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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B60R
管理番号 1358457
審判番号 不服2019-4405  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-04 
確定日 2020-01-28 
事件の表示 特願2015-50977号「車両用操作システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年9月23日出願公開、特開2016-168959号、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月13日の出願であって、平成30年11月15日付けで拒絶理由通知がされ、同年12月27日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年2月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年4月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
本願の請求項1?6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
[刊行物]
特開2006-96296号公報(以下「引用文献1」という。)

第3 本願発明
本願請求項1?6に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」?「本願発明6」という。)は、平成31年4月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
ステアリングコラムから車幅方向の外側に向けて突出させ且つ延在させた長手部材と、
車載装置が有する作動形態に割り当てられ、ステアリングホイールを握った状態における手指の車両前後の屈伸方向である操作方向への操作を操作形態として検出する動作検出部と、
前記動作検出部によって検出された前記操作形態に基づいて前記車載装置を制御する制御部と、
を備え、
前記動作検出部は、前記長手部材の延在方向の先端部に配設され且つ車幅方向の外側を向く先端面を有し、前記先端面における前記操作形態を検出し、
前記先端面は、車両前後方向で車両前側に投影した投影面積よりも車幅方向で外側に投影した投影面積の方が大きくなるように、前記ステアリングホイール側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面である、
ことを特徴とする車両用操作システム。
【請求項2】
前記動作検出部は、前記先端面に接触している物体及び当該物体の移動方向の検出が可能な接触式センサを有し、前記接触式センサによって前記操作方向への接触操作を前記操作形態として検出する、
請求項1に記載の車両用操作システム。
【請求項3】
前記先端面は、車幅方向において、前記ステアリングホイールの車幅方向における先端部と同位置又は先端部の近傍に位置する、
請求項1又は2に記載の車両用操作システム。
【請求項4】
前記ステアリングコラムにおける車幅方向の左端と右端の内の少なくとも一方に、前記長手部材と前記動作検出部の組み合わせを少なくとも1組設ける、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項5】
前記長手部材を有するレバー操作部、及び、前記長手部材の前記ステアリングコラム側の端部を支点にした傾倒動作の傾倒方向を検出するレバー操作検出部を設け、前記長手部材の操作方向としての前記傾倒動作の傾倒方向に割り当てられた前記車載装置又は前記車載装置とは別の車載装置を操作する主操作装置と、
前記動作検出部を有する副操作装置と、
を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用操作システム。
【請求項6】
前記ステアリングコラムにおける車幅方向の左端と右端の内の少なくとも一方に、前記主操作装置と前記副操作装置の組み合わせを少なくとも1組設ける、
請求項5に記載の車両用操作システム。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同様である。)。
(1a)
「【0004】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、手探りにより操作されるスイッチの操作の確実性を向上させ、スイッチを設置可能なスペースを増加させることができる車両用スイッチ装置を提供することを目的とする。」
(1b)
「【0040】
・・・
(第2実施形態)
以下、本発明をステアリングホイールに設けられるスイッチ装置に具体化した第2実施形態を、図6及び図7(a),(b)を参照して説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同じ構成である部分については、同一番号を付しその説明を省略する。
【0041】
図6に示すように、ステアリングホイール3のコラム4の右側に、車両用スイッチ装置5が設けられている。なお、以降の説明においては、車両用スイッチ装置5を単にスイッチ装置5という。スイッチ装置5は、車両のターンシグナルスイッチ等のコンビネーションスイッチである。
