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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
管理番号 1363165
異議申立番号 異議2019-700619  
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-05 
確定日 2020-05-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6466383号発明「ポリオレフィン系樹脂発泡シート及び粘着テープ」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 1 特許第6466383号の特許請求の範囲を,訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項[1,4?10],3及び13について,訂正することを認める。 2 特許第6466383号の請求項1?13に係る特許を維持する。 
理由 1 主な手続の経緯等
特許第6466383号(請求項の数は13。以下「本件特許」という。)は,平成28年9月29日(先の出願に基づく優先権主張 平成27年9月29日)にされた特許出願に係るものであって,平成31年1月18日にその特許権が設定登録されたものである。
その後,本件特許に係る特許掲載公報が平成31年2月6日に発行されたところ,令和1年8月5日に特許異議申立人東レ株式会社(以下,単に「異議申立人」という。)より本件特許の請求項1?13に係る特許に対して特許異議の申立てがされ,同年11月12日付けで取消理由(以下「当審取消理由」という。)が通知され,同年12月25日に特許権者より意見書が提出されるとともに訂正請求書が提出されることで特許請求の範囲の訂正(以下「本件訂正」という。)が請求され,令和2年1月7日付けで異議申立人に対し特許法(以下,単に「法」という場合がある。)120条の5第5項所定の通知がされ,同年2月7日に異議申立人より意見書が提出された。

2 本件訂正の可否
(1) 特許権者の請求の趣旨
結論第1項に同旨。
(2) 訂正の内容
訂正請求書及びそれに添付された訂正特許請求の範囲によれば,特許権者の求める訂正は,実質的に,以下のとおりである。
【訂正事項】 特許請求の範囲を以下のとおり訂正する(決定注:請求の趣旨とは関係のない請求項2,11及び12についての記載を省略する。なお,訂正事項は,訂正請求書によらず,本決定において整理した。)。
・ 本件訂正前
「【請求項1】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
厚さが0.02mm以上0.45mm以下である,ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項4】
平均気泡間距離が4.0μm以下である,請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
架橋体である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
架橋度が30質量%以上60質量%以下である,請求項5に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項7】
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項8】
独立気泡率が70?100%である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項9】
少なくともポリエチレン系樹脂を含む材料の発泡体である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項10】
請求項1,2及び4?9のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項13】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。」
・ 本件訂正後
「【請求項1】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
厚さが0.02mm以上0.45mm以下であり,
架橋体である,ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,架橋体であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項4】
平均気泡間距離が4.0μm以下である,請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
架橋体である,請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
架橋度が30質量%以上60質量%以下である,請求項5に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項7】
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項8】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
厚さが0.02mm以上0.45mm以下であり,
独立気泡率が70?100%である,ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項9】
少なくともポリエチレン系樹脂を含む材料の発泡体である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項10】
請求項1,2及び4?9のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項13】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であり,架橋体であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。」
(3) 本件訂正の可否についての判断
ア 請求項1についての訂正
この訂正は,請求項1に係る発明である「ポリオレフィン系樹脂発泡シート」について,「架橋体」であることを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。しかも,上述の限定事項については,例えば願書に添付した明細書の【0016】などに記載がある。
よって,請求項1についての訂正は,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであるから,同条9項で準用する法126条5項で規定する要件を満たすといえる。また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないから,同126条6項で規定する要件を満たすと判断される。
イ 請求項3についての訂正
この訂正は,請求項3に係る発明を構成する「ポリオレフィン系樹脂発泡シート」について,「架橋体」であることを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。また,その他の訂正事項の判断については,上記アで検討したことと同旨である。
よって,請求項3についての訂正は,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすといえる。
ウ 請求項4についての訂正
請求項4は請求項1を引用するものであるから,請求項1が訂正されることにともなって,請求項4も実質的に訂正される。
そうすると,請求項4についての訂正は,請求項1についての訂正と同様に,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすといえる。
エ 請求項5についての訂正
この訂正は,記載を引用する請求項について,本件訂正前において請求項1又は2としていたものを請求項2のみとするものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。
よって,請求項5についての訂正は,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから,同条9項で準用する法126条5項で規定する要件を満たすといえる。また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないから,同126条6項で規定する要件を満たすと判断される。
オ 請求項6についての訂正
請求項6は請求項5を引用するものであるから,請求項5が訂正されることにともなって,請求項6も実質的に訂正される。
そうすると,請求項6についての訂正は,請求項5についての訂正と同様に,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすといえる。
カ 請求項7についての訂正
請求項7は請求項1又は2を引用するものであるから,請求項1が訂正されることにともなって,請求項7も実質的に訂正される。
そうすると,請求項7についての訂正は,請求項1についての訂正と同様に,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすといえる。
キ 請求項8についての訂正
この訂正は,実質的にみると,記載を引用する請求項について,本件訂正前において請求項1又は2としていたものを請求項1のみとしつつ,当該請求項1の記載を引用しないものとするものであるから,特許請求の範囲の減縮及びいわゆる引用関係の解消を目的とするものであるといえる。
よって,請求項8についての訂正は,法120条の5第2項ただし書1号及び同4号に掲げる事項を目的とするものであり,願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであるから,同条9項で準用する法126条5項で規定する要件を満たすといえる。また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないから,同126条6項で規定する要件を満たすと判断される。
ク 請求項9についての訂正
請求項9は請求項1又は2を引用するものであるから,請求項1が訂正されることにともなって,請求項9も実質的に訂正される。
そうすると,請求項9についての訂正は,請求項1についての訂正と同様に,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすといえる。
ケ 請求項10についての訂正
請求項10は請求項1,2及び4?9を引用するものであるから,請求項1及び4?9が訂正されることにともなって,請求項10も実質的に訂正される。
そうすると,請求項10についての訂正は,請求項1及び4?9についての訂正と同様に(なお,いわゆる引用関係の解消を目的とするものでないのは明らかである。),法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすといえる。
コ 請求項13についての訂正
この訂正は,請求項13に係る発明を構成する「ポリオレフィン系樹脂発泡シート」について,「架橋体」であることを限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえる。また,その他の訂正事項の判断については,上記アで検討したことと同旨である。
よって,請求項13についての訂正は,法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5項及び6項で規定する要件を満たすといえる。
(4) 小括
以上のとおりであるから,本件訂正は,法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであり,同条9項で準用する法126条5?6項で規定する要件を満たす。
また,上記訂正のうち,請求項1及び4?10についての訂正は,法120条の5第4項所定の一群の請求項の関係を有するものである。
よって,結論の第1項のとおり,本件訂正を認める。

