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審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  A63F
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1359527
異議申立番号 異議2019-700444  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-05-31 
確定日 2019-12-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6433956号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6433956号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について、訂正することを認める。 特許第6433956号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6433956号の請求項1に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成23年8月2日に出願した特願2011-169396号の一部を平成28年9月16日に新たな特許出願(特願2016-181962号)としたものであり、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

平成30年11月16日:特許権の設定登録
平成30年12月 5日:特許掲載公報発行
令和 1年 5月31日:特許異議の申立て(特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社)
令和 1年 8月 6日:取消理由通知書
令和 1年10月 7日:訂正請求書及び意見書
令和 1年10月10日:通知書(訂正請求があった旨の通知)
令和 1年11月14日:意見書(特許異議申立人)

第2 本件訂正請求について
令和1年10月7日付け訂正請求書によりなされた訂正請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求によりなされた訂正を「本件訂正」という。)は、本件特許の明細書、特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである。

1 訂正請求の内容
本件訂正請求は、本件特許の明細書、特許請求の範囲について、以下のとおり訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項1
特許権者は、本件特許の請求項1に、「付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段とを備え、」と記載した後に、
「前記特定状態は、味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態であり、
前記特定状態においては、当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであり、」(下線は、合議体が付した。以下同様。)を加える訂正を請求する。

(2)訂正事項2
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて成立可能な特定条件が少なくとも2回以上成立することにより成立し、」とあったものを、
「前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立し、」と訂正することを請求する。

(3)訂正事項3
特許権者は、本件特許の請求項1に、「前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果が前記第1結果と異なる第2結果となったことに応じて成立可能であって、」とあったものを、
「前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立し、」と訂正することを請求する。

(4)訂正事項4
特許権者は、本件特許の請求項1に、
「前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記特定条件が成立していなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していないときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与する、スロットマシン。」とあったものを、
「前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期間の期待値が高くなるように特典を付与する、スロットマシン。」と訂正することを請求する。

(5)訂正事項5
特許権者は、本件特許の明細書の段落【0009】において、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
開始条件が成立してから終了条件が成立するまでの複数回のゲームに亘って特定状態に制御可能な特定状態制御手段と、
付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段とを備え、
前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて成立可能な特定条件が少なくとも2回以上成立することにより成立し、
前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果が前記第1結果と異なる第2結果となったことに応じて成立可能であって、
前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記特定条件が成立していなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していないときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与する。
なお、スロットマシンは、以下の構成を備えるものであってもよい。
(1) 遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(スロットマシン1)であって、
開始条件が成立(バトル演出当選)してから終了条件が成立(味方ポイントが「0」)するまで特定状態(バトル演出)に制御する特定状態制御手段(図11のS07、図12)と、
遊技者にとって有利な特典(ナビストックなど)を付与する特典付与手段(図12のS17、S19)とを備え、
前記特定状態において特定条件(敵方キャラクタからの攻撃)が少なくとも2回以上成立することにより、前記終了条件は成立し(図16)、
前記特典付与手段は、前記特定状態において前記終了条件が成立するまでに付与条件が成立した場合(図12のS15でYES)、当該付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していた特定成立回数が、所定回数(「0」)を超えているときよりも当該所定回数以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する(図17(a)および(b)のテーブル参照、図12のS17におけるナビストック数決定よりもS19におけるナビストック数決定の方が有利度合いが高い)。」とあったものを、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
開始条件が成立してから終了条件が成立するまでの複数回のゲームに亘って特定状態に制御可能な特定状態制御手段と、
付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段とを備え、
前記特定状態は、味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態であり、
前記特定状態においては、当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであり、
前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立し、
前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立し、
前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期間の期待値が高くなるように特典を付与する。
なお、スロットマシンは、以下の構成を備えるものであってもよい。
(1) 遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(スロットマシン1)であって、
開始条件が成立(バトル演出当選)してから終了条件が成立(味方ポイントが「0」)するまで特定状態(バトル演出)に制御する特定状態制御手段(図11のS07、図12)と、
遊技者にとって有利な特典(ナビストックなど)を付与する特典付与手段(図12のS17、S19)とを備え、
前記特定状態において特定条件(敵方キャラクタからの攻撃)が少なくとも2回以上成立することにより、前記終了条件は成立し(図16)、
前記特典付与手段は、前記特定状態において前記終了条件が成立するまでに付与条件が成立した場合(図12のS15でYES)、当該付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していた特定成立回数が、所定回数(「0」)を超えているときよりも当該所定回数以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する(図17(a)および(b)のテーブル参照、図12のS17におけるナビストック数決定よりもS19におけるナビストック数決定の方が有利度合いが高い)。」と訂正することを請求する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1
訂正事項1は、本件特許の明細書【0009】、【0246】、【0247】、【0275】及び【0277】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「特定状態」が、「味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態」であること、「当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであ」ることに限定するものである。

(2)訂正事項2
訂正事項2は、本件特許の明細書【0009】、【0247】、【0270】、【0288】、【0289】、【0291】、【0301】及び【0302】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「前記終了条件」が、「前記特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて成立可能な特定条件が少なくとも2回以上成立することにより成立」するものから、「前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立」することに限定するものである。

(3)訂正事項3
訂正事項3は、本件特許の明細書【0247】、【0270】、【0279】ないし【0282】、【0291】ないし【0294】、【0297】及び【0333】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「前記付与条件」が、「前記特定状態におけるゲームの結果が前記第1結果と異なる第2結果となったことに応じて成立可能」であるものから、「前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立」することに限定するものである。

(4)訂正事項4
訂正事項4は、本件特許の明細書【0016】、【0018】、【0292】ないし【0298】、【0333】、【0334】、【0342】、【0343】及び【0348】の記載に基づいて、訂正前の請求項1の「前記特典付与手段」が、「前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記特定条件が成立していなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していないときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与する」ものから、「前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期間の期待値が高くなるように特典を付与する」ことに限定するものである。
特に請求項1に「前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期間の期待値が高くなるように特典を付与する」(以下「特別回数に関する特定事項」という。)を追加する訂正については、本件特許の明細書の段落【0343】に、「前述した実施の形態においては、遊技者にとっての有利度合いを異ならせる境目となる回数として、敵方キャラクタからの攻撃回数が「0」である例について説明したが、これに限らず、敵方キャラクタからの攻撃回数が「1」など、予め定められた回数であればよい。また、遊技者にとって有利度合いを異ならせる境目となる回数として、所定回数だけに限らず、所定回数を超える予め定められた特別回数を設けてもよい。たとえば、所定回数として「0」が定められており、特別回数として「2」が定められている場合において、敵方キャラクタから攻撃を受けてしまった場合においても、敵方キャラクタからの攻撃回数が特別回数として定められた「2」を超えているときよりも、「2」以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典としてのナビストックを付与するようにしてもよい。これにより、敵方キャラクタから攻撃を受けてしまった後においても、敵方キャラクタからの攻撃回数が特別回数以下で味方キャラクタが勝利することに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。その結果、敵方キャラクタから攻撃を受けた後においても、有利度合いが高くなるように特典としてのナビストックが付与されることに対する期待感を持続させることができる。」と記載されている。当該記載からみて、有利度合いを異ならせる境目となる回数として、例えば「0」(所定回数)に加えて、さらに、例えば「2」(特別回数)を設定することが読み取れる。
してみると、訂正事項4における上記「特別回数に関する特定事項」は、本件特許の明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(5)訂正事項5
訂正事項5は、訂正事項1ないし4に係る訂正により、本件特許の明細書の段落【0009】の記載が特許請求の範囲の請求項1の記載と整合が取れなくなったことを是正するものであるから、当該訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(6)上記(1)ないし(5)のとおりであるから、請求項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(7)小括
上記(1)ないし(6)のとおり、本件訂正請求による訂正事項1ないし5は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項1について本件訂正が認められるから、請求項1に係る特許は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によりそれぞれ特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 開始条件が成立してから終了条件が成立するまでの複数回のゲームに亘って特定状態に制御可能な特定状態制御手段と、
D 付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段とを備え、
E 前記特定状態は、味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態であり、
F 前記特定状態においては、当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであり、
G 前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立し、
H 前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立し、
I 前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
J 前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
K 前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し、
L 前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期間の期待値が高くなるように特典を付与する、
M スロットマシン。」

第4 特許異議の申立てについて
1 特許異議の申立ての概要
(1)理由1:本件訂正前の請求項1に発明(以下「訂正前発明」という。)は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1及び2号証に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

甲第1号証:特開2003-210673号公報
甲第2号証:田窪千津子編集、「パチスロ攻略マガジンドラゴン2010年3月号」、第9巻第3号通巻119号、株式会社双葉社、2010年1月21日、第96頁ないし第103頁
なお、特許異議申立人が提出した甲号証を以下「甲1」等という。

(2)理由2:平成30年8月24日(注:申立書では「8月2日」(申立書48頁16行)又は「8月4日」(申立書49頁14行)となっているが「8月24日」の誤記である。)提出の手続補正書でした補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

平成30年8月24日提出の手続補正書でした補正により、訂正前発明における「前記特典付与手段は、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記特定条件が成立していなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、」との構成は、当初明細書等の段落【0298】の「・・・完全勝利時のときの方が、ノーマル勝利時のときよりも、より多くのナビストック数を獲得できる可能性が高いため、遊技者にとって有利度合いが高いといえる。」に対応するものの、当初明細書等に記載されている技術以外のものを含む構成となっている。
そうすると、平成30年8月24日提出の手続補正書でした補正は、本件特許の当初明細書等に記載された事項の範囲を超えているものと認められ、新たな技術的事項を導入するものである。

2 令和1年8月6日付け取消理由通知の概要
訂正前発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記甲1及び2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

甲1に記載された発明におけるバトル演出で勝利した際に、モンスターの強弱ではなく、主人公がモンスターからの攻撃を受けたか否かで、BR(特典)の獲得できる回数の軽重を決定するようにして訂正前発明のようになすことは、甲2記載事項における甲賀が10人のまま勝てば「追想の刻」ゲーム数を30G以上獲得するものであるという構成に接した当業者であれば容易に想到し得たものである。

第5 当合議体の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)甲1
特許異議申立人が提出した甲1であり、本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて利用可能となり、上記取消理由通知で引用された特開2003-210673号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の遊技機の一実施例である停止ボタン付スロットマシン、いわゆるパチスロ遊技機の外観図である。パチスロ遊技機1は、合板製の箱形キャビネット2に全面ドア3を開閉自在に取り付けている。全面ドア3の上部にはボーナス遊技が発生した場合やエラーが発生した場合などにそれぞれ異なった表示形態で発光点滅する遊技状態表示ランプ4と、遊技中の効果音やエラー音などを出力するスピーカー5L、5Rと、各入賞役の払出枚数や簡単な遊技説明が表記された配当表6が設けられている。全面ドア3の中央部には略垂直面のパネル表示部7が設けられており、中央部には縦長矩形の表示窓が3カ所(左表示窓8L、中表示窓8C、右表示窓8R)が設けられ、キャビネット内のリール(左リール9L、中リール9C、右リール9R)を視認可能となっている。これらのリール3L、3C、3Rは外周面に複数の図柄が配置されて回転自在となっており、表示窓8L、8C、8Rと共に変動表示手段を構成している。」

イ 「【0046】リール9L、9C、9Rが回転を開始して一定の時間が経過して定速回転状態となると、停止ボタン27L、27C、27Rの操作が有効化される。遊技者が停止操作を行うと、リール停止信号回路118を介してリール停止信号がCPU103に入力され、停止位置の選択などのソフト的な処理が行われた後、モータ駆動回路111を介してステッピングモータ112L、112C、112Rに停止パルスが供給され、リール9L、9C、9Rが停止制御される。
・・・略・・・
【0048】リール9L、9C、9Rが全て停止した場合入賞検索を行う。入賞検索は、まず、ROM104に記憶されている図柄テーブルと、RAM105に記憶されている図柄停止位置を照合して、表示窓8L、8C、8Rに停止している今回のゲームの停止態様がどのような状態かを把握する。図柄テーブルとは、リール9L、9C、9Rの外周面に描かれた図柄列と対応して構成され、基準位置からの図柄の順番を表すコードナンバーと、コードナンバーに対応して設けられた図柄コードを対応させたもので、ソフト的なリール帯の役割を果たす。次に、それぞれの有効ラインL1、L2A、L2B、L3A、L3Bについて、その停止態様とROM104に記憶されている入賞図柄組み合わせテーブルを照合して入賞の有無を判定する。入賞図柄組み合わせテーブルとは、入賞図柄の組み合わせと入賞した際の配当コイン枚数などが対応づけられたもので、遊技状態によって有効になる入賞図柄組み合わせや配当枚数を異ならせる場合など、この入賞図柄を切り替えて処理を行う。」

ウ 「【0069】遊技補助期間は、一般遊技中に行われる所定の判定処理で一定の条件を満たすことで発生する。具体的には、ある入賞役が発生した場合、その入賞役に対して設定された価値としてのポイントが予め定めた上限値(10ポイント)より減算され、所定期間内にその減算結果が0ポイントとなったとき補助期間の発生となる。一例としては、一般遊技中に液晶表示装置14の表示画面上に表示される演出として、主人公のキャラクタと敵のキャラクタが戦う様子を表示する演出(以下「バトル演出」という)が表示され、そのバトル演出に主人公キャラクタが勝利した場合、ソフトウェアの処理としては、後述する「バトル判定処理」において、モンスターのHP(ヒットポイント:体力)が0と判定されたときに補助期間の発生が決定される。バトル演出処理中において入賞が成立したとき、その入賞役に定められた攻撃ポイント(登場するモンスターによってその減算割合が異なる)がモンスターのHP初期値10ポイントから減算され、当該HPが0となったとき、補助期間の発生が決定されるのである。詳細は後述する。」

エ 「【0075】図9は登場するモンスターの種別を表したもので、本実施例では、「ミカポム」、「クロッカ」、「ヒーゴ」の3種類が登場し、後述する「バトル継続回数」として、いずれのモンスターも7回に設定されている。モンスターに勝利することで得られる遊技補助期間であるバトルラッシュ(以下「BR」と略記する)の継続ゲーム回数はモンスター毎に異なった設定となっていて、強いモンスター(勝利しづらいモンスター)に勝利すれば、それだけ与えられるBRゲーム回数も多くなっている
・・・略・・・
【0079】また下方にはダメージゲージ308L、308Rが表示される。これは、バトル演出中に、モンスター306の残りHPをモンスター体力ゲージ308Lで、主人公303の残りHPを主人公体力ゲージ308Rで表すもので、戦闘開始画面では両者ともにHP10が設定されており、ゲーム回数が進み戦闘が展開されていくに従って、互いにダメージを負ってゆく。負ったダメージ量によってモンスター体力ゲージであれば左側から右側に、主人公体力ゲージであれば右側から左側に消滅してゆき、いずれかのキャラクタのHPが0になったとき、バトル演出は終了する。モンスター306に与えるダメージ量は、入賞した入賞役の種類によって決定される。ただし、同一の入賞役であってもモンスター306の種類によってダメージ量が異なる。
・・・略・・・
【0081】図11(b)では、主人公303がモンスター306に対し攻撃している様子を示している。このような表示がなされるのは、1ゲームの結果として入賞が発生した場合である。逆に、ゲーム結果がハズレだった場合、主人公303がモンスターより攻撃を受ける。尚、入賞種別により主人公303の攻撃パターンが変化し、例えば図12に示すように、チェリーが入賞した場合、主人公303はモンスター306に対し炎を発射する「火炎攻撃」を行い、「リプレイ」が入賞した場合、主人公303はモンスター306に対し氷を発射する「冷凍攻撃」を行い、「スイカ」が入賞した場合、主人公303は地震を引き起こしモンスター306を攻撃する「地震攻撃」を行い、「ベル」に入賞した場合、主人公303はモンスター306に対し稲妻を落とす「稲妻攻撃」を行い、SBに入賞した場合、主人公303は天空から光の輪を光臨させ、モンスター306のHPを奪う「閃光攻撃」を行う。またモンスター306には、その種別により「属性」が定められており、例えば、ミカポムは火属性であり冷凍攻撃に弱く、リプレイ(冷凍攻撃)が一度でも入賞すれば10ポイントのダメージが与えられ、一撃で倒すことが可能となる。逆に、チェリー(火炎攻撃)が入賞しても、1ポイントしかダメージを与えることができない。同様にクロッカは水属性なのでチェリー入賞(火炎攻撃)で大ダメージを与えられるが、リプレイ(冷凍攻撃)では少しのダメージしか与えることができない。ヒーゴは地属性なのでこれといった弱点はなく、倒すことが困難である。SB(閃光攻撃)はすべてのモンスターに大ダメージを与えることができ、一撃で倒すことが可能である。
【0082】図11(c)ではモンスター体力ゲージ308Lが0になって、主人公が勝利したことを表している。このようにバトル演出期間内において主人公303がモンスター306を倒すことができたときは、その後遊技補助期間であるBRが発生する。尚、BRが継続されるゲーム数(以下、「BR継続回数」という)は前述したようにミカポムは30ゲーム、クロッカは60ゲーム、ヒーゴは120ゲームである。」

オ 「【0139】図32はスタート時の演出制御処理を示すフローチャートである。初めに、サブCPU203は、バトル発生抽選処理を行う(ST500)。バトル発生抽選処理は、1ゲーム毎にバトル演出を発生させるか否かの抽選を行うものである。詳細は後述する。続いてBR実行処理を行う(ST550)。BR実行処理は、BR中に停止順序報知を行うものである。詳細は後述する。
【0140】図33はバトル発生抽選処理を示すフローチャートである。まずサブCPU203は、サブRAM205に記憶されているバトル発生フラグをチェックし、現在バトル中であるか否かの判別を行い(ST501)、“YES”のときはそのままスタート時の演出制御処理に復帰する。“NO”のときは、選択用乱数値とサブROM204に記憶されているバトル発生テーブル(図10)とを照合し、バトルを発生させるか否かの抽選を行う(ST502)。そしてその抽選結果がハズレであれば、スタート時の演出制御処理に復帰し、当選であればST504に移る(ST503)。ST504では、サブRAM205に記憶されている受信フラグを参照し、今回のゲームにおいてボーナス入賞役に内部当選したか否かを判別する(ST504)。本実施例では、バトル演出及びBRのいずれとも、ボーナス入賞役が内部当選した場合、その処理を中断するように構成している。よってST504の判別が“YES”のときは、仮にバトル演に発生抽選に当選した場合でも処理を中断して、スタート時の演出制御処理に復帰する。ST504の判別が“NO”のときは、バトル発生処理を継続し、サブRAM205に記憶されているバトル発生フラグをオン、モンスター種別フラグをセットし(ST505)、モンスター種別に従って、サブRAM205のBR継続回数カウンタにBR継続回数をセットし(ST506)、バトルの発生演出を行って(ST507)、スタート時の演出制御処理に復帰する。
・・・略・・・
【0144】ST706からはバトルの勝敗を判定する処理を行う。まず、サブRAM205に記憶されているモンスターHPカウンタを参照し、0以下か否かを判別する(ST706)、この判別が“NO”のときはST711に移り、判別が“YES”のとき、すなわちモンスター306を倒したときはBR突入条件を満足したことになるので、サブRAM205に記憶されているBRフラグ、及びBR突入演出フラグをオンする(ST707)。次にそれぞれのモンスター306の種別に応じてサブRAM205のBR継続回数カウンタに継続回数をセットする(ST708)。BR継続回数は、図9のモンスター種別表にある通り、「ミカポム」であれば30ゲーム、「クロッカ」であれば60ゲーム、「ヒーゴ」であれば120ゲームである。次に、サブCPU203は、獲得した経験値により職業のレベルが変化する「レベルチェンジ処理」を行い(ST709)、バトル発生フラグをオフにして(ST712)、バトル成功演出フラグに基づいて成功演出を行い(ST713)、1遊技終了時の遊技制御処理に復帰する。」

カ 上記アないしオから、甲1には、実施例として、次の発明が記載されているものと認められる。
「a1 外周面に複数の図柄が配置されて回転自在となっており、表示窓8L、8C、8Rと共に変動表示手段を構成する、リール9L、9C、9R(【0020】)を備え、
b1 リール9L、9C、9Rが回転を開始して一定の時間が経過して定速回転状態となり、遊技者が停止操作を行うと停止制御され(【0046】)、表示窓8L、8C、8Rに停止しているリール9L、9C、9Rの停止態様と入賞図柄組み合わせテーブルを照合して入賞の有無を判定する(【0048】)、スロットマシン(【0020】)であって、
c1、e1 バトル発生抽選処理を行い、当選であれば、バトル演出を発生させ(【0140】)、ゲーム回数が進み、主人公303及びモンスター306の何れかのキャラクタのHP(ヒットポイント:体力)10が0になったときにバトル演出を終了させ(【0069】、【0079】)、
d1 バトル演出に主人公303が勝利してモンスター306のHPが0と判定されたときに遊技補助期間であるバトルラッシュ(BR)の発生を決定する(【0069】、【0075】)、
サブCPU203(【0139】)を備え、
f1、g1 ダメージ量は、入賞した入賞役の種類によって決定され(【0079】)、1ゲームのゲーム結果がハズレだった場合、主人公303がモンスター306より攻撃を受け(【0081】)、
h1 1ゲームの結果として入賞が発生した場合、主人公303がモンスター306に対し攻撃し(【0081】)、バトル演出期間内において主人公303がモンスター306を倒すことができたときは、その後BRが発生(【0082】)し、
i1、j1、k1 BRの継続ゲーム回数はモンスター毎に異なった設定となっていて、強いモンスター(勝利しづらいモンスター)に勝利すれば、それだけ与えられるBRゲーム回数も多くなっているものであり(【0075】)、該BRゲーム回数は、モンスターが、「ミカポム」であれば30ゲーム、「クロッカ」であれば60ゲーム、「ヒーゴ」であれば120ゲームである(【0082】、【0144】)、
m1 スロットマシン(【0020】)。」(以下、「甲1発明」という。なお、記号a1ないしm1については、本件発明のAないしMに対応するように合議体が付し、引用箇所を併記した。)。

