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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  B65G
審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件  B65G
審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  B65G
審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  B65G
審判 一部申し立て 2項進歩性  B65G
管理番号 1358611
異議申立番号 異議2018-701073  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-12-28 
確定日 2019-11-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6352379号発明「モジュール式コンベアシステムのためのゾーン制御装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6352379号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕、〔9?17〕及び22について訂正することを認める。 特許第6352379号の請求項1、2、5、7?10、13、15及び22に係る特許を維持する。 特許第6352379号の請求項3、4、6及び14に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6352379号の請求項1?23に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)2月7日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年3月14日 米国(US))として出願され、平成30年6月15日にその特許権の設定登録がされ、同年7月4日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
平成30年12月28日 :特許異議申立人伊東電機株式会社(以下、「特
許異議申立人」という。)により、請求項1?
10、13?15及び22に係る特許に対する
特許異議の申立て
平成31年4月15日付け:取消理由通知書
令和1年7月18日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同年8月23日付け :訂正請求があった旨の通知書(特許法第120
条の5第5項)
同年9月27日 :異議申立人による意見書の提出

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和1年7月18日にされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。また、本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所である。)。

(1)訂正事項1
ア 特許請求の範囲の請求項1の「前記上流ゾーンから前記第2の物品を受け入れるのを拒否するステップと」との記載の後に、「、前記下流ゾーンに前記第2の物品受け入れることに応答して、前記制御装置は、別の下流ゾーンが物品を受け入れているかどうかをさらに決定し、前記第2の物品を前記上流領域から前記下流領域へと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、」との記載を追加する。
イ 特許請求の範囲の請求項1について、上記アの記載の後に、「前記第2の物品が前記下流領域に到達した際に、前記制御装置が、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れるかどうかを決定し、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れる場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記別の下流ゾーンへと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、」との記載を追加する。
ウ 特許請求の範囲の請求項1について、上記イの記載の後に、「それとは異なり、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、」との記載を追加する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「請求項4に記載の」とあるのを、「請求項1に記載の」とする。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(6)訂正事項6
ア 特許請求の範囲の請求項7に「別のゾーン」とあるのを、「別の下流ゾーン」とする。
イ 特許請求の範囲の請求項7に「請求項4に記載の」とあるのを、「請求項1に記載の」とする。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に「別のゾーン」とあるのを、「別の下流ゾーン」とする。
(8)訂正事項8
ア 特許請求の範囲の請求項9の「第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定するステップと、」との記載の後に、「前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせるステップと、」との記載を追加する。
イ 特許請求の範囲の請求項9に「第1のモードにある」とあるのを、「集積モードにない」とする。
ウ 特許請求の範囲の請求項9に「第2のモード」とあるのを、「集積モード」とする。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項14を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項15に「請求項14に記載の」とあるのを、「請求項9に記載の」とする。
(11)訂正事項11
ア 特許請求の範囲の請求項22の「前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定させ、」との記載の後に、「前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせ、」との記載を追加する。
イ 特許請求の範囲の請求項22に「第1のモードにある」とあるのを、「集積モードにない」とする。
ウ 特許請求の範囲の請求項22に「第2のモード」とあるのを、「集積モード」とする。
(12)一群の請求項について
訂正前の請求項1?8は、請求項2?8が請求項1の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
同じく、訂正前の請求項9?17は、請求項10?17が請求項9の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、本件訂正の請求は一群の請求項ごとにされたものである。

2 訂正の適否
(1)訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1
訂正事項1は、請求項1に係る発明である「コンベアを制御する方法」に関し、訂正事項1のア?ウで規定するステップを付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1のアは、訂正前の請求項3及び4の記載に基づいており、イは、訂正前の請求項4の記載に基づいており、ウは、訂正前の請求項6の記載に基づいているから、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
イ 訂正事項2、3及び5
訂正事項2、3及び5は、それぞれ訂正前の請求項3、4及び6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
ウ 訂正事項4
訂正事項4は、訂正事項3において訂正前の請求項4が削除されたことにともない、請求項4を引用していた請求項5を請求項1を引用するものとするためになされるものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
エ 訂正事項6
訂正事項6のアは、訂正前の請求項7の「別のゾーン」が別の下流ゾーンであることを明瞭にするためになされたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
訂正事項6のイは、訂正事項3において訂正前の請求項4が削除されたことにともない、請求項4を引用していた請求項7を請求項1を引用するものとするためになされるものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
オ 訂正事項7
訂正事項7は、訂正前の請求項8の「別のゾーン」が別の下流ゾーンであることを明瞭にするためになされたものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
カ 訂正事項8
訂正事項8のアは、請求項9に係る発明である「コンベアシステムを制御する方法」に関し、訂正事項8のアで規定するステップを付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項8のアは、訂正前の請求項14の記載に基づいているから、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
訂正事項8のイ及びウは、訂正前の請求項9の「第2のモード」が、本件明細書の段落【0040】?【0044】等の記載に基づいて、集積モードであると技術的に限定するためになされたものであり、また、これにともない、訂正前の請求項9の「第1のモード」が、当該集積モードでないと技術的に限定するためになされたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
キ 訂正事項9
訂正事項9は、訂正前の請求項14を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
ク 訂正事項10
訂正事項10は、訂正事項9において訂正前の請求項14が削除されたことにともない、請求項14を引用していた請求項15を請求項14を引用するものとするためになされるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
ケ 訂正事項11
訂正事項11のアは、請求項22に係る発明である「コンベアシステム用の制御装置」に関し、訂正事項11のアで規定する制御内容を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項11のアは、訂正前の請求項14の記載に基づいているから、新規事項の追加に該当せず、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。
訂正事項11のイ及びウは、訂正前の請求項22の「第2のモード」が、本件明細書の段落【0040】?【0044】等の記載に基づいて、集積モードであると技術的に限定するためになされたものであり、また、これにともない、訂正前の請求項22の「第1のモード」が、当該集積モードでないと技術的に限定するためになされたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでものない。

(2)独立特許要件
本件においては、請求項1?10、13?15及び22に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、請求項11、12、16?21及び23について申立てがされていないので、訂正後における請求項1?10、13?15及び22に係る発明については特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項で規定する独立特許要件は課されない(なお、訂正後の請求項3、4、6及び14は訂正によって削除されている。)。
一方、請求項11、12、16及び17については、特許異議の申立てがされていないものの、訂正後の請求項11、12、16及び17は、請求項9が上記訂正事項8により特許請求の範囲の減縮を目的として訂正されることにともなって同様に訂正されることとなるものであるから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定により、訂正後の請求項11、12、16及び17に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けるものでなければならない。
ここで、訂正後の請求項11、12、16及び17に係る発明は、これらの各請求項が直接又は間接的に引用する請求項9に係る発明の発明特定事項、特に、「前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせるステップ」との構成を含むものである。
そして、特許異議申立書に添付した甲第1号証及び甲第2号証には、少なくとも当該構成が開示も示唆もされていないから、訂正後の請求項11、12、16及び17に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見出されない(後記「第5」「1(3)ウ及びエ」も参照。)。
さらに、他に訂正後の請求項11、12、16及び17に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由も見出されない。
したがって、訂正後の請求項11、12、16及び17に係る発明は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定に適合する。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1?11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項から第7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?8〕、〔9?17〕及び22についての訂正を認める。

第3 本件発明
上記第2で説示のとおり、本件訂正請求による本件訂正が認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1、2、5、7?13、15?17及び22に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、5、7?13、15?17及び22に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1、2、5、7?13、15?17及び22」という。)。

[本件発明1]
「上流から下流への流れ方向を有し、複数のゾーンを含み、前記複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが、物品を収容するように各々構成される上流領域および下流領域を含む、コンベアを制御する方法であって、
下流ゾーンの制御装置で、上流ゾーンからの受入物品要求を受信するステップと、
前記上流ゾーンからの前記受入物品要求を受信することに応答して、前記制御装置が、第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されているかどうかを決定するステップと、
前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されていないと決定することに応答して、前記制御装置が、前記上流ゾーンから第2の物品を受け入れるために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域にあると決定することに応答して、前記制御装置が、前記上流ゾーンから前記第2の物品を受け入れるのを拒否するステップと、
前記下流ゾーンに前記第2の物品受け入れることに応答して、前記制御装置は、別の下流ゾーンが物品を受け入れているかどうかをさらに決定し、前記第2の物品を前記上流領域から前記下流領域へと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
前記第2の物品が前記下流領域に到達した際に、前記制御装置が、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れるかどうかを決定し、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れる場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記別の下流ゾーンへと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
それとは異なり、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
を含む方法。」
[本件発明2]
「前記第2の物品を前記上流ゾーンから受け入れることに応答して、前記制御装置が、別の下流ゾーンが物品を受け入れるかどうかを決定するステップと、
前記別のゾーンが物品を受け入れないと決定することに応答して、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流ゾーンの前記上流領域に位置付けるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。」
[本件発明5]
「前記別のゾーンが前記第2の物品を受け入れないと決定することに応答して、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流ゾーンの前記下流領域に位置付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。」
[本件発明7]
「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れないと決定することに応答して、前記制御装置がタイマを始動するステップと、
前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れる前に前記タイマが切れることに応答して、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。」
[本件発明8]
「前記別の下流ゾーンが前記下流ゾーンの下流にある、請求項2に記載の方法。」
[本件発明9]
「物品を収容するように各々の領域が構成される状態で複数の領域を有する少なくとも2つのゾーンを含む複数のゾーンを含むコンベアシステムを制御する方法であって、
第1の物品を前記少なくとも1つのゾーンで受け入れるステップと、
第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定するステップと、
前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせるステップと、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにないことに応答して、前記複数の領域のうちの第1の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップと、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにあることに応答して、前記第1の領域と異なる前記複数の領域のうちの第2の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップと
を含む方法。」
[本件発明10]
「前記第1の領域が下流領域であり、前記第2の領域が上流領域である、請求項9に記載の方法。」
[本件発明11]
「前記第1の物品の寸法を前記第1の制御装置で決定するステップと、
前記第1の物品の前記寸法に関するデータを、前記第1の制御装置の記憶装置に保存するステップと、
前記第1の物品の前記寸法に関する前記データを、前記第1の制御装置から、前記複数のゾーンのうちの第2のゾーンを制御する第2の制御装置へと送信するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。」
[本件発明12]
「前記第1の物品の前記位置に関するデータを、前記第1の制御装置の記憶装置に保存するステップと、
前記第1の物品の前記位置に関する前記データを、前記第1の制御装置から、前記複数のゾーンのうちの第2のゾーンを制御する第2の制御装置へと送信するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。」
[本件発明13]
「前記第1の制御装置が、前記少なくとも1つのゾーンで第2の物品を受け入れるために要求を受信することに応答して、前記第1の物品が前記第1の領域にあると共に前記第2の物品が前記第2の領域にあるように、前記第1の制御装置が、前記第2の物品を前記第2の領域で受け入れると共に前記第1の物品を前記第1の領域へと移動するために、前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。」
[本件発明15]
「前記集積モードに入ることに応答して、前記第1の物品を前記第1の領域から前記第2の領域へと移動するために、前記少なくとも1つのゾーンを反対方向で作動するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。」
[本件発明16]
「前記第1の物品の前記位置を決定するステップが、
第1のゾーンの電動駆動ローラと関連付けられた回転センサ回路から信号を受信するステップと、
前記回転センサから受信した前記信号に基づいて、前記第1の制御装置の記憶装置に保存されている前記第1の物品の前記位置に関連するデータを更新するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。」
[本件発明17]
「前記第1の物品の前記位置を決定するステップが、
前記第1の制御装置で物品センサから受信した信号に基づいて、前記少なくとも1つのゾーンの前記第1の領域または前記第2の領域のうちの一方における前記第1の物品の存在または非存在を検出するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。」
[本件発明22]
「物品を収容するように各々の領域が構成される状態で複数の領域を有する少なくとも1つのゾーンを含む複数のゾーンを含むコンベアシステム用の制御装置であって、
処理装置と、
前記処理装置によって実行されるとき、前記コンベアシステムに、
第1の物品を前記少なくとも1つのゾーンで受け入れさせ、
前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定させ、
前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせ、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにないことに応答して、前記複数の領域のうちの第1の領域に前記物品を位置付けるために、前記少なくとも1つのゾーンを作動させ、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにあることに応答して、第2の領域に前記物品を位置付けるために、前記少なくとも1つのゾーンを作動させる
プログラムコードを含む記憶装置と
を備える制御装置。」

