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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1359944
審判番号 不服2018-11900  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-05 
確定日 2020-02-13 
事件の表示 特願2017-510502「手袋インタフェースオブジェクト」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月25日国際公開、WO2016/029183、平成29年10月12日国内公表、特表2017-530452〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2015年(平成27年)8月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)8月22日 米国,2014年(平成26年)9月30日 米国,2014年(平成26年)10月17日 米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 1月31日付け 拒絶理由通知書
平成30年 4月 9日 意見書,手続補正書の提出
平成30年 5月31日付け 拒絶査定(以下,「原査定」という
。)
平成30年 9月 5日 審判請求書,手続補正書の提出

第2 平成30年9月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年9月5日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の記載は,次のとおり補正された(下線部は,補正箇所である。)
「【請求項1】
手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分の屈曲を識別する屈曲センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの屈曲センサを備え、
前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分に画定された第1の導電性パッドと前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分に画定された第2の導電性パッドとの間の接触を識別する接触覚センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの接触覚センサを備え、
前記接触覚センサデータは前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間の接触によりトリガされる検知信号に応答して生成され、前記接触覚センサデータは、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分の指先部分との間の接触を識別するデータを含み、前記第1の導電性パッドは前記第2の導電性パッドの電位と異なる電位を有し、
前記手袋インタフェースオブジェクトの指位置ポーズを判定する処理のためのコンピューティングデバイスに前記屈曲センサデータ及び前記接触覚センサデータを伝送するように構成される通信モジュールであって、前記指位置ポーズがヘッドマウントディスプレイ(HMD)上の仮想環境のビューに仮想手をレンダリングするために適用され、前記仮想手が前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングされる通信モジュールを備え、
前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる圧力を識別する圧力センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの圧力センサを備え、
前記通信モジュールが、前記指位置ポーズを判定する処理のための前記コンピューティングデバイスに前記圧力センサデータを送信するように構成され、
前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる力の量を定量化し、
前記定量化された力の量が、前記仮想環境のために定義される行為のレベルを定義する、
手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項2】
前記接触覚センサデータが、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項3】
前記接触覚センサデータが、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの手掌部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項4】
前記仮想環境の前記ビューが、前記HMDに関連付けられる前記仮想環境における仮想キャラクターの目線から定義され、
前記仮想手が前記仮想キャラクターの手である、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項5】
対話中に照らされるように構成されるトラッキング可能オブジェクトであって、インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの位置のトラッキングを可能にするために前記コンピューティングデバイスによってキャプチャされた画像データから識別されるように構成されるトラッキング可能オブジェクトをさらに備え、
前記仮想手が、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置によって実質的に定義される前記仮想環境における位置でレンダリングされる、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項6】
慣性センサデータを生成するための少なくとも1つの慣性センサをさらに備え、
前記通信モジュールが、インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングする処理のための前記コンピューティングデバイスに前記慣性センサデータを伝送するように構成され、
前記仮想手が、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置によって実質的に定義される前記仮想環境における位置でレンダリングされる、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項7】
前記通信モジュールが、前記コンピューティングデバイスから触覚フィードバックデータを受信するように構成され、
前記手袋インタフェースオブジェクトが、前記触覚フィードバックデータに基づく触覚フィードバックを生成するように構成される触覚フィードバック機構をさらに備える、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項8】
前記HMDが、
前記仮想環境の前記ビューを定義する画像コンテンツをレンダリングするために構成される画面へのビューポートを有する内側を含むビューイングモジュールと、
データを前記コンピューティングデバイスと交換するためのHMD通信モジュールと、
前記画面上の前記画像コンテンツをレンダリングするための前記コンピューティングデバイスから受信される画像データを処理するための画像処理モジュールと、
前記ビューイングモジュールの外部ハウジングと統合される複数の照明素子であって、カメラによる前記HMDの画像トラッキングのために定義される複数の照明素子と、
前記複数の照明素子をアクティブまたは非アクティブに制御するための照明ロジックと、
前記HMDの慣性トラッキングのために定義される少なくとも1つの慣性センサと、を含む、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項9】
仮想環境のビューをヘッドマウントディスプレイ(HMD)にレンダリングすることと、
手袋インタフェースオブジェクトから屈曲センサデータを受信することであって、前記屈曲センサデータが前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分の屈曲を識別する、受信することと、
前記手袋インタフェースオブジェクトから接触覚センサデータを受信することであって、前記接触覚センサデータが前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分に画定された第1の導電性パッドと前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分に画定された第2の導電性パッドとの間の接触を識別し、前記接触覚センサデータは前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間の接触によりトリガされる検知信号に応答して生成され、前記接触覚センサデータは、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分の指先部分との間の接触を識別するデータを含み、前記第1の導電性パッドは前記第2の導電性パッドの電位と異なる電位を有する、受信することと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの指位置ポーズを判定するために前記屈曲センサデータ及び前記接触覚センサデータを処理することと、
仮想手を前記仮想環境の前記ビューにおいて、前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングすることと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる圧力を識別する圧力センサデータを受信することとを含み、
前記指位置ポーズを判定することが前記圧力センサデータを処理することを含み、
前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの前記少なくとも一部に加えられる力の量を定量化し、
前記定量化された力の量が、前記仮想環境のために定義される行為のレベルを定義する、
方法。
【請求項10】
前記接触覚センサデータが、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接触覚センサデータが、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの手掌部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記仮想環境のビューが、前記HMDに関連付けられる前記仮想環境における仮想キャラクターの目線から定義され、
前記仮想手が前記仮想キャラクターの手である、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
インタラクティブ環境のキャプチャされた画像データを受信することと、
前記インタラクティブ環境において前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングするために前記キャプチャされた画像データを処理することとをさらに含み、
前記仮想手をレンダリングすることが、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置によって実質的に定義される前記仮想環境における位置で行われる、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記手袋インタフェースオブジェクトから慣性センサデータを受信することと、
インタラクティブ環境において前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングするために前記慣性センサデータを処理することと
をさらに含み、
前記仮想手をレンダリングすることが、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置及び方向によって実質的に定義される前記仮想環境における位置で行われる、
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記仮想環境における前記仮想手と仮想オブジェクトとの間の接触を検出することと、
前記仮想手と前記仮想オブジェクトとの間の前記検出された接触に基づく触覚フィードバックデータを生成することと、
前記触覚フィードバックデータを前記手袋インタフェースオブジェクトに送信することと、をさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記仮想環境の前記ビューを前記HMDにレンダリングすることが、画像データを生成すること及び前記画像データを前記HMDに送信することであって、前記HMDが前記HMDのビューイングモジュールの前記画面上で画像コンテンツをレンダリングするための前記画像データを処理するための画像処理モジュールを有し、前記ビューイングモジュールが前記仮想環境の前記ビューを定義する前記画像コンテンツをレンダリングするために構成される前記画面へのビューポートを有する内側を含む、生成すること及び送信することと、
前記HMDの前記ビューイングモジュールの外部ハウジングと統合される複数の照明素子のキャプチャされた画像データを受信することと、
前記HMDをトラッキングするために前記キャプチャされた画像データを処理することと、を含む、
請求項9に記載の方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,平成30年4月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分の屈曲を識別する屈曲センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの屈曲センサと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分との間の接触を識別する接触覚センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの接触覚センサと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの指位置ポーズを判定する処理のためのコンピューティングデバイスに前記屈曲センサデータ及び前記接触覚センサデータを伝送するように構成される通信モジュールであって、前記指位置ポーズがヘッドマウントディスプレイ(HMD)上の仮想環境のビューに仮想手をレンダリングするために適用され、前記仮想手が前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングされる通信モジュールと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる圧力を識別する圧力センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの圧力センサとを備え、
前記通信モジュールが、前記指位置ポーズを判定する処理のための前記コンピューティングデバイスに前記圧力センサデータを送信するように構成され、
前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる力の量を定量化し、
前記定量化された力の量が、前記仮想環境のために定義される行為のレベルを定義する、
手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項2】
前記接触覚センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項3】
前記接触覚センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの手掌部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項4】
前記仮想環境の前記ビューが、前記HMDに関連付けられる前記仮想環境における仮想キャラクターの目線から定義され、
前記仮想手が前記仮想キャラクターの手である、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項5】
対話中に照らされるように構成されるトラッキング可能オブジェクトであって、インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの位置のトラッキングを可能にするために前記コンピューティングデバイスによってキャプチャされた画像データから識別されるように構成されるトラッキング可能オブジェクトをさらに備え、
前記仮想手が、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置によって実質的に定義される前記仮想環境における位置でレンダリングされる、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項6】
慣性センサデータを生成するための少なくとも1つの慣性センサをさらに備え、
前記通信モジュールが、インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングする処理のための前記コンピューティングデバイスに前記慣性センサデータを伝送するように構成され、
前記仮想手が、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置によって実質的に定義される前記仮想環境における位置でレンダリングされる、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項7】
前記通信モジュールが、前記コンピューティングデバイスから触覚フィードバックデータを受信するように構成され、
前記手袋インタフェースオブジェクトが、前記触覚フィードバックデータに基づく触覚フィードバックを生成するように構成される触覚フィードバック機構をさらに備える、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項8】
前記HMDが、
前記仮想環境の前記ビューを定義する画像コンテンツをレンダリングするために構成される画面へのビューポートを有する内側を含むビューイングモジュールと、
データを前記コンピューティングデバイスと交換するためのHMD通信モジュールと、
前記画面上の前記画像コンテンツをレンダリングするための前記コンピューティングデバイスから受信される画像データを処理するための画像処理モジュールと、
前記ビューイングモジュールの外部ハウジングと統合される複数の照明素子であって、カメラによる前記HMDの画像トラッキングのために定義される複数の照明素子と、
前記複数の照明素子をアクティブまたは非アクティブに制御するための照明ロジックと、
前記HMDの慣性トラッキングのために定義される少なくとも1つの慣性センサと、を含む、
請求項1に記載の手袋インタフェースオブジェクト。
【請求項9】
仮想環境のビューをヘッドマウントディスプレイ(HMD)にレンダリングすることと、
手袋インタフェースオブジェクトから屈曲センサデータを受信することであって、前記屈曲センサデータが前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分の屈曲を識別する、受信することと、
前記手袋インタフェースオブジェクトから接触覚センサデータを受信することであって、前記接触覚センサデータが前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分との間の接触を識別する、受信することと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの指位置ポーズを判定するために前記屈曲センサデータ及び前記接触覚センサデータを処理することと、
仮想手を前記仮想環境の前記ビューにおいて、前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングすることと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる圧力を識別する圧力センサデータを受信することとを含み、
前記指位置ポーズを判定することが前記圧力センサデータを処理することを含み、
前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの前記少なくとも一部に加えられる力の量を定量化し、
前記定量化された力の量が、前記仮想環境のために定義される行為のレベルを定義する、
方法。
【請求項10】
前記接触覚センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接触覚センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの手掌部分との間の接触を識別するデータを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記仮想環境のビューが、前記HMDに関連付けられる前記仮想環境における仮想キャラクターの目線から定義され、
前記仮想手が前記仮想キャラクターの手である、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
インタラクティブ環境のキャプチャされた画像データを受信することと、
前記インタラクティブ環境において前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングするために前記キャプチャされた画像データを処理することとをさらに含み、
前記仮想手をレンダリングすることが、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置によって実質的に定義される前記仮想環境における位置で行われる、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記手袋インタフェースオブジェクトから慣性センサデータを受信することと、
インタラクティブ環境において前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングするために前記慣性センサデータを処理することと
をさらに含み、
前記仮想手をレンダリングすることが、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置及び方向によって実質的に定義される前記仮想環境における位置で行われる、
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記仮想環境における前記仮想手と仮想オブジェクトとの間の接触を検出することと、
前記仮想手と前記仮想オブジェクトとの間の前記検出された接触に基づく触覚フィードバックデータを生成することと、
前記触覚フィードバックデータを前記手袋インタフェースオブジェクトに送信することと、をさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記仮想環境の前記ビューを前記HMDにレンダリングすることが、画像データを生成すること及び前記画像データを前記HMDに送信することであって、前記HMDが前記HMDのビューイングモジュールの前記画面上で画像コンテンツをレンダリングするための前記画像データを処理するための画像処理モジュールを有し、前記ビューイングモジュールが前記仮想環境の前記ビューを定義する前記画像コンテンツをレンダリングするために構成される前記画面へのビューポートを有する内側を含む、生成すること及び送信することと、
前記HMDの前記ビューイングモジュールの外部ハウジングと統合される複数の照明素子のキャプチャされた画像データを受信することと、
前記HMDをトラッキングするために前記キャプチャされた画像データを処理することと、を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項17】
仮想環境のビューをヘッドマウントディスプレイ(HMD)にレンダリングすることと、
手袋インタフェースオブジェクトから屈曲センサデータを受信することであって、前記屈曲センサデータが前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分の屈曲を識別する、受信することと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる圧力を識別する圧力センサデータを受信することと、
前記手袋インタフェースオブジェクトの指位置ポーズを判定するために前記屈曲センサデータ及び前記圧力センサデータを処理することと、
仮想手を前記仮想環境の前記ビューにおいて、前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングすることと、を含み、
前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの前記少なくとも一部に加えられる力の量を定量化し、
前記定量化された力の量が、前記仮想環境のために定義される行為のレベルを定義する、
方法。
【請求項18】
前記仮想環境の前記ビューが、前記HMDに関連付けられる前記仮想環境における仮想キャラクターの目線から定義され、
前記仮想手が前記仮想キャラクターの手である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
インタラクティブ環境のキャプチャされた画像データを受信することと、
前記インタラクティブ環境において前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングするために前記キャプチャされた画像データを処理することとをさらに含み、
前記仮想手をレンダリングすることが、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置によって実質的に定義される前記仮想環境における位置で行われる、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記手袋インタフェースオブジェクトから慣性センサデータを受信することと、
インタラクティブ環境において前記手袋インタフェースオブジェクトの位置を識別かつトラッキングするために前記慣性センサデータを処理することとをさらに含み、
前記仮想手をレンダリングすることが、前記インタラクティブ環境における前記手袋インタフェースオブジェクトの前記位置及び方向によって実質的に定義される前記仮想環境における位置で行われる、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記仮想環境における前記仮想手と仮想オブジェクトとの間の接触を検出することと、
前記仮想手と前記仮想オブジェクトとの間の前記検出された接触に基づく触覚フィードバックデータを生成することと、
前記触覚フィードバックデータを前記手袋インタフェースオブジェクトに送信することと、をさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記仮想手と前記仮想オブジェクトとの間の前記検出された接触に応答するビジュアルフィードバックを、前記仮想環境の前記ビューにおいてレンダリングすることをさらに含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記仮想環境の前記ビューを前記HMDにレンダリングすることが、画像データを生成すること及び前記画像データを前記HMDに送信することであって、前記HMDが前記HMDのビューイングモジュールの前記画面上で画像コンテンツをレンダリングするための前記画像データを処理するための画像処理モジュールを有し、前記ビューイングモジュールが前記仮想環境の前記ビューを定義する前記画像コンテンツをレンダリングするために構成される前記画面へのビューポートを有する内側を含む、生成すること及び送信することと、
前記HMDの前記ビューイングモジュールの外部ハウジングと統合される複数の照明素子のキャプチャされた画像データを受信することと、
前記HMDをトラッキングするために前記キャプチャされた画像データを処理することと、を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記HMDをトラッキングすることが、前記HMDの方向または位置のうちの1つまたは複数をトラッキングすることによって定義される、
請求項23に記載の方法。」

