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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C04B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C04B
管理番号 1362301
異議申立番号 異議2019-700640  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-09 
確定日 2020-03-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6476165号発明「セメント焼成装置及びセメントキルン排ガスの脱硝方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6476165号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?2〕、〔3?5〕について訂正することを認める。 特許第6476165号の請求項1,2,3,5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6476165号(以下、「本件」という。)の請求項1?5に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)1月8日(優先権主張 平成26年3月6日 日本国(JP))を国際出願日として特許出願され、平成31年2月8日に特許権の設定登録がなされ、同年3月6日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、それらの特許のうちの請求項1,2,3,5に係る特許に対し、特許異議申立人 松永健太郎(以下「異議申立人」という。)により、令和1年8月9日付けで特許異議の申立てがされ、同年11月1日付けで特許権者に取消理由が通知され、その指定期間内の同年12月12日付けで特許権者より意見書の提出及び訂正(以下、「本件訂正」という。)請求がされ、同年12月18日付けで訂正請求があった旨が異議申立人に通知されたが、その指定期間内に異議申立人から意見書の提出がなかったものである。


第2 本件訂正について
本件訂正の請求の趣旨、及び、訂正の内容は、本件訂正請求書の記載によれば、それぞれ以下のとおりのものである。

1. 請求の趣旨
本件の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?5について訂正することを求める。

2. 訂正の内容(当審注:訂正箇所には下線を付加した。)
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「セメントキルンの窯尻に設置され、該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えることを特徴とするセメント焼成装置。」とあるのを、
「セメントキルンと、該セメントキルンに付設された仮焼炉と、前記セメントキルンの窯尻に設置され、該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えることを特徴とするセメント焼成装置。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2も同様に訂正する)。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「セメントキルンの窯尻に設置される脱硝用バーナーから該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させることを特徴とするセメントキルン排ガスの脱硝方法。」とあるのを、
「仮焼炉を付設したセメントキルンの窯尻に設置される脱硝用バーナーから該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させることを特徴とするセメントキルン排ガスの脱硝方法。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4?5も同様に訂正する)。

(3) 訂正事項3
明細書の段落【0008】に「本発明のセメント焼成装置は、セメントキルンの窯尻に設置され、該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えることを特徴とする。」とあるのを、
「本発明のセメント焼成装置は、セメントキルンと、該セメントキルンに付設された仮焼炉と、前記セメントキルンの窯尻に設置され、該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えることを特徴とする。」に訂正する。

(4) 訂正事項4
明細書の段落【0011】に「また、本発明は、セメントキルン排ガスの脱硝方法であって、セメントキルンの窯尻に設置される脱硝用バーナーから該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させることを特徴とする。」とあるのを、
「また、本発明は、セメントキルン排ガスの脱硝方法であって、仮焼炉を付設したセメントキルンの窯尻に設置される脱硝用バーナーから該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させることを特徴とする。」に訂正する。


3. 訂正の適否についての判断
訂正の適否について、以下のとおり判断する。
(1) 訂正事項1
訂正事項1は、仮焼炉についての特定を備えていなかった、訂正前の請求項1?2のセメント焼成装置に対して、本件特許の明細書の段落【0015】等の記載と【図1】の記載とに基づき、「セメントキルンと、該セメントキルンに付設された仮焼炉と、」を備えるとの特定を付加する訂正事項であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2) 訂正事項2
訂正事項2は、仮焼炉についての特定を備えていなかった、訂正前の請求項3?5のセメントキルン排ガスの脱硝方法における「セメントキルン」に対して、本件特許の明細書の段落【0015】等の記載と【図1】の記載とに基づき、「仮焼炉を付設した」との特定を付加する訂正事項であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3) 訂正事項3
訂正事項3は、セメント焼成装置に係る発明に関し、訂正前の請求項1と同様の記載がされていた訂正前の明細書の段落【0008】の記載を、訂正事項1によって訂正される請求項1の記載と整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4) 訂正事項4
訂正事項4は、セメントキルン排ガスの脱硝方法に係る発明に関し、訂正前の請求項3と同様の記載がされていた訂正前の明細書の段落【0011】の記載を、訂正事項2によって訂正される請求項3の記載と整合させようとするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5) 一群の請求項について
訂正前の請求項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項であり、請求項1?2は一群の請求項であるところ、訂正事項1,3の訂正は、その一群の請求項に対して請求されたものであるし、また、訂正前の請求項4?5は、訂正前の請求項3を引用する請求項であり、請求項3?5は一群の請求項であるところ、訂正事項2,4の訂正は、その一群の請求項に対して請求されたものであるから、訂正事項1?4を含む本件訂正は特許法120条の5第4項の規定に適合する。

