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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B65D
管理番号 1360891
審判番号 無効2019-800039  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-05-14 
確定日 2020-03-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第5305693号発明「容器」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件無効審判の請求に係る特許第5305693号(以下「本件特許」という。)は、平成20年3月3日に出願したものであって、平成25年7月5日に、その特許権の設定登録がされたものである。そして、本件無効審判に係る手続の概要は以下のとおりである。
令和元年5月14日 本件特許無効審判の請求(以下、本件特許無 効審判請求の審判請求書を「請求書」という 。)
令和元年8月6日 審判事件答弁書(以下「答弁書」という。) の提出
令和元年9月5日付け 審理事項通知
令和元年10月18日 請求人口頭審理陳述要領書(以下「請求人要 領書」という。)の提出
令和元年11月6日 被請求人口頭審理陳述要領書(以下「被請求 人要領書」という。)の提出
令和元年11月21日 第1回口頭審理

以下、本審決において、記載箇所を行数により特定する場合は、空白行を含まない。また、「・・・」は記載の省略を意味し、証拠は、例えば甲第1号証を甲1のように略記する。さらに、甲1等に記載された発明あるいは事項を、それぞれ「甲1発明」、「甲1事項」等ということがある。

第2 本件特許に係る発明
本件特許に係る請求項1?3に係る発明(以下「本件発明1」などといい、これらの発明をまとめて「本件発明」ということがある。)は、特許請求の範囲の請求項1?請求項3に記載された以下の事項により特定されるとおりのものである(なお、各段落の先頭のアルファベットは、分説記号で、請求人が付したものを採用する。)。
「【請求項1】
A 熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シートが用いられ、前記熱可塑性樹脂フィルムが内表面側となるように前記発泡積層シートが成形加工されて、被収容物が収容される収容凹部と、
B 該収容凹部の開口縁から外側に向けて張り出した突出部とが形成された容器本体部を有する容器であって、
C 前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるように、突出部の端縁部において前記熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっており、
D しかも、該突出部の少なくとも端縁部の上面側には、凸形状の高さが0.1?1mmとなり隣り合う凸形状の間隔が0.5?5mmとなるように凹凸形状が形成され、
E 且つ該端縁部の下面側が平坦に形成されていること
F を特徴とする容器。
【請求項2】
G 前記突出部の端縁部に係合される突起部が設けられ、該突起部を前記端縁部に係合させて前記容器本体部に外嵌される蓋体が備えられている蓋付容器である
F 請求項1記載の容器。
【請求項3】
H 断面形状が波形、鋸歯形、半円形のいずれかの形状を有する線状の突起あるいは溝が、互いに交差された状態、または、交差されていない状態で前記突出部の端縁部に沿って列設されて前記凹凸形状が形成されている
F 請求項1または2記載の容器。」

第3 請求人の主張及び証拠方法
1.審判請求書における無効理由の概要
請求人は、「特許第5305693号の請求項1乃至3に係る特許は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め(請求書の「6」の欄)、以下の無効理由1及び2を主張している。
そして、請求人が主張する無効理由は、これのみである(第1回口頭審理調書 両当事者の欄の1、令和元年9月5日付け審理事項通知の「2 無効理由について」)。
(1)無効理由1
本件発明1?3は、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件発明1?3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
(2)無効理由2
本件発明1?3は、甲1発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件発明1?3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

2.証拠方法
請求人は請求書に添付して以下の甲1?19の2を提出し、請求人要領書に添付して以下の甲20?24を提出した。
甲1:登録実用新案第3012092号公報
甲2:特開平7-187192号公報
甲3:特開2004-67122号公報
甲4:特開平9-94875号公報
甲5:特開2006-69634号公報
甲6:登録実用新案第3044932号公報
甲7:実願昭53-65550号(実開昭54-168205号)のマイク ロフィルム
甲8:特願2008-52392号に係る平成24年9月19日(受付日) 提出の手続補正書
甲9:特願2008-52392号に係る平成24年9月19日(受付日) 提出の意見書
甲10:特願2008-52392号に係る平成25年3月25日(受付日 )提出の手続補正書
甲11:無効2017-800128号事件審決
甲12:特許庁,「特許・実用新案審査基準」,第III部 第2章 第2節 進歩性,p.1?14
甲13:特開2007-216560号公報
甲14:特開2002-302141号公報
甲15:特開2007-76729号公報
甲16:特開2007-176519号公報
甲17:特開2006-321539号公報
甲18:特開2002-284236号公報
甲19の1:実開昭58-79509号公報
甲19の2:実願昭56-173441号(実開昭58-79509号)の マイクロフィルム
甲20:特開平7-285531号公報
甲21:特開平5-220832号公報
甲22:特開昭60-89328号公報
甲23:特開平2-164518号公報
甲24:特許技術用語委員会編,「特許技術用語集-第2版-」,日刊工業 新聞社,2000年8月28日第2版1刷発行,p.44

第4 被請求人の主張及び証拠方法
1.被請求人の主張の概要
被請求人は、「本件特許無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め(答弁書の「6」の欄)、請求人の主張する上記無効理由はいずれも理由がない旨主張している(答弁書の「7」の欄)。

2.証拠方法
請求人は答弁書に添付して以下の乙1、乙2を提出し、被請求人要領書に添付して以下の乙3、乙4を提出した。
乙1:判決正本(知的財産高等裁判所平成30年(ネ)第10039号 特許権侵害差止等請求控訴事件)
乙2:積水化成品工業株式会社従業員浅野泰正の陳述書
乙3:特願2008-52392号の拒絶査定不服審判事件に係る審判請求書
乙4:調書(決定)正本(最高裁判所令和元年(オ)第654号、令和元年(受)第800号)

第5 当審の判断
1. 刊行物に記載された事項
(1)甲1
甲1には、次の記載及び図示がある。なお、下線は当審で付した。
ア.「【請求項1】 食品の流通と調理加工とを同一容器で行う発泡樹脂製の容器であって、前記容器の開口部周辺の少なくとも一部を前記容器から外向きに曲げてフランジ部を形成し、前記フランジ部の少なくとも一部を前記容器の厚み方向から圧縮して前記フランジ部の外周に沿ってリブを形成したことを特徴とする発泡樹脂製容器。」

イ.「【請求項3】 前記容器は発泡樹脂に樹脂フィルムを貼り付けた2層構造の樹脂を真空圧空成形して形成され、前記容器の内側に前記樹脂フィルムが位置することを特徴とする請求項1または2記載の発泡樹脂製容器。」

ウ.「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は発泡樹脂製容器に関し、さらに詳しくは熱湯の注入、電子レンジによる加熱、倉庫などにおける保管中および運送中などの耐熱変形性を向上させた発泡樹脂製容器に関する。」

エ.「【0002】
【従来の技術】
インスタントラーメン、インスタント焼きそば等のインスタント食品類や冷凍加工食品類に使用される流通用包装容器には、その容器のまま調理加工しさらに食器としても使用される容器がある。・・・」

