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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L |
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管理番号 | 1361279 |
審判番号 | 不服2018-4134 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-03-27 |
確定日 | 2020-04-01 |
事件の表示 | 特願2013-130330「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 1月 8日出願公開、特開2015- 5637〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成25年6月21日に特許出願したものであって、平成29年4月4日付け拒絶理由通知に対して同年10月11日付けで手続補正がなされたが、同年11月29日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成30年3月27日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされ、平成31年3月22日付け当審の拒絶理由通知に対して令和1年6月24日付けで手続補正がなされたものである。 2 本願発明 本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和1年6月24日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 それぞれが基板及び前記基板上に形成された複数のバンプ電極を有する複数の半導体チップが積層され、 前記複数の半導体チップのそれぞれは、前記基板の各側面に埋め込まれるように形成され、前記基板の全厚みに亘って形成された認識部を備え、 前記複数の半導体チップのそれぞれにおいて、前記複数のバンプ電極は同様に配置され、前記複数の半導体チップのそれぞれに設けられた前記複数のバンプ電極は、特定の箇所に設けられた基準とされるバンプ電極を含み、前記認識部は、前記基準とされるバンプ電極との位置関係が等しくなるように前記複数の半導体チップのそれぞれに形成され、 前記複数の半導体チップは、それぞれに設けられたバンプ電極が半導体チップの積層順に電気的に接続されるとともに、前記認識部が形成された側面が同じ方向を向くように積層されていることを特徴とする半導体装置。」 3 平成31年3月22日付け当審の拒絶理由通知の概要 (1)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。 (2)この出願の請求項1ないし7に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の先願特許出願の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 ・先願特許出願 特願2012-64451号 (特開2013-197412号公報参照) 4 先願特許出願(先願発明) 平成31年3月22日付け当審の拒絶理由通知で引用された上記先願特許出願には、「半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法」について、以下の事項が記載されている。なお、下線部は当審で付与した。 ア.「【0010】 図1に示すように、半導体素子(半導体チップとも称す)10は、x軸に沿った2本の辺10x、及びx軸に直交するy軸に沿った2本の辺10yを有する四角形状である上面10a及び底面(不図示)10bを有している。半導体チップ10の上面10a及び底面10bは、x軸及びy軸と直交するz軸方向に沿って平行に配置されている。 【0011】 図2に示すように、半導体チップ10の上面(表面、または金属電極面とも称す)10aは、複数の金属電極12を有している。また、半導体チップ10の上面10aは、四角形のそれぞれの角(辺10x及び辺10yによって形成される部分)の近傍に、少なくとも一つのアライメントマーク11a(本例では二つのアライメントマーク)を有している。 【0012】 図3に示すように、このアライメントマーク11aは、半導体チップ10の上面10aの辺10x及び辺10y(外周)に接している。更に、このアライメントマーク11aは、複数の半導体チップ10間の個々の積層チップのX方向とY方向の位置ズレと、基準チップ(積層する最下段チップが最も相応しい)に対する個々積層チップのθ回転ズレと(単にxyz位置のズレとも称す)を検出するために、各角につき2個以上設けることが望ましい。 