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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H04N
管理番号 1359567
異議申立番号 異議2018-700094  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-02 
確定日 2020-01-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6171725号発明「中継装置、プログラムおよび中継装置の制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6171725号の特許請求の範囲を令和元年9月5日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?11〕、12、13について訂正することを認める。 特許第6171725号の請求項1?4、6?8、10、11、12、13に係る特許を維持する。 特許第6171725号の請求項5、9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6171725号(以下、「本件特許」という。)の請求項1?請求項13に係る特許についての出願は、平成25年8月23日の出願であって、平成29年7月14日付けでその特許権の設定登録(特許公報発行日 平成29年8月2日)がされた。
これに対して、平成30年2月2日に特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社より請求項1?請求項13に対して特許異議の申立てがなされ、その後の手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 3月27日 取消理由通知
平成30年 5月31日 意見書提出及び訂正請求(特許権者)
平成30年 8月 9日 意見書提出(特許異議申立人)
平成30年10月29日 訂正拒絶理由通知
平成31年 1月28日 取消理由通知
平成31年 3月27日 意見書提出及び訂正請求(特許権者)
令和 元年 6月13日 意見書提出(特許異議申立人)
令和 元年 7月10日 取消理由通知(決定の予告)
令和 元年 9月 5日 意見書提出及び訂正請求(特許権者)
令和 元年10月28日 意見書提出(特許異議申立人)

第2 訂正の適否
1 訂正請求の趣旨
令和元年9月5日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)により、特許権者が請求する訂正の趣旨は、特許第6171725号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?13について訂正することを求めるものである。

2 訂正事項
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。
また、下線は訂正箇所である。

(1)請求項1?11に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記プロセッサは、第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、」と記載されているのを、
「前記プロセッサは、スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段と、前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、」に訂正する。
(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2?4、6?8、10および11も同様に訂正する)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、して機能可能であることを特徴とする中継装置。」と記載されているのを、
「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段と、して機能可能であることを特徴とする中継装置。」に訂正する。
(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2?4、6?8、10および11も同様に訂正する)。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に「前記プロセッサは、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる第1出力手段としてさらに機能可能であることを特徴とする請求項1に記載の中継装置。」と記載されているのを、
「前記プロセッサは、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための第2情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる第2出力手段としてさらに機能可能であることを特徴とする請求項1に記載の中継装置。」に訂正する。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項3に「前記第1出力手段は、第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報を各々識別する複数の第2画像情報識別情報を含み、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の前記表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて、前記複数の第2画像情報識別情報のうちから、前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための前記第1情報を出力し、」と記載されているのを、
「前記第2出力手段は、第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報を各々識別する複数の第2画像情報識別情報を含み、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の前記表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて、前記複数の第2画像情報識別情報のうちから、前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための前記第2情報を出力し、」に訂正する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項4に「前記第1出力手段は、前記第1取得手段が取得した前記選択画像処理識別情報に基づいて前記選択画像処理の種類を識別し、前記第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報のうち、識別された前記選択画像処理の種類に対応する複数の第2画像情報を示す画像を前記表示部に表示させるための前記第1情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の中継装置。」と記載されているのを、
「前記第2出力手段は、前記第1取得手段が取得した前記選択画像処理識別情報に基づいて前記選択画像処理の種類を識別し、前記第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報のうち、識別された前記選択画像処理の種類に対応する複数の第2画像情報を示す画像を前記表示部に表示させるための前記第2情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の中継装置。」に訂正する。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、
「請求項1?4の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正する。

ク 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1?6の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、
「請求項1?4または6の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正する。

ケ 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

コ 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1?9の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、
「請求項1?4または6?8の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正する。

サ 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1?10の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、
「請求項1?4、6?8または10の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正する。

(2)請求項12に係る訂正
ア 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項12に「前記プロセッサを、第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、」と記載されているのを、
「前記プロセッサを、スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段と、前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、」に訂正する。

イ 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項12に「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、して機能させることが可能であることを特徴とするプログラム。」と記載されているのを、
「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段と、して機能させることが可能であることを特徴とするプログラム。」に訂正する。

(3)請求項13に係る訂正
ア 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項13に「前記プロセッサは、第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得ステップと、」と記載されているのを、
「前記プロセッサは、スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信ステップと、前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得ステップと、」に訂正する。

イ 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項13に「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得ステップと、を実行可能であることを特徴とする制御方法。」と記載されているのを、
「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得ステップと、前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力ステップと、を実行可能であることを特徴とする制御方法。」に訂正する。

3 訂正の適否の判断
(1)請求項1?11に係る訂正
ア 一群の請求項について
訂正事項1?11に係る訂正前の請求項1?11について、請求項2?11は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1、2によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?11に対応する訂正後の請求項1?11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

イ 訂正の目的
(ア)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「プロセッサ」に、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段」として機能可能であることを追加するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項1の「プロセッサ」に、「前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段」として機能可能であることを追加するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(ウ)訂正事項3
訂正事項3は、訂正事項2により、請求項1に「第1情報」及び「第1出力手段」を追加したことに伴い、訂正前の請求項2の「第1情報」及び「第1出力手段」が、訂正後の請求項1の「第1情報」及び「第1出力手段」と異なることを明瞭にするために、訂正前の請求項2の「第1情報」及び「第1出力手段」を「第2情報」及び「第2出力手段」とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(エ)訂正事項4
訂正事項4は、請求項2において、「第1情報」及び「第1出力手段」を「第2情報」及び「第2出力手段」に訂正したことに伴い、訂正前の請求項3の「前記第1出力手段」及び「前記第1情報」が、訂正後の請求項2の「第2情報」及び「第2出力手段」を指す記載であることを明瞭にするために、訂正前の請求項3の「第1情報」及び「第1出力手段」を「第2情報」及び「第2出力手段」とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(オ)訂正事項5
訂正事項5は、上記(エ)と同様に、訂正前の請求項4の「前記第1出力手段」及び「前記第1情報」が、訂正後の請求項2の「第2情報」及び「第2出力手段」を指す記載であることを明瞭にするために、訂正前の請求項4の「第1情報」及び「第1出力手段」を「第2情報」及び「第2出力手段」とする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(カ)訂正事項6
訂正事項6は、請求項5を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(キ)訂正事項7
訂正事項7は、請求項6に「請求項1?5の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、「請求項1?4の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正するものであり、多数項を引用している引用請求項数の削減をするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(ク)訂正事項8
訂正事項8は、請求項7に「請求項1?6の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、「請求項1?4または6の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正するものであり、多数項を引用している引用請求項数の削減をするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(ケ)訂正事項9
訂正事項9は、請求項9を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(コ)訂正事項10
訂正事項10は、請求項10に「請求項1?9の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、「請求項1?4または6?8の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正するものであり、多数項を引用している引用請求項数の削減をするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(サ)訂正事項11
訂正事項11は、請求項11に「請求項1?10の何れか1項に記載の中継装置。」と記載されているのを、「請求項1?4、6?8または10の何れか1項に記載の中継装置。」に訂正するものであり、多数項を引用している引用請求項数の削減をするための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項1
訂正事項1は、明細書の段落0046、0047の
「S561において、仲介サーバ60のCPU72は、スキャンアップロード実行命令情報を生成する。スキャンアップロード実行命令情報は、スキャン処理によって生成したアップロードデータを変換サーバ200へアップロードすることを、多機能機10へ命令する情報である。S563においてCPU72は、スキャンアップロード実行命令情報および必要データ数情報を、多機能機10へ送信する。必要データ数情報は、変換サーバ200で選択アプリケーションを実行して画像処理を行う際に必要なスキャン画像データ数を示す情報である。必要データ数は、アプリケーションの種類およびテンプレートの種類によって定まる値である。具体的には、選択アプリケーションがAまたはCアプリケーションである場合には、必要データ数は1つである。一方、選択アプリケーションがBアプリケーションである場合には、必要データ数は、選択テンプレート画像に含まれている特定領域の所定数である。すなわち、必要データ数は、S537で受信したテンプレート識別情報によって識別される選択テンプレート画像に基づいて、決定することができる。S564において多機能機10のCPU22は、必要データ数を表示部14に表示させる。必要データ数の表示態様は、例えば、「原稿を○○枚セットして下さい」のような態様でもよい。」、
「S565において、多機能機10のCPU22は、画像のスキャンを実行する。具体的には、ユーザが、スキャン実行部19に所定の画像が記録された用紙をセットして、操作部12の読取開始のボタンを押下すると、CPU22は、スキャン実行部19に用紙に記録された画像を読み取らせ、読み取った画像データからアップロードデータを作成する。」
の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項5の
「前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、所定数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記所定数を超過する場合または前記所定数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記所定数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第2情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる第2出力手段として前記プロセッサがさらに機能可能であること」、
明細書の段落0049、0050、0058の
「S572において、仲介サーバ60のCPU72は、多機能機10からアップロードされるスキャン画像データの数が、必要データ数を超過するか否かを判断する。具体的には、選択アプリケーションがAまたはCアプリケーションである場合には、アップロードされるスキャン画像データの数が1を超過するか否かが判断される。また、選択アプリケーションがBアプリケーションである場合には、アップロードされるスキャン画像データの数が、S536で選択された選択テンプレート画像の必要データ数を超過するか否かが判断される。肯定判断される場合(S572:YES)には、S574へ進む。」、
「S574においてCPU72は、エラー報知画面データを多機能機10へ送信する。エラー報知画面データは、スキャン画像データの数が必要データ数に適合しないことを示すエラー報知画面を、表示部14に表示させるための情報である。S576において多機能機10のCPU22は、エラー報知画面を表示部14に表示させる。エラー報知画面には、例えば、「読み取った原稿数が必要数を超過しています」と表示されてもよい。そしてフローを終了する。」、
「S601においてCPU72は、変換サーバ200へアップロードされたスキャン画像データの数が、必要データ数を充足するか否かを判断する。具体的には、選択アプリケーションがAまたはCアプリケーションである場合には、アップロードされたスキャン画像データの数が1であるか否かが判断される。また、選択アプリケーションがBアプリケーションである場合には、アップロードされたスキャン画像データの数が、S536で選択された選択テンプレートの必要データ数に一致するか否かが判断される。否定判断される場合(S601:NO)には、S603へ進む。S603においてCPU72は、エラー報知画面データを多機能機10へ送信する。S605において多機能機10のCPU22は、エラー報知画面を表示部14に表示させる。エラー報知画面には、例えば、「読み取った原稿数が必要数に不足しています」と表示されてもよい。そしてフローを終了する。」
の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(ウ)訂正事項3?5
訂正事項3?5は、上記イ(ウ)?(オ)に示した明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項3?5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(エ)訂正事項6、9
訂正事項6、9は、請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項6、9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(オ)訂正事項7、8、10、11
訂正事項7、8、10、11は、多数項を引用している引用請求項数の削減をするための訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項7、8、10、11は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

