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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C23C
管理番号 1361505
異議申立番号 異議2018-700660  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-07 
確定日 2020-04-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第6275277号発明「電磁鋼板用コーティング剤、その製造方法、およびこれを用いた電磁鋼板のコーティング方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6275277号の請求項1ないし23に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6275277号の請求項1?23に係る特許(以下、「本件特許」という。)についての出願は、2014年(平成26年)12月17日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2013年12月23日、韓国(KR)、2014年12月16日、韓国(KR))を国際出願日とする出願であって、平成30年 1月19日にその特許権の設定登録がされ、同年 2月 7日に特許掲載公報が発行され、その後、その全請求項(請求項1?23)に係る特許に対し、同年 8月 7日に特許異議申立人JFEスチール株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、同年11月 2日付けで取消理由(以下、「取消理由」という。)が通知され、これに対して、平成31年 2月 4日付けで意見書(以下、「意見書」という。)が提出され、同年 3月 1日付けで申立人に審尋がなされ、これに対して、同年 4月 3日付けで回答書(以下、「回答書1」という。)が提出された。そして、令和 1年 6月27日付けで取消理由(以下、「決定の予告」という。)が通知され、期間を指定して意見書を提出する機会を与えるとともに、同日付けで申立人に審尋がなされたが、特許権者からは応答がなく、申立人から令和 1年 8月23日付けで回答書(以下、「回答書2」という。)が提出されたものである。

第2 本件発明
特許第6275277号の請求項1?23の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明23」ということがある。)は、それぞれ、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1?23に記載された事項により特定される、次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
金属リン酸塩誘導体溶液、シリカ、および酸化クロムを含み、
前記金属リン酸塩誘導体溶液において、金属リン酸塩誘導体は、マグネシウムリン酸塩誘導体単独物質、またはアルミニウムリン酸塩誘導体およびマグネシウムリン酸塩誘導体の混合物質であり、
前記アルミニウムリン酸塩誘導体およびマグネシウムリン酸塩誘導体の混合物質において、アルミニウムリン酸塩誘導体は10重量%以下(0%を含まない)である、電磁鋼板用コーティング剤であって、
前記マグネシウムリン酸塩誘導体は、下記化学構造式1で表され、
前記アルミニウムリン酸塩誘導体は、下記化学構造式2で表される、電磁鋼板用コーティング剤。
【化1】