【0013】 また、図4に示すように、半導体チップ10の底面(裏面、またはバンプ面とも称す)10bに、複数のはんだバンプ13が設けられている。このはんだバンプ13は、半導体チップ10の上面10aに設けられた金属電極12の位置に対応して設けられている。また、半導体チップ10の底面10bは、四角形のそれぞれの角(辺10x及び辺10yによって形成される部分)の近傍に、少なくとも一つのアライメントマーク11bを有している。 【0014】 図5に示すように、このアライメントマーク11bは、半導体チップ10の底面10bの辺10x及び辺10y(外周)に接している。更に、このアライメントマーク11bは、アライメントマーク11aと同様に、複数の半導体チップ10間の個々の積層チップのX方向とY方向の位置ズレと、基準チップ(積層する最下段チップが最も相応しい)に対する個々積層チップのθ回転ズレとを検出するために、各角につき2個以上設けることが望ましい。」 イ.「【0020】 図8に示すように、上述した半導体チップ10-1?10-4が下方から順に積層されることで、半導体装置として機能する。 【0021】 次に、図9に示すように、半導体チップ10-1の金属電極12上に、半導体チップ10-2のはんだバンプ13が接着するように積層されている。また同様に、半導体チップ10-2の金属電極12上に、半導体チップ10-3のはんだバンプ13が接着するように積層されている。更に同様に、半導体チップ10-3の金属電極12上に、半導体チップ10-4のはんだバンプ13が接着するように積層されている。 【0022】 そして、図10に示すように、半導体チップ10?1のアライメントマーク11aの中心線11a?1と、半導体チップ10?2のアライメントマーク11bの中心線11b?1とが、一致(設計上の交差範囲内での一致)する場合、半導体チップ10-1の金属電極12上に、半導体チップ10-2のはんだバンプ13が最も良好に接続される。同様に、半導体チップ10?2のアライメントマーク11aの中心線11a?1と、半導体チップ10?3のアライメントマーク11bの中心線11b?1とが、一致する場合、半導体チップ10-2の金属電極12上に、半導体チップ10-3のはんだバンプ13が最も良好に接続される。更に、半導体チップ10?3のアライメントマーク11aの中心線11a?1と、半導体チップ10?4のアライメントマーク11bの中心線11b?1とが、一致する場合、半導体チップ10-3の金属電極12上に、半導体チップ10-4のはんだバンプ13が最も良好に接続される。」 ウ.「【0044】 [ステップS1004] そして、制御部30は、計測部60によって得られた画像等の情報に基づいて、各半導体チップ10間の位置ズレ等を検査する。 次に、図17及び図18を用いて、本実施形態に係る半導体装置の基本的な検査方法について簡単に説明する。図17及び図18は、図16に記載の方法で、計測部60に撮影された画像を模式的に示す図である。ここでは、簡単のため、x軸方向に沿った半導体チップ10の辺に面するアライメントマーク11a及び11bを撮影した場合について説明する。 まず、制御部30は、各半導体チップ10間のZ軸方向の間隔(ギャップ)を導出する。具体的には、図17に示すように、半導体装置200の角で計測した情報に基づいて、制御部30は、半導体チップ10-1の上面10a、及び半導体チップ10-2の底面10bの間(I?II間)と、半導体チップ10-2の上面10a、及び半導体チップ10-3の底面10bの間(III?IV間)と、半導体チップ10-3の上面10a、及び半導体チップ10-4の底面10bの間(V?VI間)と、のそれぞれ距離(ギャップ)を算出する。 次に、制御部30は、各アライメントマークの中心位置を割り出すことで、x軸方向、またはy軸方向の位置情報を導出する。具体的には、図18に示すように、制御部30は、半導体チップ10-1のアライメントマーク11aの中心座標(x座標)11a?1と、半導体チップ10-2のアライメントマーク11bの中心座標(x座標)11b?1との差(VII参照)を割り出す。同様に、制御部30は、半導体チップ10-2のアライメントマーク11aの中心座標(x座標)11a?1と、半導体チップ10-3のアライメントマーク11bの中心座標(x座標)11b?1との差(VIII参照)を割り出す。制御部30は、半導体チップ10-3のアライメントマーク11aの中心座標(x座標)11a?1と、半導体チップ10-4のアライメントマーク11bの中心座標(x座標)11b?1との差(IX参照)を割り出す。これにより、各半導体チップ10間のx軸方向の位置ズレを導出することができる。 