【0042】
スイッチ装置5は、カバー部としてのレバースイッチ51、視認部としての窓部52、タッチスイッチ53を備えている。レバースイッチ51及びタッチスイッチ53は、それぞれ制御装置(図示略)と電気的に接続されている。レバースイッチ51は、前記コラム4を中心にX方向及びY方向に傾動可能に支持されている。レバースイッチ51をX方向に傾動させると、その旨を示す信号が前記制御装置に入力され、該制御装置から車両の外側に配設された左側のシグナルランプ(図示略)の点滅を指令する信号が出力される。また、レバースイッチ51をY方向に傾動させると、その旨を示す信号が前記制御装置に入力され、該制御装置から車両の外側に配設された右側のシグナルランプの点滅を指令する信号が出力される。
【0043】
図7(a),(b)に示すように、レバースイッチ51は、表面が光を反射する金属等で形成されており、レバースイッチ51の先端には、窓部52が配設されている。窓部52は、半透明な合成樹脂、あるいはガラスによって形成されて、光透過性を有している。窓部52におけるステアリングホイール3側(操作者側)には、印刷や塗装等によりカーナビゲーションシステム(以下、「カーナビ」という。)を操作する時に使用される4つの矢印52aの絵が上下左右方向にそれぞれ外側に向かって描かれている。窓部52における裏側(反操作者側)には、タッチスイッチ53が配設されている。即ち、前記矢印52aは、窓部52を介してタッチスイッチ53と向かい合うように配置されている。また、タッチスイッチ53は、透明もしくは半透明に形成されており、手で触れるだけでオンもしくはオフ信号が出力される静電容量式のタッチパネルスイッチ等から構成されている。ちなみに、タッチスイッチ53は、指が触れた座標を検出可能である。このため、該座標から4つの矢印52aのいずれが操作されたのかを特定できる。
【0044】
タッチスイッチ53は、窓部52に対して一部(露出部53a)が露出されており、この露出部53aを操作者がタッチ操作することにより本実施形態ではカーナビの画面上に現れるカーソルを移動させることができる。例えば図7(a)に示すように、右向きの矢印52aに対応する位置を操作した場合、その旨を示す信号が制御装置に出力され、カーナビの画面上のカーソルは右方向へと移動する。また、前記露出部53aと窓部52とは、該窓部52の裏側(反操作者側)において面一となっている。尚、窓部52の長さは、レバースイッチ51の長手方向において、ステアリングホイール3側(操作者側)からタッチスイッチ53が視認できる長さに設定されている。
【0045】
(第2実施形態の作用)
次に上記の構成のスイッチ装置5の作用について説明する。
図6及び図7(a)に示すように、スイッチ装置5をX方向に傾動させると、その旨を示す信号が制御装置(図示略)に入力され、該制御装置から車両の左側のシグナルランプを点滅させる信号が出力される。そして、この左側のシグナルランプ(図示略)が点滅する。この状態からスイッチ装置5を元の位置に復帰させると、左側のシグナルランプの点滅が停止する。一方、スイッチ装置5をY方向に傾動させると、その旨を示す信号が前記制御装置に入力され、該制御装置から車両の右側のシグナルランプを点滅させる信号が出力される。そして、この右側のシグナルランプが点滅する。この状態からスイッチ装置5を元の位置に復帰させると、右側のシグナルランプの点滅が停止する。
【0046】
図7(a),(b)に示すように、操作者がスイッチ装置5のタッチスイッチ53を操作する場合、レバースイッチ51に指Hを伸ばすと、操作者はステアリングホイール3側(操作者側)から窓部52を介して指Hを視認することができる。指Hが窓部52に描かれた矢印52a(例えば、図7に示す右向きの矢印)の裏側に到達したとき、指Hを手前側に移動する。こうすることにより、この矢印52aのちょうど裏側(反操作者面側)にタッチスイッチ53が配設されているため、指Hは該タッチスイッチ53をタッチ操作する。このタッチ操作をトリガとして、タッチスイッチ53からオン信号が制御装置に入力される。そして、制御装置からカーナビのカーソルを右方向へと移動させる信号が出力され、カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する。
【0047】
(第2実施形態の効果)
(7)レバースイッチ51に窓部52を備え、該窓部52の裏側(反操作者面側)にタッチスイッチ53を配設した。このため、タッチスイッチ53を操作する際、操作者側から窓部52を介して指Hを視認することができる。この結果、誤った選択をしようとしている場合は一瞬でその誤りを認識することができるため、タッチスイッチ53の誤操作を防止することができる。従って、手探りだけでタッチスイッチ53のスイッチ操作を行う場合と異なり、操作の確実性を向上させることができる。
【0048】
(8)さらに、前記タッチスイッチ53は窓部52の反操作者面側に配設されるため、車両の運転席におけるデッドスペースを有効利用することができる。従って、スイッチを設置可能なスペースを増加させることができる。
【0049】
(9)タッチスイッチ53は、窓部52の裏側(反操作者側)において面一となるように配設されている。このため、タッチ操作するときの触感がよく、指Hを滑らせるだけでも容易にタッチ操作を行うことができる。従って、窓部52を目視しなくてもタッチ操作を行うことができ、利便性が向上する。」
(1c)
図6及び図7は、以下のとおりである。


