• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1359458
審判番号 不服2019-6814  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-24 
確定日 2020-02-06 
事件の表示 特願2017-131667号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月28日出願公開、特開2017-170211号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年2月27日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2015-38609号の一部を平成29年7月5日に新たな特許出願(特願2017-131667号)としたものであって、平成30年7月24日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年2月21日付け(謄本送達日:同年同月26日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年5月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和1年5月24日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
令和1年5月24日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、平成30年9月28日に提出された手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「複数の図柄が表示された複数のリールと、
前記リールに表示された複数の図柄の一部を表示する図柄表示手段と、
所定の開始条件の成立に基づき、前記リールを回転させることにより前記図柄を変動させる図柄変動手段と、
前記所定の開始条件の成立に基づき、複数の役の中から所定の当籤確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段と、
前記複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出する停止操作検出手段と、
前記内部当籤役決定手段により決定された内部当籤役と前記停止操作検出手段により停止操作が検出されたタイミングとに基づいて、前記リールの回転を停止させることにより前記図柄表示手段に表示されている図柄の変動を停止させるリール停止制御手段と、
外部から光が視認できるように発光する発光体が設けられ、単位遊技ごとに使用する遊技媒体の数を最大に設定する操作がなされるベットボタンと、
前記ベットボタンによる発光演出の実行有無に応じて前記発光体の発光態様を異ならせるよう前記発光体の発光態様を制御する発光制御手段と、を備え、
前記発光体は、少なくとも第1発光態様、第2発光態様、第3発光態様及び第4発光態様を取り得るよう構成され、
前記第1発光態様及び前記第2発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行されない場合の発光態様であり、
前記第3発光態様及び前記第4発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行される場合の発光態様であり、
前記第1発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間、発光し続ける場合の発光態様であり、
前記第2発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第1発光態様である場合に前記単位遊技に使用する遊技媒体の数が最大に設定されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、
前記第3発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態にある場合であって、前記第1発光態様とは異なる発光態様であり、
前記第4発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第3発光態様である場合に前記ベットボタンが操作されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、
前記発光制御手段は、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替えることを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「複数の図柄が表示された複数のリールと、
前記リールに表示された複数の図柄の一部を表示する図柄表示手段と、
所定の開始条件の成立に基づき、前記リールを回転させることにより前記図柄を変動させる図柄変動手段と、
前記所定の開始条件の成立に基づき、複数の役の中から所定の当籤確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段と、
前記複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出する停止操作検出手段と、
前記内部当籤役決定手段により決定された内部当籤役と前記停止操作検出手段により停止操作が検出されたタイミングとに基づいて、前記リールの回転を停止させることにより前記図柄表示手段に表示されている図柄の変動を停止させるリール停止制御手段と、
外部から光が視認できるように発光する発光体が設けられ、単位遊技ごとに使用する遊技媒体の数を最大に設定する操作がなされるベットボタンと、
前記ベットボタンによる発光演出の実行有無に応じて前記発光体の発光態様を異ならせるよう前記発光体の発光態様を制御する発光制御手段と、を備え、
前記発光体は、少なくとも第1発光態様、第2発光態様、第3発光態様及び第4発光態様を取り得るよう構成され、
前記第1発光態様及び前記第2発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行されない場合の発光態様であり、
前記第3発光態様及び前記第4発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行される場合の発光態様であり、
前記第1発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間、発光し続ける場合の発光態様であり、
前記第2発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第1発光態様である場合に前記単位遊技に使用する遊技媒体の数が最大に設定されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、
前記第3発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態にある場合であって、前記第1発光態様とは異なる発光態様であり、
前記第4発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第3発光態様である場合に前記ベットボタンが操作されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、
前記発光制御手段は、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替えることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の補正事項からなる。
本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合」に関して、「前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える」とする補正。

2 本件補正の目的
(1)上記1(2)の補正は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0442】等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合」に、単に「前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える」ものから、「前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える」ものに限定するものである。

(2)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしQは、分説するため合議体が付した。

「A 複数の図柄が表示された複数のリールと、
B 前記リールに表示された複数の図柄の一部を表示する図柄表示手段と、
C 所定の開始条件の成立に基づき、前記リールを回転させることにより前記図柄を変動させる図柄変動手段と、
D 前記所定の開始条件の成立に基づき、複数の役の中から所定の当籤確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段と、
E 前記複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出する停止操作検出手段と、
F 前記内部当籤役決定手段により決定された内部当籤役と前記停止操作検出手段により停止操作が検出されたタイミングとに基づいて、前記リールの回転を停止させることにより前記図柄表示手段に表示されている図柄の変動を停止させるリール停止制御手段と、
G 外部から光が視認できるように発光する発光体が設けられ、単位遊技ごとに使用する遊技媒体の数を最大に設定する操作がなされるベットボタンと、
H 前記ベットボタンによる発光演出の実行有無に応じて前記発光体の発光態様を異ならせるよう前記発光体の発光態様を制御する発光制御手段と、を備え、
I 前記発光体は、少なくとも第1発光態様、第2発光態様、第3発光態様及び第4発光態様を取り得るよう構成され、
J 前記第1発光態様及び前記第2発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行されない場合の発光態様であり、
K 前記第3発光態様及び前記第4発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行される場合の発光態様であり、
L 前記第1発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間、発光し続ける場合の発光態様であり、
M 前記第2発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第1発光態様である場合に前記単位遊技に使用する遊技媒体の数が最大に設定されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、
N 前記第3発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態にある場合であって、前記第1発光態様とは異なる発光態様であり、
O 前記第4発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第3発光態様である場合に前記ベットボタンが操作されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、
P 前記発光制御手段は、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える
Q ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-81147号公報(平成24年4月26日出願公開、以下「引用例」という。)には、遊技台(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために合議体が付した。以下同様。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)、パチンコに代表される遊技台に関する。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技者がベットボタンを操作することを契機とした所定の演出(以下、ベットボタン演出という)が実行され、ベットボタン演出の結果に応じて遊技者に利益を付与するような場合には、ベットボタン演出の結果を遊技者に確実に報知する必要がある。しかしながら、従来においては、ベットボタン演出を実行中に他の遊技操作(例えば、スタートレバー操作など)があると、他の遊技操作に基づく演出を優先し、ベットボタン演出はキャンセルされていた。この場合、遊技者が上記ベットボタン演出の結果を十分に認識できないまま、次の演出が実行されてしまうので、ベットボタン演出の効果は半減されるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、ベットボタンの操作受付を契機として実行されるベットボタン演出において、その後の遊技操作に係わらず、ベットボタン演出の内容を確認でき、ベットボタン演出を楽しむことができる遊技台を提供することを目的とする。
・・・略・・・
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊技台によれば、ベットボタンの操作受付を契機として実行されるベットボタン演出において、その後の遊技操作に係わらず、ベットボタン演出の内容を確認でき、ベットボタン演出を楽しむことができる。」

