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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1358473
審判番号 不服2018-889  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-23 
確定日 2020-01-09 
事件の表示 特願2015- 50705「ビデオゲーム処理プログラム、及びビデオゲーム処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月27日出願公開、特開2015-134197〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、米国仮出願第61/769931号(2013年2月27日出願。以下「米国基礎出願」といい、米国基礎出願の出願日を「優先日」という。)を基礎とするパリ条約による優先権を主張して平成25年5月29日に特許出願され、同年6月27日(同月28日受付)に新規性の喪失の例外証明書提出書の提出がなされた特願2013-113318号(以下「原出願」という。)の一部を、平成27年3月13日に新たな特許出願としたものであって、平成29年10月13日付けで拒絶査定(以下「本件拒絶査定」という。)がなされ、これに対し、平成30年1月23日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、当審で同年9月12日付けの審尋がなされ、これに対し同年11月26日に回答書及び手続補足書が提出され、平成31年4月10日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和1年5月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和1年5月15日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであって、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)はつぎのとおりのものである。

「【請求項1】
ユーザ端末と通信可能なサーバにビデオゲームの進行を制御する機能を実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記サーバに、
仮想空間におけるキャラクタの位置を特定する特定機能と、
少なくともゲーム画面の構成が異なる複数のモードのうち何れかのモードで前記ビデオゲームの進行を制御する制御機能と、
前記ユーザ端末の性能に関する情報(以下「性能情報」という。)を取得する取得機能と、
前記性能情報に基づいて前記ユーザ端末に対応するモードを設定する設定機能と、
該設定機能にて設定したモードに対応するゲーム画面を前記ユーザ端末に出力させるための情報を当該ユーザ端末に送信する送信機能とを実現させ、
前記複数のモードは、推奨動作条件が設定された第1モードと、該第1モードとは少なくとも前記キャラクタの描画態様が異なることでコンピュータにかかる処理負荷が軽減されることが期待できる第2モードとを含み、
前記設定機能では、前記取得機能により取得した前記性能情報と前記推奨動作条件とに基づいて、描画に関する機能が異なる前記第1モードと前記第2モードのうち何れかを前記ユーザ端末に対応するモードとして設定する機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。」

第3 当審拒絶理由について

1.当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の理由2(進歩性)のうち、本願発明に関する部分の概要は次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1
・引用例1及び2

<引用文献等一覧>
引用例1.Nobu,“「スクエニ レジェンドワールド」のクローズドβテスター募集がスタート。戦闘はStage3Dによるリッチな画面でも楽しめる”,4Gamer.net,掲載日:2012年12月26日,
URL,http://www.4gamer.net/games/185/G018547/20121221082/
引用例2.特表2007-505673号公報

2.引用発明
(1)引用例1
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例1には、図面と共に次の事項が記載されている。
なお、本願の原出願については、平成30年法律第33号による改正前の特許法第30条第3項に規定する発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書6件を添付した新規性の喪失の例外証明書提出書が提出されている。
しかしながら、引用例1については証明書は提出されていない。また、引用例1は前記証明書6件に係る発明の公開より前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであるから、前記証明書6件の提出を以て引用例1についての証明書の提出を省略することはできない。
そうすると、引用例1に係る発明については、発明の新規性喪失の例外の規定は適用されない。

ア.「スクウェア・エニックスは本日(2012年12月26日),同社が運営する「スクウェア・エニックス メンバーズ」(以下,スクエニメンバーズ)にて展開予定の新規ソーシャルブラウザRPG「スクエニ レジェンドワールド」のクローズドβテスター募集を開始した。」(第1/12ページ本文第1ないし4行)

イ.「その体験版を遊んだ人はわかったと思うが,本作には同社のブラウザゲーム「クリスタル・(当審注:原文は黒の菱形)コンクエスト」でも使われているFlashの新技術Stage3Dが使われており,3DRPGのようなリッチな画面でモンスターと戦える「リアルビューモード」が用意されている。Stage3Dは相応のPCスペックがないと処理が重いのだが,低スペックでも遊べるように「シンプルビュー」というモードもある。
見た目は全然違う2つのモードだが,戦闘方法は基本的に同じで,自動攻撃を繰り返しながらプレイヤーが要所要所でキャラクターの行動を指示したり,スキルを使ったりといったコマンドバトル系になっている。」(第2/12ページ下から第3行ないし第3/12ページ第6行)