2 補正の適否
本件補正は,補正前の請求項1及び9に記載された発明を特定するために必要な事項である「接触覚センサデータ」及び「手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分」,「手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分」について,それぞれ「前記接触覚センサデータは前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間の接触によりトリガされる検知信号に応答して生成され、前記接触覚センサデータは、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分の指先部分との間の接触を識別するデータを含み」,及び「前記第1の導電性パッドは前記第2の導電性パッドの電位と異なる電位を有」し,「手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分に画定された第1の導電性パッド」並びに「手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分に画定された第2の導電性パッド」との限定を付加し,また,補正前の請求項2及び10に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分」及び「前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分」について,それぞれ「前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分」及び「前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分」との限定を付加し,補正前の請求項3及び11に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分」及び「前記手袋インタフェースオブジェクトの手掌部分」について,それぞれ「前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分」及び「前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの手掌部分」との限定を付加し,さらに,補正前の請求項17ないし24を削除するものであって,補正前の請求項1ないし16に記載された発明と補正後の請求項1ないし16に記載される発明との産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮及び同項1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の請求項1ないし16に記載される発明(以下,「本件補正発明1ないし16」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件補正発明1
本件補正発明1は,上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2003-15810号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用者の手に装着されて指及び/又は手の為す形態を検出するための手袋型入力装置に関する。例えば、バーチャルリアリティを利用したシステムに対してデータ入力を行う入力装置として利用され、実際の手の動き(ジェスチャ)を計測してシステム内に取り込む3次元データを作成したり、あるいは手話電話や手話入力装置の入力インタフェースとして適用可能なインテリジェント型手袋型入力装置に関する。」