(2)甲2
特許異議申立人が提出した甲2であり、本件特許の出願前に頒布され、上記取消理由通知で引用された刊行物である「田窪千津子編集、「パチスロ攻略マガジンドラゴン2010年3月号」、第9巻第3号通巻119号、株式会社双葉社、2010年1月21日、第96頁ないし第103頁」には、次の事項が記載されている。
ア 「

」(99頁右上欄)

イ 「

」(99頁右下欄)

ウ 「

」(102頁左上欄)

エ 「

」(102頁右中欄)

オ 上記アないしエからみて、甲2には、以下の事項が記載されているものと認められる。
「c2、d2 「追想の刻」及び「争忍の刻」の2種のステージからなるART「バジリスクタイム」において、「追想の刻」で獲得ゲーム数を全て消化した後、「争忍の刻」に移行し、該「争忍の刻」は、味方である甲賀が敵である伊賀に勝利して「追想の刻」へ再度移行するか又は所定ゲーム数を消化するまで継続し(99頁右下欄、102頁左上欄)、
i2 「争忍の刻」で、甲賀が10人登場し、この10人のまま勝てば、ARTゲーム数・モード昇格抽選が優遇され(102頁左上欄)、
j2 甲賀が勝てば、「追想の刻」ゲーム数を10G以上獲得し(102頁右中欄の表)、
k2 甲賀が10人のまま勝てば、「追想の刻」ゲーム数を30G以上獲得する(102頁左上欄、同頁右中欄の表)、
m2 「バジリスク甲賀忍法帖」と称されるパチスロ機(99頁右上欄の画像)。」(以下「甲2の記載事項」という。なお、記号c2等については、本件発明のC等に対応するように合議体が付し、引用箇所を併記した。)

(3)甲3
特許異議申立人が令和1年11月14日付け意見書の添付書類として提出した甲3であり、本件特許の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて利用可能となった特開2008-200353号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【0028】
そして、本願発明に係るスロットマシンは、プレイヤがベットしたベット額に応じて遊技価値を消費して行う通常ゲームと、遊技価値を消費することなく行うフリーゲームの2種類のゲームに加えて、フリーゲーム中にフリーゲームと異なるサブゲームを行うことを特徴とする。また、サブゲームのゲーム結果に応じてプレイヤに利益を付与することを特徴とする。ここで、プレイヤに付与する利益としては、例えば、(1)通常ゲームからフリーゲームへと切り替わる確率を上昇させること、(2)現在実行するフリーゲームのゲーム回数を増加させること、(3)現在実行するフリーゲームの終了後に連続してフリーゲームを実行すること等がある。
【0029】
例えば、図1には本願発明を3列のリール5?7を備えたスロットマシンに適用した例を示す。スロットマシンにおいて通常ゲームが開始されると、各リール5?7が回転を開始し、シンボル列のスクロール表示が行われる。そして、所定時間が経過すると左から順にリール5?7が回転を停止し、各シンボル表示領域に対して最大9個のシンボルが表示される。ここで、ペイラインLに沿って「CHANCE」のシンボルが3つ揃って停止すると、通常ゲームからフリーゲームへとゲームモードが切り替わる。
そして、フリーゲーム中において、再び図1(1)に示すようにペイラインLに沿って「CHANCE」のシンボルが3つ揃って停止すると、図1(2)に示すようにフリーゲーム中にサブゲームが開始される。尚、サブゲームは複数種類あり、サブゲームが開始される前に実行されるサブゲームが毎回選択されるが、図1ではシャッフルされる複数枚のカードから当たりのカードを引き当てるサブゲームが選択された場合を説明する。
サブゲームではメイン液晶パネル11Bに対して「当たりカード」と「ハズレカード」を含む複数枚のカードが表示され、カードのシャッフルが行われる。そして、図1(3)に示すようにサブゲーム中に計3回、プレイヤの勝利条件である「当たりカード」を引いた場合には、図1(4)に示すように、フリーゲームが終了した後に通常ゲームからフリーゲームへと切り替わる確率を通常より上昇させた特別遊技状態に基づく通常ゲームが開始される。尚、その際の特別遊技状態に基づく通常ゲームが実行される期間は、サブゲームにおいて「当たりカード」を3回引く条件を満たすまでに要したカードを引く回数によって変化し、3回で条件を満たした場合には20ゲーム、4回で条件を満たした場合には10ゲーム、5回で条件を満たした場合には5ゲームとなる。一方、サブゲーム中に計3回、プレイヤの敗北条件である「ハズレカード」を引いた場合には、フリーゲームを終了した後に特別遊技状態が開始されることなく、一般遊技状態に基づいた通常ゲームが行われる。」

イ 「【0069】
以下には、特にサブゲームとして「シャッフルカードゲーム」が選択された場合を例に挙げて説明する。図11乃至図13はサブゲームとして「シャッフルカードゲーム」が選択された場合にメイン液晶パネル11Bに表示されるゲーム画面を示した図である。「シャッフルカードゲーム」が行われると、先ず、3枚のカード94?96がメイン液晶パネル11Bのシンボル表示部15?17の下方に対して表示される。3枚のカード94?96の内、一枚は『WIN』の文字が描かれた「当たりカード」であり、その他の2枚は何も描かれていない「ハズレカード」である。3枚のカード94?96は種別が判断できないように裏返しになった後にシャッフルされ、その後に、図11に示すように整列して配置される。そして、プレイヤは配置された3枚のカード94?96の内から一枚のカードをタッチパネル18により選択する。その結果、図11に示すように『WIN』の文字が描かれた「当たりカード」を引き当てた場合にはプレイヤの勝利となる。一方、何も描かれていない「ハズレカード」を引き当てた場合にはプレイヤの敗北となる。その際、勝敗表示部97には、プレイヤの勝利条件を満たした回数と敗北条件を満たした回数がそれぞれ表示される。
そして、プレイヤの勝利条件を3回満たした場合には、サブゲームを終了するとともに継続して残りのゲーム回数分のフリーゲームが実行される。更に、フリーゲームが終了すると、フリーゲーム開始条件が成立する確率が上昇した特別遊技状態に基づく通常ゲームが所定ゲーム回数分実行される。尚、その際の特別遊技状態に基づく通常ゲームのゲーム回数は、サブゲームのゲーム結果に基づいて決定される。例えば、「シャッフルカードゲーム」ではフリーゲームの回数はプレイヤの勝利条件を3回満たすまでに要したカードを引く回数によって変化し、3回で条件を満たした場合には20ゲーム、4回で条件を満たした場合には10ゲーム、5回で条件を満たした場合には5ゲームとなる。一方、プレイヤの敗北条件を3回満たした場合には、フリーゲーム終了後に一般遊技状態に基づく通常ゲームが実行される。」

ウ 上記ア及びイからみて、甲3には、以下の事項が記載されているものと認められる。
「b3 プレイヤがベットしたベット額に応じて遊技価値を消費して行う通常ゲームと、遊技価値を消費することなく行うフリーゲームの2種類のゲームに加えて、フリーゲーム中にフリーゲームと異なるサブゲームを行うスロットマシンにおいて(【0028】)、
i3、j3、k3、l3 サブゲーム中に計3回、プレイヤの勝利条件である「当たりカード」を引いた場合には、フリーゲームが終了した後に通常ゲームからフリーゲームへと切り替わる確率を通常より上昇させた特別遊技状態に基づく通常ゲームが開始され、
その際の特別遊技状態に基づく通常ゲームが実行される期間は、サブゲームにおいて「当たりカード」を3回引く条件を満たすまでに要したカードを引く回数によって変化し、3回で条件を満たした場合には20ゲーム、4回で条件を満たした場合には10ゲーム、5回で条件を満たした場合には5ゲームとなり、
一方、サブゲーム中に計3回、プレイヤの敗北条件である「ハズレカード」を引いた場合には、フリーゲームを終了した後に特別遊技状態が開始されることなく、一般遊技状態に基づいた通常ゲームが行われる(【0029】)、
m3 スロットマシン(【0028】)。」(以下「甲3の記載事項」という。なお、記号b3等については、本件発明のB等に対応するように合議体が付し、引用箇所を併記した。)

(4)対比
ア 本件発明と甲1発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(m)は、本願補正発明のAないしMに対応させている。
(a)甲1発明の「複数の図柄」及び「変動表示手段」は、それぞれ本件発明の「複数種類の識別情報」及び「変動表示可能な可変表示部」に相当する。そして、甲1発明は、外周面に複数の図柄が配置されて回転自在となっているリール9L、9C、9Rと、表示窓8L、8C、8Rとで変動表示手段を構成しているのであるから、本件発明の「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、」に相当する構成を備える。
(b)(m)甲1発明の「表示窓8L、8C、8Rに停止しているリール9L、9C、9Rの停止態様と入賞図柄組み合わせテーブルを照合して入賞の有無を判定する、スロットマシン」は、本件発明の「B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。
(c)甲1発明の「バトル発生抽選処理を行い、当選」、「キャラクタのHP(ヒットポイント:体力)10が0になったとき」及び「バトル演出」は、それぞれ本件発明の「開始条件が成立」、「終了条件が成立」及び「特定状態」に相当する。そして、甲1発明は、バトル発生抽選処理を行い、当選(開始条件)であれば、バトル演出(特定状態)を発生させ、ゲーム回数が進み、主人公303及びモンスター306の何れかのキャラクタのHP10が0になったときにバトル演出(特定状態)を終了させるのであるから、本件発明の「C 開始条件が成立してから終了条件が成立するまでの複数回のゲームに亘って特定状態に制御可能な特定状態制御手段」に相当する構成を備える。
(d)甲1発明の「バトル演出に主人公303が勝利してモンスター306のHPが0と判定されたとき」及び「遊技補助期間であるバトルラッシュ(BR)」は、本件発明の「付与条件の成立」及び「遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典」に相当する。そして、甲1発明は、バトル演出に主人公303が勝利してモンスター306のHPが0と判定されたとき(付与条件の成立)に、遊技補助期間であるバトルラッシュ(BR)(特典)の発生を決定するのであるから、本件発明の「D 付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段」に相当する構成を備える。
(e)甲1発明の「主人公303」及び「モンスター306」は、それぞれ本件発明の「味方キャラクタ」及び「敵キャラクタ」に相当する。そして、上記(c)、(d)から明らかなとおり、甲1発明は、主人公303(味方キャラクタ)とモンスター306(敵キャラクタ)とがバトルを展開するものであるから、バトル演出が本件発明の「E 前記特定状態は、味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態であり、」に相当する構成を備える。
(f)甲1発明のf1、g1の「1ゲームのゲーム結果がハズレだった場合」、h1の「1ゲームの結果として入賞が発生した場合」は、それぞれ本件発明の「第1結果」、「第2結果」に相当する。そして、甲1発明は、1ゲームのゲーム結果がハズレだった場合(第1結果)、主人公303(味方キャラクタ)がモンスター306(敵キャラクタ)より攻撃を受け、1ゲームの結果として入賞が発生した場合(第2結果)、主人公303(味方キャラクタ)がモンスター306(敵キャラクタ)に対し攻撃するものであるから、本件発明の「F 前記特定状態においては、当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであり、」に相当する構成を備える。
(g)甲1発明のf1、g1における「主人公303がモンスター306より攻撃を受け」ることは、本件発明の「前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け」ることに相当し、モンスター306(敵キャラクタ)より攻撃を受けることにより主人公(味方キャラクタ)が敗北して(終了条件)バトル演出が終了するものである。そうすると、甲1発明の「g1 ダメージ量は、入賞した入賞役の種類によって決定され、ゲーム結果がハズレだった場合、主人公303がモンスター306より攻撃を受け、」と、本件発明の「G 前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立し、」とは、「G’前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けることにより成立し、」で共通する。
(h)甲1発明のh1は、主人公303(味方キャラクタ)がモンスター306(敵キャラクタ)に対し攻撃し、バトル演出期間内において主人公303がモンスター306を倒すことができたときは、その後BRが発生するものであるから、甲1発明は、本件発明の「H 前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立し、」に相当する構成を備える。
(i)(j)(k)(l)甲1発明のi1、j1、k1は、倒したモンスターが「ミカポム」又は「クロッカ」(所定態様)のときにそれぞれ30又は60ゲームのBRゲームを獲得し、倒したモンスターが「ヒーゴ」であるとき、すなわち、「ミカポム」又は「クロッカ」(所定態様)でないときに、30又は60ゲームより長い期間である120ゲームのBRゲームを獲得するから、甲1発明のi1、j1、k1と、本件発明のI、J、Kとは、「I’、J’、K’ 前記特典付与手段は、所定の条件において前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において当該特定状態において前記所定の条件のときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し」ている点で共通するといえる。

イ 上記アからみて、本件発明と甲1発明とは、
「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 開始条件が成立してから終了条件が成立するまでの複数回のゲームに亘って特定状態に制御可能な特定状態制御手段と、
D 付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段とを備え、
E 前記特定状態は、味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態であり、
F 前記特定状態においては、当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであり、
G’前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けることにより成立し、
H 前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立し、
I’、J’、K’ 前記特典付与手段は、
所定の条件において前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記所定の条件のときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与している、
M スロットマシン。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項G)
「前記終了条件」は、
本件発明では、「前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立」するのに対し、
甲1発明では、そのような特定はない点。

・相違点2(特定事項IないしL)
「所定の条件において前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において当該特定状態において前記所定の条件のときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し」ている「特典付与手段」は、
本件発明では、「前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期間の期待値が高くなるように特典を付与する」のに対し、
甲1発明では、強いモンスターに勝利すれば、他のモンスターに勝利するより、与えられるBRゲーム回数(特典)も多くしているものの、本件発明のような特定はされていない点。

(5)判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。
ア 上記甲2の記載事項(上記(2)オ)及び上記甲3の記載事項(上記(3)ウ)からみて、両者の共通点は、スロットマシンの演出において、特定状態のゲーム結果に応じて有利期間に長短を設定する点であり、当該共通点が周知技術といえるかもしれない。
イ しかしながら、仮に前記共通点が周知技術だとしても、甲1発明は、BRの継続ゲーム回数がモンスター毎に異なった設定となっていて、強いモンスター(勝利しづらいモンスター)に勝利すれば、それだけ与えられるBRゲーム回数も多くなっているものであるから、既に前記周知技術を備えるものである。そうすると、既に周知技術を備える甲1発明に、さらに同じ周知技術を重畳的に適用することになるとともに、そもそも、当該周知技術は、上記相違点2に係る本件発明の構成、特に上記「特別回数に関する特定事項」(上記第2の2(4))を備えないものであるから、当業者が前記周知技術を考慮したとしても、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明の構成に想到しない。
ウ 次に、上記甲2の記載事項(上記(2)オ)又は上記甲3の記載事項(上記(3)ウ)を甲1発明に適用して上記相違点2に係る本件発明に想到し得るかどうかを検討する。
エ まず、甲2の記載事項は、そもそも本件発明の「特別回数に関する特定事項」を備えていないものであるから、甲2の記載事項を甲1発明に適用しても上記相違点2に係る本件発明に想到しないことは明らかである。
オ そして、甲3の記載事項は、スロットマシンにおけるサブゲームにおいて、「当たりカード」を3回引く条件を満たすまでに要したカードを引く回数によって特別遊技状態に基づく通常ゲーム回数が変化し、3回で条件を満たした場合には20ゲーム、4回で条件を満たした場合には10ゲーム、5回で条件を満たした場合には5ゲームとなり、一方、サブゲーム中に計3回、プレイヤの敗北条件である「ハズレカード」を引いた場合には、フリーゲームを終了した後に特別遊技状態が開始されることなく、一般遊技状態に基づいた通常ゲームが行われるものであるから、一見して、本件発明の「特別回数に関する特定事項」に類似する構成を備え、甲1発明と甲3の記載事項とは、特定状態のゲーム結果に応じて有利期間に長短を設定するスロットマシンである点で共通するものであるから、甲3の記載事項を甲1発明に適用できるようにもみえる。
しかしながら、具体的には、甲1発明は特定状態がバトル演出であり、甲3の記載事項は特定状態がカードゲームであるから、甲3の記載事項を甲1発明のバトル演出に、そのまま適用することはできず、甲1発明に甲3の記載事項を適用することには阻害要因があるというべきである。
仮に、有利期間の長短に軽重を設定するものに関し、甲3の記載事項の「カードを引く回数」により設定する構成を、甲1発明に適用したとしても、本件発明のように、敵キャラクタからの攻撃回数の多寡に応じて、有利期間の長短に軽重を設定する構成に到るものではない。
カ また、甲1発明に甲2の記載事項を適用した上で、さらに甲3の記載事項を重畳的に適用することを検討したとしても、甲3の記載事項のバトル演出への適用に関する上記阻害要因を解消できるわけではないから、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明の特定事項のようになすことは、当業者が甲2の記載事項及び甲3の記載事項に基いて容易になし得たものではない。
キ よって、甲1発明において、上記相違点2に係る本件発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たものではない。
ク 以上のとおりであるから、相違点1に係る本件発明の構成の容易想到性について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明、甲2の記載事項、甲3の記載事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。

(6)小括
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によって請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由(新規事項追加;特許法第17条の2第3項)について
(1)特許異議申立人は、上記第4の1(2)のとおり、特許異議申立書で、平成30年8月24日提出の手続補正書でした補正により、訂正前発明における「前記特典付与手段は、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記特定条件が成立していなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、」との構成は、当初明細書等の段落【0298】の「・・・完全勝利時のときの方が、ノーマル勝利時のときよりも、より多くのナビストック数を獲得できる可能性が高いため、遊技者にとって有利度合いが高いといえる。」に対応するものの、当初明細書等に記載されている技術以外のものを含む構成となっていると主張している。

(2)当初明細書等には「【0016】 (2)(1)のスロットマシンにおいて、前記所定回数は0回であり、 前記特典付与手段は、前記付与条件が成立したときに前記特定状態において前記特定条件が成立していたときよりも前記特定条件が成立していなかったときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する(図12のS16、S17、S19)。」と記載されており、特に「遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する」の記載から、訂正前発明の「前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、」との技術的事項を導くことができる。
よって、平成30年8月24日提出の手続補正書でした補正は、当初明細書等に記載された範囲内でなされたものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
なお、本件訂正により、訂正前発明における「前記特典付与手段は、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していたときは、前記特定条件が成立していなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、」との構成は、「前記特典付与手段は、前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、」と限定された。

(3)小括
以上のとおりであるから、特許異議申立理由によって請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

3 令和1年11月14日付け意見書における特許異議申立人の主張について
(1)特許異議申立人は、令和1年11月14日付け意見書(以下単に「意見書」という。)において、概略、以下のとおり主張している。
ア 訂正要件違反(意見書3頁10行ないし6頁14行)
(ア)本件発明において、
「I 前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、」と、
「L 前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期間の期待値が高くなるように特典を付与する、」と、
を同時に備える構成は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載されていない。
よって、本件訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内でしたものでなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に違反するから、本件訂正は認められない。
(イ)仮に、構成Lを新たに加えることが新規事項ではなかったとしても、例えば特別回数が「1」の場合において、敵キャラクタからの攻撃回数が1回の場合、攻撃回数が0回の場合より有利度合いが低く設定されるが、敵キャラクタからの攻撃回数が2回以上の場合、相互に有利度合いが同じに設定され、有利度合いをどのように設定すべきか不明であり、構成Iと構成Lとを組み合わせることは困難である。
(ウ)また、仮に構成Iと構成Lとを組み合わせることが技術的に可能である場合であっても、本件発明は、以下のaないしcのように、全体として技術的に整合が取れていない事項を含み、当該事項は、本件特許明細書等に記載されていない。
a 本件発明は、「G 前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立し」との記載のように、終了条件に関して、特定状態が、敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより終了する、とあるのみで、その他に終了条件の記載がないから、味方キャラクタが敵キャラクタから攻撃を受けずに有利状態に制御するタイミングでは、特定状態が終了しておらず、矛盾した事項を含む。
b 本件発明は、上記構成Gの終了条件を規定する複数回数と、上記構成Lの特別回数と、の関係の限定がないため、特別回数として、複数回数を超えた回数が設定されることがあり得、構成Lが文章として成立しえない状態も含む。
c 本件発明の上記構成Lにおいて、「特別回数」については何ら限定がないから「0」回も含むものと理解でき、「特別回数」が「0」回の場合、「攻撃回数が特別回数(「0」回)を超えていたときよりも」、「有利状態に制御される期間の期待値が高くなるよう特定を付与」する状況が不明となる。

進歩性の欠如(意見書6頁15行ないし7頁下から10行)
本件発明の構成IないしLに関して、特定状態のゲーム結果に応じて有利度合いに軽重を付したり、有利期間に長短を設定したりすることは甲2及び甲3に記載されているように周知慣用技術であるから、本件発明は、甲1、甲2及び甲3に記載の技術的事項を基にして当業者が容易に想到し得たものである。
よって、本件発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、本件特許は、同法第114条第2項の規定により取り消されるべきものである。

(2)上記(1)について検討する。
ア 訂正要件違反について
上記(1)ア(ア)については、上記第2の2(4)で検討したように、本件特許の明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。
上記(1)ア(イ)及び(ウ)のように、特許異議申立人は、構成同士の組み合わせ困難性や技術的整合性について縷々主張するが、新たな技術的事項を導入するか否かについて直接述べているとは認められないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するかどうかについての主張として採用することができない。
なお、本件発明は、構成Lにおける「前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合」、要するに、攻撃回数が1回以上であることを前提として、攻撃回数が「特別回数」を超えているか否かを言及しているのであるから、「特別回数」が2回以上の所定回数であることは自明である。そうすると、上記(1)ア(イ)、(ウ)b及びcのように、特別回数を「0回」又は「1回」と解することはできない。
また、上記(1)イ(ウ)aのように、本件発明の構成Gの「終了条件」については、特定状態が、敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより終了することしか限定がないものの、他の終了条件について排除するものではないから、味方キャラクタが敵キャラクタから攻撃を受けずに有利状態に制御するタイミングで、特定状態が終了することがあり得ないとまではいえない。