(6)明細書の訂正と関係する請求項について
訂正事項3による明細書の訂正は、訂正事項1の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり、一群の請求項1?2の全てについてする訂正である。
また、訂正事項4による明細書の訂正は、訂正事項2の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であり、一群の請求項3?5の全てについてする訂正である。
したがって、訂正事項3?4を含む本件訂正は特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。

(7) 独立特許要件について
本件の請求項1?5のうち、請求項4については、特許異議の申立てがされていないので、請求項4についての訂正事項2,4には、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定が適用される。
そこで、訂正事項2,4による訂正後の請求項4が同法第126条第7項の規定に適合するか検討してみるに、訂正事項2は、特許要件を備えたものとして特許された訂正前の請求項4の特許請求の範囲を減縮するものであるし、また、訂正事項4による明細書の訂正は、訂正事項2の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正である、すなわち、訂正事項2,4による訂正後の請求項4は、特許要件を備えたものとして特許された訂正前の請求項4の特許請求の範囲を減縮したものであるから、当該訂正後の請求項4も特許要件を備えたものである。
したがって、請求項4についての訂正事項2,4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

3. 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?2〕、〔3?5〕について訂正することを認める。


第3 本件訂正発明
上記第2のとおり訂正することを認めるので、本件の特許請求の範囲の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正発明1」?「本件訂正発明5」ということがあり、また、これらを、まとめて、「本件訂正発明」ということがある。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
セメントキルンと、
該セメントキルンに付設された仮焼炉と、
前記セメントキルンの窯尻に設置され、該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えることを特徴とするセメント焼成装置。
【請求項2】
前記バーナーは、前記燃料と前記燃焼用空気との混合流を旋回させる旋回手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のセメント焼成装置。
【請求項3】
仮焼炉を付設したセメントキルンの窯尻に設置される脱硝用バーナーから該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させることを特徴とするセメントキルン排ガスの脱硝方法。
【請求項4】
前記セメントキルンの窯尻内への燃料供給量は、前記セメントキルンに付設された仮焼炉への燃料供給量の20%以上50%未満であることを特徴とする請求項3に記載のセメントキルン排ガスの脱硝方法。
【請求項5】
前記セメントキルンの窯尻内へ供給される燃料は、微粉炭、重油及び可燃性廃棄物の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のセメントキルン排ガスの脱硝方法。」


第4 特許異議の申立てについて
1. 申立理由の概要
異議申立人は、以下の甲第1号証?甲第9号証を提出して、以下の申立理由1?2によって、訂正前の請求項1,2,3,5に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
(1) 申立理由1
訂正前の請求項1,3,5に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるので、訂正前の請求項1,3,5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

(2) 申立理由2
訂正前の請求項1,2,3,5に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、訂正前の請求項1,2,3,5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