3 本件発明
上記2で検討のとおり本件訂正は認められるので,本件特許の請求項1?13に係る発明は,訂正特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下,請求項の番号に応じて各発明を「本件発明1」などといい,これらを併せて「本件発明」という場合がある。)。
「【請求項1】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
厚さが0.02mm以上0.45mm以下であり,
架橋体である,ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項2】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
平均気泡間距離が4.0μm以下である,ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,架橋体であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項4】
平均気泡間距離が4.0μm以下である,請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
架橋体である,請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
架橋度が30質量%以上60質量%以下である,請求項5に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項7】
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項8】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
厚さが0.02mm以上0.45mm以下であり,
独立気泡率が70?100%である,ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項9】
少なくともポリエチレン系樹脂を含む材料の発泡体である,請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項10】
請求項1,2及び4?9のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項11】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であり,
架橋体であり,
架橋度が30質量%以上60質量%以下であるポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項12】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であり,
独立気泡率が70?100%であるポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項13】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって,熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに,MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下であり,見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であり,架橋体であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと,
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。」

4 異議申立人の主張に係る申立理由の概要
実質的にみたとき,異議申立人の主張は,概略,次のとおりである。
(1) 本件発明1,3,7,9,10及び13は,法29条1項3号に該当し特許を受けることができない発明である。すなわち,これら発明は,甲1に記載された発明である(以下「申立理由1」という。)。
(2) 本件発明1?13は,法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である。すなわち,これら発明は,甲1に記載された発明を主たる引用発明としたとき,この主たる引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである(以下「申立理由2」という。)。
(3) そして,上記申立理由1?2にはいずれも理由があるから,本件の請求項1?13に係る発明についての特許は,法113条2号に該当し,取り消されるべきものである。
(4) また,証拠方法として書証を申出,以下の文書(甲1?10)を提出する。
・甲1: 国際公開第2013/100015号
・甲2: 国際公開第2013/176031号
・甲3: 特開平3-143932号公報
・甲4: 特開2015-91920号公報
・甲5: 特開2014-28925号公報
・甲6: 特開2014-214205号公報
・甲7: 特開2013-213104号公報
・甲8: 「発泡プラスチック -ポリエチレン-試験方法 JIS K 6767:1999」,財団法人日本規格協会,平成11年12月31日第1刷発行
・甲9: 「ポリオレフィンフォーム トーレペフ(登録商標)」と題する技術資料とおぼしきもの,東レ株式会社
・甲10: 「”トーレペフ”技術資料(ポリエチレンフォーム)」と題するもの,東レ株式会社,平成3年10月

