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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1359508
審判番号 不服2018-14658  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-02 
確定日 2020-02-05 
事件の表示 特願2017-100061「画面共有システム及び画面共有方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月13日出願公開,特開2018-197891〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成29年5月19日の出願であって,同年11月30日付けで審査請求がなされ,同年12月7日付けで拒絶理由通知(同年12月11日発送)がなされ,平成30年2月7日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされ,同年4月26日付けで最後の拒絶理由通知(同年5月1日発送)がなされ,同年7月2日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされたが,同年7月31日付けで前記平成30年7月2日付け手続補正を却下する旨の補正の却下の決定(同年8月2日発送)がなされるとともに,同日付けで拒絶査定(同年8月2日謄本送達)がなされた。
これに対して,「原査定を取り消す。本願の発明は特許すべきものとする、との審決を求める。」ことを請求の趣旨として,平成30年11月2日付けで本件審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,同年12月19日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされたものである。

第2 平成30年11月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成30年11月2日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

ア 本件補正の内容は,平成30年2月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5の記載

「 【請求項1】
第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムであって、
前記第1端末は、利用者から画面共有について指示を受けた場合に、画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し、識別子を受信した後に前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に、前記第1端末に識別子を送信し、前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信した前記画面データを前記第2端末に送信し、
前記第2端末は、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示する、
画面共有システム。
【請求項2】
前記第1端末は、更に、前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面上において利用者が行った操作を示す操作データを前記サーバに送信し、
前記サーバは、更に、前記第1端末から受信した前記操作データを前記第2端末に送信し、
前記第2端末は、更に、前記画面データを表示する画面上において、前記サーバから受信した前記操作データで示される位置に所定のアイコンを表示する、
請求項1に記載の画面共有システム。
【請求項3】
前記画面データは、前記第1端末に表示される画面を動画像として送信するストリーミングデータである、
請求項1又は2に記載の画面共有システム。
【請求項4】
前記第1端末は、前記第1端末と前記サーバとの間の通信速度、及び、前記サーバと前記第2端末との間の通信速度のうち少なくとも一方に基づいて、前記画面データのビットレートを変更する、
請求項3に記載の画面共有システム。
【請求項5】
第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムが実行する画面共有方法であって、
前記第1端末が、利用者から画面共有について指示を受けた場合に、画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し、識別子を受信した後に前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信するステップと、
前記サーバが、前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に、前記第1端末に識別子を送信し、前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信した前記画面データを前記第2端末に送信するステップと、
前記第2端末が、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示するステップと、
を含む画面共有方法。」(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項各項を「補正前の請求項」という。)

を,

「 【請求項1】
第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムであって、
前記第1端末は、利用者から画面共有について指示を受けた場合に、画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し、識別子を受信したことに応答して前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信開始し、
前記サーバは、前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に、前記第1端末に識別子を送信し、前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信を開始している画面データを前記第2端末に送信し、
前記第2端末は、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示する、
画面共有システム。
【請求項2】
前記第1端末は、更に、前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面上において利用者が行った操作を示す操作データを前記サーバに送信し、
前記サーバは、更に、前記第1端末から受信した前記操作データを前記第2端末に送信し、
前記第2端末は、更に、前記画面データを表示する画面上において、前記サーバから受信した前記操作データで示される位置に所定のアイコンを表示する、
請求項1に記載の画面共有システム。
【請求項3】
前記画面データは、前記第1端末に表示される画面を動画像として送信するストリーミングデータである、
請求項1又は2に記載の画面共有システム。
【請求項4】
前記第1端末は、前記第1端末と前記サーバとの間の通信速度、及び、前記サーバと前記第2端末との間の通信速度のうち少なくとも一方に基づいて、前記画面データのビットレートを変更する、
請求項3に記載の画面共有システム。
【請求項5】
第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムが実行する画面共有方法であって、
前記第1端末が、利用者から画面共有について指示を受けた場合に、画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し、識別子を受信したことに応答して前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信開始するステップと、
前記サーバが、前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に、前記第1端末に識別子を送信し、前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信を開始している画面データを前記第2端末に送信するステップと、
前記第2端末が、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示するステップと、
を含む画面共有方法。」(以下,この特許請求の範囲に記載された請求項各項を「補正後の請求項」という。)
(なお,下線は,補正箇所を示すものとして,請求人が付与したものである。)

