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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H02K |
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管理番号 | 1358899 |
審判番号 | 訂正2019-390114 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2019-10-31 |
確定日 | 2019-12-26 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5878662号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5878662号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第5878662号に係る出願は、平成27年5月15日の出願であって、平成28年2月5日に特許権の設定登録がなされた。 請求人池田快堂により令和元年8月22日に、特許請求の範囲についての訂正審判の請求がなされたが(第一次審判請求)、令和元年12月10日付の審決(発送日:令和元年12月18日)で第一次審判請求は成り立たないとされた。 請求人池田快堂により令和元年10月31日に、特許請求の範囲についての本件の訂正審判の請求がなされた(第二次審判請求)。 2.請求の趣旨及び訂正事項 本訂正審判請求書による訂正は、特許第5878662号の特許請求の範囲を、本訂正審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正事項は以下のとおりである。 訂正前の請求項1の、「駆動軸へ出力ができることを特徴とする変速装置内蔵の回転電機。」を、「駆動軸へ出力ができる回転電機において、固定子の界磁磁石と回転子側の磁極との間の空隙を保持する仕組みとして、駆動軸上に調整車か調整歯車かの少なくとも1つを有する構造を特徴とする変速装置内蔵の回転電機。」に訂正する。 したがって、訂正特許請求の範囲の請求項1は以下のとおりである(下線は訂正個所)。 「【請求項1】 永久磁石や電磁石による界磁磁石を環状に配設して成した固定子に対し、当該環状の固定子の中心である軸方向の一方に駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かの少なくともいずれかを伴い中央軸に回転自在に取り付けられ時計方向へ回転する回転子を少なくとも1つ以上有し、当該環状の固定子の中心である軸方向の他方に駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かの少なくともいずれかを伴い中央軸に回転自在に取り付けられ反時計方向に回転する回転子を少なくとも1つ以上有する回転電機において、時計方向に回転する回転子の駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かと、反時計方向に回転する回転子の駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かと、固定子の径方向内側とによって囲まれた部分に空間を構成し、構成した当該空間に駆動軸によって貫通された摩擦車か歯車かを挿入すると、摩擦車は駆動力伝達盤に当接することによって偶力を受けて回転し、歯車は駆動力伝達歯車に当接することによって偶力を受けて回転して、摩擦車や歯車を貫通している駆動軸へ出力ができる回転電機において、固定子の界磁磁石と回転子側の磁極との間の空隙を保持する仕組みとして、駆動軸上に調整車か調整歯車かの少なくとも1つを有する構造を特徴とする変速装置内蔵の回転電機。」 3.当審の判断 (1)訂正の目的について 訂正事項は、回転電機が当然に有している空隙について、「回転電機において、固定子の界磁磁石と回転子側の磁極との間の空隙を保持する仕組みとして、駆動軸上に調整車か調整歯車かの少なくとも1つを有する構造」と限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 (2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項は、回転電機が当然に有している空隙について、「回転電機において、固定子の界磁磁石と回転子側の磁極との間の空隙を保持する仕組みとして、駆動軸上に調整車か調整歯車かの少なくとも1つを有する構造」と限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。 (3)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項の「回転電機において、固定子の界磁磁石と回転子側の磁極との間の空隙を保持する仕組みとして、駆動軸上に調整車か調整歯車かの少なくとも1つを有する構造」は、段落【0010】の「【図9】図は、貫通された駆動軸上を固定子の直径方向に任意にスライドできる機構を有する1つの摩擦車と、その反対側に、固定子と回転子との万一の衝突を防止するための1つの調整車とが示されている。