同様に、y軸方向に沿った半導体チップ10の辺に面するアライメントマーク11a及び11bについても、各半導体チップ10間のギャップと、各半導体チップ10間のy軸方向の位置ズレを導出する。 また、最低でも半導体装置の2カ所の角からx軸方向の位置ズレ、y軸方向の位置ズレを導出することで、各半導体チップ10のθズレを導出することができる。」 エ.「【0051】 このように、本実施形態では、複数の半導体チップが積層される半導体装置においても、半導体チップの側面(x-z平面またはy-z平面)側から、検査部が、アライメントマークを撮影することにより、良好にxyz方向のズレを認識することができる。 ・・・(中略)・・・ 【0053】 そこで、本実施形態では、半導体チップのアライメントマークを、半導体チップの側面からカメラ等で認識できるように、半導体チップの外周端に設置している。そして、半導体装置内の各半導体チップのアライメントマークの画像を撮影し測長等の検査を行う。これにより、制御部は、各半導体チップの位置関係が判り、検査規格に対する位置ずれの良否判定を行うことができる。 【0054】 このように、本実施形態の半導体製造装置100は、各半導体チップに設けられたアライメントマークを側面方向より観察して、半導体装置内の各半導体チップのxyzの位置検出を行う。そのため、半導体チップを2枚以上積層するような半導体装置においても、各半導体チップの位置関係を正確に把握することができ、正確に半導体製造装置に起因するズレ等を導出することができる。この結果、各半導体チップがxyz位置のズレを抑制した高品質な半導体装置を製造することが可能となる。」 上記ア、エ、図2によれば、半導体チップ10は、上面に複数の金属電極12を有し、上面の各辺(外周端)に複数のアライメントマーク11aを有しているものである。同様に、ア、エ、図4によれば、半導体チップ10は、底面に複数のはんだバンプ13を有し、底面の各辺(外周端)に複数のアライメントマーク11bを有しているものである。 上記イによれば、半導体チップ10-1?10-4が下方から順に積層されて半導体装置を成すものである。ここで、それぞれの半導体チップ10-1、10-2、10-3、10-4が異なるものとの記載は見当たらず、一方の半導体チップの金属電極12と他方の半導体チップのはんだバンプ13を接続していくことから、これらの半導体チップ10-1?10-4は同一の構成と解するのが自然である。 また、上記イによれば、半導体チップ10?1のアライメントマーク11a(上面のアライメントマーク)の中心線と他の半導体チップ10?2のアライメントマーク11b(底面のアライメントマーク)の中心線とが一致する場合、半導体チップ10-1の金属電極12上に他の半導体チップ10-2のはんだバンプ13が良好に接続されるものである。また、半導体チップ10-2と半導体チップ10-3、半導体チップ10-3と半導体チップ10-4についても同様である。 上記ウ、エによれば、積層されている複数の半導体チップの側面側からカメラ等で当該半導体チップの外周端に設置されたアライメントマークを撮影することにより、各半導体チップの位置ずれの良否判定を行うことができるものである。 したがって、上記アないしエの記載事項を総合勘案すると、先願特許出願の半導体装置には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。 「半導体チップ10-1?10-4が下方から順に積層され、 半導体チップ10(10-1?10-4)の上面に複数の金属電極12、その外周端にアライメントマーク11aを有し、 半導体チップ10(10-1?10-4)の底面に複数のはんだバンプ13、その外周端にアライメントマーク11bを有し、 半導体チップ10?1のアライメントマーク11aの中心線と半導体チップ10?2のアライメントマーク11bの中心線とが一致する場合、半導体チップ10-1の金属電極12上に半導体チップ10-2のはんだバンプ13が良好に接続され、半導体チップ10?2のアライメントマーク11aの中心線と半導体チップ10?3のアライメントマーク11bの中心線とが一致する場合、半導体チップ10-2の金属電極12上に半導体チップ10-3のはんだバンプ13が良好に接続され、半導体チップ10?3のアライメントマーク11aの中心線と半導体チップ10?4のアライメントマーク11bの中心線とが一致する場合、半導体チップ10-3の金属電極12上に半導体チップ10-4のはんだバンプ13が良好に接続され、 積層されている複数の半導体チップの側面側からカメラ等で当該半導体チップの外周端に設置されたアライメントマークを撮影することにより、各半導体チップの位置ずれの良否判定を行う 半導体装置」 5 対比・判断 (1)本願発明と先願発明の対比 ア.