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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1360022
審判番号 不服2018-16102  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-04 
確定日 2020-02-20 
事件の表示 特願2016-198440「ビデオゲーム処理システム、およびビデオゲーム処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-215077〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月29日に出願した特願2012-77021号(以下、「原々出願」という。)の一部を、平成26年3月10日に出願した特願2014-45935号の一部を、平成28年10月6日に特願2016-198440号として出願したものである。
そして、平成29年11月15日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年3月26日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年8月29日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して同年12月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年12月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年12月4日にされた手続補正(以下、本件補正という。)を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「【請求項1】
複数のゲーム端末と、ゲームサーバとを備え、前記複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、
前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤが開始した前記ビデオゲームに参加させる手段と、
前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段を参照して、当該他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記プレイヤの操作を要求することなく前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる
ことを特徴とするビデオゲーム処理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、他プレイヤの参加状況が所定条件を満たす場合、前記ノンプレイキャラクタを参加させない
請求項1記載のビデオゲーム処理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、所定数の他プレイヤが参加する場合、前記ノンプレイキャラクタを参加させない
請求項1記載のビデオゲーム処理システム。
【請求項4】
前記ビデオゲームには最低必要数が対応付けされており、
前記制御手段は、前記プレイヤが操作するキャラクタと前記他プレイヤが操作するキャラクタとの数が、前記最低必要数を満たす場合には前記ノンプレイキャラクタを参加させず、前記最低必要数を満たさない場合には前記ノンプレイキャラクタを参加させる
請求項1記載のビデオゲーム処理システム。
【請求項5】
複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲームの進行を制御する機能を、前記複数のゲーム端末と、ゲームサーバとを備えるビデオゲーム処理システムに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ビデオゲーム処理システムに、
前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤが開始した前記ビデオゲームに参加させる機能と、
前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段を参照して、当該他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる制御機能とを実現させ、
前記制御機能では、前記ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記プレイヤの操作を要求することなく前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。
【請求項6】
請求項1記載のビデオゲーム処理システムが備える前記ゲーム端末にインストールされるビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ゲーム端末に、
前記対戦ゲームの進行に応じたゲーム画面を出力する出力機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成30年3月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
複数のゲーム端末と、ゲームサーバとを備え、前記複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、
前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤと前記ビデオゲームに参加させる手段と、
前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段を参照して、当該他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記プレイヤの操作を要求することなく前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる
ことを特徴とするビデオゲーム処理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、他プレイヤの参加状況が所定条件を満たす場合、前記ノンプレイキャラクタを参加させない
請求項1記載のビデオゲーム処理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、所定数の他プレイヤが参加する場合、前記ノンプレイキャラクタを参加させない
請求項1記載のビデオゲーム処理システム。
【請求項4】
前記ビデオゲームには最低必要数が対応付けされており、
前記制御手段は、前記プレイヤが操作するキャラクタと前記他プレイヤが操作するキャラクタとの数が、前記最低必要数を満たす場合には前記ノンプレイキャラクタを参加させず、前記最低必要数を満たさない場合には前記ノンプレイキャラクタを参加させる
請求項1記載のビデオゲーム処理システム。
【請求項5】
複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲームの進行を制御する機能を、前記複数のゲーム端末と、ゲームサーバとを備えるビデオゲーム処理システムに実現させるためのビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ビデオゲーム処理システムに、
前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤと前記ビデオゲームに参加させる機能と、
前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段を参照して、当該他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる制御機能とを実現させ、
前記制御機能では、前記ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記プレイヤの操作を要求することなく前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。
【請求項6】
請求項1記載のビデオゲーム処理システムが備える前記ゲーム端末にインストールされるビデオゲーム処理プログラムであって、
前記ゲーム端末に、
前記対戦ゲームの進行に応じたゲーム画面を出力する出力機能を
実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。」