イ 「【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図である。スロットマシン100は、メダルの投入により遊技が開始され、遊技の結果によりメダルが払い出されるものである。
【0012】
図1に示すスロットマシン100は、本体101と、本体101の正面に取付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101の中央内部には、(図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110?112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
【0013】
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110?112が構成されている。リール110?112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110?112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110?112は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
・・・略・・・
【0017】
ベットボタン130?132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると2枚投入され、ベットボタン132が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン132はMAX(マックス)ベットボタンともいう。本実施形態のベットボタン132は、内部にフルカラー表示が可能な発光体(ベットボタンランプ421)を設けており、後述するベットボタン演出を実行する際には、ベットボタンランプ421の点灯/点滅を行う。なお、遊技メダル投入ランプ129は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
・・・略・・・
【0019】
スタートレバー135は、リール110?112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。すなわち、メダル投入口141に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130?132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110?112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
【0020】
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137?139が設けられている。ストップボタン137?139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110?112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110?112に対応づけてそれぞれ設けられている。以下、ストップボタン137?139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。また、第1停止操作の対象となるリールを第1停止リール、第2停止操作の対象となるリールを第2停止リール、第3停止操作の対象となるリールを第3停止リールという。なお、各ストップボタン137?139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137?139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
・・・略・・・
【0029】
また、基本回路302には、センサ回路320を設けており、CPU304は、割り込み時間ごとに各種センサ318(ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、ベットボタン132センサ(マックスベットボタンセンサ)、メダル投入口141から投入されたメダルのメダル受付センサ、スタートレバー135センサ、ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、ストップボタン139センサ、精算ボタン134センサ、メダル払出装置180から払い出されるメダルのメダル払出センサ、リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、リール112のインデックスセンサ、等)の状態を監視している。
【0030】
なお、センサ回路320がスタートレバーセンサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を乱数発生回路316に出力する。この信号を受信した乱数発生回路316は、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶する。」

ウ 「【0057】
<主制御部メイン処理>
次に、図4を用いて、主制御部300のメイン処理について説明する。なお、同図は、主制御部300のメイン処理の流れを示すフローチャートである。
・・・略・・・
【0060】
ステップS102ではメダル投入・スタート操作受付処理を実行する。ここではメダルの投入の有無をチェックし、メダルの投入に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。また、第1副制御部400に対してメダルが投入されたことを示すメダル投入コマンドを送信する準備を行う。なお、ベットボタン132(マックスベットボタン)が操作された場合には、メダル投入コマンドの一つであるマックスベットボタン受付コマンドを送信する準備が行われる。より詳しくは、本実施形態では、ベットボタン132(マックスベットボタン)が押下された時にはマックスベットボタン受付コマンド1、押下されたベットボタン132(マックスベットボタン)が戻る時にはマックスベットボタン受付コマンド2を送信する準備を行う。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合は、前回の遊技で投入されたメダル枚数と同じ数のメダルを投入する処理を行うので、遊技者によるメダルの投入が不要となる。また、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタート操作されたと判断した場合は、投入されたメダル枚数を確定するとともに、第1副制御部400に対してスタートレバー135が操作されたことを示すスタートレバー受付コマンドを送信する準備を行う。
・・・略・・・
【0064】
ステップS106ではステップS105の内部抽選結果に基づき、リール停止データを選択する。
【0065】
ステップS107では全リール110?112の回転を開始させる。また、このステップS107では、リール110?112が回転開始したことを示すリール回転開始コマンドを第1副制御部400に送信する準備を行う。
【0066】
ステップS108では、リール停止制御処理を行う。リール停止制御処理では、ストップボタン137?139の受け付けが可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリール110?112の何れかをステップS106で選択したリール停止データに基づいて停止させる。全リール110?112が停止するとステップS109へ進む。なお、このステップS108では、各停止操作に対しては停止操作したストップボタン137?139に関する停止受付コマンド(詳しくは、第1停止操作に対しては、第1停止受付コマンド、第2停止操作に対しては、第2停止受付コマンド、第3停止操作に対しては、第3停止受付コマンド)を第1副制御部400に送信する準備を行い、各リールの停止に対しては、リールの停止位置に関するリール停止コマンド(詳しくは、第1停止リールに対しては、第1リール停止コマンド、第2停止操作に対しては、第2リール停止コマンド、第3停止操作に対しては、第3リール停止コマンド)を第1副制御部400に送信する準備を行う。」