オ.「【0016】
・・・
(第1実施例)
本考案の第1実施例を図1?図5に示す。
容器1は、おおまかには底のない角錐台の上下を逆にした形状である。容器1の上端の開口部11の周囲には、開口部11の四辺全周にわたってフランジ部12が設けられている。フランジ部12の外周部には、フランジ部12の全周にわたって厚さ方向からフランジ部12を圧縮したリブ13が図3に示す幅L=約1mmで形成されている。・・・」
【0017】
・・・
この容器1の製造方法の一例は、以下のとおりである。
【0018】
図4に示すように、発泡スチロール製の外皮15の片側表面にハイインパクトポリスチレン製の内皮16を貼り合わせた2層構造の長尺上のシート17を、ポリスチレンが軟化するが溶融しない程度の温度に加温する。
次いで、型51、52を用いて内皮16側が容器1の内側に位置するようにシート17を真空圧空成形して容器1を形成する。このとき、フランジ部12、湯溜り14と同時に、フランジ部12の外周部を圧縮してリブ13が形成される。したがって、リブ13では発泡スチロール製の外皮15が高密度に圧縮された状態になっている。本考案の第1実施例においては、リブ13の厚さは約1mm、リブ13以外の容器1の壁面の厚さは約3mmである。図4の矢印A方向に長尺上のシート17を移動させながら、型51、52によって次々に真空圧空成形を行う。
【0019】
・・・
使用時、容器1の内部に食品を入れた後に開口部11の上から図示しない方形の蓋を取付け、この蓋を容器1の外周部113に係止する。・・・
【0020】
・・・
また、容器1が発泡スチロール製の外皮15とハイインパクトポリスチレン製の内皮16との2層構造であり容器1の内側に表面荒さの滑らかな内皮16が位置しているため、容器1の耐熱性が向上するとともに、容器1を食器として用いる際に容器1の内壁面に箸が引掛かることを防止して箸の操作を容易にする。」

カ.「




キ.「




ク.「




ケ.「




コ.上記ウ.の段落【0001】によると、甲1に記載された発明は、発泡樹脂製容器に関するものであり、その実施例である上記オ.の段落【0018】には、容器1の製造方法について、発泡スチロール製の外皮15の片側表面にハイインパクトポリスチレン製の内皮16を貼り合わせた2層構造のシート17が用いられ、内皮16側が容器1の内側に位置するようにシート17が真空圧空成形されて容器1が形成され、このとき、フランジ部12が形成されることが記載されており、このフランジ部12について、上記オ.の【0016】には、開口部11の周囲に設けられることが記載されている。
そして、上記オ.の段落【0019】の「使用時、容器1の内部に食品を入れた後に」との記載、及び、上記キに摘記した【図3】によれば、容器1は、食品が入れられる凹状部分を有しているといえる。

サ.上記オ.の段落【0016】には、「容器1は、おおまかには底のない角錐台の上下を逆にした形状である。容器1の上端の開口部11の周囲には、開口部11の四辺全周にわたってフランジ部12が設けられている。」と記載されているから、上記ク.及びケ.にそれぞれ摘記した【図4】及び【図5】は、容器の上下を逆にして図示したものである。
そして、【図4】及び【図5】に示されている符合11?13、15、16について、上記オ.の段落【0018】には、「開口部11」、「フランジ部12」、「リブ13」、「発泡スチロール製の外皮15」、「ハイインパクトポリスチレン製の内皮16」と記載されている。
そうすると、【図4】及び【図5】において、「ハイインパクトポリスチレン製の内皮16」のある側が上面側であって、「発泡スチロール製の外皮15」のある側が下面側であるといえる。

シ.上記オ.の段落【0017】によると、段落【0018】は、容器1の製造方法の一例であり、この段落【0018】には、【図4】に図示されたものについて、リブ13の上面側に位置するハイインパクトポリスチレン製の内皮16については、真空圧空成形に先立って加温により軟化させること、及び、リブ13が、型51、52を用いた真空圧空成形に際し、フランジ部12の外周部が圧縮されることによって形成され、リブ13の下面側に位置する発泡スチロール製の外皮15は高密度に圧縮された状態になること、及び、リブ13の厚さは約1mm、リブ13以外の容器1の壁面の厚さは約3mmであることが記載されている。
そうすると、フランジ部12の外周部におけるリブ13の上面が開口部11の近傍のフランジ部12の上面に比して下位となるように、フランジ部12のリブ13において発泡スチロール製の外皮15が圧縮されて厚みが薄くなっているといえる。
そして、上記製造方法によると、容器1は、リブ13の上面側及び下面側に凹凸形状は形成されておらず、リブ13の上面側及び下面側は平坦に形成されているといえる。

ス.上記コ.?シ.を総合すると、甲1には、以下の甲1発明が記載されている。
「発泡スチロール製の外皮15の片側表面にハイインパクトポリスチレン製の内皮16を貼り合わせた2層構造のシート17が用いられ、内皮16側が容器1の内側に位置するようにシート17が真空圧空成形されて、食品が入れられる凹状部分と、開口部11の周囲に設けられたフランジ部12とが形成された容器1を有する発泡樹脂製容器であって、
フランジ部12のリブ13の上面が凹状部分の開口部11の近傍のフランジ部12の上面に比して下位となるように、フランジ部12の外周部におけるリブ13において発泡スチロール製の外皮15が圧縮されて厚みが薄くなっており、リブ13の上面側及び下面側は平坦に形成され、
開口部11の上から蓋を取付け、容器1の外周部113に係止した発泡樹脂製容器。」

(2)甲2
甲2には、次の記載及び図示がある。
ア.「【請求項1】 発泡シ-トの少なくとも片面に単層フィルム又は積層フィルムが積層された積層発泡シ-トから成形され、開口部周辺に鍔部を有する容器において、鍔部における前記フィルムと発泡シ-トとの剥離強度が100g/25mm巾?400g/25mm巾であり、鍔部以外の容器本体における前記フィルムと発泡シ-トとの剥離強度が5g/25mm巾?200g/25mm巾であることを特徴とする容器。」

イ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品の容器などに使用するのに適した単層又は多層フィルムと、発泡シ-トとの積層発泡シ-トよりなる容器に関する。」

ウ.「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の欠点を改良し、フイルムが破れることなく容易に発泡シ-トより剥離できる積層発泡シ-トについて種々検討した結果、本発明を完成したもので、本発明の目的はフィルムを発泡シ-トより破れること無く容易に剥離できる食品のトレ-に適した積層発泡シ-トを提供するものであり、且つ、トレ-の成形時に不要な部分(容器の打抜き残)も連続して、単層フィルム又は、積層フィルムと発泡シ-トが分離でき、それらが容易に回収出来ると同時に、機能上問題ないトレ-を提供するのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、発泡シ-トの少なくとも片面に単層フィルム又は積層フィルム(以後、フィルムと言うこともある)が積層された積層発泡シ-トから成形され、開口部周辺に鍔部を有する容器において、鍔部における前記フィルムと発泡シ-トとの剥離強度が100g/25mm巾?400g/25mm巾であり、鍔部以外の容器本体における前記フィルムと発泡シ-トとの剥離強度が5g/25mm巾?200g/25mm巾であることを特徴とする容器である。即ち、本発明においては、容器を構成する発泡シ-トの少なくとも片面に積層された単層又は積層フィルムの発泡シ-トとの剥離強度を容器本体を構成する部分と蓋体をシ-ルする鍔部を構成する部分とに差を持たせ、前者の剥離強度を後者の剥離強度より小さくすると共に、後者の剥離強度は100g/25mm巾?400g/25mm巾とし、この部分も易剥離性を具備させたものである。」

エ.「【0023】このような積層発泡シ-トを用いて容器を成形する場合は、ガスバリヤフイルムを容器の内側に積層しないと効果が少ない。従って、このフイルム上に蓋体を軽くシ-ルすることになる。この場合、フィルムと発泡シ-トとの剥離強度が約100g/25mm巾未満だと容器を使用するために蓋体をはがすとフィルムもはがれることもあり問題となり、好ましくは、200g/25mm巾以上である方が良い。また、400g/25mm巾を超える場合は剥離が容易でない。」