[異議申立人が提出した証拠方法]
甲第1号証:特開昭53-1221号公報
甲第2号証:特開昭58-202033号公報
甲第3号証:篠森健一ら,「冷却による自己再循環型バーナのNO_(X)排出
値のさらなる低減」,日本燃焼学会誌,Vol.53,No. 164(2011),p.104?110
甲第4号証:松本啓吾ら,「超低NO_(X)石炭焚きM-PMバーナの開発」 ,三菱重工技報,Vol.50,No.3(2013),
p.18?23
甲第5号証:特開2006-298685号公報
甲第6号証:特開2008-222504号公報
甲第7号証:社団法人セメント協会,セメントの常識,2009年,p.3
甲第8号証:特開平7-300355号公報
甲第9号証:特開2001-114539号公報


2. 取消理由の概要
訂正前の請求項1,2,3,5に係る特許に対して、令和1年11月1日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1) 本件の請求項1,3,5に係る発明は甲第1号証に記載された発明であるので、本件の請求項1,3,5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである(以下、「取消理由1」という。)。

(2) 本件の請求項1,2,3,5に係る発明は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本件の請求項1,2,3,5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(以下、「取消理由2」という。)。


3. 当審の判断
(1)甲第1号証の記載事項、及び、甲第1号証記載の発明
(当審注:「…」は記載の省略を表す。)
ア. 「セメント焼成キルン排ガス中のNOxの低減方法。」(第109頁左下欄第3?4行)

イ. 「実施例-2
200t/dの能力を有するテストプラントのSP付セメント焼成装置を用い、回転窯とSPとを接続する立上り煙道に燃料および空気吹込ノズルを設け、燃料としてC重油を主燃焼(第1段燃焼相当)と補助燃焼(立上り煙道部、第2段燃焼相当)との比率を1:0.4の割合で燃焼せしめセメント焼成を行ない次の結果を得た。なお、主燃焼の空気比は1.20で、窯尻ガス温度(立上り煙道に入る排ガス温度)は950℃であつた。


註1)補助燃焼ゾーンの温度は820?940℃
2)セメント原料は第2段燃焼ゾーンに投入。
(第2段サイクロンよりの原料)」(第110頁右下欄第1?末行)

ウ. 「現在セメント産業においてもNO_(X)規制が実施されつつあり、将来は各地の環境規制がさらにきびしくなる見込である。サスペンションプレヒータ型キルンのNO_(X)発生量は400?600ppmと比較的多く、当面の規制値外であり、これの対策としては脱硝装置の設置、新SP方式への改造などがあるが、前者は技術的に未完成であり、現状では運転コストが嵩み、後者は改造に多額の費用がかかることに問題がある。
かかる現状にあつて、本発明はサスペンシヨンプレヒータ(以下SPという)型セメント焼成キルンの回転窯とSPとを接続する立上り煙道内の回転窯燃焼(以下第1段燃焼という)ガス中に新らたに燃料を導入燃焼(以下第2段燃焼という)させることにより第1段燃焼ガス中のNOxを還元せしめて第2段燃焼排ガス中のNOxを低減せしめることにある。すなわち第1段燃焼ガス中のNOxは第2段燃焼過程において生成する活性化された準安定燃焼中間生成物質によつて還元作用を受けてNOxが低減されることによるものである。」(第109頁左下欄第19行?右下欄第18行)

エ.「…第2段燃焼ゾーンにおける温度上昇はセメント原料の脱炭酸反応(吸熱反応)を促進し、このためにこの段における燃焼温度の上昇を抑制すること、およびセメント原料自体がNOx還元に触媒的に作用することである。したがつて通常のSP型キルンにおける立上り煙道内のセメント原料の投入される部位に第2段燃焼ゾーンを形成するようにすると、この効果は顕著となる。」(第110頁左上欄第7?12行)

オ. 上記ア.?エ.によれば、甲第1号証には、セメント焼成キルン排ガス中のNOxを低減する装置及び方法が記載されていると認められる。

カ. 上記イ.によれば、上記オ.に示した装置及び方法は、具体的には、SP付セメント焼成装置を用い、回転窯とSPとを接続する立上り煙道に燃料および空気吹込ノズルを設け、燃料としてC重油と空気とを吹き込んで補助燃焼(立上り煙道部、第2段燃焼相当)を行なうというセメント焼成キルン排ガス中のNOxを低減する装置及び方法であると認められる。

