ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H01H 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する H01H |
---|---|
管理番号 | 1361789 |
審判番号 | 訂正2020-390004 |
総通号数 | 246 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-06-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2020-01-15 |
確定日 | 2020-03-26 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4676521号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4676521号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?5〕について訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第4676521号に係る出願は、平成16年5月17日(優先権主張 平成15年5月20日、平成15年6月25日)に出願された特願2004-145985号の一部を平成20年8月28日に新たな特許出願として出願され、平成23年2月4日にその特許権の設定登録がされた。その後、令和2年1月15日に本件訂正審判が請求されたものである。 第2 訂正請求について 1 請求の趣旨 特許第4676521号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。 2 訂正の内容 本件審判請求による訂正の内容は、以下の(1)のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記複数の第1スイッチの少なくとも1つがオンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つがオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、前記第1?第3導体が配線されていること」 と記載されているのを、 「前記複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第1電極と前記第4電極が互いに接触してオンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第2電極と前記第3電極が互いに接触してオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、前記第1?第3導体が配線されていること」 に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2から5も同様に訂正する)。 3 証拠方法 本件審判請求書に添付して審判請求人が提出した証拠は、以下のとおりである。 甲第1号証:特開2000-331564号公報 甲第2号証:米国特許出願公開第2002/0171272号明細書 甲第3号証:米国特許第3859485号明細書 甲第4号証:米国特許第6392178号明細書 甲第5号証:米国特許第6450046号明細書 甲第6号証:特開平9-315199号公報 甲第7号証:特開2000-348564号公報 第3 当審の判断 1 一群の請求項について 訂正前の請求項1?5について、請求項2?5は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?5に対応する訂正後の請求項1?5(以下、各請求項に係る発明を「本件訂正発明1」?「本件訂正発明5」という。)は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項であり、本件訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。 2 訂正事項1について (1)訂正の目的の適否 訂正前の請求項1に係る発明では、「複数の第1スイッチの少なくとも1つ」と「1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つ」とが、どのようにして「オン」されるものかについては何ら特定されていない。 これに対して、本件訂正発明1では、複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの「第1電極」と「第4電極」が互いに接触してオンになり、1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの「第2電極」と「第3電極」が互いに接触してオンになることを明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。 同様に、本件訂正発明2?5は、本件訂正発明1を引用することにより、本件訂正発明2?5における第1スイッチ及び第2スイッチをより具体的に特定し、更に限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (2)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1は、上記(1)のとおり、第1スイッチ及び第2スイッチの構成を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。 また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2?5の記載について訂正するものではなく、請求項2?5のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 (3)新規事項の有無 「複数の第1スイッチ」及び「1つもしくは複数の第2スイッチ」に係る説明として、願書に添付した明細書には、 「【0123】 すなわち、着座検出スイッチ111は、絶縁体で構成されたフィルム状基材113を備え、このフィルム状基材113の一方の面(図14のおもて面)には、一端部側に端子部(第1端子部)119を備え、他端部側に各電極部(第1電極部)121A?121Dを備えた導体(第1導体)123が固着されて長く薄く設けられている。 