エ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
(ア)訂正事項1
訂正事項1は、上記イ(ア)に示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項2
訂正事項2は、上記イ(イ)に示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)訂正事項3?5
訂正事項3?5は、上記イ(ウ)?(オ)に示したように、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(エ)訂正事項6、9
訂正事項6、9は、請求項を削除するものであり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(オ)訂正事項7、8、10、11
訂正事項7、8、10、11は、多数項を引用している引用請求項数の削減をするための訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

オ 独立特許要件について
訂正前の請求項1?11は、本件特許異議申立事件において特許異議の申立てがされている請求項であるから、訂正事項1?11については、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項に基づき、独立特許要件は課されない。

(2)請求項12に係る訂正
ア 訂正の目的
(ア)訂正事項12
訂正事項12は、訂正前の請求項12の「プロセッサ」に、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段」として機能可能であることを追加するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)訂正事項13
訂正事項13は、訂正前の請求項12の「プロセッサ」に、「前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段」として機能させることが可能であることを追加するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項12
上記(1)ウ(ア)と同様に、訂正事項12は、明細書の段落0046、0047の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項12は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項13
上記(1)ウ(イ)と同様に、訂正事項13は、訂正前の請求項5、明細書の段落0049、0050、0058の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項13は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
(ア)訂正事項12
訂正事項12は、上記ア(ア)に示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項13
訂正事項13は、上記ア(イ)に示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 独立特許要件について
訂正前の請求項12は、本件特許異議申立事件において特許異議の申立てがされている請求項であるから、訂正事項12、13については、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項に基づき、独立特許要件は課されない。

(3)請求項13に係る訂正
ア 訂正の目的
(ア)訂正事項14
訂正事項14は、訂正前の請求項13の「プロセッサ」に、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信ステップ」として機能可能であることを追加するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)訂正事項15
訂正事項15は、訂正前の請求項13の「プロセッサ」に、「前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力ステップ」を実行可能であることを追加するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項14
上記(1)ウ(ア)と同様に、訂正事項14は、明細書の段落0046、0047の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項14は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項15
上記(1)ウ(イ)と同様に、訂正事項15は、訂正前の請求項5、明細書の段落0049、0050、0058の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
よって、訂正事項15は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
(ア)訂正事項14
訂正事項14は、上記ア(ア)に示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項15
訂正事項15は、上記ア(イ)に示したように、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

エ 独立特許要件について
訂正前の請求項13は、本件特許異議申立事件において特許異議の申立てがされている請求項であるから、訂正事項14、15については、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項に基づき、独立特許要件は課されない。

4 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号に掲げる事項を目的としており、かつ、同条第4項、及び第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合している。

したがって、訂正後の請求項〔1?11〕、12、13についての訂正を認める。

第3 本件訂正発明
令和元年9月5日の本件訂正請求により訂正された本件特許請求の範囲の請求項1?13に係る発明(以下、項番にしたがい「本件訂正発明1」?「本件訂正発明13」といい、これらを総称して「本件訂正発明」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
なお、説明のために、本件訂正発明1については、(A)?(C-8)の記号を当審において付与した。以下、「構成A」?「構成C-8」と称する。

(本件訂正発明)
【請求項1】(本件訂正発明1)
(A)画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置であって、
(B)前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
(C)前記プロセッサは、
(C-1)スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段と、
(C-2)前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、
(C-3)前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段と、
(C-4)複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段と、
(C-5)前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段と、
(C-6)前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記第1画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段と、
(C-7)前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、
(C-8)前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段と、
(A)して機能可能であることを特徴とする中継装置。

【請求項2】(本件訂正発明2)
前記プロセッサは、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための第2情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる第2出力手段としてさらに機能可能であることを特徴とする請求項1に記載の中継装置。

【請求項3】(本件訂正発明3)
前記第2出力手段は、第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報を各々識別する複数の第2画像情報識別情報を含み、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の前記表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて、前記複数の第2画像情報識別情報のうちから、前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための前記第2情報を出力し、
前記第3取得手段は、前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を、前記第1サーバ装置から取得することを特徴とする請求項2に記載の中継装置。

【請求項4】(本件訂正発明4)
前記複数の第2画像情報は、前記複数種類の画像処理に各々対応しており、
前記第2出力手段は、前記第1取得手段が取得した前記選択画像処理識別情報に基づいて前記選択画像処理の種類を識別し、前記第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報のうち、識別された前記選択画像処理の種類に対応する複数の第2画像情報を示す画像を前記表示部に表示させるための前記第2情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の中継装置。

【請求項5】(本件訂正発明5)
(削除)

【請求項6】(本件訂正発明6)
前記処理モジュールは、前記複数種類の画像処理の各々に対応する複数種類が存在しており、
前記画像処理手段は、前記第1取得手段が取得した前記選択画像処理識別情報に基づいて前記選択画像処理の種類を識別し、識別された前記選択画像処理の種類に対応する処理モジュールに前記選択画像処理を実行させることを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載の中継装置。

【請求項7】(本件訂正発明7)
前記中継装置は、前記複数の第2画像情報を記憶している第1サーバ装置と、前記画像処理装置および前記第1サーバ装置と前記ネットワークを介して接続することが可能な第2サーバ装置と、を含んでおり、
前記第2サーバ装置は、前記第2取得手段と、前記画像処理手段と、を備えており、
前記第2サーバ装置は、前記第2取得手段によって取得された前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を、前記第1サーバ装置から取得することを特徴とする請求項1?4または6の何れか1項に記載の中継装置。

【請求項8】(本件訂正発明8)
前記複数の第2画像情報には、予め定められたパターン画像情報が含まれており、
前記パターン画像情報を用いた画像処理は、前記第1画像情報によって示される画像の所定位置に前記パターン画像情報をはめ込む処理であり、
前記第2サーバ装置は、前記パターン画像情報を記憶しており、
前記画像処理手段は、前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報が前記パターン画像情報である場合には、前記第2サーバ装置に記憶されている前記パターン画像情報を用いて前記処理モジュールに前記選択画像処理を実行させ、前記選択第2画像情報が前記パターン画像情報ではない場合には、前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を前記第1サーバ装置から取得させることを特徴とする請求項7に記載の中継装置。

【請求項9】(本件訂正発明9)
(削除)

【請求項10】(本件訂正発明10)
前記第4取得手段は、前記選択画像処理が完了することに応じて、前記生成画像情報を前記画像処理装置に取得させる情報取得命令情報を、前記ネットワークインターフェースが前記画像処理装置あてに送信するよう出力し、
前記情報取得命令情報は、URL(Uniform Resource Locator)の記述方式によって記述されていることを特徴とする請求項1?4または6?8の何れか1項に記載の中継装置。

【請求項11】(本件訂正発明11)
前記画像処理手段は、前記選択画像処理の実行期間中は、前記選択画像処理の完了を待機する待機命令を、前記ネットワークインターフェースが前記画像処理装置あてに送信するよう出力し、
前記第4取得手段は、前記選択画像処理が完了することに応じて、前記生成画像情報を前記画像処理装置に取得させることを特徴とする請求項1?4、6?8または10の何れか1項に記載の中継装置。

【請求項12】(本件訂正発明12)
画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置が読み取り可能なプログラムであって、
前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
前記プロセッサを、
スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段と、
前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、
前記画像処理装置から出力される第1画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段と、
複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して 前記画像処理装置から取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段と、
前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記第1画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段と、
前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、
前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段と、
して機能させることが可能であることを特徴とするプログラム。

【請求項13】(本件訂正発明13)
画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置の制御方法であって、
前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
前記プロセッサは、
スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信ステップと、
第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得ステップと、
前記画像処理装置から出力される第1画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得ステップと、
複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップによって取得された前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得ステップと、
前記第3取得ステップによって取得された前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得ステップによって取得された前記第1画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理ステップと、
前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得ステップと、
前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力ステップと、
を実行可能であることを特徴とする制御方法。

第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由(決定の予告)の要旨
平成31年3月27日に請求された訂正請求(以下、「第1訂正」という。)により訂正された特許請求の範囲の請求項1?4、6?8、10、11、12、13に係る発明に対して、当審が令和元年7月10日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

本件特許は、請求項1?4、6?8、10、11、12、13の記載が以下(1)?(3)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(1)第1訂正の請求項1について
ア 構成C-8の記載について
第1訂正の請求項1は、「前記第1画像情報の数が前記所定数を超過する場合」「または」「前記第1画像情報の数が前記所定数に対して不足する場合」には、第1情報を送信させる構成であったため、
(ア)「前記第1画像情報の数が前記所定数を超過する場合」には、第1情報を送信させ、かつ、「前記第1画像情報の数が前記所定数に対して不足する場合」にも、第1情報を送信させる構成、
(イ)「前記第1画像情報の数が前記所定数を超過する場合」、または、「前記第1画像情報の数が前記所定数に対して不足する場合」のどちらか一方の場合に、第1情報を送信させればよい構成(例えば、超過する場合に第1情報を送信させるのであれば、不足する場合には第1情報を送信させなくてもよい構成)
の両者が考えられ、当該構成の記載が明確でない。