進歩性の欠如について
上記第5の1(5)で検討したように、特定状態のゲーム結果に応じて有利度合いに軽重を付したり、有利期間に長短を設定したりすることが甲2及び甲3に記載されているように周知技術であったとしても、そもそも、当該周知技術は、上記「特別回数に関する特定事項」(上記第2の2(4))を備えないものであるから、当業者が前記周知技術を考慮したとしても、甲1発明において、上記「特別回数に関する特定事項」に係る本件発明の構成に想到しない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、スロットマシンに関する。詳しくは、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生する。
【0003】
入賞となる役の種類としては、小役、ボーナス、リプレイといった種類がある。ここで、小役の入賞では、小役の種類毎に定められた数のメダルが払い出されるという利益を遊技者が得ることができる。ボーナスの入賞では、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されるという利益を遊技者が得ることができる。リプレイ入賞では、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行なうことができるという利益を得ることができる。
【0004】
各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行なわれる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。そして、内部抽選に当選している役を構成する図柄の組合せを所定コマ数の範囲内で引き込み可能な場合に有効なラインに揃えるようにするとともに、内部抽選に当選していない役を構成する図柄の組合せを有効なラインに揃えないようにするリール制御が行なわれる。
【0005】
このようなスロットマシンにおいて、遊技者に課す課題が異なる複数種類の課題ゲームのうちいずれかを開始させ、課題ゲームが行われるゲーム数と、課題役を成立させなければならない回数とを提示し、提示されたゲーム数消化するまでに、提示された課題役を提示された回数だけ成立させたか否か、すなわち課題を充足したか否かを判定し、課題を充足した場合には、当該課題に応じた回数だけ、内部抽選において所定の入賞役が当選したときにその旨を示す情報を報知するもの(たとえば、特許文献1参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-229259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のスロットマシンにおいては、課題を充足したとしても、課題に応じた回数だけ情報を報知するという価値、すなわち課題に応じて予め定められた一律の価値しか付与されない。このため、課題ゲーム中などの特定状態において、課題を充足するという所定の条件が成立するか否かにしか遊技者を注目させることができず、その結果、特定状態中における遊技の興趣を向上させることができなかった。
【0008】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、特定状態中における遊技の進行状況に応じて、所定の条件が成立したときの遊技者にとっての有利度合いを異ならせることにより、特定状態中における遊技の興趣を向上させることができるスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
開始条件が成立してから終了条件が成立するまでの複数回のゲームに亘って特定状態に制御可能な特定状態制御手段と、
付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段とを備え、
前記特定状態は、味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態であり、
前記特定状態においては、当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであり、
前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立し、
前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立し、
前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与する。
なお、スロットマシンは、以下の構成を備えるものであってもよい。
(1) 遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシン(スロットマシン1)であって、
開始条件が成立(バトル演出当選)してから終了条件が成立(味方ポイントが「0」)するまで特定状態(バトル演出)に制御する特定状態制御手段(図11のS07、図12)と、
遊技者にとって有利な特典(ナビストックなど)を付与する特典付与手段(図12のS17、S19)とを備え、
前記特定状態において特定条件(敵方キャラクタからの攻撃)が少なくとも2回以上成立することにより、前記終了条件は成立し(図16)、
前記特典付与手段は、前記特定状態において前記終了条件が成立するまでに付与条件が成立した場合(図12のS15でYES)、当該付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していた特定成立回数が、所定回数(「0」)を超えているときよりも当該所定回数以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する(図17(a)および(b)のテーブル参照、図12のS17におけるナビストック数決定よりもS19におけるナビストック数決定の方が有利度合いが高い)。
【0010】
このような構成によれば、特定状態において特定条件が成立する毎に特典が付与されることなく当該特定状態が終了してしまうことに対する緊張感を抱かせるとともに、付与条件が成立したときには、それまでに成立していた特定条件の特定成立回数が所定回数を超えているか所定回数以下であるかで有利度合いが異なるように特典が付与されるため、特定状態中において付与条件が成立することのみならず特定条件が成立することに注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、付与条件が成立したときの特定成立回数が、所定回数を超えているときよりも所定回数以下であるときの方が高い割合で有利度合いが高くなるように特典が付与されるため、特定成立回数が少ないうちに付与条件が成立することに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0011】
前記特定状態制御手段は、前記開始条件が成立した後において即座に前記特定状態に制御するものであってもよく、また、前記開始条件が成立した後、所定の制御開始条件(たとえば所定の潜伏ゲーム数消化、あるいは特定の入賞役の当選など)が成立したときに前記特定状態に制御するものであってもよい(変形例における[バトル演出の開始タイミングについて]欄参照)。
【0012】
前記終了条件は、前記特定条件と異なる特別条件が成立した場合には、当該特別条件が1回成立することにより成立するものであってもよい(変形例における[敵方キャラクタからの最大攻撃ポイントについて]欄参照)。
【0013】
「高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する」とは、たとえば、付与条件が成立したときに付与する特典に限らず、付与条件が成立した後、所定の条件が成立したときに付与する特典であってもよい(変形例における[有利度合いが高くなるように付与する特典について]欄参照)。
【0014】
特典は、賭数の設定に用いる遊技用価値に対する遊技者に付与される遊技用価値の占める割合(メダルの払出率)に直接影響を与える価値(確率モード抽選、ナビストックなど)、賭数の設定に用いる遊技用価値に対する遊技者に付与される遊技用価値の占める割合に直接影響を与えるものではなく、遊技の進行上において遊技者にとって有益となる価値(示唆演出、確定演出、プレミア演出など)を含む(変形例における[特典について]欄参照)。
【0015】
なお、前記特典付与手段は、前記特定状態において前記終了条件が成立するまでに付与条件が成立した場合、当該付与条件が成立したときに当該特定状態において前記特定条件が成立していた特定成立回数が、所定回数を超えているときよりも当該所定回数以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与するものに限らず、所定回数を超えているときと、当該所定回数以下であるときとで、遊技者にとっての有利度合いが異なるように特典を付与するものであればよく、たとえば、所定回数以下であるときよりも当該所定回数を超えているときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与するものであってもよい(変形例における[遊技者にとっての有利度合いについて]欄参照)。
【0016】
(2) (1)のスロットマシンにおいて、前記所定回数は0回であり、
前記特典付与手段は、前記付与条件が成立したときに前記特定状態において前記特定条件が成立していたときよりも前記特定条件が成立していなかったときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する(図12のS16、S17、S19)。
【0017】
このような構成によれば、1回も特定条件を成立させることなく付与条件を成立させることができた場合に、高い割合で有利度合いが高くなるように特典が付与される。このため、1回も特定条件を成立させることなく付与条件を成立させることに対しプレミア的な期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0018】
(3) (1)または(2)のスロットマシンにおいて、前記特典付与手段は、前記特定成立回数が前記所定回数を超えている場合において、当該特定成立回数が前記所定回数を超える予め定められた特別回数をさらに超えているときよりも当該特別回数以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典を付与する(変形例における[遊技者にとっての有利度合いを異ならせる回数について]欄参照)。
【0019】
このような構成によれば、特定成立回数が所定回数を超えてしまった場合であっても、特定成立回数が特別回数以下であるときに付与条件が成立することに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。その結果、特定成立回数が所定回数を超えた後においても、期待感を持続させることができる。
【0020】
(4) (1)?(3)のスロットマシンにおいて、前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、複数種類の入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(内部抽選処理)を備え、
前記付与条件および前記特定条件は、各々、前記事前決定手段の決定結果に応じて成立する(図12のS11、S12、図15、図16)。
【0021】
このような構成によれば、特定状態における事前決定手段の決定結果に対する注目度合いを向上させることができ、特定状態における遊技の興趣を向上させることができる。
【0022】
(5) (1)?(4)のスロットマシンにおいて、前記特定状態において第1の条件が特定回数成立すること(たとえば、攻撃ポイント「1」が5回)により前記付与条件は成立し、前記特定状態において前記第1の条件と異なる第2の条件が前記特定回数未満の回数成立すること(たとえば、攻撃ポイント「3」が2回)によっても前記付与条件は成立する。
【0023】
このような構成によれば、特定状態において、第1の条件が成立するよりも第2の条件が成立することに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0024】
(6) (1)?(5)のスロットマシンにおいて、前記開始条件が成立するまでのゲームの進行状況(たとえば、当選状況、変形例[バトル演出振分テーブルについて]欄における遊技状態あるいは確率モードなど)に応じて、前記特定状態において前記終了条件が成立するまでに前記付与条件が成立する割合を異ならせるように、前記付与条件および前記特定条件を成立させる(図14)。
【0025】
このような構成によれば、特定状態に制御されていないときにおけるゲームの進行状況に対して遊技者を注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】スロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】スロットマシンの内部構造を示す図である。
【図3】可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。
【図4】スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図5】入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図6】遊技状態の遷移を説明するための図である。
【図7】一般遊技状態における特別役・小役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【図8】一般遊技状態における再遊技役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【図9】押し順昇格リプレイ1?6のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【図10】押し順メロン1?5のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【図11】バトル演出抽選処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】バトル演出中処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】バトル演出抽選テーブルを説明するための図である。
【図14】バトル演出振分テーブルを説明するための図である。
【図15】味方攻撃ポイント決定用テーブルを説明するための図である。
【図16】敵方攻撃ポイント決定用テーブルを説明するための図である。
【図17】ナビストック数決定用テーブルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。また、図2は、スロットマシンの内部構造を示す図である。また、図3は、可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。また、図4は、スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筺体の側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
【0028】
スロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。すなわち、透視窓3は、各リールに配列された図柄のうち連続する3つの図柄を、上段、中段、および下段各々の位置において視認可能に構成されている。
【0029】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、それぞれ、「メロン(たとえば、左リール2Lの領域番号20の図柄)」、「バナナ(たとえば、左リール2Lの領域番号19の図柄)」、「白7(たとえば、左リール2Lの領域番号18の図柄)」、「黒BAR(たとえば、左リール2Lの領域番号17の図柄)」、「星(たとえば、左リール2Lの領域番号14の図柄)」、「ブドウ(たとえば、左リール2Lの領域番号13の図柄)」、「黒7(たとえば、左リール2Lの領域番号10の図柄)」、「白BAR(たとえば、左リール2Lの領域番号6の図柄)」、「イチゴ(たとえば、左リール2Lの領域番号5の図柄)」、「星7(たとえば、左リール2Lの領域番号1の図柄)」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。
【0030】
リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。また、リール2L、2C、2Rの図柄が描かれた部分以外は白色であり、高い透過率で光を透過するようになっており、図柄が描かれた部分についても、その図柄の色彩に応じて光を透過するようになっている。
【0031】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図2、図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0032】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から白色光で照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する9つのLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0033】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてその範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0034】
本実施の形態では、規定数の賭数として、遊技状態がビッグボーナスおよびレギュラーボーナス(以下、ボーナスともいう)であることに応じて「2」が定められて、遊技状態がビッグボーナスおよびレギュラーボーナス以外の遊技状態(以下、一般遊技あるいは一般遊技状態ともいう)であることに応じて「3」が定められている。
【0035】
また、前面扉1bには、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0036】
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図4参照)がそれぞれ設けられている。
【0037】
また、図4に示すように、前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するRAM異常エラーを除くエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、後述のBB終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のBB終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられたホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図4参照)が設けられている。
【0038】
筐体1a内部には、リール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図4参照)、リールLED55からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
【0039】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0040】
電源ボックス100の前面には、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはRAM異常エラーを除くエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0041】
スロットマシン1においてゲームを行なう場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。
【0042】
遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1?L4(図1参照)の対応するラインが有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
【0043】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために予め設定されているラインである。本実施の形態では、図1に示すように、入賞ラインL1?L4の4種類が入賞ラインとして定められている。
【0044】
入賞ラインL1は、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL2は、リール2Lの上段、リール2Cの上段、リール2Rの上段、すなわち上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL3は、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。入賞ラインL4は、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインをいう。なお、入賞ラインは、L1?L4に示すラインに限らず、たとえば各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨るラインなどを含むものであってもよい。
【0045】
ビッグボーナスおよびレギュラーボーナス以外の一般遊技状態であるときに規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1?L4(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。ビッグボーナスおよびレギュラーボーナスであるときに規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL2?L4が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。
【0046】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0047】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化された入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。
【0048】
なお、有効化された複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化された入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施の形態では、12枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化された入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
【0049】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
【0050】
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0051】
このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、その結果として当該図柄から6コマ先までの図柄を上段に表示させることができる。すなわち、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を含めて7コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
【0052】
スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0053】
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40および遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。
【0054】
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0055】
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0056】
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、1?3BETLED14?16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0057】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行なうメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0?65535)の乱数を発生させる乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、日時を計時するためのリアルタイムクロック50(以下、RTC50という)、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0058】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行なうととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0059】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0060】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(メイン)を実行し、一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0061】
電断割込処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAMに退避させる処理が行なわれる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。
【0062】
次いで、全出力ポートを初期化した後、RAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行なわないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。
【0063】
このように電断割込処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAMに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
【0064】
次に、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行なわなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
【0065】
また、RTC50は、現在の「年(西暦)」、「月」、「日」、「曜日」、「時」、「分」、「秒」を示すために計時を行なう装置である。例えば、水晶発振子を内蔵したシリアルインタフェース方式のリアルタイムクロックモジュールとして実現されるが、これに限るものではない。メイン制御部41は、たとえば、RTC50が計時した日時を特定するための日時情報を取得(抽出)し、当該取得した日時情報に基づきリール制御パターンを決定して、該決定したリール制御パターンでリール2L?2Rのリール制御を行なう。
【0066】
RTC50は、通常、スロットマシン1に電源が供給されているときには当該電源によって動作し、電源が切られているときには、停電時においても供給されるバックアップ電源によって動作する。従って、RTC50は、スロットマシンの電源が切られている場合であっても現在の日時を計時することができる。なお、RTC50は、スロットマシンに電源が供給されているときであってもバックアップ電源によって動作するようにしてもよい。
【0067】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へのコマンド送信は、シリアル通信にて行なわれる。なお、遊技制御基板40と演出制御基板90とは、直接接続される構成に限らず、たとえば、中継基板を介して接続されるように構成してもよい。
【0068】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。
【0069】
なお、本実施の形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行なわれる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行なう出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行なう構成としてもよく、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行なわれることとなる。
【0070】
また、本実施の形態では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
【0071】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行なうサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行なう表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行なうLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行なう音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行なうための各種の制御を行なうとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0072】
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。メイン制御部41からのコマンドを取得したときに、当該コマンドをバッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0073】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0074】
スロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1?6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に有利度が段階的に低くなる。