先願発明の「半導体チップ10-1?10-4」は、半導体チップが複数あるから、本願発明の「複数の半導体チップ」に相当する。 また、先願発明の「金属電極12」及び「はんだバンプ13」は、本願発明の「バンプ電極」に相当する。そして、先願発明の「半導体チップ10(10-1?10-4)」は、その上面及び底面に金属電極12及びはんだバンプ13を有することから、基板を有しているものである。 よって、先願発明の「半導体チップ10-1?10-4が下方から順に積層され」、「半導体チップ10(10-1?10-4)の上面に複数の金属電極12」を有し、「半導体チップ10(10-1?10-4)の底面に複数のはんだバンプ13」を有することは、本願発明の「それぞれが基板及び前記基板上に形成された複数のバンプ電極を有する複数の半導体チップが積層され」ることに相当する。 イ.先願発明の「アライメントマーク11a」及び「アライメントマーク11b」は、位置ずれの判定を行うためのものであるから、本願発明の「認識部」に相当する。 よって、先願発明の「半導体チップ10(10-1?10-4)の上面」の「外周端にアライメントマーク11a」を有し、「半導体チップ10(10-1?10-4)の底面」の「外周端にアライメントマーク11b」を有することは、本願発明の「前記複数の半導体チップのそれぞれは、前記基板」に「形成された認識部を備え」ることに相当する。 但し、認識部について、本願発明は「基板の各側面に埋め込まれるように形成され、前記基板の全厚みに亘って形成され」ているのに対して、先願発明は「半導体チップの上面及び底面の外周端」に形成されている点で相違する。 ウ.先願発明は、下方の半導体チップ(例えば半導体チップ10-1)の金属電極12と上方の半導体チップ(例えば半導体チップ10-2)のはんだバンプ13とを接続するものであるから、当然に全ての半導体チップにおいて金属電極12とはんだバンプ13とが同位置に配置されているといえ、本願発明の「複数の半導体チップのそれぞれにおいて、前記複数のバンプ電極は同様に配置され」る構成を備えている。 そして、先願発明は、下方の半導体チップ上面のアライメントマーク11aの中心線と上方の半導体チップ底面のアライメントマーク11bの中心線とが一致する場合に金属電極12とはんだバンプ13とが良好に接続されていることになるから、各半導体チップのアライメントメントマーク(本願発明の「認識部」に相当)から位置関係が等しい金属電極12及びはんだバンプ13(本願発明の「バンプ電極」に相当)が複数形成されているものである。 よって、先願発明の「半導体チップ10?1のアライメントマーク11aの中心線と半導体チップ10?2のアライメントマーク11bの中心線とが一致する場合、半導体チップ10-1の金属電極12上に半導体チップ10-2のはんだバンプ13が良好に接続され、半導体チップ10?2のアライメントマーク11aの中心線と半導体チップ10?3のアライメントマーク11bの中心線とが一致する場合、半導体チップ10-2の金属電極12上に半導体チップ10-3のはんだバンプ13が良好に接続され、半導体チップ10?3のアライメントマーク11aの中心線と半導体チップ10?4のアライメントマーク11bの中心線とが一致する場合、半導体チップ10-3の金属電極12上に半導体チップ10-4のはんだバンプ13が良好に接続され」ることは、本願発明の「前記複数の半導体チップのそれぞれにおいて、前記複数のバンプ電極は同様に配置され、前記複数の半導体チップのそれぞれに設けられた前記複数のバンプ電極は、特定の箇所に設けられた基準とされるバンプ電極を含み、前記認識部は、前記基準とされるバンプ電極との位置関係が等しくなるように前記複数の半導体チップのそれぞれに形成され」ることに相当する。 エ.先願発明の「半導体チップ10-1?10-4が下方から順に積層され」、「半導体チップ10-1の金属電極12上に半導体チップ10-2のはんだバンプ13が良好に接続され」、「半導体チップ10-2の金属電極12上に半導体チップ10-3のはんだバンプ13が良好に接続され」、「半導体チップ10-3の金属電極12上に半導体チップ10-4のはんだバンプ13が良好に接続され」ることは、本願発明の「前記複数の半導体チップは、それぞれに設けられたバンプ電極が半導体チップの積層順に電気的に接続される」ことに相当する。 オ.先願発明の「半導体チップの側面側から、アライメントマークを認識する」ことは、半導体チップの側面側から見て当該半導体チップの外周端に形成されたアライメントマークを認識するのであり、当然に全ての半導体チップにおいて同じ側面側から見てアライメントマークが揃っているものである(先願特許出願の図15ないし図18を参照)。 