第4 取消理由の概要
本件特許の訂正前の請求項1?5、8、9、10、13及び22に係る特許に対して、平成31年4月15日付けで特許権者に対して通知した取消理由の概要は次のとおりである。

[取消理由1](新規性)本件特許の請求項9、10、13及び22に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記甲第1号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
[取消理由2](進歩性)本件特許の請求項1?5、8、9、10、13及び22に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記甲第1号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

甲第1号証:特開2012-211015号公報(特許異議申立人の提出した甲第1号証)

第5 当審の判断
1 取消理由において採用した異議申立理由について
(1)甲第1号証に記載の事項及び発明
ア 甲第1号証に記載の事項
甲第1号証(特開2012-211015号公報)には、「コンベア装置、集合型ゾーンコントローラ、並びにゾーンコントローラ」に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(1a)「【請求項1】
複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であって、複数のゾーンコンベアを制御対象としてその動作を制御することができる集合形ゾーンコントローラが有り、前記集合形ゾーンコントローラは少なくとも実際に制御せんとする制御対象ゾーンから所定の信号が入力されるコンベア装置において、
実際に制御せんとする制御対象ゾーンの内の少なくとも一つの特定制御対象ゾーンは、ゾーンコンベアの全長Lが80cm以上であり、前記特定制御対象ゾーンとその搬送方向の上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、ゾーンコンベアの搬送方向基端から全長Lの3分の2以遠の位置にあり、前記集合形ゾーンコントローラには少なくとも特定制御対象ゾーンの在荷センサーの検知信号と、特定制御対象ゾーンの上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、特定制御対象ゾーンの下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号とを入手可能であり、
特定制御対象ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つその上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ特定制御対象ゾーンが停止している場合には搬送物が制御対象ゾーンの搬送方向基端から全長Lの2分の1以下の位置に停止する様に特定制御対象ゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除し、
特定制御対象ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアを駆動して特定制御対象ゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出すことを特徴とするコンベア装置。
【請求項2】
複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であって、複数のゾーンコンベアを制御対象としてその動作を制御することができる集合形ゾーンコントローラが有り、前記集合形ゾーンコントローラは少なくとも実際に制御せんとする制御対象ゾーンから所定の信号が入力されるコンベア装置において、
実際に制御せんとする制御対象ゾーンの内の少なくとも一つの特定制御対象ゾーンは、ゾーンコンベアが主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持ち、前記特定制御対象ゾーンとその搬送方向の上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、ゾーンコンベアの下流端に近い位置にあり、前記集合形ゾーンコントローラは少なくとも特定制御対象ゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号とを入手可能であり、
特定制御対象ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ特定制御対象ゾーンが停止している場合には搬送物が特定制御対象ゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に特定制御対象ゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除し、
特定制御対象ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアを駆動して特定制御対象ゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出すことを特徴とするコンベア装置。
【請求項3】
複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であって、各ゾーンコンベアには自己のゾーンコンベアの動作を制御するゾーンコントローラが有り、前記ゾーンコントローラは少なくとも隣接するゾーンに属するゾーンコントローラから所定の信号が入力されるコンベア装置において、
前記複数のゾーンの内の少なくとも一つを特定制御対象ゾーンとし、特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアは全長Lが80cm以上であり、特定制御対象ゾーンとその上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、当該特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアの搬送方向基端から全長Lの3分の2以遠の位置にあり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、自己のゾーンの上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、自己のゾーンの下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、自己のゾーンの下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能であり、
前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端から全長Lの2分の1以下の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除し、
特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として自己のゾーンのゾーンコンベアを駆動して自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出すことを特徴とするコンベア装置。
【請求項4】
複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であって、各ゾーンコンベアには自己のゾーンコンベアの動作を制御するゾーンコントローラが有り、前記ゾーンコントローラは少なくとも隣接するゾーンに属するゾーンコントローラから所定の信号が入力されるコンベア装置において、
前記複数のゾーンの内の少なくとも一つを特定制御対象ゾーンとし、特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアは主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持ち、特定制御対象ゾーンとその上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、当該特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアの下流端に近い位置にあり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能であり、
前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除し、
特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として自己のゾーンのゾーンコンベアを駆動して自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出すことを特徴とするコンベア装置。」
(1b)「【0001】
本発明は、分散制御型のコンベア装置に採用するものであり、特に複数の搬送物を一まとめにして搬送するコンベア装置に関するものである。また本発明は、分散制御型のコンベア装置に採用する集合型ゾーンコントローラ、並びにゾーンコントローラに関するものである。」
(1c)「【0015】
本発明のコンベア装置において、実際に制御せんとする制御対象ゾーンの内の少なくとも一つの特定制御対象ゾーンは、ゾーンコンベアの全長Lが80cm以上と長く、複数個の搬送物を載置することが可能な長さである。例えば、箱CA,箱CB,箱CCといった3個の箱を同時に載置することができる。
また、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、ゾーンコンベアの搬送方向基端から全長Lの3分の2以遠の位置にあり、ゾーンコンベアの末端側にあると言える。言い換えれば、在荷センサーは、ゾーンコンベアの先頭から全長Lの3分の2以遠の位置にあり、ゾーンコンベアの後尾側にあると言える。なお、先頭とは搬送方向の上流側を示し、後尾とは搬送方向の下流側を示している。
そして、特定制御対象ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つその上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ特定制御対象ゾーンが停止している場合には搬送物が制御対象ゾーンの搬送方向基端から全長Lの2分の1以下の位置に停止する様に特定制御対象ゾーンを駆動する。制御対象ゾーンの搬送方向基端は、言い換えれば、ゾーンコンベアの先頭である。
ここで「特定制御対象ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず」という場合は、特定制御対象ゾーンに搬送物が一つも無いか、あったとしても、搬送方向の基端側に止まっている状態である。
【0016】
また「上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し」た状態は、少なくとも上流側に隣接するゾーンの末端部に搬送物が存在していることを意味している。
そのため特定制御対象ゾーンを駆動すると、上流側に隣接するゾーンコンベアから、特定制御対象ゾーンに搬送物が引き込まれる。
また仮に特定制御対象ゾーンの搬送物が無い場合は、下流側に隣接するゾーンに搬送物が押し込まれることはなく、仮に下流側に隣接するゾーンに搬送物があったとしても特定制御対象ゾーンの搬送物が下流側のそれに追突することはない。
また仮に特定制御対象ゾーンに搬送物があったとしても、その位置は基端側であり、末端側は空いている。
【0017】