エ 「【0085】
<ベットボタン演出>
次に、図6?図12を用いて、本実施形態のベットボタン演出について説明する。ベットボタン演出とは、予め定められた条件(以下、ベットボタン演出実行条件)が成立した場合にベットボタン132(マックスベットボタン)を所定の態様で発光させる演出であり、本実施形態では、3つの演出から構成されている。ここで、予め定められた条件の成立とは、前回遊技においてチェリーに入賞した場合を示し、3つの演出とは、チェリー入賞を契機に実行されるベットボタン演出1と、ベットボタン132の操作を契機に実行されるベットボタン演出2と、スタートレバー135の操作を契機に実行されるベットボタン演出3と、を意味している。なお、ベットボタン演出とは、上述したように、ベットボタン132を用いた演出であるが、演出装置はこれに限定されるものではなく、本実施形態では、ベットボタン132のほか、演出画像表示装置157も用いられる。
【0086】
なお、図6は、ベットボタン演出の実行タイミングを示すタイミングチャート図であり、図7は、ベットボタン演出2の実行期間及びベットボタン演出3の実行開始時期を示すタイミングチャート図である。図8は、ベットボタン演出の流れを主制御部300及び第1副制御部400の各処理と対応付けて示したフロー図、図9(a)は、ベットボタン演出2において第1特典として付与されるナビ報知の開始条件及び終了条件を示す表、図9(b)は、ベットボタン演出の発光態様を示す表である。また、図10(a)は、ベットボタン演出1のLEDデータの構成を示す図、図10(b)は、ベットボタン演出2のLEDデータの構成を示す図、図11は、一遊技においてマックスベット操作からスタートレバー操作、第1?第3停止操作までの各操作を最速に行った場合のベットボタン演出のタイミングチャート図、図12は、ベットボタン演出における演出画像表示装置157の画像例を示す図である。
【0087】
ベットボタン演出1は、図6及び図8に示すように、第1副制御部400がチェリー入賞を示す表示判定コマンドを受信したことを契機として開始され、マックスベットボタン受付コマンド1を受信したことを契機として終了する。すなわち、ベットボタン演出1は、前回遊技の表示判定時から今回遊技のマックスベットボタン操作までの間に行われる演出である。
【0088】
具体的には、ベットボタン演出1は、図9(b)に示すように、ベットボタン132のベットボタンランプ421を赤と青に交互に点灯させる演出となっている。より詳しくは、ベットボタン演出1のLEDデータは、図10(a)に示すように、赤(R)のLEDを0.1秒点灯した後に青(B)のLEDを0.1秒点灯するデータから構成され、このLEDデータを繰り返し実行することにより、ベットボタン演出1が行われるようになっている。この結果、ベットボタン演出1においては、表示判定コマンド受信時からベットボタン132の押下操作時を示すマックスベットボタン受付コマンド1受信時まで、0.1秒ごとに赤と青のランプを交互に点灯する発光演出が行われる。なお、第1副制御部400は、マックスベットボタン受付コマンド1を受信すると、図6及び図8に示すように、ベットボタン132を非点灯とする。
【0089】
ベットボタン演出2は、ベットボタン演出1の終了後に実行される演出であり、図6及び図8に示すように、第1副制御部400がベットボタン132の戻り操作時を示すマックスベットボタン受付コマンド2を受信したことを契機として開始され、遊技情報コマンドを受信したことを契機として終了する。しかしながら、本実施形態においては、ベットボタン演出2の最小実行期間TA(本実施形態では0.7秒間)が担保されているため、ベットボタン演出2を開始してから最小実行期間TAが経過しないと、ベットボタン演出2は終了しない。すなわち、ベットボタン演出2の最小実行期間TA中に遊技情報コマンドを受信したとしても、ベットボタン演出2の実行は継続され、最小実行期間TA経過後にベットボタン演出2は終了する。以上から、ベットボタン演出2は、マックスベットボタン受付コマンド2受信時から、遊技情報コマンドを受信時またはベットボタン演出2の最小実行期間TA経過時のいずれか遅い時まで、つまり、少なくとも最小実行期間TAの間は確実に実行される演出である(この理由については後述する)。
【0090】
なお、ベットボタン演出2の実行開始時期をマックスベットボタン受付コマンド2とした、つまり、ベットボタン132の戻り操作時にベットボタン演出2を実行開始するようにしたのは、以下の理由による。遊技者がベットボタン132を操作しているときには、ベットボタン132は手の下に隠れているため、ベットボタン132押下時からベットボタン演出2を実行開始すると、遊技者はベットボタン演出2のすべてを見ることはできなくなる。そのため、本実施形態では、遊技者がベットボタン132から手を離した瞬間からベットボタン演出2を実行開始するようにし、ベットボタン演出2を最初から視認できるようにしている。
【0091】
ここで、本実施形態のベットボタン演出2の演出態様は、第1特典を付与するか否かを示唆する演出態様となっている。本実施形態における第1特典の付与とは、遊技者に有利な情報(例えば、有利となる操作手順や操作タイミング、または内部当選した入賞役など)を報知するナビ報知を実行する遊技を所定数(本実施形態では20ゲーム)付与することである。なお、第1特典を付与するか否かの抽選処理(以下、第1特典付与抽選処理という)は、図8に示すように、マックスベットボタン受付コマンド2受信時に行われ、本実施形態では、1/3の当選確率となっている。以上から、第1特典であるナビ演出が開始される条件は、図9(a)に示すように、前回遊技でチェリーに入賞し、かつ、今回遊技のマックスベット操作時の第1特典付与抽選処理において当選することである。つまり、第1特典が付与されるためには、図8に示すように、第1条件の成立(チェリー入賞)及び第2条件の成立(第1特典付与抽選において当選)の双方が必要となっている。なお、第1特典であるナビ演出が終了する条件は、図9(a)に示すように、ナビ報知のゲームを20遊技消化した場合、またはボーナス役に内部当選した場合となっている。
【0092】
具体的には、ベットボタン演出2は、図9(b)に示すように、第1特典付与抽選に当選した場合には、ベットボタン132のベットボタンランプ421を赤に点滅させる演出、第1特典付与抽選に当選しなかった場合には、ベットボタン132のベットボタンランプ421を青に点滅させる演出となっている。すなわち、ベットボタン演出2では、ベットボタン132の点灯色を視認することで、第1特典が付与されたか否かを判断可能としている。より詳しくは、ベットボタン演出2の当選時のLEDデータは、図10(b)に示すように、赤のLEDを0.3秒ごとに点灯及び非点灯させるデータ(当選時のベットボタン演出2の演出単位でもある)から構成され、このLEDデータを繰り返し実行することにより、当選時のベットボタン演出2が行われるようになっている。この結果、当選時のベットボタン演出2においては、0.3秒ごとに赤のランプの点灯及び非点灯を行う発光演出が行われる。なお、ベットボタン演出2の非当選時のLEDデータは図示しないが、同様にして、青のLEDを0.3秒ごとに点灯及び非点灯させるデータ(非当選時のベットボタン演出2の演出単位でもある)から構成され、このLEDデータを繰り返し実行することにより、非当選時のベットボタン演出2が行われるようになっている。以上から、本実施形態では、最小実行期間TA(0.7秒)において、ベットボタン演出2の演出単位(0.6秒)が1回は確実に実行されるので、遊技者はベットボタン演出2の演出内容を把握することができる。」