「【0009】手話手形を検出する手袋型入力装置は、一般に、各指の屈曲を検出する屈曲検知手段と、各指の指先等の他の所定部位に対する接触を検出する接触検知手段とを具備する必要がある。本発明によれば、特に、手袋型入力装置における接触検知手段についての新規かつ有用な構成を提供することができる。この接触検知手段は、交流励磁される複数のコイルと、該コイルが配置された部位と他の部位との接触に応じて各コイル毎に固有の出力を生じる出力手段とを含んで構成されるので、非常に簡単かつ安価に提供することができる。」

「【0011】変位検出手段は、指の曲げ伸ばしや手の所定部位の動きに応じて変位する伝達手段の変位量を検出することができるように構成されている。前記伝達手段は各指毎に所定の長さを保つように長さ調節されて、その一端は使用者の指の所定位置又は手の所定部位に固定的に配置される。伝達手段の反対側の先端には弾性手段が付され、伝達手段に所定のテンション(張力)を与え、かつ伝達手段と検出手段とを相対的に所定の位置に位置づけている。使用者が指を曲げはじめると、各指の曲げ角度に応じて、伝達手段は弾性手段の有する付勢力に抗して変位する。つまり、伝達手段と変位検出手段との相対的位置が変位する。変位検出手段はこの伝達手段の変位を検出して、指の屈曲等手の動きの検出信号を得ることができる。また、指及び/又は手の所定部位に対応する箇所に設けられた接触検知手段により、前述のように、各指の指先等の他の所定部位に対する接触を検出することができる。データ生成手段では、これらの検出信号及び接触検知信号に基づき、使用者が為している指及び/又は手の形態例えば手話手形を認識し、認識した形態又は手話手形に対応する手話認識データを出力する。」

「【0013】さらに、圧力検知手段を具備し、これにより使用者の指先及び/又は手の所定部分にかかる圧力の強さを検出するようにしてもよい。その用途としては、検出した圧力の強さに応じて、同じ指及び/又は手の形態で伝達できる情報を異ならせるようにすることも可能であるし、あるいは、この手袋型入力装置をキャプチャグローブとして使用する場合には掴み圧を示す情報を検出する手段として使用することも可能である。」

「【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
【0015】図1は、本発明に係る手袋型入力装置を用いたバーチャルリアリティ(仮想現実)を利用したシステムの一実施例を概略的に示したシステム概略図である。図1に示したバーチャルリアリティシステムは、手袋型入力装置1とコンピュータ2とディスプレイ3等から構成される。バーチャルリアリティシステムはこれら以外のハードウェアを有する場合もあるが、ここでは必要最小限の資源を用いた場合について説明する。
【0016】当該実施例における手袋型入力装置1(以下、データ入力用グローブと呼ぶ)は、使用者の左手に装着されて使用されるものを例に示している。つまり、左手用のデータ入力用グローブ1である。勿論、データ入力用グローブ1は右手に装着できるように形成されてもよい。また、左右の手にそれぞれ別々のデータ入力用グローブ1を装着して同時に使用してよいことは言うまでもない。ディスプレイ3は、仮想対象物(図では球)を含めた仮想空間を表示し、使用者はディスプレイ3により仮想空間を視覚できるようになっている。このようなバーチャルリアリティシステムにおいて、使用者はデータ入力用グローブ1を装着した状態で左手の各指を動かすと、データ入力用グローブ1は使用者の左手の動き(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を計測して、この計測した値をコンピュータ2に入力可能な数値データに変換する。コンピュータ2は中央演算処理装置(CPU)を具えた、例えばパーソナルコンピュータのようなものであって、データ入力用グローブ1から得られる数値データを解析して、ディスプレイ3の画面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動かしながら表示する。データ入力用グローブ1とコンピュータ2間及びコンピュータ2とディスプレイ3間には、前記数値データや制御データ等を送受信できるように信号伝送手段4で各々結合されている。
【0017】なお、ディスプレイ3は図示したようなものに限らず、立体ホログラムを用いて表示するものや、あるいはHMD(Head Mounted Displayの略)等、どのようなものであってもよい。HMDは液晶等を用いた表示装置であり、使用者はこのHMDを眼前の視野を遮るように装着することで仮想空間を視覚できる。さらに、ハーフミラー等を用いて、使用者の眼前の風景に仮想の像を重畳して視覚できるものもある。また、信号伝送手段4は図示したような有線のものでなくてもよく、無線等ワイヤレスのものであってもよい。また、このようなバーチャルリアリティシステムは単体で用いられるだけでなく、当該バーチャルリアリティシステムと現実のロボットシステム等を組み合わせて、現実的なロボット等の操作制御を行うことができるようにしてよいことは言うまでもない。さらに、コンピュータ2やディスプレイ3を当該入力装置1とは別々に構成したが、一体的に構成してもよい。
【0018】図2は、本発明に係るデータ入力用グローブの一実施例を、主に各指の屈曲検出手段に相当する部分について、概略的に示した全体概略構成図である。ただし、説明を理解しやすくするために当該データ入力用グローブを使用者に装着した状態で、かつ、データ入力用グローブの内部的な構造のみを示した。図3は、図2に示したデータ入力用グローブの1本の指についてのみ拡大して詳細に示した一部拡大図である。
【0019】当該データ入力用グローブ1は、各指の曲がり具合を検出するための検出器10が各指に対応するように装着されて、固定ベルト5によって手首の部分で固定される。自在バンド6はその長さを自由に調整することができ、指を取り囲むようにしてデータ入力用グローブ1を固定する(図3参照)。この際、各指の関節位置とデータ入力用グローブ1の関節位置との相対的位置にずれが生じないように各指の関節部分の太さにあわせて固定する。ガイド7は、中空の例えば円柱や円錐あるいは直方体といったような適宜の形状に形成され、その中空部分をワイヤ8が通っている。そのため、指が曲げられた際でもワイヤ8は各関節部分で引っかかることなく滑らかにY方向に自由に往復動できるようになっている。ワイヤ8は、各指に沿って各指の第1関節部分の自在バンド6に設けられた長さ調節機構9から各関節部分のガイド7を通って検出器10まで形成される。長さ調節機構9は、ワイヤ8の長さを指の長さにあわせて自由に調節し、ワイヤ8の一端を固定するものである。固定ベルト5には検出器10が配置され、この検出器10は指の動きに合わせてワイヤ8が指先及び手首間をY方向に往復移動するとその動きを検出できるようになっている。」