2 本件補正の目的について
本件補正により、本件補正前の請求項1における「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤと前記ビデオゲームに参加させる手段」が、本件補正後に「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤが開始した前記ビデオゲームに参加させる手段」とされた。これにより、本件補正前には、当該手段が、「他プレイヤ」を「前記プレイヤ」と「前記ビデオゲーム」に参加させることが特定されていたのに対して、本件補正後には、当該手段が、「他プレイヤ」を「前記プレイヤが開始した」「前記ビデオゲーム」に参加させることが特定されることになった。
すなわち、本件補正前には、当該手段が、「前記ビデオゲーム」に参加させるプレイヤを「他プレイヤ」と「前記プレイヤ」と規定するものであったのに対し、本件補正後には、当該手段が、「他プレイヤ」を参加させる「前記ビデオゲーム」を「前記プレイヤが開始した前記ビデオゲーム」と規定するものに、実質的に変更されたものである。
また、その点をさし措いたとしても、本件補正前には、「他プレイヤ」が参加する「前記ビデオゲーム」が、「前記プレイヤ」が参加する「前記ビデオゲーム」であることが特定されていたのに対して、本件補正後には、「他プレイヤ」が参加する「前記ビデオゲーム」は「前記プレイヤが開始した」ものであることが特定されるにとどまり、「前記プレイヤ」が参加することは特定されていないこととなる。
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に既定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものではないというべきである。
また、本件補正が、誤記の訂正や明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当しないことも明らかである。
してみると、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反してされたものというほかないから、同法第159条第1項において読み替えて適用される同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3 独立特許要件についての検討
上記2のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当するものではないものの、自らが開始したビデオゲームに自らがプレイヤとして参加することは、ビデオゲームの技術分野において通常行われることに鑑み、本件補正後の「プレイヤが開始した前記ビデオゲーム」に「前記プレイヤ」が参加すると仮定すると、本件補正は、本件補正前の「前記ビデオゲーム」が、「前記プレイヤが開始した」ものであることを限定をしたものであり、補正の目的がいわゆる限定的減縮に該当するものと考えられるから、念のため、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、本件補正発明という)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。)

(1)本件補正発明
本件補正発明は、以下のとおりのものである。(下線部は、補正箇所である。)

「複数のゲーム端末と、ゲームサーバとを備え、前記複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、
前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤが開始した前記ビデオゲームに参加させる手段と、
前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段を参照して、当該他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記プレイヤの操作を要求することなく前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる
ことを特徴とするビデオゲーム処理システム。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由の引用文献1として引用され、本願の原々出願の出願日前である2012年1月26日に頒布された刊行物である特開2012-16523号公報(以下、「引用例」とする。)には、次の事項が記載されている。
(下線は、当審で付加した。以下同じ。)

(ア)「【0002】
データ通信を利用したビデオゲームのジャンルの一つに、マルチプレイ型ゲームがある(マルチプレーヤ型ゲームと呼ばれることもある)。マルチプレイ型ゲームでは、通常、複数のプレーヤが各々のゲーム装置をデータ通信可能に接続したオンライン状態にして、複数人が同時にゲームプレイをする。各プレーヤは、各々のプレーヤキャラクタを使って同じゲーム世界でゲーム世界の時間を共有してゲームプレイすることが可能であり、コンピュータ相手ではないリアルな協力プレイを楽しむことができることから人気を博している(例えば、特許文献1参照)。中には、グループを編成する際にNPCを参加させることができるものも知られるところである(例えば、非特許文献1参照)。」

(イ)「【0032】
尚、本実施形態では、携帯型ゲーム装置1400は必要なプログラムや各種設定データをメモリカード1440から読み出す構成としているが、主要なプログラムやデータを制御ユニット1450に搭載されているICメモリに予め記憶している構成とすることができる。或いは、無線通信モジュール1412を介して、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの有線/無線の通信回線1に接続して外部装置からダウンロードして取得する構成としても良い。
【0033】
[ゲーム概要の説明]
図2は、本実施形態におけるゲームプレイのスタイルとゲームの概要を説明するための概念図である。本実施形態では、互いに友人関係にある複数のプレーヤP1?P4がそれぞれ携帯型ゲーム装置1400(1400a)?1400(1400d)を使用する。各携帯型ゲーム装置1400(1400a)?1400(1400d)では、同じシステムプログラムとゲームプログラムとが実行されており、無線LANのアドホックモードによりデータ通信可能に接続される。
【0034】
そして、各プレーヤP1?P4は、事前にベースとなるキャラクタ(この図の例ではウサギ型キャラクタ)の外観や装備(アイテムを含む。備品の一例。)をカスタマイズし、各々のプレーヤキャラクタ2(2a?2d)として設定し、マルチプレイ型RPGを楽しむことができる(図中のゲーム画面W50参照)。
【0035】
本実施形態のマルチプレイ型RPGでは、4人1チームでプレイする。尚、チーム定員はゲーム内容等に応じて適宜変更しても良い。
チームには、実在するプレーヤP1?P4のプレーヤキャラク2(2a?2d)がチームに加入できるのは勿論、図3に示すように、ノーマルNPC3を加えることができる。
このノーマルNPC3は、予めゲーム製作者がデザインや装備を設定して用意してあるキャラクタである。ノーマルNPC3をチームに加入させることで、プレーヤの数がチーム定員に満たない場合でもマルチプレイ型RPGを楽しむことができる(ゲーム画面W52参照)。図の例では、携帯型ゲーム装置1400(1400a)で、操作入力に基づくプレーヤキャラクタ2(2a)の制御とノーマルNPC3の自動制御の両方の制御が行われる。
【0036】
ノーマルNPC3は、いつでも誰でも使用できるので大変重宝であるが、前述のようにゲーム製作者がデザインや装備を設定したキャラクタであり、ともすれば没個性的な印象を伴う。それ故、チーム定員を満たすための助っ人としての機能は十分であるが、友人同士4人揃ったときよりもチームとしての結束感がやや劣ってしまう。
【0037】
しかし、本実施形態では、図4に示すように、このノーマルNPC3とは別に、プレーヤが以前一緒にプレイしたプレーヤのプレーヤキャラクタの仕様を適用したアバターNPC5をチームに加えることができる。」

