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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  B29C
審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B29C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B29C
管理番号 1359523
異議申立番号 異議2019-700255  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-03 
確定日 2019-12-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6399165号発明「立体造形用樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6399165号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-18〕について、訂正することを認める。 特許第6399165号の請求項1ないし18に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6399165号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?18に係る特許についての出願は、平成29年7月14日(優先日 平成28年7月22日、平成29年3月14日、平成29年6月6日)の出願であって、平成30年9月14日にその特許権の設定登録がされ、同年10月3日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その特許に対し、平成31年4月3日に特許異議申立人 エボニック デグサ ゲーエムベーハー(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和1年6月12日付けで取消理由が通知され、同年8月13日に特許権者 株式会社リコーより意見書の提出及び訂正の請求(以下、当該訂正の請求を「本件訂正請求」という。)がなされ、その訂正の請求に対して、同年10月16日に特許異議申立人から意見書の提出がなされたものである。


第2 訂正の許否についての判断

1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「柱体の粒子を含み、
前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、
50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末。」
とあるのを、
「柱体の粒子(ただし、柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のものを除く。)を含み、
前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、
50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、
平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末。」
に訂正する。
併せて、訂正前の請求項1を引用する請求項2ないし18についても、その引用部分について同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項13に
「平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である請求項1から12のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。」
とあるのを、
「平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.85?0.89である請求項1から12のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。」
に訂正する。
併せて、訂正前の請求項13を引用する請求項14ないし18についても、その引用部分について同様に訂正する。

(3)訂正事項3
明細書の段落【0007】に「2.00以下である。」と記載されているのを、「2.00以下であり、平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である。」に訂正する。

(4)訂正事項4
明細書の段落【0010】に、「2.00以下であり、更に」と記載されているのを、「2.00以下であり、平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であり、更に」に訂正する。

(5)訂正事項5
明細書の段落【0026】に、「0.7以上0.98以下が好ましく、」と記載されているのを、「0.83以上であり、」に訂正する。

(6)訂正事項6
明細書の段落【0053】を削除する。

(7)訂正事項7
明細書の段落【0092】から【0098】、【0104】、【0109】から【0120】、【0122】、【0124】から【0127】、【0129】から【0132】、【0135】、【0137】から【0145】、【0147】、【0149】から【0153】にそれぞれ「実施例」と記載されているのを、「参考例」に訂正する。

(8)訂正事項8
明細書の段落【0128】を削除する。

(9)訂正事項9
明細書の段落【0137】の【表4】において「比較例8」の欄を削除する。

なお、本件訂正請求における請求項1、13に係る訂正は、一群の請求項〔1?18〕に対して請求されたものである。また、本件訂正請求における明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1?18〕について請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
ア 請求項1に係る訂正のうち、
「柱体の粒子を含み、」

「柱体の粒子(ただし、柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のものを除く。)を含み、」
に変更する訂正事項は、柱体の粒子のうち、「柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のもの」を除くことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、柱体の粒子のうち、「柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のもの」を除くことにより、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項に対し、何ら新たな技術的事項を取り込むものではないから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

イ 請求項1に係る訂正のうち、
「体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末」

「体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末」
に変更する訂正事項は、立体造形用樹脂粉末について、さらに、「平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」ことを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0026】の、「前記立体造形用樹脂粉末の平均円形度としては、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.7以上0.98以下が好ましく、0.83以上0.98以下がより好ましい。」との記載から、請求項1に係る当該訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。

ウ 請求項1の記載を引用する請求項2乃至18も同様である。

(2)訂正事項2について
請求項13を
「平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である請求項1から12のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。」
とあるのを、
「平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.85?0.89である請求項1から12のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。」
にする訂正は、立体造形用樹脂粉末の0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲における平均円形度を、「0.83以上」から「0.85?0.89」にするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、明細書の段落【0146】の【表5】、


との記載から、請求項1に係る当該訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないと認められる。
そして、請求項13の記載を引用する請求項14乃至18も同様である。

(3)訂正事項3、4、5、7について
段落【0007】、【0010】、【0026】、【0092】から【0098】、【0104】、【0109】から【0120】、【0122】、【0124】から【0127】、【0129】から【0132】、【0135】、【0137】から【0145】、【0147】、【0149】から【0153】の訂正は、上記(1)、(2)の特許請求の範囲の訂正に伴い明細書の記載を特許請求の範囲に整合させるためのものである。そうすると、段落【0007】、【0010】、【0026】、【0092】から【0098】、【0104】、【0109】から【0120】、【0122】、【0124】から【0127】、【0129】から【0132】、【0135】、【0137】から【0145】、【0147】、【0149】から【0153】の訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(4)訂正事項6、8、9について
段落【0053】及び【0128】を削除する訂正、並びに、【0137】の【表4】から比較例4の欄を削除する訂正は、立体造形用樹脂粉末に任意で添加できるファイバーフィラーについての記載及び比較例4を削除するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正である。そして、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?18〕について訂正することを認める。


第3 本件発明

請求項1?18に係る発明(以下「本件発明1」?「本件発明18」という。)は、訂正請求書に添付された、訂正特許請求の範囲の請求項1?18に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
柱体の粒子(ただし、柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のものを除く。)を含み、
前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、
50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、
平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末。
【請求項2】
前記粒子が略円柱体であり、前記略円柱体の底面における直径が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下であるか、又は
前記粒子が直方体であり、前記直方体の底面における各辺が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下である請求項1に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項3】
体積平均粒径/個数平均粒径(Mv/Mn)が、1.30以下である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項4】
比重が、0.8g/mL以上である請求項1から3のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項5】
前記底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.7倍以上2倍以下である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項6】
ISO 3146に準拠して測定したときの融点が、100℃以上である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項7】
下記(1)?(3)から選択される少なくとも1種を満たす請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
(1)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf2としたときに、Tmf1>Tmf2となり、かつ(Tmf1-Tmf2)≧3℃となる。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から-15mW下がった時点での温度である。
(2)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd2としたときに、Cd1>Cd2となり、かつ(Cd1-Cd2)≧3%となる。
(3)X線回折測定により得られる結晶化度をCx1とし、窒素雰囲気下10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温し、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときのX線回折測定により得られる結晶化度をCx2としたときに、Cx1>Cx2となり、かつ(Cx1-Cx2)≧3%となる。
【請求項8】
前記50%累積体積粒径が、20μm以上70μm以下である請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項9】
ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリアセタール、ポリイミド、及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1から8のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項10】
前記ポリアミドが、ポリアミド410、ポリアミド4T、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド9T、ポリアミド10T、及びアラミドから選択される少なくとも1種である請求項9に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項11】
前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ乳酸から選択される少なくとも1種である請求項9から10のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項12】
前記ポリアリールケトンが、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、及びポリエーテルケトンケトンから選択される少なくとも1種である請求項9から11のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項13】
平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.85?0.89である請求項1から12のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項14】
強化剤をさらに含む請求項1から13のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項15】
難燃剤をさらに含む請求項1から14のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項16】
前記柱体の粒子の含有量が、30質量%以上である請求項1から15のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末が貯蔵されている供給槽と、
前記立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する層形成手段と、
前記層の選択された領域内の樹脂粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
【請求項18】
請求項1から16のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する成膜工程と、
前記成膜された膜に電磁照射し、溶融させた後に冷却後硬化する硬化工程とを繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。」


第4 特許異議申立人が主張する特許異議申立理由について

特許異議申立人が特許異議申立書において、訂正前の請求項1?18に係る特許に対して申し立てた特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

理由1(新規性) 本件特許の訂正前の請求項1?6、8?12、14、15、17、18に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

理由2(進歩性) 本件特許の請求項1?18に係る特許は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証?甲第4号証および甲第6号証に記載された技術的事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

・甲第1号証:国際公開第2013/138204号
・甲第2号証:特表2015-500375号公報
・甲第3号証:国際公開第2016/084928号
・甲第4号証:特開2006-321711号公報
・甲第6号証:化学大辞典編集委員会編、「化学大辞典 8」
(縮刷版第39刷)、共立出版株式会社、2006年
9月15日、p.731?733

理由3(拡大先願) 本件特許の請求項1?6、8?12、14?16に係る特許は、甲第5号証に係る出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であって、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

・甲第5号証:特願2017-565308号
(特表2018-523718号公報)

理由4(サポート要件) 本件特許の請求項1?18についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

そして、理由4の具体的理由の概略は次のとおりである。

実施例で具体的に効果が確認されているもの以外の部分について、明細書の発明の詳細な説明を見ても、発明の課題を解決することを当業者が認識できる程度に記載がされていないから、本件特許の請求項1?18に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないというものである。


第5 取消理由通知に記載した取消理由について

1 取消理由の概要

訂正前の請求項1?18に係る特許に対して、当審が令和1年6月12日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。(なお、異議申立理由はいずれも、取消理由に包含されている。)

理由1(新規性) 本件特許の訂正前の請求項1?6、8?12、14?18に係る発明は、引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

理由2(進歩性) 本件特許の請求項1?18に係る特許は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された技術的事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

・引用文献1:国際公開第2013/138204号 (甲第1号証)
・引用文献2:特表2015-500375号公報 (甲第2号証)
・引用文献3:国際公開第2016/084928号 (甲第3号証)
・引用文献4:特開2006-321711号公報 (甲第4号証)
・引用文献5:化学大辞典編集委員会編、「化学大辞典 8」
(縮刷版第39刷)、共立出版株式会社、2006年
9月15日、p.731?733 (甲第6号証)

理由3(拡大先願) 本件特許の請求項1?6、8?12、14?16に係る特許は、先願6に係る出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であって、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。

・先願6:特願2017-565308号
(特表2018-523718号公報) (甲第5号証)

理由4(サポート要件) 本件特許の請求項1?18についての特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

そして、その具体的理由は概略次のとおり。

本件特許発明により解決すべき課題は、明細書全体の記載からみるに、明細書の段落【0006】に記載されているように、「リサイクル性に優れ、粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の引張強度を向上するとともに、オレンジピール性を良好にし、複雑かつ精細な立体造形物を簡便かつ効率よく製造することができる立体造形用樹脂粉末を提供すること」である。
この課題を解決するための発明として、請求項1には、柱体の粒子を含む立体造形用樹脂粉末において、「柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下」であり、「50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下」であり、かつ「体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下である」ことが特定されている。
これらの特定事項に関し、明細書の段落【0013】には、
「<粒子>
前記粒子の形状としては、柱体であり、前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、0.7倍以上2倍以下が好ましく、0.8倍以上1.5倍以下がより好ましい。」、
段落【0041】には、
「前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径としては、5μm以上200μm以下であり、寸法安定性の点から、20μm以上70μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましい。また、前記粉末の体積平均粒径/個数平均粒径(Mv/Mn)は、造形精度向上の観点で、2.00以下であり、1.50以下が好ましく、1.30以下がより好ましく、1.20以下が特に好ましい。なお、前記50%累積体積粒径や前記Mv/Mnは、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。」、
との記載があるものの、実施例において具体的に効果が確認されているのは、「柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比」が、0.75?1であり、「50%累積体積粒径」が12μm?68μmであり、かつ「体積平均粒径/個数平均粒径」が1.11?1.28と、極めて限られた範囲のものにすぎない。さらに、比較例8については、請求項1の特定事項を全て満たすにもかかわらず、表面粗さが大きくなり、オレンジピール性の評価が「×」とされている。
以上の記載から見るに、段落【0013】、【0041】他の記載はあるものの、明細書全体を通じてみても、請求項1の特定事項を満たす場合であっても、実施例で具体的に効果が確認されている条件から外れる部分が、課題を解決する範囲に入るものなのか、当業者にとって不明であるといわざるを得ない。
してみると、本件特許の請求項1?18に係る発明のうち、実施例で具体的にあげられている条件を満たすもの以外の部分については、発明の詳細な説明には、当業者が課題を解決できると認識できる程度に記載されているものとはいえないから、本願の請求項1?18に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

2 取消理由についての検討

上記の取消理由について順次検討する。

(1)理由1(新規性)、理由2(進歩性)について

ア 引用文献1の記載事項及び引用文献1に記載された発明について

引用文献1には次の事項が記載されている。(当審仮訳をあわせて示す。)