【0075】
設定値を変更するためには、スロットマシン1の電源がON状態である場合には一旦OFF状態にし、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24に設定値の初期値として1が表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された設定値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、賭数を設定することによりゲームが開始可能となる状態に移行する。なお、スロットマシン1の電源がON状態である場合に一旦OFF状態にする操作、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をON状態にする操作、リセット/設定スイッチ38の操作、および設定値を確定させるためのスタートスイッチ7の操作など、設定値を設定するために必要な操作を設定変更操作という。なお、設定変更操作は、このような操作に限るものではなく、設定値を設定するための操作であればどのようなものであってもよい。
【0076】
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすればよい。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
【0077】
本実施の形態におけるスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(メイン)を実行する。電断割込処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行なうようになっている。なお、RAMパリティとはRAM41cの該当する領域の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
【0078】
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。なお、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
【0079】
なお、本実施の形態では、RAM41cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、メインCPU41aは、電源投入時においてRAM41cのデータが正常であると判定した場合に、RAM41cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM41cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としてもよい。
【0080】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であればよく、例えば、入力ポートの状態などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。
【0081】
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(サブ)を実行する。電断割込処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行なうようになっている。
【0082】
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、メインサブCPU91aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0083】
なお、本実施の形態では、RAM91cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、サブCPU91aは、電源投入時においてRAM91cのデータが正常であると判定した場合に、RAM91cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM91cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としてもよい。
【0084】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であればよく、入力ポートの状態や、演出が途中で中断された場合の途中経過などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。例えば、BB中か、通常遊技状態か、RT1またはRT2のいずれであるかなどの遊技状態を示すデータのみをバックアップするとともに、遊技状態に対応する演出(BB中であればBB中演出、通常遊技状態であれば通常演出)以外の特定の演出(小役告知など)の実行中に電断が発生した場合に、次回電源投入時において電断時に実行されていた特定の演出を再開するのではなく、電源投入時においてバックアップされている遊技状態に対応する演出を最初から実行するようにしてもよい。
【0085】
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、停止相ワーク、非保存ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
【0086】
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oポート41dの入出力データ、遊技時間の計時カウンタ等、BB終了時に初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数、BB中のメダル払出総数等、BB終了時に初期化可能なデータ、各ゲームの終了時において初期化される当選フラグ(小役、リプレイ)および入賞フラグが格納されるワークである。
【0087】
特別ワークは、演出制御基板90へコマンドを送信するためのデータ、各種ソフトウェア乱数等、設定開始前にのみ初期化されるデータ、各ゲームの終了時においてクリアされることはなく入賞時および設定変更時(設定変更モードへの移行時)に初期化される当選フラグ(ビッグボーナス、レギュラーボーナス)、次のゲームの遊技状態を特定するための遊技状態フラグが格納されるワークである。なお、消化したゲーム数が所定ゲーム数に到達することにより終了する遊技状態に制御され得る場合には、特別ワークにおいて、残りゲーム数、あるいは当該遊技状態に制御されてから消化したゲーム数が格納されるものであってもよい。
【0088】
設定値ワークは、内部抽選処理で抽選を行なう際に用いる設定値が格納されるワークであり、設定開始前(設定変更モードへの移行前)の初期化において0が格納された後、1に補正され、設定終了時(設定変更モードへの終了時)に新たに設定された設定値が格納されることとなる。
【0089】
なお、設定変更モードに移行させた場合(すなわち設定変更操作が行なわれた場合)、遊技状態フラグは、原則として、後述する通常遊技状態に関する情報に更新される。これにより、たとえば、RT中やボーナス中に設定変更モードに移行させた場合には、設定変更モードに移行された後において通常遊技状態に制御される。また、特別ワークにボーナスの当選フラグが設定されているときに設定変更モードに移行させた場合には、当該当選フラグが初期化される。たとえば、ボーナス当選している内部中RT中に設定変更モードに移行させた場合には、通常遊技状態に制御される。このように、設定変更に関連して、遊技状態フラグを通常遊技状態に対応する値に書き換えられる(初期化)。
【0090】
停止相ワークは、リールモータ32L、32C、32Rの停止相を示すデータが格納されるワークであり、リールモータ32L、32C、32Rが停止状態となった際にその停止相を示すデータが格納されることとなる。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かに関わらず必ず値が設定されることとなる。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。
【0091】
スタック領域は、メインCPU41aのレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
【0092】
本実施の形態においてメインCPU41aは、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態での起動時、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37のみがONの状態での起動時、BB終了時、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態での起動時においてRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の6つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる5種類の初期化を行なう。
【0093】
初期化0は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態であり、設定変更モードへ移行される場合に行なう初期化、またはRAM異常エラー発生時に行なう初期化であり、初期化0では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域および次のゲームの遊技状態を特定するための遊技状態フラグが格納される領域を除く全ての領域(未使用領域および未使用スタック領域を含む)が初期化され、通常遊技状態に制御される。
【0094】
初期化1は、起動時において設定キースイッチ37のみがONの状態であり、設定変更モードへ移行される場合に行なう初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域、次のゲームの遊技状態を特定するための遊技状態フラグが格納される領域、および停止相ワークを除く全ての領域(未使用領域および未使用スタック領域を含む)が初期化される。
【0095】
初期化2は、BB終了時に行なう初期化であり、初期化2では、RAM41cの格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行なう初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行なう初期化であり、初期化4では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域および未使用スタック領域が初期化される。
【0096】
なお、本実施の形態では、初期化0、初期化1は設定変更モードの終了時に行なう例について説明するが、設定変更モードへ移行される前、設定変更モード中、あるいは設定変更後最初のゲームが開始されるまで(スタートスイッチ7が操作されるまで)に行なうようにしてもよい。この場合、設定値ワークを初期化してしまうと確定した設定値が失われてしまうこととなるので、設定値ワークの初期化は行なわれない。
【0097】
本実施の形態のスロットマシン1においては、可変表示装置2のいずれかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0098】
[入賞役、遊技状態の遷移]
図5は、入賞役の種類、入賞役の図柄組合せ、および入賞役に関連する技術事項について説明するための図である。また、図6は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図である。
【0099】
本実施の形態におけるスロットマシンは、図6に示すように、メイン制御部41により、通常遊技状態、再遊技役の当選確率が通常遊技状態よりも向上されるRT1、RT2、内部中RT、および所定枚数払出されるまで小役の当選確率が向上されるビッグボーナスやレギュラーボーナスのうち、いずれかに制御される。また、本実施の形態におけるスロットマシンは、サブ制御部91により、内部抽選結果を報知するナビ演出を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に演出状態を制御可能となっている。
【0100】
図5を参照して、入賞役のうち特別役には、3種類のビッグボーナス1?3(以下、各々のビッグボーナスをBBとも称する)と、レギュラーボーナス(以下、レギュラーボーナスをRBとも称する)とが含まれる。
【0101】
BB1は、入賞ラインのいずれかに「白7-白7-白7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BB2は、入賞ラインのいずれかに「黒7-黒7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BB3は、入賞ラインのいずれかに「星7-星7-星7」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0102】
BB1?BB3のいずれかに入賞すると、ビッグボーナスに制御される。遊技状態がビッグボーナスに制御されている間は、入賞したBBの種類に対応するビッグボーナス中フラグがRAM41cに設定される。また、ビッグボーナスに制御されている間は、小役の所定確率に向上したBB時用のRBに制御される。BB時用のRBに制御されている間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。すなわち、ビッグボーナス中フラグがON状態に設定されている間は、毎ゲーム、レギュラーボーナス中フラグがON状態に設定された状態に制御される。
【0103】
BB1またはBB2の入賞に起因して発生したビッグボーナスは、361枚以上メダルが払い出されたことを条件として終了する。BB3の入賞に起因して発生したビッグボーナスは、241枚以上メダルが払い出されたことを条件として終了する。
【0104】
RBは、入賞ラインのいずれかに「黒7-黒7-星7」あるいは「星7-星7-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となる。RBに入賞すると、レギュラーボーナスに制御される。遊技状態がレギュラーボーナスに制御されている間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。RBの入賞に起因して発生したレギュラーボーナスは、いずれかの入賞役に4回入賞することを条件として終了する。
【0105】
図6に示すように、BB1?BB3およびRBのいずれかに内部当選してから入賞するまでは、内部中RTに遊技状態が制御される。内部中RTでは、リプレイに当選する確率が通常遊技状態であるときよりも高確率となる。また、図6に示すように、BB1?BB3やRBが終了した後は、RT1に遊技状態が制御される。
【0106】
内部抽選においてBB1?BB3およびRBのうちいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、これらの役に入賞することはない。BB1?BB3およびRBを構成する図柄(「黒7」、「白7」、「星7」)は、各々、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていないためである。なお、内部抽選においてBB1?BB3およびRBのうちいずれかに当選しているときには、当選しているボーナスに入賞するまで、当該ボーナスの当選フラグが持ち越される。
【0107】
次に、入賞役のうち小役について説明する。入賞役のうち小役には、1枚役、ブドウ、メロン1?メロン4、イチゴが含まれる。
【0108】
小役のうち1枚役は、入賞ラインのいずれかに「星-黒BAR-黒7」の組合せが揃ったときに入賞となる。1枚役が入賞すると1枚メダルが払い出される。1枚役は、当選していてもストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。1枚役を構成する図柄(「星」、「黒BAR」、「黒7」)は、左リール2L?右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0109】
小役のうちブドウは、入賞ラインのいずれかに「ブドウ-ブドウ-ブドウ」の組合せが揃ったときに入賞となる。ブドウは、当選していてもストップスイッチ8L、8C、8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。ブドウを構成する図柄(「ブドウ」)は、左リール2L?右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0110】
小役のうちメロン1は、入賞ラインのいずれかに「any-メロン-any」あるいは「メロン-黒BAR-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。このため、メロン1は、中リール2Cの「メロン」の図柄が有効な入賞ラインに停止表示されることにより、左リール2Lおよび右リール2Rの図柄との組合せに関わらず、入賞が発生し得る入賞役といえる。
【0111】
メロン1は、当選していれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらず入賞する。メロン1を構成する図柄(たとえば、「メロン」)は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されているためである。
【0112】
次に、メロン2?4について説明する。メロン2は、入賞ラインのいずれかに「白BAR-白7-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。メロン3は、入賞ラインのいずれかに「白BAR-黒BAR-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。メロン4は、入賞ラインのいずれかに「白BAR-黒BAR-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0113】
ここで、図3を参照すると、メロン2?4各々を構成する図柄は、少なくとも、左リール2L?右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。このため、後述する内部抽選においてメロン2?4のいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、当選しているメロン2?4のうち当選しているメロンに入賞することはない。
【0114】
しかしながら、メロン2?4は、後述するように、ビッグボーナス中を除いて、常にメロン1と同時に抽選対象役として読み出されて当選する。このため、メロン2?4に当選しているときには、ビッグボーナス中を除いて、メロン1を入賞させることができる。
【0115】
メロン1の図柄組合せが入賞ラインL2上に停止した出目を転落出目ともいう。すなわち、転落出目とは、中リール2Cの「メロン」が上段に停止、あるいは「メロン一黒BAR-メロン」が入賞ラインL2上に停止することにより、メロン1入賞を発生させる出目をいう。
【0116】
図6に示すように、RT1またはRT2のいずれかにおいて転落出目となった後は、通常遊技状態に制御される。内部中RTにおいて転落出目となっても、通常遊技状態に制御されない。また、通常遊技状態において転落出目となっても、当該通常遊技状態への制御が維持される。
【0117】
また、中リール2Cの「メロン」が中段に停止することにより入賞ラインL1にメロン1の図柄組合せが停止してメロン1に入賞しかつ12枚払出となる出目を、チャンス出目ともいう。
【0118】
小役のうちイチゴは、入賞ラインのいずれかに「イチゴ-白7-バナナ」、「イチゴ-黒7-バナナ」、「イチゴ-星7-バナナ」、および「イチゴ-ブドウ-バナナ」のうちいずれかの組合せが揃ったときに入賞となる。イチゴは、当選していてもストップスイッチ8Lを適正なタイミングで操作しなければ入賞することはない。イチゴを構成する左リール2Lの図柄(「イチゴ」)は、左リール2Lにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0119】
遊技者は、一般遊技状態中であってATに制御されていないときには、当該イチゴ入賞させるための操作手順で停止操作することにより、イチゴの取りこぼしを防止できる。
【0120】
次に、ブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞したときに払出されるメダルの枚数について説明する。ブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞すると、当該入賞したゲームが開始されたときの遊技状態および入賞ライン数に応じた枚数分のメダルが払い出される。
【0121】
一般遊技状態においてブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞したときには、4枚メダルが払い出される。一方、一般遊技状態と異なるボーナスにおいてブドウ、メロン1?4、およびイチゴのいずれかに入賞したときには、8枚メダルが払い出される。
【0122】
なお、入賞ラインL1、L3、L4は、中リール2Cの中段において交差している。また、メロン1の「any-メロン-any」は、中リール2Cの停止図柄のみより入賞が発生し得る。このため、メロン1は、複数の入賞ラインにおいて発生し得る入賞役といえる。このため、メロン1の「any-メロン-any」が停止されることによりメロン1に入賞したときには、入賞ライン数に応じた枚数のメダルが払い出される。たとえば、中リール2Cの「メロン」が中段に停止されたときには、一般遊技状態において入賞ラインL1、L3、L4において入賞することになるため4×3=12枚メダルが払い出され、ボーナスにおいて入賞ラインL3、L4において入賞することになるため8×2=16となり払出上限の12枚メダルが払い出される。
【0123】
次に、入賞役のうち再遊技役について説明する。入賞役のうち再遊技役には、リプレイ1?リプレイ9が含まれる。再遊技役のいずれかに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数に対応した枚数分のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0124】
リプレイ1は、入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。通常リプレイを構成する図柄(「バナナ」)は、左リール2L?右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ1については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。リプレイ1は、入賞してもRT移行を伴わず、現状の遊技状態を維持する通常のリプレイであるため、以下では通常リプともいう。
【0125】
リプレイ2は、入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ2を構成する図柄(「バナナ」、「メロン」)は、左リール2L?右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。よって、リプレイ2については、原則として、当選していれば、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず入賞させることができる役といえる。
【0126】
図6に示すように、通常遊技状態においてリプレイ2に入賞した後は、通常遊技状態よりもリプレイ当選確率が向上したRT2に制御される。このため、リプレイ2は、以下では昇格リプともいう。後述するように、リプレイ2は、RT1における内部抽選においては当選しないように設定されており、通常遊技状態における内部抽選において所定確率で当選するように設定されている。このため、RT1においてはリプレイ2に入賞しない。その結果、RT1から直接RT2に制御されないように構成されており、通常遊技状態に制御された後、リプレイ2に入賞することにより、RT2に制御されるように構成されている。
【0127】
なお、通常遊技状態以外の遊技状態(たとえば、RT1)であるときにも、所定確率(極めて低い確率、1%)でリプレイ2について抽選して当選し得るようにし、通常遊技状態以外の遊技状態からもRT2に制御されるように構成してもよい。
【0128】
RT2へ一旦制御されると、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選するか転落出目となるまでの間、当該RT2への制御が維持される。
【0129】
リプレイ3は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-黒BAR-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ4は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-黒BAR-白7」あるいは「黒BAR-黒BAR-イチゴ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ5は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-白7-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ6は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-バナナ-黒BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ7は、入賞ラインのいずれかに「黒BAR-黒BAR-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ8は、入賞ラインのいずれかに「白7-バナナ-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ9は、入賞ラインのいずれかに「白7-白7-星」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0130】
なお、リプレイ3は、黒BARの3つ揃いであるため、リプレイ3をBARリプともいう。また、リプレイ4?9は、各々、黒BARが2つ揃い、すなわち黒BARがテンパイ状態となるため、テンパイリプa?テンパイリプfともいう。
【0131】
リプレイ3?9各々を構成する図柄は、少なくとも1以上のリールにおいて、5コマ以内に配置されていない図柄を含む。このため、内部抽選においてリプレイ3?9のうちいずれかに当選していても、ストップスイッチ8L?8Rを適正なタイミングで操作しなければ入賞しない。
【0132】
しかし、リプレイ3?9は、各々、他のリプレイと同時に当選するため、ストップスイッチ8L?8Rの操作タイミングに関わらず、当選しているいずれかのリプレイを構成する図柄を入賞ラインに引き込むことができる。このため、リプレイ3?9は、原則として、当選しても入賞させることができない場合も生じるが、いずれかのリプレイを入賞させることができる役といえる。
【0133】
[抽選対象役の組合せ]
次に、図7および図8を参照して、内部抽選において抽選対象役として読み出される抽選対象役の組合せおよび判定値数について説明する。図7および図8においては、各々、左2列により、“抽選対象役の名称”およびその名称に対応する“抽選対象役の組合せ”が示され、左3列目から、“遊技状態”が示されている。抽選対象役と遊技状態とが交差する欄の数値は、当該抽選対象役が当該遊技状態であるときに内部抽選において読み出されること、および当該抽選対象役の内部抽選で用いる判定値数を示す。図7および図8では、判定値数として、たとえば設定値1であるときの判定値数を示すが、設定値2?6であるときの判定値数も特定可能にROM41bに格納されている。また、抽選対象役と遊技状態とが交差する欄の×印は、当該抽選対象役が当該遊技状態であるときの内部抽選において読み出されないあるいは読み出されたとしても当選しないことを示している。
【0134】
なお、判定値数の分母は、内部抽選用の乱数(0?65535の整数)に対応させて、「65536」に設定されている。このため、たとえば、判定値数として「413」が設定されている抽選対象役(図7の通常遊技状態などにおける弱イチゴ1)の当選確率は、413/65536となる。
【0135】
また、スロットマシン1においては、抽選対象役として複数の入賞役が同時に読出されて、重複して当選し得る。以下では、入賞役の間に“+”を表記することにより、内部抽選において同時に抽選対象役として読み出されることを示す。
【0136】
図7は、一般遊技状態における特別役・小役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【0137】
遊技状態が、通常遊技状態、RT1、およびRT2のうちいずれかであるときには、弱イチゴ1、弱イチゴ2、弱イチゴ3、弱イチゴ4、強イチゴ1、強イチゴ2、強イチゴ3、強イチゴ4、押し順メロン1、押し順メロン2、押し順メロン3、押し順メロン4、押し順メロン5、12枚メロン1、12枚メロン2、12枚メロン3、12枚メロン4、弱ブドウ1、弱ブドウ2、弱ブドウ3、弱ブドウ4、強ブドウ1、強ブドウ2、強ブドウ3、強ブドウ4、1枚役1、1枚役2、1枚役3、1枚役4、RB、BB3、BB2、BB1が内部抽選の対象役となり内部抽選の対象役として順に読出される。
【0138】
弱イチゴ1とは、イチゴを読み出す抽選対象役をいう。弱イチゴ2とは、イチゴ+RBを読み出す抽選対象役をいう。弱イチゴ3とは、イチゴ+BB3を読み出す抽選対象役をいう。弱イチゴ4とは、イチゴ+BB2を読み出す抽選対象役をいう。強イチゴ1とは、イチゴ+1枚役を読み出す抽選対象役をいう。強イチゴ2とは、イチゴ+1枚役+RBを読み出す抽選対象役をいう。強イチゴ3とは、イチゴ+1枚役+BB3を読み出す抽選対象役をいう。強イチゴ4とは、イチゴ+1枚役+BB2を読み出す抽選対象役をいう。
【0139】
押し順メロン1とは、メロン1+メロン4を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン2とは、メロン1+メロン3を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン3とは、メロン1+メロン2を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン4とは、メロン1を読み出す抽選対象役をいう。押し順メロン5とは、メロン1+メロン3+メロン4を読み出す抽選対象役をいう。
【0140】
12枚メロン1とは、メロン1+ブドウ+イチゴを読み出す抽選対象役をいう。12枚メロン2とは、メロン1+ブドウ+イチゴ+RBを読み出す抽選対象役をいう。12枚メロン3とは、メロン1+ブドウ+イチゴ+BB3を読み出す抽選対象役をいう。12枚メロン4とは、メロン1+ブドウ+イチゴ+BB2を読み出す抽選対象役をいう。