イ 課題を解決するための手段について
平成31年3月27日付け意見書の主張によれば、第1訂正の請求項1は、原稿数とスキャン画像数との間で意図しないずれが発生する可能性があるために、ユーザの意図しない合成画像が生成されてしまう事態を防止するための発明であり、画像処理を実行することができない理由が、スキャン画像データの数が必要データ数を超過しているため、または必要データ数に不足しているためであることを、ユーザに認識させることができるという効果が得られる発明であるが、以下(ア)、(イ)の理由により、課題を解決するための手段が反映されていない。

(ア)スキャン処理について
第1訂正の請求項1は、スキャン処理に関して、「原稿を読み取ることによって第1画像情報を生成する」と限定されているのみであり、原稿数とスキャン画像数との間で意図しないずれが発生する可能性がある構成が特定されていない。

(イ)ユーザの意図しない合成画像が生成されてしまう事態を防止することについて
第1訂正の請求項1は、「前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記所定数を超過する場合または前記所定数に対して不足する場合」に、「前記第1画像情報の数が前記所定数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させる」と限定されているのみであり、ユーザの意図しない合成画像が生成されてしまう事態を防止するための構成が特定されていない。

(2)第1訂正の請求項2?4、6?8、10、11について
第1訂正の請求項2?4、6?8、10、11は、第1訂正の請求項1を直接もしくは間接的に引用する発明であるから、上記(1)と同様の取消理由が存在する。

(3)第1訂正の請求項12、13について
第1訂正の請求項12、13は、第1訂正の請求項1とカテゴリーが異なる発明であり、上記(1)と同様の取消理由が存在する。

2 当審の判断
(1)本件訂正発明1について
ア 上記1(1)アについて
本件訂正により、本件訂正発明1の記載は、「前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、」第1情報を送信させる構成へと訂正され、上記1(1)ア(ア)の構成であることが明確になった。

したがって、本件訂正発明1は明確である。

イ 上記1(1)イについて
(ア)スキャン処理について
本件訂正により、本件訂正発明1の記載は、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段」という構成(構成C-1)を含むものとなった。

構成C-1より、画像処理装置は、スキャン実行部にセットされる必要がある原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、中継装置から受信し、スキャン実行部に原稿をセットし読み取りを行う構成となる。
そうすると、本件訂正発明1は、人為的なミスにより、画像処理装置のスキャン実行部にセットする原稿の枚数と必要データ数との間でずれが発生する可能性がある。また、スキャン実行部にセットする原稿の枚数が正しい枚数であっても、スキャン実行部の異常動作等により、原稿の枚数に対応する必要データ数とスキャン画像数との間で意図しないずれが発生する可能性がある。
よって、本件訂正発明1は、上記したずれが発生する可能性があるために、ユーザの意図しない合成画像が生成されてしまう事態が発生する可能性がある構成が特定された。

(イ)ユーザの意図しない合成画像が生成されてしまう事態を防止することについて
本件訂正により、本件訂正発明1の記載は、「前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段」という構成(構成C-8)を含むものとなった。
すなわち、上記(ア)で検討したように、本件訂正発明1は、上記したずれが発生する可能性があるために、ユーザの意図しない合成画像が生成されてしまう事態が発生する可能性がある構成が特定された発明であるが、必要データ数を超過する場合および必要データ数に対して不足する場合には、選択画像処理を処理モジュールに実行させない構成となったため、ユーザの意図しない合成画像が生成されてしまう事態を防止するための構成が特定された。

(ウ)小括
よって、本件訂正発明1は、課題を解決するための手段が反映されているものである。

ウ 本件訂正発明1についてのまとめ
以上より、本件訂正発明1の記載は、特許法第36条第6項第1号、第2号の要件を満たすものである。

エ 特許異議申立人が提出した意見書における主張について
(ア)特許異議申立人の主張
a 令和元年6月13日に提出した意見書における主張
特許異議申立人は、令和元年6月13日に提出した意見書において、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由以外に、明確性に関する以下のような主張をしている。
「意見書における上記の特許権者の主張は、訂正後の請求項1記載の発明が、「原稿のスキャン処理では、一度に2枚以上の原稿が給紙されてしまう重送や、1枚の原稿から2つ以上のスキャン画像が生成されてしまう給紙エラー」が発生することが前提となっている発明かのような主張である。しかしながら、少なくとも訂正後の請求項1の記載からは、訂正後の請求項1記載の発明がそのような前提を含む発明と解釈されるのか否かが不明である。」(5頁2?8行)

b 令和元年10月28日に提出した意見書における主張
特許異議申立人は、令和元年10月28日に提出した意見書において、明確性に関する以下のような主張をしている。
「訂正後の請求項1において「前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数」との記載があるものの、原稿のセットについては何ら言及されていない。
(中略)
例えば、「原稿台のガラス面にユーザが1枚ずつ置き換えながらセットする必要がある原稿の枚数を示す情報」が、訂正後の請求項1における「必要データ数情報」に含まれるのか否かが明確でない。
また、そもそも訂正後の請求項1において、「命令情報送信手段」により送信された「必要データ数情報」が、「画像処理装置」においてどのように用いられるのかが明確でない。(以下略)」(2頁下から8行?3頁4行)

c 意見書における特許異議申立人の主張のまとめ
上記a、bより、特許異議申立人の主張をまとめると以下の(a)?(c)となる。
(a)重送や給紙エラーが発生するという前提を含む発明と解釈されるのか否か不明であること
(b)原稿のセットについての言及がないこと
(c)「必要データ数情報」が、「画像処理装置」においてどのように用いられるのかが明確でないこと

(イ)上記主張に対する検討
a 上記(ア)c(a)について
特許権者は、平成31年3月27日付け意見書において、「原稿のスキャン処理では、一度に2枚以上の原稿が給紙されてしまう重送や、1枚の原稿から2つ以上のスキャン画像が生成されてしまう給紙エラーなどで、原稿数とスキャン画像数との間で意図しないずれが発生する可能性があるために、このような課題が発生する。」と主張している。(下線は、当審で付与。)
すなわち、「一度に2枚以上の原稿が給紙されてしまう重送や、1枚の原稿から2つ以上のスキャン画像が生成されてしまう給紙エラー」は、原稿数とスキャン画像数との間で意図しないずれが発生する可能性があることの一例に過ぎず、本件訂正発明1は、重送や給紙エラーが発生することを前提とするものではない。

b 上記(ア)c(b)について
本件訂正発明1では、原稿のセットについては何ら言及されていないものの、原稿のセットについては、当業者が考える様々なセット方法を考えれば良いことである。
そして、上記(イ)b(a)で検討したように、人為的なミスにより、画像処理装置のスキャン実行部にセットする原稿の枚数と必要データ数との間でずれが発生する可能性や、スキャン実行部にセットする原稿の枚数が正しい枚数であっても、スキャン実行部の異常動作等により、原稿の枚数に対応する必要データ数とスキャン画像数との間で意図しないずれが発生する可能性がある以上、課題を解決するための手段を反映する構成として、原稿のセットについて限定した構成まで求める必要はない。

c 上記(ア)c(c)について
本件訂正発明1は、中継装置についての発明であるから、「画像処理装置」において「必要データ数情報」がどのように用いられるのかについての記載まで求める必要はない。

よって、令和元年6月13日に提出した意見書及び令和元年10月28日に提出した意見書における特許異議申立人の本件訂正発明1についての主張は採用できない。

(2)本件訂正発明2?4、6?8、10、11について
本件訂正発明2?4、6?8、10、11は、本件訂正発明1を直接もしくは間接的に引用する発明であり、上記(1)と同様に、本件訂正発明2?4、6?8、10、11の記載は、特許法第36条第6項第1号、第2号の要件を満たすものである。

(3)本件訂正発明12、13について
本件訂正発明12、13は、本件訂正発明1とカテゴリーが異なる発明であり、上記(1)と同様に、本件訂正発明12、13の記載は、特許法第36条第6項第1号、第2号の要件を満たすものである。

また、令和元年6月13日に提出した意見書及び令和元年10月28日に提出した意見書における特許異議申立人の本件訂正発明12、13についての主張は、本件訂正発明1についての主張と同様であり、上記(1)エと同様の理由により採用できない。

(4)まとめ
本件訂正発明1?4、6?8、10、11、12、13の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしている。

第5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立書における特許異議申立理由
特許異議申立書における、請求項1?請求項13に係る特許に対しての特許異議申立理由は、以下のとおりである。(特許異議申立書の「3 申立の理由」)
(1)理由1:特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)
請求項1は、甲第1号証に対して新規性がなく、且つ、甲第2号証に対して新規性がない。
請求項2は、甲第1号証に対して新規性がない。
請求項3は、甲第1号証に対して新規性がない。
請求項4は、甲第1号証に対して新規性がない。
請求項6は、甲第1号証に対して新規性がなく、且つ、甲第2号証に対して新規性がない。
請求項10は、甲第2号証に対して新規性がない。
請求項12は、甲第1号証に対して新規性がなく、且つ、甲第2号証に対して新規性がない。
請求項13は、甲第1号証に対して新規性がなく、且つ、甲第2号証に対して新規性がない。

(2)理由2:特許法第29条第2項(同法第113条第2号)
請求項4?請求項11は、甲第1号証ないし甲第6号証と周知技術から当業者が容易に発明できたものであり、進歩性がない。
請求項12、請求項13は、甲第1号証ないし甲第4号証と周知技術から当業者が容易に発明できたものであり、進歩性がない。

(3)理由3:特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号)
請求項1、請求項12、請求項13は、サポート要件違反がある。

(4)理由4:特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号)
請求項1、請求項10、請求項12、請求項13は、明確性違反がある。

2 証拠方法
特許異議申立人は、上記1(1)及び(2)の証拠方法として、以下の文献の写しを提出している。
(1)異議申立書と同時に提出
甲第1号証(特開2003-110832号公報)
甲第2号証(特開2005-84987号公報)
甲第3号証(特開2006-174293号公報)
甲第4号証(特開2002-218217号公報)
甲第5号証(特開2010-35149号公報)
甲第6号証(特開2013-42466号公報)

(2)平成30年8月9日に提出された意見書と同時に提出
参考文献1(特開2013-115688号公報)
参考文献2(特開2013-138370号公報)

(3)令和元年6月13日に提出された意見書と同時に提出
参考文献3(特開2011-10030号公報)

