(物品選択ボタンを兼用)のいずれか1つがタッチされることにより、また、図4(D)に示した物品選択画面S2の場合には4個のカラー画像Ia1、Ia2、Ia4およびIa5(物品選択ボタンを兼用)のいずれか1つがタッチされることにより行われるが、案内ユニット20の画像表示部22に図4(C)または図4(D)に示した物品選択画面S2が表示されてから所定時間内、例えば30秒以内に物品選択が無いときにはステップST1に戻り、案内ユニット20の画像表示部22に前述の待機画面S1が表示される(図5(A)のステップST5?ST6)。なお、需要者による物品選択に応じて、該当物品ARが収容されている提供ユニット10の発光部15を点滅または点灯させてもよい。
【0034】
前記所定時間内に前記物品選択があったときには、案内ユニット20の画像表示部22に、図5(B)に示した物品決定画面S3、すなわち、例えば図4(C)または図4(D)に示した物品選択画面S2においてカラー画像Ia1へのタッチによる物品選択があったときには、操作手順を示すメッセージ「この物品で良ければ決定をタッチ」の他に、選択された物品ARに係るカラー画像Ia1の拡大画像(配置番号付き)と、決定を表す第3画像としてのカラーまたはモノクロの画像Idが表示される(図5(A)のステップST7)。ちなみに、物品決定画面S3の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0035】
需要者による物品決定は、図5(B)に示した物品決定画面S3の場合には第3画像Id(物品提供決定ボタンを兼用)がタッチされることにより行われるが、案内ユニット20の画像表示部22に図5(B)に示した物品決定画面S3が表示されてから所定時間内、例えば30秒以内に物品決定が無いときにはステップST1に戻り、案内ユニット20の画像表示部22に前述の待機画面S1が表示される(図6(A)のステップST8?ST9)。
【0036】
前記所定時間内に前記物品決定があったときには、案内ユニット20の画像表示部22に、図6(B)に示した決済選択画面S4、すなわち、操作手順を示すメッセージ「決済方法をタッチ」の他に、電子マネー決済を表す第4画像としてのカラーまたはモノクロの画像Im1と、2次元コード決済1(読み取り支払い)を表す第5画像としてのカラーまたはモノクロの画像Im2と、2次元コード決済2(コード支払い)を表す第6画像としてのカラーまたはモノクロの画像Im3が表示される(図6(A)のステップST10)。ちなみに、決済選択画面S4の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0037】
需要者による決済選択は、図6(B)に示した決済選択画面S4の第4画像?第6画像Im1?Im3(決済方法選択ボタンを兼用)のいずれか1つがタッチされることにより行われるが、案内ユニット20の画像表示部22に図6(B)に示した決済選択画面S4が表示されてから所定時間内、例えば30秒以内に決済選択が無いときにはステップST1に戻り、案内ユニット20の画像表示部22に前述の待機画面S1が表示される(図7(A)のステップST11?ST12)。
【0038】
前記所定時間内に前記決済選択があったときには、案内ユニット20の画像表示部22に、選択した決済方法に応じて図7(B)?図7(D)に示した決済説明画面S5、S6またはS7が表示される。すなわち、電子マネー決済が選択されたときの決済説明画面S5には、図7(B)に示したように、電子マネー読み書き部23aを表す第7画像としてのカラーまたはモノクロの画像Ip1と、操作手順を示すメッセージ「…に電子マネーを近付けてください」の他に、決済完了までの残り時間を表す第10画像としてのカラーまたはモノクロの画像Itが表示される(図7(A)のステップST13)。ちなみに、決済説明画面S5の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0039】
また、2次元コード決済1(読み取り支払い)が選択されたときの決済説明画面S6には、図7(C)に示したように、2次元コード表示部23bを表す第8画像としてのカラーまたはモノクロの画像Ip2と、操作手順を示すメッセージ「…に表示された2次元コードを読み取ってください」の他に、決済完了までの残り時間を表す第10画像としてのカラーまたはモノクロの画像Itが表示される(図7(A)のステップST13)。ちなみに、決済説明画面S6の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0040】