「Claims
[1] A consumable micro-pellet for use in a powder-based additive manufacturing system, the consumable micro-pellet characterized by a core portion extending along a longitudinal length of the consumable micro-pellet, the core portion compositionally comprising a first thermoplastic material and a shell portion extending along the longitudinal length of the consumable micro-pellet and at least partially encasing the core portion, the shell portion compositionally comprising a second thermoplastic material that is different from the first thermoplastic material, characterized by the consumable micro-pellet having an average cross-sectional diameter ranging from 10 microns to 250 microns, an average ratio between the length of the micro-pellet and the diameter of the micro-pellet that ranging from 1 :2 to 3: 1 , and further characterized by the consumable micro-pellet being configured to be melted and used to form a plurality of solidified layers of a three-dimensional object, the layers at least partially retaining cross-sectional profiles corresponding to the core portion and the shell portion of the consumable micro-pellets.
[2] A consumable micro-pellet of one of the preceding claims further characterized by the first thermoplastic material being a first semi-crystalline polymeric material selected from a group of semi-crystalline polymers consisting of polyamides, polyethylenes, including low-density polyethylene, medium-density polyethylene and high density polyethylene, polypropylenes, including isotactic polypropylenes, syndiotactic polypropylenes, branched and linear variations thereof.polyetheretherketones, olyoxymethylene acetals, polytetrafluo- roethylenes, polypheneylene sulfides, polybutylene terephthalates, copolymers thereof, and combinations thereof and the second thermoplastic material characterized by being a second semi-crystalline polymeric material selected from the same group of semi-crystalline polymers.
[3] A consumable micro-pellet of one of the preceding claims further characterized by the first thermoplastic material being a first polvamide material selected from a group of polyamide polymers consisting of aliphatic nylon polyamides, such as nylon 6, nylon 6-6, nylon 6-10, nylon 6-12, nylon 10, nylon 10-10, nylon 11, nylon 12, copolymers thereof and combinations thereof, and the second thermoplastic material characterized by being a second polyamide material polymeric material selected from the same group of polyamide polymers.
[4] A consumable micro-pellet of one of the preceding claims further characterized by at least one of the thermoplastic materials having one or more additives, modifiers or common plastic reinforcement materials incorporated to modify the mechanical, electrical, magnetic, thermodynamic, processing, aesthetic or bio- compatibility properties of the base polymers.」
([請求項1] 粉末系付加製造システムにおいて使用するための消耗性マイクロペレットであって、前記消耗性マイクロペレットは、コア部分が、前記消耗性マイクロペレットの長軸方向に沿って延在し、ここで、前記コア部分は、第一の熱可塑性材料を組成的に含んでおり、かつシェル部分が、前記消耗性マイクロペレットの長軸方向に沿って延在し、かつ少なくとも部分的に前記コア部分を包み、ここで、前記シェル部分は、第一の熱可塑性材料とは異なる第二の熱可塑性材料を組成的に含んでいることを特徴とし、前記消耗性マイクロペレットが、10ミクロン?250ミクロンの範囲の平均断面直径を有し、前記マイクロペレットの長さと前記マイクロペレットの直径との平均比が、1:2?3:1の範囲であることを特徴とし、かつ前記消耗性マイクロペレットが、三次元物体の複数の凝固した層を形成するために溶融及び使用されるように構成され、前記層が、前記消耗性マイクロペレットのコア部分及びシェル部分に対応する断面プロファイルを少なくとも部分的に保持することをさらに特徴とする、消耗性マイクロペレット。
[請求項2] 第一の熱可塑性材料が、ポリアミド、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含めたポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、それらの分岐及び線状変形物を含めたポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレート、それらのコポリマー、及びそれらの組合せからなる半結晶性ポリマーの群から選択される第一の半結晶性ポリマー系材料であり、かつ第二の熱可塑性材料が、半結晶性ポリマーの同じ群から選択される第二の半結晶性ポリマー材料であることをさらに特徴とする、請求項1に記載の消耗性マイクロペレット。
[請求項3] 第一の熱可塑性材料が、脂肪族ナイロンポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン6-12、ナイロン10、ナイロン10-10、ナイロン11、ナイロン12、それらのコポリマー及びそれらの組合せからなるポリアミドポリマーの群から選択される第一のポリアミド材料であり、かつ第二の熱可塑性材料が、ポリアミドポリマーの同じ群から選択される第二のポリアミド材料のポリマー系材料であることをさらに特徴とする、請求項1及び2のいずれか1項に記載の消耗性マイクロペレット。
[請求項4] 少なくとも1つの前記熱可塑性材料が、ベースポリマーの機械的特性、電気的特性、磁気的特性、熱力学的特性、加工特性、審美的特性又は生体適合性を変化させるために配合される1つ以上の添加剤、変性剤又は通常のプラスチック強化材料を有していることをさらに特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の消耗性マイクロペレット。」

「Technical Field

[1] The present disclosure is directed to materials for use in additive manufacturing processes. In particular, the present disclosure is directed to materials for use in powder-based additive manufacturing processes.

Background Art

[2] Additive Manufacturing consists of several processes that produce solid three dimensional (3D) objects from a computer model by building up the object in a layer- by-layer manner. Powder-based Additive Manufacturing processes use powders as the consumable materials, where the powders are deposited and then modified. For example, a layer of powder may be deposited and then modified by selected exposure to electromagnetic radiation, or selected deposition of liquid, which may be followed by exposure to electromagnetic radiation, or electron beam.

[3] One example of a powder-based additive manufacturing process is the selective laser sintering process. 」
(技術分野

[1] 本開示は、付加製造法において使用するための材料に関する。特に、本開示は、粉末系付加製造法において使用するための材料に関する。

背景技術

[2] 付加製造は、物体を層状に形成することにより、コンピューターモデルから固体の立体的な(3D)物体を製造する複数のプロセスからなる。粉末系付加製造法は、消耗性材料として粉末を使用し、その際、粉末は堆積され、次いで変性される。たとえば1つの粉末層を堆積させ、次いで電磁線に選択的に暴露することによって変性することができるか、または液体を選択的に堆積させ、次いで電磁線又は電子線に暴露することができる。

[3] 粉末系付加製造法の一例は、選択的レーザー焼結法である。 」

「[4] The powder is deposited in thin layers, in the range of approximately 0.05 to 0.30 millimeters deep, uniformly across a piston. After a given layer has been fused, the piston is lowered and a new layer of powder is added on top of the just completed layer. 」
([4] 粉末は、厚さ約0.05?0.30ミリメータの範囲の薄い層としてピストン上に均一に堆積される。所定の層が溶融されたのち、ピストンが降下し、完成したばかりの層の上に新たな粉末層が供給される。)

「[11] The step of converting feed materials 10 and 12 into fiber 14 include the sub-steps of spinning (i.e., extruding and solidifying the polymers), and optionally, drawing fiber 14, which consists of stretching fiber 14 to orient the polymeric molecular structure. 」
([11] 供給材料10および12を繊維に変える工程は、紡糸(つまりポリマーを押し出し、固化させる)、および場合により、繊維14を伸ばしてポリマー分子構造を配向させる繊維14の延伸というサブステップを含む。)

「[13] Suitable average diameters for fiber 14, referred to as diameter 20, range from about 10 microns to about 250 microns. 」
([13] 適切な繊維14の適切な平均粒径は、直径20と呼ばれるが、これは約10ミクロンから約250ミクロンである。)

「[17] After fiber 14 is formed, micro-pellets 22 may then be formed from fiber 14 with a size-reducing process. In one embodiment, fiber may be size reduced by cutting fiber 14 to lengths, as illustrated by cut lines 24 along fiber 14, creating substantially- cylindrical shaped micro-pellets 22, each having a ratio between the length of the micro-pellet 22 (referred to as length 26) and the diameter of the micro-pellet 22 (same as diameter 20). Examples of suitable ratios between length 26 and diameter 20 range from about 1 :2 to about 3: 1. 」
([17] 繊維14が形成された後、次いで繊維14から、サイズを低減する工程によりマイクロペレット22が形成される。1実施形態では、繊維のサイズは、繊維14に沿った切断線24に示されるように繊維14の長さを切断し、実質的に円柱形のマイクロペレット22を作成し、マイクロペレットはそれぞれがマイクロペレット22の長さ(長さ26とよぶ)とマイクロペレット22の直径(直径20に等しい)の間で一定の比率を有する。長さ26と直径20との間の適切な比率は、約1:2?約3:1の範囲である。)

「 Advantageous Effects
[22] Another aspect of this invention is better control of the size and size distribution of the resulting micro-pellets 22. By selecting appropriate combinations of fiber diameter 20 and cutting aspect ratio as defined above, the resulting size of micro-pellets 22 can be closely controlled. The quality and mechanical properties of 3D objects created by using polymers in powder-based additive manufacturing processes have been shown to be dependent on the size and size distribution of the powders used in the process. This invention allows for good customization and control of both the size of the resulting micro-pellets 22 and their size distribution. In one embodiment, a single modal size distribution is used. In another embodiment, a bi-modal or higher size distribution is used. 」
(有利な効果
[22] 本発明の他の形態は、生じるマイクロペレット22のサイズ及びサイズ分布のより良好な制御である。上記で定義されたような繊維直径20および切断アスペクト比の適切な組み合わせを選択することにより、マイクロペレット22の生じるサイズを綿密に制御することができる。ポリマーを粉末付加製造法において使用することにより生成される3D物体の品質および機械的特性は、前記方法において使用される粉末のサイズおよびサイズ分布に依存していることを示している。本発明は、生じるマイクロペレット22のサイズおよびそれらのサイズ分布の両方ともの良好なカスタマイズおよび制御を可能にする。一実施形態では、単峰性のサイズ分布が使用される。他の実施形態では、二峰性またはより多峰性のサイズ分布が使用される。)

「[24] Examples of suitable semi-crystalline base polymers for use in each of the core and shell materials include polyamides, polyethylenes, polypropylenes, polyetheretherketones, polyoxymethylene acetals, polytetrafluoroethylenes, polypheneylene sulfides, polybutylene terephthalates, copolymers thereof, and combinations thereof. Suitable polyamides include aliphatic nylon polyamides, such as nylon 6, nylon 6-6, nylon 6-10, nylon 6-12, nylon 10, nylon 10-10, nylon 1 1, nylon 12, and combinations thereof. 」
([24] コアおよびシェル材料のそれぞれにおける使用に適した半結晶性ベースポリマーの例は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレート、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせを包含する。適したポリアミドは、脂肪族ナイロンポリアミド、例えばナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン6-12、ナイロン10、ナイロン10-10、ナイロン11、ナイロン12、およびそれらの組み合わせを包含する。)

「[26] Examples of suitable additives and modifiers include coloration inhibitors, lubricants, nucleating agents, viscosity thickeners, antioxidants, antistatic agents, bio- degradative agents, biocompatibility agents, bio-preservatives, colorants, fragrances, and stabilizers against hydrolysis, thermal degradation or UV degradation, mineral fillers, glass or carbon fibers, lubricants to improve wear and friction, plasticizers, fire retardants, electrically conductive materials, and other polymers to toughen or otherwise affect the base polymer.」
([26] 適した添加剤および変性剤の例は、着色防止剤、滑剤、造核剤、増粘剤、酸化防止剤、耐電防止剤、生分解剤、生体適合剤、バイオプリザバティブ、着色剤、香料、および加水分解、熱分解またはUV分解に対する安定剤、鉱物質充填剤、ガラスまたは炭素繊維、摩耗および摩擦を改善する滑剤、可塑剤、難燃剤、電気伝導性材料、およびベースポリマーを強化するか、さもなければ作用を及ぼすその他のポリマーを包含する。)





これらの記載から見て、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「コア・シェル構造を有する円柱状の消耗性マイクロペレットであって、
前記円柱状の消耗性マイクロペレットの長さと前記マイクロペレットの直径との平均比が、1:2?3:1の範囲であり、
10ミクロン?250ミクロンの範囲の平均断面直径を有する、三次元物体の複数の凝固した層を形成するために溶融及び使用される消耗性マイクロペレット。」

イ 本件特許の請求項1?18に係る発明と引用発明との対比・判断

(ア) 本件発明1と引用発明との対比・判断
本件発明1と引用発明とを対比する。

引用発明の「コア・シェル構造を有する円柱状の消耗性マイクロペレット」は、本件発明1の「柱体の粒子」に相当する。また、引用発明の「消耗性マイクロペレット」は、「三次元物体の複数の凝固した層を形成するために溶融及び使用される」ものであるから、本件発明1の「立体造形用樹脂粉末」であるといえる。

したがって、両者は、
「柱体の粒子を含む、立体造形用樹脂粉末。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

・相違点1
本件発明1の立体造形用樹脂粉末は、「柱体の粒子(ただし、柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のものを除く。)」であるのに対し、引用発明は、「コア・シェル構造を有する」ものである点。