(4)令和元年10月28日に提出された意見書と同時に提出
参考文献4(特開2002-125083号公報)
参考文献5(特開2008-288787号公報)

3 当審の判断
(1)特許法第29条第1項第3号(新規性)、同条第2項(進歩性)について
ア 各甲号証に記載された発明又は技術、各参考文献に記載された技術
(ア)甲第1号証(特開2003-110832号公報)
a 甲第1号証に記載された事項
甲第1号証には、「画像合成方法および装置並びにプログラム」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

【0003】このようなネットワークフォトサービスシステムにおいて、ユーザはCD-Rに記録された画像データあるいはユーザがデジタルカメラなどにより取得した画像データを再生するためのビューアーソフトをユーザ端末であるパソコンにインストールして画像を再生し、プリント注文を行う場合には、ビューアーソフトに組み込まれた注文機能を用いて注文内容を記述した注文情報を作成する。そして、ユーザはこの注文情報およびプリントを行う画像を表す画像データを、ユーザ端末から注文受付サーバにインターネット等のネットワークを介して送信する。

【0020】プリント受注センタ2は、プリント注文を受け付けるための注文受付サーバ21と、プリント注文時にネットワーク4を介してユーザ端末11から送信された画像データGとテンプレートデータTを合成したポストカードデータPDからポストカードPを得るプリンタ22と、ポストカード用のテンプレートデータTや、受取店の住所の情報Kなどを記憶したデータベース23とを備える。なお、プリンタ22においては受取店の住所情報Kに基づいて受取店の住所がプリントされた用紙KPが得られる。これにより、プリント受注センタ2においては、用紙KPをポストカードPを収容した袋に貼付する等することにより、ポストカードPが受取店(本実施形態においては写真店3)に配送される。

【0025】注文受付サーバ21に接続が完了すると、図示しないネット年賀トップ画面用Web画面がユーザ端末11に接続されたモニタ13に表示される(ステップS11)。ユーザ1は、ネット年賀トップ画面用Web画面上のメニューの中から、好みのメニューを選択することが可能である(ステップS12)。本画面上のメニューは、大きく分けて「テンプレートを見る」と「ポストカードを作る」の2つに分かれており、さらに「ポストカードを作る」の中でも、「写真1枚」「写真2枚」および「特選」の3つに分かれている。上記の「写真1枚」または「写真2枚」は、それぞれ1枚または2枚の写真を合成したポストカードの作成を意味し、「特選」は、写真を合成しないポストカードの作成を意味する。

【0030】ネット年賀トップ画面用Web画面上のメニューにおいて、ユーザ1により「写真2枚」が選択されると、注文受付サーバ21は、ユーザ端末11に接続されたモニタ13上に画像アップロード画面用Web画面を表示する(ステップS13)。画像アップロード画面用Web画面上では、ユーザ1が指定したパス名の画像をプレビュー表示する。ユーザ1はプレビュー画面により、自分が選択した画像を確認し、よければ送信ボタンをクリックする。送信ボタン がクリックされると、ユーザ端末11から注文受付サーバ21に画像データGが送信される。なお、本実施の形態においては、ネット年賀トップ画面用Web画面上で「写真2枚」が選択されているため、画像データG1および画像データG2の2枚の画像が送信される。

【0040】本実施の形態においては、ネット年賀トップ画面用Web画面上で「写真2枚」が選択されたため、ここまでの処理でテンプレート選択を行っていないので、図示しないテンプレート選択画面(1)用Web画面を表示する(ステップS19)。テンプレート選択画面(1)用Web画面上には、2箇所の画像データ合成領域を有するテンプレートデータのカテゴリーを表示する。ユーザ1は表示されたカテゴリーの中から好みのものを選択し、マウスでクリックする。注文受付サーバ21は、テンプレート選択画面(1)用Web画面上でユーザ1によりカテゴリーが選択されると、図示しないテンプレート選択画面(2)用Web画面に遷移させ、選択されたカテゴリーの「たて」型のポストカードか、「よこ」型のポストカードかを選択させる。なお、本実施の形態においては、ユーザ1が、「年賀スタンダードタイプ」の「たて」を選択したものとして説明する。
【0041】注文受付サーバ21は、テンプレート選択画面(2)用Web画面36上でユーザ1により「たて」または「よこ」のタイプが選択されると、図10に示すようなテンプレート選択画面(3)用Web画面32に遷移させる。本画面上では、データベース23に記憶されているテンプレートデータの中から、ユーザ1が指定した条件に対応するテンプレートデータの画像データ合成領域に画像データGを合成したポストカードの合成イメージを表示する。

【0045】ユーザ1は表示された複数のテンプレートデータの中から好みのものを選択し、マウスでクリックする。注文受付サーバ21は、テンプレート選択画面(3)用Web画面32上でユーザ1によりテンプレートデータTが選択されると、図6に示すような仕上がり確認画面用Web画面33に遷移させる(ステップS20)。仕上がり確認画面用Web画面33上には、テンプレート選択画面(3)用Web画面32上でユーザ1が選択したテンプレートデータTに画像データG1および画像データG2を合成して表示する。ユーザ1は、本画面上でポストカードの仕上がりを確認し、よければ「お気に入りに追加」ボタン47をクリックする。また、合成する画像データの位置や拡大率などを変更したい場合には「カスタマイズ」ボタン48をクリックする。なお、本実施の形態においては、ユーザ1が、ポストカードに対して変更を行うために「カスタマイズ」ボタン48をクリックしたものとして説明する。

b 甲第1号証に記載された発明
上記甲第1号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して甲第1号証に記載された発明を認定する。

(a)段落0003、0030の記載から、甲第1号証には、ユーザ端末から注文受付サーバにネットワークを介して画像データGを送信することが記載されている。
すなわち、甲第1号証には、ユーザ端末にネットワークを介して接続することが可能な注文受付サーバが記載され、甲第1号証の注文受付サーバは、画像データGをネットワークを介してユーザ端末から取得するものといえる。

(b)段落0025、0030の記載から、甲第1号証の注文受付サーバは、ユーザ端末に接続されたモニタに表示されるネット年賀トップ画面用Web画面上の「写真1枚」「写真2枚」等に分かれているメニューにおいて、2枚の写真を合成した写真を合成したポストカードの作成を意味する「写真2枚」が選択されると、ユーザ端末に接続されたモニタ上に、画像アップロード画面用Web画面を表示させ、ユーザは自分が選択した画像を確認し、送信ボタンがクリックされることにより、ユーザ端末から画像データG1および画像データG2の2枚の画像を送信させるものである。

(c)段落0040、0041、0045の記載から、甲第1号証の注文受付サーバは、「写真2枚」が選択され、表示された2箇所の画像データ合成領域を有するテンプレートデータのカテゴリーの中から好みのカテゴリーが選択され、「たて」または「よこ」のタイプが選択されると、テンプレート選択画面(3)用Web画面に遷移させ、表示された複数のテンプレートデータの中からテンプレートデータTを選択させるものである。

(d)段落0020の記載から、甲第1号証の注文受付サーバのテンプレートデータは、データベースに記憶しているものである。

(e)段落0045の記載から、甲第1号証の注文受付サーバは、選択されたテンプレートデータに画像データG1および画像データG2を合成し、ユーザ端末に表示される仕上がり確認画面用Web画面上に画像データG1および画像データG2を合成したテンプレートデータを表示させるものである。

(f)上記(a)?(e)より、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が開示されている。
なお、説明のために、甲1発明については、(1a)?(1c-7)の記号を当審において付与した。以下、「構成1a」?「構成1c-7」と称する。

(甲1発明)
「(1a)ユーザ端末にネットワークを介して接続することが可能な注文受付サーバであって、
(1c-2)注文受付サーバは、画像データGをネットワークを介してユーザ端末から取得し、
(1c-3)ユーザ端末に接続されたモニタに表示されるネット年賀トップ画面用Web画面上の「写真1枚」「写真2枚」等に分かれているメニューにおいて、2枚の写真を合成した写真を合成したポストカードの作成を意味する「写真2枚」が選択されると、ユーザ端末に接続されたモニタ上に、画像アップロード画面用Web画面を表示させ、ユーザは自分が選択した画像を確認し、送信ボタンがクリックされることにより、ユーザ端末から画像データG1および画像データG2の2枚の画像を送信させ、
(1c-4)「写真2枚」が選択され、表示された2箇所の画像データ合成領域を有するテンプレートデータのカテゴリーの中から好みのカテゴリーが選択され、「たて」または「よこ」のタイプが選択されると、テンプレート選択画面(3)用Web画面に遷移させ、表示された複数のテンプレートデータの中からテンプレートデータTを選択させ、
(1c-5)テンプレートデータは、データベースに記憶し、
(1c-6)選択されたテンプレートデータに画像データG1および画像データG2を合成し、
(1c-7)ユーザ端末に表示される仕上がり確認画面用Web画面上に画像データG1および画像データG2を合成したテンプレートデータを表示させる
(1a)注文受付サーバ。」

(イ)甲第2号証(特開2005-84987号公報)
a 甲第2号証に記載された事項
甲第2号証には、「サービスサーバ及び合成動画作成サービス方法」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

【0023】
図1は本発明に係るサービスサーバを含む合成動画作成サービスシステムの概要を示すシステム構成図であり、インターネット1上のサービスサーバ10と、このサービスサーバにアクセス可能なユーザ端末機20、30、40とから構成されている。

【0028】
このサービスサーバ10は、図2に示すように主としてHTTP(Hypertext Transfer Protocol) 通信部11と、制御部12と、課金処理部13と、動画ファイル(動画テンプレート)、動画テンプレートの識別情報(動画ID)、タイトル等を保存管理する動画テンプレートデータベース14と、ユーザID、氏名、住所等のユーザ情報を管理するユーザ情報データベース15と、利用ユーザ情報、利用動画ID、利用動画テンプレートの料金、合成動画のアクセス回数等の課金に必要な課金情報を管理する課金情報データベース16とから構成されている。

【0038】
上記のようにして入力された動画テンプレート及びそれに関連する情報は、動画テンプレートデータベース14で管理される。ここで管理される動画管理項目の一例を下記に示す。(以下略)