さらに、2次元コード決済2(コード支払い)が選択されたときの決済説明画面S7には、図7(D)に示したように、2次元コード読み取り部23cを表す第9画像としてのカラーまたはモノクロの画像Ip3と、操作手順を示すメッセージ「…に2次元コードを近付けてください」の他に、決済完了までの残り時間を表す第10画像としてのカラーまたはモノクロの画像Itが表示される(図7(A)のステップST13)。ちなみに、決済説明画面S7の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0041】
つまり、図6(B)に示した決済選択画面S4では3種類のキャッシュレス決済方法のいずれかを需要者が選択できるようになっており、また、図7(B)?図7(D)に示した決済説明画面S5?S7では需要者が選択した決済方法の説明が為されるため、需要者は好みの決済方法を選択できるとともに、所期のキャッシュレス決済をスムースに行える。なお、キャッシュレス決済以外にも硬貨での支払い方法を選択できるようにしてもよい。
【0042】
需要者による代金決済は、図7(B)?図7(D)に示した決済説明画面S5?S7に順じて行われるが、図7(B)?図7(D)に示した決済説明画面S5?S7が表示されてから所定時間内、例えば30秒以内に代金決済が完了しないときにはステップST1に戻り、案内ユニット20の画像表示部22に前述の待機画面S1が表示される(図8(A)のステップST14?ST15)。
【0043】
前記所定時間内に前記代金決済が完了したときには(決済管理部26からの決済完了信号に基づく)、案内ユニット20の画像表示部22に、図8(B)に示した操作説明画面S8、すなわち、例えば図5(B)に示した物品決定画面S3において第3画像Idへのタッチによる物品決定があったときには、決定された物品ARに係るカラー画像Ia1と、操作手順を示すメッセージ「この物品が収容されている1番のハンドルを回してください」の他に、操作完了までの残り時間を表す第10画像としてのカラーまたはモノクロの画像Itが表示される(図8(A)のステップST16)。ちなみに、操作説明画面S8の表示中は、前記メッセージに対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0044】
また、前記所定時間内に前記代金決済が完了したときには、例えば図5(B)に示した物品決定画面S3において第3画像Idへのタッチによる物品決定があり、かつ、前述の代金決済が完了したときには、該当物品ARが収容されている1番の提供ユニット10の物品提供部13を提供不可能状態から提供可能状態に変化させるための制御信号が、案内ユニット20の制御部24から提供ユニット10の制御部16に送られる(図8(A)のステップST17)。これにより、1番の提供ユニット10の物品提供部13が、提供制御部(図示省略)の動作によって提供不可能状態から提供可能状態に変化する。また、この状態変化に伴って、該当物品ARが収容されている1番の提供ユニット10の発光部15が点滅または点灯する(ステップの図示省略)。
【0045】
需要者による物品提供操作は、図8(B)に示した操作説明画面S8の場合には1番の提供ユニット10のハンドル14を回すことによって行われるが、案内ユニット20の画像表示部22に図8(B)に示した操作説明画面S8が表示されてから所定時間内、例えば30秒以内に物品提供が無いとき(提供検出センサ17で物品提供が検出されないとき)には発光部15が消灯してステップST1に戻り、案内ユニット20の画像表示部22に前述の待機画面S1が表示される(図9(A)のステップST18?ST19)。
【0046】
前記所定時間内に前記物品提供があったときには、当該物品提供に伴う無償提供の抽選が行われているか否かを判別し、未だ抽選が行われていないときには無償提供の抽選が行われ、抽選に当選したときにはステップST16に移行して操作説明画面S8に基づく無償提供が行われる(図9のステップST20?ST22)。ちなみに、ステップST21の抽選は乱数を用いた抽選である。
【0047】
また、前記所定時間内に前記物品提供があったとき、ならびに、前記無償提供による物品提供があったときには、提供検出センサ17の検出信号に基づいて、収容状況管理部25に記憶されている各提供ユニット10の収容残数のうちの該当収容残数から物品提供数が減算され、減算後の収容残数が収容状況管理部25に記憶される(図9(A)のステップST23)。
【0048】
さらに、前記ステップST20で抽選済みと判別されたときには、案内ユニット20の画像表示部22に、図9(B)に示した提供完了画面S9が表示される(図9(A)のステップST24)。この提供完了画面S9には提供完了を示すメッセージ「ありがとうございました」の他に、物品提供装置や収容物品ARを紹介するためのテキストや画像(静止画像や動画像)等を含んでいてもよい。ちなみに、提供完了画面S9の表示中は、前記メッセージや前記テキストや前記画像に対応する音声や効果音等を発音部27から出力してもよい。