・相違点2
本件発明1の立体造形用樹脂粉末は、「前記柱体の粒子の底面における直径または長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」のに対し、引用発明の消耗性マイクロペレットは、「前記円柱状の消耗性マイクロペレットの長さと前記マイクロペレットの直径との平均比が、1:2?3:1の範囲であり、10ミクロン?250ミクロンの範囲の平均断面直径を有する」ものである点。

以下、相違点について検討する。

先ず、相違点1について検討するに、引用文献1は、請求項1にも記載されているように、マイクロペレットをコア・シェル構造とすることを指向するものであるから、引用発明を出発点として、「コア・シェル構造」ではないものとすることには、阻害要因がある。

してみれば、相違点2については検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明、つまり、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ) 本件発明2?18について
本件発明2?18はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件発明1は、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明1の特定事項を全て含む発明である、本件発明2?6、8?12、14?18もまた、引用文献1に記載された発明ではなく、さらに、本件発明1の特定事項を全て含む発明である、本件発明1?18もまた、引用文献1に記載された発明及び引用文献2?5に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3) 理由3(拡大先願)について

ア 先願6の記載事項及び先願6に記載された発明について

先願6の出願当初の明細書、特許請求の範囲および図面には、次の記載がある。

「【請求項1】
単体構造を有する複数のポリマー系粒子を含む消耗性ポリマー系粉末混合物であって、前記複数のポリマー系粒子の少なくとも約80%が略円筒形状を有する、消耗性ポリマー系粉末混合物。
【請求項2】
複数のポリマー系粒子を含む消耗性ポリマー系粉末混合物であって、前記複数のポリマー系粒子の少なくとも約80%が略円筒形状を有し、前記複数のポリマー系粒子が約1.2以下の粒子長分布スパン(PLDS)を有し、前記PLDSが(L_(80)-L_(20))/L_(50)に等しい、消耗性ポリマー系粉末混合物。
【請求項3】
少なくとも1つの横断面が、約100ミクロン以下の最大幅を有する、請求項1及び2のいずれか1項に記載の消耗性ポリマー系粉末混合物。
【請求項4】
前記複数のポリマー系粒子の少なくとも約80%が、前記ポリマー系粒子の基部上に切断アーチファクトを含む、請求項1及び2のいずれか1項に記載の消耗性ポリマー系粉末混合物。
【請求項5】
前記複数のポリマー系粒子の少なくとも大部分が、均一な組成を有する、請求項1及び2のいずれか1項に記載の消耗性ポリマー系粉末混合物。
【請求項6】
前記複数のポリマー系粒子の少なくとも大部分が、約250ミクロン以下の長さを有する、請求項1及び2のいずれか1項に記載の消耗性ポリマー系粉末混合物。
【請求項7】
前記複数のポリマー系粒子が、約225ミクロン以下の平均長を有する、請求項1及び2のいずれか1項に記載の消耗性ポリマー系粉末混合物。」

「【技術分野】
【0001】
本開示は、消耗性粉末を製造するための方法及びシステムに関し、より詳しくは、選択的レーザー焼結(SLS)、高速焼結、及び選択的阻害焼結などの添加剤製造システムのための消耗性粉末に関する。」

「【0020】
特定の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料としては、半結晶性ベースポリマー(semi-crystalline based polymer)、例えばポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレート、それらのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせを含むことができる。なおさらに他の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料としては、脂肪族ナイロンポリアミド、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン6-12、ナイロン10、ナイロン10-10、ナイロン11、ナイロン12、それらのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに別の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンまたはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0021】
特定の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料は、半結晶性ベースポリマー、例えばポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシメチレンアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリブチレンテレフタレート、それらのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせからなり得る。なおさらに他の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料は、脂肪族ナイロンポリアミド、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン6-12、ナイロン10、ナイロン10-10、ナイロン11、ナイロン12、それらのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせからなり得る。さらに別の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、それらのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせからなり得る。
【0022】
さらに他の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料は、非晶質材料系ポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ乳酸、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリスルホン、非晶質ポリアミド、それらのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0023】
さらに他の実施形態によれば、提供されるポリマー供給原料は、非晶質材料系ポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ乳酸、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリスルホン、非晶質ポリアミド、それらのブロックコポリマーまたはそれらの組み合わせから成り得る。」

「【0027】
次にステップ150を参照すると、集合ポリマー系トウから消耗性粉末混合物を形成することは、集合ポリマー系トウを連続的に切断して複数のポリマー系粒子を作り出すことを含むことができる。集合ポリマー系トウが切断されると、それは複数のポリマー系繊維であり、その繊維は、一緒に集合されてポリマー系ヤーン、ポリマー系トウ及び最終的には集合ポリマー系トウを形成し、そして切断後に分離して複数のポリマー系粒子を作り出すことが理解されよう。
【0028】
集合ポリマー系トウは、例えば、1つ以上のブレードによって切断することができる。特定の実施形態では、ブレードはギロチンとして作用することができ、集合ポリマー系トウは、集合ポリマー系トウの長さに対してほぼ垂直に切断される。他の実施形態では、集合ポリマー系トウは、任意の他の有用な方法によって切断することができる。例えば、集合ポリマー系トウは、レーザー、ウォータージェット、エアジェット、またはそれらの任意の組み合わせによって切断することができる。」

「【0039】
さらに別の実施形態によれば、ポリマー系粒子は、略円筒形状を有することができる。円筒形状は、任意の三次元切断柱体、例えば、直角柱または斜めに切断された円柱であり得ることが理解されよう。円筒形状は、任意の2次元形状基部を有し得ることがさらに理解されよう。例えば、円筒形状の基部は、多角形、円形、楕円形または三角形であり得る。」

「【0045】
さらに他の実施形態によれば、ポリマー系粒子の少なくとも大部分は、特定の最大長を有すると記載することができる。例えば、ポリマー系粒子の大部分の最大長は約250ミクロン以下、例えば約240ミクロン以下、約230ミクロン以下、約220ミクロン以下、約210ミクロン以下、約200ミクロン以下、約190ミクロン以下、約180ミクロン以下、約170ミクロン以下、約160ミクロン以下または約150ミクロン以下でさえもあり得る。なおさらに他の実施形態によれば、ポリマー系粒子の大部分の最大長は、少なくとも約30ミクロン、例えば少なくとも約40ミクロンまたは少なくとも約50ミクロンでさえもあり得る。ポリマー系粒子の大部分の最大長は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の任意の値であり得ることが理解されよう。ポリマー系粒子の大部分の最大長は、上記の最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であり得ることがさらに理解されよう。」

「【0051】
さらに他の実施形態によれば、ポリマー系粒子の少なくとも大部分は、特定の長さ対幅の比L/Wを有すると記載することができ、Lはポリマー系粒子の最大長であり、Wはポリマー系粒子の最大幅である。例えば、ポリマー系粒子の大部分の長さ対幅の比L/Wは、少なくとも約0.5、例えば少なくとも約0.8、少なくとも約1.0、少なくとも約1.3または少なくとも約1.5でさえもあり得る。なおさらに他の実施形態によれば、ポリマー系粒子の大部分の長さ対幅の比L/Wは、約3以下、例えば約2.8以下、約2.5以下、約2.3以下または約2.0以下でさえもあり得る。ポリマー系粒子の大部分の長さ対幅の比L/Wは、上記の最小値と最大値のいずれかの間の任意の値であり得ることが理解されよう。ポリマー系粒子の大部分の長さ対幅の比L/Wは、上記の最小値と最大値のいずれかの間の範囲内であり得ることがさらに理解されよう。」

「【0075】
なおさらに他の実施形態によれば、湿式加工は、複数のポリマー系粒子に追加の添加剤を導入して、粉末の加工特性、熱、UVまたは他のタイプのポリマー分解を遅延させ、粉末の光学特性を変化させ、耐火性の向上を導入し、または粉末の電気的特性または他の測定可能な特性を変化させることをさらに含むことができる。」

「【0155】
実施例1
第1のサンプルの消耗性ポリマー粉末S1を、本明細書に記載の実施形態に従って形成した。以下の表1に要約してあるように、切断長、直径及びアスペクト比(L/W)を含む粉末サイズ特性を測定した。







これらの記載から見て、先願6の出願当初の明細書、特許請求の範囲および図面には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認める。

「単体構造を有する複数のポリマー系粒子を含む消耗性ポリマー系粉末混合物であって、
前記複数のポリマー系粒子の少なくとも約80%が略円筒形状を有し、
前記ポリマー系粒子の大部分の長さ対幅の比L/Wは、少なくとも約0.5以上約3以下であり、
少なくとも1つの横断面が、約100ミクロン以下の最大幅を有し、
前記複数のポリマー系粒子の少なくとも大部分が、約250ミクロン以下の長さを有する、
消耗性ポリマー系粉末混合物。」

イ 本件発明1?6、8?12、14?16と先願発明との対比・判断

(ア) 本件発明1と先願発明との対比・判断
本件発明1と先願発明とを対比する。

先願発明の「単体構造を有する」「略円筒形状」の「ポリマー系粒子」は、本件発明1の「柱体の粒子(ただし、柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のものを除く。)」に相当する。また、先願発明の「消耗性ポリマー系粉末混合物」は、「選択的レーザー焼結(SLS)、高速焼結、及び選択的阻害焼結などの添加剤製造システム」のためのもの(段落【0001】)であるから、立体造形用途に用いられることは明らかである。してみれば、先願発明の「消耗性ポリマー系粉末混合物」は、本件発明1の「立体造形用樹脂粉末」であるといえる。

そこで、本件発明1と先願発明とを対比すると、両者は、
「柱状の粒子(ただし、柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のものを除く。)を含む、立体造形用樹脂粉末」
の点で一致し、以下の点で相違している。

・相違点3
本件発明1の立体造形用樹脂粉末は、「前記柱体の粒子の底面における直径または長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」のに対し、先願発明の消耗性ポリマー系粉末混合物は、「前記ポリマー系粒子の大部分の長さ対幅の比L/Wは、少なくとも約0.5以上約3以下であり、少なくとも1つの横断面が、約100ミクロン以下の最大幅を有し、前記複数のポリマー系粒子の少なくとも大部分が、約250ミクロン以下の長さを有する」ものであって、平均円形度については特定されない点。

以下、相違点3について検討する。
本件発明1の、「平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」との点について、実施例22?28(段落【0139】?【0146】)をみるに、球形化処理を行うことにより平均円形度0.83以上のものを得ているのに対し、先願6の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面には、球形化処理を施すことについては記載も示唆もされていない。
してみれば、先願6の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面の具体的な製造方法に関する記載も参酌しても、先願発明のポリマー系粒子の平均円形度が0.83以上であると推認することはできないから、本件発明と先願発明は同一ではない。

(イ) 本件発明2?6、8?12、14?16について
本件発明2?6、8?12、14?16はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。
そして、上記(ア)のとおり、本件発明1は、先願発明と同一ではないから、本件発明2?6、8?12、14?16もまた、先願発明と同一ではない。

(4) 理由4(サポート要件)について
本件発明1において特定されている各条件については、段落【0013】に「柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比」、段落【0021】に「50%累積体積粒径」、段落【0026】に「平均円形度」についてそれぞれ記載されており、さらに、段落【0041】に具体的な粒度分布測定装置をあげた上で、本件発明1の特定事項を満たす実施例及びその効果の検討結果も示されている。
なお、訂正により、「平均円形度」が特定された結果、比較例8は本件発明1の特定事項を満たさないものとなったことにより、比較例8の存在を根拠とする理由も解消されている。
したがって、本件発明1?18に関して、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものといえる。

(5) 特許異議申立人の令和1年10月16日提出の意見書(以下、「意見書」という。)における主張について
特許異議申立人は意見書において、甲第1号証の部分訳を提出するとともに、本件発明1?18に対して、概略次の主張をしているが、いずれも以下のとおり採用することができない。

・主張1
甲第1号証に明示的に「平均円形度が0.83以上」であることが記載されていないとしても、甲第1号証に記載されているマイクロペレットが、本件発明1に係る立体造形用樹脂粉末と同等の平均円形度を有している蓋然性は極めて高いことをあげつつ、本件発明1?18は、甲第1号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張する。
しかしながら、「第5 2(1)イ(ア)」で検討したとおり、本件発明1?18と甲第1号証に記載された発明(引用発明)は相違点1の点で相違し、かつ、甲第1号証に記載された発明はマイクロペレットをコア・シェル構造とすることに阻害要因があるのであるから、当該主張については検討するまでもなく、本件発明1?18は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

