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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1361260
審判番号 不服2019-131  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-08 
確定日 2020-03-31 
事件の表示 特願2016-512383「C5ARアンタゴニストの使用」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月13日国際公開、WO2014/180961、平成28年 8月12日国内公表、特表2016-523829〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年5月8日(パリ条約による優先権主張 2013年5月8日 (EP)欧州特許庁、2013年 5月9日 (US)アメリカ合衆国、2014年 1月21日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 3月 9日付け:拒絶理由通知書
平成30年 6月19日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年10月29日付け:拒絶査定
平成31年 1月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成31年 2月 8日付け:前置報告
平成31年 2月27日 :上申書の提出

なお、請求人は平成31年2月27日提出の上申書において、前置報告書に対する上申書を2019年5月25日までに提出することを予定しているが、上記期限までに上申書が提出されない場合には審判請求時の主張に基づいて審理するよう主張しているところ、その後、新たな上申書は提出されていない。


第2 平成31年1月8日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成31年1月8日受付の手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】 C5aRの2番目の細胞外ループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成る、関節炎を有する対象の関節リウマチ関連骨損傷の治療において使用するための剤。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成30年6月19日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】 C5aRの2番目のループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成る、関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷の治療又は予防において使用するための剤。」

2 補正の適否
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ループ」について「細胞外」との限定を付加すると共に、「関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷」を「関節炎を有する対象の関節リウマチ関連の骨損傷」と限定するものであって、補正前後において、請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明1」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明1
本件補正発明1は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載及び引用発明
ア 原査定で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2011-515073号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載がなされている。

(ア)「【請求項1】
i)配列番号31、配列番号32、配列番号33および配列番号48の1つまたは複数と少なくとも93%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む免疫グロブリン軽鎖、ならびに/または
ii)配列番号34、配列番号35、配列番号36および配列番号39の1つまたは複数と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む可変領域を含む免疫グロブリン重鎖
を含み、ヒトC5aRに結合する、実質的に精製された、かつ/または組換えのヒト化抗体。
(中略)
【請求項31】
請求項1から16もしくは19のいずれか一項に記載の抗体、請求項17に記載の免疫グロブリン軽鎖、請求項18に記載の免疫グロブリン重鎖、請求項20から26のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項27に記載のポリヌクレオチド、請求項28に記載のベクターおよび/または請求項29に記載の宿主細胞ならびに担体を含む組成物。
(中略)
【請求項37】
対象において障害を治療または予防する方法であって、請求項1から16もしくは19のいずれか一項に記載の抗体、請求項20から26のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項27に記載のポリヌクレオチド、請求項28に記載のベクター、請求項29に記載の宿主細胞および/または請求項31に記載の組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項38】
障害が免疫病理学的障害である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
免疫病理学的障害が自己免疫疾患である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
障害が炎症性疾患である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
炎症性疾患が急性炎症または慢性炎症である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
免疫病理学的障害または炎症性疾患に白血球遊走および/または白血球活性化が関与する、請求項39から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
免疫病理学的障害または炎症性疾患に補体活性化が関与する、請求項39から41のいずれか一項に記載の方法。
(中略)
【請求項50】
対象において障害を治療または予防するための医薬品としての、請求項1から16もしくは19のいずれか一項に記載の抗体、請求項20から26のいずれか一項に記載のコンジュゲート、請求項27に記載のポリヌクレオチド、請求項28に記載のベクター、請求項29に記載の宿主細胞および/または請求項31に記載の組成物の使用。」