に補正するものである。

2 補正の適否

本件補正が,特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か,即ち,本件補正が願書に最初に添付された明細書,請求の範囲,及び図面(以下,これを「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でなされたものであるかについて,以下に検討する。

補正後の請求項1は,その記載からして次の事項(a)を含んでいる。

(a)「第1端末は、」「識別子を受信したことに応答して前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信開始」する態様

しかしながら,当初明細書等の段落【0035】?【0036】に,

「【0035】
続いて、利用者端末10の共有制御部102は、識別IDの発行を依頼するメッセージを中継サーバ20に送信する(S102)。続いて、中継サーバ20の識別ID発行部201は、識別IDを発行して利用者端末10に送信する(S103)。利用者端末10の共有制御部102及びUI部101は、受信した識別IDを飲食店用APLの画面に表示することで、利用者に識別IDを通知する(S104)。識別IDは、例えば図7に示すように、ポップアップ画面1003に表示される。利用者がポップアップ画面1003のOKボタンを押下すると、利用者端末10に図8に示す画面が表示される。
【0036】
続いて、利用者端末10の共有制御部102は、飲食店用APLの画面(図8に示す画面)に表示されている内容を含む画面データを中継サーバ20に送信する処理を開始する。中継サーバ20の受信部202は、利用者端末10から送信された画面データを受信する(S105)。なお、飲食店用APLの画面は利用者の操作等に応じて随時変化することから、共有制御部102は、画面データの送信を、画面の共有が終了するまで継続して行う。画面データは、飲食店用APLが生成する画面を動画像として送信するストリーミングデータであってもよい。」
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

と記載されているように,

利用者端末(補正後の請求項1記載の「第1端末」に相当)が,識別ID(補正後の請求項1記載の「識別子」に相当)を受信したことに応答して,
「受信した識別IDを」「ポップアップ」「画面に表示することで、利用者に識別IDを通知」し,
「利用者がポップアップ画面」「のOKボタンを押下すると」,
「続いて、利用者端末」は,「APLの画面」「に表示されている内容を含む画面データを中継サーバ」「に送信する処理を開始する」態様は読み取れるが,

利用者端末が,識別IDを受信したことに応答して,
利用者に受信した識別IDを通知し,利用者にOKボタンを押下させることなしに,
「利用者端末」が,「APLの画面」「に表示されている内容を含む画面データを中継サーバ」「に送信する処理を開始する」態様までは読み取れない。

以上のように,補正後の請求項1に記載された(a)の事項は,当初明細書等に記載されておらず,かつ,その記載から自明なものでもないから,上記(a)の事項を含む本件補正は,出願当初の明細書又は図面に記載した範囲内でしたものではなく,特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 独立特許要件

以上のように,補正前の請求項1についてする補正は,「2 補正の適否」で指摘したとおり,当初明細書等の範囲内でしたものではないので,特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるが,仮に,本件補正が,当初明細書等に記載した範囲内でしたものであると仮定し,かつ,同条第5項第2号の限定的減縮に該当すると仮定した場合に,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下に検討する。

(1)補正後の発明

本件補正発明は,前記「1 本件補正について」において,補正後の請求項1として引用した,次の記載のとおりのものである。

「第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムであって、
前記第1端末は、利用者から画面共有について指示を受けた場合に、画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し、識別子を受信したことに応答して前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信開始し、
前記サーバは、前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に、前記第1端末に識別子を送信し、前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信を開始している画面データを前記第2端末に送信し、
前記第2端末は、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示する、
画面共有システム。」