・主張2
甲第5号証には、粉末粒子の平均円形度が0.83以上であることは明示的に記載されていないものの、甲第5号証に記載の粉末は、本件発明1による立体造形用樹脂粉末と同等の寸法およびアスペクト比を有していることから、平均円形度も0.83以上であると解され、本件特許発明と甲第5号証に記載されている発明との間に相違点はないとし、本件発明1?18は、甲第5号証に記載されている発明と同一である旨主張する。
しかしながら、「第5 2(3)イ(ア)」で検討したとおり、本件発明の、「平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である」との点について、球形化処理を行うことにより所定の平均円形度とするものであり、甲第5号証(先願6)には、球形化処理を施すことについては記載も示唆もされていない。
してみれば、当該主張は採用できない。

・主張3
訂正後の実施例22?28では、粒子の直径もしくは縦が40?80μm、高さが40?80μmであるものが記載されているのみであって、0.5μm以上40μm未満および80μm超200μm以下の粒子であっても同様の効果を奏するのか否かが不明であること、参考例を参酌すると、「0.83以上」という平均円形度に臨界的意義があるとは解することができないことなどを根拠とし、本件発明1?18に関して、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしていない旨主張する。
しかしながら、「第5 2(4)」で検討したとおり、実施例以外においても、明細書の発明の詳細な説明中において説明がなされており、さらに、本件発明1の特定事項を満たす実施例及びその効果の検討結果も示されていることから、本件発明1?18に関して、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。
してみれば、当該主張も採用できない。