ウ.「「スクエニ レジェンドワールド」は、スクエニメンバーズのサービスの一つであるアバターを使って、ブラウザでプレイする新しいソーシャルゲームです。様々なミッションに挑戦し、手に入れたアイテムを装備したり、強化することで、プレイヤーのアバターをパワーアップさせ物語を進めていきます。
ダウンロードやインストール不要のブラウザで遊べるゲームですので、インターネットに接続されたPCがあればスクエニメンバーズの会員ならどなたでもプレイが可能です。」(第4/12ページ本文第7?14行)

エ.上記「ウ.」によれば、「スクエニ レジェンドワールド」は「ダウンロードやインストール不要のブラウザで遊べるゲーム」であり、「インターネットに接続されたPCがあれば……プレイが可能」であるから、「インターネットに接続されたPC」がインターネットを介して他の装置に接続されており、ゲームの処理が当該他の装置において行われていることは明らかである。そして、インターネットを介してPCと接続し処理を行う装置は「サーバ」にほかならず、ゲームの処理がプログラムによって実行されることは明らかであるから、引用例1には「サーバにおいてゲームの処理を実行するプログラム」が開示されているといえる。

オ.上記「イ.」の「3DRPGのようなリッチな画面でモンスターと戦える「リアルビューモード」が用意されている」、「Stage3Dは相応のPCスペックがないと処理が重いのだが,低スペックでも遊べるように「シンプルビュー」というモードもある」及び「自動攻撃を繰り返しながらプレイヤーが要所要所でキャラクターの行動を指示したり,スキルを使ったり」との記載を踏まえると、引用例1の第3/12ページの2枚の画面はいずれもキャラクターがモンスターと戦う画面であって、そのうち「リアルビュー」とのキャプションが付された画面からは、「「リアルビュー」モードにおいては、キャラクターが3DRPGのような画面内に配置される」点を看取することができ、「シンプルビュー」とのキャプションが付された画面からは、「「シンプルビュー」モードにおいては、一列に配置されたカード内にキャラクターが表示される」点を看取することができる。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「サーバにおいてゲームの処理を実行するプログラムであって、
Flashの新技術Stage3Dが使われている、3DRPGのようなリッチな画面でモンスターと戦える「リアルビュー」モードが用意されており、Stage3Dは相応のPCスペックがないと処理が重いのだが、低スペックでも遊べるように「シンプルビュー」モードもあり、
「リアルビュー」モードにおいては、キャラクターが3DRPGのような画面内に配置され、
「シンプルビュー」モードにおいては、一列に配置されたカード内にキャラクターが表示され、
見た目は全然違う2つのモードだが、戦闘方法は基本的に同じで、自動攻撃を繰り返しながらプレイヤーが要所要所でキャラクターの行動を指示したり、スキルを使ったりといったコマンドバトル系であり、
ダウンロードやインストール不要のブラウザで遊べるゲームであって、インターネットに接続されたPCがあればプレイが可能である、
ソーシャルブラウザRPG「スクエニ レジェンドワールド」のプログラム。」

(2)引用例2
当審拒絶理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である引用例2には、図面と共に次の事項が記載されている

ア.「【請求項16】
ゲーム・システムのホストのインターフェースの動作を制御するソフトウェアであって、前記ゲーム・システムでは、プレイヤーの端末は前記ホストとネットワークを経由して接続し、前記ホストは、ゲーム・アプリケーションに対応する処理手段を有し、前記ソフトウェアは、前記ホストの処理部に:
プレイヤーにより利用されている端末の性能を判定し;及び、
前記端末に、前記判定された端末の性能に応じて、前記ゲーム・アプリケーションとの一連の相互作用を提供する
機能を実行させるよう構成される、ソフトウェア。」