キ. 上記カ.の装置及び方法における「SP」とは、上記ウ.によれば、「サスペンシヨンプレヒータ」を意味しており、また、上記カ.の「立上り煙道」とは、上記ウ.?エ.によれば、「回転窯とSP(サスペンシヨンプレヒータ)とを接続するセメント原料の投入される部位」を意味しているとされている。

ク. 上記オ.?キ.の検討によれば、甲第1号証には、セメント焼成装置に注目すると、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「回転窯とサスペンシヨンプレヒータとを接続するセメント原料の投入される部位に、セメントを焼成する際に発生する排ガスのNOxを低減させる補助燃焼(燃料と空気を吹き込んで行う燃焼)を行なうための、燃料および空気の吹込ノズルを設けたセメント焼成装置。」

ケ. また、上記オ.?キ.の検討によれば、甲第1号証には、セメント焼成キルン排ガス中のNOxの低減方法に注目すると、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「回転窯とサスペンシヨンプレヒータとを接続するセメント原料の投入される部位に、セメントを焼成する際に発生する排ガスのNOxを低減させる補助燃焼(燃料と空気を吹き込んで行う燃焼)を行なうための、燃料および空気の吹込ノズルを設け、その吹込ノズルから該燃料としてのC重油および空気を吹き込んで、補助燃焼を行なうという、セメント焼成キルン排ガス中のNOxの低減方法。」


(2) 本件訂正発明と引用発明との対比・判断
(2-1) 本件訂正発明1と引用発明1との対比・判断
ア. 本件訂正発明1と、上記(1)ク.に示した、引用発明1とを対比すると、引用発明1における「回転窯」、「空気」は、それぞれ、本件訂正発明1における「セメントキルン」、「燃料用空気」に相当し、また、引用発明1における「燃料および空気の吹込ノズル」は、セメントを焼成する際に発生する排ガスのNOxを低減させる補助燃焼(燃料と空気を吹き込んで行う燃焼)を行なうためのものであるから、本件訂正発明1における「燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナー」に相当する。
してみると、両者は、以下の点で一致し、以下の点で相違していると認められる。
<一致点>
「セメントキルンと、燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えるセメント焼成装置」の点。

<相違点>
相違点1:セメント焼成装置におけるセメントキルンについて、本件訂正発明1は「該セメントキルンに付設された仮焼炉」を備えるとの発明特定事項を有しているのに対し、引用発明1では、前記の発明特定事項を有しているのか明らかではない点。

相違点2:脱硝用バーナーについて、本件訂正発明1は「セメントキルンの窯尻に設置され」るとの発明特定事項を備えているのに対し、引用発明1では、セメントキルンとサスペンシヨンプレヒータとを接続するセメント原料の投入される部位に設けられているものの、前記の発明特定事項を有しているのか明らかではない点。

イ. そこで、まず、上記相違点1につき検討するに、引用発明1のセメント焼成装置に関し、甲第1号証には、サスペンションプレヒータ型キルンのNO_(X)発生量は400?600ppmと比較的多く、これの対策としては脱硝装置の設置、新SP方式への改造などがあるが、前者は技術的に未完成であり、後者は改造に多額の費用がかかることに問題があるため、サスペンシヨンプレヒータ(以下SPという)型セメント焼成キルンの回転窯とSPとを接続する立上り煙道内の回転窯燃料ガス中に新らたに燃料を導入燃焼させることにより燃焼排ガス中のNOxを低減せしめるものである旨の記載がある(上記(1)ウ.)。
ここで、セメント焼成装置には、在来のキルンの改良方式として、キルンにサスペンションプレヒータを付設した方式である、いわゆるSP方式、換言すると、仮焼炉を付設しない方式と、そのSP方式のキルンに仮焼炉を付設した、いわゆる新SP方式とがあるとの技術常識を考慮すると、甲第1号証の前記の記載によれば、引用発明1のセメント焼成装置は、SP方式の装置であり、多額の費用がかかるため、新SP方式への改造は行わない、すなわちキルンに仮焼炉を付設しないものである。
つまり、引用発明1のセメント焼成装置は、仮焼炉を付設しないSP方式のセメント焼成装置であって、上記相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項を有しないものである。
してみると、上記相違点1は実質的な相違点である。