【0141】
弱ブドウ1とは、ブドウを読み出す抽選対象役をいう。弱ブドウ2とは、ブドウ+RBを読み出す抽選対象役をいう。弱ブドウ3とは、ブドウ+BB3を読み出す抽選対象役をいう。弱ブドウ4とは、ブドウ+BB2を読み出す抽選対象役をいう。強ブドウ1とは、ブドウ+1枚役を読み出す抽選対象役をいう。強ブドウ2とは、ブドウ+1枚役+RBを読み出す抽選対象役をいう。強ブドウ3とは、ブドウ+1枚役+BB3を読み出す抽選対象役をいう。強ブドウ4とは、ブドウ+1枚役+BB2を読み出す抽選対象役をいう。
【0142】
1枚役1とは、1枚役を読み出す抽選対象役をいう。1枚役2とは、1枚役+RBを読み出す抽選対象役をいう。1枚役3とは、1枚役+BB3を読み出す抽選対象役をいう。1枚役4とは、1枚役+BB2を読み出す抽選対象役をいう。
【0143】
遊技状態が内部中RTであるときには、弱イチゴ1、強イチゴ1、押し順メロン1、押し順メロン2、押し順メロン3、押し順メロン4、押し順メロン5、12枚メロン1、弱ブドウ1、強ブドウ1、1枚役1が内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。
【0144】
図8は、一般遊技状態における再遊技役に関する抽選対象役および判定値数を説明するための図である。
【0145】
遊技状態が、通常遊技状態であるときには、通常リプレイ、押し順昇格リプレイ1、押し順昇格リプレイ2、押し順昇格リプレイ3、押し順昇格リプレイ4、押し順昇格リプレイ5、押し順昇格リプレイ6、BARテンパイリプレイ1、BARテンパイリプレイ2、BARテンパイリプレイ3、BARテンパイリプレイ4、BARリプレイが内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。
【0146】
通常リプレイとは、通常リプを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ1とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ2とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ3とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプf+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ4とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプa+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ5とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプb+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。押し順昇格リプレイ6とは、通常リプ+昇格リプ+テンパイリプc+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。
【0147】
BARテンパイリプレイ1とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプeを読み出す抽選対象役をいう。BARテンパイリプレイ2とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+RBを読み出す抽選対象役をいう。BARテンパイリプレイ3とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+BB3を読み出す抽選対象役をいう。BARテンパイリプレイ4とは、通常リプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+BB2を読み出す抽選対象役をいう。BARリプレイとは、通常リプ+BARリプ+テンパイリプa+テンパイリプb+テンパイリプc+テンパイリプd+テンパイリプe+テンパイリプfを読み出す抽選対象役をいう。
【0148】
遊技状態が、RT1、RT2、および内部中RTのいずれかであるときには、通常リプレイ、BARテンパイリプレイ1、BARテンパイリプレイ2、BARテンパイリプレイ3、BARテンパイリプレイ4、BARリプレイが内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。
【0149】
また、図示を省略するが、BB中におけるRBであるときには、イチゴ、BB強イチゴ、12枚メロン1、BBメロン、8枚メロンが内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。ここで、イチゴとは、イチゴを読み出す抽選対象役をいう。BB強イチゴとは、イチゴ+メロン2を読み出す抽選対象役をいう。12枚メロン1とは、メロン1+ブドウ+イチゴを読み出す抽選対象役をいう。BBメロンとは、メロン3+メロン4+ブドウ+1枚役を読み出す抽選対象役をいう。8枚メロンとは、メロン1を読み出す抽選対象役をいう。
【0150】
また、遊技状態が非BB中におけるRBであるときには、イチゴ、左メロン、中右メロン、12枚メロン1、強ブドウ1が内部抽選の対象となり、内部抽選の対象役として順に読出される。左メロンとは、メロン1+メロン3+メロン4を読み出す抽選対象役をいう。中右メロンとは、メロン1+メロン2を読み出す抽選対象役をいう。
【0151】
[内部抽選]
次に、内部抽選について詳細に説明する。内部抽選は、上記した各入賞役の発生を許容するか否か、すなわち入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7操作時に)、決定するものである。内部抽選では、乱数回路42から内部抽選用の乱数(0?65535の整数)を取得する。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態と、リセット/設定スイッチ38により設定された設定値に応じて定められた各入賞役の判定値数に応じて行なわれる。
【0152】
本実施の形態においては、各役および役の組合せの判定値数から、小役や再遊技役などの一般役、特別役がそれぞれ単独で当選する判定値の範囲と、一般役のいずれかと特別役とが重複して当選する判定値の範囲と、が特定されるようになっており、内部抽選における当選は、排他的なものではなく、1ゲームにおいて一般役と特別役とが同時に当選することがあり得る。ただし、種類の異なる特別役については、重複して当選する判定値の範囲が特定されることがなく、種類の異なる特別役については、排他的に抽選を行なうものである。
【0153】
内部抽選では、内部抽選の対象となる役または役の組合せおよび現在の遊技状態について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役または役の組合せに当選したものと判定される。
【0154】
ボーナスの内部抽選において取得される判定値数は、設定値が大きいほど大きくなるように設定されている。これにより、設定値が大きいほど、内部抽選において特別役に当選する確率を高くすることができる。
【0155】
また、RB、BB2、およびBB3は、小役や再遊技役と同時に当選し得る。たとえば、イチゴに当選したときに、RB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合は、弱イチゴ1?4のうちいずれかに当選しているときよりも、強イチゴ1?4のうちいずれかに当選しているときの方が高くなるように、弱イチゴ1?4および強イチゴ1?4各々の判定値数が設定されている。後述するように、弱イチゴ1?4当選時と強イチゴ1?4当選時とで異なるリール制御が行なわれるため、遊技者は、当該リール制御内容からRB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している可能性を予測することができる。
【0156】
また、ブドウに当選したときに、RB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合は、弱ブドウ1?4のうちいずれかに当選しているときよりも、強ブドウ1?4のうちいずれかに当選しているときの方が高くなるように、弱ブドウ1?4および強ブドウ1?4各々の判定値数が設定されている。後述するように、弱ブドウ1?4当選時と強ブドウ1?4当選時とで異なるリール制御が行なわれるため、遊技者は、当該リール制御内容からRB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している可能性を予測することができる。
【0157】
また、イチゴあるいはブドウに当選したときに、RB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合は、ブドウに当選しているときよりも、イチゴに当選しているときの方が高くなるように、判定値数が設定されている。
【0158】
一般遊技状態においては、図7に示すように、押し順メロン1?押し順メロン5各々が「2305」に設定されており、押し順メロン1?押し順メロン5のいずれかが2305×5/65536=11525/65536の確率で当選するように、他の抽選対象役と比較して高い確率で当選するように判定値数が設定されている。
【0159】
次に、図8の再遊技役の判定値数に着目して、遊技状態毎に再遊技役の当選確率を比較する。通常遊技状態においては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「2734」が、押し順昇格リプレイ1?6のいずれかが読み出されるときの判定値数として「1020」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、通常遊技状態においていずれかのリプレイに当選する確率は、8980/65536となる。また、通常遊技状態からRT2に昇格させる可能性のある押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選する確率は、1020×6/65536=6120/65536となる。
【0160】
RT1においては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「8856」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、RT1においていずれかのリプレイに当選する確率は、8982/65536となる。なお、RT1においては、RT2に移行させるための昇格リプに当選しないように設定されている。
【0161】
RT2においては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「47836」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、RT2においていずれかのリプレイに当選する確率は、47962/65536となる。
【0162】
内部中RTにおいては、通常リプレイが読み出されるときの判定値数として「17000」が、BARテンパイリプレイ1が読み出されるときの判定値数として「98」が、BARテンパイリプレイ2?4のいずれかが読み出されるときの判定値数として「8」が、BARリプレイが読み出されるときの判定値数として「4」が設定されている。よって、内部中RTにおいていずれかのリプレイに当選する確率は、17126/65536となる。
【0163】
これらより、本実施の形態においては、いずれかのリプレイに当選する確率が、RT2および内部中RTであるときに、通常遊技状態、RT1であるときよりも高くなるように設定されている。このため、RT2および内部中RTは、通常遊技状態、RT1であるときよりも、リプレイの当選確率が高い点で、遊技者にとって有利な状態であるといえる。
【0164】
また、RT2への制御は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選するか、転落出目となるまで維持される。転落出目は、メロン1に当選していることを条件として導出し得る。メロン1は、RT2において比較的高確率で当選する。このため、後述するATに制御されていないときには、当該RT2において高確率で転落出目が導出し得るため、当該RT2を維持させることが困難となるように構成されている。
【0165】
また、内部中RTであるときには、RT2であるときよりも後述するようにリール制御においてボーナスよりも優先的に引き込まれるリプレイの当選確率が低くなるように設定されているため、RT2であるときと同じリプレイの当選確率が設定されている場合と比較して、当選しているボーナスを入賞させることができる割合を高めることができる。
【0166】
BB中におけるRBであるときには、メロン1入賞することとなる12枚メロン1の判定値数が高確率で当選するように判定値数が設定されている。また、いずれの入賞役にも当選しないはずれについても、「12」に設定されており、極めて低い確率で生じる。また、非BB中におけるRBであるときには、メロン1を含む左メロンおよび中右メロンの判定値数が各々高確率で当選するように設定されている。
【0167】
いずれかの役または役の組合せの当選が判定された場合には、当選が判定された役または役の組合せに対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されており、そのうちの上位バイトが、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークとして割り当てられ、下位バイトが、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとして割り当てられている。
【0168】
詳しくは、特別役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、一般役格納ワークに設定されている当選フラグをクリアする。また、特別役+一般役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。また、一般役が当選した場合には、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。なお、いずれの役および役の組合せにも当選しなかった場合には、一般役格納ワークのみクリアする。
【0169】
[リールの停止制御]
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。メインCPU41aは、リールの回転が開始したときおよび、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行なう。
【0170】
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。なお、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
【0171】
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた引込コマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、からなる。
【0172】
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
【0173】
停止制御テーブルは、停止操作が行なわれたタイミング別の引込コマ数を特定可能なデータである。本実施の形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0?167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0?20(図3参照)の領域番号が割り当てられている。
【0174】
一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0?20の図柄番号が割り当てられているので、0番図柄から20番図柄に対して、それぞれ0?20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の引込コマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の引込コマ数を取得できるようになっている。
【0175】
前述のようにテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、たとえば、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミングでストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の引込コマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。すなわち、停止制御テーブルにより、リールの領域番号に対応する図柄毎に、当該図柄が停止基準位置(下段)を通過しているときにストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の引込コマ数を特定することができる。
【0176】
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0177】
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリールおよび当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0178】
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。
【0179】
ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号(たとえば下段の図柄)を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する引込コマ数を取得する。そして、取得した引込コマ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。
【0180】
具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した引込コマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から引込コマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0181】
本実施の形態のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、更に、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。
【0182】
すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行なわれることとなる。
【0183】
また、本実施の形態では、引込コマ数として0?4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0184】
本実施の形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
【0185】
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役(イチゴなど)に当選した場合や、特別役が同時当選役と同時に当選した場合などでは、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
【0186】
すなわち、このような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。その結果、小役を優先的に入賞させた後に特別役を入賞させることにより、小役よりも特別役を優先的に入賞させるものと比較して、小役を入賞させてメダルを獲得した後に特別役を入賞させることができるため、特別役入賞前に遊技者のメダルを極力増加させるようにすることができ、遊技者にとって有利なリール制御が行なわれる。なお、特別役と小役とを同時に引き込める場合には、小役のみを引き込み、小役と同時に特別役が入賞ライン上に揃わないようになっている。
【0187】
次に、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場や、特別役と再遊技役が同時に当選している場合などでは、当選した再遊技役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行なわれる。
【0188】
複数種類の再遊技役が同時に当選している場合(たとえば、押し順昇格リプレイ1など)には、図9および図10に示すように、同時当選した再遊技役の種類および停止操作順に応じて定められた再遊技役を入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で揃えて停止させる制御が行なわれる。
【0189】
なお、本実施の形態では、回転を開始した3つの左リール2L?右リール2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。また、本実施の形態において、順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる操作手順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる操作手順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる操作手順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる操作手順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる操作手順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる操作手順をいう。
【0190】
図9は、押し順昇格リプレイ1?6のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【0191】
たとえば、押し順昇格リプレイ1が当選しているときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、当選したリプレイのうち昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、順押し以外の操作手順で操作された場合には、通常リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0192】
押し順昇格リプレイ2?6のいずれかが当選しているときにも、同様に、当選している押し順昇格リプレイの種類に応じて定められた所定の押し順となる操作手順で操作された場合には、昇格リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行ない、所定の押し順以外の操作手順で操作された場合には、通常リプの組合せをいずれかの入賞ラインに揃えて停止させる制御を行なう。
【0193】
このように、昇格リプを入賞させてRT2に昇格させるための操作手順として、当選している押し順昇格リプレイの種類毎に、異なる操作手順が設定されている。このため、通常遊技状態において押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選したとしても、当選している押し順昇格リプレイの種類を特定することができない限り、1/6の確率でしか昇格リプを入賞させてRT2に制御させないようにすることができ、5/6の確率で通常リプを入賞させて通常遊技状態が維持されるように構成されている。これにより、後述するATに制御されていないときには、昇格リプに入賞し難くして極力RT2に制御されないようにしつつ、ATに制御されているときには、昇格リプに入賞させてRT2に制御されるように制御することができる。
【0194】
また、BARテンパイリプレイ1?4のうちいずれかに当選したときには、当選しているいずれかのリプレイを入賞させつつ、入賞ラインL1?L4およびリール2Lの下段、リール2Cの下段、リール2Rの下段、すなわち下段に並んだ図柄に跨る下段ラインのいずれかに「黒BAR」を2つ揃わせてテンパイさせるリール制御を行なう。
【0195】
また、BARリプレイに当選したときには、引込可能コマ数の範囲内で、「黒BAR」を入賞ラインL1?L4のいずれかに停止させてBARリプを入賞させるリール制御を行なうとともに、BARリプを入賞させることができない場合には、当選しているいずれかのリプレイを入賞させつつ、BARテンパイリプレイ1?4のうちいずれかに当選したときと同様に、入賞ラインL1?L4および下段ラインのいずれかに「黒BAR」を2つ揃わせてテンパイさせるリール制御を行なう。
【0196】
次に、複数種類の小役が同時に当選している場合(イチゴ+1枚役など)には、払出枚数が多い小役が払出枚数の少ない小役よりも優先的に入賞ラインに引き込むリール制御が行なわれる。
【0197】
複数種類の小役が同時に当選している場合として、たとえば押し順メロン1?5のいずれかに当選している場合には、図10に示すように、当選している押し順メロンの種類および操作手順に応じて、異なるリール制御が行なわれる。
【0198】
図10は、押し順メロン1?5のうちいずれかに当選したときのリール制御を説明するための図である。
【0199】
たとえば、押し順メロン1が当選したときには、順押しとなる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させ、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、当該停止操作に対応して停止させるリールの「メロン」を上段に停止させる制御を行なう。すなわち、押し順メロン1が当選したときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL1、L3、L4の3ラインに停止してチャンス出目となるため、メダルが12枚払い出されるのに対し、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL2にのみ停止して転落出目となるため、メダルが4枚払い出されるに留まり、さらにRT1あるいはRT2のいずれかであったときには通常遊技状態に制御されてしまう。また、押し順メロン1が当選したときに、順押しとなる操作手順で操作された場合には、左リール2Lおよび右リール2Rの「メロン」を上・中・下段のいずれかに停止させるのに対し、順押し以外となる操作手順で操作された場合には、対応するリールの「メロン」を上段に停止させるリール制御が行なわれる。
【0200】
押し順メロン2?5のいずれかが当選しているときにも、同様に、当選している押し順メロンの種類に応じて定められた所定の押し順となる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させてチャンス出目となる制御を行ないメダルを12枚払い出し、所定の押し順以外の操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL2にのみ停止させて転落出目となる制御を行ないメダルを4枚払い出しかつRT1あるいはRT2のいずれかであるときには通常遊技状態に制御させる。
【0201】
このように、入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させメダルを12枚払い出させるための操作手順、および有利なRT2への制御を維持するための操作手順として、当選している押し順メロンの種類毎に、異なる操作手順が設定されている。このため、押し順メロン1?5のいずれかに当選したときには、当選している押し順メロンの種類を特定することができない限り、1/5の確率でしか入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させメダルを12枚払い出させることができず、4/5の確率で中リール2Cの「メロン」を入賞ラインL2にのみ停止させてメダルが4枚しか払い出され、かつ有利なRT2への制御を維持できないように構成されている。これにより、押し順メロン1?5のいずれかに当選したときに、後述するATに制御されていないときには極力4枚しかメダルが払い出されずかつ有利なRT2への制御を維持させないようにし、ATに制御されているときには意図的に入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させることを可能にし、12枚メダルが払い出されかつ有利なRT2への制御を維持させるように制御することができる。
【0202】
また、12枚メロン1?4のうちいずれかに当選したときには、操作手順に関わらず、中リール2Cの「メロン」を入賞ラインL1、L3、L4の3ラインに停止させるとともに、入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させ、メダルを12枚払い出させるリール制御を行なう。
【0203】
なお、図10において、メダルを12枚払い出させる押し順以外となる操作手順で操作された場合には、中リール2Cについて「メロン」を上段に停止させるリール制御を行なうものであればよく、たとえば、左リール2Lおよび右リール2Rの「メロン」については、上・中・下段のいずれかに停止させるものであってもよい。これにより、左リール2Lおよび右リール2Rの「メロン」の停止位置から、押し順が正解しているか否か、メダルを12枚払い出させるか否かを特定不能にすることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0204】
次に、弱イチゴ1?4、強イチゴ1?4、弱ブドウ1?4、および強ブドウ1?4のうちいずれかに当選したときのリール制御について説明する。
【0205】
たとえば、弱イチゴ1?4あるいは弱ブドウ1?4のうちいずれかが当選しているときには、引込コマ数の範囲内で、当選しているイチゴあるいはブドウを構成する図柄組合せを、入賞ラインL2?L4のうちいずれかに停止させる制御、すなわち左リール2Lに着目した場合「イチゴ」あるいは「ブドウ」を極力上段または下段に停止させる制御を行なう。
【0206】
これに対し、強イチゴ1?4あるいは強ブドウ1?4が当選しているときには、引込コマ数の範囲内で、当選しているイチゴあるいはブドウを構成する図柄組合せを、入賞ラインL1に停止させる制御、すなわち左リール2Lに着目した場合「イチゴ」あるいは「ブドウ」を極力中段に停止させる制御を行なう。
【0207】