オ.「【0025】蓋体の部分の剥離強度は金型の加工形状や、成形プレス圧や金型クリアランスにも関係するので、蓋体をシ-ルする部分とその他の部分との間に発泡体とフィルムとの剥離強度の差を持たせる方法としては、成形型の蓋体をシ-ルする位置に凸凹のスジを付けたり、ロ-レット加工、ナシジ加工又はリング状に容器の鍔部にそって溝をつけたりしておくと、成形時の型プレスでプレスされた部分だけ剥離強度が20?200%以上あがり、問題が解決できる。
【0026】例えば、丼容器等を成形した場合、鍔部を強くプレスすることにより容器の機能を満足させ、容器打抜き後の不要な部分は材質の異なるフィルムと発泡シ-トを分離でき回収した樹脂を再利用できる。同様な効果はバインダ-を発泡させたり、バインダ-にフィラ-を混合すればより顕著になり、鍔部の強度と不要な部分の剥離強度の差が大きくなり、剥離しやすくなる。(鍔部を強くプレスした部分はより強くなり、不良な部分の剥離はより弱くなる。)
【0027】次に本発明の容器を製造するための金型を図1に示す。図1に示すように金型1の内部には温度調節用の配管2が配管されており、鍔部に対応する部分3が突出している。そして、図2?4に鍔部の蓋体をシ-ルする形状を示すと、図2は鍔にそって溝を付けたもの、図3はロ-レット加工、図4はナシジ加工となるがこれらの形状は限定されるものではない。」

カ.「【0029】成形用金型(丼容器172mm径×52H)のプラグで容器に成形したときフタをシ-ルする部分にあたるプラグの部分(鍔と言う)をロ-レット加工(溝ピッチ2mm、深さ1mm)した成形用金型を用いこの積層シ-トをヒ-タ温度約395℃5.5sec/サイクルで丼容器に成形し連続して打抜いた。容器の打抜き残は、フィルムと発泡体に剥離しながら分離出来た。成形した容器の蓋とのシ-ル部(鍔)の積層フィルムと発泡体との剥離強度は165g/25mm巾であり他の部分の剥離強度は92g/25mm巾であり打抜残(耳部と言う)の剥離強度は88g/25mm巾であった。・・・」

キ.「【0032】・・・得られた積層発泡シ-トの発泡シ-トとフィルムの剥離強度を5回測定した。平均剥離強度は55g/25mm巾でバラツキは15.6%であった。この積層発泡シ-トを鍔部をロ-レット加工(溝ピッチ2mm深さ1.5mm)したグラタン容器の型155L×125W×31Hを有する成形機でヒ-タ-温度約410℃で7.8sec/サイクルで成形した。同時に容器の打抜残(耳部)をフィルムと発泡体に剥離した所問題なくスム-スに出来た。成形した容器のフタシ-ル部の剥離強度は平均で108g/25mm巾であった。鍔の所の型のクリアランスは1.2mmであり、積層シ-トの成形直前の2次厚みは2.1mmであった。この容器に蓋をシ-ル後蓋を剥がしても積層フィルムの剥離はなかった。」

ク.「【図面の簡単な説明】
【図1】a 本発明の容器を製造するための金型の側面図。
b 本発明の容器の鍔部に対応する部分の金型表面を3実施例で示した部分詳細図。
・・・
【図3】a 図1におけるB部の部分拡大図。
b 図3aのB-B’線における断面図。
・・・」

ケ.「



コ.第3図「




(3)甲3
甲3には、次の記載がある。
ア.「【請求項1】
周側枠の上部口縁の突出部が端縁となっている包装用容器において、上記突出部を前後および/又は上下にジクザグに形成して端面に対して前後方向、上下方向に凹凸形状となるように構成していることを特徴とする包装用容器。」

イ.「【請求項2】
上記凹凸形状は、凹凸量を0.2?1mm、好ましくは0.5mm以下で、凸部間ピッチを0.5?5mm、好ましくは1mmに形成している請求項1記載の包装用容器。」

ウ.「【0003】
・・・しかしながら、この包装用容器では、端面が直線状であるため、薄くかつ直線状で鋭い縁(耳)となっているおり、人の手や指等がこの端縁の長手方向に沿って擦れたりした場合には、鋭い縁によって人の手や指等にケガを負う問題点があった。」

エ.「【0004】
そこで、この発明は、例えばシート成形等にて薄手の端縁が形成された包装用容器であっても、上記端縁によってケガをしたり、包装フィルムが切断したりすることの無い包装用容器を提供することを目的としている。」

オ.「【0005】
・・・この発明の包装用容器は、周側枠の上部口縁の突出部が端縁となっている包装用容器において、上記突出部を前後および/又は上下にジクザグに形成して端面に対して前後方向、上下方向に凹凸形状となるように構成していることを特徴としている。
上記構成の包装用容器では、周側枠の上部口縁の突出部の端縁が前後方向および/又は上下方向に対して凹凸形状となっているので、シート成形等にて形成された端縁が薄い状態となっていても、手や指等が端縁の長手方向に沿って移動した場合でも手や指等がケガをする虞を解消できる。」

カ.「【0006】
上部端縁が前後若しくは上下にジグザグ状となっていることによって、手や指等の一個所に連続して当接する状態となることがないため、端縁がナイフのように手や指等に切り込む事態となることはなく、手や指等にケガをすることがなく、・・・」

キ.「【0008】
周側枠10は、容器内外方向への強度を保持するため上部にフランジ状端部11を有するものである。フランジ状端部11は、水平部11aと、水平部11aの先端が突出部11bとして形成している。・・・」

ク.「【0009】
・・・この包装用容器1は、容器内側に食品等を収容する容器として使用されるもので、一般的にシート成形により形成され、裁断されて製造されるものであるが、裁断時に周側枠10の突出部11bの先端を凹凸形状にカットしている。・・・」

ケ.「【0010】
上記突出部の凹凸形状としては、図3に示すように、厚み方向、すなわち上下に凹凸形状とすることもできる。この形態であっても、端縁が手や指等に対して直線状に擦れる状態を回避することができ、手や指等に傷を付ける虞は無くなり、包装フィルム等が切断することも無くなる。・・・」

コ.「




(4)甲4
甲4には、次の記載がある。
「【0004】しかし、トリミング刃で打ち抜く際、スチレン系樹脂発泡シート層と積層した熱可塑性樹脂フィルム層の硬さの差により、切断面(容器口元)は硬い樹脂フィルム層が柔らかいスチレン系樹脂発泡シート層より外側に突き出た状態になり且つ樹脂フィルム切断面の形状が鋭利になる。そのため、容器の口元に触れた場合に口当たりが悪いばかりでなく、使用を誤り故意に唇を強く口元に擦り付けた場合には硬いフィルム層で唇が裂傷する可能性も否定できない。また、容器を取り扱う時にも同様に手指を傷付ける可能性も否定できない。」

