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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G10K
管理番号 1358996
審判番号 不服2018-16721  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-14 
確定日 2020-01-14 
事件の表示 特願2017-153585「顔表情採点装置、ダンス採点装置、カラオケ装置、およびゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月18日出願公開、特開2018- 10305〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)2月18日(優先権主張 平成25年4月2日)を国際出願日とする特願2015-509944号の一部を平成29年8月8日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 9月 6日:手続補正書の提出
平成30年 7月24日:拒絶理由通知
平成30年 9月28日:意見書、手続補正書の提出
平成30年11月28日:拒絶査定
平成30年12月 4日:拒絶査定の謄本の送達
平成30年12月14日:審判請求書、手続補正書の提出
令和 元年 8月20日:拒絶理由通知(当審)
令和 元年10月15日:意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和元年10月15日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
なお、A?Fについては、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成A」?「構成F」という。)

「A 採点対象者の顔画像を撮像する顔画像撮像手段と、
B 前記撮像された顔画像から前記採点対象者の属性である性別、年齢、人種、国籍から選択される少なくとも1つの属性を判定する採点対象者属性判定手段と、
C 前記撮像された顔画像から顔の表情が笑顔、真顔、泣き顔、困った顔及び怒った顔のいずれかであることを手本画像を用いた機械学習によって推定する顔表情推定手段と、
D 前記推定された顔画像の表情を、前記推定された顔画像の手本画像を基準として3段階以上の点数評価によって採点する顔表情採点手段と
E 採点された結果を表示する採点結果表示手段と、
F を含むことを特徴とする顔表情採点装置。」

第3 当審における拒絶の理由
令和元年8月20日に当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。

この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された引用文献1、2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2010-187110号公報
引用文献2.特開2008-42319号公報

第4 引用文献及び本願の先行技術文献について
(1)引用文献1について
(ア)引用文献1の記載事項
当審の拒絶理由に、引用文献1として引用された特開2010-187110号公報には、「電子スチルカメラ」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、下線は、説明のために当審にて付したものである。

【0001】
本発明は、被写体画像中の人物の顔表情を検出して自動撮影を行う電子スチルカメラに関する。

【0011】
撮像素子13から出力される画像信号は、バッファメモリ14を介して画像処理部15に送られ、ここで所定の種々の画像処理が施される。撮影開始前の段階では、撮像素子13からの画像信号は、バッファメモリ14、画像処理部15を経てバス19を介してディスプレイ42に送られ、スルー画像として表示される。撮影段階では、撮像素子13からの画像信号は、バッファメモリ14、画像処理部15を経てバス19を介して画像記録部16にて記録される。
【0012】
画像記録部16は、画像データとその画像データに関する属性データ(タグ情報)とを関連付けて不揮発性のメモリ(記憶媒体)16aに記録する。画像データには、被写体を撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13によって撮影した被写体画像や、外部機器から画像記録部16に入力された被写体画像が含まれる。
【0013】
顔検出部21は、被写体画像データを入力し、これを顔データ記憶部22に予め記憶されている顔データと比較することにより、画像中の被写体人物の顔を検出する。被写体人物が複数人の場合は各人の顔を検出する。顔データ記憶部22は、例えば、眉、眼、鼻、唇の形状に関する特徴点のデータを記憶している。

【0016】
顔表情検出部23は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情データ記憶部24に予め記憶されている所定の顔表情データと比較することにより、被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情に対応することを検出する。
顔表情には、笑顔、泣き顔、怒り顔、驚き顔、寝顔などの様々な種類があり、顔表情データ記憶部24は、これらの複数の顔表情データを記憶している。
【0017】
顔表情検出部23が顔領域の画像の顔表情を検出する場合には、特開2008-42319号公報に開示されている検出手法を用いることができる。この検出手法は、例えば笑顔であることを検出するには、検出された画像の顔が笑顔と通常時の顔という2つの顔表情のいずれに近いかに基づいて表情の種類を判断するものである。
【0018】
また、顔表情検出部23は、顔表情の検出だけではなく、顔表情の度合い(顔表情レベル)を検出する。すなわち、顔表情検出部23は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の表情の度合いを顔表情レベルデータ記憶部26に予め記憶されている所定の顔表情レベルデータと比較することにより、顔領域の画像中の被写体人物の顔の表情レベルが所定の顔表情レベルデータのいずれに対応するかを判定することができる。顔表情検出部23は、被写体人物の顔表情の度合いが所定の顔表情レベルに対応すると判定されると検出信号を発生する。
【0019】
顔表情レベルデータ記憶部26は、顔表情の種類毎に表情の度合い(顔表情レベル)を表すデータ記憶している。例えば、笑顔であれば、微笑、中位の笑い、大笑いという3段階の笑顔レベルデータを記憶している。

