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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1358307
審判番号 不服2018-13500  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-10 
確定日 2019-12-24 
事件の表示 特願2017-559010「自己完結型時分割複信(TDD)サブフレーム構造のためのスケーリングされたシンボル」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月24日国際公開、WO2016/187060、平成30年 8月 9日国内公表、特表2018-522444〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年5月13日(パリ条約による優先権主張2015年5月15日、米国、2016年1月29日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 3月26日付け:拒絶理由通知書
平成30年 6月 4日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 8月17日付け:拒絶査定
平成30年10月10日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出

第2 平成30年10月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年10月10日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
スケジューリングエンティティが時分割複信(TDD)キャリアを利用して1つまたは複数の下位エンティティのセットと通信するための同期ネットワークにおけるワイヤレス通信の方法であって、前記TDDキャリアが送信部分と受信部分とを含むサブフレームを備え、前記方法が、
前記サブフレームの制御部分において制御情報を送信するステップであって、前記制御情報が前記サブフレーム内のデータ情報に対応する、ステップと、
前記サブフレームのデータ部分において前記データ情報を送信するステップと、
前記サブフレームのパイロット部分において下位エンティティの前記セットからパイロット信号を受信するステップと、
前記サブフレームのACK部分において下位エンティティの前記セットから肯定応答(ACK)/否定応答(NACK)信号を受信するステップであって、前記ACK部分が前記サブフレームの前記パイロット部分の後にあり、前記ACK/NACK信号が前記データ情報に対応する肯定応答情報を備える、ステップと
を備え、
前記制御部分、前記データ部分、前記パイロット部分、および前記ACK部分が、同じサブフレームに含まれ、前記制御部分および前記データ部分が、前記送信部分に含まれ、前記パイロット部分および前記ACK部分が、前記受信部分に含まれる、方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年6月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
スケジューリングエンティティが時分割複信(TDD)キャリアを利用して1つまたは複数の下位エンティティのセットと通信するための同期ネットワークにおけるワイヤレス通信の方法であって、前記TDDキャリアがサブフレームを備え、前記方法が、
前記サブフレームの制御部分において制御情報を送信するステップであって、前記制御情報が前記サブフレーム内のデータ情報に対応する、ステップと、
前記サブフレームのデータ部分において前記データ情報を送信するステップと、
前記サブフレームのパイロット部分において下位エンティティの前記セットからパイロット信号を受信するステップと、
前記サブフレームのACK部分において下位エンティティの前記セットから肯定応答(ACK)/否定応答(NACK)信号を受信するステップであって、前記ACK部分が前記サブフレームの前記パイロット部分の後にあり、前記ACK/NACK信号が前記データ情報に対応する肯定応答情報を備える、ステップと
を備え、
前記制御部分、前記データ部分、前記パイロット部分、および前記ACK部分が、同じサブフレームに含まれる、方法。」

2 補正の適否
特許請求の範囲の請求項1についての補正は、補正前の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)を特定するために必要な事項である「サブフレーム」、「制御部分」、「データ部分」、「パイロット部分」及び「ACK部分」について、前記1(1)の下線部のとおり限定を付加するものであって、本願発明と補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献であるLEVANEN TONI, et al.,“Dense Small-Cell Networks: Rethinking the Radio Interface Beyond LTE-Advanced”, 2014 1st International Conference on 5G for Ubiquitous Connectivity (5GU), 2014年11月, pp.163?169(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

a 163頁左欄39?46行
「In this article, we provide an overview of a new radio interface introduced in [4], based on orthogonal frequency division multiple access (OFDMA) and flexible time division duplexing (TDD), entitled 5G flexible TDD based local area (5GETLA). Also, we compare the 5GETLA physical layer parametrization and frame design with a recent radio interface proposal by Mogensen et al. [5]-[8], which will be referred as the B4G design in this paper.」
〈当審訳〉
本稿では、[4]で紹介された直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)及びフレキシブル時分割複信(TDD)に基づく新しい無線インターフェース、題して5GフレキシブルTDDベーストローカルエリア(5GETLA)の概要を示す。さらに、5GETLA物理層のパラメータ化及びフレームデザインと、Mogensenら[5]?[8]による最近の無線インターフェース提案とを比較する。Mogensenらによる提案は、本稿においてB4Gデザインとして参照される。