オ 「【図6】



カ 「【図9】



キ ベットボタン演出の発光態様を示す表である図9(b)(上記カ)の記載からみて、ベットボタン132のベットボタンランプ421は、少なくとも「白点滅」、「赤と青を交互に点灯」、「赤点滅」、「青点滅」、「赤点灯」の発光態様となり得るとともに、ベット受付の状態では、ベットボタン132のベットボタンランプ421が「白点滅」であり、ベットボタン演出を実行する場合には、ベットボタンランプ421の「赤と青を交互に点灯」、「赤点滅」、「青点滅」及び「赤点灯」のいずれかを行うことが把握できる。

ク 上記アないしキからみて、引用例には、次の発明が記載されている。なお、aないしqについては本願補正発明のAないしQに対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 外周面に複数種類の図柄が配置された3個のリール110?112(【0012】)と、
b 遊技者から見ると、リール110?112上の図柄が縦方向に概ね3つ表示され合計9つの図柄が見えるようになっている図柄表示窓113(【0013】)と、
c 操作することにより、リール110?112の回転を開始させるスタートレバー135(【0019】)と、
e 回転を開始したリール110?112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110?112に対応づけてそれぞれ設けられているストップボタン137?139(【0020】)と、
g、h 内部にフルカラー表示が可能な発光体を設けており、ベットボタン演出を実行する場合には、ベットボタンランプ421が「赤と青を交互に点灯」、「赤点滅」、「青点滅」及び「赤点灯」のいずれかを行い、押下されると3枚投入されるようになっているMAX(マックス)ベットボタンともいわれるベットボタン132(【0017】、図9(b)、上記キ)と、
を備え、
d スタートレバー135センサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を受信した乱数発生回路316が、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶し(【0029】、【0030】)、
f いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリール110?112の何れかを、内部抽選結果に基づき選択されたリール停止データに基づいて停止させるリール停止制御処理を行い(【0064】、【0066】)、
i ベットボタン132のベットボタンランプ421は、少なくとも「白点滅」、「赤と青を交互に点灯」、「赤点滅」、「青点滅」、「赤点灯」の発光態様となり得(図9(b)、上記キ)、
j、l ベット受付の状態で、ベットボタン132のベットボタンランプ421が「白点滅」であり(図9(b)、上記キ)、
k、n、o、p 前回遊技においてチェリーに入賞した場合にベットボタン132のベットボタンランプ421を赤と青に交互に点灯させるベットボタン演出1を表示判定時から今回遊技のマックスベットボタン操作までの間に実行し(【0087】、【0088】)、
ベットボタン132の押下操作時を示すマックスベットボタン受付コマンド1を第1副制御部400が受信すると、ベットボタン132を非点灯とし(【0088】)、
ベットボタン132の戻り操作時を示すマックスベットボタン受付コマンド2を受信したことを契機として開始され(【0089】)、第1特典付与抽選に当選した場合には、ベットボタン132のベットボタンランプ421を赤に点滅させ、第1特典付与抽選に当選しなかった場合には、ベットボタン132のベットボタンランプ421を青に点滅させるベットボタン演出2を実行する(【0092】)、
q スロットマシン100(【0011】)。」(以下「引用発明」という。)