5 申立理由についての判断
当合議体は,以下述べるように,申立理由1?2にはいずれも理由はないと判断する。
(1) 本件発明1について
ア 甲1に記載された発明
(ア) 甲1には,次の記載がある。(なお,下線は当審による。以下同じ。)
・「本発明は,ポリオレフィン系樹脂発泡シート,その製造方法,及びその用途に関する。さらに詳しくは,本発明は,従来のポリオレフィン系樹脂発泡シートに対して,ほぼ同じ程度の十分な柔軟性を維持しつつ,引張特性(引張強さ及び伸び),及び粘着剤との接着性を向上させたポリオレフィン系樹脂発泡シート及びその製造方法,並びに前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを含む粘着テープ用基材,シーリング材用基材,及び粘着テープに関する。」([0001])
・「本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり,従来のポリオレフィン系樹脂発泡シートに対して,ほぼ同じ程度の十分な柔軟性を維持しつつ,引張特性(引張強さ及び伸び),及び粘着剤との接着性を向上させたポリオレフィン系樹脂発泡シート及びその製造方法,並びに,前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを含む粘着テープ用基材,シーリング材用基材,及び粘着テープを提供することを課題とする。」([0008])
・「本発明者らは,鋭意検討の結果,特定の見掛け密度,厚み,平均気泡径,50%圧縮した際の圧縮強さ及び引張強さを示すポリオレフィン系樹脂発泡シートが,従来のポリオレフィン系樹脂発泡シートに対して,ほぼ同じ程度の十分な柔軟性を維持しつつ,引張特性,及び粘着剤との接着性を向上させることができることを見出し,本発明を行うに至った。
かくして,本発明によれば,見掛け密度が30?100kg/m^( 3) であり,厚みが0.1?3.0mmであり,平均気泡径が0.02?0.2mmであり,50%圧縮した際の圧縮強さ(50%圧縮した際の圧縮応力)が20?100KPaであり,かつ,引張強さ(引張最大点応力)が800?2000KPaであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡シートが提供される。」([0009]?[0010])
・「また,本発明者らは,鋭意検討の結果,特定のメルトフローレイトを有するポリプロピレン系樹脂と,特定のメルトフローレイトを有するポリエチレン系プラストマー,又は,特定のメルトフローレイトを有するポリエチレン系プラストマー及び熱可塑性エラストマーの混合物とを,特定の割合で含むポリオレフィン系樹脂組成物を,押出機先端に取り付けられた金型と超臨界状態の炭酸ガスとを用いて押出発泡させることで,従来のポリオレフィン系樹脂発泡シートに対して,ほぼ同じ程度の十分な柔軟性を維持しつつ,引張特性,引裂強度,及び粘着剤との接着性を向上させたポリオレフィン系樹脂発泡シートを製造できることを見出し,本発明を行うに至った。
かくして,本発明によれば,メルトフローレイトが0.2?5g/10分の範囲であるポリプロピレン系樹脂20?80質量%と,メルトフローレイトが0.2?15g/10分の範囲であるポリエチレン系プラストマー20?80質量%とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物を,発泡剤としての超臨界状態の炭酸ガスと共に,前記押出機内で溶融混練し,得られた混練物を押出機先端に取り付けられた金型から押出発泡させてポリオレフィン系樹脂発泡シートを得ることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法が提供される。」([0014]?[0015])
・「また,本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みは,0.1?3.0mmであり,好ましくは0.1?2.0mmであり,より好ましくは0.2?1.5mmである。厚みがこの範囲にあることで,ポリオレフィン系樹脂発泡シートは,従来のポリオレフィン系樹脂発泡シートより優れた引張強さ,及び従来のポリオレフィン系樹脂発泡シートとほぼ同じ程度の十分な柔軟性及び被着体表面への追従性を有し,また,緩衝性に優れている。ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みが0.1mm未満の場合,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの引張強さ及び緩衝性が不十分となる。ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みが3.0mmを超える場合,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの圧縮強さが大きくなりすぎて,追従性が悪くなり,微細な隙間や段差からの埃や水等の侵入を防ぐことができなくなる。」([0033])
・「また,本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートの降伏点伸び(引張最大点伸張率)は,好ましくは90?200%であり,より好ましくは100?180%である。降伏点伸びがこの範囲にあることで,ポリオレフィン系樹脂発泡シートは柔軟性及び加工性に優れ,十分な機械強度を有する。ポリオレフィン系樹脂発泡シートの降伏点伸びが90%未満である場合,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの伸びが不十分となるために柔軟性及び加工性が不十分となることがある。ポリオレフィン系樹脂発泡シートの降伏点伸びが200%を超える場合,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの機械強度が不十分となりやすい。
また,本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートは,半独立半連続気泡構造又は連続気泡構造を有することが好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートが半独立半連続気泡構造又は連続気泡構造を有することで,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの圧縮強さを小さくでき,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの柔軟性を向上させることができる。また,上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートが半連続気泡構造又は連続気泡構造を有することで,より追従性,引張強さ及び粘着剤との接着性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供することができる。また,上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートが半独立半連続気泡構造又は連続気泡構造を有することで,ポリオレフィン系樹脂発泡シートを高温環境下に置いた場合,ポリオレフィン系樹脂発泡シート内部の大部分のガスがポリオレフィン系樹脂発泡シートの外部へ逃げて内部に残らないために,温度によるポリオレフィン系樹脂発泡シート内部のガスの膨張により,ポリオレフィン系樹脂発泡シートが膨張する現象を抑えられる。
本発明では,半独立半連続気泡構造とは,連続気泡率が30%以上,60%未満の範囲の構造を意味し,連続気泡構造とは,連続気泡率が60%以上の構造を意味する。言い換えると,本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートは,30%以上の連続気泡率を有していることが好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートは,連続気泡率が30%未満の場合,柔軟性が不足して十分な追従性を得ることができないことがある。特に,上記膨張現象を抑制する観点から,また追従性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡シートを実現できることから,上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの連続気泡率が70%以上であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂発泡シートは連続気泡率が高すぎると強度が低下するので,本発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートの連続気泡率は,60?95%の範囲内であることが好ましく,70?95%の範囲内であることがより好ましく,75?95%の範囲内であることがさらに好ましい。
これらパラメータの測定方法は実施例において詳説する。
<ポリオレフィン系樹脂>
本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては,単量体単位として,エチレン,プロピレン,1-ブテン(α-ブチレン)等のようなα-オレフィンを含む樹脂が挙げられ,ポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体,又はプロピレンを主成分とするプロピレン共重合体),ポリエチレン系樹脂(エチレン単独重合体,又はエチレンを主成分とするエチレン共重合体)及びこれらの組み合わせが好ましい。」([0038]?[0042])
・「<ポリエチレン系プラストマー>
本発明においては,ポリオレフィン系樹脂発泡シートは,樹脂成分として,ポリオレフィン系樹脂に加えてポリエチレン系プラストマーを含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂発泡シートがポリエチレン系プラストマーを含むことで,ポリオレフィン系樹脂発泡シートに,柔軟性を維持しつつ,好適な引張強さを導入することができ,さらに,ポリオレフィン系樹脂発泡シートと粘着剤との接着性を向上させることもできる。」([0049])
・「<熱可塑性エラストマー>
上記熱可塑性エラストマーは,ハードセグメントとソフトセグメントとを組み合わせた構造を有する重合体で,常温ではゴム弾性を示し,高温では熱可塑性樹脂と同様に可塑化され成形できるという性質(可塑性)を示すものである。
上記熱可塑性エラストマーは,一般的には,ハードセグメントが,ポリプロピレン成分,ポリエチレン成分などのポリオレフィン系樹脂成分であり,ソフトセグメントが,ポリジエン成分,エチレン-プロピレン-ジエン共重合体成分,エチレン-プロピレン共重合体成分などのゴム成分,又は非結晶性ポリエチレン成分である。」([0059]?[0060])
・「(ポリプロピレン系樹脂,ポリエチレン系プラストマー,及び熱可塑性エラストマーのメルトフローレイト)
ポリプロピレン系樹脂,ポリエチレン系プラストマー,及び熱可塑性エラストマーのメルトフローレイトのメルトマスフローレイト(以下,適宜,「MFR」と略記する)は,株式会社東洋精機製作所製の「セミオートメルトインデクサー2A」(商品名)を用い,JIS K 7210:1999「プラスチック?熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のB法に記載の方法により測定した。ポリプロピレン系樹脂及び熱可塑性エラストマーのMFRの測定条件は,試料の質量3?8g,予熱時間270秒,荷重保持時間30秒,試験温度230℃,試験荷重21.18Nとした。ポリエチレン系プラストマーのMFRの測定条件は,試料の質量3?8g,予熱時間270秒,荷重保持時間30秒,試験温度190℃,試験荷重21.18Nとした。試料の試験回数は3回とし,3回の測定値の平均をメルトマスフローレイト(g/10min)の値とした。
(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの見掛け密度)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの見掛け密度は,JIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム?見掛け密度の求め方」記載の方法で測定した。すなわち,100cm^(3)以上の体積を有する試験片をその材料の元のセル構造を変えない様に切断し,その切断した試験片の質量を測定し,次式
見掛け密度(kg/m^(3) )=(試験片質量(g)/試験片体積(mm^(3) ))×10^(6)
により見掛け密度を算出する。測定用の試験片は,成形後72時間以上経過した試料(ポリオレフィン系樹脂発泡シート)から,35cm×100cmの断片を切り取り,この断片を温度23±2℃,湿度50±5%の雰囲気条件に16時間以上放置することによって状態調節したものである。