【0044】
続いて、ステップS64において、登録されている動画テンプレートのうちユーザ自身が登録した動画テンプレートを利用する場合には、ステップS66に進み、登録ユーザIDを入力する。サービスサーバ10側では、ユーザIDによりユーザ認証を行い、その後、ユーザ固有ディレクトリで管理されている当該ユーザの登録動画テンプレート情報より動画テンプレートの一覧をユーザ端末機20に送信する。ユーザは、ユーザ端末機20に表示される動画テンプレートの一覧(タイトル一覧)を参照して所望の動画テンプレートを選択する(ステップS68)。この選択された動画テンプレートの情報は、ユーザ端末機20からサービスサーバ10に送信される。尚、動画テンプレートの選択時に動画テンプレートの一部又は全部を再生させ、その再生された動画テンプレートを見て所望の動画テンプレートを選択できるようにしてもよい。
【0045】
次に、ステップS68で選択した動画テンプレートに合成するユーザ画像をユーザ端末機20からサービスサーバ10にアップロードし、サービスサーバ10では動画テンプレートにユーザ画像を合成する処理を行う(ステップS70)。

【0057】
次に、図8及び図9の処理フローを用いてユーザ所有の静止画を合成する場合について説明する。
【0058】
図8において、サービスサーバ10のホームページ上で静止画合成メニューを選択する(ステップS140)。続いて、ステップS142において、サーバ側で自動的に合成処理を実施する「おまかせ合成」か、又はユーザの設定に基づく合成処理を実施する「自由合成」かを選択する。「おまかせ合成」を選択した場合には、ステップS144に進み、ここでサーバ側で指定された枚数のユーザ画像(静止画)を選択し、各静止画をサービスサーバ10にアップロードする。サービスサーバ10は、アップロードされた各静止画と予め選択した動画テンプレートとをサーバ固定の設定条件下で合成する(ステップS146)。
【0059】
一方、「自由合成」を選択した場合には、まず、ユーザ画像の枚数をユーザが指定するか否かを選択し(ステップS148)、ユーザが指定する場合には、ステップS150にてユーザ画像の枚数を指定する。この指定されたユーザ画像の枚数は、合成動画作成時のパラメータとして設定される(ステップS152)。一方、ユーザが指定しない場合には、サーバ固定のユーザ画像の枚数が自動的に設定される(ステップS154)。

【0061】
まず、ユーザ所有のユーザ画像から動画テンプレートと合成するユーザ画像を選択し、これをサービスサーバ10にアップロードする(ステップS158)。続いて、ユーザ画像から抜き取る領域をユーザが指定するか否かを選択し(ステップS160)、ユーザが指定する場合には、ステップS162にてユーザ画像から抜き取る領域の指定を行う。この指定されたユーザ画像抜取領域は、合成動画作成時のパラメータとして設定される(ステップS164)。一方、ユーザが指定しない場合には、サーバ固定の抜取領域が自動的に設定される(ステップS166)。

【0064】
そして、サービスサーバ10は、上記のようにして設定された合成動画作成時の各パラメータに従って動画テンプレートにユーザ画像を合成し、合成動画を作成する(ステップS186)。

【0066】
上記のようにして作成した合成動画をユーザ端末機20に送信して表示させる(ステップS188)。
【0067】
図6に戻って、合成動画の作成が終了すると、サービスサーバ10は、前記合成動画を閲覧するためのURL(Uniform Resource Locators )を発行し、これをユーザ端末機20に通知する。各ユーザ端末機からは、インターネット1上のサービスサーバ10に前記URLを使ってアクセスすることで、サービスサーバ10が作成した合成動画を閲覧することができる(ステップS72)。また、ユーザ端末機20から電子メール等でユーザ端末機30(図1参照)に前記URLを通知することで、任意のユーザ端末機30からも合成動画を閲覧することができる。

b 甲第2号証に記載された発明
上記甲第2号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して甲第2号証に記載された発明を認定する。

(a)段落0023の記載から、甲第2号証には、ユーザ端末機20、30、40からアクセス可能なインターネット上のサービスサーバが記載されている。

(b)段落0028の記載から、甲第2号証のサービスサーバは、制御部とHTTP通信部とを備えるものである。

(c)段落0045、0057、0058、0061の記載から、甲第2号証のサービスサーバは、ユーザ端末機から、動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)がアップロードされるものである。

(d)段落0058、0059の記載から、甲第2号証のサービスサーバは、サーバ側で自動的に合成処理を実施する「おまかせ合成」か、又はユーザの設定に基づく合成処理を実施する「自由合成」かが選択されるものである。

(e)段落0044の記載から、甲第2号証のサービスサーバは、動画テンプレートの一覧をユーザ端末機に送信し、選択された動画テンプレートの情報をユーザ端末機から受信するものである。

(f)段落0038の記載から、甲第2号証のサービスサーバは、動画テンプレートを、動画テンプレートデータベースで管理するものである。

(g)段落0064の記載から、甲第2号証のサービスサーバは、動画テンプレートにユーザ画像を合成し、合成動画を作成するものである。

(h)段落0067の記載から、甲第2号証のサービスサーバは、合成動画を閲覧するためのURLをユーザ端末機20に通知し、各ユーザ端末機から、前記URLを使ってアクセスされることで、サービスサーバ10が作成した合成動画が閲覧されるものである。

(i)上記(a)?(h)より、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が開示されている。
なお、説明のために、甲1発明については、(2a)?(2c-7)の記号を当審において付与した。以下、「構成2a」?「構成2c-7」と称する。

(甲2発明)
「(2a)ユーザ端末機20、30、40からアクセス可能なインターネット上のサービスサーバであって、
(2b)制御部とHTTP通信部とを備え、
(2c-2)ユーザ端末機から、動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)がアップロードされ、
(2c-3)サーバ側で自動的に合成処理を実施する「おまかせ合成」か、又はユーザの設定に基づく合成処理を実施する「自由合成」かが選択され、
(2c-4)動画テンプレートの一覧をユーザ端末機に送信し、選択された動画テンプレートの情報をユーザ端末機から受信し、
(2c-5)動画テンプレートを、動画テンプレートデータベースで管理し、
(2c-6)動画テンプレートにユーザ画像を合成し、合成動画を作成し、
(2c-7)合成動画を閲覧するためのURLをユーザ端末機20に通知し、各ユーザ端末機から、前記URLを使ってアクセスされることで、サービスサーバ10が作成した合成動画が閲覧される
(2a)サービスサーバ。」

(ウ)甲第3号証(特開2006-174293号公報)
甲第3号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、甲第3号証には、次の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されている。
なお、末尾の括弧の中に、対応する甲第3号証の段落番号を付した。

(甲3技術)
「画像処理サーバが、撮影時間の画像を生成し、対応する合成位置に合成する技術。」(段落0115)

(エ)甲第4号証(特開2002-218217号公報)
甲第4号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、甲第4号証には、次の技術(以下、「甲4技術」という。)が記載されている。
なお、末尾の括弧の中に、対応する甲第4号証の段落番号を付した。

(甲4技術)
「テンプレートのグループを選択させ、選択されたグループに対応する複数のテンプレートから、所望のテンプレートをユーザに選択させ、テンプレートのサムネイル画像を表示する技術。」(段落0066、0068)

(オ)甲第5号証(特開2010-35149号公報)
甲第5号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、甲第5号証には、次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されている。
なお、末尾の括弧の中に、対応する甲第5号証の段落番号を付した。

(甲5技術)
「MFPは、文書をスキャンし、スキャン結果をアップロード先にアップロードする技術。」(段落0044)

(カ)甲第6号証(特開2013-42466号公報)
甲第6号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、甲第6号証には、次の技術(以下、「甲6技術」という。)が記載されている。
なお、末尾の括弧の中に、対応する甲第6号証の段落番号を付した。

(甲6技術)
「管理サーバ101は、画像取得装置102が画像変換サーバ104と画像データを取得するための通信を行う際のタイムアウト値を設定し、設定されたタイムアウト値を画像取得装置102に送信し、画像取得装置102は、設定されたタイムアウト値を用いて、画像提供サーバ103との通信制御を行う技術。」(段落0044、0045)

(キ)参考文献1(特開2013-115688号公報)
参考文献1の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、参考文献1には、次の技術(以下、「参考1技術」という。)が記載されている。
なお、末尾の括弧の中に、対応する参考文献1の段落番号を付した。

(参考1技術)
「仲介サーバは、ダウンロード元のURLが記述されたHTTPコマンドを含むレスポンスR16を多機能機に送信し、多機能機は、HTTPコマンドを用いて、ダウンロード要求をサービス提供サーバに送信し、サービス提供サーバは、ダウンロード元のURLに保存されている特定の画像データを多機能機に供給する技術。」(段落0051?0053)

(ク)参考文献2(特開2013-138370号公報)
参考文献2の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、参考文献2には、次の技術(以下、「参考2技術」という。)が記載されている。
なお、末尾の括弧の中に、対応する参考文献2の段落番号を付した。

(参考2技術)
「画像処理装置が申請書のスキャンを実行し、スキャンデータをサーバに送信し、サーバから送信された申請書フォームデータの印刷指示に基づいて、申請書フォームデータを紙に出力する技術。」(段落0075、0083)

(ケ)参考文献3(特開2011-10030号公報)
参考文献3の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、参考文献3には、次の技術(以下、「参考3技術」という。)が記載されている。
なお、末尾の括弧の中に、対応する参考文献3の段落番号を付した。

(参考3技術)
「読み取りカウンタのカウント値と原稿カウンタのカウント値とを比較し、不一致の場合、読み取り結果確認画面を表示する技術。」(段落0031、0033)

(コ)参考文献4(特開2002-125083号公報)
参考文献4の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、参考文献4には、次の技術(以下、「参考4技術」という。)が記載されている。
なお、各構成の末尾の括弧の中に、対応する参考文献4の段落番号を付した。