b 164頁左欄3?7行
「If a UE nearby is transmitting to its own 5G base station (5GBS) with high power, the received UL-DL interference power may exceed the dynamic range of the receiver and completely block the reception.」
〈当審訳〉
近隣のUEが5G基地局(5GBS)へ大出力で送信しているならば、受信されるUL-DL干渉電力は、受信機のダイナミックレンジを越えて受信を完全に妨害するかもしれない。

c 164頁右欄42?46行
「In addition, the current design of 5GETLA frame structure sets strict timing requirements for detecting physical layer packets and generating acknowledgment (ACK) or negative ACK indicators in the 5GBS with delays in the order of tens of microseconds.」
〈当審訳〉
加えて、5GETLAフレーム構造の現在のデザインは、数十マイクロ秒オーダーの遅延がある5GBSでの物理層パケットの検出及び肯定応答(ACK)又は否定ACK指示子の生成のために、タイミング要件を厳格に定めている。

d 164頁右欄53行?165頁左欄1行
「In contrast to the frame design presented in [16], the frame design in Fig. 2 places the uplink control channel (ULCCH) after the RACH/CBDCH, which provides UE automatically with more time to finish decoding of DL packets before generating DL ACK indicators.」
〈当審訳〉
[16]に示されるフレームデザインとは対照的に、図2のフレームデザインではRACH/CBDCHの後に上り制御チャネル(ULCCH)を配置しており、これにより、UEはDL ACK指示子を生成する前にDLパケットの復号を終わらせるに十分な時間を自動的に得る。

e 165頁左欄21?24行
「The 5G radio interfaces presented in this paper are designed to operate under 30 GHz carrier frequency. Especially, the 5GETLA is designed by fitting the physical layer numerology to channel models measured below 10 GHz.」
〈当審訳〉
本稿に示される5G無線インターフェースは、30GHzのキャリア周波数で動作するようデザインされている。特に、5GETLAは、10GHz未満で測定されたチャネルモデルに物理層無線パラメータを適合させることによってデザインされている。

f 166頁左欄37行?右欄12行
「The 5GETLA frame duration is set to 0.5 ms and B4G frame duration is 0.25 ms, to achieve the 1 ms latency target set for 5G communications at the physical layer. The 5GETLA and B4G frame designs are illustrated in Fig. 2.
In 5GETLA design [4], the frame starts with the DL (Tx) section and is followed by the UL (Rx) section. The DL-UL allocation is adjusted per frame basis. In DL, downlink common reference symbol (DLCRS) and downlink control channel (DLCCH) are compulsory fields to be broadcasted when the 5GBS is active. The downlink shared channel (DLSCH) contains the downlink data channel (DLDCH) and in the case of MIMO transmission it may contain also downlink channel state information reference symbols (DLCSIRS) or downlink demodulation reference symbols (DLDMRS).」
〈当審訳〉
5GETLAフレームの持続時間は0.5msと定められ、B4Gフレームの持続時間は0.25msであり、その結果、5G通信のために定められた物理層での1msレイテンシーという目標を達成する。5GETLA及びB4Gフレームデザインは、図2に示される。
5GETLAデザイン[4]においては、フレームはDL(Tx)セクションで始まり、その後にUL(Rx)セクションが続く。DL-UL割り当ては各フレームに基づき調整される。DLにおいては、下り共通参照シンボル(DLCRS)及び下り制御チャネル(DLCCH)が必須フィールドである結果、5GBSがアクティブのときに放送される。下り共有チャネル(DLSCH)には、下りデータチャネル(DLDCH)が含まれ、MIMO伝送の場合には、下りチャネル状態情報参照シンボル(DLCSIRS)又は下り復調参照シンボル(DLDMRS)も含まれる。

g 166頁右欄24?26行
「The UL section starts with the uplink common reference symbols (ULCRS), which is followed by the uplink shared channel (ULSCH).」
〈当審訳〉
ULセクションは上り共通参照シンボル(ULCRS)で始まり、その後に上り共有チャネル(ULSCH)が続く。

h 167頁左欄9?10行
「The 5GETLA frame ends with the uplink control channel (ULCCH) and UL-DL GP.」
〈当審訳〉
5GETLAフレームは上り制御チャネル(ULCCH)及びUL-DL GPで終了する。