(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚み)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みは,シート幅方向(TD方向)に30mm間隔で12点の厚みを測定し,その平均値を算出する。厚み測定器はφ10mmのサイズでポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みを測定する。ポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚み測定に用いる測定装置としては,株式会社ミツトヨ製のシックネスゲージ(型番「NO.547-301」)を用いることができる。
(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの平均気泡径)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの平均気泡径は,次の試験方法にて測定した。ポリオレフィン系樹脂発泡シートを幅方向中央部からMD方向(押出方向),TD方向(押出方向に垂直な幅方向)に沿って切り出した断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製「S-3000N」又は株式会社日立ハイテクノロジーズ製「S-3400N」にて20?100倍に拡大して撮影し,撮影した画像を印刷する。このとき,印刷した撮影画像の上に描いた60mmの直線上に存在する気泡の数が10?20個程度となるように,前記走査型電子顕微鏡での拡大倍率を調整する。撮影した画像をA4用紙上に4画像ずつ印刷し,MD方向に平行な任意の一直線,TD方向に平行な任意の一直線,及びMD方向及びTD方向に垂直なVD方向の任意の一直線(何れの直線も長さ60mm)上にある気泡数から気泡の平均弦長(t)を次式により算出した。」([0138]?[0141])
・「(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの引張強さ及び降伏点(最大点)伸び)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの引張強さ及び降伏点(最大点)伸びは,以下のようにして測定した。まず,ポリオレフィン系樹脂発泡シートから,JIS K 6251:2010に規定するダンベル状3号形の打抜き刃で,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの流れ方向(MD方向(押出方向))及び幅方向(TD方向)を長手方向とする試験片を各5枚打ち抜いた。各試験片を温度23±2℃,湿度50±5%の環境下で16時間以上状態調節した後,状態調節環境下でテンシロン万能試験機(型番「UCT-10T」,株式会社オリエンテック製)及び万能試験機データ処理ソフト(商品名「UTPS-STD」,ソフト・ブレーン株式会社製)を用いて,初期のつかみ具の距離を50mmにし試験速度500mm/minで,力及びつかみ具間の距離を測定した。そして,JIS K 6251:2010に規定の方法により引張強さを算出した。すなわち,引張強さTS(MPa)は,次式
TS=Fm/Wt
ここに,TS:引張強さ(MPa)
Fm:最大の力(N)
W:打抜き刃形の平行部分の幅(mm)
t:平行部分の厚さ(mm)
により算出した。
ただし,降伏点(最大点)伸びEy(%)は,初期及び降伏点yでのつかみ具間の距離から次式
E_( y) =(L_( y) -L_( 0) )/L_( 0) ×100
ここに,L_( y) :降伏点yでのつかみ具間の距離(mm)
L_( 0) :初期のつかみ具間の距離(mm)
により算出した。降伏点yは,引張応力が最大値(引張強さ)となる時点(最大点)とする。
(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの50%圧縮した際の圧縮強さ)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの50%圧縮した際の圧縮強さは,テンシロン万能試験機(型番「UCT-10T」,株式会社オリエンテック製)及び万能試験機データ処理ソフト(商品名「UTPS-STD」,ソフト・ブレーン株式会社製)を用いて測定した。ポリオレフィン系樹脂発泡シートの試験片のサイズを縦50mm×横50mm×厚さ2mmとし,圧縮速度を1mm/min(1分あたりの圧縮板の移動速度ができるだけ試験片の厚さの50%に近い速度)とする。試験片の厚さが2mm以上である場合は試験片をそのまま用いて測定を行い,試験片の厚さが2mm未満の場合は総計の厚さが約2mmとなるように複数の試験片を重ねて測定を行った。試験片の厚さが初めの試験片の厚さの50%となるまで試験片が圧縮された時の圧縮強さを測定した。試験片の数は3個とした。試験片は,温度23±2℃,湿度50±5%の環境下で16時間以上状態調節した後,温度23±2℃,湿度50±5%の環境下で測定を行った。
50%圧縮した際の圧縮強さは,次式
σ_( m) =F_( m) /A_( 0) ×10^(3)
ここに,σ_( m) :50%圧縮した際の圧縮強さ(kPa)
F_( m) :変形率50%以内に到達した最大の力(N)
A_( 0) :試験片の初めの断面積(mm^( 2) )
により算出した。
(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの引裂強度)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの引裂強度(引裂強さ)は,JIS K6767:1999「発泡プラスチック-ポリエチレン-試験方法」により,テンシロン万能試験機(型番「UCT-10T」,株式会社オリエンテック製)及び万能試験機データ処理ソフト(商品名「UTPS-STD」,ソフト・ブレーン株式会社製)を用いて,JIS K6767:1999に定める試験片を用いて測定した。試験速度を500mm/min,チャック間隔を50mmとした。試験片は,ポリオレフィン系樹脂発泡シートから,ポリオレフィン系樹脂発泡シートの流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)を長手方向とする試験片を各5枚打ち抜き,温度23±2℃,湿度50±5%の環境下で16時間以上状態調節したものとした。状態調節後,試験片の測定を,温度23±2℃,湿度50±5%の環境下で行った。
引裂強度は,次式
引裂強度(N/cm)=最大荷重(N)/試験片厚さ(cm)
により算出した。
(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの連続気泡率)
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの連続気泡率は,ASTM D-2856-87に準拠して,測定する。具体的には,株式会社島津製作所製の環式自動密度計を用いて試験片(縦50mm×横50mm×厚さ100mm)の体積Vを測定する。また,試験片の外形から試験片の見掛けの体積V0を算出する。体積V及びV0を下記式
連続気泡率(%)=(V0-V)/V0×100
に代入することで連続気泡率を算出する。
試験片としては,ポリオレフィン系樹脂発泡シートから,縦50mm,横50mmのシート状サンプルを複数枚切り出し,切り出したサンプルを重ね合せて厚さ約100mmとしたものを用いる。なお,試験片は,試験片相互の間にできるだけ隙間があかないように積み重ねて約100mmの厚さとする。」([0144]?[0151])
・「〔実施例1〕
まず,ポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製,商品名「プライムポリプロ(登録商標)E110G」,MFR:0.3g/10分)70質量%に,ポリエチレン系プラストマー(日本ポリエチレン株式会社製,商品名「カーネル(登録商標)KS240T,MFR:2.2g/10分,密度:0.88g/cm^( 3) )を30質量%加えて,配合樹脂組成物(ポリオレフィン系樹脂組成物)を調製した。上記配合樹脂組成物100質量部に,気泡核剤として平均粒子径13μmのタルクを70質量%含有したマスターバッチ10質量部と,顔料(カーボンブラック)10質量部とを混合して,ポリオレフィン系樹脂発泡用組成物を調製した。
口径が65mmの第一押出機の先端に,口径が75mmの第二押出機を接続してなるタンデム型押出機を用意し,第二押出機の先端に図1に示す円環ダイDを取り付けた。第二押出機の先端に取り付けた円環ダイDの気泡生成部2のダイ口径をφ36mm,円環ダイDの気泡生成部2の間隔を0.25mm(気泡生成部2の断面積:0.283cm^( 2) ),発泡体成形部1の出口部の間隔を3.4mm,発泡体成形部1の出口部のダイ口径をφ70mmとした。
このタンデム型押出機の第一押出機に,上記ポリオレフィン系樹脂発泡用組成物を第一押出機に供給して溶融混練した。第一押出機の押出方向の途中の位置で発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を4.2質量部,第一押出機内に圧入して,溶融状態のポリオレフィン系樹脂発泡用組成物と二酸化炭素とを第一押出機内で均一に混合混練し,発泡剤を含む溶融樹脂組成物を得た。その後,この発泡剤を含む溶融樹脂組成物を第一押出機から第二押出機に連続的に供給して,第二押出機内で,発泡剤を含む溶融樹脂組成物を溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。
その後,前記寸法の円環ダイDから吐出量(押出量)30kg/時(吐出速度(押出速度)V=109kg/cm^( 2) ・時),溶融樹脂温度179℃,円環ダイD手前での樹脂圧力(溶融樹脂組成物の圧力)11MPaの条件で,溶融樹脂組成物を押出発泡させて,円環ダイDの発泡体成形部1において円筒状の発泡体(ポリオレフィン系樹脂発泡用組成物の発泡体)を成形し,成形された円筒状の発泡体を冷却されているマンドレル上に添わせるとともに,その発泡体の外面にエアリングからエアーを吹き付けて,冷却成形した。マンドレル上の一点で,カッターにより円筒状の発泡体を切開して,厚み2mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
前記方法により得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートは,コルゲートの発生が無く,表面平滑性に優れていた。なお,前記コルゲートは,円環ダイから出た発泡体が体積膨張による円周方向の線膨張分を吸収するために波打ちしてできる,多数の山谷状のヒダのことを意味する。
得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートの両面をスプリッティングマシンによりスライス加工(表皮を切断又は切削)してポリオレフィン系樹脂発泡シートの両面の表皮を除去し,両面がスライス加工により気泡断面が露出している連続気泡率88%で0.7mmの厚みのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。」([0152]?[0157])
・「〔実施例2〕
…連続気泡率93%で1mmの厚みのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
〔実施例3〕
…連続気泡率93%で0.5mmの厚みのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
〔実施例4〕
…連続気泡率88%で1mmの厚みのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
〔実施例5〕
…連続気泡率89%で1mmの厚みのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
〔実施例6〕
…連続気泡率88%で1mmの厚みのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
〔実施例7〕
…連続気泡率88%で1mmの厚みのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。」([0158]?[0168])
・「(ポリオレフィン系樹脂発泡シートの,粘着剤との接着性(粘着力)の評価(剥離試験))
本明細書において,ポリオレフィン系樹脂発泡シートと粘着剤との剥離試験は,各実施例及び比較例1・2で得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートの一面に,市販の両面粘着テープ(住友スリーエム株式会社製,アクリル系粘着剤の両面粘着テープ,商品名「9415PC」)を幅20mm,長さ150mmに裁断したものを,質量2kgのゴムローラーにて1往復させて貼り合せた。両面粘着テープを貼り合せたポリオレフィン系樹脂発泡シートを温度23℃,湿度50%の条件下に30分静置後,オリエンテック社製テンシロン万能試験機(型番「UCT-10T」)で試験速度300mm/分,剥離距離120mmでポリオレフィン系樹脂発泡シートと粘着剤との間で180度剥離試験をして剥離強度を測定する。すなわち,両面粘着テープに対するポリオレフィン系樹脂発泡シートの180°引きはがし粘着力(N/20mm)を剥離強度とし,この剥離強度によって粘着剤とポリオレフィン系樹脂発泡シートとの接着性を評価した。」([0176])
・「