(2)引用文献1に記載された発明

図6及び図7(a)、(b)から、「レバースイッチ51」(摘記(1b)の段落【0042】参照)は、その形状が、ステアリングホイール3のコラム4からステアリングホイール3の右端よも外側に延びる棒状であることが看取できる。

図6及び図7(a)、(b)から、「露出部53a」(摘記(1b)の段落【0044】参照)は、ステアリングホイール3側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面となっていることが看取できる。

段落【0044】の「タッチスイッチ53は、窓部52に対して一部(露出部53a)が露出されており、この露出部53aを操作者がタッチ操作する」という記載及び図7(a)から、段落【0046】の「指Hは該タッチスイッチ53をタッチ操作する」ことは、指Hはタッチスイッチ53の露出部53aをタッチ操作することであると認められる。

段落【0046】の「スイッチ装置5」と「制御装置」とは、車両用システムの構成要素であることが明らかであり、制御装置とスイッチ装置5とを備える車両用のシステムが認められる。

上記ア?エ、摘記(1b)及び図6、7(a)(b)(摘記(1c)参照)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「ステアリングホイール3のコラム4の右側に設けられているスイッチ装置5は、
ステアリングホイール3のコラム4からステアリングホイール3の右端よも外側に延びる棒状のレバースイッチ51と、
レバースイッチ51の先端に配設され、半透明な合成樹脂あるいはガラスによって形成されている視認部としての窓部52と、
窓部52における反操作者側に配設され、透明もしくは半透明に形成されているタッチスイッチ53と、を備え、
窓部52の長さは、レバースイッチ51の長手方向において、テアリングホイール3側である操作者側からタッチスイッチ53が視認できる長さに設定され、
窓部52における操作者側には、カーナビを操作する時に使用される4つの矢印52aが、上下左右方向にそれぞれ外側に向かって描かれ、窓部52を介してタッチスイッチ53と向かい合うように配置され、
タッチスイッチ53は、窓部52に対して露出部53aが露出されており、露出部53aは、ステアリングホイール3側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面であり、露出部53aと窓部52とは、反操作者側において面一となっており、
操作者がスイッチ装置5のタッチスイッチ53を操作する場合、操作者は操作者側から窓部52を介して指を視認することができ、指が窓部52に描かれた矢印52a(例えば右向きの矢印)の裏側に到達したとき、指を手前側に移動し、指はタッチスイッチ53の露出部53aをタッチ操作し、タッチスイッチ53は、指が触れた座標を検出可能であるため、該座標から4つの矢印52aのいずれが操作されたのかを特定でき、このタッチ操作をトリガとして、タッチスイッチ53からオン信号が制御装置に入力され、制御装置からカーナビのカーソルを右方向へと移動させる信号が出力され、カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する、
上記制御装置と上記スイッチ装置5とを備える車両用のシステム。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比

引用発明の「ステアリングホイール3のコラム4」及び「ステアリングホイール3のコラム4からステアリングホイール3の右端よも外側に延びる棒状のレバースイッチ51」は、それぞれ、本願発明1の「ステアリングコラム」及び「ステアリングコラムから車幅方向の外側に向けて突出させ且つ延在させた長手部材」に相当する。