【請求項2】
前記金属リン酸塩誘導体溶液100重量部に対して、シリカは50?250重量部添加され、酸化クロムは5?15重量部添加される、請求項1に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項3】
前記シリカは、コロイダルシリカ、固体シリカ、またはこれらの混合物である、請求項1に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項4】
前記シリカがコロイダルシリカおよび前記固体シリカの混合物の場合、金属リン酸塩誘導体溶液100重量部に対して、前記コロイダルシリカは50?250重量部添加され、前記固体シリカは5?15重量部添加される、請求項3に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項5】
前記電磁鋼板用コーティング剤は、金属リン酸塩誘導体溶液100重量部に対して、1?5重量部の多孔性シリカをさらに含む、請求項1?4のいずれか1項に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項6】
前記多孔性シリカは、メソポーラス形態であって、粒子の平均粒径は50?100nmであり、空隙の大きさは10nm以下である、請求項5に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項7】
前記電磁鋼板用コーティング剤は、酸化ホウ素をさらに含む、請求項1?6のいずれか1項に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項8】
前記酸化ホウ素は、金属リン酸塩誘導体溶液100重量部に対して、1.5?20.7重量部添加される、請求項7に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項9】
前記酸化ホウ素は、B_(2)O_(3)である、請求項8に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項10】
前記コーティング剤は、溶媒をさらに含み、前記溶媒は、金属リン酸塩誘導体溶液100重量部に対して、20?100重量部添加される、請求項9に記載の電磁鋼板用コーティング剤。
【請求項11】
金属リン酸塩誘導体を製造する段階と、
前記金属リン酸塩誘導体が含まれている溶液にシリカおよび酸化クロムを添加する段階とを含み、
前記金属リン酸塩誘導体は、金属リン酸塩およびホウ酸(H_(3)BO_(3))の縮合反応によって製造され、前記金属リン酸塩は、第1リン酸マグネシウム、第1リン酸アルミニウム、またはこれらの組み合わせである、請求項1?10のいずれか1項に記載の電磁鋼板用コーティング剤の製造方法。
【請求項12】
前記金属リン酸塩誘導体は、金属リン酸塩誘導体溶液の重量対比が、58重量%?63重量%である、請求項11に記載の電磁鋼板用コーティング剤の製造方法。
【請求項13】
前記電磁鋼板用コーティング剤の製造方法は、金属リン酸塩誘導体溶液100重量部に対して、1?5重量部の多孔性シリカをさらに添加することを含む、請求項12に記載の電磁鋼板用コーティング剤の製造方法。
【請求項14】
前記電磁鋼板用コーティング剤の製造方法は、酸化ホウ素をさらに添加することを含む、請求項11?13のいずれか1項に記載の電磁鋼板用コーティング剤の製造方法。
【請求項15】
前記酸化ホウ素は、金属リン酸塩誘導体溶液100重量部に対して、1.5?20.7重量部添加される、請求項14に記載の電磁鋼板用コーティング剤の製造方法。
【請求項16】
請求項1?10のいずれか1項に記載の電磁鋼板用コーティング剤を、
仕上げ焼鈍の完了した方向性電磁鋼板上に塗布し、550?900℃で加熱する、電磁鋼板のコーティング方法。
【請求項17】
前記塗布量は0.5?6.0g/m^(2)であり、前記加熱時間は10?50秒間であり、塗布時のコーティング剤の温度は15?25℃である、請求項16に記載の電磁鋼板のコーティング方法。
【請求項18】
素地鋼板と、素地鋼板の上部に形成されたコーティング層とを含み、
前記コーティング層は、金属リン酸塩誘導体、シリカ、および酸化クロムを含み、
前記金属リン酸塩誘導体は、マグネシウムリン酸塩誘導体単独物質、またはアルミニウムリン酸塩誘導体およびマグネシウムリン酸塩誘導体の混合物質であり、
前記混合物質において、アルミニウムリン酸塩誘導体は10重量%以下(0%を含まない)であるコーティング層を含む、電磁鋼板であって、
前記マグネシウムリン酸塩誘導体は、下記化学構造式1で表され、
前記アルミニウムリン酸塩誘導体は、下記化学構造式2で表される、電磁鋼板。
【化2】


【請求項19】
前記コーティング層は、多孔性シリカをさらに含む、請求項18に記載の電磁鋼板。
【請求項20】
前記多孔性シリカは、メソポーラス形態であって、粒子の平均粒径は50?100nmであり、空隙の大きさは10nm以下である、請求項19に記載の電磁鋼板。
【請求項21】
前記コーティング層は、酸化ホウ素をさらに含む、請求項18?20のいずれか1項に記載の電磁鋼板。
【請求項22】
前記電磁鋼板は、845℃?875℃で応力除去焼鈍後、曲げ試験によって被膜剥離のない最小円弧径が20mmφ以下である、請求項21に記載の電磁鋼板。
(前記曲げ試験は、10?100mmφの円弧に接するように曲げて被膜剥離のない最小円弧径を求めることで密着性を評価する試験である)
【請求項23】
前記電磁鋼板は、845℃?875℃で応力除去焼鈍後、絶縁性が330mA以下である、請求項22に記載の電磁鋼板。」

第3 申立理由の概要
申立人は、証拠方法として、特許異議申立書と共に、下記甲第1?9号証を提出し、回答書2と共に、下記参考文献1?2を提出して、以下の申立理由により、請求項1?3に係る本件特許を取り消すべきものである旨主張している。
(1)申立理由1
本件発明1、18、21は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(2)申立理由2
本件発明18、21は、甲第9号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(3)申立理由3
本件発明1?23は、甲第1号証に記載の発明と、甲第2?8号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(4)申立理由4
本件発明18?23は、甲第9号証に記載の発明と、甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、同発明に係る特許は取り消されるべきものである。
(5)申立理由5
本件発明1?23は、発明の詳細な説明の記載が、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、同発明に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない発明に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