(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

(2-1)引用文献1

ア 本願の出願前に頒布(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である)され,原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年4月26日付けの拒絶理由通知において引用された刊行物である,特開2017-21801号公報(平成29年1月26日出願公開。以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0006】
本発明は、ウェブページを表示する端末と画面を共有するネットワークシステムおよび画面共有サーバを提供することを目的とする。」

B 「【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のシステムの構成例を示す図である。第1実施形態のシステムは、利用者端末10、画面共有サーバ30、ウェブサーバ40、オペレータ端末50を含む。利用者端末10、画面共有サーバ30、ウェブサーバ40、オペレータ端末50は、それぞれ、ネットワークN1を介して、接続されている。」

C 「【0046】
SQ103では、利用者端末10は、ウェブサーバ40から表示データを受信すると、利用者端末10の表示部に表示データに基づくウェブページのコンテンツの表示画面を表示する。表示画面は、ブラウザの表示画面である。また、利用者端末10は、表示データに含まれるスクリプトに基づいて、画面共有サーバ30に対して、利用者端末10を識別するIDの発番(割り当て)を要求する。
【0047】
SQ104では、画面共有サーバ30のID発番部31は、利用者端末10からIDの発番の要求を受信すると、利用者端末10に対して固有のID(識別情報)を割り当てる。画面共有サーバ30のID発番部31は、割り当てたIDを、利用者端末10のアドレス(IPアドレスなど)、アクセス開始日時、接続先URLと対応付けて、格納部34に格納される利用者管理テーブルT10に格納する。ID発番部31は、発番したIDを、IDを要求した利用者端末10に送信する。利用者端末10は、画面共有サーバ30のID発番部31からIDを受信する。」

D 「【0064】
SQ111では、オペレータ端末50から画面共有要求としてのIDを受信した画面共有サーバ30の画面共有部33は、当該IDを割り当てられている利用者端末10を、利用者管理テーブルT10から抽出する。画面共有部33は、抽出された利用者端末10に、オペレータ端末50によって遠隔操作されること(画面共有されること)を許可するか否かの判断を求めるメッセージを送信する。画面共有サーバ30から当該メッセージを受信した利用者端末10は、当該メッセージを表示部に表示し、利用者に遠隔操作されること許可するか否かを入力させる。利用者端末10は、入力された情報を、画面共有サーバ30に送信する。画面共有サーバ30は、利用者端末10から受信した情報が、遠隔操作されることを許可するものであった場合、SQ106で張ったコネクションを使用して、利用者端末10とオペレータ端末50との間での画面共有を開始する。(中略)
【0065】
また、画面共有では、利用者端末10の表示部に表示される表示画面を、画像としてキャプチャして、キャプチャした画像を、画面共有サーバ30の画面共有部33を介して、オペレータ端末50に送信し、キャプチャした画像をオペレータ端末50の表示部に表示してもよい。」

イ 上記AないしDの記載内容(特に,下線部を参照)からすると,上記引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

ウェブページを表示する端末と画面を共有するネットワークシステムであって,
前記ネットワークシステムは,利用者端末,画面共有サーバ,オペレータ端末を含み,
前記利用者端末,前記画面共有サーバ,前記オペレータ端末は,それぞれ,ネットワークを介して,接続され,
前記利用者端末は,受信した表示データに含まれるスクリプトに基づいて,前記画面共有サーバに対して,前記利用者端末を識別するIDの発番(割り当て)を要求し,
前記画面共有サーバは,前記利用者端末からIDの発番の要求を受信すると,前記利用者端末に対して固有のID(識別情報)を割り当て,発番した前記IDを,当該IDを要求した前記利用者端末に送信し,
前記利用者端末は,前記画面共有サーバから前記IDを受信し,
前記オペレータ端末から画面共有要求としての前記IDを受信した前記画面共有サーバは,当該IDを割り当てられている前記利用者端末に,前記オペレータ端末によって画面共有されることを許可するか否かの判断を求め,
前記利用者端末から受信した情報が,画面共有されることを許可するものであった場合,画面共有を開始し,
前記利用者端末の表示部に表示される表示画面を,画像としてキャプチャして,キャプチャした前記画像を,前記画面共有サーバを介して,前記オペレータ端末に送信し,
キャプチャした前記画像を前記オペレータ端末の表示部に表示する,
ネットワークシステム。