ウ. また、一般に、仮焼炉を付設した新SP方式のセメント焼成装置が、本件優先日当時の周知技術(甲第2,8号証)であるとしても、引用発明1のセメント焼成装置は、上記イ.で検討したとおり、仮焼炉を付設しないSP方式のセメント焼成装置であり、方式が互いに異なるセメント焼成装置である、前記周知技術と引用発明1のセメント焼成装置とを組み合わせることはできない。
さらに、甲第3?7,9号証には、仮焼炉そのものについての記載も示唆も無い。
してみると、引用発明1のセメント焼成装置において、甲第2?9号証の記載事項に基づいて、上記相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項を導き出すことは、当業者が容易になし得ることではない。

エ. 上記イ.?ウ.の検討を踏まえると、本件訂正発明1は、上記相違点2について検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明し得たものともいえない。

(2-2) 本件訂正発明2と引用発明1との対比・判断
本件訂正発明2と、上記(1)ク.に示した、引用発明1とを対比するに、本件訂正発明2は、請求項1の発明特定事項を全て有するものであるから、上記(2-1)ア.での検討と同様にして、両者は、少なくとも上記相違点1?2の点で相違し、上記(2-1)イ.?ウ.での検討における理由と同じ理由により、本件訂正発明2も、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明し得たものともいえない。


(2-3) 本件訂正発明3と引用発明2との対比・判断
ア. 本件訂正発明3と、上記(1)ケ.に示した、引用発明2とを対比すると、引用発明2における「回転窯」、「空気」、「セメント焼成キルン排ガス中のNOxの低減方法」は、それぞれ、本件訂正発明3における「セメントキルン」、「燃料用空気」、「セメントキルン排ガスの脱硝方法」に相当し、また、引用発明2における「燃料および空気の吹込ノズル」は、セメントを焼成する際に発生する排ガスのNOxを低減させる補助燃焼を行なうためのものであるから、本件訂正発明3における「脱硝用バーナー」に相当し、そして、引用発明2における「燃料および空気の吹込ノズルから該燃料としてのC重油および空気を吹き込んで補助燃焼を行なう」ことは、本件訂正発明3における「脱硝用バーナーから」「燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させること」に相当する。
してみると、両者は、以下の点で一致し、以下の点で相違していると認められる。
<一致点>
「脱硝用バーナーから燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させるセメントキルン排ガスの脱硝方法」の点。

<相違点>
相違点1’:セメントキルン排ガスの脱硝方法におけるセメントキルンについて、本件訂正発明3は「仮焼炉を付設したセメントキルン」との発明特定事項を有しているのに対し、引用発明2では、前記の発明特定事項を有しているのか明らかではない点。

相違点2’:脱硝用バーナーについて、本件訂正発明3は「セメントキルンの窯尻に設置され」るとの発明特定事項を備えているのに対し、引用発明2では、セメントキルンとサスペンシヨンプレヒータとを接続するセメント原料の投入される部位に設けられているものの、前記の発明特定事項を有しているのか明らかではない点。

イ. そこで、上記相違点1’につき検討するに、この相違点は上記相違点1と同じであるから、上記(2-1)イ.?ウ.での検討における理由と同じ理由により、本件訂正発明3も、上記相違点2’について検討するまでもなく、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明し得たものともいえない。