【0049】
提供完了画面S9が表示された後は、表示開始から所定時間、例えば30秒の経過したところでステップST1に戻り、案内ユニット20の画像表示部22に前述の待機画面S1が表示される(図9(A)のステップST24)。
【0050】
次に、図3に示した物品提供装置と配置形態が異なる他の構築例について説明する。
【0051】
図3には、5台の提供ユニット10と1台の案内ユニット20とを上下2段に組み合わせて構築した物品提供装置を示したが、上段の提供ユニット10の台数を3台以上とし、下段の提供ユニット10の台数を4台以上としてもよい。また、図3に示した下段3台の提供ユニット10と同台数の提供ユニット10を上段の上にさらに積み重ねて、上下3段の物品提供装置を構築してもよいし、この場合には上段の提供ユニット10の台数を4台以上とし、中段の提供ユニット10の台数を3台以上とし、下段の提供ユニット10の台数を4台以上としてもよい。
【0052】
また、図3には、物品提供装置として案内ユニット20が提供ユニット10に挟まれた配置形態を有するものを示したが、提供ユニット10の台数が少ない場合や設置スペースが小さい場合等では、図10(A)示したように案内ユニット20が上段の端に位置するような配置形態や、図10(B)および図10(C)に示したように案内ユニット20が一段並びの端に位置するような配置形態を採用してもよい。
【0053】
次に、図3に示した物品提供装置を用いて説明した動作等の変形例について説明する。
【0054】
前述の説明では、各画面S1?S9に日本語によるメッセージを表示するものを示したが、英語や中国語や韓国語等の他の言語によるメッセージを併せて表示してもよい。また、待機画面S1に日本語と日本語以外の言語を選択するための言語選択ボタンを兼用する画像を表示し、当該言語選択ボタンのタッチに基づいて、以後の画面S2?9に表示されるメーセージおよびテキストやこれらに対応して出力される音声を切り換えるようにしてもよい。
【0055】
また、前述の説明では、案内ユニット20の画像表示部22に図8(B)に示した操作説明画面S8が表示されてから所定時間内、例えば30秒以内に物品提供が無いとき(提供検出センサ17で物品提供が検出されないとき)にステップST1に戻る流れ(ステップST14?ST15)を示したが、ステップST1に戻らずに、返金処理を行うことも可能である。この場合には、返金処理として、図6(B)に示した決済選択画面S4と同様の返却選択画面(メッセージは「返却方法をタッチ」等)を画像表示部22に表示して返却方法を選択させた後、図7(B)?図7(D)に示した決済説明画面S5、S6またはS7と同様の返却説明画面を画像表示部22に表示して、需要者に返金操作を求めるとよい。
【0056】
さらに、前述の説明では、待機画面S1に続いて表示される各画面S2?S9に前画面に戻るための戻るボタンを兼用する画像を表示していないものを示したが、当該画像を各画面S2?S9に表示して、戻るボタンのタッチに基づいて前画面に戻せるようにしてもよい。
【0057】
さらに、前述の説明では、ステップST10において図6(B)に示した決済選択画面S4、すなわち、需要者が3種類のキャッシュレス決済方法のいずれかを選択できる画面を案内ユニット20の画像表示部22に表示するものを示したが、当該決済選択画面S4に電子マネー決済と2次元コード決済1(読み取り支払い)と2次元コード決済2(コード支払い)のうちの1つまたは2つを表示するようにして、ステップST13において使用可能な決済説明画面(S5、S6およびS7のうちの1つまたは2つ)を案内ユニット20の画像表示部22に表示するようにしてもよい。この場合には、需要者の誤認を避けるために、案内ユニット20から使用できない代金決済部、すなわち、電子マネー読み書き部23aと2次元コード表示部23bと2次元コード読み取り部23cのうちの1つまたは2つを除外してもよい。
【0058】
また、3種類のキャッシュレス決済方法、及び硬貨での支払い方法のうち、選択された支払い方法に応じて、選択可能な提供ユニット10を異ならせる構成(支払い方法に応じて、物品の提供が可能な提供ユニット10が決定される構成)としてもよい。具体的には、例えば、電子マネー決済を選択した場合は、第1の提供ユニットのみから物品の提供を可能とし、硬貨での支払いを選択した場合は、第1の提供ユニットとは異なる第2の提供ユニットのみから物品の提供を可能とする構成や、電子マネー決済を選択した場合は、第1の提供ユニットのみから物品の提供を可能とし、2次元コード決済を選択した場合は、第1の提供ユニットとは異なる第2の提供ユニットのみから物品の提供を可能とする構成である。