(イ)「【0001】
本発明は、ヒトC5a受容体に結合するヒト化抗体ならびに治療薬および診断薬としてのその使用を対象とする。本発明はさらに、前記ヒト化抗体をコードする核酸配列および組換え宿主細胞におけるその発現を対象とする。特に、本発明は、ヒトC5a受容体に特異的に結合するマウス抗体7F3に由来するヒト化抗体を対象とする。
【背景技術】
【0002】
補体タンパク質C3?C5はそれぞれタンパク質分解されると、アナフィラトキシンと呼ばれるシグナル伝達分子を有するアミノ末端カチオン性断片が生じる。これらの中で最も強力であるC5aは、最も広範な応答を誘発する。白血球の辺縁趨向および浸潤、顆粒結合性タンパク質分解酵素の放出、活性化酸素および窒素由来ラジカルの生成、血流および毛細管漏出の変化、ならびに平滑筋の収縮能力などの炎症反応の要素を考慮すると、C5a分子は「完全な」前炎症性メディエータである。ナノモル以下からナノモルのレベルでは、C5a分子は、すべての骨髄細胞系列(好中球、好酸球および好塩基球、マクロファージおよび単球)の走化性を誘発し、プロスタグランジンによって著しく増強される血管透過性および白血球循環を引き起こす。より高いナノモル濃度では、脱顆粒およびNADPHオキシダーゼの活性化が誘発される。生物活性のこの幅は、他の炎症性メディエータとは対照的である。C5aは、関節リウマチ、乾癬、敗血症、再潅流傷害および成人呼吸窮迫症候群を含めた様々な発病に関与するとされている(GerardおよびGerard、1994;MurdochおよびFinn、2000)。」

(ウ)「【0165】
一態様において、本発明は、対象における障害を治療または予防する方法を提供する。本明細書で用いられる「障害」とは、正常な機能の破壊またはこれに対する干渉である。
【0166】
ある実施形態において、障害とは、免疫病理学的障害である。
【0167】
免疫病理学とは、免疫学的原因を有する疾患の研究であり、免疫学的疾患とは、抗原に対する抗体の反応により引き起こされる任意の状態である。したがって、「免疫学的障害」とは、抗原に対する抗体の反応から生じる障害と定義することができ、これには、自己免疫疾患および感覚過敏反応(例えば、I型:アナフィラキシー、蕁麻疹、食物アレルギー、喘息;II型:自己免疫性溶血性貧血、血液透析反応;III型:血清病、壊死性血管炎、糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス;IV型:接触皮膚炎、移植拒絶)が含まれる。
(中略)
【0180】
本発明の医薬組成物はまた、他の薬剤との組合せ療法の一部としても投与することができる。このような他の療法/薬剤は、当業者によく知られている。一実施形態において、障害は、関節リウマチであり、他の治療薬は、それだけに限らないが、アザチオプリン、・・から選択される。(以下、略)」

(エ)「【0230】
産生しアッセイしたヒト化抗体のリスト
表4は、産生された種々の抗体を列挙し、抗体中に存在する重鎖および軽鎖の配列を示す。
【0231】
【表4】



(オ)「【0248】
第2細胞外ループ由来のペプチドへの抗体結合
第2細胞外ループ中のヒト化抗C5aR抗体が結合するエピトープをさらに規定するために、それぞれ次のペプチドから1残基ずつずれた、ヒトC5aRの第2細胞外ループにわたる22の重複するペプチド(12マー)のセットを合成した。これらのペプチドに対する抗体の結合を、ペプチドELISAによって分析した。
【0249】
7F3によるペプチド結合パターンは、ヒト化7F3抗体hAb-QおよびhAb-Jによるパターンと類似していた。これらのヒト化抗体は、ペプチド4および5ならびにペプチド23に、最も強く結合した(図14Aおよび14B)。ペプチド23は、ヒトC5aRの完全な第2細胞外ループである(配列番号37の残基173?205)。(以下、略)」