i 167頁左欄26?36行
「In Fig. 3, we show the assumed delays and timing constraints for DL and UL transmission in both designs. In the case of 5GETLA (part A), the transmission of the DL data follows immediately after the DL scheduling grant (SG) provided in the DLCCH. This minimizes the detection latency, but the downside is that the UE has to buffer the Rx signal until it has detected the DLCCH message and confirmed if there is a scheduled transmission for it. The ACK for the DL data transmission is transmitted in the same frame inside the ULCCH message. This leads to PHY RTT of approximately 0.5 ms.」
〈当審訳〉
図3では、両デザインにおけるDL及びUL伝送のために想定される遅延及びタイミング制約を示す。5GETLA(パートA)の場合、DLCCHで提供されるDLスケジューリンググラント(SG)の直後に、DLデータの伝送が続く。 これは復調遅延を最小化するが、不都合な点は、UEがDLCCHメッセージを復調し、自身に対する伝送がスケジュールされているかどうかを確認するまでRx信号をバッファしなければならないことである。DLデータ伝送に対するACKは同じフレームのULCCHメッセージの中で伝送される。これは約0.5msのPHY RTTにつながる。

j 167頁左欄38?45行
「Because the scheduler does not know the buffer status of the UE requesting resources, the initial UL allocation size depends on the status of the other served UE. For example, in part A of Fig. 3, the UL SR is transmitted in the end of frame k, the UL SG and data transmission takes place in the frame k+1, and the ACK for the UL data transmission is provided in the DLCCH of the frame k+2 leading to a PHY RTT in the order of 0.5 ms.」
〈当審訳〉
スケジューラーはリソースを要求しているUEのバッファ状態を知らないため、最初のUL割り当てサイズは、サービスを提供されている他のUEの状態に依存する。例えば、図3のパートAでは、UL SRはフレームkの最後に伝送され、UL SG及びデータの伝送はフレームk+1において行われ、そして、ULデータ伝送に対するACKはフレームk+2のDLCCHで提供され、0.5msオーダーのPHY RTTに至る。

k 167頁右欄3?10行
「In Fig. 4, the higher level frame hierarchy for the 5GETLA is compared with the basic LTE frame design. Because one 5GETLA frame corresponds to a LTE slot duration, we chose the next logical element called Long Frame to correspond to the LTE radio frame, thus having length equal to 10 ms. The largest logical element called Master Frame is currently chosen to be 100 ms long, based on typical beacon interval from WLAN networks.」
〈当審訳〉
図4にて、5GETLAのための上位フレーム階層が基本的なLTEフレームデザインと比較される。1つの5GETLAフレームは1つのLTEスロット期間に相当するので、例えば10ms長を有するLTE無線フレームに相当するロングフレームと呼ばれる次の論理要素を選択した。マスターフレームと呼ばれる最大の論理要素は、現在のところ100ms長であり、WLANネットワークからの典型的なビーコン間隔に基づいている。

l 168頁右欄13?19行
「In addition to improving mobile device battery durations as indicated in [8], the same applies to the network side and these new designs provide improved possibilities for short and long sleep cycles in the 5GBS. In the case of 5GETLA, if the 5GBS detects no activity inside certain time window it can turn to long sleep mode where it transmits only 5GETLA MIB packet and synchronization channel once per master frame.」
〈当審訳〉
[8]に示されるような移動機のバッテリー持続時間の改善に加えて、同じ事がネットワーク側にも適用され、これらの新しいデザインは、5GBSでのショート及びロングスリープサイクルに対する可能性を改善する。5GETLAの場合、5GBSが一定の時間窓内にアクティビティを検出できないならば、5GBSはロングスリープモードに転じ、5GETLA MIBパケット及び同期チャネルをマスターフレーム毎に1回送信するのみとなる。

m 168頁右欄28?31行
「In this article, we have overviewed the 5GETLA and B4G radio interface designs which rely on OFDMA and agile, per-frame reconfigurable TDD based scheduled and synchronized wireless access and compared them with each other.」
〈当審訳〉
本稿では、OFDMAと機敏でフレーム毎に再構成可能なTDDとに基づくスケジュールされ同期化された無線アクセスに依存する5GETLA及びB4G無線インターフェースデザインを概観し、互いを比較した。

n 図2

図2のキャプション「Frame design for the A) 5GETLA and B) B4G.」
〈キャプションの当審訳〉
A)5GETLA 及び B)B4G のためのフレームデザイン

o 図3

図3のキャプション「DL and UL ACK timing examples for the A) 5GETLA and B) B4G frame designs.」
〈キャプションの当審訳〉
A)5GETLA 及び B)B4GのフレームデザインのためのDL及びUL ACKタイミングの例

p 図4

図4のキャプション「Frame hierarchy for the 5GETLA system.」
〈キャプションの当審訳〉
5GETLAシステムのためのフレーム階層