<証拠方法>
甲第1号証:特開昭60-152681号公報
甲第2号証:特開2013-112837号公報
甲第3号証:特開2013-245395号公報
甲第4号証:特開2012-122118号公報
甲第5号証:特開平8-333640号公報
甲第6号証:特開平8-239770号公報
甲第7号証:特開平8-239769号公報
甲第8号証:特開平6-65755号公報
甲第9号証:特開平6-158340号公報
参考文献1:日本化学会編、化学便覧 基礎編 II、改訂4版、丸善株式会社、平成5年9月30日発行、II-317頁
参考文献2:Peter A C McPherson、Practical Volumetric Analysis、ROYAL SOCIETY OF CHEMISTRY、2015年、92頁

第4 取消理由及び決定の予告の概要
取消理由及び決定の予告では、上記申立理由5に基づいて次の取消理由が通知された。

取消理由1:(実施可能要件)
本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という)の発明の詳細な説明の記載が、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、本件発明1?17、18?23に係る本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。

第5 当審の判断
取消理由及び決定の予告で通知された、実施可能要件に係る上記取消理由1に対して、特許権者から意見書が提出されたが、申立人による回答書1及び回答書2の内容も勘案すると、当審では、上記取消理由1は依然として解消されていないと判断した。その理由は次のとおりである。

1 本件発明1?17について
(1)本件発明1について
ア 本件発明1は、「電磁鋼板用コーティング剤」という物の発明である。物の発明における実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいう(特許法第2条第3項第1号)。したがって、物の発明について、明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する実施可能要件を満たしているか否かは、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載と出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があるか否かによって判断されるべきものである。

イ そして、本件発明1では、「電磁鋼板用コーティング剤」が「金属リン酸塩誘導体溶液」を含むことが特定された上で、当該「金属リン酸塩誘導体溶液」において、「金属リン酸塩誘導体」は、[化学構造式1]で表される「マグネシウムリン酸塩誘導体」の「単独物質」であるか、又は、[化学構造式1]で表される「マグネシウムリン酸塩誘導体」及び[化学構造式2]で表される「アルミニウムリン酸塩誘導体」の「混合物質」であることが特定されている。
以下、[化学構造式1]で表される「マグネシウムリン酸塩誘導体」を「本件Mgリン酸塩誘導体」といい、[化学構造式2]で表される「アルミニウムリン酸塩誘導体」を「本件Alリン酸塩誘導体」ということにする。
そうすると、本件発明1は、少なくとも「金属リン酸塩誘導体溶液」を含む「電磁鋼板用コーティング剤」であって、当該「金属リン酸塩誘導体溶液」が、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」であるか、又は、当該「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」である、というものである。

ウ 上記ア及びイに照らすと、本件発明1について、本件明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する実施可能要件を満たすというためには、当業者が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載と、本件特許の出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、「金属リン酸塩誘導体溶液」を含む「電磁鋼板用コーティング剤」を製造することができなければならず、そのためには、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や、「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を製造することができなければならない。
そこで、以下、検討する。

エ 本件明細書には、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や、「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を製造する方法、及び、「金属リン酸塩誘導体溶液」を含む「電磁鋼板用コーティング剤」を製造するための方法に関し、以下の記載がある。
「【0072】
上記記載の金属リン酸塩誘導体は、90℃以上の温度で金属リン酸塩およびホウ酸(H_(3)BO_(3))の縮合反応によって製造される。前記金属リン酸塩は、第1リン酸マグネシウム、第1リン酸アルミニウムであるとよい。
【0073】
マグネシウムリン酸塩誘導体は、下記のような反応によって製造される。
【0074】