(カ)「【実施例11】
【0354】
マウスの試験
KRNトランスジェニックマウス系は、C57BL/6バックグラウンドで自己抗原グルコース-6-リン酸イソメラーゼ(GPI)を認識するT細胞受容体を含有する。これらのマウスをNODマウスと交配すると、トランス遺伝子陽性F1子孫(K/BxN)は、GPIに対する循環抗体によって媒介される自己免疫様疾患を自然に発症する(Kouskoffら、1996)。関節炎K/BxNマウス由来の血清は他の系統に移すことができ、そこで自己抗原免疫複合体は、別の補体経路、次にC5aR-およびFcガンマRIII媒介性細胞活性化および前炎症性サイトカインの生成を活性化する(Jiら、2002)。好中球、マスト細胞およびマクロファージは、このモデル中の病状の発症において重要な役割を果たす(Wipke and Allen、2001;Leeら、2002;Solomonら、2005)。観察した炎症性の表現型は、関節破壊を伴う慢性進行性疾患の状態を含めたヒト関節リウマチの指標の多くの特徴をなす(Kyburz and Corr、2003)。
(中略)
【0363】
B.ヒト化抗C5aR抗体は、関節リウマチのマウスモデル中の関節炎症の兆候および症状を低減する:抗体用量、抗体血清濃度、受容体専有と有効性の間の関係
ヒト化抗C5aR抗体の治療的投与の前に、マウスにおいて実験関節炎を誘導した。抗体用量、血清中抗体濃度、抗体によるC5aR専有のレベルとマウス中の関節炎症に対する影響の間の関係を調べた。
【0364】
方法
動物
8?16週齢(平均約12)のC57BL/6バックグラウンドの雄および雌のヒトC5aRノックイントランスジェニックマウス(Leeら、2006)を、Garvan Institute、シドニーまたはAnimal Resources Centre、パースでの繁殖コロニーから入手した。
(中略)
【0367】
実験関節炎の誘導および測定
前に記載したように第0日および第2日に150μlのK/BxN血清を腹腔内注射することによって、レシピエントマウスにおいて実験関節炎を誘導した。第5日に、第0日からの足サイズの変化(mm単位)と臨床値を掛けることによって、「RA値」をそれぞれのマウスに関して計算した。0.5を超えるRA値を有していたマウスのみを試験の治療段階に進めた。炎症性関節炎は、雄の約90%および雌マウスの50%において発症した。
【0368】
試験設計-概観および群の大きさ
この試験は、抗C5aR抗体を用いた治療の開始前後の、様々な時間でのK/BxN疾患モデルにおける炎症、in vivoでの受容体専有、および血清抗体濃度を測定するために設計した。このモデルにおける疾患の過程は約3週間以内で一般に消散する。炎症の兆候および症状は、K/BxNマウス由来の血清を用いた免疫処置の1日または2日以内に明らかである。炎症は第10?14日辺りがピークであり、その後ゆっくりと低下する。
【0369】
これらの状況を考慮して、以下のスケジュールを分析に採用した:
炎症:足サイズおよび臨床値は、第0日(最初の血清注射前)、第2日(第二回目の血清注射前)、第5日(治療開始前)、次いで第6日、第7日、第8日、第9日、第10日、第11日、第12日、第14日および第16日に測定した。炎症は群当たり少なくとも10匹のマウスで決定した。
【0370】
血清抗体濃度:(略)
【0371】
受容体飽和:(略)
【0372】
治療
この試験に入れるために選択したマウスはランダムに5群に分けて、第5日に5つの治療の1つを施した:
1.PBS、腹腔内
2.huIgG対照抗体、腹腔内、@8mg/kg
3.hAb-Q、腹腔内、@1mg/kg
4.hAb-Q、腹腔内、@3mg/kg
5.hAb-Q、腹腔内、@10mg/kg
(中略)
【0374】
群1(PBS対照)は抗体で治療せず、これを使用して受容体飽和、活性化およびPK分析のベースラインを設定した。群2は、無関係なヒトIgG抗体で治療した陰性対照群であった。群3?5には抗C5aR治療を与えた。
(中略)
【0382】
結果
数匹の200hC5aRKO/KIマウスを、2日間隔で(第0日と第2日)K/BxNマウス由来の血清を用いて2回免疫処置して、レシピエントマウスの足における膨張した関節および指として現れる炎症性関節炎を誘導した。第5日までに、約70%のマウス(約85%の雄および約60%の雌)が、足および関節のある程度の膨張および発赤を発症した。0.5を超える「RA値」を有するマウスを、群当たり11?12マウスの5つの治療群にランダムに選別した。それぞれの群には、5つの治療-1、3および10mg/kgの用量でのPBSに溶かしたhAb-Q、8mg/kgの用量でのPBSに溶かした対照抗体(無関係な抗原に対するヒトIgG)およびPBSのみの1つを施した。次の11日間、マウスを定期的にモニタリングし、臨床値を割り当て、足サイズ(足首の太さ)を測定した。受容体占有率および抗体血清濃度を決定するために、第5.5日、第6日、第7日、第8日、第9日、第10日、第12日、第14日および第16日に、血液試料は尾静脈から、または心穿刺によって回収した。
【0383】
ヒト化抗C5aR抗体は、用量依存式に炎症性関節炎のK/BxNモデルにおいて炎症を逆行させる
それぞれの治療群に関する第0日からの平均臨床値および足サイズの変化を図36中に示す。このデータは、hAb-Qはin vivoで炎症の兆候および症状を低減する際に有効であったことを示す。用量応答の関係を観察し、10mg/kgの用量は3および1mg/kgの用量より明らかに有効であった。2つの対照群を比較すると、10mg/kgのhAb-Qは投与後1週間炎症および臨床値を低減および制御し、3mg/kgのhAb-Qは約5日間炎症の任意のさらなる増大を阻止したが、既存の炎症を低減することはできず、かつ1mg/kgのhAb-Qは有効ではなかった。最後の3?5日の行程中、10mg/kgと3mg/kgの群の両方において炎症値の上昇の傾向があった。hAb-Qの1つの用量のみを第5日に与えた。以下に示すように、炎症の低減または安定(さらなる増大なし)は、高い受容体飽和度および血清抗体濃度と関係があった。これらが低下すると、炎症は回復した。
(中略)
【0390】
総合すると、これらのデータは、高い受容体占有率は血清中の高い抗体濃度に依存し、かつ組織切片中で観察し足サイズおよび臨床値の低減によって測定した関節内の白血球の減少は、高レベルの受容体占有率(少ない「遊離」受容体)に依存するという提言を支持する。遊離受容体なしでは、C5aはC5aRと結合して、白血球の活性化および血液から炎症部位への白血球の遊走、ならびに組織中での補体活性化を引き起こすことはできない。」