(ウ)「【0040】
[ゲーム開始までの手順の説明]
では、ゲーム開始までの手順に沿って、アバターの使用権の交換からアバターNPCをチームに参加させるまでの流れをより具体的に説明する。
・・・
【0044】
メニュー表示部12から「チーム作成」を選択操作すると、これからゲームプレイするための新たなチームを作成することができる。通常は、チームリーダとなるプレーヤが操作する。リーダ以外のメンバーとなるプレーヤは、メニュー表示部12から「チーム参加」を選択操作して、チームリーダが作成したチームに参加登録することができる。」

(エ)「【0058】
[機能ブロックの説明]
次に、本実施形態の機能構成について説明する。
図9は、携帯型ゲーム装置1400の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
携帯型ゲーム装置1400は、操作入力部100と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備える。
・・・
【0061】
処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100や記憶部500を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、携帯型ゲーム装置1400の動作を制御する。図1の制御ユニット1450が処理部200に該当する。
そして、本実施形態における処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備える。
【0062】
ゲーム演算部210は、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行する。
例えば、仮想3次元空間に背景物等のオブジェクトを配置してゲーム空間を形成する処理、ゲーム空間内にプレーヤキャラクタ2(2a?2d)やノーマルNPC3、アバターNPC5、敵NPCなどを配置して動作制御する処理、各キャラクタの動作制御の結果に基づくゲーム結果の算出処理、操作入力ログの記憶処理、チャット機能を実現する処理、キャラクタモデルに適用されるテクスチャの画像加工処理、タイマやカウンタの処理などを実現する。
より具体的には、ゲーム演算部210は、ロビー制御部212と、カスタマイズ制御部214と、アバターNPC使用権設定部216と、チーム編成制御部218と、ゲーム進行制御部220と、アバターNPC仕様更新部222とを含む。」

(オ)「【0076】
本実施形態では、記憶部500はシステムプログラム501と、ゲームプログラム502とを記憶している。システムプログラム501は、携帯型ゲーム装置1400にコンピュータとしての入出力の基本機能を実現させるためのプログラムである。ゲームプログラム502は、処理部200が読み出して実行することによってゲーム演算部210としての機能を実現させるためのアプリケーションソフトであるが、システムプログラム501の一部として組み込まれた構成であっても良い。
【0077】
また、記憶部500は、キャラクタ初期設定データ510と、アイテム設定データ512と、能力パラメータ標準値設定データ514と、ミッション一覧データ516と、ミッションデータ518とを予め記憶している。また、アカウントデータ520と、プレイデータ560とをゲームプレイに応じて生成・記憶する。その他、ゲーム実行に必要なタイマ値やカウント値、各種フラグなどの情報を適宜記憶する。
・・・
【0085】
アカウントデータ520は、プレーヤ及びプレーヤキャラクタ2の登録情報である。
例えば、図11に示すように、プレーヤ固有の識別情報であるアカウントID522と、ゲーム中で使用されるプレーヤ及びプレーヤキャラクタの呼び名であるハンドルネーム524と、プレーヤキャラクタ2を定義するオリジナルキャラクタ設定データ526と、使用権交換済のアバターNPC5の情報を格納するアバターNPC登録リスト544とを含む。
・・・
【0096】
アバターNPC登録リスト544は、図13に示すように、ハンドルネーム546と対応づけて、アバターNPC用キャラクタ設定データ548と、アバターNPC用行動パターンデータ550と、使用履歴552と、を格納する。
【0097】
ハンドルネーム546は、アバターNPC5の識別情報である。使用権を付与したプレーヤのプレーヤキャラクタ、つまりオリジナルキャラクタを識別する為の情報としても利用される。本実施形態では、ハンドルネームを利用するが、キャラクタIDやアカウント、IPアドレスなどプレーヤと使用するキャラクタとを識別できる情報であればその他のデータでも良い。」