イ.「【0026】
図4は、ホスト10内の主要機能ブロックを示す。これらはネットワーク・インターフェース11、ゲーム環境に対応する処理システム12、地形環境、キャラクター及びオブジェクトの位置及び画像情報等のゲーム・データ、並びにキャラクター・データを格納する記憶装置15を有する。データの品質及び要求される大量のリアルタイム処理により、処理システム12及び記憶装置15は、それぞれ適切なバックアップ機器を備えた高性能機器の配列であるだろう。更なる機能ブロック13は、端末とゲーム・アプリケーション16の間のインターフェースとして動作する。インターフェース13は、端末性能判定部14を有する。前述のように、これはゲーム環境に参加する端末の性能を判定し、それらの性能及び端末の識別子を、後の検索のために格納する。ゲーム処理部16により処理されるゲーム・アプリケーションは、複数の異なる機能(機能Aから機能Dとして図示される)を有する。各機能は、端末に、端末により対応されるべき性能に必要な最小限の性能のセットを有するよう要求する。装置14は、これらの機能及び最小限の性能の格納部(表18により示される)を有し、この格納部を用い、端末がホストに登録する時に、端末がどの機能を利用できるかを判定する。インターフェース13は、制御信号19をゲーム処理部16に出力し、装置16に、どのゲーム機能が各端末に提供されるべきかを指示する。
【0027】
図5は、ゲーム・セッションの始めにおける端末登録プロセスのフローチャートを示し、ホスト10により実行されるステップを示す。最初に、ステップ100で、端末30、40はホスト10との接続を開始する。ステップ102で、ホストは、プレイヤーに、ユーザー名とパスワードの入力により彼ら自身を識別するよう要求する。これらを受信すると、ホストは望ましくはこれらの詳細を有するプレイヤーが既にログオンしているかどうか確認する。既にログオンしている場合、新たなログオンの実行はシステムの不正使用の可能性があり、新たな接続を拒否する等、これを処理するステップが実行されて良い。ホストは次に、ステップ104で、SIM38に格納されている識別子のような、端末の識別子を要求する。検索された端末IDは、装置14に格納されているデータと比較される(図4のステップ106)。検索された端末IDが、格納されているものと一致した場合、次に予め格納された性能情報が検索される(ステップ108)。しかしながら、端末IDが確認されない場合、上述のようにホストは端末に問い合わせ、端末の性能を判定する(ステップ110)。端末の性能を検索又は受信すると、ホストは端末との全ての将来の相互作用のために、適切な水準の機能を選択する。一般に、端末が標準的なゲーム・プラットフォームより低い性能を有する場合、これは、ホストは、端末にゲームの管理機能へのアクセスのみを許可し、如何なる画像の多いデータも送信しないことを意味する。端末が予めホストに知られていた場合、ホストは、性能情報及び端末IDを、将来のセッションのために装置14に格納する。」

以上を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「ゲーム・システムのホストのインターフェースの動作を制御するソフトウェアであって、前記ゲーム・システムでは、プレイヤーの端末は前記ホストとネットワークを経由して接続し、前記ホストは、ゲーム・アプリケーションに対応する処理手段を有し、前記ソフトウェアは、前記ホストの処理部に:
プレイヤーにより利用されている端末の性能を判定し;及び、
前記端末に、前記判定された端末の性能に応じて、前記ゲーム・アプリケーションとの一連の相互作用を提供する
機能を実行させるよう構成され、
ゲーム・アプリケーションは、複数の異なる機能を有し、各機能は、端末に、端末により対応されるべき性能に必要な最小限の性能のセットを有するよう要求し、
ホストは端末に問い合わせ、端末の性能を判定し、端末の性能を受信すると、ホストは端末との全ての将来の相互作用のために、適切な水準の機能を選択し、一般に、端末が標準的なゲーム・プラットフォームより低い性能を有する場合、ホストは、端末にゲームの管理機能へのアクセスのみを許可し、如何なる画像の多いデータも送信しない
ソフトウェア。」