・「[請求項1]
見掛け密度が30?100kg/m^( 3) であり,
厚みが0.1?3.0mmであり,
平均気泡径が0.02?0.2mmであり,
50%圧縮した際の圧縮強さが20?100KPaであり,かつ,
引張強さが800?2000KPaであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[請求項2]
引裂強度が20?120N/cmである請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[請求項3]
降伏点伸びが90?200%である請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[請求項4]
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートが,樹脂成分として,ポリオレフィン系樹脂を20?80質量%,ポリエチレン系プラストマーを20?80質量%含む請求項1?3のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
[請求項5]
樹脂成分として,さらに熱可塑性エラストマーを含む請求項4に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。…
[請求項12]
請求項10に記載の粘着テープ用基材又は請求項11に記載のシーリング材用基材と,
前記粘着テープ用基材又はシーリング材用基材の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤とを含む粘着テープ。
[請求項13]
前記粘着テープが電子機器用の粘着テープである請求項12に記載の粘着テープ。
[請求項14]
メルトフローレイトが0.2?5g/10分の範囲であるポリプロピレン系樹脂20?80質量%と,メルトフローレイトが0.2?15g/10分の範囲であるポリエチレン系プラストマー20?80質量%とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物を,発泡剤としての超臨界状態の炭酸ガスと共に,押出機内で溶融混練し,得られた混練物を前記押出機先端に取り付けられた金型から押出発泡させてポリオレフィン系樹脂発泡シートを得ることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡シートの製造方法。…」(請求の範囲)
(イ) 上記(ア)での摘記のうち,特に実施例1?7についての記載からみて,甲1には,次のとおりの発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン系プラストマー(場合により,加えて熱可塑性エラストマー)を成分として調製されたポリオレフィン系樹脂発泡用組成物をタンデム型押出機に供給して溶融混練し,
押出方向の途中の位置で発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を押出機内に圧入して溶融状態のポリオレフィン系樹脂発泡用組成物と二酸化炭素とを第一押出機内で均一に混合混練して発泡剤を含む溶融樹脂組成物を得,
当該溶融樹脂組成物を円環ダイから押出発泡させて円筒状のポリオレフィン系樹脂発泡用組成物の発泡体を成形し,
円筒状の当該発泡体をカッターにより切開してシートを得,
当該シートの両面をスプリッティングマシンによりスライス加工してその表皮を除去することで得られる,両面に気泡断面が露出してなるポリオレフィン系樹脂発泡シート。
ただし,上記ポリオレフィン系樹脂発泡用組成物を構成するポリプロピレン樹脂,ポリエチレン系プラストマー及び熱可塑性エラストマーについての種類及び配合量,並びに,得られた上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートについての物性ないし性状は,以下の表にあるとおりのもの。
[表]