第6 結論

以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?18に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
立体造形用樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体造形用樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末床溶融(PBF:powder bed fusion)方式は、選択的にレーザーを照射して立体造形物を形成するSLS(selective leser sintering)方式や、マスクを使い平面状にレーザーを当てるSMS(selective mask sintering)方式などが知られている。
【0003】
前記PBF方式は、レーザー光線を金属やセラミックス又は樹脂の薄層に選択的にレーザーを選択的に照射することにより粉末を溶融接着させ、成膜した後、前記成膜した膜の上に別の層を形成して同様の操作を繰り返すことにより順次積層して立体造形物を得ることができる(例えば、特許文献1?3参照)。
【0004】
前記PBF方式の樹脂粉末を使用する場合では、薄層間の内部応力を低く維持することと緩和(リラックス)しながら、供給槽に供給された樹脂粉末の層を樹脂の軟化点付近の温度まで加熱しておき、この層にレーザー光線を選択的に照射し、照射された樹脂粉末自身を軟化点以上の温度まで加熱して相互に融着させることにより立体造形が行われる。
【0005】
現在、PBF方式には、ポリアミド樹脂が多く用いられ、特に、ポリアミド12は、ポリアミドの中でも比較的低い融点を有し、熱収縮率が小さい点や吸水性が低い点から好適に用いることができる。
近年では、試作用途の他に、造形物を最終製品として使用する需要が増えてきており、様々な樹脂を使用したい要望が増えてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、リサイクル性に優れ、粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の引張強度を向上するとともに、オレンジピール性を良好にし、複雑かつ精細な立体造形物を簡便かつ効率よく製造することができる立体造形用樹脂粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形用樹脂粉末は、柱体の粒子を含み、前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、リサイクル性に優れ、粒子をより密に詰めることができ、得られる立体造形物の引張強度を向上するとともに、オレンジピール性を良好にし、複雑かつ精細な立体造形物を簡便かつ効率よく製造することができる立体造形用樹脂粉末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、円柱体の一例を示す概略斜視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの円柱体の側面図である。
【図1C】図1Cは、円柱体の頂点を持たない形状の一例を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の立体造形物の製造装置の一例を示す概略説明図である。
【図3A】図3Aは、吸熱ピークの融解開始温度(Tmf1)を説明する図である。
【図3B】図3Bは、吸熱ピークの融解開始温度(Tmf2)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(立体造形用樹脂粉末)
本発明の立体造形用樹脂粉末は、柱体の粒子を含み、前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であり、更に必要に応じてその他の成分を含有する。なお、特に限定されないが、前記立体造形用樹脂粉末に対する柱体の粒子の含有量としては、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0011】
特に立体造形用樹脂粉末の、ISO 3146に準拠して測定したときの融点としては、100℃以上であると、製品の外装等に使用されうる耐熱温度の範囲であるため好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。なお、前記融点は、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができ、複数の融点が存在する場合は、高温側の融点を使用する。
【0012】
前記立体造形用樹脂粉末の比重としては、0.8g/mL以上が好ましい。前記比重が、0.8g/mL以上であると、リコート時の粒子の2次凝集を抑止できるため好ましい。一方、金属代替の軽量化ニーズから3.0g/mL以下が好ましい。前記比重は、真比重を測定することにより行うことができる。前記真比重の測定は、気相置換法を用いた乾式自動密度計(株式会社島津製作所製、アキュピック1330)を用いて一定温度で気体(Heガス)の体積と圧力を変化させて、サンプルの体積を求め、このサンプルの体積から質量を計測し、サンプルの密度を測定することにより行うことができる。
【0013】
<粒子>
前記粒子の形状としては、柱体であり、前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、0.7倍以上2倍以下が好ましく、0.8倍以上1.5倍以下がより好ましい。
【0014】
前記柱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、略円柱体、直方体などが挙げられる。前記形状が、柱体であることにより、粒子を隙間なく詰めることができ、得られる立体造形物の引張強度を向上することができる。
前記柱体としては、向かい合う面を有することが好ましい。前記向かい合う面は傾斜がついていてもよく、生産性とレーザー造形の安定性から、平行で互いに傾斜がついていないものがより好ましい。なお、前記粒子の形状は、例えば、走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA-3000、シスメックス株式会社製)などにより観察することができる。得られた粒子を球状化処理したり、外添加材で処理して、粉体流動性をさらに向上してもよい。
【0015】
-略円柱体-
前記略円柱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真円柱体、楕円柱体などが挙げられる。これらの中でも、真円柱体が好ましい。なお、前記略円柱体の円部分は、一部が欠けていてもよい。また、略円とは、長径と短径との比(長径/短径)が、1?10であるものを意味する。
【0016】
また、前記略円柱体は、略円の向かい合う面を有することが好ましい。
前記向かい合う面の円の大きさが多少ずれていてもよいが大きい面と小さい面との円の直径の比(大きい面/小さい面)としては、1.5倍以下が好ましく、形が統一されていた方が密度を詰めることができる点から、1.1倍以下がより好ましい。
【0017】
前記略円柱体の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、略円柱体の円形部分が楕円形である場合は、前記直径とは、長径を意味する。
前記略円柱体の高さ(両面間の距離)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。
【0018】
-直方体-
前記直方体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方体、立方体などが挙げられる。これらの中でも、立方体が好ましい。なお、前記直方体は、一部が欠けていてもよいが、分散度が狭まりより密に詰まる点から、各辺の長さが近しい正方形が好ましい。
また、前記直方体は、長方形又は正方形の向かい合う面を有することが好ましい。
【0019】
前記直方体の底面における各辺としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、前記各辺における長辺は、直方体の1つの面を底面としたときの最も長い辺であり、前記直方体が立方体である場合は、底面の等しい長さの辺のうちの1辺である。
前記直方体の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。前記高さとは、直方体の底面に対する高さ方向を意味する。
【0020】
前記柱体の面と面の間の高さを形成する辺は、切断時に樹脂が軟化し、つぶれた状態(円柱形ではたる型)も本発明の範囲に含まれるが、弧を描くもの同士で空間を空けてしまうことから、粉末を密に詰めることができる点から、辺が直線状になっているものが好ましい。前述したように、粉体側面に押し当てた面を持つ多角柱が、接する面での隙間がすくなる分、密につめることができるのためより好ましい。
【0021】
前記柱体の高さとしては、50%累積体積粒径が、5μm以上200μmとなる長さが好ましく、特に高さが均一で粉の形や大きさに偏りがなく、同一な集合体として形成された単分散に近いものの方がより好ましい。
前記略円柱体においては、直径と高さが近いものがより再現性の観点から好ましく、同様な理由で直方体についても辺と高さが等しい立方体がより好ましい。
【0022】
前記柱体の粒子(柱体粒子)は、底面と上面を有する柱体形状を有するが、粒子の端部が頂点を持たない形状であることがより好ましい。前記頂点とは、柱体の中に存在する角の部分をいう。例えば、図1Aに示す円柱体の側面図は図1Bで表される。この場合、長方形の形状を有しており、角の部分、即ち頂点が4箇所存在する。この頂点を持たない形状の一例を図1Cに示す。実際に頂点の有無を確認するためには、前記柱体粒子の側面に対する投影像から判別することができる。例えば、柱体粒子の側面に対して走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)等を用いて観察し、二次元像として取得する。この場合、投影像は4辺形となり、各々隣り合う2辺によって構成される部位を端部とすると、隣り合う2つの直線のみで構成される場合は、角が形成され頂点を持つことになり、図1Cのように端部が円弧によって構成される場合は頂点を持たないことになる。
このように、柱体粒子において頂点を持たないような形状にすることで、前記円形度を高めることが可能になり、流動性が向上し、充填密度をより一層高めることができ、立体造形物の強度や寸法精度を高める上で非常に有効である。
【0023】
前記立体造形用樹脂粉末の柱体粒子すべてにおいて、頂点を持たなくすることが最も好ましく、頂点を持たない柱体粒子の割合が高い方がより好ましい。具体的には、すべての柱体粒子に対する頂点を持たない柱体粒子の含有比率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、75%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。これにより、樹脂粉末の平均円形度が高まり、本発明の効果がより高まる。
【0024】
前記頂点の有無を判別する方法としては、例えば、前述のように走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)等を用いて樹脂粉末を観察し、得られた二次元像からすべての柱体粒子に対する頂点を持たない柱体粒子の割合を求めることによって判別することができる。例えば、上記の方法により10視野の二次元像を撮影し、全柱体粒子に対する頂点を持たない柱体粒子の割合を求め、平均することにより求めることができる。
なお、前記頂点を持たない柱体粒子においては、整った略円柱体あるいは多角柱体である必要はなく、側面の投影像においてくびれを有する形状や、端部が引き伸ばされた形状、あるいは押しつぶされたり、曲がったりした形状のものを含んでいてもよい。
【0025】
このように、樹脂粉末中の柱体粒子について頂点を持たない形状にする方法としては、柱体粒子の頂点を丸めることが可能な方法であれば、いずれの方法でも使用可能であり、例えば、高速回転式の機械粉砕や高速衝撃式の機械粉砕、あるいは機械摩擦により表面溶融など、従来公知の球形化処理装置を使用することができる。
【0026】
前記立体造形用樹脂粉末の平均円形度としては、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であり、0.83以上0.98以下がより好ましい。前記平均円形度としては、例えば、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA-3000、シスメックス株式会社製)を用いて測定することができ、前記立体造形用樹脂粉末について円形度を測定し、それらを算術平均した値が平均円形度として表される。前記円形度を簡易的に求める方法としては、例えば、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA-3000、シスメックス株式会社製)を用いて測定することにより、数値化することができる。この装置は、ガラスセル中を流れる懸濁液中の粒子画像をCCDで高速撮像し、個々の粒子画像をリアルタイムに解析することができ、このような粒子を撮影し、画像解析を行う装置が、本発明の平均円形度を求める上で有効である。測定カウント数としては、特に制限はないが、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましい。
【0027】
前記立体造形用樹脂粉末は、個々の粒子形状が独立した柱体であることが好ましい。
本発明においての前記粒子は、熱可塑性樹脂を用いることができる。前記熱可塑性樹脂とは、熱をかけると可塑化し、溶融するものを意味する。前記熱可塑性樹脂の中でも、結晶性樹脂を用いてもよい。なお、前記結晶性樹脂とは、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)の測定をした場合に、融解ピークを有するものを意味する。
【0028】
前記結晶性樹脂としては、結晶制御された結晶性熱可塑性樹脂が好ましく、熱処理、延伸、結晶核材、超音波処理等、外部刺激の方法により、結晶サイズや結晶配向が制御されている結晶性熱可塑性樹脂が高温リコート時のエラーが発生しにくいことからより好ましい。
【0029】
前記結晶性熱可塑性樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末に対して各樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱し、結晶性を高めるアニーリング処理や、より結晶性を高めるために結晶核剤を添加し、その後アニーリング処理する方法などが挙げられる。また、超音波を当てることにより結晶性を高める方法や、溶媒に溶解しゆっくりと揮発させることにより結晶性を高める方法、外部電場印加処理による結晶性成長等の工程を経る方法、もしくは、延伸することにより高配向、高結晶にしたものを粉砕、裁断等の加工を施す方法などが挙げられる。
【0030】
前記アニーリングとしては、樹脂をガラス転移温度から50℃高い温度にて3日間加熱し、その後、室温までゆっくりと冷却することにより行うことができる。
【0031】
前記延伸としては、押し出し加工機を用いて、融点より30℃以上高い温度にて撹拌しながら、繊維状に立体造形用樹脂溶融物を押し出して伸ばすことにより行うことができる。この際、立体造形用樹脂溶融物は、1倍以上10倍以下程度に延伸し繊維にする。この時、押出し加工機のノズル口の形状により繊維断面の形状を決めることができるが、本発明では、柱体が略円柱体である場合には、ノズル口も円形形状がよく、柱体が直方体である場合は、ノズル口は長方形又は正方形形状がよい。ノズルの口の数は多ければ多いほど生産性に見合ったものとなる。延伸は、樹脂ごと溶融粘度ごとに最大の延伸倍率を変えることができる。
【0032】
前記超音波としては、粉末に、グリセリン(東京化成工業株式会社製、試薬グレード)溶媒を樹脂に対して5倍ほど加えた後、融点より20℃高い温度まで加熱し、超音波発生装置(ヒールシャー社製、ultrasonicator UP200S)にて24kHz、振幅60%での超音波を2時間与えることにより行うことができる。その後、室温にてイソプロパノールの溶媒で洗浄後、真空乾燥することが好ましい。
【0033】
前記外部電場印加処理としては、粉末をガラス転移温度以上にて過熱した後に600V/cmの交流電場(500ヘルツ)を1時間印加した後にゆっくりと冷却することにより行うことができる。
【0034】
前記PBF方式では、結晶層変化についての温度幅(温度窓)が大きな方が、反り返りを抑制できるために好ましい。前記結晶層変化は、融解開始温度と冷却時の再結晶点間の差が大きな樹脂粉末の方が、造形性がよくなるため、より差がある方が好ましい。
【0035】
前記粒子としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM、融点:175℃)、ポリイミド、フッ素樹脂等のポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記熱可塑性樹脂としては、前記ポリマー以外に、難燃剤や可塑剤、熱安定性添加剤や結晶核剤等の添加剤、非結晶性樹脂等のポリマー粒子を含んでいてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ポリマー粒子としては、前記ポリマー粒子を混合して使用しても、前記ポリマー粒子の表面にポリマー粒子を被覆してものを使用してもよい。
【0036】
前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP、融点:180℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド410(PA410)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66、融点:265℃)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12);半芳香族性のポリアミド4T(PA4T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T、融点:300℃)、ポリアミド10T(PA10T)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、PA9Tは、ポリノナメチレンテレフタルアミドとも呼ばれ、炭素が9つのジアミンにテレフタル酸モノマーから構成され、一般的にカルボン酸側が芳香族であるため半芳香族と呼ばれる。さらには、ジアミン側も芳香族である全芳香族としてp-フェニレンジアミンとテレフタル酸モノマーとからできるアラミドと呼ばれるものも本発明のポリアミドに含まれる。
【0038】
前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点:260℃)やポリブタジエンテレフタレート(PBT、融点:218℃)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。耐熱性を付与するため一部テレフタル酸やイソフタル酸が入った芳香族を含むポリエステルも本発明に好適に用いることができる。
【0039】
前記ポリアリールケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、融点:343℃)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。前記ポリアリールケトン以外にも、結晶性ポリマーであればよく、例えば、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルスルフォンなどが挙げられる。PA9Tのように融点ピークが2つあるものを用いてもよい(完全に溶融させるには2つ目の融点ピーク以上に樹脂温度を上げる必要がある)。
【0040】
前記立体造形用樹脂粉末は、粒子のみで構成されるのが好ましいが、一般的に粉砕したものと組み合わせてもよい。
前記柱体粒子の含有量としては、立体造形用樹脂粉末全量に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましく、90質量%以上100質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、30質量%以上であると、粒子を密に詰めることができる。なお、柱体粒子の含有量は、例えば、立体造形用樹脂粉末を採取してSEM観察を行い、得られたSEM像のすべての粒子の数に対する、柱体粒子の数から求めることができる。
【0041】
前記立体造形用樹脂粉末の50%累積体積粒径としては、5μm以上200μm以下であり、寸法安定性の点から、20μm以上70μm以下が好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましい。また、前記粉末の体積平均粒径/個数平均粒径(Mv/Mn)は、造形精度向上の観点で、2.00以下であり、1.50以下が好ましく、1.30以下がより好ましく、1.20以下が特に好ましい。なお、前記50%累積体積粒径や前記Mv/Mnは、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。
【0042】
前記立体造形用樹脂粉末は、下記(1)?(3)から選択される少なくとも1種を満たすことが好ましい。
(1)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf2としたときに、Tmf1>Tmf2となり、かつ(Tmf1-Tmf2)≧3℃となり、(Tmf1-Tmf2)≧5℃が好ましく、(Tmf1-Tmf2)≧10℃がより好ましい。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から-15mW下がった時点での温度である。
(2)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd2としたときに、Cd1>Cd2となり、かつ(Cd1-Cd2)≧3%となり、(Cd1-Cd2)≧5%が好ましく、(Cd1-Cd2)≧10%がより好ましい。
(3)X線回折測定により得られる結晶化度をCx1とし、窒素雰囲気下10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温し、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときのX線回折測定により得られる結晶化度をCx2としたときに、Cx1>Cx2となり、かつ(Cx1-Cx2)≧3%となり、(Cx1-Cx2)≧5%が好ましく、(Cx1-Cx2)≧10%がより好ましい。
【0043】
前記(1)?前記(3)は、同一の立体造形用樹脂粉末について、異なる視点から特性を規定したものであり、前記(1)?前記(3)は互いに関連しており、前記(1)?前記(3)から選択される少なくとも1種により測定することができれば本発明の立体造形用樹脂粉末を同定することができる。
【0044】
[条件(1)の示差走査熱量測定による溶解開始温度の測定方法]
前記条件(1)の示差走査熱量測定(DSC)による溶解開始温度の測定方法としては、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)の測定方法に準じて、示差走査熱量測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、DSC-60A等)を使用し、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度(Tmf1)を測定する。その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し(サイクル1、図3A)、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度(Tmf2)を測定する(サイクル2、図3B)。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から-15mW下がった時点での温度である。
つまり、図3A及び図3Bに示すように、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所であるT点から低温側へx軸(温度軸)に対して平行な直線を引き、前記直線が吸熱側に-15mW下がった時点で吸熱ピークとの交差点に対応する温度(Tmf)である。または、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接点の交点の温度としてもよい。
【0045】
[条件(2)の示差走査熱量測定による結晶化度の測定方法]
前記条件(2)の示差走査熱量測定(DSC)による結晶化度の測定方法としては、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量(融解熱量)を測定し、完全結晶熱量に対する融解熱量から結晶化度(Cd1)を求めることができる。その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量を測定し、完全結晶熱量に対する融解熱量から結晶化度(Cd2)を求めることができる。
【0046】
[条件(3)のX線解析装置による結晶化度の測定方法]
前記条件(3)のX線解析装置による結晶化度の測定方法としては、二次元検出器を有するX線解析装置(例えば、Bruker社、Discover8等)を使用し、室温にて2θ範囲を10?40に設定し、得られた粉末をガラスプレート上に置き、結晶化度を測定(Cx1)することができる。次に、DSC内において、窒素雰囲気化にて10℃/minで加熱し、融点より30℃高い温度まで昇温し、10分間保温した後、10℃/min、-30℃まで冷却後のサンプルを室温に戻し、Cx1と同様にして、結晶化度(Cx2)を測定することができる。
【0047】
前記立体造形用樹脂粉末としては、任意の流動化剤、粒度化剤、強化剤、酸化防止剤、難燃剤等を含有していてもよい。前記流動化剤の含有量としては、粒子表面上に覆うために十分な量であればよく、立体造形用樹脂粉末全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。前記流動化剤としては、10μm未満の体積平均粒径を有する粒状無機材料を好適に用いることができる。
【0048】
前記流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機材料からなる球状粒子が好ましい。シリカ、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化鉄、酸化銅、水和シリカ、シリカ表面上にシランカップリング剤により変性させたもの、ケイ酸マグネシウムなどが、よく使われている。特に、効果の観点から、シリカ、チタニア、和シリカ、シリカ表面上にシランカップリング剤により変性させたものがより好ましく、シリカ表面上にシランカップリング剤により疎水性に変性させたものがコストの観点から特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記強化剤としては、強度向上の点から、例えば、ファイバーフィラーやビーズフィラー、国際公開第2008/057844号パンフレットに記載のガラスフィラーやガラスビーズ、カーボンファイバー、アルミボール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の立体造形用樹脂粉末としては、適度の乾燥しているのが好ましく、真空乾燥機やシリカゲルを入れることにより使用前に乾燥させてもよい。
【0050】
また、樹脂劣化を抑制する点から、前記酸化防止剤を含有することが好ましい。前記酸化防止剤としては、例えば、金属キレート材としてヒドラジド系や、紫外線吸収剤としてトリアジン系、ラジカル補足剤としてヒンダードフェノール系、酸化防止剤としてホスフェイト系、硫黄系などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記ファイバーフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カーボンファイバー、無機ガラスファイバー、金属ファイバーが好ましい。
前記ビーズフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カーボンビーズ、無機ガラスビーズ、金属ビーズが好ましい。
【0052】
一般に、前記シャープメルト性を有さない立体造形用樹脂粉末に対して、前記ファイバーフィラーやビーズフィラーを混合すると、造形物の精度が悪化する傾向にある。これは、添加する前記ファイバーフィラーやビーズフィラーの熱伝導率が、前記立体造形用樹脂粉末よりも高いため、SLS造形時に粉面にレーザー照射した際、照射部に与えられた熱が照射部外へ拡散してしまい、照射外の樹脂粉末の温度が融点以上となり過剰に造形されてしまうことが原因である。一方で、本発明の立体造形用樹脂粉末(前記シャープメルト性を有する結晶性熱可塑性樹脂組成物)と前記ファイバーフィラーやビーズフィラーとの混合粉末は、樹脂粉末がシャープメルト性を有するために、熱拡散によりレーザー照射部外の樹脂温度が上昇したとしても融解しにくいため、前記過剰な造形を抑止することができ、高い造形精度を維持することが可能である。
【0053】 (削除)
【0054】
前記ビーズフィラーとしては、円形度が0.8以上1.0以下であり、体積平均粒径が、10μm以上200μm以下が好ましい。なお、前記円形度は、面積(画素数)をSとし、周囲長をLとしたときに、下式により求められる。
円形度=4πS/L^(2) ・・・(式)
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。
【0055】
前記ファイバーフィラーの含有量としては、立体造形用樹脂粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下であることが好ましい。この範囲より少ないと、ファイバーフィラー添加の本来の目的である強度向上の効果が少なく、この範囲より多いと造形が困難になる。
【0056】
前記ビーズフィラーを含有量としては、立体造形用樹脂粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。前記含有量が、5質量%以上であると、ビーズフィラー添加の本来の目的である強度向上をでき、60質量%以下であると、造形を容易にすることができる。
【0057】
前記難燃剤としては、例えば、建築材料、車両材料、船舶艤装材料等火災防止対応が必要な材料に好適に用いることができる。
【0058】