3.対比
本願発明と引用発明1とを対比する。

ア.後者の「PC」は前者の「ユーザ端末」に相当し、同様に、
「サーバ」は「サーバ」に、
「ソーシャルブラウザRPG「スクエニ レジェンドワールド」」は「ビデオゲーム」に、
「ソーシャルブラウザRPG「スクエニ レジェンドワールド」のプログラム」は「ビデオゲーム処理プログラム」に、
「キャラクター」は「キャラクタ」に、
それぞれ相当する。

イ.後者は「インターネットに接続されたPCがあればプレイが可能である」から、その「サーバ」が「インターネット」を介して「PC」と通信可能であることは明らかである。また、後者の「「リアルビュー」モード」は「モンスターと戦える」ものであり、「「シンプルビュー」モード」は「低スペックでも遊べる」ものであるから、いずれのモードにおいてもゲームが進行されるといえ、後者はサーバにおいてゲームの進行を制御するものであると認められる。
そうすると、後者の「サーバにおいてゲームの処理を実行するプログラム」は、前者の「ユーザ端末と通信可能なサーバにビデオゲームの進行を制御する機能を実現させるためのビデオゲーム処理プログラム」に相当する。

ウ.後者は「「リアルビュー」モードにおいては3DRPGのような画面にキャラクターが配置され」るから、「リアルビュー」モードにおいて3DRPGのような画面にキャラクターを配置するための機能を有していることは明らかである。そして、「3DRPGのような画面」が3次元空間を表す画面であって、当該画面にキャラクターを配置するにあたって3次元空間におけるキャラクターの位置が特定されることは自明である。
そうすると、後者の当該機能は、前者の「仮想空間におけるキャラクタの位置を特定する特定機能」に相当する。

エ.後者は、「「リアルビュー」モード」においてはキャラクターが3DRPGのような画面内に配置され、「「シンプルビュー」モード」においては一列に配置されたカード内にキャラクターが表示されるから、「「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」とは、「画面の構成が異なる」といえる。
そうすると、上記「イ.」のとおり、後者はサーバにおいてゲームの進行を制御するものであって、ゲームの進行を制御する機能を有することは明らかであるところ、後者の当該機能は前者の「少なくともゲーム画面の構成が異なる複数のモードのうち何れかのモードで前記ビデオゲームの進行を制御する制御機能」に相当する。

オ.後者は「サーバにおいてゲームの処理を実行する」から、「「リアルビュー」モード」及び「「シンプルビュー」モード」の画面に関する処理もサーバにおいて実行されるといえる。
また、後者のゲームは「インターネットに接続されたPCがあればプレイが可能」だから、後者においてこれらの画像がインターネットを通じてPCに送信されることは自明な事項であって、後者がその送信のための機能を有していることも明らかである。
そして、後者の当該送信のための機能と、前者の「該設定機能にて設定したモードに対応するゲーム画面を前記ユーザ端末に出力させるための情報を当該ユーザ端末に送信する送信機能」とは、「モードに対応するゲーム画面を前記ユーザ端末に出力させるための情報を当該ユーザ端末に送信する送信機能」との概念で共通する。

カ.後者の「「リアルビュー」モード」においてはキャラクターが3DRPGのような画面内に配置され、「シンプルビュー」モードにおいては一列に配置されたカード内にキャラクターが表示されるから、「「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」とはキャラクタの描画態様が異なるものである。
そして、キャラクターを含めた「「リアルビュー」モード」は「Stage3D」を使って描画されるところ、後者の「「シンプルビュー」モード」は、「Stage3Dは相応のPCスペックがないと処理が重いのだが、低スペックでも遊べるよう」なものであるから、キャラクタの描画態様が異なることでコンピュータにかかる処理負荷が軽減されることが期待できる「モード」であるといえる。
そうすると、後者の「「リアルビュー」モード」においてはキャラクターが3DRPGのような画面内に配置され、「シンプルビュー」モードにおいては一列に配置されたカード内にキャラクターが表示され」ることと、前者の「前記複数のモードは、推奨動作条件が設定された第1モードと、該第1モードとは少なくとも前記キャラクタの描画態様が異なることでコンピュータにかかる処理負荷が軽減されることが期待できる第2モードとを含み」とは、「前記複数のモードは、第1モードと、該第1モードとは少なくとも前記キャラクタの描画態様が異なることでコンピュータにかかる処理負荷が軽減されることが期待できる第2モードとを含み」との概念で共通する。