イ 甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると,本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は,それぞれ次のとおりである。
・ 一致点
「内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シート」である点
・ 相違点1-1
本件発明1は「熱伝導率が0.050W/(m・K)以下」と特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点
・ 相違点1-2
本件発明1は「MD伸び率が400%以下,TD伸び率が200%以下」と特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点
・ 相違点1-3
本件発明1は「厚さが0.02mm以上0.45mm以下」と特定するのに対し,甲1発明はそのような値を満足するものではない点
・ 相違点1-4
本件発明1は「架橋体」であると特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点
ウ 相違点についての検討,判断
(ア) 事案に鑑み,まず相違点1-4を踏まえて,以下検討する。
a 仮に架橋された発泡性ポリオレフィン系樹脂シートが周知であるからといって,ただちに甲1発明のポリオレフィン系樹脂発泡シートが架橋体であるということにはならないから,上記相違点1-4は実質的な相違点である。
そうすると,本件発明1は,甲1に記載された発明ということはできない。
b 異議申立人は,発泡性ポリオレフィン系樹脂シートにおいて架橋体とすることは甲2,3,4及び7に記載された周知技術であるから,相違点1-4に係る構成は,甲1発明及び周知技術から想到容易である旨主張するので(特許異議申立書34ページの本件訂正前の請求項5に係る発明に対して主張する部分,意見書2ページ),検討するに,架橋されたポリオレフィン系樹脂発泡シートが優先日当時に周知であるからといって,甲1の実施例の記載に基づいて認定された甲1発明(上記ア(イ))であるポリオレフィン系樹脂発泡シートについて,ただちにこれを架橋体とする動機はみあたらない。
そして,上記ア(ア)からみて,甲1には,従来のものとほぼ同じ程度の十分な柔軟性を維持しつつ,引張特性(引張強さ及び伸び),及び粘着剤との接着性を向上させたポリオレフィン系樹脂発泡シートを提供することを課題とし([0001][0008]),特定の見掛け密度,厚み,平均気泡径,50%圧縮した際の圧縮強さ及び引張強さ,具体的には,見掛け密度が30?100kg/m^( 3),厚みが0.1?3.0mm,平均気泡径が0.02?0.2mm,50%圧縮した際の圧縮強さが20?100KPa,引張強さが800?2000KPaを示すポリオレフィン系樹脂発泡シートであって([0009]?[0010]),特定のメルトフローレイトを有するポリプロピレン系樹脂と,特定のメルトフローレイトを有するポリエチレン系プラストマー又は特定のメルトフローレイトを有するポリエチレン系プラストマー及び熱可塑性エラストマーの混合物とを,特定の割合で含むポリオレフィン系樹脂組成物,具体的には,メルトフローレイトが0.2?5g/10分の範囲であるポリプロピレン系樹脂20?80質量%と,メルトフローレイトが0.2?15g/10分の範囲であるポリエチレン系プラストマー20?80質量%とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物を,押出機先端に取り付けられた金型と超臨界状態の炭酸ガスとを用いて押出発泡させることで得られるポリオレフィン系樹脂発泡シート([0014]?[0015])が上記課題を解決できるとする技術が開示されているところ,甲1発明は,このような開示技術を前提とするものである。そして,甲1の実施例1?7(特に実施例6)と比較例1?2の対比から,甲1発明は,ポリエチレン系プラストマーが含有されてなることで,粘着剤との接着性(剥離強度(N/20mm))が向上するとの課題解決を図るものであるといえる。
他方,例えば,甲2は,発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの架橋度と,アクリル系粘着剤層との密着性(接着性)とが相関するとの技術的記載があるところ([0033]など),上述のとおり,甲1発明はポリエチレン系プラストマーを含有することで粘着剤との接着性が向上しているのであるから,粘着剤との接着性の向上という課題がすでに解決されている甲1発明において,甲2に記載の技術をさらに適用しようとする動機はみあたらないといえる。
また,例えば,甲3は,高密度ポリエチレン架橋発泡体に関する技術を開示するものであるところ(特許請求の範囲),甲1発明で用いられているポリオレフィン系樹脂は,甲3でいうところの低密度ポリオレフィンに相当するものであるから(甲3において,高密度ポリエチレンの定義として2ページ左下欄,低密度ポリエチレンの定義として3ページ左上欄を参照),甲1発明において甲3に記載の技術を採用する動機もない。
その他,甲4,甲7及びその他証拠をみても,甲1発明であるポリオレフィン系樹脂発泡シートを架橋体とする動機付けはみあたらない。
そうすると,甲1発明において,相違点1-4に係る構成を想到することは当業者が容易になし得ることではない。
(イ) なお,本件発明1の「伸び率」と甲1発明の「降伏点(最大点)伸び」とが同義といえるかについて,特許権者と異議申立人との間で争いがあるが(特許権者の意見書5ページ,異議申立人の意見書3ページ),これらは上記相違点1-2についてのものであるから,この争点の当否は上記判断を左右しない。
エ 小括
以上のとおりであるから,相違点1-1ないし同1-3について検討するまでもなく,本件発明1は,甲1に記載された発明ということはできないし,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から容易に発明できたものということもできない。