【0059】
また、複数台の提供ユニット10(例えば第1の提供ユニット、第2の提供ユニット、第3の提供ユニット、及び第4の提供ユニット)と1台の案内ユニット20とを組み合わせて構築された物品提供装置においては、例えば、第1乃至第3の提供ユニットにおいて、物品の提供を受けた需要者のみに、第4の提供ユニットからの物品の提供を可能とする構成としてもよい。この場合、第4の提供ユニットからの物品の提供は、有償または無償とすることができる。ここで、支払い方法としてキャッシュレス決済方法を選択した需要者については、当該決済方法に需要者の情報を含み得ることから、所定の提供ユニットにおいて物品の提供を受けた需要者であることを認識可能である一方、硬貨での支払いを選択した需要者については、所定の提供ユニットにおいて物品の提供を受けた需要者であることを認識不可能であることから、この場合は、需要者を示す情報を含むカード等を認識させたうえで、物品の提供を受けるようにすることが考えられる。
【0060】
また、物品提供装置は、あらゆるロケーションに設置され得ることから、例えば第1乃至第4のロケーションに設置されている場合においては、例えば、第1乃至第3のロケーションに設置された物品提供装置から物品の提供を受けた需要者のみに、第4のロケーションに設置された物品提供装置からの物品の提供を可能とする構成としてもよい。この場合、第4のロケーションに設置された物品提供装置からの物品の提供は、有償または無償とすることができる。ここで、支払い方法としてキャッシュレス決済方法を選択した需要者については、当該決済方法に需要者の情報を含み得ることから、所定の物品提供装置において物品の提供を受けた需要者であることを認識可能である一方、硬貨での支払いを選択した需要者については、所定の物品提供装置において物品の提供を受けた需要者であることを認識不可能であることから、この場合は、需要者を示す情報を含むカード等を認識させたうえで、物品の提供を受けるようにすることが考えられる。
【符号の説明】
【0061】
10…提供ユニット、12…物品収容部、AR…物品、13…物品提供部、14…ハンドル(操作部)、15…発光部、16…制御部、20…案内ユニット、22…画像表示部(情報提示部)23a…電子マネー読み書き部、23b…2次元コード表示部、23c…2次元コード読み取り部、24…制御部、25…収容状況管理部、26…決済管理部、27…発音部、28…記憶部、S1…待機画面、S2…物品選択画面、Ia1?Ia5…第1画像、Ia3’…第2画像、S3…物品決定画面、Id…第3画像、S4…決済選択画面、Im1?Im3…第4画像?第6画像、S5?S6…決済説明画面、Ip1?Ip3…第7画像?第9画像、It…第10画像、S8…操作説明画面、S9…提供完了画面。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要者の要求に応じて物品を提供可能な物品提供装置であって、
複数台の提供ユニットと1台の案内ユニットとを具備し、
前記提供ユニットは、物品を収容するための物品収容部であって、手前に引き出すことによって物品の収容が行えるようになっている物品収容部と、前記物品収容部に収容されている物品を提供するための物品提供部とを備え、
前記案内ユニットは、前記物品収容部に収容されている物品の収容状況を管理するための収容状況管理部と、前記収容状況管理部からの管理信号に基づいて物品収容情報を提示するための情報提示部とを備え、
前記情報提示部は、画像表示部を含み、前記管理信号が提供可能に係るものである場合に第1画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示する一方、前記管理信号が提供不可能に係るものである場合に前記第1画像とは異なる第2画像を前記物品収容情報として前記画像表示部に表示するように構成され、前記画像表示部に表示される前記第1画像と前記第2画像は前記提供ユニットの配置位置に対応したレイアウトを有する、
物品提供装置。
【請求項2】
前記案内ユニットは、前記物品の提供に係る代金の支払いを受け付ける代金受付部と、前記代金受付部による代金の受付を条件として、前記物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させるための提供制御部とをさらに備える、
請求項1に記載の物品提供装置。
【請求項3】