【0124】 また、絶縁体で構成されたフィルム状部材117が、上記フィルム状基材113の上記一方の面側で、絶縁体で構成されたスペーサ115を介し、上記フィルム状基材113から僅かに離隔し上記フィルム状基材113とほぼ平行に設けられている(図13参照)。 【0125】 フィルム状部材117の上記フィルム状基材113側の一方の面には、一端部側に各電極部(第4電極部)125A?125Dを備え他端部側に電極部(第3電極部)127を備えた導体(第3導体)129が固着されて長く設けられている(図13、図16参照)。 【0126】 また、上記フィルム状基材113の上記一方の面には、一端部側に端子部(第2端子部)131を備え、他端部側に上記導体129の電極部127と導通した電極部(第2電極部)133を備え、上記導体123とは絶縁している導体(第2導体)135が、固着されて長く設けられている(図14参照)。 【0127】 そして、着座検出スイッチ111が設けられた座席に乗員が着座したときに、乗員の体重で、上記フィルム状基材113の一部、上記フィルム状部材117の一部のうちの少なくとも一方が撓み、上記各電極部121A?121Dと上記電極部125A?125Dとが互いに導通するように構成されている。 【0128】 なお、上記各電極部121A?121D、125A?125Dに対応する上記スペーサ115の位置には、上記各電極部よりも大きな各貫通孔137A?137Dが形成され、各電極部127、133に対応する位置には、上記各電極部よりも大きな貫通孔137Eが形成されている(図13、図15参照)。」 との記載がなされており、第1スイッチの各電極部(第1電極部)121A?121Dと各電極部(第4電極部)125A?125Dとが互いに接触してオンになり、第2スイッチの電極部(第2電極部)133と電極部(第3電極部)127が互いに接触してオンになることは、願書に添付した明細書及び図面の記載から自明な事項である。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。 (4)独立特許要件 訂正事項1は、上記(1)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件訂正発明1?5は独立特許要件を満たすものでなければならない。 そして、以下に記載のとおり、本件訂正発明1?5は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、特許法第29条第2項の規定に違反するものでもない。 また、訂正事項1により、特許法第36条第4項第1号又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。 したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に適合するものである。 ア 本件訂正発明 本件訂正発明1?5は、訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定されるとおりのものであり、このうち本件訂正発明1は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 座席に乗員が着座しているか否かを検出するための着座検出スイッチにおいて、 フィルム状基材と、 前記フィルム状基材の一方の面に固定され、一方の端部に第1端子を備え、他方の端部に複数の第1電極を備えた第1導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面に固定され、一方の端部に第2端子を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第2電極を備え、前記第1導体とは絶縁された第2導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面側に、スペーサを介して前記フィルム状基材から離隔して設けられたフィルム状部材と、 前記フィルム状部材の前記フィルム状基材に面する面に固定され、一方の端部に複数の第4電極を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第3電極を備えた第3導体と、 を有し、 前記第1電極と前記第4電極が互いに対向して配置された電極対からなる複数の第1スイッチが形成され、前記第2電極と前記第3電極が互いに対向して配置された電極対からなる1つもしくは複数の第2スイッチが形成され、前記スペーサには、前記第1及び第2スイッチの各々に対応する各貫通孔が形成され、 前記複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第1電極と前記第4電極が互いに接触してオンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第2電極と前記第3電極が互いに接触してオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、前記第1?第3導体が配線されていることを特徴とする着座検出スイッチ。」 イ 各甲号証の記載事項 (ア)甲第1号証 甲第1号証の段落【0012】?