そのため特定制御対象ゾーンを起動しても、搬送物は、特定制御対象ゾーン内を移動するだけであって外には出ないから、仮に下流側に隣接するゾーンに搬送物があったとしても特定制御対象ゾーンの搬送物が下流側のそれに追突することはない。
また特定制御対象ゾーンの基端部にあった搬送物は、特定制御対象ゾーンの下流側に移動するので、もともと搬送物が専有していた領域には空き領域ができ、この空き領域に上流側に隣接するゾーンからから引き込まれた搬送物が収まる。そのため上流側に隣接するゾーンから搬送された搬送物についても追突しない。
【0018】
また上流側に隣接するゾーンから引き込まれた搬送物は、特定制御対象ゾーンの搬送方向基端から全長Lの2分の1以下の位置に停止する。即ちゾーンの基端部に搬送物が搬入され、搬送物は原則としてその位置で停止する。この状態の時に再度「上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知」すると、先の動作を繰り返し、新規の搬送物が特定制御対象ゾーンに引き込まれ、ゾーンの基端部に搬送物で停止する。一方、先の工程で搬入されていた搬送物は、ゾーン内を下流側に移動する。そのため先に搬入された搬送物と、新規に搬入された搬送物が、一つのゾーンコンベア上に並んで載置される。またさらに新たな搬送物を上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが検知すると、再度先の動作を繰り返し、新規の搬送物が特定制御対象ゾーンに引き込まれ、ゾーンの基端部に搬送物で停止する。一方、先の工程で搬入されていた二つの搬送物は、それぞれゾーン内を搬送方向の下流側に移動する。そのため先に搬入された搬送物と、新規に搬入された搬送物が、一つのゾーンコンベア上に並んで載置される。即ち3個の搬送物が、一つのゾーンコンベア上に並んで載置される。
【0019】
そしてゾーン内の先端の搬送物が特定制御対象ゾーンの在荷センサーに検知されると、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアを駆動して特定制御対象ゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出す。
即ち「下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合」は、下流側のゾーンに空き領域が存在するから、下流側に隣接するゾーンに搬送物を送りだしても搬送物同士が衝突しない。また下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動している場合も同様であり、新たに空き領域が形成されるから、下流側のゾーンに搬送物を送り出しても搬送物同士が衝突しない。
【0020】
また本発明では、上流側に隣接するゾーンから引き込まれて搬送物が停止した後、一定の停止時間が経過すると、停止が解除されるので、所定の条件が揃えばゾーンコンベアが起動し、停止していた搬送物が下流側に隣接するゾーンに送られる。そのため搬送が滞ることはない。
本発明では、「搬送物が制御対象ゾーンの搬送方向基端から全長Lの2分の1以下の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動する」機能を持つがこの機能は、所定の時間だけモータを回転させることによって実現することができる。また所定の回転数だけモータを回転することによってもこの機能を実現する事ができる。」
(1d)「【0024】
またさらに、先に説明したコンベア装置と同様の作用効果を発揮する請求項4に記載の発明は、複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であって、各ゾーンコンベアには自己のゾーンコンベアの動作を制御するゾーンコントローラが有り、前記ゾーンコントローラは少なくとも隣接するゾーンに属するゾーンコントローラから所定の信号が入力されるコンベア装置において、前記複数のゾーンの内の少なくとも一つを特定制御対象ゾーンとし、特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアは主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持ち、特定制御対象ゾーンとその上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、当該特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアの下流端に近い位置にあり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能であり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除し、特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として自己のゾーンのゾーンコンベアを駆動して自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出すことを特徴とするコンベア装置である。」
(1e)「【0026】
特定制御対象ゾーンの下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない状態であって、且つ特定制御対象ゾーンの下流側に隣接するゾーンコンベアが停止状態から駆動状態に変化した場合は、下流側のゾーンの搬送方向基端側に空き領域ができる。そのため本発明では、特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアを駆動し、特定制御対象ゾーン上の搬送物を下流側に移動させる。」
(1f)「【0046】
本実施形態のコンベア装置1は、図1に示すように、複数のゾーンコンベア2a,2b,2c,2d・・・が搬送方向に直列に配置されたものである。
各ゾーンコンベア2a,2b,2c,2d・・・の機械的構造やサイズは、いずれも同一であるから、代表として図面中央のゾーンコンベア2bの構造を説明する。
ゾーンコンベア2bは、平行に配置された左右の一対のサイドフレーム3,3間に搬送物を搬送する複数の搬送ローラ5を搬送方向に所定間隔で軸支されたものである。この搬送ローラ5は、自由に回転する従動ローラ5bと、駆動用モータ(図示しない)を内蔵するモータ内蔵ローラ5aとからなる。本実施形態では、モータ内蔵ローラ5aは1本だけであり、他の14本はすべて従動ローラ5bである。
【0047】
ゾーンコンベア2b内で隣接する搬送ローラ5同士は伝動ベルト6で巻回されている。そのため、モータ内蔵ローラ5aの回転駆動力を全ての従動ローラ5bに伝動することができる。本実施形態では、中央部にモータ内蔵ローラ5aを配している。
【0048】
ゾーンコンベア2bの全長Lは、80cm以上であり、より望ましくは100cm以上である。
本実施形態で採用するゾーンコンベア2bは、通常のものよりも搬送ローラ5の本数が多く、全長Lが長い。
本実施形態で採用するゾーンコンベア2bは、主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持つ。特に本実施形態では、ゾーンコンベア2は、主たる搬送物の長さの3倍?4倍の長さを持ち、主たる搬送物を、間隔を開けて3個載置することができる。ここで主たる搬送物とは、最も量が多いと考えられる搬送物である。例えば、一定規格のダンボール箱や、搬送パレットが主たる搬送物の候補として考えられる。
【0049】
また図2に示すように、ゾーンコンベア2bには在荷センサーSbが設けられている。在荷センサーSbは、サイドフレーム3上に設けられている。また在荷センサーSbの位置は、下流端の近傍である。即ち図2の矢印の方向に搬送物が搬送されると仮定すると、最も末端の位置にある。
在荷センサーSbの位置は、できるだけゾーンコンベア2bの下流端に近い位置であることが望ましく、少なくともゾーンコンベア2の搬送方向基端から全長Lの3分の2以遠の位置に設けられる。」
(1g)「【0051】
各ゾーンコンベア2a,2b,2c,2d・・・の一方のサイドフレーム3には、図2、図3に示すようにそれぞれモータ内蔵ローラ5a内のモータ4aの駆動制御を行うためのゾーンコントローラ10a?10cが備えられ、隣接するゾーンコントローラ10a?10c同士の間は、信号線7で相互に接続されている。また、ゾーンコントローラ10bには、信号線8を介して上位制御装置50が接続されている。
【0052】
図4は、ゾーンコントローラ10a?10cの内部構成および接続状態を、図3に対応さて更に詳細に示したもので、図を参照してゾーンコントローラの構成および動作の詳細を説明する。
ゾーンコントローラ10a?10cは同一構成であり、自己のゾーンの存荷センサーSの信号を入力することができる。またゾーンコントローラ10a?10cは、演算部11,入力部12、出力部13、モード設定手段14およびモータ駆動回路15を備えている。なお入力部12は、「他ゾーン在荷信号入力手段」及び「他ゾーン駆動状態信号入力手段」として機能する。出力部13は、「在荷信号出力手段」及び「駆動状態出力手段」として機能する。また、隣接するゾーンコントローラ10と接続するための上流用コネクタ16および下流用コネクタ17と、上位制御装置50との間で信号を伝送するための上位接続コネクタ18を有している。「他ゾーン在荷信号入力手段」及び「他ゾーン駆動状態信号入力手段」たる入力部12は、他のゾーンコントローラから上流用コネクタ16および下流用コネクタ17に入力される信号の接続端子で形成されている。また「在荷信号出力手段」及び「駆動状態出力手段」たる出力部13は、上流用コネクタ16および下流用コネクタ17を介して他のゾーンコントローラへ出力される信号の接続端子で形成されている。」
(1h)「【0055】
実施形態のゾーンコントローラ10では、図3に示すように、上流側に隣接するゾーンコントローラ10aの在荷信号、下流側に隣接するゾーンコントローラ10cの在荷信号および下流側のゾーンの駆動状態信号が、上流用コネクタ16および下流用コネクタ17の入力部12を介して伝送される。
また、ゾーンコントローラ10bの演算部11から出力される在荷信号および駆動状態信号が、上流用コネクタ16および下流用コネクタ17の出力部13を介して他のゾーンコントローラ10a,10cに伝送される。
前記したように、在荷信号は、各制御ゾーンに設けられた在荷センサーSa?Scの検知信号である。
【0056】
図3に示すように、各ゾーンコントローラ10a?10cの間は、全て同一のケーブル7を用いて着脱自在に接続可能な構成とされている。即ち、ケーブル7はゾーンコントローラ10a?10cの間を順に橋渡すように取り付ければ良いので、ケーブル7の敷設が容易である。このようにケーブル7を敷設することにより、各ゾーンコントローラ10は、上流側および下流側の在荷信号と、下流側の駆動状態信号とを参照可能となる。
また、上位制御装置からの指令信号は、信号線8を介してゾーンコントローラ10bの上位接続コネクタ18に伝送され、更に、上流用コネクタ17と下流用コネクタ18とを介して搬送ラインの全てのゾーンコントローラに伝送される。
【0057】
ゾーンコントローラ10a?10cの演算部11には、複数の搬送物を適度の間隔を設けて一まとめにする動作を実行させるためのプログラムが記憶されている。
本実施形態では、複数の搬送物を適度の間隔を設けて一まとめにする動作を各ゾーンの在荷センサーSa,Sb,Scの信号と、各ゾーンの駆動状態信号と、プログラム上のタイマーの組み合わせによって実現している。」
(1i)「【0066】