前記案内ユニットは、前記物品の提供に係る代金を支払うための代金決済部と、前記代金決済部による代金決済を管理する決済管理部と、前記決済管理部からの決済完了信号に基づいて前記物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させるための提供制御部とをさらに備える、
請求項1または2に記載の物品提供装置。
【請求項4】
前記提供ユニットは、前記物品提供部が提供不可能状態から提供可能状態に変化したときに当該物品提供部を操作して前記物品の提供を行うための操作部をさらに備える、
請求項2または3に記載の物品提供装置。
【請求項5】
前記操作部は、回転可能なハンドルである、
請求項4に記載の物品提供装置。
【請求項6】
前記案内ユニットは、複数台の前記提供ユニットの何れかの選択を行うための選択部をさらに備え、
前記提供制御部は、前記受付部による代金の受付を条件として、前記選択部により選択された提供ユニットの物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させる、
請求項2に記載の物品提供装置。
【請求項7】
前記案内ユニットは、複数台の前記提供ユニットの何れかの選択を行うための選択部をさらに備え、
前記提供制御部は、前記代金決済部による代金決済を条件として、前記選択部により選択された提供ユニットの物品提供部を提供不可能状態から提供可能状態に変化させる、
請求項3に記載の物品提供装置。
【請求項8】
前記案内ユニットが前記提供ユニットに挟まれた配置形態を有する、
請求項1?7のいずれか1項に記載の物品提供装置。
【請求項9】
前記案内ユニットが端に位置する配置形態を有する、
請求項1?7のいずれか1項に記載の物品提供装置。
【請求項10】
前記画像表示部は、タッチパネル式カラーディスプレイであり、
前記第1画像は、前記物品に係る画像を含むカラー画像であり、
前記第2画像は、前記第1画像のモノクロ画像であり、
前記第1画像は、物品選択ボタンを兼用している、
請求項1?9のいずれか1項に記載の物品提供装置。
【請求項11】
前記情報提示部は、前記第1画像が選択されたときに前記第1画像の拡大画像を前記画像表示部に表示するように構成されている、
請求項10に記載の物品提供装置。
【請求項12】
前記情報提示部は、前記第1画像が選択されたときに物品提供決定用の第3画像を前記画像表示部に表示するように構成されており、
前記第3画像は、物品提供決定ボタンを兼用している、
請求項10または11に記載の物品提供装置。
【請求項13】
前記案内ユニットの前記代金決済部は、電子マネー決済部であり、
前記電子マネー決済部は、電子マネー読み書き部を有する、
請求項3に記載の物品提供装置。
【請求項14】
前記案内ユニットの前記代金決済部は、2次元コード決済部であり、
前記2次元コード決済部は、2次元コード読み取り部を有する、
請求項3に物品提供装置。
【請求項15】
前記案内ユニットは、前記物品の提供に基づいて無償提供の抽選を行う無償提供抽選部をさらに備える、
請求項1?14のいずれか1項に記載の物品提供装置。
【請求項16】
前記提供ユニットには、前記物品収容部に収容されている前記物品に係る情報を含む印刷物を装着可能な印刷物装着部が設けられている、
請求項1?15のいずれか1項に記載の物品提供装置。
【請求項17】
前記提供ユニットには、前記物品の提供が完了するまでの過程で、光を発する発光部、及び音を発する発音部の少なくとも何れかが設けられている、
請求項6または7に記載の物品提供装置。
【請求項18】
前記発光部からの発光、及び前記発音部からの発音の少なくとも何れかは、前記選択部により選択された提供ユニットからなされる、
請求項17に記載の物品提供装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-11-06 
結審通知日 2019-11-11 
審決日 2019-11-25 
出願番号 特願2018-176769(P2018-176769)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (G07F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小島 哲次  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
岡▲さき▼ 潤
登録日 2019-07-05 
登録番号 特許第6550181号(P6550181)
発明の名称 物品提供装置  

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