【0019】及び図1?6の記載を総合し、本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「座席1に乗員が着座しているか否かを検出するための着座センサ5において、 可撓性シート21と、 可撓性シート21の一方の面に固定され、一方の端部に+側電源端子を備え、他方の端部に第1ランド41、43及び第1ランド42の分割部42aを備えた第1リード61と、 可撓性シート21の一方の面に固定され、一方の端部は検出系に接続され、他方の端部に第1ランド42の分割部42bを備え、第1リード61とは絶縁された第2リード62と、 可撓性シート21の一方の面側に、絶縁スペーサ23を介して可撓性シート21から離隔して設けられた可撓性シート22と、 可撓性シート22の可撓性シート21に面する面に固定され、一方の端部に複数の第2ランド51を備えた第3リード63と、 可撓性シート22の可撓性シート21に面する面に固定された、複数の第2ランド52と、 可撓性シート22の可撓性シート21に面する面に固定され、一方の端部に複数の第2ランド53を備えた第4リード64と、 を有し、 第1ランド41と第2ランド51が互いに対向して配置された電極対からなる接点部13が形成され、第1ランド42と第2ランド52が互いに対向して配置された電極対からなる接点部14が形成され、第1ランド43と第2ランド53が互いに対向して配置された電極対からなる接点部15が形成され、絶縁スペーサ23には、接点部13?15の各々に対応する開口部31?33が形成され、 接点部13?15をそれぞれ電流が流れているかどうかが電流検出部71で検出され、電流が流れている接点部13?15の組合せを着座対象判別手段としてCPU72が認識して着座の有無及び着座対象を判別するように、 第1?第4リード61?64が配線されている着座センサ5。」 (イ)甲第2号証 甲第2号証の段落[0022]及び図1、2には、シート4と関連する第1の部材A内にスイッチS1?S4が埋め込まれており、スイッチS1、S2とスイッチS3、S4は並列に接続されて、この2ペアは直列に接続されており、少なくとも各ペアの一つずつのスイッチが押され(閉じられ)れば、椅子に座っているユーザの存在を検出できるシステム2が記載されている。 したがって、本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第2号証には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 「座席にユーザが着座しているか否かを検出するためのスイッチS1?S4であって、 スイッチS1、S2の少なくとも1つのスイッチがオンになり且つスイッチS3、S4の少なくとも1つのスイッチがオンになることにより、ユーザが座席に着座していることを検出できるスイッチS1?S4。」 (ウ)甲第3号証 甲第3号証の第5欄第10?49行及び図1?6の記載を総合し、本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる(なお、甲第3号証の図2、3に記載の参照符号「20」、「21」は、それぞれ、「21」、「22」の誤記であると認められる。)。 「自動車シート14に乗員が着座しているか否かを検出するための乗員センサシートスイッチ11において、 銅被覆フィルム21,22のフィルム部分と、 銅被覆フィルム21のフィルム部分の一方の面に固定され、一方の端部に端子23を備えた銅被覆フィルム21の銅部分と、 銅被覆フィルム22のフィルム部分の一方の面に固定され、一方の端部に端子26を備え、銅被覆フィルム21の銅部分とは絶縁された銅被覆フィルム22の銅部分と、 銅被覆フィルム21,22のフィルム部分の一方の面側に、発泡体15を介して銅被覆フィルム21,22のフィルム部分から離隔して設けられた銅被覆フィルム19のフィルム部分と、 銅被覆フィルム19のフィルム部分の銅被覆フィルム21,22のフィルム部分に面する面に固定された銅被覆フィルム19の銅部分20と、 を有し、 銅被覆フィルム21の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20が互いに対向して配置されて複数の第1スイッチが形成され、 銅被覆フィルム22の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20が互いに対向して配置されて複数の第2スイッチが形成され、発泡体15には、第1及び第2スイッチの各々に対応する貫通孔が形成され、該貫通孔には、導電性粒子18が全体に分散した弾性パッド16,17が設けられており、 複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの銅被覆フィルム21の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20との間にある弾性パッド16を圧縮してオンになり且つ複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの銅被覆フィルム22の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20との間にある弾性パッド17を圧縮してオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、銅被覆フィルム19?21の銅部分が配置されている乗員センサシートスイッチ11。」 (エ)甲第4号証 甲第4号証の第2欄第37?54行、第5欄第46?51行及び図1には、第1接点パターン4を有する第1フレキシブル絶縁基板1及び第2接点パターン5を有する第2フレキシブル絶縁基板2を、第1接点パターン4及び第2接点パターン5との対向領域に開口8を有するスペーサ部材3を介して対向配置し、第1接点パターン4に導電接続された第1配線パターン6と、第2接点パターン5に導電接続された第2配線パターン7を形成し、第1接点パターン4と第2接点パターン5とからなる接点10間に加わる押圧力によって第1接点パターン4と第2接点パターン5とが導電接触するメンブレンスイッチが記載されている。 また、第8欄第42?60行には、メンブレンスイッチのスイッチ本体部11を、自動車の座席中に埋設し、搭乗者がその座席に座ったとき、搭乗者の重力によって接点10の少なくとも1つに押圧力が加えられ、この接点10の近くの第1及び第2フレキシブル絶縁基板1、2自身の弾力に抗して第1及び第2フレキシブル絶縁基板1、2が部分的に変形して、第1接点パターン4と第2接点パターン5とが接触し、この接点10を閉じることにより、第1接点パターン4に接続される第1配線パターン6と第2接点パターン5に接続される第2配線パターン7との間の電圧または電流状態が変化し、その電圧または電流状態の変化が、第1及び第2配線パターン結合部6C、7C、第1及び第2配線パターン14、15、第1及び第2端子16、17をそれぞれ通して外部回路に伝達され、メンブレンスイッチが閉じたことが検知されることが記載されている。 (オ)甲第5号証 甲第5号証の第3欄第60行?第4欄第41行及び図1、2には、上シート1と、上シート1の下面に形成された可動接点層2と、上シート1の下方に配置された下シート3と、下シート3の上面に、可動接点層2と所定の間隙を空け対向して形成された固定接点層5A、5Bと、上シート1と下シート3の間に形成された絶縁スペーサ層6及び接着層7とで、感圧スイッチが構成され、 上記感圧スイッチが自動車の座席内に装着され、乗員が座席へ着座すると、この乗員の体重によって上シート1が撓み、上シート1の可動接点層2が下シート3の固定接点層5A、5Bに接触し、着座による荷重の変化に伴って、可動接点層2と固定接点層5A、5Bの樹脂内に分散された導電粉同士の接触面積が大きくなり、感圧性抵抗素子としての抵抗値が小さくなることが記載されている。 (カ)甲第6号証 甲第6号証の段落【0013】?【0015】、【0019】及び図1?4には、 車両のシート2内に配設される感圧スイッチ3と車両に配設された判定回路4とから構成され、 感圧スイッチ3は、一対のフィルム31,32及び複数組の電極33,34から構成され、フィルム31,32間の電極33,34が位置しない部分(フィルム31の隣合う電極33,33の間及びフィルム32の隣合う電極34,34の間)には、粘着材35が配設されており、粘着材35によりフィルム31,32が両者間に所定の間隔Aを持って電極33,34を配設した状態で貼り合わされており、 判定回路4は、比較回路41を有し、比較回路41に接続された入力端子42に全ての電極33が並列で接続され、全ての電極34は、判定回路4のグランド端子45を介して接地されており、 シート2に人が座わりシートクッション5に荷重が加わると、感圧スイッチ3の電極33,34同士が接触して導通状態となり、電極33,34の導通により判定回路4の比較回路41に、設定されたしきい値を越える電圧が入力端子42を介して入力されると、比較回路41が感圧スイッチ3がオンと判断して、シート2に人が座ったことが判断される着座検知装置が記載されている。 したがって、本件訂正発明1の記載ぶりに則って整理すると、甲第6号証には、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。 「車両のシート2に乗員が着座しているか否かを検出するための感圧スイッチ3において、 フィルム31と、 フィルム31の一方の面に固定され、一方の端部は入力端子42に接続され、他方の端部に複数の電極33を備えた第1導体と、 フィルム31の一方の面側に、粘着材35を介してフィルム31から離隔して設けられたフィルム32と、 フィルム32のフィルム31に面する面に固定され、一方の端部に複数の電極34を備え、他方の端部はグランド端子45に接続された第3導体と、 を有し、 電極33と電極34が互いに対向して配置された電極対からなる複数の第1スイッチが形成され、粘着材35には、第1スイッチの各々に対応する各貫通孔が形成され、 複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの電極33と電極34が互いに接触してオンになることにより、乗員がシート2に着座していることを検出できるように、第1導体と第3導体が配線されている感圧スイッチ3。」 (キ)甲第7号証 甲第7号証の段落【0019】及び図1?4には、第1の絶縁基板1の一方の面に設けた第1の導電層2上に第1の抵抗層3を形成し、第2の絶縁基板5の一方の面に設けた第2の導電層6上に第2の抵抗層7を形成して、第1,第2の絶縁基板1,5間にスペーサ4を介設し、第1,第2の抵抗層3,7を所定の間隔をもって接触可能に対向させて構成されている感圧装置が記載されている。 また、段落【0005】、【0026】及び図16には、このように構成された感圧装置は、車両の座席30に埋設されて用いられることが記載されている。 ウ 本件訂正発明1について (ア)甲1発明を主引用発明とした場合 a 対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、引用発明における「着座センサ5」、「可撓性シート21」、「+側電源端子」、「第1ランド41」、「第1リード61」、「第1ランド42の分割部42b」、「第2リード62」、「絶縁スペーサ23」、「可撓性シート22」、「第2ランド51」、及び「開口部31、32」は、本件訂正発明1の「着座検出スイッチ」、「フィルム状基材」、「第1端子」、「第1電極」、「第1導体」、「第2電極」、「第2導体」、「スペーサ」、「フィルム状部材」、「第4電極」、及び「貫通孔」にそれぞれ相当する。 また、甲1発明の第2リード62の一方の端部は、検出系に接続されており、第2リード62の検出系に接続される部分は、本件訂正発明1の「第2端子」に相当する。 さらに、甲1発明の「第2ランド52」は、第1ランド42の分割部42bと互いに対向して配置された電極対からなる第2スイッチを形成している限りにおいて、本件訂正発明1の「第3電極」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「座席に乗員が着座しているか否かを検出するための着座検出スイッチにおいて、 フィルム状基材と、 前記フィルム状基材の一方の面に固定され、一方の端部に第1端子を備え、他方の端部に複数の第1電極を備えた第1導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面に固定され、一方の端部に第2端子を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第2電極を備え、前記第1導体とは絶縁された第2導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面側に、スペーサを介して前記フィルム状基材から離隔して設けられたフィルム状部材と、 を有し、 前記第1電極と前記第4電極が互いに対向して配置された電極対からなる複数の第1スイッチが形成され、前記第2電極と第3電極が互いに対向して配置された電極対からなる1つもしくは複数の第2スイッチが形成され、前記スペーサには、前記第1及び第2スイッチの各々に対応する各貫通孔が形成され、 乗員が座席に着座していることを検出できる着座検出スイッチ。」 <相違点1-1> 本件訂正発明1は、フィルム状部材のフィルム状基材に面する面に固定され、「一方の端部に複数の第4電極を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第3電極を備えた第3導体」を有するのに対し、 甲1発明は、可撓性シート22の可撓性シート21に面する面に固定された第3リード63が、一方の端部に複数の第2ランド51を備えているものの、他方の端部は検出系に接続されており、第2ランド52とは接続されていない点。 <相違点1-2> 本件訂正発明1は、「前記複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第1電極と前記第4電極が互いに接触してオンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第2電極と前記第3電極が互いに接触してオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、前記第1?第3導体が配線されている」のに対し、 甲1発明は、「接点部13?15をそれぞれ電流が流れているかどうかが電流検出部71で検出され、電流が流れている接点部13?15の組合せを着座対象判別手段としてCPU72が認識して着座の有無及び着座対象を判別する」点。 b 判断 上記相違点1-1について検討する。 甲第1号証の段落【0018】?【0019】及び図5、6に記載のように、甲1発明は、接点部13に対応する第2ランド51が、それに流れる電流を検出する検出系に接続される第3リード63に接続され、接点部15に対応する第2ランド53が、それに流れる電流を検出する検出系に接続される第4リード64に接続され、接点部14に対応する第2ランド52が、第1ランド42の分割部42a,42bを短絡するもので、孤立的なパターンとなっていることにより、各着座検出位置に配置された接点部13?15をそれぞれ電流が流れているかどうかが電流検出部71で検出され、電流が流れている接点部13?15の組合せを着座対象判別手段としてCPU72が認識して着座の有無及び着座対象を判別しているものである。 そうすると、仮に、甲1発明において、上記相違点1-1に係る本件訂正発明1のように、第3リード63の他方の端部を、検出系に接続することに換えて、第2ランド52と接続する変更を行った場合、甲1発明の着座対象の判別という機能が発揮できなくなることが明らかであるため、上記変更を行うことには阻害要因があるといえる。 したがって、上記相違点1-1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとは認められず、上記相違点1-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者であっても甲1発明に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。 (イ)甲3発明を主引用発明とした場合 a 対比 本件訂正発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明における「乗員センサシートスイッチ11」、「銅被覆フィルム21,22のフィルム部分」、「端子23」、「銅被覆フィルム21の銅部分」、「端子26」、「銅被覆フィルム22の銅部分」、「発泡体15」、「銅被覆フィルム19のフィルム部分」、及び「銅被覆フィルム19の銅部分20」は、本件訂正発明1の「着座検出スイッチ」、「フィルム状基材」、「第1端子」、「第1導体」、「第2端子」、「第2導体」、「スペーサ」、「フィルム状部材」、及び「第3導体」にそれぞれ相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「座席に乗員が着座しているか否かを検出するための着座検出スイッチにおいて、 フィルム状基材と、 前記フィルム状基材の一方の面に固定され、一方の端部に第1端子を備えた第1導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面に固定され、一方の端部に第2端子を備え、前記第1導体とは絶縁された第2導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面側に、スペーサを介して前記フィルム状基材から離隔して設けられたフィルム状部材と、 前記フィルム状部材の前記フィルム状基材に面する面に固定された第3導体と、 を有し、 複数の第1スイッチが形成され、1つもしくは複数の第2スイッチが形成され、 前記複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチがオンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチがオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、 前記第1?第3導体が配線されている着座検出スイッチ。」 <相違点3-1> 本件訂正発明1は、第1導体の他方の端部に「複数の第1電極」を備え、第2導体の他方の端部に「1つもしくは複数の第2電極」を備え、第3導体の一方の端部に「複数の第4電極」を備え、他方の端部に「1つもしくは複数の第3電極」を備え、「前記第1電極と前記第4電極が互いに対向して配置された電極対からなる」複数の第1スイッチが形成され、「前記第2電極と前記第3電極が互いに対向して配置された電極対からなる」1つもしくは複数の第2スイッチが形成されているのに対し、 甲3発明には、銅被覆フィルム21の銅部分の他方の端部、銅被覆フィルム22の銅部分の他方の端部、銅被覆フィルム19の銅部分20の一方の端部と他方の端部に電極を備えることが特定されていない点。 <相違点3-2> 本件訂正発明1は、スペーサに、第1及び第2スイッチの各々に対応する「各貫通孔」が形成されているのに対し、 甲3発明は、発泡体15に、各スイッチに対応して各貫通孔が形成されるとともに、該貫通孔に、「導電性粒子18が全体に分散した弾性パッド16,17」が設けられている点。 <相違点3-3> 本件訂正発明1は、前記複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第1電極と前記第4電極が「互いに接触して」オンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第2電極と前記第3電極が「互いに接触して」オンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるのに対し、 甲3発明は、複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの銅被覆フィルム21の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20との間にある「弾性パッド16を圧縮して」オンになり且つ複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの銅被覆フィルム22の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20との間にある「弾性パッド17を圧縮して」オンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できる点。 b 判断 事案に鑑みて、上記相違点3-2について先に検討する。 甲第4?7号証に記載のように、フィルム状基材と、フィルム状基材の一方の面に固定され、他方の端部に複数の電極を備えた導体と、フィルム状基材の一方の面側に、スペーサを介してフィルム状基材から離隔して設けられたフィルム状部材と、フィルム状部材のフィルム状基材に面する面に固定され、一方の端部に複数の電極を備えた導体と、を有し、フィルム状基材に備えられた電極とフィルム状部材に備えられた電極が互いに対向して配置された電極対からなる複数のスイッチが形成され、スペーサには、複数のスイッチの各々に対応する各貫通孔が形成され、複数のスイッチの少なくとも1つの電極対が互いに接触してオンになることにより、座席に乗員が着座しているか否かを検出する着座検出スイッチ、いわゆるメンブレンスイッチの構成である着座検出スイッチは、周知技術であったといえる。 しかしながら、甲第3号証の明細書全体の記載から見て、甲3発明は、発泡体15の貫通孔に、導電性粒子18が全体に分散した弾性パッド16,17を設けて、圧縮されていないと導電性粒子18は互いに接触せず、圧縮されると導電性粒子18が互いに接触して、弾性パッド16,17の上下面間が電気的に導通するようにしてスイッチの役目を果たすようにしたことを特徴とする発明であると認められる。 そうすると、甲3発明において、特徴部分である弾性パッド16,17を取り除き、上記周知技術のように、銅被覆フィルム21の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20とを、銅被覆フィルム22の銅部分と銅被覆フィルム19の銅部分20とを、それぞれ互いに接触させてオンになるようにする動機付けが存在しない。 したがって、上記相違点3-2に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとは認められず、その余の相違点について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、当業者であっても甲3発明に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。 (ウ)甲2発明を主引用発明とした場合 a 対比 本件訂正発明1と甲2発明とを対比すると、甲2発明における「スイッチS1、S2」及び「スイッチS3、S4」は、本件訂正発明1の「複数の第1スイッチ」及び「複数の第2スイッチ」にそれぞれ相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「座席に乗員が着座しているか否かを検出するための着座検出スイッチにおいて、 複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチがオンになり且つ1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチがオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できる着座検出スイッチ。」 <相違点2-1> 本件訂正発明1は、「フィルム状基材と、 前記フィルム状基材の一方の面に固定され、一方の端部に第1端子を備え、他方の端部に複数の第1電極を備えた第1導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面に固定され、一方の端部に第2端子を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第2電極を備え、前記第1導体とは絶縁された第2導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面側に、スペーサを介して前記フィルム状基材から離隔して設けられたフィルム状部材と、 前記フィルム状部材の前記フィルム状基材に面する面に固定され、一方の端部に複数の第4電極を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第3電極を備えた第3導体と、を有」するのに対し、 甲2発明は、そのような構成が特定されていない点。 <相違点2-2> 本件訂正発明1は、「前記第1電極と前記第4電極が互いに対向して配置された電極対からなる複数の第1スイッチが形成され、前記第2電極と前記第3電極が互いに対向して配置された電極対からなる1つもしくは複数の第2スイッチが形成され、前記スペーサには、前記第1及び第2スイッチの各々に対応する各貫通孔が形成され」ているのに対し、 甲2発明は、そのような構成が特定されていない点。 b 判断 上記相違点2-1?2-2について検討する。 (a)甲3発明は、上記イ(ウ)のとおり、上記相違点2-1?2-2に係る本件訂正発明1と類似するメンブレンスイッチの構成を有しており、甲2発明のスイッチS1?S4と甲3発明の乗員センサシートスイッチ11とは、複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチがオンになり且つ1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチがオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるという機能の点で共通するものであるから、甲2発明に甲3発明を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであると考えられる。 しかしながら、甲2発明に甲3発明を適用することにより得られるものは、発泡体15の貫通孔に、導電性粒子18が全体に分散した弾性パッド16,17が設けられているものであり、当該弾性パッド16,17を取り除く動機付けが存在しないことは、上記(イ)bで検討したとおりである。 (b)また、上記(イ)bで述べたとおり、いわゆるメンブレンスイッチの構成である着座検出スイッチは、甲第4?7号証に記載のように周知技術であり、甲2発明のスイッチS1?S4に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであると考えられる。 しかしながら、甲2発明のスイッチS1?S4に上記周知技術を適用しても、第1端子及び第2端子がいずれもフィルム状基材の一方の面に固定されるという上記相違点2-1に係る本件訂正発明1の構成に至ることはできず、他に当該構成に容易に想到し得たことを認めるに足りる証拠は見当たらない。 (c)したがって、本件訂正発明1は、当業者であっても甲2発明に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。 (エ)甲6発明を主引用発明とした場合 a 対比 本件訂正発明1と甲6発明とを対比すると、甲6発明における「感圧スイッチ3」、「フィルム31」、「電極33」、「粘着材35」、「フィルム32」、及び「電極34」は、本件訂正発明1の「着座検出スイッチ」、「フィルム状基材」、「第1電極」、「スペーサ」、「フィルム状部材」、及び「第4電極」にそれぞれ相当する。 また、甲6発明の第1導体の一方の端部は、入力端子42に接続されており、第1導体の入力端子42に接続される部分は、本件訂正発明1の「第1端子」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「座席に乗員が着座しているか否かを検出するための着座検出スイッチにおいて、 フィルム状基材と、 前記フィルム状基材の一方の面に固定され、一方の端部に第1端子を備え、他方の端部に複数の第1電極を備えた第1導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面側に、スペーサを介して前記フィルム状基材から離隔して設けられたフィルム状部材と、 前記フィルム状部材の前記フィルム状基材に面する面に固定され、一方の端部に複数の第4電極を備えた第3導体と、 を有し、 前記第1電極と前記第4電極が互いに対向して配置された電極対からなる複数の第1スイッチが形成され、前記スペーサには、前記第1スイッチの各々に対応する各貫通孔が形成されている着座検出スイッチ。」 <相違点6-1> 本件訂正発明1は、「前記フィルム状基材の前記一方の面に固定され、一方の端部に第2端子を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第2電極を備え、前記第1導体とは絶縁された第2導体」を有するのに対し、 甲6発明は、フィルム31の一方の面に、そのような第2導体を有していない点。 <相違点6-2> 本件訂正発明1は、一方の端部に複数の第4電極を備えた第3導体の他方の端部に、「1つもしくは複数の第3電極」を備えているのに対し、 甲6発明は、一方の端部に複数の電極34を備えた第3導体の端部は、グランド端子45に接続されている点。 <相違点6-3> 本件訂正発明1は、「第2電極と第3電極が互いに対向して配置された電極対からなる1つもしくは複数の第2スイッチが形成され」、「前記スペーサには、前記第2スイッチの各々に対応する各貫通孔が形成され」るのに対し、 甲6発明は、そのような第2スイッチが形成されておらず、粘着材35に、第2スイッチの各々に対応する各貫通孔は形成されていない点。 <相違点6-4> 本件訂正発明1は、「前記複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第1電極と前記第4電極が互いに接触してオンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第2電極と前記第3電極が互いに接触してオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、前記第1?第3導体が配線されている」のに対し、 甲6発明は、「複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの電極33と電極34が互いに接触してオンになることにより、乗員がシート2に着座していることを検出できるように、第1導体と第3導体が配線されている」点。 b 判断 上記相違点6-1?6-4について検討する。 