図7を用いて説明したように、イチゴに当選したときに、RB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合は、弱イチゴ1?4のうちいずれかに当選しているときよりも、強イチゴ1?4のうちいずれかに当選しているときの方が高くなるように、弱イチゴ1?4および強イチゴ1?4各々の判定値数が設定されており、また、ブドウに当選したときに、RB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合は、弱ブドウ1?4のうちいずれかに当選しているときよりも、強ブドウ1?4のうちいずれかに当選しているときの方が高くなるように、弱ブドウ1?4および強ブドウ1?4各々の判定値数が設定されている。
【0208】
このため、イチゴあるいはブドウに入賞したときの左リール2Lの「イチゴ」あるいは「ブドウ」が、上段または下段に停止しているときよりも、中段に停止しているときの方が、RB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合が高いため、遊技者の期待感を向上させることができる。
【0209】
また、図7を用いて説明したように、イチゴあるいはブドウに当選したときに、RB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合は、ブドウに当選しているときよりも、イチゴに当選しているときの方が高くなるように、判定値数が設定されている。
【0210】
このため、左リール2Lの「イチゴ」あるいは「ブドウ」が中段に停止してイチゴやブドウに入賞したときであっても、イチゴに入賞しているときの方がRB、BB2、およびBB3のうちいずれかに同時当選している割合が高いため、遊技者の期待感を向上させることができる。
【0211】
次に、非BB中のRBにおいて左メロンおよび中右メロンのうちいずれかに当選したときのリール制御について説明する。
【0212】
たとえば、左メロンが当選しているときにおいて、左リール2Lを第1停止させる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させ、左リール2L以外を第1停止させる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL2に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させる制御を行なう。すなわち、左メロンが当選したときに、左リール2Lを第1停止させる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL3、L4の2ラインに停止するため、メダルが12枚払い出されるのに対し、左リール2L以外を第1停止させる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL2にのみ停止するため、メダルが8枚払い出されるに留まる。
【0213】
また、中右メロンが当選しているときにおいて、中リール2Cあるいは右リール2Rを第1停止させる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させ、左リール2Lを第1停止させる操作手順で操作された場合には、入賞ラインL2に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させる制御を行なう。すなわち、中右メロンが当選したときに、中リール2Cあるいは右リール2Rを第1停止させる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL3、L4の2ラインに停止するため、メダルが12枚払い出されるのに対し、左リール2Lを第1停止させる操作手順で操作された場合には、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL2にのみ停止するため、メダルが8枚払い出されるに留まる。
【0214】
このように、非BB中のRBにおいて、入賞ラインL1、L3およびL4のうちいずれかに「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させメダルを12枚払い出させるための操作手順として、左メロンに当選しているときと中右メロンに当選しているときとで、異なる操作手順が設定されている。このため、左メロンに当選しているのか中右メロンに当選しているのかを特定することができない限り、1/2の確率でしか入賞ラインL1に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させメダルを12枚払い出させることができず、1/2の確率で入賞ラインL2に「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させメダルが8枚しか払い出されないように構成されている。一方、非BB中のRBは、4回入賞することにより終了する。このため、非BB中のRBにおける操作手順によって、当該RBにおける純増枚数を異ならせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0215】
BB中におけるRBにおいて、抽選対象役のいずれかに当選したときには、抽選対象役に含まれる入賞役の図柄組合せを入賞ライン上に引込可能コマ数の範囲内で引き込み停止させるリール制御が行なわれる。その際、抽選対象役に含まれる入賞役の図柄組合せを、入賞ラインL2上よりも、入賞ラインL3またはL4上に優先して停止させるリール制御が行なわれる。このため、入賞役の図柄組合せは、入賞ラインL2上よりも、入賞ラインL3またはL4上に優先して停止され、当該図柄組合せのうち中リール2Cの図柄については上段よりも中段に停止されることになる。
【0216】
なお、BB中におけるRBにおいて、BB強イチゴに当選したときには、イチゴおよびメロン2の図柄組合せを入賞ライン上に停止させるリール制御を行なうが、イチゴおよびメロン2は共に操作手順によって取りこぼしが生じる入賞役である。このため、BB中におけるRBにおいて、BB強イチゴに当選したときであって、イチゴおよびメロン2共に取りこぼす場合には、引込可能コマ数の範囲で各リールの「白7」を中段に停止させるリール制御が行なわれる。これにより、BB中におけるRBにおいて、BB強イチゴに当選したときには、入賞ラインL1上に「白7-白7-白7」が停止し得るようにリール制御が行なわれる。
【0217】
また、BB中におけるRBにおいては、いずれの入賞役にも当選しない、はずれとなる場合が低確率で生じる。BB中におけるRBにおいてはずれとなった場合には、引込可能コマ数の範囲で各リールの「黒BAR」を中段に停止させるリール制御が行なわれる。これにより、BB中におけるRBにおいてはずれとなったときには、入賞ラインL1上に「黒BAR-黒BAR-黒BAR」が停止し得るようにリール制御が行なわれる。
【0218】
[メイン制御部41による処理]
次に、本実施の形態にかかるスロットマシン1におけるメイン制御部41により実行される処理について説明する。スロットマシン1においては、ゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることで遊技が進行されるものであるが、そのためには、まず、遊技の進行が可能な状態となっていなければならない。
【0219】
遊技の進行が可能な状態であるためには、たとえば、メインCPU41aを含むメイン制御部41が起動された状態で正常範囲の設定値が設定値ワークに格納されており、RAM41cに格納されたデータに異常がないことが条件となる。そして、遊技の進行が可能な状態となると、スロットマシン1においてゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることとなる。以下、スロットマシン1における各ゲームについて説明する。
【0220】
なお、スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L、2C、2Rが停止するまでをいうものであるが、ゲームを行なう際には、スタートスイッチ7の操作前の賭数の設定や、リール2L、2C、2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行なわれるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれるものとする。
【0221】
ゲーム制御処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行なった後、またはリセット/設定スイッチ38の操作により設定変更を行なった直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、MAXBETスイッチ6を操作することにより、あるいはメダル投入口4からメダルを投入することにより賭数を設定し、スタートスイッチ7を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行なう。
【0222】
前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイゲーム中フラグにより前のゲームと同じ賭数が自動設定される(この段階でリプレイゲーム中フラグが消去される)。BET処理では、賭数が設定される毎に、賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なBETコマンドが演出制御基板90に送信される。
【0223】
BET処理により賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた各役への入賞を許容するかどうかを決定するといった内部抽選を行なう内部抽選処理を行なう。内部抽選処理では、抽選結果に応じてRAM41cに設定されている当選フラグの設定状況を示す内部当選コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0224】
また、内部抽選処理では、BB1?BB3およびRBのいずれかに当選したときに、内部中RTに制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に内部中RTフラグの値を設定など)が行なわれる。
【0225】
内部抽選処理が終了すると、次にリール回転処理が行なわれる。リール回転処理では、前回のゲームでのリール2L、2C、2Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(たとえば、4.1秒)経過していることを条件に、リールモータ32L、32C、32Rを駆動させ、左、中、右の全てのリール2L、2C、2Rを回転開始させる。通常時においては、リールモータ32L、32C、32Rを通常態様で回転駆動させる。本実施の形態では、通常態様として、リールモータ32L、32C、32R各々を、同時にかつ所定速度に到達するまで所定の加速度で回転駆動させる。これにより、通常態様で回転駆動されたときには、左、中、右すべてを同時にかつ所定の加速度で回転開始することができる。
【0226】
リール2L、2C、2Rの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ33SL、33SC、33SRにより基準位置を検出すること)が成立すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作有効とする。その後、ストップスイッチ8L、8C、8Rが遊技者によって操作されることにより、操作されたストップスイッチに対応するリールモータ32L、32C、32Rを駆動停止させ、リール2L、2C、2Rの回転を停止させる。本実施の形態におけるスロットマシン1は、ストップスイッチを操作することにより対応するリールの回転を停止させる例について説明するが、たとえば、リール回転開始から所定時間経過したときにストップスイッチが操作されたか否かに関わらず、回転中のリールを強制的に停止させるようにしてもよい。
【0227】
リール回転処理では、リール2L、2C、2Rの回転開始時にリールの回転の開始を通知するリール回転コマンドが演出制御基板90に送信され、リール2L、2C、2Rのうちいずれかの回転が停止する毎に、当該停止したリールがいずれであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号を特定可能なリール停止コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0228】
リール2L、2C、2Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、入賞ライン上に図5で示したいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行なわれる。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板40において発生した入賞に応じた各種の処理が行なわれる。
【0229】
入賞判定処理においては、入賞判定が行なわれた後に、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能な入賞判定コマンドが演出制御基板90に送られる。なお、入賞判定処理において、BB1?BB3およびRBのうちいずれかに入賞したと判断されたときには、対応するボーナスに制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に対応するボーナスの値を設定など)が行なわれる。
【0230】
また、通常遊技状態における入賞判定処理において、昇格リプに入賞したと判断されたときには、RT2に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT2の値を設定など)が行なわれる。また、入賞判定処理において、RT1またはRT2のいずれかにおいて、メロン1が転落出目の態様で入賞したと判断されたときには、通常遊技状態に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値に通常遊技状態の値を設定など)が行なわれる。
【0231】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行なわれる。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルの払出しまたはクレジット加算させる。ただし、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ34bを駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払出口9から払い出させる。
【0232】
また、払出処理では、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに、メダルの払出開始を通知する払出開始コマンドが演出制御基板90に送信され、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに、メダルの払出終了を通知する払出終了コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0233】
また、払出処理では、入賞に関わらない各種の処理として、ボーナス中においてはボーナスに応じたボーナス終了条件が成立したか否かを判定するためのボーナス終了判定処理が行なわれる。
【0234】
ボーナス終了判定処理において、ボーナス終了条件が成立したと判定されたときには、RT1に制御するための処理(たとえば、遊技状態フラグの値にRT1フラグの値を設定など)が行なわれる。
【0235】
また、払出処理では、次のゲームの遊技状態(RT1またはRT2のいずれであるか、通常遊技状態であるか、内部中RTであるか、BBであるか、非BB中のRBであるかなど)を特定可能な遊技状態コマンドが演出制御基板90に送信される。
【0236】
また、払出処理では、持ち越しのない当選フラグ(小役、再遊技役の当選フラグ)の消去なども行なわれ、特別ワークに格納されるBBやRBのボーナスの当選フラグが消去されない。これにより、ボーナスの当選フラグは、当選しているボーナスに入賞するまで次のゲームに持ち越される。払出処理の最後、すなわち1ゲームの最後で次のゲームの遊技状態を示す遊技状態コマンドが演出制御基板90に送られる。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。
【0237】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板40のメイン制御部41は、RT1、RT2、内部中RT、通常遊技状態、ボーナスの間で遊技状態の移行を行なっており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板90に送信している。これに対して、演出制御基板90のサブ制御部91は、遊技制御基板40から受信したコマンドに基づいて、各種処理を行なう。
【0238】
[サブ制御部91による処理]
次に、サブ制御部91により実行される処理について説明する。サブ制御部91は、まず、所定の演出初期設定処理を実行し、演出制御基板90における制御状態を電力供給停止時の状態に復旧させるための演出制御復旧処理を実行した後、演出側乱数値更新処理を繰り返して実行する。
【0239】
また、サブ制御部91では、所定の時間間隔(たとえば、2ミリ秒)で演出の進行を制御するための割り込みが発生し、リセット/割込コントローラによりRAM91cのタイマ割込フラグがON状態にセットされ、演出制御割り込み処理が実行される。演出制御割り込み処理では、内部レジスタの内容を退避し、演出バックアップ処理を実行して、サブ制御部91が再起動された場合に再起動の以前における制御状態を復旧させるために必要なデータのバックアップが行なわれる。
【0240】
また、遊技制御基板40から送信された各種コマンドを解析するためのコマンド解析処理を実行し、所定の演出制御処理を実行する。この演出制御処理により、スロットマシン1における遊技の進行状況に応じて、液晶表示器51に画像を表示させるとともに、スピーカ53、54から音を発生させるなどによる各種の遊技演出が行なわれる。ROM91bには、サブ制御部91が各種処理を行なうための各種プログラム、判定値などを記憶した各種テーブル、遊技演出を行なうための画像の要素データや動画像データなどが記憶されている。
【0241】
遊技演出を行なうために、サブ制御部91のRAM91cには、各種カウンタと、各種フラグを設定する領域と、遊技状態コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、および内部当選コマンドに基づいて、各役の当選状況、リール2L、2C、2Rに導出された表示結果の組合せ、入賞の発生の有無を示す情報、遊技制御基板40の側で進行しているゲームにおいて適用される遊技状態を保存する領域(当選状況および遊技状態については、2回分)もRAM91cに設けられている。
【0242】
また、演出制御基板90においては、リール停止コマンドに基づいて可変表示装置2の表示結果として停止した図柄を判断するための停止図柄テーブルがRAM91cに設けられている。もっとも、リール停止コマンドは、停止したリールの種類と中段に停止した図柄の番号しか情報として含んでいないので、これだけではどのような図柄が停止しているかどうかが判断できない。このため、ROM91bには、リール2L、2C、2Rに配置された全ての図柄を示すテーブル、すなわち図3の各リールにおける図柄配列を特定するための配列特定テーブルが予め記憶されており、この配列特定テーブルを参照して、リール停止コマンドに含まれる情報から対応するリールに停止した図柄を特定するための停止図柄特定処理を行ない、特定された図柄が停止図柄テーブルに登録される。これにより、リール2L?2R各々について、表示結果として停止された図柄を特定することができる。サブ制御部91は、停止図柄テーブルの登録情報に基づき、演出を行なう。
【0243】
また、演出制御基板90の側にて乱数回路(図示略)等によりカウントされる各種の乱数値が更新され、その後、退避したレジスタの内容を復帰させてから、演出制御割り込み処理を終了する。
【0244】
演出制御割り込み処理において実行される演出制御処理では、サブ制御部91により、遊技状態等に応じて演出状態をATなどの遊技者にとって有利度合いが高い状態に制御するための演出状態制御処理、遊技状態等に応じて遊技演出やナビ演出を実行するための遊技演出実行処理が行なわれる。
【0245】
[バトル演出抽選処理]
サブ制御部91は、演出状態制御処理に含まれるバトル演出抽選処理を実行することにより、バトル演出を実行するか否かの抽選を行なうバトル演出抽選を行なう。
【0246】
バトル演出とは、ATに制御するためのナビストックを獲得するか否かを煽る演出をいい、複数ゲームに亘って、液晶表示器51において、味方キャラクタと敵方キャラクタとにより所定のバトルを展開する演出を行なった後に、バトルの結末として、味方キャラクタが敗北するとナビストックを獲得できないことを報知し、味方キャラクタが勝利するとナビストックを獲得することを報知する演出をいう。
【0247】
バトル演出では、味方キャラクタおよび敵方キャラクタ各々の体力に相当する所定量のポイント(たとえば、5ポイント)が設定されて報知されており、バトルの進行に応じて、敵方キャラクタのポイントが0になると味方キャラクタが勝利し、味方キャラクタのポイントが0になると味方キャラクタが敗北する。
【0248】
また、ナビストックとは、ATに制御可能となる期間を示す。ナビストックを1消費(減算)することにより、所定回数(たとえば50)ゲームを消化する間、ATに制御され、その間ナビ演出が実行可能となる。このため、決定されたナビストック数が多い程、長い期間に亘りATに制御されるため、遊技者にとって有利度合いが高いといえる。獲得しているナビストック数は、ナビストックカウンタの値に基づき特定される。ナビストックカウンタは、RAM91cの所定領域に格納されており、バトル演出の結果およびATに制御される毎に更新される。
【0249】
図11は、バトル演出抽選処理を説明するためのフローチャートである。S01においては、獲得しているナビストック数が「0」であり、かつRT2以外の遊技状態であるか否かが判定される。S01においてナビストック数が「0」でありかつRT2以外の遊技状態であると判定されたときには、S02において予め定められたバトル抽選条件が成立したか否かが判定される。バトル抽選条件とは、内部抽選の結果が予め定められたバトル演出抽選用の当選状況となったときに成立し、その一例を図13に示している。
【0250】
図13を参照して、バトル演出抽選用の当選状況として、「はずれ」の当選状況、あるいは、「弱イチゴ」、「弱ブドウ」、「強イチゴ」、「強ブドウ」、「12枚メロン」、「BARテンパイリプレイ」、「BARリプレイ」、および「ボーナス」のうちいずれかに当選している当選状況が定められている。
【0251】
「はずれ」の当選状況とは、いずれの入賞役にも当選していない状況をいい、「弱イチゴ」、「弱ブドウ」、「強イチゴ」、「強ブドウ」、「12枚メロン」のうちいずれかに当選している当選状況とは、各々、図7に示す、「弱イチゴ1」、「弱ブドウ1」、「強イチゴ1」、「強ブドウ1」、「12枚メロン1」のいずれかに当選している当選状況をいう。また、「BARテンパイリプレイ」、「BARリプレイ」のうちいずれかに当選している当選状況とは、各々、図8に示す、「BARテンパイリプレイ1」、「BARリプレイ」のいずれかに当選している当選状況をいう。また、「ボーナス」に当選している当選状況とは、図7および図8に示す抽選対象役のうち、BB1?BB3、およびRBのいずれかを含む抽選対象役のうちのいずれかに当選している当選状況をいう。
【0252】
バトル演出抽選処理では、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づき、抽選用の当選状況となりバトル抽選条件が成立したか否かが判定される。
【0253】
なお、バトル演出抽選用の当選状況とは、これらに限るものではない。また、バトル抽選条件は、当選状況に応じて成立するものに限らず、バトル演出抽選用の当選状況に対応する入賞役の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されて入賞が発生することにより成立するものや、消化したゲーム数に応じて成立するものや、入賞役の図柄組合せに限らずはずれの図柄組合せのうち特定の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されることにより成立するものであってもよい。
【0254】
図11に戻り、S02においてバトル抽選条件が成立したと判定されたときには、S03においてバトル演出抽選を行なう。S03におけるバトル演出抽選では、遊技状態に対応するバトル演出抽選テーブル毎に定められたバトル演出突入確率に従って、バトル演出を実行するか否かの抽選を行なう。
【0255】
バトル演出抽選テーブルは、図13に示すように、通常遊技状態であって確率モードが低確モードの状態、通常遊技状態であって確率モードが高確モードの状態、RT1毎に設けられている。
【0256】
ここで確率モードについて説明する。確率モードとは、通常遊技状態においてバトル演出が実行される確率を異ならせるモードをいう。確率モードとしては、低確モードと、低確モードよりも高い確率でバトル演出抽選で当選する高確モードとが設けられている。演出状態制御処理に含まれる確率モード決定処理では、たとえば、ボーナスのうちBB1が終了した後、通常遊技状態において50ゲーム消化する間に亘り高確モードに制御され、50ゲーム消化した後においては低確モードに制御し、当該低確モードであるときに所定条件(特定の入賞役に当選、特定の図柄組合せがいずれかの入賞ライン上に停止など)が成立することにより、乱数などを用いて高確モードに制御するか否かをランダムに決定するためのモード抽選が行なわれ、当該モード抽選で高確モードに制御すると決定されたときには以後通常遊技状態において30ゲーム消化する間に亘り高確モードに制御され、高確モードが終了した後は、再び低確モードに制御するための処理が行なわれる。
【0257】
なお、高確モード中であるときにボーナス当選したときには、当該高確モードにおいて消化したゲーム数および当選したボーナスの種類に関わらず、当該ボーナス終了後における通常遊技状態において50ゲーム消化する間に亘り高確モードに制御されるようにしてもよい。また、確率モードは、低確モードおよび高確モードの2種類に限らず、3種類以上設けられているものであってもよい。
【0258】
図13(a)は、通常遊技状態であって確率モードが低確モードであるときに参照されるバトル演出抽選テーブルである。図13(a)に示すバトル演出抽選テーブルは、当選状況が、「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」となったときに「2%」で、「強イチゴ」あるいは「強ブドウ」となったときに「5%」で、「12枚メロン」となったときに「5%」で、「BARテンパイリプレイ」となったときに「10%」で、「BARリプレイ」となったときに「100%」で、バトル演出を実行する旨が決定されるように、抽選に用いる判定値が定められている。
【0259】
図13(b)は、通常遊技状態であって確率モードが高確モードであるときに参照されるバトル演出抽選テーブルである。図13(b)に示すバトル演出抽選テーブルは、当選状況が、「はずれ」であるときに「0.1%」で、「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」であるときに「4%」で、「強イチゴ」あるいは「強ブドウ」であるときに「8%」で、「12枚メロン」であるときに「8%」で、「BARテンパイリプレイ」であるときに「20%」、「BARリプレイ」であるときに「100%」で、バトル演出を実行する旨が決定されるように、抽選に用いる判定値が定められている。
【0260】
図13(c)は、RT1であるときに参照されるバトル演出抽選テーブルである。図13(c)に示すバトル演出抽選テーブルは、当選状況が、「はずれ」であるときに「0.5%」で、「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」であるときに「6%」で、「強イチゴ」あるいは「強ブドウ」であるときに「12%」で、「12枚メロン」であるときに「15%」で、「BARテンパイリプレイ」であるときに「40%」で、「BARリプレイ」であるときに「100%」で、バトル演出を実行する旨が決定されるように、抽選に用いる判定値が定められている。
【0261】
図13(d)は、ボーナス当選したときに参照されるバトル演出抽選テーブルである。図13(d)に示すバトル演出抽選テーブルは、ボーナス当選したときの状態が、通常遊技状態であって確率モードが低確モードであるときに「15%」で、通常遊技状態で確率モードが高確モードであるときに「35%」で、RT1であるときに「100%」で、バトル演出を実行する旨が決定されるように、抽選に用いる判定値が定められている。
【0262】
以上より、バトル演出抽選で当選する確率は、遊技状態が、通常遊技状態であって確率モードが低確モードであるときよりも、通常遊技状態であって確率モードが高確モードであるときの方が高くなるように定められ、RT1であるときに最も高くなるように定められている。
【0263】
また、バトル演出抽選で当選する確率は、成立したバトル演出抽選条件の種類に応じて異なるように定められており、かつ比較的成立し易い種類のバトル演出抽選条件よりも比較的成立し難い種類のバトル演出抽選条件が成立したときの方が高くなるように定められている。すなわち、バトル演出抽選で当選する確率は、たとえば、「はずれ」よりも「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」の方が高く、「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」よりも「強イチゴ」、「強ブドウ」、あるいは「12枚メロン」の方が高く、さらに「BARテンパイリプレイ」の方が高く、「BARリプレイ」が最も高くなるように定められている。
【0264】
また、図13(d)に示すボーナス当選時における各状態に対応するバトル演出突入確率は、図13(a)?(c)各々において、ボーナスと同時に当選し得る当選状況のうちでバトル演出突入確率が最も高く設定されている「BARテンパイリプレイ」よりも高くなるように定められている。このため、バトル演出抽選条件を成立させる当選状況となったがボーナスが同時当選していたことにより、低いバトル演出突入確率に従ってバトル演出抽選が行なわれてしまうような不都合の発生を未然に防止できる。
【0265】
図11に戻り、S04においては、S03におけるバトル演出抽選においてバトル演出を実行する旨が決定されたか、すなわちバトル演出抽選で当選したかが判定される。S04においてバトル演出抽選で当選したと判定されたときには、S05において複数種類のバトル演出のうちから実行するバトル演出が決定される。S05では、図14に示すバトル演出振分テーブルが参照されて、実行するバトル演出が決定される。