よって、先願発明の「積層されている複数の半導体チップの側面側からカメラ等で当該半導体チップの外周端に設置されたアライメントマークを撮影することにより、各半導体チップの位置ずれの良否判定を行う」ことは、本願発明の「前記認識部が形成された側面が同じ方向を向くように積層されている」構成を含むものである。 そうすると、上記アないしオによれば、本願発明と先願発明とは以下の点で一致ないし相違をする。 <一致点> 「それぞれが基板及び前記基板上に形成された複数のバンプ電極を有する複数の半導体チップが積層され、 前記複数の半導体チップのそれぞれは、前記基板に形成された認識部を備え、 前記複数の半導体チップのそれぞれにおいて、前記複数のバンプ電極は同様に配置され、前記複数の半導体チップのそれぞれに設けられた前記複数のバンプ電極は、特定の箇所に設けられた基準とされるバンプ電極を含み、前記認識部は、前記基準とされるバンプ電極との位置関係が等しくなるように前記複数の半導体チップのそれぞれに形成され、 前記複数の半導体チップは、それぞれに設けられたバンプ電極が半導体チップの積層順に電気的に接続されるとともに、前記認識部が形成された側面が同じ方向を向くように積層されている 半導体装置。」 <相違点> 認識部について、本願発明は「基板の各側面に埋め込まれるように形成され、前記基板の全厚みに亘って形成され」ているのに対して、先願発明は「半導体チップの上面及び下面の外周端」に形成されている点。 (2)相違点の判断 本願明細書の段落【0053】に「認識部104は、半導体チップ100の4辺に、半導体チップ100の側面から露出するように形成されているため、X方向から見ても、Y方向から見ても、認識部104の位置ずれが発生していることを視認できる。」、段落【0054】に「複数の半導体チップ100を積層した場合に、各半導体チップ100の認識部104の整列状態を確認することで、バンプ電極間の位置ずれの発生やその程度を容易に検知することができる。」と記載されているように、本願発明の認識部は、側面からその整列状態を確認することで位置ずれを確認できるものである。 一方、先願明細書の段落【0044】(上記「4 ウ.」を参照)及び段落【0053】(上記「4 エ.」を参照)によれば、先願発明のアライメントマークは、側面から互いに向き合うアライメントマーク(下方の半導体チップ上面のアライメントマークと上方の半導体チップ底面のアライメントマーク)の中心座標(中心線)の差を割り出して位置ズレを導出しているものである。 このように、本願発明と先願発明は共に、半導体チップの側面側から位置ずれを検知するものであって、具体的には半導体チップに設けられた認識部(アライメントマーク)から積層方向に延びる仮想線を表現し、複数の半導体チップそれぞれの仮想線が一致するかどうか(一直線上で表現できるか否か)により積層された半導体チップの位置ずれを検知するものと認められる。 そうすると、認識可能なマークを「基板の各側面に埋め込まれるように形成され、前記基板の全厚みに亘って形成」しても、「半導体チップの上面及び底面に形成」しても、作用効果において差異は認められない。 よって、本願発明の「基板の各側面に埋め込まれるように形成され、前記基板の全厚みに亘って形成された」認識部と先願発明の「半導体チップ10の上面及び底面に形成された」アライメントマークとは、課題解決のための具体的手段における微差(単なる転換)であるから、上記相違点は実質的な差異ではない。 (3)小括 したがって、本願発明は、先願特許出願に記載された発明と実質同一である。 6 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、先願特許出願に記載された発明と実質同一であり、しかも、本願の発明者が上記先願特許出願に係る発明をした者と同一ではなく、また本願出願時において、本願の出願人が上記先願特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2に該当し、特許にすることはできない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-10-31 |
結審通知日 | 2019-11-05 |
審決日 | 2019-11-18 |
出願番号 | 特願2013-130330(P2013-130330) |
審決分類 |
P
1
8・
161-
WZ
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小山 和俊 |
特許庁審判長 |
井上 信一 |
特許庁審判官 |
酒井 朋広 山澤 宏 |
発明の名称 | 半導体装置 |
代理人 | 緒方 和文 |
代理人 | 鷲頭 光宏 |