【0075】
また、アルミニウムリン酸塩誘導体は、下記のような反応によって製造される。
【0076】


【0077】
本発明の一実施例による電磁鋼板用コーティング剤の製造方法は、上記記載の金属リン酸塩誘導体を製造した後、前記金属リン酸塩誘導体が含まれている溶液にシリカおよび酸化クロムを添加して製造される。」

オ 上記エによれば、本件明細書においては、「本件Mgリン酸塩誘導体」や、「本件Alリン酸塩誘導体」は、第1リン酸マグネシウムや第1リン酸アルミニウムである金属リン酸塩と、ホウ酸(H_(3)BO_(3))の縮合反応によって製造されるとされており、【化5】及び【化6】という反応式も記載されている。

カ しかしながら、本件明細書には、「本件Mgリン酸塩誘導体」や「本件Alリン酸塩誘導体」が、上記エの反応によって実際に製造されたことを示す分析結果は記載されていない。
したがって、本件明細書には、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や、「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を製造することができることについて、実験的な観点からの裏付けがなされていない。

キ また、本件明細書には、「本件Mgリン酸塩誘導体」を製造するための【化5】の反応、及び「本件Alリン酸塩誘導体」を製造するための【化6】の反応が実際に生じることを理論的に説明する記載もない。
すなわち、上記【化5】の反応は、
1)左辺の「B(OH)_(3)」が「B(OH)_(2)O^(-)」と「H^(+)」に解離する。
2)上記1)で生じた「B(OH)_(2)O^(-)」が、Mgと結合していた「H_(2)PO_(4)^(-)」のうちの一つを置換して、右辺の「本件Mgリン酸塩誘導体」を生成する。
3)上記1)で生じた「H^(+)」が、上記2)で置換された「H_(2)PO_(4)^(-)」と反応して、右辺の「H_(3)PO_(4)」を生成する。
というものであると考えられるが、このような反応が実際に起こり得ることを、理論的に説明する記載はない。
【化6】の反応についても同様に、実際に起こり得ることを、理論的に説明する記載はない。
したがって、本件明細書には、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を製造することができることについて、理論的な観点からの裏付けもなされていない。

ク そして、【化5】や【化6】の反応が実際に生じるか否かについて、ホウ酸及びリン酸の酸解離定数(平衡定数)の具体的な数値に基づき、さらに検討を加える。
(ア)異議申立書によれば、ホウ酸及びリン酸の酸解離定数(Ka:平衡定数)について、以下の表が示されており(第22頁)、この酸解離定数は特許権者による意見書の主張によれば、25℃、1気圧での平衡状態時に成立しているものである(第3頁1?2行)。

なお、上記酸解離定数(平衡定数)の表において、-log(Ka)もしくはpKaの値は、Aの「9.24」については、参考文献1の表10.18の枠囲みからの引用であり、Bの「2.12」、Cの「7.21」、Dの「12.67」については、参考文献2のTable5.3の枠囲みからの引用である。

参考文献1


参考文献2


(イ)しかるに、本件明細書の段落【0072】には「金属リン酸塩誘導体は、90℃以上の温度で金属リン酸塩およびホウ酸(H_(3)BO_(3))の縮合反応によって製造される。」と記載されており、当該反応は90℃以上の温度で起こるものであるから、当該反応に関する酸解離定数は90℃以上、例えば100℃におけるものを考慮する必要があるが、上記平衡定数の表は25℃における値である。
したがって、平衡定数の値としては、25℃のものに代えて100℃のものを採用する必要があるところ、申立人の回答書2によれば、100℃における酸解離定数を次のように求めることができる。
100℃における反応式AのKaについては、特許権者が意見書の第3頁10行に「約6.85×10^(-8)と計算されます。」と記載している。そして、100℃における反応式BのKaについては、25℃における反応式BのKaと、K=exp(-ΔG/RT)の式を用いて、ΔGを算出し、当該ΔGの値とT=273+100の値を用いることにより、上記Kの式から、2.01×10^(-2)と計算することができる。また、反応式A’、B’のKaについては、反応式A、BのKaの逆数として計算することができる。
このようにして得られた100℃における酸解離定数が、上記回答書1の第4頁に以下の表として示されている。