【0029】
ディスプレイ42は、表示制御部41の指令により、スルー画像、バッファメモリ14に一時的に記録されている被写体画像、メモリ16aに保存された被写体画像の表示を行い、被写体画像に関連する属性情報の表示を行う。また、ディスプレイ42は、表示制御部41の指令により、撮影モード選択用の画面を表示する。

【0031】
顔検出部21は、スルー画像を顔データ記憶部22の顔データと比較することにより、スルー画像中の被写体人物の顔を検出する。
顔表情検出部23は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情データ記憶部24に予め記憶されている所定の顔表情データと比較することにより、スルー画像中の被写体人物の顔表情が笑顔であることを検出する。顔表情検出部23は、更に、笑顔レベルを検出する。すなわち、上記の顔領域の画像の顔表情を顔表情レベルデータ記憶部26に記憶された笑顔レベルデータと比較して、被写体人物の笑顔レベルを検出し、笑顔レベルが大笑いであると判定すると、大笑いを表す検出信号を出力する。
【0032】
自動撮影部27は、この検出信号に応じて、笑顔レベルが大笑いであることが検出された被写体人物の自動撮影を行う。この自動撮影は、撮影条件設定部31によって設定された撮影条件の下で行われる。自動撮影によって得られた被写体画像データは、大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データとともにメモリ16aに記録される。属性データには、撮影モードがパーティーモードであるとの情報を付加してもよい。

(イ)引用発明
上記記載、並びにこの分野における技術常識を考慮し、引用文献1に記載される発明を以下に検討する。

(a)段落0001、0018の記載から、引用文献1には、顔表情レベルを判定する電子スチルカメラが記載されている。

(b)段落0012の記載から、引用文献1の電子スチルカメラは、被写体を撮影する撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13を含むものである。

(c)段落0012、0013の記載から、引用文献1の電子スチルカメラは、撮影された被写体画像が含まれる画像データを入力し、画像中の被写体人物の顔を検出する顔検出部21を含むものである。

(d)段落0016、0017の記載から、引用文献1の電子スチルカメラは、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を、笑顔、泣き顔、怒り顔、驚き顔、寝顔などの様々な種類の顔表情データを記憶している顔表情データ記憶部24に予め記憶されている所定の顔表情データと比較することにより、被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情に対応することを、特開2008-42319号公報に開示されている検出手法を用いることにより検出する顔表情検出部23を含むものである。

(e)段落0018、0019の記載から、引用文献1の電子スチルカメラの顔表情検出部23は、顔表情の検出だけではなく、顔検出部21により検出された顔領域の画像の表情の度合いを顔表情レベルデータ記憶部26に予め記憶されている所定の顔表情レベルデータ(例えば、笑顔であれば、微笑、中位の笑い、大笑いという3段階の笑顔レベルデータ)と比較することにより、顔領域の画像中の被写体人物の顔の表情レベルが所定の顔表情レベルデータのいずれに対応するかを判定するものである。

(f)段落0029の記載から、引用文献1の電子スチルカメラは、メモリ16aに保存された被写体画像の表示を行い、被写体画像に関連する属性情報の表示を行うディスプレイ42を含むものである。
また、段落0031、0032の記載から、引用文献1の電子スチルカメラは、被写体人物の笑顔レベルを検出し、笑顔レベルが大笑いであると判定すると、大笑いを表す検出信号を出力し、被写体画像データを大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データとともにメモリ16aに記録するものである。
ここで、段落0032の記載における大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データは、段落0029の記載の、被写体画像に関連する属性情報であるといえるから、引用文献1の電子スチルカメラは、被写体画像と、大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データの表示を行うディスプレイ42を含むものである。

(g)上記(a)?(f)より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。
なお、a?fについては、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成a」?「構成f」という。)