(5)甲5
甲5には、次の記載及び図示がある。
ア.「【請求項1】
樹脂フィルムを真空又は圧空成形して口縁から外方に向かう鉤状断面の環状屈曲部を有する樹脂製容器の身又はこれに被冠する蓋において、前記樹脂製容器の環状屈曲部の外縁線を含み前記環状屈曲部の外縁側側面にほぼ直角に交叉する平面上で前記容器の周方向に前記外縁線を波状外縁線に形成したことを特徴とする樹脂製容器。
【請求項2】
樹脂フィルムを真空又は圧空成形して口縁から外方に向かう鉤状断面の環状屈曲部を有する身とこれに被冠する蓋付の樹脂製容器であって、前記身及び蓋の環状屈曲部の外縁線を含み前記環状屈曲部の外縁側側面にほぼ直角に交叉する平面上で前記容器の周方向に前記外縁線を波状外縁線に形成し、前記外縁側側面を前記波状外縁線に沿ってなまこ板状に成形させたことを特徴とする樹脂製容器。
【請求項3】
前記波状外縁線の波形のピッチは1mm乃至5mmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂製容器。」

イ.「【0001】
本発明はスーパーマケーット或いは商店において、食料品等に煮汁流動物を含む惣菜等を入れることができる樹脂製又は及び紙質製の蓋付容器に関するものである。」

ウ.「【0005】
従来の技術で述べた前者の図13において、容器101の環状屈曲部101aと蓋102の環状折り曲げ部102aの外縁側側面の成形時の切断縁が直線状であり刃先状態になることがあり、小児等が勢いよくパッキングされた蓋を開けると手指を切るという問題を生じていた。」

エ.「【0006】
・・・樹脂フィルムを成形してなる樹脂製容器の身と蓋において、環状屈曲部の外縁線を含む外縁側側面に容器の全周にわたり波状外縁線によるなまこ板状の起伏溝を形成し蓋取外し時に指先を傷つけず、更に環状屈曲部の強度を高め、蓋を閉じたときの密閉力を高めた容器を提供する。」

オ.「【0012】
・・・環状屈曲部の外縁側側面の外縁線を波状外縁線に成形することにより指先が波状外縁線上を滑ることに加え、外縁線が直線状でなく波状なので指先を切ることがなく、器として安心して使用できるという効果を有する。・・・」

カ.「【0014】
・・・波状外縁線の波形ピッチを1mm乃至3mmの範囲で選択して成形することにより、指先で容器から蓋を外すときの指先の感触が波形状の広い面積を滑るようになるので指先を傷つけることがなくなる効果を有する。」

キ.「【0016】
図1において、合成樹脂素材フィルムの真空又は圧空成形で作られた容器1は、型から離型しやすいように抜きテーパが付けられて、口縁が開く形状に作られ、外周部は補強のため外方に鉤状断面とされた環状屈曲部(以下単に屈曲部と呼ぶ)Rが形成されている。また、身2の口縁の鉤状断面における内側の穴テーパ壁面2aに、前記鉤状断面に嵌合する溝を有する蓋3の軸テーパ壁面3aが嵌まり合う。」

ク.「【0020】
図1に示すように、本発明では身2の屈曲部Rの外縁側側面2cと蓋3の屈曲部Rに続く終端折り曲げ面3dとに波状外縁線2e、3fを形成している。・・・」

ケ.「【0021】
・・・以下の図面説明の中で、図1,図4,図6,図7の2c及び3dの
各面はなまこ板状に形成されていることを付記する。・・・」

コ.「【0023】
図5において、図4のAA、BB視図で波状外縁線2e、3fの波形の実施例を示している。
(a)は波の山と谷の形状が円弧で形成され、(b)は波の山と谷の円弧形状が対称でない波形を示している。(c)は台形状の波形であり、(d)は三角波状である。・・・」

サ.「【0024】
波状外縁線はこれらの図例に限定されるのではなく、例示した波状を組み合わせたもの、波形のピッチを変更したものであっても良い。
波のピッチは1mm乃至5mmとする。・・・」

シ.「【0025】
・・・波高はピッチの30乃至60%が望ましい。・・・
図2、図3に示す逆円錐台容器の場合、身の外径が100mmのとき120等分(θ=3度)すると外径におけるピッチは約2.6mmとなる。」

ス.「【0030】
図8は、図7に示す外縁側目側面2cにつづく終端折り曲げ面2hに波状外縁線2eを形成したものである。・・・」

セ.「




(6)甲6
甲6には、次の記載及び図示がある。
ア.「【請求項1】熱可塑性合成樹脂からなる薄板をシートフォーミングにより成形して打抜いた包装容器において、この容器の最外周にその切断面が側面視略波形状に褶曲する褶曲部が形成されていることを特徴とする包装容器。」

イ.「【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかして上記従来のシートフォーミング加工によって得られた包装容器1の周縁部2の最外周2aは直線状で薄く、鋭利な状態となっているため、容器を取扱う際に指先などを切ってしまう事故が後を絶たない。」

ウ.「【0005】
特に容器1に食品類を詰めて包装する業務においては、包装容器1によって受けた傷が化膿して黄色ブドウ球菌のような食中毒の原因になる菌が食品に混入することがないよう、細心の注意を払わなければならなかった。」

エ.「【0007】
【課題を解決するための手段】
本考案は、シートフォーミングにより得られる包装容器の最外周を折り返し加工を施すことなく切創事故を防ぐことができる包装容器を安価に提供することを課題としてなされたものである。」

オ.「【0012】
上記周縁部11の最外周には、シートフォーミング時にその切断面が側面よりみて略波形状に褶曲する褶曲部12が形成されている。
【0013】
上記褶曲部12の側面視形状は、図1、図2および図3(A)、(B)にみられるように所定の間隔をおいて下方に弧状に凹曲する凹部13、13…を周縁部12の最外周11aから所要長さにわたり形成した略波形状のものが最も一般的であるが、このほか図4(A)、(B)に示すように側面視波形状のもの、図5(A)、(B)に示すような三角形状のものなど適宜な褶曲形状とすることができる。
【0014】
上記褶曲部12の成形については、例えば成形時に包装容器10の周縁部11の最外周全周に該当する箇所の金型に0.2?2.0mm程度の高低差を有する凹または凸の型をその高低差の15倍以内の間隔をおいて形成し、この凹凸の型により周縁部11の最外周11aに褶曲部12を再現させたのち切断して図1のような包装容器10とされる。
【0015】
上記の構成により包装容器10の周縁部11の最外周11a部分は略波形状に褶曲する褶曲部12が存在することによって、その高低差から最外周11aの切断面は見掛け上の厚さが大きく、これにより取扱い時の切創事故を防ぐことができる。上記波形状凹凸の高低差を大きくするほど、また凹凸間隔を小さくするほど切創事故をより一層防止することができる。
【0016】
【考案の効果】
以上説明したように本考案は、熱可塑性合成樹脂からなる薄板をシートフォーミングにより成形して打抜いた包装容器において、この容器の最外周にその切断面が側面視略波形状に褶曲する褶曲部を形成したので、包装容器の周縁部の最外周を折り返すような特別な二次加工を施すことなく取扱い時の手指の切創事故を防ぐことができ、安価で安全な包装容器を提供することができる。」

カ.「




キ.「




ク.「



ケ.「




コ.「




(7)甲7
甲7には、次の記載及び図示がある。
ア.「2.実用新案登録請求の範囲
(1) 閉蓋状態において相互に接合せしめる容器本体(1)及び蓋体(3)の周縁に突設した鍔部(4)(5)に、凹凸部(6)(7)を形成したことを特徴とする硬質合成樹脂製簡易包装容器。」(明細書1ページ4?8行)

イ.「本考案は、菓子、玉子等の食料品その他の包装に用いる簡易な硬質合成樹脂フイルム製の包装容器に関する。」(明細書1ページ14?16行)