(参考4技術)
「複合機側で読み取りフィードミス(重送)などで読み取りミスが生じてもPC側で判らないという問題に対し(段落0003)、
インターフェース28より、ファクシミリ装置15のPCインターフェース11に接続されているPC20は、ファクシミリ装置(画像読み取り装置)15に読み取り枚数、読み取り条件が設定された読み取り開始コマンドを送出し(段落0011、0014)、
読み取り枚数が設定枚数に満たない場合は、読み取り設定枚数と読み取り完了枚数を表示部22に表示し、設定枚数に満たない旨を併せて表示する(段落0016、0017)技術。」

(サ)参考文献5(特開2008-288787号公報)
参考文献5の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、参考文献5には、次の技術(以下、「参考5技術」という。)が記載されている。
なお、各構成の末尾の括弧の中に、対応する参考文献5の段落番号を付した。

(参考5技術)
「スキャナ230によって今回スキャンする予定枚数の入力を受け付け(段落0043)、
入力枚数708には入力された枚数を登録するように制御し(段落0051)、
格納されたスキャン画像データファイルのうち移動対象となるファイルの数(移動対象ファイル数)を取得し(段落0061)、
入力枚数708と移動対象ファイル数とが一致しないと判断した場合には、「スキャン生成後のファイル数が違います。」との確認画面を出力することにより(段落0093、0094、図17)、
重ねて紙がフィードされる、或いは同じ紙を2度スキャンしてしまうなどして適切にスキャンが行われなかったことの判断が容易になる(段落0095)技術。」

イ 本件訂正発明1について
(ア)甲1発明との対比、判断
a 対比
(a)構成Aと構成1aとの対比
構成1aの「ユーザ端末」は、構成1c-2、1c-7より、画像データGを注文受付サーバに送信し、画像データG1および画像データG2を表示するものであるから、画像を処理している装置といえ、構成Aの「画像処理装置」に相当する。
構成1aの「注文受付サーバ」は、構成1c-2?構成1c-7より、ユーザ端末から画像データを取得し、選択されたテンプレートデータに合成し、画像データG1および画像データG2を合成したテンプレートデータを表示させるものであり、画像データを中継しているものといえるから、構成Aの「中継装置」に相当する。
したがって、構成1aは構成Aに相当する。

(b)構成Bについて
甲1発明の「注文受付サーバ」は、構成1aより、ネットワークを介してユーザ端末と接続することから、ネットワークインターフェースに相当する構成を有している。
また、「注文受付サーバ」が、プロセッサや処理モジュールに相当する構成を有することは自明である。
したがって、甲1発明は、構成Bに相当する構成を有しているといえる。

(c)構成C-1について
甲1発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではない。

(d)構成C-2と構成1c-2との対比
構成1c-2の「画像データG」は、画像の情報であり、構成C-2の「前記第1画像情報」と、「画像情報」である点で共通する。
したがって、構成1c-2と構成C-2は、「画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段」を有する点で共通する。
しかし、構成C-2の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲1発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、構成1c-2の「画像データG」は、そのような限定がない点で相違する。

(e)構成C-3と構成1c-3との対比
構成1c-3の「「写真2枚」が選択されると、ユーザ端末に接続されたモニタ上に、画像アップロード画面用Web画面を表示させ」ることは、注文受付サーバは、「写真2枚」が選択されたことを識別する情報を、ユーザ端末から取得することによって、モニタ上に、画像アップロード画面用Web画面を表示させているものといえる。

そうすると、構成1c-3の「「写真1枚」「写真2枚」等に分かれているメニューにおいて、2枚の写真を合成した写真を合成したポストカードの作成を意味する「写真2枚」が選択されると、ユーザ端末に接続されたモニタ上に、画像アップロード画面用Web画面を表示させ」ることは、「写真1枚」「写真2枚」等の複数の画像処理を示すメニューのうち、「写真2枚」を選択することによって、テンプレートデータとユーザ端末から出力される画像データG(画像データG1および画像データG2)とを合成する画像処理を行うことが指定され、指定された画像処理を行うことを識別する情報を、ユーザ端末から取得することによって、ユーザ端末に接続されたモニタ上に、画像アップロード画面用Web画面を表示させるものである。

したがって、構成1c-3と構成C-3は、「前記画像処理装置から出力される前記画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段」を有する点で共通する。

しかし、構成C-3の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲1発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、構成1c-3の「画像データG1および画像データG2」は、そのような限定がない点で相違する。

(f)構成C-4と構成1c-4との対比
構成1c-4の「テンプレートデータT」は、「表示された複数のテンプレートデータの中から」選択されるものであり、構成1c-6より「画像データG1および画像データG2」と合成するものであるから、構成C-4の「前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報」に相当し、構成C-4の「前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報」とは、「前記選択画像処理によって前記画像情報と合成される前記選択第2画像情報」である点で共通する。

また、構成1c-4の「複数のテンプレートデータ」は、構成C-4の「複数の第2画像情報」に相当する。

そして、「テンプレートデータTをユーザ端末で選択させ」ると、注文受付サーバは、構成1c-6のように「選択されたテンプレートデータに画像データG1および画像データG2を合成」することから、テンプレートデータTが選択されたことを識別する情報を、ユーザ端末から取得しているものといえるので、構成1c-4は、構成C-4の「前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段」を有するものである。

したがって、構成1c-4と構成C-4は、「複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段」を有する点で共通する。

しかし、構成C-4の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲1発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、甲1発明の「画像データG1および画像データG2」は、そのような限定がない点で相違する。

(g)構成C-5と構成1c-5との対比
構成1c-5より、「テンプレートデータTは、データベースに記憶し」ていることから、テンプレートデータTを利用するに際して、データベースに記憶されているテンプレートデータTを取得しているものといえ、構成1c-5は、構成C-5の「前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段」を有するものである。

(h)構成C-6と構成1c-6との対比
上記(b)のように、処理モジュールに相当する構成を有することは自明であるから、構成1c-6において、「合成」という画像処理を行う際には、処理モジュールで実行するものといえる。
そうすると、構成1c-6と構成C-6は、「前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段」を有する点で共通する。

しかし、構成C-6の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲1発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、構成1c-6の「画像データG1および画像データG2」は、そのような限定がない点で相違する。

(i)構成C-7と構成1c-7との対比
構成1c-7の「ユーザ端末に」「画像データG1および画像データG2を合成したテンプレートデータを表示させる」ことにおいて、「画像データG1および画像データG2を合成したテンプレートデータ」は、「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報」に相当する。
また、注文受付サーバは、ユーザ端末に画像データG1および画像データG2を合成したテンプレートデータを表示させるものであるから、画像データG1および画像データG2を合成したテンプレートデータをユーザ端末に取得させるものといえる。

そうすると、構成1c-7は構成C-7に相当する。

(j)構成C-8について
甲1発明は、構成C-8に対応する構成を有するものではない。

(k)構成Cについて
上記(b)で検討したように、「注文受付サーバ」が、プロセッサに相当する構成を有することは自明であるから、甲1発明の構成1c-2?構成1c-7の処理は、プロセッサで行うものといえる。

(l)上記(a)?(k)より、本件訂正発明1と甲1発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
(A)画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置であって、
(B)前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
(C)前記プロセッサは、
(C-2)’画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、
(C-3)’前記画像処理装置から出力される前記画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段と、
(C-4)’複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段と、
(C-5) 前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段と、
(C-6)’前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段と、
(C-7) 前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、
(A)して機能可能であることを特徴とする中継装置。

(相違点)
(相違点1)
本件訂正発明1は、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段」を有するのに対し、甲1発明は、そのような命令情報送信手段を有するものではない点。

(相違点2)
相違点1に起因して、本件訂正発明1で扱う画像情報は、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、甲1発明の「画像データG」、「画像データG1および画像データG2」は、そのような限定がない点。

(相違点3)
本件訂正発明1は、「前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段」を有するのに対し、甲1発明は、そのような第1出力手段を有するものではない点。

b 判断
(a)新規性について
本件訂正発明1と甲1発明を対比すると、両者は上記相違点を有するものであるから、本件訂正発明1は、甲1発明と同一ではない。

(b)進歩性について
上記相違点のうち、まず相違点1について検討する。
相違点1に関して、特許異議申立人は、令和元年10月28日付け意見書にて、「参考文献4には、訂正後の請求項1の命令情報送信手段が記載されている。」(9頁5行)、「以上のように、訂正後の請求項1の命令情報送信手段は、参考文献4に記載されるように当該技術分野において周知技術」(16頁9行?10行)及び「訂正後の請求項1記載の発明は、甲1に記載の発明(以下、甲1発明)および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。」(16頁下から5行?下から3行)と主張しているので、まず、甲1発明と参考4技術から当業者が容易に想到し得るものであるかについて検討する。

甲1発明の「画像データG」、「画像データG1および画像データG2」は、構成1c-2の「注文受付サーバは、画像データGを」「ユーザ端末から取得」することからみて、ユーザ端末内に取り込まれているものであり、画像データを端末内に取り込む手法として、スキャナにより取り込むという技術は、一般に周知慣用の技術であるといえる。
そうすると、甲1発明のユーザ端末において、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成する」という構成にすることは、当業者が容易に想到し得るものであるといえる。

ここで、上記ア(コ)bに記載した参考4技術を再掲する。
「複合機側で読み取りフィードミス(重送)などで読み取りミスが生じてもPC側で判らないという問題に対し、
インターフェース28より、ファクシミリ装置15のPCインターフェース11に接続されているPC20は、ファクシミリ装置(画像読み取り装置)15に読み取り枚数、読み取り条件が設定された読み取り開始コマンドを送出し、
読み取り枚数が設定枚数に満たない場合は、読み取り設定枚数と読み取り完了枚数を表示部22に表示し、設定枚数に満たない旨を併せて表示する技術。」
すなわち、複合機側で読み取りフィードミス(重送)などで読み取りミスが生じてもPC側で判らないという問題に対し、PCから画像読み取り装置に対して、読み取り枚数、読み取り条件が設定された読み取り開始コマンドを送出する技術は一般に知られている技術である。

しかし、甲1発明のユーザ端末において、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成する」という構成を採用したとしても、甲1発明の「画像データG(画像データG1および画像データG2)」は、「写真2枚」を選択する前に、ユーザ自ら、予め読み取りを行ってユーザ端末内に取り込んでいるものと想定され、上記参考4技術が一般に知られている技術であるとしても、本件訂正発明1のように、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報」を、注文受付サーバが送信するという構成にすることは、当業者であっても容易に想到し得るものとはいえない。