ここで、一般的に、平衡定数Kaは、


で表される解離平衡において、各成分の濃度を[]で表せば、
Ka=[B][C]/[A]
と表される。
したがって、Kaの値が大きいほど(-log(Ka)の値が小さいほど)、


で表される解離平衡の反応は右辺側に進むものといえる。

(ウ)そして、【化5】の反応が右辺側に進むためには、ホウ酸(「B(OH)_(3)」)が解離するとともに、リン酸(「H_(3)PO_(4)」)が生成されなければならない。
しかしながら、上記(イ)によれば、100℃において、溶液中の「H^(+)」と「B(OH)_(2)O^(-)」とが反応して「B(OH)_(3)」を生成する反応A’のKaは1.46×10^(7)である一方、溶液中の「H^(+)」と「H_(2)PO_(4)^(-) 」とが反応して「H_(3)PO_(4)」を生成する反応B’のKaは4.96×10であるから、両者の比は2.94×10^(5)となり、反応A’のKaの数値の方が、反応B’のKaよりも圧倒的に大きい。
ゆえに、100℃の反応においては、溶液中の「H^(+)」と「H_(2)PO_(4)^(-)」とが反応して「H_(3)PO_(4)」を生成する反応B’は起こらず、溶液中の「H^(+)」と「B(OH)_(2)O^(-)」とが反応して「B(OH)_(3)」を生成する反応A’が起こることになり、【化5】の反応が右辺側に進むことはないといえる。

(エ)【化6】の反応についても、上記(ウ)と同様の理由によって、右辺側に進むことはないといえる。

ケ 以上の検討によれば、本件明細書には、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を製造することができることについて、上記カのとおり実験的な観点からの裏付けがなく、また、上記キのとおり理論的な観点からの裏付けもない。
その上、上記クのとおり、ホウ酸及びリン酸の100℃における酸解離定数(平衡定数)の具体的な数値に基づく検討によれば、「本件Mgリン酸塩誘導体」を製造するための【化5】の反応、及び「本件Alリン酸塩誘導体」を製造するための【化6】の反応は、実際には起こり得ないものである。

コ したがって、当業者が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載と、本件特許の出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や、「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を製造することができるとは認められず、その結果、当該「溶液」を含む、本件発明1の「電磁鋼板用コーティング剤」についても、製造することができるとは認められない。

サ なお、特許権者は、意見書の5(3)において、【化5】および【化6】の反応は起こり得ると主張しているが、この主張は以下の理由により、採用できない。
(ア)意見書の5(3)アにおいて、溶液中の「B(OH)_(3)」が「H^(+)」と「B(OH)_(2)O^(-)」に解離する反応Aは、100℃の酸解離定数が6.85×10^(-8)で、25℃の酸解離定数が5.75×10^(-10)であるから、上記反応Aは100℃のときに常温のときよりも100倍以上「B(OH)_(2)O^(-)」の生成反応が促進されると主張しているが、たとえそうであったとしても、反応Aの逆反応A’の100℃のときの酸解離定数は1.46×10^(7)であるから、解離反応Aよりも逆反応A’の方が圧倒的に優勢であるし、上記ク(ウ)で検討した理由によって、【化5】の反応が右辺側に進むことはないといえる。