ウ.「・・・容器本体及び蓋体の周縁に突設した鍔部は各々が平面状であるためにそれらの端縁が直線的なエツヂを形成し、包装及び開蓋時に指を切傷せしめるおそれが存し、取扱い上の危険があつた。
本考案は、上記の問題点に鑑みて案出したものであつて、包装及び開蓋時において指を切傷するおそれのない安全な硬質合成樹脂フイルム製の簡易包装容器を提供しようとするものである。」(明細書2ページ7?15行)

エ.「・・・容器本体(1)及び蓋体(3)の周縁に突設した鍔部(4)
(5)上に各々凹凸部(6)(7)を形成したので、各々の鍔部(4)(5)の相互接合状態にあつては、その端縁が屈曲状を呈して直線的なエツヂを形成せしめることを防止でき、したがつて包装及び開蓋時に指を切傷するおそれはなく取扱いが安全である。」(明細書4ページ5?11行)

オ.「




カ.「




(8)甲13
甲13には、次の記載がある。
ア.「【請求項1】
第1の押出機から樹脂流を合流装置に供給し、合流装置内で円柱状の第1樹脂流を形成するとともに、別の1つ以上の押出機から1種又はそれ以上の積層用樹脂流を合流装置に供給し、
この合流装置内で前記積層用樹脂流を、前記第1樹脂流を囲むように配置したそれぞれの環状マニホールドを経て、前記第1樹脂流に合流させて、同心円状の環状積層流とし、
この環状積層流を直接又は平坦に潰した後で合流装置出口側に設けられたTダイに導いて、該Tダイからフィルム又はシート状に押し出して多層フィルム・シートを得ることを特徴とする多層フィルム・シートの製造方法。」

イ.「【0006】
・・・更に、層構成に発泡層を含むシートの場合は、フィードブロック内で発泡すると均一な発泡層が得られないので、温度制御範囲が限定され、均一な幅方向厚さ分布を持った積層発泡シートが得られないことがある。・・・」

ウ.「【0007】
特許文献4には、フィードブロック内においてポリマー流路の外側を可撓性のパイプとし、このパイプを変形させて各フィルム層の厚さを調整する方法が開示されている。・・・」

エ.「【0048】
本実施形態の製造方法に用いられる樹脂は、各種の熱可塑性樹脂の中から適宜選択して使用することができ、例えば、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、エチレン・プロピレンランダムポリマー、エチレン・プロピレンブロックポリマー、エチレン・プロピレン-ブテン-ターポリマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸エステル共重合体(例えば、エチレン-メチルメタクリレート共重合体)、エチレン-不飽和カルボン酸金属塩共重合体、プロピレン-塩化ビニルコポリマー、プロピレン-ブテンコポリマー、プロピレン-無水マレイン酸コポリマー、プロピレン-オレフィン共重合体(プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体)ポリエチレン又はポリプロピレンの不飽和カルボン酸(例えば、無水マレイン酸)変性物、エチレン-プロピレンゴム等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリエチルスチレンなどのポリスチレン系樹脂・・・が挙げられる。また、本実施形態の製造方法に用いられる樹脂は、非発泡樹脂に限らず、発泡性樹脂を用いても良い。発泡性樹脂組成物としては、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂などの樹脂、或いはこれらの樹脂にタルク等のフィラーを含有させた樹脂に発泡剤として、・・・などの一種又は複数種を含有させたものを用いてよい。」

(9)甲14
甲14には、次の記載がある。
ア.「【請求項1】 周側壁を備える有底容器本体と、該周側壁の内周面に内嵌合する内嵌合部と周側壁の外周輪郭と相似な外周輪郭を持つフランジ部とを備える蓋体とで構成される蓋付き容器であって、容器本体に蓋体を内嵌合したときに、蓋体のフランジ部の外周壁の位置が、周側壁の外周壁の位置よりも内側となるように、蓋体のフランジ部の大きさが設計されていることを特徴とする蓋付き容器。」

イ.「【請求項3】 有底容器本体および蓋体は、ともに、発泡樹脂成形品であることを特徴とする請求項1または2記載の蓋付き容器。」

ウ.「【請求項4】 少なくとも有底容器本体は、発泡樹脂成形品である芯層と、その表面に接着積層された内面側表皮フィルムおよび外面側表皮フィルムとからなることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の蓋付き容器。」

エ.「【0013】
【発明の実施の形態】・・・容器本体10は、この形状、構造のものに限られず、・・・周側壁15を持ちかつ上方を開放した形状のものであれば任意である。前記芯層13のみからなる発泡樹脂製容器であってもよく、また、非発泡樹脂材料製容器、ガラス製容器、陶器製容器などであってもよい。」

オ.「【0017】蓋体20の素材は任意であり、特に制限はない。発泡性樹脂の成形品単独、あるいは、容器本体のようにその表面を表皮フィルムで覆うようにしたものは、軽量であり取り扱いも容易なことから好ましい。もちろん、蓋付き容器の使用目的に応じて、非発泡樹脂材料製、ガラス製、陶器製などであってもよい。」

(10)甲15
甲15には、次の記載がある。
ア.「【0010】
容器本体3の材質は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン樹脂、スチレン-ブタジエンスチレン系樹脂などのポリスチレン系樹脂;上記樹脂にタルクなどの充填材を添加した樹脂組成物が使用できる。
また、軽量化、断熱性付与、および剛性付与などのため、上記樹脂を発泡させた発泡樹脂を用いてもよい。・・・
容器本体3は、薄すぎれば強度が不足し、厚すぎれば製造コストがかさむため、その厚さは、非発泡樹脂を用いる場合には0.2?1mmが好ましく、発泡樹脂を用いる場合には0.3?3mmが好ましい。」

イ.「【0017】
容器本体3および蓋2は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形などの成形法により樹脂製シート材を成形することによって作製できる。」


(11)甲16
甲16には、次の記載がある。
ア.「【0014】
容器本体1は、発泡ポリスチレン等の発泡樹脂材もしくは非発泡樹脂材等でもって底壁4と、この底壁4の全周から上方へ拡開状に立ち上げられた周壁5、および周壁5の上端縁全周から外方へ張り出したフランジ6とを有する上面開放の椀状に成形されている。・・・」

イ.「【0015】
中皿2は発泡ポリスチレン等の発泡樹脂材もしくは非発泡樹脂材等でもって底壁9と、この底壁9の全周から上方へ拡開状に立ち上げられた周壁10とを有して容器本体1の深さより浅い上面開放の椀状に成形され、・・・」

ウ.「【0019】
外蓋3はポリスチレン系樹脂等の薄い合成樹脂シートを熱板成形などによって、図1、図2に示すように、湯切り部15を設けた天板16と、この天板16の外周縁に容器本体1のフランジ6の外周端縁に沿って弾性接当するよう連設した外周壁17とにより容器本体1のフランジ6の外形に合う浅い皿形に形成して、これを容器本体1の開放上面に着脱可能に外嵌できるようにしている。・・・」

エ.「【0028】
・・・接着タイプの外蓋25としては、例えば、紙製または合成樹脂製の蓋基材の内面側にヒートシール性樹脂層を形成した積層シートを容器本体1のフランジ6の大きさ、形状に合う平板状に形成し、・・・」

(12)甲17
甲17には、次の記載がある。
ア.「【0023】
この容器本体2の材質は、無機充填剤含有ポリプロピレン樹脂シート、耐衝撃性ポリスチレン樹脂シート、発泡ポリスチレン樹脂シート、発泡ポリプロピレン樹脂シートなどが用いられるが、これらに限定されない。容器本体2の厚さは、非発泡樹脂シートの場合には0.3mm?0.6mm程度、発泡樹脂シートの場合には0.3mm?2mm、好ましくは0.5mm?1mm程度とされる。・・・」