(2-2)引用文献2

ア 本願の出願前に頒布(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である)され,原審の拒絶の査定の理由である上記平成30年4月26日付けの拒絶理由通知において引用された刊行物である,特開2017-4503号公報(平成29年1月5日出願公開。以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

E 「【0001】
本発明は、複数の端末同士を容易に関連付けると共に、関連付けられた端末間におけるウェブページを共有したコミュニケーションを可能とする技術に関する。」

F 「【0053】
顧客が所定のウェブページからコミュニケーション支援装置1にアクセスし、コミュニケーション支援装置1にコミュニケーションIDの発行を要求すると(S101)、顧客端末3からコミュニケーション支援装置1に対して、コミュニケーションIDの発行要求が送信される(S102)。
・・・(中略)・・・
【0055】
顧客は、コミュニケーション支援装置1からコミュニケーションIDの発行を受けると(S105)、ユーザに対し、電話によって口頭でコミュニケーションIDを通知する(S106)。
【0056】
ユーザはユーザ端末2によって、コミュニケーション支援装置1に対し、顧客から聞いたコミュニケーションIDと共に、当該コミュニケーションIDと関連付けられた顧客との間での本サービスの提供開始要求を送信する(S107)。
これに応じてコミュニケーション支援装置1は、当該コミュニケーションIDと関連付けられた顧客端末3を特定した上、ユーザ端末2と、当該特定した顧客端末3とを関連付け、関連付け情報を設定情報記憶部1Cに登録する(S108)。
【0057】
続いて、ユーザ端末2と顧客端末3の関連付け設定がなされた後、共有ウェブページを備えたウェブページがユーザ端末2と顧客端末3上に展開されるまでの処理について、図8を参照して説明する。(以下略)」

イ 上記E及びFの記載内容(特に,下線部を参照)からすると,上記引用文献2には,次の技術が記載されているものと認められる。

複数の端末同士を容易に関連付けると共に,関連付けられた端末間におけるウェブページを共有したコミュニケーションを可能とする技術であって,
顧客がコミュニケーション支援装置にコミュニケーションIDの発行を要求すると,
顧客端末から前記コミュニケーション支援装置に対して,コミュニケーションIDの発行要求が送信され,
顧客は,前記コミュニケーション支援装置からコミュニケーションIDの発行を受けると,ユーザに対し,電話によって口頭で当該コミュニケーションIDを通知し,
ユーザはユーザ端末によって,前記コミュニケーション支援装置に対し,顧客から聞いた前記コミュニケーションIDを送信し,
これに応じて前記コミュニケーション支援装置は,当該コミュニケーションIDと関連付けられた顧客端末を特定した上,前記ユーザ端末と,当該特定した顧客端末とを関連付け,共有ウェブページを備えたウェブページが前記ユーザ端末と前記顧客端末上に展開される技術。

(3)参考文献に記載されている技術的事項

ア 本願の出願前に頒布(又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である)された刊行物である特開2011-100270号公報(平成23年5月19日出願公開。以下,「参考文献」という。)には,図面とともに,以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