(キ)
「【配列表フリーテキスト】
【0423】
(中略)
配列番号31:ヒト化7F3 V領域軽鎖h7Vkアミノ酸配列。
(中略)
配列番号36:ヒト化7F3 V領域重鎖h7bVhアミノ酸配列。
(中略)
配列番号41:ヒト軽鎖定常領域hCκ。
(中略)
配列番号45:ヒト重鎖定常領域hCγ4P。
(中略)
配列番号58:ヒトC5aRの第2細胞外ループの断片。」

(ク)「【図面の簡単な説明】
【0084】
(中略)
【図36】図36は、炎症性関節炎のモデルにおける疾患の進行を示す図である。1?10mg/kgのhAb-Qの5日目の腹腔内投与後の、hC5aRノックインマウス(1群当たりn=10+)におけるK/BxN血清によって誘発される炎症の復帰が、群平均の足サイズ(A)および臨床スコア(B)の変化によって示される。」

(ケ)「【図36】



上記記載(カ)、(ク)及び(ケ)からみて、引用文献1には、「関節破壊を伴う慢性進行性疾患の状態を含めたヒト関節リウマチの指標の多くの特徴をなす、炎症性関節炎のK/BxNマウスモデルにおいて、用量依存的に炎症を逆行させるヒト化抗C5aR抗体であるhAb-Qを含む組成物」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認める。