(2) 本件発明2について
ア 本件発明2と甲1発明とを対比すると,両発明の相違点として,少なくとも次のとおりのものを認めることができる。
・ 相違点2
本件発明2は,「平均気泡間距離が4.0μm以下である」と特定するのに対し,甲1発明は,そのような特定を有しない点。
イ 事案に鑑み,まず上記相違点2について検討する。
異議申立人は,甲7に記載された技術事項から,相違点2に係る構成は想到容易である旨主張するので(特許異議申立書33ページ),検討するに,甲7には,「平均セル壁厚みが10?20μm」の架橋ポリオレフィン樹脂発泡シートについて開示があるものの,その段落【0012】には,当該平均セル壁厚み(本件発明2の「平均気泡間距離」に相当すると解される。)を10μm未満とはしないことを示唆する旨の記載がうかがえる。
そうすると,甲7に基づいて,甲1発明における平均気泡間距離を「4.0μm以下」とすることには阻害事由があるといわざるを得ない。また,その他の証拠をみても,甲1発明において平均気泡間距離を「4.0μm以下」とすることは想到容易であるとする理由はみあたらない。
ウ 小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明2は,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から容易に発明できたものということはできない。

(3) 本件発明3について
ア 本件発明3と甲1発明とを対比すると,両発明の相違点として,少なくとも次のとおりのものを認めることができる。
・ 相違点3
本件発明3は,ポリオレフィン系樹脂発泡シートが「架橋体」であると特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点。
イ 事案に鑑み,まず上記相違点3について検討するに,この相違点は上記相違点1-4と実質的に同じであるところ,相違点1-4が実質的な相違点であって,甲1発明において相違点1-4に係る構成は当業者が容易になし得たものではないといえるのは上述のとおりであるから,相違点3についても同様に,実質的な相違点であって,その構成は想到容易ではないといえる。
ウ 小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明3は,甲1に記載された発明ということはできないし,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から容易に発明できたものということもできない。

(4) 本件発明4?7,9及び10について
本件訂正後の請求項4?7,9及び10の記載は請求項1又は2を直接又は間接的に引用するものであるから,本件発明4?7,9及び10については,本件発明1又は2についての上記判断と同様に,甲1に記載された発明ということはできないし,あるいは,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から想到容易であるということはできない。