前記難燃剤としては、例えば、ハロゲン系、リン系、無機水和金属化合物系、窒素系、シリコーン系などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記難燃剤を2種以上併用する場合は、ハロゲン系と無機水和金属化合物系との組合せが、難燃性能を高くすることができ好ましい。
【0059】
前記難燃剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の無機繊維状物質、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の無機層状珪酸塩などの無機強化剤を添加しても難燃性を向上することができる。この場合は、物性強化と難燃性強化との両立が可能となる。
【0060】
前記立体造形用樹脂粉末の難燃性は、例えば、JIS K6911、JIS L1091(ISO 6925)、JIS C3005、発熱性試験(コーンカロリメータ)などにより評価することができる。
【0061】
前記難燃剤の含有量としては、立体造形用樹脂粉末全量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、より難燃性を高めることができる点から、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であると、十分な難燃性を実現できる。また、前記含有量が、50質量%以下であると、立体造形用樹脂粉末の溶融固化特性が変化することを抑制し、造形精度低下や造形物の物性劣化が発生することを防止できる。
【0062】
前記酸化防止剤の含有量としては、立体造形用樹脂粉末全量に対して、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上2質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、上記範囲内であることにより、熱劣化を防止する効果が得られ、造形に使用した樹脂粉末を再利用することが可能になる。また、熱による変色を防止する効果も得られる。
【0063】
また、前記立体造形用樹脂粉末としては、SLS法やSMS法について使用できるが、適切な粒度、粒度分布、熱移動特性、溶融粘度、嵩密度、流動性、溶融温度、及び再結晶温度のようなパラメーターについて適切なバランスを示す特性を呈している。
【0064】
前記立体造形用樹脂粉末の嵩密度としては、PBF方式でのレーザー焼結度を促進する点から、樹脂自身の持っている密度に差異があるが嵩密度は大きい方が好ましく、タップ密度として0.35g/mL以上がより好ましく、0.40g/mL以上がさらに好ましく、0.5g/mL以上が特に好ましい。
【0065】
前記立体造形用樹脂粉末を用いて、レーザー焼結により形成される立体造形物は、滑らかであり、最小オレンジピール以下を呈する十分な解像度を示す表面を形成できる。ここで、前記オレンジピールとは、一般にPBF方式でのレーザー焼結により形成される立体造形物の表面上に不適切な粗面、又は空孔問題やゆがみ問題のような表面欠陥の存在を意味する。前記空孔は、例えば、美観を示すだけでなく、機械強度にも著しく影響を及ぼすことがある。
【0066】
さらに、前記立体造形用樹脂粉末を使用し、レーザー焼結により形成される立体造形物としては、焼結中から焼結後の冷却時の間に、発生する相変化による反りや歪み、発煙したりするような不適切なプロセス特性を示さないことが好ましい。
【0067】
本発明の立体造形用樹脂粉末は、優れたリサイクル性を有し、新品の粉末からPBF方式により形成される立体造形物は、(a)オレンジピール性又は(b)機械性能における顕著な低下(引張強度の30%以上の低下)のいずれも示さない立体造形物を形成することができる。
【0068】
本発明において用いられるリサイクル粉末としては、下記の試験方法のリサイクル方法に従って試験した時、PBF方式の製作機(株式会社リコー製、AM S5500P)中にて、リサイクル粉末を少なくとも1回、より好ましくは5回、より好ましくは7回、特に好ましくは少なくとも10回試験を行った後も、前記(a)、前記(b)のいずれも示さない、ISO(国際標準化機構)3167 Type1A 150mm長さ多目的犬骨様試験標本を形成することができる。
【0069】
本発明の立体造形用樹脂粉末としては、柱状の繊維を作製し、その後裁断して直接的に略円柱体や直方体を得る方法や、フィルム形状から直方体や立方体を得る方法や得られた直方体の粒子を作製後に後加工により略円柱体を作製してもよい。
前記繊維化は押し出し加工機を用いて、融点より30℃以上高い温度にて撹拌しながら、繊維状に立体造形用樹脂溶融物を押し出して伸ばす。この際、立体造形用樹脂溶融物は、1倍以上10倍以下程度に延伸し繊維にする。この時、押出し加工機のノズル口の形状により繊維断面の形状を決めることができるが、本発明では、断面が、円形形状を特徴とする場合には、ノズル口も円形形状がよい。寸法精度は高ければ高いほどよく、面の部分の円形形状が半径において少なくとも10%以内が好ましい。ノズルの口の数は多ければ多いほど生産性に見合ったものとなる。
【0070】
前記裁断しては、ギロチン方式といった上刃と下刃が共に刃物になっている切断装置や、押し切り方式と呼ばれる下側は刃物ではなく板にて、上刃で裁断していく装置などを用いることができる。前記装置を用いて、0.005mm以上0.2mm以下に直接カットすることやCO_(2)レーザー等を用いて裁断する方法がある。これらの方法により、本発明の粉末を直接得ることができる。
【0071】
前記立体造形用樹脂粉末は、一般的な粉砕方法としては、ペレット等の形態から粉砕することにより得られ、室温にて粉砕装置を使用し、目的の粒径以外のものをフィルター濾過などの分級操作などにより得られる。好ましくは0℃以下の低温(各樹脂自身の脆弱温度以下)、より好ましくは-25℃以下、特に好ましくは-100℃以下の極低温下での樹脂脆弱性を使用する粉砕により得ることができる。
【0072】
別の好適な条件で得られる立体造形用樹脂粉末としては、新たな粉末層をローラ等により引くごとに焼結処理を行うことが好ましい。前記焼結処理では、粉末層部分を選択的に溶融させる。新たな粉末層を先行して形成した層に施用し、再度選択的に溶融させ、これが繰り返され、所望の立体造形物が製造されるまで前記処理を継続する。
【0073】
前記立体造形用樹脂粉末の溶融としては、典型的には、電磁照射により行われるが、溶融の選択性は、例えば、抑制剤、吸収剤、又は電磁照射(例えば、マスクした若しくは直接レーザービームによる)の選択的施用などが挙げられる。いずれの適切な電磁照射源でも使用でき、例えば、CO_(2)レーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプ等、又はこれらの組合せなどがある。
【0074】
いくつかの実施態様においては、選択的マスク焼結(selective mask sintering:SMS)技術を使用して、本発明における立体造形物を製造することができる。前記SMSプロセスについては、例えば、米国特許第6,531,086号明細書に記載されているものを好適に用いることができる。
【0075】
前記SMSプロセスとしては、遮蔽マスクを使用して選択的に赤外放射を遮断し、粉末層の一部に選択的に照射する。本発明の立体造形用樹脂粉末から物品を製造するためにSMSプロセスを使用する場合、立体造形用樹脂粉末の赤外吸収特性を増強させる粉末組成物中の1種以上物質を含有させることが好ましく、立体造形用樹脂粉末には1種以上の熱吸収剤及び/又は暗色物質(カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、もしくはカーボンファイバー、セルロースナノファイバー等)を含有することができる。
【0076】
本発明の立体造形用樹脂粉末を用いてPBF方式により立体造形物を製造するために、好適な方法としては、ポリマーマトリックスを含有する複数の層を積層し、かつ接着した焼結層を含むことが好ましい。前記焼結層としては、造形プロセスに適した厚みを有することが好ましい。複数の焼結層の平均厚みとしては、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上が特に好ましい。また、前記焼結層の平均厚みとしては、200μm未満が好ましく、150μm未満がより好ましく、120μm未満が特に好ましい。
【0077】
本発明の立体造形用樹脂粉末としては、電子機器パーツや自動車部品のプロトタイプや強度試験用の試作品、エアロスペースや自動車産業のドレスアップツール等に使われる少量製品などの用途に使用するための物品を形成することに好適に用いることができる。前記PBF方式以外の他の方式については、FDMやインクジェット方式と比較し、強度が優れることが期待されるため、実用の製品としても使用に耐える。生産スピードは、射出成型のような大量に生産するのにはかなわないが、例えば、小さい部品を平面状に大量に作ることにより必要な生産量を得ることができる。また、本発明に用いられるPBF方式における立体造形物の製造方法は、射出成型のような金型を必要としないため、試作及びプロトタイプの作製においては、圧倒的なコスト削減と納期削減を達成することができる。
【0078】
(立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する成膜工程と、前記成膜された膜に電磁照射して硬化する硬化工程と、を繰り返し、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する層形成手段と、前記層の選択された領域内の樹脂粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記立体造形物の製造方法は、前記立体造形物の製造装置により好適に実施することができる。
【0079】
前記立体造形用樹脂粉末としては、本発明の立体造形用樹脂粉末と同様のものを用いることができる。
前記粉末接着手段としては、例えば、整地された粉体に電磁波もしくはレーザーを照射して、樹脂を溶融させ冷却により硬化させる硬化手段などが挙げられる。
【0080】
前記電磁照射に用いられる電磁照射源としては、例えば、CO_(2)レーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプ等、又はこれらの組合せなどが挙げられる。
【0081】
ここで、前記立体造形物の製造装置について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の立体造形物の製造方法に用いられる立体造形物の製造装置の一例を示す概略説明図である。図2に示すように、粉末の供給槽5に粉末を貯蔵し、使用量に応じて、ローラ4を用いてレーザー走査スペース6に供給する。供給槽5は、ヒーター3により温度を調節されていることが好ましい。電磁照射源1から出力したレーザーを反射鏡2を用いて、レーザー走査スペース6に照射する。前記レーザーによる熱により、粉末を焼結して立体造形物を得ることができる。
【0082】
前記供給槽5の温度としては、粉末の融点より10℃以上低いことが好ましい。
前記レーザー走査スペースにおける部品床温度としては、粉末の融点より5℃以上低温であることが好ましい。
前記レーザーの出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10ワット以上150ワット以下が好ましい。
【0083】
(立体造形物)
前記立体造形物は、本発明の立体造形物の製造方法により好適に製造されることができる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
【0085】
得られた立体造形用樹脂粉末について、「融点」、「溶解開始温度」、「50%累積体積粒径」、「体積平均粒径(Mv)」、「個数平均粒径(Mn)」、「平均円形度」、「比重」、及び「タップ密度」は、以下のようにして測定した。結果を下記表1及び表2に示す。
【0086】
[融点]
前記融点は、ISO 3146に準拠して測定した。
【0087】
[条件(1)の示差走査熱量測定による溶解開始温度の測定]
ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)の測定方法に準じて、示差走査熱量測定装置(株式会社島津製作所製、DSC-60A)を使用し、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度(Tmf1)を測定した。その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度(Tmf2)を測定した。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から-15mW下がった時点での温度である。
【0088】
[50%累積体積粒径、体積平均粒径(Mv)、及び個数平均粒径(Mn)]
前記50%累積体積粒径、前記体積平均粒径、及び前記個数平均粒径は、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて、立体造形用樹脂粉末ごとの粒子屈折率を使用し、溶媒は使用せず乾式(大気)法にて測定した。粒子屈折率は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂:1.57、ポリアミド66(PA66)樹脂:1.53、ポリアミド9T(PA9T)樹脂:1.53、ポリプロピレン(PP)樹脂:1.48、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂:1.57、ポリアセタール(POM)樹脂:1.48と設定した。なお、得られた前記体積平均粒径、及び前記個数平均粒径から体積平均粒径/個数平均粒径(Mv/Mn)を算出した。
【0089】
[平均円形度]
前記平均円形度は、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA-3000、シスメックス株式会社製)を用いて、粉体粒子カウント数が3,000個以上をカウントする状態で、粒子形状画像を取得し、粒子径が0.5μm以上200μm以下のものの円形度の平均値を求めた。各円形度は2回ずつ測定し、その平均値を平均円形度とした。
【0090】
[比重]
前記比重は、気相置換法を用いた乾式自動密度計(株式会社島津製作所製、アキュピック1330)を用いて一定温度で気体(Heガス)の体積と圧力を変化させて、サンプルの体積を求め、このサンプルの体積から質量を計測し、サンプルの密度を測定することにより行った。
【0091】
[タップ密度]
前記タップ密度は、ISO 1068に準じた方法にて評価を実施した。
ガラス製の250mLメスシリンダー(柴田科学株式会社製)を使用し、試料100gをタッピングさせずに入れた後にメスシリンダーをタッピング装置に取り付け、タッピングを1,300回後に装置を止め、試料の占める体積を読み取った。更に1,300回タッピングし、2つの差が2mLを超えなくなるまで行い、小さい方の体積を読み取った。秤量した試料の質量と読み取った体積の数値を割り返すことによりタップ密度とした。
【0092】
(参考例1)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(商品名:ノバデュラン5020、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、融点:218℃、ガラス転移温度:43℃)98.5質量%に、フェノール系酸化防止剤(商品名:AO-80、株式会社ADEKA製)を0.5質量%、及びホスフェート系酸化防止剤(商品名:PEP-36、株式会社ADEKA製)を1.0質量%添加し、押し出し加工機(株式会社日本製鋼所製)を用いて、融点より30℃高い温度にて撹拌後、ノズル口が円形形状のものを用い、繊維状に立体造形用樹脂溶融物を押し出して伸ばした。ノズルから出る糸の本数は100本にて実施した。4倍程度延伸し、繊維直径が60μmにて精度が±4μmの繊維にした後に0.08mm(80μm)で押し切り方式の裁断装置(株式会社荻野精機製作所製、NJシリーズ1200型)を用いて裁断し、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。裁断後の断面を走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)を用いて、300倍の倍率で確認したところ、断面はきれいに裁断されており、切断面は互いに平行であった。また、略円柱体の高さを測定したところ、60μm±10μmの精度で切断できていた。裁断時につぶれた様子はほとんどなかったが、約100個に1個程度の割合で、切断時に押しつぶされ、円の面に対し高さ方向がたるのように膨らんだものやその反対側に凹んでしまった形状になってしまったものも含まれていた。また、延伸による結晶制御により、融解エネルギーが約2倍増大していた。DSCの初回の加熱条件では融点開始温度(Tmf1)は、219℃であったが、2回目の加熱条件では、融点開始温度(Tmf2)は、210℃であった。(Tmf1-Tmf2)は、9℃である。
【0093】
(参考例2)
参考例1において使用した原料を使用し、押し出し加工機(株式会社日本製鋼所製)を用いて、融点より30℃高い温度にて撹拌後ノズルより溶融させTダイ(株式会社日本製鋼所製)を用いて溶融状態のシートを4倍程度延伸で引っ張りながら冷却ロールに接触させながら冷却、固化させ、1,000mm×1,000mm×平均厚み80μmのフィルムを得た。得られたフィルムを押し切り方式の裁断装置(株式会社荻野精機製作所製、NJシリーズ1200型)を使用して裁断した。前記裁断は、フィルムに対して深さ60μmの厚み、線幅は80μmになるように裁断した後に90℃回転させ深さ80μmの厚さ、線幅80μmになる様にカットすることで1辺80μmの立方体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。カットした粒子は2度切りを抑止するため吸引機で吸いながら行った。裁断後の断面を走査型電子顕微鏡で、300倍の倍率で確認したところ、断面はきれいに裁断されており、裁断面は平行で、2度切りのような物はほとんど見られなかった。また、立方体の各辺を測定した所80μm±10μmの精度で切断できていた。裁断時につぶれた様子もなかった。
【0094】
(参考例3)
参考例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリアミド66(PA66)樹脂(商品名:レオナ1300S、旭化成ケミカルズ株式会社製、融点:265℃)に変更した以外は、参考例1と同様にして、立体造形用樹脂粉末を得た。
【0095】
(参考例4)
ポリアミド9T(PA9T)樹脂(商品名:ジェネスタN1000A、株式会社クラレ製、融点:300℃)を押し出し加工機(株式会社日本製鋼所製)を用いて、融点より30℃高い温度にて撹拌後、ノズル口が円形形状のものを用い、繊維状に立体造形用樹脂溶融物を押し出して伸ばした。前記ノズル口から出る糸の本数は60本にて実施した。1.2倍程度延伸し、繊維直径が40μm±2μmの繊維にした後に0.04mm(40μm)をギロチン方式にて裁断装置(株式会社辻鉄工所製、HP600)を用いて裁断し、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。裁断後の断面を走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率で確認したところ、断面はきれいに裁断されており、切断面は互いに平行であった。また、略円柱体の高さを測定したところ、40μm±8μmの精度で切断できていた。裁断時につぶれた様子もなかった。
【0096】
(参考例5)
参考例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリプロピレン(PP)樹脂(商品名:ノバテック MA3、日本ポリプロ株式会社製、融点:180℃、ガラス転移温度:0℃)に変更し、繊維長80μmに裁断した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0097】
(参考例6)
参考例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂(商品名:HT P22PF、VICTREX社製、融点:343℃、ガラス転移温度:143℃)、延伸倍率3倍に変更した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0098】
(参考例7)
参考例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリアセタール(POM)樹脂(商品名:ユピタール F10-01、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、融点:175℃)に変更した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0099】
(比較例1)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(商品名:ノバデュラン5020、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、融点:218℃、ガラス転移温度:43℃)を低温粉砕システム(装置名:リンレックスミルLX1、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、-200℃にて凍結粉砕し、立体造形用樹脂粉末を得た。得られた立体造形用樹脂粉末は、5μm以上200μm以下の幅になるように粉砕した。50%累積体積粒径は65μmであった。
【0100】
(比較例2)
比較例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリアミド66(PA66)樹脂(商品名:レオナ1300S、旭化成ケミカルズ株式会社製、融点:265℃)に変更した以外は、比較例1と同様にして、立体造形用樹脂粉末を得た。得られた立体造形用樹脂粉末は、5μm以上200μm以下の幅になるように粉砕した。50%累積体積粒径は50μmであった。
【0101】
(比較例3)
実施例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリアミド9T(PA9T)樹脂(商品名:ジェネスタN1000A、株式会社クラレ製、融点:300℃)への変更、及びカット精度が落ちる、刃先に欠けがある刃を使用した以外は、実施例1と同様にして、立体造形用樹脂粉末を得た。
【0102】
(比較例4)
実施例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリプロピレン(PP)樹脂(商品名:ノバテック MA3、日本ポリプロ株式会社製、融点:180℃、ガラス転移温度:0℃)に変更、及びカット長を長くした以外は、実施例1と同様にして、立体造形用樹脂粉末を得た。
【0103】
(比較例5)
比較例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂(商品名:HT P22PF、VICTREX社製、融点:343℃、ガラス転移温度:143℃)に変更した以外は、比較例1と同様にして、立体造形用樹脂粉末を得た。得られた立体造形用樹脂粉末は、5μm以上200μm以下の幅になるように粉砕した。50%累積体積粒径は10μmであった。
【0104】
(比較例6)
参考例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂をポリアセタール(POM)樹脂(商品名:ユピタール F10-01、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、融点:175℃)に変更し、繊維長、及び繊維カット長を変更した以外は、参考例1と同様にして、立体造形用樹脂粉末を得た。
【0105】
得られた立体造形用樹脂粉末について、以下のようにして、「精度」、「オレンジピール性」、「リサイクル性」、及び「引張強度」を評価した。結果を下記表2に示す。
【0106】
(精度)
得られた立体造形用樹脂粉末について、SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を使用し、立体造形物の製造を行った。設定条件は、0.1mmの層平均厚み、10ワット以上150ワット以下のレーザー出力を設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、融点より-3℃の温度にて部品床温度を使用した。1辺5cm、平均厚み0.5cmの直方体の立体造形物(寸法用サンプル)(mm)のCAD等のデータに基づいて、前述した寸法用サンプルを製造した。寸法用サンプルのCAD等のデータと、造形したサンプルとの各辺の長さの差を求め、差の平均値を寸法性差とし、「精度」を評価した。
【0107】
(オレンジピール性)
前記「精度」の評価において、得られた立体造形物について、表面を観察し、下記評価基準に基づいて、「オレンジピール性」を評価した。
-評価基準-
○:不適切な粗面、又は空孔やゆがみ等の表面欠陥が発生していない
×:不適切な粗面、又は空孔やゆがみ等の表面欠陥が発生している
【0108】
(リサイクル性、及び引張強度)
SLSプロセスにおける立体造形用樹脂粉末のリサイクル性を、SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を用いて、SLS方式造形装置の供給床中に10kgの粉末を加えた。なお、SLS方式造形装置の設定条件は、「精度」の評価と同様とした。立体造形用樹脂粉末から、前記SLS方式造形装置にて、(a)引っ張り試験標本を中心部にY軸方向に長辺が向くように、5個引っ張り試験標本の長手方向に造形した。ここで、5個引っ張り試験標本とは、5個の引張り試験標本を、Y軸方向と平行に長辺の向きをそろえ、造形物を造形層の中心に並べることをいう。各々の造形物層の間隔は5mmである。次に、(b)1辺5cm、平均厚み0.5cmの直方体の立体造形物(mm)を製造した。引張り試験標本サンプルは、ISO(国際標準化機構)3167 Type1A 150mm長さ多目的犬骨様試験標本(標本は、80mm長さ、4mm厚さ、10mm幅の中心部分を有する)を使用して行った。造形に用いた粉末を供給床中に戻し、前記と同様の造形を行い、造形に用いた粉末を供給床中に戻した。この作業を造形10回分繰り返した。得られた立体造形物について、ISO 527に準じた引張試験(株式会社島津製作所製、AGS-5kN)を使用して実施し、「引張強度」を評価した。また、下記評価基準に基づいて、「リサイクル性」を評価した。なお、引張試験における試験速度は、50mm/分間にて一定とした。また、引張強度の初期値は、造形1回目の立体造形物について5回試験を行い、得られた測定値の平均値である。
-評価基準-
○:10回目の立体造形物について反りが発生せず、機械強度の低下率が初期値と比較して30%以内である
×:10回目の立体造形物について反りが発生せず、機械強度の低下率が初期値と比較して30%超である
【0109】
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
また、参考例1又は参考例3に難燃剤を下記参考例8?15に記載した通りに添加し、立体造形用樹脂粉末を得た。結果を下記表3に示す。なお、比較のために、参考例1及び参考例3を併記した。
【0112】
(参考例8)
参考例1において、押し出し加工機にPBT樹脂を投入する際にハロゲン(臭素)系難燃剤(商品名:ノンネンPR-2H、丸菱油化工業株式会社製)を30質量%添加した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0113】
(参考例9)
参考例1において、押し出し加工機にPBT樹脂を投入する際にリン系難燃剤(商品名:ノンネン75、丸菱油化工業株式会社製)を30質量%添加した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0114】
(参考例10)
参考例1において、押し出し加工機にPBT樹脂を投入する際にハロゲン(臭素)系難燃剤(商品名:ノンネンPR-2H、丸菱油化工業株式会社製)を10質量%添加した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0115】
(参考例11)
参考例1において、押し出し加工機にPBT樹脂を投入する際にハロゲン(臭素)系難燃剤(商品名:ノンネンPR-2H、丸菱油化工業株式会社製)を0.9質量%添加した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0116】
(参考例12)
参考例1において、押し出し加工機にPBT樹脂を投入する際にハロゲン(臭素)系難燃剤(商品名:ノンネンPR-2H、丸菱油化工業株式会社製)を50質量%添加した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0117】
(参考例13)
参考例1において、押し出し加工機にPBT樹脂を投入する際にハロゲン(臭素)系難燃剤(商品名:ノンネンPR-2H、丸菱油化工業株式会社製)を10質量%、無機水和金属化合物(三酸化アンチモン)系難燃剤(商品名:PATOX-L、日本精鉱株式会社製)を10質量%、併せて20質量%添加した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0118】
(参考例14)
参考例1において、押し出し加工機にPBT樹脂を投入する際にハロゲン(臭素)系難燃剤(商品名:ノンネンPR-2H、丸菱油化工業株式会社製)を60質量%添加した以外は、参考例1と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0119】
(参考例15)
参考例3において、押し出し加工機にPA66樹脂を投入する際にハロゲン(臭素)系難燃剤(商品名:ノンネンPR-2H、丸菱油化工業株式会社製)を30質量%添加した以外は、参考例3と同様にして、略円柱体の粒子を得、これを立体造形用樹脂粉末とした。
【0120】
得られた立体造形用樹脂粉末について、参考例1と同様にして、「精度」、「オレンジピール性」、「リサイクル性」、及び「引張強度」を評価した。また、以下のようにして、「難燃性」を評価した。結果を下記表3に示す。
【0121】
(難燃性)
得られた立体造形用樹脂粉末5.0gを目開き25μm、直径10cmの円形ステンレス製メッシュ(商品名:TESTING SIEVE、東京スクリーン株式会社製)の上に平らに並べ、下から直接バーナーで熱し、その着火状態を下記基準で評価した。
-評価基準-
◎:60秒間熱しても着火しない
○:熱しはじめてから着火までにかかる時間が40秒間以上60秒間未満である
△:熱しはじめてから着火までにかかる時間が20秒間以上40秒間未満である
×:熱しはじめてから着火までにかかる時間が20秒間未満である
【0122】
【表3】