(引用発明)
「a 被写体を撮影する撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13と、
b 撮影された被写体画像が含まれる画像データを入力し、画像中の被写体人物の顔を検出する顔検出部21と、
c 顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を、笑顔、泣き顔、怒り顔、驚き顔、寝顔などの様々な種類の顔表情データを記憶している顔表情データ記憶部24に予め記憶されている所定の顔表情データと比較することにより、被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情に対応することを、特開2008-42319号公報に開示されている検出手法を用いることにより検出し、
d 顔表情の検出だけではなく、顔検出部21により検出された顔領域の画像の表情の度合いを顔表情レベルデータ記憶部26に予め記憶されている所定の顔表情レベルデータ(例えば、笑顔であれば、微笑、中位の笑い、大笑いという3段階の笑顔レベルデータ)と比較することにより、顔領域の画像中の被写体人物の顔の表情レベルが所定の顔表情レベルデータのいずれに対応するかを判定する顔表情検出部23と、
e 被写体画像と、大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データの表示を行うディスプレイ42と、
f を含むことを特徴とする顔表情レベルを判定する電子スチルカメラ。」

(2)引用文献2について
(ア)引用文献2の記載事項
当審の拒絶理由に、引用文献2として引用された特開2008-42319号公報には、「撮像装置および方法、表情評価装置およびプログラム」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、下線は、説明のために当審にて付したものである。

【0008】
本発明では上記課題を解決するために、固体撮像素子を用いて画像を撮像する撮像装置において、撮像によって得られた画像信号が記録媒体に記録されるまでの期間において、その画像信号から人物の顔を検出する顔検出部と、検出された顔の表情を評価し、特定の表情とそれ以外の表情との間において、前記特定の表情にどれだけ近いかの度合いを示す表情評価値を算出する表情評価部と、算出された前記表情評価値に応じた報知情報を被撮影者に対して報知する報知部とを有することを特徴とする撮像装置が提供される。

【0037】
以下の説明では、表情評価部41は、例として顔の表情が笑顔であるか無表情であるかの度合いを評価するものとする。また、本実施の形態では、特に、その表情評価値に応じた情報を、被撮影者側に表示面を向けたディスプレイ16に表示することで、被撮影者に報知する。図3では、表情評価値に応じた値である「笑顔スコア」を示すバーグラフをディスプレイ16に表示した例を示している。
【0038】
図4は、笑顔スコアを示すバーグラフの動きを説明するための図である。
この図4に示すように、表情評価値は、顔の表情が笑顔である度合いが強いほど高くなり、通常時の表情である度合いが高いほど低くなる。また、バーグラフに示される笑顔スコアは、表情評価値に比例して連続的あるいは段階的に変動する。このバーグラフは、被撮影者側に向けられたディスプレイ16に表示され、被撮影者は撮像時にこのバーグラフをリアルタイムで視認することで、自分の表情が撮像に適した笑顔になっているか否かを認識できる。その結果、バーグラフは、被撮影者に対して撮像に適した表情になるように促し、より良好な画像を撮像できるように撮像動作を補助する機能を果たす。なお、後述するように、表情評価値の低い被撮影者に対して、笑顔を促すような具体的な文字情報などを表示してもよい。

【0054】
本実施の形態では、表情の評価手法として、いわゆる「フィッシャー(Fisher)の線形判別分析」の手法を用いる。この手法では、まず、2つの表情をそれぞれ持つ顔のサンプル画像を事前に多数用意しておき、これらのサンプル画像のデータを基に、2つの表情間の2クラス問題と考えて、線形判別分析(LDA:Linear Discriminant Analysis)によりこれらの2つの表情をよく判別する判別軸A_(d)を事前に形成しておく。そして、表情評価の際には、入力された顔画像のデータと判別軸A_(d)との内積を求めることで、表情評価値を算出する。

(イ)引用文献2技術
上記(ア)より、引用文献2には、以下の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されている。
「撮像装置において、人物の顔を検出し、検出された顔の表情を評価し、特定の表情にどれだけ近いかの度合いを示す表情評価値を算出し、表情評価値に比例して段階的に変動するバーグラフをディスプレイ16に表示するものであり、
2つの表情をそれぞれ持つ顔のサンプル画像を事前に多数用意しておき、これらのサンプル画像のデータを基に、2つの表情間の2クラス問題と考えて、線形判別分析(LDA:Linear Discriminant Analysis)によりこれらの2つの表情をよく判別する判別軸A_(d)を事前に形成し、表情評価の際には、入力された顔画像のデータと判別軸A_(d)との内積を求めることで表情評価値を算出する技術。」