次に、本実施形態のコンベア装置の基本的な動作を説明する。基本動作には、「通常走行動作」「ロット形成搬入動作」「ロット形成継続動作」「時間切れによるロット形成搬入解除動作」「下流事情によるロット形成搬入解除動作」「搬出動作」「搬出停止動作」「RUN保持動作」「スルー搬送動作」「高速スルー搬送動作」「JAMエラー動作」「連続搬送動作」がある。なお、以下の説明では、各図の中央のゾーンBを自己のゾーンとし、ゾーンBの動作を中心に説明する。つまり、ゾーンBは、搬送物を揃えようとするゾーンであり、特定制御対象ゾーンである。そのためゾーンAを上流側ゾーン、ゾーンCを下流側ゾーンと称して自己のゾーンと区別する。また搬送物は、ゾーンA側からゾーンBを経てゾーンCに搬送されるものとする。なお、特定制御対象ゾーンは、1つのゾーンだけでも良く、或いは全てのゾーンを特定制御対象ゾーンとしても構わない。
【0067】
「通常走行動作」
「通常走行動作」は、ゾーンコンベアの最も原則的な動作であり、ゾーンコンベアを駆動する動作である。
【0068】
「ロット形成搬入動作」
「ロット形成搬入動作」は、自己のゾーンたるゾーンBに搬送物たる箱CAを搬入するために実行される動作である。「ロット形成搬入動作」は、自己のゾーンBが停止しており、その状態で上流側ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知することを条件として、自己のゾーンを一定時間(TMR6の設定時間たるロット形成搬入時間)だけ駆動する。
本実施形態では、上流側ゾーンたるゾーンAの在荷センサーSaが箱CAを検知することを端緒として「ロット形成搬入動作」が実行される。即ち上流側のゾーンAの在荷センサーSaが箱CAを検知すると、自己のゾーンたるゾーンBのモータ内蔵ローラ5bが起動され、ロット形成搬入時間が経過すると停止する。
また上流側のゾーンAの在荷センサーSaが箱CAを検知する場合は、上流側のゾーンAのゾーンコンベアが駆動状態であるから、箱CAは、上流側のゾーンAの動作によって自己のゾーンたるゾーンBに押し込まれ、「ロット形成搬入動作」の実行によって自己のゾーンたるゾーンBが起動して箱CAが自己のゾーンたるゾーンBに引き込まれる。
【0069】
即ち図5(a)の様に、上流側のゾーンAに箱CAが載置されている場合を想定する。この状態においては、上流側のゾーンAは駆動されており、自己のゾーンたるゾーンB及び下流側のゾーンCは、停止している。
上流側のゾーンAが駆動することによって、箱CAは、上流側のゾーンA上を移動し、
下流側に進む。また本実施形態では、各ゾーンコンベアの下流端に在荷センサーSa,Sb,Scが設けられているので、箱CAが上流側のゾーンAの末端部に至った時に在荷センサーSaが箱CAの存在を検知する(図5b)。
【0070】
この様に自己のゾーンBが停止しており、その状態で上流側ゾーンの在荷センサーが搬送物を検知するという条件が揃うと、「ロット形成搬入動作」が実行され、自己のゾーンBを一定時間(TMR6の設定時間たるロット形成搬入時間)だけ駆動する。より具体的には、箱CAを自己のゾーンBに引き込み、且つ自己のゾーンBの基端部に留め置くことができる時間だけ、ゾーンBのゾーンコンベアを駆動する。
その結果、図5cの様に、上流側のゾーンAから、自己のゾーンBに箱CAが受け渡され、ゾーンBの中の上流部分で箱CAが停止する。
【0071】
「ロット形成継続動作」
「ロット形成継続動作」は、搬送物を一まとめにするために、次の搬送物が送られてくるのを待つ動作である。「ロット形成継続動作」は、前記した「ロット形成搬入動作」に引き続いて行われる。
即ち前記した「ロット形成搬入動作」で、自己のゾーンBが一定時間駆動され、箱CAの全部が自己のゾーンBに引き渡されると自己のゾーンBが停止する。
「ロット形成継続動作」は、この停止している状態を作る動作である。
本実施形態では、前記したロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2で設定された時間だけ、自己のゾーンBのゾーンコンベアを停止し、次の箱CBの到着を待つ。
即ち前記した「ロット形成搬入動作」を終えた状態は、図6aの様であり、箱CAは、自己のゾーンBの基端部分に留め置かれている。「ロット形成搬入動作」を終えた段階では、上流側のゾーンA、自己のゾーンB、下流側のゾーンCのいずれも停止している。また各ゾーンの在荷センサーはいずれも搬送物を検知していない。
【0072】
「ロット形成継続動作」は、自己のゾーンBの動作を停止して次の箱CBの到着を待っている状態であり、ロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2が計時を終えるまでの間に、次の箱CBが到着すれば、前記した「ロット形成継続動作」が実行され、箱CBがゾーンBに搬入される。
【0073】
即ち図6bの様に次の箱CBが到着し、上流側ゾーンたるゾーンAの在荷センサーSaが箱CAを検知すると、「ロット形成搬入動作」が再度実行され、自己のゾーンたるゾーンBのモータ内蔵ローラ5bが起動され、ロット形成搬入時間が経過すると停止する。
図6bの様に自己のゾーンBの基端部には、既に箱CAが止まっているが、「ロット形成搬入動作」が再度実行されて自己のゾーンたるゾーンBのモータ内蔵ローラ5bが起動されると、図6cの様にゾーンコンベアは、箱CB一つを移動させる時間だけ駆動することとなり、先の箱CAは下流側に一箱のスペースだけ移動する。これと同時に、新たな箱CBが自己のゾーンBに引き込まれ、箱CAが留め置かれていた位置に新たな箱CBが止まる。即ち自己のゾーンB内で、箱CA、箱CBが順送りされる。
新たに箱CBが搬入されると、ロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2は一旦リセットされ、ゾーンコンベアが再停止してから、新たにTMR2の計時が開始される。
【0074】
「時間切れによるロット形成搬入解除動作」
「時間切れによるロット形成搬入解除動作」は、「ロット形成継続動作」に続いて実行される動作であり、次の箱の到着が遅い場合に実行される動作である。
即ち前記した「ロット形成継続動作」では、ロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2で設定された時間だけ自己のゾーンBのゾーンコンベアを停止しているが、TMR2が計時を終えてもまだ次の箱が到着しなった場合は、「時間切れによるロット形成搬入解除動作」に移行する。
「時間切れによるロット形成搬入解除動作」では、自己のゾーンBのローラコンベアを起動し、箱を下流側に搬送する。ここで図7(a)は、箱CAを搬入した後に、ロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2が計時を終えた場合を示している。
また図7(b)は、箱CAを搬入した後、続いて箱CBを搬入し、その後にロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2が計時を終えた場合を示している。
【0075】
「下流事情によるロット形成搬入解除動作」
「下流事情によるロット形成搬入解除動作」は、下流側のゾーンコンベアCが起動したことを条件として、ロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2で設定された時間を待たずに自己のゾーンBを起動する動作である。
「下流事情によるロット形成搬入解除動作」は、ロット形成解除時間設定タイマーたるTMR2が計時中であって終了していないことが開始の前提条件である。
そして下流側のゾーンCの在荷センサーScが搬送物を検知しておらず、且つ下流側のゾーンCのゾーンコンベアが停止している状態から、ゾーンコンベアが起動することとなった場合に実行される。即ち図8aの様に、自己のゾーンB及びその前後のゾーンA,Cが停止しており、且つ下流側のゾーンの在荷センサーScが搬送物を検知しておらず、且つ下流側のゾーンCのゾーンコンベアが停止している状態が「下流事情によるロット形成搬入解除動作」を開始する前提条件である。
この状態から、図8bの様に、下流側ゾーンのゾーンコンベアCが起動すると、図8cの様に、自己のゾーンのゾーンコンベアが起動する。
【0076】
「搬出動作」
「搬出動作」は、前記した「ロット形成搬入動作」と表裏一体の動作であり、自己のゾーンから搬送物を排出する動作である。
「搬出動作」は、自己のゾーンの在荷センサーSbが搬送物を検知したことを条件として実行されるものであり、自己のゾーンBのローラコンベアを駆動する。その結果、搬送物は、自己のゾーンから排出される。
【0077】
即ち図9a、図10a、図11aの様に自己のゾーンBのローラコンベアが駆動し、箱CAが下流側に移動して在荷センサーSbがオン状態となると、下流側のゾーンCの状況に応じて「搬出動作」が実行される。即ち在荷センサーSbがオン状態となり、下流側のゾーンCが搬送物を受け入れることができる状態であるならば、「搬出動作」が実行され自己のゾーンBのローラコンベアが駆動される。
下流側が受け入れられる状態とは、図9aの様に、下流側のゾーンに搬送物が存在しない場合、図10aの様に、下流側のゾーンに搬送物が存在するものの、搬送物の下流側に空き空間がある場合、図11aの様に、下流側のゾーンが駆動している場合である。
【0078】
本実施形態では、在荷センサーSa,Sb,Scは、各ゾーンA,B,Cの下流端にあるから、下流側のゾーンCの在荷センサーScが搬送物を検知していない場合は、下流側のゾーンに搬送物が存在しないか、或いは下流側のゾーンCに搬送物が存在するものの、搬送物の下流側に空き空間がある場合である。そのため本実施形態では、自己のゾーンBの在荷センサーSbが搬送物を検知し、且つ下流側のゾーンCの存荷センサーScが搬送物を検知していない場合には「搬出動作」が実行され、自己のゾーンBのローラコンベアが駆動される。
【0079】
また本実施形態で採用するゾーンコントローラは、下流側のゾーンの駆動状態信号を受信可能であるから、自己のゾーンの在荷センサーSbが搬送物を検知し、且つ下流側のゾーンCが駆動されたならば「搬出動作」が実行され、自己のゾーンBのローラコンベアが駆動される。
【0080】
ゾーンコンベアの搬送速度を切り換える機能を持つ場合には、「搬出動作」の搬送速度を下流側のゾーンCの搬送速度に合わせる。
【0081】
前記した様に、「搬出動作」は「ロット形成搬入動作」と表裏一体の関係にあり、図9、図10に示される様に下流側のゾーンが停止している状態から、「搬出動作」が実行されると、下流側のゾーンでは、「ロット形成搬入動作」が実行され、下流側のゾーンのゾーンコンベアが起動される。
【0082】
図9(c)(d)の様に上流側から箱が次々と搬送されてくる場合には、とぎれなく「搬出動作」が実行される。
【0083】
「搬出停止動作」
「搬出停止動作」は、前記した「搬出動作」に続いて実行される動作であり、「搬出動作」を停止する動作である。
前記した様に「搬出動作」は、下流側のゾーンCが搬送物を受け入れることができる状態である場合に実行される動作であり、逆に下流側のゾーンCが搬送物を受け入れることができない状態に変化すれば、「搬出停止動作」が機能し、自己のゾーンが停止する。
下流側のゾーンCが搬送物を受け入れることができない状態は、前記した「搬出動作」の条件とは逆の条件が揃った場合であり、下流側のゾーンCの存荷センサーScが搬送物を検知し、且つ下流側のゾーンが停止している場合である。
下流側のゾーンCの存荷センサーScが搬送物を検知している場合は、図12(a)の様に下流側のゾーンCが満杯の状態であるか、あるいは図13(a)の様に下流側のゾーンCの末端部分に箱CCが存在する場合である。
そして下流側のゾーンが停止している場合は、更に先のゾーンDが詰まっており、図12の場合は箱CBを、図13の場合は箱CCを下流側のゾーンからさらに下流側に排出できない状態である。
この状態で、該当ゾーンBから箱CE(図12)又は箱CD(図13)を排出すると、先のゾーンの箱と衝突してしまう。そこで、本実施形態では、下流側のゾーンCの存荷センサーScが搬送物を検知し、且つ下流側のゾーンCが停止している場合には、「搬出停止動作」を実行し、ゾーンコンベアを停止する。」