(イ)前記(ア)によれば、引用文献1には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
a 前記(ア)aによれば、引用文献1に記載された「5GETLA」は、「直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)及びフレキシブル時分割複信(TDD)に基づく新しい無線インターフェース」であり、前記(ア)mによれば、「OFDMAと機敏でフレーム毎に再構成可能なTDDとに基づくスケジュールされ同期化された無線アクセスに依存する」ものである。そして、前記(ア)eによれば、「5GETLA」は30GHzのキャリア周波数で動作する。加えて、前記(ア)lによれば、5GETLAが通信ネットワークを構成すること、及び、ネットワーク側の機器が5GBSであることが理解される。また、前記(ア)jによれば、5GETLAに従う通信サービスは、「スケジューラーはリソースを要求しているUEのバッファ状態を知らないため、最初のUL割り当てサイズは、サービスを提供されている他のUEの状態に依存する」のであるから、複数のUEに提供されていることが理解される。そうすると、引用文献1に記載された「5GETLA」は、5GBSが時分割複信(TDD)キャリアを利用して複数のUEと通信するための同期ネットワークにおける無線通信インターフェースであるといえる。
前記(ア)fによれば、「5GETLAフレームの持続時間は0.5msと定められ」、「5GETLAデザイン[4]においては、フレームはDL(Tx)セクションで始まり、その後にUL(Rx)セクションが続く」とされ、ここで、「DL」、「Tx」、「UL」及び「Rx」がそれぞれ「ダウンリンク」、「送信」、「アップリンク」及び「受信」を意味することが明らかであるから、「DL(Tx)セクション」及び「UL(Rx)セクション」は、それぞれネットワーク側すなわち5GBSから見ての「送信セクション」及び「受信セクション」であるといえる。加えて図2、前記(ア)g及び前記(ア)hを併せ読めば、下り共通参照シンボル(DLCRS)で始まりDL-UL GPで終了するDL(Tx)セクション(送信セクション)が時間的に先行し、この後に、上り共通参照シンボルULCRSで始まりUL-DL GPで終了するUL(Rx)セクション(受信セクション)が時間的に続いているのであるから、5GETLAに従う5GBSは、DL(Tx)セクション(送信セクション)を先に実行し、UL(Rx)セクション(受信セクション)を後に実行するという通信方法を実行するといえる。そうすると、引用文献1に記載された「5GETLA」は、前述の無線通信インターフェースであると同時に、当該無線通信インターフェースに規定される無線通信方法であるといえる。そして、5GETLAフレームに従う送受信が前記時分割復信(TDD)キャリアを利用して行われること、すなわち、前記キャリアが前記フレームを備えることは明らかである。
以上によれば、引用文献1には、「5GBSが時分割複信(TDD)キャリアを利用して複数のUEと通信するための同期ネットワークにおける無線通信インターフェースに規定される無線通信方法であって、前記時分割複信(TDD)キャリアがDL(Tx)セクション(送信セクション)とUL(Rx)セクション(受信セクション)とを含むフレームを備える」ことが記載されていると認められる。

b 引用文献1の図2によれば、5GETLAフレームにはDLCCHが含まれている。これは、前記(ア)fの「DLにおいては、下り共通参照シンボル(DLCRS)及び下り制御チャネル(DLCCH)が必須フィールドである結果、5GBSがアクティブのときに放送される。」との記載とも整合する。そして、前記(ア)iの「5GETLA(パートA)の場合、DLCCHで提供されるDLスケジューリンググラント(SG)の直後に、DLデータの伝送が続く。」との記載によれば、DLCCHにおいてDLスケジューリンググラント(SG)が送信されること、及び、その直後にDLデータの送信されることの2つのステップが理解される。ここで、DLデータの伝送は、前記(ア)fに記載される「下りデータチャネル(DLDCH)」において行われることが明らかであり、図2によれば、DLDCHは前記フレームに含まれている。
以上によれば、引用文献1には、「前記フレームの下り制御チャネル(DLCCH)においてDLスケジューリンググラント(SG)を送信するステップであって、前記下り制御チャネル(DLCCH)が前記フレームのDLデータの直前に位置する、ステップと、前記フレームの下りデータチャネル(DLDCH)において前記DLデータを送信するステップ」が記載されていると認められる。