(3)先行技術文献について
(ア)先行技術文献として提示された特許文献2の記載事項
本願の段落0004には、先行技術文献として、2つの特許文献が提示されており、そのうちの特許文献2である国際公開第2012/002047号(以下、「先行文献」という。)には、「属性判定方法、属性判定装置、プログラム、記録媒体および属性判定システム」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。
なお、下線は、説明のために当審にて付したものである。

[0020] つぎに、図1Aのフローチャートに示すように、以下のステップを実施する。まず、画像取得手段111により、判定対象画像を取得する(ステップS11)。
[0021] つぎに、頭部領域検出手段121により、頭部領域の教師データが付与された学習用画像を多数用いて学習することで予め作成した頭部検出モデル141を参照して、前記判定対象画像から頭部領域データを検出する(ステップS21)。具体的には、例えば、図3(a)に示すように、検出したい頭部領域のサイズを指定し、予め作成した頭部検出モデル141を参照して、判定対象画像20の左上端から水平方向に、画像パッチを順に下の行に向かって移動させて探索する、いわゆるラスタスキャンで頭部領域を探索する。これと共に、例えば、図3(b)に示すように、判定対象画像20の取得サイズも変更して頭部領域を探索することで、前記頭部領域のデータを検出する。このようにして、前記頭部領域のデータを検出すれば、頭部領域の位置あわせ(アライメント)も同時に行うことができて好ましい。なお、頭部の検出は、この例には限定されず、例えば、前記判定対象画像中の円形の物体を、頭部領域として検出し、検出された頭部領域を位置合わせ(アライメント)して行ってもよい。前記アラインメントは、例えば、前記演算手段に含まれるアライメント手段(図示せず)により行ってもよい。
[0022] つぎに、属性判定手段122により、属性判定用教師データが付与された頭部領域を多数用いて学習することで予め作成した属性判定モデル142を参照して、前記頭部の画像から属性を判定する(ステップS22)。判定項目としては、例えば、性別、年齢、人種、頭部の角度、髪の毛の長さ、帽子の有無、髪の毛の色、ヘアスタイル、顔の向き、表情、眼鏡やサングラスの有無、マスクの有無、髭の有無等があげられる。判定項目が性別である場合は、例えば、性別度(例えば、0?1)に基づいて判定できる。前記性別度は、頭部領域データを基に算出できる。具体的には、例えば、前記性別度が「0?0.5未満」であれば、「女性」と判定し、前記性別度が「0.5?1」であれば、「男性」と判定する、という基準を設定しておき、算出された性別度の値から性別を判定する。なお、性別度から性別を判定する基準は、この例に限定されず、例えば、前記性別度が「0?0.3」であれば、「女性」と判定し、前記性別度が「0.7?1」であれば、「男性」と判定し、前記性別度が「0.3より大きく0.7未満」であれば、「判定不能」とする、という基準等であってもよい。前記年齢等についても、例えば、所定の基準を設定して、前記頭部領域データを基に算出された値から年齢等を判定する。

(イ)先行技術
上記(ア)より、先行文献には、以下の技術(以下、「先行技術」という。)が記載されている。

「判定対象画像を取得し、前記判定対象画像から頭部領域データを検出し、学習することで予め作成した属性判定モデルを参照して、頭部の画像から性別、年齢、人種等の属性を判定する技術。」

第5 本願発明と引用発明との対比と、一致点・相違点の認定
(1)対比
(ア)構成Aについて
構成aの「撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13」は、被写体を撮影する手段である。
そして、構成bのように、顔検出部21により、「画像中の被写体人物の顔を検出」するものであるから、構成aの被写体には、被写体人物の顔が含まれている。
また、構成dのように、「顔領域の画像中の被写体人物の顔の表情レベルが所定の顔表情レベルデータのいずれに対応するかをを判定する」ものであるから、被写体人物は採点される人物であるといえる。
そうすると、構成aの「撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13」は、
採点される人物の顔を撮影する手段であるといえ、構成Aの「採点対象者の顔画像を撮像する顔画像撮像手段」に相当する。