(ア)
引用発明は、「操作者がスイッチ装置5のタッチスイッチ53を操作する場合、操作者は操作者側から窓部52を介して指を視認することができ、指が窓部52に描かれた矢印52a(例えば右向きの矢印)の裏側に到達したとき、指を手前側に移動し、指はタッチスイッチ53の露出部53aをタッチ操作し、タッチスイッチ53は、指が触れた座標を検出可能であるため、該座標から4つの矢印52aのいずれが操作されたのかを特定でき、このタッチ操作をトリガとして、タッチスイッチ53からオン信号が制御装置に入力され、制御装置からカーナビのカーソルを右方向へと移動させる信号が出力され、カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する」(以下「構成A」ともいう。)という構成を備える。
引用発明の構成Aの「カーナビ」及び「タッチスイッチ53」は、それぞれ、本願発明1の「車載装置」及び「動作検出部」に相当する。
(イ)
上記(ア)を踏まえると、引用発明の構成Aの「カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する」構成は、本願発明1の「車載装置が有する作動形態」の構成に相当する。
(ウ)
引用発明の構成Aにおいて、「タッチスイッチ53は、指が触れた座標を検出可能であるため、該座標から4つの矢印52aのいずれが操作されたのかを特定でき、このタッチ操作をトリガとして、タッチスイッチ53からオン信号が制御装置に入力され、制御装置からカーナビのカーソルを右方向へと移動させる信号が出力され、カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する」から、引用発明の構成Aの「タッチスイッチ53」は、「座標から4つの矢印52aのいずれが操作されたのかを特定でき」、「制御装置」によって「カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する」構成(本願発明1の「車載装置が有する作動形態」の構成に相当。上記(イ)参照。)が得られるものであるから、引用発明の構成Aの「タッチスイッチ53」は、上記の「特定」によって、上記の「カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する」構成(本願発明1の「車載装置が有する作動形態」の構成に相当。上記(イ)参照。)に割り当てられているといえる。
要は、引用発明の構成Aの「タッチスイッチ53」(本願発明1の「動作検出部」に相当。上記(ア)参照。)は、「車載装置が有する作動形態」に割り当てられているといえる。
(エ)
引用発明の構成Aの「指が窓部52に描かれた矢印52a(例えば右向きの矢印)の裏側に到達したとき、指を手前側に移動し、指はタッチスイッチ53の露出部53aをタッチ操作」する構成は、本願発明1の「手指の」「操作方向への操作」の構成に相当する。
また、引用発明の構成Aの「4つの矢印52aのいずれが操作されたか」という構成は、本願発明1の「操作形態」の構成に相当する。
そして、引用発明の構成Aにおいて、「指はタッチスイッチ53の露出部53aをタッチ操作し、タッチスイッチ53は、指が触れた座標を検出可能であるため、該座標から4つの矢印52aのいずれが操作されたのかを特定でき」るから、引用発明の「タッチスイッチ53」は、上記の「タッチ操作」(本願発明1の「手指の」「操作方向への操作」の構成に相当。)を、「4つの矢印52aのいずれが操作されたか」という構成(本願発明1の「操作形態」の構成に相当。)を「特定」することで(「・・・を特定する」は、「・・・として」という意味に解されることが明らかである。)、検出しているといえる。
要は、引用発明の構成Aの「タッチスイッチ53」(本願発明1の「動作検出部」に相当。上記(ア)参照。)は、「手指の」「操作方向への操作」を「操作形態」として検出しているといえる。
(オ)
上記(ア)?(エ)を踏まえると、引用発明の構成Aの「タッチスイッチ53」と、本願発明1の「車載装置が有する作動形態に割り当てられ、ステアリングホイールを握った状態における手指の車両前後の屈伸方向である操作方向への操作を操作形態として検出する動作検出部」とは、「車載装置が有する作動形態に割り当てられ、手指の操作方向への操作を操作形態として検出する動作検出部」の限りで共通している。