イ 原査定で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物であるINFLAMMATION RESEARCH,2007年,V56 SUPPL.3,P S401のFC11.1(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載がなされている(なお、引用文献3は外国語で記載されているので、合議体による日本語訳にて摘記する。)。
「C5aは、補体活性化の間に産生される強力な炎症メディエーターである。好中球及び他の白血球上のその受容体(C5aR)を介した制御されていないC5aシグナルは、関節リウマチや全身エリスマトーデスを含む自己免疫疾患の病態に関与している。ヒトの治療のためのC5aRアンタゴニストの開発にかなりの努力がなされている。我々は、マウスのC5aRコード領域がヒトのC5aR配列と置換されるように遺伝子工学的に修飾されたヒトC5aRノックインマウスから好中球を得て、ヒトC5aRに対する高親和性を有するモノクローナル抗体アンタゴニストを産生するために、野生型マウスを免疫した。モノクローナル抗体は、C5a誘導性の好中球の走化性とカルシウム流動(フラッックス)を阻害し、受容体活性に重要であろうと思われる第2の細胞外ループ領域に結合する。本研究では炎症性関節炎の血清移行K/BxNモデルにおけるモノクローナル抗体の有効性を調査した。ヒトC5aRノックインマウスは、炎症性関節炎が発達する前及び後に腹腔内に1?10mg/kgのモノクローナル抗体を投与された。血清移行の一日前に抗C5aR抗体で処置されたマウスでは、コントロールとは対照的に、腫れや関節炎の臨床的な徴候は見られなかった。抗C5aR抗体を処置されたマウスの関節の組織病理学では、コントロールでは見られた白血球の大量流入や軟骨侵食が完全に阻害されることが明らかになった。さらに、最も重要なことには、疾患開始から5日後に、抗C5aR抗体を1mg/kg単回投与したことにより、炎症を完全に逆行させた。コラーゲン誘導関節(CIA)モデルにおいて、炎症の発達した後の抗C5aRモノクローナル抗体の投与もまた、炎症をベースラインまで抑えた。これらの有力なヒトC5aRに対する新しい抗体は、前臨床試験中である。」(全文)

上記記載からみて、引用文献3には、
「関節リウマチや全身エリスマトーデスを含む自己免疫疾患の病態に関与している、好中球及び他の白血球上の受容体(C5aR)を介した、制御されていないC5aシグナルのアンタゴニストである抗C5aRモノクローナル抗体であって、C5a誘導性の好中球の走化性とカルシウム流動(フラックス)を阻害し、受容体活性に重要であろうと思われる第2の細胞外ループ領域に結合する、以下の活性を有するモノクローナル抗体を含む組成物
炎症性関節炎の血清移行K/BxNモデルにおいて、炎症性関節炎が発達する前に投与することにより、腫れや関節炎の臨床的な徴候を抑制し、白血球の大量流入や軟骨侵食を完全に阻害する、及び、
炎症性関節炎の血清移行K/BxNモデルにおいて、疾患開始後に投与することにより、炎症を完全に逆行させる。」(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認める。

ウ 原査定で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である C5aによる破骨細胞誘導促進機構およびC5a受容体拮抗薬による抑制効果、日本骨代謝学会学術集会プログラム抄録集、2006年、Vol.24、p.177(以下、「引用文献5」という。)には、以下の記載がなされている。
(ア)「末梢血単球のC5aによる遊走はC5a受容体拮抗薬(W-54011)添加により阻害された。さらに、単球から破骨細胞への成熟誘導もC5a受容体拮抗薬添加により顕著に阻害された。」
(イ)「今回の結果より、C5a受容体拮抗薬が破骨細胞への分化・成熟誘導を抑制しうることから、RAにおける骨粗鬆症化および罹患関節における骨破壊の制御を可能にし、RAの骨関節破壊制御の有力な治療標的となり得ることが示唆された。」

(3)対比・判断
ア 本件補正発明1と引用発明1との対比・判断
引用発明1の「hAb-Q」は、上記(2)ア(ア)、(エ)、(オ)及び(キ)の記載からみて、C5aRの第2細胞外ループに結合する抗体であるから、引用発明1の「炎症性関節炎のK/BxNマウスモデルにおいて、用量依存的に炎症を逆行させるヒト化抗C5aR抗体であるhAb-Q」は、本件補正発明1の「C5aRの2番目の細胞外ループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成」り、「関節炎を有する対象」を「治療」に相当し、両者は、
「C5aRの2番目の細胞外ループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成る、関節炎を有する対象を治療する組成物」である点で一致し、
本件補正発明1は、組成物が、関節炎を有する対象の「関節リウマチ関連骨損傷の治療において使用するための剤」であることが特定されているのに対して、引用発明1は、「関節破壊を伴う慢性進行性疾患の状態を含めたヒト関節リウマチの指標の多くの特徴をなす、炎症性関節炎のK/BxNマウスモデル」において炎症を逆行させたことが記載されているものの、「関節リウマチ関連骨損傷の治療において使用するための剤」であることは特定されていない点で相違するものである。