イ.「【0031】
本発明の包装用容器は、容器本体2及び蓋3として、ポリプロピレン系樹脂シートなどの耐熱性の良好な合成樹脂シートを用いて作製する・・・」

(13)甲18
甲18には、次の記載がある。
ア.「【0011】本発明に係る即席食品用容器は、図1ないし図3に示すように、上方開放状の容器本体1とシート状の蓋2とからなる。容器本体1は、発泡ポリスチレン等の発泡樹脂材もしくは非発泡樹脂材、または紙材等を成形したもので、・・・」

イ.「【0016】一方、蓋2は、図2に示すように、紙製または合成樹脂製の基材13の表面に印刷層14を形成し、基材13の裏面にアルミニウム箔あるいはシリカ蒸着等の防水層15、ヒートシール性樹脂層16を順次積層してなる可撓性を有する積層シートからなる。・・・」

(14)甲19の1、甲19の2
甲19の1、甲19の2には、次の記載及び図示がある。以下、甲19の1、甲19の2をまとめて甲19ということがある。
ア.「2 実用新案登録請求の範囲
(1) ポリスチレン発泡シートよりなる基材(3)の少なくとも一面にポリスチレン系二軸延伸フイルム(2)を積層してなるラミネートシートを前記ポリスチレン系二軸延伸フイルム(2)が内面側となるようにして周縁鍔部(4)を有する皿状体に成形するとともに、前記周縁鍔部(4)の表面に、凸部(5),(6)の総面積が該周縁鍔部(4)の面積の20?60%となるようにして、しかも該鍔部4の表面の全周に均等に分散せしめられるようにして適宜の凹凸模様を設けたことを特徴とするトレー。」(甲19の2 明細書1ページ4?14行)

イ.「しかしながら、ラミトレーは上述した如く従来のトレーに比べて種々の特徴を有する非常に優れたものである反面重大な欠点を有するのである。それは該ラミトレーを使用して塩ビストレツチフイルム等によってストレツチ包装をするに際してストレツチフイルムとラミネートされたOPS面が接触するトレーの周縁鍔部においてストレツチフイルムが引つかかる現象を生
じこのために包装された包装体はフイルムにしわを生じたりストレツチ包装
独特の緊張感が得られないために包装仕上りが粗悪になるばかりでなく非常
に作業能率が低下する等実用上に欠点が生じることである。
本考案はラミネート発泡シートをトレーに使用した場合における上述の問題を解決すべく鋭意検討した結果問題となるトレーの周縁鍔部の表面に、凸部の総面積が該周縁鍔部の面積の20?60%特に好ましくは40?55%となるようにして、しかも該鍔部の表面の全周に均等に分散せしめられるようにして適宜の凹凸模様を設けるとストレツチフイルムとの滑りが良好となりスムーズな包装が可能になることを知見し完成したものである。」(甲19の2 明細書3ページ11行?4ページ11行)

ウ.「周縁鍔部4に施す微細な凹凸模様は特に限定するものではないが、一般に使用されている亀甲型、ピラミツド型、台形型等が適当である。・・・」(甲19の2 明細書5ページ11?13行)

エ.「この周縁鍔部4の凹凸模様の加工は例えば成形用金型の周縁鍔部に相当する部分に所要の凹凸模様を加えておき、成形時に行う方法、あらかじめOPSの該周縁鍔部に相当する部分に適宜の方法で所要の凹凸模様を施しておく方法あるいは成形後に適当な方法で周縁鍔部のみに所要の凹凸模様加工を行う方法等により簡単に加工することができる。」(甲19の2 明細書6ページ20行?7ページ7行)

オ.第1図「

」(甲19の1、甲19の2 第1図)

カ.「


」(甲19の1、甲19の2 第2図)

(15)甲20
甲20には、次の図示がある。




(16)甲21
甲21には、次の記載がある。
ア.「【請求項1】 発泡もしくは非発泡の結晶性ポリエチレンテレフタレートシートを予備加熱し軟化させた後、加熱金型により成形すると同時に所定の結晶化度にまで結晶化させ、その後、冷却型により冷却し成形する結晶性ポリエチレンテレフタレートシートの成形方法であって、加熱金型と冷却型とが異なった型面形状をなし、冷却型によって加熱金型による成形形状とは異なった形状に成形することを特徴とする結晶性ポリエチレンテレフタレートシートの成形方法。」

イ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発泡もしくは非発泡の結晶性ポリエチレンテレフタレートシートの成形方法に関し、より詳細にはポリエチレンテレフタレートシートを結晶化によって耐熱性を付加させて容器等の所定形状に成形するための成形方法に関するものである。」

ウ.「【0004】ところで、結晶性発泡PETシートおよび結晶性非発泡PETシートは、共に結晶化度(%)が耐熱温度に影響することは知られており、…」

(17)甲22
甲22には、次の記載がある。
ア.「2.特許請求の範囲
1.加熱可塑化された熱可塑性樹脂シートの成形部周縁をクランプで挟持し、クランプ内側の成形部を、容器底面形状になり得る平面形状を有した雄型で押動して容器の周壁部を型接面させずに容器内方へ湾曲させて成形することを特徴とする熱可塑性樹脂シートによる容器の成形方法。」(1ページ左下欄4?12行)

イ.「一方、この発明に用いる熱可塑性樹脂シート(1)としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル等の非発泡シート或はポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の発泡シートが好ましく、この他、発泡シートと非発泡シートとの複合シートも使用できる。またシートに代えてフィルムを用いてもよく、さらにシートとフィルムとの複層シートを用いても良い。」(2ページ左下欄5?13行)

(18)甲23
甲23には、次の記載がある。
「・・・使用シートとしても発泡樹脂シートのほか、非発泡樹脂シートや非発泡樹脂フィルムをラミネートした発泡樹脂シート等が使用でき、材質についてもポリエチレンのほか種々のものが使用可能である。」(3ページ左下欄6?10行)

2.無効理由についての判断
(1)無効理由1(特許法第29条第2項、甲1発明と甲2発明の組み合わせ)について
ア.本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
スチロールすなわちスチレン及びポリスチレンが熱可塑性樹脂であることは本件出願時の技術常識であるから、甲1発明の「発泡スチロール製の外皮15」及び「ハイインパクトポリスチレン製の内皮16」は、それぞれ、本件発明1の「熱可塑性樹脂発泡シート」及び「熱可塑性樹脂フィルム」に相当する。そして、甲1発明の「シート17」は、「発泡スチロール製の外皮15の片側表面にハイインパクトポリスチレン製の内皮16を貼り合わせた2層構造」であって、発泡スチロール製の外皮15の片面にハイインパクトポリスチレン製の内皮16が積層されたものといえるから、甲1発明の「発泡スチロール製の外皮15の片側表面にハイインパクトポリスチレン製の内皮16を貼り合わせた2層構造のシート17」は、本件発明1の「熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シート」に相当する。
また、甲1発明の「内皮16側が容器1の内側に位置する」は、容器の形態からみて、本件発明1の「前記熱可塑性樹脂フィルムが内表面側となる」に相当し、甲1発明の「真空圧空成形」は本件発明1の「成形加工」に相当する。
また、甲1発明の「食品が入れられる凹状部分」は本件発明1の「被収容物が収容される収容凹部」に相当し、甲1発明の「開口部11の周囲に設けられたフランジ部12」は、その形態からみて、本件発明1の「該収容凹部の開口縁から外側に向けて張り出した突出部」に相当し、甲1発明の「収容凹部」と「フランジ部12」とが形成された「容器1」は、本件発明1の「収容凹部」と「突出部」とが形成された「容器本体部」に相当し、甲1発明の「発泡樹脂製容器」は、本件発明1の「容器」に相当する。
また、甲1発明の「リブ13」は、「フランジ部12における外周部」において、その「上面が凹状部分の開口部11の近傍のフランジ部12の上面に比して下位となるように」「発泡スチロール製の外皮15が圧縮されて厚みが薄くなって」いるものであるから、本件発明1の、「突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるように」「熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなって」いる「端縁部」に相当する。