そうすると、両者は、
「ユーザ端末と通信可能なサーバにビデオゲームの進行を制御する機能を実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記サーバに、
仮想空間におけるキャラクタの位置を特定する特定機能と、
少なくともゲーム画面の構成が異なる複数のモードのうち何れかのモードで前記ビデオゲームの進行を制御する制御機能と、
モードに対応するゲーム画面を前記ユーザ端末に出力させるための情報を当該ユーザ端末に送信する送信機能とを実現させ、
前記複数のモードは、第1モードと、該第1モードとは少なくとも前記キャラクタの描画態様が異なることでコンピュータにかかる処理負荷が軽減されることが期待できる第2モードとを含む、
ビデオゲーム処理プログラム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
前者が「ユーザ端末の性能に関する情報(以下「性能情報」という。)を取得する取得機能」と、「前記性能情報に基づいて前記ユーザ端末に対応するモードを設定する設定機能」を有しており、送信機能が送信するゲーム画面が「設定機能にて設定した」モードに対応するものであり、「第1モード」が「推奨動作条件が設定された」ものであり、「設定機能では、前記取得機能により取得した前記性能情報と前記推奨動作条件とに基づいて、描画に関する機能が異なる前記第1モードと前記第2モードのうち何れかを前記ユーザ端末に対応するモードとして設定する機能を実現させる」のに対して、後者はそのようなものでない点。

4.判断
(1)相違点について
上記相違点について検討する。

ア.引用発明2において「ホストは端末に問い合わせ、端末の性能を判定し、端末の性能を受信する」ところ、引用発明2がこれら「……問い合わせ、……判定し、……受信する」ための機能を有していることは明らかであって、引用発明2の当該機能は、本願発明の「ユーザ端末の性能に関する情報(以下「性能情報」という。)を取得する取得機能」に相当する。

イ.引用発明2においては「ゲーム・アプリケーションは、複数の異なる機能を有し、各機能は、端末に、端末により対応されるべき性能に必要な最小限の性能のセットを有するよう要求」するところ、当該「端末により対応されるべき性能に必要な最小限の性能のセット」は、端末がゲーム・アプリケーションの機能を実行する上で必要な性能に係る条件である点で本願発明の「推奨動作条件」と変わりはないから、本願発明の「推奨動作条件」に相当するといえる。

ウ.引用発明1の「「リアルビュー」モード」は、「Flashの新技術Stage3Dが使われている」とともに、「3DRPGのようなリッチな画面でモンスターと戦え」、「キャラクターが3DRPGのような画面内に配置され」るものであって、「Stage3D」を用いて「3DRPGのような画面」を表示するものである一方、「「シンプルビュー」モード」は、「Stage3Dは相応のPCスペックがないと処理が重いのだが、低スペックでも遊べるように」したものであって、「一列に配置されたカード内にキャラクターが表示され」るから、「Stage3D」を用いることなく「一列に配置されたカード内にキャラクターが表示され」る画面を表示するものである。
そうすると、引用発明1の「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」とは、「Stage3D」を用いるか否かで異なり、表示する画面も異なるものであるから、描画に関する機能が異なるといえる。

エ.操作を自動化することはビデオゲームにおいて一般的な課題であって、引用発明1は「「リアルビュー」モード」及び「「シンプルビュー」モード」のいずれかのモードで遊ぶゲームであるところ、当該モードの設定に関する操作を自動化することは、当業者が格別の困難なく着想し得たことである。

