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審決分類 審判 訂正 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 訂正しない H02K
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない H02K
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正しない H02K
管理番号 1359260
審判番号 訂正2019-390098  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-08-22 
確定日 2020-01-20 
事件の表示 特許第5878662号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第5878662号に係る出願は、平成27年5月15日の出願であって、平成28年2月5日に特許権の設定登録がなされた。
請求人池田快堂により令和元年8月22日に、特許請求の範囲について本件の訂正審判の請求がなされ、令和元年9月30日付で訂正拒絶理由が通知され(発送日:令和元年10月3日)、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何等応答がなかった。


2.請求の趣旨及び訂正事項
本訂正審判請求書による訂正は、特許第5878662号の特許請求の範囲を、本訂正審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正事項は以下のとおりである。

訂正前の請求項1の、「駆動軸へ出力ができることを特徴とする変速装置内蔵の回転電機。」を、「駆動軸へ出力ができる回転電機において、電磁石と永久磁石との間の最短距離となる空隙を維持する仕組みとして、駆動軸上に空隙調整車か空隙調整歯車かの少なくとも1つを有する構造を特徴とする変速装置内蔵の回転電機。」に訂正する。


3.訂正拒絶理由
請求項1-3に係る特許に対して令和元年9月30日付で通知した訂正拒絶理由の概要は以下のとおりである。
「2.訂正の適否の判断
特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(特許査定時のもの。なお以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしなければならず(新規事項追加の禁止。特許法第126条第5項。)、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるのものでなければならない(独立特許要件。特許法第126条第7項。)。

(1)訂正により、空隙調整車又は空隙調整歯車の少なくとも1つを採用することによって最短距離となる空隙を維持する仕組みができることとなる。
空隙に関し、明細書等には、
「【図10】図は、駆動軸に貫通され固定子の直径方向にスライドできて、無段変速装置を構成する1つの摩擦車と、界磁磁石と回転子の磁極との空隙を保護するための1つの調整車が配置された構造である変速装置内蔵の回転電機の断面図である。なお、この図の調整車は駆動力伝達盤に当接しない状態で表現されているが、界磁磁石と回転子の磁極との間である空隙が1mmを大きく下回った場合、例えば、50μmの空隙の際には、金属等で製作した摩擦車を常時、駆動力伝達盤に当接させる構造となる。」(【0010】)
「本発明を実施する形態を表した図5?図14及び図16には、駆動軸(150)に設置された調整車(312)か調整歯車(422)かのいずれかが記載してある。調整車(312)や調整歯車(422)は、回転子(120)が外圧等によって、固定子(110)側へ異常接近した場合であっても、磁極間の空隙を保持するのが目的である。しかしながら、図5?図14及び図16で、外圧が摩擦車(310)や歯車(421)や調整車(312)や調整歯車(422)のちょうど真上に加わった場合には、回転体の特性上、作用した点から90°遅れて効果が現れる点が生じるので、実際に空隙の変化を生じるところでは、空隙の変化を防止するものが何も無い状態となる。このため、図17の一例のように調整歯車(422)や調整車(312)を追加しても良い。そのように固定子の磁極と回転子の磁極との空隙を、摩擦車(310)や歯車(421)や調整車(312)や調整歯車(422)によって4ヵ所で保持する仕組みが構成できる場合には、磁極間の空隙を極小で設計することができるので、回転電機のトルクの向上にも寄与できる。」(【0024】)
とあり、調整車・調整歯車が磁極間の空隙を保持すること、固定子と回転子との空隙を摩擦車や歯車や調整車や調整歯車によって4ヵ所で保持すると空隙を極小で設計できることは記載はあるが、極小とは「きわめて小さいこと」であって最短を意味するものではないので、空隙調整車又は空隙調整歯車の少なくとも1つを採用することによって最短距離となる空隙を維持する仕組みができることは明細書等に記載も示唆もないから、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく新規事項を追加するものである。
なお、請求人は請求書「(3)訂正の理由 エ」で訂正の根拠として段落0034を挙げているが、明細書等に段落0034が存在せず、当該記載と同様の記載も明細書等に存在しないから、請求人の上記主張は採用できない。


(2)訂正によって「電磁石と永久磁石との間の最短距離となる空隙を維持する仕組み」としているが、「電磁石」、「永久磁石」はそれぞれ何処に設けられているのか何等特定が無く不明であり、仮に既出のものを意味するとすれば請求項1には「永久磁石や電磁石による界磁磁石を環状に配設して成した固定子」とあるから、固定子の「電磁石」、「永久磁石」が該当し、固定子の「電磁石」、「永久磁石」間に何故空隙が設けられるのか不明であり、又、「最短距離となる空隙」とあるが、請求項1の回転電機に設けられた空隙が何故最短距離であると特定できるのか不明(「短」は相対的な表現であり、例えば1cmは1mより短いが、1cmは1mmより長く、絶対的な値を表すものではない。空隙を調整車等を用いて極小距離にできたとしても、当然にその距離より更に短くすることはできるため、最短距離であるかは特定できない。)であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。」


4.訂正拒絶理由に対する当審の判断
(1)訂正により、空隙調整車又は空隙調整歯車の少なくとも1つを採用することによって最短距離となる空隙を維持する仕組みができることとなる。
空隙に関し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)には、上記した様に【0010】、【0024】には、調整車・調整歯車が磁極間の空隙を保持すること、固定子と回転子との空隙を摩擦車や歯車や調整車や調整歯車によって4ヵ所で保持すると空隙を極小で設計できることは記載はあるが、極小とは「きわめて小さいこと」であって最短を意味するものではないので、空隙調整車又は空隙調整歯車の少なくとも1つを採用することによって最短距離となる空隙を維持する仕組みができることは明細書等に記載も示唆もないから、明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく新規事項を追加するものであり、特許法第126条第5項の規定に適合しない。

(2)訂正によって「電磁石と永久磁石との間の最短距離となる空隙を維持する仕組み」としているが、「電磁石」、「永久磁石」はそれぞれ何処に設けられているのか何等特定が無く不明であり、仮に既出のものを意味するとすれば請求項1には「永久磁石や電磁石による界磁磁石を環状に配設して成した固定子」とあるから、固定子の「電磁石」、「永久磁石」が該当し、固定子の「電磁石」、「永久磁石」間に何故空隙が設けられるのか不明であり、又、「最短距離となる空隙」とあるが、請求項1の回転電機に設けられた空隙が何故最短距離であると特定できるのか不明であるから、特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、特許法第126条第7項の規定に適合しない。


5.むすび
したがって、本訂正審判請求書による訂正は、特許法第126条第5項及び第7項の規定に適合していないので、本訂正審判請求書による訂正は認められない。
 
審理終結日 2019-11-22 
結審通知日 2019-11-27 
審決日 2019-12-10 
出願番号 特願2015-99674(P2015-99674)
審決分類 P 1 41・ 856- Z (H02K)
P 1 41・ 537- Z (H02K)
P 1 41・ 841- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾家 英樹  
特許庁審判長 柿崎 拓
特許庁審判官 窪田 治彦
堀川 一郎
登録日 2016-02-05 
登録番号 特許第5878662号(P5878662)
発明の名称 変速装置内蔵の回転電機  

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