(ア)
引用発明の構成Aにおいて、「このタッチ操作をトリガとして、タッチスイッチ53からオン信号が制御装置に入力され、制御装置からカーナビのカーソルを右方向へと移動させる信号が出力され、カーナビの画面上のカーソルが右方向へと移動する」から、引用発明の構成Aの「制御装置」は、「カーナビ」(本願発明1の「車載装置」に相当。上記イ(ア)参照。)を制御するといえる。
(イ)
引用発明の構成Aの「タッチスイッチ53」(本願発明1の「動作検出部」に相当。上記(ア)参照。)は、「手指の」「操作方向への操作」を「操作形態」として検出しているといえるから(上記イ(エ))、引用発明の構成Aの「このタッチ操作」(タッチスイッチ53をタッチするタッチ操作といえる。)の動作により、動作検出部によって検出された操作形態が認識されるといえる。
そして、引用発明の構成Aの「このタッチ操作をトリガとして」いる「制御装置」の制御は、前記の動作検出部によって検出された操作形態(制御装置が認識した操作形態といえる。)を「トリガとして」いる、すなわち、動作検出部によって検出された操作形態に基づいている、といえる。
(ウ)
上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用発明の構成Aの「制御装置」は、本願発明1の「前記動作検出部によって検出された前記操作形態に基づいて前記車載装置を制御する制御部」に相当する。

(ア)
引用発明は、「レバースイッチ51の先端に配設され、半透明な合成樹脂あるいはガラスによって形成されている視認部としての窓部52と、窓部52における反操作者側に配設され、透明もしくは半透明に形成されているタッチスイッチ53と、を備え、」「タッチスイッチ53は、窓部52に対して露出部53aが露出されており、露出部53aは、ステアリングホイール3側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面であり、露出部53aと窓部52とは、反操作者側において面一となっており、」(以下「構成B」ともいう。)という構成を備える。
(イ)
構成Bによれば、「露出部53a」は、「傾斜面であり」、「窓部52」が「備え」る「タッチスイッチ53」に「露出されて」いるから、構成Bの「露出部53a」は、構成Bの「窓部52」と同様に、「レバースイッチ51の先端に配設され」ている面といえる。
したがって、当該「露出部53a」は、「ステアリングホイール3のコラム4からステアリングホイール3の右端よも外側に延びる棒状のレバースイッチ51」(本願発明1の「ステアリングコラムから車幅方向の外側に向けて突出させ且つ延在させた長手部材」に相当。上記ア参照。)に「配設され」ている面であり、引用発明の構成Bの「露出部53a」は、本願発明1の「前記長手部材の延在方向の先端部に配設され」た「先端面」に相当する。
(ウ)
引用発明の構成Bの「ステアリングホイール3」及び「ステアリングホイール3側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面」は、それぞれ、本願発明1の「ステアリングホイール」及び「ステアリングホイール側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面」に相当する。
(エ)
引用発明の構成Bの「露出部53a」は、引用発明の構成Aの「タッチスイッチ53の露出部53a」であるから、実質的に構成Aの「タッチスイッチ53」と同様に、構成Aの「4つの矢印52aのいずれが操作されたか」(本願発明1の「操作形態」に相当。)を検出しているといえる(上記イ(エ))。
(オ)
引用発明の構成Bの「タッチスイッチ53」は、上記(イ)及び(エ)の「露出部53a」に係る構成、及び、(ウ)の構成を備えるから、引用発明の構成Bの「タッチスイッチ53」の構成と、本願発明1の「前記動作検出部は、前記長手部材の延在方向の先端部に配設され且つ車幅方向の外側を向く先端面を有し、前記先端面における前記操作形態を検出し、前記先端面は、車両前後方向で車両前側に投影した投影面積よりも車幅方向で外側に投影した投影面積の方が大きくなるように、前記ステアリングホイール側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面である」構成とは、「前記動作検出部は、前記長手部材の延在方向の先端部に配設された先端面を有し、前記先端面における前記操作形態を検出し、前記先端面は、前記ステアリングホイール側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面である」構成の限りで共通している。