「【0046】次に、本発明に係る手袋型入力装置(データ入力用グローブ)の一実施例として、各指の曲げ伸ばしだけでなく各指の接触状態や接触位置などを検出する接触検知手段を具備し、各指の接触形態をも考慮して指及び/又は手の為している状態(形態)を捉えるようにすることによって、使用者が為している手話手形などをより正確・確実に検出することができるようにした手袋型手形入力装置について説明する。そのための接触検知手段として、例えば、使用者の指先や使用者の手の所定位置、すなわち手のひらや手の甲あるいは各指の側面(つまり指の脇)といったそれぞれの所定位置に適宜の構成からなるタッチセンサなどを配設して、各タッチセンサからの接触検出信号と各指の曲げ伸ばし検出信号との組み合わせに従って使用者が形作っている手話手形などを判別できるようにするとよい。図12は、かかる接触検知手段を具備する本発明に係る手袋型入力装置の一実施例を示す概略図である。ただし、本発明に係る手袋型入力装置を手話手形などを入力するための手袋型手形入力装置として構成した場合においても各指の曲げ伸ばしを検出する屈曲検知手段やフォースフィードバックを付与する手段等に関しての構成は上述した各実施例に示した構成と同様の構成であってよいし、あるいは他の適宜の構成を用いてもよいことから、この図12に示す実施例ではそれらの図示を省略し、接触検知手段のみについて図示している。
【0047】この実施例に示す手袋型入力装置(データ入力用グローブ)は、既に説明したようなワイヤ等を用いた各指の曲げ伸ばしの検出に関する機構や各指に対するフォースフィードバックに関する機構(この図12では図示せず、上述した図2?図4Bに示す各図参照)などと共に、各指の接触状態や接触位置などを検出するためのタッチセンサ22a?22dをそれぞれ手袋型のグローブ1の所定位置に配設したものである。手話手形では単に指先を他方の手に接触させたり、指先と手のひらや手の甲とを接触させたり、若しくは左右の指をクロスしたりする等の、各指と手の配置との組み合わせ形態に応じて、複数の文字の中からいずれか1文字を表すことができるようになっている(すなわち指文字)。例えば日本指文字に関する手話手形において、右手の指全部を開いた状態(つまり、じゃんけんで言うパーの状態)から、人差し指と小指はそのまま指を伸ばした状態のままで、かつ、互いの指の脇をくっつけた中指と薬指の両方の指先を親指の指先とくっつけた状態である形態(つまり、中指と薬指と親指の各指先を同時に用いて物をつまむような形態)は、日本文字での「き」を表すようになっている。そこで、図12に示すデータ入力用グローブ1のように、各指の指先及び/又は手の所定位置にタッチセンサ22a?22dをそれぞれ配設することによって、各タッチセンサ22a?22dの配置位置において各指の指先や手のひらや手の甲などによる接触状態を検出できるようにする。この実施例では、手のひら側の各指先にそれぞれ1個ずつのタッチセンサ22a、親指以外の各指の腹部分にそれぞれ1個ずつのタッチセンサ22b、小指以外の指の側面(脇)にそれぞれ1個ずつのタッチセンサ22cをそれぞれ配置し、さらに手の甲側に親指以外の各指の所定位置(例えば第1関節と第2関節との間など)にそれぞれ1個ずつのタッチセンサ22d、計17個のタッチセンサ22a?22dをそれぞれ所定位置に配設した例を示した。勿論、この実施例に示したタッチセンサ22a?22dの数や形状あるいは配置位置などは一例であって、必ずしもこれに限られるものではない。
【0048】図12に示すような位置に配設したタッチセンサ22a?22dでは、その配置位置における各指の指先や手のひらや手の甲などのそれぞれの接触状態をオン・オフ出力に従い検出することができるようになっている。そして、各タッチセンサ22a?22dから得られた検出信号(つまりオン・オフ信号)は各指の曲げ伸ばし検出信号などと同様に上位コントローラ(例えば上述した図1に示すコンピュータ2)へと与えられて、上位コントローラによりこれらの検出信号の組み合わせから左右の手や各指とがどのような位置関係(どのような接触状態)にあるかが判定され、該判定された位置関係に相当する手話手形に従って該当する文字を特定する。すなわち、手話手形では上記したような片手のみで手話手形を形作る形態以外にも指先を他方の手に接触させたりして手話手形を形作るといった複雑な形態もあるが、この実施例に示す手袋型入力装置においては各指の曲げ伸ばしと共に各指や手の接触状態を検出することによって、それらの検出信号の組み合わせから複雑な形態の手話手形をも検出することができるようになっている。
【0049】なお、各指の曲げ伸ばし検出信号と各タッチセンサ22a?22dから得られた検出信号との組み合わせによる位置関係の判定から手話手形による文字の特定までの一連の処理を、上述したようにデータ入力用グローブ1とは別々に構成されたコンピュータ2側(図1参照)で実行させてもよいし、あるいはデータ入力用グローブ1の例えば固定ベルト5にCPU等を具えたマイクロコンピュータMCを設けて、当該マイクロコンピュータMCに各指の曲げ伸ばし検出信号と各タッチセンサ22a?22dからの検出信号とを入力し、前記一連の処理を実行させて文字を特定するようにしてもよい。
【0050】次に、本発明に係る手袋型入力装置(データ入力用グローブ)における接触検知手段の別の実施例について、図13を用いて説明する。図13の(a)は接触検知手段の配置例を示す概略図、(b)は検知のための回路構成例を示す回路図である。図13(a)は、タッチセンサを、各指の指先毎に設けられた発信コイル23a?23eと、手のひらの所定位置に設けられた受信コイル24とで構成した例を示している。受信コイル24の数は、1又は複数であってよく、要するに、各指の指先が接触しやすい手の平の適宜の部位に設けられていればよい。
【0051】図13(b)に示すように、各指先の発信コイル23a?23eは、交流信号源25a?25nから発生されるそれぞれ異なる周波数fa?fnの交流信号で励磁されており、任意の指の指先が手の平に接触したときに、当該指先の発信コイル(23a?23e)の励磁周波数に応じた誘導2次出力信号が受信コイル24から生じる。これによって、発信コイル23a?23eが配置されている各指がどの位置に接触しているかを検出できるようになっている。受信コイル24に誘導電圧が生ずると、周波数検出回路26は該誘導電圧の周波数を検出する。受信コイル24に生じる誘導電圧の周波数は、受信コイル24に接触した発信コイル23a?23eの励磁周波数と同じである。したがって、周波数検出回路26により受信コイル24に生じた誘導電圧の周波数を検出することで、どの指の指先が手の平に接触しているのかが分かることになる。ひとつの手の平に対応してひとつの周波数検出回路26を設けるだけでもよいし、あるいは、手の平の異なる部位に配置された各受信コイル24毎に周波数検出回路26を別々に設けてもよい。それにより、同じ指であっても手の平の異なる部位のどこに接触したかを区別することができる。
【0052】図13の変更例として、受信コイル24に替えて、磁性体または導電体等の磁気応答性物質を、手の平の所定位置に配置するようにしてもよい。その場合、或る指先の発信コイル23a?23eが、該手の平の所定位置に配置された該磁気応答性物質に近接すると、該発信コイル23a?23eのインピーダンスが変化する。従って、各発信コイル23a?23eのインピーダンス変化を検出することで、どの指が手の平の所定位置に接触したかが検知できる。この場合、各発信コイル23a?23eのインピーダンス変化を個別に検出する回路構成を採用することで、どの指のコイル23a?23eのインピーダンスが変化したかが判明するので、各発信コイル23a?23eの励磁周波数を、異ならせることなく、共通にしてもよい。
【0053】手話手形等の認識にあっては、指先の手の平に対する接触のみならず、指先同士の接触も検出する必要がある。そのために、図14(a)に示すように指先の各発信コイル23a?23eと略同じ位置に受信コイル28a?28eを設けるとよい。各受信コイル28a?28e毎に周波数検出回路を設け、各周波数検出回路では自己の受信コイルと同じ位置に設けられている発信コイルの周波数は検出しないように設定しておけばよい。例えば、図14(b)は、受信コイル28aに対応して設けられた周波数検出回路26aを示しており、この周波数検出回路26aでは、受信コイル28aと同じ位置に設けられている発信コイルfaの励磁周波数faは検出せず、他の発信コイル23b?23eの励磁周波数fb?fnを検出する。この構成によって、各指の指先に設けられた受信コイル28a?28eが他の指の指先に設けられたどの発信コイル23b?23eの周波数fa?fnを受信したかによって、どの指同士が接触したかを検知することができる。
【0054】指先同士の接触を検知する別の例として、1つの指先に送信コイル23a?23eと受信コイル28a?28eを別々に設けることなく、共通化してもよい。すなわち、構成の上では、図13(a)と同様に、各指先に1つのコイル23a?23eのみを設けるものとする。そして、該各コイル23a?23eの機能を送信コイルと受信コイルとの間で時分割的に切り替える。図15はその時分割制御回路の一例を概念的に示す回路図、図16はその時分割制御タイミングの一例を示すタイムチャートである。図16に示すように、一例として、5つの各指に対応するコイル23a?23eを送信コイルとして機能させるよう5つの時分割タイムスロットta,tb,tc,td,teが1サイクル時間T内で時分割的に設定される。図15に示すように、個々のコイル23a?23eに対応する送信用ゲート29a?29eが、それに対応する時分割タイムスロットta?teで開かれて、それに対応する交流信号源25a?25eからのそれぞれ所定の周波数fa?feを持つ交流信号が、対応するコイル23a?23eに印加される。こうして各コイル23a?23eが時分割で励磁される。各コイル23a?23eは、それぞれの励磁タイムスロットta?te以外の時間帯(図16のTa,Tb,Tc,Td,Te)では、受信コイルとして機能する。すなわち、図15に示すように、個々のコイル23a?23eに対応する受信用ゲート30a?30eが、それに対応する受信用時間帯Ta?Teで開かれて、該コイルに誘導された誘導交流電圧信号を周波数検出回路26a?26eに入力する。各周波数検出回路26a?26eでは誘導交流電圧信号の周波数を検出し、検出した周波数からどの指のコイルが近接したかを判定することができる。こうして、各指毎に1つのコイルからなる構成であっても、指同士の接触を検出することができる。」