c 前記(ア)gによれば、引用文献1には「ULセクションは上り共通参照シンボル(ULCRS)で始まり、その後に上り共有チャネル(ULSCH)が続く」ことが記載されており、該記載の「ULセクション」は、「UL(Rx)セクション(受信セクション)」のことであると認められる。そして、前記aに記載したとおり、5GETLAは5GBSが複数のUEと通信する方法であるから、UL(Rx)セクション(受信セクション)では複数のUEからの信号を5GBSが受信すると認められる。
そうすると、引用文献1には、「前記フレームの上り共通参照シンボル(ULCRS)において複数のUEから信号を受信するステップ」が記載されていると認められる。

d 図2及び前記(ア)hによれば、引用文献1には「5GETLAフレームは上り制御チャネル(ULCCH)及びUL-DL GPで終了する」ことが記載されており、前記(ア)fによれば、「フレームはDL(Tx)セクションで始まり、その後にUL(Rx)セクションが続く」のであるから、上り制御チャネル(ULCCH)は前記フレームのUL(Rx)セクション(受信セクション)内に存在すると認められる。そして、前記cのとおり、UL(Rx)セクション(受信セクション)は上り共通参照シンボル(ULCRS)で始まるのであるから、上り制御チャネル(ULCCH)は上り共通参照シンボル(ULCRS)の後に位置する。これは、図2とも整合する。
また、前記(ア)iによれば、引用文献1には「DLデータ伝送に対するACKは同じフレームのULCCHメッセージの中で伝送される」ことが記載されている。DLデータ伝送が行われると認められる箇所は、前記bで述べた「下りデータチャネル(DLDCH)」以外に存在しないから、DLデータ伝送は下りデータチャネル(DLDCH)で実行されると認められる。
そうすると、前記ACKは該ACKが存在するフレームの下りデータチャネル(DLDCH)に対応するものであると認められる。
そして、前記cのとおり、UL(Rx)セクション(受信セクション)では複数のUEからの信号を5GBSが受信する。
以上によれば、引用文献1には「前記フレームの上り制御チャネル(ULCCH)において複数のUEからACKを受信するステップであって、前記上り制御チャネル(ULCCH)が前記フレームの前記上り共通参照シンボル(ULCRS)の後にあり、前記上り制御チャネル(ULCCH)が前記下りデータチャネル(DLDCH)に対応するACKを備える、ステップ」が記載されている。

e 前記bのとおり、DLデータが送信される下りデータチャネル(DLDCH)は、下り制御チャネル(DLCCH)の直後に位置する。また、前記dのとおり、ACKが伝送される上り制御チャネル(ULCCH)は下りデータチャネル(DLDCH)と同一のフレームに存在する。そして、前記dのとおり、UL(Rx)セクション(受信セクション)は上り共通参照シンボル(ULCRS)で始まり上り制御チャネル(ULCCH)及びUL-DL GPで終了するのであるから、上り共通参照シンボル(ULCRS)と上り制御チャネル(ULCCH)は同一のフレームに存在する。ここで、下り制御チャネル(DLCCH)及び下りデータチャネル(DLDCH)が同一のDL(Tx)セクション(送信セクション)に含まれることは、図2から明らかである。
以上によれば、引用文献1には、「下り制御チャネル(DLCCH)、下りデータチャネル(DLDCH)、上り共通参照シンボル(ULCRS)、上り制御チャネル(ULCCH)が、同じフレームに含まれ、前記下り制御チャネル(DLCCH)および前記下りデータチャネル(DLDCH)が、前記DL(Tx)セクション(送信セクション)に含まれ、前記上り共通参照シンボル(ULCRS)及び上り制御チャネル(ULCCH)が、前記UL(Rx)セクション(受信セクション)に含まれる」ことが記載されている。