(3)周知例
ア 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-41730号公報(平成23年3月3日出願公開、以下「周知例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【0088】
図1又は図2に示されたように、本形態のスロット機100は、筐体101と、前面扉102と、図柄の変動表示を行う図柄表示変動ユニット103と、投入される現物メダルの受け入れ及び返還を選択的に行う投入メダル取扱装置104と、クレジット数透視窓167の後方に配置され、遊技者の持ちメダルとしてスロット機100に預入されているメダル(以下、「クレジットメダル」とも称す)の枚数を表示するクレジット数表示装置105(図10参照)と、クレジットメダルを賭けるベット入力装置106と、遊技者が賭けたメダル数(以下、「ベット数」とも称す)を表示するベット数表示装置107と、メダルの精算を行わせるための精算入力装置108と、現物メダルの貯留及び放出を行うホッパ装置109と、メダルの精算時の精算報知やエラー発生時のエラー報知や遊技進行に伴う音系演出報知を行う音響装置110と、スロット機100の動作を制御する主制御基板301(図4も参照)及びサブ制御基板302を含む制御装置と、電源ユニット112の内部に配置され、外部電力に基づいて所定の電圧の内部電力を生成して供給する電源基板300(図10参照)とを備えている。更に、スロット機100は、図柄表示変動ユニット103における図柄変動を開始させるための変動開始入力装置113と、図柄変動を停止させるための変動停止入力装置114と、遊技者が1回の遊技で獲得したメダル(以下、「獲得メダル」とも称す)の枚数を表示する獲得数表示装置115と、通常遊技状態と異なるビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態において残りゲーム数や獲得したメダルの総数等の遊技進行状況を表示する遊技進行表示装置116と、精算報知やエラー報知や遊技進行に伴う光系演出報知を行う発光装置117と、エラー報知や遊技進行に伴う表示系演出報知を行う補助表示装置118と、スロット機を各種のエラー状態から復帰させるためのリセット入力装置119と、電源基板300への外部電力の供給を制御する電源入力装置121と、確率設定の設定値の変更及び確認表示を許可するための設定操作許可装置122と、確率設定の設定値を表示する確率設定表示装置123と、打ち止めに関する遊技形態を変更するための打ち止め変更入力装置124と、自動精算に関する遊技設定を変更するための自動精算変更入力装置125と、を備えている。以下、スロット機100を構成する要素について個別に説明する。」
(イ)「【0125】
ベット入力装置106(図10参照)は、図1又は図3に示されたように、メダルを1枚だけベットする1ベット専用操作部211と、メダルを2枚だけベットする2ベット専用操作部212と、メダルを最大規定数(本形態では3枚)までベットする最大ベット専用操作部213とを備えている。ベット入力装置106は、クレジットメダルを用いてメダルをベットする際に遊技者によって操作される。
・・・略・・・
【0128】
最大ベット専用操作部213は、遊技者によって操作される最大ベットスイッチと、最大ベットスイッチの内部に設けられた最大ベットランプとを備えている。最大ベットスイッチは、前面扉102の前面側に露出するように設けられたボタンスイッチである。最大ベット専用操作部213は、最大ベットスイッチの操作に応じて最大ベット信号を生成する。最大ベットスイッチが操作されると、クレジット数が最大ベット数だけ減少して、中段ライン162a、上段ライン162b及び下段ライン162cと共に右上がりライン162d及び右下がりライン162eも有効化される。最大ベット専用操作部213のLEDランプは、最大ベットスイッチが有効に操作できる状態であってベット数が最大規定数に達していない場合に、遊技者に最大ベットスイッチの操作を促すために点灯される。なお、最大ベットスイッチが有効に操作できない場合としては、例えば、クレジット数が最大規定数未満である場合、既に最大規定数のメダルがベットされている場合、図柄表示変動ユニット103における図柄表示が変動している場合及び再遊技図柄が入賞した次の遊技の場合等が挙げられ、このような場合には、最大ベット専用操作部213のLEDランプは消灯している。」

イ 本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-8876号公報(平成27年1月19日出願公開、以下「周知例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態のスロットマシン10は、メダルを遊技媒体としているが、メダルに限らず、遊技球等であってもよいのはもちろんである。
図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。スロットマシン10は、メイン制御手段50とサブ制御手段80とを備える。」
(イ)「【0027】
図1に示すように、メイン制御手段50の入力側(図1中、左側)には、遊技者が遊技を進行する上で操作する操作スイッチであるベットスイッチ40、スタートスイッチ41、及び3つ(左、中、右)のストップスイッチ42が電気的に接続されている。
また、メイン制御手段50の入力側には、メダルセレクタ43a、第1投入検知センサ43b、第2投入検知センサ43c、払出し検知センサ44、設定キースイッチ45、設定変更スイッチ46、リセットスイッチ47、ドア開閉検知センサ48、及びカバー開閉検知センサ49が電気的に接続されている。
【0028】
ベットスイッチ40は、遊技者が貯留メダルを当該遊技のために投入するときに操作するスイッチである。本実施形態では、いずれの遊技状態においても、3枚のメダルを投入して遊技を行うように設定されている。このため、ベットスイッチ40を操作すると、3枚分の貯留メダルを電気的に投入するとともに、貯留メダルの枚数(クレジット数)から「3」を減算する処理が行われる。なお、これに限らず、メダルの投入枚数は、1枚又は2枚でもよい。そして、1枚ベット用や2枚ベット用のベットスイッチを設けてもよい。」
(ウ)「【0054】
さらに、発光体は、各操作スイッチにそれぞれ対応して設けられており、各操作スイッチの操作が有効の状態か又は無効の状態かを遊技者に示すものである。
本実施形態では、発光体は、カラーLEDによって構成されている。
また、発光体として、ベットスイッチ40に対応して設けられているベット用LED24と、3つ(左、中、右)のストップスイッチ42にそれぞれ対応して設けられている3つ(左、中、右)のストップ用LED25とを備えている。
【0055】
さらにまた、ベット用LED24は、ベットスイッチ40の操作が有効の状態のときは赤色に発光し、ベットスイッチ40の操作が無効の状態のときは消灯する。これにより、ベットスイッチ40の操作が有効の状態か又は無効の状態かを遊技者に示すようにしている。」

ウ 周知例1及び2(上記ア及びイ)の記載事項からみて、
「発光するベットスイッチを備えるスロットマシンにおいて、ベットスイッチの操作が有効の状態か又は無効の状態かを遊技者に示すために、ベットスイッチの操作が有効の状態のとき発光し、操作が無効の状態のとき消灯すること」は本願の遡及日前に周知(以下「周知技術」という。)であると認められる。

(4)対比
ア 本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(q)は、本願補正発明のAないしQに対応させている。