「【0057】また、上述の図12?図16に示したような接触検知手段を設ける実施例において、指先などの接触状態と共に接触時にかかる圧力の強さを検出し、該検出した接触時にかかる圧力の強さを、適宜の制御信号、例えば仮想対象物又は仮想環境からの反力を付加するための制御信号として用いるようにしてもよい。その場合に、タッチセンサ22a?22d若しくは発信又は受信コイル23a?23e,24,…等の接触検知手段に圧力検出機能をも持たせるようにしてもよい。図13?図16に示したようなコイルを用いるタイプのものにおいて、単に接触に伴うオン・オフ出力による信号を検出するのみでなく、接触時にかかる圧力の強さに応じて変化する信号をも検出することができるようにした例について、図17を用いて説明する。図17は、図13の例のようなグローブ1において、1つの指先に設ける発信コイル23aの部分を、接触時にかかる圧力の強さをも検出することが可能な構成(接触及び圧力検出部27)とした例を拡大して示す概念図である。この図では、指先に配設された発信コイル23aが手の平の適宜の所定位置に配置された受信コイル24に対して接触する直前の状態を(a)に示し、或る程度の圧力で接触した時の状態を(b)に示している。
【0058】図17に示されるように、接触及び圧力検出部27は、グローブ1の表面寄りに配置された発信コイル23aと、該コイル23aより少し離れるように所定の凹み内に収納された磁性体15とで構成される。すなわち、磁性体15はグローブ1表面からグローブ1内部側に所定量だけ埋め込まれた状態に配置され、一方発信コイル23aは磁性体15と相対する所定位置に位置するようグローブ1表面に配置される。また、少なくとも磁性体15を収納した凹みを含む指先などにおけるグローブ1の表面は軟らかく弾力性のある素材でできているものであって、指先を押すと該グローブ1の表面が所定位置から指先を押した力に応じた分だけ該グローブ1の内側に沈み込み、指先を押すのをやめると該グローブ1の表面が指先を押す前の所定位置に自然に戻るようになっているものである。したがって、発信コイル23aが配置されている指先が受信コイル24と接触する前の状態はグローブ1表面にも力が加わっていない状態であることから、磁性体15と発信コイル23aとは所定の離れた位置関係を保持した状態のままである(図17(a)参照)。他方、発信コイル23aが配置されている指先が受信コイル24と接触している場合には、接触時に指先にかかる圧力の強さに応じてコイル23aがグローブ1表面と共に矢印Z方向に沈み込み、この沈み込みに応じた距離だけ該コイル23aと磁性体15とが近接する(図17(b)参照)。このコイル23aに対する磁性体15の近接量が増すほど、コイル23aのインピーダンスが増し、出力レベルが増大する。従って、接触状態下において受信コイル24に誘導される電圧レベルの大きさが、コイル23aに対する磁性体15の近接量、つまり接触時の圧力に応じて変化する。この誘導電圧レベルの変化を調べることによって指先にかかっている圧力の強さを検出することができる。磁性体15は導電体であってもよい。
【0059】なお、上述の図17に示した実施例においては、各指毎の発信コイル23aと磁性体15との組み合わせからなる接触及び圧力検出部27によって、各指先の接触と共に接触時における圧力の強さを同時に検出できるように構成したが、これに限らず、指先にかかる圧力の強さを検出する圧力検出機構を指先の接触位置を検出する接触検知手段とは独立に構成するようにしてもよい。その場合における圧力検出機構の一実施例を図18に示す。図18では、説明を理解しやすくするために、この実施例では指先にかかる圧力の強さを検出する圧力検出機構を一部の指先にのみ構成したものを拡大して図示した。」

(イ)上記記載から,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。

「データ入力用グローブ1であって,
ディスプレイ3に,仮想対象物を含めた仮想空間を表示し,使用者はディスプレイ3により仮想空間を視覚できるようになっており,このようなバーチャルリアリティシステムにおいて,使用者はデータ入力用グローブ1を装着した状態で左手の各指を動かすと,データ入力用グローブ1は使用者の左手の動き(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を計測して,この計測した値をコンピュータ2に入力可能な数値データに変換し,コンピュータ2はデータ入力用グローブ1から得られる前記数値データを解析し,ディスプレイ3の画面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動かしながら表示し,データ入力用グローブ1とコンピュータ2間には,前記数値データや制御データ等を送受信できるように信号伝送手段4で結合され,
データ入力用グローブ1は,
各指の曲がり具合を検出するための検出器10が各指に対応するように装着され,
指先同士の接触も検出するために,指先の各発信コイル23a?23eと略同じ位置に受信コイル28a?28eを設け,各指の指先に設けられた受信コイル28a?28eが他の指の指先に設けられたどの発信コイル23b?23eの周波数fa?fnを受信したかによって,どの指同士が接触したかを検知する接触検知手段と,
指先などの接触状態と共に接触時にかかる圧力の強さを検出し,該検出した接触時にかかる圧力の強さを,適宜の制御信号,例えば仮想対象物又は仮想環境からの反力を付加するための制御信号として用いるために,単に接触に伴うオン・オフ出力による信号を検出するのみでなく,接触時にかかる圧力の強さに応じて変化する信号をも検出することができ,指先にかかる圧力の強さを検出する圧力検出機構を指先の接触位置を検出する接触検知手段とは独立に構成した,
データ入力用グローブ1。」

(ウ)また,上記記載から引用文献1には,以下の事項(以下,「引用文献1記載事項」という。)が記載されている。

「手袋型入力装置を用いたバーチャルリアリティ(仮想現実)を利用したシステムにおいて,仮想空間を表示する際に,ディスプレイに替えてHMD(Head Mounted Displayの略)をもちいること。」

イ 周知技術
(ア)本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である,米国特許第8704758号明細書(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

「TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
This invention relates to the general area of human/electronic device interface devices and more particularly to the detection and interpretation of finger touches and touch points on gloves or other garments worn on the body to interpret the actions and intent of the wearer.」(第1欄14行乃至20行)
(当審訳:発明の技術分野
本発明は,人間/電子デバイスインターフェースデバイスの一般分野に関し,より詳細には,着用者の行動および意図を解釈するために身体に装着された手袋または他の衣服の指タッチおよびタッチポイントの検出および解釈に関する。)

「The invention disclosed in the incorporated U.S. Pat. No. 7,498,956 uses a variety of touch points, or contacts, integrated into a glove. Some of these touch points are located at predefined positions along each of the user's fingers. Other contacts on the user's thumb can be manipulated through simple hand gestures to make or break connections with various contacts or combinations of contacts on the fingers, thus allowing the user's hand actions to be decoded electronically and used to input data or to control equipment. This decoding can be done in a variety of ways, for example by using a “row and column” scanning technique. For illumination, one simple form of this device could be to predefine combinations of thumb sensing contacts to finger touch point combinations as unique button presses as on a key board, therefore allowing the glove to interact with a computer in lieu of a regular keyboard.
Extensions to this concept include placing more sensing pads on the palm, on other areas of the glove or on other parts of other garments that are integrated into a larger system.
In the invention disclosed in U.S. Pat. No. 7,498,956, each of the touch points on the fingers are located at discrete locations and are fixed in location and size. Different users of the glove may prefer the touch points to be located in different locations or to have different sizes due to physiological differences, due to ergonomic considerations, due to personal preference, or for other reasons. In addition, different touch point sizes and locations may be desirable for different applications of the glove. Fixed touch points such as in the invention disclosed in U.S. Pat. No. 7,498,956 give an inflexible layout of touch points and may limit that adaptability of the glove to different users.
In the invention disclosed in U.S. Pat. No. 7,498,956, each touch point on the fingers has a separate conductor that carries a signal between the touch point and interface circuitry. For the case of a glove with many touch points, this may result in a complicated glove construction with many conductors and many connections to the interface circuitry.」(第1欄55行乃至第2欄24行)
(当審訳:米国特許第7498956号に開示された発明では,手袋に一体化された,様々なタッチポイントもしくは接触を使用する。これらのタッチポイントの一部は,ユーザの指に沿って所定の位置に配置される。ユーザの親指上の他の接触は,簡単な手のジェスチャーで操作して,指に設けられたさまざまな接触もしくは接触の組み合わせの接続を行ったり解除することにより,ユーザの手の動作を電子的にデコードし,データ入力もしくは装置を制御することに使用する。このデコードは,例えば「行と列」の走査技術を使用するなど,様々な方法で実行する。照明のための,この装置の単純な形式の一例は,指のタッチポイントと親指のタッチポイントの組み合わせを事前に定義することにより,キーボード上の独自のボタンを押すこととすることができ,それによって,通常のキーボードに代えて,手袋がコンピュータと相互作用することができる。
この概念を拡張することには,手のひら,手袋の他の部分,またはより大きシステムに一体化された他の衣類の他の部分に,より多くの感知パッドを配置することが含まれる。
米国特許第7498956号に開示された発明では,指の各タッチポイントは別々の場所に配置され,位置およびサイズが固定されている。手袋の様々なユーザは,生理学的な違い,人間工学的な考慮事項,個人的な好み,またはその他の理由により,タッチポイントを様々な場所に配置したり,様々なサイズにしたりすることを好むであろう。さらに,手袋の様々な用途により,様々なタッチポイントのサイズと場所が望ましい場合がある。米国特許第7498956号に開示された発明では,タッチポイントの柔軟性のないレイアウトを提供し,異なるユーザへの手袋の適合性を制限する。
米国特許第7498956号に開示された発明では,指の上にある各タッチポイントは,タッチポイントとインターフェース回路との間で信号を伝える個別の配線を有している。これは,多くのタッチポイントを備えた手袋の場合,多くの配線とインターフェース回路への多くの接続を備えた,複雑な手袋構造をもたらす。)