イ 甲第1号証に記載の発明
上記記載内容から、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
[甲1発明]
「複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であって、各ゾーンコンベアには自己のゾーンコンベアの動作を制御するゾーンコントローラが有り、前記ゾーンコントローラは少なくとも隣接するゾーンに属するゾーンコントローラから所定の信号が入力されるコンベア装置であって、
前記複数のゾーンの内の少なくとも一つを特定制御対象ゾーンとし、特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアは主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持ち、特定制御対象ゾーンとその上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、当該特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアの下流端に近い位置にあり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能であるコンベア装置を制御する方法であって、 前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除し、
特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として自己のゾーンのゾーンコンベアを駆動して自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出すことを含む、コンベア装置を制御する方法。」

(2)甲第2号証に記載の事項及び発明
ア 甲第2号証に記載の事項
甲第2号証(特開平5-124721号公報)には、「ストレージコンベアによる搬送方法」に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。
(2a)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、段ボールシートのような平板状物を一定の貯蔵スペースに設置したストレージコンベア内に一定期間貯え、この平板状物を必要に応じてストレージコンベアから送り出す搬送方法に関する。」
(2b)「【0007】この発明は、上述した従来の貯蔵スペースに設けたストレージコンベアに平板状物を貯蔵・搬送する際の種々の問題点に留意して、ストレージコンベアの駆動を正逆転自在とし平板状物の受取、排出、搬送を行ない平板状物間の隙間を無しで又は最小限に詰めて最もスペース効率よく最大容量のものを自動的に貯蔵、搬送、排出し得る搬送方法を提供することを課題とする。」
(2c)「【0009】
【作用】平板状物を上記搬送方法で貯蔵、搬送するとしたこの発明では、供給部による搬送でストレージコンベアの入口に平板状物が搬送されてくるとこれを受取コンベアに受入れる。このとき、そのままでは受取コンベア上に先行して載置されている平板状物と次に送り込まれる平板状物との間に隙間ができる場合は、受取コンベアを逆転させ互いの隙間無しで又は最小となるようにして再度受取コンベアを正転させ、受取コンベアで平板状物を受取る。
【0010】受取コンベアから搬送コンベアへ平板状物を移載するときは、上記と同様にして搬送コンベア上に互いの隙間無しで又は最小となるように平板状物を移載する。このため、搬送コンベア上に先行して載置されている平板状物があるときは、その平板状物との隙間を無くすために搬送コンベアを逆転させて平板状物を後退させ、隙間無し又は最小となる位置まで来るとその先行の平板状物と次の平板状物を同時に両コンベアを前進方向に駆動して搬送コンベア上に移載する。
【0011】さらに、搬送コンベアから排出コンベアへの移載も上記と全く同様にして行なわれる。加工工程からの要求で平板状物を排出コンベアから排出する必要が生じると、排出コンベアを正転して転送部へ移載が行なわれる。
【0012】このように、ストレージコンベアに受取コンベア、搬送コンベア、及び排出コンベアを備えておき、それぞれのコンベアを正転、逆転させることによって上記いずれかの移載動作を組合せることによって、各コンベア上には隙間が無し又は最小の隙間で平板状物が貯蔵され、かつ必要に応じて迅速に平板状物を排出すると共にスペースの有効利用が図られるのである。」
(2d)「【0015】図1の線II-IIの位置で見た断面を図2に示す。図示のストレージコンベア1は、全体が4つの無端ベルトコンベアから成り、左から順に受取コンベア1A、搬送コンベア1B、1C、排出コンベア1Dとを有する。各コンベア1A?1Dは、段ボールシートのバッチW_(1) ?W_(10)を互いの隙間を最小限に詰めた状態で積載している。また、各コンベア1A?1Dは、後で説明するようにそれぞれ独立にモータで正転、逆転自在に駆動される。なお、各コンベア1A?1Dは、無端ベルトコンベアとしたが、ベルトコンベアでなくとも平板状のものを搬送できる構造であればコンベア自体は連続状でも不連続のものでもよい。なお、トランスファカー2とトラバーサ3とはそれぞれ独立のモータで通常の場合には正転方向にのみ駆動されるコンベアを備えている。
【0016】図3に示すように、各コンベア1A?1Dには、モータ4_(-1)、インバータ5_(-1)パルスジェネレータ6(PGA?PGD)とその制御回路7が設けられており、制御回路7からの信号に基づいてインバータ5_(-1)を介してモータ4_(-1)を速度制御して低速から加速し高速へ、反対に高速から減速して低速へ回転を落し停止させるという制御や正転、逆転させるという制御が行なわれる。また、トランスファカー2およびトラバーサ3のそれぞれのコンベアには、モータ4_(-2)、インバータ5_(-2)とその制御回路7が設けられており、制御回路7からの信号に基づいてインバータ5_(-2)を介してモータ4_(-2)を速度制御して低速から加速し高速へ、反対に高速から減速して低速へ回転を落し停止させるという制御が行われる。」
(2e)「【0027】図5の(b)のように、搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合の移送は次の通りである。受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出ると、搬送コンベア1Bが逆転方向に起動され低速から高速へ加速されて受取コンベア1A側へ送られる。バッチWkの後端が光センサPHb_(1)を遮光するとその信号によりコンベア1Bは高速から低速へと減速され、次に、光センサPH_(2)を遮光すると停止される。
【0028】その後バッチWkを除くコンベア1Bの受入れ長さとバッチW_(1)の長さとが比較され受入れ可能であれば両コンベアは正転方向に起動され直ちに低速から高速に変速されて移送され、(a)の場合と同様にバッチW_(1)の先頭が光センサPH_(2)を遮光した時点からパルスジェネレータPGBによってその進行量が得られ、その進行量が所定量になった時点で低速へと減速される。
【0029】この低速状態でバッチW_(1)が進行し、光センサPH_(2)をその後端が通過すると、バッチWkとW_(1)の合計長さまたはこの合計長さに一定の余裕長さを加算した長さを除く搬送コンベア1Bの長さが次のバッチW_(2)の長さと比較され、さらにバッチW_(2)を受入れ可能と判断すると再び両コンベアは低速から高速へと加速して移送を継続する。
【0030】次のバッチW_(2)についても同様にして搬送コンベア1Bへ移送し、その先端が光センサPH_(2)を遮光した後所定距離進んで両コンベア1A、1Bは減速され、後端が光センサPH_(2)を通過すると停止される。トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕があれば、その後直ちに受取コンベア1Aは逆転起動され低速から高速で受取コンベア1Aの搬出側へ移送されているバッチW_(3)は受入側へ戻され、その後端が光センサPHa_(1)を遮光すると受取コンベア1Aは低速とされ、光センサPH_(1)により後端を検出すると停止される。この状態を図5の(c)に示す。そして、受取コンベア1Aの余裕部分には、バッチがトランスファカー2から順次移送される。」
(2f)「【0033】図6の(b)に示すように、搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)、が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合は、このスペースにバッチW_(1)が移送できることを確認後、無駄なスペースをなくするためにまず搬送コンベア1Cが逆転起動される。低速から高速で送られ、バッチWkの後端が光センサPHc_(1)を遮光すると低速となり、光センサPH_(3)遮光で停止となる。
【0034】そして、図5の(b)、(c)の場合と同様の動作が行われることにより、バッチW_(1)は搬送コンベア1Cへ移送され、次に、バッチW_(2)は搬送コンベア1Bの搬入側へ移送される。なお、搬送コンベア1Cから排出コンベア1Dへのシートの各バッチの移載も各種パターンに応じて上記と同様に行われる。」

イ 甲第2号証に記載の発明
上記記載内容から、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
「受取コンベア1A、搬送コンベア1B、1C、排出コンベア1Dとを有するストレージコンベアであって、各コンベア1A?1Dは、制御装置7からの信号に基づいてそれぞれ独立に制御されるモータで正転、逆転自在に駆動されるストレージコンベアによる搬送方法であって、
搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出ると、搬送コンベア1Bが逆転方向に起動されバッチWkを搬送コンベア1B上流端まで後退させ、その後、搬送コンベア1BがバッチW_(1)を受入れ可能であれば、両コンベア1A、1Bを正転方向に起動することにより、バッチWkとW_(1)を搬送コンベア1Bに移送し、さらに搬送コンベア1BがバッチW_(2)を受入れ可能と判断すると両コンベア1A、1Bを駆動し移送を継続し、バッチW_(2)の搬送コンベア1Bへの移送が完了すると両コンベア1A、1B停止され、トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕があれば、受取コンベア1Aは逆転起動されて受取コンベア1Aの搬出側へ移送されているバッチW_(3)は受入側へ戻され、さらに、搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合には、搬送コンベア1Cを逆転起動しバッチWkを搬送コンベア1Cの受入側に移送する、ストレージコンベアによる搬送方法。」