オ.そして、上記引用発明2のように、「ユーザ端末の性能に関する情報(以下「性能情報」という。)を取得する取得機能」を備え「推奨動作条件」を用いることが本願の出願前に公知であったことを踏まえれば、引用発明1において「「リアルビュー」モード」及び「「シンプルビュー」モード」の設定を自動化する際に、「性能情報」及び「推奨動作条件」を用いることは当業者が容易になし得たことであって、引用発明1において「性能情報」及び「推奨動作条件」を用いるようにすれば、当然、「性能情報を取得する取得機能」と、「性能情報に基づいてユーザ端末に対応するモードを設定する設定機能」を有するものとなり、送信機能が送信するゲーム画面は「設定機能にて設定した」モードに対応するものとなり、「第1モード」は「推奨動作条件が設定された」ものとなり、「設定機能では、取得機能により取得した性能情報と推奨動作条件とに基づいて、描画に関する機能が異なる第1モードと第2モードのうち何れかをユーザ端末に対応するモードとして設定する機能を実現させる」ものとなる。

カ.なお、請求人は、令和1年5月15日に提出した意見書の「(C-2)補正後の請求項1に係る発明が特許されるべき理由」の項において、上記相違点に関連して、引用例2には、「複数の異なる機能であり、同時に利用可能な機能」について記載されているだけであり、「複数の異なる機能のうち何れか1つを選択する」ことについては示唆すらされておらず、本願発明は、上記構成を有することで、キャラクタの描画に関して、機能の増減ではなく、機能の選択が行われるようになり、端末の性能に応じて同時に利用可能な機能を増減させる場合に比べ、性能情報が異なる複数のユーザ端末を操作する複数のユーザそれぞれのゲーム体験に生じ得る差異を減少させることができるようになるから、本願発明は、引用発明1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない旨主張しているので、以下、請求人の当該主張について検討する。

キ.引用発明1の「「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」とは、「見た目は全然違う2つのモードだが、戦闘方法は基本的に同じで、自動攻撃を繰り返しながらプレイヤーが要所要所でキャラクターの行動を指示したり、スキルを使ったりといったコマンドバトル系であ」るから、いずれも「コマンドバトル系」の「戦闘」に係るモードであって、「戦闘」に際しては「「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」とを同時に用いることはなく、「「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」との何れかを用いるものであることは明らかである。
一方、引用発明2は、「複数の異なる機能を有し、各機能は、端末に、端末により対応されるべき性能に必要な最小限の性能のセットを有するよう要求」するのだから、「端末により対応されるべき性能に必要な最小限の性能のセット」についての判定は「各機能」ごとに行われるのであって、各機能を端末に提供するか否かが各機能ごとに判定されるものと認められる。
そうすると、引用発明1に引用発明2を適用すれば、「「リアルビュー」モード」について「端末により対応されるべき性能に必要な最小限の性能のセット」を有するか判定を行い、「「リアルビュー」モード」を提供するか否かが選択されることとなる。そして、引用発明1は、上述のとおり「「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」との何れかを用いるものであるから、「「シンプルビュー」モード」を用いるか否かは「「リアルビュー」モード」についての判定に伴って定まり、「「リアルビュー」モード」を提供する場合には「「シンプルビュー」モード」を提供せず、「「リアルビュー」モード」を提供しない場合には「「シンプルビュー」モード」を提供することになる。
すなわち、引用発明1は「「リアルビュー」モード」と「「シンプルビュー」モード」との何れかを用いるものであって、引用発明1に引用発明2を適用すれば、「「リアルビュー」モード」か「「シンプルビュー」モード」かのいずれか1つを選択することになる。
そして、請求人が主張する「性能情報が異なる複数のユーザ端末を操作する複数のユーザそれぞれのゲーム体験に生じ得る差異を減少させることができるようにな」るという効果も、引用発明1に引用発明2を適用すれば必然的に生じるものであって、引用発明1及び2から予測し得ない顕著な効果であるとは認められない。
以上のとおりであるから、請求人の上記主張は採用することができない。

(2)まとめ
相違点については上記「(1)」のとおりであって、本願発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1及び2から当業者が予測し得る範囲内のものである。

そうすると、本願発明は、引用発明1及び2から当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-08 
結審通知日 2019-11-12 
審決日 2019-11-26 
出願番号 特願2015-50705(P2015-50705)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 森次 顕
畑井 順一
発明の名称 ビデオゲーム処理プログラム、及びビデオゲーム処理システム  
代理人 上田 侑士  
代理人 須藤 浩  
代理人 海田 浩明  
代理人 浅見 浩二  
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