(2-4) 本件訂正発明5と引用発明2との対比・判断
本件特許発明5と、上記(1)ケ.に示した、引用発明2とを対比するに、本件訂正発明5は、請求項3の発明特定事項を全て備えたものであるから、上記(2-3)ア.での検討と同様にして、両者は、少なくとも上記相違点1’?2’の点で相違し、上記(2-3)イ.での検討における理由と同じ理由により、本件訂正発明5も、甲第1号証に記載された発明とはいえないし、また、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明し得たものともいえない。


4. 小括
上記3.の検討を踏まえると、請求項1,2,3,5に係る特許は、取消理由1?2によって、取り消されるべきものではない。
また、申立理由1?2は、取消理由1?2と同じ理由であるから、請求項1,2,3,5に係る特許は、申立理由1?2によっても、取り消されるべきものでもない。


第5 むすび
以上のとおり、取消理由、特許異議の申立理由によっては、請求項1,2,3,5に係る特許を取り消すことができない。
さらに、他に請求項1,2,3,5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
セメント焼成装置及びセメントキルン排ガスの脱硝方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントキルンから排出される燃焼ガス中の窒素酸化物(以下「NOx」という。)濃度を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントキルンの排ガスには、焼成帯の高温域に起因するNOxが含まれ、NOxの濃度が高い場合には、尿素やアンモニア等の脱硝剤を投入したり、仮焼炉における燃焼による還元作用によってNOx濃度を低減している。しかし、尿素を脱硝剤として利用する方法では、尿素が高価であるため運転コストが高騰する。また、尿素を添加するのみでは脱硝効率が低く、NOxと反応しなかった余剰アンモニアがそのまま系外へ排出される虞もある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ポリアミド系樹脂及びユリア樹脂を含む廃プラスチックをセメントキルンの窯尻に投入して燃焼させ、ポリアミド系樹脂から発生したアンモニアと、ユリア樹脂から発生した尿素とが燃焼ガスに混合されることで無触媒脱硝剤として機能し、セメント焼成工程のNOx濃度を低減する方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、仮焼炉において燃焼用二次空気の旋回流の旋回強さを調整し、還元性ガスを含む二次空気とキルン排ガスとを混合し、また、炉本体下部に残留する未燃焼分を再燃焼させるための再燃焼用空気の供給位置を適切に設定し、未燃焼分を効率よく燃焼させることでセメントキルン排ガス中の脱硝効果を向上させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許第5207474号公報
【特許文献2】日本国特許第3768070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の方法では、O_(2)濃度の低い窯尻に廃プラスチックを投入することで、セメント焼成装置内の焼成状態が悪化する。さらに、特許文献2に記載の方法では、仮焼炉の形式が限定されるため、同文献に記載の仮焼炉と異なる形式の仮焼炉では脱硝効果が得られない。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、仮焼炉の形式を問わず、良好な焼成状態を維持しながらセメントキルン排ガス中のNOx濃度を効率よく低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のセメント焼成装置は、セメントキルンと、該セメントキルンに付設された仮焼炉と、前記セメントキルンの窯尻に設置され、該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るセメント焼成装置によれば、前記バーナーを設けたことで、セメントキルン排ガス中のNOxを窯尻内の低酸素領域において還元することができると共に、燃料を燃焼させることでセメント原料の脱炭酸効率も向上させることができ、仮焼炉の形式を問わず、良好な焼成状態を維持しながらセメントキルン排ガス中のNOx濃度を効率よく低減することができる。
【0010】