(カ)「【0104】
[処理の流れの説明]
次に、携帯型ゲーム装置1400の処理の流れについて説明する。ここで説明する一連
の処理は、処理部200がシステムプログラム501を実行している環境下において、ゲームプログラム502を実行することによって実現される。尚、ゲーム画面の生成と表示制御、ゲーム音声の生成と放音制御については公知のビデオゲームと同様に実現されるものとして説明を省略する。また、各プレーヤP1?P4は既に友人関係にあり、プレーヤP2のみが欠席で、残った3人が全員ゲームに参加するものとする。また、各プレーヤは、各々アカウント登録し、各人がプレーヤキャラクタ2a?2dを有しているものとする。
【0105】
図15?図16は、主たる処理の流れを説明するためのフローチャートである。処理部200は、先ずアドホック接続処理を実行し、アドホックモードによるデータ通信を確立し(ステップS2)、ロビー画面W2を表示させる(ステップS4)。
・・・
【0112】
図15のフローチャートに戻って、処理部200は次に、ロビー画面W2において「チーム作成」操作が為されたかを判定する。本実施形態では、ロビー画面W2のメニュー表示部12の「チーム作成」が選択操作されたかを判定する。通常は、チームリーダとなるプレーヤがこの操作を行うこととなる。
【0113】
「チーム作成」の選択操作が検出されたならば(ステップS40のYES)、処理部200は新規チーム作成処理を実行する(ステップS42)。
この新規チーム作成処理では、処理部200はチーム編成画面W8を表示させる(図7参照)。そして、新たにチーム編成データ562を生成し、登録順第1番に自プレーヤキャラクタ2を登録する。また、チーム編成画面W8にてミッション表示部22が選択操作された場合には、ミッション選択画面W10に切り換え、同画面における操作入力に応じてミッションを選択・決定する。これで、新規にチームを作成し、チームメンバーの参加受付が可能となる。
【0114】
そして、新規にチームを作成したならば、処理部200はそのチーム編成データ562を、アドホックモードで接続している他の携帯型ゲーム装置1400へ配信し(ステップS44)、チーム編成処理を実行する(ステップS46)。
【0115】
一方、チームメンバーの携帯型ゲーム装置1400(1400c?1400d)では、チームリーダ機となる携帯型ゲーム装置1400(1400a)から配信された新規のチーム編成データを受信すると(ステップS48のYES)、これを各々のプレイデータ560に格納・記憶する(ステップS50)。
【0116】
そして、ロビー画面W2において「チーム参加」操作を検出したならば(ステップS52のYES)、処理部200はチーム参加申し込み画面の表示制御をする(ステップS54)。チーム参加申し込み画面は、例えば、チーム編成画面W8と同様のレイアウトを有するが、編成メニュー表示部24に換えて「参加する」「参加しない」の何れかを選択できる参加メニュー表示部を表示する。
そして、チーム参加申し込み画面において「参加する」操作が為されれば、処理部200はチームリーダ機へ参加リクエストを送信する(ステップS56)。
【0117】
図18は、チーム編成処理の流れを説明するためのフローチャートである。
同処理において、チームリーダ機の処理部200は、他の携帯型ゲーム装置1400(1400c?1400d)から参加リクエストの信号を受信すると(ステップS70のYES)、当該参加リクエストの送信元のプレーヤキャラクタ2をチームに追加する(ステップS72)。そして、メンバーの追加に伴い更新されたチーム編成データ562をアドホックモードで接続する他の携帯型ゲーム装置1400へ配信する(ステップS74)。他の携帯型ゲーム装置1400では、更新されたチーム編成データ562を受信し、自機の記憶部500に記憶されている同データを更新する。
【0118】