G 「【0034】
この実施の形態1では、説明の便宜上、1台の表示元端末1と、N台のクライアント端末3がネットワーク4に接続されているものとする。
このとき、図1において、一番上に記載されているクライアント端末3-1と、一番下に記載されているクライアント端末3-Nとが、表示元端末1により表示されている画面を共有するものとする。
したがって、この場合、クライアント端末3-1,3-N以外のクライアント端末3は、表示元端末1により表示されている画面を共有しないものとして説明する。
【0035】
表示元端末1の画面表示部11が、例えば、組込み機器の現時点の処理状況などをディスプレイに表示しているとき、表示元端末1のユーザが、画面表示部11により表示されている画面を示す画面データの配信を希望する場合、操作受付部12を操作して、画面データの配信希望を要求する。
【0036】
表示元端末1の接続要求処理部14は、操作受付部12が画面データの配信希望を受け付けると(図5のステップST1)、画面共有サーバ情報管理部13により管理されているサーバ情報(例えば、画面共有サーバ2のIPアドレスや受信ポート番号など)を参照して、接続要求の送信先である画面共有サーバ2を特定する。
接続要求処理部14は、接続要求の送信先である画面共有サーバ2を特定すると、ネットワークインタフェース19を介して、接続要求を画面共有サーバ2に送信する(ステップST2)。
なお、接続要求には、表示元端末1の特定情報として、例えば、表示元端末1のIPアドレスや、表示元端末1のIDなどを含んでいるものとする。
【0037】
画面共有サーバ2の接続管理部22は、ネットワークインタフェース21が表示元端末1から送信された接続要求を受信すると(図6のステップST21)、その接続要求に含まれている表示元端末1の特定情報(例えば、表示元端末1のIPアドレス、表示元端末1のID)を表示元端末情報管理部23に出力して、表示元端末1の特定情報を表示元端末情報管理部23に管理させる。
また、接続管理部22は、ネットワークインタフェース21を介して、接続許可を示す応答信号を表示元端末1に送信して、表示元端末1と接続する(ステップST22)。」

H 「【0042】
表示元端末1の接続要求処理部14は、ネットワークインタフェース19が画面共有サーバ2から送信された接続許可を示す応答信号を受信すると(図5のステップST3)、画面取得指令を表示画面取得部15に出力する。
表示元端末1の表示画面取得部15は、接続要求処理部14から画面取得指令を受けると、現在、画面表示部11により表示されている画面を示す画面データを取得する(ステップST4)。
表示元端末1の表示画面送信部16は、表示画面取得部15が画面データを取得すると、ネットワークインタフェース19を介して、その画面データを現在接続中の画面共有サーバ2に送信する(ステップST5)。」

イ 上記G及びHの記載内容(特に,下線部を参照)からすると,上記参考文献には,次の技術が記載されているものと認められる。

表示元端末により表示されている画面を共有する場合に,
前記表示元端末のユーザが,画面表示部により表示されている画面を示す画面データの配信を希望する場合,操作受付部を操作して,画面データの配信希望を要求すると,
接続要求を画面共有サーバに送信し,
前記画面共有サーバは,前記表示元端末から送信された接続要求を受信すると,前記表示元端末の特定情報(例えば、表示元端末のIPアドレス、表示元端末のID)を管理し,接続許可を示す応答信号を前記表示元端末に送信して,前記表示元端末と接続し,
前記表示元端末は,前記画面共有サーバから送信された接続許可を示す応答信号を受信すると,現在、画面表示部により表示されている画面を示す画面データを取得し,その画面データを現在接続中の前記画面共有サーバに送信する技術。

(4)本件補正発明と引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「利用者端末」,「オペレータ端末」,及び「画面共有サーバ」は,それぞれ,本件補正発明の「第1端末」,「第2端末」,及び「サーバ」に相当する。また,引用発明の「画面共有サーバ」は,「前記利用者端末,前記画面共有サーバ,前記オペレータ端末は,それぞれ,ネットワークを介して,接続され」るものであるから,利用者端末及びオペレータ端末と通信するものであると認められる。そして,引用発明の「画面を共有するネットワークシステム」は,画面共有サーバを介して利用者端末とオペレータ端末との間で画面を共有するシステムであるから,本件補正発明の「画面共有システム」に相当するといえる。
してみると,引用発明の「利用者端末,画面共有サーバ,オペレータ端末を含み,」「前記利用者端末,前記画面共有サーバ,前記オペレータ端末は,それぞれ,ネットワークを介して,接続され,」「画面を共有するネットワークシステム」は,“第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システム”である点で本件補正発明と共通する。