f 前記a?eを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「5GBSが時分割複信(TDD)キャリアを利用して複数のUEと通信するための同期ネットワークにおける無線通信インターフェースに規定される無線通信方法であって、前記時分割複信(TDD)キャリアがDL(Tx)セクション(送信セクション)とUL(Rx)セクション(受信セクション)とを含むフレームを備え、前記方法が、
前記フレームの下り制御チャネル(DLCCH)においてDLスケジューリンググラント(SG)を送信するステップであって、前記下り制御チャネル(DLCCH)が前記フレームのDLデータの直前に位置する、ステップと、
前記フレームの下りデータチャネル(DLDCH)において前記DLデータを送信するステップと、
前記フレームの上り共通参照シンボル(ULCRS)において複数のUEから信号を受信するステップと、
前記フレームの上り制御チャネル(ULCCH)において複数のUEからACKを受信するステップであって、前記上り制御チャネル(ULCCH)が前記フレームの前記上り共通参照シンボル(ULCRS)の後にあり、前記上り制御チャネル(ULCCH)が前記下りデータチャネル(DLDCH)に対応するACKを備える、ステップと、
下り制御チャネル(DLCCH)、下りデータチャネル(DLDCH)、上り共通参照シンボル(ULCRS)、上り制御チャネル(ULCCH)が、同じフレームに含まれ、前記下り制御チャネル(DLCCH)および前記下りデータチャネル(DLDCH)が、前記DL(Tx)セクション(送信セクション)に含まれ、前記上り共通参照シンボル(ULCRS)及び上り制御チャネル(ULCCH)が、前記UL(Rx)セクション(受信セクション)に含まれる、方法。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「5GBS」は、前記(2)ア(ア)bによれば、「5G基地局」である。ここで、本願明細書の「たとえば、スケジューリングエンティティ202は、基地局、ノードB、eノードB、ネットワークアクセスポイントなどであり得る。」(【0021】)との記載に鑑みると、引用発明の「5GBS」すなわち5G基地局は、本件補正発明の「スケジューリングエンティティ」に相当する。
本願明細書の「たとえば、下位エンティティ204は、UEまたはすべてのインターネット(IOE)デバイスであり得る。」(【0021】)との記載に鑑みると、引用発明の「UE」は本件補正発明の「下位エンティティ」に相当する。そして、引用発明の「複数のUE」は、明らかにUEの集合(セット)であるから、本件補正発明の「複数の下位エンティティのセット」に相当する。
引用発明の「無線通信インターフェースに規定される無線通信方法」は、要するに、ワイヤレス通信の方法であるから、本件補正発明の「ワイヤレス通信の方法」に相当する。
引用発明の「DL(Tx)セクション(送信セクション)」及び「UL(Rx)セクション(受信セクション)」は、それぞれフレームの一部分をなすものであるから、これらをそれぞれ「送信部分」及び「受信部分」と呼ぶことは任意である。
引用発明の「フレーム」は、前記(2)ア(ア)k及び図4によれば、0.5ms(500μs)の時間長を有し、10msのロングフレームの一部分をなすものである。そうすると、引用発明の「フレーム」は、ロングフレームに対する「サブフレーム」であるといえる。そして、本願明細書の「さらに、無線フレーム300は、1つまたは複数のサブフレーム(SF)を含むことができる。図3の例示的な構成では、無線フレーム300は、同じ期間304を有する10個のサブフレーム(たとえば、図3では「SF0」から「SF9」とラベル付けされている)を含む。たとえば、期間304は500μsであり得る。しかしながら、本開示の範囲内では、フレームは任意の適切な数のサブフレームを含むことができ、各サブフレームは任意の適切な期間を有することができる。」(【0025】)との記載に鑑みれば、引用発明の「フレーム」を本件補正発明の意味で「サブフレーム」と呼ぶことは任意である。
以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、「スケジューリングエンティティが時分割複信(TDD)キャリアを利用して1つまたは複数の下位エンティティのセットと通信するための同期ネットワークにおけるワイヤレス通信の方法であって、前記TDDキャリアが送信部分と受信部分とを含むサブフレームを備え」る点で一致する。

イ 引用発明の「下り制御チャネル(DLCCH)」は、制御信号を送信する部分であるから、これを「制御部分」と呼ぶことは任意である。
引用発明の「DLスケジューリンググラント(SG)」は、下り制御チャネル(DLCCH)で送信されるのであるから、本件補正発明でいう「制御信号」に対応するものといえる。
以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記方法が、前記サブフレームの制御部分において制御情報を送信するステップを備え」る点で共通する。

ウ 引用発明の「下りデータチャネル(DLDCH)」は、DLデータを送信する部分であるから、これを「データ部分」と呼ぶことは任意である。
引用発明の「DLデータ」は、明らかに情報であるから、本件補正発明の「データ情報」に相当する。
引用発明の「上り共通参照シンボル(ULCRS)」における「参照シンボル(RS)」は、LTE等の標準規格に鑑みれば、受信信号の品質測定などに用いられる所定のパターンの信号すなわちパイロット信号であると認められる。そうすると、引用発明の「上り共通参照シンボル(ULCRS)」においてUEが送信し5GBSが受信する信号は「パイロット信号」であると認められ、該パイロット信号を受信する部分としての「上り共通参照シンボル(ULCRS)」を「パイロット部分」と呼ぶことは任意である。
以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記サブフレームのデータ部分において前記データ情報を送信するステップと、前記サブフレームのパイロット部分において下位エンティティの前記セットからパイロット信号を受信するステップと」を備える点で一致する。

