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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 C04B |
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管理番号 | 1363193 |
異議申立番号 | 異議2020-700234 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2020-04-02 |
確定日 | 2020-07-01 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6588751号発明「ケイ酸塩系表面含浸材のコンクリート改質効果を高める補助材併用工法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6588751号の請求項1、4に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件特許第6588751号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成27年7月3日に出願されたものであって、令和1年9月20日にその特許権の設定登録がされ、同年10月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1及び4に係る特許に対し、令和2年4月2日に特許異議申立人 エスケー化研株式会社(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件特許発明 特許第6588751号の請求項1ないし4の特許に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明4」という。)は、それぞれ、設定登録時の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものであると認める。 「【請求項1】 コンクリート表面に亜硝酸カルシウム水溶液を塗布し、少なくとも12時間経過後、ケイ酸塩の水溶液を塗布するものであり、該亜硝酸カルシウム水溶液の塗布量は、カルシウムイオン換算でコンクリート面1m^(2)当たり、0.189?0.4モルであり、ケイ酸塩の水溶液の塗布量は、ケイ酸イオン換算でコンクリート面1m^(2)当たり、0.4?0.9モルであることを特徴とするコンクリートの改質方法。 【請求項2】 該ケイ酸塩の水溶液にはキレート剤を混合したことを特徴とする請求項1記載のコンクリートの改質方法。 【請求項3】 該キレート剤の混合量は、該ケイ酸塩の水溶液中100?200ppmである請求項2記載のコンクリートの改質方法。 【請求項4】 該ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリートの改質方法。」 第3 申立理由の概要 申立人が主張する申立理由及び証拠方法は次のとおりである。 1(進歩性)本件発明1及び4は、本件特許に係る出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 申立人が提出した証拠方法 甲第1号証:特開2005-90219号公報 甲第2号証:特開2014-201929号公報 甲第3号証:特開2002-371388号公報 甲第4号証:「RADCON FORMULA#7」カタログ,株式会社ラドジャパン,2011.2 甲第5号証:「ラドコンジェット」カタログ,株式会社ラドジャパン,2010.7 甲第6号証:「ラドコンジェット 標準施工要領書 2009年度版」,株式会社ラドジャパン なお、甲第1号証ないし甲第6号証を、以下では、それぞれ「甲1」ないし「甲6」ということがある。 第4 甲1ないし甲6の記載事項及び甲1発明(当審注:下線は当審が付した。また、「・・・」は記載の省略を表す。以下、同様である。) 1 甲1の記載事項及び甲1発明 甲1には、以下の(1-1)?(1-3)の事項が記載されている。 (1-1)「【請求項1】 既設のコンクリート構造物の再生化を図るコンクリート構造物の再生化方法であって、 施工対象となるコンクリート構造物の表面に水または界面活性剤を塗布する工程と、 この工程を実施して所定時間経過した後、水または界面活性剤を塗布した前記表面から浸透して内部に配置される鉄筋を防錆する浸透性防錆剤を塗布する工程と、 この工程で前記浸透性防錆剤を塗布した表面にコンクリート内部の空隙を充填する空隙充填剤を塗布する工程 を行うことを特徴とするコンクリート構造物の再生化方法。」 (1-2)「【0029】 ステップS8を実施して所定時間(例えば1日)経過した後、施工範囲全体に浸透性防錆剤の塗布(刷毛塗り、吹き付け等による)を行う(ステップS9)。この工程は、ステップS8の後、所定時間経過させてから行うので、コンクリート表面を十分湿潤化させ、塗布した浸透性防錆剤の浸透効果を促進させることができる。 