また、甲2発明、甲3技術?甲5技術、参考1技術?参考3技術、参考5技術を検討しても、相違点1に係る構成が、当業者であっても容易に想到し得るものとはいえない。

したがって、相違点2、3について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明、甲2発明、甲3技術?甲5技術、参考1技術?参考5技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(イ)甲2発明との対比、判断
a 対比
(a)構成Aと構成2aとの対比
構成2aの「ユーザ端末機」は、構成2c-2、2c-7より、動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)をアップロードし、サービスサーバ10が作成した合成動画を閲覧するものであるから、画像を処理している装置といえ、構成Aの「画像処理装置」に相当する。
構成2aの「サービスサーバ」は、構成2c-2?構成2c-7より、ユーザ端末機からユーザ画像をアップロードし、選択された動画テンプレートに合成し、合成動画を表示させるものであり、画像を中継しているものといえるから、構成Aの「中継装置」に相当する。
構成2aのユーザ端末機とサービスサーバは、インターネットによりアクセス可能であるから、ネットワークを介して接続されているといえる。
したがって、構成2aは構成Aに相当する。

(b)構成Bと構成2bとの対比
構成2bの「HTTP通信部」は、構成Bの「ネットワークインターフェース」に相当する。
また、「サービスサーバ」は、制御部を備えていることから、プロセッサや処理モジュールに相当する構成を有することは自明である。

したがって、甲2発明は、構成Bに相当する構成を有しているといえる。

(c)構成C-1について
甲2発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではない。

(d)構成C-2と構成2c-2との対比
構成2c-2の「動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)」は、画像の情報であり、構成C-2の「前記第1画像情報」と、「画像情報」である点で共通する。
しかし、構成C-2の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲2発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、構成2c-2の「動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)」は、そのような限定がない点で相違する。

(e)構成C-3と構成2c-3との対比
構成2c-3は、「おまかせ合成」か「自由合成」かが選択されることにより、サーバで合成という画像処理を実施するものであるから、サーバは、動画像とユーザ端末機からアップロードされるユーザ所有のユーザ画像(静止画)とを合成する「おまかせ合成」と「自由合成」という複数の画像処理のうちから、一方が選択されたことを識別する情報を、ユーザ端末機から取得しているものといえる。

そうすると、構成2c-3と構成C-3は、「前記画像処理装置から出力される前記画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段」を有する点で共通する。

しかし、構成C-3の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲2発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、甲2発明の「動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)」は、そのような限定がない点で相違する。

(f)構成C-4と構成2c-4との対比
構成2c-4の「選択された動画テンプレート」は、「動画テンプレートの一覧」の中から選択されるものであり、構成2c-6より「ユーザ画像」と合成するものであるから、構成C-4の「前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報」に相当し、「前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報」とは、「前記選択画像処理によって前記画像情報と合成される前記選択第2画像情報」である点で共通する。

また、構成2c-4の「動画テンプレートの一覧」は、動画テンプレートが複数含まれることから、構成C-4の「複数の第2画像情報」に相当する。

そして、「動画テンプレート」が選択されると、サーバは、「選択された動画テンプレートの情報をユーザ端末機から受信」することから、動画テンプレートが選択されたことを識別する情報を、ユーザ端末機から取得しているものといえるので、構成2c-4の「選択された動画テンプレートの情報をユーザ端末機から受信」することは、構成C-4の「前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段」に相当する。

したがって、構成2c-4と構成C-4は、「複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段」を有する点で共通する。

しかし、構成C-4の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲2発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、甲2発明の「動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)」は、そのような限定がない点で相違する。

(g)構成C-5と構成2c-5との対比
構成2c-5より、「動画テンプレートを、動画テンプレートデータベースで管理」していることから、動画テンプレートデータベースに記憶されている動画テンプレートを取得しているものといえ、構成2c-5は、構成C-5の「前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段」を有するものである。

(h)構成C-6と構成2c-6との対比
上記(b)のように、処理モジュールに相当する構成を有することは自明であるから、構成2c-6において、「合成」という画像処理を行う際には、処理モジュールで実行するものといえる。
そうすると、構成2c-6と構成C-6は、「前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段」を有する点で共通する。

しかし、構成C-6の「前記第1画像情報」は、構成C-1の「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、上記(c)で検討したように、甲2発明は、構成C-1に対応する構成を有するものではないため、構成2c-6の「ユーザ画像」は、そのような限定がない点で相違する。

(i)構成C-7と構成2c-7との対比
構成2c-7の「各ユーザ端末機から」「合成動画が閲覧される」ことにおいて、「合成動画」は、「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報」に相当する。
また、サーバは、ユーザ端末機に合成動画を表示させるものであるから、ユーザ所有のユーザ画像(静止画)を合成した動画画像をユーザ端末機に取得させるものといえる。

そうすると、構成2c-7は構成C-7に相当する。

(j)構成C-8について
甲2発明は、構成C-8に対応する構成を有するものではない。

(k)構成Cについて
上記(b)で検討したように、「サーバ」が、プロセッサに相当する構成を有することは自明であるから、甲2発明の構成1c-2?構成1c-7の処理は、プロセッサで行うものといえる。

(l)上記(a)?(k)より、本件訂正発明1と甲2発明は、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
(A)画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置であって、
(B)前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
(C)前記プロセッサは、
(C-2)’画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、
(C-3)’前記画像処理装置から出力される前記画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段と、
(C-4)’複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段と、
(C-5) 前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段と、
(C-6)’前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段と、
(C-7) 前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、
(A)して機能可能であることを特徴とする中継装置。

(相違点)
(相違点1)
本件訂正発明1は、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段」を有するのに対し、甲2発明は、そのような命令情報送信手段を有するものではない点。

(相違点2)
相違点1に起因して、本件訂正発明1で扱う画像情報は、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって」生成される「第1画像情報」であるのに対し、甲2発明の「動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)」は、そのような限定がない点。

(相違点3)
本件訂正発明1は、「前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段」を有するのに対し、甲2発明は、そのような第1出力手段を有するものではない点。

b 判断
(a)新規性について
本件訂正発明1と甲2発明を対比すると、両者は上記相違点を有するものであるから、本件訂正発明1は、甲2発明と同一ではない。

(b)進歩性について
上記相違点のうち、まず、相違点1について検討する。
相違点1に関して、特許異議申立人は、令和元年10月28日付け意見書にて、「参考文献4には、訂正後の請求項1の命令情報送信手段が記載されている。」(9頁5行)と主張しているので、まず、甲2発明と参考4技術から当業者が容易に想到し得るものであるかについて検討する。

甲2発明の「動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)」は、構成2c-2の「ユーザ端末機から、動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)がアップロードされ」ることからみて、ユーザ端末機内に取り込まれているものであり、画像データを端末内に取り込む手法として、スキャナにより取り込むという技術は、一般に周知慣用の技術であるといえる。
そうすると、甲2発明のユーザ端末機において、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成する」という構成にすることは、当業者が容易に想到し得るものであるといえる。

ここで、上記ア(コ)bに記載した参考4技術を再掲する。
「複合機側で読み取りフィードミス(重送)などで読み取りミスが生じてもPC側で判らないという問題に対し、
インターフェース28より、ファクシミリ装置15のPCインターフェース11に接続されているPC20は、ファクシミリ装置(画像読み取り装置)15に読み取り枚数、読み取り条件が設定された読み取り開始コマンドを送出し、
読み取り枚数が設定枚数に満たない場合は、読み取り設定枚数と読み取り完了枚数を表示部22に表示し、設定枚数に満たない旨を併せて表示する技術。」
すなわち、複合機側で読み取りフィードミス(重送)などで読み取りミスが生じてもPC側で判らないという問題に対し、PCから画像読み取り装置に対して、読み取り枚数、読み取り条件が設定された読み取り開始コマンドを送出する技術は一般に知られている技術である。

しかし、甲2発明のユーザ端末機において、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成する」という構成を採用したとしても、甲2発明の「動画画像と合成されるユーザ所有のユーザ画像(静止画)」は、「おまかせ合成」もしくは「自由合成」を選択する前に、ユーザ自ら、予め読み取りを行ってユーザ端末内に取り込んでいるものと想定され、上記参考4技術が一般に知られている技術であるとしても、本件訂正発明1のように、「スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報」を、サーバが送信するという構成にすることは、当業者であっても容易に想到し得るものとはいえない。

また、甲1発明、甲3技術?甲5技術、参考1技術?参考3技術、参考5技術を検討しても、相違点1に係る構成が、当業者であっても容易に想到し得るものとはいえない。

したがって、相違点2、3について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2発明、甲1発明、甲3技術?甲5技術、参考1技術?参考5技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

ウ 本件訂正発明2?4、6?8、10、11について
本件訂正発明2?4、6?8、10、11は、本件訂正発明1を直接もしくは間接に引用する発明である。

したがって、上記イと同様の理由により、本件訂正発明2?4、6?8、10、11は、甲1発明又は甲2発明と同一ではない。
また、本件訂正発明2?4、6?8、10、11は、甲1発明、甲2発明、甲3技術?甲5技術、参考1技術?参考5技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

エ 本件訂正発明12、13について
本件訂正発明12、13は、本件訂正発明1とカテゴリーが異なる発明である。

したがって、上記イと同様の理由により、本件訂正発明12、13は、甲1発明又は甲2発明と同一ではない。
また、本件訂正発明12、13は、甲1発明、甲2発明、甲3技術?甲5技術、参考1技術?参考5技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

(2)特許法第36条第6項第1号(サポート要件)、同条同項第2号(明確性)について
ア 本件訂正発明1、12、13に関するサポート要件違反について
特許異議申立人は、異議申立書において、本件特許発明1、12、13(本件訂正発明1、12、13についても記載は同じである。)の「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段」もしくは「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得ステップ」との記載について以下のような主張をしている。