上記相違点について検討する。
本願の請求項1?4の記載は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
C5aRの2番目の細胞外ループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成る、関節炎を有する対象の関節リウマチ関連骨損傷の治療において使用するための剤。
【請求項2】
骨損傷が、骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数を含む、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
骨損傷及び軟骨分解の治療において使用するための、請求項1又は請求項2に記載の剤。
【請求項4】
治療が骨損傷の速度及び/又は軟骨分解の速度を低下させるためである、請求項2又は請求項3に記載の剤。」

本願の請求項1の引用形式で記載される請求項2のさらなる引用形式で記載される請求項4の記載からみて、本件補正発明1の「骨損傷の治療」とは、「骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数を含む骨損傷の速度及び/又は軟骨分解の速度を低下させる」態様を含むものである。
上記(2)ア(イ)及び(ウ)には、C5aは関節リウマチに関与すること、及び、引用発明1の抗C5aR抗体を含む組成物は、関節リウマチ等の障害の治療または予防のために用いられることが記載されている。
引用文献5には、C5a受容体拮抗薬が破骨細胞への分化・成熟誘導を抑制しうることから、RA(関節リウマチ)における骨粗鬆症化および罹患関節における骨破壊の制御を可能にし、RAの骨関節破壊制御の有力な治療標的となり得ることが示唆されたことが記載されている。
引用文献1の抗C5aR抗体と引用文献5のC5a受容体拮抗薬はいずれもC5aRのアンタゴニストであり、両者はC5aRのアンタゴニストの関節治療への利用という共通の技術分野に属するものであるから、関節リウマチ等の障害の治療または予防のために用いられることが引用文献1に記載される、ヒト関節リウマチの指標の多くの特徴をなすモデルの炎症を逆行させる引用発明1の組成物について、関節リウマチの治療作用を有することを期待して、引用文献5の記載に基づき、関節リウマチにおける骨粗鬆症化や骨破壊の制御またはそれらの進行を制御する作用を確認し、治療対象を関節リウマチに関連する骨損傷と特定することは、当業者が容易に想到し得るものである。

審判請求書における請求人の主張について検討する。
請求人は、審判請求書において以下のように主張する。
引用文献1及び5では、本願に規定されたものと同様の「C5aRアンタゴニスト」を記載しているが、本願発明で初めて見出された「関節炎を有する対象の関節リウマチ関連骨損傷の治療」における用途については、記載も示唆もされていない。引用文献1に記載された「関節炎モデル」と、本願発明で規定された「関節リウマチ関連骨損傷を有する関節炎患者」とでは、本願発明の対象の方がずっと特定されたものであり、引用文献1に記載された発明から、このような特定の亜集団を限定的に対象とすることは決して動機づけられるものではない。

しかしながら、上述のとおり、引用発明1は「関節破壊を伴う慢性進行性疾患の状態を含めたヒト関節リウマチの指標の多くの特徴をなす、炎症性関節炎のK/BxNマウスモデル」の炎症を逆行させる組成物であり、引用文献1には、当該組成物が用いられる治療対象には関節リウマチが含まれることが記載されているところ、進行した関節リウマチの態様に関節軟骨及び骨の破壊等の骨損傷が含まれることは当該分野における技術常識であるから(要すれば、日本内科学会雑誌、第101巻 第10号(平成24年)p.2839-2843のp.2839左欄第2?11行等参照)、引用文献1に記載された発明から特定の亜集団を限定的に対象とすることは動機づけられないという請求人の上記主張は当を得たものとはいえない。