(イ)引用発明の「ID」は,利用者端末に対して固有に割り当てられる識別情報であることから,本件補正発明の「識別子」に相当する。また,引用発明の「キャプチャした画像」は,利用者端末の表示部に表示される表示画面をオペレータ端末と共有するためにキャプチャしたものであることから,本件補正発明の「共有されるための画面データ」に相当する。そして,引用発明の「前記利用者端末から受信した情報が,画面共有されることを許可するものであった場合,画面共有を開始し,」「前記利用者端末の表示部に表示される表示画面を,画像としてキャプチャして,キャプチャした前記画像を,前記画面共有サーバを介して,前記オペレータ端末に送信」することは,利用者から画面共有についての指示を受けたことに応答して,利用者端末の表示部に表示される表示画面を,画像としてキャプチャして,キャプチャした前記画像を,オペレータ端末に送信開始することであると認められるところ,「利用者端末の表示部に表示される表示画面」は,利用者端末で実行される画面であるといえる。
してみると,引用発明の「前記利用者端末は,受信した表示データに含まれるスクリプトに基づいて,前記画面共有サーバに対して,前記利用者端末を識別するIDの発番(割り当て)を要求し,」「前記利用者端末は,前記画面共有サーバから前記IDを受信し,」「前記利用者端末から受信した情報が,画面共有されることを許可するものであった場合,画面共有を開始し,」「前記利用者端末の表示部に表示される表示画面を,画像としてキャプチャして,キャプチャした前記画像を,前記画面共有サーバを介して,前記オペレータ端末に送信」することと,本件補正発明の「前記第1端末は、利用者から画面共有について指示を受けた場合に、画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し、識別子を受信したことに応答して前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信開始」することとは,後記する点で相違するものの,“前記第1端末は,画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し,識別子を受信した後に,前記第1端末で実行される画面を共有するための画面データを前記サーバに送信”する点で共通するといえる。

(ウ)引用発明の「前記利用者端末の表示部に表示される表示画面を,画像としてキャプチャして,キャプチャした前記画像を,前記画面共有サーバを介して,前記オペレータ端末に送信」することとは,画面共有サーバが,利用者端末から受信した画像をオペレータ端末に送信することに他ならない。
してみると,引用発明の「前記画面共有サーバは,前記利用者端末からIDの発番の要求を受信すると,前記利用者端末に対して固有のID(識別情報)を割り当て,発番した前記IDを,当該IDを要求した前記利用者端末に送信し」,「前記オペレータ端末から画面共有要求としての前記IDを受信した前記画面共有サーバは,」「画面共有を開始し,」「前記利用者端末の表示部に表示される表示画面を,画像としてキャプチャして,キャプチャした前記画像を,前記画面共有サーバを介して,前記オペレータ端末に送信」することと,本件補正発明の「前記サーバは、前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に、前記第1端末に識別子を送信し、前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信を開始している画面データを前記第2端末に送信」することとは,後記する点で相違するものの“前記サーバは,前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に,前記第1端末に識別子を送信し,前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に,前記第1端末から受信した画面データを前記第2端末に送信”する点で共通するといえる。

(エ)引用発明の「オペレータ端末の表示部に表示」される「キャプチャした前記画像」は,画面共有サーバから送信されてきたものを受信して表示するものである。
してみると,引用発明の「キャプチャした前記画像を前記オペレータ端末の表示部に表示する」ことは,本件補正発明の「前記第2端末は、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示する」することに相当するといえる。

イ 以上から,本件補正発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

(一致点)

第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムであって,
前記第1端末は,画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し,識別子を受信した後に,前記第1端末で実行される画面を共有するための画面データを前記サーバに送信し,
前記サーバは,前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に,前記第1端末に識別子を送信し,前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に,前記第1端末から受信した前記画面データを前記第2端末に送信し,
前記第2端末は、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示する,
画面共有システム。

(相違点1)

識別子の発行に関して,本件補正発明は,「利用者から画面共有について指示を受けた場合」に要求するものであるのに対し,引用発明は,「受信した表示データに含まれるスクリプトに基づいて」要求するものである点。