(5) 本件発明8について
ア 本件発明8と甲1発明とを対比すると,両発明の相違点として,少なくとも次のとおりのものを認めることができる。
・ 相違点8
本件発明8は,「独立気泡率が70?100%である」と特定するのに対し,甲1発明は,そのような特定を有しない点。
イ 事案に鑑み,まず上記相違点8について検討する。
甲1発明は,連続気泡率について,88?93%の範囲で認定されてなるところ(上記(1)ア(イ)),甲1には,連続気泡率が高い(半独立半連続気泡構造又は連続気泡構造を有する)樹脂発泡シートとすることが好ましい旨の記載がうかがえる([0039]?[0040])。すなわち,甲1には,甲1発明について連続気泡率を高いものとすること,換言すれば,独立気泡率を低いものとするとの示唆がある。
そうすると,甲1発明において,その独立気泡率を高いものとすること,すなわち「独立気泡率が70?100%」とすることには阻害事由があるといわざるを得ない。また,その他の証拠をみても,甲1発明において独立気泡率を70?100%とすることが想到容易であるとする理由はみあたらない。
ウ 小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明8は,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から容易に発明できたものということはできない。

(6) 本件発明11について
ア 本件発明11と甲1発明とを対比すると,両発明の相違点として,少なくとも次のとおりのものを認めることができる。
・ 相違点11
本件発明11は,ポリオレフィン系樹脂発泡シートが「架橋体」であると特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点。
イ 事案に鑑み,まず上記相違点11について検討するに,この相違点は上記相違点1-4と実質的に同じであるところ,甲1発明において相違点1-4に係る構成を想到することは当業者が容易になし得ることではないといえるのは上述のとおりであるから,相違点11についても同様に,その構成は想到容易ではないといえる。
ウ 小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明11は,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から容易に発明できたものということはできない。

(7) 本件発明12について
ア 本件発明12と甲1発明とを対比すると,両発明の相違点として,少なくとも次のとおりのものを認めることができる。
・ 相違点12
本件発明12は,「独立気泡率が70?100%である」と特定するのに対し,甲1発明は,そのような特定を有しない点。
イ 事案に鑑み,まず上記相違点12について検討するに,この相違点は上記相違点8と実質的に同じであるところ,甲1発明において相違点8に係る構成を想到するのは当業者が容易になし得ることではないといえるのは上述のとおりであるから,相違点12についても同様に,その構成は想到容易ではないといえる。
ウ 小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明12は,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から容易に発明できたものということはできない。

(8) 本件発明13について
ア 本件発明13と甲1発明とを対比すると,両発明の相違点として,少なくとも次のとおりのものを認めることができる。
・ 相違点13
本件発明13は,ポリオレフィン系樹脂発泡シートが「架橋体」であると特定するのに対し,甲1発明はそのような特定を有しない点。
イ 事案に鑑み,まず上記相違点13について検討するに,この相違点は上記相違点1-4と実質的に同じであるところ,相違点1-4が実質的な相違点であって,甲1発明において相違点1-4に係る構成は当業者が容易になし得たものではないといえるのは上述のとおりであるから,相違点13についても同様に,実質的な相違点であって,その構成は想到容易ではないといえる。
ウ 小括
以上のとおりであるから,その他の相違点について検討するまでもなく,本件発明13は,甲1に記載された発明ということはできないし,甲1発明を主たる引用発明としたとき,甲1発明から容易に発明できたものということもできない。

6 当審取消理由についての判断
(1) 当審取消理由の内容
当審取消理由の内容は,概略,請求項1,3,7,9,10及び13に係る発明は,法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である,というものである。
(2) 当審取消理由についての判断
当審取消理由は,上記申立理由2(上記4(2))と重複する。そして,この取消理由に理由がないのは,上記5で検討したことと同旨である。

7 むすび
したがって,異議申立人の主張する申立理由並びに当審取消理由によっては,請求項1?13に係る特許を取り消すことはできない。また,他に当該特許が法113条各号のいずれかに該当すると認めうる理由もない。
そして,本件訂正が認められるのは,上記2で述べたとおりである。
よって,結論の第1項及び第2項のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに、MD伸び率が400%以下、TD伸び率が200%以下であり、
厚さが0.02mm以上0.45mm以下であり、
架橋体である、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項2】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに、MD伸び率が400%以下、TD伸び率が200%以下であり、
平均気泡間距離が4.0μm以下である、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに、MD伸び率が400%以下、TD伸び率が200%以下であり、架橋体であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項4】
平均気泡間距離が4.0μm以下である、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
架橋体である、請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項6】
架橋度が30質量%以上60質量%以下である、請求項5に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項7】
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項8】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに、MD伸び率が400%以下、TD伸び率が200%以下であり、
厚さが0.02mm以上0.45mm以下であり、
独立気泡率が70?100%である、ポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項9】
少なくともポリエチレン系樹脂を含む材料の発泡体である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項10】
請求項1,2及び4?9のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡シートと、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
【請求項11】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに、MD伸び率が400%以下、TD伸び率が200%以下であり、
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であり、
架橋体であり、
架橋度が30質量%以上60質量%以下であるポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項12】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、
熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに、MD伸び率が400%以下、TD伸び率が200%以下であり、
見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であり、
独立気泡率が70?100%であるポリオレフィン系樹脂発泡シート。
【請求項13】
内部に複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートであって、熱伝導率が0.050W/(m・K)以下であるとともに、MD伸び率が400%以下、TD伸び率が200%以下であり、見掛け倍率が9.0cm^(3)/g以上24.0cm^(3)/g以下であり、架橋体であるポリオレフィン系樹脂発泡シートと、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの少なくとも一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-04-24 
出願番号 特願2016-192027(P2016-192027)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C08J)
P 1 651・ 121- YAA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大村 博一  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 須藤 康洋
大畑 通隆
登録日 2019-01-18 
登録番号 特許第6466383号(P6466383)
権利者 積水化学工業株式会社
発明の名称 ポリオレフィン系樹脂発泡シート及び粘着テープ  
代理人 特許業務法人栄光特許事務所  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 田口 昌浩  
代理人 田口 昌浩  
代理人 虎山 滋郎  
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