「A sensing contact 14 is also connected through an electrical signal return 16 to the excitation and scanning and analogue signal readout module 13, optionally through a signal conditioning circuit circuit 15. The end of the signal return 16 acts as the sensing contact 14 which may be placed into contact with the resistive loop 10 at a position between the distal ends of the resistive loop, notionally at the position indicated as 17. The signal detected by the sensing contact 14, either directly through 16 or through the optional signal conditioning circuit 15, is applied to an analogue to digital converter circuit 18 which is contained within the excitation scanning and analogue signal readout module 13. In the case of simple differential voltage excitation, the relative voltage measured along the length of the resistive loop is a function of the position along the loop. In this case, this is akin to the well known voltage divider potentiometer configuration. A high resistance value pull-up resistor 62 acts to place a high voltage signal on the signal return 16 if the sensing contact 14 is not contacting the resistive loop so that the signal conditioning circuit 15 returns a very high or very low signal level to the analogue to digital converter 18 in the absence of a touch. This makes it possible to distinguish a non-contact condition, which gives a very high voltage on the signal return 16, from a contact condition, which gives an intermediate voltage on the signal return 16. Alternately, a pull-down resistor could be used to place a very low voltage on the signal return 16. Other methods are well known in the art that could be used to distinguish a non-contact condition from a contact condition. Furthermore, as indicated in FIG. 10A for sources 11′ and 12′, the drive sources can be located either on the same garment as the sensing contact 14, or on another garment or elsewhere without departing from the scope of the present disclosure.」(第10欄36行乃至67行)
(当審訳:検知接点14は,電気信号の帰路16を介して,励起走査およびアナログ信号読み出し部13に,オプションで信号調整回路15を介して,接続される。電気信号の帰路16の端は,抵抗ループの遠位端との間の位置,概念的に17で示される位置で抵抗ループ10と接触するように配置され,検知接点14として作用する。検知接点14によって検出された信号は,直接的に16を介して,またはオプションの信号調整回路15介して,励起走査およびアナログ信号読み出し部13内に含まれるアナログ/デジタル変換回路18に印可される。単純な差動電圧励起の場合,ループの長さに沿って測定された相対電圧は,ループの位置に沿った関数である。この場合,これは,周知の電圧分圧器であるポテンショメータの構成に似ている。検知接点14が抵抗性のループに接触していない場合,高抵抗のプルアップ抵抗62は,信号調整回路15が高電圧信号を電気信号の帰路16に配置するように機能し,接触がない場合,非常に高いまたは非常に低い信号レベルをA/Dコンバータ18に返す。これは,中間の電圧を与える電気信号の帰路16に接触した状態から,非常に高い電圧を信号の帰路16に与える接触しない状態を区別することを可能にする。あるいは,プルダウン抵抗を使用して,電気信号の帰路16に非常に低い電圧を与えることができる。非接触状態と接触状態を区別するために使用できる他の方法は,当技術分野で周知である。さらに,図10Aの信号源11’および12’に対して示されるように,本開示の範囲から逸脱することなく,駆動源は,検知接点14と同じ衣服もしくは他の衣服または他の場所に配置することができる。)

「FIG. 10 shows a simple glove implementation of the invention described above. In this figure, the glove garment 69, has a single resistive loop routed along the index finger 71 which is electrically connected to the signal processing circuit 26. The sensing contact 14 is mounted on the tip of the glove thumb 70. Data interpreted from thumb tip sensing contact touches to the resistive loop on the index finger is sent to the target computing system through communication channel 24 and power is provide through 25 which are shown in the figure as being combined into one physical cable connection.」(第11欄44行乃至53行)
(当審訳:図10は,上述した発明の簡単な手袋の実施態様を示す。この図では,手袋69は,信号処理回路26に電気的に接続された,人差し指に沿って配線された単一の抵抗ループを有する。検知接点14は手袋の親指70の先端に取り付けられる。人差し指の抵抗ループへの親指の先端の接触から解釈されるデータは,通信チャネル24を介してターゲットコンピューティングシステムに送信され,電力は,図示の1つの物理ケーブル接続の形に結合される25を介して供給される。)

「In FIGS. 9A1 through 9B2, various possible techniques to produce pads, or other regions that make it easier for the user to target a contact region on the resistive loop 10, are shown. These regions can be created using broadened regions of the resistive loop as with 50 and 51; by including dead-end branches as in 52, 53, 54, 55 and 56; by creating zig-zag or serpentine regions of the loop as in 57 and 58; or by using recombining branches in the overall loop path as in 59 or 60.」(第14欄15行乃至22行)
(当審訳:図9A1から図9B2までは,ユーザが抵抗性のループ10上の接触領域を容易に標的に定めるためにパッドまたは他の領域を作るための種々の可能な技術が示されている。これらの領域は,50および51と同様に抵抗性のループの幅の広い領域を使用して,52,53,54,55および56のような抵抗性のループの行き止まりの分岐を含むことにより,57および58のようにループに作成されたジグザグ又は蛇行した領域により,もしくは,59および60のように環状経路全体で分岐の再結合を利用して,作成される。)


FIG.10には,手袋の親指70の先端に取り付けられた検知接点14は,幅の広い領域として形成されていると認められる。

(イ)上記記載から,引用文献2には,以下の事項(以下,「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

「手袋69であって,
多くのタッチポイントを備えた手袋69において,複雑な手袋構造をもたらさないために,周知の電圧分圧器であるポテンショメータに似た構成を採用し,
ユーザが抵抗性のループ10上の接触領域を容易に標的に定めるために,幅の広い領域を使用し,パッドまたは他の領域を作ることができ,
手袋の親指70の先端に取り付けられた幅の広い領域である検知接点14と,
人差し指に沿って配線された単一の抵抗性のループ10を有し,
検知接点14が抵抗性のループ10に接触していない場合,高抵抗のプルアップ抵抗62により,高い電圧を電気信号の帰路16に与え,
検知接点14が抵抗性のループ10に接触した場合,中間の電圧を電気信号の帰路16に与え,
中間の電圧は,抵抗性のループ10の位置に沿った関数であることにより,
身体に装着された手袋の指タッチおよびタッチポイントの検出および解釈をすること。」

(ウ)本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である,特表2013-546057号公報(以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに,次の記載がある。