(3)対比・判断
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「コンベア装置」は、本件発明1の「コンベア」に相当する。また、甲1発明の「搬送物」は、本件発明1の「物品」に相当する。
そして、甲1発明は、「複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置」であって「上流側に隣接するゾーン」から「特定制御対象ゾーン」へと搬送物を搬送するものであるから、甲1発明の「複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置」は、本件発明1の「上流から下流への流れ方向を有し、複数のゾーンを含」む、「コンベア」に相当し、甲1発明の「上流側に隣接するゾーン」及び「特定制御対象ゾーン」は、それぞれ本件発明1の「上流ゾーン」及び「下流ゾーン」に相当する。また、甲1発明の「コンベア装置の制御方法」は本件発明1の「コンベアを制御する方法」に相当する。
b 甲1発明の「特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアは主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持」つことは、本件発明1の「前記複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが、物品を収容するように各々構成される上流領域および下流領域を含む」ことに相当する。
c 甲1発明の「各ゾーンコンベアには自己のゾーンコンベアの動作を制御するゾーンコントローラが有」るということから、甲1発明の「ゾーンコントローラ」は、本件発明1の「制御装置」あるいは「ゾーンの制御装置」に相当するといえる。
そして、甲1発明は、「前記ゾーンコントローラは少なくとも隣接するゾーンに属するゾーンコントローラから所定の信号が入力され」るものであって、「前記複数のゾーンの内の少なくとも一つを特定制御対象ゾーンとし」た場合、「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能であ」り、これによって、特定制御対象ゾーンを制御するものであるから、甲1発明の「特定制御対象ゾーン」の「ゾーンコントローラ」は、上流側に隣接するゾーンからの在荷センサーの検知信号を受信し、特定制御対象ゾーンを駆動し搬送物を特定制御対象ゾーンに受け入れるか否かを決定するものであり、上流側に隣接するゾーンからの受入物品要求を受信するステップを有することが前提となっているといえる。
したがって、甲1発明の「特定制御対象ゾーンとその上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、当該特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアの下流端に近い位置にあり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能である」ことによって、本件発明1の「下流ゾーンの制御装置で、上流ゾーンからの受入物品要求を受信するステップ」を有するものとなっているといえる。
d 上記cを踏まえると、甲1発明の「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知」することは、本件発明1の「前記上流ゾーンからの前記受入物品要求を受信することに応答して、第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されているかどうかを決定するステップ」に相当するといえる。
e 甲1発明において、「自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知」しないということは、特定制御対象ゾーンの下流領域にも搬送物が配置されていないと決定されることである。そうすると、甲1発明の「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」することは、自己のゾーン(特定制御対象ゾーン)の下流側に近い位置、すなわち下流領域に搬送物が配置されていないことに応答して、自己のゾーンを駆動し、上流ゾーンから次の搬送物を受け入れるものであるといえる。
したがって、上記c及びdを踏まえると、甲1発明の「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」することは、本件発明1の「前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されていないと決定することに応答して、前記制御装置が前記上流ゾーンから第2の物品を受け入れるために、前記下流ゾーンを作動するステップ」に相当する。
f 本件発明1において、「前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されていないと決定することに応答して、前記制御装置が前記上流ゾーンから第2の物品を受け入れるために、前記下流ゾーンを作動するステップ」が実行されると、本件発明1の「前記下流ゾーンに前記第2の物品を受け入れること」となる。ここで、甲1発明の「特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合」というのは、特定制御対象ゾーンに搬送物を受け入れることにほかならないから、甲1発明の「特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合」は、本件発明1の「前記下流ゾーンに前記第2の物品を受け入れること」に相当する。
そして、甲1発明の「下流側に隣接するゾーン」は、本件発明1の「別の下流ゾーン」に相当するといえるから、上記を踏まえれば、甲1発明の「特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として自己のゾーンのゾーンコンベアを駆動して自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出す」ことは、特定制御対象ゾーンである自己のゾーンに次の搬送物(すなわち第2の物品)が受け入れられることを前提として、当該搬送物を自己のゾーンの下流端まで搬送するために、自己のゾーンを駆動し、当該搬送物が自己のゾーンの下流端まで搬送された際に、別の下流ゾーンに当該搬送物を受け渡すために、さらに、自己のゾーンを駆動するものであるといえる。
したがって、上記を踏まえれば、甲1発明の「特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として自己のゾーンのゾーンコンベアを駆動して自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出す」ことは、本件発明1の「前記下流ゾーンに前記第2の物品を受け入れることに応答して、前記制御装置は、別の下流ゾーンが物品を受け入れているかどうかをさらに決定し、前記第2の物品を前記上流領域から前記下流領域へと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、前記第2の物品が前記下流領域に到達した際に、前記制御装置が、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れるかどうかを決定し、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れる場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記別の下流ゾーンへと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと」「を含む」ことに相当する。
g 以上のとおりであるから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。
[一致点]
「上流から下流への流れ方向を有し、複数のゾーンを含み、前記複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが、物品を収容するように各々構成される上流領域および下流領域を含む、コンベアを制御する方法であって、
下流ゾーンの制御装置で、上流ゾーンからの受入物品要求を受信するステップと、
前記上流ゾーンからの前記受入物品要求を受信することに応答して、前記制御装置が、第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されているかどうかを決定するステップと、
前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されていないと決定することに応答して、前記制御装置が、前記上流ゾーンから第2の物品を受け入れるために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
前記下流ゾーンに前記第2の物品受け入れることに応答して、前記制御装置は、別の下流ゾーンが物品を受け入れているかどうかをさらに決定し、前記第2の物品を前記上流領域から前記下流領域へと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
前記第2の物品が前記下流領域に到達した際に、前記制御装置が、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れるかどうかを決定し、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れる場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記別の下流ゾーンへと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
を含む方法。」
[相違点1]
本件発明1が、「前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域にあると決定することに応答して、前記制御装置が、前記上流ゾーンから前記第2の物品を受け入れるのを拒否するステップとを含む」ものであるのに対し、甲1発明は、「特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件として自己のゾーンのゾーンコンベアを駆動して自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出すことを含む」ものである点。
[相違点2]
本件発明1が、「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと」「を含む」ものであるのに対し、甲1発明はかかるステップを具備していない点。

(イ)判断
事案に鑑み相違点2について検討する。
甲第2号証には、上記(2)イで述べたように、甲2発明が記載されているといえる。
甲2発明は、制御装置によって、バッチを搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアを逆転起動するという技術的事項(以下、「甲2の技術的事項」という。)、すなわち、本件発明1の「前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップ」「を含む」コンベアを制御する方法に相当する技術的事項を含むものであるといえる。
しかしながら、甲2の技術的事項において、搬送コンベアが逆転起動されるのは、最もスペース効率よく最大容量のバッチを自動的に貯蔵、搬送、排出するために(甲第2号証の段落【0007】を参照。)「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」を条件とするものであって、本件発明1のように、「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合」を条件とするものではない。
確かに、甲2の技術的事項において、搬送コンベアが逆転起動される場合に、当該逆転起動される搬送コンベアのさらに下流の搬送コンベアにおいてバッチを受け入れないときがあるかもしれないが、甲2の技術的事項は、逆転起動される搬送コンベアのさらに下流の搬送コンベアにおいてバッチを受け入れない場合を条件として搬送コンベアを逆転起動するものではない。
そして、甲1発明は、甲2の技術的事項が適用される、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号がでる」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」に相当する前提条件を構成として備えていないから、甲1発明に甲2の技術的事項を適用することは当業者にとって容易にはなし得ないし、仮に、甲1発明に甲2の技術的事項を適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成に至らない。
加えて、本件発明1は、かかる構成を具備することにより、モジュール式コンベアシステムの効率及び処理能力を維持または増加させるという格別の作用効果を奏するものといえる。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件発明2、5、7及び8について
本件発明2、5、7及び8は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記ア(イ)の説示と同様の理由により、本件発明2、5、7及び8は、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 本件発明9について
(ア)対比
本件発明9と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「コンベア装置」及び「コンベア装置を制御する方法」は、それぞれ本件発明9の「コンベアシステム」及び「コンベアシステムを制御する方法」に相当する。また、甲1発明の「搬送物」は、本件発明9の「物品」に相当する。さらに甲1発明の「ゾーンコントローラ」は、本件発明9の「第1の制御装置」に相当する。
b 甲1発明の「特定制御対象ゾーン」は、複数のゾーンコンベアの少なくとも1つのゾーンであるといえるから、本件発明9の「少なくとも1つのゾーン」に相当する。
そして、甲1発明の「特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアは主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持」つものであるから、搬送物を収容するように各々の領域が構成される状態で複数の領域を有するといえる。また、甲1発明は、「複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であ」るから、少なくとも1つのゾーンを含む複数のゾーンを含むものであるといえる。さらに、甲1発明は、「各ゾーンコンベアには自己のゾーンコンベアの動作を制御するゾーンコントローラが有り、前記ゾーンコントローラは少なくとも隣接するゾーンに属するゾーンコントローラから所定の信号が入力されるコンベア装置であって、前記複数のゾーンの内の少なくとも一つを特定制御対象ゾーンとし」、「特定制御対象ゾーンとその上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、当該特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアの下流端に近い位置にあり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能である」から第1の制御装置を有しており、甲1発明の「コンベア装置」は当該第1の制御装置によって制御されているといえる。
したがって、甲1発明の「複数のゾーンコンベアが直列的に並べられて複数のゾーンに区分されたコンベア装置であって、各ゾーンコンベアには自己のゾーンコンベアの動作を制御するゾーンコントローラが有り、前記ゾーンコントローラは少なくとも隣接するゾーンに属するゾーンコントローラから所定の信号が入力されるコンベア装置であって、前記複数のゾーンの内の少なくとも一つを特定制御対象ゾーンとし、特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアは主たる搬送物の長さの2倍以上の長さを持ち、特定制御対象ゾーンとその上流側に隣接するゾーン及び下流側に隣接するゾーンには搬送物の存在を検知する在荷センサーが設けられており、特定制御対象ゾーンの在荷センサーは、当該特定制御対象ゾーンのゾーンコンベアの下流端に近い位置にあり、前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラには少なくとも自己のゾーンの在荷センサーの検知信号と、上流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーの検知信号と、下流側に隣接するゾーンコンベアが起動しているか否かを示す信号とを入手可能であるコンベア装置を制御する方法」は、本件発明9の「物品を収容するように各々の領域が構成される状態で複数の領域を有する少なくとも1つのゾーンを含む複数のゾーンを含むコンベアシステムを制御する方法」に相当する。
c 甲1発明は、「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」するものであるところ、これにより、搬送物を少なくとも1つのゾーンである特定制御対象のゾーン(自己のゾーン)に受け入れるものであるといえる。
したがって、甲1発明の、「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」することは、本件発明9の「第1の物品を前記少なくとも1つのゾーンで受け入れるステップ」に相当する。
d 甲1発明において、「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」することにより、搬送物は、停止が解除される前においては、ゾーンコントローラによって、特定制御対象ゾーン(自己のゾーン)の複数の領域のうち、搬送方向基端近傍という位置に決定されているといえる。
したがって、甲1発明の、「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」することは、本件発明9の「第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定するステップ」を「含む」ことに相当する。
e 甲1発明の「下流側に隣接するゾーン」は、本件発明9の「下流の第2のゾーン」に相当する。
甲1発明は、「自己のゾーンの搬送物を下流側に隣接するゾーンに送り出す」ための条件として、「特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動している」場合であるかどうかを判断(決定)していることから、甲1発明の「特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知した場合は、下流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知していない場合及び/又は下流側に隣接するゾーンコンベアが駆動していることを条件」とすることは、本件発明9の「前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定」することに相当し、甲1発明が、かかる決定ステップを含み持っているといえる。
また、甲1発明は、「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」するものであるから、一定の停止時間が経過後は前記停止が解除されることにより、自己のゾーンの複数の領域のうち搬送方向基端近傍の位置(領域)に停止している搬送物を、搬送方向基端近傍の位置(領域)とは異なる下流の位置(領域)に搬送するよう、自己のゾーンを作動させるモードを持つものである。 そしてこのモードは、複数の搬送物を集積してロットを形成する集積モードではないといえる。
したがって、甲1発明の、「前記特定制御対象ゾーンのゾーンコントローラは、自己のゾーンの在荷センサーが搬送物を検知せず、且つ上流側に隣接するゾーンの在荷センサーが搬送物を検知し、且つ自己のゾーンが停止している場合には搬送物が自己のゾーンの搬送方向基端近傍の位置に停止する様に自己のゾーンを駆動し、一定の停止時間が経過後は前記停止を解除」することは、本件発明9の「前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにないことに応答して、前記複数の領域のうちの第1の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップ」「を含む」ことに相当する。
f 以上のとおりであるから、本件発明9と甲1発明との一致点及び相違点は次のとおりとなる。
[一致点]
「物品を収容するように各々の領域が構成される状態で複数の領域を有する少なくとも2つのゾーンを含む複数のゾーンを含むコンベアシステムを制御する方法であって、
第1の物品を前記少なくとも1つのゾーンで受け入れるステップと、
第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定するステップと、
前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定するステップと、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにないことに応答して、前記複数の領域のうちの第1の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップと、
を含む方法。」
[相違点A]
本件発明9は、「前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせるステップと」を含み、「前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにあることに応答して、前記第1の領域とは異なる前記複数の領域のうちの第2の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップとを含む」ものであるのに対し、甲1発明は、かかるステップを具備するものではない点。