チームリーダ機の処理部200は、チーム定員に達していない状態で(ステップS76のYES)、チーム編成画面W8にて編成メニュー表示部24の「NPCをチームに参加させる」が選択操作されたならば(ステップS78のYES)、NPC選択画面W12を表示させる(ステップS80)。
【0119】
チームリーダ機のプレーヤP1は、同画面でノーマルNPC3又は使用権交換済のアバターNPC5から何れかを選択する。そして、同画面にてNPCの「選択確定」操作がなされ、その種類がアバターNPC5である場合(ステップS82の「アバターNPC」)、チームリーダ機の処理部200は参加判定処理を実行する(ステップS84)。
【0120】
図19は、本実施形態における参加判定処理の流れを説明するためのフローチャートである。同処理は、今回のアバターNPC5の選択が所定の参加適当条件を満たすか否かを
判定する処理である。
具体的には、チームリーダ機の処理部200は、先ず選択されたアバターNPC5のオリジナルキャラクタがロビー内又はチーム内に居るかを判定する。肯定の場合には(ステップS100のYES)、同じキャラクタが複数同時に存在するのは不自然と判断し、「参加不可」と判定し(ステップS110)、参加判定処理を終了する。
【0121】
また、選択されたアバターNPC5の成長レベルと、他のチームメンバー(例えば、チームリーダ、或いはアバターNPC5以外の全員)のプレーヤキャラクタ2の成長レベルとの差が基準値以上である場合には(ステップS102のYES)、チームメンバーの処理部200は、チーム内での能力バランスが不適当と判断する。例えば、チームメンバー内に、他とは極端に能力(レベルを含む)が高いNPCが居ると、そのNPCに頼りがちになり、ゲームバランスを崩すと判断する。また、反対に極端に能力(レベルを含む)が低いNPCでは足手まといになると判断する。よって、「参加不可」と判定し(ステップS110)、参加判定処理を終了する。
【0122】
また、アカウントデータ520のアバターNPC登録リスト544の使用履歴552を参照して、選択されたアバターNPC5の使用頻度が所定の上限を超過しているか判定する(ステップS104)。使用頻度の上限は、例えば1週間で3回、同一のミッションで2回など適宜設定することができる。そして、使用頻度の上限を超過していると判定した場合(ステップS104のYES)、チームリーダ機の処理部200は「参加不可」と判定し(ステップS110)、参加判定処理を終了する。
【0123】
そして、これらの条件の何れにも該当しなければ参加適当条件を満たすと見なし(ステップS104のNO)、「参加可能」と判定して(ステップS108)、参加判定処理を終了する。尚、参加適当条件はその他適宜設定することができるのは言うまでも無い。
【0124】
図18のフローチャートに戻って、参加判定処理において「参加不可」と判定された場合には(ステップS130のNO)、チームリーダ機の処理部200は当該アバターNPC5をチームには参加させられない旨を通知する表示を表示制御して(ステップS132)、ステップS70へ戻る。
【0125】
一方、参加判定処理において「参加可」と判定された場合には(ステップS130のYES)、チームリーダ機の処理部200は選択されているアバターNPC5の使用履歴552(図13参照)を更新し(ステップS134)、チームに参加させるための処理を実行する(ステップS136)。具体的には、チーム編成データ562の装置特定情報562b及びハンドルネーム562cにチームリーダ機の該当する情報を格納し、プレイ用キャラクタ設定データ562dにアバターNPC登録リスト544のアバターNPC用キャラクタ設定データ548の複製を格納する。
【0126】
そして、チーム編成画面W8にて「編成を確定」又は「編成を中止」の操作を検出したならば(ステップS138のYES;図7参照)、チームリーダ機の処理部200は次にアバターNPC能力補正処理を実行する(ステップS140)。」