上記セメント焼成装置において、前記バーナーは、前記燃料と前記燃焼用空気との混合流を旋回させる旋回手段を備えることができる。これにより燃料の燃焼効率が向上し、脱炭酸効率をさらに向上させることができる。
【0011】
また、本発明は、セメントキルン排ガスの脱硝方法であって、仮焼炉を付設したセメントキルンの窯尻に設置される脱硝用バーナーから該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させることを特徴とする。本発明によれば、セメントキルン排ガス中のNOxを窯尻内の低酸素領域において還元すると共に、セメント原料の脱炭酸効率も向上させ、仮焼炉の形式を問わず、良好な焼成状態を維持しながらセメントキルン排ガス中のNOx濃度を効率よく低減することができる。
【0012】
上記セメントキルン排ガスの脱硝方法において、前記セメントキルンの窯尻内への燃料供給量を前記セメントキルンに付設された仮焼炉への燃料供給量の20%以上50%未満とすることができ、燃料として微粉炭、重油及び可燃性廃棄物の少なくとも一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、仮焼炉の形式を問わず、良好な焼成状態を維持しながらセメントキルン排ガス中のNOx濃度を効率よく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るセメントキルン焼成装置の一実施の形態を示す概略図である。
【図2】図1のバーナーを示す図であって、(a)は断面図、(b)は側面図、(c)はバーナー先端部の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係るセメント焼成装置の一実施の形態を示し、このセメント焼成装置1は、セメント原料(以下「原料」という。)Rを予熱するプレヒータ2と、プレヒータ2の上から3段目のサイクロン2bからの原料R1を仮焼炉バーナー13から吹き込まれた燃料F2によって仮焼する仮焼炉3と、プレヒータ2の最下段サイクロン2aからの原料R2を主バーナー15から吹き込まれた燃料F1によって焼成するセメントキルン5と、セメントキルン5で焼成されたセメントクリンカを冷却するクリンカクーラ6と、セメントキルン5の窯尻4に設置された脱硝用バーナー14等で構成される。尚、脱硝用バーナー14を除く、プレヒータ2、仮焼炉3、セメントキルン5及びクリンカクーラ6等の構成は、従来のものと同様である。
【0016】
脱硝用バーナー14は、図2に示すように、筒状の本体14aの先端部に旋回羽根(旋回手段)14bを旋回角度10?50度で6?10枚固定した円筒状部材14hと、円筒状部材14hの中心部に位置する棒状部材14jと、円筒状部材14hの先端外側に位置するリング状部材14fとを備える。この脱硝用バーナー14は、先端部側が耐火物14eで覆われ、本体14aの後端側の取付用部材14cと窯尻4の表面4aとがブラケット14dによって結合されて窯尻4に装着される。窯尻4も耐火物4bで保護される。尚、旋回角度とは、図2(c)に示すように、円筒状部材14hを平面状に展開した場合に、脱硝用バーナー14の軸線方向14mと、旋回羽根14bの中心線14gとのなす角θであり、流路の先端14kにおける固体粉末燃料流Fの旋回角度に一致する。上記旋回羽根14bの枚数及び旋回角度は適宜変更することができる。
【0017】
次に、本発明に係るセメントキルン排ガスの脱硝方法について図1及び図2を参照しながら説明する。
【0018】
セメント焼成装置1のプレヒータ2でセメントキルン5からの排ガスGを用いて原料Rの予熱を行い、仮焼炉3でプレヒータ2のサイクロン2bからの原料R1を仮焼する。この際、仮焼炉バーナー13から燃料F2と共に、クリンカクーラ6からの3次空気G1を吹き込んで燃料F2を燃焼させる。燃料F2には、微粉炭、重油等が用いられ、可燃性廃棄物を燃料F2の一部又は全部に用いてもよい。
【0019】
セメントキルン5の窯尻4に設置された脱硝用バーナー14からも燃料F3を燃焼用空気と共に吹き込み、燃料F3を燃焼させる。燃料F3には、仮焼炉3用の燃料F2と同様、微粉炭、重油、可燃性廃棄物を用いることができ、これらのいずれか一つ又は複数を同時に用いてもよい。
【0020】
脱硝用バーナー14から燃料F3を吹き込むことで、セメントキルン5の燃焼ガスGに含まれるNOxを窯尻内の低酸素領域において還元することができる。また、燃料F3を燃焼用空気を用いて燃焼させることで、原料R2、R3の脱炭酸を行うこともでき、セメント焼成装置1全体の脱炭酸効率を向上させることもできる。この際、脱硝用バーナー14に設けた旋回羽根14bにより燃料F3と燃焼用空気との混合流を旋回させて窯尻4の内部に吹き込むため、燃料F3の燃焼効率が向上する。