エ 引用発明において5GBSがACKを受信する部分である「上り制御チャネル(ULCCH)」を「ACK部分」と呼ぶことは任意である。
引用発明の「ACK」は、通信技術において周知のacknowledge応答すなわち肯定応答のことであると認められるから、本件補正発明の「肯定応答情報」に相当すると共に、本件補正発明の「ACK/NACK信号」のうちの「ACK信号」と共通する。
以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記サブフレームのACK部分において下位エンティティの前記セットから肯定応答(ACK)信号を受信するステップであって、前記ACK部分が前記サブフレームの前記パイロット部分の後にあり、前記ACK信号が前記データ情報に対応する肯定応答情報を備える、ステップ」を備える点で共通する。

オ 前記ア?エによれば、本件補正発明と引用発明とは、「前記制御部分、前記データ部分、前記パイロット部分、および前記ACK部分が、同じサブフレームに含まれ、前記制御部分および前記データ部分が、前記送信部分に含まれ、前記パイロット部分および前記ACK部分が、前記受信部分に含まれる、方法。」である点で一致する。

カ 前記ア?オによれば、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致及び相違する。

〈一致点〉
「スケジューリングエンティティが時分割複信(TDD)キャリアを利用して1つまたは複数の下位エンティティのセットと通信するための同期ネットワークにおけるワイヤレス通信の方法であって、前記TDDキャリアが送信部分と受信部分とを含むサブフレームを備え、前記方法が、
前記サブフレームの制御部分において制御情報を送信するステップと、
前記サブフレームのデータ部分において前記データ情報を送信するステップと、
前記サブフレームのパイロット部分において下位エンティティの前記セットからパイロット信号を受信するステップと、
前記サブフレームのACK部分において下位エンティティの前記セットから肯定応答(ACK)信号を受信するステップであって、前記ACK部分が前記サブフレームの前記パイロット部分の後にあり、前記ACK信号が前記データ情報に対応する肯定応答情報を備える、ステップと
を備え、
前記制御部分、前記データ部分、前記パイロット部分、および前記ACK部分が、同じサブフレームに含まれ、前記制御部分および前記データ部分が、前記送信部分に含まれ、前記パイロット部分および前記ACK部分が、前記受信部分に含まれる、方法。」である点。

〈相違点1〉
本件補正発明の「制御情報」は「サブフレーム内のデータ情報に対応する」ものであるのに対し、引用発明の「DLスケジューリンググラント(SG)」は、DLデータの直前で送信されるものの、DLデータに対応するか否かが明らかではない点。

〈相違点2〉
ACK部分において受信する信号が、本件補正発明では「肯定応答(ACK)/否定応答(NACK)信号」であるのに対し、引用発明では「ACK」である点。

(4)判断
ア 相違点1について
LTE等の標準規格に鑑みると、スケジューリンググラント(Scheduling Grant)は、無線リソースの割り当てを通知する情報である。よって、引用発明の「DLスケジューリンググラント(SG)」は、下りの無線リソースの割り当てを通知する情報であると理解される。
前記理解に基づき、前記(2)ア(ア)iの「5GETLA(パートA)の場合、DLCCHで提供されるDLスケジューリンググラント(SG)の直後に、DLデータの伝送が続く。 これは復調遅延を最小化するが、不都合な点は、UEがDLCCHメッセージを復調し、自身に対する伝送がスケジュールされているかどうかを確認するまでRx信号をバッファしなければならないことである。」との記載(特に下線部分)を解釈すると、以下のとおりとなる。すなわち、UEがDLCCHで提供される下り無線リソースの割り当てを通知する情報を復調している最中に、DLCCHに続くDLデータを受信することになるが、受信したDLデータが自分に割り当てられたデータであるか否かを判断するためには、下り無線リソースの割り当てを通知する情報を復調しなければならず、前記復調が終了するまでは、受信したDLデータを捨てることも処理することもできずバッファしておかなければならない、と解釈される。
そうすると、引用発明の「DLスケジューリンググラント(SG)」は、それに続く「DLデータ」の割り当て先を示す制御情報であると認められ、したがって、「DLデータ」と「対応する」と認められる。
以上によれば、相違点1は実質的な相違点とはいえない。