引用発明の「上記制御装置と上記スイッチ装置5とを備える車両用のシステム」は、本願発明1の「車両用操作システム」に相当する。

以上から、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「ステアリングコラムから車幅方向の外側に向けて突出させ且つ延在させた長手部材と、
車載装置が有する作動形態に割り当てられ、手指の操作を操作形態として検出する動作検出部と、
前記動作検出部によって検出された前記操作形態に基づいて前記車載装置を制御する制御部と、
を備え、
前記動作検出部は、前記長手部材の延在方向の先端部に配設された先端面を有し、前記先端面における前記操作形態を検出し、
前記先端面は、前記ステアリングホイール側に近づくに連れて車幅方向の内側から外側に向かって傾斜した傾斜面である、
車両用操作システム。」
<相違点1>
「手指の操作を操作形態として検出する動作検出部」が、本願発明1は、「ステアリングホイールを握った状態における」手指の「車両前後の屈伸方向である」操作方向への操作を操作形態として検出する動作検出部であるのに対して、引用発明はそのように特定されていない点。
<相違点2>
「先端面」が、本願発明1は、前記長手部材の延在方向の先端部に配設され「且つ車幅方向の外側を向く」先端面であり、「車両前後方向で車両前側に投影した投影面積よりも車幅方向で外側に投影した投影面積の方が大きくなるように」傾斜した傾斜面であるのに対して、引用発明はそのように特定されていない点。

(2)相違点についての判断
相違点について、以下検討する。
ア 相違点1について
(ア)
引用文献1には、ステアリングホイール3を握った状態で、レバースイッチ5のタッチスイッチ53を操作することは、記載も示唆もされていない。
(イ)
ステアリングホイール3を握った状態で、レバースイッチ5のタッチスイッチ53を操作するためには、幅方向における、レバースイッチ5の端部の位置と、ステアリングホイール3の幅方向の端部の位置とを、適切な位置となるように調節することが必要となるが、そのようなことは、引用文献1には記載も示唆もされていない。
(ウ)
したがって、引用文献1には、上記相違点1に係る発明の構成は記載されておらず(上記(ア))、当該構成を想到し得る動機付けも存在しないから(上記(イ))、引用発明において、上記相違点1に係る発明の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。
イ 相違点2について
(ア)
引用発明において、上記相違点2に係る「車両前後方向で車両前側に投影した投影面積よりも車幅方向で外側に投影した投影面積の方が大きくなるように」傾斜した傾斜面(以下「投影面積に関する傾斜面の構成」ともいう。)を採用すると、窓部52の幅方向の長さが短くなってしまうから、操作者側に位置する矢印の表示範囲は狭くなり、また、タッチスイッチ53を側方から操作することになるから、操作者は、操作者側に位置する矢印に手指を一致させ辛くなり、操作性が低下し操作が不確実になってしまうことが明らかであり、「手探りにより操作されるスイッチの操作の確実性を向上させ」るという引用文献1の課題(段落【0004】)を解決できなくなる。
また、上記採用の際に、窓部52の幅方向の長さを維持した場合は、スイッチ装置5自体が大きくなってしまう上に、タッチスイッチ53の寸法が大きくなるから、手指を動かす範囲が広がり、操作性が低下し操作が不確実になってしまうことが明らかであるから、同様に、上記の課題は解決できなくなる。
したがって、引用発明において、投影面積に関する傾斜面の構成を含む上記相違点2に係る本願発明1の構成を想到することには、阻害要因が存在する。
(イ)
さらに、投影面積に関する傾斜面の構成は、引用文献1に記載も示唆もされていないし、構成Aが公知ないし周知であるといえる根拠も無い。

したがって、引用発明において、上記相違点2に係る発明の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。

(3)小括
よって、本願発明1は、引用発明であるとはいえないし、また、本願発明1は、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明2?6につて
本願発明2?6は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに限定したものであるから、本願発明1と同様に(上記1参照)、引用発明であるとはいえないし、また、本願発明2?6は、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1?6は、少なくとも上記相違点2に係る本願発明1の構成を有するものとなっており、本願発明1?6は、引用発明であるとはいえないし、また、本願発明1?6は、引用発明及び引用文献1に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-01-14 
出願番号 特願2015-50977(P2015-50977)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60R)
P 1 8・ 113- WY (B60R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高島 壮基  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 出口 昌哉
島田 信一
発明の名称 車両用操作システム  
代理人 特許業務法人虎ノ門知的財産事務所  
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