【0123】
なお、「精度」、「オレンジピール性」、「リサイクル性」、及び「引張強度」の評価結果は、実施例1又は3の評価結果と同様であった。
【0124】
(参考例16)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてカーボンファイバー(商品名:トレカ ミルドファイバー、東レ株式会社製)を60質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したカーボンファイバーの平均繊維径は7μm、平均繊維長さは130μmである。
【0125】
(参考例17)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてカーボンファイバー(商品名:トレカ ミルドファイバー、東レ株式会社製)を30質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したカーボンファイバーの平均繊維径は7μm、平均繊維長さは130μmである。
【0126】
(参考例18)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてガラスファイバー(商品名:ミルドファイバー、日本電気硝子株式会社製)を5質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したカーボンファイバーの平均繊維径は18μm、平均繊維長さは150μmである。
【0127】
(比較例7)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてカーボンファイバー(商品名:トレカ ミルドファイバー、東レ株式会社製)を70質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したカーボンファイバーの平均繊維径は7μm、平均繊維長さは130μmである。
【0128】 (削除)
【0129】
(参考例19)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてガラスビーズ(商品名:噴霧アルミニウム粉#245、ミナルコ株式会社製)を60質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したガラスビーズの体積平均粒径は20μmである。
【0130】
(参考例20)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてガラスビーズ(商品名:噴霧アルミニウム粉#245、ミナルコ株式会社製)を30質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したガラスビーズの体積平均粒径は150μmである。
【0131】
(参考例21)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてガラスビーズ(商品名:噴霧アルミニウム粉#245、ミナルコ株式会社製)を20質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したガラスビーズの体積平均粒径は60μmである。
【0132】
(比較例9)
参考例1において作製した、略円柱形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてガラスビーズ(商品名:噴霧アルミニウム粉#245、ミナルコ株式会社製)を20質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したガラスビーズの体積平均粒径は400μmである。
【0133】
(比較例10)
比較例1において作製した、ランダム形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてカーボンファイバー(商品名:トレカ ミルドファイバー、東レ株式会社製)を30質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したカーボンファイバーの平均繊維径は7μm、平均繊維長さは130μmである。
【0134】
(比較例11)
比較例1において作製した、ランダム形状のPBT樹脂粉末を用い、強化剤としてガラスビーズ(商品名:ガラスビーズGB190M、ポッターズ・バロティーニ株式会社製)を30質量%添加し、スクリュー型ミキサーを用いて30分間乾式混合後、立体造形用混合粉末とした。添加したガラスビーズの体積平均粒径は60μmである。
【0135】
得られた立体造形用樹脂粉末について、参考例1と同様にして、「精度」、「オレンジピール性」、及び「リサイクル性」を評価した。また、以下のようにして、「表面粗さ」を評価した。結果を下記表4に示す。
【0136】
立体造形した立方体の側面に対して、JIS B 0031、JIS B 0061に準拠した方法にて表面粗さRaの測定を行った。前記測定装置は、装置名:VR3200(株式会社キーエンス製)を用いた。また、5回の測定の平均値を実験値とした。
【0137】
【表4】