(イ)また、意見書の5(3)イにおいて、金属リン酸塩(Al(H_(2)PO_(4))_(3)、Mg(H_(2)PO_(4))_(2))の解離は、90℃以上の高温においてpKa値がマイナス側に移動することが予測されるので、上記解離反応(以下、「反応E」といい、その逆反応を「反応E’」という。)は良好に行われると主張しているが、反応Eと反応E’における予測されたKaの具体的な値が不明であるし、また、仮に上記反応Eが良好に行われたとしても、上記(ア)で検討したとおり、解離反応Aより逆反応A’の方が優勢であって、「B(OH)_(2)O^(-)」は生成しないから、金属リン酸塩の解離生成物である[Al(H_(2)PO_(4))_(2)]^(+)と「B(OH)_(2)O^(-)」とが反応して、本件Alリン酸塩誘導体「Al(H_(2)PO_(4))_(2)-OB(OH)_(2)」を生成する反応が進むことはないといえる。
また、同様に、金属リン酸塩の解離生成物である[Mg(H_(2)PO_(4))]^(+)と「B(OH)_(2)O^(-)」とが反応して、本件Mgリン酸塩誘導体「Mg(H_(2)PO_(4))-OB(OH)_(2)」を生成する反応が進むことはないといえる。

(ウ)さらに、意見書の5(3)ウ、エにおいて、「反応温度において以下の目的化合物が安定したエネルギーを有して存在するものであれば、当該化合物を生成する反応が進行します。」、「反応物が生成後、反応温度において固体状態で存在すれば、逆反応が起こる確率が低くなり、反応を通して大部分の生成物を得られる」と主張している。ここで、目的化合物または固体状態の反応物とは、本件Alリン酸塩誘導体「Al(H_(2)PO_(4))_(2)-OB(OH)_(2)」か、本件Mgリン酸塩誘導体「Mg(H_(2)PO_(4))-OB(OH)_(2)」を意味するものと解されるところ、本件明細書において、上記金属リン酸塩誘導体は、いずれも、金属リン酸塩誘導体溶液として存在することが記載されているから(例えば段落【0077】等参照。)、反応物が反応液中で固体状態で存在するとは認められず、上記主張は根拠がない。

(エ)以上の検討から、【化5】および【化6】の反応は起こり得るとの特許権者の主張は採用できない。

シ また、決定の予告の<意見書の示唆>において、特許権者に、「本件明細書に記載された【化5】や【化6】の反応によって、金属リン酸塩誘導体が実際に製造されることを証明するために、実験成績証明書を提出することが考えられる。また、仮に、金属リン酸塩誘導体が、【化5】や【化6】の反応によって製造されることが説明できない場合、本件特許の出願当時、上記金属リン酸塩誘導体が、市販の試薬として購入可能であったことについて説明することが考えられる。」と反論の方法を示唆したけれども、特許権者からは何の応答もされなかった。

ス よって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、「電磁鋼板用コーティング剤」の発明である本件発明1の実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

(2)本件発明2?10について
本件発明2?10は「電磁鋼板用コーティング剤」という物の発明であって、本件発明1の「電磁鋼板用コーティング剤」を引用するものであるから、前記(1)と同様の理由によって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、本件発明2?10の実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

(3)本件発明11?17について
本件発明11は、「請求項1?10のいずれか一項に記載の電磁鋼板用コーティング剤の製造方法」という、物を生産する方法の発明である。
本件発明16は「請求項1?10のいずれか1項に記載の電磁鋼板用コーティング剤」を用いた「電磁鋼板のコーティング方法」という、方法の発明である。
前記(1)及び(2)で検討したとおり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、「電磁鋼板用コーティング剤」の発明である本件発明1?10の実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、同様の理由で、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、「請求項1?10のいずれか一項に記載の電磁鋼板用コーティング剤の製造方法」の発明である本件発明11の実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではないし、また、「請求項1?10のいずれか1項に記載の電磁鋼板用コーティング剤」を用いた「電磁鋼板のコーティング方法」の発明である本件発明16の実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
また、本件発明12?15は「電磁鋼板用コーティング剤の製造方法」という物を生産する方法の発明であって、本件発明11を引用するものであり、また、本件発明17は「電磁鋼板のコーティング方法」という方法の発明であって、本件発明16を引用するものであるから、本件発明12?15、17についても同様の理由で、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、その実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

2 本件発明18?23について
(1)本件発明18について
ア 本件発明18は、「電磁鋼板」という物の発明である。前記3(1)アでも述べたように、物の発明における実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいう(特許法第2条第3項第1号)。したがって、物の発明について、明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する実施可能要件を満たしているか否かは、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載と出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があるか否かによって判断されるべきものである。