「【0002】
本発明は、電子機器を制御するために使用することができるグローブ、およびそのための方法に関する。」

「【0010】
図1および図2は、本発明と共に使用することができる電子的グローブユニットの、それぞれ前面図および背面図である。グローブ101は、ユーザの手の任意の部分または全てを覆うために使用することができる道具である。その布地は、これらに限定されないが、牛革、カンガルー、バイソン、豚皮、鹿皮、ワニ等が含まれるが、これらに限定されない、革のために使用可能な任意の獣皮からの革;羊毛、コットン、レーヨン、絹、竹、リネン、ゴム、ラテックス等の天然繊維;アセテート、アクリル樹脂、炭素繊維、KEVLAR、ネオプレン、ナイロン、ポリエステル、マイクロファイバ、PVC、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ニトリル、合成ゴム、ビニール等の合成材料;TEMPER-BLOC、COOL-GRTP、SILA-CHLOR、もしくはPROTEX等の耐熱材料;GORETEX等の防水材料;またはそれらの任意の組合せから作ることができる。グローブは、任意の材料で完全に裏を付けることができる、または部分的に裏を付けることができ、そのような材料には、これらに限定されないが、牛革、カンガルー、バイソン、豚皮、鹿皮、ワニ等が含まれるが、これらに限定されない、革のために使用することができる任意の獣皮からの革;羊毛、コットン、レーヨン、絹、竹、リネン、ゴム、ラテックス等の天然繊維;アセテート、アクリル樹脂、COOL-MAX、ネオプレン、ナイロン、ポリエステル;マイクロファイバ、PVC、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリウレタン、ニトリル、合成ゴム、ビニール等の合成材料;耐熱材料;GORETEX等の防水材料;等、またはそれらの任意の組合せが含まれる。あるいは、グローブは、任意の材料で絶縁することができ、そのような材料には、これらに限定されないが、羊毛、コットン、アセテート、アクリル樹脂、レーヨン、絹、ネオプレン、ナイロン、ポリエステル、THINSULATE、竹、リネン、マイクロファイバ、PVC、ポリプロピレン、ポリウレタン、動物の毛皮等、またはそれらの任意の組合せが含まれる。導電パッド102は、各指105のいくつかの位置に設置され、糸、インク、塗料、配線材料等の任意の導電材料であってもよい。親指セレクターパッド103は、グローブ101の親指104上にあり、指に接触すると、センサ102が回路を閉じ、所望の機能を実行する。異なる指センサの接触により、予め決められた異なる結果を生成することが可能である。」

「【0013】
図1および図2に示す機器は、各手に9個のセンサ102を含み、すなわち、各指105に対して2個のセンサ102、および親指104に対して1個のセンサ103を含む。しかしながら、機器は、指105もしくは手のひら110に沿って2個のセンサ、3個のセンサ、4個のセンサ(各指に少なくとも1個)、8個のセンサ、16個のセンサ、もしくはそれらの組合せ、または追加のセンサを含むことができ、各センサに対して別々の触覚入力を提供することを可能にする分解能を有し、あるいは、1本または複数の指105がいずれのセンサも含まなくてもよいが、少なくとも1本の指が1つのセンサを有することを理解すべきである。本発明は、親指104の先、グローブ101の位置、または別々の位置にセレクター103を含み、それによりセンサ102をユーザによって作動することができる。各指導電センサはまた、具体的には、ユーザによって定義可能、または製造者によって予めプログラムすることができる。」

「【0015】
ユーザは、親指セレクター103を所定の指センサ102に接触して、回路を閉じることができ、次いで、電力を機器に印加し、特定の機能を実行することができる。オン・オフするスイッチが含まれ、スイッチの一実施形態が108で示されるが、ユーザが容易にアクセス可能なグローブまたは制御ユニットの任意の場所に配置することができる。ユーザは、所定の指センサ102を親指103に接触することによって制御されることが期待される、自動的に検出された無線機器から選択することができる。電子的制御グローブが作動した後、遠隔機器、グローブ、および取り付けられた制御ユニットは、その期待された動作を実行するはずである。便宜上、ユーザは、取り外し可能制御ユニットを取り除いて、普通のグローブとして使用してもよい。」

(エ)上記記載から,引用文献3には,以下の事項(以下,「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

「電子機器を制御するために使用することができるグローブであって,
導電材料からなる導電パッド102を,各指105のいくつかの位置に設置し,
親指の先の導電パッド(親指セレクターパッド103)と他の指の導電パッド102が接触することにより,回路を閉じ,特定の機能を実行すること。」

(オ)引用文献2記載事項及び引用文献3記載事項から,以下の事項は周知技術(以下。「周知技術1」という。)であるといえる。

「電子機器を制御するために使用することができる手袋であって,
親指の先と他の指の接触を検知するために,
親指の先と他の指に導電性パッドを設置すること。」

(3)引用発明との対比
本件補正発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「データ入力用グローブ1」及び「コンピュータ2」は,それぞれ本件補正発明1の「手袋インタフェースオブジェクト」及び「コンピューティングデバイス」に相当する。
イ 引用発明の,各指に対応するように装着された「各指の曲がり具合を検出するための検出器10」は,「使用者の左手の動き(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を計測して,この計測した値をコンピュータ2に入力可能な数値データに変換し」ており,この「コンピュータ2に入力可能な数値データ」は「屈曲センサデータ」といえるから,引用発明の「各指の曲がり具合を検出するための検出器10」は,本件補正発明1の「少なくとも1つの指部分の屈曲を識別する屈曲センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの屈曲センサ」に相当する。
ウ 引用発明の「指先同士の接触も検出するために,指先の各発信コイル23a?23eと略同じ位置に受信コイル28a?28eを設け,各指の指先に設けられた受信コイル28a?28eが他の指の指先に設けられたどの発信コイル23b?23eの周波数fa?fnを受信したかによって,どの指同士が接触したかを検知する接触検知手段」において,「接触検知手段」によりどの指同士が接触したかの検知は,引用発明の「データ入力用グローブ1は使用者の左手の動き(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を計測して,この計測した値をコンピュータ2に入力可能な数値データに変換」することの「コンピュータ2に入力可能な数値データ」に含まれることは自明と認められるから,「接触検知手段」による「コンピュータ2に入力可能な数値データ」は,本件補正発明1の「接触覚センサデータ」に相当し,また,引用発明の「各指の指先」及び「他の指の指先」は,それぞれ本件補正発明1の「第1の部分」及び「第2の部分」に相当する。
そうすると,引用発明の「指先同士の接触も検出するために,指先の各発信コイル23a?23eと略同じ位置に受信コイル28a?28eを設け,各指の指先に設けられた受信コイル28a?28eが他の指の指先に設けられたどの発信コイル23b?23eの周波数fa?fnを受信したかによって,どの指同士が接触したかを検知する接触検知手段」と,本件補正発明1の「前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分に画定された第1の導電性パッドと前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分に画定された第2の導電性パッドとの間の接触を識別する接触覚センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの接触覚センサ」は,前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分との間の接触を識別する接触覚センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの接触覚センサである点で共通する。
エ 引用発明の「ディスプレイ3に,仮想対象物を含めた仮想空間を表示し,使用者はディスプレイ3により仮想空間を視覚できるようになっており,このようなバーチャルリアリティシステムにおいて,使用者はデータ入力用グローブ1を装着した状態で左手の各指を動かすと,データ入力用グローブ1は使用者の左手の動き(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を計測して,この計測した値をコンピュータ2に入力可能な数値データに変換し,コンピュータ2はデータ入力用グローブ1から得られる前記数値データを解析し,ディスプレイ3の画面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動かしながら表示」することの,「コンピュータ2はデータ入力用グローブ1から得られる前記数値データを解析し,ディスプレイ3の画面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動かしながら表示」するために,「コンピュータ2」が「データ入力用グローブ1」の指位置ポーズを判定する処理を行う必要があることは明らかである。そして,そのために「データ入力用グローブ1」が計測した「コンピュータ2に入力可能な数値データ」を,「信号伝送手段4」で,「データ入力用グローブ1」と「コンピュータ2」の間で送受信するために,「データ入力用グローブ1」に通信手段(本件補正発明1の「通信モジュール」に相当する。)を備えることも,当業者にとって自明である。
そうすると,引用発明は,本件補正発明の「前記手袋インタフェースオブジェクトの指位置ポーズを判定する処理のためのコンピューティングデバイスに前記屈曲センサデータ及び前記接触覚センサデータを伝送するように構成される通信モジュール」と同様の「通信モジュール」を備えていると認められる。
オ 引用発明の「ディスプレイ3に,仮想対象物を含めた仮想空間を表示し,使用者はディスプレイ3により仮想空間を視覚できるようになっており,このようなバーチャルリアリティシステムにおいて,使用者はデータ入力用グローブ1を装着した状態で左手の各指を動かすと,データ入力用グローブ1は使用者の左手の動き(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を計測して,この計測した値をコンピュータ2に入力可能な数値データに変換し,コンピュータ2はデータ入力用グローブ1から得られる前記数値データを解析し,ディスプレイ3の画面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動かしながら表示」することの,「コンピュータ2はデータ入力用グローブ1から得られる前記数値データを解析し,ディスプレイ3の画面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動かしながら表示」することと,本件補正発明1の「前記指位置ポーズがヘッドマウントディスプレイ(HMD)上の仮想環境のビューに仮想手をレンダリングするために適用され、前記仮想手が前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングされる」ことは,前記指位置ポーズが表示手段上の仮想環境のビューに仮想手をレンダリングするために適用され、前記仮想手が前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングされる点で共通する。
カ 引用発明の「指先にかかる圧力の強さを検出する圧力検出機構」において,「圧力検出機構」により検出された「接触時にかかる圧力の強さ」は,引用発明の「データ入力用グローブ1は使用者の左手の動き(各指の動き)に合わせて各指の曲がり具合等の変化を計測して,この計測した値をコンピュータ2に入力可能な数値データに変換」することの「コンピュータ2に入力可能な数値データ」に含まれることは自明と認められるから,「圧力検出機構」による「コンピュータ2に入力可能な数値データ」は,本件補正発明1の「圧力センサデータ」に相当する。
そうすると,引用発明の「指先などの接触状態と共に接触時にかかる圧力の強さを検出」する「指先の接触位置を検出する接触検知手段とは独立に構成した」「指先にかかる圧力の強さを検出する圧力検出機構」は,本件補正発明の「前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる圧力を識別する圧力センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの圧力センサ」に相当する。
キ 引用発明の「圧力検出機構」は,「該検出した接触時にかかる圧力の強さを,適宜の制御信号,例えば仮想対象物又は仮想環境からの反力を付加するための制御信号として用い」ているから,この「制御信号」は,「データ入力用グローブ1から得られる前記数値データを解析し,ディスプレイ3の画面X上に表示されている仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動かしながら表示」する「コンピュータ2」に「コンピュータ2に入力可能な数値データ」として送られていることは自明と認められる。
そうすると,引用発明の「データ入力用グローブ1」に備えられた通信手段は,本件補正発明1の「前記指位置ポーズを判定する処理のための前記コンピューティングデバイスに前記圧力センサデータを送信するように構成され」た「前記通信モジュール」に相当する。
ク 引用発明の「圧力検出機構」は,「指先などの接触状態と共に接触時にかかる圧力の強さを検出し,該検出した接触時にかかる圧力の強さを,適宜の制御信号,例えば仮想対象物又は仮想環境からの反力を付加するための制御信号として用い」ているから,「圧力検出機構」により検出された「接触時にかかる圧力の強さ」を含む「コンピュータ2に入力可能な数値データ」は,「制御信号」とされていると認められる。
そして,「制御信号」は,コンピュータで処理可能な信号,すなわち定量化されたもの(信号)であるから,この「圧力検出機構」により検出された「接触時にかかる圧力の強さ」を含む「コンピュータ2に入力可能な数値データ」を「制御信号」とすることは,本件補正発明1の「前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる力の量を定量化」することに相当する。
また,引用発明の「仮想対象物又は仮想環境からの反力」は,「接触時にかかる圧力の強さ」に応じて,「仮想空間内の手(各指)を実際に行われた使用者の手の動き(各指の動き)にあわせて動か」す際の反力(抵抗)となるものであるから,この「反力」は,本件補正発明1の「前記仮想環境のために定義される行為のレベル」に相当する。
そうすると,引用発明は,本件補正発明1の「前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる力の量を定量化し、前記定量化された力の量が、前記仮想環境のために定義される行為のレベルを定義する」と同様の動作を行っていると認められる。