イ 本件補正発明1と引用発明3との対比・判断
引用発明3の「受容体活性に重要であろうと思われる第2の細胞外ループ領域」及び「好中球及び他の白血球上の受容体(C5aR)を介した、制御されていないC5aシグナルのアンタゴニストである抗C5aRモノクローナル抗体」は、本件補正発明1の「C5aRの2番目の細胞外ループ」及び「抗体であるC5aRアンタゴニスト」に相当する。また、引用発明3の「炎症性関節炎の血清移行K/BxNモデルにおいて、疾患開始後に投与することにより、炎症を完全に逆行させる」は、本件補正発明1の「関節炎を有する対象」の「治療」に相当し、両者は、
「C5aRの2番目の細胞外ループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成る、関節炎を有する対象を治療する組成物」である点で一致し、
本件補正発明1は、組成物が関節炎を有する対象の「関節リウマチ関連骨損傷の治療において使用するための剤」であることが特定されているのに対して、引用発明3には、C5aRを介した制御されていないC5aシグナルが関節リウマチに関与していることや、炎症性関節炎の血清移行K/BxNモデルにおいて炎症が抑制されたこと、また、炎症性関節炎が発達する前に投与することにより、軟骨侵食を完全に阻害することが記載されているものの、「関節リウマチ関連骨損傷の治療において使用するための剤」であることは特定されていない点で相違するものである。

上記相違点について検討する。
本願の請求項1の引用形式で記載される請求項2のさらなる引用形式で記載される請求項4の記載からみて、本件補正発明1の「骨損傷の治療」とは、「骨侵食及び骨密度の低下の1つ又は複数を含む骨損傷の速度及び/又は軟骨分解の速度を低下させる」態様を含むものである。

K/BxNマウスはヒトRA(関節リウマチ)によく似た症状を自然発症するモデルマウスであること、及び、K/BxN血清移行モデルを関節リウマチの治療薬の開発において利用することは、当該分野における周知技術である(要すれば、日本内科学会雑誌、第101巻 第10号(平成24年)p.2839-2843のp.2841右欄下から10?9行、特表2007-520212号公報の段落【0159】等参照)。
一方、引用文献5には、C5a受容体拮抗薬が、破骨細胞への分化や成熟誘導を抑制しうることから、RA(関節リウマチ)における骨粗鬆症化および罹患関節における骨破壊の制御を可能にし、RAの骨関節破壊制御の有力な治療標的となり得ることが示唆されたことが記載されている。
引用文献3の好中球及び他の白血球上の受容体(C5aR)を介した、制御されていないC5aシグナルのアンタゴニストである抗C5aRモノクローナル抗体と引用文献5のC5a受容体拮抗薬は、いずれもC5aRのアンタゴニストであり、両者は、C5aRのアンタゴニストの関節治療への利用という共通の技術分野に属するものであるから、上述のとおり、関節リウマチの治療薬の開発において利用することが周知のモデルマウスにおいて軟骨侵食を完全に阻害するものである引用発明3について、引用文献3及び引用文献5に記載の事項、並びに、周知技術に基づいて、関節リウマチ患者における軟骨侵食等の骨損傷の進行またはその速度を抑制する作用を確認し、治療対象を関節リウマチ関連骨損傷と特定することは、当業者が容易に想到し得るものである。

審判請求書における請求人の主張について検討する。
請求人は、審判請求書において以下のように主張する。
引用文献3及び5では、本願に規定されたものと同様の「C5aRアンタゴニスト」を記載しているが、本願発明で初めて見出された「関節炎を有する対象の関節リウマチ関連骨損傷の治療」における用途については、記載も示唆もされていない。引用文献3に記載された「関節炎モデル」と、本願発明で規定された「関節リウマチ関連骨損傷を有する関節炎患者」とでは、本願発明の対象の方がずっと特定されたものであり、引用文献3に記載された発明から、このような特定の亜集団を限定的に対象とすることは決して動機づけられるものではない。

しかしながら、上述のとおり、引用文献3には関節リウマチに関する記載がなされており、しかも、引用発明3は関節リウマチの治療薬の開発において利用されることが周知のK/BxN血清移行モデル(要すれば、特表2007-520212号公報の段落【0159】等参照)において軟骨侵食を阻害するものであるから、引用文献3に記載された発明から、特定の亜集団を限定的に対象とすることは動機づけられないとの請求人の上記主張は採用できない。