(B)は、固定子のa-a’部分に埋め込まれた界磁磁石を示している。(C)は、固定子の断面と、駆動軸上をスライドできる摩擦車と、回転子が固定子に異常に接近して衝突することを防止するための調整車とを示している。【図10】図は、駆動軸に貫通され固定子の直径方向にスライドできて、無段変速装置を構成する1つの摩擦車と、界磁磁石と回転子の磁極との空隙を保護するための1つの調整車が配置された構造である変速装置内蔵の回転電機の断面図である。なお、この図の調整車は駆動力伝達盤に当接しない状態で表現されているが、界磁磁石と回転子の磁極との間である空隙が1mmを大きく下回った場合、例えば、50μmの空隙の際には、金属等で製作した摩擦車を常時、駆動力伝達盤に当接させる構造となる。」という記載、段落【0024】の「本発明を実施する形態を表した図5?図14及び図16には、駆動軸(150)に設置された調整車(312)か調整歯車(422)かのいずれかが記載してある。調整車(312)や調整歯車(422)は、回転子(120)が外圧等によって、固定子(110)側へ異常接近した場合であっても、磁極間の空隙を保持するのが目的である。しかしながら、図5?図14及び図16で、外圧が摩擦車(310)や歯車(421)や調整車(312)や調整歯車(422)のちょうど真上に加わった場合には、回転体の特性上、作用した点から90°遅れて効果が現れる点が生じるので、実際に空隙の変化を生じるところでは、空隙の変化を防止するものが何も無い状態となる。このため、図17の一例のように調整歯車(422)や調整車(312)を追加しても良い。そのように固定子の磁極と回転子の磁極との空隙を、摩擦車(310)や歯車(421)や調整車(312)や調整歯車(422)によって4ヵ所で保持する仕組みが構成できる場合には、磁極間の空隙を極小で設計することができるので、回転電機のトルクの向上にも寄与できる。」いう記載に基づいて導き出される構成であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。 (4)特許出願の際に独立して特許を受けることができること 訂正後の請求項1-3に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とする理由は発見できず、訂正事項は特許法第126条第7項に規定される要件に適合するものである。 4.むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、同条第5項ないし第7項の規定に適合するので、当該訂正をすることを認める。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 永久磁石や電磁石による界磁磁石を環状に配設して成した固定子に対し、当該環状の固定子の中心である軸方向の一方に駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かの少なくともいずれかを伴い中央軸に回転自在に取り付けられ時計方向へ回転する回転子を少なくとも1つ以上有し、当該環状の固定子の中心である軸方向の他方に駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かの少なくともいずれかを伴い中央軸に回転自在に取り付けられ反時計方向に回転する回転子を少なくとも1つ以上有する回転電機において、時計方向に回転する回転子の駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かと、反時計方向に回転する回転子の駆動力伝達盤か駆動力伝達歯車かと、固定子の径方向内側とによって囲まれた部分に空間を構成し、構成した当該空間に駆動軸によって貫通された摩擦車か歯車かを挿入すると、摩擦車は駆動力伝達盤に当接することによって偶力を受けて回転し、歯車は駆動力伝達歯車に当接することによって偶力を受けて回転して、摩擦車や歯車を貫通している駆動軸へ出力ができる回転電機において、固定子の界磁磁石と回転子側の磁極との間の空隙を保持する仕組みとして、駆動軸上に調整車か調整歯車かの少なくとも1つを有する構造を特徴とする変速装置内蔵の回転電機。 【請求項2】 請求項1に記載した変速装置内蔵の回転電機において、摩擦車や歯車と駆動軸との間の接続を、動力断続装置によって接続と切断とを任意に選択可能にした変速装置内蔵の回転電機。 【請求項3】 請求項1に記載した変速装置内蔵の回転電機において、摩擦車を、駆動軸上で摺動可能にした変速装置内蔵の回転電機。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2019-11-29 |
結審通知日 | 2019-12-05 |
審決日 | 2019-12-20 |
出願番号 | 特願2015-99674(P2015-99674) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(H02K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 尾家 英樹 |
特許庁審判長 |
柿崎 拓 |
特許庁審判官 |
窪田 治彦 堀川 一郎 |
登録日 | 2016-02-05 |
登録番号 | 特許第5878662号(P5878662) |
発明の名称 | 変速装置内蔵の回転電機 |