「本件特許発明の請求項1及び請求項12の「第4取得手段」、並びに請求項13の「第4取得ステップ」が、印刷装置以外の装置や、所定データに対する印刷処理以外の処理についての構成を包含する一方、本件特許発明の明細書にはその構成例が開示されておらず、サポート要件違反がある。」(120頁下から5行?下から1行)

しかし、請求項は、発明の詳細な説明に記載された一又は複数の具体例に対して拡張ないし一般化した記載とすることができるものである。
そして、本件訂正発明1、12、13のように、印刷装置に限定されていない一般的な画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置であっても、段落0004に記載された「画像処理装置から出力された画像データに対して、単なるフォーマット変換等よりも複雑な画像処理を行うことが可能な処理システムが要求されている。」という発明が解決しようとする課題を解決できる発明であることから、本件訂正発明1、12、13が、「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えていると判断することはできない。

したがって、本件訂正発明1、12、13は、サポート要件を満たしている。

イ 本件訂正発明1、12、13に関する明確性違反について
特許異議申立人は、異議申立書において、本件特許発明1、12、13(本件訂正発明1、12、13についても記載は同じである。)の「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段」もしくは「前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得ステップ」との記載について以下のような主張をしている。

「本件特許発明の請求項1及び請求項12の「第4取得手段」、並びに請求項13の「第4取得ステップ」は、画像処理装置に対して具体的にどのような処理を実行するのか(例えば、どのような情報を送信するのか)について何ら記載されておらず、また、画像処理装置がその処理により、「どこから」、「どのように」生成画像情報を取得できるようになるのかについて具体的構成が何ら記載されておらず、明確でない。」(121頁12行?17行)

しかし、生成された画像情報を画像処理装置に取得させるために、具体的にどのような処理を実行するのかや、「どこから」、「どのように」生成画像情報を取得できるようになるのかについての具体的構成が記載されていなくとも、情報通信分野における当業者であれば、広く知られた様々な手法の中から適宜選択すれば良いことであって、具体的な記載がなくとも、当該発明は、明確である。

ウ 本件訂正発明10に関する明確性違反について
特許異議申立人は、異議申立書において、本件特許発明10(本件訂正発明10についても記載は同じである。)の「前記第4取得手段は、前記選択画像処理が完了することに応じて、前記生成画像情報を前記画像処理装置に取得させる情報取得命令情報を、前記ネットワークインターフェースが前記画像処理装置あてに送信するよう出力し、前記情報取得命令情報は、URL(Uniform Resource Locator)の記述方式によって記述されている」との記載について以下のような主張をしている。

「「URL(Uniform Resource Locator)の記述方式によって記述されている」情報取得命令情報により、画像処理装置が「どこから」、「どのように」生成画像情報を取得できるようになるのかについて具体的に記載されていない。」(121頁下から1行?122頁3行)

しかし、URLの記述方式によって記述されているのであるから、情報通信分野における当業者であれば、当該URLにアクセスすることにより、生成画像情報を取得できることは自明であり、発明は明確である。

(3)まとめ
上記(1)、(2)より、特許異議申立理由を採用することはできない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?4、6?8、10、11、12、13に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?4、6?8、10、11、12、13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

さらに、本件請求項5、9に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項5、9に対して、特許異議申立人東京総合コンサルティング株式会社がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置であって、
前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
前記プロセッサは、
スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段と、
前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、
前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段と、
複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段と、
前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記第1画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段と、
前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、
前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段と、
して機能可能であることを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための第2情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる第2出力手段としてさらに機能可能であることを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記第2出力手段は、第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報を各々識別する複数の第2画像情報識別情報を含み、前記複数の第2画像情報の各々を示す画像を前記画像処理装置の前記表示部に表示させるとともに、前記複数の第2画像情報のうちから前記選択第2画像情報を選択する操作を受け付けて、前記複数の第2画像情報識別情報のうちから、前記選択第2画像情報識別情報を生成する処理を前記画像処理装置に実行させるための前記第2情報を出力し、
前記第3取得手段は、前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を、前記第1サーバ装置から取得することを特徴とする請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記複数の第2画像情報は、前記複数種類の画像処理に各々対応しており、
前記第2出力手段は、前記第1取得手段が取得した前記選択画像処理識別情報に基づいて前記選択画像処理の種類を識別し、前記第1サーバ装置に記憶されている前記複数の第2画像情報のうち、識別された前記選択画像処理の種類に対応する複数の第2画像情報を示す画像を前記表示部に表示させるための前記第2情報を出力することを特徴とする請求項3に記載の中継装置。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記処理モジュールは、前記複数種類の画像処理の各々に対応する複数種類が存在しており、
前記画像処理手段は、前記第1取得手段が取得した前記選択画像処理識別情報に基づいて前記選択画像処理の種類を識別し、識別された前記選択画像処理の種類に対応する処理モジュールに前記選択画像処理を実行させることを特徴とする請求項1?4の何れか1項に記載の中継装置。
【請求項7】
前記中継装置は、前記複数の第2画像情報を記憶している第1サーバ装置と、前記画像処理装置および前記第1サーバ装置と前記ネットワークを介して接続することが可能な第2サーバ装置と、を含んでおり、
前記第2サーバ装置は、前記第2取得手段と、前記画像処理手段と、を備えており、
前記第2サーバ装置は、前記第2取得手段によって取得された前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を、前記第1サーバ装置から取得することを特徴とする請求項1?4または6の何れか1項に記載の中継装置。
【請求項8】
前記複数の第2画像情報には、予め定められたパターン画像情報が含まれており、
前記パターン画像情報を用いた画像処理は、前記第1画像情報によって示される画像の所定位置に前記パターン画像情報をはめ込む処理であり、
前記第2サーバ装置は、前記パターン画像情報を記憶しており、
前記画像処理手段は、前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報が前記パターン画像情報である場合には、前記第2サーバ装置に記憶されている前記パターン画像情報を用いて前記処理モジュールに前記選択画像処理を実行させ、前記選択第2画像情報が前記パターン画像情報ではない場合には、前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を前記第1サーバ装置から取得させることを特徴とする請求項7に記載の中継装置。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
前記第4取得手段は、前記選択画像処理が完了することに応じて、前記生成画像情報を前記画像処理装置に取得させる情報取得命令情報を、前記ネットワークインターフェースが前記画像処理装置あてに送信するよう出力し、
前記情報取得命令情報は、URL(Uniform Resource Locator)の記述方式によって記述されていることを特徴とする請求項1?4または6?8の何れか1項に記載の中継装置。
【請求項11】
前記画像処理手段は、前記選択画像処理の実行期間中は、前記選択画像処理の完了を待機する待機命令を、前記ネットワークインターフェースが前記画像処理装置あてに送信するよう出力し、
前記第4取得手段は、前記選択画像処理が完了することに応じて、前記生成画像情報を前記画像処理装置に取得させることを特徴とする請求項1?4、6?8または10の何れか1項に記載の中継装置。
【請求項12】
画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置が読み取り可能なプログラムであって、
前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
前記プロセッサを、
スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信手段と、
前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得手段と、
前記画像処理装置から出力される第1画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得手段と、
複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得手段と、
前記第2取得手段が取得した前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得手段と、
前記第3取得手段が取得した前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得手段が取得した前記第1画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理手段と、
前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得手段と、
前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力手段と、
して機能させることが可能であることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
画像処理装置にネットワークを介して接続することが可能な中継装置の制御方法であって、
前記中継装置は、プロセッサと、ネットワークインターフェースと、処理モジュールと、を備えており、
前記プロセッサは、
スキャン実行部にセットされた原稿を読取開始の指示に従って読み取ることによって第1画像情報を生成することを前記画像処理装置に指示する命令情報、および、前記原稿から取得する必要がある前記第1画像情報の数であり前記スキャン実行部にセットされる必要がある前記原稿の枚数に対応する必要データ数を示す必要データ数情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させる命令情報送信ステップと、
前記第1画像情報を前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1画像情報取得ステップと、
前記画像処理装置から出力される第1画像情報に対して実行される複数種類の画像処理のうちから前記画像処理装置において選択された少なくとも1種類の画像処理である選択画像処理を識別する選択画像処理識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第1取得ステップと、
複数の第2画像情報のうちから前記画像処理装置において選択された選択第2画像情報であって、前記選択画像処理によって前記第1画像情報と合成される前記選択第2画像情報を識別する選択第2画像情報識別情報を、前記ネットワークインターフェースを介して前記画像処理装置から取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップによって取得された前記選択第2画像情報識別情報によって識別される前記選択第2画像情報を取得する第3取得ステップと、
前記第3取得ステップによって取得された前記選択第2画像情報と前記第1画像情報取得ステップによって取得された前記第1画像情報とを合成するように、前記選択画像処理識別情報によって識別される前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させる画像処理ステップと、
前記選択画像処理によって生成された画像情報である生成画像情報を、前記画像処理装置に取得させる第4取得ステップと、
前記処理モジュールで行われる前記選択画像処理が、前記必要データ数の前記第1画像情報を必要とする第1の画像処理である場合において、前記画像処理装置から出力される前記第1画像情報の数が前記必要データ数を超過する場合および前記必要データ数に対して不足する場合には、前記第1画像情報の数が前記必要データ数に適合しないことを示す画像を前記画像処理装置の表示部に表示させるための第1情報を、前記画像処理装置にあてて前記ネットワークインターフェースに送信させるとともに、前記選択画像処理を前記処理モジュールに実行させない第1出力ステップと、
を実行可能であることを特徴とする制御方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-12-19 
出願番号 特願2013-173395(P2013-173395)
審決分類 P 1 651・ 853- YAA (H04N)
P 1 651・ 537- YAA (H04N)
P 1 651・ 113- YAA (H04N)
P 1 651・ 121- YAA (H04N)
P 1 651・ 851- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 豊田 好一畑中 高行花田 尚樹  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 樫本 剛
渡辺 努
登録日 2017-07-14 
登録番号 特許第6171725号(P6171725)
権利者 ブラザー工業株式会社
発明の名称 中継装置、プログラムおよび中継装置の制御方法  
代理人 特許業務法人快友国際特許事務所  
代理人 特許業務法人快友国際特許事務所  

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