(a)引用発明の「外周面に複数種類の図柄が配置された3個のリール110?112」は、本願補正発明の「複数の図柄が表示された複数のリール」に相当する。

(b)引用発明の「図柄表示窓113」は、遊技者から見ると、リール110?112上の図柄が縦方向に概ね3つ表示され合計9つの図柄が見えるようになっているから、本願補正発明の「前記リールに表示された複数の図柄の一部を表示する図柄表示手段」に相当する。

(c)引用発明の「『スタートレバー135』を『操作すること』」は、本願補正発明の「所定の開始条件の成立」に相当する。また、引用発明は、スタートレバー135を操作すること(所定の開始条件の成立)により、リール110?112の回転を開始させるのであるから、本願補正発明の「C 所定の開始条件の成立に基づき、前記リールを回転させることにより前記図柄を変動させる図柄変動手段」に相当する構成を備えることは明らかである。

(d)引用発明は、スタートレバー135を操作すること(所定の開始条件の成立)により、スタートレバー135センサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を受信した乱数発生回路316が、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶するのであるから、本願補正発明の「D 前記所定の開始条件の成立に基づき、複数の役の中から所定の当籤確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段」に相当する構成を備えることは明らかである。

(e)引用発明において、ストップボタン137?139が、各リール110?112に対応づけてそれぞれ設けられ、回転を開始したリール110?112を個別に停止させるためのものであるから、引用発明は、本願補正発明の「E 前記複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出する停止操作検出手段」に相当する構成を備える。

(f)引用発明において、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリール110?112の何れかを、内部抽選結果に基づき選択されたリール停止データに基づいて停止させるリール停止制御処理を行っており、該リール停止制御処理がストップボタンの押されたタイミングにも基づいていることは技術常識であるから、引用発明は、本願補正発明の「F 前記内部当籤役決定手段により決定された内部当籤役と前記停止操作検出手段により停止操作が検出されたタイミングとに基づいて、前記リールの回転を停止させることにより前記図柄表示手段に表示されている図柄の変動を停止させるリール停止制御手段」に相当する構成を備えることは明らかである。

(g)引用発明の「MAX(マックス)ベットボタンともいわれるベットボタン132」は、内部にフルカラー表示が可能な発光体を設けており、押下されると3枚投入されるようになっており、該「3枚投入」が1ゲーム(単位遊技ごと)に使用するメダル(遊技媒体)の最大数であることが技術常識であるから、本願補正発明の「G 外部から光が視認できるように発光する発光体が設けられ、単位遊技ごとに使用する遊技媒体の数を最大に設定する操作がなされるベットボタン」に相当する。

(h)引用発明は、ベット受付の状態では、ベットボタン132のベットボタンランプ421が「白点滅」であり、ベットボタン演出を実行する場合には、ベットボタンランプ421が「赤と青を交互に点灯」、「赤点滅」、「青点滅」及び「赤点灯」のいずれかを行うものであり、ベットボタン演出を実行有無に応じて、ベットボタンランプ421(発光体)の発光態様が異なるように制御しているといえるから、本願補正発明の「H 前記ベットボタンによる発光演出の実行有無に応じて前記発光体の発光態様を異ならせるよう前記発光体の発光態様を制御する発光制御手段」に相当する構成を備えることは明らかである。

(i)ないし(o)引用発明は、その特定事項iのように、ベットボタン132のベットボタンランプ421は、少なくとも「白点滅」、「赤と青を交互に点灯」、「赤点滅」、「青点滅」、「赤点灯」の発光態様となり得るものであることを前提に、特定事項j、lのように、ベット受付の状態、すなわち他のベットボタン演出がなされない状態で、ベットボタン132のベットボタンランプ421が「白点滅」であるから、該「白点滅」は、本願補正発明の「第1発光態様」に相当する。そうすると、引用発明のj、lと、本願補正発明の「J 前記第1発光態様及び前記第2発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行されない場合の発光態様であり、」とは、「J’前記第1発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行されない場合の発光態様であり、」で一致するとともに、引用発明のj、lと、本願補正発明の「L 前記第1発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間、発光し続ける場合の発光態様であり、」とは、「L’前記第1発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間、発光する発光態様であり、」で一致する。
また、引用発明は、その特定事項k、n、o、pのように、前回遊技においてチェリーに入賞した場合にベットボタン132のベットボタンランプ421を赤と青に交互に点灯させるベットボタン演出1を表示判定時から今回遊技のマックスベットボタン操作までの間に実行し、ベットボタン132の押下操作時を示すマックスベットボタン受付コマンド1を第1副制御部400が受信すると、ベットボタン132を非点灯とし、ベットボタン132の戻り操作時を示すマックスベットボタン受付コマンド2を受信したことを契機として開始され、ベットボタン132のベットボタンランプ421を赤又は青に点滅させるベットボタン演出2を実行するものである。
そうすると、引用発明の「赤と青に交互に点灯させるベットボタン演出1」、「『非点灯』及び『赤又は青に点滅させるベットボタン演出2』」は、それぞれ、本願補正発明の「『第1発光態様とは異なる発光態様』である『第3発光態様』」、「『第3発光態様である場合に前記ベットボタンが操作されたことを契機に切り替えられる発光態様』である『第4発光態様』」に相当する。
そうしてみると、引用発明は、本願補正発明の「K 前記第3発光態様及び前記第4発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行される場合の発光態様であり、」との構成、及び、「O 前記第4発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第3発光態様である場合に前記ベットボタンが操作されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、」との構成を備えることは明らかである。
また、引用発明のk、n、o、pと、本願補正発明の「N 前記第3発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態にある場合であって、前記第1発光態様とは異なる発光態様であり、」とは、「N’前記第3発光態様は、前記第1発光態様とは異なる発光態様であり、」で一致する。
以上を踏まえれば、引用発明のiと、本願補正発明の「I 前記発光体は、少なくとも第1発光態様、第2発光態様、第3発光態様及び第4発光態様を取り得るよう構成され、」とは、「I’前記発光体は、少なくとも第1発光態様、第3発光態様及び第4発光態様を取り得るよう構成され、」で一致するといえる。