ウ 小括
したがって、本件補正発明1は、引用発明1、引用文献1及び引用文献5に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本件補正発明1は、引用発明3、引用文献3及び引用文献5に記載の事項、並びに、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもある。

そうすると、本件補正発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成31年1月8日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年6月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 C5aRの2番目のループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成る、関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷の治療又は予防において使用するための剤。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?11に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1、2又は3に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、また、引用文献1、2又は3に記載された発明及び引用文献5に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

1.特表2011-515073号公報
2.NATURE BIOTECHNOLOGY、2006、Vol.24,No.10、pp.1279-1284
3.INFLAMMATION RESEARCH、2007、V56 N SUPPL.3、P S401 FC11.1
5.C5aによる破骨細胞誘導促進機構およびC5a受容体拮抗薬による抑制効果、日本骨代謝学会学術集会プログラム抄録集、2006.発行、Vol.24th、p.177

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、3及び5ないしそれらの記載事項は、前記第2 2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
(1)特許法第29条第2項について
本願発明1の「2番目のループ」及び「関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷」は、それぞれ、前記「第2」で検討した本件補正発明1における「2番目の細胞外ループ」及び「関節炎を有する対象の関節リウマチ関連骨損傷」の上位概念であり、本願発明1は、前記「第2」で検討した本件補正発明1をそのままの態様で包含するものであるから、上記第2 2(3)で検討したとおり、本願発明1も、引用発明1、引用文献1及び引用文献5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、引用発明3、引用文献3及び引用文献5に記載の事項、並びに、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもある。

(2)特許法第29条第1項第3号について
ア 本願発明1と引用発明1との対比・判断
上記第2 2(3)アで検討したとおり、引用発明1の「hAb-Q」は、本願発明1の「C5aRの2番目の細胞外ループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニスト」に相当し、両者は、
「C5aRの2番目のループに結合する抗体であるC5aRアンタゴニストから成る、関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象を治療又は予防する組成物」である点で一致し、
本願発明1は、組成物が「関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷の治療又は予防において使用するための剤」であるとしてその用途が特定されているのに対して、引用発明1は、関節破壊を伴う慢性進行性疾患の状態を含めたヒト関節リウマチの指標の多くの特徴をなす、炎症性関節炎のK/BxNマウスモデルにおいて炎症を逆行させたことが記載されているものの、その用途は特定されていないという点で、一応相違するものである。

上記一応の相違点について検討する。
関節リウマチ等の慢性炎症性疾患では、関節炎の治療が行われない場合に進行して関節軟骨及び骨の破壊が生じることは、当該分野における技術常識である(要すれば、日本内科学会雑誌、第101巻 第10号(平成24年)p.2839-2843のp.2839左欄第2?11行等参照)。
すると、「関節破壊を伴う慢性進行性疾患の状態を含めたヒト関節リウマチの指標の多くの特徴をなす、炎症性関節炎のK/BxNマウスモデル」において用量依存的に炎症を逆行させる作用を有する引用発明1は、上記技術常識に照らせば骨損傷を予防することは明らかであるから、「関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷の治療又は予防において使用するための」なる特定は、引用発明1について未知の属性を見出し新たな用途を提供したとはいえず、本願発明1は引用発明1である。

イ 本願発明1と引用発明3との対比・判断
引用発明3の「受容体活性に重要であろうと思われる第2の細胞外ループ領域」及び「炎症性関節炎の血清移行K/BxNモデルにおいて、炎症性関節炎が発達する前に投与することにより、腫れや関節炎の臨床的な徴候を抑制し、白血球の大量流入や軟骨侵食を完全に阻害する」は、それぞれ、本願発明1の「C5aRの2番目のループ」及び「関節炎の1つ又は複数の症状を有する対象の骨損傷の予防」に相当し、両者の間に発明特定事項の差異はなく、本願発明1は引用発明3である。


第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであり、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-10-31 
結審通知日 2019-11-05 
審決日 2019-11-20 
出願番号 特願2016-512383(P2016-512383)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A61K)
P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 裕美子  
特許庁審判長 關 政立
特許庁審判官 吉田 知美
光本 美奈子
発明の名称 C5ARアンタゴニストの使用  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  

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