イ 相違点2について
通信技術において、送信された情報を正しく受信できたか否かを示すために、肯定応答(ACK)のみならず、否定応答(NACK)をも使用することは、周知技術である。現に、引用文献1には5GBSで肯定応答(ACK)又は否定ACK指示子を生成することが開示されている(前記(2)ア(ア)cを参照)。
そうすると、引用発明のUEにおいて、DLデータが正しく受信できたか否かを示すために、ACKのみならず、NACKをも使用することは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎず、格別のことではない。

ウ 本件補正発明の効果について
相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「3.本願発明と引用文献発明との対比」において「本願は、段落0027に記載しているような、任意の所与のパケットのスケジューリング-送信-肯定応答のサイクルを同一のサブフレームに内包する自己完結型サブフレームに関する発明であり、特に段落0026に記載していますように、ダウンリンク中心の自己完結型サブフレームを提供することを目的としています。本願発明に関して、審査官殿は、拒絶査定において、「請求項1では、スケジューリングエンティティについて、制御部分、データ部分、パイロット部分、およびACK部分が同じサブフレームに含まれることが規定されている程度であって、ULDCH等のような部分を含むことを排除するように規定されたものでない」と指摘されています。しかしながら、本願の図4,5,7および段落0043からもご理解いただけるかと思いますが、本願のサブフレームは、制御部分およびデータ部分を含む送信部分と、パイロット部分およびACK部分を含む受信部分とから構成されており、本願のサブフレームの受信部分は、ULDCH等のような部分を含んでおりません。」と主張する。
しかしながら、本件補正発明は、そもそも「任意の所与のパケットのスケジューリング-送信-肯定応答のサイクルを同一のサブフレームに内包する自己完結型サブフレーム」を発明特定事項としていない。
仮に、本件補正発明が「自己完結型サブフレーム」を発明特定事項として含んでいるのだとしても、「自己完結型サブフレーム」は、(i)「サブフレーム400のデータ部分404において搬送されるすべてのデータがサブフレームの制御部分402においてスケジューリングされている」こと、及び、(ii)「サブフレーム400のデータ部分404において搬送されるすべてのデータがサブフレーム400のACK部分408において確認されている(または、少なくとも確認される機会を有する)」ことのみをその要件としている(【0027】)のであって、前記要件(i)は引用発明の「前記フレームの下り制御チャネル(DLCCH)においてDLスケジューリンググラント(SG)を送信するステップであって、前記下り制御チャネル(DLCCH)が前記フレームのDLデータの直前に位置する、ステップ」によって満たされ(前記アを参照)、かつ、前記要件(ii)は引用発明の「前記フレームの上り制御チャネル(ULCCH)において複数のUEからACKを受信するステップであって、前記上り制御チャネル(ULCCH)が前記フレームの前記上り共通参照シンボル(ULCRS)の後にあり、前記上り制御チャネル(ULCCH)が前記下りデータチャネル(DLDCH)に対応するACKを備える、ステップ」によって満たされるのであるから、引用発明は本件補正発明と同様の「自己完結型サブフレーム」である。
したがって、請求人の主張は採用できない。

オ 小括
前記ア?エによれば、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
前記2のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は前記第2のとおり却下されたので、本願発明は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2.原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1、2、7?10、15、16に係る発明は、本願の優先権主張の日の前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:LEVANEN TONI,et al.,Dense Small-Cell Networks: Rethinking the Radio Interface Beyond LTE-Advanced,2014 1st International Conference on 5G for Ubiquitous Connectivity(5GU),2014年11月,p.163-169
引用文献2:米国特許出願公開第2015/0103702号明細書
引用文献3:John E Smee,5G Design Across Services,2015年 5月12日,URL,http://johannesbergsummit.com/wp-content/uploads/sites/6/2014/11/Tue
sday_3_John-Smee.pdf

3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「サブフレーム」、「制御部分」、「データ部分」、「パイロット部分」及び「ACK部分」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項の全てを含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)及び(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-07-24 
結審通知日 2019-07-29 
審決日 2019-08-14 
出願番号 特願2017-559010(P2017-559010)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04W)
P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷岡 佳彦  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 古河 雅輝
丸山 高政
発明の名称 自己完結型時分割複信(TDD)サブフレーム構造のためのスケーリングされたシンボル  
代理人 村山 靖彦  
代理人 黒田 晋平  

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