(p)引用発明は、その特定事項k、n、o、pのように、赤と青に交互に点灯させるベットボタン演出1(第3発光態様)を実行し、ベットボタン132の押下操作すると、ベットボタン132を非点灯(第4発光態様)とし、ベットボタン132の戻り操作時を契機として、ベットボタン132のベットボタンランプ421を赤又は青に点滅させるベットボタン演出2(第4発光態様)を実行するものであり、ベットボタン演出1(第3発光態様)から「白点滅」(第1発光態様)に切り替えるものではないから、引用発明のk、n、o、pと、本願補正発明の「P 前記発光制御手段は、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える」とは、「P’前記発光制御手段は、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える」点で一致する。

(q)引用発明の「スロットマシン100」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 複数の図柄が表示された複数のリールと、
B 前記リールに表示された複数の図柄の一部を表示する図柄表示手段と、
C 所定の開始条件の成立に基づき、前記リールを回転させることにより前記図柄を変動させる図柄変動手段と、
D 前記所定の開始条件の成立に基づき、複数の役の中から所定の当籤確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段と、
E 前記複数のリールに対応して設けられ、各リールを停止させるための停止操作を検出する停止操作検出手段と、
F 前記内部当籤役決定手段により決定された内部当籤役と前記停止操作検出手段により停止操作が検出されたタイミングとに基づいて、前記リールの回転を停止させることにより前記図柄表示手段に表示されている図柄の変動を停止させるリール停止制御手段と、
G 外部から光が視認できるように発光する発光体が設けられ、単位遊技ごとに使用する遊技媒体の数を最大に設定する操作がなされるベットボタンと、
H 前記ベットボタンによる発光演出の実行有無に応じて前記発光体の発光態様を異ならせるよう前記発光体の発光態様を制御する発光制御手段と、を備え、

I’前記発光体は、少なくとも第1発光態様、第3発光態様及び第4発光態様を取り得るよう構成され、
J’前記第1発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行されない場合の発光態様であり、
K 前記第3発光態様及び前記第4発光態様は、前記ベットボタンによる発光演出が実行される場合の発光態様であり、
L’前記第1発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間、発光する発光態様であり、
N’前記第3発光態様は、前記第1発光態様とは異なる発光態様であり、
O 前記第4発光態様は、前記発光体の発光態様が前記第3発光態様である場合に前記ベットボタンが操作されたことを契機に切り替えられる発光態様であり、
P’前記発光制御手段は、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える
Q 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項I、J、M)
「発光体」が「取り得る」「発光態様」として、
本願補正発明では、「前記発光体の発光態様が前記第1発光態様である場合に前記単位遊技に使用する遊技媒体の数が最大に設定されたことを契機に切り替えられる」「第2発光態様」を有するのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。


・相違点2(特定事項L)
「前記第1発光態様は、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間」、
本願補正発明では、「発光し続ける場合の発光態様」であるのに対し、
引用発明では、白点滅(第1発光態様による発光)をするものの、白点滅(第1発光態様による発光)をし続けるかどうか明らかでない点。

・相違点3(特定事項N)
「前記第3発光態様」は、
本願補正発明では、「前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態にある場合」の発光態様であるのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。

・相違点4(特定事項P)
「前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える」のが、
本願補正発明では、「前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても」切り替えるのに対し、
引用発明では、そのような特定がない点。


(5)判断
ア 第1発光態様について関連するので、相違点1及び2についてまとめて検討する。
(ア)上記(3)イで周知技術として示したように、発光するベットスイッチを備えるスロットマシンにおいて、ベットスイッチの操作が有効の状態か又は無効の状態かを遊技者に示すために、ベットスイッチの操作が有効の状態のとき発光し、操作が無効の状態のとき消灯することは周知である。
そして、該周知技術における「ベットスイッチ」の「発光」、「消灯」は、それぞれ本願補正発明の「第1発光態様」、「第2発光態様」に相当する。特に周知例1の【0128】に「既に最大規定数のメダルがベットされている場合・・・このような場合には、最大ベット専用操作部213のLEDランプは消灯している。」と記載されているように、1ゲーム(単位遊技)に使用する最大規定数のメダル(遊技媒体)がベット(設定)されたことを契機に発光(第1発光態様)から消灯(第2発光態様)に切り替えられることは、遊技機の技術分野において、技術常識である。
(イ)引用発明は、発光するベットスイッチを備えるスロットマシンであり、その発光により、ベットスイッチの操作を遊技者に促すようにする課題を有することはその明示がなくとも自明であるところ、発光するベットスイッチを備えるスロットマシンであるという点で引用発明と共通する周知技術に接した当業者であれば、引用発明において、ベットボタンランプ(発光体)が発光(第1発光態様)している場合に、1ゲーム(単位遊技)に使用するメダル(遊技媒体)の数が最大に設定されたことを契機に、消灯(第2発光態様)するようになすこと、すなわち、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは、周知技術に基づいて適宜なし得たことである。
(ウ)上記(ア)でも示したとおり、周知技術は、ベットスイッチの操作が有効の状態か又は無効の状態かを遊技者に示すために、ベットスイッチの操作が有効の状態のとき発光し、操作が無効の状態のとき消灯するものであることを考慮すれば、引用発明において、操作が有効の状態のときに、その状態を操作者に認識させるために、当該状態中、白点滅(第1発光態様による発光)が継続的になされていること、要するに、白点滅(第1発光態様による発光)し続けることは自明である。そうすると、上記相違点2は実質的な相違点ではない。
(エ)仮に上記相違点2が実質的な相違点だとしても、引用発明において、ベットボタンランプの白点滅(第1発光態様)は、ベット(遊技媒体の数を設定すること)が可能な状態である間、白点滅(発光)し続ける発光態様となし、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。