(相違点2)

利用者の端末からサーバに画像を送信するタイミングに関して,本件補正発明は,「第1端末」が「識別子を受信したことに応答して」「共有するための画面データを前記サーバに送信開始」するものであるのに対し,引用発明は,利用者端末がIDを受信した後でキャプチャした画像を送信するものであるが,IDを受信したことに応じてキャプチャ画像を送信するものであるとは明記されていない点。

(相違点3)

本件補正発明は,サーバが「第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から」受信した場合に,「前記第1端末から受信を開始している画面データ」を即時に前記第2端末に送信できるものであるのに対し,引用発明は,画面共有サーバが利用者端末に送信したIDと同一のIDをオペレータ端末から受信した場合に,画面共有を開始し,利用者端末の表示画面をキャプチャして,画面共有サーバを介してオペレータ端末に送信するものである点。

(相違点4)

送信する画面データに関して,本件補正発明は,「第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面」であるのに対し,引用発明は,利用者端末で受信したウェブページの表示画面である点。


(5)当審の判断

ア 上記相違点1ないし相違点4について検討する。

(ア)相違点1について

上記引用文献2にも記載されるように,複数の端末間で画面を共有する技術分野において,画面共有の必要性が生じた段階で,画面共有の際に必要となるIDの発行を要求することは,当該技術分野において,従来から普通に採用している周知技術に他ならない。

してみると,引用発明と引用文献2記載の技術とは,いずれも,発行されたIDを用いて複数の端末間でウェブページ画面を共有する技術である点で共通していることから,引用発明において,受信した表示データに含まれるスクリプトに基づいてIDの発番を要求することに替えて,利用者の要求に応じて,サーバにIDの発番を要求するような構成とすること,すなわち上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

よって,相違点1は格別なものではない。

(イ)相違点2及び相違点3について

上記参考文献にも記載されるように,複数の端末間で画面を共有する技術分野において,画面共有サーバに接続要求を送信し,接続許可を示す応答信号を受信することに応答して,画面表示部に表示されている画面データを画面共有サーバに送信開始する技術は,本願の出願日前に周知技術であった。
また,複数の端末間でサーバを介してデータを送信する際に,送信先の端末からデータ送信の要求があった時点で送信元からサーバにデータを転送するか,送信先からデータ送信の要求がある前に予めサーバにデータを送信しておくかについては,サーバのメモリ容量やデータ送信の即時性の有無等により,設計者が必要に応じて適宜選択し得る設計的事項に過ぎない。

してみると,引用発明と参考文献記載の技術とは,いずれも,複数の端末間で画面共有サーバを介して画面を共有する技術である点で共通していることから,引用発明において,オペレータ端末からの要求に応じて,利用者端末から画面共有サーバに画像データを送信開始することに替えて,画面共有サーバからIDを受信したことに応じて画面共有サーバに画像データを送信開始する構成とし,サーバがオペレータ端末から画面共有の要求を受けた場合に,利用者端末から受信を開始しているキャプチャ画像を,即時にオペレータ端末に送信するよう構成すること,すなわち上記相違点2及び相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

よって,相違点2及び相違点3は格別なものではない。

(ウ)相違点4について

引用発明は,本件補正発明と同様に,複数の端末間で,コミュニケーションを円滑にするために画面共有を行おうとするものであり,送信元の端末の画面に表示されている画面データを,サーバを介して送信先の端末に送信している点で共通している。
そして,本願の詳細な説明の段落【0005】に「本発明は、端末の画面に表示されている内容を他の端末に共有することを可能にする技術を提供することを目的とする」と記載されていることを参酌すると,送信される画面のデータが,アプリケーションの画面であるか,ウェブページの画面であるか,という点については,実質的な相違点とは言えないものである。

よって,相違点4は格別なものではない。

イ 小括

上記で検討したごとく,相違点1ないし相違点4は,いずれも格別のものではなく,そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,上記引用発明,上記引用文献2記載の技術,及び上記参考文献記載の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