(キ)「【0134】
図15のフローチャートに戻って、ロビー画面W2において「ミッション開始」操作を検出し(ステップS200のYES)、且つ確定されたチーム編成データ562が既に配信されている場合には(ステップS202のYES)、処理部200はミッションのプレイを開始する(ステップS204)。以下、所定の制御サイクル(画像表示部360のリフレッシュレートや操作感が損なわれない程度に十分短いサイクル;例えば1/60秒)でステップS206?S284)を繰り返し実行する。
【0135】
具体的は、ミッションのプレイが開始されたならば、処理部200は自機の操作入力部100からの操作入力情報を他の携帯型ゲーム装置1400へ配信し(ステップS206)、操作入力ログ564を更新する(ステップS208)。そして、同操作入力に応じて自キャラクタの動作を制御する(ステップS210)。
・・・
【0146】
チームリーダ機であるかメンバー機であるかに係わらず、他の携帯型ゲーム装置1400から操作入力情報を受信した場合には(ステップS270のYES)、処理部200は受信した操作入力情報に基づいて、ノーマルNPC3やアバターNPC5、敵NPC、発信元の携帯型ゲーム装置1400のプレーヤキャラクタの動作を制御する(ステップS272)。」

(ク)【0033】、【0062】及び【0076】に記載されるように、携帯型ゲーム装置1400(1400a)?1400(1400d)は、それぞれが、ゲームプログラムを実行することにより、プレーヤキャラクタ2(2a?2d)の動作制御等のマルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行しているが、携帯型ゲーム装置1400(1400a)?1400(1400d)のそれぞれは、データ通信可能に接続され(【0033】)、自機の操作入力情報を他機に送信するとともに、他機の操作入力情報を受信して、自機の処理部200で自他のキャラクタの動作を制御するもの(【0135】、【0146】)でもあるため、携帯型ゲーム装置1400(1400a)?1400(1400d)は、全体として、すなわち、複数の複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)から構成されるシステムとして、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行していると見做すことができる。してみれば、引用例には、「複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)を備え、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステム」が記載されているものと認められる。
他方、【0032】には、携帯型ゲーム装置1400が主要なプログラムやデータを外部装置からダウンロードして取得する構成であってもよいと記載され、ここで、主要なプログラムにマルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行をするためのゲームプログラムが含まれることは、明示されなくとも自明な事項であるから、引用例には、携帯型ゲーム装置1400が、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行をするためのゲームプログラムを、ダウンロードして取得するための外部装置が記載されているに等しい。
そうすると、引用例記載の、「複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)を備え、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステム」は、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するために「外部装置」からゲームプログラムをダウンロードして取得する必要があるという点で、「外部装置」も、当該システムにとって必要な構成であるといえる。したがって、当該システムに、構成要素としてさらに「外部装置」を加えたものもまた、「マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステム」といえるので、引用例には、「複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)と、外部装置とを備え、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステム」が記載されているものと認められる。


上記の(ア)ないし(ク)によれば、引用例には以下の事項(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「プレーヤP1?P4がそれぞれ操作する複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)と、外部装置とを備え、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステムであって、

前記複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)は、それぞれ、記憶部500と処理部200とを備え、

前記記憶部500は、
前記プレーヤが以前一緒に前記マルチプレイ型RPGをプレイしたプレーヤのプレーヤキャラクタの仕様を適用したアバターNPC5の情報を格納するアバターNPC登録リスト544を記憶し、
前記アバターNPC登録リスト544は、ハンドルネーム546と対応付けて、アバターNPC用キャラクタ設定データ548と、アバターNPC用行動パターンデータ550と、使用履歴552と、を格納するものであり、

前記複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)のうち前記プレーヤP1が操作する前記携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200は、
チームリーダとなる前記プレーヤP1の「チーム作成」操作を検出すると、登録順第1番に自プレーヤキャラクタを登録したチーム編成データ562を新たに生成して、新規にチームを作成し、
チームメンバーである前記プレーヤP3?P4がそれぞれ操作する携帯型ゲーム装置1400(1400c?1400d)から、前記チームへの参加リクエストの信号を受信すると、前記チーム編成データ562を更新して、前記参加リクエストの信号の送信元のプレーヤP3?P4が有するプレーヤキャラクタ2c?2dをチームに追加し、

チーム定員に達していない状態で、前記プレーヤP1により、前記携帯型ゲーム装置1400(1400a)のチーム編成画面W8の「NPCをチームに参加させる」が選択操作されたならば、NPC選択画面W12を表示させ、
さらに、前記NPC選択画面W12で前記プレーヤP1によりNPCの「選択確定」操作がなされ、かつ、前記プレーヤP1により選択されたNPCの種類がアバターNPC5である場合、
前記アバターNPC5が所定の参加適当条件を満たすか否かを判定する参加判定処理を実行し、参加可と判定された場合、前記アバターNPC5をチームに参加させるための処理を実行するものであり、
前記参加判定処理は、前記アバターNPC登録リスト544の使用履歴522を参照して、選択されたアバターNPC5の使用頻度が所定の上限を超過しているか判定する処理を含む、

マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステム。」


(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)」は、本件補正発明の「複数のゲーム端末」に相当する。

イ 引用発明の「外部装置」は、本件補正発明の「ゲームサーバ」に相当する。

ウ 引用発明の「プレーヤP1」は、「前記複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)のうち」「携帯型ゲーム装置1400(1400a)を操作する」から、本件補正発明の「前記複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤ」に相当する。

エ 引用発明の「プレーヤP3?P4」は、本件補正発明の「複数のプレイヤ」に相当する。

オ 引用発明の「マルチプレイ型RPG」が、ビデオゲームの一類型であることは、技術常識から明らかである。そして、引用発明の「プレーヤP3?P4」が、「プレーヤP1」の「「チーム作成」操作」により作成された「チーム」に追加されることで、「マルチプレイ型RPG」に参加可能となることも自明である。
そうすると、引用発明の「マルチプレイ型RPG」は、本件補正発明の「前記複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲーム」に相当する。