【0021】
上記仮焼炉3用の燃料F2と脱硝用バーナー14から吹き込む燃料F3の割合を20%以上50%未満に調整することが好ましい。燃料F3の割合が20%を下回ると脱硝効果が低下し、燃料F3の割合が50%を超えると、仮焼炉3での原料R3の脱炭酸効率が低下して好ましくない。
【0022】
次に、セメントキルン5の主バーナー15から微粉炭等の燃料F1を吹き込んで、プレヒータ2のサイクロン2aからの原料R2を焼成し、得られたクリンカをクリンカクーラ6で冷却してセメントクリンカCLを得る。
【0023】
次に、上記構成を有するセメント焼成装置を用いた、セメントキルン排ガスの脱硝方法の試験例について説明する。
【0024】
3つのセメント工場において、上記脱硝用バーナー14を用いた場合(実施例)と、用いなかった場合(比較例)とで、最下段サイクロンの出口ガス、及びセメントキルン排ガスを大気に放出する煙突の排ガスのNOx濃度を比較した結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
同表より、脱硝用バーナー14を用いることで、各々の評価位置でのNOx濃度が低下していることが判る。また、詳細データは省略するが、上記各実施例においては、比較例と同様、セメントキルン等において良好な焼成状態が維持されている。
【0027】
尚、上記実施の形態においては、脱硝用バーナー14の本体14aの先端部に旋回羽根14bを設けたが、この旋回羽根14bは必ずしも設置する必要はなく、燃焼用空気を旋回させずに燃料F3と共に窯尻4に吹き込むこともできる。
【符号の説明】
【0028】
1 セメント焼成装置
2 プレヒータ
2a 最下段サイクロン
2b 上から3段目のサイクロン
3 仮焼炉
4 窯尻
4a 表面
4b 耐火物
5 セメントキルン
6 クリンカクーラ
13 仮焼炉バーナー
14 脱硝用バーナー
14a 本体
14b 旋回羽根
14c 取付用部材
14d ブラケット
14e 耐火物
14f リング状部材
14g 中心線
14h 円筒状部材
14j 棒状部材
14k 流路の先端
14m 軸線方向
15 主バーナー
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントキルンと、
該セメントキルンに付設された仮焼炉と、
前記セメントキルンの窯尻に設置され、該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させる脱硝用バーナーを備えることを特徴とするセメント焼成装置。
【請求項2】
前記バーナーは、前記燃料と前記燃焼用空気との混合流を旋回させる旋回手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のセメント焼成装置。
【請求項3】
仮焼炉を付設したセメントキルンの窯尻に設置される脱硝用バーナーから該窯尻内に燃料及び燃焼用空気を吹き込み、該燃料を燃焼させることを特徴とするセメントキルン排ガスの脱硝方法。
【請求項4】
前記セメントキルンの窯尻内への燃料供給量は、前記セメントキルンに付設された仮焼炉への燃料供給量の20%以上50%未満であることを特徴とする請求項3に記載のセメントキルン排ガスの脱硝方法。
【請求項5】
前記セメントキルンの窯尻内へ供給される燃料は、微粉炭、重油及び可燃性廃棄物の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のセメントキルン排ガスの脱硝方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-03-04 
出願番号 特願2016-506155(P2016-506155)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (C04B)
P 1 652・ 113- YAA (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 手島 理  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 小川 進
金 公彦
登録日 2019-02-08 
登録番号 特許第6476165号(P6476165)
権利者 太平洋エンジニアリング株式会社
発明の名称 セメント焼成装置及びセメントキルン排ガスの脱硝方法  
代理人 中井 潤  
代理人 中井 潤  

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