【0266】
図14に示すバトル演出振分テーブルは、バトル演出当選の契機となったバトル演出抽選条件である当選状況の種類に応じて定められた振分率に従って、バトル演出A?Cのうちいずれかに決定されるように、決定に用いる判定値が定められている。
【0267】
バトル演出当選の契機となった当選状況が、「はずれ」の当選状況、あるいは「弱イチゴ」、「弱ブドウ」のいずれかに当選している当選状況である、グループAに属する場合には、「60%」の確率でバトル演出Aに決定され、「30%」の確率でバトル演出Bに決定され、「10%」の確率でバトル演出Cに決定される。
【0268】
バトル演出当選の契機となった当選状況が、「強イチゴ」、「強ブドウ」、「12枚メロン」のいずれかに当選している当選状況である、グループBに属する場合には、「10%」の確率でバトル演出Aに決定され、「60%」の確率でバトル演出Bに決定され、「30%」の確率でバトル演出Cに決定される。
【0269】
バトル演出当選の契機となった当選状況が、「BARテンパイリプレイ」、「BARリプレイ」、「ボーナス」のいずれかに当選している当選状況である、グループCに属する場合には、「10%」の確率でバトル演出Aに決定され、「30%」の確率でバトル演出Bに決定され、「60%」の確率でバトル演出Cに決定される。
【0270】
図11に戻り、S06においては、味方キャラクタおよび敵方キャラクタ各々のポイントに、所定量の「5」が設定される。味方キャラクタおよび敵方キャラクタ各々のポイントは、RAM91cの所定領域において格納され、バトルの進行に応じて更新される。S07においては、S05において決定されたバトル演出を所定タイミングで実行するためのバトル演出情報が設定され、バトル演出抽選処理を終了する。バトル演出情報が設定されると、後述する遊技演出実行処理により、所定タイミングでバトル演出が実行される。
【0271】
S01においてナビストック数が0でないかあるいはRT2であると判定されたときには、そのままバトル演出抽選処理を終了する。すなわち、ナビストック数として「1」以上が設定されており、ATに制御されることが確定しているときや、有利なRT2に制御されているときには、バトル演出抽選が行なわれない。また、S02においてバトル演出抽選条件が成立していないと判定されたとき、およびS04においてバトル演出抽選で当選していないと判定されたときにも、そのままバトル演出抽選処理を終了する。
【0272】
以上のように、サブ制御部91は、バトル演出抽選処理を実行することにより、バトル抽選条件が成立したときにバトル演出抽選を行ない、バトル演出抽選で当選したときには、実行するバトル演出の種類を決定してバトル演出情報を設定し、所定の開始タイミングからバトル演出が実行される。
【0273】
[バトル演出中処理]
サブ制御部91は、遊技演出実行処理によりバトル演出が実行されているときに、演出状態制御処理に含まれるバトル演出中処理を実行することにより、バトル演出中における演出内容を決定することによりナビストックを付与するか否かの抽選を行なう。図12は、バトル演出中処理を説明するためのフローチャートである。
【0274】
S11においては、予め定められた攻撃抽選条件が成立したか否かが判定される。攻撃抽選条件とは、内部抽選の結果が予め定められた攻撃用の当選状況となったときに成立し、その一例を図15および図16に示している。
【0275】
味方キャラクタが敵方キャラクタに与える攻撃用の当選状況としては、図15の当選状況の欄に示されるように、「弱イチゴ」、「弱ブドウ」、「強イチゴ」、「強ブドウ」、「12枚メロン」、「BARテンパイリプレイ」、「BARリプレイ」、「ボーナス」、および「押し順メロン」のうちいずれかに当選している当選状況が定められている。
【0276】
なお、図15における当選状況のうち、「弱イチゴ」、「弱ブドウ」、「強イチゴ」、「強ブドウ」、「12枚メロン」、「BARテンパイリプレイ」、「BARリプレイ」、「ボーナス」のうちいずれかに当選している当選状況は、各々、図13と同じように、図7に示す「弱イチゴ1」、「弱ブドウ1」、「強イチゴ1」、「強ブドウ1」、「12枚メロン1」、図8に示す「BARテンパイリプレイ1」、「BARリプレイ」、図7および図8に示す抽選対象役のうち、BB1?BB3、およびRBのいずれかを含む抽選対象役に当選している当選状況をいう。また、「押し順メロン」に当選している当選状況とは、図7に示す、「押し順メロン1」?「押し順メロン5」のうちいずれかに当選している当選状況をいう。
【0277】
また、味方キャラクタが敵方キャラクタから受ける被攻撃用の当選状況としては、図16の当選状況の欄に示されるように、いずれの入賞役にも当選していない「はずれ」の当選状況が定められている。バトル演出中処理では、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づき、S11において攻撃用あるいは被攻撃用の当選状況となり攻撃抽選条件が成立したか否かが判定される。
【0278】
なお、攻撃用あるいは被攻撃用の当選状況は、これらに限るものではない。また、攻撃抽選条件は、当選状況に応じて成立するものに限らず、たとえば攻撃用の当選状況に対応する入賞役の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されて入賞が発生することにより成立するものや、消化したゲーム数に応じて成立するものや、入賞役の図柄組合せに限らずはずれの図柄組合せのうち特定の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されることにより成立するものであってもよい。
【0279】
図12に戻り、S11において攻撃抽選条件が成立したと判定されたときには、S12において攻撃ポイント抽選が行なわれる。攻撃ポイント抽選では、図15および図16に示すテーブルが参照されて、攻撃ポイントが決定される。
【0280】
図15は、味方キャラクタが敵方キャラクタに与える攻撃ポイントを決定するために用いる味方攻撃ポイント決定用テーブルを説明するための図である。味方攻撃ポイント決定用テーブルは、当選状況が、「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」、「強イチゴ」あるいは「強ブドウ」、「12枚メロン」、「BARテンパイリプレイ」、「BARリプレイ」あるいは「ボーナス」のいずれかとなったときには、バトル演出の種類に関わらず、予め定められた値が攻撃ポイントとして特定されるように、特定に用いる判定値が定められている。
【0281】
すなわち、当選状況が「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」となったときには、攻撃ポイントとして「1」が特定され、当選状況が「強イチゴ」あるいは「強ブドウ」となったときには、攻撃ポイントとして「2」が特定され、当選状況が「12枚メロン」となったときには、攻撃ポイントとして「3」が特定され、当選状況が「BARテンパイリプレイ」となったときには、攻撃ポイントとして「4」が特定され、当選状況が「BARリプレイ」あるいは「ボーナス」となったときには、攻撃ポイントとして「5」が特定される。
【0282】
このように、攻撃ポイントは、成立した攻撃抽選条件の種類に応じて異なるように定められており、かつ比較的成立し易い種類の攻撃抽選条件よりも比較的成立し難い種類の攻撃抽選条件が成立したときの方が高くなるように定められている。すなわち、「弱イチゴ」あるいは「弱ブドウ」のときに攻撃ポイントが最も低く、「強イチゴ」、「強ブドウ」、「12枚メロン」、「BARテンパイリプレイ」の順で攻撃ポイントが高くなり、「BARリプレイ」あるいは「ボーナス」のときに攻撃ポイントが最も高くなるように定められている。
【0283】
これに対し、当選状況が、「押し順メロン」となったときには、バトル演出の種類に応じた振分率に従って攻撃ポイントが決定されるように、味方攻撃ポイント決定用テーブルの判定値が定められている。
【0284】
すなわち、バトル演出A中における当選状況が「押し順メロン」となったときには、「60%」で「1」が、「20%」で「2」が、「15%」で「3」が、「5%」で「4」が、攻撃ポイントとして決定される。
【0285】
また、バトル演出B中における当選状況が「押し順メロン」となったときには、「40%」で「1」が、「30%」で「2」が、「20%」で「3」が、「10%」で「4」が、攻撃ポイントとして決定される。
【0286】
また、バトル演出C中における当選状況が「押し順メロン」となったときには、「20%」で「1」が、「20%」で「2」が、「20%」で「3」が、「20%」で「4」が、「20%」で「5」が、攻撃ポイントとして決定される。
【0287】
このように、「押し順メロン」の当選状況となった場合の味方キャラクタから敵方キャラクタに与える攻撃ポイントは、バトル演出の種類に応じて異なる振分率が定められており、バトル演出Aよりもバトル演出Bの方が高い割合で高い攻撃ポイントに決定されるように、かつバトル演出Bよりもバトル演出Cの方が高い割合で高い攻撃ポイントに決定されるように振分率が定められている。
【0288】
図16は、味方キャラクタが敵方キャラクタから受ける攻撃ポイントを決定するために用いる敵方攻撃ポイント決定用テーブルを説明するための図である。敵方攻撃ポイント決定用テーブルは、当選状況が「はずれ」となったときに、バトル演出の種類に応じた振分率に従って攻撃ポイントが決定されるように、決定に用いる判定値が定められている。
【0289】
すなわち、バトル演出A中における当選状況が「はずれ」となったときには、「50%」で「0」が、「30%」で「1」が、「10%」で「2」が、「5%」で「3」が、「5%」で「4」が、攻撃ポイントとして決定される。なお、攻撃ポイント「0」とは、味方キャラクタが敵方キャラクタから攻撃を受けないことを意味する。また、バトル演出B中における当選状況が「はずれ」となったときには、「60%」で「0」が、「35%」で「1」が、「5%」で「2」が、攻撃ポイントとして決定される。また、バトル演出C中における当選状況が「はずれ」となったときには、「100%」で「0」が攻撃ポイントとして決定される。その結果、バトル演出C中においては、味方キャラクタが敵方キャラクタから攻撃を受けないため、必ず、バトル演出において味方キャラクタが勝利するように定められている。
【0290】
このように、「はずれ」の当選状況となった場合の味方キャラクタが敵方キャラクタから受ける攻撃ポイントは、バトル演出の種類に応じて異なる振分率が定められており、バトル演出Aよりもバトル演出Bの方が高い割合で低い攻撃ポイントに決定されるように、かつバトル演出Cのときには攻撃を受けないように振分率が定められている。
【0291】
図12に戻り、S13においては、S12において決定された攻撃ポイントが「1」以上であったか否かが判定される。S13において攻撃ポイントが「1」以上であると判定されたときには、S14において対応するポイントを減算する。すなわち、S12において決定された攻撃ポイントが味方キャラクタから敵方キャラクタに与える攻撃ポイントであった場合には、敵方キャラクタのポイントを決定されたポイント分減算し、敵方キャラクタから味方キャラクタが受ける攻撃ポイントであった場合には、味方キャラクタのポイントを決定されたポイント分減算する。
【0292】
S15においては、S14における減算の結果、敵方キャラクタのポイントが「0」となったか否かが判定される。すなわち、バトル演出において味方キャラクタが勝利したか否かが判定される。
【0293】
S15において敵方キャラクタのポイントが「0」となったと判定されたときには、S16において味方キャラクタのポイントが「5」であるか否かが判定される。すなわち、勝利したバトル演出において、味方キャラクタが敵方キャラクタから1度も攻撃を受けずに勝利したか否かが判定される。
【0294】
S16において味方キャラクタのポイントが「5」でないと判定されたとき、すなわち敵方キャラクタから攻撃を受けていた場合には、S17においてノーマル勝利時のナビストック数決定用テーブルを参照して付与するナビストック数を決定する。S17におけるナビストック数の決定においては、図17(a)に示すナビストック数決定用テーブルが参照される。
【0295】
図17(a)に示すナビストック数決定用テーブルは、「70%」で「1」が、「15%」で「2」が、各「3%」で「3」?「7」のいずれかが、ナビストック数として決定されるように、決定に用いる判定値が定められている。このため、図17(a)に示すナビストック数決定用テーブルが参照された場合に設定されることを期待できるナビストック数(以下、期待ナビストック数ともいう)は、(ナビストック数×振分率)の合計値より、1.75となる。
【0296】
図12に戻り、S18においては、S12において決定された攻撃ポイントに対応する攻撃演出を設定するとともに、バトル演出の結果としてノーマル勝利演出を設定し、バトル演出中処理を終了する。S18における攻撃演出とは、味方キャラクタが敵方キャラクタに攻撃を与えて、報知されている敵方キャラクタのポイントからS12で決定されたポイント分(あるいは0になるまで)減少させる演出をいう。また、S18におけるノーマル勝利演出とは、敵方キャラクタが倒れて、味方キャラクタが勝利した旨を報知(たとえば、「勝利!!」といったメッセージを液晶表示器51に表示など)する演出をいう。設定された攻撃演出およびノーマル勝利演出は、後述する遊技演出実行処理において実行される。
【0297】
一方、S16において味方キャラクタのポイントが「5」であると判定されたときには、S19において完全勝利時のナビストック数決定用テーブルを参照してナビストック数を決定する。S19におけるナビストック数の決定においては、図17(b)に示すナビストック数決定用テーブルが参照される。
【0298】
図17(b)に示すナビストック数決定用テーブルは、「30%」で「2」が、「40%」で「3」が、「10%」で「4」が、「10%」で「5」が、「5%」で「6」が、「5%」で「7」が、ナビストック数として決定されるように、決定に用いる判定値が定められている。このため、図17(b)に示すナビストック数決定用テーブルが参照された場合に設定されることを期待できる期待ナビストック数は、(ナビストック数×振分率)の合計値より、3.35となる。よって、完全勝利時のときの方が、ノーマル勝利時のときよりも、より多くのナビストック数を獲得できる可能性が高いため、遊技者にとって有利度合いが高いといえる。
【0299】
図12に戻り、S20においては、S12において決定された攻撃ポイントに対応する攻撃演出を設定するとともに、バトル演出の結果として完全勝利演出を設定し、バトル演出中処理を終了する。S20における攻撃演出とは、味方キャラクタが敵方キャラクタに攻撃を与えて、報知されている敵方キャラクタのポイントからS12で決定されたポイント分(あるいは0になるまで)減少させる演出をいう。また、S20における完全勝利演出とは、敵方キャラクタが倒れて、味方キャラクタが1ポイントもダメージを受けることなく完全勝利した旨を報知(たとえば、「完全勝利だ!!期待大だ!!」といったメッセージを液晶表示器51に表示など)する演出をいう。設定された攻撃演出および完全勝利演出は、後述する遊技演出実行処理において実行される。
【0300】
なお、本実施の形態においては、S16において、勝利したバトル演出において、味方キャラクタが敵方キャラクタから受けた攻撃回数が0回であったか否かを判定し、当該判定結果に基づきS17かS19に振り分ける例について説明したが、S16において判定対象とする敵方キャラクタから受けた攻撃回数は、0回に限らず、必ず味方キャラクタが敗北してしまう回数(本実施の形態では5回)未満の予め定められた回数であればよく、たとえば、1回などであってもよい。
【0301】
一方、S15において敵方キャラクタのポイントが「0」でないと判定されたとき、すなわちバトル演出において未だ勝利していないと判定されたときには、S21において味方キャラクタのポイントが「0」となったか否かが判定される。すなわち、バトル演出において味方キャラクタが敗北したか否かが判定される。
【0302】
S21において味方キャラクタのポイントが「0」であると判定されたときには、S22に移行して、S12において決定された攻撃ポイントに対応する攻撃演出を設定するとともに、バトル演出の結果として敗北演出を設定し、バトル演出中処理を終了する。S22における攻撃演出とは、味方キャラクタが敵方キャラクタから攻撃を受けて、報知されている味方キャラクタのポイントからS12で決定されたポイント分(あるいは0になるまで)減少させる演出をいう。また、S22における敗北演出とは、味方キャラクタが倒れて、味方キャラクタが敗北した旨を報知(たとえば、「残念!!」といったメッセージを液晶表示器51に表示など)する演出をいう。設定された攻撃演出および敗北演出は、後述する遊技演出実行処理において実行される。
【0303】
一方、S21において味方キャラクタのポイントが「0」でないと判定されたとき、すなわち味方キャラクタも未だ敗北していないと判定されたときには、S23に移行して、S12において決定された攻撃ポイントに対応する攻撃演出を設定し、バトル演出中処理を終了する。
【0304】
S23における攻撃演出とは、S12で決定された攻撃ポイントが味方キャラクタが攻撃を与える攻撃ポイントである場合には、味方キャラクタが敵方キャラクタに攻撃を与えて、報知されている敵方キャラクタのポイントからS12で決定されたポイント分減少させる演出をいい、S12で決定された攻撃ポイントが味方キャラクタが攻撃を受ける攻撃ポイントである場合には、味方キャラクタが敵方キャラクタから攻撃を受けて、報知されている味方キャラクタのポイントからS12で決定されたポイント分減少させる演出をいう。設定された攻撃演出は、後述する遊技演出実行処理において実行される。
【0305】
前述したように、バトル演出で勝利することにより、S17やS19においてナビストック数をいくら付与するかが決定される。
【0306】
また、本実施の形態においては、ボーナス中において特殊条件が成立したときにも、所定の振分率にしたがってナビストックが付与される。図17(c)は、ボーナス中において特殊条件が成立したときに参照されるナビストック数決定用テーブルである。
【0307】
非BB中のRBにおける特殊条件は、たとえば、中リール2Cの「メロン」が入賞ラインL3、L4の2ラインに停止したことを契機として抽選を行ない、当該抽選で当選したときに成立するものや、当該RBにおいてメダルが48枚払出されて終了したときに成立するものであってもよい。
【0308】
また、BB中におけるRBにおける特殊条件は、たとえば、BB強イチゴに当選したことを条件として導出可能となる「白7-白7-白7」が入賞ラインL1上に停止したときに成立するものや、はずれとなることを条件として導出可能となる「黒BAR-黒BAR-黒BAR」が入賞ラインL1上に停止したときに成立するものであってもよい。
【0309】
図17(c)に示すナビストック数決定用テーブルは、「60%」で「1」が、「20%」で「2」が、「8%」で「3」が、「3%」で「4」が、「3%」で「5」が、「3%」で「6」が、「3%」で「7」が、ナビストック数として決定されるように、決定に用いる判定値が定められている。このため、図17(c)に示すナビストック数決定用テーブルが参照された場合に設定されることを期待できる期待ナビストック数は、(ナビストック数×振分率)の合計値より、1.9となる。なお、ナビストック数が残存しているときにボーナスが発生した場合において、当該ボーナスにおいて獲得したナビストックは、それまでに残存していたナビストック数に上乗せ加算される。
【0310】
ナビストックが付与されると、サブ制御部91は、ATである旨およびナビストック数を示すATフラグをRAM91cの所定領域に格納する。サブ制御部91は、RAM91cのATフラグに基づき、ATに制御するか否かを特定するとともに、残りのナビストック数を特定する。ATである旨を示すATフラグがセットされている状態であるときに、ナビストック数を1消費してATに制御可能となる。
【0311】
[AT管理処理]
サブ制御部91は、通常遊技状態、RT2、あるいは内部中RTであるときに、演出状態制御処理に含まれるAT管理処理を行なうことにより、ATフラグに基づき、ATへの制御を管理する。
【0312】
具体的に、サブ制御部91は、通常遊技状態、RT2においてAT当選を示すATフラグがセットされたときに、ATに制御する。また、サブ制御部91は、通常遊技状態への制御が開始されるときにおいて、ナビストック数が1以上でありAT当選を示すATフラグがセットされているときには、ATに制御する。AT中における通常遊技状態において昇格リプ入賞によりRT2に制御されたときには、ナビストック数を1消費(減算)することによるATへの開始条件が成立し、所定回数(たとえば50)ゲームを消化する間、RT2かつATであるARTに制御する。なお、通常遊技状態においては、ナビストック数を消費(減算)することなく、ATに制御されて、ナビ演出が実行可能となる。なお、ナビストック数を1消費したときには、1減算したナビストック数を示すATフラグに更新される。
【0313】
また、AT中においてボーナス当選により内部中RTに制御されたときには、当該内部中RTにおいても当該ATへの制御が継続される。なお、内部中RTにおいては、ナビストック数を消費(減算)することなく、ATに制御されて、ナビ演出が実行可能となる。
【0314】
また、サブ制御部91は、AT管理処理を行なうことにより、ARTであるときには、消化したゲーム数を計数する。そして、計数したゲーム数が所定回数(50)に到達したときのATフラグに基づき、ATを継続させるか否かが判定される。計数したゲーム数が所定回数に到達したときのATフラグが示すナビストック数が0であれば、ATでない旨を示すATフラグに更新される。すなわち、一連のATの終了条件は、ATから非ATに制御するときのATフラグがナビストック数0であるときに成立する。
【0315】
計数したゲーム数が所定回数に到達したときのATフラグからATでない旨が特定されたときには、再度ATに制御されず、ナビ演出が実行されない。その結果、押し順メロン1?5のいずれかに当選したときのリール制御(図12参照)により、中リール2Cの「メロン」を、中段に停止させ難くなるのに対し、上段に停止させやすく転落出目となる可能性が高くなるため、有利なRT2への制御を継続させることが困難となり、通常遊技状態で遊技が行なわれる可能性が高まる。
【0316】
一方、計数したゲーム数が所定回数に到達したときのATフラグから特定されるナビストック数が1以上であれば、ナビストックを1消費することにより新たに所定回数ゲーム消化されるまでATに制御させる。
【0317】
ATに制御されている間、遊技状態に応じたナビ対象役に当選したゲームにおいて対応するナビ演出が実行される。遊技状態に応じたナビ対象役とは、通常遊技状態であるときには昇格リプを含む押し順昇格リプレイ1?6をいい、RT2であるときには押し順メロン1?5をいう。これにより、AT中においては、意図的に当選した昇格リプ入賞、およびメロン1入賞(12枚払出、かつ転落出目回避)させることができる。
【0318】
本実施の形態においては、AT当選を示すATフラグが設定されているときであっても、ボーナス中においてはATに制御されず、ナビ演出が実行されない。また、本実施の形態においては、ATをボーナス入賞まで継続させるが、ATへの継続制御は、ボーナス当選して制御される内部中RTにおいてATに制御されている場合における1ゲーム当りの平均増減枚数が0以下となる場合に限ってもよい。これにより、内部中RTであってATである期間を意図的に長引かせることにより遊技者の利益を増加させてしまうといった不都合の発生を未然に防止することができる。また、内部中RTにおいてATに制御されている場合における1ゲーム当りの平均増減枚数が0より大きくなる場合には、ATをボーナス当選まで継続させ、内部中RTにおいてATに制御しないように構成してもよい。
【0319】
以上のように、RT2であるときには、ナビストック数を1消費することにより、所定回数のゲーム消化する間ARTに制御される。また、ARTにおいて所定回数ゲームを消化したときであっても、未だATフラグからATである旨が特定されナビストック数が1以上であるときには、その後もATに継続して制御される。これにより、AT抽選の結果に応じて設定されるナビストック数に応じた期間に亘り、ATに制御可能となるといえる。また、AT抽選の結果に応じて設定されるナビストック数に応じた回数だけ、ATに繰り返し制御可能となるといえる。
【0320】
[遊技演出実行処理]
サブ制御部91は、遊技演出実行処理に含まれるバトル演出関連処理を実行することにより、図11のS07において設定されたバトル演出を所定タイミングで開始し、図12のS18、S20、S22、およびS23のうちいずれかにおいて設定された攻撃演出、勝利演出、完全勝利演出、敗北演出などを実行する。
【0321】
バトル演出を開始するタイミングに関して、バトル演出関連処理では、「ボーナス」当選状況となったことを契機に当該バトル演出を実行すると決定された場合には、原則として、当該「ボーナス」の終了後の1ゲーム目からバトル演出を開始する。
【0322】
なお、図17(c)で示したように、ボーナス中において特殊条件が成立すると、当該ボーナス中においてすでにナビストックが付与されている場合も生じ得る。この場合、先にナビストック数に対応する一連のATに制御した後の次の1ゲーム目から、バトル演出関連処理によりバトル演出が実行される。すなわち、ボーナス終了後においてバトル演出を実行する旨が決定されている場合において、当該ボーナス中にナビストックを獲得したときには、先にナビストックを消費してATに制御し、当該ATが終了するまでバトル演出を実行する旨の決定が持ち越される。
【0323】
また、バトル演出を開始するタイミングに関して、バトル演出関連処理では、「ボーナス」当選状況以外の特定の当選状況となったことを契機に実行すると決定された場合には、次のゲームからバトル演出を開始する。
【0324】
なお、バトル演出の態様は、前述したような態様に限らず、遊技者が当該バトル演出の進行状況(味方キャラクタが有利な状態であるか不利な状態であるかなど)を特定可能な態様であればどのようなものであってもよい。また、バトル演出は、液晶表示器51に表示するものに限らず、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等を用いて実行するものであってもよい。
【0325】
また、サブ制御部91は、遊技演出実行処理に含まれるナビ演出実行処理を実行することにより、ATに制御されているときに、メイン制御部41からのコマンドに基づいて、遊技状態に応じたナビ対象役に当選したときに対応するナビ演出を実行する。
【0326】
押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選したときのナビ演出としては、当選状況に応じて昇格リプを入賞させてRT2に制御させるための押し順(図9参照)が報知される。たとえば、押し順昇格リプレイ1に当選したときのナビ演出としては、「順押し」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。また、押し順昇格リプレイ2に当選したときのナビ演出としては、「順挟み押し」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。
【0327】
また、RT2において押し順メロン1?5のいずれかに当選したときのナビ演出としては、当選状況に応じて中リール2Cの「メロン」を中段に停止させてメダルを12枚払いださせるための押し順(すなわちチャンス出目によりメロン1入賞させるための押し順、図10参照)が報知される。たとえば、押し順メロン1に当選したときのナビ演出としては、「順押し」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。また、押し順メロン2に当選したときのナビ演出としては、「順挟み押し」といったメッセージが、液晶表示器51に表示される。
【0328】
以上のように、本実施の形態におけるナビ演出は、遊技者にとって有利となる操作手順を想起させるメッセージが、ナビ対象役の種類に関わらず同じ態様で報知される。このため、遊技者は、当選したナビ対象役の種類を意識せずに遊技者にとって有利となる操作手順で操作することができる。
【0329】
なお、ナビ演出の態様は、このような態様に限らず、遊技者が当選状況に応じて区別可能な態様であればどのようなものであってもよい。また、ナビ演出は、液晶表示器51に表示するものに限らず、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等を用いて実行するものであってもよい。
【0330】
また、サブ制御部91は、遊技状態演出実行処理を行なうことにより、現在の遊技状態や演出状態に関連する遊技状態演出を、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の電気部品を用いて実行する。
【0331】
遊技状態演出としては、たとえば、遊技状態に関わらず非AT中であるときには、通常演出(たとえば、液晶表示器51に「通常中」といったメッセージを表示など)が行なわれる。また、遊技状態に関わらずAT中であるときには、特別演出(たとえば、液晶表示器51に「AT中」といったメッセージを表示など)が行なわれる。また、AT中であるときには、AT中に消化したゲーム数の表示が行なわれる。
【0332】
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 前述した実施の形態においては、バトル演出中において、味方キャラクタが敵方キャラクタから攻撃を受ける毎に、味方キャラクタが敗北してしまうのではないかといった緊張感を抱かせることができる。
【0333】
また、味方キャラクタが敵方キャラクタに攻撃を加えて味方キャラクタが勝利したときには、図17(a)および(b)で示したように、それまでに敵方キャラクタからの攻撃を受けていたか否かで有利度合いが異なるようにナビストック数が付与される。このため、バトル演出中において味方キャラクタが勝利することのみならず、敵方キャラクタからの攻撃を受けたか否かにも遊技者を注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、味方キャラクタが勝利した場合において、敵方キャラクタから攻撃を受けつつ勝利したノーマル勝利時よりも、敵方キャラクタから1度も攻撃を受けることなく勝利した完全勝利時であるときの方が、高い割合で有利度合いが高くなるように、ナビストック数が付与される。その結果、敵方キャラクタから攻撃を受けることなく味方キャラクタが勝利することに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0334】