イ そして、本件発明18の発明特定事項によれば、本件発明18の「電磁鋼板」が含む「コーティング層」は、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」を含むか、又は「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」を含むものである。

ウ 上記ア及びイに照らし、本件発明18について、本件明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する実施可能要件を満たすというためには、当業者が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載と、本件特許の出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、「コーティング層」を含む「電磁鋼板」であって、当該「コーティング層」が「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」を含むものや、当該「コーティング層」が「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」を含むものを、製造することができなければならない。
そこで、以下、検討する。

エ 本件明細書には、「コーティング層」を含む「電磁鋼板」を製造する方法に関し、以下の記載がある。
「【0088】
本発明の一実施例による電磁鋼板のコーティング方法について説明する。
【0089】
本発明の一実施例による電磁鋼板のコーティング方法は、上記記載によって製造されたコーティング剤を、仕上げ焼鈍の完了した1次被膜を有する方向性電磁鋼板上に塗布し、550℃?900℃で加熱する。加熱時間は10?50秒間であるとよい。
【0090】
この時、塗布量は0.5?6.0g/m^(2)であるとよいし、より具体的には4.0?5.0g/m^(2)であるとよい。また、コーティング剤の温度は15?25℃であるとよい。コーティング剤の温度が15℃以下の場合、粘度が増加して一定の塗布量を管理しにくく、25℃以上の場合、コーティング剤の主要成分であるコロイダルシリカのゲル化現象が加速化されて表面品質を低下させることがある。
【0091】
本発明の一実施例による電磁鋼板は、素地鋼板と、素地鋼板の上部に形成されたコーティング層とを含み、前記コーティング層は、金属リン酸塩誘導体、シリカ、および酸化クロムを含む。また、前記金属リン酸塩誘導体は、マグネシウムリン酸塩誘導体単独物質、またはアルミニウムリン酸塩誘導体およびマグネシウムリン酸塩誘導体の混合物質であり、前記混合物質において、アルミニウムリン酸塩誘導体は10重量%以下(0%を含まない)であるとよい。
【0092】
さらに、前記マグネシウムリン酸塩誘導体は、下記化学構造式1で表され、前記アルミニウムリン酸塩誘導体は、下記化学構造式2で表される。
【0093】
【化7】


なお、段落【0089】の「上記記載によって製造されたコーティング剤」については、前記3(1)エで摘記した箇所を参照。

オ 上記エに示した本件明細書の記載によれば、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」、又は、当該「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を含む「コーティング剤」を、仕上げ焼鈍の完了した1次被膜を有する方向性電磁鋼板上に塗布し、550℃?900℃で、10?50秒間加熱することで、「コーティング層」を含む「電磁鋼板」を製造するとされている。

カ しかしながら、当業者が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載と、本件特許の出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を含む「コーティング剤」を製造することができるとは認められないことは、前記1(1)エ?スにおいて検討したとおりである。
したがって、所定の「コーティング剤」が得られないことから、「コーティング層」を含む「電磁鋼板」を製造するための上記オの工程を行うことができない。

キ 次に、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」の「溶液」や「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」の「溶液」を含む「コーティング剤」を製造することができたと仮定する。
しかしながら、「本件Mgリン酸塩誘導体」は、末端に4つのヒドロキシル基を有するものであり、「本件Alリン酸塩誘導体」は、末端に6つのヒドロキシル基を有するものであるところ、上記オの工程を行った場合、技術常識によれば、「コーティング剤」を塗布した後の550?900℃という高温での加熱によりヒドロキシル基同士の脱水縮合反応が生じるものと認められ、その結果、「コーティング層」の中には、「本件Mgリン酸塩誘導体」又は「本件Alリン酸塩誘導体」とは異なる構造である脱水縮合物が生成されるものと認められる。
したがって、所定の「コーティング剤」が得られ、上記オの工程を行うことができたとしても、製造された「電磁鋼板」における「コーティング層」は、「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」や、「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」を含むものとはならない。