したがって,本件補正発明は,上記引用発明,上記引用文献2記載の技術,及び上記参考文献記載の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび

以上のとおり,本件補正は,上記「2 補正の適否」で指摘したとおり,当初明細書等に記載した範囲内でしたものではなく,特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

また,仮に,本件補正が,当初明細書等に記載した範囲内においてなされたものであると仮定し,かつ,特許法第17条の2第5項第2号の限定的減縮に該当すると仮定した場合であっても,上記「3 独立特許要件」で指摘したとおり,補正後の請求項1に記載された発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明の認定

平成30年11月2日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成30年2月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。

「第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムであって、
前記第1端末は、利用者から画面共有について指示を受けた場合に、画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し、識別子を受信した後に前記第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面を共有するための画面データを前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に、前記第1端末に識別子を送信し、前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信した前記画面データを前記第2端末に送信し、
前記第2端末は、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示する、
画面共有システム」

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:特開2017-021801号公報
引用文献2:特開2017-004503号公報

3 引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

原査定の拒絶の理由に引用された,引用文献およびその記載事項は,前記「第2 平成30年11月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定」に記載したとおりである。

4 対比・判断

ア 本願発明は,前記「第2 平成30年11月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」で検討した

本件補正発明の「第1端末」について,
本件補正発明の「識別子を受信したことに応答して」「画面データを前記サーバに送信開始」するとの記載を,本願発明の「識別子を受信した後に」「画面データを前記サーバに送信」するとの記載に変更し,
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

本件補正発明の「サーバ」について,
本件補正発明の「同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信を開始している画面データを前記第2端末に送信」するとの記載を,本願発明の「同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に、前記第1端末から受信した画面データを前記第2端末に送信」するとの記載に変更したものである。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

イ そうすると,前記「第2 平成30年11月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(4)本件補正発明と引用発明との対比」における検討内容を踏まえると,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,また,以下の点で相違する。

(一致点)

第1端末と、第2端末と、前記第1端末及び前記第2端末と通信するサーバとを有する画面共有システムであって,
前記第1端末は,画面データを送信する前に前記サーバに対して識別子の発行を要求し,識別子を受信した後に,利用者から画面共有について指示を受けた場合に,前記第1端末で実行される画面を共有するための画面データを前記サーバに送信し,
前記サーバは,前記第1端末から識別子の発行の要求を受けた場合に,前記第1端末に識別子を送信し,前記第1端末に送信した識別子と同一の識別子を前記第2端末から受信した場合に,前記第1端末から受信した前記画面データを前記第2端末に送信し,
前記第2端末は、前記サーバから受信した前記画面データを画面に表示する,
画面共有システム。

(相違点a)

識別子の発行に関して,本件補正発明は,「利用者から画面共有について指示を受けた場合」にサーバに対して要求するものであるのに対し,引用発明は,「受信した表示データに含まれるスクリプトに基づいて」画面共有サーバに要求するものである点。

(相違点b)

送信する画面データに関して,本件補正発明は,「第1端末で実行される特定のアプリケーションの画面」であるのに対し,引用発明は,利用者端末で受信したウェブページの表示画面である点。

ウ そして,上記相違点a及び相違点bは,それぞれ,前記「第2 平成30年11月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(4)本件補正発明と引用発明との対比」における,相違点1及び相違点4と同じであることから,「第2 平成30年11月2日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3 独立特許要件」の「(5)当審の判断」で検討したように,相違点a及び相違点bは,いずれも格別のものではなく,本願発明は,上記引用発明及び上記引用文献2記載の技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-12-03 
結審通知日 2019-12-04 
審決日 2019-12-17 
出願番号 特願2017-100061(P2017-100061)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北川 純次  
特許庁審判長 仲間 晃
特許庁審判官 田中 秀人
松平 英
発明の名称 画面共有システム及び画面共有方法  
代理人 江口 昭彦  
代理人 大貫 敏史  
代理人 内藤 和彦  
代理人 伊藤 健太郎  
代理人 稲葉 良幸  

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