(イ)判断
相違点Aについて検討する。
本件発明9において、「集積モードにない」とは、物品を集積しないで搬送するモードと解することができるから、本件発明9において「前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにないことに応答して、前記複数の領域のうちの第1の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動させる」という集積モードにない場合には、物品は、集積するための特定の位置に位置付けられることなく、1つのゾーンの搬送方向基端近傍の領域とは異なる下流の領域に搬送されるものであるといえる。
これに対して、集積モードの場合は、「前記第1の領域と異なる前記複数の領域のうち第2の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動する」ものである。してみれば、本件発明9の「第2の領域」とは、下流の領域ではない領域のことであるといえる。
以上の両者を踏まえると、本件発明9の「第1の領域」は、少なくとも1つのゾーンの下流領域であり、「第2の領域」は上流領域であるということができる(この点については、本件発明10や本件明細書の段落【0040】?【0044】等も参照されたい。)。
結局、相違点Aは、本件発明9は、下流の第2のゾーンが物品を受け入れない場合に、少なくとも1つのゾーンの上流領域に物品を位置付けるために少なくとも1つのゾーンを作動する(逆転する)ステップを含むものであるのに対し、甲1発明はかかるステップを具備するものではないと換言できる。
前記ア(イ)で説示のとおり、甲第2号証には、制御装置によって、バッチを搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアを逆転起動するという技術的事項(甲2の技術的事項)が記載されているといえる。
ここで、甲2の技術的事項は、本件発明9の「前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにあることに応答して、前記第1の領域と異なる前記複数領域のうちの第2の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップ」「を含む」ことに相当するといえる。
しかしながら、甲2の技術的事項において、搬送コンベアが逆転起動されるのは、最もスペース効率よく最大容量のバッチを自動的に貯蔵、搬送、排出するために(甲第2号証の段落【0007】を参照。)、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」を条件とするものであって、本件発明9のように、「前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合」を条件とするものではない。確かに、甲2の技術的事項において、搬送コンベアが逆転起動される場合に、当該逆転起動される搬送コンベアのさらに下流の搬送コンベアにおいてバッチを受け入れないときがあるかもしれないが、甲2の技術的事項は、このような逆転起動される搬送コンベアのさらに下流の搬送コンベアにおいてバッチを受け入れない場合を条件として搬送コンベアを逆転起動するものではない。
そして、甲1発明は、甲2の技術的事項が適用される、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」に相当する前提条件を構成として備えていないから、甲1発明に甲2の技術的事項を適用することは当業者にとって容易にはなし得ないし、かりに、甲1発明に甲2の技術的事項を適用しても、相違点Aに係る本件発明9の構成に至らない。
加えて、本件発明9は、かかる構成を具備することにより、モジュール式コンベアシステムの効率及び処理能力を維持または増加させるという格別の作用効果を奏するものといえる。
したがって、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 本件発明10?13、15?17について
本件発明10?13、15?17は、本件発明9の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記ウ(イ)の説示と同様の理由により、本件発明10?13、15?17は、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ 本件発明22について
本件発明22は、実質的には、処理装置と、本件発明9のコンベアシステムを制御する方法を実現させるためのプログラムコードを含む記憶装置とを備える制御装置としたものであるといえる。
本件発明9が上記ウ(イ)の説示のとおり、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明22も同様の理由により、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 取消理由において採用しなかった異議申立理由について
(1)特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1?10、13?15及び22に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないか、または、甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は取り消すべきものである旨主張する。
(2)しかしながら、以下の理由により特許異議申立人の上記主張は採用することができない。
(3)甲第2号証には、上記1(2)イで摘示のように、甲2発明が記載されているといえる。
(4)そこで、本件発明1と甲2発明とを比較すると、少なくとも次の点で相違しているといえる。
本件発明1は、「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと」「を含む」ものであるのに対し、甲2発明は、制御装置によって、バッチ(物品)を搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアが逆転起動されるのは、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号がでる」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」である点。
(5)上記相違点について検討する。
甲2発明は、最もスペース効率よく最大容量のバッチを自動的に貯蔵、搬送、排出するために(甲第2号証の段落【0007】を参照。)、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」に、バッチ(物品)を搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアを逆転起動するものであって、本件発明1のように「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合」とするものではない。甲2発明は、次の搬送コンベアがバッチを受け入れない場合であっても、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」でなければ、搬送コンベアは逆転起動されない。
そして、甲第2号証には、次の搬送コンベアがバッチを受け入れない場合、すなわち、本件発明1の「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合」であることを条件として、搬送コンベアを逆転起動するものとすることの示唆も一切されていない。
したがって、甲2発明において、次の搬送コンベアがバッチを受け入れない場合、すなわち、本件発明1の「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合」に、搬送コンベアを逆転起動するものとすることは、甲2号証に記載の事項に基づいて当業者が容易になし得たものでない。
よって、本件発明1及び本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2、5、7及び8は、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)また、本件発明9と甲2発明とを比較すると、少なくとも次の点で相違しているといえる。
本件発明9は、「前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせるステップ」「を含む」ものであるのに対し、甲2発明は、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W1が積載され次のバッチW1を積載できるスペースがある場合」に、制御装置によって、バッチ(物品)を搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアが逆転起動されるものである点。
(7)上記相違点について検討する。
本件発明9の「集積モード」が、少なくとも1つのゾーンの下流領域にある物品を上流領域に位置付けるために前記少なくとも1つのゾーンを作動するもの、すなわち、甲2発明の、バッチ(物品)を搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアを逆転起動するものに相当することは、上記1(3)ウ(イ)で説示のとおりである。
ここで、本件発明9が「集積モード」に入るのは、「前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合」である。これに対し、甲2発明が、バッチ(物品)を搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアを逆転起動するのは、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」であり、必ずしも、次の搬送コンベアがバッチを受け入れない場合を条件とするものではない。
甲2発明が、最もスペース効率よく最大容量のバッチを自動的に貯蔵、搬送、排出するために(甲第2号証の段落【0007】を参照。)、「搬送コンベア1Bに先行するバッチWkが積載されている場合であって、受取コンベア1Aが満杯であることを示す信号が出る」場合、「トランスファカー2から次のバッチを受け入れるまでに時間の余裕が」ある場合、あるいは、「搬送コンベア1Cに予め2バッチWk、W_(1)が積載され次のバッチW_(1)を積載できるスペースがある場合」に、バッチ(物品)を搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアを逆転起動するものとしていることからすれば、甲2発明において、次の搬送コンベアがバッチを受け入れない場合を条件として、バッチ(物品)を搬送コンベアの搬出側から受入側へ戻すように搬送コンベアを逆転起動するものとすることが、甲第2号証において示唆されているともいえない。
したがって、甲2発明において、次の搬送コンベアがバッチを受け入れない場合、すなわち、本件発明9の「前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合」に、搬送コンベアを逆転起動するものとすることは、甲2号証に記載の事項に基づいて当業者が容易になし得たものでない。
よって、本件発明9及び本件発明9を直接又は間接的に引用する本件発明10?13及び15?17は、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明22は、実質的には、処理装置と、本件発明9のコンベアシステムを制御する方法を実現させるためのプログラムコードを含む記憶装置とを備える制御装置としたものであるといえる。
そうすると、本件発明22と甲2発明との間には、少なくとも、上記(5)で説示した相違点が存在することとなり、上記(6)で説示のとおり、甲2発明において当該相違点にかかる本件発明22の構成と成すことは当業者が容易になし得たものとはいえないから、本件発明22は、甲第2号証に記載された発明とはいえないし、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、本件訂正請求により、請求項3、4、6及び14は削除されている。