なお、上記の技術常識に関して、要すれば、例えば、発明の名称を「絶縁皮膜付き電磁鋼板」とする特開2001-107261号公報の、以下の記載を参照されたい(下線は当審が付した。)。
「【0020】本発明の電磁鋼板の絶縁皮膜の必須成分であるリン酸塩 (絶縁皮膜中ではリン酸塩の大部分は脱水縮合物になっているが、以下では便宜上、リン酸塩と表記する) は、1種および2種以上の多価金属リン酸塩からなる。・・・
【0022】絶縁皮膜に含まれる多価金属リン酸塩の金属カチオンとしては、リン酸アニオンと水溶性の塩を形成することができる任意の多価金属カチオンが使用できる。金属カチオンがアルカリ金属などの1価のカチオンであると、絶縁皮膜の耐水性が劣る。好ましい多価金属カチオンは、Mg、Ca、Ba、Alなどの2価または3価のカチオンである。処理液の安定性を考慮すると、上記カチオン種の中でもMgおよびAlが特に好ましい。MgまたはAlのリン酸塩は、他の多価金属カチオンのリン酸塩に比べて高濃度化が可能であり、工業用原料として安価に入手可能という利点がある。
【0023】絶縁皮膜形成用の処理液中では、リン酸アニオンは第一リン酸[(H_(2)PO_(4))^(-)] の状態で存在させる。多価金属リン酸塩の場合、リン酸アニオンが第一リン酸の状態でないと、水溶液中での溶解度が低下し、液中で沈殿が起こり易くなって、安定な処理液を形成することができないからである。
・・・
【0027】多価金属第一リン酸塩の造膜機構は完全には解明されていないが、(A) 第一リン酸アニオン末端の-OH基同士の脱水縮合反応と、(B) これにさらに多価金属カチオンが関与した脱水縮合反応、によりネットワークが形成されるためではないかと考えられている。いずれにしてもリン酸塩は脱水縮合物になて(原文ママ)いる。
【0028】(A) の脱水縮合反応で生成するP-O-P結合は耐水性が弱く容易に加水分解し易いのに対し、(B) の脱水縮合反応で生成するP-O-M-O-P結合は耐水性が強く加水分解しにくい。そのため、多価金属カチオンが多くなるほど、膜の耐水性が高まり、比較的低い温度の焼付けで耐水性の高い絶縁皮膜を得ることが可能となるものと推測される。」

ク 上記カの検討と、上記キの検討によれば、当業者が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載と、本件特許の出願時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、「コーティング層」を含む「電磁鋼板」であって、当該「コーティング層」が「本件Mgリン酸塩誘導体」の「単独物質」を含むものや、当該「コーティング層」が「本件Mgリン酸塩誘導体」及び「本件Alリン酸塩誘導体」の「混合物質」を含むものを、製造することができるとは認められない。

ケ よって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、「電磁鋼板」の発明である本件発明18の実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

(2)本件発明19?23について
本件発明19?23は「電磁鋼板」という物の発明であって、本件発明18の「電磁鋼板」を引用するものであるから、前記(1)と同様と同様の理由によって、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が、本件発明19?23の実施をできる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

3 まとめ
以上のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合しておらず、本件発明1?17、18?23に係る本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
別掲
 
異議決定日 2019-12-04 
出願番号 特願2016-560326(P2016-560326)
審決分類 P 1 651・ 536- Z (C23C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 一宮 里枝長谷部 智寿西田 彩乃  
特許庁審判長 中澤 登
特許庁審判官 長谷山 健
池渕 立
登録日 2018-01-19 
登録番号 特許第6275277号(P6275277)
権利者 ポスコ
発明の名称 電磁鋼板用コーティング剤、その製造方法、およびこれを用いた電磁鋼板のコーティング方法  
代理人 蜂谷 浩久  
代理人 三好 秀和  
代理人 伊藤 正和  
代理人 伊東 秀明  
代理人 原 裕子  

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