【0138】
なお、「精度」、及び「リサイクル性」の評価結果は、参考例1の評価結果と同様であった。
【0139】
(実施例22)
参考例1で使用した略円柱体の粒子を球形化処理装置(日本コークス工業株式会社製、MP型ミキサーMP5A/1)を用いて、撹拌速度を9,600rpmにて20分間処理を行ったものを立体造形用樹脂粉末とした。これを、走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)を用いて、300倍の倍率で確認したところ、端部に頂点を持たない柱体粒子が確認された。
【0140】
(実施例23)
参考例2で使用した略円柱体の粒子を実施例22と同様の方法により球形化処理を行い、これを立体造形用樹脂粉末とした。これを、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率で確認したところ、端部に頂点を持たない柱体粒子が確認された。
【0141】
(実施例24)
参考例3で使用した略円柱体の粒子を実施例22と同様の方法により球形化処理を行い、これを立体造形用樹脂粉末とした。これを、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率で確認したところ、端部に頂点を持たない柱体粒子が確認された。
【0142】
(実施例25)
参考例4で使用した略円柱体の粒子を実施例22と同様の方法により球形化処理を行い、これを立体造形用樹脂粉末とした。これを、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率で確認したところ、端部に頂点を持たない柱体粒子が確認された。
【0143】
(実施例26)
参考例5で使用した略円柱体の粒子を実施例22と同様の方法により球形化処理を行い、これを立体造形用樹脂粉末とした。これを、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率で確認したところ、端部に頂点を持たない柱体粒子が確認された。
【0144】
(実施例27)
参考例6で使用した略円柱体の粒子を実施例22と同様の方法により球形化処理を行い、これを立体造形用樹脂粉末とした。これを、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率で確認したところ、端部に頂点を持たない柱体粒子が確認された。
【0145】
(実施例28)
参考例7で使用した略円柱体の粒子を実施例22と同様の方法により球形化処理を行い、これを立体造形用樹脂粉末とした。これを、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率で確認したところ、端部に頂点を持たない柱体粒子が確認された。
【0146】
【表5】

【0147】
得られた立体造形用樹脂粉末について、参考例1と同様にして、「精度」、「オレンジピール性」、「リサイクル性」、及び「引張強度」を評価した。結果を下記表6に示す。
【0148】
【表6】

【0149】
(参考例29)
参考例1で得た立体造形用樹脂粉末20質量%、及び比較例1で得た凍結粉砕粉(立体造形用樹脂粉末)80質量%で、ミスギ社製 マゼマゼマンSKH-40で、5分間混ぜた後にて、タップ密度を測定し、その混合粉を使用し、SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を用いて、造形を実施した。なお、SLS方式造形装置の設定条件は、「精度」の評価と同様とした。得られた立体造形物に対して、参考例1と同様にして、「オレンジピール性」の評価をした。結果を下記表7に示す。
【0150】
(参考例30)
参考例1で得た立体造形用樹脂粉末40質量%、及び比較例1で得た凍結粉砕粉(立体造形用樹脂粉末)60質量%に変更した以外は、参考例29と同様にして、立体造形物を得、「オレンジピール性」の評価をした。結果を下記表7に示す。
【0151】
(参考例31)
参考例29において、使用粉末を、参考例1で得た立体造形用樹脂粉末60質量%、及び比較例1で得た凍結粉砕粉(立体造形用樹脂粉末)40質量%に変更した以外は、参考例29と同様にして、立体造形物を得、「オレンジピール性」の評価をした。結果を下記表7に示す。
【0152】
(参考例32)
参考例29において、使用粉末を、参考例1で得た立体造形用樹脂粉末80質量%、及び比較例1で得た凍結粉砕粉(立体造形用樹脂粉末)20質量%に変更した以外は、参考例29と同様にして、立体造形物を得、「オレンジピール性」の評価をした。結果を下記表7に示す。
【0153】
【表7】

【0154】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 柱体の粒子を含み、
前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、
50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末である。
<2> 前記粒子が略円柱体であり、前記略円柱体の底面における直径が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下であるか、又は
前記粒子が直方体であり、前記直方体の底面における各辺が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下である前記<1>に記載の立体造形用樹脂粉末である。
<3> 体積平均粒径/個数平均粒径(Mv/Mn)が、1.30以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<4> 比重が、0.8g/mL以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<5> 前記底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.7倍以上2倍以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<6> 前記底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.8倍以上1.5倍以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<7> ISO 3146に準拠して測定したときの融点が、100℃以上である前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<8> 下記(1)?(3)から選択される少なくとも1種を満たす前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
(1)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf2としたときに、Tmf1>Tmf2となり、かつ(Tmf1-Tmf2)≧3℃となる。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から-15mW下がった時点での温度である。
(2)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd2としたときに、Cd1>Cd2となり、かつ(Cd1-Cd2)≧3%となる。
(3)X線回折測定により得られる結晶化度をCx1とし、窒素雰囲気下10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温し、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときのX線回折測定により得られる結晶化度をCx2としたときに、Cx1>Cx2となり、かつ(Cx1-Cx2)≧3%となる。
<9> 前記50%累積体積粒径が、20μm以上70μm以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<10> ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリアセタール、ポリイミド、及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種を含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<11> 前記ポリアミドが、芳香族ポリアミドを含む、ポリアミド410、ポリアミド4T、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド9T、ポリアミド10T、及びアラミドから選択される少なくとも1種である前記<10>に記載の立体造形用樹脂粉末である。
<12> 前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ乳酸から選択される少なくとも1種である前記<10>から<11>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<13> 前記ポリアリールケトンが、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、及びポリエーテルケトンケトンから選択される少なくとも1種である前記<10>から<12>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<14> 前記立体造形用樹脂粉末の嵩密度が、0.35g/mL以上である前記<1>から<13>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<15> 前記立体造形用樹脂粉末の嵩密度が、0.4g/mL以上である前記<14>に記載の立体造形用樹脂粉末である。
<16> 前記立体造形用樹脂粉末の嵩密度が、0.5g/mL以上である前記<15>に記載の立体造形用樹脂粉末である。
<17> 流動化剤をさらに含む前記<1>から<16>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<18> 前記流動化剤の含有量が、0.1質量%以上10質量%以下である前記<17>に記載の立体造形用樹脂粉末である。
<19> 前記流動化剤の体積平均粒径が、10μm未満である前記<17>から<18>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<20> 粒度化剤をさらに含む前記<1>から<19>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<21> 平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上である前記<1>から<20>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<22> 強化剤をさらに含む前記<1>から<21>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<23> 難燃剤をさらに含む前記<1>から<22>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末である。
<24> 前記柱体の粒子の含有量が、30質量%以上である前記<1>から<23>のいずれか立体造形用樹脂粉末である。
<25> 前記<1>から<24>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する層形成手段と、
前記層の選択された領域内の樹脂粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<26> 前記<1>から<24>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する成膜工程と、
前記成膜された膜に電磁照射し、溶融させた後に冷却後硬化する硬化工程と、を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<27> 前記電磁照射に用いる電磁照射源が、CO_(2)レーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、及びLEDランプから選択される少なくとも1種である前記<26>に記載の立体造形物の製造方法である。
<28> 前記<26>から<27>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法により製造されることを特徴とする立体造形物である。
【0155】
前記<1>から<24>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末、前記<25>に記載の立体造形物の製造装置、前記<26>から<27>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、及び前記<28>に記載の立体造形物は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0156】
【特許文献1】特表2014-522331号公報
【特許文献2】特表2013-529599号公報
【特許文献3】特表2015-515434号公報
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱体の粒子(ただし、柱体の周側面に前記柱体を覆う管状層を有してなる二重構造のものを除く。)を含み、
前記柱体の粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.5倍以上2倍以下であり、
50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径/個数平均粒径が2.00以下であり、
平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.83以上であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末。
【請求項2】
前記粒子が略円柱体であり、前記略円柱体の底面における直径が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下であるか、又は
前記粒子が直方体であり、前記直方体の底面における各辺が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下である請求項1に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項3】
体積平均粒径/個数平均粒径(Mv/Mn)が、1.30以下である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項4】
比重が、0.8g/mL以上である請求項1から3のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項5】
前記底面における直径又は長辺に対する高さの比が、0.7倍以上2倍以下である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項6】
ISO 3146に準拠して測定したときの融点が、100℃以上である請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項7】
下記(1)?(3)から選択される少なくとも1種を満たす請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
(1)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf2としたときに、Tmf1>Tmf2となり、かつ(Tmf1-Tmf2)≧3℃となる。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から-15mW下がった時点での温度である。
(2)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd1とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd2としたときに、Cd1>Cd2となり、かつ(Cd1-Cd2)≧3%となる。
(3)X線回折測定により得られる結晶化度をCx1とし、窒素雰囲気下10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温し、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、さらに、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときのX線回折測定により得られる結晶化度をCx2としたときに、Cx1>Cx2となり、かつ(Cx1-Cx2)≧3%となる。
【請求項8】
前記50%累積体積粒径が、20μm以上70μm以下である請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項9】
ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリアセタール、ポリイミド、及びフッ素樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1から8のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項10】
前記ポリアミドが、ポリアミド410、ポリアミド4T、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド9T、ポリアミド10T、及びアラミドから選択される少なくとも1種である請求項9に記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項11】
前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ乳酸から選択される少なくとも1種である請求項9から10のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項12】
前記ポリアリールケトンが、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、及びポリエーテルケトンケトンから選択される少なくとも1種である請求項9から11のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項13】
平均円形度が、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.85?0.89である請求項1から12のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項14】
強化剤をさらに含む請求項1から13のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項15】
難燃剤をさらに含む請求項1から14のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項16】
前記柱体の粒子の含有量が、30質量%以上である請求項1から15のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末が貯蔵されている供給槽と、
前記立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する層形成手段と、
前記層の選択された領域内の樹脂粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
【請求項18】
請求項1から16のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末を含む層を形成する成膜工程と、
前記成膜された膜に電磁照射し、溶融させた後に冷却後硬化する硬化工程とを繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-12-04 
出願番号 特願2017-138273(P2017-138273)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B29C)
P 1 651・ 161- YAA (B29C)
P 1 651・ 113- YAA (B29C)
P 1 651・ 537- YAA (B29C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 辰己 雅夫  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 渕野 留香
植前 充司
登録日 2018-09-14 
登録番号 特許第6399165号(P6399165)
権利者 株式会社リコー
発明の名称 立体造形用樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 バーナード 正子  
代理人 廣田 浩一  
代理人 廣田 浩一  
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