カ 引用発明の「プレーヤP1?P4がそれぞれ操作する複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)と、外部装置とを備え、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステム」は、「マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行する」ので、「ビデオゲームの進行を制御」しているものと認められる。
したがって、引用発明の「プレーヤP1?P4がそれぞれ操作する複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)と、外部装置とを備え、マルチプレイ型RPGの実行に関する処理を実行するシステム」は、本件補正発明の「複数のゲーム端末と、ゲームサーバとを備え、前記複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システム」に相当する。

キ 引用発明の「チームメンバーである前記プレーヤP3?P4」は、「複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)」のうち、「プレーヤP1が操作する前記携帯型ゲーム装置1400(1400a)」とは異なる「携帯型ゲーム装置1400(1400c?1400d)」を「操作する」ので、本件補正発明の「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤ」に相当する。

ク 引用発明の「マルチプレイ型RPG」は、引用例の【0035】、【0044】などに記載されるように、「プレーヤP1」が新たに作成した「チーム」でプレイするゲームであるから、引用発明の「マルチプレイ型RPG」は、「チーム」の作成者である「プレーヤP1」が開始したものであるといえる。
したがって、引用発明の「マルチプレイ型RPG」は、本件補正発明の「前記プレイヤが開始した前記ビデオゲーム」にも相当する。

ケ 引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、「チームメンバーである」「プレーヤP3?P4が有するプレーヤキャラクタ2c?2dをチームに追加」する。
したがって、本件補正発明の「参加させる手段」と、引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤが開始した前記ビデオゲームに参加させる」との機能を有する点で、共通するものといえる。

コ 引用発明の「前記プレーヤが以前一緒に前記マルチプレイ型RPGをプレイしたプレーヤ」における、「マルチプレイ型RPG」は、各プレーヤが協力してプレイするゲームであり(【0002】)、また、ゲーム空間内にプレーヤキャラクタのほかに、敵NPCが配置される(【0062】)ゲームであるから、各プレーヤが味方としてプレイするゲームである。
したがって、引用発明の「前記プレーヤが以前一緒に前記マルチプレイ型RPGをプレイしたプレーヤ」は、本件補正発明の「前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤ」に相当する。

サ 引用発明の「記憶部500」が記憶する「前記プレーヤが以前一緒に前記マルチプレイ型RPGをプレイしたプレーヤのプレーヤキャラクタの仕様を適用したアバターNPC5の情報を格納するアバターNPC登録リスト544」は、「ハンドルネーム546と対応付けて、アバターNPC用キャラクタ設定データ548と、アバターNPC用行動パターンデータ550と、使用履歴552と、を格納するもの」であるから、「前記プレーヤが以前一緒に前記マルチプレイ型RPGをプレイしたプレーヤ」に関する情報を格納しているといえる。
したがって、引用発明の「記憶部500」は、本件補正発明の「前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段」に相当する。

シ 引用発明の「前記プレーヤが以前一緒に前記マルチプレイ型RPGをプレイしたプレーヤのプレーヤキャラクタの仕様を適用したアバターNPC5」は、本件補正発明の「当該他プレイヤのキャラクタ」に相当する。

ス 引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、「記憶部500」に記憶される「アバターNPC登録リスト544の使用履歴522を参照して、選択されたアバターNPC5の使用頻度が所定の上限を超過しているか判定する処理」を含む「参加判定処理を実行し、参加可と判定された場合、前記アバターNPC5をチームに参加させるための処理を実行する」ものである。
したがって、本件補正発明の「制御手段」と、引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、「前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段を参照して、当該他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる」との機能を有する点で共通している。

セ 引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、「チーム定員に達していない状態で、前記プレーヤP1により、前記携帯型ゲーム装置1400(1400a)のチーム編成画面W8の「NPCをチームに参加させる」が選択操作されたならば、NPC選択画面W12を表示させ、さらに、前記NPC選択画面W12で前記プレーヤP1によりNPCの「選択確定」操作がなされ、前記プレーヤP1により選択されたNPCの種類がアバターNPC5である場合、前記アバターNPC5が所定の参加適当条件を満たすか否かを判定する参加判定処理を実行し、参加可と判定された場合、前記アバターNPC5をチームに参加させるための処理を実行するもの」である。
したがって、本件補正発明の「制御手段」と、引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」とは、「前記ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる」との機能を有する点でも共通している。


以上のことより、両者は、次の一致点において一致し、次の相違点において相違する。

<一致点>
「複数のゲーム端末と、ゲームサーバとを備え、前記複数のゲーム端末の何れかを操作するプレイヤの操作に応じて複数のプレイヤが参加可能なビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、
前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤが開始した前記ビデオゲームに参加させる手段と、
前記プレイヤの味方または敵として前記ビデオゲームに参加したことのある他プレイヤに関する情報を記憶する記憶手段を参照して、当該他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させる
ビデオゲーム処理システム。」