(イ)構成Bについて
引用発明は、構成Bに相当する構成を有していない。

(ウ)構成Cについて
構成cの「顔検出部21により検出された顔領域の画像」は、構成a及び構成bより、撮影された被写体人物の顔の画像であるから、構成Cの「前記撮像された顔画像」に相当する。
構成cの「予め記憶されている所定の顔表情データ」は、被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情に対応することを検出する際に、比較するために用いる予定の顔表情データであるから、構成Cの「手本画像」に相当する。
構成cの顔表情データの種類は、「笑顔、泣き顔、怒り顔、驚き顔、寝顔など」であるのに対し、構成Cは、「笑顔、真顔、泣き顔、困った顔及び怒った顔」であり、「笑顔、泣き顔及び怒った顔」を含む点で共通する。
構成cの「特開2008-42319号公報に開示されている検出手法」は、引用文献2技術より、「2つの表情をそれぞれ持つ顔のサンプル画像を事前に多数用意しておき、これらのサンプル画像のデータを基に、2つの表情間の2クラス問題と考えて、線形判別分析(LDA:Linear Discriminant Analysis)によりこれらの2つの表情をよく判別する判別軸A_(d)を事前に形成し、表情評価の際には、入力された顔画像のデータと判別軸A_(d)との内積を求めることで表情評価値を算出する」手法であり、多数用意したサンプル画像のデータを基に、線形判別分析により表情を判別する判別軸を形成し、それを用いて入力された新たな画像についての判別を行うものであるから、構成Cのように、「機械学習によって推定する」ものといえる。
構成cは、「被写体人物の顔表情が所定の顔表情に対応することを」検出するものであり、顔表情がどのような表情であるかを推定しているといえるので、構成cは、構成Cの「顔表情推定手段」を有するといえる。
以上より、構成cと構成Cは、「前記撮像された顔画像から顔の表情が笑顔、泣き顔及び怒った顔のいずれかであることを手本画像を用いた機械学習によって推定する顔表情推定手段」である点で共通する。
しかし、推定する顔の表情として、構成Cは「真顔、困った顔」を含むのに対し、構成cはそれらを含まない点で相違する。

(エ)構成Dについて
引用発明は、構成c及び構成dより、『被写体人物の顔表情が所定の顔表情(例えば、笑顔)に対応することを検出し、当該(笑顔の)顔表情について、予め記憶されている所定の顔表情レベルデータ(微笑、中位の笑い、大笑いという3段階の笑顔レベルデータ)と比較することにより、所定の顔表情レベルデータ(3段階の笑顔レベルデータ)のいずれに対応するかを判定する』ものである。
ここで、『被写体人物の顔表情が所定の顔表情(例えば、笑顔)に対応することを検出』することにより得られる顔表情は、顔表情がどのような表情であるかを推定して得られる顔表情であるから、『当該(笑顔の)顔表情』は、構成Dの「前記推定された顔画像の表情」に相当する。
また、構成dの笑顔の例では、予め記憶されている微笑、中位の笑い、大笑いという3段階の笑顔レベルデータと比較することにより、3段階の笑顔レベルデータのいずれに対応するかを判定していることから、構成dは、笑顔のレベルが3段階のうちのどの段階であるかを評価し採点しているものといえる。また、笑顔以外の顔表情においても同様に、レベルが3段階のうちのどの段階であるかを評価し採点していることは明らかである。
したがって、構成dは、構成Dの「前記推定された顔画像の手本画像を基準として3段階以上の点数評価によって採点する顔表情採点手段」に相当する構成を有するものである。

(オ)構成Eについて
構成eの「大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データの表示を行う」ことは、構成dの「顔表情検出部23」で、微笑、中位の笑い、大笑いという3段階の笑顔レベルデータのうち、大笑いという特定の結果を示す属性データを表示することであるが、微笑、中位の笑いの場合に、表示をするか否かについての限定はない。

上記(エ)で検討したように、構成dは、構成Dの「前記推定された顔画像の手本画像を基準として3段階以上の点数評価によって採点する顔表情採点手段」に相当する構成を有するものであるから、構成eの「大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データ」は、構成Eの「採点された結果」のうちの特定の採点された結果に相当する。