3 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は、令和1年9月27日付け提出の意見書において、特許権者は、独立項(請求項1、9及び22)を取消理由の指摘のない訂正前の請求項6及び14に限定しているが、訂正前の請求項6及び14に係る構成は、甲第2号証に開示されているから、訂正後の請求項1、2、5、7?13、15及び22に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。
しかしながら、甲第2号証には、本件発明1の「前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップ」、本件発明9の「前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせるステップ」、あるいは、本件発明22の「前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせ」「作動させる」点に相当する構成が開示されているとはいえるものの、本件発明1の「前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れられない場合に」、あるいは、本件発明9及び22の「前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に」という、下流ゾーンを作動する、あるいは、集積モードに入らせるための前提構成(条件)が開示されているとも示唆されているともいえない(この点については、上記「1(3)ア(イ)」、「1(3)ウ(イ)」及び「2」を参照。)。
また、甲1発明に甲2の技術的事項を適用することは当業者にとって容易ではないし、仮に、甲1発明に甲2の技術的事項を適用しても本件発明1、2、5、7?13、15及び22の構成に至らないことは、上記「1」に説示のとおりである。
したがって、特許異議申立人の意見書での主張は採用できない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、5、7?10、13、15及び22に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2、5、7?10、13、15及び22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件請求項3、4、6及び14に係る特許は、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、本件請求項3、4、6及び14に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流への流れ方向を有し、複数のゾーンを含み、前記複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンが、物品を収容するように各々構成される上流領域および下流領域を含む、コンベアを制御する方法であって、
下流ゾーンの制御装置で、上流ゾーンからの受入物品要求を受信するステップと、
前記上流ゾーンからの前記受入物品要求を受信することに応答して、前記制御装置が、第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されているかどうかを決定するステップと、
前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されていないと決定することに応答して、前記制御装置が、前記上流ゾーンから第2の物品を受け入れるために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域にあると決定することに応答して、前記制御装置が、前記上流ゾーンから前記第2の物品を受け入れるのを拒否するステップと、
前記下流ゾーンに前記第2の物品受け入れることに応答して、前記制御装置は、別の下流ゾーンが物品を受け入れているかどうかをさらに決定し、前記第2の物品を前記上流領域から前記下流領域へと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
前記第2の物品が前記下流領域に到達した際に、前記制御装置が、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れるかどうかを決定し、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れる場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記別の下流ゾーンへと搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
それとは異なり、前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れない場合に、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の物品を前記上流ゾーンから受け入れることに応答して、前記制御装置が、別の下流ゾーンが物品を受け入れるかどうかを決定するステップと、
前記別のゾーンが物品を受け入れないと決定することに応答して、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流ゾーンの前記上流領域に位置付けるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記別のゾーンが前記第2の物品を受け入れないと決定することに応答して、前記制御
装置が、前記第2の物品を前記下流ゾーンの前記下流領域に位置付けるステップをさらに
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れないと決定することに応答して、前記制御装置がタイマを始動するステップと、
前記別の下流ゾーンが前記第2の物品を受け入れる前に前記タイマが切れることに応答して、前記制御装置が、前記第2の物品を前記下流領域から前記上流領域へと戻すように搬送するために、前記下流ゾーンを作動するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記別の下流ゾーンが前記下流ゾーンの下流にある、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
物品を収容するように各々の領域が構成される状態で複数の領域を有する少なくとも1つのゾーンを含む複数のゾーンを含むコンベアシステムを制御する方法であって、
第1の物品を前記少なくとも1つのゾーンで受け入れるステップと、
第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定するステップと、
前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせるステップと、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにないことに応答して、前記複数の領域のうちの第1の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップと、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにあることに応答して、前記第1の領域と異なる前記複数の領域のうちの第2の領域に前記物品を位置付けるために、前記第1の制御装置で前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記第1の領域が下流領域であり、前記第2の領域が上流領域である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の物品の寸法を前記第1の制御装置で決定するステップと、
前記第1の物品の前記寸法に関するデータを、前記第1の制御装置の記憶装置に保存する
ステップと、
前記第1の物品の前記寸法に関する前記データを、前記第1の制御装置から、前記複数の
ゾーンのうちの第2のゾーンを制御する第2の制御装置へと送信するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の物品の前記位置に関するデータを、前記第1の制御装置の記憶装置に保存するステップと、
前記第1の物品の前記位置に関する前記データを、前記第1の制御装置から、前記複数のゾーンのうちの第2のゾーンを制御する第2の制御装置へと送信するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の制御装置が、前記少なくとも1つのゾーンで第2の物品を受け入れるために要求を受信することに応答して、前記第1の物品が前記第1の領域にあると共に前記第2の物品が前記第2の領域にあるように、前記第1の制御装置が、前記第2の物品を前記第2の領域で受け入れると共に前記第1の物品を前記第1の領域へと移動するために、前記少なくとも1つのゾーンを作動するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
(削除)
【請求項15】
前記集積モードに入ることに応答して、前記第1の物品を前記第1の領域から前記第2の領域へと移動するために、前記少なくとも1つのゾーンを反対方向で作動するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の物品の前記位置を決定するステップが、
第1のゾーンの電動駆動ローラと関連付けられた回転センサ回路から信号を受信するステップと、
前記回転センサから受信した前記信号に基づいて、前記第1の制御装置の記憶装置に保存されている前記第1の物品の前記位置に関連するデータを更新するステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の物品の前記位置を決定するステップが、
前記第1の制御装置で物品センサから受信した信号に基づいて、前記少なくとも1つのゾーンの前記第1の領域または前記第2の領域のうちの一方における前記第1の物品の存在または非存在を検出するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
下流ゾーンおよび上流ゾーンを含むコンベアシステムを制御する方法であって、
前記下流ゾーンにある第1の物品と前記上流ゾーンにある第2の物品との間の隙間が所定長さを超えるかどうかを、前記下流ゾーンを制御する第1の制御装置で決定するステップと、
前記隙間が前記所定長さを超えると決定することに応答して、前記第1の制御装置が、上流領域および下流領域を含む前記下流ゾーンの前記上流領域に前記第1の物品を位置付けるステップと
を含む方法。
【請求項19】
前記下流ゾーンの前記上流領域に前記第1の物品を位置付けるステップが、前記第1の物品を前記下流領域から前記上流領域へと移動するために、前記下流ゾーンを選択的に作動するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記上流領域に位置付けられることに応答して、前記下流ゾーンが前記上流ゾーンから物品を受け入れることを指示する信号を、前記第1の制御装置から、前記上流ゾーンを制御する第2の制御装置へと送信するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
上流から下流への流れ方向を有し、下流領域および上流領域を含む下流ゾーンと、上流ゾーンとを含むコンベアシステム用の制御装置であって、
処理装置と、
前記処理装置によって実行されるとき、前記制御装置に、
前記上流ゾーンからの受入物品要求を受信させ、
前記受入物品要求を受信することに応答して、第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されているかどうかを決定させ、
前記第1の物品が前記下流ゾーンの前記下流領域に配置されていないと決定することに応答して、前記上流ゾーンから第2の物品を受け入れるために、前記下流ゾーンを作動させ、
前記第1の物品が前記下流領域にあると決定することに応答して、前記下流ゾーンで前記第2の物品を受け入れるのを拒否させる
プログラムコードを含む記憶装置と
を備える制御装置。
【請求項22】
物品を収容するように各々の領域が構成される状態で複数の領域を有する少なくとも1つのゾーンを含む複数のゾーンを含むコンベアシステム用の制御装置であって、
処理装置と、
前記処理装置によって実行されるとき、前記コンベアシステムに、
第1の物品を前記少なくとも1つのゾーンで受け入れさせ、
前記少なくとも1つのゾーンの複数の領域における前記第1の物品の位置を決定させ、
前記第1の制御装置で、前記少なくとも1つのゾーンから下流の第2のゾーンが物品を受け入れていないかどうかを決定し、前記下流の第2のゾーンが物品を受け入れていない場合に、前記少なくとも1つのゾーンを集積モードに入らせ、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにないことに応答して、前記複数の領域のうちの第1の領域に前記物品を位置付けるために、前記少なくとも1つのゾーンを作動させ、
前記少なくとも1つのゾーンが集積モードにあることに応答して、第2の領域に前記物品を位置付けるために、前記少なくとも1つのゾーンを作動させる
プログラムコードを含む記憶装置と
を備える制御装置。
【請求項23】
下流領域および上流領域を含む下流ゾーンと、上流ゾーンとを含むコンベアシステム用の制御装置であって、
処理装置と、
前記処理装置によって実行されるとき、前記制御装置に、
前記下流ゾーンにある第1の物品と前記上流ゾーンにある第2の物品との間の隙間が所定長さを超えるかどうかを決定させ、
前記隙間が前記所定長さを超えると決定することに応答して、前記下流ゾーンの前記上流領域に前記第1の物品を位置付けさせる
プログラムコードを含む記憶装置と
を備える制御装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-11-11 
出願番号 特願2016-500217(P2016-500217)
審決分類 P 1 652・ 853- YAA (B65G)
P 1 652・ 113- YAA (B65G)
P 1 652・ 851- YAA (B65G)
P 1 652・ 856- YAA (B65G)
P 1 652・ 121- YAA (B65G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岡崎 克彦土田 嘉一  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 小関 峰夫
尾崎 和寛
登録日 2018-06-15 
登録番号 特許第6352379号(P6352379)
権利者 インサイト・オートメーション・インコーポレイテッド
発明の名称 モジュール式コンベアシステムのためのゾーン制御装置  
代理人 藤田 隆  
代理人 黒田 晋平  
代理人 阿部 達彦  
代理人 源田 正宏  
代理人 源田 正宏  
代理人 黒田 晋平  
代理人 阿部 達彦  

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