【0030】 このステップS9で用いる浸透性防錆剤は、亜硝酸カルシウムを溶媒とする濃度5?30%水溶液に、高い湿潤効果を得るための水溶液用湿潤剤が添加されて成る。この水溶液用湿潤剤は、ポリオキシエチレンアルキル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、およびグリセリンの3種類を所定の割合で混合したものであり、その含有量が亜硝酸カルシウム水溶液の0.02?0.5%程度となるように添加する。3種類を混合する割合は、水溶液の表面張力を低減させることによってコンクリートや錆びの深部にまで防錆剤を浸透させることができるものであればよく、その最適な割合(重量比)は、上述した順序で5:3:2である。これ以外にも、例えば6:3:1、5:2:3、および4:4:2の場合を含む4?6:2?4:1?3の範囲内で混合させた混合液を用いることも可能である。なお、ここで説明した浸透性防錆剤に関する更に詳細な内容は、例えば特開2002-371388号公報に開示されている。 ・・・ 【0033】 最後に、浸透性防錆剤を塗布し、一定期間経過後、コンクリート結晶間の微細な空隙を充填するための空隙充填剤を塗布する(ステップS14)。空隙充填剤としては、珪酸塩を主体とした溶剤を用いることができる。この溶剤は、セメントのカルシウム分と反応して珪酸カルシウムゲルとなり、より緻密になる。これにより、本来的にポーラス(多孔質)な材質であるコンクリートを面的にリフレッシュし、耐久性を新規の構造物と同等以上に向上させることができるとともに、既に塗布してある浸透性防錆剤のコンクリート表面への溶出を防止することができる。また、空隙充填剤はアルカリ付与剤としての意味も有するため、コンクリートが中性化している場合にも、そのアルカリ性を回復させることができる。 【0034】 空隙充填剤の塗布量は、塗布した空隙充填剤がコンクリート表面から5mm以上浸透した層を形成し得る量であれば好ましく、1m^(2)当たり150cc?200cc程度が想定される。」 (1-3)「【0050】 <実験例1> 第1の実験例は、実際のとう道に本発明の一実施形態を適用したものである。・・・ 【0051】 具体的な実験方法は次の通りである。 【0052】 とう道の実験対象とする領域のコンクリート表面を水または界面活性剤水溶液により洗浄して所定時間経過後、その表面に水溶液用湿潤剤が添加されて成る浸透性防錆剤を200cc/m^(2)ずつ2回塗布し、その後、珪酸塩を主体として構成される空隙充填剤を200cc/m^(2)塗布した。」 (ア)甲1発明 前記(1-1)から、甲1には、コンクリート構造物の再生化方法であって、施工対象となるコンクリート構造物の表面に水または界面活性剤を塗布する工程と、この工程を実施して所定時間経過した後、水または界面活性剤を塗布した前記表面から浸透して内部に配置される鉄筋を防錆する浸透性防錆剤を塗布する工程と、この工程で前記浸透性防錆剤を塗布した表面にコンクリート内部の空隙を充填する空隙充填剤を塗布する工程を行うことが記載されており、前記(1-2)には、当該浸透性防錆剤として、亜硝酸カルシウムを溶媒とする濃度5?30%水溶液に、高い湿潤効果を得るための水溶液用湿潤剤が添加されて成るものを用いることが(ここでいう「溶媒」とは、甲1記載の技術内容からして「溶質」の誤記と認める。)、当該空隙充填剤として、珪酸塩を主体とした溶剤を用いることが記載されている。 そして、前記(1-3)には、実施例として、とう道の実験対象とする領域のコンクリート表面を水または界面活性剤水溶液により洗浄して所定時間経過後、その表面に水溶液用湿潤剤が添加されて成る浸透性防錆剤を200cc/m^(2)ずつ2回塗布し、その後、珪酸塩を主体として構成される空隙充填剤を200cc/m^(2)塗布したことが記載されているといえる。 そうすると、当該実施例に注目すると、甲1には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「とう道の実験対象とする領域のコンクリート表面を水または界面活性剤水溶液により洗浄して所定時間経過後、その表面に、亜硝酸カルシウムを溶質とする濃度5?30%水溶液に、高い湿潤効果を得るための水溶液用湿潤剤が添加されて成る浸透性防錆剤を200cc/m^(2)ずつ2回塗布し、その後、珪酸塩を主体とした溶剤である空隙充填剤を200cc/m^(2)塗布する工程、を行うコンクリート構造物の再生化方法。」 2 甲2の記載事項 甲2には、以下の(2-1)?(2-3)の事項が記載されている。 (2-1)「【請求項6】 ケイ酸塩系表面含浸材を用いるコンクリート補強方法であって、コンクリート表面に、カルシウム成分と亜硝酸塩とを含有する反応促進材を塗工する工程(A)と、ケイ酸塩系表面含浸材を塗工する工程(B)とを有することを特徴とするコンクリート補強方法。 【請求項7】 前記工程(A)の後に、前記工程(B)を行う請求項6に記載のコンクリート補強方法。」 (2-2)「【0044】 (2)ケイ酸塩系表面含浸材 ・ケイ酸塩系表面含浸材(1) ケイ酸塩系表面含浸材(1)として、ラドコン(登録商標)7(ラドジャパン社製)を用いた。」 (2-3)「【0051】 (工程2) 前記工程1後、24時間経過後に、前記ケイ酸塩系表面含浸材(1)を、反応促進材溶液(1)を塗工した面であるコンクリート供試体の上面(表面積400(cm^(2))に、10mL刷毛を用いて全体に均一に塗工して、1時間後に10mLの水の散水を行った。その後1週間湿布養生することで、補強されたコンクリート供試体(A)を得た。」 3 甲3の記載事項 甲3には、以下の(3-1)?(3-3)の事項が記載されている。 (3-1)「【0011】<ロ>浸透型防錆剤 浸透型防錆剤は、公知の亜硝酸カルシウム液を主成分とする防錆剤である。亜硝酸カルシウム液としては5?30%水溶液を使用する。浸透型防錆剤には、高い湿潤効果を付与する目的で水溶液用湿潤剤を添加する。」 (3-2)「【0015】本発明の浸透型防錆剤の塗布量は、コンクリートの品質、状態にもよるが、通常約400ml/m^(2)で効果を示し始める。但し、ひび割れの有無等の塗布時におけるコンクリートの状態によって浸透型防錆剤の浸透速度は変化する。」 (3-3)「【0017】 【実施例】 【0018】<イ>浸透型防錆剤の表面張力 表1に、ノニオン系のポリオキシエチレンアルキル(12?14)と、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムと、グリセリンとを5:3:2(重量比)で混合した水溶液用湿潤剤を、亜硝酸カルシウム20%の水溶液に添加して得た表面張力の測定結果を示す。」 4 甲4の記載事項 甲4には、以下の事項が記載されている。 (4-1)「 」(最終頁) 5 甲5の記載事項 甲5には、以下の事項が記載されている。 (5-1)「 」(最終頁) 6 甲6には、以下の事項が記載されている。 (6-1)「 」(第1頁) 第5 申立理由についての当審の判断 1 理由1(進歩性要件)について (1)本件発明1と甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明の「亜硝酸カルシウムを溶質とする濃度5?30%水溶液に、高い湿潤効果を得るための水溶液用湿潤剤が添加されて成る浸透性防錆剤」、「珪酸塩を主体とした溶剤である空隙充填剤」、「その後」は、それぞれ、本件発明1でいう「亜硝酸カルシウム水溶液」、「ケイ酸塩の水溶液」、所定の「時間経過後」に相当する。 そうすると、両者は以下の点で一致し、以下の点で相違する。 (一致点) 「コンクリート表面に亜硝酸カルシウム水溶液を塗布し、所定の時間経過後に、ケイ酸塩の水溶液を塗布する、コンクリートの改質方法。」である点。 (相違点1) 所定の時間について、本件発明1では、亜硝酸カルシウムを塗布して、「少なくとも12時間」経過後、ケイ酸塩の水溶液を塗布するのに対し、甲1発明では、亜硝酸カルシウムを塗布し、「その後」ケイ酸塩の水溶液を塗布するものの、亜硝酸カルシウムを塗布後、ケイ酸塩の水溶液を塗布するまでに少なくとも12時間経過しているかが明らかではない点。 (相違点2) 亜硝酸カルシウム水溶液の塗布量について、本件発明1では「カルシウムイオン換算でコンクリート面1m^(2)当たり、0.189?0.4モル」であるのに対し、甲1発明では「亜硝酸カルシウムを溶質とする濃度5?30%水溶液に、高い湿潤効果を得るための水溶液用湿潤剤が添加されて成る浸透性防錆剤を200cc/m^(2)ずつ2回塗布」するものの、カルシウム換算で何モルであるのかが明らかではない点。 (相違点3) ケイ酸塩の水溶液の塗布量について、本件発明1では「ケイ酸イオン換算でコンクリート面1m^(2)当たり、0.4?0.9モル」であるのに対し、甲1発明では「珪酸塩を主体として構成される空隙充填剤を200cc/m^(2)塗布する」ものの、ケイ酸イオン換算で何モルであるのかが明らかではない点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、相違点2及び相違点3から検討する。 (ア)相違点2について 甲1発明は、前記第4の1(1-2)によれば、浸透性防錆剤は、亜硝酸カルシウムを溶質とする濃度5?30%水溶液であり、具体的には甲3である特開2002-371388号公報に開示されている旨の記載があるので、甲3の記載を勘案して検討を行う。 甲1発明では、浸透性防錆材を「200cc/m^(2)ずつ2回塗布」するものであるから、コンクリート1m^(2)あたりの塗布量は「400cc(ml)/m^(2)」であり、浸透性防錆材中の亜硝酸カルシウム濃度は5?30質量%であるから、1m^(2)あたりのカルシウムイオン換算での塗布量に換算すると、5質量%の場合の400ml中の亜硝酸カルシウムの量は、(400×0.05)/132.09(亜硝酸カルシウムのモル質量)=0.15モルであり、30質量%の場合の400ml中の亜硝酸カルシウムの量は、(400×0.3)/132.09(亜硝酸カルシウムのモル質量)=0.91モルであるから、甲1には、浸透性防錆材を、カルシウムイオン換算でコンクリート面1m^(2)当たり、本件発明1の0.189?0.4モルと一部重複する、0.15?0.91モル添加することについて一応の示唆があるといえる。 