よって、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
熱可塑性樹脂発泡シートの片面に熱可塑性樹脂フィルムが積層された発泡積層シートが用いられ、前記熱可塑性樹脂フィルムが内表面側となるように前記発泡積層シートが成形加工されて、被収容物が収容される収容凹部と、
該収容凹部の開口縁から外側に向けて張り出した突出部とが形成された容器本体部を有する容器であって、
前記突出部の端縁部の上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるように、突出部の端縁部において前記熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっており、
該端縁部の下面側が平坦に形成されている容器。

<相違点>
本件発明1は、「該突出部の少なくとも端縁部の上面側には、凸形状の高さが0.1?1mmとなり隣り合う凸形状の間隔が0.5?5mmとなるように凹凸形状が形成され」ているのに対し、甲1発明では、フランジ部12のリブ13の上面側が平坦に形成されている点。

(イ)相違点についての検討
本件発明1の「該突出部の少なくとも端縁部の上面側には、凸形状の高さが0.1?1mmとなり隣り合う凸形状の間隔が0.5?5mmとなるように凹凸形状が形成され」ているという記載は、「少なくとも」がどの用語に係るのかが明らかでなく、不明瞭である。
そこで、本件特許明細書を参酌するに、段落【0033】には、容器本体部10の形成に用いられる雄型100について、「この雄型100には、容器本体部10の形成に用いられる箇所の最も外側部分に位置する箇所に、前記容器本体部10の端縁部15に凹凸形状を形成させるための凹凸形成部102が備えられている。また、この凹凸形成部102の内側には、端縁部15以外の突出部14を形成するための突出部形成部103が備えられている。」と記載されており、当該記載からは、端縁部15以外の突出部14には凹凸形状が形成されていない。
そして、本件特許明細書の他の記載においても、端縁部15以外の突出部14に凹凸形状が形成される点は一切記載されていない。
そうすると、本件発明1の「該突出部の少なくとも端縁部の上面側には、凸形状の高さが0.1?1mmとなり隣り合う凸形状の間隔が0.5?5mmとなるように凹凸形状が形成され」ているという記載は、突出部の端縁部の上面側のみに「凹凸形状」を形成することを意味すると理解される。

ここで、甲2には、上記1.(2)に摘記したとおりの記載があり、容器の蓋体をシールする鍔部を開口部周辺に有する容器を、発泡シートの少なくとも片面にフィルムが積層された積層発泡シートから成形する、成形用金型において、容器の鍔部に対応する成形型の突出部分3に凹凸形状を形成することで、容器の鍔部におけるフィルムと発泡シートとの剥離強度を上げたことが記載されている。
一方、甲1は、蓋を容器1の外周部113に係止するものである(上記1.(2)オ.の段落 【0019】)から、甲1発明のフランジ部12のリブ13において、ハイインパクトポリスチレン製の内皮16と発泡スチロール製の外皮15との剥離強度を上げる動機付けは存在しない。

また、甲2に記載された容器において、鍔部は、凹凸形状を有する成形型によりその上面に凹凸が形成されるものと認められるところ、当該容器の鍔部は、上記1.(2)ケ.に摘記した図1に示されるように、金型1の鍔部に対応する部分3により形成される、容器の開口縁からはみ出した部分であって、本件発明1の「該収容凹部の開口縁から外側に向けて張り出した突出部」に相当するものであり、その端縁の部分には、本件発明1の「端縁部」のような、その上面が収容凹部の開口縁近傍の鍔部の上面に比して下位となるように、発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっている構成は存在していない。
したがって、甲2には、本件発明1の「端縁部」に相当する部分の上面側のみに凹凸形状が形成されることは記載されていないから、仮に甲1発明に甲2に記載された事項を組み合わせても、本件発明1の上記相違点に係る構成を得ることはできない。

(ウ)請求人の主張について
a.請求人は、本件発明1の「端縁部」とは、明確な定義がないものの、「突出部」の一部であると解され、また、本件発明1は、フィルム端縁で指等を裂傷するという課題を解決するために「端縁部」の上面側に凹凸形状を形成したものであるから、この解決課題及びそれを解決するための構成からすれば、本件発明1の「端縁部」とは、単に、指等が接する「(突出部の)端縁を含む部分」を意味するものと解され、ここで、本件発明1は、構成要件Dのとおり、「突出部の少なくとも端縁部」の上面側に凹凸形状が形成されている容器であるから、本件発明1は、「突出部」全体の上面側に凹凸形状が形成されている態様の容器を含む旨主張する(請求人要領書 (4-2-1))。
しかし、本件発明1における「端縁部」とは、請求項1の記載に鑑みれば、単に「突出部の端縁を含む部分」を意味するだけではなく、その上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるとともに、熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっている構成を有する部分であるから、本件発明1の「端縁部」とは、単に、指等が接する「(突出部の)端縁を含む部分」を意味するものと解されるとする請求人の主張は、本件特許請求の範囲の記載に基づくものではなく、採用できない。
そして、上記(イ)で検討したとおり、本件特許明細書の記載に基づけば、本件発明1の「該突出部の少なくとも端縁部の上面側には、凸形状の高さが0.1?1mmとなり隣り合う凸形状の間隔が0.5?5mmとなるように凹凸形状が形成され」ているという記載において、「凹凸形状」は、突出部の端縁部のみにおいて、その上面側に形成されているものと解釈されるから、本件発明1は、「突出部」全体の上面側に凹凸形状が形成されている態様の容器を含むとする請求人の主張についても、採用できない。

b.請求人は、本件発明1の「端縁部」とは、単に、指等が接する「(突出部の)端縁を含む部分」を意味するものと解されるから、甲2に記載された金型1における鍔部に相当する突出部分3で形成される鍔部の端縁を含む部分が、本件発明1における「端縁部」に相当し、甲2発明では、「端縁部」を含む「突出部」全体の上面側に凹凸形状が形成されているから、甲2には、構成要件Dにおける「突出部の少なくとも端縁部」の上面側に凹凸形状が形成されている点について開示されている旨主張する(請求人要領書 (4-2-2)ア、ウ)。
しかしながら、上記(イ)で検討したとおり、甲2には、本件発明1の「端縁部」に相当する部分の上面側のみに凹凸形状が形成されることは記載されていないから、請求人の主張は採用できない。

c.請求人は、本件特許の出願時点において自明であった発泡積層シートの樹脂フィルムの端縁で指等を裂傷する怪我を防止するという課題を解決するために、発泡積層シートによる容器における突出部の端縁部を含む部位の樹脂フィルム側の面に所定寸法の凹凸形状を形成することは、本件特許の出願時点において自明であった一定の課題(発泡積層シートの樹脂フィルムの端縁で指等を裂傷する怪我を防止する)を解決するための設計的事項であるから、動機付けがなくとも、甲1発明から出発して、当業者が、甲2発明を適用して本件発明1に容易に到達する論理付けが可能であり、また、甲1発明の樹脂フィルムを用いた発泡積層シートの容器にも、甲2発明の樹脂フィルムを用いた発泡積層シートの容器にも、樹脂フィルムの端縁で指等を裂傷する怪我を防止するという自明な課題が存していたといえるから、甲1発明と甲2発明とでは課題の共通性が認められ、甲1発明に甲2発明を適用する動機付けもあった旨主張している(請求書(2-2-5)イ(エ)、請求人要領書(4-1-1))。
しかしながら、動機付けの有無に関わらず、上記(イ)で検討したとおり、仮に甲1発明に甲2に記載された事項を組み合わせても、本件発明1の上記相違点に係る構成を得ることはできないから、請求人の主張は採用できない。