そうすると、構成eと構成Eは、「採点された結果のうちの特定の採点された結果を表示する採点結果表示手段」である点で共通する。

しかしながら、採点結果表示手段に関して、本願発明は、「採点された結果を表示する」ものであるのに対し、引用発明は、「大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データ」という特定の採点された結果を表示するものであるが、残りの採点された結果(微笑、中位の笑い)を表示をするか否かについての限定はない点で相違する。

(カ)構成Fについて
構成fの「顔表情レベルを判定する電子スチルカメラ」は、上記(エ)で検討したように、笑顔のレベルが3段階のうちのどの段階であるかを評価し採点している電子スチルカメラといえるので、構成Fの「顔表情採点装置」に相当する。

(2)一致点・相違点
以上をまとめると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
A 採点対象者の顔画像を撮像する顔画像撮像手段と、
C’前記撮像された顔画像から顔の表情が笑顔、泣き顔及び怒った顔のいずれかであることを手本画像を用いた機械学習によって推定する顔表情推定手段と、
D 前記推定された顔画像の表情を、前記推定された顔画像の手本画像を基準として3段階以上の点数評価によって採点する顔表情採点手段と
E’採点された結果のうちの特定の採点された結果を表示する採点結果表示手段と、
F を含むことを特徴とする顔表情採点装置。」

(相違点)
(相違点1)
本願発明は、「前記撮像された顔画像から前記採点対象者の属性である性別、年齢、人種、国籍から選択される少なくとも1つの属性を判定する採点対象者属性判定手段」を含むのに対し、引用発明は、そのような手段を含むものではない点。

(相違点2)
推定する顔の表情として、本願発明は「真顔、困った顔」を含むのに対し、引用発明はそれらを含まない点。

(相違点3)
採点結果表示手段に関して、本願発明は、「採点された結果を表示する」ものであるのに対し、引用発明は、「笑顔レベルが大笑いであると判定すると、大笑いの笑顔が検出された画像データであることを示す属性データ」という特定の採点された結果を表示するものであるが、残りの採点された結果(微笑、中位の笑い)を表示をするか否かについての限定はない点

第6 判断
(1)相違点1について
上記先行技術(第4(3)(イ)参照。)のように、「判定対象画像を取得し、前記判定対象画像から頭部領域データを検出し、学習することで予め作成した属性判定モデルを参照して、頭部の画像から性別、年齢、人種等の属性を判定する技術。」は、本願出願時において周知技術であり、画像中の被写体人物の顔を検出する引用発明に、上記先行技術を適用することにより、「前記撮像された顔画像から前記採点対象者の属性である性別、年齢、人種、国籍から選択される少なくとも1つの属性を判定する採点対象者属性判定手段」を含む構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

よって、相違点1に係る構成は、格別のものではない。

(2)相違点2について
引用発明において、推定する顔の表情として何を採用するかは、ユーザが撮像したいと考える顔表情に基づき当業者が適宜選択すべき事項である。

よって、相違点2に係る構成は、格別のものではない。

(3)相違点3について
上記引用文献2技術(第4(2)(イ)参照。)のように、「撮像装置において、人物の顔を検出し、検出された顔の表情を評価し、特定の表情にどれだけ近いかの度合いを示す表情評価値を算出し、表情評価値に比例して段階的に変動するバーグラフをディスプレイ16に表示する」ことは、本願出願時において周知技術であり、被写体人物の顔の表情レベルが所定の顔表情レベルデータのいずれに対応するかを判定する引用発明に、上記引用文献2技術を適用することにより、判定された全ての採点結果を表示するものとして、採点結果表示手段を「採点された結果を表示する採点結果表示手段」にすることは、当業者が容易になし得ることである。

よって、相違点3に係る構成は、格別のものではない。

(4)相違点についてのまとめ
以上のように、各相違点については、格別のものではなく、また、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2技術、先行技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-14 
結審通知日 2019-11-19 
審決日 2019-12-02 
出願番号 特願2017-153585(P2017-153585)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G10K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀 洋介  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
鳥居 稔
発明の名称 顔表情採点装置、ダンス採点装置、カラオケ装置、およびゲーム装置  
代理人 辻丸 光一郎  
代理人 伊佐治 創  
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