甲6発明において、上記相違点6-1?6-4に係る本件訂正発明1の構成に至るためには、フィルム31の一方の面に、第1導体とは絶縁された「第2導体」を新たに設け、第3導体の他方の端部をグランド端子45に接続することに換えて、第2導体の一方の端部をグランド端子45に接続し、第3導体の他方の端部に「第3電極」、第2導体の他方の端部に「第2電極」を設けて、第2電極と第3電極を互いに対向させて配置して電極対からなる第2スイッチを形成し、その上で、該第2スイッチと第1スイッチとでAND回路を構成するように変更しなければならない。 しかしながら、上記(ウ)b(b)で検討したように、甲6発明のような、いわゆるメンブレンスイッチの構成である着座検出スイッチに、甲2発明を適用しても、特に、入力端子42に接続される部分(第1端子)及びグランド端子45に接続される部分(第2端子)をいずれもフィルム31(フィルム状基材)の一方の面に固定するという構成に至ることはできず、他に当該構成に容易に想到し得たことを認めるに足りる証拠は見当たらない。 したがって、本件訂正発明1は、当業者であっても甲6発明に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。 エ 本件訂正発明2?5について 本件訂正発明2?5も、本件訂正発明1と同一の構成を備えるものであるから、本件訂正発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲第1?7号証に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。 オ 小括 以上によれば、本件訂正発明1?5は、甲第1?7号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 また、本件訂正発明1?5は、甲第1?7号証に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、特許法第29条第2項の規定に違反するものではない。 第4 むすび 以上のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項から第7項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 座席に乗員が着座しているか否かを検出するための着座検出スイッチにおいて、 フィルム状基材と、 前記フィルム状基材の一方の面に固定され、一方の端部に第1端子を備え、他方の端部に複数の第1電極を備えた第1導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面に固定され、一方の端部に第2端子を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第2電極を備え、前記第1導体とは絶縁された第2導体と、 前記フィルム状基材の前記一方の面側に、スペーサを介して前記フィルム状基材から離隔して設けられたフィルム状部材と、 前記フィルム状部材の前記フィルム状基材に面する面に固定され、一方の端部に複数の第4電極を備え、他方の端部に1つもしくは複数の第3電極を備えた第3導体と、 を有し、 前記第1電極と前記第4電極が互いに対向して配置された電極対からなる複数の第1スイッチが形成され、前記第2電極と前記第3電極が互いに対向して配置された電極対からなる1つもしくは複数の第2スイッチが形成され、前記スペーサには、前記第1及び第2スイッチの各々に対応する各貫通孔が形成され、 前記複数の第1スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第1電極と前記第4電極が互いに接触してオンになり且つ前記1つもしくは複数の第2スイッチの少なくとも1つのスイッチの前記第2電極と前記第3電極が互いに接触してオンになることにより、乗員が座席に着座していることを検出できるように、前記第1?第3導体が配線されていることを特徴とする着座検出スイッチ。 【請求項2】 前記複数の第1スイッチと、前記1つもしくは複数の第2スイッチとが前記各導体によってアンド回路を形成するように接続されていることを特徴とする請求項1に記載の着座検出スイッチ。 【請求項3】 前記複数の第1スイッチ及び/もしくは複数の前記第2スイッチが、オア回路を形成するように並列に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の着座検出スイッチ。 【請求項4】 前記複数の第1電極と、前記複数の第4電極との各々が電気的に並列に接続されており、前記複数の第1電極の各電極が前記複数の第4電極の各電極と対向して配置されてそれぞれ第1スイッチが形成され、 複数の前記第2電極と、複数の前記第3電極との各々が電気的に並列に接続されており、複数の前記第2電極の各電極が複数の前記第3電極の各電極と対向して配置されてそれぞれ第2スイッチが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の着座検出スイッチ。 【請求項5】 前記第2スイッチは、前記複数の第1スイッチより前記座席の後側部位に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の着座検出スイッチ。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2020-03-02 |
結審通知日 | 2020-03-05 |
審決日 | 2020-03-18 |
出願番号 | 特願2008-220436(P2008-220436) |
審決分類 |
P
1
41・
851-
Y
(H01H)
P 1 41・ 856- Y (H01H) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 森本 哲也 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
尾崎 和寛 井上 信 |
登録日 | 2011-02-04 |
登録番号 | 特許第4676521号(P4676521) |
発明の名称 | 着座検出スイッチ |
代理人 | 工藤 嘉晃 |
代理人 | 工藤 嘉晃 |
代理人 | 西島 孝喜 |
代理人 | 西島 孝喜 |