イ 第3発光態様について関連するので、相違点3及び4についてまとめて検討する。
(ア)引用発明は、その特定事項k、n、o、pにおいて、前回遊技においてチェリーに入賞した場合にベットボタン132のベットボタンランプ421を赤と青に交互に点灯させるベットボタン演出1(第3発光態様)を表示判定時から今回遊技のマックスベットボタン操作までの間に実行するものであるところ、前回遊技におけるチェリー入賞後の今回遊技は、チェリー役が再遊技役ではないというスロットマシンにおける技術常識からみて、例えば再遊技役(リプレイ)のようにベット無し(メダル投入無し)で遊技ができるわけではないから、前述の「表示判定時から今回遊技のマックスベットボタン操作までの間」は、1ゲーム(単位遊技)に使用するメダル(遊技媒体)の数をベット(設定すること)が可能な状態にあることは自明である。そうすると、引用発明において、赤と青に交互に点灯させるベットボタン演出1(第3発光態様)は、「単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態にある場合」の発光態様であるといえるから、上記相違点3は実質的な相違点ではない。
(イ)引用発明は、その特定事項k、n、o、pにおいて、ベットボタンランプ421を赤と青に交互に点灯させるベットボタン演出1(第3発光態様)を実行している際に、ベットボタン132の押下操作すると、ベットボタン132を非点灯(第4発光態様)とし、ベットボタン132の戻り操作を契機としてベットボタンランプ421を赤又は青に点滅させるベットボタン演出2(第4発光態様)を実行するものである。そうすると、上記(ア)で示したように、ベットボタン演出1(第3発光態様)は、「単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態にある場合」の発光態様であるから、ベットボタン演出1(第3発光態様)から非点灯及びベットボタン演出2(第4の発光態様)に切り替えるのが、「単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間」であることは自明である。してみると、上記相違点4は実質的な相違点ではない。
(ウ)仮に上記相違点3及び4が実質的な相違点だとしても、引用発明において、上記相違点3及び4に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者が周知技術に基いて適宜なし得たことである。

ウ 本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

エ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、審判請求書の【請求の理由】において、以下のとおり概略主張している。
「[本願発明が特許されるべき理由]
A.本願の請求項1に係る発明の説明
本願の請求項1に係る発明は、以下の通りです。なお、補正箇所には下線が引いてあります。
[請求項1]
・・・略・・・
(a16)前記発光制御手段は、前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第4発光態様に切り替える場合には、前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替えることを特徴とする遊技機。
・・・略・・・
C.本願発明と引用発明との対比
・・・略・・・
しかしながら、引用文献1には、ベットボタン演出1を実行しているときに、ベットボタンの操作を契機にベットボタン演出2を実行する場合、単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であってもベットボタンランプを白点滅(「第1発光態様」に相当)とすることなくベットボタン演出2を実行することについては、開示も示唆もされていません。このように、引用文献1には、上記構成要件(a16)については、開示も示唆もされていません。
引用文献2には、スロットマシンにおいて、ベットボタンの操作が受け付け可能である場合にベットボタンランプを点灯し、単位遊技に使用する遊技媒体の数が最大に設定され、それ以上のベットが受付不可となると消灯させること、すなわち、本願発明における第1発光態様及び第2発光態様について記載されています。
しかしながら、引用文献2には、ベットボタンによる発光演出が実行される場合の発光態様である第3発光態様及び第4発光態様について開示も示唆もされていません。したがいまして、引用文献2には、ベットボタンによる発光演出が実行される場合に、発光体の発光態様を第3発光態様から第4発光態様に切り替えることについて開示も示唆もされていません。このように、引用文献2には、上記構成要件(a16)については、開示も示唆もされていません。
このように、各引用文献1-2には、上記構成要件(a16)については、開示も示唆もされていないため、本願発明は、引用文献1-2に記載されたものを組合せたとしても、容易に発明をすることができません。」

(イ)上記(4)ア(p)で説示したとおり、引用発明は、ベットボタン演出1から、非点灯又はベットボタン演出2に切り替える際に、ベットボタンランプを白点滅(第1発光態様)にするものではないから、審判請求人の特に「・・・ベットボタンランプを白点滅(「第1発光態様」に相当)とすることなくベットボタン演出2を実行することについては、開示も示唆もされていません。・・・各引用文献1-2には、上記構成要件(a16)については、開示も示唆もされていない」等の主張については採用することができない。

(6)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が、引用例に記載された発明及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年9月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、この出願の平成30年9月28日に提出された手続補正書により補正された請求項1に係る発明が、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


引用文献1.特開2016-29964号公報
引用文献2.特開2011-41730号公報(周知技術を示す文献)

本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

3 引用例
(1)引用例(引用文献1)及び周知技術は、上記第2〔理由〕3(2)及び(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明(上記第2〔理由〕1(1))は、本願補正発明(上記第2〔理由〕3(1))から、「前記発光体の発光態様を前記第3発光態様から前記第1発光態様とすることなく切り替える」ものについて、「前記単位遊技に使用する遊技媒体の数を設定することが可能な状態である間であっても」(上記相違点4)という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記相違点1ないし3でのみ相違するから、本願発明も上記第2〔理由〕3(5)ア及びイで示した理由と同様の理由により、当業者が、引用例に記載された発明及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が、引用例に記載された発明及び周知技術に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-26 
結審通知日 2019-12-03 
審決日 2019-12-16 
出願番号 特願2017-131667(P2017-131667)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安藤 達哉  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 鉄 豊郎
田邉 英治
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人日誠国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