(2) 前述した実施の形態においては、敵方キャラクタから1度も攻撃を受けることなく味方キャラクタが完全勝利した場合に、高い割合で有利度合いが高くなるように、ナビストック数が付与される。このため、完全勝利することに対しプレミア的な期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0335】
(3) 前述した実施の形態においては、図15および図16で示したように、攻撃抽選条件が内部抽選の当選状況に応じて成立する。すなわち、内部抽選の当選状況に応じて、入賞が発生し得るか否かのみならず、攻撃抽選条件が成立するか否かについても左右される。このため、バトル演出中における内部抽選の当選状況に対する注目度合いを向上させることができ、バトル演出中における遊技の興趣を向上させることができる。
【0336】
(4) 前述した実施の形態におけるバトル演出において味方キャラクタが勝利するためには、敵方キャラクタのポイントを0にする必要がある。その敵方キャラクタに対して攻撃を与えるポイントは、図15に示したように、「1」?「5」が定められている。このうち、たとえば攻撃抽選条件が成立する度に「2」に決定されたときには敵方キャラクタに対して3回攻撃を与えなければ味方キャラクタが勝利しないのに対し、たとえば攻撃抽選条件が成立する度に「3」に決定されたときには敵方キャラクタに対して2回攻撃を与えること、すなわち少ない攻撃回数で味方キャラクが勝利する。このように、決定される攻撃ポイントによって、味方キャラクタが勝利するために必要となる攻撃回数が異なるように定められている。このため、より少ない攻撃回数で勝利できるように、攻撃抽選条件が成立したときに、より大きな攻撃ポイントに決定されることに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0337】
(5) 前述した実施の形態においては、図14で示したように、バトル演出抽選条件を成立させる契機となった当選状況に応じた振分率にしたがって、バトル演出の種類が決定される。また、図15で示したように、「押し順メロン」に当選したときにおける攻撃ポイントが、バトル演出の種類に応じた振分率にしたがって決定される。また、バトル演出において味方キャラクタが勝利するか否かは、決定される攻撃ポイントの大きさに左右される。その結果、バトル演出抽選条件を成立させる契機となった当選状況に応じて、バトル演出において味方キャラクタが勝利する確率を異ならせることができる。よって、バトル演出中でないときにおける当選状況に対しても遊技者を注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0338】
(6) 前述した実施の形態においては、メロン1を含む押し順メロン1?5のいずれかに当選しているときには、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作手順に関わらず入賞ラインL1?L4のうちいずれかにメロン1の図柄組合せを停止させることが可能となる。このため、押し順メロン1?5のいずれかに当選しているときにおいて、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作手順によって入賞する場合と入賞しない場合とが起こり得るスロットマシンと比較して、当選しているにも関わらず入賞せずに取りこぼしが生じることに対して遊技者が抱く不満を軽減することができる。また、図10で示したように、押し順メロン1?5のいずれに当選しているかによって、中リール2Cの「メロン」を中段に停止させてメロン1を入賞ラインL1、L3、L4の3ライン上において入賞させるための操作手順が異なる。このため、操作手順に応じて遊技者に払出されるメダルの枚数を異ならせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0339】
また、ATにおいては、内部抽選の結果に応じてナビ演出が実行される。このため、ATに制御されているときには、操作手順によって遊技者にとって有利度合いが異なる図柄組合せが停止され得る当選状況、たとえば押し順昇格リプレイ1?6、および押し順メロン1?5に当選している当選状況となったときに、意図的に遊技者にとって有利となる操作手順で操作することが可能となる。たとえば、押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選しているときには、意図的に昇格リプ入賞させる操作手順で操作することが可能となる。また、押し順メロン1?5のいずれかに当選しているときには、意図的に中リール2Cの「メロン」を中段に停止させてメロン1を入賞ラインL1、L3、L4の3ライン上において入賞させるための操作手順で操作することが可能となる。このようなATには、バトル演出で勝利するかボーナス中のAT抽選で当選することにより制御される。また、当該ATに継続して制御される期間は、ナビストック数に応じて異なる。その結果、AT当選して、より多いナビストック数に決定されることに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0340】
(7) 前述した実施の形態においては、図10で示すように、押し順メロン1?5のいずれかに当選している場合において、中リール2Cの「メロン」を中段に停止させてメロン1を入賞ラインL1、L3、L4の3ライン上において入賞させるための操作手順で操作できたときには、当該停止操作に応じたリールの「メロン」を中段に停止させるリール制御が行なわれ、それ以外の操作手順で操作されたときには当該停止操作に応じたリールの「メロン」を上段に停止させるリール制御が行なわれる。すなわち、操作手順に応じて、メロン1の図柄組合せを構成する中リール2Cのみならず、それ以外の左リール2Lおよび右リール2Rについても異なるリール制御が行なわれる。このため、中リール2Cが停止する以前においても、左リール2Lや右リール2Rにおける「メロン」が停止した位置から、その後中リール2Cの「メロン」が中段に停止するか否かを予測することができる。その結果、中リール2Cのみならず、左リール2Lおよび右リール2Rの停止図柄の注目度を向上させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0341】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0342】
[遊技者にとっての有利度合いについて]
前述した実施の形態では、バトル演出に勝利したときに、敵方キャラクタから受けた攻撃回数が所定回数(「0」)を超えているときよりも、当該所定回数以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように(期待ナビストック数が大きくなるように)、特典としてナビストックを付与する例について説明した。しかし、バトル演出に勝利したときに、敵方キャラクタから受けた攻撃回数が所定回数(「0」)を超えているときと、所定回数以下であるときとで、遊技者にとっての有利度合いが異なるように特典としてナビストックを付与するものであればよく、たとえば、バトル演出に勝利したときに、敵方キャラクタから受けた攻撃回数が所定回数(「0」)以下であるときよりも、当該所定回数を超えているときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように(期待ナビストック数が大きくなるように)、特典としてナビストックを付与するようにしてもよい。この場合には、味方キャラクタが勝利した場合において、敵方キャラクタから1度も攻撃を受けることなく勝利した完全勝利時よりも、敵方キャラクタから攻撃を受けつつ勝利したノーマル勝利時であるときの方が、高い割合で有利度合いが高くなるように、ナビストック数が付与されるため、その結果として、バトル演出中において味方キャラクタが勝利することのみならず、敵方キャラクタからの攻撃を受けたか否かにも遊技者を注目させることができ、遊技の興趣を向上させることができるとともに、敵方キャラクタから攻撃を受けつつ味方キャラクタが勝利することに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。また、このように構成した場合における所定回数は、敵方キャラクタから攻撃を受けつつ味方キャラクタのポイントが残っている最大攻撃回数である「4」、すなわち終了条件を成立させない特定条件の最大成立回数であってもよい。これにより、敵方キャラクタから攻撃を受けつつ、辛うじて味方キャラクタが勝利した場合に、高い割合で有利度合いが高くなるように、ナビストック数を付与することができるため、辛うじて味方キャラクタが勝利することに対しプレミア的な期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0343】
[遊技者にとっての有利度合いを異ならせる回数について]
前述した実施の形態においては、遊技者にとっての有利度合いを異ならせる境目となる回数として、敵方キャラクタからの攻撃回数が「0」である例について説明したが、これに限らず、敵方キャラクタからの攻撃回数が「1」など、予め定められた回数であればよい。また、遊技者にとって有利度合いを異ならせる境目となる回数として、所定回数だけに限らず、所定回数を超える予め定められた特別回数を設けてもよい。たとえば、所定回数として「0」が定められており、特別回数として「2」が定められている場合において、敵方キャラクタから攻撃を受けてしまった場合においても、敵方キャラクタからの攻撃回数が特別回数として定められた「2」を超えているときよりも、「2」以下であるときの方が高い割合で、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように、特典としてのナビストックを付与するようにしてもよい。これにより、敵方キャラクタから攻撃を受けてしまった後においても、敵方キャラクタからの攻撃回数が特別回数以下で味方キャラクタが勝利することに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。その結果、敵方キャラクタから攻撃を受けた後においても、有利度合いが高くなるように特典としてのナビストックが付与されることに対する期待感を持続させることができる。
【0344】
[バトル演出の開始タイミングについて]
前述した実施の形態では、バトル演出が「ボーナス」当選状況以外の特定の当選状況となったことを契機に実行すると決定された場合には、次のゲームから当該バトル演出を開始する例について説明した。しかし、これに限らず、バトル演出を実行すると決定されてから所定の制御開始条件が成立したときに、当該バトル演出を開始するようにしてもよい。
【0345】
また、バトル演出が「ボーナス」当選状況となったことを契機に実行すると決定された場合には、「ボーナス」の終了後あるいは一連のATに制御した後の1ゲーム目から当該バトル演出を開始する例について説明した。しかし、これに限らず、「ボーナス」が終了あるいは一連のATへの制御が終了してから所定の制御開始条件が成立したときに、当該バトル演出を開始するようにしてもよい。
【0346】
所定の制御開始条件とは、たとえば、所定の潜伏ゲーム数消化することにより成立するものであってもよく、また、特定の入賞役に当選あるいは特定の入賞役の発生により成立するものであってもよい。また、所定の制御開始条件が、所定の潜伏ゲーム数消化することにより成立するように構成する場合には、バトル演出を実行すると決定する契機となった当選状況に応じて異なる振分率に従って潜伏ゲーム数を決定するようにしてもよい。
【0347】
[敵方キャラクタからの最大攻撃ポイントについて]
前述した実施の形態では、図16で示したように、バトル演出中における味方キャラクタが敵方キャラクタから受ける最大攻撃ポイントが、「4」となるように定められており、敵方キャラクタからの1回の攻撃では敗北しないようにした例について説明した。しかし、バトル演出中における味方キャラクタが敵方キャラクタから受ける最大攻撃ポイントとして、「5」が決定され得るように構成してもよい。これにより、敵方キャラクタからの1回の攻撃によって敗北してしまう可能性があるため、バトル演出中における遊技者の緊張感をより一層高めることができる。
【0348】
[有利度合いが高くなるように付与する特典について]
前述した実施の形態では、有利度合いが高くなるように付与する特典として、図17(a)および(b)で示したように、味方キャラクタが勝利したときに付与され得る期待ナビストック数を異ならせることにより、ノーマル勝利時であるときよりも完全勝利時であるときの方が、遊技者にとっての有利度合いが高くなるように付与されるナビストックを例示した。しかし、「有利度合いが高くなるように付与する特典とは、付与条件が成立したときに付与される特典に限らず、結果的に、遊技者にとっての有利度合いが高まるものであれば、どの時点で付与される特典であってもよい。たとえば、ノーマル勝利した後に発生したボーナスであるか、完全勝利した後に発生したボーナスであるかで、当該ボーナス中においてナビストックを獲得する確率や期待ナビストック数を異ならせることにより、ノーマル勝利時であるときよりも完全勝利時であるときの方が、ナビストックを獲得する確率が高く、かつ期待ナビストック数が多くなるように、ナビストックを付与するものであってもよい。
【0349】
[特典について]
前述した実施の形態においては、特典として、ATに制御可能にするゲーム数を特定するためのナビストックを例示した。しかし、たとえば、ATに制御可能なゲーム数を決定し、当該決定されたゲーム数消化するまでATに制御する場合、ATに制御可能にするゲーム数そのものを特典としてもよい。この場合、遊技者にとっての有利度合いが高いとは、たとえば、多いゲーム数をいう。
【0350】
また、ナビ演出を実行可能なナビ演出実行可能回数を決定し、当該決定されたナビ演出実行可能回数分、ナビ演出が実行されるまでATに制御する場合、ナビ演出実行可能回数を特典としてもよい。この場合、遊技者にとっての有利度合いが高いとは、多いナビ演出実行可能回数をいう。
【0351】
また、たとえば、上限付与量を決定し、付与された遊技用価値(メダル払出枚数)が決定された上限付与量に到達するまでATに制御する場合、上限付与量を特典としてもよい。この場合、遊技者にとっての有利度合いが高いとは、多い上限付与量をいう。
【0352】
また、所定のAT開始条件が成立してから所定のAT終了条件が成立するまでATに制御され、AT終了条件が成立したときに当該ATを継続するか否かの継続抽選を行なう場合、継続抽選において継続すると決定される継続確率を特典としてもよい。この場合、遊技者にとっての有利度合いが高いとは、高い継続確率をいう。
【0353】
また、特典としては、メダルの払出率に直接影響を及ぼす価値に限らず、メダルの払出率に直接影響を及ぼすものではない価値であってもよい。特典としては、たとえば、前述したナビストックの付与や、確率モードが高確率モードであるか否かを示唆するための示唆演出の実行、液晶表示器51に音声とともに特典演出の実行(特別キャラクタ出現、次回発生したボーナス中において特別ボーナス中演出実行など)、設定されている設定値を示唆するための設定値示唆演出の実行、一定数を集めることでスロットマシン1が設置された遊技店において定めたサービスと交換可能なポイント付与、特典映像や特典情報を所定のWebサイトにてダウンロードすることが可能なQRコードを液晶表示器51において表示などであってもよい。また、特別遊技状態終了後に規定ゲーム数消化するまで特定遊技状態(たとえばRTなど)に制御する場合には、特別遊技状態において付与された特典に応じて、その後制御される特定遊技状態の規定ゲーム数を異ならせるものであってもよい。
【0354】
[バトル演出抽選タイミングについて]
前述した実施の形態においては、図11のS01で示したように、ナビストック数が残存しているときには、バトル演出抽選が行なわれず、その結果、バトル演出によりナビストックを獲得し得ない例について説明した。しかし、ナビストック数が残存しているときであっても、バトル演出抽選を行ない、バトル演出を実行可能にして、当該バトル演出において味方キャラクタが勝利することによりナビストックを付与するようにしてもよい。ナビストック数が残存しているときにバトル演出が実行されることにより獲得したナビストックは、それまでに残存していたナビストック数に上乗せ加算するようにしてもよい。また、ナビストック数が残存しているときに実行されるバトル演出においても、バトル演出に勝利したときに、敵方キャラクタから受けた攻撃回数が所定回数(「0」)を超えているときと、所定回数以下であるときとで、遊技者にとっての有利度合いが異なるように特典を付与するようにしてもよい。これにより、前述した実施の形態における効果と同様の効果を奏する。
【0355】
[バトル演出振分テーブルについて]
前述した実施の形態においては、図14で示したように、バトル演出を実行すると決定する契機となった当選状況が属するグループ毎に、バトル演出の種類を決定するための振分率を異ならせた例について説明した。また、図15および図16で示したように、バトル演出の種類に応じて、当該バトル演出で味方キャラクタが勝利する割合を異ならせる例について説明した。このような味方キャラクタが勝利する割合を異ならせることとなるバトル演出の種類を決定するための振分率は、少なくともバトル演出が開始されるまでのゲームの進行状況に応じて異なるものであれば、当選状況に限るものではない。味方キャラクタが勝利する割合を異ならせることとなるバトル演出の種類を決定するための振分率は、たとえば、バトル演出を実行すると決定されたときの遊技状態が通常遊技状態、RT1、RT2のうちいずれであるかに応じて異ならせてもよく、また、通常遊技状態であるときに確率モードが低確モードであるか高確モードであるかに応じてさらに異ならせてもよい。これにより、バトル演出に制御されていないときにおけるゲームの進行状況に対して遊技者を注目させることができ、遊技の興趣をより一層向上させることができる。
【0356】
[バトル演出に関連する各種テーブルについて]
前述した実施の形態では、設定されている設定値に関わらず、図13?図17で示したバトル演出に関連する各種テーブルに定められた値が参照される例について説明した。しかし、バトル演出に関連する各種テーブルに定められた値は、設定値毎に定められており、設定されている設定値に応じた値が参照されるようにしてもよい。
【0357】
[特定状態について]
前述した実施の形態では、特定状態として、バトル演出を例示した。しかし、特定状態とは、特定条件が少なくとも2回以上成立することにより終了条件が成立し、終了条件が成立するまでに付与条件が成立し得るものであれば、バトル演出に限るものではなく、たとえば、所定のゲームを行ない、当該ゲームで複数回失敗すると終了し、終了するまでにクリアすれば付与条件が成立し得るミニゲームなどであってもよい。
【0358】
[一般遊技状態中のナビ演出について]
前述した実施の形態におけるナビ対象役は、通常遊技状態であるときには昇格リプを含む押し順昇格リプレイ1?6であり、RT2であるときには押し順メロン1?5である例について説明したが、これに限るものではない。たとえば、ナビ対象役に、イチゴやブドウを含め、当選したときにイチゴに当選した旨あるいはブドウに当選した旨を報知するようにしてもよい。
【0359】
[メロンの入賞ラインについて]
前述した実施の形態においては、押し順メロン1?5のいずれかが当選したときには、図10で示したように、当選した押し順メロンの種類に応じた所定の押し順となる操作手順でストップスイッチ8L、8C、8Rを操作したことを条件として、中リール2Cの「メロン」を中段に停止させてメロン1を3ラインで入賞させ、所定の押し順と異なる操作手順で操作したことを条件として、中リール2Cの「メロン」を上段に停止させてメロン1を1つの入賞ラインに入賞させる例について説明した。しかし、所定の押し順となる操作手順で操作された場合にメロン1が入賞する入賞ライン数は、3つの入賞ラインに限らず、複数であれば、たとえば2つ、4つの入賞ラインであってもよい。また、所定の押し順となる操作手順以外の手順で操作された場合にメロン1が入賞する入賞ライン数は、1つの入賞ラインに限らず、所定の押し順となる操作手順で操作された場合に入賞する入賞ライン数よりも少ない入賞ライン数であれば、たとえば、複数の入賞ラインであってもよい。
【0360】
また、前述した実施の形態において、メロン1を複数の入賞ラインに入賞させるリール制御が行なわれる手順として、左・中・右リールを所定の順番で停止させる手順を例に説明した。しかし、メロン1を複数の入賞ラインに入賞させるリール制御が行なわれる手順としては、これに限らず、左・中・右リールのうち所定のリールを第2に停止させる手順であってもよく、左・中・右リールのうち所定のリールを第1に停止させる手順であってもよい。これにより、メロン1を複数の入賞ラインに入賞させるリール制御が行なわれる手順のバリエーションが増えるため、興趣を向上させることができる。
【0361】
[押し順メロン当選時のリール制御について]
前述した実施の形態では、図10において、押し順メロン1?5のいずれかに当選しているときにおいて、所定の押し順となる操作手順で操作されたときと、所定の押し順となる操作手順以外の手順で操作されたときとで異なるリール制御が行なわれる一例を説明した。しかし、異なるリール制御としては、図10に示すものに限らず、たとえば、所定の押し順となる操作手順で操作されたときには、左リール2Lおよび右リール2R各々について、当選していない入賞役が入賞してしまう場合を除き、停止操作されたタイミングで停止させる制御(停止遅延させない制御)が行なわれ、所定の押し順となる操作手順以外の手順で操作されたときには、左リール2Lおよび右リール2R各々について、当選していない入賞役が入賞してしまう場合を除き、停止操作されたタイミングから停止遅延させて停止させる制御が行なわれるようにしてもよい。
【0362】
また、前述した実施の形態では、押し順メロン1?5のいずれかに当選している場合において、所定の押し順となる操作手順で操作されたときに、「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを入賞ラインL3またはL4に停止させ、所定の押し順以外の操作手順で操作されたときに、「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを入賞ラインL2に停止させるようにリール制御を行なうように構成してもよい。このように構成する場合において、押し順メロン1?5のいずれかに当選しているときであって、第1停止が行なわれて左リール2Lまたは右リール2Rを停止させるときには、当該第1停止が所定の押し順となる操作手順に合致するか否かに関わらず、対応するリールの「メロン」を上段に停止させるようにリール制御を行ない、当該第1停止および第2停止以降における操作手順に応じて、所定の押し順となるときには「メロン」を入賞ラインL3またはL4上に停止させるリール制御を行ない、所定の押し順とならないときには「メロン」を入賞ラインL2上に停止させるリール制御を行なうように構成してもよい。これにより、第1停止によりメロン1の図柄組合せを構成しないリール(たとえば、左リール2L、右リール2R)を停止させた場合であっても、入賞ラインL2?L4のいずれにも「メロン-メロン-メロン」の図柄組合せを停止させることができるように停止制御が行なわれる。その結果、第1停止により停止された出目からは、当該第1停止が所定の押し順に合致する停止操作であったか否かを把握できないように、特定不能にすることができ、第2停止以降にも期待感を持続させることができる。
【0363】
[ATでない旨が特定される状態について]
前述した実施の形態では、AT当選していない旨のATフラグが設定されているときには、ATに制御されず、ナビ演出が実行されない例について説明した。しかし、AT当選していない旨のATフラグが設定されているときであっても、所定確率でナビ演出を実行するように構成してもよい。
【0364】
[その他の変形例について]
(1) 前述した実施の形態においては、AT当選している旨(AT中である旨)のATフラグを、ボーナス当選したときであってもクリアすることなく、その後も維持し、再び通常遊技状態に制御されたときにATに制御し得るようにし、かつボーナス中の抽選(図17(c))によりナビストックを獲得した場合には、当該ナビストック数が上乗せされた数に対応するATフラグに更新し、ボーナス終了後においては更新後のATフラグに基づくナビストック数にしたがって行なう例について説明した。しかし、AT当選している旨のATフラグは、ボーナス当選したときにクリアするものであってもよい。また、ボーナス当選毎に上乗せ可能かクリアかいずれの処理を行なうかを決定し、該決定された処理を行なうものであってもよい。これにより、AT当選している旨のATフラグが設定されている状態においてボーナス当選したときのバリエーションが増加し、遊技の興趣を向上させることができる。
【0365】
(2) 上記の実施の形態では、賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施の形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0366】
また、上記の実施の形態では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。
【0367】
さらに、流路切替ソレノイド30や投入メダルセンサ31など、メダルの投入機構に加えて、遊技球の取込を行なう球取込装置、球取込装置により取り込まれた遊技球を検出する取込球検出スイッチを設けるとともに、ホッパーモータ34bや払出センサ34cなど、メダルの払出機構に加えて、遊技球の払出を行なう球払出装置、球払出装置により払い出された遊技球を検出する払出球検出スイッチを設け、メダルおよび遊技球の双方を用いて賭数を設定してゲームを行なうことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球が払い出されるスロットマシンに適用してもよい。
【0368】
(3) 前述した実施の形態においては、図9および図10で示したように、昇格リプの入賞手順および中リール2Cの「メロン」を中段停止させる手順が、各々、停止操作の押し順である例について説明したが、これに限らず、停止操作タイミングが含まれるものであってもよく、押し順だけのものや、停止操作タイミングだけのものに限らず、押し順+停止操作タイミングとなるものであってもよい。
【0369】
(4) 前述した実施の形態においては、メロン1当選時において転落出目が導出されることにより、RT1およびRT2のいずれかから通常遊技状態に移行する例について説明したが、通常遊技状態への移行契機はこれに限るものではない。たとえば、メロン1当選時に限らず、特定の入賞役当選時において当該特定の入賞役(特定の小役、特定の再遊技役)の入賞を発生させることができないときに停止される出目(特定のはずれ出目を含む)であってもよく、また、特定の入賞役と同時に当選し得る他の特定の入賞役に入賞することであってもよい。
【0370】
(5) 前述した実施の形態においては、昇格リプ入賞することにより、通常遊技状態からRT2に昇格する例について説明したが、通常遊技状態からRT2への昇格契機はこれに限らず、たとえば、所定の入賞役の取りこぼし時にのみ停止する図柄組合せが停止されることであってもよい。これにより、所定の入賞役を取りこぼす代わりに遊技状態が移行されるという面白みを付加することができる。
【0371】
(6) なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0372】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、41a メインCPU、41b ROM、41c RAM、42 乱数回路、43 パルス発振器、50 RTC、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ、90 演出制御基板、91 サブ制御部、91a サブCPU、91b ROM、91c RAM。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
開始条件が成立してから終了条件が成立するまでの複数回のゲームに亘って特定状態に制御可能な特定状態制御手段と、
付与条件の成立に伴って、遊技者にとって有利な有利状態に制御する権利である特典を付与する特典付与手段とを備え、
前記特定状態は、味方キャラクタと敵キャラクタとがバトルを展開するバトル演出が実行される状態であり、
前記特定状態においては、当該特定状態におけるゲームの結果が第1結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受け、当該特定状態におけるゲームの結果が当該第1結果とは異なる第2結果となったことに応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をするものであり、
前記終了条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから複数回数の攻撃を受けることにより成立し、
前記付与条件は、前記特定状態におけるゲームの結果に応じて前記味方キャラクタが前記敵キャラクタに攻撃をすることにより成立し、
前記特典付与手段は、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときよりも、当該特定状態において当該味方キャラクタが当該敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていたときは、前記有利状態に制御される期間が所定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていなかったときは、前記有利状態に制御される期間が前記所定期間より長い特定期間以上となるように特典を付与し、
前記特定状態中に前記付与条件が成立したときに、当該特定状態において前記味方キャラクタが前記敵キャラクタから攻撃を受けていた場合、当該敵キャラクタの攻撃回数が特別回数を超えていたときよりも、当該攻撃回数が当該特別回数以下であるときの方が前記有利状態に制御される期間の期待値が高くなるように特典を付与する、スロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-12-02 
出願番号 特願2016-181962(P2016-181962)
審決分類 P 1 651・ 841- YAA (A63F)
P 1 651・ 55- YAA (A63F)
P 1 651・ 121- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 鉄 豊郎
島田 英昭
登録日 2018-11-16 
登録番号 特許第6433956号(P6433956)
権利者 株式会社三共
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  

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