<相違点>
本件補正発明の「制御手段」は、ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合、前記他プレイヤのキャラクタをノンプレイヤキャラクタとして前記ビデオゲームに参加させるにあたり、前記プレイヤの操作を要求することなく参加させるのに対し、引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、チーム定員に達していない状態で、アバターNPC5をマルチプレイ型RPGに参加させるにあたり、プレーヤP1によるアバターNPC5の選択確定操作を必要とする点。


(4)相違点についての検討
ビデオゲームに参加するプレイヤ数が所定数未満の場合に、コンピュータが操作するノンプレイヤキャラクタをビデオゲームに自動的に参加させることは、特開2008-142426号公報(原査定における引用文献2:特に【0048】、【0054】ないし【0058】及び図15参照)、特開2006-149663号公報(特に【0060】、【0061】及び図5参照)及び特開2002-35429号公報(特に【0079】、【0080】参照)に記載されるように、周知技術にすぎない。
引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」が、チーム定員に達していない状態で、アバターNPC5をマルチプレイ型RPGに参加させるにあたり、コンピュータが操作するノンプレイヤキャラクタを自動的に参加させる周知技術を適用し、上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)独立特許要件の検討に関する小括
以上検討したように、本件補正発明は、引用発明及び周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反する。

4 補正の却下の決定のむすび
以上の通り、本件補正は、上記2において検討したように、補正の目的が特許法第17条の2第5項各号に規定するいずれにも該当しないことから、同項の規定に違反してされたものであり、また、本件補正の目的が同項第2号に該当するとしても、上記3において検討したように、本件補正発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、本件補正は、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし請求項6に係る発明は、平成30年3月26日にされた手続補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載の周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2012-16523号公報
引用文献2:特開2008-142426号公報(周知技術を示す文献)

3 引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1に記載の事項及び引用発明は、上記第2の3(2)に記載したとおりのものである。

4 本願発明と引用発明との対比・判断
上記第2の3で検討した本件補正発明は、本願発明における「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤと前記ビデオゲームに参加させる手段」を、「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤが開始した前記ビデオゲームに参加させる手段」としたものである。

(1) 本願発明における「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤと前記ビデオゲームに参加させる手段」に関して
ア 引用発明の「チームメンバーである前記プレーヤP3?P4」は、「複数の携帯型ゲーム装置1400(1400a?1400d)」のうち、「プレーヤP1が操作する前記携帯型ゲーム装置1400(1400a)」とは異なる「携帯型ゲーム装置1400(1400c?1400d)」を「操作する」ので、本願発明の「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤ」に相当する。

イ 引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、「プレーヤP3?P4が有するプレーヤキャラクタ2c?2d」を「プレーヤP1の」「自プレーヤキャラクタを登録したチーム編成データ562」に「追加」するから、「プレーヤP3?P4」を「プレーヤP1」と同じ「チーム」に登録しているといえる。
そして、引用発明の「チーム」は、引用例の【0044】に記載されるように、「これからゲームプレイするための新たなチーム」であるから、引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」が、「プレーヤP3?P4」を「プレーヤP1」と「チーム」に登録することで、「プレーヤP3?P4」を「プレーヤP1」と「マルチプレイ型RPG」に参加させることは明らかである。
そうすると、本願発明の「参加させる手段」と引用発明の「携帯型ゲーム装置1400(1400a)の処理部200」は、「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤと前記ビデオゲームに参加させる」機能を有する点で共通する。

(2)一致点、相違点
上記(1)のとおり、引用発明は、「前記プレイヤが操作するゲーム端末とは異なるゲーム端末を操作する他プレイヤを前記プレイヤと前記ビデオゲームに参加させる」機能を有する点で、本願発明と共通するものであり、本件補正発明は、当該機能を有する点を除いて本願発明の発明特定事項を全て備えるものであるから、本願発明と引用発明とは、上記第2の3(3)において認定した相違点において相違し、その余の点において一致するものといえる。

そして、同(4)において検討したとおり、上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項は周知技術にすぎないものである。
以上のことからすれば、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上の通り、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-12-10 
結審通知日 2019-12-17 
審決日 2020-01-07 
出願番号 特願2016-198440(P2016-198440)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 57- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 彦田 克文  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 尾崎 淳史
河内 悠
発明の名称 ビデオゲーム処理システム、およびビデオゲーム処理プログラム  
代理人 須藤 浩  
代理人 浅見 浩二  
代理人 海田 浩明  
代理人 上田 侑士  

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