しかしながら、甲1及び甲3には、亜硝酸カルシウムの濃度を5?30%としたことの技術的背景や効果について特段具体的なことが記載されていないうえ、甲3の実施例では20%質量の亜硝酸カルシウム水溶液が用いられていることからして、甲1及び甲3の記載は、当業者であれば、浸透性防錆剤としての利用においては、亜硝酸カルシウムの濃度は20質量%程度が最も好ましい濃度であることを理解する、と解釈するのが相当であり、このときの亜硝酸カルシウム水溶液の塗布量は、カルシウムイオン換算でコンクリート面1m^(2)当たりに換算すると0.61モルとなり、本件発明1の「0.189?0.4モル」を満たさない。 さらに、甲1及び甲3には、本件発明1における課題である、亜硝酸カルシウム水溶液の塗布量について、ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)ゲルの形成との関係性についても何ら記載ないし示唆がない。 そうすると、甲1及び甲3の記載から、亜硝酸カルシウム水溶液の塗布量について、カルシウムイオン換算でコンクリート面1m^(2)当たり、0.189?0.4モルとすることの動機づけを見いだすことができないから、当業者といえども、甲1発明並びに甲1及び甲3の記載に基づいて、相違点2に係る本件発明1の構成に想到することは容易になし得たことであるとはいえない。 (イ)相違点3について 前記第4の2から、甲2には、ケイ酸塩系表面含浸材を用いるコンクリート補強方法であって、コンクリート表面に、カルシウム成分と亜硝酸塩とを含有する反応促進材を塗工する工程と、その後、ケイ酸塩系表面含浸材を塗工する工程とを有することを特徴とするコンクリート補強方法において、ケイ酸塩系表面含浸材を、反応促進材溶液を塗工した面であるコンクリート供試体の上面、表面積400(cm^(2))に、10mL塗布することが記載されており、当該塗布量は、コンクリート面1m^(2)当たりに換算すると、250ml/m^(2)となる。 ここで、前記第4の1(1-2)から、甲1には、珪酸塩を主体とした溶剤である空隙充填剤の塗布量は、塗布した空隙充填剤がコンクリート表面から5mm以上浸透した層を形成し得る量であれば好ましく、1m^(2)当たり150cc?200cc程度(150ml?200ml)であることが記載されており、甲2に記載されている添加量はかかる範囲を満足するものではない。 さらに、甲1の記載内容を参酌しても、空隙充填剤中のケイ酸塩の含有量や具体的な製品名等が明らかではなく、甲2に記載されている「ラドコン7」とケイ酸塩の含有量が共通ないし類似するかどうかも不明であることからして、当業者にとって、ケイ酸塩の水溶液の塗布量について、甲1発明において甲2に記載の条件を採用することが動機付けられる、とまではいえない。 また、甲4には、コンクリート改質防水材である「ラドコン7」製品中の不揮発性成分の百分率が27.7%であることが、甲5には、当該「ラドコン7」の主要成分がケイ酸塩であることが、甲6には、「ラドコン#7」の主成分がケイ酸ナトリウムであることがそれぞれ記載されているものの、いずれも、ケイ酸塩の水溶液の塗布量について、ケイ酸イオン換算でコンクリート面1m^(2)当たり、0.4?0.9モルとすることを示唆するものではない。 そうすると、当業者といえども、甲1発明並びに甲1、甲2及び甲4ないし甲6の記載に基づいて、相違点3に係る構成に想到することは容易になし得たことであるとはいえない。 よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明及び甲1ないし甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件発明4について 本件発明4は、本件発明1のすべての発明特定事項を有し、さらに技術的事項を付加したものであるから、前記(2)と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることできたものであるとはいえない。 (4)小括 よって、本件発明1及び4は、甲1発明及び甲1ないし甲6の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上の検討のとおり、特許異議の申立の理由及び証拠によっては、請求項1及び4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2020-06-16 |
出願番号 | 特願2015-134164(P2015-134164) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
Y
(C04B)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 永田 史泰 |
特許庁審判長 |
菊地 則義 |
特許庁審判官 |
櫛引 明佳 宮澤 尚之 |
登録日 | 2019-09-20 |
登録番号 | 特許第6588751号(P6588751) |
権利者 | 馬居化成工業株式会社 |
発明の名称 | ケイ酸塩系表面含浸材のコンクリート改質効果を高める補助材併用工法 |