(エ)小括
よって、本件発明1は、甲1発明及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ.本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の発明特定事項の全てを包含し、さらに限定されたものであるから、本件発明1と同様に、本件発明2、3は甲1発明及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ.無効理由1についての結論
以上のとおり、本件発明1?3は、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、特許法第123条第1項第2号に該当しない。
よって、本件発明1?3に係る特許は、無効理由1により無効とすることができない。

(2)無効理由2(特許法第29条第2項、甲1発明と周知慣用技術の組み合わせ)について
ア.本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明との対比については、上記(1)ア.(ア)で検討したとおりである。

(イ)相違点についての検討
上記(1)(イ)で検討したとおり、本件特許明細書の記載に基づけば、本件発明1の「該突出部の少なくとも端縁部の上面側には、凸形状の高さが0.1?1mmとなり隣り合う凸形状の間隔が0.5?5mmとなるように凹凸形状が形成され」ているという記載において、「凹凸形状」は、突出部の端縁部のみにおいて、その上面側に形成されているものと解釈される。
ここで、甲3、5?7には、それぞれ、上記1.(3)、(5)?(7)で摘記したとおりの記載があり、樹脂フィルムによる容器の外側端面の上面も下面も凹凸形状とすることは、甲3、5?7の各々に示されている周知慣用技術である。
本件発明1の「端縁部」とは、突出部の端縁の部分において、その上面が収容凹部の開口縁近傍の突出部の上面に比して下位となるように熱可塑性樹脂発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっている部分である。そうすると、甲3、5?7には、本件発明1の「端縁部」のような、その上面が収容凹部の開口縁近傍の鍔部の上面に比して下位となるように、発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっている構成は記載されていない。
よって、甲3、5?7の各々には、本件発明1の「端縁部」に相当する部分の上面側のみに凹凸形状が形成されることは示されていないから、甲1発明に当該甲3、5?7の各々に示されている周知慣用技術を組み合わせても、本件発明1の上記相違点に係る構成を得ることはできない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び周知慣用技術に基いて容易に発明することができたとはいえない。

(ウ)請求人の主張について
発泡積層シートによる容器の突出部の端縁部の上面側(樹脂フィルム側)を含む部位に凹凸形状を形成する製造方法は、甲2並びに甲19の1及び甲19の2に記載されており、本件特許の出願時点における技術常識であり、甲1発明に甲3、5?7の各々に示されている周知慣用技術を適用する際に、甲1発明の発泡積層シートによる容器の製造において、甲19等に記載されている種々の成形方法を適宜選択して用いることにより、端縁部の上面側に位置する樹脂フィルム側に所定寸法の凹凸形状を形成すること、すなわち、甲1発明の発泡積層シートによる容器の突出部の端縁部の上面側(樹脂フィルム側)に所定寸法の凹凸形状を形成することにより、本件発明に到達すること(相違点にかかる構成を得ること)は、当業者が通常行い得る単なる設計的な事項に過ぎない旨主張している。(請求書 (2-2-6)イ(ア)c)
また、甲2に記載された金型1における鍔部に相当する突出部分3で形成される鍔部の端縁を含む部分が、本件発明1における「端縁部」に相当し、甲2発明では、「端縁部」を含む「突出部」全体の上面側に凹凸形状が形成されており、甲19における周辺鍔部の端縁を含む部分が、本件発明1における「端縁部」に相当し、甲2及び甲19では、「端縁部」を含む「突出部」全体の上面側に凹凸形状が形成されているから、甲2及び甲19には、構成要件Dにおける「突出部の少なくとも端縁部」の上面側に凹凸形状が形成されている点について、開示されている旨主張している(請求人要領書 (4-2-2)イ、ウ)。
そこで、上記請求人の主張について検討する。
上記(1)ア.(イ)で検討したとおり、甲2の容器には、本件発明1の「端縁部」に相当する部分は存在しないし、また、甲2には、当該「端縁部」に相当する部分の上面側のみに凹凸形状が形成されることは記載されていない。
また、甲19には、上記1.(14)で摘記したとおりの記載があり、ポリスチレン発泡シートよりなる基材(3)の少なくとも一面にポリスチレン系二軸延伸フイルム(2)を積層してなるラミネートシートを前記ポリスチレン系二軸延伸フイルム(2)が内面側となるようにして周縁鍔部(4)を有する皿状体に成形するとともに、前記周縁鍔部(4)の表面の全周に凹凸模様を均等に分散せしめたトレーが記載されている。
しかしながら、当該トレーの周縁鍔部は、皿状体の開口部周辺の部分全体を指すものであって、本件発明1の「該収容凹部の開口縁から外側に向けて張り出した突出部」に相当するものであるが、その端縁の部分には、本件発明1の「端縁部」に相当する、その上面が皿状体の開口縁近傍の周縁鍔部の上面に比して下位となるように、ポリスチレン発泡シートが圧縮されて厚みが薄くなっている構成は存在していないから、甲19には、本件発明1の「端縁部」に相当する部分は記載されておらず、ましてや、当該「端縁部」のみの上面側に凹凸形状が形成されることも記載されていない。
したがって、甲2並びに甲19には本件発明1の「端縁部」に相当する部分の上面側に凹凸形状が形成されているとする請求人の主張については、採用することができず、当該主張を前提として、甲1発明に甲3、5?7の各々に示されている周知慣用技術を適用する際に、甲1発明の発泡積層シートによる容器の製造において、甲19等に記載されている種々の成形方法を適宜選択して用いることにより、本件発明に到達することは当業者が通常行い得る単なる設計的な事項に過ぎないとする請求人の主張についても、採用することはできない。

(エ)小括
よって、本件発明1は、甲1発明及び周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ.本件発明2、3について
本件発明2、3は、本件発明1の特定事項の全てを包含し、さらに限定されたものであるから、同様に、本件発明2、3は甲1発明及び周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

ウ.無効理由2についての結論
以上のとおり、本件発明1?3は、甲1発明及び周知慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、特許法第123条第1項第2号に該当しない。
よって、本件発明1?3に係る特許は、無効理由2により無効とすることができない。

第6 まとめ
以上のとおり、本件発明1、2及び3に係る特許は、請求人の主張する無効理由1、2によっては無効とすることはできない。
審判費用については、特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2020-01-08 
結審通知日 2020-01-10 
審決日 2020-01-27 
出願番号 特願2008-52392(P2008-52392)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾形 元  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 中村 一雄
佐々木 正章
登録日 2013-07-05 
登録番号 特許第5305693号(P5305693)
発明の名称 容器  
代理人 東崎 賢治  
代理人 上野 さやか  
代理人 長坂 省  
代理人 ▲高▼梨 義幸  
代理人 深澤 拓司  
代理人 三村 量一  
代理人 森▲崎▼ 博之  
代理人 面山 結  
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