ケ 以上のことから,本件補正発明1と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。

[一致点]
「手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの指部分の屈曲を識別する屈曲センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの屈曲センサを備え、
前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分と前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分との間の接触を識別する接触覚センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの接触覚センサを備え、
前記手袋インタフェースオブジェクトの指位置ポーズを判定する処理のためのコンピューティングデバイスに前記屈曲センサデータ及び前記接触覚センサデータを伝送するように構成される通信モジュールであって、前記指位置ポーズが表示手段上の仮想環境のビューに仮想手をレンダリングするために適用され、前記仮想手が前記識別された指位置ポーズに基づいてレンダリングされる通信モジュールを備え、
前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる圧力を識別する圧力センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの圧力センサを備え、
前記通信モジュールが、前記指位置ポーズを判定する処理のための前記コンピューティングデバイスに前記圧力センサデータを送信するように構成され、
前記圧力センサデータが、前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも一部に加えられる力の量を定量化し、
前記定量化された力の量が、前記仮想環境のために定義される行為のレベルを定義する、
手袋インタフェースオブジェクト。」

[相違点1]
「接触覚センサ」について,本件補正発明1は「前記手袋インタフェースオブジェクトの第1の部分に画定された第1の導電性パッドと前記手袋インタフェースオブジェクトの第2の部分に画定された第2の導電性パッドとの間の接触を識別する接触覚センサデータを生成するように構成される少なくとも1つの接触覚センサ」であって,「前記接触覚センサデータは前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間の接触によりトリガされる検知信号に応答して生成され、前記接触覚センサデータは、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分の指先部分との間の接触を識別するデータを含み、前記第1の導電性パッドは前記第2の導電性パッドの電位と異なる電位を有し」ているのに対して,引用発明は,「第1の部分」及び「第2の部分」に「画定された第1の導電性パッド」及び「画定された第2の導電性パッド」を備えておらず,また,そのために,「前記接触覚センサデータは前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間の接触によりトリガされる検知信号に応答して生成され、前記接触覚センサデータは、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分の指先部分との間の接触を識別するデータを含み、前記第1の導電性パッドは前記第2の導電性パッドの電位と異なる電位を有し」ていない点。

[相違点2]
「表示手段」について,本件補正発明が「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」であるのに対して,引用発明が「ディスプレイ3」である点。

(4)判断
以下,各相違点について検討する。
ア [相違点1]について
周知技術1にあるように,手袋の親指の先と他の指との接触を検知するために,親指の先と他の指に導電性パッドを設けることは周知の技術であるから,引用発明の指先に発信コイルと受信コイルを設けることに換えて,周知技術1を適用し,親指の先と他の指に導電性パッドを設け,導電性パッドの接触により指同士が接触したかを検知するようにすることは,当業者が容易に想到することである。
その際,親指の先に設けられた導電性パッドの電圧と,他の指に設けられた導電性パッドの電位は,その接触を検知するために異なる電圧となることは,例えば,引用文献2記載事項にあるように,親指の先が他の指と接触していない場合,高抵抗のプルアップ抵抗により高い電圧となり,また,高い電圧であった親指の先が,親指の先と他の指が接触した場合に中間の電圧となることからも明らかである。
そして,引用発明に周知技術1を適用し,親指の先と他の指の接触を検知した際に,引用発明の「コンピュータ2に入力可能な数値データ」を,本件補正発明1の「前記接触覚センサデータは前記第1の導電性パッドと前記第2の導電性パッドとの間の接触によりトリガされる検知信号に応答して生成され、前記接触覚センサデータは、前記第1の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの親指部分と前記第2の導電性パッドが画定された前記手袋インタフェースオブジェクトの少なくとも1つの他の指部分の指先部分との間の接触を識別するデータ」と同様のデータとなることも明らかである。
そうすると,引用発明に周知技術1を採用し,[相違点1]に係る構成とすることは,当業者が容易になし得ることである。

イ [相違点2]について
引用文献1記載事項にあるように「手袋型入力装置を用いたバーチャルリアリティ(仮想現実)を利用したシステムにおいて,仮想空間を表示する際に,ディスプレイに替えてHMD(Head Mounted Displayの略)をもちいること。」は,公知の技術であるから,引用発明の仮想空間を表示するものを「ディスプレイ3」から「HMD」とし,[相違点2]に係る構成とすることは,当業者が適宜なし得ることである。

ウ そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明1の奏する作用効果は,引用発明及び引用文献1ないし3に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものとはいうことはできない。

エ したがって,本件補正発明1は,引用発明及び引用文献1ないし3に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年9月5日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成30年4月9日にされた手続補正により補正された請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1ないし24に係る発明は,本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:特開2003-15810号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は,前記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明1から,上記[相違点1]に係る限定事項を削除したものであるから,本願発明と引用発明とは,上記[相違点2]の点で相違し,その余の点で一致する。
そして,前記第2の[理由]2(4)イで検討したように,引用発明に引用文献1記載事項を採用し,[相違点2]に係る構成とすることは,当業者が容易になし得ることであるから,本願発明は,引用発明及び引用文献1に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-12-09 
結審通知日 2019-12-10 
審決日 2019-12-24 
出願番号 特願2017-510502(P2017-510502)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 滝谷 亮一萩島 豪  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 白井 亮
小田 浩
発明の名称 手袋インタフェースオブジェクト  
代理人 鈴木 正剛  
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